(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20220509BHJP
E06B 9/262 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/262
(21)【出願番号】P 2018103957
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096060(JP,A)
【文献】特開2010-112049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0216968(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102597408(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 -9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間レールと、ボトムレールと、第1及び第2昇降コードと、第1及び第2巻取軸と、駆動装置を備える遮蔽装置であって、
前記駆動装置は、第1及び第2駆動軸と、クラッチ装置を備
え、
前記クラッチ装置は、クラッチと、第1及び第2移動部材を備え、
前記クラッチは、非連結状態では第2駆動軸の回転を第1駆動軸に伝達させず、連結状態では第2駆動軸の回転を第1駆動軸に伝達し、
第1及び第2移動部材は、それぞれ、第1及び第2駆動軸の回転に伴って第1及び第2駆動軸の軸心に沿って移動し、
前記非連結状態において、第2駆動軸の回転に伴って第2移動部材を移動させて第1移動部材を押圧して第1移動部材を第1駆動軸の軸心に沿った一方向にスライド移動させると、このスライド移動に伴って前記クラッチがスライド移動して前記連結状態とな
り、
第1及び第2昇降コードは、それぞれ、前記中間レール及びボトムレールを吊下支持し、
第1及び第2駆動軸は、それぞれ、第1及び第2昇降コードを巻き取る第1及び第2巻取軸を回転駆動し、
前記ボトムレールと前記中間レールを同時上昇させる際に、前記クラッチが前記非連結状態から前記連結状態に切り替わるように構成される、
遮蔽装置。
【請求項2】
請求項1に記載の
遮蔽装置であって、
前記クラッチ装置は、第1及び第2ギアを備え、
第2ギアは、第2駆動軸の回転に伴って回転し、
第1ギアは、第2ギアの回転に伴って回転し、
前記クラッチは、前記非連結状態では第1ギアの回転に伴って回転せず、前記連結状態では第1ギアの回転に伴って回転する、
遮蔽装置。
【請求項3】
請求項2に記載の
遮蔽装置であって、
前記クラッチ装置は、クラッチ押しを備え、
前記クラッチ押しは、第1移動部材の前記スライド移動に伴って前記クラッチと共にスライド移動し、
前記クラッチ押しは、前記第1駆動軸の回転に伴って回転し、
前記クラッチ押しは、連結機構を介して前記クラッチに連結されており、
前記連結機構は、前記クラッチの一方向回転を前記クラッチ押しに伝達し、前記クラッチ押しの一方向回転を前記クラッチに伝達しないか、又は遅延させて伝達する、
遮蔽装置。
【請求項4】
請求項3に記載の
遮蔽装置であって、
前記クラッチ装置は、付勢手段を備え、
前記付勢手段は、前記クラッチ及び前記クラッチ押しを第1ギアから離れる方向に向かって付勢する、
遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトムレールと中間レールとをそれぞれ昇降可能としたプリーツスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン等の遮蔽装置と、遮蔽装置で利用可能な駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリーツスクリーンは、上下方向にジクザグ状に折り曲げ可能としたスクリーンをヘッドボックスから吊下支持し、そのスクリーンを操作装置により昇降して採光量を適宜に調節するものである。
【0003】
このようなプリーツスクリーンの一種類として、ボトムレールと中間レールとを備え、ヘッドボックスから吊下支持される上部スクリーンの下端に中間レールを取着し、中間レールから吊下支持される下部スクリーンの下端にボトムレールを取着したものがある。上部スクリーンは、例えばレース生地等の光を一部透過させる半透過性の生地で形成され、下部スクリーンは遮光性を備えた生地で形成される。
【0004】
