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<図1>
  • 特許-火炎検出システム及び劣化指標算出装置 図1
  • 特許-火炎検出システム及び劣化指標算出装置 図2
  • 特許-火炎検出システム及び劣化指標算出装置 図3
  • 特許-火炎検出システム及び劣化指標算出装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】火炎検出システム及び劣化指標算出装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20220509BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G01J1/42 C
G01J1/44 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017111565
(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公開番号】P2018205162
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】森 雷太
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-218003(JP,A)
【文献】特開2013-134539(JP,A)
【文献】特開2013-171560(JP,A)
【文献】特開平03-241255(JP,A)
【文献】特開平05-281037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0247883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G08B 17/00 - G08B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出するように構成された火炎センサと、
パルス状の電圧を周期的に生成し前記火炎センサの前記一対の電極間に駆動パルスとして印加するように構成された印加電圧生成部と、
前記火炎センサに流れる電流を検出するように構成された電流検出部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間に前記印加電圧生成部によって生成された前記駆動パルスを印加したときに前記電流検出部によって検出された電流から前記火炎センサの前記一対の電極の間で放電が発生したと判定される放電回数を計数するように構成された放電回数計数部と、
前記印加電圧生成部によって前記火炎センサの前記一対の電極間に印加された前記駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを前記火炎センサの前記一対の電極間に加えたときに前記放電回数計数部によって計数された放電回数とに基づいて、前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する現在の放電確率を算出するように構成された放電確率算出部と、
前記放電確率算出部によって算出された現在の放電確率に基づいて前記火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するように構成された劣化指標算出部とを備え、
前記劣化指標算出部は、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の初期値を記憶する放電確率初期値記憶部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の許容限界値を記憶する放電確率許容限界値記憶部と、
前記放電確率初期値記憶部に記憶されている前記放電確率の初期値と,前記放電確率許容限界値記憶部に記憶されている前記放電確率の許容限界値と,前記放電確率算出部によって算出された現在の放電確率とに基づいて、前記劣化指標として前記火炎センサの劣化進度を算出するように構成された劣化進度算出部とを備える
ことを特徴とする火炎検出システム。
【請求項2】
一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出するように構成された火炎センサと、
パルス状の電圧を周期的に生成し前記火炎センサの前記一対の電極間に駆動パルスとして印加するように構成された印加電圧生成部と、
前記火炎センサに流れる電流を検出するように構成された電流検出部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間に前記印加電圧生成部によって生成された前記駆動パルスを印加したときに前記電流検出部によって検出された電流から前記火炎センサの前記一対の電極の間で放電が発生したと判定される放電回数を計数するように構成された放電回数計数部と、
