(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】グラノラバー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/126 20160101AFI20220509BHJP
A23L 25/00 20160101ALI20220509BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20220509BHJP
C07C 31/22 20060101ALN20220509BHJP
【FI】
A23L7/126
A23L25/00
A23L19/00 Z
C07C31/22
(21)【出願番号】P 2018063365
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2020-12-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイト掲載日:2017(平成29)年10月4日 ウェブサイトのアドレス:https://corp.j-retail.jp/lib/pdf/press_release/9-61-552/1004_amaguri.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】393029974
【氏名又は名称】クラシエフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【氏名又は名称】相原 礼路
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 昌史
(72)【発明者】
【氏名】菊池 光倫
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04917910(US,A)
【文献】米国特許第05000971(US,A)
【文献】特表2009-514515(JP,A)
【文献】特開2008-289369(JP,A)
【文献】特開2008-245634(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2015-0007021(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル類、増補用食品素材、グリセリン、糖質甘味料、及び油脂類を含有するAw0.67以下のグラノラバーであって、該グリセリンが該増補用食品素材の表面に
、増補用食品素材100部に対し7~27部施与されており、
該増補用食品素材のグリセリン施与前のAwが0.5~0.85であり、該グリセリンが表面施与された増補用食品素材がグラノラバー全体重量中15~55重量%含有されていることを特徴とするグラノラバー。
【請求項2】
増補用食品素材が、種実加工食品及びドライフルーツのうち少なくとも一方である請求項1記載のグラノラバー。
【請求項3】
下記工程を順次行うことを特徴とするグラノラバーの製造方法。
(1)食品素材を加工して
Aw0.5~0.85の増補用食品素材を得る工程
(2)上記増補用食品素材の表面にグリセリンを
、増補用食品素材100部に対し7~27部施与する工程
(3)糖質甘味料を、Bx84±3まで煮詰める工程
(4)上記煮詰めた糖質甘味料に液状の油脂類を添加して混合し、その後シリアル類と上記増補用食品素材とを添加し、混合して混合物を得る工程
(5)上記混合物を成形してグラノラバーを得る工程
【請求項4】
上記(1)工程後の増補用食品素材のAwが0.7~0.8である
請求項3記載のグラノラバーの製造方法。
【請求項5】
増補用食品素材が、種実加工食品及びドライフルーツのうち少なくとも一方である請求項3又は4記載のグラノラバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増補用食品素材を多量に含有していながら殺菌や品質保持剤封入の必要がなく、増補用食品素材の存在感のある風味及びしっとりとした食感を有し、保形性及び保存性に優れたグラノラバー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、「グラノラバー」のような成形食品は、穀類を加工したシリアルに、適宜種実類、ドライフルーツなどを加え、油脂や糖質甘味料等のシロップとともに混合し、ブロック状、板状、バー状等に成形して製造される。
【0003】
