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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】散骨方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 17/00 20060101AFI20220509BHJP
   B64D 1/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A61G17/00 Z
B64D1/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018024588
(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公開番号】P2019136417
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】303047676
【氏名又は名称】石坂 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】石坂 和也
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202524(JP,A)
【文献】特開2001-276154(JP,A)
【文献】特表2009-522042(JP,A)
【文献】特開2010-029277(JP,A)
【文献】特開平08-107916(JP,A)
【文献】特開平08-188197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 17/00 - A61G 17/08
B64D 1/00 - B64D 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状にされた骨が入った水溶性の袋または容器、もしくは粉末状にされた骨が成形された水溶性の成形物を、ドローンを用いて運び、当該ドローンから水面に向けて降下させる散骨方法において、
前記ドローンに取り付けられた巻取り装置においてロープまたは糸が巻かれており、
前記ロープまたは糸の一端に前記袋または容器もしくは成形物が固定されており、前記巻取り装置から前記ロープまたは糸を徐々に延ばし、前記袋または容器もしくは成形物を降下させ、かつ、
前記ロープまたは糸が水溶性の素材で作られており、前記ロープまたは糸を前記巻取り装置から切り離して前記袋または容器もしくは成形物とともに着水させることを特徴とする散骨方法
【請求項2】
粉末状にされた骨が入った水溶性の袋または容器、もしくは粉末状にされた骨が成形された水溶性の成形物を、ドローンを用いて運び、当該ドローンから水面に向けて降下させる散骨方法において、
前記ドローンに取り付けられた巻取り装置においてロープまたは糸が巻かれており、当該ロープまたは糸の一端にパラシュートの本体上部が固定されており、前記袋または容器もしくは成形物を前記パラシュートに吊り下げ、前記ドローンから前記パラシュートを用いて降下させて、前記袋または容器もしくは成形物を着水させ、前記巻取り装置により前記ロープまたは糸を巻き取って前記パラシュートを回収することを特徴とする散骨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海や川等の水上で散骨する散骨方法および散骨用成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
海上や、無人島、山のような風光明媚な場所において遺族やペットの飼い主等の希望する地点で空から散骨したいという要望がある。そこで、特許文献1は、遺族や飼い主等の希望する地点において低コストで空から遺骨を散骨することができる散骨用ドローンを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-63126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の散骨用ドローンを用いて散骨する場合、比較的低空で散骨することとなる。このため、住宅地の近くで散骨すると、散骨地周辺の住民とトラブルになるおそれがある。
また、人里離れた山の中までドローンを飛ばして散骨する場合、遺族や飼い主は散骨の様子を見ることが困難である。更に、人里離れた山であっても例えば水道用水の水源である等の理由により散骨が望ましくない場所がある。
【0005】
本発明の目的は、ドローンを用いて海や川等の水上で散骨する散骨方法および散骨用成形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の散骨方法は、
粉末状にされた骨が入った水溶性の袋または容器、もしくは粉末状にされた骨が成形された水溶性の成形物を、ドローンを用いて運び、当該ドローンから水面に向けて降下させる散骨方法において、
前記ドローンに取り付けられた巻取り装置においてロープまたは糸が巻かれており、
