(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
H03H9/17 F
(21)【出願番号】P 2018105181
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】青木 達也
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158161(JP,A)
【文献】特開2008-066792(JP,A)
【文献】特開2010-045437(JP,A)
【文献】特開2017-225042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた下部電極と、
前記下部電極上に設けられた圧電膜と、
前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と対向する共振領域を形成するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、
前記共振領域外において前記下部電極上に設けられ前記下部電極と電気的に接続する配線と、
前記共振領域のうち前記共振領域の中心より前記下部電極が引き出される側に位置する領域の前記上部電極と前記共振領域外の前記下部電極および/または前記配線とを空隙上を介し接続する絶縁膜と、
を備え
、
前記絶縁膜と前記圧電膜の端面の少なくとも一部とは前記空隙を挟み設けられている圧電薄膜共振器。
【請求項2】
前記絶縁膜は前記圧電膜の端面と接触しない請求項
1に記載の圧電薄膜共振器。
【請求項3】
前記絶縁膜は前記下部電極および/または前記配線に接触する請求項1
または2に記載の圧電薄膜共振器。
【請求項4】
前記絶縁膜は前記基板に接触する請求項1から
3のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
【請求項5】
前記共振領域内の前記上部電極上および/または前記圧電膜の端面に設けられた保護膜を備え、
前記絶縁膜は前記保護膜より厚い請求項1から
4のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
【請求項6】
前記共振領域の中央領域には設けられておらず、前記中央領域を囲む前記共振領域内の前記下部電極と前記上部電極との間に設けられた挿入膜を備え、
前記絶縁膜は、前記挿入膜が設けられた領域において前記上部電極と接続する請求項1から
5のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
【請求項7】
前記基板と前記下部電極との間に設けられ、前記圧電膜内に励振された弾性波を反射する音響反射層を備え、
前記絶縁膜は、平面視において前記音響反射層と重ならない領域において前記上部電極と接続する請求項1から
6のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
【請求項8】
前記圧電膜の端面は前記上部電極の端面の外側に位置し、
前記絶縁膜は、前記共振領域のうち前記共振領域の中心より前記下部電極が引き出される側に位置する領域の前記上部電極および
前記共振領域より前記下部電極が引き出される側における前記圧電膜
の前記上部電極側の面と、前記共振領域外の前記下部電極および/または前記配線と、を接続する請求項1から
7のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器を含むフィルタ。
【請求項10】
請求項
9に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の無線端末の高周波回路用のフィルタおよびマルチプレクサとして圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびマルチプレクサが広く使用されている。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する構造を有している。圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する領域が共振領域である。
【0003】
共振領域内の上部電極上から共振領域外の下部電極上まで絶縁膜を設けることが知られている(例えば特許文献1)。共振領域内の上部電極上に付加膜を設けることが知られている(例えば特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-158161号公報
【文献】特開2009-200714号公報
【文献】特開2008-172494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタおよびマルチプレクサの耐電力化のため圧電薄膜共振器の耐電力化が求められている。このため、圧電薄膜共振器の共振領域内から共振領域外への放熱性を高めることが考えられる。しかしながら、共振領域内から共振領域外への放熱経路を設けると、放熱経路を介し弾性波のエネルギーが漏洩する可能性がある。これにより、圧電薄膜共振器の損失が大きくなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、放熱性を高めかつ損失を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と対向する共振領域を形成するように前記圧電膜上に設けられた上部電極と、前記共振領域外において前記下部電極上に設けられ前記下部電極と電気的に接続する配線と、前記共振領域のうち前記共振領域の中心より前記下部電極が引き出される側に位置する領域の前記上部電極と前記共振領域外の前記下部電極および/または前記配線とを空隙上を介し接続する絶縁膜と、を備え、前記絶縁膜と前記圧電膜の端面の少なくとも一部とは前記空隙を挟み設けられている圧電薄膜共振器である。
【0009】