例えば、果実、及びナッツから成る群から選択されたグラノラ成分、増補用食物繊維、及びグリセリンを含有するグラノラバーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。該グラノラバーは、水素添加されたグルコースシロップやグラノラバー中2~6%水準のグリセリンを、グラノラバー内部全体に満遍なく分散させて、増補用食物繊維の添加により生じる柔軟性低下を抑制するものである。しかしながら、該グラノラバーは、グラノラバー全体に柔軟性が付与される反面、グリセリン由来のえぐみがあるため、風味は改良の余地があった。また、Aw0.7より高いグラノラ成分を含有すると保存性の点で問題があった。
【0004】
他に、例えば、バインダー、食品素材、及びコラーゲンペプチドを含有する固形食品が知られている(例えば、特許文献2参照。)。該固形食品は、まず、糖質を煮詰めたバインダーにコラーゲンペプチド溶液を加えてバインダー生地を調製し、これに、コーンフレーク、膨化麦、果実加工品などの食品素材を加え、成形、切断して製造される。なお該固形食品は、コラーゲンペプチドを7~20重量%含み、経時変化による硬化が抑制できるとされている。しかしながら、該固形食品は、コラーゲンペプチド由来の臭いや風味の点で改良の余地があった。また、果実加工品のような食品素材含有量は低く設定されており、そのため風味が乏しく、しっとりとした食感ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-39869号公報
【文献】特開2008-245634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、増補用食品素材を多量に含有していながらも殺菌や品質保持剤封入の必要がなく、増補用食品素材の存在感のある風味及びしっとりとした食感を有し、並びに保形性及び保存性に優れたグラノラバー及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シリアル類、増補用食品素材、グリセリン、糖質甘味料、及び油脂類を含有するAw0.67以下のグラノラバーであって、該グリセリンが該増補用食品素材の表面に施与されており、該グリセリンが表面施与された増補用食品素材がグラノラバー全体重量中15~55重量%含有されていることを特徴とするグラノラバーにより上記目的を達成する。
【0008】
好ましくは、増補用食品素材が、種実加工食品及びドライフルーツのうち少なくとも一方である。
【0009】
また、下記工程を順次行うことを特徴とするグラノラバーの製造方法により上記目的を達成する。
(1)食品素材を加工して増補用食品素材を得る工程
(2)上記増補用食品素材の表面にグリセリンを施与する工程
(3)糖質甘味料を、Bx84±3まで煮詰める工程
(4)上記煮詰めた糖質甘味料に液状の油脂類を添加して混合し、その後シリアル類と上記増補用食品素材とを添加し、混合して混合物を得る工程
(5)上記混合物を成形してグラノラバーを得る工程
【0010】
好ましくは、上記(1)工程後の増補用食品素材のAwが0.7~0.8である。より好ましくは、増補用食品素材が、種実加工食品及びドライフルーツのうち少なくとも一方である。
【0011】
すなわち、本発明者らは、食品素材を加工して得られる種実加工品やドライフルーツなどの増補用食品素材を含有するグラノラバーにおいて、増補用食品素材を多量に含有して良好な風味及びしっとりとした食感を有するグラノラバーについて鋭意検討を行った。
【0012】
その結果、シリアル類に加えて、グリセリンが表面施与された増補用食品素材を含有すると、グリセリンの不快なえぐみが解消された良好な風味と、しっとりした食感を有するグラノラバーが得られることを見出した。これは、グリセリンが、従来品のようにグラノラバーの内部全体に満遍なく分散した構造ではなく、また増補用食品素材の内部に浸透した状態でもないためである。すなわち、グリセリンが、グラノラバー中に増補用食品素材と共に点在する構造にしたことによるものである。
【0013】
また、グリセリンが施与された増補用食品素材をグラノラバー全体重量中15~55重量%含有すると、グラノラバーとしての保形性が向上することも見出した。
【0014】
更に製造方法として、グラノラバーに対するグリセリンの施与方法を、従来のようなグラノラバーの製造中にシリアル類などの原料と一緒に混合する結着成分にグリセリンを添加する、または増補用食品素材の加工中に増補用食品素材の内部にまでグリセリンを浸透する方法を改め、グラノラバー原料を混合する前に、グリセリンを増補用食品素材に表面施与する方法を見出した。この製造方法により、しっとりとした食感であるにもかかわらず、増補用食品素材そのもののAwを下げ、さらにグラノラバー全体ではAw0.67以下に調整できることを見出した。その結果、焼成やレトルト殺菌のような加熱殺菌や、品質保持剤の封入をしなくとも保存性も付与されることを見出し本発明に到達した。
