(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】シート折返装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220509BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A61F13/15 333
A61F13/15 356
A61F13/15 370
A61F13/53 100
(21)【出願番号】P 2018149639
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】吉川 善史
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-097172(JP,A)
【文献】特開2010-131111(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079100(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0176266(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106109101(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
A61F 13/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体の製造ラインに設けられ、上流側の装置から連続的に搬送されるとともに上面に吸収性材料が接着された連続シートに対して折返処理を行うシート折返装置であって、
上面に第1吸収性材料が接着された連続シートを長手方向に沿う搬送方向に連続的に搬送しつつ、前記長手方向に垂直な幅方向において、前記連続シートが第1の幅となるように、前記長手方向に沿う前記連続シートの両側部を前記上面側に折り返す折返処理が実行可能な第1シート折返部と、
前記第1シート折返部に対して前記幅方向に隣接して設けられ、前記第1吸収性材料と幅の異なる第2吸収性材料が上面に接着された連続シートを前記搬送方向に連続的に搬送しつつ、前記連続シートが前記第1の幅と異なる第2の幅となるように、前記折返処理が実行可能な第2シート折返部と、
前記第1シート折返部および前記第2シート折返部を前記幅方向に移動可能に支持するとともに、前記上流側の装置から連続シートが連続的に搬送される搬送基準位置に、前記第1シート折返部または前記第2シート折返部を配置可能な移動支持部と、
を備えることを特徴とするシート折返装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート折返装置であって、
前記第1の幅に近似する幅の前記第1吸収性材料が接着された前記連続シートが前記シート折返装置に搬送される場合に、前記第1シート折返部が前記搬送基準位置に配置され、
前記第2の幅に近似する幅の前記第2吸収性材料が接着された前記連続シートが前記シート折返装置に搬送される場合に、前記第2シート折返部が前記搬送基準位置に配置されることを特徴とするシート折返装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート折返装置であって、
前記幅方向に延びる駆動ロールをさらに備え、
前記第1シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第1シート折返部に設けられる無端の搬送ベルトが前記駆動ロールの回転により循環移動することにより、前記搬送ベルトが前記連続シートを保持しつつ前記搬送方向に搬送し、
前記第2シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第2シート折返部に設けられる無端の搬送ベルトが前記駆動ロールの回転により循環移動することにより、前記搬送ベルトが前記連続シートを保持しつつ前記搬送方向に搬送することを特徴とするシート折返装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート折返装置であって、
前記幅方向に延びるテンションロールをさらに備え、
前記第1シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第1シート折返部に設けられる前記搬送ベルトに対して前記テンションロールによりテンションが付与され、
前記第2シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第2シート折返部に設けられる前記搬送ベルトに対して前記テンションロールによりテンションが付与されることを特徴とするシート折返装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のシート折返装置であって、
前記搬送基準位置に配置された各シート折返部が、
前記搬送ベルトが前記連続シートを保持しつつ搬送する前記搬送方向の搬送範囲において上流側に位置し、前記搬送ベルトの両エッジから前記幅方向の両外側に広がる一対の板状であり、前記幅方向の幅が前記搬送方向の下流側に向かうに従って漸次減少する一対の上流側案内部と、
前記搬送範囲において下流側に位置し、前記幅方向における前記搬送ベルトの両外側に位置する前記連続シートの部位が、前記上面側に折り返されるように、前記部位を前記搬送方向に沿って案内する一対の下流側案内部と、
を備え、
