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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】建材の連結具及びその連結方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
E06B1/60
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018128166
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020007749
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-074432(JP,U)
【文献】実開昭59-082184(JP,U)
【文献】実開昭50-079224(JP,U)
【文献】特開2017-115463(JP,A)
【文献】特開平9-13801(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0008920(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/58-1/60
E04B 1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて配設される2個の建材を連結するための建材の連結具であって、
それぞれが前記2個の建材を連結する部材となっている第1連結部材と第2連結部材を含んで構成され、
前記第1連結部材と前記第2連結部材とを、前記間隔の方向と、前記2個の建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせるための平行機能を備えた平行手段を含んで構成されており、この平行手段は、前記第1連結部材と前記第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に作用させた荷重により前記平行機能が消滅可能となっており、前記2個の建材の間に前記平行手段により並んで平行又は略平行となって挿入された前記第1連結部材と前記第2連結部材についての前記間隔の方向に対する傾き角度を、前記荷重による前記平行機能の消滅により互いに逆向きの傾き角度とすることが可能となっており、
前記第1連結部材と前記第2連結部材は、前記2個の建材のうちの他方の建材に結合具により結合されることを特徴とする建材の連結具。
【請求項2】
請求項1に記載の建材の連結具において、前記結合具は、前記他方の建材にねじ込まれるドリルねじであることを特徴とする建材の連結具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建材の連結具において、前記第1連結部材と前記第2連結部材のそれぞれの両端部のうち、一方の端部には、前記一方の建材の厚さ方向が軸方向となっている中心軸が挿通され、この中心軸を中心に前記第1連結部材と前記第2連結部材が回動可能となっていることを特徴とする建材の連結具。
【請求項4】
請求項3に記載の建材の連結具において、前記中心軸は、前記第1連結部材と前記第2連結部材の共通の中心軸となっていることを特徴とする建材の連結具。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の建材の連結具において、前記中心軸は、前記一方の建材に取り付けられることを特徴とする建材の連結具。
【請求項6】
請求項5に記載の建材の連結具において、前記中心軸は軸受け部材によって支持されており、この軸受け部材が前記一方の建材に結合されることにより、前記中心軸は、前記軸受け部材を介して前記一方の建材に取り付けられることを特徴とする建材の連結具。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の建材の連結具において、前記平行手段は、前記第1連結部材と前記第2連結部材のうち、少なくとも一方の連結部材に他方の連結部材側へ突出していて、この他方の連結部材に当接している突片部により形成され、この突片部は前記荷重により折り曲げ可能となっており、この折り曲げにより前記平行手段の前記平行機能が消滅することを特徴とする建材の連結具。
【請求項8】
請求項7に記載の建材の連結具において、前記一方の連結部材には、突片部の近接箇所において、強度が低下している強度低下部が設けられ、この強度低下部により前記突片部は小さい前記荷重により折り曲げ可能となっていることを特徴とする建材の連結具。
【請求項9】
請求項8に記載の建材の連結具において、前記強度低下部は、前記一方の連結部材に形成された切欠部となっていることを特徴とする建材の連結具。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の建材の連結具において、前記強度低下部は、前記突片部の両側に2個設けられていることを特徴とする建材の連結具。
【請求項11】
間隔をあけて配設される2個の建材を連結するための建材の連結方法であって、
それぞれが前記2個の建材を連結する部材となっている第1連結部材と第2連結部材を用いて前記2個の建材を連結する方法であり、
前記第1連結部材と前記第2連結部材を前記2個の建材の間に挿入するときに、前記第1連結部材と前記第2連結部材とを、これらの連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に設けられた平行手段の平行機能により、前記間隔の方向と、前記2個の建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせて挿入するための第1作業工程と、
前記第1作業工程の後に、前記第1連結部材と前記第2連結部材についての前記間隔の方向に対する傾き角度を、前記平行手段の前記平行機能の消滅により互いに逆向きの傾き角度とするための第2作業工程と、
前記第2作業工程の後に、前記第1連結部材と前記第2連結部材により前記2個の建材を連結するための第3作業工程と、
を含んでおり、
前記第3作業工程は、前記第1連結部材と前記第2連結部材を、前記2個の建材のうちの他方の建材に結合具によって結合することにより実施することを特徴とする建材の連結方法。
【請求項12】
請求項11に記載の建材の連結方法において、前記第1連結部材と前記第2連結部材のそれぞれの両端部のうち、一方の端部には、前記一方の建材の厚さ方向が軸方向となっている中心軸が挿通されていて、この中心軸を中心に前記第1連結部材と前記第2連結部材は回動可能となっており、
前記第1作業工程を実施する以前において、前記中心軸を前記一方の建材に取り付けるための作業が実施され、この取り付け作業と前記第1作業工程とを実施した後に、前記中心軸を中心に前記第1連結部材と前記第2連結部材を回動させることによって前記第2作業工程を実施することを特徴とする建材の連結方法。
【請求項13】
請求項12に記載の建材の連結方法において、前記一方の建材は、開き戸装置側の部材であって、前記他方の建材は、前記開き戸装置側の部材が内側に配置される開口部が形成されている壁側の部材であり、前記中心軸を前記一方の建材に取り付けるための前記作業は、前記開き戸装置側の部材を製造する工場において実施されることを特徴とする建材の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間隔をあけて配設される2個の建材を連結するための建材の連結具及びその連結方法に係り、例えば、開き戸装置や引き戸装置等の装置側建材となっているドア枠等の開口枠を躯体に配置する際に、この開口枠と躯体側建材を連結するために用いることができるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、建物等の躯体となっている壁に、内側が開き戸で開閉される出入口となっているドア枠が開口枠として配置されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-10585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