前記印加電圧生成部によって前記火炎センサの前記一対の電極間に印加された前記駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを前記火炎センサの前記一対の電極間に加えたときに前記放電回数計数部によって計数された放電回数とに基づいて、前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する現在の放電確率を算出するように構成された放電確率算出部と、
前記放電確率算出部によって算出された現在の放電確率に基づいて前記火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するように構成された劣化指標算出部とを備え、
前記劣化指標算出部は、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の初期値を記憶する放電確率初期値記憶部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の許容限界値を記憶する放電確率許容限界値記憶部と、
前記放電確率初期値記憶部に記憶されている前記放電確率の初期値と,前記放電確率許容限界値記憶部に記憶されている前記放電確率の許容限界値と,前記放電確率算出部によって算出された現在の放電確率と,前記火炎センサの運用開始時からの経過時間とに基づいて、前記劣化指標として前記火炎センサの余寿命を算出するように構成された余寿命算出部とを備える
ことを特徴とする火炎検出システム。
【請求項3】
一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出するように構成された火炎センサと、
パルス状の電圧を周期的に生成し前記火炎センサの前記一対の電極間に駆動パルスとして印加するように構成された印加電圧生成部と、
前記火炎センサに流れる電流を検出するように構成された電流検出部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間に前記印加電圧生成部によって生成された前記駆動パルスを印加したときに前記電流検出部によって検出された電流から前記火炎センサの前記一対の電極の間で放電が発生したと判定される放電回数を計数するように構成された放電回数計数部と、
前記印加電圧生成部によって前記火炎センサの前記一対の電極間に印加された前記駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを前記火炎センサの前記一対の電極間に加えたときに前記放電回数計数部によって計数された放電回数とに基づいて、前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する現在の放電確率を算出するように構成された放電確率算出部と、
前記放電確率算出部によって算出された現在の放電確率に基づいて前記火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するように構成された劣化指標算出部とを備え、
前記劣化指標算出部は、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の初期値を記憶する放電確率初期値記憶部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の許容限界値を記憶する放電確率許容限界値記憶部と、
前記放電確率初期値記憶部に記憶されている前記放電確率の初期値と,前記放電確率許容限界値記憶部に記憶されている前記放電確率の許容限界値と,前記放電確率算出部によって算出された現在の放電確率とに基づいて、第1の前記劣化指標として前記火炎センサの劣化進度を算出するように構成された劣化進度算出部と、
前記劣化進度算出部によって算出された前記火炎センサの劣化進度と,前記火炎センサの運用開始時からの経過時間とに基づいて、第2の前記劣化指標として前記火炎センサの余寿命を算出するように構成された余寿命算出部とを備える
ことを特徴とする火炎検出システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載された火炎検出システムにおいて、
前記劣化指標算出部によって算出された前記火炎センサの劣化指標を表示するように構成された劣化指標表示部
を備えることを特徴とする火炎検出システム。
【請求項5】
一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出する火炎センサの前記一対の電極間に印加された、周期的なパルス状の電圧からなる駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを前記一対の電極間に印加したときの、前記火炎センサに流れる電流から前記一対の電極間で放電が発生したと判定された放電回数と、に基づいて算出される前記一対の電極間での現在の放電確率に基づいて、前記火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するように構成された劣化指標算出装置であって、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の初期値を記憶する放電確率初期値記憶部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の許容限界値を記憶する放電確率許容限界値記憶部と、