上記構成において、前記絶縁膜は前記圧電膜の端面と接触しない構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記絶縁膜は前記下部電極および/または前記配線に接触する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記絶縁膜は前記基板に接触する構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記共振領域内の前記上部電極上および/または前記圧電膜の端面に設けられた保護膜を備え、前記絶縁膜は前記保護膜より厚い構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記共振領域の中央領域には設けられておらず、前記中央領域を囲む前記共振領域内の前記下部電極と前記上部電極との間に設けられた挿入膜を備え、前記絶縁膜は、前記挿入膜が設けられた領域において前記上部電極と接続する構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記基板と前記下部電極との間に設けられ、前記圧電膜内に励振された弾性波を反射する音響反射層を備え、前記絶縁膜は、平面視において前記音響反射層と重ならない領域において前記上部電極と接続する構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記圧電膜の端面は前記上部電極の端面の外側に位置し、前記絶縁膜は、前記共振領域のうち前記共振領域の中心より前記下部電極が引き出される側に位置する領域の前記上部電極および前記共振領域より前記下部電極が引き出される側における前記圧電膜の前記上部電極側の面と、前記共振領域外の前記下部電極および/または前記配線と、を接続する構成とすることができる。
【0016】
本発明は、上記圧電薄膜共振器を含むフィルタである。
【0017】
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、放熱性を高めかつ損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図1(b)および
図1(c)は、それぞれ
図1(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図2】
図2(a)は、比較例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図2(b)は、共振領域内の温度を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、実施例1の変形例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図3(b)および
図3(c)は、それぞれ
図3(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図4】
図4(a)は、実施例1の変形例2に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図4(b)および
図4(c)は、それぞれ
図4(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図5(b)および
図5(c)は、それぞれ
図5(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図6】
図6(a)は、実施例1の変形例4に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図6(b)および
図6(c)は、それぞれ
図6(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図7】
図7(a)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図7(b)および
図7(c)は、それぞれ
図7(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図8】
図8(a)から
図8(c)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す図(その1)である。
【
図9】
図9(a)から
図9(c)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す図(その2)である。
【
図10】
図10(a)から
図10(c)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す図(その3)である。
【
図11】
図11(a)は、実施例1の変形例6に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図11(b)および
図11(c)は、それぞれ
図11(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図12】
図12(a)は、実施例1の変形例7に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図12(b)および
図12(c)は、それぞれ
図12(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図13】
図13(a)から
図13(c)は、それぞれ実施例1の変形例8から10に係る圧電薄膜共振器の断面図である。
【
図14】
図14(a)から
図14(c)は、それぞれ実施例1の変形例11から13に係る圧電薄膜共振器の断面図である。
【
図15】
図15(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図、
図15(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図1(b)および
図1(c)は、それぞれ
図1(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図1(a)では、下部電極12、上部電極16、配線20、21および絶縁膜22を図示している。
【0022】
図1(a)から