壁に形成された開口部の内側にドア枠等の開口枠を配置する作業は、壁側に設けられている躯体側建材に、開き戸のための建材となっている開口枠を間隔をあけて配置するとともに、これらの躯体側建材と開口枠とを連結部材で連結することによって行われ、この連結作業は、開口枠を躯体側建材に対して不動状態に取り付けるための作業となっている。
【0005】
本発明の目的は、間隔をあけて配設される2個の建材を連結するための作業を、この間隔が小さくても有効に行え、また、連結作業後は、一方の建材を他方の建材に対して不動状態にすることができる建材の連結具及びその連結方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建材の連結具は、間隔をあけて配設される2個の建材を連結するための建材の連結具であって、それぞれが前記2個の建材を連結する部材となっている第1連結部材と第2連結部材を含んで構成され、前記第1連結部材と前記第2連結部材とを、前記間隔の方向と、前記2個の建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせるための平行機能を備えた平行手段を含んで構成されており、この平行手段は、前記第1連結部材と前記第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に作用させた荷重により前記平行機能が消滅可能となっており、前記2個の建材の間に前記平行手段により並んで平行又は略平行となって挿入された前記第1連結部材と前記第2連結部材についての前記間隔の方向に対する傾き角度を、前記荷重による前記平行機能の消滅により互いに逆向きの傾き角度とすることが可能となっていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る建材の連結具によると、第1連結部材と第2連結部材が2個の建材の間に挿入されるときには、これらの連結部材は、平行手段の平行機能により、2個の建材の間隔の方向と、これらの建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並んで平行又は略平行とされているため、2個の建材の間の間隔が小さくても、この間隔に第1連結部材と第2連結部材を充分に挿入することができる。
【0008】
また、2個の建材の間に挿入された後の第1連結部材と第2連結部材は、平行手段の平行機能の消滅により、2個の建材の間隔の方向に対する傾き角度が互いに逆向きの傾き角度とされ、この状態で第1連結部材と第2連結部材により2個の建材を連結することができるため、2個の建材のうち、一方の建材を他方の建材に対して、2個の建材の間隔の方向と、前記一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に不動状態にすることができる。
【0009】
以上の本発明に係る建材の連結具において、第1連結部材と第2連結部材を、平行手段の平行機能により、2個の建材の間隔の方向と、これらの建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて並んで平行又は略平行とさせ、また、これらの連結部材を2個の建材の間に挿入した後に、2個の建材の間隔の方向に対するこれらの連結部材の傾き角度を互いに逆向きの傾き角度とすることは、第1連結部材と第2連結部材のそれぞれの両端部のうち、一方の端部に、2個の建材のうちの一方の建材の厚さ方向が軸方向となっている中心軸を挿通し、この中心軸を中心に第1連結部材と第2連結部材を回動可能とすることにより実現できる。
【0010】
この中心軸は、第1連結部材と第2連結部材のそれぞれに個別に設けられた2本のものとしてもよいが、この中心軸を第1連結部材と第2連結部材に共通とされた1本のものとしてもよい。このように中心軸を第1連結部材と第2連結部材に共通とされた1本のもの
すると、部材の兼用化により部材点数の削減及び製造コストの低減化を図ることができる。
【0011】
また、前記平行手段は、第1連結部材と第2連結部材を、2個の建材の間隔の方向と、これらの建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせる機能を有するとともに、第1連結部材と第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に作用させた荷重によりこの平行機能が消滅可能となっているものであれば任意のものでよい。その一例の平行手段は、第1連結部材と前記第2連結部材のうち、少なくとも一方の連結部材に他方の連結部材側へ突出していて、この他方の連結部材に当接している突片部であり、この突片部を第1連結部材と第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に作用させた前記荷重により折り曲げ可能とし、この折り曲げにより平行機能が消滅するようにすればよい。
【0012】
また、他の例の平行手段は、第1連結部材と第2連結部材の間に介設された摩擦手段であり、この摩擦手段の摩擦力が平行機能となって第1連結部材と第2連結部材を、2個の建材の間隔の方向と、これらの建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせることができるとともに、摩擦力よりも大きい荷重を第1連結部材と第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に作用させることにより、平行機能が消滅して、第1連結部材と第2連結部材についての2個の建材の間隔の方向に対する傾き角度を互いに逆向きの傾き角度とさせることができるようにする。
【0013】
さらに、他の例の平行手段は、第1連結部材と第2連結部材のうちの一方に形成された凹部と、他方の連結部材に形成され、凹部に係脱可能に嵌合する凸部とによる凹凸手段であり、凹部に凸部が嵌合することにより平行機能が生じて、第1連結部材と第2連結部材を、2個の建材の間隔の方向と、これらの建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせることができるとともに、前記荷重を第1連結部材と第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に作用させることにより、凹部から凸部が脱出することで平行機能が消滅して、第1連結部材と第2連結部材についての2個の建材の間隔の方向に対する傾き角度を互いに逆向きの傾き角度とさせることができるようにする。
【0014】
また、上述したように平行手段を、第1連結部材と前記第2連結部材のうち、少なくとも一方の連結部材に他方の連結部材側へ突出して形成されていて、この他方の連結部材に当接している突片部とする場合には、前記一方の連結部材に、突片部の近接箇所において、強度が低下している強度低下部を設け、この強度低下部により突片部が小さい前記荷重により折り曲げ可能となるようにしてもよい。
【0015】
これによると、第1連結部材と第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に作用させた小さな荷重により、突片部を強度低下部によって容易に折り曲げることができるため、平行手段の平行機能を消滅させるために第1連結部材と第2連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に対して操作を容易に実施できるようになる。
【0016】
なお、強度低下部は、突片部の近接箇所において、前記一方の連結部材の強度を低下させるものであれば任意のものでよく、その一例の強度低下部は、前記一方の連結部材に形成された切欠部であり、また、他の例の強度低下部は、前記一方の連結部材に形成された薄肉部である。
【0017】
また、このような強度低下部は、前記突片部の両側に2個設けてもよい。これによると、2個の強度低下部により、突片部がさらに一層小さい荷重により折り曲げ可能となる。
【0018】
