(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】流量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20220509BHJP
G01F 1/00 20220101ALI20220509BHJP
【FI】
G01F1/684 C
G01F1/00 S
G01F1/684 B
(21)【出願番号】P 2018157230
(22)【出願日】2018-08-24
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 和明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健悟
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261771(JP,A)
【文献】特開2002-5713(JP,A)
【文献】特開平10-300545(JP,A)
【文献】特開2013-24654(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1221593(EP,A1)
【文献】特開2002-5712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流す流路に設けられる流量測定装置(10,10a~10e,12,12a~12f,14)であって、
前記流路から少なくとも流体の一部を取り込む第1開口部(110)を有する第1分流路(100)と、
前記第1分流路から分岐し、前記第1分流路から分流される流体の流量を検出する流量検出部(300)を有する第2分流路(200)と、を備え、
前記第1分流路は、渦の発生を低減する渦低減構造を有
し、
前記渦低減構造は、前記第1分流路の内側に少なくとも一部が位置するよう配置される板状部材(402,404,402a~402d,404b~404c)であ
り、
前記板状部材のうち少なくとも一部は、前記第2分流路が前記第1分流路から分岐する分岐位置における前記第2分流路の開口断面の法線ベクトル方向に沿って前記開口断面が存在する範囲内に位置するよう配置される、流量測定装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の流量測定装置(14)であって、
前記第1分流路は、前記第1分流路のうち前記第1開口部が設けられた側とは反対側に設けられる第2開口部(120)を有し、
前記第1分流路(100a)は、前記第2分流路が前記第1分流路から分岐する分岐位置より前記第1開口部の側の流路である前流路(100f)と、前記前流路より前記第2開口部の側の流路である後流路(100g)と、を有し、前記後流路は前記前流路に対して前記第2分流路に近付く側に傾いており、
前記板状部材は、前記前流路の内側に位置するよう配置される、流量測定装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の流量測定装置であって、
前記板状部材(402b,404b)のうち一部は、前記第1開口部の外側に位置するよう配置される、流量測定装置。
【請求項4】
請求項1
に記載の流量測定装置(12,12a~12f)であって、
前記第1分流路は、前記第1分流路のうち前記第1開口部が設けられた側とは反対側に設けられる第2開口部(120)を有し、
前記渦低減構造は、前記第1開口部の周縁と前記第2開口部の周縁とのうち少なくとも一方から前記第1分流路の側とは反対側に突出した突出部(502,504,506,502c~502e)である、流量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流量測定装置は、流体を流す流路内に設けられて流路内を流れる流体の流量を測定する。流量測定装置には、流路から少なくとも流体の一部を取り込む開口部を有する第1分流路と、第1分流路から分岐して第1分流路から流される流体の流量を検出する流量検出部を有する第2分流路と、を備えるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような流量測定装置において、開口部の周縁において第1分流路に取り込まれる流量に偏りがある場合、第1分流路内において渦が形成されることがある。渦の形成は、第2分流路への流体の流れを阻害して流量検出部の検出精度を悪化させる。このため、流量測定装置の第1分流路における渦の形成を抑制できる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態によれば、流量測定装置が提供される。この流量測定装置は、流体を流す流路に設けられる流量測定装置であって、前記流路から少なくとも流体の一部を取り込む第1開口部を有する第1分流路と、前記第1分流路から分岐し、前記第1分流路から流される流体の流量を検出する流量検出部を有する第2分流路と、を備え、前記第1分流路の内側は、渦が形成されにくい構造を有する。この形態の流量測定装置によれば、第1分流路内において、渦が形成されにくくできるため、第2分流路への流体の流れが阻害されることによって生じる流量検出部の検出精度の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態における流量測定装置を示す要部断面図。