前記放電確率初期値記憶部に記憶されている前記放電確率の初期値と,前記放電確率許容限界値記憶部に記憶されている前記放電確率の許容限界値と,前記現在の放電確率とに基づいて、前記劣化指標として前記火炎センサの劣化進度を算出するように構成された劣化進度算出部と
を備える劣化指標算出装置。
【請求項6】
一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出する火炎センサの前記一対の電極間に印加された、周期的なパルス状の電圧からなる駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを前記一対の電極間に印加したときの、前記火炎センサに流れる電流から前記一対の電極間で放電が発生したと判定された放電回数と、に基づいて算出される前記一対の電極間での現在の放電確率に基づいて、前記火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するように構成された劣化指標算出装置であって、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の初期値を記憶する放電確率初期値記憶部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の許容限界値を記憶する放電確率許容限界値記憶部と、
前記放電確率初期値記憶部に記憶されている前記放電確率の初期値と,前記放電確率許容限界値記憶部に記憶されている前記放電確率の許容限界値と,前記現在の放電確率と,前記火炎センサの運用開始時からの経過時間とに基づいて、前記劣化指標として前記火炎センサの余寿命を算出するように構成された余寿命算出部と
を備える劣化指標算出装置。
【請求項7】
一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出する火炎センサの前記一対の電極間に印加された、周期的なパルス状の電圧からなる駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを前記一対の電極間に印加したときの、前記火炎センサに流れる電流から前記一対の電極間で放電が発生したと判定された放電回数と、に基づいて算出される前記一対の電極間での現在の放電確率に基づいて、前記火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するように構成された劣化指標算出装置であって、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の初期値を記憶する放電確率初期値記憶部と、
前記火炎センサの前記一対の電極間で発生する放電確率の許容限界値を記憶する放電確率許容限界値記憶部と、
前記放電確率初期値記憶部に記憶されている前記放電確率の初期値と,前記放電確率許容限界値記憶部に記憶されている前記放電確率の許容限界値と,前記現在の放電確率とに基づいて、第1の前記劣化指標として前記火炎センサの劣化進度を算出するように構成された劣化進度算出部と、
前記劣化進度算出部によって算出された前記火炎センサの劣化進度と,前記火炎センサの運用開始時からの経過時間とに基づいて、第2の前記劣化指標として前記火炎センサの余寿命を算出するように構成された余寿命算出部と
を備える劣化指標算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎の有無を検出する火炎検出システム及び劣化指標算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃焼炉等において火炎から放出される紫外線に基づいて火炎の有無を検出することに用いられる電子管が知られている。この電子管は、所定のガスを充填封止した密閉容器と、この密閉容器の両端部を貫通する2本の電極支持ピンと、この電極支持ピンにより密閉容器内で互いに平行に支持される2枚の電極(一対の電極)とを備えるものである。
【0003】
このような電子管では、電極支持ピンを介して電極間に所定の電圧を印加した状態において、火炎に対向配置された一方の電極に紫外線が照射されると、光電効果によりその電極から電子が放出され、その電子が次々と励起されて他方の電極との間で電子なだれを形成する。このため、電極間のインピーダンスの変化、電極間の電圧の変化、電極間に流れる電流の変化などを計測することにより、火炎の有無を検出することができる。そこで、火炎の有無を検出するための種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-141290号公報