前記ロープまたは糸の一端に前記袋または容器もしくは成形物が固定されており、前記巻取り装置から前記ロープまたは糸を徐々に延ばし、前記袋または容器もしくは成形物を降下させ、かつ、
前記ロープまたは糸が水溶性の素材で作られており、前記ロープまたは糸を前記巻取り装置から切り離して前記袋または容器もしくは成形物とともに着水させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の散骨方法は、
粉末状にされた骨が入った水溶性の袋または容器、もしくは粉末状にされた骨が成形された水溶性の成形物を、ドローンを用いて運び、当該ドローンから水面に向けて降下させる散骨方法において、
前記ドローンに取り付けられた巻取り装置においてロープまたは糸が巻かれており、当該ロープまたは糸の一端にパラシュートの本体上部が固定されており、前記袋または容器もしくは成形物を前記パラシュートに吊り下げ、前記ドローンから前記パラシュートを用いて降下させて、前記袋または容器もしくは成形物を着水させ、前記巻取り装置により前記ロープまたは糸を巻き取って前記パラシュートを回収することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の散骨用成形物は、
粉末状にされた骨が所定の形状の成形物に成形されており、当該成形物を吊り下げ可能とするための吊り下げ具が当該成形物に埋め込まれており、当該成形物と当該吊り下げ具とが水溶性であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の散骨用成形物は、
粉末状にされた骨が所定の形状の成形物に成形されており、当該成形物がロープまたは糸の一端に固定されており、当該成形物と当該ロープまたは糸とが水溶性であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドローンを用いて海や川等の水上で散骨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る散骨方法の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る散骨方法で散骨される成形物の例を示す図である。図2(A)は墓の形状の成形物の例を示す。図2(B)は人の形状の成形物の例を示す。
図3】本発明の第1の実施形態に係る散骨方法で使用されるロープまたは糸の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る散骨方法で散骨される成形物の例を示す図である。図5(A)は墓の形状の成形物の例を示す。図5(B)は人の形状の成形物の例を示す。
図6】本発明の第2の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る散骨方法の一例を示す図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る散骨方法の一例を示す図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す図である。
図11】本発明の第5の実施形態に係る散骨方法の一例を示す図である。
図12】本発明の第5の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す図である。
図13】保持部と吊り下げ具の第1の変形例を示す図である。図13(A)は爪が閉じた状態を示す。図13(B)は爪が開いた状態を示す。
図14】保持部と吊り下げ具の第2の変形例を示す図である。図14(A)は爪が閉じた状態を示す。図14(B)は爪が開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る散骨方法および散骨用成形物について詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る散骨方法の一例を示す。
本発明の第1の実施形態に係る散骨方法では、故人の遺骨やペットの骨を例えば直径が1mm以下の粉末状にする。次に、粉末状にされた骨を親水性かつ水溶性の結合剤と混合して所定の形状(例えば、墓の形状)の成形物300に成形する。成形物300は水溶性である。そして、ドローン100を用いて成形物300を水面の上に運び、ドローン100から水面に向けて降下させて着水させ、川や海で散骨する。遺族や死んだペットの飼い主は、陸上や船上で散骨の様子を見守る。
なお、本明細書と特許請求の範囲では、水面は海面を含むものとする。また、本明細書と特許請求の範囲では、着水とは、成形物300がある程度の高さにあるときに成形物300をドローンから切り離して落下させて水面に着水させることだけではなく、成形物300がドローンから切り離される前に水面または水中に達することも含む。後者の場合、成形物300が水面または水中にあるときに、成形物300はドローンから切り離される。
【0020】
ドローン100は、本体110と、回転翼120と、脚部130とを有する。