【
図2】-Y軸方向側から見た流量測定装置を示す説明図。
【
図3】第1実施形態における流量測定装置を示す要部断面図。
【
図5】第2実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図6】第2実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図7】第3実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図8】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図9】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図10】他の実施形態の流量測定装置を示す説明図。
【
図11】他の実施形態の流量測定装置を示す説明図。
【
図12】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図13】他の実施形態の流量測定装置を示す説明図。
【
図14】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図15】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図16】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図17】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図18】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【
図19】他の実施形態の流量測定装置を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1に示す第1実施形態の流量測定装置10は、流体を流す流路に設けられて流路内を流れる流体の流量を測定する。本実施形態では、流量測定装置10は、内燃機関のシリンダーへ流体を導く吸気管IPに挿入されて設けられる。
図1のXYZ軸は、互いに直交する3つの空間軸として、X軸、Y軸およびZ軸を有する。
図1のXYZ軸は、他の図におけるXYZ軸に対応する。
図1には、YZ平面で切られた流量測定装置10の断面が示されている。
図1における流体の流れ方向について、+Y軸方向を順方向とし、-Y軸方向を逆方向とする。
図1において、順方向の流体の流れ方向は、方向FDとして示す。
図1において、内燃機関のシリンダーは、流量測定装置10から+Y軸方向の側に設けられている。
図2には、-Y軸方向側から見た流量測定装置10が示されている。
図1の断面は、
図2の矢視F1から見た流量測定装置10の断面である。
図3には、XY平面で切られた流量測定装置10の断面が示されている。
図3の断面は、
図1の矢視F3から見た流量測定装置10の断面である。流量測定装置10は、第1分流路100と、第2分流路200と、流量検出部300と、板状部材402と、板状部材404と、を備える。
【0008】
第1分流路100は、吸気管IPを流れる流体の一部を取り込む流路である。第1分流路100は、-Y軸方向側に第1開口部110を有するとともに+Y軸方向側に第2開口部120を有する。第1分流路100は、第1開口部110から第2開口部120まで伸びた流路である。流量測定装置10のうち吸気管IPに挿入された部分において、第1開口部110から+Z軸方向側の長さL1は、第1開口部110から-Z軸方向側の長さL2より長い。
【0009】
第2分流路200は、第1分流路100から分岐する流路である。第2分流路200は、第1分流路100から分岐して第3開口部220まで伸びた流路である。第3開口部220は、+X軸方向の壁面に開口している。
図1では、図示されていないが、-X軸方向の壁面には、もう1つの第3開口部220が設けられている。
【0010】
流量検出部300は、第2分流路200のうち+Z軸方向側に設けられる。流量検出部300は、第1分流路100から第2分流路200に流される流体の流量を検出する。
図1に示された断面において、流量検出部300は、紙面奥側である+X軸方向側に配置されていることから、破線で示されている。本実施形態では、流量検出部300は、熱線式である。流量検出部300は、フラップ式もしくはカルマン渦式であってもよい。
【0011】
板状部材402および板状部材404は、第1分流路100の内側に位置するよう配置される。板状部材402および板状部材404は、ともにY軸方向に沿って伸びる。板状部材402は、板状部材404よりも-Z軸方向側に配置される。本実施形態では、板状部材402および板状部材404の一部は、破線で示される範囲R内に位置するように配置される。この範囲Rは、第2分流路200が第1分流路100から分岐する分岐位置における第2分流路200の開口断面CSと、開口断面CSの周縁から開口断面CSに対して垂直に伸びる法線面NLと、第1分流路100の内面と、で囲まれた範囲である。換言すれば、範囲Rは、第1分流路100内において、開口断面CSの法線ベクトル方向に沿って開口断面CSが存在する範囲のことである。板状部材402および板状部材404の-Y軸方向の端部は、第1分流路100の-Y軸方向側の端に位置する。
