(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】接続端子及び端子接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/28 20060101AFI20220509BHJP
H01R 13/11 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H01R13/28
H01R13/11 301D
(21)【出願番号】P 2018111228
(22)【出願日】2018-06-11
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴彦
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535140(JP,A)
【文献】米国特許第03099510(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/00-13/35
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部に加締めて圧着される筒状の電線接続部と、
前記電線接続部の一開口端に一端が連続形成されて前記電線接続部の横断面形状よりも大きい横断面形状を有する筒状の中間部と、
前記中間部の他端に連続形成されて前記中間部の横断面形状よりも大きい横断面形状を有する筒状の端子接続部と、
前記端子接続部の内側に突出状に形成された端子接触部と、
を備え
る接続端子であって、
前記中間部は、前記接続端子と同一形状および同一寸法を有するもう一つの前記接続端子の前記端子接続部に挿入可能であって、もう一つの前記接続端子の前記端子接触部に接触し、前記接続端子と前記もう一つの前記接続端子とを電気的に接続させることができる
ことを特徴とする接続端子。
【請求項2】
請求項1に記載の接続端子であって、
前記端子接触部は、前記端子接続部の端子嵌合方向に沿って所定長さで形成された一対の平行なスリットに挟まれた部分が前記端子接続部の内側に突出するように塑性変形して構成されていることを特徴とする接続端子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された接続端子の構成を有する第1の接続端子における前記電線接続部側から挿入された一方の電線の端部に加締めて圧着された前記電線接続部と、
請求項1又は2に記載された接続端子の構成を有する第2の接続端子における前記端子接続部側から挿入された他方の電線の端部に加締めて圧着された前記電線接続部と、を備え、
前記第2の接続端子の前記中間部が前記第1の接続端子の前記端子接続部内へ挿入され、前記第1の接続端子の前記端子接触部に接触させられることで、同一形状を有する前記第1の接続端子と前記第2の接続端子が電気的に接続されている
ことを特徴とする端子接続構造。
【請求項4】
請求項3に記載の端子接続構造であって、
相互接続された前記第1の接続端子と前記第2の接続端子を受容して接続状態を保持する受容部を有するハウジングを備えた
ことを特徴とする端子接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子及び端子接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雄端子と雌端子を使い分ける必要のない雌雄共用端子として、例えば特許文献1に開示された接続端子が知られている。このような雌雄共用端子によれば、同一種類の接続端子相互間で互いに接続自在な構造として接続端子の単一種類化を図り、製造コストの低減が可能となる。
【0003】
特許文献1に開示された接続端子は、一方側に電線接続部を備えると共に、他方側に端子接続部を備えている。端子接続部は、細長板状のタブ接続部と、タブ接続部にその一側面側に突出状に形成されたエンボス部と、タブ接続部における電線接続部寄りの側縁部より延設されると共にタブ接続部の一側面に所定間隔を有して対向配置されたタブ保持片とを備える。
そして、この接続端子を電線相互間の接続に用いる場合には、各電線端部に電線接続部の圧着片をそれぞれ圧着して接続し、各電線にそれぞれ取付けられた接続端子の各端子接続部を互いに接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような接続端子の端子接続部を接続する際には、一方の接続端子を反転状として、各接続端子におけるタブ接続部が両保持片とエンボス部との間に挿入される。そこで、各電線接続部の圧着片にそれぞれ電線端部が圧着された電線同士は、互いに軸心が平行にずれて配置されることになる。