本体110は無線受信部111と制御部112とを含む。無線受信部111は、操縦者による操作を無線で受信し、それを制御部112に伝える。制御部112は操縦者による操作に従ってドローン100の飛行を制御する。
回転翼120は、例えば4個である。ただし、回転翼120は、4個に限らず1個以上であればよい。
脚部130は、例えば4本である。ただし、脚部130は、4本以外の本数および図1に示す形状以外の形状であってよい。
【0021】
第1の実施形態に係る散骨方法では、ドローン100の本体110の底面に巻取り装置200が取り付けられる。巻取り装置200は、ローラー201と、無線受信部210と、制御部211とを含む。
ローラー201は、巻取り装置200の内部に配置されている。ローラー201には、ロープまたは糸301が巻き付けられている。ロープまたは糸301の一端には、成形物300が取り付けられる。成形物300は、ドローン100からロープまたは糸301によって吊り下げられる。なお、ロープまたは糸301は、紐状の部材であればよい。
無線受信部210は、操縦者による操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は操縦者による操作に従ってローラー201を回転させて、巻取り装置200からロープまたは糸301を徐々に延ばし、ドローン100の高度を保ちながら成形物300をドローンから徐々に降下させ、成形物300を着水させる。その後、制御部211は、成形物300を水面に残し、操縦者による操作に従ってローラー201を回転させて、ロープまたは糸301を巻き取る。
なお、図1では墓の形状の成形物300の例を示したが、成形物300の形状は、墓ではなくて、例えば球、直方体、人形、仏像、花等の他の形状にすることもできる。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る散骨方法で散骨される成形物300の例を示す図である。図2(A)は墓の形状の成形物300の例を示す。図2(B)は人の形状の成形物300の例を示す。
本発明の第1の実施形態に係る散骨方法では、成形物300に吊り下げ具310が取り付けられる。吊り下げ具310は、環状の吊り部311が一端に形成されており、埋込部312が他端に形成されている。埋込部312は成形物300に埋め込まれる。吊り下げ具310は、水溶性の素材で作られている。
【0023】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る散骨方法で使用されるロープまたは糸301の一例を示す。
ロープまたは糸301の一端には、保持部302が形成されている。保持部302は、例えば、U字状の部材303と棒状の部材304で構成される。また、保持部302は、無線受信部305と、結合部306とを有する。棒状の部材304の一端は、U字状の部材303の一端に回転可能に取り付けられている。無線受信部305と結合部306はU字状の部材303の他端に配置されている。結合部306は、U字状の部材303の他端と棒状の部材304の他端とを結合し、またそれらの結合を解除することができる。無線受信部305は、操縦者による解除操作を無線で受信し、それを結合部306に伝える。結合部306は、操縦者による解除操作に従って、U字状の部材303の他端と棒状の部材304の他端との結合を解除する。
棒状の部材304の他端とU字状の部材303の他端とが結合しているとき、保持部302は閉じている。棒状の部材304の他端とU字状の部材303の他端との結合が解除され、棒状の部材304が回転すると、保持部302は開く。
吊り下げ具310の吊り部311の穴に棒状の部材304を通して保持部302を閉じることにより、吊り部311を保持部302に取り付けることができる。そして、保持部302を開くことにより、吊り部311を保持部302から分離することができる。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す。
散骨するに先立って、骨を例えば1mm以下の粉末状にする(S100)。粉末状にされた骨を親水性かつ水溶性の結合剤と混合し、吊り下げ具310の埋込部312を埋め込んで所定の形状(例えば、墓)の成形物300に成形する(S101)。吊り下げ具310の吊り部311をロープまたは糸301の保持部302に取り付ける(S102)。このとき、ロープまたは糸301はローラー201に巻かれている。
次に、ドローン100を船等に乗せて散骨地点の近くに運び、ドローン100の操縦者は成形物300が吊り下げられたドローン100をそこから散骨地点まで飛行させる(S103)。ドローン100の操縦者は、ドローン100を散骨地点で空中に停止させるか、または低速で飛行させる(S104)。
操縦者は、成形物300をドローンから徐々に降下させる操作を指示する。無線受信部210は、その操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は、ドローン100の高度を保ちながら、ローラー201を回転させて成形物300をドローン100から徐々に降下させる(S105)。
【0025】