【0012】
図2に示すように、板状部材402および板状部材404のX軸方向における長さは、第1分流路100の流路断面をX軸方向に横断する長さである。板状部材402および板状部材404は、第1分流路100の+X軸方向側の内壁面および-X軸方向側の内壁面に固定される。
【0013】
流量測定装置10では、板状部材402および板状部材404が第1分流路100の内側に位置していることによって、第1分流路100の内側に渦が形成されにくくできる。渦の形成について、
図4を用いて説明する。
【0014】
図4に示す比較例の流量測定装置10pは、板状部材402および404を備えていない点を除き、第1実施形態の流量測定装置10の装置構成と同じである。第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0015】
比較例の流量測定装置10pでは、順方向である+Y軸方向に吸気管IPを流れる流体の一部が第1分流路100に取り込まれる際、第1開口部110の周縁において、流れUFおよび流れDFが発生する。流れUFは、第1開口部110から+Z軸方向側の部分に衝突した流体が第1分流路100に取り込まれる流れを示す。流れDFは、第1開口部110から-Z軸方向側の部分に衝突した流体が第1分流路100に取り込まれる流れを示す。
【0016】
比較例の流量測定装置10pは、第1実施形態の流量測定装置10と同様に、長さL1が長さL2より長い。このため、第1開口部110から+Z軸方向側の部分に衝突して流れ方向が変化させられる流体の量は、第1開口部110から-Z軸方向側の部分に衝突して流れ方向が変化させられる流体の量より多い。このため、流れDFは流れUFと比べて流速が速くなる傾向にあることから、第1開口部110の周縁において第1分流路100に取り込まれる流量に偏りが生じることによって、第1分流路100内において渦VTが形成されることがある。渦VTの形成は、第2分流路200への流体の流れを阻害して流量検出部300の検出精度を悪化させる。
【0017】
一方、
図1に示す第1実施形態の流量測定装置10においても、順方向である+Y軸方向に吸気管IPを流れる流体の一部が第1分流路100に取り込まれる際、第1開口部110の周縁において、流れUF、流れMFおよび流れDFが発生する。流れMFは、第1開口部110のY軸方向における中央寄りに向けて流れてきた流体が第1分流路100に取り込まれる流れを示す。流れUFおよび流れDFについては、
図4の流れUFおよび流れDFと同様である。第1実施形態の流量測定装置10では、渦低減構造として、第1分流路100の内側に板状部材402および板状部材404が配置されることによって、比較例の流量測定装置10pで説明した渦VTが形成されにくくできる。このため、第2分流路200への流体の流れが阻害されることによって生じる流量検出部300の検出精度の悪化を抑制できる。
【0018】
また、第1実施形態の流量測定装置10では、
図1に図示した範囲R内に位置するよう板状部材402および板状部材404が配置されていることから、範囲Rにおいて渦VTが形成されにくくできる。
【0019】
B.第2実施形態:
図5に示す第2実施形態の流量測定装置12は、第1実施形態の流量測定装置10と比べて、板状部材402および板状部材404を備えていない点および突出部502を備える点を除き、第1実施形態の流量測定装置10の装置構成と同じである。第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0020】
流量測定装置12は、突出部502を備える。突出部502は、第1開口部110の周縁から-Y軸方向に突出する。本実施形態では、突出部502は、第1開口部110の周縁のうち+Z軸方向側の部分から突出する。
【0021】
図6には、XY平面で切られた流量測定装置12の断面が示されている。
図3の断面は、
図5の矢視F6から見た流量測定装置12の断面である。-Z軸方向側から見た突出部502の形状は、矩形形状である。
【0022】
第2実施形態の流量測定装置12においても、順方向である+Y軸方向に吸気管IPを流れる流体の一部が第1分流路100に取り込まれる際、第1開口部110の周縁において、流れUF、流れMFおよび流れDFが発生する。しかし、第2実施形態の流量測定装置12では、突出部502が設けられていることによって、第1開口部110から+Z軸方向側の部分に衝突して流れ方向が変化させられて第1開口部110に取り込まれる流体の量が制限される。このため、流れUFと流れDFとの流速の差は、
図4に示した比較例の流量測定装置10pと比べて小さくなることから、第1開口部110の周縁において第1分流路100に取り込まれる流量に偏りが生じることを抑制できる。したがって、第1分流路100内において渦VTが形成されにくくなるため、第2分流路200への流体の流れが阻害されることによって生じる流量検出部300の検出精度の悪化を抑制できる。
【0023】
C.第3実施形態:
図7に示す第3実施形態の流量測定装置14は、第2実施形態の流量測定装置12と比べて、板状部材408を備える点、第1分流路100とは形状が異なる第1分流路100aを備える点および第2分流路200が第1分流路100aから分岐する分岐位置周辺の第2分流路200の形状が異なる点を除き、第2実施形態の流量測定装置12の装置構成と同じである。第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0024】
