(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G07D 13/00 20060101AFI20220509BHJP
G07D 11/20 20190101ALI20220509BHJP
【FI】
G07D13/00
G07D11/20
(21)【出願番号】P 2018013743
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸佑
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-015406(JP,A)
【文献】特開2009-157592(JP,A)
【文献】特開平09-204555(JP,A)
【文献】特開2010-176585(JP,A)
【文献】特開2010-122794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00-13/00
G06Q 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に操作案内を行うとともに、前記利用者による操作に基づいて前記利用者からの入力を受け付ける操作案内部と、
前記利用者の撮影画像に基づいて前記利用者の電話の使用を検知する電話使用検知部と、
前記操作案内部の操作状況に基づいて、前記利用者の取引経過時間を判定する取引経過時間判定部と、
前記利用者の電話の使用の検知結果および前記利用者の取引経過時間に基づいて、前記操作案内を制御する案内制御部とを備え
、
前記電話使用検知部が、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に前記電話の使用を検知し、
かつ前記取引経過時間判定部が、前記振込取引選択時から前記振込金額確定時までの経過時間が設定値を超過したと判断した時に、
前記案内制御部は、前記操作案内部上で第1異常報知を表示した後、前記利用者に「はい」または「いいえ」で回答する複数の質問を表示し、前記複数の質問の全てに前記利用者が「いいえ」と回答した場合、取引を継続する自動取引装置。
【請求項2】
前記利用者に操作案内を音声で行うガイドフォンと、
前記ガイドフォンがフックから外れているかどうかを検知するガイドフォンフックとをさらに備え、
前記ガイドフォンが前記フックから外れていると検知されると、前記案内制御部は、前記第1異常報知と異なる第2異常報知を行う請求項
1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記電話使用検知部は、
前記利用者の画像が一定時間間隔で得られるように撮影を制御する撮影制御部と、
前記利用者の撮影画像に基づいて前記利用者の電話の使用を認識する画像認識部と、
前記画像認識部で認識される前記撮影画像の連続枚数を制御する検知判定連続枚数制御部とを備え、
前記電話使用検知部は、前記画像認識部にて前記利用者の電話の使用と認識された連続枚数が設定値以上の場合、前記利用者が前記電話を使用していると判定する請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項4】
利用者に操作案内を行うとともに、前記利用者による操作に基づいて前記利用者からの入力を受け付ける操作案内部と、
前記利用者の撮影画像に基づいて前記利用者の電話の使用を検知する電話使用検知部と、
前記操作案内部の操作状況に基づいて、前記利用者の振込金額を判定する振込金額判定部と、
前記利用者の電話の使用の検知結果および前記利用者の振込金額に基づいて、前記操作案内を制御する案内制御部とを備え
、
前記電話使用検知部が、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に前記電話の使用を検知し、
かつ前記振込金額判定部が、前記振込金額が設定金額を超過したと判断した時に、
前記案内制御部は、前記操作案内部上で第1異常報知を表示した後、前記利用者に「はい」または「いいえ」で回答する複数の質問を表示し、前記複数の質問の全てに前記利用者が「いいえ」と回答した場合、取引を継続する自動取引装置。
【請求項5】
前記操作
案内部の操作状況に基づいて、前記利用者の取引経過時間を判定する取引経過時間判定部をさらに備え、
前記電話使用検知部が、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に前記電話の使用を検知し、
かつ前記振込金額判定部が、前記振込金額が設定金額を超過したと判断した時、
または、
前記電話使用検知部が、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に前記電話の使用を検知し、
かつ前記取引経過時間判定部が、前記振込取引選択時から前記振込金額確定時までの経過時間が設定値を超過したと判断した時に、
前記案内制御部は、前記操作案内部上で前記第1異常報知および前記
複数の質問を
表示する請求項
4に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記利用者に操作案内を音声で行うガイドフォンと、
前記ガイドフォンがフックから外れているかどうかを検知するガイドフォンフックとをさらに備え、