前記一対の下流側案内部における前記連続シートの移動方向が、前記一対の上流側案内部における前記連続シートの移動方向に対して下方に傾斜することを特徴とするシート折返装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体の製造ラインに設けられるシート折返装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品に用いられる吸収体の製造では、連続シートの上面に親水性繊維の集合体等を含む吸収性材料が接着され、続いて、長手方向に沿う連続シートの両側部が上面側に折り返される。これにより、吸収性材料がシートにより包まれた吸収体が得られる(このような処理として、例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸収性物品では、通常、サイズによって幅が異なる吸収体が用いられる。一の幅の吸収体の製造ラインを、他の幅の吸収体の製造ラインに切り替える場合、連続シートに対して一の折返位置で折返処理を行うシート折返部を、他の折返位置で折返処理を行うシート折返部に付け替える必要がある。実際には、シート折返部の重量は大きいため、シート折返部の付け替えには、フォークリフトやホイストクレーンを用いた煩雑な作業が必要となり、長時間を要してしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、製造ラインにおいて製造する吸収体のサイズを変更する際に、連続シートが搬送される位置に必要なシート折返部を容易に配置することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、吸収体の製造ラインに設けられ、上流側の装置から連続的に搬送されるとともに上面に吸収性材料が接着された連続シートに対して折返処理を行うシート折返装置であって、上面に第1吸収性材料が接着された連続シートを長手方向に沿う搬送方向に連続的に搬送しつつ、前記長手方向に垂直な幅方向において、前記連続シートが第1の幅となるように、前記長手方向に沿う前記連続シートの両側部を前記上面側に折り返す折返処理が実行可能な第1シート折返部と、前記第1シート折返部に対して前記幅方向に隣接して設けられ、前記第1吸収性材料と幅の異なる第2吸収性材料が上面に接着された連続シートを前記搬送方向に連続的に搬送しつつ、前記連続シートが前記第1の幅と異なる第2の幅となるように、前記折返処理が実行可能な第2シート折返部と、前記第1シート折返部および前記第2シート折返部を前記幅方向に移動可能に支持するとともに、前記上流側の装置から連続シートが連続的に搬送される搬送基準位置に、前記第1シート折返部または前記第2シート折返部を配置可能な移動支持部とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート折返装置であって、前記第1の幅に近似する幅の前記第1吸収性材料が接着された前記連続シートが前記シート折返装置に搬送される場合に、前記第1シート折返部が前記搬送基準位置に配置され、前記第2の幅に近似する幅の前記第2吸収性材料が接着された前記連続シートが前記シート折返装置に搬送される場合に、前記第2シート折返部が前記搬送基準位置に配置される。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のシート折返装置であって、前記幅方向に延びる駆動ロールをさらに備え、前記第1シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第1シート折返部に設けられる無端の搬送ベルトが前記駆動ロールの回転により循環移動することにより、前記搬送ベルトが前記連続シートを保持しつつ前記搬送方向に搬送し、前記第2シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第2シート折返部に設けられる無端の搬送ベルトが前記駆動ロールの回転により循環移動することにより、前記搬送ベルトが前記連続シートを保持しつつ前記搬送方向に搬送する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のシート折返装置であって、前記幅方向に延びるテンションロールをさらに備え、前記第1シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第1シート折返部に設けられる前記搬送ベルトに対して前記テンションロールによりテンションが付与され、前記第2シート折返部が前記搬送基準位置に配置される場合に、前記第2シート折返部に設けられる前記搬送ベルトに対して前記テンションロールによりテンションが付与される。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載のシート折返装置であって、前記搬送基準位置に配置された各シート折返部が、前記搬送ベルトが前記連続シートを保持しつつ搬送する前記搬送方向の搬送範囲において上流側に位置し、前記搬送ベルトの両エッジから前記幅方向の両外側に広がる一対の板状であり、前記幅方向の幅が前記搬送方向の下流側に向かうに従って漸次減少する一対の上流側案内部と、前記搬送範囲において下流側に位置し、前記幅方向における前記搬送ベルトの両外側に位置する前記連続シートの部位が、前記上面側に折り返されるように、前記部位を前記搬送方向に沿って案内する一対の下流側案内部とを備え、前記一対の下流側案内部における前記連続シートの移動方向が、前記一対の上流側案内部における前記連続シートの移動方向に対して下方に傾斜する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造ラインにおいて製造する吸収体のサイズを変更する際に、必要なシート折返部を搬送基準位置に容易に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】下流側案内部および下流側本体部を示す断面図である。
【
図4】下流側案内部および下流側本体部を示す断面図である。
【
図5】下流側案内部および下流側本体部を示す断面図である。
【
図6】連続シートに対して折返処理を行っているシート折返装置を示す平面図である。
【
図7】第2シート折返部を搬送基準位置に配置したシート折返装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一の実施の形態に係るシート折返装置1を示す平面図であり、