本発明に係る建材の連結方法は、間隔をあけて配設される2個の建材を連結するための建材の連結方法であって、それぞれが前記2個の建材を連結する部材となっている第1連結部材と第2連結部材を用いて前記2個の建材を連結する方法であり、前記第1連結部材と前記第2連結部材を前記2個の建材の間に挿入するときに、前記第1連結部材と前記第2連結部材とを、これらの連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に設けられた平行手段の平行機能により、前記間隔の方向と、前記2個の建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせて挿入するための第1作業工程と、前記第1作業工程の後に、前記第1連結部材と前記第2連結部材についての前記間隔の方向に対する傾き角度を、前記平行手段の前記平行機能の消滅により互いに逆向きの傾き角度とするための第2作業工程と、前記第2作業工程の後に、前記第1連結部材と前記第2連結部材により前記2個の建材を連結するための第3作業工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0019】
建材の連結方法によると、第1作業工程において、第1連結部材と第2連結部材を2個の建材の間に挿入するときには、第1連結部材と第2連結部材とを、これらの連結部材のうちの少なくとも一方の連結部材に設けられた平行手段の平行機能により、2個の建材の間隔の方向と、これらの建材のうちの一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせて2個の建材の間に挿入するため、これらの建材の間の間隔が小さくても、この間隔に第1連結部材と第2連結部材を充分に挿入することができる。
【0020】
また、2個の建材の間に挿入された後では、第2作業工程において、第1連結部材と第2連結部材は、平行手段の平行機能の消滅により、2個の建材の間隔の方向に対する傾き角度が互いに逆向きの傾き角度とされ、このように第1連結部材と第2連結部材が、2個の建材の間隔の方向に対する傾き角度が互いに逆向きの傾き角度とされた状態で、第3作業工程において、2個の建材が第1連結部材と第2連結部材により連結されるため、2個の建材のうち、一方の建材を他方の建材に対して、2個の建材の間隔の方向と、前記一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に不動状態にすることができる。
【0021】
以上説明した本発明に係る建材の連結具及びその連結方法により連結される2個の建材は、任意の建材でよく、これらの建材の一例は、壁等の躯体側の建材と、この建材と左右方向に対向して配置される開口枠とであり、この開口枠は、開き戸装置のためのドア枠でもよく、引き戸装置のための開口枠でもよく、壁に形成される通行用開口部のための開口枠でもよく、また、2個の建材のうち、1個の建材は、通常時は閉じられている防火扉を収納するための戸袋等でもよい。また、本発明に係る建材の連結具及びその連結方法は、建物の中間柱を含む柱や、梁、横桟、面材等の2個の建材を連結するためにも用いることができ、適用する建材は任意である。
【0022】
また、本発明に係る建材の連結具及びその連結方法は、建物等の構造物に新設される建材に適用できるとともに、改修される建材にも適用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、間隔をあけて配設される2個の建材を連結するための作業を、この間隔が小さくても有効に行え、また、連結作業後は、一方の建材を他方の建材に対して不動状態にできるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る建材の連結具が適用されている開き戸装置の全体正面図である。
図2図2は、開き戸装置側の建材となっているドア枠を示す全体正面図である。
図3図3は、第1連結具と第2連結具により、ドア枠と、躯体側の建材となっている補強部材とを、補強部材に取り付けられている補助部材を介して連結している構造を示す全体正面図である。
図4図4は、図3のS4-S4線断面図である。
図5図5は、図3で示されている第1連結具の全体を、図3及び図4で示されている補助部材を含めて示した斜視図である。
図6図6は、図5の正面図である。
図7図7は、第1連結具及び第2連結具の構成部材となっている第1連結部材を示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図、(D)は背面図である。
図8図8は、荷重が作用したときの第1連結部材を示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
図9図9は、第1連結具の構成部材となっている第2連結部材を示し、(A)は側面図、(B)は背面図である。
図10図10は、図5及び図6で示されている第1連結具の第1連結部材と第2連結部材が平行又は略平行となっているときの状態を実線で示した正面図である。
図11図11は、第1連結部材と第2連結部材が図10の実線で示した状態になっているときにおける第1連結具を示す側面図である。
図12図12は、図11のS12-S12線断面図である。
図13図13は、第1連結部材と第2連結部材が図5及び図6で示されているようにくの字状となっているときにおける第1連結具を示す側面図である。
図14図14は、図13のS14-S14線断面図である。
図15図15は、第1連結部材及び第2連結部材を図4の補強部材に取り付けられた補助部材に結合具で結合する以前の状態を示す図4と同様図である。
図16図16は、第1連結部材及び第2連結部材を二点鎖線で示した補強部材に結合具より結合したときの状態を示す図13と同様の図である。
図17図17は、図16のときの状態を示す図4と同様の図である。
図18図18は、図16及び図17の状態ときに第1連結具の第1連結部材が被係止部材となっている中心軸に係止していることを示す拡大断面図である。
図19図19は、第1連結部材及び第2連結部材を補強部材に取り付けられた補助部材に、中心軸の軸方向における同じ側に配置された結合具により結合したときの状態を示す図16と同様の図である。
図20図20は、図19のときの状態を示す図4と同様の図である。
図21図21は、図19及び図20で示した結合具を適用できる建物の構造を示す平断面図である。
図22図22は、別実施形態に係る第1連結部材を示し、(A)は側面図、(B)は背面図である。
図23図23は、図22の第1連結部材を図4の補強部材に取り付けられた補助部材に結合具で結合するための荷重がこの第1連結部材に作用したときを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、開き戸装置の全体正面図が示され、この開き戸装置は、開き戸1がドア枠2にヒンジ3を中心に回動自在に取り付けられて構成され、ドア枠2は、建物躯体である壁4に形成された開口部4Aの内側に配置されている。図2には、開き戸1が取り付けられる以前のドア枠2が示されている。この図2に示されているように、ドア枠2は、内側が開き戸1により開閉される出入口11となっている開口枠であり、本実施形態のドア枠2は四方枠となっているため、このドア枠2は、左右の側枠部材2A,2Bと、上枠部材2Cと、沓摺部材である下枠部材2Dとからなり、これらの枠部材2A,2B,2C,2Dは予め工場で溶接接合されて、開き装置が設置される建物等の構築物の建築現場に搬送されている。
【0026】
なお、ドア枠2は、下枠部材2Dが存在しない三方枠でもよい。
【0027】
図3には、図1及び図2で示されている壁4へのドア枠2の配置状態が示されており、図4は、図3のS4-S4線断面である。図1及び図2で示されている壁4は、図4に示されているように、芯部材5の表裏両面に石膏ボード等の面材6を止着することにより形成され、建物躯体となっているこの壁4に設けられた図1及び図2の開口部4Aの内側にドア枠2が配置されている。図3には、壁4の内部に多数設けられている芯部材5のうち、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと左右方向に対向する箇所において、縦方向が長さ方向となって配置されている芯部材5A,5Bと、ドア枠2の上枠部材2Cと上下方向に対向する箇所において、左右方向が長さ方向となって配置されている芯部材5Cとが示されている。
【0028】