【発明の効果】
【0015】
本発明のグラノラバーは、グリセリンを含有してもその不快なえぐみがないことから、増補用食品素材の存在感のある風味を感じることができ、増補用食品素材を複数併用した場合でも、それぞれの風味を同時に味わうことができる。また、しっとりとしたソフトでウエットな食感及びバー形状を維持する保形性を有する。
【0016】
さらに、しっとりとした食感であるにもかかわらず、Aw0.67以下に調整されていることから、焼成やレトルト殺菌のような加熱殺菌や、品質保持剤の封入などせずに長期間保存できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を詳しく説明する。
本発明のグラノラバーは、シリアル類、増補用食品素材、グリセリン、糖質甘味料、及び油脂類を含有する。
【0018】
上記シリアル類としては、シリアル、ナッツ等が挙げられる。該シリアルは、オーツ麦、大麦、小麦、トウモロコシ、白米、玄米などの穀類を、押しつぶす、挽く等して粉砕する、押しつぶして薄片(フレーク)状にする、膨化させてパフ状にするなどの加熱加工を施したものを指す。例えば、オートミール、オーツフレーク、コーンフレーク、米フレーク、麦もしくは米のパフスナック、膨化麦、膨化米、パフドライス、ライスクリスピーなどが挙げられる。ナッツ類としては、核果などが食用となる硬い殻のある種子(木の実)のうち、水分含量が低く、脂質含量の高いものを指す。例えば、アーモンド、マカデミアナッツ、カシューナッツ、へーゼルナッツ、ピーナッツ、クルミなどが挙げられる。これらは単独でも複数組み合わせて用いても良い。
【0019】
増補用食品素材としては、種実類、果実類、野菜類、豆類、肉類、魚類などの食品素材を加工したセミドライ食品、半生食品、中間水分食品などが挙げられる。これらは単独でも複数組み合わせて用いても良い。ここで、食品素材とはグラノラバーに用いる原料の加工前の未加工食品を意味し、増補用食品素材とは当該食品素材を加工した後のグラノラバー製造用の原料を意味する。
【0020】
具体的には、種実加工食品として食品素材である栗を加工したマロングラッセ(Aw0.7~0.85)、果実加工食品として各種果物を加工したドライフルーツ(Aw0.5~0.7)等が挙げられる。また、豆加工食品として各種豆を加工した甘納豆(Aw0.75~0.85)、肉加工食品として肉を加工したビーフジャーキー(Aw0.75~0.85)等も挙げられる。増補用食品素材には、好ましくは、種実加工食品及びドライフルーツのうち少なくとも一方を用いることが、風味、食感、保形性の点で好適である。
【0021】
増補用食品素材は、食品素材の大きさに応じて、食品素材の調製前、調製中、調製後のうちの少なくとも1つの段階で破砕、粉砕、又は切断して用いてもよい。グラノラバー中に含まれる大きさは、各辺1~8mm程度が望ましい。
【0022】
グリセリンは、C3H5(OH)3で示される3価の糖アルコールで、粘稠で甘味やえぐみのある無色透明の液体である。融点は18℃で、水に溶けやすく、吸湿性や保水性を有する物質である。油脂(トリアシルグリセロール)の加水分解または化学合成によって製造される。また、本発明では、グリセリンを含有することは保存性の点で重要である。
【0023】
また、上記グリセリンは、増補用食品素材に表面施与されていることが、風味、保存性の点で重要である。なお、本発明に係る「グリセリンが表面施与された状態」とは、グリセリンが増補用食品素材の表面全体を被覆している状態や、表面の一部を被覆している状態を意味する。
【0024】
本発明のグラノラバーは、食品素材を加工して得られた増補用食品素材の表面にグリセリンを施与してから、他の原料と混合して成形される。そのため、グラノラバー中におけるグリセリンは、増補用食品素材と共に点在している状態となっている。このような構造を有することで、増補用食品素材のAw調整や食感調整が可能となる。
【0025】
例えば、グリセリン施与前のAwが0.67より高い増補用食品素材の場合は、しっとりした食感を保ちつつ、グラノラバー全体のAwを0.67以下に効率よく調整できる。また、グリセリン施与前のAwが0.67以下の増補用食品素材の場合は、グラノラバーをAw0.67以下に維持しつつ、増補用食品素材をしっとり、やわらかく食べやすい食
感に調整できる。
【0026】
なお、グリセリンが表面施与された増補用食品素材は、後の工程で他の原料と混合して成形されるため、混合中に増補用食品素材は破砕されることがあるが、グラノラバー中にグリセリンが点在することに変わりはなく、上記の効果に影響はない。
【0027】