第3実施形態の流量測定装置14において、第1分流路100aは、前流路100fと、後流路100gとを有する。前流路100fは、第2分流路200が第1分流路100aから分岐する分岐位置BPより第1開口部110の側の流路である。後流路100gは、前流路100fより第2開口部120の側の流路である。後流路100gは、前流路100fに対して、第2分流路200に近付く側に傾いている。換言すれば、前流路100fがY軸方向に沿って伸びていることに比べて、後流路100gは、Y軸方向から+Z軸方向側に傾いて伸びている。板状部材408は、前流路100fの内側に位置するよう配置される。
【0025】
以上説明した第3実施形態によれば、第1実施形態および第2実施形態と同様に、順方向である+Y軸方向に吸気管IPを流れる流体の一部が第1分流路100に取り込まれる際に、渦VTが形成されにくくできる。
【0026】
また、第3実施形態では、吸気管IPを流れる流体が順方向とは逆方向である-Y軸方向に流れて流体が第3開口部220から第2分流路200に取り込まれる場合にも、以下の効果を奏する。すなわち、吸気管IPにおいて-Y軸方向に流体が流れる際、第2開口部120から後流路100g内に取り込まれた流体は、前流路100fと後流路100gとの傾きの違いから、分岐位置BP周辺において渦VTaを形成しやすい。渦VTaは、第3開口部220から流量検出部300に向けて流れる流体を第1分流路100aの側へ引き込むとともに第2開口部120から後流路100g内に取り込まれた流体の第2分流路200側への流入を抑制することから、第3開口部220から流入する流体の流れを阻害しない。
【0027】
このように、流量測定装置14では、吸気管IPにおいて逆方向に流体が流れた際に第3開口部220から流量検出部300に向けて流れる流体の流れを阻害しない構造を有することから、吸気管IPを流れる流体の流れについて順方向および逆方向のいずれの場合でも流量検出部300が測定を行う流量測定装置において有効な構造である。
【0028】
D.他の実施形態:
図8に示す第4実施形態の流量測定装置10aは、
図1に示した第1実施形態の流量測定装置10と比べて、板状部材402および板状部材404の代わりに板状部材402aを備える点を除き、第1実施形態の流量測定装置10の装置構成と同じである。第1実施形態の板状部材402および板状部材404の-Y軸方向の端部は、第1分流路100の-Y軸方向側の端に位置していたが、本発明はこれに限られない。例えば、
図8に示すように、板状部材402aの-Y軸方向の端部は、第1分流路100の-Y軸方向側の端より+Y軸方向側に位置していてもよい。第4実施形態の流量測定装置10aは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0029】
図9に示す第5実施形態の流量測定装置10bは、
図1に示した第1実施形態の流量測定装置10と比べて、板状部材402および板状部材404の代わりに板状部材402bおよび板状部材404bを備える点を除き、第1実施形態の流量測定装置10の装置構成と同じである。
図9に示すように、板状部材402bおよび板状部材404bの-Y軸方向の端部は、第1分流路100の-Y軸方向側の端より-Y軸方向側に位置していてもよい。すなわち、板状部材402bおよび板状部材404bの一部は、第1開口部110の外側に位置するよう配置されてもよい。第5実施形態の流量測定装置10bは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0030】
図10に示す第6実施形態の流量測定装置10cは、
図2に示した第1実施形態の流量測定装置10と比べて、板状部材402および板状部材404の代わりに板状部材402cおよび板状部材404cを備える点を除き、第1実施形態の流量測定装置10の装置構成と同じである。第1実施形態の板状部材402および板状部材404のX軸方向における長さは、第1分流路100の流路断面をX軸方向に横断する長さであったが、本発明はこれに限られない。例えば、
図10に示すように、板状部材402cおよび板状部材404cのX軸方向における長さは、第1分流路100の流路断面においてX軸方向を横断する長さより短くてもよい。板状部材402cおよび板状部材404cは、第1分流路100の+X軸方向側の内壁面に固定される。第6実施形態の流量測定装置10cは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0031】
図11に示す第7実施形態の流量測定装置10dは、
図2に示した第1実施形態の流量測定装置10と比べて、板状部材402および板状部材404の代わりに板状部材402dを備える点を除き、第1実施形態の流量測定装置10の装置構成と同じである。板状部材402dは、第1分流路100の流路断面を格子状に仕切る形状を有する。第7実施形態の流量測定装置10dは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0032】
図12および