【文献】特開2013-210284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような火炎検出システムは、高温炉内の火炎の有無の検出に用いられることがしばしばあり、上述した電子管は火炎から生じる光を検出する火炎センサとして用いられる。
【0006】
しかしながら、このような現場において、火炎センサが劣化し、高温炉の運転中に火炎の有無を正しく検出できなくなると、不測の事態が生じ兼ねない。このため、従来においては、運用開始から数年で火炎センサを交換するなど、一律の寿命管理と、定期的な点検等の運用上の管理で済ませている。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、火炎センサの適切な交換時期を知ることが可能な火炎検出システム及び劣化指標算出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために本発明に係る火炎検出システムは、一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出するように構成された火炎センサ(1)と、パルス状の電圧を周期的に生成し火炎センサの一対の電極間に駆動パルスとして印加するように構成された印加電圧生成部(12)と、火炎センサに流れる電流を検出するように構成された電流検出部(15)と、火炎センサの一対の電極間に印加電圧生成部によって生成された駆動パルスを印加したときに電流検出部によって検出された電流から火炎センサの一対の電極の間で放電が発生したと判定される放電回数を計数するように構成された放電回数計数部(201)と、印加電圧生成部によって火炎センサの一対の電極間に印加された駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを火炎センサの一対の電極間に加えたときに放電回数計数部によって計数された放電回数とに基づいて、火炎センサの一対の電極間で発生する現在の放電確率を算出するように構成された放電確率算出部(202)と、放電確率算出部によって算出された現在の放電確率に基づいて火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するように構成された劣化指標算出部(22)とを備えることを特徴とする。本発明に係る劣化指標算出装置は、一対の電極を有し、火炎から生じる光を検出する火炎センサの前記一対の電極間に印加された、周期的なパルス状の電圧からなる駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを前記一対の電極間に印加したときの、前記火炎センサに流れる電流から前記一対の電極間で放電が発生したと判定された放電回数と、に基づいて算出される前記一対の電極間での現在の放電確率に基づいて、前記火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出する。
【0009】
本発明において、火炎センサの一対の電極間には、パルス状の電圧が駆動パルスとして周期的に印加される。放電確率算出部は、火炎センサの一対の電極間に印加された駆動パルスのパルス数(N)と、この駆動パルスを火炎センサの一対の電極間に加えたときに放電が発生したと判定された放電回数(n)とに基づいて、火炎センサの一対の電極間で発生する現在の放電確率(P=n/N)を算出する。
【0010】
火炎センサの劣化は主に、運用に伴って電子を放出する電極面が荒れて行き、電子を放出し難くなって行くことが原因とされる。本発明において、火炎センサの放電確率は、火炎センサの劣化が進むにつれて低下して行く。そこで、本発明では、放電確率算出部によって算出された現在の放電確率に基づいて、火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するようにする。例えば、劣化指標として、火炎センサの劣化進度を算出したり、火炎センサの余寿命を算出したりする。
【0011】
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したことにより、本発明によれば、火炎センサの一対の電極間に印加された駆動パルスのパルス数と、この駆動パルスを火炎センサの一対の電極間に加えたときに放電が発生したと判定された放電回数とに基づいて、火炎センサの一対の電極間で発生する現在の放電確率を算出するようにし、この算出した現在の放電確率に基づいて火炎センサの現在の劣化の状態を示す劣化指標を算出するようにしたので、火炎センサの劣化進度を算出したり、火炎センサの余寿命を算出したりするなどして、火炎センサの適切な交換時期を知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る火炎検出システムの要部を示す図である。
