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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】清掃システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/20 20060101AFI20220509BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A47L13/20 Z
G10K15/04 302F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018087707
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019188057
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】394025924
【氏名又は名称】株式会社博報堂
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚
(72)【発明者】
【氏名】金 ジョンヒョン
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-169194(JP,U)
【文献】実開平04-071999(JP,U)
【文献】特開2007-026497(JP,A)
【文献】特開2013-204762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/20
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部と、
前記柄部に連結された清掃部と、
加速度センサとジャイロセンサとを含む動き検出部と、
複数種類の音から、前記動き検出部により検出された動きに応じた音を選択し、選択した音の出力を制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、前記加速度センサの検出値の大きさ、および立ち上がりの急峻さに基づき動きパターンを判定し、判定した動きパターンに対応する音を選択すると共に、前記ジャイロセンサの検出値の大きさに基づき動きパターンを判定し、判定した動きパターンに対応する音を選択する、清掃システム。
【請求項2】
前記制御部によって判定される動きパターンは、拭き方向の切り替えがない一方向に清掃具が動いているパターンと、清掃ヘッドが曲線または8の字を描く動きのパターンと、短期間に拭き方向が連続で前後または左右に切り替わるパターンと、壁や家具等と衝突するパターンとを含んでいる、請求項1に記載の清掃システム
【請求項3】
前記制御部によって判定される動きパターンは、ユーザが屈みながら清掃具を動かすパターンを含んでいる、請求項2に記載の清掃システム
【請求項4】
前記清掃システムは、前記制御部による制御に従い音を出力する音出力部をさらに備え、
前記音出力部は前記柄部に設けられる、請求項1~3のいずれか1項記載の清掃システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記選択した音の出力の開始時および終了時に、フェードインおよびフェードアウトを適用する、請求項1~4のいずれか1項記載の清掃システム。
【請求項6】
前記制御部は、複数種類の動きに関連付けられた複数種類の音のセットから、ユーザにより選択されたセットに従って前記音の選択を行う、請求項1~5のいずれか1項記載の清掃システム。
【請求項7】
前記清掃システムは、ユーザにより音量の操作が行われる操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザの操作により設定された音量で、前記選択した音の出力を制御する、請求項1~6のいずれか1項記載の清掃システム。
【請求項8】
前記柄部は、把持部と、前記把持部および前記清掃部の間に設けられる1または2以上の連結部材を含み、
前記把持部は、前記連結部材に着脱可能に取り付けられる、請求項1~7のいずれか1項記載の清掃システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内を掃除するための清掃具として、清掃面を有する清掃ヘッド、および清掃ヘッドにジョイントを介して連結された柄部を有する、拭き掃除用の清掃具が知られている。
【0003】
また、清掃具を用いた掃除中に清掃具から音を出力するための仕組みも知られている。例えば特許文献1には、クリーナーであって、クリーナーが握られたことを圧力センサが検知したことに基づいて音を出力するクリーナーが開示されている。また、特許文献2には、ブラシの振動の検知に応じて音楽を出力するブラシが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3125064号公報