壁4の開口部4Aの内側にドア枠2を配置する作業を行う以前において、芯部材5A,5B,5Cには、図3及び図4で示す補強部材7が予め結合されており、また、これらの補強部材7ごとに補助部材8が図4の止着具9により取り付けられている。それぞれの補助部材8には、クランク形状となっている位置決め部材10が結合されており、これらの位置決め部材10を、補強部材7におけるドア枠2の厚さ方向(開き戸1及び壁4の厚さ方向)両側の面のうち、一方の面に当接させた後に、補助部材8が補強部材7に止着具9で取り付けられているため、それぞれの補助部材8は、補強部材7にドア枠2の厚さ方向における所定位置に位置決めされて取り付けられている。
【0029】
以上において、芯部材5、補強部材7及び補助部材8は、建物躯体となっている壁4側の部材となっているため、これらの芯部材5、補強部材7及び補助部材8は、躯体側建材である。これに対して開き戸1及びドア枠2は、壁4に設置される開き戸装置側の部材であるため、これらの開き戸1及びドア枠2は、開き戸装置側建材となっている。
【0030】
図3には、壁4の開口部4Aの内側にドア枠2を配置する作業を行った後に、ドア枠2を連結具20により補強部材7に補助部材8を介して連結している状態が示されている。このようにドア枠2を補強部材7に補助部材8を介して連結するための連結具20は、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと上枠部材2Cのそれぞれについて、複数個設けられている。この連結具20には、第1連結部材21と第2連結部材22とが用いられて構成された複数個の第1連結具20Aと、第1連結部材21は用いられているが、第2連結部材22は用いられていない2個の第2連結具20Bとがある。複数個の第1連結具20Aのそれぞれは、同一形状及び同一構造のものとなっているため、図5及び図6には、図3で示されている複数個の第1連結具20Aのうち、図4で示されているドア枠2の側枠部材2Aに配置されていて、この側枠部材2Aと、前述の芯部材5Aに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8とを連結している第1連結具20Aが代表例として示されており、これらの図5及び図6では、側枠部材2Aは省略されている。
【0031】
なお、図3で2個示されている第2連結具20Bも、それぞれ同一形状及び同一構造のものとなっていて、これらの第2連結具20Bは、図3に示されているように、左右の側枠部材2A,2Bに複数個が上下方向に配置されている第1連結具20Aよりも下側に配置されている。
【0032】
図5には、第1連結具20Aの斜視図が補助部材8を含めて示され、図6は、図5の正面図である。第1連結具20Aは、図4にも示されているように、ハット形状に形成された軸受け部材23と、ドア枠2の厚さ方向が軸方向Nとなっていて、この軸方向Nの両端部が抜け止め部24Aとなって抜け止めされながら軸受け部材23に支持されている中心軸24と、前述の第1連結部材21と、第2連結部材22とにより構成されている。図4に示されているように、第1及び第2連結部材21,22のそれぞれにおける両端部となっている壁4の端部とドア枠2側の端部とのうち、ドア枠2側の端部に、中心軸24が第1及び第2連結部材21,22に共通の挿通部材となって挿通している。また、中心軸24を中心に回動自在となっている第1連結部材21における壁4側の端部は、ドリルねじによる結合具25により補助部材8に結合され、また、中心軸24を中心に回動自在となっている第2連結部材22における壁4側の端部は、ドリルねじによる結合具34により補助部材8に結合されている。
【0033】
図7には第1連結部材21が示され、図7(A)(B)(C)(D)は、この第1連結部材21の平面図、側面図、底面図、背面図である。金属板の打ち抜き及び折り曲げ品である第1連結部材21には、中心軸24の軸方向Nに離れている2個の連結部26が互いに対向して設けられ、これらの連結部26における中心軸24の軸方向Nと直交する側の第1連結部材21全体の厚さ方向の端部同士の間には、架け渡し部27が架け渡されているため、2個の連結部26は、中心軸24の軸方向Nを幅寸法とする架け渡し部27により結合されている。また、それぞれの連結部26は、中心軸24の軸方向Nと直交しかつ第1連結部材21全体の厚さ方向とも直交する方向の長さ寸法を有し、この長さ寸法は、長さ方向の両端部26A,26Bが、ドア枠2と、壁4の躯体となっている補助部材8とに達する寸法となっている。
【0034】
また、それぞれの連結部26の長さ方向の両端部26A,26Bのうち、補助部材8側の端部26Aには、図7(A)(C)に示されているように、中心軸24の軸方向Nと直交する方向に対して第1連結部材21の外側への傾斜角度となっているねじり角度90°-αが設けられ、このねじり角度90°-αは、2個の連結部26について互いに逆の向きのねじり角度となっており、また、ドア枠2側の端部26Bには、図7(A)(C)に示されているように、このようなねじり角度は設けられていない。そして、補助部材8側の端部26Aとドア枠2側の端部26Bとの間は、ねじり角度90°-αを少しずつ消滅するための中間部26Cとなっている。ドア枠2側の端部26Bには、中心軸24を挿通させるための挿通部として大径の第1孔28が設けられているとともに、補助部材8側の端部26Aには、図4で示した結合具25を挿入するための小径の第2孔29が設けられている。また、それぞれの連結部26には、上述のねじり角度90°-αが存在している補助部材8側の端部26Aの範囲において、図19及び図20で後述するタッピングビスとなっている結合具50,51を挿入するための第3孔30も設けられている。
【0035】
さらに、架け渡し部27には長孔31が設けられ、連結部26の長さ方向に長くなっているこの長孔31は、架け渡し部27の強度を低下させるためにこの架け渡し部27に形成された強度低下部となっている。
【0036】
以上のように第1連結部材21は、2個の連結部26と、これらの連結部26に架け渡された架け渡し部27とにより形成された全体形状が略コの字状のものとなっているが、2個の連結部26におけるそれぞれの補助部材8側の端部26Aでの形状は、上述したねじり角度90°-αのために、第1連結部材21の外側へ開いた、これを言い換えると、中心軸24の軸方向Nの外側へ開いたハの字状となっている。
【0037】
図8には、図4の結合具25により連結部26の補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合するために、それぞれの補助部材8側の端部26Aに、中心軸24の軸方向Nにおける互いに逆の向きの荷重Wが作用したときを示している。このような荷重Wがそれぞれの補助部材8側の端部26Aに作用すると、これらの補助部材8側の端部26Aの図7で示したねじり角度90°-αは減少又は消滅するとともに、架け渡し部27には、荷重Wの影響により、この架け渡し部27の厚さ方向(第1連結部材21全体の厚さ方向)のうち、第1連結部材21の外側へ突出する方向への湾曲等の変形が生じ、また、補助部材8側の端部26Aに中間部26Cを介して接続されているそれぞれのドア枠2側の端部26Bには、荷重Wの影響により、中心軸24の軸方向Nと直交する方向に対して第1連結部材21の内側への傾斜角度となったねじり角度90°-βが生じ、このねじり角度90°-βは、これらのドア枠2側の端部26Bについて、互いに逆の方向へのねじり角度となる。
【0038】
これにより、第1連結部材21の全体では、2個の連結部26におけるそれぞれのドア枠2側の端部26Bの形状が、ねじり角度90°-βのために、第1連結部材21の内側へ閉じた逆ハの字状となる。
【0039】
なお、架け渡し部27には、この架け渡し部27の強度を低下させるための強度低下部となっている長孔31が設けられているため、荷重Wにより架け渡し部27は大きく上述したように湾曲等の変形を行いやすくなっており、このため、補助部材8側の端部26Aのねじり角度90°-αの減少又は消滅と、ドア枠2側の端部26Bにおけるねじり角度90°-βの発生も、一層確実に生ずるようになっている。
【0040】