前記ガイドフォンが前記フックから外れていると検知されると、前記案内制御部は、前記第1異常報知と異なる第2異常報知を行う請求項
4に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記電話使用検知部は、
前記利用者の画像が一定時間間隔で得られるように撮影を制御する撮影制御部と、
前記利用者の撮影画像に基づいて前記利用者の電話の使用を認識する画像認識部と、
前記画像認識部で認識される撮影画像の連続枚数を制御する検知判定連続枚数制御部とを備え、
前記電話使用検知部は、前記画像認識部にて前記利用者の電話の使用と認識された連続枚数が設定値以上の場合、前記利用者が前記電話を使用していると判定する請求項
4に記載の自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不審挙動監視機能を搭載した自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話の使用検知による振り込め詐欺を防止するため、例えば、特許文献1に開示されているように、振込取引中に携帯電話の使用を検知した時に取引を停止させる技術がある。
また、特許文献2に開示されているように、自動取引装置に備え付けのガイドフォンの使用中に画像認識により携帯電話の使用を検知した際は異常報知を禁止する技術がある。この技術では、自動取引装置の利用者からの問合せや、視覚障害者が操作ガイダンスを聞くに当たり、ガイドフォンを使用している時にガイドフォンが携帯電話の使用と検知され、異常報知されるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-15406号公報
【文献】特開2010-108425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の携帯電話の使用検知機能では、振り込め詐欺に関する電話かどうか特定することが困難であり、振り込め詐欺と関係ない通話をしている時も振込取引が停止されることがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、不審取引の検知精度を向上させることが可能な自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の観点に係る自動取引装置は、利用者に操作案内を行うとともに、前記利用者による操作に基づいて前記利用者からの入力を受け付ける操作案内部と、前記利用者の撮影画像に基づいて前記利用者の電話の使用を検知する電話使用検知部と、前記操作案内部の操作状況に基づいて、前記利用者の取引経過時間を判定する取引経過時間判定部と、前記利用者の電話の使用の検知結果および前記利用者の取引経過時間に基づいて、前記操作案内を制御する案内制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不審取引の検知精度を向上させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る自動取引装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の自動取引装置の振込取引中の処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2の異常報知Aの画面表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図2の異常報知Bの画面表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る自動取引装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図1または
図6の自動取引装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る自動取引装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図1において、自動取引装置1には、利用者操作画面2、ガイドフォン3、ガイドフォンフック5、カメラ6および制御部7が設けられている。制御部7には、電話使用検知部8、取引経過時間判定部12、取引金額判定部13、判定情報記憶部14および案内制御部15が設けられている。電話使用検知部8には、撮影制御部9、画像認識部10および検知判定連続枚数制御部11が設けられている。
【0011】
自動取引装置1は、現金の預け入れ、引き出しおよび振込などを行うことができる。利用者操作画面2は、利用者に操作案内を行うとともに、利用者による操作に基づいて利用者からの入力を受け付ける。利用者が利用者操作画面2を操作することで、取引種別を選択したり、振込金額を指定したり、振込先を指定したりすることができる。利用者操作画面2は、例えば、タッチパネルを用いることができる。この時、タッチパネルには操作項目や操作案内などが表示され、利用者がタッチパネルをタッチすることにより、自動取引装置1を操作することができる。
【0012】
ガイドフォン3は、利用者が監視センタ4に問い合わせる際に用いる。監視センタ4は、制御部7とネットワーク16を介して接続され、監視センタ4内のオペレータが通話対応を行う。ガイドフォンフック5は、利用者がガイドフォン3をフックから外しているかどうかを検知する。オンフックとは、ガイドフォン3が使用されていない状態、オフフックとは、ガイドフォン3が使用されている状態を示す。カメラ6は、取引時に利用者を撮影する。制御部7は、利用者操作画面2からの入力結果に基づいて、利用者操作画面2の表示内容を制御する。
