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特許7067914道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/01 20060101AFI20220509BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20220509BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20220509BHJP
   G01N 27/20 20060101ALI20220509BHJP
   G01N 17/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
E01C23/01
E01D22/00 A
G01N27/00 L
G01N27/20 Z
G01N17/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017239428
(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2019105110
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391023518
【氏名又は名称】一般社団法人日本建設機械施工協会
(73)【特許権者】
【識別番号】507194017
【氏名又は名称】株式会社高速道路総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592080110
【氏名又は名称】株式会社ケツト科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎園 正義
(72)【発明者】
【氏名】谷倉 泉
(72)【発明者】
【氏名】長尾 千瑛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健太
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-131257(JP,A)
【文献】特開2007-332604(JP,A)
【文献】特開2007-285817(JP,A)
【文献】特開2017-203684(JP,A)
【文献】特開2007-069200(JP,A)
【文献】特開2011-242135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 21/00-23/24
E01D 22/00
G01N 27/00-27/10
27/14-27/24
17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート床版と、その上に設けられた防水層と、該防水層の上に設けられるアスファルト舗装とでなる道路橋床版における、前記防水層の健全性を評価する評価方法において、
前記コンクリート床版の上に前記防水層及び前記アスファルト舗装が設けられず前記コンクリート床版が露出している位置において、前記コンクリート床版に直流抵抗計測器プラス電極接触させ
前記コンクリート床版の上に前記防水層及び前記アスファルト舗装が設けられている位置おいて、前記アスファルト舗装に前記直流抵抗計測器のマイナス極を接触させ、
前記直流抵抗計測器を使用して、前記プラス電極を接触させた位置の前記コンクリート床版と前記マイナス極を接触させた位置の前記アスファルト舗装との間直流抵抗を計測し、
計測した直流抵抗値に基づいて、前記マイナス電極を接触させた位置の付近で前記防水層が損傷していか否かを評価すること、
を特徴とする道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法。
【請求項2】
前記直流抵抗計測器が前記直流抵抗の計測を行う際に印加する電圧50以下であること、
を特徴とする請求項1に記載の道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法。
【請求項3】
前記直流抵抗計測器の前記プラス電極及び前記マイナス電極、界面活性剤入りの液体を含有する湿潤手段によって湿潤状態にした状態で、前記直流抵抗値を計測すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法。
【請求項4】
前記界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、両性界面活性剤、ノニオン系のうち少なくともいずれであること、
を特徴とする請求項3に記載の道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法。
【請求項5】
前記防水層は、シート系床版防水層または塗膜系床版防水層であること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路橋床版における防水層が、経年変化でどの程度劣化したか及び健全性が維持されているかを評価する、防水層に対する健全性評価方法とその評価用計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート床版の健全性評価方法としては、例えば、劣化進行をリアルタイムで観測し、広範囲のモニタリングを可能にするAEセンサ(圧電素子センサ)による劣化診断方法がある。