特許文献1には、中間レールを昇降させるための第1駆動軸に中間レールの荷重が作用しないときに、ボトムレールを昇降させるための第2駆動軸に連動して第1駆動軸を回転駆動させる構成が開示されている。このような構成によれば、中間レールの昇降コードの弛みの発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された構成では、中間レールの昇降コードにわずかに弛みが生じた後にその弛みが検出されるので、昇降コードの弛みの発生を避けることは困難である。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、中間レールの昇降コードに弛みが発生することを避けることが可能な駆動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1及び第2駆動軸と、クラッチ装置を備える駆動装置であって、前記クラッチ装置は、クラッチと、第1及び第2移動部材を備え、前記クラッチは、非連結状態では第2駆動軸の回転を第1駆動軸に伝達させず、連結状態では第2駆動軸の回転を第1駆動軸に伝達し、第1及び第2移動部材は、それぞれ、第1及び第2駆動軸の回転に伴って第1及び第2駆動軸の軸心に沿って移動し、前記非連結状態において、第2駆動軸の回転に伴って第2移動部材を移動させて第1移動部材を押圧して第1移動部材を第1駆動軸の軸心に沿った一方向にスライド移動させると、このスライド移動に伴って前記クラッチがスライド移動して前記連結状態となる、駆動装置が提供される。
【0009】
本発明では、クラッチのスライド移動に伴って第2駆動軸から第1駆動軸への回転の伝達・非伝達を切り替えている。このような構成によれば、任意のタイミングでクラッチの連結・非連結を切り替えることができるので、中間レールの昇降コードに弛みが発生する前に、第2駆動軸から第1駆動軸への回転の伝達を開始させることができ、中間レールの昇降コードに弛みが発生することが避けることができる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の駆動装置であって、前記クラッチ装置は、第1及び第2ギアを備え、第2ギアは、第2駆動軸の回転に伴って回転し、第1ギアは、第2ギアの回転に伴って回転し、前記クラッチは、前記非連結状態では第1ギアの回転に伴って回転せず、前記連結状態では第1ギアの回転に伴って回転する、駆動装置である。
好ましくは、前記記載の駆動装置であって、前記クラッチ装置は、クラッチ押しを備え、前記クラッチ押しは、第1移動部材の前記スライド移動に伴って前記クラッチと共にスライド移動し、前記クラッチ押しは、前記第1駆動軸の回転に伴って回転し、前記クラッチ押しは、連結機構を介して前記クラッチに連結されており、前記連結機構は、前記クラッチの一方向回転を前記クラッチ押しに伝達し、前記クラッチ押しの一方向回転を前記クラッチに伝達しないか、又は遅延させて伝達する、駆動装置である。
好ましくは、前記記載の駆動装置であって、前記クラッチ装置は、付勢手段を備え、前記付勢手段は、前記クラッチ及び前記クラッチ押しを第1ギアから離れる方向に向かって付勢する、駆動装置である。
好ましくは、中間レールと、ボトムレールと、第1及び第2昇降コードと、第1及び第2巻取軸と、駆動装置を備える遮蔽装置であって、前記駆動装置は、前記記載の駆動装置であり、第1及び第2昇降コードは、それぞれ、前記中間レール及びボトムレールを吊下支持し、第1及び第2駆動軸は、それぞれ、第1及び第2昇降コードを巻き取る第1及び第2巻取軸を回転駆動し、前記ボトムレールと前記中間レールを同時上昇させる際に、前記クラッチが前記非連結状態から前記連結状態に切り替わるように構成される、遮蔽装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態のプリーツスクリーンの正面図である。
【
図2】
図1のプリーツスクリーンの右側面図である。
【
図4】操作装置13の詳細な構成を示す断面図である。
【
図5】第1移動部材39が第2移動部材40から離れている状態を示し、
図5Aは、クラッチ装置38の詳細な構成を示し、
図5Bは、
図5Aに対応する中間レール3及びボトムレール5の配置を示す概略図である。
【
図7】第1移動部材39が第2移動部材40を押圧してクラッチ41をスライド移動させた状態を示し、
図7A~
図7Bは、
図5A~
図5Bに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中における各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0013】
1.プリーツスクリーンの構成
図1~
図4に示すプリーツスクリーン(「遮蔽装置」の一例)は、ヘッドボックス1から上部スクリーン2が吊下支持され、上部スクリーン2の下端に中間レール3が取着されている。中間レール3から下部スクリーン4が吊下支持され、下部スクリーン4の下端にボトムレール5が取着されている。