その為、相互接続された接続端子同士は、体格が大きくなり、狭いスペースへの設置が困難となる場合があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続端子の単一種類化を図って製造コストを低減するとともに、相互接続された際の体格の縮小を図って設置スペースをコンパクトにできる接続端子及び端子接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した本発明の目的は、下記の構成の接続端子及び端子接続構造により達成される。(1) 電線の端部に加締めて圧着される筒状の電線接続部と、前記電線接続部の一開口端に一端が連続形成されて前記電線接続部の横断面形状よりも大きい横断面形状を有する筒状の中間部と、前記中間部の他端に連続形成されて前記中間部の横断面形状よりも大きい横断面形状を有する筒状の端子接続部と、前記端子接続部の内側に突出状に形成された端子接触部と、を備える接続端子であって、前記中間部は、前記接続端子と同一形状および同一寸法を有するもう一つの前記接続端子の前記端子接続部に挿入可能であって、前記もう一つの前記接続端子の前記端子接触部に接触し、前記接続端子と前記もう一つの前記接続端子とを電気的に接続させることができることを特徴とする接続端子。
【0008】
上記(1)の構成の接続端子によれば、一方の接続端子の電線接続部側が他方の接続端子の端子接続部側から内方へ重なるように挿入され、一方の接続端子の中間部が他方の接続端子の端子接触部に接触させられることで、同一形状を有する一方の接続端子と他方の接続端子を電気的に接続させることができる。そこで、雌雄共用端子として接続端子の単一種類化を図って、接続端子の製造コストを低減することができる。また、一方の接続端子の端子接続部内へ他方の接続端子の中間部が挿入されるので、相互接続された接続端子同士は端子嵌合方向の体格の縮小を図ることもできる。
【0009】
(2) 上記(1)に記載の接続端子であって、前記端子接触部は、前記端子接続部の端子嵌合方向に沿って所定長さで形成された一対の平行なスリットに挟まれた部分が前記端子接続部の内側に突出するように塑性変形して構成されていることを特徴とする接続端子。
【0010】
上記(2)の構成の接続端子によれば、端子接続部に形成された一対の平行なスリットに挟まれた部分は、両持ち梁状となるため、小さな塑性変形で大きな弾性接触力を付与することができる。そこで、電気的に接続された一方の接続端子と他方の接続端子とは、互いにわずかに傾いた場合であっても、安定した接触抵抗を得ることができる。また、端子接続部の端子嵌合方向に沿って形成された一対の平行なスリットに挟まれた部分は、挿入された接続端子の中間部を面で弾性接触することができ、相互接続をスムーズに行うことができる。
【0011】
(3) 上記(1)又は(2)に記載された接続端子の構成を有する第1の接続端子における前記電線接続部側から挿入された一方の電線の端部に加締めて圧着された前記電線接続部と、上記(1)又は(2)に記載された接続端子の構成を有する第2の接続端子における前記端子接続部側から挿入された他方の電線の端部に加締めて圧着された前記電線接続部と、を備え、前記第2の接続端子の前記中間部が前記第1の接続端子の前記端子接続部内へ挿入され、前記第1の接続端子の前記端子接触部に接触させられることで、同一形状を有する前記第1の接続端子と前記第2の接続端子が電気的に接続されていることを特徴とする端子接続構造。
【0012】
上記(3)の構成の端子接続構造によれば、第1の接続端子における電線接続部側から一方の電線の端部を電線接続部に挿入し、加締めて圧着すると共に、第2の接続端子における端子接続部側から他方の電線の端部を電線接続部に挿入し、加締めて圧着することができる。そこで、第2の接続端子の電線接続部側が第1の接続端子の端子接続部側から内方へ重なるように挿入され、第2の接続端子の中間部が第1の接続端子の端子接触部に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子と第2の接続端子とが電気的に接続される。
従って、筒状の端子接続部と同心の筒状に形成された各電線接続部にそれぞれ電線端部が圧着された電線同士は、実質的に同軸に配置されるため、相互接続された接続端子同士は端子嵌合方向と直交する方向の体格が大きくなるのを抑制される。また、第1の接続端子の端子接続部内へ第2の接続端子の中間部が挿入されるので、相互接続された接続端子同士は端子嵌合方向の体格の縮小を図ることもできる。
【0013】
(4) 上記(3)に記載の端子接続構造であって、相互接続された前記第1の接続端子と前記第2の接続端子を受容して接続状態を保持する受容部を有するハウジングを備えたことを特徴とする端子接続構造。
【0014】
上記(4)の構成の端子接続構造によれば、相互接続された第1の接続端子と第2の接続端子が、ハウジングの受容部に受容されて接続状態を保持される。そこで、第1の接続端子と第2の接続端子は、安定した接続状態を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接続端子の単一種類化を図って製造コストを低減するとともに、相互接続された際の体格の縮小を図って設置スペースをコンパクトにできる接続端子及び端子接続構造を提供できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る接続端子の斜視図であり、(b)は(a)におけるA-A断面である。