図1(c)に示すように、シリコン(Si)基板である基板10上に、下部電極12が設けられている。基板10の平坦主面と下部電極12との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成されている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙30の周辺では空隙30の高さが小さく、空隙30の内部ほど空隙30の高さが大きくなるような形状の膨らみである。空隙30は、圧電膜14に励振された弾性波を反射する音響反射層として機能する。下部電極12は例えば基板10側からCr(クロム)膜およびRu(ルテニウム)膜である。
【0023】
下部電極12上に、(002)方向(C軸方向)を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする圧電膜14が設けられている。圧電膜14の少なくとも一部を挟み下部電極12と対向する領域(共振領域50)を有するように圧電膜14上に上部電極16が設けられている。共振領域50は、楕円形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。平面視において空隙30は共振領域50を含むように設けられる。これにより、圧電膜14に励振された弾性波は空隙30により反射される。上部電極16は例えば圧電膜14側からRu膜およびCr膜である。
【0024】
共振領域50から下部電極12および上部電極16が引き出される領域がそれぞれ引き出し領域52および56である。引き出し領域52および56以外は領域54である。領域52および54では上部電極16の輪郭により共振領域50の輪郭が画定され、領域56では下部電極12の輪郭により共振領域50の輪郭が画定される。領域54では、下部電極12が上部電極16を囲む。これにより、下部電極12と上部電極16との位置合わせずれが生じても共振領域50の面積の変化を抑制できる。
【0025】
共振領域50外の領域52および54における下部電極12上に下部電極12と電気的に接続する配線20が設けられている。領域56における上部電極16上に上部電極16に電気的に接続する配線21が設けられている。配線20および21は、例えば下部電極12および上部電極16側からTi(チタン)膜およびAu(金)膜である。配線20および21の膜厚は、圧電膜14の膜厚と同程度である。
【0026】
共振領域50の周縁部の上部電極16と配線20とを接続する絶縁膜22が設けられている。絶縁膜22は圧電膜14の端面には接しておらず、圧電膜14と配線20との間には空隙26が設けられている。絶縁膜22は例えば酸化シリコン膜である。共振領域50内の上部電極16上および圧電膜14の端面には、保護膜として酸化シリコン膜が設けられていてもよい。
【0027】
図1(a)のように、下部電極12には犠牲層をエッチングするための導入路34が形成されている。犠牲層は空隙30を形成するための層である。導入路34の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路34の先端に孔部32を有する。
【0028】
2GHzの共振周波数を有する圧電薄膜共振器の場合、下部電極12のCr膜からなる下層12aの膜厚は100nm、Ru膜からなる上層12bの膜厚は210nmである。AlN膜からなる圧電膜14の膜厚は1100nmである。上部電極16のRu膜からなる下層16aの膜厚は230nm、Cr膜からなる上層16bの膜厚は50nmである。酸化シリコン膜からなる保護膜の膜厚は50nmである。
【0029】
基板10としては、Si基板以外に、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16としては、RuおよびCr以外にもAl(アルミニウム)、Ti、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)またはIr(イリジウム)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。例えば、上部電極16の下層16aをRu、上層16bをMoとしてもよい。
【0030】
圧電膜14は、例えば(002)方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする窒化アルミニウム膜である。圧電膜14は、窒化アルミニウム以外にも、ZnO(酸化亜鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PbTiO3(チタン酸鉛)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、Sc(スカンジウム)、2族または12族の元素と4族の元素との2つの元素、または2族または12族と5族との2つの元素を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2族の元素は、例えばCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sr(ストロンチウム)であり12族元素は例えばZn(亜鉛)である。4族の元素は、例えばTi、Zr(ジルコニウム)またはHf(ハフニウム)である。5族の元素は、例えばTa、Nb(ニオブ)またはV(バナジウム)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、B(ボロン)を含んでもよい。
【0031】
絶縁膜22は、酸化シリコン膜以外にも窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜または窒化アルミニウム膜を用いることができる。絶縁膜22の膜厚は例えば圧電膜14の膜厚と同程度である。共振周波数が1700MHzから2200MHzのとき絶縁膜22の膜厚は例えば125nmから3200nmである。共振周波数が2300MHzから2700MHzのとき絶縁膜22の膜厚は例えば100nmから2800nmである。共振周波数が3300MHzから4200MHzのとき絶縁膜22の膜厚は例えば60nmから1600nmである。共振周波数が4400MHzから5000MHzのとき絶縁膜22の膜厚は例えば500nmから1200nmである。共振周波数が5000MHzから6000MHzのとき絶縁膜22の膜厚は例えば35nmから1000nmである。