【0014】
上部スクリーン2はレース生地等の半透過性の生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものであり、下部スクリーン4は遮光性を備えた生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。
【0015】
上部スクリーン2の幅方向両側には第1及び第2昇降コード6,7が挿通され、第1昇降コード6の下端は中間レール3に取着されている。第2昇降コード7は、中間レール3を貫通し、さらに下部スクリーン4に挿通され、下端がボトムレール5に取着されている。
【0016】
第1及び第2昇降コード6,7の上端部は、ヘッドボックス1内で支持部材8に回転可能に支持される第1及び第2巻取軸9,10にそれぞれ巻着されている。すなわち、
図3に示すように、第1及び第2巻取軸9,10はヘッドボックス1内において第1及び第2昇降コード6,7の上方位置で水平方向に並列する状態で支持部材8に回転可能に支持されている。
【0017】
そして、第1昇降コード6の上端部が第1巻取軸9に巻着され、第2昇降コード7の上端部が第2巻取軸10に巻着され、第1及び第2昇降コード6,7は、第1及び第2巻取軸9,10に対し互いに逆方向に巻着されている。また、第1及び第2昇降コード6,7は、第1及び第2巻取軸9,10の回転に基づいて、螺旋状に巻き取られ、あるいは巻戻されるようになっている。
【0018】
第1巻取軸9には六角棒状の第1駆動軸11が相対回転不能に挿通され、第2巻取軸10には同じく六角棒状の第2駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。そして、第1駆動軸11が第1昇降コード6の巻取り方向に回転されると、第1巻取軸9に第1昇降コード6が巻き取られ、第2駆動軸12が第2昇降コード7の巻取り方向に回転されると、第2巻取軸10に第2昇降コード7が巻き取られるようになっている。
【0019】
ヘッドボックス1の一方の端部には、第1及び第2駆動軸11,12を回転駆動するための操作装置13が取着されている。
図4に示すように、操作装置13のケース14内の基端側にはプーリー15が回転可能に支持され、そのプーリー15には無端状のボールチェーン16が掛装されて下方へ垂下されている。そして、ボールチェーン16の操作によりプーリー15を回転駆動可能となっている。
【0020】
プーリー15には歯車15aが一体に形成され、その歯車15aにケース14に回転可能に支持された伝達歯車17が噛み合わされている。従って、プーリー15が回転されると、伝達歯車17が回転される。
【0021】
伝達歯車17には、同伝達歯車17の径方向両側においてケース14に回転可能に支持された一対の第1及び第2クラッチ歯車18,19が噛み合わされている。そして、伝達歯車17が回転されると、第1及び第2クラッチ歯車18,19が同方向に回転される。
【0022】
ケース14の先端側には、同一構成の第1及び第2伝達クラッチ20,21が収容され、その第1及び第2伝達クラッチ20,21の入力軸22が第1及び第2クラッチ歯車18,19の中心部に嵌着されている。従って、第1及び第2クラッチ歯車18,19が回転されると、第1及び第2伝達クラッチ20,21の入力軸22が同方向に回転されるようになっている。
【0023】
第1及び第2伝達クラッチ20,21は、入力軸22の一方向の回転のみを各出力軸23に伝達する公知の機能を備え、伝達する回転方向は互いに逆方向である。そして、第1伝達クラッチ20の出力軸23に第1駆動軸11の端部が嵌着され、第2伝達クラッチ21の出力軸23に第2駆動軸12の端部が嵌着されている。
【0024】
このような構成により、ボールチェーン16を例えば
図2に示す矢印A方向に操作すると、第2駆動軸12のみが回転されて、第2巻取軸10が第2昇降コード7の巻取り方向に回転される。
【0025】
また、ボールチェーン16を
図2に示す矢印B方向に操作すると、第1駆動軸11のみが回転されて、第1巻取軸9が第1昇降コード6の巻取り方向に回転される。
【0026】
第1及び第2駆動軸11,12は、ヘッドボックス1の中間部においてストッパー装置24に挿通されている。このストッパー装置24は、中間レール3若しくはボトムレール5の引き上げ操作の後にボールチェーン16を手放したとき、中間レール3及びボトムレール5の自重降下を防止する公知の作用をなす。
【0027】
図1及び
図3に示すように、ストッパー装置24の側方において、第1及び第2駆動軸11,12はガバナー装置36にそれぞれ挿通されている。各ガバナー装置36は、第1及び第2駆動軸11,12の回転速度を所定値以下に抑制して、中間レール3及びボトムレール5の自重降下時の下降速度を所定速度以下に抑制する。