【
図2】(a)~(c)は、
図1に示した接続端子における電線接続部側から挿入された一方の電線の端部が電線接続部に加締めて圧着される手順を説明する斜視図である。
【
図3】(a)~(c)は、
図1に示した接続端子における端子接続部側から挿入された他方の電線の端部が電線接続部に加締めて圧着される手順を説明する斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る端子接続構造を説明する斜視図であり、(a)は第1の接続端子と第2の接続端子が接続される前の状態を示し、(b)は第1の接続端子と第2の接続端子が接続された状態を示す。
【
図5】(a)は
図4の(b)に示した第1の接続端子と第2の接続端子の接続状態を示す要部拡大平面図であり、(b)は(a)におけるB-B断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る端子接続構造を説明する説明図であり、(a)は第1の接続端子と第2の接続端子が接続される前の状態を示す斜視図、(b)は第1の接続端子と第2の接続端子が接続された状態を示す断面斜視図。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る端子接続構造を説明する説明図であり、(a)は第1の接続端子と第2の接続端子が接続される前の状態を示す斜視図、(b)は第1の接続端子と第2の接続端子が接続された状態を示す断面斜視図。
【
図8】(a)及び(b)は、本発明の第4実施形態に係る端子接続構造におけるハウジングの受容部に第1の接続端子と第2の接続端子を受容する手順を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1の(a),(b)に示すように、本発明の第1実施形態に係る接続端子10は、例えば銅合金等からなる雌雄共用端子である。
本第1実施形態に係る接続端子10は、円筒状の電線接続部11と、電線接続部11の一開口端に一端が連続形成される円筒状の中間部13と、中間部13の他端に連続形成される円筒状の端子接続部15と、端子接続部15の内側に突出状に形成された端子接触部17と、を主要な構成として備える。
【0019】
電線接続部11は、後述する電線20A(20B)の導体21の端部に加締めて圧着される。中間部13は、電線接続部11の円形横断面形状よりも大きい円形横断面形状を有する。即ち、中間部13は、電線接続部11の円筒外径よりも円筒内径が大きくなるように段差を有して連続形成されている。端子接続部15は、中間部13の円形横断面形状よりも大きい円形横断面形状を有する。即ち、端子接続部15は、中間部13の円筒外径よりも円筒内径が大きくなるように段差を有して連続形成されている。
【0020】
端子接触部17は、端子接続部15の端子嵌合方向に沿って所定長さで形成された一対の平行なスリット16に挟まれた部分が両持ち梁状となって、端子接続部15の内側に突出するように塑性変形して構成されている。なお、端子接触部17は、本実施形態の両持ち梁状の構成に限定されるものではなく、他方の接続端子10の中間部13に接触することが可能であれば、片持ち梁状でもよく、端子接続部15にビード加工された凸部等でもよい。
【0021】
また、本第1実施形態に係る端子接触部17は、端子接続部15の周方向に沿って等間隔で4つ形成されているが、端子接触部17は4つに限定されるものではなく、少なくとも1つ以上あればよい。但し、端子接続部15の周方向に沿って等間隔で複数形成することで、良好な接触状態を得ることができる。
【0022】
上記構成を有する接続端子10は、同一形状及び同一寸法の第1及び第2の接続端子10A,10Bを用いて、電線20A,20B同士を電気的に接続するための本第1実施形態に係る端子接続構造を構成することができる。
【0023】
電線20A,20Bは、例えば、銅を主材料とする導電性金属材料からなる素線をより合わせた導体21の周囲を絶縁体23で覆った被覆電線である。絶縁体23は、導体21に押出被覆されている。
【0024】
図2の(a)~(c)は、
図1に示した接続端子10における電線接続部11側から挿入された一方の電線20Aの端部が電線接続部11に加締めて圧着される手順を説明する斜視図であり、
図3の(a)~(c)は、
図1に示した接続端子10における端子接続部15側から挿入された他方の電線20Bの端部が電線接続部11に加締めて圧着される手順を説明する斜視図である。
なお、以下の説明において、一方の電線20Aの端部に圧着される接続端子10は第1の接続端子10Aと称し、他方の電線20Bの端部に圧着される接続端子10は第2の接続端子10Bと称する。
【0025】
先ず、
図2の(a)に示すように、電線端部の絶縁体23を除去して一方の電線20Aの端部に導体21を露出させる。
