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特許7067945パレット運搬システム及びパレット運搬方法
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  • 特許-パレット運搬システム及びパレット運搬方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】パレット運搬システム及びパレット運搬方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20220509BHJP
   B66F 5/00 20060101ALI20220509BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20220509BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20220509BHJP
   B66F 3/46 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B66F9/06 Z
B66F5/00 Z
B62B3/00 B
B62B3/02 H
B66F3/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018021961
(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公開番号】P2019137507
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-238644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0207714(US,A1)
【文献】実開昭60-016665(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/06
B66F 5/00
B62B 3/00
B62B 3/02
B66F 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットを運搬するためのパレット運搬システムであって、
前記パレットは、リフトアップ用の貫通孔を有し、
当該パレット運搬システムは、複数の自動台車を備え、
前記各自動台車は、本体部と、前記本体部の長手方向の一方端側及び他方端側に接地部を備え、
前記各自動台車は、
前記本体部において、一方端側の接地部と前記他方端側の接地部との間は前記リフトアップ用の貫通孔の長さよりも長く、
前記貫通孔の一方向から進入して同じ方向から退出することも、他方向から退出することもでき、
前記各自動台車は、
前記パレットが接地している状態で前記貫通孔に進入して、前記パレットの外側において、一方端側の接地部と他方端側の前記接地部が接地し、
前記本体部の上面において前記パレットを上昇させて接地しない状態とし、
前記複数の自動台車が同期して移動することにより前記パレットを移動させ
前記各自動台車の前記本体部は、一方端側及び/又は他方端側において、前記貫通孔に進入して前記接地部が接地した状態で前記パレットの外側に位置するところに、他の自動台車との間で通信を行って同期をとるための同期部を備え、
前記同期部は、多種混合運用によりパレットの異なる種類が存在する場合に、前記複数の自動台車の距離をパレットの種類に応じて制御し、
前記複数の自動台車は、
前記パレットが接地している状態で独立に前記貫通孔に進入し、
前記パレットに進入した状態で同期して並行に位置して前記パレットを上昇させて移動する、パレット運搬システム。
【請求項2】
前記各自動台車は、前記本体部の少なくとも2か所において折れ曲がることによって前記本体部の中央部分を上昇させることにより、前記パレットを上昇させて接地しない状態にする、請求項1記載のパレット運搬システム。
【請求項3】
パレットを運搬するためのパレット運搬システムにおけるパレット運搬方法であって、
前記パレットは、リフトアップ用の貫通孔を有し、
当該パレット運搬システムは、複数の自動台車を備え、
前記各自動台車は、本体部と、前記本体部の長手方向の一方端側及び他方端側に接地部を備え、
前記各自動台車は、
前記本体部において、一方端側の接地部と前記他方端側の接地部との間は前記リフトアップ用の貫通孔の長さよりも長く、
前記貫通孔の一方向から進入して同じ方向から退出することも、他方向から退出することもでき、
前記各自動台車が、
前記パレットが接地している状態で前記貫通孔に進入して、前記パレットの外側において、一方端側の接地部と他方端側の前記接地部が接地し、
前記本体部の上面において前記パレットを上昇させて接地しない状態とし、
前記複数の自動台車が同期して移動することにより前記パレットを移動させるステップを含み、
前記各自動台車の前記本体部は、一方端側及び/又は他方端側において、前記貫通孔に進入して前記接地部が接地した状態で前記パレットの外側に位置するところに、他の自動台車との間で通信を行って同期をとるための同期部を備え、
前記ステップにおいて、前記同期部は、多種混合運用によりパレットの異なる種類が存在する場合に、前記複数の自動台車の距離をパレットの種類に応じて制御し、
前記複数の自動台車は、
前記パレットが接地している状態で独立に前記貫通孔に進入し、