【0032】
[比較例1]
比較例1として、絶縁膜22を設けない圧電薄膜共振器を作製した。作製条件は、実施例1において2GHzの共振周波数として例示した条件である。共振領域50は長軸が約155μm、短軸が約100μmである。比較例に係る圧電薄膜共振器に高周波電力を印加し、85℃の環境温度下にて共振領域50内の温度を測定した。
【0033】
図2(a)は、比較例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図2(b)は、共振領域内の温度を示す図である。
図2(a)に示すように、共振領域50内において、引き出し領域56側の短軸上の位置A1、共振領域50の中心の位置A2、引き出し領域52側の短軸上の位置A3、および長軸上の端部の位置A4について温度を測定した。
【0034】
比較例1の圧電薄膜共振器の共振周波数および反共振周波数はそれぞれ2453MHzおよび2512MHzである。
図2(b)に示すように、比較例1に周波数が2453MHz、2459MHz、2475MHz、2483MHzおよび2512MHzの周波数の高周波信号を印加した。それぞれの周波数における出力電力および位置A1からA4における温度を測定した。周波数が2483MHz以外では位置A3の温度が最も高い。周波数が2483MHzのとき、位置A3の温度は2番目に高かった。位置A1では温度が最も低い。
【0035】
この結果から、共振領域50において発生した熱は、上部電極16下に設けられた圧電膜14を介し基板10に放出されると考えられる。位置A3では、外側に圧電膜14が設けられておらず、上部電極16の引き出し領域56まで遠いため発熱するものと考えられる。位置A3の温度が高くなると、下部電極12、圧電膜14および上部電極16のいずれかにおいて膜剥がれが生じる等により積層構造が破壊されることがある。これにより耐電力性が低くなる。
【0036】
実施例1によれば、絶縁膜22は、共振領域50の中心より下部電極12が引き出される側に位置する領域の上部電極16と共振領域50外の配線20とを接続する。これにより、絶縁膜22は共振領域50から配線21への放熱経路として機能する。よって、位置A3の温度を下げることができ、耐電力性を高めることができる。さらに、絶縁膜22と圧電膜14の端面の少なくとも一部とは空隙26を挟み設けられている。これにより、共振領域50内の圧電膜14を横方向に伝搬する弾性波が絶縁膜22に漏洩することを抑制できる。よって、圧電薄膜共振器の損失を抑制することができる。
【0037】
共振領域50内のうち絶縁膜22が接続する領域は、共振領域50の中心(例えば重心)より引き出し領域52側であればよい。絶縁膜22が上部電極16に接続する領域は、共振領域50の外周に接することが好ましい。これにより、最も発熱しやすい領域からの放熱性を高めることができる。絶縁膜22が上部電極16に接続する領域は共振領域50の外周から離間していてもよい。
【0038】
絶縁膜22が上部電極16に接続する領域の幅(共振領域50の中心を通る直線に沿った幅)が大きくなると放熱性が高まる。しかし、絶縁膜22が共振領域50内に接続すると、弾性波の励振が抑制される。これらより、絶縁膜22が上部電極16に接続する領域の幅は、共振周波数が1700MHzから2200MHzのときは0.125μm以上かつ14μm以下が好ましい。共振周波数が2300MHzから2700MHzのとき、この幅は0.1μm以上かつ12.5μm以下が好ましい。共振周波数が3300MHzから4200MHzのとき、この幅は0.06μm以上かつ10μm以下が好ましい。共振周波数が4400MHzから5000MHzのとき、この幅は0.05μm以上かつ7.5μm以下が好ましい。共振周波数が5000MHzから6000MHzのとき、この幅は0.035μm以上かつ6μm以下が好ましい。
【0039】
[実施例1の変形例1]
図3(a)は、実施例1の変形例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図3(b)および
図3(c)は、それぞれ
図3(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図3(a)から
図3(c)に示すように、実施例1の変形例1では、絶縁膜22は、領域52および54において配線20と圧電膜14との間の下部電極12の上面および配線20の内側の側面に接触し、配線20の上面に接していない。絶縁膜22と圧電膜14との間には空隙26が形成されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0040】
[実施例1の変形例2]
図4(a)は、実施例1の変形例2に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図4(b)および
図4(c)は、それぞれ
図4(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図4(a)から
図4(c)に示すように、実施例1の変形例2では、絶縁膜22は、領域52および54において配線20と圧電膜14との間の下部電極12の上面、配線20の内側の側面、および配線20の上面に接触している。絶縁膜22と圧電膜14との間には空隙26が形成されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0041】
[実施例1の変形例3]
図5(a)は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図5(b)および
図5(c)は、それぞれ
図5(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図5(a)から
図5(c)に示すように、実施例1の変形例3では、絶縁膜22は、領域52および54において配線20と圧電膜14との間の下部電極12の上面、配線20の内側の側面、および配線20の上面に接触している。絶縁膜22と圧電膜14との間には空隙26が形成されている。領域54において、絶縁膜22は、配線20の外側の側面および配線20より外側の基板10の上面に接している。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0042】