図9には、第2連結部材22が示され、図9(A)(B)は、この第2連結部材22の側面図、背面図である。第1連結部材21と同様に、金属板の打ち抜き及び折り曲げ品である第2連結部材22にも、中心軸24の軸方向Nに離れている2個の連結部35が互いに対向して設けられ、これらの連結部35における中心軸24の軸方向Nと直交する側の第2連結部材22全体の厚さ方向の端部同士の間には、架け渡し部36が架け渡されているため、2個の連結部35は、中心軸24の軸方向Nを幅寸法とする架け渡し部36により結合されている。また、それぞれの連結部35は、中心軸24の軸方向Nと直交しかつ第2連結部材22全体の厚さ方向とも直交する方向の長さ寸法を有し、この長さ寸法は、長さ方向の両端部35A,35Bが、ドア枠2と、壁4の躯体となっている補助部材8とに達する寸法となっている。
【0041】
また、それぞれの連結部35の長さ方向の両端部35A,35Bのうち、補助部材8側の端部35Aは、ドア枠2側の端部35Bに対して第2連結部材22の内側へ少し屈曲しており、これらの端部35A,35Bのうち、ドア枠2側の端部35Bには、中心軸24を挿通させるための挿通部として大径の第1孔37が設けられているとともに、補助部材8側の端部35Aには、図4で示した結合具34を挿入するための挿通部として小径の第2孔38が設けられている。また、それぞれの連結部35には、図19及び図20で後述するように、タッピングビスとなっている結合具50,51を挿入するための第3孔39も設けられている。
【0042】
さらに、架け渡し部36における連結部35の長さ方向の両端部のうち、ドア枠2側の端部36Bには、中心軸24側へ、これを言い換えると、第1連結部材21側へ突出する突片部40が形成されている。架け渡し部36の端部36Bには、この突片部40の近接箇所において、切欠部41が設けられ、本実施形態では、この切欠部41は、突片部40の両側において、端部36Bに2個設けられている。なお、本実施形態の突片部40は、図9(B)に示されているように、架け渡し部36から第2連結部材22の厚さ方向の内側に少し屈曲して形成されている。
【0043】
このようにして第2連結部材22に形成されている突片部40は、この突片部40に第2連結部材22全体の厚さ方向への荷重が作用したときには、この厚さ方向に折り曲げ可能となっており、この折れ曲げは、切欠部41が、突片部40の両側において、架け渡し部36の端部36Bに2個設けられていて、これらの切欠部41が、架け渡し部27における突片部40の基端部分の強度を低下させるための強度低下部となっていることにより、上記荷重が小さくても突片部40を容易に折り曲げることができるようになっている。
【0044】
以上説明した第1連結部材21と、第2連結部材22と、軸受け部材23と、中心軸24とからなる第1連結具20Aは、この第1連結具20Aの正面図を示している図10と、第1連結具20Aの側面図を示している図11とに示された構造に、図3で示したドア枠2を製造する工場において組み立てられる。この組み立ては、第1連結部材21の連結部26に設けられた第1孔28と、第2連結部材22の連結部35に設けられた第1孔37とに、中心軸24を共通の挿通部材として挿通するとともに、この中心軸24をハット形状となっている軸受け部材23にも挿通し、中心軸24の両端部を軸受け部材23からの抜け止め部24Aとする加工等によって行われる。
【0045】
なお、本実施形態に係る中心軸24は、表面にねじ山とねじ溝による凹凸が軸方向に交互に多数形成されている雄ねじ棒である。
【0046】
図11のS12-S12線断面図である図12には、上述のように第1連結部材21と第2連結部材22と軸受け部材23と中心軸24とにより組み立てられた第1連結具20Aの断面図が示されている。工場で組み立てられた第1連結具20Aでは、第2連結部材22に形成されている突片部40は、第1連結部材21に設けられている架け渡し部27の裏面27Aに当接している。このため、中心軸24が共通の挿通部材となっている第1連結部材21と第2連結部材22は、中心軸24で連結されたものとなっているとともに、これらの第1連結部材21と第2連結部材22は、中心軸24の軸方向Nと直交する方向に並んで平行又は略平行となっている。
【0047】
このため、突片部40は、第1連結部材21と第2連結部材22を、中心軸24の軸方向Nと直交する方向に並ばせて平行又は略平行とさせるための平行手段45を構成するものとなっている。また、第1連結具20Aが、後述するように、図3で示されているドア枠2と、壁側の建材となっている補助部材8との間のすき間に挿入されるときには、この平行手段45の平行機能により、第1連結部材21と第2連結部材22を、2個の建材となっているドア枠2と補助部材8との間隔の方向と、これらのドア枠2と補助部材8のうち、ドア枠2の厚さ方向(図1及び図2で示した壁4の厚さ方向でもある。)とに直交する方向(ドア枠2の側枠部材2A,2Bに配置される第1連結具20Aでは上下方向、ドア枠2の上枠部材2Cに配置される第1連結具20Aでは左右方向)に並ばせながら平行又は略平行とさせることができるようになっている。
【0048】
以上の第1連結具20Aは、ドア枠2を製造した工場において、図4から分かるように、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2B及び上枠部材2Cに軸受け部材23が溶接等で結合されることにより、ドア枠2に取り付けられる。また、図3で示した第2連結具20Bは、第1連結部材21と軸受け部材23と中心軸24とからなり、したがって、第2連結具20Bは、第1連結具20Aから第2連結部材22を取り除いたものと同じ構造になっている。このようなこの第2連結具20Bも、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bに軸受け部材23が溶接等で結合されることにより、工場でドア枠2に取り付けられる。
【0049】
第1連結具20Aと第2連結具20Bが工場で取り付けられたドア枠2は、図1の開き戸装置が施工設置される作業現場に運ばれ、この後に、図2の壁4の図4で示した面材6が芯部材5に取り付けられる以前において、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと、図2の壁4を構成するために図3の芯部材5A,5Bに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の左右方向の間隔に、第1連結具20A及び第2連結具20Bを挿入するとともに、ドア枠2の上枠部材2Cと、図3の芯部材5Cに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の上下方向の間隔に、第1連結具20Aを挿入し、これにより、ドア枠2及び第1及び第2連結具20A,20Bを図1及び図2に示されている壁4の開口部4Aの内側に配置する。なお、補強部材7に補助部材8を取り付ける作業は、以上のようにしてドア枠2及び第1及び第2連結具20A,20Bを壁4の開口部4Aの内側に配置するための作業を行う直前において行われる。
【0050】
本実施形態では、以上のようにドア枠2及び第1及び第2連結具20A,20Bを壁4の開口部4Aの内側に配置する作業を行う際において、第1連結具20Aの第1連結部材21と第2連結部材22が中心軸24を中心に回動自在となっていても、ドア枠2の側枠部材2A,2Bと、芯部材5A,5Bに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の左右方向の間隔に挿入される第1連結具20Aについては、上述した平行手段45の平行機能により、第1連結部材21と第2連結部材22とを、側枠部材2A,2Bと補強部材7との間隔である左右方向と、ドア枠2の厚さ方向とに直交する方向となっている上下方向に並ばせながら平行又は略平行とさせることができ、また、ドア枠2の上枠部材2Cと、芯部材5Cに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の上下方向の間隔に挿入される第1連結具20Aについては、平行手段45の平行機能により、第1連結部材21と第2連結部材22とを、上枠部材2Cと補強部材7との間隔である上下方向と、ドア枠2の厚さ方向とに直交する方向となっている左右方向に並ばせながら平行又は略平行とさせることができる。
【0051】