次に、
図2の(b)に示すように、第1の接続端子10Aにおける電線接続部11側から一方の電線20Aの端部が挿し込まれ、電線接続部11内に導体21が配置される。
そして、
図2の(c)に示すように、第1の接続端子10Aの被加締め部である電線接続部11を断面六角形状に成形する加締め金型(図示せず)により、第1の接続端子10Aの電線接続部11が導体21に加締めて圧着される。従って、一方の電線20Aの端部には、端子接続部15が開口した第1の接続端子10Aが圧着固定される。
【0026】
同様に、
図3の(a)に示すように、電線端部の絶縁体23を除去して他方の電線20Bの端部に導体21を露出させる。
次に、
図3の(b)に示すように、第2の接続端子10Bにおける端子接続部15側から他方の電線20Bの端部が挿し込まれ、中間部13を貫通して電線接続部11内に導体21が配置される。
そして、
図3の(c)に示すように、第2の接続端子10Bの被加締め部である電線接続部11を断面六角形状に成形する加締め金型(図示せず)により、第2の接続端子10Bの電線接続部11が導体21に加締めて圧着される。従って、他方の電線20Bの端部には、電線接続部11が先端部に配置された第2の接続端子10Bが圧着固定される。
【0027】
図4は、本第1実施形態に係る端子接続構造を説明する斜視図であり、(a)は第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bが接続される前の状態を示し、(b)は第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bが接続された状態を示す。
【0028】
本第1実施形態に係る端子接続構造において、第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bを接続する際には、
図4の(a)に示すように一方の電線20Aの端部と他方の電線20Bの端部を対向させ、
図4の(b)に示すように第2の接続端子10Bの電線接続部11側が、第1の接続端子10Aの端子接続部15側から内方へ重なるように挿入される。
【0029】
図5は、
図4の(b)に示した第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bの接続状態を示す要部拡大平面図であり、(b)は(a)におけるB-B断面図である。
図5の(a),(b)に示すように、第2の接続端子10Bが第1の接続端子10Aの内方へ重なるように挿入されると、第2の接続端子10Bの中間部13が第1の接続端子10Aの端子接触部17に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bとが電気的に接続される。
【0030】
上述した本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)によれば、一方の接続端子である第2の接続端子10Bの電線接続部11側が他方の接続端子である第1の接続端子10Aの端子接続部15側から内方へ重なるように挿入され、第2の接続端子10Bの中間部13が第1の接続端子10Aの端子接触部17に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bを電気的に接続させることができる。そこで、雌雄共用端子として接続端子10(10A,10B)の単一種類化を図って、接続端子10(10A,10B)の製造コストを低減することができる。また、第1の接続端子10Aの端子接続部15内へ第2の接続端子10Bの中間部13が挿入されるので、相互接続された第1及び第2の接続端子10A,10B同士は端子嵌合方向(
図5中、左右方向)の体格の縮小を図ることもできる。
【0031】
更に、本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)では、端子接触部17が、端子接続部15の端子嵌合方向に沿って所定長さで形成された一対の平行なスリット16に挟まれた部分が端子接続部15の内側に突出するように塑性変形して構成されている。
そこで、端子接触部17として端子接続部15に形成された一対の平行なスリット16に挟まれた部分は、両持ち梁状となるため、小さな塑性変形で大きな弾性接触力を付与することができる。そこで、電気的に接続された第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bとは、互いにわずかに傾いた場合であっても、安定した接触抵抗を得ることができる。また、第1の接続端子10Aの端子接続部15の端子嵌合方向に沿って形成された一対の平行なスリット16に挟まれた部分は、挿入されたと第2の接続端子10Bの中間部13を面で弾性接触することができ、相互接続をスムーズに行うことができる。
【0032】