前記パレットに進入した状態で同期して並行に位置して前記パレットを上昇させて移動するパレット運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット運搬システム及びパレット運搬方法に関し、特に、パレットを運搬するためのパレット運搬システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫から段ボールなどを搬出する場合、パレットへ積み付けて、フォークリフトやハンドリフトを利用して運搬用トラックへ積み込む(特許文献1参照)。これは、通常、パレタイズ、コンベア搬出、フォークリフトやハンドリフトを利用してのプラットフォームへ運搬して平置き、専用フォークリフトを使用してトラックへの積み込みという順序で行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-206748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フォークリフト等は、パレットのリフトアップ用の孔にフォーク等を差し込んで引き出す方向が固定されている。さらに、これらの作業やパレットの方向転換のためにスペースを確保することなどが必要であり、作業効率が低下する原因となっている。これは、特にプラットフォームへ運搬して平積みするときに大きな問題となっている。なお、現在の倉庫では様々な流通形態を前提とするため、コンベア等の固定物を設置することは難しい。
【0005】
さらに、通常のフォークリフト等は重量や大きさの関係でトラック上までは乗り入れられない。そのため、プラットフォームからトラックへの積み込みには、別に専用のフォークリフトが必要である。
【0006】
そのため、本願発明は、パレットを運搬する作業効率を向上させることに適したパレット運搬システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の観点は、パレットを運搬するためのパレット運搬システムであって、前記パレットは、リフトアップ用の貫通孔を有し、当該パレット運搬システムは、複数の自動台車を備え、前記各自動台車は、本体部と、前記本体部の長手方向の一方端側及び他方端側に接地部を備え、前記各自動台車は、前記本体部において、一方端側の接地部と前記他方端側の接地部との間は前記リフトアップ用の貫通孔の長さよりも長く、前記貫通孔の一方向から進入して同じ方向から退出することも、他方向から退出することもでき、前記各自動台車は、前記パレットが接地している状態で前記貫通孔に進入して、前記パレットの外側において、前記貫通孔の一方端側の接地部と他方端側の前記接地部が接地し、前記本体部の上面において前記パレットを上昇させて接地しない状態とし、前記複数の自動台車が同期して移動することにより前記パレットを移動させる。
【0008】
本願発明の第2の観点は、第1の観点のパレット運搬システムであって、前記各自動台車の前記本体部は、一方端側及び/又は他方端側において、前記貫通孔に進入して前記接地部が接地した状態で前記パレットの外側に位置するところに、他の自動台車との間で同期をとるための同期部を備え、前記複数の自動台車は、前記パレットが接地している状態で独立に前記貫通孔に進入し、前記パレットに進入した状態で同期して並行に位置して前記パレットを上昇させて移動する。
【0009】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点のパレット運搬システムであって、前記各自動台車は、前記本体部の少なくとも2か所において折れ曲がることによって前記本体部の中央部分を上昇させることにより、前記パレットを上昇させて接地しない状態にする。
【0010】
本願発明の第4の観点は、パレットを運搬するためのパレット運搬システムにおけるパレット運搬方法であって、前記パレットは、リフトアップ用の貫通孔を有し、当該パレット運搬システムは、複数の自動台車を備え、前記各自動台車は、本体部と、前記本体部の長手方向の一方端側及び他方端側に接地部を備え、前記各自動台車は、前記本体部において、一方端側の接地部と前記他方端側の接地部との間は前記リフトアップ用の貫通孔の長さよりも長く、前記貫通孔の一方向から進入して同じ方向から退出することも、他方向から退出することもでき、前記各自動台車が、前記パレットが接地している状態で前記貫通孔に進入して、前記パレットの外側において、前記貫通孔の一方端側の接地部と他方端側の前記接地部が接地し、前記本体部の上面において前記パレットを上昇させて接地しない状態とし、前記複数の自動台車が同期して移動することにより前記パレットを移動させるステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の各観点によれば、複数の自動台車は、パレットのリフトアップ用の貫通孔に進入する。複数の自動台車は、背景技術のフォークリフトのフォークのように連結されていないために、独立に移動する。そのため、自動台車は、フォークリフト等と同様に進入した側から退出することができ、フォークリフト等とは異なり進入した側とは異なる側から退出することもできる。そのため、フォークリフト等ではフォークを差し込む側と引き抜く側とは同じであるために作業スペースが固定されるが、本願発明ではそのような制約はない。そのため、狭い運搬スペースであっても対応して運搬することができる。
【0012】
さらに、複数の自動台車は、パレットの貫通孔に対応して移動する。そのため、トラック等に搬入する際に、大きさなどの問題は生じない。そのため、プラットフォームからトラックへ、パレットの貫通孔に応じた橋渡しをすることなどにより運搬経路を整えて、連続した積み込みを実現することが可能である。
【0013】
さらに、複数の自動台車を使用するため、多種混合運用などによりパレットの種類が異なっても自動台車の間の距離を制御すれば足り、容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願発明のパレット運搬システムの構成及び動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0016】