これは、特許文献1に記載されているように、コンクリート床版の表面がアスファルト舗装されてなる路面を、AEセンサを搭載した検査車両を走行させて、走行車両の荷重によるコンクリート床版の変形時に発生するAE(アコースティック・エミッション)を、AEセンサで検知して、コンクリート床版の表面の劣化範囲、劣化状況を特定する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-61786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のコンクリート床版の健全性評価方法では、AEセンサを走行車両に搭載して且つ、その走行車両を劣化評価対象のコンクリート床版上を走行させる必要があって、試験的に手間が掛かり、コストも嵩むものである。しかも、コンクリート床版の劣化を診断するものであって、防水層の劣化を検査するものでも無い。道路橋床版の防水層は、アスファルト舗装とコンクリート床版の間に挟まれた部分に位置して、直接的に健全性を検査することができず、供用状態の道路橋床版を非破壊で評価する試験方法が無いのが現状である。本発明に係る道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法と評価用計測装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、コンクリート床版と、その上に設けられた防水層と、該防水層の上に設けられるアスファルト舗装とでなる道路橋床版における、前記防水層の健全性を評価する評価方法において、前記防水層の劣化程度を、前記防水層を通電させた際の電気抵抗を計測することで評価することである。
【0006】
前記電気抵抗の計測を行う際に、その試験電圧をDC(直流)50V(電圧)以下とすることである。
【0007】
前記電気抵抗用の計測器における電極部は、界面活性剤入りの液体によって湿潤状態にされた状態で、前記計測器で電気抵抗が計測されることである。
【0008】
前記界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、両性界面活性剤、ノニオン系、のいずれか一つに属する界面活性剤にすることである。
【0009】
前記防水層は、シート系床版防水層または塗膜系床版防水層である。
【0010】
前記道路橋床版の供用状態において、非破壊で防水層の電気抵抗を計測器で計測するものであり、前記計測器の電極部における一方の+電極はコンクリート部材に接地し、他方の-電極はアスファルト舗装表面部に接地して計測するものであることを含む。
【0011】
本発明に係る道路橋床版の防水層に対する評価用計測装置の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、道路橋床版の供用状態において、非破壊で防水層に通電させてその電気抵抗を計測する計測装置であり、前記計測装置の電極部を界面活性剤入りの液体によって湿潤状態にし、前記計測装置の電極部における一方の+電極をコンクリート部材に接地し、他方の-電極をアスファルト舗装表面部に接地して計測するものであることである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法によれば、防水層の電気抵抗(絶縁抵抗と表示する場合もある)を計測することで、非破壊検査方法であって、短時間で、且つ容易にして、効率的に防水層の健全性を評価することができる。また、道路橋床版の供用状態のままで、アスファルト舗装とコンクリート床版との間に挟まれた防水層を、非破壊で検査して当該防水層の健全性に係る防水性や遮塩性の状態を、確実に評価することができる、と言う優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る道路橋床版3の防水層6における健全性評価方法に使用する評価用計測装置1の使用状態を示す断面図である。
図2】同本発明に係る評価用計測装置1の電極部2の全体斜視図である。
図3】同電極部2の平面図(A)、側面図(B)、平面図のA-A線に沿った断面図(C)である。
図4-A】計測器(4種類)の適用性を実験した結果の評価一覧を示す図である。
図4-B】計測器の実験内容とその確認方法を一覧に示す図である。
図4-C】道路橋床版水分計による電気抵抗とカウント値との関係を示す特性曲線図である。
図5-A】道路橋床版水分計による床版No.1における、測点位置とカウント値との関係を示す特性曲線図である。
図5-B】道路橋床版水分計による床版No.2における、測点位置とカウント値との関係を示す特性曲線図である。
図5-C】道路橋床版水分計による床版No.3における、測点位置とカウント値との関係を示す特性曲線図である。
図6】道路橋床版水分計で計測した採取したコアa,b,cにおける、漏水量とカウント値との関係を示す特性曲線図である。
図7】評価用計測装置1における、防水層の健全性評価の目安を示す一覧表の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法は、図1に示すように、評価用計測装置1によって、道路橋床版3の供用状態において、防水層6に通電して電気抵抗(電気抵抗:本発明ではコンクリート構造物を対象にした表面抵抗、体積抵抗である)を計測することで、前記防水層6の健全性を評価するものである。
【実施例1】
【0015】
本発明に係る評価用計測装置1の構成を説明する。図1に示すように、道路橋床版3の供用状態において、非破壊で防水層6に通電させてその電気抵抗を計測する評価用計測装置1である。なお、道路橋が供用状態で無い場合にも、計測できるのは勿論である。
【0016】
前記評価用計測装置1の構成は、図1に示すように、計測器1aと、この計測器1aに電気的に接続される電極部2とで構成される。前記計測器1aは、要求される性能として、低抵抗~高抵抗までレンジ切替なしで計測できること、印加電圧が低く安全に使用できる(危険電圧以下である)こと、屋外での取り扱いが簡易であることである。そこで、市販品の中で道路橋床版水分計(カウント値、電気抵抗換算値)1aを計測器として、以下の理由で採用する。