【文献】実開平1-169194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載の清掃具は、清掃具をどのように用いて掃除が行われているかによらずに既定の音を出力する。このため、当該清掃具を用いて掃除を行うユーザが感じ得る楽しみは限定的であった。
【0006】
本発明は、ユーザがより楽しみを感じながら掃除を行うことを可能とする清掃システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点は、柄部と、前記柄部に連結された清掃部と、動き検出部と、複数種類の音から、前記動き検出部により検出された動きに応じた音を選択し、選択した音の出力を制御する制御部と、を備える、清掃システムに関する。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明の清掃システムによれば、ユーザがより楽しみを感じながら掃除を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による清掃具の外観図である。
図2A】把持部の前面側を視点とする把持部の斜視図である。
図2B】把持部の背面側を視点とする把持部の斜視図である
図3】把持部の分解図である。
図4】基板に実装される機能を示す説明図である。
図5】音の複数のセットの具体例を示す説明図である。
図6】音の出力制御の具体例を示す説明図である。
図7】本発明の実施形態による清掃具の動作を示すフローチャートである。
図8】変形例による清掃システムを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
本発明は、掃除を行うユーザに楽しみをより強く感じさせるための清掃システムに関する。以下では、このような清掃システムの機能を担う清掃具の構成および動作を順次詳細に説明する。
【0012】
<1.清掃具の構成>
図1は、本発明の実施形態による清掃具10の外観図である。図1に示したように、本発明の実施形態による清掃具10は、清掃ヘッド12と、複数の筒部材13と、把持部16と、を備える。
【0013】
(清掃ヘッド)
清掃ヘッド12は、床面等の清掃対象を清掃するための清掃部の一例である。清掃ヘッド12は、長辺が200~300mm程度、短辺が50~150mm程度の大きさの略平板形状を有する。清掃ヘッド12の上面には筒部材13が連結されるジョイント部12aが設けられる。ジョイント部12aは、清掃ヘッド12に対する筒部材13の角度が任意の角度となり得るように筒部材13を連結する。
【0014】
清掃ヘッド12には、図示しない清掃シートが着脱可能に取り付けられる。例えば、清掃シートは、清掃ヘッド12の下面を覆い、清掃ヘッド12の長辺に沿って折り返される。そして、清掃ヘッド12の上面側に折り返されたシート部分が清掃ヘッド12の上面の四隅に設けられたシート保持部12bに押し込まれることにより、清掃シートが清掃ヘッド12に取り付けられる。
【0015】
このような清掃ヘッド12は、ユーザによる把持部16の移動に応じて、清掃シートを介して床面等の清掃対象に圧接しながら移動する。これにより、清掃対象の拭き掃除が容易に実現される。なお、清掃ヘッド12の上面はプラスチック製のヘッド本体で構成され、清掃ヘッド12の下面は変形可能な弾性体で構成されてもよい。また、清掃シートとしては、例えばオレフィン系極細繊維不織布など公知のシートを利用可能である。清掃シートの状態としては、乾燥状態、または洗浄剤等を含浸するウェット状態が挙げられる。
【0016】
(筒部材)
複数の筒部材13及び連結機構13aは、清掃ヘッド12と把持部16を連結する1または2以上の連結部材の一例である。複数の筒部材13は一方向に沿って配置され、隣接する2つの筒部材13は連結機構13aによって着脱可能に連結されている。清掃ヘッド12と把持部16の間に筒部材13が設けられることにより、清掃ヘッド12と把持部16の間に複数の筒部材13の長さに応じた間隔が生じるので、ユーザが立位の状態で把持部16を把持しながら清掃ヘッド12で床面を清掃することが可能となる。
【0017】
なお、筒部材13の材料は、アルミ合金、ステンレス、木、PP(ポリプロピレン)樹脂、ABS(アクリルニトリルブダジエンスチレン)等の合成樹脂などであってよく、特に制限はない。また、図1においては円筒形状の筒部材13を連結部材として示しているが、連結部材は円筒形状の筒部材13に限定されない。例えば、連結部材は角筒形状を有してもよいし、中空を有さない棒部材であってもよい。
【0018】
(把持部)
把持部16は、ユーザの手により把持される部分である。本実施形態では、把持部16は、複数の筒部材13を介して清掃ヘッド12に連結されている。詳細には、複数の筒部材13の一端が清掃ヘッド12に連結され、複数の筒部材13の他端が把持部16に連結される。清掃具10の運搬および販売においては清掃ヘッド12、複数の筒部材13および把持部16を含む各部材は分離されている。清掃具10を購入したユーザが複数の筒部材13を組み立て、複数の筒部材13を介して清掃ヘッド12および把持部16を連結することにより清掃具10が使用可能な状態となる。