【0013】
電話使用検知部8は、カメラ5による撮影画像に基づいて利用者の電話の使用を検知する。ここで言う電話とは、自動取引装置1を使用する利用者が携帯している携帯電話またはスマートフォンなどである。撮影制御部9は、一定時間間隔で利用者の画像が得られるようにカメラ5による撮影を制御する。画像認識部10は、カメラ5による撮影画像に基づいて利用者の電話の使用を認識する。検知判定連続枚数制御部11は、画像認識部10で認識される撮影画像の連続枚数を制御する。この時、カメラ5は、自動取引装置1を使用する利用者を、撮影制御部9で設定された一定時間間隔で連続的に撮影することができる。そして、画像認識部10は、一定時間間隔で連続的に撮影された利用者の画像認識を行うことで、利用者の電話の使用を認識する。そして、電話使用検知部8は、画像認識部10にて利用者の電話の使用と認識された連続枚数が設定値以上の場合、利用者が電話を使用していると判定する。
【0014】
ここで、利用者が電話を使用しているかどうかを1枚の画像から判定すると、例えば、利用者が頭から帽子を取るために耳元に手を寄せると、その行為が電話の使用と判定されることがある。利用者が頭から帽子を取る行為は短時間で完了する。このため、画像認識部10にて利用者の電話の使用と認識された連続枚数が設定値以上の時に、利用者が電話を使用していると判定することにより、利用者が頭から帽子を取るために手を耳元に寄せる行為が電話の使用と判定されるのを防止することができ、電話の使用の判定精度を向上させることができる。
【0015】
取引経過時間判定部12は、利用者操作画面2上での操作状況に基づいて、利用者の取引経過時間を判定する。この時、取引経過時間判定部12は、利用者操作画面2に表示される振込取引ボタンが押下された時点より取引経過時間の測定を開始する。そして、取引経過時間判定部12は、振込取引選択時から振込金額確定時までの経過時間が、制御部7に予め設定された設定値を超過したかどうかを判定する。
【0016】
取引金額判定部13は、利用者操作画面2上での操作状況に基づいて、利用者の振込金額を判定する。この時、取引金額判定部13は、振込取引中に利用者操作画面2上で利用者により入力される振込金額が、制御部7に予め設定された設定金額を超過したかどうかを判定する。
【0017】
判定情報記憶部14は、電話使用検知部8による電話の使用の検知結果と、取引経過時間判定部12による取引経過時間の判定結果と、取引金額判定部13による振込金額の判定結果を記憶する。
【0018】
案内制御部15は、電話の使用の検知結果と、取引経過時間の判定結果と、振込金額の判定結果に基づいて、利用者操作画面2の操作案内を制御する。ここで、案内制御部15は、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に電話の使用が検知され、かつ振込取引選択時から振込金額確定時までの経過時間が設定値を超過したと判断された時に、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を利用者操作画面2上に表示させることができる。あるいは、案内制御部15は、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に電話の使用が検知され、かつ振込取引中に利用者操作画面2上で利用者により入力される振込金額が設定金額を超過したと判定された時に、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を利用者操作画面2上に表示させることができる。
【0019】
ここで、振り込め詐欺では、電話を介して犯人からの指示を聞きながら、犯人からの指示に従って利用者が利用者操作画面2を操作するため、振込取引選択時から振込金額確定時までの経過時間が長くなる。また、振り込め詐欺では、犯人が利用者から可能な限り多額の金銭を騙し取ろうとするため、1回当たりの振込金額も大きくなる。
このため、利用者による電話の使用を検知した時に、取引経過時間または振込金額がどの程度かを判定することにより、振り込め詐欺に関する電話を精度よく特定することができる。
【0020】
図2は、
図1の自動取引装置の振込取引中の処理を示すフローチャート、
図3は、
図2の異常報知Aの画面表示例を示す図で、
図4は、
図2の質問Q1の画面表示例を示す図、
図5は、
図2の異常報知Bの画面表示例を示す図である。
以下、
図1~
図5を参照しながら、
図1の自動取引装置1の振り込め詐欺防止機能について説明する。
【0021】
図2において、利用者が利用者操作画面2に表示されている振込ボタンを押下し、振込取引を開始する(S1)と、電話使用検知部8による電話使用検知(S2)および取引経過時間判定部12による取引経過時間計測(S3)の動作が開始する。その後、振込金額が確定するまで、電話使用検知部8による電話使用の判定および取引経過時間判定部12による取引経過時間の判定が繰り返される(S4、S5)。振込金額が確定すると、電話使用検知部8による電話使用の判定結果および取引経過時間判定部12による取引経過時間の判定結果が判定情報記憶部14に保存される。