図2は、シート折返装置1を示す側面図である。シート折返装置1は、吸収体(および吸収性物品)の製造ラインに設けられ、上流側の装置から連続的に搬送される連続シートに対して後述の折返処理を行う装置である。
図1および
図2では、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を矢印で示している(他の図において同様)。
【0014】
図1に示すように、シート折返装置1は、基台10と、支持板11と、第1シート折返部2aと、第2シート折返部2bと、駆動ロール31と、2つのテンションロール32,33と、移動支持部4とを備える。支持板11は、基台10上で直立しており、YZ平面に平行である。シート折返装置1では、連続シート9(後述の
図6参照)が、
図1の(-Y)側から(+Y)方向に向かって支持板11に沿って搬送される。また、連続シート9において長手方向に垂直な幅方向は、支持板11に垂直、すなわち、X方向に平行である。
【0015】
第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bは、Y方向に延びており、支持板11の(-X)側において幅方向に互いに隣接して設けられる。第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bの詳細については後述する。駆動ロール31および2つのテンションロール32,33は、支持板11の(-X)側において、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bの下方に配置される。駆動ロール31は、幅方向に平行な回転軸を中心として支持板11により回転可能に支持される。
図1のシート折返装置1では、駆動ロール31は片持ち状態で支持される。駆動ロール31には、図示省略の駆動源の回転が減速機等を介して伝達され、駆動ロール31は、回転軸を中心として連続的に回転する。
【0016】
2つのテンションロール32,33は、幅方向に延びており、支持板11の(-X)側において、Y方向に互いに離れて配置される。
図2に示すように、(+Y)側のテンションロール32は、駆動ロール31の(+Z)側近傍に位置する。テンションロール32の回転軸の(+X)側の端部は、支持板11により回転可能に支持される。テンションロール32の回転軸の(-X)側の端部は、ロール支持部321により回転可能に支持される。ロール支持部321は、駆動ロール31の(-X)側の端部を跨ぐ門型であり、図示省略のボルト等により、基台10に着脱可能に固定される。
【0017】
(-Y)側のテンションロール33は、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bの(-Y)側の端部近傍に配置される。テンションロール33の回転軸の両端は、ロール移動部331により回転可能に支持される。詳細には、ロール移動部331は、第1シート折返部2aの下方に配置され、
図2に示すように、一対の板状の支持アーム332を備える。一対の支持アーム332は、上下方向(Z方向)に沿って延びており、テンションロール33の回転軸の両端は、一対の支持アーム332の(+Z)側の端部により回転可能に支持される。一対の支持アーム332は、(-Z)側の端部近傍において屈曲しており、その屈曲位置において、アーム支持部333により、幅方向に平行な軸を中心として回動可能に支持される。一対の支持アーム332の(-Z)側の端部、すなわち、屈曲位置よりも(-Z)側の部位の先端は、幅方向に延びる部材により互いに接続され、当該部材には、エアシリンダ334が接続される。エアシリンダ334が、ピストンを押し出すことにより、テンションロール33が
図2中に実線で示す位置に配置される。また、エアシリンダ334が、ピストンを引き込むことにより、テンションロール33が
図2中に二点鎖線で示す位置に配置される。
【0018】
移動支持部4は、複数のレール支持梁41と、複数のガイドレール42と、複数のガイドブロック43と、複数の支持ベース44とを備える。複数のレール支持梁41は、Y方向に互いに離間して配列される。各レール支持梁41は、幅方向に延びており、幅方向に垂直な断面形状は、例えば、(-Z)側に向かって開口するU字状等である。レール支持梁41の(+X)側の端部は、支持板11に固定され、レール支持梁41は片持ち状態で支持される。ガイドレール42は、レール支持梁41の(+Z)方向を向く面に固定される。ガイドレール42は、支持板11近傍から、
図1中の第1シート折返部2aよりも(-X)側の位置まで幅方向に延びる。
図2に示すガイドブロック43は、幅方向に移動可能な状態でガイドレール42と係合する。ガイドレール42およびガイドブロック43として、例えばLMガイド(登録商標)が利用可能である。
【0019】
Y方向に並ぶ複数のガイドレール42上の複数のガイドブロック43には、複数の支持ベース44がそれぞれ固定される。Y方向に延びる第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bは、並列して配置されており、共に複数の支持ベース44に固定される。上記構造により、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bが、移動支持部4により幅方向に移動可能に支持される。
図1では、幅方向における第1シート折返部2aの中心位置を示すとともにY方向に沿う中心線C1が、支持板11から(-Y)側に所定距離だけ離れた位置(
図1中に矢印A1で示す位置であり、以下、「搬送基準位置A1」という。)に配置される。後述するように、搬送基準位置A1は、吸収体の製造ラインにおいて上流側の装置からシート折返装置1に対して連続シート9が連続的に搬送される幅方向の位置である。
図1では、第1シート折返部2aが、搬送基準位置A1に配置されている。
【0020】
