IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カイ ガン チュアの特許一覧

<>
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図1
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図2a
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図2b
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図3
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図4a
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図4b
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図5
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図6a
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図6b
  • 特許-携帯型電動テープディスペンサー 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】携帯型電動テープディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
B65H35/07 D
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017150453
(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公開番号】P2018065692
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】15/297,046
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517272655
【氏名又は名称】カイ ガン チュア
【氏名又は名称原語表記】KHAI GAN CHUAH
【住所又は居所原語表記】4601,Steed Drive,Austin,TX 78749,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】カイ ガン チュア
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08944131(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0051201(US,A1)
【文献】特開2002-127523(JP,A)
【文献】米国特許第05579669(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0077336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00-35/10
B65C 1/00-11/06
B25F 1/00- 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハンドルとして機能するようにさらに延びている少なくとも1つのハウジングと
(b)前記ハウジングに取り付けられた電源と、
(c)前記電源から電気エネルギーが供給される少なくとも1つの電気回路と、
(d)前記電気回路に接続された少なくとも1つのモータ部品と、
(e)前記少なくとも1つのモータ部品に取り付けられた少なくとも1つの回転可能なローラーと、
(f)前記電気回路に接続された第1オン/オフスイッチ及び第2オン/オフスイッチと、
(g)前記第1オン/オフスイッチを作動させるための少なくとも1つの作動装置と、
(h)前記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのカッター部材と、を備え、
前記少なくとも1つの作動装置は、少なくとも1つの張力負荷機械部品を含み、かつ、前記少なくとも1つの作動装置は、表面に接触するように構成されたローラー又はレバーであるか、又は、
前記少なくとも1つの作動装置は、少なくとも1つの近接センサを含み、
前記第2オン/オフスイッチは、押ボタンスイッチであり、
前記少なくとも1つのカッター部材は、前記第1オン/オフスイッチと前記第2オン/オフスイッチの両方がON状態となった後、前記第1オン/オフスイッチ又は前記第2オン/オフスイッチのいずれかがOFF状態となったときに動作する、
携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項2】
