(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】配管切り替え装置
(51)【国際特許分類】
F17D 3/03 20060101AFI20220509BHJP
F17D 1/08 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
F17D3/03
F17D1/08
(21)【出願番号】P 2018158380
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】392022374
【氏名又は名称】テックプロジェクトサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】橘田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】山口 嘉崇
(72)【発明者】
【氏名】川田 久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博史
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0183287(US,A1)
【文献】特開平11-159681(JP,A)
【文献】特開2013-29124(JP,A)
【文献】特開2005-325859(JP,A)
【文献】特開平09-137899(JP,A)
【文献】特開2004-278658(JP,A)
【文献】特開平09-068294(JP,A)
【文献】特開2000-179799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D 3/03
F17D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の供給配管と複数の受入配管との間の接続を切り替える配管切り替え装置であって、
上下方向に延びるパネルと、前記パネルの一方の面に横方向に並んで配置され、前記複数の供給配管に連通する複数の供給口と、前記パネルの前記一方の面に前記複数の供給口よりも低い位置で横方向に並んで配置され、前記複数の受入配管に連通する複数の受入口と、直列に接続された少なくとも3本のフレキシブルホースからなり、一端が前記複数の供給口の1つに着脱可能に接続され、他端が前記複数の受入口の1つに着脱可能に接続される接続ホース部と、を有し、
前記接続ホース
部は、該接続ホース部が前記1つの供給口と前記1つの受入口とを接続したときに、前記一端から前記他端にかけて、第1の直線部、第1の湾曲部、第2の直線部、第2の湾曲部、第3の直線部、第3の湾曲部、および第4の直線部
をこの順に
有するように、かつ、前記一端側よりも前記他端側が高くなるように傾斜する部分を有しないように配置されている、配管切り替え装置。
【請求項2】
前記第1の直線部が、前記パネルの前記一方の面側にあって前記1つの供給口と同じ高さまたはそれよりも低い位置で前記一方の面に沿って延び、前記第2の直線部が、前記パネルの他方の面側にあって前記第1の直線部と同じ高さまたはそれよりも低い位置で前記他方の面に沿って延び、前記第3の直線部が、前記パネルの前記他方の面側にあって前記第2の直線部よりも低い位置で前記他方の面に沿って延び、前記第4の直線部が、前記パネルの前記一方の面側にあって前記第3の直線部と同じ高さまたはそれよりも低い位置かつ前記1つの受入口と同じ高さまたはそれよりも高い位置で前記一方の面に沿って延びている、請求項1に記載の配管切り替え装置。
【請求項3】
前記4つの直線部がそれぞれ水平方向に延びている、請求項2に記載の配管切り替え装置。
【請求項4】
前記第1の湾曲部が、前記第1の直線部と前記第2の直線部とを含む平面内にあり、前記第3の湾曲部が、前記第3の直線部と前記第4の直線部とを含む平面内にある、請求項3に記載の配管切り替え装置。
【請求項5】
前記第1の直線部と前記第2の直線部とを含む前記平面が水平面であり、前記第3の直線部と前記第4の直線部とを含む前記平面が水平面である、請求項4に記載の配管切り替え装置。
【請求項6】
前記第1の湾曲部が、四分円弧状に湾曲する2つの領域と、該2つの領域を接続する直線状の領域とからなり、前記第3の湾曲部が、四分円弧状に湾曲する2つの領域と、該2つの領域を接続する直線状の領域とからなる、請求項4または5に記載の配管切り替え装置。
【請求項7】
前記第1の湾曲部と前記第3の湾曲部とがそれぞれ半円弧状に湾曲している、請求項4または5に記載の配管切り替え装置。
【請求項8】