搬送基準位置A1に配置された第1シート折返部2aは、
図2に示すように、本体部21と、スリットプレート22と、搬送ベルト23と、複数の(
図2では、2つの)補助ロール241,242と、一対の上流側案内部25と、一対の下流側案内部26とを備える。本体部21は、Y方向に長い無蓋の箱状である。
図2の例では、本体部21における(-Y)側の部位211は、Y方向に平行に延びる。(+Y)側の部位212は、(-Y)側の部位211から離れるに従って(-Z)方向に向かうように、Y方向に対して傾斜した方向に延びる。既述のように、連続シート9は、(-Y)側から(+Y)方向に向かって搬送されるため、以下、本体部21における(-Y)側の部位211および(+Y)側の部位212をそれぞれ、「上流側本体部211」および「下流側本体部212」という。上流側本体部211および下流側本体部212は、Y方向に連続する。
【0021】
スリットプレート22は、本体部21の蓋となる板部材であり、Y方向に延びる。スリットプレート22には、多数のスリットが形成される(後述の
図7参照)。ここでは、上流側本体部211および下流側本体部212に対して、個別のスリットプレート22が設けられる。本体部21では、Y方向の全体に亘ってスリットプレート22が取り付けられる。第1シート折返部2aでは、本体部21の内部空間210がスリットプレート22により覆われる(後述の
図3ないし
図5参照)。
図2に示すように、上流側本体部211および下流側本体部212のそれぞれでは、(-Z)方向を向く下面に貫通孔が設けられており、当該貫通孔に対してダクト219の一方の端部が着脱可能に取り付けられる。ダクト219の他方の端部は、図示省略の集塵器に接続される。集塵器が駆動することにより、ダクト219を介して本体部21の内部空間210が減圧される。
【0022】
2つの補助ロール241,242は、幅方向に延びており、上流側本体部211の(-Y)側の端部近傍、および、下流側本体部212の(+Y)側の端部近傍にそれぞれ配置される。(-Y)側の補助ロール241の両端は、一対のロール支持板243により回転可能に支持される。一対のロール支持板243は、上流側本体部211の(-Y)側の端部の両側面(幅方向を向く面)に固定される。(+Y)側の補助ロール242の両端は、一対のロール支持板244により回転可能に支持される。一対のロール支持板244は、下流側本体部212の(+Y)側の端部の両側面に固定される。実際には、各ロール支持板243,244の本体部21に対する固定位置は、Y方向に微調整することが可能である。
【0023】
搬送ベルト23は、無端のベルトであり、
図1に示すように、多数の貫通孔が形成される。幅方向において、搬送ベルト23の幅は、本体部21(すなわち、上流側本体部211および下流側本体部212)のおよそ全体に亘る。搬送ベルト23は、スリットプレート22の上面((+Z)方向を向く面)に接するとともに、
図2に示すように、(+Y)側の補助ロール242、駆動ロール31、(+Y)側のテンションロール32、(-Y)側のテンションロール33および(-Y)側の補助ロール241に掛けられる。また、テンションロール32、および、テンションロール33(
図2中に実線で示す位置に配置されるテンションロール33)により、搬送ベルト23に対してテンションが付与される。
図2中の駆動ロール31が、反時計回りに回転することにより、搬送ベルト23の各部位が、スリットプレート22、(+Y)側の補助ロール242、駆動ロール31、(+Y)側のテンションロール32、(-Y)側のテンションロール33および(-Y)側の補助ロール241をこの順番で繰り返し通過する。このようにして、幅方向に沿って見た本体部21の周囲を、搬送ベルト23が循環移動する。
【0024】
図1に示す一対の上流側案内部25は、XY平面に沿う板状であり、上流側本体部211に固定される。詳細には、無蓋の箱状の上流側本体部211において幅方向の両外側を向く2つの側面の上端部に、一対の上流側案内部25が着脱可能に取り付けられる。Y方向において、各上流側案内部25は、上流側本体部211のおよそ全体に亘って設けられる。幅方向において上流側案内部25における内側エッジ(中心線C1側のエッジ)は、上流側本体部211におよそ接する。換言すると、各上流側案内部25における内側エッジは、搬送ベルト23における、当該上流側案内部25側のエッジに近接する。各上流側案内部25における外側エッジ(中心線C1とは反対側のエッジ)は、(-Y)側から(+Y)方向に向かうに従って、すなわち、連続シート9の搬送方向における下流側に向かうに従って上流側本体部211に近づく。上流側本体部211の(+Y)側の端部では、上流側案内部25の外側エッジは、上流側本体部211の側面とおよそ重なる。
【0025】
以上のように、一対の上流側案内部25は、上流側本体部211上の搬送ベルト23の両エッジから幅方向の両外側に広がり、幅方向における各上流側案内部25の幅は、搬送方向の下流側に向かうに従って漸次減少する。
図1の例では、(+X)側に配置される上流側案内部25における外側エッジが、(-Y)側の端部近傍においてY方向に平行となり、第2シート折返部2bと干渉することが避けられている。
【0026】
図3、
図4および
図5は、
図1中に矢印III、矢印IV、矢印Vで示す位置における一対の下流側案内部26、および、下流側本体部212の断面を示す図である。
図3ないし
図5では、連続シート9および後述の吸収性材料91も示している。
【0027】
一対の下流側案内部26は、下流側本体部212において幅方向の両外側を向く2つの側面に固定される。詳細には、各下流側案内部26は、側板部261と、天板部262とを備える。側板部261は、下流側本体部212の側面に沿って上方に広がる板状であり、当該側面に着脱可能に取り付けられる。側板部261の上端は、下流側本体部212(の側面)の上端よりも上方に位置する。下流側本体部212における(-Y)側の端部近傍を除き、側板部261の上端と下流側本体部212の上端との間の距離はほぼ一定である(