前記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのアダプタローラー、をさらに備える、請求項に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアダプタローラーは、少なくとも1つのモータ部品にさらに接続されている、請求項に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカッター部材は、少なくとも1つのモータ部品と、少なくとも1つのカッター回路制御器と、刃と、を有し、
前記少なくとも1つのカッター回路制御器は、前記第1オン/オフスイッチ、前記第2オン/オフスイッチ、および少なくとも1つのタイマーの出力に基づいて前記刃を動かす、請求項1からのいずれか1項に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項5】
(a)少なくとも1つのハンドル、および、前記ハンドルによって支えられた上部支持部材と、
(b)前記少なくとも1つのハンドルのいずれかに取り付けられた電源と、
(c)前記電源から電気エネルギーが供給される少なくとも1つの電気回路であって、前記少なくとも1つの電気回路の経路は、第1オン/オフスイッチと第2オン/オフスイッチによって開放または閉鎖される、少なくとも1つの電気回路と、
(d)前記電気回路に接続された少なくとも1つのモータ部品と、
(e)前記少なくとも1つのモータ部品に取り付けられた少なくとも1つの回転可能なローラーと、
(g)前記上部支持部材取り付けられた少なくとも1つのカッター部材と、
(h)前記第1オン/オフスイッチを作動させるための少なくとも1つの作動装置と、
を備え、
前記少なくとも1つの作動装置は、少なくとも1つの張力負荷機械部品を含み、かつ、前記少なくとも1つの作動装置は、表面に接触するように構成されたローラー又はレバーであるか、又は、
前記少なくとも1つの作動装置は、少なくとも1つの近接センサを含み、
前記少なくとも1つのカッター部材は、前記第1オン/オフスイッチと前記第2オン/オフスイッチの両方がON状態となった後、前記第1オン/オフスイッチ又は前記第2オン/オフスイッチのいずれかがOFF状態となったときに動作する、
携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項6】
前記上部支持部材に取り付けられた少なくとも1つのアダプタローラー、をさらに備える、請求項に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアダプタローラーは、少なくとも1つのモータ部品にさらに接続されている、請求項に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項8】
前記少なくとも1つのカッター部材は、少なくとも1つのモータ部品と、少なくとも1つのカッター回路制御器と、刃と、を有し、
前記少なくとも1つのカッター回路制御器は、前記少なくとも2つのオン/オフスイッチの出力に基づいて前記刃を動かす、請求項5から7のいずれか1項に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項9】
(a)ハンドルとして機能するようにさらに延びている少なくとも1つのハウジングと、
(b)前記ハウジングに取り付けられた電源と、
(c)前記電源から電気エネルギーが供給される少なくとも1つの電気回路と、
(d)前記電気回路に接続された少なくとも1つのモータ部品と、
(e)前記少なくとも1つのモータ部品に取り付けられた少なくとも1つの回転可能なローラーと、
(f)前記電気回路に接続された第1オン/オフスイッチ及び第2オン/オフスイッチと、
(g)前記第1オン/オフスイッチを作動させるための少なくとも1つの作動装置と、
(h)前記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのカッター部材であって、少なくとも1つのモータ部品と、少なくとも1つのカッター回路制御器と、刃と、を含むカッター部材と、を備え、
前記少なくとも1つの作動装置は、
少なくとも1つの張力負荷機械部品を含み、かつ、前記少なくとも1つの作動装置は、表面に接触するように構成されたローラー又はレバーであるか、又は、
前記少なくとも1つの作動装置は、少なくとも1つの近接センサを含み、
前記少なくとも1つのモータ部品は、前記第1オン/オフスイッチと前記第2オン/オフスイッチの両方がON状態となった後、前記第1オン/オフスイッチ又は前記第2オン/オフスイッチのいずれかがOFF状態となったときに前記刃を動作させる、
携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項10】