成形物300が水面に達したら(着水したら)、操縦者は、吊り部311を保持部302から分離する操作を指示する。無線受信部305は、その操作を無線で受信し、それを結合部306に伝える。結合部306は、吊り部311を保持部302から分離する。吊り部311が保持部302から分離されると、ロープまたは糸301で吊り下げられていた成形物300は、ロープまたは糸301、すなわちドローン100から切り離される(S106)。
その後、操縦者は巻取り装置200のローラー201を回転させてロープまたは糸301を巻き取る操作を指示する。無線受信部210は、その操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は、ローラー201を回転させて、ローラー201にロープまたは糸301を巻き取り、ロープまたは糸301を回収する(S107)。
操縦者は、ドローン100を船等に収容する(S108)。
【0026】
なお、上述した第1の実施形態では成形物300を水面に着水させる例を示したが、成形物300ではなくて、水溶性の素材で作られた袋または容器に粉末状にされた骨を入れて、その袋または容器をドローン100から水面に向けて降下させ、成形物300を水面に着水させることもできる。水溶性の素材は、例えば、水溶性の紙や布である(以下、同様)。容器の形状は、例えば、骨壺、球、直方体、人形、仏像、花等である。
また、上述した第1の実施形態では、巻取り装置200は無線受信部210と制御部211とを有するとしたが、巻取り装置200に制御部112の制御信号を送信するためのインタフェースをドローン100が有する場合には、巻取り装置200にその制御信号を受信するためのインタフェースを付加し、ドローン100の制御部112が巻取り装置200を制御する構成とすることができる。この場合、巻取り装置200は、無線受信部210と制御部211とを有さなくてもよい。
また、上述した第1の実施形態では、保持部302が無線受信部305を有するとしたが、ロープまたは糸301とともに信号線を配置し、その信号線によりドローン100の制御部111または巻取り装置200の制御部211から結合部306に制御信号を送信する構成とすることができる。この場合、保持部302は、無線受信部305を有さなくてもよい。
【0027】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る散骨方法で散骨される成形物の例を示す図である。図5(A)は墓の形状の成形物の例を示す。図5(B)は人の形状の成形物の例を示す。
本発明の第2の実施形態に係る散骨方法では、ロープまたは糸320が巻取り装置200から切り離されて成形物300とともに水面に投下される点が第1の実施形態に係る散骨方法と異なる。ドローン100の構成は、第1の実施形態と第2の実施形態で同一である。
第2の実施形態に係る散骨方法で散骨される成形物300にはロープまたは糸320が取り付けられる。ロープまたは糸320は、水溶性の素材で作られている。ロープまたは糸320は、一端に埋込部321が形成されている。埋込部321は成形物300に埋め込まれる。また、ロープまたは糸320は、巻取り装置200のローラー201に巻かれる側である他端に環状の吊り部322が形成されている。
巻取り装置200の構成は、第1の実施形態と第2の実施形態でほぼ同一である。ただし、図示は省略するが、ローラー201は、第1の実施形態に係るロープまたは糸301の保持部302と同様の構造の保持部を有する。ローラー201の保持部はローラー201と同時に回転する。吊り部322は、その保持部により、ローラー201に取り付けられる。
なお、巻取り装置200の無線受信部210は、ローラー201の回転のみならず、ローラー201の保持部に含まれる結合部に対する結合解除の指示も受信できる。このため、ローラー201の保持部は、固有の無線受信部を備える必要はない。
【0028】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す。
散骨するに先立って、骨を例えば1mm以下の粉末状にする(S200)。粉末状にされた骨を親水性かつ水溶性の結合剤と混合し、ロープまたは糸320の埋込部321を埋め込んで所定の形状(例えば、墓)の成形物300に成形する(S201)。ロープまたは糸301の吊り部322をローラー201の保持部に取り付ける(S202)。操縦者は、ロープまたは糸301を巻き取る向きに巻取り装置200のローラー201を回転させる操作を指示する。無線受信部210は、その操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は、ローラー201にロープまたは糸301を巻き取り、成形物300をドローン100に取り付ける(S203)。
次に、ドローン100を船等に乗せて散骨地点の近くに運び、ドローン100の操縦者は成形物300が吊り下げられたドローン100をそこから散骨地点まで飛行させる(S204)。ドローン100の操縦者は、ドローン100を散骨地点で空中に停止させるか、または低速で飛行させる(S205)。