さらに、本第1実施形態に係る端子接続構造によれば、第1の接続端子10Aにおける電線接続部11側から一方の電線20Aの電線端部の導体21を電線接続部11に挿入し、加締めて圧着すると共に、第2の接続端子10Bにおける端子接続部15側から他方の電線20Bの電線端部の導体21を電線接続部11に挿入し、加締めて圧着することができる。そこで、第2の接続端子10Bの電線接続部11側が第1の接続端子10Aの端子接続部15側から内方へ重なるように挿入され、第2の接続端子10Bの中間部13が第1の接続端子10Aの端子接触部17に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bとが電気的に接続される。
【0033】
従って、円筒状の端子接続部15と同心の円筒状に形成された各電線接続部11にそれぞれ電線端部の導体21が圧着された一方及び他方の電線20A,20B同士は、実質的に同軸に配置されるため、相互接続された第1及び第2の接続端子10A,10B同士は端子嵌合方向と直交する方向の体格が大きくなるのを抑制される。また、第1の接続端子10Aの端子接続部15内へ第2の接続端子10Bの中間部13が挿入されるので、相互接続された第1及び第2の接続端子10A,10B同士は端子嵌合方向の体格の縮小を図ることもできる。
【0034】
従って、本第1実施形態に係る接続端子10(10A,10B)及び端子接続構造によれば、接続端子10の単一種類化を図って製造コストを低減するとともに、相互接続された際の体格の縮小を図って設置スペースをコンパクトにできる。
【0035】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0036】
図6は本発明の第2実施形態に係る端子接続構造を説明する説明図であり、(a)は第1の接続端子110Aと第2の接続端子110Bが接続される前の状態を示す斜視図、(b)は第1の接続端子110Aと第2の接続端子110Bが接続された状態を示す断面斜視図。なお、上記第1実施形態に係る端子接続構造と同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
本発明の第2実施形態に係る接続端子110A,110Bは、
図6の(a)に示すように、円筒状の電線接続部111と、電線接続部111の一開口端に一端が連続形成される円錐面を有する筒状の中間部113及び端子接続部115と、端子接続部115の内側に突出状に形成された端子接触部17と、を主要な構成として備える。
【0038】
電線接続部111は、電線20A(20B)の導体21の端部に断面六角形状に加締めて圧着される。中間部113及び端子接続部115は、電線接続部111の円形横断面形状よりも大きい横断面形状を有する円錐面を有する筒状に一体形成されている。即ち、中間部113及び端子接続部115は、電線接続部111の円筒外径よりも内径が徐々に大きくなる円錐面を有する筒状に連続形成されている。
【0039】
上記構成を有する同一形状及び同一寸法の第1及び第2の接続端子110A,110Bを用いて、電線20A,20B同士を電気的に接続するための本第2実施形態に係る端子接続構造を構成することができる。
先ず、
図6の(a)に示すように、第1の接続端子110Aにおける電線接続部111側から一方の電線20Aの端部が挿し込まれ、電線接続部111内に導体21が配置された後、第1の接続端子110Aの電線接続部111が導体21に加締めて圧着される。
同様に、第2の接続端子110Bにおける端子接続部115側から他方の電線20Bの端部が挿し込まれ、電線接続部111内に導体21が配置された後、第2の接続端子110Bの電線接続部111が導体21に加締めて圧着される。
【0040】
そして、
図6の(b)に示すように、第2の接続端子110Bが第1の接続端子110Aの内方へ重なるように挿入されると、第2の接続端子110Bの中間部113が第1の接続端子110Aの端子接触部17に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子110Aと第2の接続端子110Bとが電気的に接続される。
【0041】
上述した本第2実施形態に係る端子接続構造によっても、上記第1実施形態に係る端子接続構造と同様に、第1の接続端子110Aにおける電線接続部111側から一方の電線20Aの電線端部の導体21を電線接続部111に挿入し、加締めて圧着すると共に、第2の接続端子110Bにおける端子接続部115側から他方の電線20Bの電線端部の導体21を電線接続部111に挿入し、加締めて圧着することができる。
【0042】
そこで、第2の接続端子110Bの電線接続部111側が第1の接続端子110Aの端子接続部115側から内方へ重なるように挿入され、第2の接続端子110Bの中間部113が第1の接続端子110Aの端子接触部17に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子110Aと第2の接続端子110Bとが電気的に接続される。
【0043】
従って、雌雄共用端子として接続端子110A,110Bの単一種類化を図って、接続端子110A,110Bの製造コストを低減することができる。