前記第2の湾曲部が、前記第2の直線部と前記第3の直線部とを含む平面内で半円弧状に湾曲している、請求項3から7のいずれか1項に記載の配管切り替え装置。
【請求項9】
2つの前記接続ホース部を有し、
前記2つの接続ホース部は、前記第1の直線部の高さが互いに異なり、前記接続ホース部が接続される前記供給口に対して前記第1の直線部が延びる方向が互いに異なり、前記第2の直線部と前記第3の直線部とを含む平面の位置が互いに異なり、前記第4の直線部の高さが互いに異なる、請求項3から8のいずれか1項に記載の配管切り替え装置。
【請求項10】
前記少なくとも3本のフレキシブルホースが、前記第1の直線部と前記第1の湾曲部と前記第2の直線部の一部とを形成する第1のフレキシブルホースと、第2の直線部の残りの部分と前記第2の湾曲部と前記第3の直線部の一部とを形成する第2のフレキシブルホースと、前記第3の直線部の残りの部分と前記第3の湾曲部と前記第4の直線部とを形成する第3のフレキシブルホースとを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の配管切り替え装置。
【請求項11】
前記第1のフレキシブルホースおよび前記第3のフレキシブルホースが、前記接続ホース部に前記4つの直線部と前記3つの湾曲部とが形成された状態を維持しながら、それぞれ自身の長手方向に沿って移動可能に構成されている、請求項10に記載の配管切り替え装置。
【請求項12】
前記第1のフレキシブルホースを移動可能に支持する上側天板と、前記第3のフレキシブルホースを移動可能に支持する下側天板とを有する、請求項11に記載の配管切り替え装置。
【請求項13】
前記各天板には、前記フレキシブルホースの前記移動を案内する通路が形成されている、請求項12に記載の配管切り替え装置。
【請求項14】
前記各フレキシブルホースが、所定の平面内でのみ変形可能な中空のホース保持部材に収容されている、請求項10から13のいずれか1項に記載の配管切り替え装置。
【請求項15】
前記各フレキシブルホースが、フッ素樹脂からなり、平滑な内面と波形の外面とを有するホース本体と、ステンレス鋼からなり、前記ホース本体を被覆する編組層とを有する、請求項10から14のいずれか1項に記載の配管切り替え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管切り替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファインケミカル、食品、医薬品などの製造分野では、少量多品種の生産に適したバッチプロセスによる製造が行われているが、バッチプロセスでは、原料や製品(中間または最終)の移送元や移送先を必要に応じて切り替える必要がある。そのため、従来から、貯槽などの複数の設備と反応槽などの別の複数の設備との間で配管を切り替える配管切り替え装置が用いられている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0003】
この種の配管切り替え装置には、配管の切り替えを自動で行うものと手動で行うものとがある。自動の配管切り替え装置は、人為的な接続ミスを防ぐことができ、配管切り替えに対して高い信頼性が確保される点で非常に有用であるが、装置自体が大型になり、導入にも多大なコストがかかる。そのため、配管の切り替え頻度が少ない製造現場では、低コストでの導入が可能な手動による配管切り替え装置が多く用いられており、中でも、拡張性が高いなどの理由から、フレキシブルホースを用いたものが好適に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-68294号公報
【文献】特開平11-159681号公報
【文献】特開2005-325859号公報
【文献】特開2013-29124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管切り替え装置に使用されるフレキシブルホースとしては、サニタリー性を考慮すると、接液部として平滑な内面を有するものが好適であり、耐油性や耐薬品性を考慮すると、フッ素樹脂からなるものが好適である。しかしながら、このようなフレキシブルホースは固くて曲がりにくく、必然的に大きなスペースを要するため、設置スペースが限られる場合への適用には何らかの工夫が必要になる。