前記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのアダプタローラー、をさらに備える、請求項に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアダプタローラーは、少なくとも1つのモータ部品にさらに接続されている、請求項10に記載の携帯型電動テープディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープを所望の速度で送出および切断する手段を備え、電子的に動力供給される自動テープディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている現行のテープディスペンサーは、従来技術であるUS第5236540A号のテーピング装置に由来するものである。このテーピング装置は、テープを支持するためのフレームに支えられた回転可能部材と、フレーム上で支持された回転可能なローラーと、フレームの底部に形成されたスロットを通って下方に延びるハンドルを備えると共にローラーに係合可能なパネルを備える押圧装置と、押圧装置のパネルをローラーの方に偏らせてテープを所定の位置に保持するための弾性要素と、を備えている。押圧装置のハンドルを弾性要素に抗して引っ張ると、パネルをローラーから分離させることが可能である。
【0003】
現行の携帯型テープディスペンサーの主な課題の一つは、手動でカッターを使用する前に、人力でテープを様々な長さに引き伸ばさなければならない点である。本発明では、電子式テープディスペンサーは、ユーザによる始動により、電気モータを利用してテープを送出する。ユーザが所望の位置に携帯型電動テープディスペンサーを配置するだけで、電気モータによって動力を供給されたローラーが動くことにより、テープディスペンサーは、ユーザの手が案内する方向に案内されることになる。これにより、時間が節約され、長時間倉庫において商品を梱包することによる労働者の手や手首に生じる作業過多損傷が最小限に抑えられる。従来の携帯型テープディスペンサーを使用する場合と比較して、労働者の速度および効率が上昇するため、労働者の生産性が上昇する。テープを電子式に切断することと、テープ送出の速度を調節することとを組み合わせれば、より精密及び正確な送出が可能になる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、梱包用テープを自動的に送出および切断することが可能な電動テープディスペンサーを提供することにある。テープディスペンサーの、テーピングおよび切断工程等の動作は、表面作動装置と主作動装置との連動によって制御される。本発明の表面作動装置は、スタンバイローラー、レバー、主ローラー、および、近接センサを含むが、これらに限定されない。本発明の主作動装置は、押しボタンを含むが、これに限定されない。一実施形態では、スタンバイローラーが表面作動装置である。テーピング工程時に、ユーザは、カートン箱などの対象物の表面にテープディスペンサーを設置する。テープディスペンサーに加えられる圧力により、スタンバイローラーが後退して、バネが当たる位置まで押しやられ、最終的にその導電性プレートがスイッチの導電性プレートと接触して、テープディスペンサーの回路の第1の部分を閉鎖する。その後、ユーザは、ハンドルのシャフトに配置されている押しボタン等の主作動装置を押し込んで、テープディスペンサーの回路の第2の部分をさらに閉鎖し、完全な回路を形成する。バッテリーにより動力が供給されると、電気モータが始動して、その歯車を歯車部品において回転させ、これにより主ローラーが駆動され、テープがアダプタローラーから引き出される。アダプタローラーが、モータによって駆動されて、テープを回転および送出してもよい。この場合、張力が2つの回転部品に分散されるので、テープを送出するために必要な労力を減少させることができる。他の実施形態では、レバーが表面作動装置である。レバーが対象物の表面と接触すると、レバーおよび導電性ホルダの両方が回転し、最終的にその導電性プレートがスイッチの導電性プレートと接触して、テープディスペンサーの回路の第1の部分を閉鎖する。他の実施形態では、主ローラーが表面作動装置である。主ローラーの主な手法は、送出中のテープの表面を案内して押さえることである。テーピング工程時に、ユーザは、対象物の表面にテープディスペンサーを設置する。テープディスペンサーに加えられる圧力が、バネに張力を負荷し、結果的に主ローラーが後退して、バネが当たる位置まで押しやられる。最終的にその導電性プレートが、スイッチの導電性プレートに接触して、テープディスペンサーの回路の第1の部分を閉鎖する。他の実施形態では、近接センサが表面作動装置である。テープディスペンサーのセンサが対象物に対する特定の範囲内に入ると、近接センサにより対象物表面が検出され、電気スイッチが起動して「オン」位置に動作されて、テープディスペンサーの電気回路の第1の部分が閉鎖される。なお、表面作動装置および主作動装置は、1つの構成要素としての電気スイッチの一部であってよい。
【0005】
本発明は、以下の説明に記載されると共に図面に示される部材の詳細な構成および配置に適用されることに限定されないことは理解されよう。本発明は、他の実施形態においても可能であり、様々な方法で実現または実施されることが可能である。また、ここで使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1は、外側ハウジングを取り外した、本発明の一実施形態に係るテープディスペンサーを示す概略図である。
【0007】