【0028】
ヘッドボックス1の他方の端部には、クラッチ装置38が配設されている。
図5Aに示すように、クラッチ装置38は、クラッチ41と、第1及び第2移動部材39,40と、第1及び第2ギア42,43と、クラッチ押し44と、回転バネ(「連結機構」の一例)45と、コイルバネ(「付勢手段」の一例)46と、第1及び第2ネジ軸47,48と、ケース49とを備える。第1及び第2駆動軸11,12と、クラッチ装置38によって本実施形態の駆動装置が構成される。
【0029】
クラッチ41は、非連結状態では第2駆動軸12の回転を第1駆動軸11に伝達させず、連結状態では第2駆動軸12の回転を第1駆動軸11に伝達する。
【0030】
第1及び第2移動部材39,40は、それぞれ、第1及び第2ネジ軸47,48に螺合されており、第1及び第2ネジ軸47,48の回転に伴って回転しないように構成されている。このため、第1及び第2移動部材39,40は、それぞれ、第1及び第2ネジ軸47,48の回転に伴って、ネジ送り機構によって第1及び第2ネジ軸47,48に沿って移動する。第1及び第2ネジ軸47,48は、それぞれ、第1及び第2駆動軸11,12と軸心が同一であり、第1及び第2駆動軸11,12の回転に伴って回転する。このため、第1及び第2移動部材39,40は、それぞれ、第1及び第2駆動軸11,12の回転に伴って第1及び第2駆動軸11,12の軸心に沿って移動する。
【0031】
図5Aに示すように、第2移動部材40は、回転可能部材40bと、スライド部材40cと、連結バネ40dを備える。回転可能部材40bは、第2ネジ軸48に螺合されている。連結バネ40dは、コイルバネで構成され、回転可能部材40bの筒部40b1を締め付けることによって回転可能部材40bに摩擦係合されている。また、連結バネ40dの一端はスライド部材40cに係合されている。スライド部材40cは、回転不能であって、かつ第2ネジ軸に沿ってスライド可能に構成されている。第2ネジ軸48が回転すると、それに伴って回転可能部材40bが回転しようとするが、その力が連結バネ40dを介してスライド部材40cに伝達されることによって回転可能部材40bの回転が阻止される。このため、第2ネジ軸48の回転に伴って、第2移動部材40が全体として第2ネジ軸48に沿ってネジ送り機構によって移動する。
【0032】
一方、回転可能部材40bを把持して回転可能部材40bに対して、回転可能部材40bと連結バネ40dの間の摩擦力を超える回転力を加えると、回転可能部材40bが連結バネ40dに対して滑ることによって回転可能部材40bがスライド部材40c及び連結バネ40dに対して相対回転する。これによって、第2ネジ軸48を回転させることなく、回転可能部材40bを第2ネジ軸48に沿って移動させることができる。また、スライド部材40c及び連結バネ40dも回転可能部材40bの移動に伴って移動するので、結局、第2ネジ軸48を回転させることなく、第2移動部材40に沿って移動させることができる。この機能は、製品の組み立て後に、ボトムレール5の下限位置を調整するために利用可能である。例えば、製品の組み立て後に、回転可能部材40bを把持して回転させて第2移動部材40を左方向に移動させることによって、ボトムレール5の下限位置を下げることができる。
【0033】
第2移動部材40は、当接部40aを備える。第2移動部材40が第1移動部材39に向かって移動すると、当接部40aが第1移動部材39に当接し、その状態で第2移動部材40をさらに移動させると、当接部40aが第1移動部材39を押圧して、第1移動部材39を第1駆動軸11の軸心に沿った一方向(本実施形態では左方向)にスライド移動させる。
【0034】
第1移動部材39は、第1ネジ軸47に螺合されているので、第1移動部材39のスライド移動に伴って第1ネジ軸47も同様にスライド移動する。また、クラッチ押し44は、第1ネジ軸47と一体になっているので、第1ネジ軸47のスライド移動に伴ってクラッチ押し44も同様にスライド移動する。
【0035】
さらに、クラッチ押し44は、回転バネ45を介してクラッチ41に連結されている。回転バネ45の一端45aはクラッチ押し44に連結されており、回転バネ45の他端45bはクラッチ41に連結されている。回転バネ45は、第1駆動軸11の軸心に沿った方向については、クラッチ押し44とクラッチ41が一体に移動するようにクラッチ押し44とクラッチ41を連結する。このため、クラッチ押し44のスライド移動に伴ってクラッチ41も同様にスライド移動する。また、回転バネ45は、クラッチ41の一方向回転をクラッチ押し44に伝達し、クラッチ押し44の一方向回転を遅延させてクラッチ41に伝達する。
【0036】