また、移送される流体が液体の場合、ホース内に液溜まりが発生しないような形状にフレキシブルホースを保持することが好ましいが、上述のフレキシブルホースは取り扱いが容易ではないため、実際の用途ではそこまで考慮されていないのが現状である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、低コストかつ省スペースで、サニタリー性に優れた配管切り替え装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の配管切り替え装置は、複数の供給配管と複数の受入配管との間の接続を切り替える配管切り替え装置であって、上下方向に延びるパネルと、パネルの一方の面に横方向に並んで配置され、複数の供給配管に連通する複数の供給口と、パネルの一方の面に複数の供給口よりも低い位置で横方向に並んで配置され、複数の受入配管に連通する複数の受入口と、直列に接続された少なくとも3本のフレキシブルホースからなり、一端が複数の供給口の1つに着脱可能に接続され、他端が複数の受入口の1つに着脱可能に接続される接続ホース部と、を有し、接続ホース部は、接続ホース部が1つの供給口と1つの受入口とを接続したときに、一端から他端にかけて、第1の直線部、第1の湾曲部、第2の直線部、第2の湾曲部、第3の直線部、第3の湾曲部、および第4の直線部をこの順に有するように、かつ、一端側よりも他端側が高くなるように傾斜する部分を有しないように配置されている。
【0008】
このような配管切り替え装置では、少なくとも3本のフレキシブルホースにより接続ホース部を構成することで、接続ホース部の引き回しの自由度を高めることができる。その結果、接続ホース部の設置スペースを最小限にしながら、接続ホース部内に液溜まりが発生することを最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、低コストかつ省スペースで、サニタリー性に優れた配管切り替え装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る配管切り替え装置の概略斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る配管切り替え装置の概略上面図および概略正面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る配管切り替え装置における供給配管と受入配管との接続例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る配管切り替え装置における供給配管と受入配管との接続例を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る配管切り替え装置の概略上面図および概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本発明の配管切り替え装置は、ファインケミカル、食品、医薬品などの製造分野において、貯槽などの複数の設備と反応槽などの別の複数の設備との間で配管を切り替えて原料や製品(中間または最終)などの流体の移送元や移送先を切り替えるための用途として好適に用いられる。
【0012】
(第1の実施形態)
図1および
図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る配管切り替え装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態の配管切り替え装置の概略斜視図である。
図2(a)および
図2(b)はそれぞれ、
図1に示す配管切り替え装置の概略上面図および概略正面図である。
【0013】
配管切り替え装置1は、複数の供給配管2と複数の受入配管3との間の接続を任意に切り替える手動の配管切り替え装置であり、パネル4と、複数の供給アダプタ5と、複数の受入アダプタ6と、接続ホース部7とを有している。
【0014】
パネル4は、図示しないフレームに固定されて上下方向(Z方向)に延び、その前面(一方の面)4aに、複数の供給アダプタ5と複数の受入アダプタ6とが設けられている。複数の供給アダプタ5は、水平方向(X方向)に一列に並んで配置され、各供給アダプタ5は、X方向に垂直な水平方向であるY方向に延びている。供給配管2は、配管切り替え装置1の上方を引き回されて下向きに延び、パネル4の背面4b側で供給アダプタ5に接続されている。供給アダプタ5は、供給配管2に連通する供給口を備えている。複数の受入アダプタ6は、複数の供給アダプタ5よりも低い位置でX方向に並んで配置され、各受入アダプタ6は、供給アダプタ5と同様にY方向に延びている。受入配管3は、パネル4の背面4b側で受入アダプタ6に接続され、下向きに延びて配管切り替え装置1の下方を引き回されている。受入アダプタ6は、受入配管3に連通する受入口を備えている。なお、図示していないが、供給配管2および受入配管3には、それぞれシャットオフバルブが設けられていてもよい。