【0044】
なお、本第2実施形態に係る接続端子110A,110Bでは、中間部113及び端子接続部115が円錐面を有する筒状に形成された場合について説明したが、断面三角形以上の多角垂面を有する筒状にも形成できることは勿論である。
【0045】
図7は、本発明の第3実施形態に係る端子接続構造を説明する説明図であり、(a)は第1の接続端子210Aと第2の接続端子210Bが接続される前の状態を示す斜視図、(b)は第1の接続端子210Aと第2の接続端子210Bが接続された状態を示す断面斜視図。なお、上記第1実施形態に係る端子接続構造と同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
図7の(a)に示すように、本第3実施形態に係る接続端子210A,210Bは、円筒状(六角筒状でもよい)の電線接続部211と、電線接続部211の一開口端に一端が連続形成される六角筒状の中間部213と、中間部213の他端に連続形成される六角筒状の端子接続部215と、端子接続部115の内側に突出状に形成された端子接触部17と、を主要な構成として備える。
【0047】
電線接続部211は、電線20A(20B)の導体21の端部に断面六角形状に加締めて圧着される。中間部213は、電線接続部211の円形横断面形状よりも大きい六角横断面形状を有する。即ち、中間部213は、電線接続部211の円筒外径よりも六角筒内寸法が大きくなるように段差を有して連続形成されている。端子接続部215は、中間部213の六角横断面形状よりも大きい六角横断面形状を有する。即ち、端子接続部215は、中間部213の六角筒外寸法よりも六角筒内寸法が大きくなるように段差を有して連続形成されている。
【0048】
上記構成を有する同一形状及び同一寸法の第1及び第2の接続端子210A,210Bを用いて、電線20A,20B同士を電気的に接続するための本第3実施形態に係る端子接続構造を構成することができる。
先ず、
図7の(a)に示すように、第1の接続端子210Aにおける電線接続部211側から一方の電線20Aの端部が挿し込まれ、電線接続部211内に導体21が配置された後、第1の接続端子210Aの電線接続部211が導体21に加締めて圧着される。
同様に、第2の接続端子210Bにおける端子接続部215側から他方の電線20Bの端部が挿し込まれ、電線接続部211内に導体21が配置された後、第2の接続端子210Bの電線接続部211が導体21に加締めて圧着される。
【0049】
そして、
図7の(b)に示すように、第2の接続端子210Bが第1の接続端子210Aの内方へ重なるように挿入されると、第2の接続端子210Bの中間部213が第1の接続端子210Aの端子接触部17に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子210Aと第2の接続端子210Bとが電気的に接続される。
【0050】
上述した本第3実施形態に係る端子接続構造によっても、上記第1実施形態に係る端子接続構造と同様に、第1の接続端子210Aにおける電線接続部211側から一方の電線20Aの電線端部の導体21を電線接続部211に挿入し、加締めて圧着すると共に、第2の接続端子210Bにおける端子接続部215側から他方の電線20Bの電線端部の導体21を電線接続部211に挿入し、加締めて圧着することができる。
【0051】
そこで、第2の接続端子210Bの電線接続部211側が第1の接続端子210Aの端子接続部215側から内方へ重なるように挿入され、第2の接続端子210Bの中間部213が第1の接続端子210Aの端子接触部17に接触させられることで、同一形状を有する第1の接続端子210Aと第2の接続端子210Bとが電気的に接続される。
【0052】
従って、雌雄共用端子として接続端子210A,210Bの単一種類化を図って、接続端子210A,210Bの製造コストを低減することができる。
【0053】
なお、本第3実施形態に係る接続端子210A,210Bでは、中間部213及び端子接続部215が六角筒状に形成された場合について説明したが、断面三角形以上の多角形筒状にも形成できることは勿論である。
【0054】
図8の(a)及び(b)は、本発明の第4実施形態に係る端子接続構造におけるハウジング50の受容部54に第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bを受容する手順を説明する斜視図である。なお、上記第1実施形態に係る端子接続構造と同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
本第4実施形態に係る端子接続構造では、相互接続された第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bを受容して接続状態を保持する受容部54を有するハウジング50を備える。
ハウジング50は、