このため、上述したように第1連結具20Aの第1連結部材21と第2連結部材22が中心軸24を中心に回動自在となっていて、側枠部材2A,2Bと補強部材7との左右方向の間隔や、上枠部材2Cと補強部材7との上下方向の間隔が小さくなっていても、これらの間隔に第1連結具20Aを有効に挿入することができ、この挿入作業時には、第2連結具20Bにおける第1連結部材21だけを、この第2連結具20Bの中心軸24を中心にして上向きに立てた状態にしてこの挿入作業を実施すればよいため、少ない作業者により作業性を向上させて容易かつ短時間で終了することができる。
【0052】
上述したようにして複数個の第1連結具20Aを側枠部材2A,2Bと補強部材7との左右方向の間隔、及び上枠部材2Cと補強部材7との上下方向の間隔に挿入した後に、作業者は、それぞれ第1連結具20Aにおける第1連結部材21と第2連結部材22のうち、少なくとも一方の連結部材を他方の連結部材に対して中心軸24を中心に側枠部材2A,2B側上枠部材2C側とは反対側に回動させる作業を行う。この回動作業は、例えば、第1連結部材21の図7で示した第2孔29や第3孔30、第2連結部材22の図9で示した第2孔38や第3孔39に工具等を挿入することにより実施できる。

【0053】
図14は、この回動作業が実施された後における第1連結具20Aの側面図を示している図13のS14-S14線断面図である。この図14に示されているように、上述の回動作業が行われると、第2連結部材22に設けられていて、第1連結部材21の架け渡し部27の裏面27Aに当接していた突片部40は、作業者による回動作業による荷重により、第2連結部材22の架け渡し部36との接続箇所から折れ曲がり、これにより、平行手段45の平行機能が消滅する。このため、複数個の第1連結具20Aのうち、側枠部材2A,2Bと補強部材7との間隔に挿入された第1連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、図10の二点鎖線で示されている第1連結部材21と第2連結部材22から分かるように、側枠部材2A,2Bと補強部材7との間隔の方向である左右方向Mに対する傾き角度θ1,θ2が互いに逆の向きの角度となるように中心軸24を中心に回動させることにより、これらの第1及び第2連結部材21,22における2個の連結部26,35の図7及び図9で示した補助部材8側の端部26A同士の間及び端部35A同士の間に補助部材8に挿入することができる(図15を参照)。また、上枠部材2Cと補助部材8との間隔に挿入された第1連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、上枠部材2Cと補強部材7との間隔の方向である上下方向に対する傾き角度が互いに逆の向きの角度となるように中心軸24を中心に回動させて、これらの第1及び第2連結部材21,22における2個の連結部26,35の補助部材8側の端部26A同士の間及び端部35A同士の間に補助部材8に挿入することができる。
【0054】
このため、それぞれの第1連結具20Aにおいて、第1連結部材21は、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間隔の方向や、上枠部材2Cと補助部材8との間隔の方向に対する傾き角度をなすものとなるとともに、第2連結部材22は、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間隔の方向や、上枠部材2Cと補助部材8との間隔の方向に対する傾き角度が、第1連結部材の傾き角度とは逆向きの傾き角度をなすものとなる。
【0055】
なお、これらの第1連結具20Aにおいて、前述したように、第2連結部材22には、この第2連結部材22に設けられている突片部40の両側において、強度低下部となっている切欠部41が2個形成されているため、突片部40を、第2連結部材22の架け渡し部36との接続箇所から折り曲げるための上述の回動作業の荷重が小さくても、作業者は、突片部40をより確実に折り曲げることができる。
【0056】
また、本実施形態では、第1連結具20Aの構成部材となっている中心軸24は、この第1連結具20Aの第1連結部材21と第2連結部材22とを回動自在とするために、これらの第1連結部材21と第2連結部材22とに共通して挿通された挿通部材となっているため、これらの第1連結部材21と第2連結部材22を回動自在とする中心軸を、これらの第1連結部材21と第2連結部材22に個別に設けた場合と比較すると、第1連結具20Aを構成する部材点数の削減を図ることができ、これにより、構造の簡単化及び製造コストの安価化を達成できる。
【0057】
図15には、上述したように第1連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22における2個の連結部26,35の補助部材8側の端部26A同士の間及び端部35A同士の間に補助部材8が挿入された状態が示されている。
【0058】
前述した作業を行った後に、作業者は、第1連結具20Aにおける第1連結部材21のそれぞれの補助部材8側の端部を、図4及び図13で示されている2個の結合具25を、第1連結部材21の連結部26に設けられた図7の第2孔29に挿入して補助部材8にねじ込むことにより、図16及び図17に示されているように補助部材8に結合し、また、第2連結部材22のそれぞれの補助部材8側の端部も、図4及び図13で示されている2個の結合具34を、第2連結部材22の連結部35に設けられた図9の第2孔38に挿入して補助部材8にねじ込むことにより、図16及び図17に示されているように補助部材8に結合する。
【0059】
また、作業者は、図3に示されているように、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bの最下部に配置されている2個の第2連結具20Bのそれぞれにおいて、第1連結部材21を中心軸24を中心に回動させて、この第1連結部材21についての前述した左右方向Mに対する傾き角度を、第1連結具20Aの第1連結部材21についての傾き角度θ1と同じ又は略同じにして、この第1連結部材21の補助部材8側の端部を、図4及び図13で示した2個の結合具25と同様の結合具により、補助部材8に結合する。
【0060】
なお、これらの第2連結具20Bを、第1連結部材21が用いられていて、第2連結部材22が用いられていないものとしている理由は、第1連結部材21の下側に配置される第2連結部材22を省略することにより、第2連結具20Bを左右の側枠部材2A,2Bの最下部の箇所に第2連結具20Bを有効に配置できるようにするためである。
【0061】
前述した結合具25,34による結合作業を行うと、ドア枠2はそれぞれの補助部材8に、複数個の第1連結具20Aでは、第1連結部材21の2個の連結部26と、第2連結部材22の2個の連結部35とを介して、また、2個の第2連結具20Bでは、第1連結部材21の2個の連結部35とを介して、それぞれ連結されたことになる。そして、この連結作業は、側枠部材2A,2Bと補強部材7との間隔に挿入された第1連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、側枠部材2A,2Bと補強部材7との間隔の方向である左右方向Mに対する傾き角度θ1、θ2を互いに逆の向きの角度とさせた姿勢にして行っているため、ドア枠2は、補助部材8に対して上下方向に不動状態となって連結されていることになる。また、上記連結作業は、上枠部材2Cと補助部材8との間隔に挿入された第1連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、上枠部材2Cと補強部材7との間隔の方向である上下方向に対する傾き角度を互いに逆の向きの角度とさせた姿勢にして行っているため、ドア枠2が、補助部材8に対して左右方向にも不動状態となって連結されていることになる。
【0062】
また、図16及び図17に示されているように、第1連結具20Aにおける第1連結部材21のそれぞれの補助部材8側の端部を、図4及び図13で示されている2個の結合具25を、第1連結部材21のそれぞれの連結部26に設けられた図7の第2孔29に挿入することにより、補助部材8に結合したときには、図8で説明したように、それぞれの連結部26の補助部材8側の端部26Aには、結合具25からの荷重Wが作用する。このため、これらの補助部材8側の端部26Aに存在していたねじり角度90°-αが、荷重Wのために減少又は消滅するとともに、補助部材8側の端部26Aとは反対側の端部であるドア枠2側の端部26Bには、前述したようにねじり角度90°-βが生ずることになる。