操縦者は、ローラー201を回転させて成形物300をドローンから徐々に降下させる操作を指示する。無線受信部210は、その操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は、ドローン100の高度を保ちながら成形物300をドローンから徐々に降下させる(S206)。
【0029】
成形物300が水面の近くに達したら、操縦者は、吊り部322をローラー201の保持部から分離する操作を指示する。無線受信部210は、その操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は、吊り部322をローラー201の保持部から分離する。吊り部322がローラー201の保持部から分離されると、ロープまたは糸301がドローン100から切り離され、ロープまたは糸301と成形物300とは水面に向けて落下する(S207)。
操縦者は、ドローン100を船等に収容する(S208)。
【0030】
なお、上述した第2の実施形態ではロープまたは糸301と成形物300とを水面に投下する例を示したが、水溶性の素材で作られた袋または容器に粉末状にされた骨を入れて、その袋または容器をロープまたは糸301とともにドローン100から水面に投下することもできる。
また、上述した第2の実施形態では、巻取り装置200は無線受信部210と制御部211とを有するとしたが、巻取り装置200に制御部112の制御信号を送信するためのインタフェースをドローン100が有する場合には、巻取り装置200にその制御信号を受信するためのインタフェースを付加し、ドローン100の制御部112が巻取り装置200を制御する構成とすることができる。この場合、巻取り装置200は、無線受信部210と制御部211とを有さなくてもよい。
【0031】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る散骨方法の一例を示す。
本発明の第3の実施形態に係る散骨方法では、成形物300をパラシュート420に吊り下げ、パラシュート420を用いてドローン100から水面に向けて降下させて着水させ、川や海で散骨する。ドローン100の構成は、第1の実施形態と第3の実施形態で同一である。
第3の実施形態に係る散骨方法では、ドローン100の本体110の底面に保持装置400が取り付けられる。保持装置400は、保持部401と、無線受信部410と、制御部411とを含む。保持部401は、保持装置400の底面に配置される。保持部401は、第1の実施形態に係るロープまたは糸301の保持部302と同様の構造である。
パラシュート420は、本体(キャノピー)の上部に環状の吊り部421を有する。また、パラシュート420のラインには成形物300が吊り下げられている。環状の吊り部421を含め、パラシュート420は、水溶性の素材で作られている。吊り部421は、保持部401によって保持装置400に取り付けられる。保持装置400に取り付けられているとき、パラシュート420は折り畳まれている。
無線受信部410は、操縦者による操作を無線で受信し、それを制御部411に伝える。制御部411は操縦者による操作に従って保持部401と吊り部421を分離する。吊り部421が保持部401から分離されると、パラシュート420と成形物300は、ドローン100から切り離される。このとき、成形物300が水面に向けて降下し始め、パラシュート420が開く。
【0032】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す。
散骨するに先立って、骨を例えば1mm以下の粉末状にする(S300)。粉末状にされた骨を親水性かつ水溶性の結合剤と混合し、所定の形状(例えば、墓)の成形物300に成形する(S301)。成形物300にパラシュート420を取り付ける(S302)。パラシュート420の吊り部421を保持装置400の保持部401に取り付けて保持部401を閉じる(S303)。
次に、ドローン100を船等に乗せて散骨地点の近くに運び、ドローン100の操縦者はパラシュート420と成形物300が吊り下げられたドローン100をそこから散骨地点まで飛行させる(S304)。ドローン100の操縦者は、ドローン100を散骨地点で空中に停止させるか、または低速で飛行させる(S305)。
操縦者は、パラシュート420をドローン100から切り離す操作を指示する。無線受信部410は、その操作を無線で受信し、それを制御部411に伝える。制御部411は、保持部401を開いてパラシュート420をドローン100から切り離す(S306)。成形物300が吊り下げられたパラシュート420は水面に向けて降下し、着水する。
操縦者は、ドローン100を船等に収容する(S307)。
【0033】
なお、上述した第3の実施形態ではパラシュート420と成形物300を水面に投下する例を示したが、水溶性の素材で作られた袋または容器に粉末状にされた骨を入れて、その袋または容器をパラシュート420とともに水面に投下することもできる。