図2図2は、この火炎検出システムにおける火炎センサに印加される駆動パルスPM、電流検出回路において検出される検出電圧Vpvおよび火炎の有無を示す波形図である。
図3図3は、火炎センサの放電確率が時間の経過に伴って低下して行く様子を示す図である。
図4図4は、この火炎検出システムにおいて火炎の有無の検出および劣化指標の表示が行われるまでの処理の過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る火炎検出システム100の要部を示す図である。この火炎検出システム100は、火炎センサ1と、外部電源2と、火炎センサ1および外部電源2が接続された演算装置3とを備えている。
【0015】
火炎センサ1は、図示してはいないが、両端部が塞がれた円筒状の外囲器と、この外囲器の両端部を貫通する2本の電極ピンと、外囲器内部において電極ピンにより互いに平行に支持された2枚の電極(一対の電極)とを備えた電子管から構成されている。
【0016】
このような電子管は、一方の電極がバーナ等の火炎300を発生させる装置に対向するように配置されている。これにより、電極間に所定の電圧が印加された状態において紫外線が一方の電極に照射されると、光電効果によりその電極から電子が放出され、その電子が次々と励起されて他方の電極との間で電子なだれを形成する。これにより、電極間の電圧、電流、インピーダンスが変化することとなる。
【0017】
外部電源2は、例えば、100[ V ] または200[ V ]の電圧値を有する交流の商用電源からなる。
【0018】
演算装置3は、外部電源2に接続された電源回路11と、この電源回路11に接続された印加電圧生成回路12およびトリガ回路13と、火炎センサ1の下流側の端子1bと接地ラインGNDとの間に直列に接続された抵抗R1とR2とからなる分圧抵抗14と、この分圧抵抗14の抵抗R1とR2との接続点Paに生じる電圧(参照電圧)Vaを火炎センサ1に流れる電流Iとして検出する電流検出回路15と、印加電圧生成回路12,トリガ回路13および電流検出回路15が接続された処理回路16とを備えている。
【0019】
電源回路11は、外部電源2から入力される交流電力を、印加電圧生成回路12およびトリガ回路13に供給する。また、演算装置3の駆動用の電力は、電源回路11より取得される(ただし、交流/直流を問わず別電源から駆動用の電力を取得するように構成することもできる)。
【0020】
印加電圧生成回路12は、電源回路11により印加される交流電圧を所定の値まで昇圧させて火炎センサ1に印加する。本実施の形態では、処理回路16からの矩形パルスPSと同期した200[ V ]のパルス状の電圧(火炎センサ1の放電開始電圧VST以上の電圧)を駆動パルスPMとして生成し、この生成した駆動パルスPMを火炎センサ1に印加する。図2(a)に火炎センサ1に印加される駆動パルスPMを示す。この駆動パルスPMは、処理回路16からの矩形パルスPSと同期しており、そのパルス幅Tは矩形パルスPSのパルス幅と等しい。処理回路16からの矩形パルスPSについては後述する。
【0021】
トリガ回路13は、電源回路11により印加される交流電圧の所定の値点を検出し、この検出結果を処理回路16に入力する。本実施の形態において、トリガ回路13は、電圧値が最小となる最小値点を所定の値点(トリガ時点)として検出する。このように交流電圧について所定の値点を検出することにより、その交流電圧の1周期を検出することが可能となる。
【0022】
分圧抵抗14は、抵抗R1とR2との分圧電圧として参照電圧Vaを生成し、電流検出回路15に入力する。ここで、火炎センサ1の上流側の端子1aに印加される駆動パルスPMの電圧値は、上述したように200[ V ]という高電圧となっているので、火炎センサ1の電極間に電流が流れた時にその下流側の端子1bに生じる電圧をそのまま電流検出回路15に入力すると電流検出回路15に大きな負荷がかかることとなる。このため、本実施の形態では、分圧抵抗14によって電圧値が低い参照電圧Vaを生成し、これを電流検出回路15に入力するようにしている。
【0023】
電流検出回路15は、分圧抵抗14から入力される参照電圧Vaを火炎センサ1に流れる電流Iとして検出し、この検出した参照電圧Vaを検出電圧Vpvとして処理回路16に入力する。
【0024】
処理回路16は、矩形パルス生成部17と、A/D変換部18と、感度パラメータ記憶部19と、受光量算出処理部20と、判定部21と、劣化指標算出部22と、劣化指標表示部23とを備えている。
【0025】
矩形パルス生成部17は、トリガ回路13がトリガ時点を検出する毎に、すなわち電源回路11からトリガ回路13に印加される交流電圧の1周期毎に、パルス幅Tの矩形パルスPSを生成する。この矩形パルス生成部17が生成する矩形パルスPSが印加電圧生成回路12へ送られる。
【0026】