【0015】
接続ホース部7は、3本のフレキシブルホース7a~7cからなり、それらはフェルール継手11を介して直列に接続されている。第1のフレキシブルホース7aは、パネル4の側方から後方にかけてXY平面内に延びる上側天板21上に配置され、第3のフレキシブルホース7cは、同じくパネル4の側方から後方にかけてXY平面内に延びる下側天板22上に配置されている。なお、上側天板21は、第1のフレキシブルホース7aの高さが複数の供給アダプタ5と同じ高さになるように、図示しないフレームに固定され、下側天板22は、第3のフレキシブルホース7cの高さが複数の受入アダプタ6と同じ高さになるように、図示しないフレームに固定されている。
【0016】
接続ホース部7は、一端が複数の供給アダプタ5の1つに着脱可能に接続され、他端が複数の受入アダプタ6の1つに着脱可能に接続されるように構成されている。具体的には、接続ホース部7のそれぞれ両端には、エルボ12を介して、供給アダプタ5または受入アダプタ6に接続可能なカプラ13が取り付けられている。カプラ13とアダプタ5,6との接続には、ワンタッチで着脱可能な構造を用いることが好ましく、そのような構造として、例えば、カムアーム式の管継手を用いることができる。なお、接続ホース部7とエルボ12はフェルール継手14を介して接続され、エルボ12とカプラ13もフェルール継手(図示せず)を介して接続されている。
【0017】
接続ホース部7は、一端が供給アダプタ5に接続され、他端が受入アダプタ6に接続されることで、供給配管2と受入配管2とを接続して供給配管2から受入配管3へと重力送りにより流体を移送することができる(
図1の矢印参照)。このとき、接続ホース部7は、供給アダプタ5に接続される一端から受入アダプタ6に接続される他端にかけて、第1の直線部S1、第1の湾曲部C1、第2の直線部S2、第2の湾曲部C2、第3の直線部S3、第3の湾曲部C3、および第4の直線部S4をこの順に有している。ここで、第1の直線部S1と第1の湾曲部C1と第2の直線部S2の一部は、第1のフレキシブルホース7aによって形成され、第2の直線部S2の残りの部分と第2の湾曲部C2と第3の直線部S3の一部は、第2のフレキシブルホース7bによって形成され、第3の直線部S3の残りの部分と第3の湾曲部C3と第4の直線部S4は、第3のフレキシブルホース7cによって形成されている。
【0018】
第1の直線部S1は、パネル前面4a側にあって複数の供給アダプタ5と同じ高さでX方向に延び、第2の直線部S2は、パネル背面4b側にあって第1の直線部S1と同じ高さでX方向に延びている。第3の直線部S3は、パネル背面4b側にあって第2の直線部S2よりも低い位置でX方向に延び、第4の直線部S4は、パネル前面4a側にあって第3の直線部S3と同じ高さかつ複数の受入アダプタ6と同じ高さでX方向に延びている。第1の湾曲部C1は、第1の直線部S1と第2の直線部S2とを含むXY平面内で湾曲し、第1の直線部S1と第2の直線部S2とを接続している。第2の湾曲部C2は、第2の直線部S2と第3の直線部S3とを含むZX平面内で半円弧状に湾曲し、第2の直線部S2と第3の直線部S3とを接続している。第3の湾曲部C3は、第3の直線部S3と第4の直線部S4とを含むXY平面内で湾曲し、第3の直線部S3と第4の直線部S4とを接続している。
【0019】
ところで、本実施形態に用いられるフレキシブルホース7a~7cとしては、配管切り替え装置1が、ファインケミカル、食品、医薬品などの製造分野に適用される場合、サニタリー性に優れ、かつ耐油性・耐薬品性にも優れたものが好適である。具体的には、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂からなり、平滑な内面と波形の外面とを有するホース本体と、ステンレス鋼からなり、ホース本体を被覆する編組層とを有するものが好適である。そのようなものとしては、例えば、トーフレ株式会社製のフレキシブルホース(商品名「バイオフレックス」)が挙げられる。
【0020】
このようなフレキシブルホースは、その構成上、固くて曲がりにくく、比較的大きな曲率半径で二次元的に変形させることができる程度の柔軟性しか備えていない。そのため、1本のこのようなフレキシブルホースによって供給アダプタ5と受入アダプタ6とを接続しようとすると、パネル4の前方または側方に大きなスペースが必要になり、現場での作業員の作業スペースも十分に確保することができなくなる。また、このとき、フレキシブルホースのホース長は必然的に長くなるが、ホース長が長くなるとフレキシブルホースが自重で垂れ下がってしまい、ホース内に液溜まりが発生することがある。