[実施例1の変形例4]
図6(a)は、実施例1の変形例4に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図6(b)および
図6(c)は、それぞれ
図6(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図6(a)から
図6(c)に示すように、実施例1の変形例4では、絶縁膜22は、領域52において配線20の上面に接触しており、配線20と圧電膜14との間には設けられていない。絶縁膜22と圧電膜14との間には空隙26が形成されている。領域54において、絶縁膜22は、下部電極12および配線20と接しておらず、配線20より外側の基板10の上面に接している。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0043】
実施例1およびその変形例1のように、絶縁膜22は、共振領域50内の上部電極16と共振領域50外の下部電極12および/または配線20とを接続すればよい。
【0044】
絶縁膜22は圧電膜14と接触していない。これにより、圧電膜14から絶縁膜22を介した弾性波の漏洩を抑制できる。よって、圧電薄膜共振器の損失を抑制できる。
【0045】
実施例1の変形例1から3のように、絶縁膜22は下部電極12に接触する。これにより、共振領域50において発生した熱を下部電極12に放出することができる。実施例1およびその変形例1から4のように、絶縁膜22は配線20に接触する。これにより、共振領域50において発生した熱を配線20に放出することができる。放熱性の観点から、絶縁膜22は下部電極12および配線20に接触することが好ましい。実施例1の変形例3および4のように、絶縁膜22は基板10に接触してもよい。これにより、共振領域50において発生した熱を基板10に放出することができる。
【0046】
[実施例1の変形例5]
図7(a)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図7(b)および
図7(c)は、それぞれ
図7(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図7(a)から
図7(c)に示すように、実施例1の変形例5では、配線20は圧電膜14より薄い。絶縁膜22は、配線20上に設けられた台座部22bと接続部22aとを備えている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0047】
[実施例1の変形例5の製造方法]
図8(a)から10(c)は、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す図である。
図8(a)、
図9(a)および
図10(a)は平面図、
図8(b)、
図9(b)および
図10(b)は、
図8(a)、
図9(a)および
図10(a)のA-A断面図、
図8(c)、
図9(c)および
図10(c)は、
図8(a)、
図9(a)および
図10(a)のB-B断面図である。
【0048】
図8(a)から
図8(c)に示すように、下部電極12、圧電膜14、上部電極16、配線20および21を周知の方法を用い形成する。領域52および54において、配線20上に台座部22bを形成する。台座部22bは、例えば酸化シリコン膜であり、真空蒸着法またはスパッタリング法およびリフトオフ法を用い形成する。台座部22bの上面と共振領域50内の上部電極16の上面とがほぼ同じ高さとなるようにする。台座部22bは、真空蒸着法またはスパッタリング法およびリフトオフ法を複数回繰り返して形成してもよい。
【0049】
図9(a)から
図9(c)に示すように、領域52および54において、圧電膜14と配線20および台座部22bとの間に犠牲層25を形成する。犠牲層25は、例えば酸化マグネシウム膜であり、真空蒸着法またはスパッタリング法およびリフトオフ法を用い形成する。犠牲層25の上面は、台座部22bの上面と同じまたは高くする。
【0050】
図10(a)から
図10(c)に示すように、共振領域50の端部および領域52および54の犠牲層25および台座部22b上に接続部22aを形成する。接続部22aは、例えば酸化シリコン膜であり、真空蒸着法またはスパッタリング法およびリフトオフ法を用い形成する。接続部22aの膜厚は犠牲層25の段差により断線しない程度の厚さとする。台座部22bおよび接続部22aにより絶縁膜22が形成される。その後、絶縁膜22がエッチングされないような媒体を用い犠牲層25を除去する。これにより、実施例1の変形例5に係る圧電薄膜共振器が製造される。
【0051】
実施例1の変形例5のように、配線20の上面が共振領域50内の上部電極16の上面より低いとき、配線20上に台座部22bを形成する。これにより、空隙26上に上部電極16と配線20とを接続する絶縁膜22を形成できる。
【0052】
[実施例1の変形例6]
図11(a)は、実施例1の変形例6に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図11(b)および
図11(c)は、それぞれ
図11(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図11(a)から
図11(c)に示すように、実施例1の変形例6では、配線20は圧電膜14より厚い。絶縁膜22は、共振領域50内の上部電極16上に設けられた台座部22bと接続部22aとを備えている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0053】
実施例1の変形例6のように、配線20の上面が共振領域50内の上部電極16の上面より高いとき、共振領域50内の上部電極16上に台座部22bを形成する。これにより、空隙26上に上部電極16と配線20とを接続する絶縁膜22を形成できる。
【0054】
[実施例1の変形例7]