A/D変換部18は、電流検出回路15からの検出電圧VpvをA/D変換し、受光量算出処理部20へ送る。感度パラメータ記憶部19には、火炎センサ1が有する既知の感度パラメータとして、後述する基準の受光量Q0,基準のパルス幅T0,基準の放電の確率P0が記憶されている。
【0027】
受光量算出処理部20および劣化指標算出部22は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、受光量算出処理部20は、放電判定部201と放電確率算出部202と受光量算出部203とを備えており、劣化指標算出部22は、放電確率初期値記憶部221と放電確率許容限界値記憶部222と劣化進度算出部223と余寿命算出部224とを備えている。
【0028】
〔受光量算出処理部〕
受光量算出処理部20において、放電判定部201は、火炎センサ1に駆動パルスPMが印加される毎(矩形パルスPSが生成される毎)に、A/D変換部18から入力される検出電圧Vpvと予め定められている閾値電圧Vthとを比較し(図2(b)参照)、検出電圧Vpvが閾値電圧Vthを超えた場合に火炎センサ1が放電したと判定する。
【0029】
放電確率算出部202は、火炎センサ1に印加された駆動パルスPMのパルス数がNに達する毎(矩形パルスPSのパルス数がNに達する毎)に、放電判定部201において放電したと判定された放電回数nを取得し、この取得した放電回数nと火炎センサ1に印加した駆動パルスPMのパルス数Nとから火炎センサ1の放電確率P(P=n/N)を求める。
【0030】
受光量算出部203は、感度パラメータ記憶部19に記憶されている既知の感度パラメータ(基準の受光量Q0,基準のパルス幅T0,基準の放電の確率P0)と、火炎センサ1に加えた駆動パルスPMのパルス幅T(矩形パルスPSのパルス幅T)と、放電確率算出部202によって算出された放電確率P(P=n/N)とから、後述する(7)式を用いて、火炎センサ1が受けた光の単位時間当たりの受光量Qを求める。
【0031】
なお、この(8)式を用いての受光量Qの算出は、放電確率Pが0<P<1であった場合に行い、放電確率Pが0の場合には受光量Qを0とし、放電確率Pが1の場合は対象外とする。
【0032】
受光量算出部203で求められた受光量Qは判定部21へ送られる。判定部21は、受光量算出部203からの受光量Qと予め定められている閾値Qthとを比較し、受光量Qが閾値Qthを超えた場合に火炎有りと判定する。
【0033】
〔感度パラメータについて〕
火炎センサ1に光子が1個衝突したときに放電する確率をP1とし、光子が2個衝突したときに放電する確率P2とする。P2は1個目の光子でも2個目の光子でも放電しない確率の逆になるので、P1とP2の関係は下記(1)式のように表される。
【0034】
【数1】
【0035】
一般に、n個の光子が当たったときに放電する確率とm個の光子が当たったときに放電する確率を、それぞれPn,Pmとすると、上記の(1)式と同様に下記の(2)式と(3)式が成り立つ。
【0036】
【数2】
【0037】
【数3】
【0038】
(2)式と(3)式から、PnとPmの関係として、下記の(4),(5)式が導ける。
【0039】
【数4】
【0040】
【数5】
【0041】
放電に寄与する光子数は、火炎センサ1の電極に単位時間当たりに到来する光子数(単位時間当たりの受光量)Qと、放電開始電圧VST以上の電圧を火炎センサ1に印加している時間T(パルス幅T)との積によって決まる。今、基準の受光量Q0と基準のパルス幅T0を定め、この時の放電確率をP0と定義すると、光量Q、パルス幅Tと、その時の放電確率Pは、下記の(6)式となる。
【0042】
【数6】
この(6)式より、火炎センサ1が受けた光の単位時間当たりの受光量Qは、下記(7)式を用いて求められるものとなる。
【0043】
【数7】
【0044】
この(7)式において、パルス幅Tは火炎センサ1に加える駆動パルスPMのパルス幅(矩形パルスPSのパルス幅)なので既知であるから、基準の受光量Q0,基準のパルス幅T0,基準の放電の確率P0が既知であるものとすれば、未知数は測定中の受光量Qと放電確率Pのみとなる。
【0045】
そこで、本実施の形態では、火炎センサ1に駆動パルスPMをN個加え、このN個の駆動パルスPMのそれぞれに対して火炎センサ1が放電したか否かを判定するようにし、火炎センサ1に加えた駆動パルスPMのパルス数Nとこの駆動パルスPMを受けて火炎センサ1が放電した回数(放電したと判定された放電回数)nとから放電確率PをP=n/Nとして求め、この求めた放電確率Pと既知の基準の受光量Q0,基準のパルス幅T0,基準の放電の確率P0とパルス幅Tを(7)式に代入することによって、火炎センサ1が受けた光の単位時間当たりの受光量Qを求めるようにする。
【0046】
ここで、基準の受光量Q0,基準のパルス幅T0,基準の放電の確率P0については、例えば出荷検査において測定しておくものとする。そして、この測定した基準の受光量Q0,基準のパルス幅T0,基準の放電の確率P0を火炎センサ1の既知の感度パラメータとして、感度パラメータ記憶部19に記憶させておくものとする。