【0022】
ただし、電話使用検知部8による電話使用検知の動作が開始すると、振込金額が確定するまで、ガイドフォンフック5にてガイドフォン3がオフフックかどうかが判定される(S6)。ガイドフォン3が使用されると、ガイドフォン3がオフフックと判定され、ガイドフォン3の使用が検知される。この時、異常報知B(S7)が利用者操作画面2上に表示された後、取引を通常通り継続し(S8)、振込終了(S9)とする。
【0023】
S6のガイドフォン3のオフフック判定において、振込金額の確定までにオフフックでないと判定された場合、S4、S5において振込金額が確定していると判定され、S10へ遷移する。
【0024】
S10では、判定情報記憶部14に記憶されているS2の電話使用の判定結果をチェックする。S10において、S2の電話使用の判定結果が電話使用判定でない場合は、取引を通常通り継続し(S8)、振込終了(S9)とする。S10において、S2の電話使用の判定結果が電話使用判定の場合は、判定情報記憶部14に記憶されているS3の取引経過時間の判定結果をチェックする(S11)。
【0025】
S11において、S3の取引経過時間の判定結果が取引経過時間超過判定でない場合、S12へ遷移する。S12では、振込金額が取引金額判定部13に設定された設定金額を超過しているかどうかをチェックする。S12において、振込金額が設定金額以下の場合、取引を通常通り継続し(S8)、振込終了(S9)とする。
【0026】
S10が電話使用判定である時に、S11が取引経過時間超過判定またはS12が取引金額超過判定である場合、異常報知Aを表示(S13)する。その後、振り込め詐欺の可能性を確認する質問Q1(S14)および質問Q2(S15)を利用者操作画面2上に表示し、利用者に利用者操作画面2上での回答を要求する。いずれの質問Q1、Q2にも、利用者が「はい」と答えると、利用者の行おうとしている取引が振り込め詐欺である可能性があるという趣旨のメッセージを画面表示(S16)する。その後、取引を中止するかを尋ねる質問Q3を利用者操作画面2上に表示(S17)し、利用者が「「はい」と答えると、利用者を撮影した画像を保存し、振込取引を中止(S18)する。質問Q1、Q2、Q3のいずれかの質問に、利用者が「いいえ」と答えると、取引を通常通り継続し(S8)、振込終了(S9)とする。
【0027】
なお、
図2の処理では、電話使用判定である場合、取引経過時間超過判定および取引金額超過判定のいずれか一方の条件が満たされる時に、異常報知Aの表示に進む方法について説明したが、電話使用判定である場合、取引経過時間超過判定および取引金額超過判定の両方の条件が満たされる時に、異常報知Aの表示に進むようにしてもよい。
【0028】
以下、本実施例のS7、S13、S14、S15、S16、S17で表示する具体的な文言例を示す。
異常報知A(S13):電話をご使用されていることを検知しました(画面に2秒表示)。
異常報知B(S7):電話をご使用されていることを検知しました(画面端に0.5秒表示)。
振り込め詐欺に関するメッセージ(S16):お客様は「振り込め詐欺」にあっている可能性があります。振込処理を停止することを強くお勧めします。
質問Q1(S14):誰かに指示されながら操作していますか?
質問Q2(S15):誰かにATMの前に来るように指示されましたか?
質問Q3(S17):お取引を中止しますか?
【0029】
異常報知A(S13)は、
図3に示すように、利用者操作画面2の中央に2秒間表示することができる。振り込め詐欺に関するメッセージ(S16)に関しても、利用者操作画面2の中央に2秒間表示することができる。
【0030】
質問Q1(S14)は、
図4に示すように、利用者操作画面2の中央に表示するとともに、回答選択キーとして「はい」というボタン2Aと、「いいえ」というボタン2Bを表示することができる。質問Q1とボタン2A、2Bは、利用者が回答選択キーを押下するまで一定時間表示され続ける。質問Q2(S15)、質問Q3(S17)に関しても、質問Q1と同様に表示することができるが、文言は上記のものとなる。異常報知B(S7)は
図5に示すように、利用者操作画面2の画面端に小さく、0.5秒間表示することができる。
【0031】
なお、
図2の処理では、ガイドフォン3がオフフックと判定されると、異常報知B(S7)が利用者操作画面2上に表示される例を示したが、オペレータに通知するようにしてもよい。この時、利用者はガイドフォン3を用いることでオペレータと通話することができる。
【0032】
図6は、第2実施形態に係る自動取引装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図6において、自動取引装置21には、
図1の制御部7の代わりに制御部27が設けられている。制御部27には、
図1の電話使用検知部8の代わりに通話検知部28が設けられている。通話検知部28には、音声認識部29および通話時間検知部30が設けられている。さらに、自動取引装置21にはマイク26が設けられている。
【0033】