図12(a)は、実施例1の変形例7に係る圧電薄膜共振器の平面図、
図12(b)および
図12(c)は、それぞれ
図12(a)のA-A断面図およびB-B断面図である。
図12(a)から
図12(c)に示すように、実施例1の変形例7では、絶縁膜22に空隙26とつながる孔23が設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0055】
実施例1の変形例7では、犠牲層25を除去する媒体を孔23を介して空隙26に導入できる。
【0056】
[実施例1の変形例8]
図13(a)は、実施例1の変形例8に係る圧電薄膜共振器の断面図である。実施例1の変形例8から10では、ドーム状の空隙30を基板10に設けられた空隙30として図示する。
図13(a)に示すように、実施例1の変形例8では、圧電膜14は下部電極12上に設けられた下部圧電膜14aと下部圧電膜14a上に設けられた上部圧電膜14bとを備えている。下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に挿入膜28が設けられている。挿入膜28は、共振領域50の中央領域57に設けられておらず、共振領域50の外周領域58に中央領域57を囲むように設けられている。挿入膜28は、例えば膜厚が100nmの酸化シリコン膜であり、挿入膜28のヤング率は圧電膜14のヤング率より小さい。共振領域50の外周領域58の一部に挿入膜28を設けることで、弾性波の横方向への漏洩を抑制し圧電薄膜共振器の損失を抑制できる。
【0057】
下部電極12の引き出し領域52において、上部圧電膜14bの端面は上部電極16の端面と略一致する。下部圧電膜14aの端面は上部圧電膜14bの端面より外側に位置している。下部圧電膜14aの上面には挿入膜28が設けられている。保護膜24は、共振領域50の上部電極16の上面、領域52の上部電極16の端面、上部圧電膜14bの端面、挿入膜28の上面、下部圧電膜14aの端面および下部電極12の上面に接して設けられている。保護膜24は例えば膜厚が50nmの酸化シリコン膜である。
【0058】
領域52において、下部圧電膜14aから下部電極12上にかけて配線20が設けられている。絶縁膜22は、外周領域58の上部電極16の上面と配線20の上面とを接続する。絶縁膜22と圧電膜14との間には空隙26が設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0059】
実施例1の変形例8のように、上部圧電膜14bの端面と絶縁膜22との間に空隙26が設けられている。これにより、圧電膜14から絶縁膜22への弾性波の漏洩を抑制できる。また、圧電膜14内に挿入膜28が設けられていてもよい。挿入膜28は、下部電極12と圧電膜14との間または圧電膜14と上部電極16との間に設けられていてもよい。
【0060】
挿入膜28は、共振領域50の中央領域57には設けられておらず、中央領域57を囲む共振領域50内の下部電極12と上部電極16との間に設けられている。挿入膜28は、中央領域57を完全に囲ってもよいし、中央領域57の一部を囲ってもよい。例えば挿入膜28は上部電極16が引き出される側には設けられていなくてもよい。圧電薄膜共振器の主モードである厚み縦振動モードの弾性波は主に中央領域57において励振されている。そこで、絶縁膜22は、挿入膜28が設けられた領域において上部電極16と接続することが好ましい。これにより、共振領域50から絶縁膜22への弾性波の漏洩がより抑制される。よって、圧電薄膜共振器の損失をより抑制できる。絶縁膜22は、挿入膜28が設けられていない領域において上部電極16と接続しないことが好ましい。
【0061】
共振領域50内の上部電極16上の少なくとも一部および/または圧電膜14の端面の少なくとも一部に保護膜24が設けられている。保護膜24は薄ければ弾性波の漏洩にはほとんど寄与しないが放熱にもほとんど寄与しない。絶縁膜22を放熱に寄与する膜厚とすると弾性波が絶縁膜22を介し漏洩してしまう。そこで、絶縁膜22は保護膜24より厚い。例えば絶縁膜22の膜厚は保護膜24の膜厚の5倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましい。
【0062】
[実施例1の変形例9]
図13(b)は、実施例1の変形例9に係る圧電薄膜共振器の断面図である。
図13(b)に示すように、実施例1の変形例9では、絶縁膜22は共振領域50内の上部電極16の上面、上部圧電膜14bの端面および領域52における挿入膜28の上面と配線20とを空隙26上を介し接続している。その他の構成は実施例1の変形例8と同じであり説明を省略する。
【0063】
実施例1の変形例9のように絶縁膜22は圧電膜14の端面の少なくとも一部に接触していてもよい。絶縁膜22が上部電極16と共振領域50外の下部電極12および/または配線20とを空隙26上を介し接続する。すなわち、共振領域50内の上部電極16と共振領域50外の下部電極12および/または配線20との間において、絶縁膜22は空隙26(空気層)に囲まれている。これにより、共振領域50から絶縁膜22を介した弾性波の漏洩を抑制できる。圧電膜14の端面の少なくとも一部に接触する絶縁膜22の圧電膜14の端面の法線方向の膜厚は空隙26上の絶縁膜22の膜厚より薄いことが好ましい。これにより、弾性波の漏洩を抑制できる。
【0064】
[実施例1の変形例10]
図13(c)は、実施例1の変形例10に係る圧電薄膜共振器の断面図である。
図13(c)に示すように、実施例1の変形例10では、領域52において、上部圧電膜14bの端面は上部電極16の端面より外側に位置している。絶縁膜22は共振領域50内の上部電極16の上面および領域52における上部圧電膜14bの上面と配線20とを空隙26上を介し接続している。その他の構成は実施例1の変形例8と同じであり説明を省略する。
【0065】
実施例1の変形例10のように、圧電膜14の端面は上部電極16の端面の外側に位置する。絶縁膜22は、共振領域50のうち下部電極12が引き出される側の領域の上部電極16および上部電極16が設けられた圧電膜14の上面と、共振領域50外の下部電極12および/または配線20と、を接続する。これにより、放熱性をより高めることができる。