図2aは、本発明に係るカッター回路制御器の状態図である。
【0008】
図2bは、本発明に係るカッター回路制御器の状態表である。
【0009】
図3は、外側ハウジングを取り外した、本発明の一実施形態に係るテープディスペンサーを示す概略図である。
【0010】
図4aは、本発明のテープディスペンサーの一部を示す図であり、レバーとスイッチ部品とが示されている。
【0011】
図4bは、本発明のテープディスペンサーの一部を示す図であり、レバー、スイッチ部品、および、外部対象物との相互作用が示されている。
【0012】
図5は、外側ハウジングを取り外した、本発明の一実施形態に係るテープディスペンサーを示す概略図である。
【0013】
図6aは、本発明のテープディスペンサーの一部を示す図であり、主ローラーとスイッチ部品とが示されている。
【0014】
図6bは、本発明のテープディスペンサーの一部を示す図であり、主ローラー、スイッチ部品、および、外部対象物との相互作用が示されている。
【0015】
図7は、外側ハウジングを取り外した、本発明の一実施形態に係るテープディスペンサーを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ハンドル10と、該ハンドル10の中および上方に取り付けられたフレーム12とから成る携帯型電動テープディスペンサー1(図1を参照)である。ハンドル10およびフレーム12の外側ケース(図示されていない)は取り外して、内部構造を露出させている。ハンドル10は、シャフト型であり、手で握るのに適しており、バッテリー14、押しボタン16、および、速度コントローラ20を収納している。より効率的だと思われるならば、ハンドルは、電子回路基板、スイッチ、電気モータ、および、歯車部品を収納していてもよい。フレーム12の主要構造は、主ローラー30、アダプタローラー35、スタンバイローラー32、カッター40、スイッチ、電子回路基板、電気モータ、および、歯車部品から構成される。ハンドル10およびフレーム12は、テープディスペンサー1の部品を固定するために、様々なデザイン、サイズ、および、形状を有し得る。電気モータ18および歯車部品19の機能は、テープの主ローラー30を所望の速度で駆動することである。主ローラー30の主な手法は、送出中のテープ31を案内して表面へ押さえることである。主ローラー30は、心棒55によって歯車部品19に連結された車輪部品である。なお、全ての電気部品の配線が、全ての図面において図示されているわけではない。
【0017】
アダプタローラー35は、シャフト34に取り付けられており、テープ31のロールを支持しながらシャフト34を中心に回転する。アダプタローラー35は、そのモータ33により駆動されて回転することにより、テープ31を送出する。この場合、張力が2つの回転部品の間に分散されるので、テープを送出するために必要な労力を減少させることができる。アダプタローラー35および主ローラー30の速度は同期されていることが好ましく、回転速度は速度コントローラ20によって任意に調節される。あるいは、テープディスペンサー1の動作をわずかに変更して、主ローラー30がアダプタローラー35よりもわずかに早くなるようにすることにより、テープに一定の張力を生成してもよい。この場合、一定の張力により、テープが、アダプタローラーと主ローラーとの間に垂れ下がることが回避されることになる。場合によっては、テープディスペンサー1は、モータで駆動されない簡素な機械式アダプタローラーを備えていてもよい。この場合、主ローラー30だけがテープ31を引っ張る作業を担当するため、アダプタローラーは受動的に回転する。速度コントローラ20は、モータの速度を制御する回路装置である。主ローラーのモータ18およびアダプタローラーのモータ33は、ディスペンサーを所望の速度で動作させる手段を備える速度コントローラ20に接続されている。図1に示される速度コントローラ20は、上記のローラーのいずれか一方または両方がテープを送出するための回転速度を加速または減速させるための、レベル1、レベル2、または、レベル3といった複数の設定を有していてよい。
【0018】
テープディスペンサー1の回路は、電気スイッチにより制御される。回路の第1の部分は、表面作動装置およびその関連スイッチ部品88から成る。本実施形態では、スタンバイローラー32が表面作動装置である。回路の第2の部分は、主作動装置およびその関連スイッチ部品89から成る。本実施形態では、押しボタン16が主作動装置である。テープディスペンサー1のモータを始動させるためには、スイッチ88およびスイッチ89の両方を「オン」にして、完全な回路を形成する必要がある。
【0019】