通話検知部28は、利用者の電話による通話を検知する。音声認識部29は、利用者の音声を認識する。通話時間検知部30は、利用者の電話による通話時間を検知する。ここで、通話時間検知部30は、ガイドフォン3がオンフックと判定された時に、利用者の電話による通話時間の計測を開始する。通話時間の計測は、振込取引選択時から振込金額確定時まで実施することができる。そして、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に通話時間が設定値を超過した場合、案内制御部15は、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を利用者操作画面2上に表示させることができる。
【0034】
また、音声認識部29は、利用者の会話を認識し、例えば、利用者が相手と丁寧語で通話しているかどうかを認識することができる。通話検知部28は、利用者が相手と丁寧語で通話している場合は、通話の相手が利用者の息子ではないと判断し、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を利用者操作画面2上に表示させることができる。
【0035】
あるいは、通話検知部28での利用者の電話による通話の検知結果と、取引経過時間判定部12による取引経過時間の判定結果を組み合わせて、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を表示されるようにしてもよい。例えば、通話検知部28が、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に利用者の電話による通話を検知し、かつ取引経過時間判定部12が、振込取引選択時から振込金額確定時までの経過時間が設定値を超過したと判断した時に、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を利用者操作画面2上に表示させることができる。
【0036】
あるいは、通話検知部28での利用者の電話による通話の検知結果と、取引金額判定部13による振込金額の判定結果を組み合わせて、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を表示されるようにしてもよい。例えば、通話検知部28が、振込取引選択時から振込金額確定時までの間に利用者の電話による通話を検知し、かつ取引金額判定部13が、振込取引中に利用者操作画面2上で利用者により入力される振込金額が設定金額を超過したと判定した時に、振り込め詐欺に関する異常報知および回答要求を利用者操作画面2上に表示させることができる。
【0037】
図7は、
図1の自動取引装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7において、自動取引装置1には、プロセッサ51、通信制御デバイス52、通信インターフェース53、主記憶デバイス54および外部記憶デバイス55が設けられている。プロセッサ51、通信制御デバイス52、通信インターフェース53、主記憶デバイス54および外部記憶デバイス55は、内部バス56を介して相互に接続されている。主記憶デバイス54および外部記憶デバイス55は、プロセッサ51からアクセス可能である。
【0038】
また、自動取引装置1の入出力インターフェースとして、入力デバイス60、出力デバイス70およびカメラ80が設けられている。入力デバイス60、出力デバイス70およびカメラ80は、内部バス56に接続されている。
【0039】
プロセッサ51は、自動取引装置1全体の動作制御を司るハードウェアである。主記憶デバイス54は、例えば、SRAMまたはDRAMなどの半導体メモリから構成することができる。主記憶デバイス54には、プロセッサ51が実行中のプログラムを格納したり、プロセッサ51がプログラムを実行するためのワークエリアを設けることができる。
【0040】
外部記憶デバイス55は、大容量の記憶容量を有する記憶デバイスであり、例えば、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)である。外部記憶デバイス55は、各種プログラムの実行ファイルを保持することができる。外部記憶デバイス55には、取引監視プログラム55Aを格納することができる。プロセッサ51が取引監視プログラム55Aを主記憶デバイス54に読み出し、監視プログラム55Aを実行することにより、
図1の自動取引装置1の振り込め詐欺防止機能を実現することができる。
【0041】
通信制御デバイス52は、外部との通信を制御する機能を有するハードウェアである。通信制御デバイス52は、通信インターフェース53を介してネットワーク59に接続される。自動取引装置1は、通信インターフェース53を介して監視センタ4と通信することができる。入力デバイス60および出力デバイス70は、自動取引装置1の利用者が各種操作入力を行うタッチパッドと、各種情報を表示するための液晶パネルを組み合わせたタッチパネルなどを用いることができる。
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれら実施形態のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…自動取引装置、2…利用者操作画面、3…ガイドフォン、4…監視センタ、5…ガイドフォンフック、6…カメラ、7…制御部、8…電話使用検知部、9…撮影制御部、10…画像認識部、11…検知判定連続枚数制御部、12…取引経過時間判定部、13…取引金額判定部、14…判定情報記憶部