第1及び第2ギア42,43は、常時噛み合っている。第2ギア43は、第2駆動軸12の回転に伴って回転し、第1ギア42は、第2ギア43の回転に伴って回転する。
【0037】
クラッチ41は係合突起41aを有する。クラッチ41が第1ギア42に向かってスライド移動すると、係合突起41aが第1ギア42に係合することによって、クラッチ41が非連結状態から連結状態に移行し、第1ギア42の回転がクラッチ41に伝達されるようになる。
【0038】
コイルバネ46は、クラッチ41及びクラッチ押し44を第1ギア42から離れる方向に向かって付勢する。第2移動部材40が第1移動部材39を押圧している状態から、第2移動部材40を第1移動部材39から離れる方向に移動させると、第2移動部材40による第1移動部材39の押圧が解除される。すると、コイルバネ46の付勢力によってクラッチ41及びクラッチ押し44が第1ギア42から離れる方向に向かって移動し、係合突起41aと第1ギア42の係合が解除されることによって、クラッチ41が連結状態から非連結状態に移行する。
【0039】
2.プリーツスクリーンの動作
ここで、上記のように構成されたプリーツスクリーンの動作を説明する。
【0040】
図5Bに示すように、ボトムレール5が下限位置にあり、中間レール3がヘッドボックス1とボトムレール5のほぼ中央に位置している状態を初期状態とする。中間レール3は、ストッパー装置24の自重降下防止動作により、
図5Bの位置に保持されている。第2移動部材40は、ボトムレール5の下降に伴って右方向に移動するが、
図5Aに示すように、第2移動部材40の右側がケース49に当接しているので、第2移動部材40はこれ以上に右に移動することができない。このため、ボトムレール5がこれ以上下降することができず、ボトムレール5が下限位置に保持される。
【0041】
図5の状態からボールチェーン16を矢印A方向に引き下げると、第2駆動軸12のみが回転されて第2巻取軸10に第2昇降コード7が巻き取られ、ボトムレール5が引き上げられる。
図6Aに示すように、第2駆動軸12の回転に伴って第2移動部材40が左方向に移動し、ボトムレール5が中間レール3に近接又は当接した時点で第2移動部材40の当接部40aが第1移動部材39に当接する。この時点では、第2駆動軸12の回転は、第2ギア43、及び第1ギア42には伝達されるが、クラッチ41と第1ギア42が非連結状態であるために、第1ギア42の回転がクラッチ41に伝達されない。このため、第2駆動軸12の回転は、第1駆動軸11に伝達されない。
【0042】
図6Aの状態からボールチェーン16を矢印A方向にさらに引き下げると、
図7Aに示すように、第2移動部材40がさらに左方向に移動し、当接部40aが第1移動部材39を左方向に押圧してスライド移動させる。第1移動部材39のスライド移動に伴ってクラッチ押し44、回転バネ45及びクラッチ41も左方向にスライド移動し、クラッチ41と第1ギア42が係合して連結状態となる。
【0043】
図7Aの状態からボールチェーン16を矢印A方向にさらに引き下げると、第2駆動軸12の回転が第2ギア43、第1ギア42、クラッチ41、回転バネ45の他端45bに伝達される。この際に、
図8Aに示すように、回転バネ45が縮径されて長くなることによって、クラッチ41と第1ギア42の係合がより強固になる。この状態からボールチェーン16を矢印A方向にさらに引き下げると、回転バネ45の他端45bに伝達された回転が、クラッチ押し44を介して第1駆動軸11に伝達される。そして、第1駆動軸11の回転に伴って第1昇降コード6が第1巻取軸9に巻き取られる。
【0044】
このように、本実施形態では、第2移動部材40が第1移動部材39をスライド移動させることによって、クラッチ41を非連結状態から連結状態に切り替えている。このため、ボトムレール5が中間レール3を押し上げて第1昇降コード6に弛みが発生する前に、第1昇降コード6の巻き取りを開始させることが可能である。従って、本実施形態によれば、中間レール3の第1昇降コード6に弛みが発生することが回避可能である。
【0045】
図8の状態からボールチェーン16を矢印A方向にさらに引き下げると、
図9に示すように、第2駆動軸12の回転が第1駆動軸11に伝達され、第1及び第2昇降コード6,7が第1及び第2巻取軸9,10に巻き取られながら、ボトムレール5及び中間レール3が同時上昇する。
【0046】
そして、ボトムレール5及び中間レール3を所望高さまで引き上げた後ボールチェーン16を手放すと、
図9に示すように、ストッパー装置24の自重降下防止動作により、ボトムレール5及び中間レール3が所望高さに保持される。
【0047】
この状態から、ボールチェーン16を矢印A方向にわずかに引くと、第1及び第2駆動軸11,12がわずかに回転し、その後に、ボールチェーン16から手を離すと、第1及び第2駆動軸11,12の両方のストッパー装置24の自重降下防止動作が解除され、ボトムレール5及び中間レール3が自重降下する。