【0021】
これに対し、本実施形態の接続ホース部7は、上述したように3本のフレキシブルホース7a~7cから構成されている。このため、個々のフレキシブルホース7a~7cが固くて曲がりにくい場合であっても、接続ホース部7の引き回しの自由度を高めることができる。その結果、パネル4の前面4a側から背面4b側に回り込むように接続ホース部7を三次元的に引き回すことができ、接続ホース部7の設置スペースを最小限に抑えることができる。さらには、接続ホース部7に自重で垂れ下がる部分が形成されないようにすることもでき、すなわち、流体の移送方向に対して下流側が高くなるように傾斜する部分が形成されないようにすることもできる。このため、接続ホース部7内で重力送りによる流体の移送が可能になり、液溜まりが発生することを最小限に抑えることが可能になる。こうして、低コストかつ省スペースで、サニタリー性に優れた配管切り替え装置1を実現することができる。
【0022】
なお、図示していないが、各フレキシブルホース7a~7cは、所定の平面内でのみ変形可能な中空のホース保持部材に収容されている。したがって、3本のフレキシブルホース7a~7cは、第1のフレキシブルホース7aを収容するホース保持部材がXY平面内でのみ変形し、第2のフレキシブルホース7aを収容するホース保持部材がZX平面内でのみ変形し、第3のフレキシブルホース7cを収容するホース保持部材がXY平面内でのみ変形するような姿勢で、上側天板21および下側天板22上に配置されている。これにより、固くて曲がりにくいフレキシブルホース7a~7cであっても、それを上述した所望の形状に保持することができる。このようなホース保持部材としては、例えば、ケーブルベア(登録商標)が挙げられる。
【0023】
本実施形態では、上述したように、3本のフレキシブルホース7a~7cを用いることで接続ホース部7を三次元的に引き回すことができ、装置の省スペース化を実現することができる。それに加えて、本実施形態では、接続ホース部7とアダプタ5,6との接続を切り替える際にも、余分な作業スペースを必要とすることがないため、この点でも省スペース化を実現することができる。以下、このことについて、
図3および
図4も参照しながら説明する。
図3は、供給配管と受入配管との接続の一例を示す図であり、
図2に示す接続例とは異なる例を示している。
図4は、他の接続例を示す図であり、
図2および
図3に示す接続例とは異なる例を示している。なお、
図3(a)および
図4(a)は、
図2(a)に対応する概略上面図であり、
図3(b)および
図4(b)は、
図2(b)に対応する概略正面図である。
【0024】
本実施形態では、上側天板21および下側天板22に、それぞれ複数の案内ピン23が設けられている。複数の案内ピン23は、各フレキシブルホース7a,7cの長手方向に沿ってその幅方向の両側に設けられている。これにより、第1のフレキシブルホース7aは、接続ホース部7と供給アダプタ5との接続が解除されると、複数の案内ピン23によって形成された通路に案内されて自身の長手方向に沿って移動可能になる。同様に、第3のフレキシブルホース7cは、接続ホース部7と受入アダプタ6との接続が解除されると、複数の案内ピン23によって形成された通路に案内されて自身の長手方向に沿って移動可能になる。
【0025】
このため、例えば、
図2に示す接続例から
図3に示す接続例に接続を切り替える際にも、接続ホース部7の(4つの直線部S1~S4と3つの湾曲部C1~C3を含む)三次元的な形状を維持しながら、第3のフレキシブルホース7cの先端に設けられたカプラ13をX方向に沿って右側に移動させることができる。また、
図3に示す接続例から
図4に示す接続例に接続を切り替える際にも、接続ホース部7の三次元的な形状を維持しながら、第1のフレキシブルホース7aの先端に設けられたカプラ13をX方向に沿って右側に移動させることができる。
【0026】
このように、本実施形態では、装置の設置スペースを超える余分な作業スペースを必要とすることなく、接続ホース部7とアダプタ5,6との接続の切り替えを行うことができ、この点でも装置の省スペース化を実現することができる。なお、各フレキシブルホース7a,7cの移動を案内する案内部材としては、図示した複数の案内ピン23に限定されず、例えば、各天板21,22から突出して同様の案内通路を形成する案内壁であってもよい。また、第1のフレキシブルホース7aを移動可能に支持する手段としては、図示した上側天板21に限定されず、例えば、天井から吊り下げた支持手段であってもよい。同様に、第3のフレキシブルホース7cを移動可能に支持する手段としては、図示した下側天板22に限定されず、例えば、床面に設置した支持手段であってもよい。