スタンバイローラー32は、張力が負荷される車輪部品であり、心棒56によりスイッチ部品88に連結されている。スタンバイローラー32の一端は、電気スイッチ88とさらに相互作用する導電性プレートを有している。スイッチ88は、バッテリー14(電源)から全ての各モータまでの電力の流れを制御することに関与している。テーピング工程時に、ユーザは、カートン箱などの対象物の表面にテープディスペンサー1を当てる。テープディスペンサー1に加えられる圧力により、ローラー32が後退して、バネに抗する位置まで押しやられ、最終的にその導電性プレートがスイッチ88の導電性プレートと接触して、回路の第1の部分を閉鎖する(スイッチ88は「オン」位置にある)。この場合、テープディスペンサー1は、スタンバイモードにある。その後、ユーザは、ハンドルのシャフトに配置されている押しボタン16を押し込む。これにより、今度は、スイッチ89が起動して完全な回路が形成される。両スイッチ(スイッチ88およびスイッチ89)が、「オン」位置に設定されると、バッテリー14によって動力を供給された電気モータ18が始動して、その歯車を歯車部品19において回転させる。これにより、主ローラー30が駆動され、テープがアダプタローラー35から引き出される。押しボタン16が押された状態で維持されている間に、スタンバイローラー32が対象物の表面と接触した状態が解除されると、バネは、自動的にスタンバイローラー32をその初期位置である「非押下」位置(スイッチ88は「オフ」位置にある)に戻して開回路を形成し、モータ18の動作を停止させる。逆に、スタンバイローラー32が対象物の表面とまだ接触している間にユーザが押しボタン16を離した場合も、モータ18は同じく停止する。上述の二重スイッチ回路は、ユーザが誤ってスタンバイローラー32または押しボタン16のスイッチを作動させてしまった時に、予期せずモータ18等の電気部品がオンされることが無いようにするものである。押しボタン16は、ハンドルを握るユーザの手の指で容易に始動させたり動作を停止させたりすることが可能な位置にあるように、ハンドルのシャフトに沿って配置されていることが好ましい。スタンバイローラー32または押しボタン16は、スイッチをオンおよびオフさせることができるならば、様々なデザイン、サイズ、および、形状(例えば、取っ手、タブ、突出部、レバー、円盤、または、ボタンの形)のものであってよい。なお、スタンバイローラー32または押しボタン16は、1つの構成要素としての電気スイッチの一部であり得る。なお、本発明中に記載されるバネは、圧力の負荷と非負荷とを切り替える手段を備える、任意の形態の張力負荷装置と置き換えることが可能である。
【0020】
所望の長さのテープが送出されると、テープ31は、刃49を備える電動式カッター40により切断されることが可能である。カッター回路制御器41が「オン」位置に設定されると、電気モータ46が作動して、その歯車を歯車部品47において回転させ、これによりカッター40が始動する。カッター40の動作は、カッター回路制御器41によって管理される。カッター回路制御器41の入力は、接点43a、接点43b、および、接点43tにそれぞれ接続されている。接点43aは、さらに、スタンバイローラー32のスイッチ88に接続されている。接点43bは、押しボタン16のスイッチ89に接続されている。接点43tは、規定の時間からカウントダウンを行うデジタルカウンタであるタイマー45に接続されている。カッター回路制御器41の出力は、カッター40のモータ46に接続されている。
【0021】
カッター40は、次の条件のうちのいずれかにおいて始動する。a)押しボタン16がユーザに押された状態のまま、テープディスペンサー1が対象物から引き離され持ち上げられた時に、スイッチ88が「オフ」位置にありスイッチ89が「オン」位置にある。b)テープディスペンサー1が対象物と接触した状態のまま、ユーザが押しボタン16を離した時に、スイッチ88が「オン」位置にありスイッチ89が「オフ」位置にある。
【0022】
上述の状況は、カッター回路制御器の状態図(図2aを参照)により示されることが可能である。1つのエッジは、入力(43a,43b,43t)によって引き起こされるような、一つの状態から別の状態への遷移を示す。1つのエッジは、現在の状態から次の状態へ向かう矢印として示されている。カッター回路制御器41は3つの状態、すなわち、C_OFF、C_READY、および、C_ONを有している。カッター回路制御器41のステートマシンは、状態図(図2a)および状態遷移表(図2b)によって示されることが可能である。状態遷移表には、各入力によって生じる次の状態および出力Y(動作)が示されている。ディスペンサー1が非アクティブである場合、入力は、43a=0、43b=0、43t=0であると共に、出力はY=0であり(エッジ300)、カッター回路制御器41は状態C_OFFで維持される。テープディスペンサー1が動作中である場合、入力は、43a=1、43b=1、43t=0になり、出力はY=0になる(接線310)。カッター回路制御器41は、C_READY状態への遷移を引き起こすことになる。この状態では、カッター回路制御器41は、カッター40をオンにする準備ができたスタンバイモードにある。なお、C_READY状態において、カッター40は始動されない。これは、テープディスペンサーがまだ動いている間に、突然カッター40がテープ31を切断しないようにするためである。入力が、43a=1、43b=0、43t=0、または、43a=0、43b=1、43t=0であり、出力がY=1の場合(エッジ315)、カッター回路制御器41の状態は、C_READY状態からC_ON状態に遷移する。