【0066】
[実施例1の変形例11]
図14(a)は、実施例1の変形例11に係る圧電薄膜共振器の断面図である。
図14(a)に示すように、平面視において、基板10と下部電極12との間に設けられた空隙30は、絶縁膜22が上部電極16と接続する領域に重なっていない。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0067】
空隙30は圧電膜14内に励振された弾性波反射する。よって、圧電薄膜共振器の主モードである厚み縦振動モードの弾性波は主に共振領域50上のうち空隙30と重なる領域において励振される。そこで、絶縁膜22は、平面視において空隙30と重ならない領域において上部電極16と接続することが好ましい。これにより、共振領域50から絶縁膜22への弾性波の漏洩がより抑制される。よって、圧電薄膜共振器の損失をより抑制できる。絶縁膜22は、平面視において空隙30と重なる領域において上部電極16と接続しないことが好ましい。
【0068】
[実施例1の変形例12]
図14(b)は、実施例1の変形例12に係る圧電薄膜共振器の断面図である。
図14(b)に示すように、基板10の上面に窪みが形成されている。下部電極12は、基板10上に平坦に形成されている。これにより、空隙30が、基板10の窪みに形成されている。空隙30は共振領域50を含むように形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。空隙30は、基板10を貫通するように形成されていてもよい。
【0069】
[実施例1の変形例13]
図14(c)は、実施例1の変形例13に係る圧電薄膜共振器の断面図である。
図14(c)に示すように、共振領域50の下部電極12下に音響反射膜31が形成されている。音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜31aと音響インピーダンスの高い膜31bとが交互に設けられている。膜31aおよび31bの膜厚は例えばそれぞれλ/4(λは弾性波の波長)である。膜31aと膜31bの積層数は任意に設定できる。音響反射膜31は、音響特性の異なる少なくとも2種類の層が間隔をあけて積層されていればよい。また、基板10が音響反射膜31の音響特性の異なる少なくとも2種類の層のうちの1層であってもよい。例えば、音響反射膜31は、基板10中に音響インピーダンスの異なる膜が一層設けられている構成でもよい。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
【0070】
実施例1およびその変形例1から11において、実施例1の変形例12と同様に空隙30を形成してもよく、実施例1の変形例13と同様に空隙30の代わりに音響反射膜31を形成してもよい。
【0071】
実施例1およびその変形例1から12のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において空隙30が基板10と下部電極12との間に形成されているFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)でもよい。また、実施例1の変形例13のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において下部電極12下に圧電膜14を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜31を備えるSMR(Solidly Mounted Resonator)でもよい。共振領域50と重なる音響反射層は、空隙30または音響反射膜31を含めばよい。
【0072】
実施例1およびその変形例において、共振領域50の平面形状として楕円形状を例に説明したが、四角形状または五角形状等の多角形状でもよい。
【実施例2】
【0073】
実施例2は、実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。
図15(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。
図15(a)に示すように、入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP4の少なくとも1つの共振器に実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いることができる。絶縁膜22は、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の全てに設けてもよい。絶縁膜22は、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の一部の共振器に設け、他の共振器には設けなくてもよい。例えば、直列共振器S1からS4には大電力の高周波電力が印加される。そこで、直列共振器S1からS4に絶縁膜22を設け、並列共振器P1からP4に設けなくてもよい。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。
【0074】
図15(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
図15(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。送信フィルタ40には大電力の高周波信号が印加される。そこで、送信フィルタ40に実施例2のフィルタを用いることが好ましい。
【0075】
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
【0076】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 基板
12 下部電極
14 圧電膜
14a 下部圧電膜
14b 上部圧電膜
16 上部電極
20、21 配線
22 絶縁膜
24 保護膜
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ
50 共振領域
52、54、56 領域
57 中央領域
58 外周領域