図8の(a)に示すように、相互接続された第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bを受容して接続状態を保持する受容部54をそれぞれ備えた下部半割体51と上部半割体53とが、薄肉ヒンジ56により回動自在に一体成形されている。
【0056】
下部半割体51の薄肉ヒンジ56と反対側の側縁には、ロック突起60が突設されており、上部半割体53の薄肉ヒンジ56と反対側の側縁には、ロック突起60をロック係止するロックアーム59が設けられている。
下部半割体51及び上部半割体53のそれぞれの受容部54の一端側(
図8中、左端側)には、相互接続された第1の接続端子10Aの電線接続部11の外周面に嵌合する第1嵌合部55が設けられている。第1嵌合部55は、第1の接続端子10Aにおける電線接続部11と中間部13との間の段部に係合し、第1の接続端子10Aが受容部54の一端側に抜け出すのを阻止する。
【0057】
また、下部半割体51及び上部半割体53のそれぞれの受容部54の他端側(
図8中、右端側)には、相互接続された第2の接続端子10Bの電線接続部11に接続された他方の電線20Bの外周面に嵌合する第2嵌合部57が設けられている。第2嵌合部57は、第2の接続端子10Bにおける端子接続部15の開口端に係合し、第2の接続端子10Bが受容部54の他端側に抜け出すのを阻止する。
【0058】
そこで、
図8の(a)に示すように、相互接続された第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bを下部半割体51の受容部54に入れる。この際、円筒形状の第1の接続端子10A及び第2の接続端子10Bは、受容部54に入れる時に中心軸回りの回転方向への向きの規制が不要であり、組付け作業性がよい。
そして、薄肉ヒンジ56を中心に上部半割体53を回動し、ロックアーム59をロック突起60にロック係止させると、
図8の(b)に示すように、下部半割体51と上部半割体53は閉じた状態にロックされる。
【0059】
従って、本第4実施形態に係る端子接続構造によれば、相互接続された第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bが、ハウジング50の受容部54に受容されて接続状態を保持される。そこで、第1の接続端子10Aと第2の接続端子10Bは、安定した接続状態を得ることができる。
【0060】
ここで、上述した本発明に係る接続端子及び端子接続構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電線(20A,20B)の端部に加締めて圧着される筒状の電線接続部(11,111,211)と、
前記電線接続部の一開口端に一端が連続形成されて前記電線接続部の横断面形状よりも大きい横断面形状を有する筒状の中間部(13,113,213)と、
前記中間部の他端に連続形成されて前記中間部の横断面形状よりも大きい横断面形状を有する筒状の端子接続部(15,115,215)と、
前記端子接続部の内側に突出状に形成された端子接触部(17)と、
を備えたことを特徴とする接続端子(10A,10B;110A,110B;210A,210B)。
[2] 上記[1]に記載の接続端子であって、
前記端子接触部(17)は、前記端子接続部(15,115,215)の端子嵌合方向に沿って所定長さで形成された一対の平行なスリット(16)に挟まれた部分が前記端子接続部の内側に突出するように塑性変形して構成されていることを特徴とする接続端子(10A,10B;110A,110B;210A,210B)。
[3] 上記[1]又は[2]に記載された接続端子の構成を有する第1の接続端子(10A,110A,210A)における前記電線接続部側から挿入された一方の電線(20A)の端部に加締めて圧着された前記電線接続部(11,111,211)と、
上記[1]又は[2]に記載された接続端子の構成を有する第2の接続端子(10B,110B,210B)における前記端子接続部側から挿入された他方の電線(20B)の端部に加締めて圧着された前記電線接続部(11,111,211)と、を備え、
前記第2の接続端子の前記中間部(13,113,213)が前記第1の接続端子の前記端子接続部(15,115,215)内へ挿入され、前記第1の接続端子の前記端子接触部(17)に接触させられることで、同一形状を有する前記第1の接続端子と前記第2の接続端子が電気的に接続されている
ことを特徴とする端子接続構造。
[4] 上記[3]に記載の端子接続構造であって、
相互接続された前記第1の接続端子(10A)と前記第2の接続端子(10B)を受容して接続状態を保持する受容部(54)を有するハウジング(50)を備えた
ことを特徴とする端子接続構造。
【符号の説明】
【0061】
10…接続端子
10A…第1の接続端子(接続端子)
10B…第2の接続端子(接続端子)
11…電線接続部
13…中間部
15…端子接続部
16…スリット
17…端子接触部
20A…一方の電線(電線)
20B…他方の電線(電線)
21…導体