【0063】
図18には、このようなねじり角度90°-βが第1連結部材21のそれぞれの連結部26のドア枠2側の端部26Bに生ずることを示したこの端部26Bの拡大断面図である。この図18に示されているように、それぞれの第1連結部材21の連結部26のドア枠2側の端部26Bにねじり角度90°-βが生ずると、このねじり角度90°-βは、中心軸24の軸方向と直交する方向に対して傾斜した角度となるため、この中心軸24を挿通させるためにドア枠2側に端部26Bに設けられた挿通部となっている孔28も、中心軸24の軸方向Nに対して傾斜することになる。このため、孔28の角部28Aは、中心軸24の表面に係止することになり、これを言い換えると、中心軸24は、孔28の角部28Aが係止する被係止部材となり、この被係止部材への孔28の係止により、第1連結部材21が構成部材となっている第1連結具20Aは、中心軸24の軸方向Nであるドア枠2の厚さ方向に不動状態となる。このため、ドア枠2は、躯体側建材となっている補助部材8に対してドア枠2の厚さ方向に不動状態となって連結されることになる。
【0064】
特に、本実施形態の被係止部材となっている中心軸24は、前述したように、表面にねじ山とねじ溝による凹凸が軸方向に交互に多数形成されている雄ねじ棒であるため、孔28の角部28Aは、中心軸24の表面に一層確実に係止することになり、これにより、ドア枠2を、補助部材8に対してドア枠2の厚さ方向に一層確実に不動状態となって連結することができる。
【0065】
また、本実施形態では、第1及び第2連結部材21,22が前述した結合具25,34により結合される補助部材8は、図4で示した位置決め部材10により、補強部材7にドア枠2の厚さ方向における所定位置に位置決めされて取り付けられているため、孔28の角部28Aが中心軸24の表面に係止することにより、ドア枠2は、このドア枠2の厚さ方向の所定位置に位置決めされて配置されることになる。
【0066】
また、本実施形態では、上述したように第1連結部材21の2個の連結部26のそれぞれの補助部材8側の端部26Aに、図4の結合具25による図8の荷重Wが作用したときには、第1連結部材21に設けられている架け渡し部27に、図8で説明したように、この架け渡し部27の厚さ方向のうち、第1連結部材21の外側へ突出する方向への湾曲等の変形が生じるとともに、第1連結部材21のそれぞれのドア枠2側の端部26Bにねじり角度90°-βが生ずることになる。本実施形態では、架け渡し部27には、架け渡し部27の強度を低下させるための強度低下部となっている長孔31が設けられているため、荷重Wにより、架け渡し部27の湾曲等の変形は一層確実に生じることになり、これにより、ドア枠2側の端部26Bのねじり角度90°-βも一層確実に生じることになる。
【0067】
以上説明した実施形態では、第1連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22の2個の連結部26,35における補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合すするためのそれぞれ2個ずつとなっている結合具25,34は、図16及び図17に示されているように、互いに中心軸24の軸方向Nにおける反対側に配置されていて、これらの補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合するために、中心軸24の軸方向Nにおける互いに逆の向きとなっていた。
【0068】
図19及び図20で示した実施形態では、第1連結具20Aの第1連結部材21の2個の連結部26における補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合するために、上述の1個の結合具25と、別の1個の結合具50とが用いられている。これらの結合具25,50は、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置されて、この軸方向Nにおける同じ向きとなっているとともに、これらの結合具25,50のうち、結合具50は、図19に示されているように、2個の連結部26D,26Eのうち、中心軸24の軸方向Nにおける結合具25,50が配置されている上記同じ側とは反対側に配置されている連結部26Dを、上記同じ側に配置されている連結部26Eの側へ引き寄せるための結合具となっている。また、第2連結部材22の2個の連結部35における補助部材8側の端部35Aを補助部材8に結合するために、上述の1個の結合具34と、別の1個の結合具51とが用いられており、これらの結合具34,51も、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置されて、この軸方向Nにおける同じ向きとなっているとともに、これらの結合具34,51のうち、結合具51は、2個の連結部35のうち、中心軸24の軸方向Nにおける結合具34,51が配置されている上記同じ側とは反対側に配置されている連結部35Dを、上記同じ側に配置されている連結部35Eの側へ引き寄せるための結合具となっている。
【0069】
これらの結合具50,51は、図19に示されているように、頭部50A,51Aと、これらの頭部50A,51Aから前方へ延びる小径軸部50B,51Bと、これらの小径軸部50B,51Bから前方へ延びる大径雄ねじ部50C,51Cとからなるタッピングビスである。図7及び図9に示されている第1及び第2連結部材21,22に設けられている第3孔30,39の直径は、大径雄ねじ部50C,51Cの直径よりも小さく、かつ小径軸部50B,51Bの直径よりも大きくなっている。
【0070】
このため、工具により結合具50,51を回転させながら、第1及び第2連結部材21,22におけるそれぞれの2個の連結部26D,26E,35D,35Eのうち、中心軸24の軸方向Nにおける結合具25,34,50,51が配置される側と同じ側の連結部26E,35Eの第3孔30,39に結合具50,51を挿入させて前進させると、これらの第3孔30,39の内面に大径雄ねじ部50C,51Cによる雌ねじが刻設される。さらに、工具により結合具50,51を回転させながら前進させると、中心軸24の軸方向Nにおける結合具25,34,50,51が配置されている側とは反対側の連結部26D,35Dの第3孔30,39にも大径雄ねじ部50C,51Cによる雌ねじが刻設されることになり、そして、このときには、結合具25,34,50,51が配置されている側と同じ側の連結部26E,35Eの第3孔30,39に、結合具50,51の小径軸部50B,51Bが達していて、これらの第3孔30,39では小径軸部50B,51Bが空回転するため、結合具25,34,50,51が配置されている側とは反対側の連結部26D,35Dは、大径雄ねじ部50C、51Cにより、結合具25,34,50,51が配置されている側と同じ側の連結部26E,35Eの側へ引き寄せられることになる。
【0071】
このため、第1及び第2連結部材21,22のそれぞれ2個の連結部26,35における補助部材8側の端部26A,35Aのうち、結合具25,34,50,51が配置されている側とは反対側の端部26A,35Aは補助部材8に強く押圧される。これにより、これらの端部26A,35Aが補助部材8に結合されたと同様の状態になる。
【0072】
この実施形態によると、第1連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22のそれぞれ2個の連結部26,35における補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合するための全部の結合具25,34,50,51を、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置することができるため、これらの結合具25,34,50,51を工具で回転させて前進させるための作業も、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に居る作業者により行うことができ、このため、この作業の作業性が向上して、作業の容易化、短時間化を達成することができる。