図4および
図5参照)。
【0028】
天板部262は、側板部261の上端から幅方向の内側に向かって突出する。天板部262は、下流側本体部212に設けられるスリットプレート22とほぼ平行である。
図1に示すように、天板部262は、下流側本体部212において(-Y)側の端部近傍を除く、ほぼ全体に設けられる。天板部262における(-Y)側の端部では、幅方向における天板部262の内側エッジ(中心線C1側のエッジ)は、側板部261に近接し、連続シート9の搬送方向における下流側に向かうに従って当該側板部261から離れる。すなわち、天板部262の幅は、搬送方向の下流側に向かうに従って漸次増大する。また、
図4および
図5に示すように、2つの下流側案内部26では、側板部261の上端の位置を僅かに相違させることで、天板部262の下面と他方の天板部262の上面との間に隙間を設けることができ、この隙間を(-X)側と(+X)側から折り返された連続シート9が通過する。天板部262の幅が、下流側本体部212の幅の半分を超える(+Y)側の端部(
図5参照)では、各天板部262の内側エッジが他方の天板部262と上下方向に重なる。
【0029】
図1に示すように、搬送基準位置A1よりも支持板11側に配置された第2シート折返部2bは、搬送ベルト23、(+X)側の上流側案内部25、および、一対の下流側案内部26が取り外されている点を除き、第1シート折返部2aと同様の構造を有する。すなわち、
図1に示す第2シート折返部2bは、本体部21と、スリットプレート22と、複数の補助ロール241,242と、1つの上流側案内部25とを備える。第2シート折返部2bにおける本体部21の幅は、第1シート折返部2aの本体部21の幅よりも小さい。スリットプレート22および複数の補助ロール241,242において同様である。また、後述するように、上流側案内部25の形状が、第1シート折返部2aの上流側案内部25と相違する。搬送ベルト23、両方の上流側案内部25、および、両方の下流側案内部26を取り付けた第2シート折返部2bについては後述する。
【0030】
シート折返装置1では、第1シート折返部2aが搬送基準位置A1に配置される場合に、吸収体の製造ラインにおける上流側の装置から連続的に搬送される連続シート9に対して、第1シート折返部2aを用いて処理が行われる。
図6は、連続シート9に対して後述の折返処理を行っているシート折返装置1を示す平面図である。
【0031】
既述のように、第1シート折返部2aでは、駆動ロール31の回転により搬送ベルト23が循環移動する。また、本体部21の内部空間210(
図3ないし
図5参照)が減圧される。これにより、上流側の装置から搬送ベルト23上に搬送される連続シート9の各部位は、スリットプレート22のスリット、および、搬送ベルト23の貫通孔を介して吸引され、搬送ベルト23上に保持される。また、連続シート9の当該部位は、搬送方向の下流側((+Y)側)に向かって搬送ベルト23により搬送される。シート折返装置1では、連続シート9の長手方向に沿う搬送方向に連続シート9が連続的に搬送される。
【0032】
実際には、製造ラインにおけるシート折返装置1よりも上流側の装置により、連続シート9の上面9aに吸収性材料91が順次接着されている。複数の吸収性材料91は、連続シート9の長手方向に一定の間隔を空けて配列される。また、複数の吸収性材料91は、長手方向に沿う連続シート9の両側部間の領域に接着される。
図6の例では、吸収性材料91は、幅方向における連続シート9のほぼ中央に配置され、連続シート9に対して垂直な方向に沿って見た吸収性材料91の外形は矩形である。幅方向における吸収性材料91の幅は、例えば、連続シート9の幅の半分よりも小さく、スリットプレート22の幅よりも僅かに大きい。なお、吸収性材料91の形状は、矩形以外であってもよい。シート折返装置1の搬送ベルト23では、連続シート9を介して吸収性材料91も吸引されるため、吸収性材料91を連続シート9に接着する接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が未硬化の状態であっても、吸収性材料91が連続シート9と共に搬送ベルト23により保持される。
【0033】
吸収性材料91は、吸水性を有し、粒状または繊維状の高吸収性材料、および、親水性繊維の集合体のうち、少なくとも一方を含む。当該高吸収性材料としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。当該親水性繊維の集合体は、例えば、粉砕されたパルプ繊維またはセルロース繊維により形成される。連続シート9は、例えば、ティッシュペーパーまたは透液性不織布である。後述するように、連続シート9は、吸収性材料91を包み込むため、被覆シートまたは包装シートとも呼ばれる。
【0034】
搬送ベルト23上の連続シート9には、製造ラインにおけるシート折返装置1よりも上流側の装置、および、下流側の装置により一定のテンションが付与されている。上流側本体部211における(-Y)側の端部では、連続シート9が幅方向の全体に亘って、一対の上流側案内部25および搬送ベルト23により支持され、連続シート9が広げられた状態(皺を伸ばした状態)となる。既述のように、上流側案内部25の幅は、搬送方向の下流側に向かって漸次減少し、上流側本体部211における(+Y)側の端部では、幅方向における連続シート9の中央部、すなわち、幅方向における吸収性材料91の存在範囲のみが搬送ベルト23により支持される。連続シート9の各部位は、上流側本体部211から下流側本体部212に連続的に搬送される。
【0035】
既述のように、下流側本体部212は、上流側本体部211から離れるに従って、下方に向かうように傾斜する(
図2参照)。したがって、下流側本体部212および一対の下流側案内部26における連続シート9の移動方向は、上流側本体部211および一対の上流側案内部25における連続シート9の移動方向に対して下方に傾斜する。