【0019】
このような把持部16は、筒部材13と共に、清掃ヘッド12に連結される柄部を形成する。柄部は、ユーザが清掃具10を利用する際に把持され得る部分の概念である。本明細書においては、ユーザにより把持されることが主に想定される部分を特に把持部16として説明するが、ユーザは筒部材13を把持することも可能であるので、把持部16および筒部材13のいずれもが柄部に該当する。さらに、本発明の実施形態による把持部16には、センサ機能および音出力機能が実装される。以下、本発明の実施形態による把持部16の構成をより詳細に説明する。
【0020】
<2.把持部の構成>
図2Aは、把持部16の前面側を視点とする把持部16の斜視図であり、図2Bは、把持部16の背面側を視点とする把持部16の斜視図である。図2Aに示したように、把持部16は操作部110を有し、図2Aに示したX方向(前後方向)の一側である操作部110が形成される側を前面と称し、前後方向の他側を後面と称する。また、把持部16の軸方向を上下方向(図2Aに示したZ方向)と称し、前後方向および軸方向に直交する方向を幅方向(図2Aに示したY方向)または左右方向と称する。筒部材13および把持部16が清掃ヘッド12に対して垂直に立てられた状態における前後方向は清掃ヘッド12の短辺方向に対応し、上記状態における左右方向は清掃ヘッド12の長辺方向に対応する。なお、本明細書における前後方向および左右方向などの表現は、説明の便宜上用いられる表現であり、本明細書で用いられる前後方向および左右方向が意味する方向は、実際の清掃における前後方向および左右方向とは必ずしも一致しない。
【0021】
図2Aおよび図2Bに示したように、把持部16は、操作部110、エンドキャップ120、連結部130、電池カバー140、前面カバー172および後面カバー174を有する。
【0022】
操作部110は、図2Aに示したように、電源スイッチ111、機能スイッチ112、ダウンスイッチ113およびアップスイッチ114を含む。電源スイッチ111、機能スイッチ112、ダウンスイッチ113およびアップスイッチ114は上下方向に沿って配置される。かかる構成により、操作部110をコンパクトに設けつつ、良好な操作性を得ることが可能である。電源スイッチ111の押圧により電源ON状態と電源OFF状態が切り替えられる。電源ON状態においては、後述するセンサ機能および音出力機能などが有効化される。機能スイッチ112の押圧により、設定対象の項目が切り替えられる。設定対象の項目としては、音量および複数の音のセットなどが挙げられる。ダウンスイッチ113およびアップスイッチ114の押圧により、設定対象の項目の設定、例えば、音量の設定または音のセットの設定が行われる。
【0023】
エンドキャップ120は、把持部16の上端部に装着される弾性部材であり、好ましくはゴム硬度が40~80の弾性材料から形成されており、前面カバー172および後面カバー174より摩擦係数が高い。なお、ゴム硬度はJIS K 6253で規定する、デュロメータタイプA(ショアA)で測定した値である。清掃具10が壁に立てかけられた際にエンドキャップ120が壁と当接することにより、エンドキャップ120の滑りが抑制されるので、清掃具10の安定性が向上する。また、エンドキャップ120の上面には、図2Bに示したように複数の孔122が設けられる。この複数の孔122を介して、清掃具10の動きに応じた音が、その音量の低下を抑制されながら出力される。複数の孔122が把持部16の上端部、すなわち、清掃具10のうちでユーザに最も近い位置に設けられることにより、ユーザによる音の認識性を向上することが可能である。なお、エンドキャップ120は把持部16に必須の構成でない。把持部16にエンドキャップ120が設けられない場合には、後述する固定部材176に複数の孔が設けられてもよい。
【0024】
連結部130は、筒部材13と着脱可能に連結される部分である。連結部130は、ベース部材131、ボタン部材132および切欠きリング134を含む。ベース部材131に筒部材13が挿入されると、切欠きリング134と筒部材13が係合することで把持部16と筒部材13が連結される。ボタン部材132が押圧されると、切欠きリング134と筒部材13との係合が外れることで把持部16と筒部材13との連結状態を容易に解除することが可能となる。
【0025】
電池カバー140は、把持部16の後面に位置し、電池を収納する空間を覆う。前面カバー172は把持部16の前面を形成する部材であり、後面カバー174は把持部16の後面を形成する部材である。
【0026】
なお、本明細書においては、把持部16および複数の筒部材13により柄部が形成される例を説明したが、清掃ヘッド12に、複数の筒部材13および把持部16に代えて1本の棒が連結されてもよく、この場合、当該1本の棒が柄部として機能する。続いて、上述した把持部16の内部構成を説明する。