【0073】
なお、図19及び図20の実施形態においては、第2連結具20Bの第1連結部材21の2個の連結部26における補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合するためにも、結合具25,50と同様の結合具が用いられる。
【0074】
本実施形態では、第1及び第2連結具20A,20Bにおける第1連結部材21の2個の連結部26D,26Eのそれぞれに第3孔30が設けられ、また、第1連結具20Aにおける第2連結部材22の2個の連結部35D,35Eのそれぞれに第3孔39が設けられているため、結合具25,34,50,51を、図19の図示例とは異なり、第1連結部材21の連結部26Dの側、第2連結部材22の連結部35Dの側に配置することも実施することができて、結合具25,34,50,51を配置する側を開き戸装置のそれぞれの設置現場の状態に応じて任意に選択でき、また、図3で示したドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと上枠部材2Cに配置される第1及び第2連結具20A,20Bについて、結合具25,34,50,51をドア枠2の厚さ方向の同じ側に配置して、このドア枠2を壁4の補助部材8に連結する作業を行える。
【0075】
図21には、図19及び図20で説明したように、全部の結合具25,34,50,51を中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置することが有効となる建物等の構造が平断面として示されている。この構造は、通常時はドア枠62の内側の出入口60を開いている防火戸61がヒンジ63を中心に、ドア枠62と、閉じたときの防火戸61を収納するための戸袋65との間において開閉自在となっているものであり、戸袋65は、大きな厚さ寸法を有する背後の壁64に連結されている。戸袋65を背後の壁64に連結するために、第1及び第2連結具20A,20Bと、図19及び図20で示した結合具25,34,50,51とが用いられ、これにより、戸袋65の厚さ方向における一方の面が壁64により覆われている構造となっていても、戸袋65を背後の壁64に連結する作業を、これらの第1及び第2連結具20A,20Bと結合具25,34,50,51とにより有効に実施することができる。
【0076】
図22には、別実施形態に係る第1連結部材121が示され、図22(A)(B)は、この第1連結部材121の側面図と背面図である。金属板の打ち抜き及び折り曲げ品である第1連結部材121には、図7で示した第1連結部材21と同様に、中心軸24の軸方向Nに離れている2個の連結部126が互いに対向して設けられ、これらの連結部126における中心軸24の軸方向Nと直交する側の第1連結部材121全体の厚さ方向の端部同士の間には、架け渡し部127が架け渡されているため、2個の連結部126は、中心軸24の軸方向Nを幅寸法とする架け渡し部127により結合されている。また、それぞれの連結部126は、中心軸24の軸方向Nと直交しかつ第1連結部材121全体の厚さ方向とも直交する方向の長さ寸法を有し、この長さ寸法は、長さ方向の両端部126A,126Bが、ドア枠2と、壁4の躯体となっている補助部材8とに達する寸法となっている。
【0077】
また、この実施形態の第1連結部材121では、それぞれの連結部126の長さ方向の両端部126A,126Bのうち、補助部材8側の端部126Aは、図22(A)に示されているように、連結部126の長さ方向外側へ延出しながら中心軸24の軸方向Nの外側へ延びており、このため、2個の補助部材8側の端部126Aは、連結部126の長さ方向外側へ開いたハの字状となっている。これに対してそれぞれの連結部126の長さ方向の両端部126A,126Bのうち、ドア枠2側の端部126Bは、連結部126の長さ方向外側へ延出しながら中心軸24の軸方向Nと直交する方向に延びているため、2個のドア枠2の端部126Bは互いに平行となっている。
【0078】
また、それぞれの連結部126において、ドア枠2側の端部126Bには、中心軸24を挿通させるための挿通部として大径の第1孔128が設けられているとともに、補助部材8側の端部126Aには、図4で示した結合具25を挿入するための小径の第2孔129が設けられている。また、それぞれの連結部126には、連結部126の長さ方向外側へ開いたハの字状となっている端部126Aからずれた位置において、図19及び図20で説明したタッピングビスとなっている結合具50を挿入するための第3孔130も設けられている。
【0079】
さらに、架け渡し部127には、この架け渡し部127における連結部126の長さ方向の両端部127A,127Bから連結部126の長さ方向内側へ切り込まれた切り込み部131,132が形成されており、これらの切り込み部131,132は、架け渡し部127の強度を低下させるためにこの架け渡し部127に形成された強度低下部となっている。
【0080】
図23には、図4の結合具25又は図19及び図20の結合具50により連結部126の補助部材8側の端部126Aを補助部材8に結合するために、それぞれの補助部材8側の端部126Aに、中心軸24の軸方向Nにおける互いに逆の向きの荷重Wが作用したときを示している。このような荷重Wがそれぞれの補助部材8側の端部126Aに作用すると、これらの補助部材8側の端部126Aは互いに平行になるとともに、それぞれのドア枠2の端部126Bは、荷重Wの影響により、連結部126の長さ方向外側へ開いたハの字状となる。これにより、それぞれのドア枠2の端部126B及びこれらの端部126Bに設けられている第1孔128は、中心軸24の軸方向Nに対して傾斜角度γをなすことになる。
【0081】
このため、この実施形態の第1連結部材121でも、第1孔128の角部が、図18で示されていると同様に、中心軸24の表面に形成されているねじ山とねじ溝による凹凸に係止することになり、これにより、第1連結部材121は、中心軸24の軸方向Nであるドア枠2の厚さ方向に不動状態となる。
【0082】
また、この実施形態の第1連結部材121では、架け渡し部127には強度低下部となっている切り込み部131,132が形成されているため、それぞれの補助部材8側の端部126Aに上述の荷重Wが作用すると、それぞれのドア枠2の端部126B及びこれらの端部126Bに設けられている第1孔128が中心軸24の軸方向Nに対して一層確実に傾斜角度γをなすことになり、これにより、第1孔128の角部が中心軸24の表面に形成されているねじ山とねじ溝による凹凸に係止することを、一層確実に生じさせることができる。
【0083】
以上説明した第1連結部材121は、前述した第1連結部材21に代わるものとして第1連結具20A及び第2連結具20Bに用いることができ、このため、第2連結部材22に設けられている突片部40による平行手段45も、図22及び図23で示した第1連結部材121に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、間隔をあけて配設される2個の建材、例えば、開き戸装置や引き戸装置等の装置側建材となっているドア枠等の開口枠と、壁等の躯体側の建材とを連結するために利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 開き戸
2 開き戸装置側の建材であるドア枠
2A,2B ドア枠の側枠部材
2C ドア枠の上枠部材
4 躯体である壁
7 躯体側建材である補強部材
8 躯体側建材である補助部材
20,20A,20B 連結具
21,121 第1連結部材
22 第2連結部材
23 軸受け部材
24 中心軸
25,34,50,51 結合具
26,126 連結部
26A,126A 補助部材側の端部
26B,126B ドア枠側の端部
27 架け渡し部
40 突片部
41 強度低下部である切欠部
45 平行手段
M 間隔の方向である左右方向
N 軸方向
θ1,θ2 傾き角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23