図2の例では、下流側本体部212における移動方向と、上流側本体部211における移動方向とのなす角度は、10~20度である。すなわち、
図2中の角度θは190~200度(例えば、195度)である。また、下流側本体部212の(-Y)側の端部では、幅方向における連続シート9の中央部のみが支持される。したがって、長手方向に沿う連続シート9の両側部は、僅かに弛んだ状態となる。
【0036】
図4および
図5に示すように、各下流側案内部26では、搬送方向の下流側に向かうに従って、連続シート9の側部が、天板部262の内側のエッジにより他方の下流側案内部26側へと押し込まれ、吸収性材料91の上面に重ねられる。換言すると、幅方向における搬送ベルト23の両外側に位置する連続シート9の部位(すなわち、両側部)が、上面9a側に折り返されるように、当該部位が搬送方向に沿って一対の下流側案内部26により案内される。このようにして、第1シート折返部2aでは、連続シート9が、一対の下流側案内部26における側板部261間の幅(以下、「第1設定幅」という。)となるように、連続シート9の両側部を上面9a側に折り返す折返処理が実行される。既述のように、下流側本体部212の(-Y)側の端部近傍では、長手方向に沿う連続シート9の両側部が僅かに弛んでいるため、連続シート9が損傷することなく、連続シート9の両側部を上面9a側に折り返すことが可能となる。
【0037】
下流側本体部212の(+Y)側の端部では、一対の下流側案内部26の天板部262が上下方向に部分的に重なっており、連続シート9の両側部も互いに、かつ、直接的に重ねられる。連続シート9における吸収性材料91の幅は、第1設定幅とおよそ等しいため、連続シート9の両側部は、吸収性材料91の側部に密着するように折り返される。一対の下流側案内部26を通過した連続シート9(両側部が折り返された連続シート9)の幅は、吸収性材料91の幅にほぼ一致する。このようにして、シート折返装置1では、吸収性材料91が連続シート9により包まれる。上記折返処理は、連続シート9により吸収性材料91を包み込む包合処理と捉えることも可能である。上流側案内部25および下流側案内部26は、セーラー板とも呼ばれる。
【0038】
下流側本体部212の(+Y)側の端部では、搬送ベルト23の移動方向が駆動ロール31に向かって反転され、連続シート9から離れる。一例では、第1シート折返部2aに搬送される連続シート9の幅は380~410mmであり、連続シート9上の吸収性材料91の幅は180mmであり、この場合、第1設定幅である約180mmの幅に折り畳まれた連続シート9が、第1シート折返部2aから排出される。連続シート9は、製造ラインにおいてシート折返装置1の下流側の装置へと導かれる。
【0039】
当該下流側の装置では、例えば、吸収性材料91を包み込んだ連続シート9上に、他の吸収性材料が接着剤を介して重ねられ、さらに、他の連続シートにより、連続シート9および当該他の吸収性材料が包まれる。これにより、吸収体の連続体が製造される。そして、長手方向に互いに隣接する2つの吸収性材料91の間の位置で吸収体の連続体を切断することにより、吸収体が完成する。吸収体は、吸収性物品の製造に用いられる。
【0040】
図1のシート折返装置1において、上記吸収体よりも幅が小さい吸収体を製造する場合には、第2シート折返部2bを搬送基準位置A1に配置する配置換え作業が行われる。具体的には、まず、第1シート折返部2aにおいて、(-X)側の上流側案内部25が上流側本体部211から取り外されるとともに、一対の下流側案内部26が下流側本体部212から取り外される。続いて、
図2のエアシリンダ334が、ピストンを引き込むことにより、(-Y)側のテンションロール33が
図2中に二点鎖線で示す位置に配置される。これにより、第1シート折返部2aにおける搬送ベルト23が弛む。
【0041】
搬送ベルト23が弛められると、(-X)側の支持アーム332がテンションロール33から取り外される。また、(+Y)側のテンションロール32からロール支持部321が取り外され、さらに、ロール支持部321が基台10からも取り外される。そして、搬送ベルト23を支持板11とは反対側((-X)側)へと引き出すことにより、搬送ベルト23が第1シート折返部2aから取り外される。各ダクト219の端部も、第1シート折返部2aの本体部21から取り外される。
【0042】
シート折返装置1では、図示省略のクランプ部により、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bの幅方向の位置がレール支持梁41に対して固定されている。クランプ部による固定を解除した後、作業者が第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bを(-X)方向に一体的に移動することにより、
図7に示すように、幅方向において、第2シート折返部2bの中心線C2が搬送基準位置A1に配置される。すなわち、第2シート折返部2bが搬送基準位置A1に配置される。
【0043】
ここで、
図2に示す支持ベース44において幅方向の両端には、下方に突出する突出板441が設けられる。突出板441の下端部には、ネジ孔が形成されており、当該ネジ孔には当接ボルト442が螺合される。当接ボルト442の軸の先端は、幅方向の外側を向く。また、幅方向におけるレール支持梁41の両端部近傍には、当接ボルト442の先端に対向する係止板411が設けられる。シート折返装置1では、(-X)側の当接ボルト442の先端が(-X)側の係止板411に当接した状態において、第2シート折返部2bが搬送基準位置A1に配置されるように、当該当接ボルト442の突出板441からの突出量が調整されている。これにより、第2シート折返部2bを搬送基準位置A1に容易に配置することが可能である。なお、(+X)側の当接ボルト442の突出量も、同様に調整されており、当該当接ボルト442の先端が(+X)側の係止板411に当接した状態において、第1シート折返部2aが搬送基準位置A1に配置される。