【0017】
前記計測器1aの選定に当たっては、図4-Bに示すように、使用する水(水の浸入で電気抵抗が変わる)、舗装路盤や撤去床版、模擬床版において、電気抵抗を把握することで選定される。その結果、図4-Aに示すように、前記道路橋床版水分計1aが最も適当であった。
【0018】
また、前記水においては、水道水、塩水、界面活性剤入りの水、という3種類の水を用意して、紙面上に長さ20cm程度濡らして電気抵抗の平均値を求めた結果、電気抵抗が低く、表面張力を低下させる性質を有する前記界面活性剤入りの水が最も好ましい。
【0019】
前記道路橋床版水分計1aによる電気抵抗を測定すると、界面活性剤入りの水を紙面上に長さ20cm程度を濡らした状態で、電気抵抗の平均値(カウント値)をとると、0.6MΩ(カウント値で242)であって非常に安定していた。
【0020】
前記道路橋床版水分計1a以外に、デジタルマルチメータ、絶縁抵抗試験器、超絶縁抵抗計について検討した結果、前記デジタルマルチメータでは床版上の計測において、表示値が不安定となる場合がある。前記絶縁抵抗試験器では別途に100V電源が必要であって、機動性と操作性に劣る、事前設定や調整の項目が多く取り扱いが困難である。前記超絶縁抵抗計では別途に100V電源が必要であって、屋外では表示値の読み取りが困難である。こうした事情から、図4-Aに示すように、小型軽量(500g)で携帯型の電池式(単三型アルカリ電池6本)、印加電圧が低い(20V)にもかかわらず図4-Cに示すように、有効最大表示値が10~990(820G~10kΩ)可能な、前記道路橋床版水分計1a(HI-100、これの相当品)を採用するものである。
【0021】
前記道路橋床版水分計1aに、前記電極部2がリード線等で電気的に接続される。この電極部2は、図2乃至図3に示すように、電極としてのステンレス製の測定円盤2eが有り、その中央部にコネクタ2fがバナナジャック2hで取着されている。
【0022】
前記測定円盤2eの接地面側の底面に、湿潤手段としての厚さが約2mmの布2kが被せられ、その布2kの両端部が上部に折り返され、その布2kの端部を、つまみノブ2iで測定円盤2e上面に取着されるステンレス製のシート押さえ2gの一部で止めている。この一例に限らず、湿潤手段は、その目的を達成するものであれば良く、例えば、のり付きのシート状布体やスポンジ等でもよい。更に、電極部2に前記湿潤手段を取り付ける構造は、既知の手段を適宜に採用できるものであり、特に限定するものではない。
【0023】
前記道路橋床版水分計1aと電極部2とでなる評価用計測装置1を使用して、予め実物大のコンクリート構造物を使用して、計測距離が計測値に及ぼす影響を把握する。前記コンクリート構造物は、PC桁試験体(全長約18m、端部から10mの区間)、コンクリート舗装路盤(延長10m区間)である。
【0024】
その結果、屋内設置のPC桁試験体の評価用計測装置1によるカウント値は、625~825と高く、屋外での乾燥状態のコンクリート舗装路盤のカウント値は324~356と低い結果となった。両試験体ともに、計測距離とカウント値(電気抵抗換算値)との間には相関が無く、コンクリート部分については計測距離の影響を受けずに計測が可能であることが判明した。
【0025】
次に、防水層が敷設された撤去RC床版試験体を用いて、防水性能の良否を評価用計測装置1における電気抵抗(カウント値)の変化として把握できるかを検証した。試験体として、試験体Aは、防水層の種類がシート系(グレードI相当:アスファルトシートの流し貼り型、加熱溶着型、常温粘着型)で負荷有りの供用後である。また、試験体Bは、防水層の種類がシート系(グレートII相当:アスファルト加熱型、ゴム溶剤型、反応樹脂(ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系等)型)で、負荷無しで試験施工のみである。計測方法は、コンクリート面を固定側の電極、もう一方を移動側の電極として、アスファルト舗装上面を横断方向に、0~3.5mまでの区間を、0.5mピッチで計測する。
【0026】
更に、図2に示すように、+-両電極部2の下面に布2kを設置し、界面活性剤入りの水を十分散布し、計測する舗装表面と電極間を湿潤状態とした。なお、前記界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、両性界面活性剤、ノニオン系、のいずれか一つに属する界面活性剤である。本願では、浸透性の高いアニオン界面活性材系を使用している。
【0027】
その結果、前記カウント値(電気抵抗換算値)が、100以下であれば防水効果が良好であると判断できる。また、カウント値が、500以上の場合には、防水効果が期待できないと半断される。これにより、前記評価用計測装置1によるカウント値によって防水層の健全評価ができるものである。
【0028】
更に、防水層が敷設されている実橋からの切り出し床版を対象にして、アスファルト舗装上面と床版コンクリートとの間の電気抵抗の変化を計測することで、防水効果の有無を検出できるか否かの検証を行った。試験体は、防水層の種類が塗膜系(グレードI)、シート系(グレードI、II)、負荷履歴が供用後が2個、負荷無しが1個、床版上面の状況は、施工目地部、ひび割れ部、貫通穴部、コンクリート部、削孔部等がある。
【0029】
上記検証の計測方法は、コンクリート面を固定側の固定側の電極、もう一方を移動側の電極として、アスファルト舗装上面を横断方向に、0~4.5mまでの区間を、0.5mピッチでカウント値の計測を行った。また、計測では、アスファルト舗装の一般部の他に、施工目地、ひび割れ部、およびコンクリート部などに着目した測点を設定した。
【0030】