この状態において、カッター回路制御器41はカッター40をオンにし、その後、テープ31は、カッター40の刃49で切断される。C_ON状態において、カッター回路制御器41は、タイマー45も動作させる。カッター回路制御器41は、43t=0(エッジ320)である限り、C_ON状態で維持されることになる。タイマー45は、入力を、所定の時点で43t=1に設定する。所定の時点に達すると、入力は、43a=X(何でも構わない)、43b=X(何でも構わない)、43t=1になる。カッター回路制御器41は、C_ON状態からC_OFF状態(エッジ330)に遷移し、出力はY=0になる。C_OFF状態では、カッター40の動作は停止され、カッター回路制御器41のステートマシンは、その初期状態にリセットする。
【0023】
カッター40およびその関連部品は、全ての実施形態に含まれるテープを切断する手段を備えるテープディスペンサー1の任意の位置に配置されていてよい。なお、カッター40の部品は、様々なデザイン、サイズ、および形状を有し得る。カッター40のモータ46は、押しボタンスイッチに直接接続していてもよい。この場合、ユーザは、押しボタンを押下することによりカッター40を始動するか、押しボタンを離すことによりカッター40の動作を停止させることが可能である。あるいは、テープディスペンサー1は、モータによって駆動されない単純な機械式カッターを備えていてもよい。上記工程は、バネ機構などの非電動式のシステムを用いて実現されてもよいが、バネ機構には限られない。カッター40の上述の特徴は、本発明の全ての実施形態に含まれていてよい。
【0024】
他の実施形態では、レバー11が表面作動装置である(図3を参照)。この場合、張力が負荷されるレバー11は、フレーム12に対して取り付けられている。レバー11の一端は、導電性ホルダ60に嵌合されている。図4aおよび図4bは、動作を示すものである。レバー11が、対象物の表面200に接触すると、レバー11および導電性ホルダ60は、時計回りに回転して、導電性プレート62をバネに対して押しつけ、最終的にスイッチ90を作動させる。これにより、回路の第1の部分が閉鎖される(スイッチ90が「オン」位置に設定される)。この場合、テープディスペンサー1はスタンバイモードにある。その後、ユーザは、ハンドルのシャフトに位置する押しボタン16を押し込む。これにより、今度は、電気スイッチ89が起動され、完全に閉鎖した回路が形成される。電気回路の両方のスイッチ(スイッチ90およびスイッチ89)が「オン」位置に設定されると、電気モータ18が始動して、その歯車を歯車部品19において回転させる。これにより、主ローラー30が駆動されて、テープがアダプタローラー35から引き出される。押しボタン16がユーザによって押し込まれた状態にある間に、レバー11が対象物の表面と接触した状態が解除されると、導電性ホルダ60は受動的に導電性プレート62から後退する。バネにかかる張力が解除されて、導電性プレート62はスイッチ90から分離される。つまり、レバー11がその初期位置に戻る工程により、スイッチ90は「オフ」にされ、これによって今度は、モータ18の動作が停止する。逆に、レバー11が対象物の表面と接触している状態でユーザが押しボタン16を離した場合でも、モータ18は停止することになる。この二重スイッチ回路は、ユーザが誤ってレバー11または押しボタン16を押下した場合に、予期せずモータ18等の電気部品がオンされることが無いようにするものである。
【0025】
テープが所望の長さに達すると、テープ31は、刃49を備える電動式カッター40により切断されることが可能である。カッター40の動作は、上述のように、カッター回路制御器41により管理される。カッター回路制御器41の入力は、接点43a、接点43b、および、接点43tにそれぞれ接続されている。接点43aは、レバー11のスイッチ90にさらに接続されている。接点43bは、押しボタン16のスイッチ89に接続されている。接点43tは、規定の時間からカウントダウンを行うデジタルカウンタであるタイマー45に接続されている。
【0026】
なお、導電性ホルダ60は、1つの構成要素としてのレバー11の一部であってよい。なお、レバー11等の表面作動装置は、スイッチをオンおよびオフすることができるならば、様々なデザイン、サイズ、および、形状(例えば、取っ手、タブ、突出部、レバー、円盤、または、ボタンの形)のものであってよい。なお、レバー11は、1つの構成要素としての電気スイッチの一部であってもよい。
【0027】