【0044】
図7に示すシート折返装置1では、ガイドレール42の長さが、第1シート折返部2aの中心線C1と第2シート折返部2bの中心線C2との間の距離D2に、支持板11から搬送基準位置A1までの距離D1を足した距離よりも長い。これにより、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bを搬送基準位置A1に配置するための当接ボルト442(
図2参照)の突出量の調整幅を確保することが可能となる。例えば、ガイドレール42の長さが730mm、距離D2が255mm、距離D1が380mmである場合、上記調整幅として95mmが確保される。本実施の形態では、Y方向における第2シート折返部2bの長さが、第1シート折返部2aの長さと同じである(例えば、2400mm)が、駆動ロール31およびテンションロール32,33が共用可能な範囲で、両者の長さが異なっていてもよい。
【0045】
第2シート折返部2bが搬送基準位置A1に配置されると、クランプ部により、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bの幅方向の位置がレール支持梁41に対して固定される。また、各ダクト219(
図2参照)の端部が、第2シート折返部2bの本体部21に取り付けられる。続いて、第2シート折返部2b用の搬送ベルト23が、第2シート折返部2bに取り付けられる。具体的には、搬送ベルト23が、第2シート折返部2bにおける、スリットプレート22の上面、(+Y)側の補助ロール242、駆動ロール31、(+Y)側のテンションロール32、(-Y)側のテンションロール33および(-Y)側の補助ロール241に掛けられる(
図2参照)。既述のように、第2シート折返部2bにおける本体部21の幅は、第1シート折返部2aの本体部21の幅よりも小さく、第2シート折返部2b用の搬送ベルト23の幅は、第2シート折返部2bの本体部21の幅におよそ一致する。
【0046】
搬送ベルト23が、第2シート折返部2bに掛けられると、
図2と同様に、ロール支持部321が(+Y)側のテンションロール32に取り付けられ、さらに基台10に取り付けられる。また、(-X)側の支持アーム332が(-Y)側のテンションロール33に取り付けられる。そして、エアシリンダ334が、ピストンを押し出すことにより、テンションロール33が
図2中に実線で示す位置に配置される。これにより、第2シート折返部2bにおける搬送ベルト23が緊張状態となる。
【0047】
その後、
図7に示すように、第2シート折返部2bにおいて、(+X)側の上流側案内部25が上流側本体部211に取り付けられるとともに、一対の下流側案内部26が下流側本体部212に取り付けられる。(+X)側の上流側案内部25の幅は、第1シート折返部2aの上流側案内部25と同様に、搬送方向の下流側に向かうに従って漸次減少する。また、当該一対の下流側案内部26は、第1シート折返部2aの下流側案内部26と同様の構造である。したがって、幅方向における搬送ベルト23の両外側に位置する連続シート9の部位が上面9a側に折り返されるように、当該部位を搬送方向に沿って案内することが可能である。
【0048】
なお、シート折返装置1では、第1シート折返部2aと第2シート折返部2bとの間に位置する上流側案内部25の付け替え作業を省略するため、第1シート折返部2aにおける(+X)側の上流側案内部25、および、第2シート折返部2bにおける(-X)側の上流側案内部25が常時取り付けたままである。
図7の例では、第2シート折返部2bにおける(-X)側の上流側案内部25において、第1シート折返部2aにおける(+X)側の上流側案内部25と重なる領域が省略されている。換言すると、第1シート折返部2aにおける(+X)側の上流側案内部25が、第2シート折返部2bにおける(-X)側の上流側案内部25の一部を兼ねている。したがって、実質的には、第2シート折返部2bにおける(-X)側の上流側案内部25の幅も、搬送方向の下流側に向かうに従って漸次減少していると捉えることが可能である。
【0049】
上記配置換え作業により、第2シート折返部2bが搬送基準位置A1に配置されると、製造ラインにおいて、上流側の装置から搬送基準位置A1に連続シート9が連続的に搬送される。第2シート折返部2bにおいても、第1シート折返部2aと同様に、搬送ベルト23が連続シート9を保持しつつ搬送方向に連続的に搬送する搬送範囲において、上流側に上流側案内部25が位置し、下流側に下流側案内部26が位置する。一対の下流側案内部26では、連続シート9が2つの側板部261(
図3ないし
図5参照)間の幅(以下、「第2設定幅」という。)となるように、連続シート9の両側部が上面9a側に折り返される、すなわち、連続シート9に対して折返処理が実行される。
【0050】
第2シート折返部2bにおける第2設定幅は、第1シート折返部2aにおける第1設定幅と異なる。一例では、第2シート折返部2bに搬送される連続シート9の幅は210~220mmであり、連続シート9上の吸収性材料91の幅は90mmであり、この場合、第2設定幅である約90mmの幅に折り畳まれた連続シート9が、第2シート折返部2bから排出される。なお、駆動ロール31の回転により循環移動する搬送ベルト23が蛇行する場合等には、(-Y)側の補助ロール241を支持する各ロール支持板243の固定位置、および、(+Y)側の補助ロール242を支持する各ロール支持板244の固定位置が調整される。
【0051】
第1シート折返部2aを搬送基準位置A1に戻す場合には、上記配置換え作業と同様の作業が行われる。実際には、基台10の(-X)側の端部には、安全カバーが設けられており、搬送基準位置A1に配置されるシート折返部を、第1シート折返部2aと第2シート折返部2bとの間で切り替える配置換え作業では、安全カバーに内蔵されているドアを開けて、搬送ベルト23や上流側案内部25と下流側案内部26等の付け替え作業が行われる。
【0052】