また、上述した第3の実施形態では、保持装置400は無線受信部410と制御部411とを有するとしたが、保持装置400に制御部112の制御信号を送信するためのインタフェースをドローン100が有する場合には、保持装置400にその制御信号を受信するためのインタフェースを付加し、ドローン100の制御部112が保持装置400を制御する構成とすることができる。この場合、保持装置400は、無線受信部410と制御部411とを有さなくてもよい。
【0034】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る散骨方法の一例を示す。
本発明の第4の実施形態に係る散骨方法では、第3の実施形態に係る散骨方法と同様に、成形物300をパラシュート510に吊り下げ、パラシュート510を用いてドローン100から水面に向けて降下させて着水させ、川や海で散骨する。ただし、第4の実施形態に係る散骨方法では、成形物300のみ水面に投下され、パラシュート510はドローン100に回収される。ドローン100の構成は、第1の実施形態と第4の実施形態で同一である。
第4の実施形態に係る散骨方法では、第1の実施形態と同様に、ドローン100の本体110の底面に巻取り装置200が取り付けられる。巻取り装置200は、ローラー201と、無線受信部210と、制御部211とを含む。
巻取り装置200のローラー201には、ロープまたは糸500が巻き付けられる。ロープまたは糸500の一端には、パラシュート510の本体(キャノピー)の上部が固定されている。ただし、ロープまたは糸500は、第1の実施形態に係るロープまたは糸301よりも細く、透明であることが望ましい。ロープまたは糸500として、例えば釣り糸を用いることができる。なお、ロープまたは糸301と同様に、ロープまたは糸500も紐状の部材であればよい。
パラシュート510のラインに保持部302が取り付けられている。また、成形物300には吊り下げ具310が取り付けられている。第1の実施形態と同様に、保持部302と吊り下げ具310によってパラシュート510で成形物300を吊り下げることができる。また、保持部302を開くことによって、吊り下げられている成形物300をパラシュート510から切り離すことができる。
【0035】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す。
散骨するに先立って、骨を例えば1mm以下の粉末状にする(S400)。粉末状にされた骨を親水性かつ水溶性の結合剤と混合し、吊り下げ具310の埋込部312を埋め込んで所定の形状(例えば、墓)の成形物300に成形する(S401)。吊り下げ具310をパラシュート410の保持部302に取り付ける(S402)。このとき、ロープまたは糸500はローラー201に巻かれている。
次に、ドローン100を船等に乗せて散骨地点の近くに運び、ドローン100の操縦者は成形物300が吊り下げられたドローン100をそこから散骨地点まで飛行させる(S403)。ドローン100の操縦者は、ドローン100を散骨地点で空中に停止させるか、または低速で飛行させる(S404)。
操縦者は、ローラー201を自由に回転させる操作を指示する。無線受信部210は、その操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は、ドローン100の高度を保ちながらローラー201を自由に回転させる(S405)。このとき、パラシュート510と成形物300はそれら自体の重量によってゆっくりと降下する。
【0036】
成形物300が水面に達したら(着水したら)、操縦者は、パラシュート510から成形物300を切り離す操作を指示する。保持部302は第1の実施形態に係る保持部302と同様に動作し、成形物300はパラシュート510から切り離される(S406)。
その後、操縦者はロープまたは糸500を巻き取る操作を指示する。無線受信部210は、その操作を無線で受信し、それを制御部211に伝える。制御部211は、ローラー201を回転させて、ローラー201にロープまたは糸500を巻き取り、パラシュート510を回収する(S407)。
操縦者は、ドローン100を船等に収容する(S408)。
【0037】
なお、上述した第4の実施形態では成形物300を水面に投下する例を示したが、粉末状にされた骨を水溶性の素材で作られた袋または容器に入れて、その袋または容器を水面に投下することもできる。
また、上述した第4の実施形態では、巻取り装置200は無線受信部210と制御部211とを有するとしたが、巻取り装置200に制御部112の制御信号を送信するためのインタフェースをドローン100が有する場合には、巻取り装置200にその制御信号を受信するためのインタフェースを付加し、ドローン100の制御部112が巻取り装置200を制御する構成とすることができる。この場合、巻取り装置200は、無線受信部210と制御部211とを有さなくてもよい。
また、上述した第4の実施形態では、保持部302が無線受信部305を有するとしたが、ロープまたは糸500およびパラシュート510の本体(キャノピー)とラインに信号線を配置し、その信号線によりドローン100の制御部111または巻取り装置200の制御部211から結合部306に制御信号を送信する構成とすることができる。この場合、保持部302は、無線受信部305を有さなくてもよい。