また、本発明に係るグラノラバー中に点在したグリセリンの有無は、グラノラバーから分離した増補用食品素材の2つの対辺部を赤外分光光度計(FT-IR)によって測定したスペクトル解析(差スペクトル)から判断することができる。すなわち、グリセリンを表面施与した増補用食品素材の場合は、差スペクトルを生じるが、グリセリン未使用或いは内部まで浸透している増補用食品素材の場合は、差スペクトルを生じない。
【0028】
さらに、グリセリンが表面施与された増補用食品素材が、グラノラバー全体重量中15~55重量%、好ましくは17.5~52.5重量%含有されていることが、食感、保形性の点で重要である。15重量%より少ないとしっとりせず、さくさくとした食感となる傾向があり、55重量%より多いと保形性が低下し脆くなる傾向がある。
【0029】
上記糖質甘味料としては、例えば、単糖類(ブドウ糖、果糖、D-キシロース等)、少糖類(ショ糖、乳糖、麦芽糖、イソマルツロース、トレハロース等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、糖アルコール(ソルビトール、マルチトール、イソマルト(イソマルツロース還元物)等)、澱粉類(水飴、還元水飴、粉飴、異性化糖等)、蜂蜜などが挙げられる。これらは単独でも複数組み合わせて用いても良い。これらの中でも、イソマルト、水飴、還元水飴は、グラノラバーの甘みを抑え、べたつきを抑制できる点で好適に用いられる。
【0030】
上記油脂類としては、動物性油脂(バター、ラード等)や植物性油脂(サラダ油、マーガリン、植物硬化油、カカオ脂、オリーブ油、米油等)の他、乳脂を原料とする生クリーム、サワークリーム、チーズ等やナッツペースト等の植物性油脂を多量に含有する食品等が挙げられる。これらは、目的とする風味に応じて単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。
【0031】
また、本発明に係るグラノラバー中には、上記原料の他に必要に応じて副原料を適宜添加してもよい。例えば、香料、着色料、調味料(カラメルソース等)、エキス類、粉末果汁、粉末野菜汁、加工成形品(キャンディチップ、焼き菓子、クランチ、即席めん屑等)、食物繊維(難消化性デキストリン、還元難消化性デキストリン等)、乳化剤、安定剤、アルコール類、栄養成分(ビタミン類(A、B1、B2、ナイアシン、B6、B12、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸等)、ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン等)などが挙げられる。
【0032】
上記原料を用いて、本発明のグラノラバーは、例えば、次のように製造される。
【0033】
まず、食品素材を加工して増補用食品素材を調製する。増補用食品素材の調製方法は、一般的に知られている方法で調製すればよく、種実加工食品であるマロングラッセを例示するならば、特開2015-53号公報に記載の製造方法が挙げられる。また、増補用食品素材は、糖浸漬の前(調製中)、あるいはマロングラッセ調製後のダイスカット等により、一辺5~10mm程度の増補用食品素材としてもよい。この製造方法に係るマロングラッセを用いた本発明のグラノラバーは、焼いた香ばしい風味が加わるので、グラノラバー全体の風味を向上できる点で好適である。
【0034】
次に、増補用食品素材の表面にグリセリンを施与する。施与方法は、例えば、増補用食
品素材にグリセリンを加えてから全体を攪拌する、または増補用食品素材をグリセリン液に数分~数十分間浸漬した後に液切りする等が挙げられる。また、施与には、グリセリンの他に、大豆蛋白等の副原料を用いてもよい。本発明では、グリセリンを増補用食品素材の中心まで浸透させることなく、表層部のみにグリセリンを施与することが、風味の点で重要である。
【0035】
また施与量は、増補用食品素材100部に対し、グリセリンを7~27部の割合で施与することが、食感、保存性の点で好適である。グリセリンが7部以上の割合であれば保存性が向上し、27部以下であれば風味が良好となる。
【0036】
次に、糖質甘味料を、例えば、加熱可能な混合釜等に投入し、Bx84±3まで煮詰める。この煮詰めた糖質甘味料は粘着性を有し、シリアル類及びグリセリンを表面施与した増補用食品素材をつなぐ結着成分として用いられる。なお、この糖質甘味料にグリセリンを加えた結着成分とすると、増補用食品素材の食感調整又はAw調整ができず、食感、保存性の点で本願効果を得ることができない。
【0037】
上記煮詰めた糖質甘味料に、液状の油脂類を添加して混合する。該油脂類は、室温で液体状のものはそのまま、固体状のものは予め加熱溶解したものを添加する。該油脂類を添加することは、グラノラバーが歯や手指に付着しにくくなる点で重要である。その後シリアル類及びグリセリンを表面施与した増補用食品素材とを添加し、混合して混合物を得る。なお、副原料がある場合は、糖質甘味料や油脂類に添加して混合すればよい。