図5-A~図5-Cにその結果を示す。図5-Aに示すように、床版No.1(塗膜系、グレードI)の場合は、施工目地部とひび割れ部とのカウウント値がそれぞれ670~749、420~768と、大きな値であり、防水性能は低下している。また、舗装一般部のカウント値は、245~508の範囲で、変化が大きく防水性能に差がある。このように、床版前面においてカウント値が245以上で防水性能が低下している。施工目地部やひび割れ部でカウント値が420~850と非常に大きく、防水性能が喪失している。
【0031】
図5-Bに示すように、床版No.2(シート系:グレードI)の場合は、施工目地部のひび割れ部のカウント値は664~810と非常に大きく、防水性能は低下した状態である。舗装一般部のカウント値は、174~717の範囲で変化が大きく、測点によって防水性能に差がある。また、ほぼ全ての測点においてカウント値が200以上なので、防水性能は低下した状態であり、カウント値200以下は、防水性能がやや良好な状態と判断される。
【0032】
図5-Cに示すように、床版No.3(シート系:グレードII)の場合は、防水層が設置されていないコンクリート部のカウント値は672と非常に大きく、防水層および防水層が設置された舗装一般部では、カウント値が77~107と非常に小さい値を示す。これより、防水層の防水性能が良好な場合の閾(しきい)値は、カウント値100以下が妥当であると判断される。
【0033】
前記切り出した床版から採取したコアについて、防水層が防水性能を有していることを確認する防水性能試験II(道路橋床版防水便覧で規定されている)を実施した。試験条件は、防水便覧に準拠した水圧0.5MPa、24時間の加圧ができる装置で行った。試験したコア(φ100)は、シート系(グレードIがa,bの2本、グレードIIがcの1本)、カウント値176(コアa),616(コアb),92(コアc)の3本である。
【0034】
図6に示すように、漏水量とカウント値との間には、正の相関がある。即ち、カウント値が小さいと漏水は無く、カウント値が大きいと漏水量が増加する傾向が確認され、防水性能を電気抵抗(カウント値)により評価することができる。
【0035】
このようにして、本発明に係る道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法において、前記道路橋床版水分計1aを有してなる評価用計測装置1を使用して評価することができる。以下、本発明に係る評価方法について、その一例を挙げて説明する。図1に示すように、計測装置1の電極部2を界面活性剤入りの液体を浸した布2kによって湿潤状態にする。前記計測装置1の電極部2における一方の+電極2aをコンクリート部材の高欄部4aに接地し、他方の-電極(2b~2d)をアスファルト舗装5の表面部に接地して計測する。
【0036】
そして、電気抵抗の計測を行う際に、その試験電圧をDC(直流)50V(電圧)以下の20Vとする。前記防水層6の劣化程度を、前記防水層6を通電させた際の電気抵抗を計測することで評価するには、図7に示すように、カウント値と評価の目安を参考にする。
【0037】
なお、道路橋床版3の供用状態において、非破壊で防水層6の電気抵抗を計測器で計測するものである。
【0038】
図1に示すように、評価用計測装置1を使用して、+電極2aを高欄部4aのコンクリートに固定設置した状態を示し、-電極2bは、供用時の負荷により、アスファルト舗装5上面に発生したひび割れ状態の箇所に設置した電極を示し、-電極2cは、アスファルト舗装5表面からのひび割れが成長し、防水層6が損傷した箇所に設置した電極を示し、-電極2dは、防水層が損傷し、防水性能が低下した箇所に設置した電極を示す。
【0039】
そして、健全性評価の手順は、
(1)A-D間は、電気抵抗の計測結果が∞(2000MΩ以上)で、導通が無く、防水効果有り。
(2)A-B間は、電気抵抗の計測結果が∞(2000MΩ以上)で、導通が無く、防水効果有り。
A-C間は、電気抵抗の計測結果が∞(2000MΩ以上)で、導通が無く、防水効果有り。
(3)B-D間は、電気抵抗の計測結果が数MΩ以下で、導通が有り、防水効果無し。
C-D間は、電気抵抗の計測結果が数MΩ以下で、導通が有り、防水効果無し。
(4)B-C間は、電気抵抗の計測結果が数MΩ以下で、導通が有り、防水効果無し。
この結果、A直下付近の防水層は健全部と判断する。B,C直下付近の防水層は損傷部と判断する。なお、この電気抵抗の計測においては、雨水などの液体やコンクリート構造物を対象にしているので、表面抵抗や体積抵抗であって、印加電圧によって電気抵抗の計測値は変動するものと考えられる。
【0040】
以上のようにして、道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法は、道路橋床版水分計1aを有する評価用計測装置1を使用して、迅速に、且つ容易に防水層の健全性を非破壊で評価することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る道路橋床版の防水層に対する健全性評価方法によれば、コンクリート基礎に防水層を設けた構造物に広く適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 道路橋床版の防水層の電気抵抗を計測する評価用計測装置、
1a 計測器である道路橋床版水分計、
2 電極部、 2a +電極、
2b~2d -電極、
2e 測定円盤、 2f コネクタ、
2g シート押さえ、 2h バナナジャック、
2i つまみノブ、 2j 十字穴付き小ネジ、
2k 布、
3 道路橋床版、
4 コンクリート床版、 4a 高欄部、
5 アスファルト舗装、
6 防水層、
7 ひび割れ。
図1
図2
図3
図4-A】
図4-B】
図4-C】
図5-A】
図5-B】
図5-C】
図6
図7