ここで、移動支持部4を設けることなく、第1シート折返部2aと第2シート折返部2bとを付け替える(使用しないシート折返部を取り外す)比較例のシート折返装置を想定する。シート折返部の重量は大きいため、シート折返部の付け替えには、フォークリフトやホイストクレーンを用いた煩雑な作業が必要となり、長時間を要してしまう。一例では、安全カバーの取り外し、および、取り付けに15分、シート折返部の付け替えに25分が必要となり、一連の作業に40分を要する。
【0053】
これに対し、
図1のシート折返装置1では、連続シート9が第1設定幅となる折返処理が実行可能な第1シート折返部2aと、連続シート9が第2設定幅となる折返処理が実行可能な第2シート折返部2bと、搬送基準位置A1に第1シート折返部2aまたは第2シート折返部2bを配置可能な移動支持部4とが設けられる。これにより、製造ラインにおいて製造する吸収体のサイズを変更する際に、比較例のシート折返装置のように、安全カバーの取り外し、および、取り付け、並びに、シート折返部の付け替えの必要がなく、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bの幅方向への移動のみで、搬送基準位置A1に配置されるシート折返部2a,2bを切り替えることが可能である。その結果、必要なシート折返部2a,2bを搬送基準位置A1に容易に配置することができるとともに、シート折返部2a,2bの切り替えに要する時間を大幅に短縮することができる。一例では、シート折返部2a,2bの切り替えに要する時間は10分である。
【0054】
ところで、第2設定幅に近似する幅の吸収性材料91(以下、「第2吸収性材料91」という。)が接着された連続シート9がシート折返装置1に搬送される場合に、仮に、第1シート折返部2aにより折返処理を行う場合、連続シート9の折返位置が、第2吸収性材料91の側部から外側に離れて両者間の隙間が大きくなる。これにより、第2吸収性材料91の型崩れが起こりやすくなる。また、第1設定幅に近似する幅の吸収性材料91(以下、「第1吸収性材料91」という。)が接着された連続シート9がシート折返装置1に搬送される場合に、第2シート折返部2bにより折返処理を行う場合、連続シート9の折返位置が第1吸収性材料91と重なる(第1吸収性材料91の側部よりも内側となる)ため、折返処理を適切に行うことができない。例えば、第1吸収性材料91が割れてしまい、その破片が下流側案内部26に詰まる虞がある。また、吸収体において設計通りの吸収面積を確保することもできない。
【0055】
これに対し、シート折返装置1では、第1吸収性材料91が接着された連続シート9が搬送される場合に、第1シート折返部2aが搬送基準位置A1に配置され、第2吸収性材料91が接着された連続シート9が搬送される場合に、第2シート折返部2bが搬送基準位置A1に配置される。これにより、各サイズの吸収体の製造において、吸収性材料91の側部と連続シート9の折返位置との間の隙間が小さくなり、型崩れが起こりにくい好ましい吸収体(すなわち、形状が安定した吸収体)を適切に製造することができる。第1シート折返部2aにおける第1設定幅は、第2シート折返部2bにおける第2設定幅に対して、例えば1.1倍以上(かつ5.0倍以下)であり、好ましくは、2.0倍以上である。
【0056】
また、第1シート折返部2aが搬送基準位置A1に配置される場合に、第1シート折返部2aに設けられる無端の搬送ベルト23が駆動ロール31の回転により循環移動し、第2シート折返部2bが搬送基準位置A1に配置される場合に、第2シート折返部2bに設けられる無端の搬送ベルト23が同じ駆動ロール31の回転により循環移動する。このように、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bが駆動ロール31を共用することにより、シート折返装置1の構造を簡素化することができる。
【0057】
さらに、第1シート折返部2aが搬送基準位置A1に配置される場合に、第1シート折返部2aに設けられる搬送ベルト23に対してテンションロール32,33によりテンションが付与され、第2シート折返部2bが搬送基準位置A1に配置される場合に、第2シート折返部2bに設けられる搬送ベルト23に対して同じテンションロール32,33によりテンションが付与される。このように、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bがテンションロール32,33を共用することにより、シート折返装置1の構造をさらに簡素化することができる。
【0058】
上記シート折返装置1では様々な変形が可能である。
【0059】
上記実施の形態では、搬送基準位置A1に配置された各シート折返部2a,2bにおいて、上流側案内部25および下流側案内部26を用いて折返処理が行われるが、シート折返装置1の設計によっては、他の構成により、折返処理が行われてもよい。
【0060】
シート折返装置1では、第1シート折返部2aにおける第1設定幅、および、第2シート折返部2bにおける第2設定幅とは異なる設定幅のシート折返部がさらに設けられてもよい。シート折返装置1では、設定幅が互いに異なる少なくとも2つのシート折返部が幅方向に隣接して設けられ、1つのシート折返部が搬送基準位置A1に選択的に配置可能であればよい。
【0061】
シート折返装置1の設計によっては、第1シート折返部2aおよび第2シート折返部2bにおいて、駆動ロール31が個別に設けられてもよい。テンションロール32,33も同様である。この場合に、各シート折返部2a,2bにおいて、搬送ベルト23が常時取り付けられていてもよい。
【0062】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0063】
1 シート折返装置
2a 第1シート折返部
2b 第2シート折返部
4 移動支持部
9 連続シート
9a (連続シートの)上面
23 搬送ベルト
25 上流側案内部
26 下流側案内部
31 駆動ロール
32,33 テンションロール
91 吸収性材料