【0038】
図11は、本発明の第5の実施形態に係る散骨方法の一例を示す。
本発明の第5の実施形態に係る散骨方法では、ドローン100の底面に取り付けられた保持装置400に成形物300を吊り下げ、ドローン100を水面の近くまで降下させ、成形物300を切り離して着水させ、川や海で散骨する。ドローン100と保持装置400の構成は、第3の実施形態と第5の実施形態で同一である。
本発明の第5の実施形態に係る散骨方法では、第1の実施形態に係る成形物300と同様に、成形物300に図2の吊り下げ具310が取り付けられる。吊り下げ具310の吊り部311は、保持部401によって保持装置400に取り付けられる。
【0039】
図12は、本発明の第5の実施形態に係る散骨方法の流れの一例を示す。
散骨するに先立って、骨を例えば1mm以下の粉末状にする(S500)。粉末状にされた骨を親水性かつ水溶性の結合剤と混合し、吊り下げ具310の埋込部312を埋め込んで所定の形状(例えば、墓)の成形物300に成形する(S501)。吊り下げ具310の吊り部311を保持装置400の保持部401に取り付けて保持部401を閉じる(S502)。
次に、ドローン100を船等に乗せて散骨地点の近くに運び、ドローン100の操縦者は成形物300が吊り下げられたドローン100をそこから散骨地点まで飛行させる(S503)。ドローン100の操縦者は、ドローン100を散骨地点で水面の近くまで降下させて、空中に停止させるか、または低速で飛行させる(S504)。
操縦者は、成形物300をドローン100から切り離す操作を指示する。無線受信部410は、その操作を無線で受信し、それを制御部411に伝える。制御部411は、保持部401を開き、成形物300をドローン100から切り離して水面に向けて落下させる(S505)。成形物300が着水する。
操縦者は、ドローン100を船等に収容する(S506)。
【0040】
なお、上述した第5の実施形態では成形物300を水面に投下する例を示したが、水溶性の素材で作られた袋または容器に粉末状にされた骨を入れて、その袋または容器を水面に投下することもできる。
また、上述した第5の実施形態では、第3の実施形態と同様に、保持装置400に制御部112の制御信号を送信するためのインタフェースをドローン100が有する場合には、保持装置400にその制御信号を受信するためのインタフェースを付加し、ドローン100の制御部112が保持装置400を制御する構成とすることができる。
【0041】
図13は、第1の実施形態に係る保持部302と吊り下げ具310の第1の変形例を示す図である。図13(A)は爪332が閉じた状態を示す。図13(B)は爪332が開いた状態を示す。
ロープまたは糸301の一端には、保持部330が形成されている。保持部330は、第1の実施形態に係る保持部302と同様に、U字状の部材303と棒状の部材304を有する。また、保持部330は、第1の実施形態に係る保持部302と同様に、無線受信部305を有する。更に、保持部330は、駆動部331と、2本の爪332とを有する。保持部330は、この点が第1の実施形態に係る保持部302と異なる。
棒状の部材304の一端は、U字状の部材303の一端に回転可能に取り付けられている。無線受信部305と駆動部331と2本の爪332とは、U字状の部材303の他端に配置されている。駆動部331は、例えばモーターを内蔵しており、2本の爪332を開閉することができる。無線受信部305は、操縦者による開閉操作を無線で受信し、それを駆動部331に伝える。駆動部331は、操縦者による操作に従って、2本の爪332を開閉する。なお、2本の爪332を閉じることは人手で行うとしてもよい。
【0042】
吊り下げ具340は、環状の吊り部341が一端に形成されており、締付部342が他端に形成されている。吊り下げ具340は、水溶性の素材で作られている。吊り部341は穴を有する。締付部342は、袋520の口を締め付けることができる。袋520は水溶性の素材でできている。
袋520の内部に粉末状にされた骨を入れ、その口を締付部342により締め付ける。そして、図13(A)に示すように、吊り部341の穴に保持部330の棒状の部材304を通し、2本の爪332を閉じてそれらの間に棒状の部材304の他端を挟み込む。これにより、ドローン100に骨の入った袋520を取り付けることができる。
なお、吊り下げ具340は、例えば1本のロープで形成することも可能である。ロープの一端で袋520の口を縛ることによって締付部342を形成することができる。また、ロープの他端を棒状の部材304に括り付けることによって吊り部341を形成することができる。
【0043】
操縦者は、水上の散骨地点までドローン100を飛行させる。そして、操縦者は、2本の爪332を開く操作を指示する。無線受信部305は、その操作を無線で受信し、それを駆動部331に伝える。図13(B)に示すように、駆動部331は、2本の爪332を開く。2本の爪332が開くと、棒状の部材304は下方に回転し、ロープまたは糸301で吊り下げられていた袋520は、ロープまたは糸301、すなわちドローン100から切り離される。