【0027】
図3は、把持部16の分解図である。図3に示したように、前面カバー172と後面カバー174の間には、基板150、およびスピーカ180が設けられる。また、電池カバー140と後面カバー174の間には電池142が収納される。前面カバー172および後面カバー174の上端には、前面カバー172および後面カバー174の上端を被覆することで、前面カバー172および後面カバー174の間、および前面カバー172および後面カバー174の間の部品を固定する固定部材が設けられる。この固定部材176の外側にエンドキャップ120が設けられる。基板150は、清掃具10の動きに応じて音の出力を制御する機能を有する。また、基板150には通信部160が実装される。スピーカ180は、基板150からの制御に従って音を出力する音出力部の一例である。音出力部はスピーカ180に限られず、イヤホンまたはヘッドホンなど、音の出力機能を有する他の構成であってもよい。以下、基板150に実装される機能をより詳細に説明する。
【0028】
(基板の機能)
図4は、基板150に実装される機能を示す説明図である。図4に示したように、基板150は、操作部110、センサ部151、制御部155、記憶部158および通信部160を備える。操作部110の機能は図2を参照して説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0029】
センサ部151は、清掃具10の動きを検出する動き検出部の機能を有し、例えば、加速度センサ152およびジャイロセンサ153を有する。加速度センサ152は、清掃具10の加速度を示す値を出力し、ジャイロセンサ153は清掃具10の角速度を示す値を出力する。センサ部151は、さらに、温度センサ、湿度センサ、集音センサ、振動センサまたは圧力センサなどの他のセンサを有してもよい。
【0030】
制御部155は、例えばマイコンであり、スピーカ180による音の出力を制御する。当該制御を実現するために、制御部155は、図4に示したように動き判定部156および出力制御部157を有する。
【0031】
動き判定部156は、センサ部151により検出された清掃具10の動きが、複数種類の動きパターンのうちのいずれのパターンに該当するかを判定する。ここで、動きパターンの具体例を説明する。
【0032】
動きパターンとして、例えば4つのパターンが想定される。パターン1は、拭き方向の切り替えがない、一方向に清掃具10が動いているパターンである。パターン2は、清掃ヘッド12が曲線または8の字を描く動きのパターンである。パターン3は、短期間に拭き方向が連続で前後または左右に切り替わるパターンである。パターン4は、壁や家具等と衝突するパターンである。
【0033】
なお、動きパターンは上述した4つのパターンに限定されず、上述した4つのパターンに加えて、または上述したいずれかのパターンに代えて、他のパターンが利用されてもよい。例えば、他のパターンとしては、ユーザが屈みながら清掃具10を動かすパターンが挙げられる。
【0034】
動き判定部156は、加速度センサ152から出力される値の大きさ、立ち上がりの急峻さ、およびジャイロセンサ153から出力される値の大きさに基づき、清掃具10の動きが上述したいずれの動きパターンに該当するかを判定することが可能である。
【0035】
例えば、動き判定部156は、加速度センサ152の検出値が加速度閾値を超えない範囲で変化しており、かつ、ジャイロセンサ153の検出値が角速度閾値を超えない範囲で変化している場合に、清掃具10の動きパターンがパターン1であると判定する。なお、加速度センサ152の検出値は、加速度センサ152から出力される各サンブル値の、単位時間当たり(例えば、1秒、または2秒など)の平均値であってもよい。同様に、ジャイロセンサ153の検出値は、ジャイロセンサ153から出力される各サンブル値の、単位時間当たり(例えば、1秒、または2秒など)の平均値であってもよい。
【0036】
一方、動き判定部156は、ジャイロセンサ153の検出値が角速度閾値を超えている場合に、清掃具10の動きパターンがパターン2であると判定する。また、動き判定部156は、加速度センサ152の検出値が加速度閾値を超えている場合に、清掃具10の動きパターンがパターン3であると判定する。例えば、加速度閾値は、2秒間に清掃ヘッド12が5往復した場合に加速度センサの検出値(平均値)が上回る値であってもよい。さらに、動き判定部156は、加速度センサ152の検出値の立ち上がりが急峻で、かつ、加速度センサの検出値が加速度閾値を超えた場合に、清掃具10の動きパターンがパターン4であると判定する。また、動き判定部156は、把持部16の傾きが閾値よりも大きい場合に、清掃具10の動きパターンが上述したユーザが屈みながら清掃具10を動かすパターンであると判定する。
【0037】