【0047】
〔劣化指標算出部〕
劣化指標算出部22において、放電確率初期値記憶部221には火炎センサ1の放電確率の初期値PSTが記憶されており、放電確率許容限界値記憶部222には火炎センサ1の放電確率の許容限界値Yが記憶されている。火炎センサ1の劣化は主に、運用に伴って電子を放出する電極面が荒れて行き、電子を放出し難くなって行くことが原因とされる。この場合、火炎センサ1の放電確率Pは、火炎センサ1の劣化が進むにつれて低下して行く(図3参照)。
【0048】
本実施の形態では、この火炎センサ1の運用開始時の放電確率Pを放電確率の初期値PSTとして放電確率初期値記憶部221に記憶させておき、火炎センサ1が寿命と予想されるときの放電確率Pを放電確率の許容限界値Yとして放電確率許容限界値記憶部222に記憶させておく。
【0049】
劣化指標算出部22において、劣化進度算出部223は、放電確率初期値記憶部221に記憶されている放電確率の初期値PSTと,放電確率許容限界値記憶部222に記憶されている放電確率の許容限界値Yと,放電確率算出部202によって算出された現在の放電確率P(PR)とを下記(8)式に代入して、火炎センサ1の劣化進度αを算出する。
α=(PR-Y)/(PST-Y) ・・・・(8)
【0050】
劣化指標算出部22において、余寿命算出部224は、劣化進度算出部223によって算出された火炎センサ1の劣化進度αと,火炎センサ1の運用開始時からの経過時間Tαを下記(9)式に代入して、火炎センサ1の余寿命Txを算出する。
Tx=(α・Tα)/(100-α) ・・・・(9)
【0051】
劣化進度算出部223で求められた火炎センサ1の劣化進度αおよび余寿命算出部224で求められた火炎センサ1の余寿命Txは劣化指標表示部23へ送られる。劣化指標表示部23は、劣化進度算出部223から送られてくる劣化進度αを第1の劣化指標として、余寿命算出部224から送られてくる余寿命Txを第2の劣化指標として画面に表示する。
【0052】
このようにして、本実施の形態では、火炎センサ1の現在の劣化の状態を示す劣化指標として火炎センサ1の劣化進度αや余寿命Txが表示されるので、火炎センサ1の適切な交換時期を知ることが可能となる。この場合、図3に示した放電確率Pと経過時間tとの関係を示すグラフと合わせて劣化進度αや余寿命Txを表示するようにすれば、さらにオペレータの理解度が深まる。
【0053】
〔火炎の有無の検出および劣化指標の表示〕
この火炎検出システム100において、上述した火炎の有無の検出および劣化指標の表示が行われるまでの処理の過程を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0054】
トリガ回路13がトリガ時点を検出すると、矩形パルス生成部17が矩形パルスPSを生成し、この生成した矩形パルスPSを印加電圧生成回路12へ送る。これにより、矩形パルスPSと同一のパルス幅Tの駆動パルスPMを印加電圧生成回路12が生成し、この生成されたパルス幅Tの駆動パルスPMが火炎センサ1に印加される(ステップS101)。
【0055】
火炎センサ1に駆動パルスPM(放電開始電圧VST以上の電圧)が印加され、火炎センサ1の電極間に電流Iが流れると、この火炎センサ1の電極間に流れた電流Iが電流検出回路15において検出電圧Vpvとして検出され、A/D変換部18を介して放電判定部201へ送られる。
【0056】
放電判定部201は、この電流検出回路15からの検出電圧Vpvと予め定められている閾値電圧Vthとを比較し、検出電圧Vpvが閾値電圧Vthを超えた場合に火炎センサ1が放電したと判定する。放電判定部201は、火炎センサ1が放電したと判定すると、これを1回として放電回数nをカウントする(ステップS102)。
【0057】
このステップS101での駆動パルスPMの火炎センサ1への印加、ステップS102での火炎センサ1の放電回数nのカウントは、駆動パルスPMの火炎センサ1への印加回数が予め定められた回数Nに達するまで繰り返される。
【0058】
そして、火炎センサ1への駆動パルスPMの印加回数がNに達すると(ステップS103のYES)、放電確率算出部202は、放電判定部201でカウントされた放電回数nを取得し、この取得した放電回数nと火炎センサ1に印加した駆動パルスPMの印加回数Nとから火炎センサ1の放電確率P(P=n/N)を算出する(ステップS104)。
【0059】
この放電確率算出部202で算出された放電確率Pは受光量算出部203へ送られる。受光量算出部203は、放電確率Pが0<P<1であるか否かを確認し、放電確率Pが0<P<1であった場合(ステップS105のYES)、前述した(8)式を用いての受光量Qの算出を行う(ステップS106)。
【0060】
すなわち、感度パラメータ記憶部19に記憶されている既知の感度パラメータ(基準の受光量Q0,基準のパルス幅T0,基準の放電の確率P0)と、火炎センサ1に加えた駆動パルスPMのパルス幅Tと、放電確率算出部202によって演算された放電確率P(P=n/N)とから、火炎センサ1が受けた光の単位時間当たりの受光量Qを求める。