図1は、本願発明のパレット運搬システムの構成及び動作の一例を示す図である。
【0017】
図1(a)を参照して、2台の自動台車11及び12(添え字は、省略する場合がある。)がある場合を例にして、パレット運搬システムにおける各自動台車1の構成を説明する。自動台車11及び12は、同じ構成とする。
【0018】
自動台車1は、中央部3と、第1端部5と、第2端部7と、第1車輪部9と、第2車輪部11を備える(中央部3と第1端部5と第2端部7を合わせたものが、本願請求項の「本体部」の一例である。第1車輪部9及び第2車輪部11は、それぞれ、本願請求項の「接地部」の一例である。)。第1端部5及び第2端部7は、それぞれ、中央部3の長手方向の一方端及び他方端にある。中央部3と第1端部5との間及び中央部3と第2端部7との間は、折れ曲がって、中央部3を上昇させることができる(図1(f)参照)。本実施例では、折れ曲がっていない状態で、パレット21の貫通孔23に進入し、折れ曲がってパレット21を上昇させて接地していない状態とし、折れ曲がっていない状態としてパレット21を接地させて貫通孔23から退出するとする。
【0019】
図1(b)~(f)を参照して、具体的なパレット21の運搬の動作について説明する。パレット21には、2つの貫通孔231及び232が平行に形成されているとする。従来技術であれば、フォークリフトのフォーク等を貫通孔231及び232に挿入して運搬を行う。そのため、貫通孔231及び232は、リフトアップのためのものである。
【0020】
図1(a)の自動台車11及び12は、それぞれ、貫通孔231及び232に進入する。中央部3の長手方向は、貫通孔23の長手方向よりも長いとする。従来技術と異なり、貫通孔23に対して、複数の自動台車1が同じ方向から進入しても、異なる方向から進入してもよい。そのため、例えば複数のパレットを運搬する等のとき、位置関係に応じて効率よく自動台車1を連携させることができる。
【0021】
図1(b)~(e)を参照して、第2端部7の側から進入する例により説明する。各自動台車1は、図示を省略する制御装置による制御によって、独立に移動する。制御装置は、各自動台車1に対して、貫通孔23への進入を指示する。図1(b)を参照して、自動台車1は、パレット21の貫通孔23に対して、貫通孔23の延長上に長手方向が位置するように移動する。そして、図1(c)を参照して、第2端部7の側からパレット21の貫通孔23に進入する。図1(d)を参照して、中央部3の長手方向が貫通孔23の長手方向よりも長いため、進入した状態で、第1端部5及び第2端部7は、パレット21の貫通孔23の外側に位置し、第1車輪部9及び第2車輪部11は、パレット21の外側で接地する。
【0022】
図1(e)は、自動台車11及び12が、それぞれ、貫通孔231及び232に進入した状態を示す。第1端部51及び52並びに第2端部71及び72は、パレット21の外側に位置する。第1端部5及び第2端部7は、互いに同期するための同期部を備える。同期処理は、例えば、同期部の間でレーザーなどによって通信をしつつ行う。制御装置は、すべての自動台車1の進入処理が終了すると、各自動台車1に同期処理の開始を指示する。同期処理の開始を指示された各自動台車1は、同期部によって他の自動台車1と同期をしつつ、制御装置から指示された動作を行う。なお、同期部は、第1端部5と第2端部7の一方のみに備えてもよい。
【0023】
図1(f)を参照して、リフトアップ処理及び運搬処理について説明する。制御装置は、2台の自動台車1に対して、リフトアップ処理を指示する。2台の自動台車1は、同期をしつつ、中央部3と第1端部5との間及び中央部3と第2端部7との間で折れ曲がり、中央部3を上昇させる。そして、中央部3の平面状の上面が貫通孔23の上側に到達し、さらに上昇して支えつつパレット21を上昇させる。これにより、図1(f)にあるように、パレット21をリフトアップさせて接地しない状態とすることができる。制御装置は、2台の自動台車1に対して、移動処理を指示する。2台の自動台車1は、同期しつつ、パレット21が接地していない状態で、指示に従ったパレット21の移動を行う。
【0024】
パレット21のリフトダウン処理及び貫通孔23からの退出処理についても、同様に実現することができる。すなわち、中央部3と第1端部5と第2端部7が折れ曲がっていない直線状となることにより、リフトダウン処理を実現することができる。そして、貫通孔23の長手方向の一方から退出することができる。
【0025】
仮に、背景技術のフォークリフトのフォークと同様に、例えばコの字状として差し込むのであれば、差し込む処理も運搬処理も、複数の貫通孔23で同時に行われる必要がある。他方、本願発明によれば、自動台車1は、従来技術と異なり、貫通孔23に対する進入と退出の方向もタイミングも独立に任意に選択できるため、運搬後に、自動台車1が進入した側にスペースを設ける等の制約はない。さらに、貫通孔23の両側から支える構造であるため、回転等の移動であっても、狭いスペースで実現することができる。さらに、複数の自動台車1は、トラック等に搬入する際に、大きさなどの問題は生じない。そのため、プラットフォームからトラックへ、パレット21の貫通孔23に応じた橋渡しをすることなどにより運搬経路を整えて、連続した積み込みを実現することが可能である。
【0026】
さらに、複数の自動台車1を使用するため、多種混合運用などによりパレットの種類が異なっても自動台車1の間の距離を制御すれば足り、容易に対応することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 自動台車、3 中央部、5 第1端部、7 第2端部、9 第1車輪部、11 第2車輪部、21 パレット、23 貫通孔
図1