出力制御部157は、記憶部158を参照し、動き判定部156により判定された動きパターンに対応する音を選択し、選択した音をスピーカ180に出力させる。記憶部158は、複数種類の動きパターンの各々に関連付けられた異なる種類の音のセットを複数記憶する。以下、記憶部158が記憶する音の複数のセットの具体例を説明する。
【0038】
図5は、複数の音のセットの具体例を示す説明図である。図5には、パターン1~パターン4の各々に関連付けられる異なる音からなる3つのセット(セットA、セットBおよびセットC)を示している。例えば、セットAにおいては、パターン1に音A1が関連付けられており、パターン2に音A2が関連付けられており、パターン3に音A3が関連付けられており、パターン4に音A4が関連付けられている。各音は、音楽であってもよいし、音声であってもよいし、効果音であってもよい。
【0039】
出力制御部157は、ユーザにより現在設定されているセットを特定し、ユーザにより現在設定されているセットにおいて、動き判定部156により判定された動きパターンに対応する音を選択する。例えば、ユーザによりセットBが設定されており、動き判定部156により判定された動きパターンがパターン3である場合、出力制御部157は音B3を選択する。そして、出力制御部157は、ユーザの操作部110への操作により現在設定されている音量で、音B3をスピーカ180から出力させる。
【0040】
ここで、出力制御部157は、選択した音の出力の開始時および終了時に、フェードインおよびフェードアウトを適用してもよい。この点について、図6を参照して具体的に説明する。
【0041】
図6は、音の出力制御の具体例を示す説明図である。なお、図6においてはセットAが設定されている例を示している。図6の上段に示したように動きパターンが判定された場合、動きパターンがパターン1であると判定された時刻t1において音A1のフェードインが開始する。そして、時刻t2で動きパターンがパターン4であると判定されると、音A4の出力がフェードイン無しに開始され、所定時間後に、音A4の出力がフェードアウトする。なお、時刻t2から音A4が出力されている間にも、音A1は継続的に出力されている。その後も、時刻t3までの動きパターンがパターン1であると判定されている間、音A1の出力が継続され、時刻t3から音A1の出力がフェードアウトする。
【0042】
続いて、動きパターンがパターン2であると判定された時刻t4において音A2のフェードインが開始する。音A2のフェードインと音A1のフェードアウトが重なっている間は、音A2および音A1の2種類の音が出力される。その後、時刻t5において動きパターンがパターン3であると判定されると、音A2の出力がフェードアウトすると共に、音A3の出力がフェードインする。音A2のフェードアウトと音A3のフェードインが重なっている間は、音A2および音A3の2種類の音が出力される。そして、時刻t6までの動きパターンがパターン3であると判定されている間、音A3の出力が継続され、時刻t6から音A3の出力がフェードアウトする。
【0043】
このようなフェードインおよびフェードアウトの適用により、自然な音出力が演出される。また、本発明の実施形態においては、スピーカ180が把持部16に設けられるので、ユーザおよび清掃具10の移動と共に、スピーカ180も移動する。このため、スピーカ180は、掃除中のユーザの近くから音を出力し続けることが可能である。従って、より小さい音量でもスピーカ180から出力される音をユーザが知覚することが可能であり、スピーカ180から出力される音がユーザ以外の人の迷惑となることを防止できる。
【0044】
制御部155は、通信部160による通信を制御する機能も有する。例えば、制御部155は、通信部160に、センサ部151により得られた検出値を含む清掃データを他の装置へ送信させてもよい。
【0045】
通信部160は、他の装置とのインタフェースであり、有線または無線で他の装置と通信する。例えば、通信部160は、他の装置へ直接、または通信網を介して清掃データを送信してもよい。通信網は、通信網に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、通信網は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0046】
<3.清掃具の動作>
以上、本発明の実施形態による清掃具10の構成を説明した。続いて、図7を参照し、本発明の実施形態による清掃具10の動作を整理する。
【0047】
図7は、本発明の実施形態による清掃具10の動作を示すフローチャートである。まず、電源スイッチ111の押圧により電源がONされると(S304)、センサ部151が有効化され、センサ部151が清掃具10の動き検出を開始する(S308)。そして、動き判定部156が、センサ部151が検出した清掃具10の動きに基づき、清掃具10の動きパターンを判定する(S312)。
【0048】