【0048】
ボトムレール5及び中間レール3の自重降下に伴って、第1及び第2移動部材39,40が右方向に向かって移動し、
図10に示すように、第2移動部材40がケース49に当接した時点でボトムレール5及び中間レール3の降下が停止する。
【0049】
この状態から、ボールチェーン16を矢印B方向に引き下げると、第1駆動軸11が回転されて第1巻取軸9に第1昇降コード6が巻き取られ、中間レール3が引き上げられる。第1駆動軸11の回転は、クラッチ押し44、回転バネ45の一端45a、及び第1ネジ軸47に伝達される。
【0050】
回転バネ45の一端45aに回転が伝達される直前の時点では、回転バネ45は縮径されており、回転バネ45の一端45aに回転が伝達されると、回転バネ45が縮径された状態から自然のサイズに戻される。この間は、回転バネ45の一端45aに加わった回転はクラッチ41には伝達されない。回転バネ45が自然のサイズに戻った後は、回転バネ45がさらに拡径されながら回転バネ45の一端45aに加わった回転がクラッチ41に伝達される。従って、回転バネ45は、回転バネ45の一端45aに加わった回転を遅延させて伝達する。また、回転バネ45が拡径されることによって回転バネ45が短くなるので、クラッチ41と第1ギア42の係合が緩くなる。
【0051】
また、第1ネジ軸47の回転に伴って第1移動部材39が第1ネジ軸47に対して左方向に向かって相対移動すると、その分だけ、第2移動部材40による第1移動部材39の押圧が緩和されるので、コイルバネ46の付勢力によってクラッチ押し44、回転バネ45、クラッチ41及び第1ネジ軸47が右方向に向かって移動して、クラッチ41と第1ギア42の係合が解除されて、クラッチ41と第1ギア42が非連結状態となる。このため、第1駆動軸11の回転は、第2駆動軸12には伝達されない。
【0052】
ボールチェーン16を矢印B方向にさらに引き下げると、第1駆動軸11が回転されて第1巻取軸9に第1昇降コード6が巻き取られ、中間レール3が引き上げられて、
図5に示す状態となる。
【0053】
この状態で、ボールチェーン16を手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作により、中間レール3が所望高さに保持される。
【0054】
この状態から、ボールチェーン16を矢印B方向に引いた後に手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作が解除され、中間レール3が自重降下する。中間レール3の自重降下は、中間レール3がボトムレール5に当接するか、第1移動部材39が第2移動部材40に当接するか、又はボールチェーン16を操作してストッパー装置24の自重降下防止動作を作動させることによって停止させることができる。
【0055】
以上の方法で、ボトムレール5及び中間レール3を任意の高さ位置に保持させることができる。
【0056】
3.その他実施形態
・プリーツスクリーン以外の遮蔽装置(例:横型ブラインド、たくし上げカーテン)にも適用可能である。
・第1及び第2駆動軸の駆動手段は、電動であってもよい。
・連結機構として、回転バネ45の代わりにワンウェイクラッチを設けてもよい。この場合、ワンウェイクラッチは、クラッチ41の一方向回転(中間レール3の上昇方向の回転)はクラッチ押し44に伝達するが、クラッチ押し44の一方向回転(中間レール3の上昇方向の回転)はクラッチ41に伝達しないように構成される。
・第2移動部材40は、一部品で構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 :ヘッドボックス
2 :上部スクリーン
3 :中間レール
4 :下部スクリーン
5 :ボトムレール
6 :第1昇降コード
7 :第2昇降コード
8 :支持部材
9 :第1巻取軸
10 :第2巻取軸
11 :第1駆動軸
12 :第2駆動軸
13 :操作装置
14 :ケース
15 :プーリー
15a :歯車
16 :ボールチェーン
17 :伝達歯車
18 :第1クラッチ歯車
19 :第2クラッチ歯車
20 :第1伝達クラッチ
21 :第2伝達クラッチ
22 :入力軸
23 :出力軸
24 :ストッパー装置
36 :ガバナー装置
38 :クラッチ装置
39 :第1移動部材
40 :第2移動部材
40a :当接部
40b :回転可能部材
40b1:筒部
40c :スライド部材
40d :連結バネ
41 :クラッチ
41a :係合突起
42 :第1ギア
43 :第2ギア
44 :クラッチ押し
45 :回転バネ
46 :コイルバネ
47 :第1ネジ軸
48 :第2ネジ軸
49 :ケース