他の実施形態では、電気スイッチング装置は、テープディスペンサー1の主ローラー30bの部品に集積されている(図5を参照)。この場合、主ローラー30bは、張力が負荷される歯車部品19bに、心棒55bによって連結されている。図6aおよび図6bは、テーピング工程中の、ユーザがカートン箱等の対象物の表面200にテープディスペンサー1を当てる動作を示す図である。テープディスペンサー1に加えられる圧力により、主ローラー30bが後退して、バネに抗する位置まで押しやられ、最終的にその導電性プレート73がスイッチ72の導電性プレート70と接触して、回路の第1の部分を閉鎖する(スイッチ72は「オン」位置)。この場合、テープディスペンサー1はスタンバイモードにある。その後、ユーザは、ハンドルのシャフトに位置する押しボタン16を押し込む。これにより、今度は、電気スイッチ89が閉鎖され、完全な回路が形成される。両方のスイッチ(スイッチ72およびスイッチ89)が「オン」位置に設定されると、バッテリー14によって動力を供給された電気モータ18が始動して、その歯車を歯車部品19bにおいて回転させる。これにより、主ローラー30bが駆動され、テープ31がアダプタローラー35から引き出される。押しボタン16が押された状態で維持されている間に、主ローラー30bが対象物の表面と接触した状態が解除されると、バネは、自動的に主ローラー30bをその初期位置である「非押下」位置(スイッチ72は「オフ」位置にある)に戻して開回路を形成し、モータ18の動作を停止させる。主ローラー30bがまだ対象物の表面と接触している間に、ユーザが押しボタン16を離した場合でも、モータ18は同じく停止する。上述の二重スイッチ回路は、ユーザが誤って主ローラー30bまたは押しボタン16のスイッチを作動させてしまった時に、予期せずモータ18等の電気部品がオンされることが無いようにするものである。
【0028】
所望の長さのテープ31が送出されると、テープ31は、刃49を備える電動式カッター40によって切断されることが可能である。カッター40の動作は、上述のように、カッター回路制御器41により管理される。カッター回路制御器41の入力は、接点43a、接点43b、および、接点43tにそれぞれ接続されている。接点43aは、主ローラー30bのスイッチ72にさらに接続されている。接点43bは、押しボタン16のスイッチ89に接続されている。接点43tは、規定の時間からカウントダウンを行うデジタルカウンタであるタイマー45に接続されている。
【0029】
主ローラー30bまたは押しボタン16は、スイッチをオンおよびオフすることができるならば、様々なデザイン、サイズ、および、形状(例えば、取っ手、タブ、突出部、レバー、円盤、または、ボタンの形)のものであってよい。なお、主ローラー30bまたは押しボタン16は、1つの構成要素としての電気スイッチの一部であってもよい。
【0030】
他の実施形態では、表面作動装置は近接センサ100であってよい(図7を参照)。近接センサは、隣接する物体の存在を、物理的に接触せずに検出することが可能なセンサである。近接センサは、電磁波源、または、赤外線等の光源によって作動されることが可能である。この場合、近接センサ100は、フレーム12に対して取り付けられる。テープディスペンサー1のセンサが、対象物に対して特定の範囲内に入ると、近接センサ100により対象物表面が検出され、電気スイッチ94が「オン」位置に動作されて、回路の第1の部分が完成される。第2の回路は、ユーザがローラーの押しボタン16を押すと、閉鎖されることになる。この電気回路の両方のスイッチが「オン」位置に設定されると、電気モータ18が始動して、その歯車を歯車部品19において回転させる。これにより、主ローラー30が駆動され、テープがアダプタローラー35から引き出される。押しボタン16がユーザによって押された状態で維持されている間に、テープディスペンサーが対象物から離れると、近接センサはスイッチ94の動作を停止させて、開回路を形成し、これによって、今度はモータ18の動作を停止させる。対象物がまだ電子式近接センサの近傍にある間にユーザが押しボタン16を離した場合でも、モータ18は停止する。これは、ユーザが誤って主スイッチを起動させた場合に、予期せず電気モータ18がオンされることが無いようにするものである。テープ31が所望の長さまで送出されると、テープ31は、刃49を備える電動式カッター40によって切断されることが可能である。カッター40の動作は、上述のように、カッター回路制御器41により管理される。カッター回路制御器41の入力は、接点43a、接点43b、および、接点43tにそれぞれ接続されている。接点43aは、近接センサ100のスイッチ94にさらに接続されている。接点43bは、押しボタン16のスイッチ89に接続されている。接点43tは、規定の時間からカウントダウンを行うデジタルカウンタであるタイマー45に接続されている。近接センサは、その主な目的が回路を始動させることである限り、様々な形状、デザイン、または、機能のものであってよい。なお、近接センサを近接スイッチに置き換えてもよい。この場合は、スイッチ94は省かれる。近接スイッチは、対象物と接触した場合や、対象物の所定の距離内に入った場合に、電気回路を開放または閉鎖する。
【0031】
本発明は、以下の説明に記載されると共に図面に示される部材の詳細な構成および配置に適用されることに限定されないことは理解されよう。本発明は、他の実施形態においても可能であり、様々な方法で実現または実施されることが可能である。また、ここで使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことは理解されよう。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7