ここで、清掃具10の動きがいずれかの動きパターンに該当すると判定された場合(S316/Yes)、出力制御部157は、記憶部158を参照し、判定された動きパターンに応じた音を選択する(S320)。そして、出力制御部157は、選択した音をスピーカ180に出力させる(S324)。その後、電源スイッチ111の押圧により電源がOFFされるまで、S308からの処理が繰り返される(S328)。また、S312において清掃具10の動きがいずれの動きパターンにも該当しないと判定された場合にも(S316/No)、S308からの処理が繰り返される。
【0049】
<4.作用効果>
以上説明した本発明の実施形態による清掃具10には、多様な利点がある。例えば、本発明の実施形態による清掃具10は、ユーザが清掃具10をどのように動かすかに応じて、すなわち、ユーザがどのように清掃対象を拭くかに応じて異なる音を出力する。このため、本発明の実施形態による清掃具10によれば、ユーザがより楽しみを感じながら掃除を行うことが可能となる。
【0050】
また、本発明の実施形態による清掃具10は、音出力のための機能を把持部16に有する。当該把持部16は、筒部材13に対して着脱可能である。このため、本発明の実施形態による清掃具10の把持部16が取り付けられていない既存の清掃具を利用しているユーザが、把持部16の部分を購入して当該把持部16を既存の清掃具に付け替えることにより、本発明の実施形態による清掃具10を容易に得ることが可能である。
【0051】
また、本発明の実施形態による清掃具10には、音の複数のセットが用意されている。このため、ユーザが好みや気分に応じ、よりユーザが楽しみを感じやすい音のセットを設定することが可能となる。
【0052】
また、本発明の実施形態による清掃具10は、音の出力にフェードインおよびフェードアウトを適用する。このため、音出力をより自然に演出することが可能である。
【0053】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態を説明した。以下では、本発明の実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で本発明の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで本発明の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、本発明の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、本発明の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0054】
(第1の変形例)
上記では、清掃システムの機能が清掃具10に実装される例を説明したが、清掃システムの機能は、異なる物理的要素に分散して設けられてもよい。当該変形例について、図8を参照してより具体的に説明する。
【0055】
図8は、変形例による清掃システムを示す説明図である。図8に示したように、変形例による清掃システムは、清掃具11および操作装置18を有する。例えば、清掃具11には、センサ部151、制御部155およびスピーカ180の機能が実装され、操作装置18には、操作部110および電池142の機能が実装されてもよい。また、例えば、スピーカ180の機能は操作装置18に実装されてもよい。清掃具11と操作装置18は、図8に示したように有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。かかる構成においては、ユーザは、操作装置18を例えば身体または衣服に装着あるいは収納した状態で清掃具11を用いて掃除を行うことが可能である。
【0056】
(第2の変形例)
上記では、清掃具10の動きパターンに応じた音が出力される例を説明したが、本発明の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、清掃具10は、振動子、表示部(例えば、LED)および噴霧式匂い発生器などの出力装置を有し、動きパターンに応じた音の出力に加えて、または動きパターンに応じた音の出力に代えて、各出力装置が動きパターンに応じた出力をリアルタイムに行ってもよい。例えば、パターン1においては振動子が弱く振動し、パターン3においては振動子が強く振動し、パターン2においては振動子が振動の強弱を繰り返してもよい。かかる構成によれば、掃除をするユーザに一層の楽しみを与えることが可能である。
【0057】
(第3の変形例)
上記では、清掃具10の電源が電池である例を説明したが、清掃具10の電源は電池に限定されない。例えば、清掃具10の電源はACコンセントであってもよいし、太陽発電であってもよい。また、清掃具10の電源は、内蔵式の充電可能な二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)であってもよい。
【0058】
(第4の変形例)