【0038】
次に、上記混合物を成形してグラノラバーを得る。グラノラバーの形状としては、ブロック状、板状、バー状等が挙げられる。成形方法としては、例えば、ローラーで圧縮してシート状にした後、カッターで所望の形状に切断したり、任意の形状の成形型に入れ圧縮して成形すること等が挙げられる。なお、上記混合物が、軟らかく成形しにくい場合は適宜冷却してもよい。
【0039】
上記のようにして得られたグラノラバーは、例えば、密封包装して製品化することができる。包装材料としては、アルミ、アルミ蒸着、アルミナ蒸着、シリカ蒸着、ポリプロピレンシートなどが挙げられ、該包装材料で密封包装し、密封包装体入りグラノラバーとすればよい。
【実施例】
【0040】
次に、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明する。
<実施例1>
表1の組成となるよう、下記のようにしてグラノラバーを製造した。
(1)焼成剥き栗をダイスカットした後、特開2015-53号公報に記載の製造方法を用いて一辺が5~10mmのマロングラッセを調製した。
(2)上記マロングラッセ30kgに対しグリセリン5kgを加えてから全体を攪拌し、更に、大豆蛋白5kgを加えて攪拌し、表面にグリセリンが施与されたマロングラッセを得た。なお、グリセリン施与前はAw0.80、グリセリン施与後はAw0.70であった。
(3)糖質甘味料を副原料とともに直火式加熱混合釜等に投入し、Bx85まで煮詰めた。
(4)上記煮詰めた糖質甘味料に、予め60℃に加熱した液状の油脂類を添加して混合し、その後シリアル類と上記マロングラッセとを添加して混合し、混合物を得た。
(5)上記混合物を、成形型に入れ圧縮して成形することにより、1個当たり23gのバー状のグラノラバー(縦90mm、横18mm、高さ20mm)を得た。このとき、グラノラバー中の増補用食品素材は、一辺1~8mmに破砕されていた。
【0041】
【0042】
<実施例2~5>
マロングラッセに対するグリセリンと大豆蛋白の施与量を、表2のようにする以外は実施例1と同様にして、表1の組成となるよう、グラノラバーを製造した。なお、グリセリン施与前後のAwは表1に示す。
【0043】
【0044】
<実施例6、7>
マロングラッセの代わりに、表1記載の増補用食品素材を用いる以外は、実施例1と同様にして、表1の組成となるようにグラノラバーを製造した。なお、ドライフルーツは、イチゴから公知の方法で調製し一辺が約10mmにダイスカットしたものを用いた。
【0045】
<比較例1>
グリセリンを表面に施与しないマロングラッセを使用する以外は実施例1と同様に行なった。
【0046】
<比較例2、3>
マロングラッセに対するグリセリンと大豆蛋白の施与量を、表2のようにする以外は実施例1と同様にして、表1の組成となるよう、グラノラバーを製造した。なお、グリセリン施与前後のAwは表1に示す。
【0047】
<比較例4>
マロングラッセを、グリセリンを含有する糖液を用いて糖浸漬して調製する以外は実施例1と同様に行なった。なお、マロングラッセは、グラノラバー全体重量中35重量%含有し、その中グリセリンは5重量%を含むように調製した。
【0048】
<比較例5>
グリセリンを表面に施与しないマロングラッセを使用し、工程(3)において、糖質甘味料と副原料の他にグリセリンを追加して煮詰める以外は実施例1と同様に行なった。
【0049】
<比較例6、7>
マロングラッセに対するグリセリンと大豆蛋白の施与量を、表2のようにする以外は実施例1と同様に行なった。なお、グリセリン施与前後のAwは表1に示す。
【0050】
<比較例8、9>
グリセリンを表面に施与しない増補用食品素材を使用する以外は実施例6、7と同様におこなった。
【0051】
上記のようにして得られた実施例品及び比較例品の、風味、食感、保形性、保存性について評価した。風味、食感、保形性は、表1記載の評価基準を用いて専門パネラー3名が評価した平均値を表1に示す。また、保存性は、グラノラバーとグラノラバー中の増補用食品素材のAw値を、表1記載の評価基準を用いて評価した結果を表1に示す。なお、増補用食品素材のグリセリン施与後のAw値は、Aw値が一定となる施与してから1日経過後の値を、グラノラバーとグラノラバー中の増補用食品素材のAw値は、保存性を評価できる成形2日後のAw値を示した。
【0052】
評価の結果、実施例はおおむねしっとりとしたソフトでウェットな食感を有し、グリセ
リンのえぐみは無く、増補用食品素材の存在感のある風味を呈していた。また、保存性に優れていた。これに対し、比較例は保存性、保形性、食感、風味のいずれかが悪かった。