図13に示す第8実施形態の流量測定装置10eは、
図1および
図2に示した第1実施形態の流量測定装置10と比べて、構造物STを備える点を除き、第1実施形態の流量測定装置10の装置構成と同じである。流量測定装置10eは、第1分流路100より-Z軸方向側に構造物STを有する。構造物STは、外形が四角柱形状である。流量測定装置10eでは、第1実施形態の流量測定装置10と比べて、構造物STを有することによって、第1開口部110から+Z軸方向側の部分に衝突して流れ方向が変化させられる流体の量と、第1開口部110から-Z軸方向側の部分に衝突して流れ方向が変化させられる流体の量と、の差を小さくすることができる。このため、流れUFと流れDFとの流速の差が小さくなることから、第1開口部110の周縁において第1分流路100に取り込まれる流量に偏りが生じることを抑制できる。その結果、第1分流路100における渦VTの形成をより一層抑制できる。構造物STの形状は、第1開口部110から-Z軸方向側に伸びた形状を有する限り、
図12に図示されたものに限られない。
【0033】
図14に示す第9実施形態の流量測定装置12aは、
図5に示した第2実施形態の流量測定装置12と比べて、突出部504を備える点を除き、第2実施形態の流量測定装置12の装置構成と同じである。流量測定装置12aでは、第1開口部110の周縁のうち+Z軸方向側の部分から突出する突出部502に加えて、第1開口部110の周縁のうち-Z軸方向側の部分から突出する突出部504を有する。突出部504の-Y軸方向に対する長さは、突出部502の-Y軸方向に対する長さと等しい。このような流量測定装置12aにおいても、第2実施形態と同様に、流れUFと流れDFとの流速の差は、比較的小さくなることから、第1開口部110の周縁において第1分流路100に取り込まれる流量に偏りが生じることを抑制できる。したがって、第1分流路100内において渦VTが形成されにくくなるため、第2分流路200への流体の流れが阻害されることによって生じる流量検出部300の検出精度の悪化を抑制できる。
【0034】
図15に示す第10実施形態の流量測定装置12bは、
図5に示した第2実施形態の流量測定装置12と比べて、突出部506を備える点を除き、第2実施形態の流量測定装置12の装置構成と同じである。流量測定装置12aでは、第1開口部110の周縁のうち+Z軸方向側の部分から突出する突出部502に加えて、第2開口部120の周縁のうち+Z軸方向側の部分から突出する突出部506を有する。このような流量測定装置12bでは、吸気管IPにおいて流体が逆流することによって-Y軸方向に流れる流体の一部が第2開口部120を介して第1分流路100に取り込まれる際に、第2開口部120の周縁において第1分流路100に取り込まれる流量に偏りが生じることを抑制できる。
【0035】
図16に示す第11実施形態の流量測定装置12cは、
図6に示した第2実施形態の流量測定装置12と比べて、突出部502とは形状の異なる突出部502cを備える点を除き、第2実施形態の流量測定装置12の装置構成と同じである。-Z軸方向側から見た突出部502cの形状は、曲線形状である。第11実施形態の流量測定装置12cは、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0036】
図17に示す第12実施形態の流量測定装置12dは、
図6に示した第2実施形態の流量測定装置12と比べて、突出部502とは形状の異なる突出部502dを備える点を除き、第2実施形態の流量測定装置12の装置構成と同じである。-Z軸方向側から見た突出部502dの形状は、台形形状である。第12実施形態の流量測定装置12dは、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0037】
図18に示す第13実施形態の流量測定装置12eは、
図6に示した第2実施形態の流量測定装置12と比べて、突出部502に代えて突出部502eを備える点を除き、第2実施形態の流量測定装置12の装置構成と同じである。突出部502eの形状は、Y軸方向に貫通した貫通孔を有する筒形状である。突出部502eは、第1分流路100が-Y軸方向に延長した形状であってもよい。第13実施形態の流量測定装置12eは、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0038】
図19に示す第14実施形態の流量測定装置12fは、
図5に示した第2実施形態の流量測定装置12と比べて、板状部材410および第4開口部115を備える点を除き、第2実施形態の流量測定装置12の装置構成と同じである。板状部材410の+Y軸方向の端部は、範囲R内に位置するよう配置される。板状部材410の-Y軸方向の端部は、第1分流路100の-Y軸方向側の端に位置する。第4開口部115は、第2分流路200の分岐位置における開口断面CSと第1開口部110との間に設けられ、+X軸方向に向けて開口する。第4開口部115は、第1分流路100に蓄積するダストおよび水分の排出などに用いられる。第14実施形態の流量測定装置12fは、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
10…流量測定装置、100…第1分流路、110…第1開口部、200…第2分流路、300…流量検出部