上記では、動き判定部156が加速度センサ152から出力される値およびジャイロセンサ153から出力される値に基づいて清掃具10の動きパターンを判定する例を説明したが、動きパターンの判定方法はかかる例に限定されない。例えば、清掃具10は加速度センサ152またはジャイロセンサ153の一方を有し、加速度センサ152またはジャイロセンサ153の他方を有さず、動き判定部156は、加速度センサ152またはジャイロセンサ153の一方から出力される値に基づいて清掃具10の動きパターンを判定してもよい。
【0059】
また、動き判定部156は、他の種類のセンサから出力される値に基づいて清掃具10の動きパターンを判定してもよい。例えば、清掃具10が比較的激しく動かされるパターン3においては、ユーザが把持部16をより強い力で握ることが予想される。このため、把持部16に動き検出部として圧力センサを設け、動き判定部156は、当該圧力センサから出力される値に基づいて清掃具10の動きパターンを判定してもよい。
【0060】
(第5の変形例)
上記では、複数種類の音のセットから1つのセットがユーザにより設定される例を説明したが、音のセットの設定方法はかかる例に限定されない。例えば、音のセットはランダムに設定されてもよいし、日にち、曜日、月または季節などに応じて設定されてもよい。または、音のセットは、電池142の残量に応じて設定されてもよい。音のセットが電池142の残量に応じて設定される場合、ユーザは電池142の残量の減少を音の変化から把握し、適切なタイミングで電池142を交換することが可能である。
【0061】
(第6の変形例)
上記では、センサ部151が把持部16に設けられる例を説明したが、センサ部151は他の部分に設けられてもよい。例えば、センサ部151は清掃ヘッド12に設けられてもよい。かかる構成によれば、センサ部151が清掃ヘッド12の動きをより直接的に検出することが可能となる。
【0062】
(第7の変形例)
上記では、出力制御部157が、動き判定部156により判定された動きパターンに対応する音を選択する例を説明したが、出力制御部157による音の選択方法はかかる例に限定されない。例えば、出力制御部157は、センサ部151から出力される値の大きさに応じた音を選択し、選択した音をスピーカ180に出力させてもよい。具体的には、センサ部151から出力される値(加速度センサ152の検出値、またはジャイロセンサ153の検出値)の大きさに、音量、音程またはリズム(テンポの速さ)の少なくともいずれかが関連付けられており、出力制御部157は、当該関連付けに基づき、センサ部151から出力される値に応じた音を選択してもよい。関連付けの例としては、加速度センサ152の検出値が大きいほど音量が大きくなるような関連付け、加速度センサ152の検出値が大きいほど音程が高くなるような関連付け、加速度センサ152の検出値が大きいほどリズムが速くなるような関連付けなどが挙げられる。当該変形例によれば、センサ部151から出力される値とスピーカ180から出力される音を直接的かつリニアに連動させることが可能である。
【0063】
<6.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
例えば、上記では床面等の清掃対象を清掃する清掃具10に本発明の実施形態が適用される例を説明したが、他の清掃具に本発明の実施形態を適用することも可能である。他の清掃具としては、天井や棚等を清掃対象とするハンディタイプの清掃具が挙げられる。また、移動が無い静止状態にも清掃具の静止状態を1つのパターンとして扱い、音のセットを設定してもよい。
【0065】
また、本明細書の清掃具10の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、清掃具10の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0066】
また、清掃具10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した清掃具10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。
【符号の説明】
【0067】
10、11 清掃具
12 清掃ヘッド
12a ジョイント部
12b シート保持部
13 筒部材
13a 連結機構
16 把持部
18 操作装置
110 操作部
111 電源スイッチ
112 機能スイッチ
113 ダウンスイッチ
114 アップスイッチ
120 エンドキャップ
130 連結部
131 ベース部材
132 ボタン部材
134 切欠きリング
140 電池カバー
142 電池
150 基板
151 センサ部
152 加速度センサ
153 ジャイロセンサ
155 制御部
156 動き判定部
157 出力制御部
158 記憶部
160 通信部
172 前面カバー
174 後面カバー
176 固定部材
180 スピーカ

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8