なお、保持部330は、第2~第5の各実施形態において、保持部302,401の代わりに用いることができる。
また、保持部330を用いて容器や成形物を吊り下げることができることはもちろんである。
【0044】
図14は、第1の実施形態に係る保持部302と吊り下げ具310の第2の変形例を示す図である。図14(A)は爪352が閉じた状態を示す。図14(B)は爪352が開いた状態を示す。
ロープまたは糸301の一端には、保持部350が形成されている。保持部350は、第1の実施形態に係る保持部302と同様に、無線受信部305を有する。更に、保持部350は、駆動部351と、3本の爪352とを有する。保持部350は、この点が第1の実施形態に係る保持部302と異なる。
駆動部351は、例えばモーターを内蔵しており、3本の爪352を開閉することができる。無線受信部305は、操縦者による開閉操作を無線で受信し、それを駆動部351に伝える。駆動部351は、操縦者による開閉操作に従って、3本の爪352を開閉する。なお、3本の爪352を閉じることは人手で行うとしてもよい。
【0045】
吊り下げ具360は、所定の大きさの吊り部361が一端に形成されており、締付部362が他端に形成されている。吊り部361は、球状や立方体状であり、3本の爪352が閉じているときに3本の爪352が掴持できる大きさである。吊り下げ具360と袋520は、水溶性の素材で作られている。締付部362は、袋520の口を締め付けることができる。なお、締付部362を紐状として、袋520の口を縛ることによって締付部362を形成してもよい。
袋520の内部に粉末状にされた骨を入れ、その口を締付部362により締め付ける。そして、図14(A)に示すように、3本の爪352を閉じて吊り部361を掴持する。これにより、ドローン100に骨の入った袋520を取り付けることができる。
【0046】
操縦者は、水上の散骨地点までドローン100を飛行させる。そして、操縦者は、3本の爪352を開く操作を指示する。無線受信部305は、その操作を無線で受信し、それを駆動部351に伝える。図14(B)に示すように、駆動部351は、3本の爪352を開く。3本の爪352が開くと、ロープまたは糸301で吊り下げられていた袋520は、ロープまたは糸301、すなわちドローン100から切り離される。
なお、保持部350は、4本以上の爪352を有していてもよい。爪352の本数が多いほど吊り部361をしっかりと掴持することができる。
また、保持部350は、第2~第5の各実施形態において、保持部302,401の代わりに用いることができる。
また、保持部350を用いて容器や成形物を吊り下げることができることはもちろんである。
【0047】
また、上述した各実施形態で示したドローン100は一例に過ぎず、1つ以上の回転翼を有していれば他の構成であってもよい。
また、上述した各実施形態で示した保持部と吊り下げ具の構造は一例に過ぎず、袋または容器ないしは成形物を吊り下げたり、切り離したりすることができるものであれば他の構造であってもよい。
【0048】
以上説明したように、本発明によれば、ドローンを用いて海や川等の水上で散骨することができる。
また、水溶性の素材で作られた袋または容器を水面に着水させる場合には、尊厳性を高めるために、袋または容器の中に粉末状の骨とともに、献花として生花・花びら、メッセージが書かれた水溶性の布や紙、水溶性の写真等を入れることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計や製造上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
100…ドローン、110…ドローンの本体、111…無線受信部、112…制御部、120…回転翼、130…脚部、200…巻取り装置、201…ローラー、210…無線受信部、211…制御部、300…成形物、301…ロープまたは糸、302…保持部、303…U字状の部材、304…棒状の部材、305…無線受信部、306…結合部、310…吊り下げ具、311…吊り部、312…埋込部、320…ロープまたは糸、321…埋込部、322…吊り部、330…保持部、331…駆動部、332…爪、340…吊り下げ具、341…吊り部、342…締付部、350…保持部、351…駆動部、352…爪、360…吊り下げ具、361…吊り部、362…締付部、400…保持装置、401…保持部、410…無線受信部、411…制御部、420…パラシュート、421…吊り部、500…ロープまたは糸、510…パラシュート、520…袋
図1
図2
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図7
図8
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図10
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