【0061】
これに対して、放電確率Pが0<P<1でなかった場合(ステップS105のNO)、すなわち放電確率Pが0あるいは1であった場合、受光量算出部203は受光量例外処理を行う(ステップS107)。この受光量例外処理では、放電確率Pが0の場合には受光量Qを0とし、放電確率Pが1の場合は対象外とする。
【0062】
この受光量算出部203で求められた受光量Qは判定部21へ送られる。判定部21は、受光量算出部203からの受光量Qと予め定められている閾値Qthとを比較し、受光量Qが閾値Qthを超えた場合に(ステップS108のYES)、火炎有りと判定する(ステップS109)。受光量Qが閾値Qthを超えていなかった場合には(ステップS1108のNO)、火炎無しと判定する(ステップS110)。
【0063】
また、放電確率算出部202で算出された現在の放電確率P(PR)は劣化進度算出部223へ送られる。劣化進度算出部223は、放電確率の初期値PSTと放電確率の許容限界値Yと現在の放電確率PRとから、火炎センサ1の劣化進度αを算出する(ステップS112)。この劣化進度算出部223で算出された劣化進度αは余寿命算出部224へ送られる。余寿命算出部224は、火炎センサ1の劣化進度αと火炎センサ1の運用開始時からの経過時間Tαとから、火炎センサ1の余寿命Txを算出する(ステップS112)。
【0064】
劣化進度算出部223で求められた火炎センサ1の劣化進度αおよび余寿命算出部224で求められた火炎センサ1の余寿命Txは劣化指標表示部23へ送られる。劣化指標表示部23は、劣化進度算出部223から送られてくる劣化進度αを第1の劣化指標として、余寿命算出部224から送られてくる余寿命Txを第2の劣化指標として画面に表示する(ステップS113)。
【0065】
なお、上述した実施の形態では、印加電圧生成回路12が生成する駆動パルスPMを矩形パルス生成部17が生成する矩形パルスPSに置き換え、この矩形パルスPSのパルス数Nやパルス幅Tを駆動パルスPMのパルス数Nやパルス幅Tとして使用するものとしたが、印加電圧生成回路12が生成する実際の駆動パルスPMのパルス数Nやパルス幅Tを使用するものとしてもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態では、火炎センサ1の現在の劣化の状態を示す劣化指標として劣化進度αと余寿命Txを求めるようにしたが、劣化進度αだけを求めるようにしてもよく、余寿命Txだけを求めるようにしてもよい。この場合、余寿命Txは、劣化進度αを求めなくても、下記(10)式より求めることが可能である。
(PR-Y)・Tα/(PST-PR) ・・・・(10)
【0067】
また、上述した実施の形態では、火炎センサが受けた光の単位時間当たりの受光量から火炎の有無を検出する火炎検出システムを例にとって説明したが、他の方式を採用して火炎の有無を検出する火炎検出システムにも適用することが可能である。
【0068】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0069】
例えば、火炎センサの外囲部にシャッター機能を設けて疑似火炎を検出するタイプの火炎検出システムに利用することも可能である。そのような、設計事項的な変形を行ったとしても、本発明の範囲に属するものである。
【0070】
例えば、上記の実施の形態では、図1に示すように外部電源2を交流の商用電源としたが、代わりに直流電源としてもよい。その場合、電源回路11は所定の電圧値の直流電圧を印加電圧生成回路12およびトリガ回路13へ印加し、トリガ回路13は印加された直流電流を所定の周期でオンオフさせることにより矩形パルス生成部17に所定の矩形波の直流電圧を印加し、矩形パルス生成部17ではその矩形波の直流電圧から矩形パルスPSを生成し、出力するように構成すればよい。
【0071】
また、火炎センサに有効電極面積の概念を持ち込むようにしてもよい。そうすれば、有効電極面積で受光量を除することで、火炎の明るさを算出することができる。なお、有効電極面積とは火炎センサの電極面積のうち光が当たっている面積を意味するので、火炎センサに固有のパラメータである。
【符号の説明】
【0072】
1…火炎センサ、2…外部電源、3…演算装置、11…電源回路、12…印加電圧生成回路、13…トリガ回路、14…分圧抵抗、15…電流検出回路、16…処理回路、17…矩形パルス生成部、18…A/D変換部、19…感度パラメータ記憶部、20…受光量算出処理部、21…判定部、22…劣化指標算出部、23…劣化指標表示部、100…火炎検出システム、201…放電判定部、202…放電確率算出部、203…受光量算出部、221…放電確率初期値記憶部、222…放電確率許容限界値記憶部、223…劣化進度算出部、224…余寿命算出部、300…火炎。
図1
図2
図3
図4