【0027】
上述した実施形態では、第1の直線部S1および第2の直線部S2がそれぞれ複数の供給アダプタ5と同じ高さにあるが、第1の直線部S1は複数の供給アダプタ5よりも低い位置にあってもよい。また、第2の直線部S2は第1の直線部S1よりも低い位置にあってもよい。すなわち、第1の直線部S1と第2の直線部S2とを含む平面が水平面でなくてもよく、パネル前面4a側からパネル背面4b側にかけて下方に傾斜した傾斜面であってもよい。同様に、上述した実施形態では、第3の直線部S3および第4の直線部S4がそれぞれ複数の受入アダプタ6と同じ高さにあるが、第4の直線部S4は複数の受入アダプタ6よりも高い位置にあってもよい。また、第3の直線部S3は第4の直線部S4よりも高い位置にあってもよい。すなわち、第3の直線部S3と第4の直線部S4とをふくむ平面が水平面でなくてもよく、パネル前面4a側からパネル背面4b側にかけて上方に傾斜した傾斜面であってもよい。
【0028】
なお、フレキシブルホース7a~7cの設置の容易さからは、第1から第4の直線部S1~S4のいずれもが水平方向(X方向)に延びていることが好ましいが、液溜まりの発生をより確実に抑制するという点では、その少なくとも1つは、流体の移送方向に対して下流側が低くなるようにX方向に対して傾斜した直線であってもよい。
【0029】
Y方向の設置スペースを最小にするために、図示した例では、第1の直線部S1と第4の直線部S4のY方向の位置は同じであるが、必ずしも同じでなくてもよい。同様に、第2の直線部S2と第3の直線部S3のY方向の位置も必ずしも同じでなくてもよい。また、図示した例では、第1の湾曲部C1は、四分円弧状に湾曲する2つの領域と、これら2つの領域を接続する直線状の領域とからなる形状に湾曲しているが、Y方向における第1の直線部S1と第2の直線部S2との間隔をより狭くできる場合には、第2の湾曲部C2と同様に半円弧状に湾曲していてもよい。同様に、第3の湾曲部C3も半円弧状に湾曲していてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、複数の供給アダプタ5および複数の受入アダプタ6は、それぞれ水平方向(X方向)に延びる直線上に配置されているが、この直線は必ずしも水平方向に平行でなくてもよい。あるいは、複数の供給アダプタ5および複数の受入アダプタ6は、それぞれパネル4の長手方向に沿って配置されていればよく、厳密には直線上に配置されていなくてもよい。なお、供給アダプタ5(すなわち供給配管2)の数や受入アダプタ6(すなわち受入配管3)の数は図示した5つに限定されず、4つ以下であってもよく、あるいは6つ以上であってもよい。また、供給アダプタ5と受入アダプタ6の数は、同じであっても同じでなくてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、接続ホース部7は3本のフレキシブルホース7a~7cから構成されているが、接続ホース部7の上述した三次元的な形状が実現されれば、フレキシブルホースの本数はこれに限定されず、例えば4本以上であってもよい。
【0032】
(第2の実施形態)
図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る配管切り替え装置の構成について説明する。
図5(a)および
図5(b)はそれぞれ、本実施形態の配管切り替え装置の概略上面図および概略正面図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0033】
本実施形態では、第1の実施形態の接続ホース部(第1の接続ホース部)7に加えて、さらに別の接続ホース部(第2の接続ホース部)8が設けられている。第2の接続ホース部8は、3本のフレキシブルホース8a~8cから構成されている点や三次元的な形状(4つの直線部S11~S14と3つの湾曲部C11~C13)を有する点など、構造的には第1の接続ホース部7と同様である。また、3本のフレキシブルホース8a~8cが上側天板31および下側天板32上に配置されている点や、第1および第3のフレキシブルホース8a,8cの移動が複数の案内ピン33によって案内される点も、第1の接続ホース部7と同様である。
【0034】
一方で、第2の接続ホース部8には、第1の直線部S11が複数の供給アダプタ5よりも低い位置になり、かつ第4の直線部S14が複数の受入アダプタ6よりも高い位置になるように、カプラ13とエルボ12との間にそれぞれクランク状の接続管15が設けられている。これにより、第2の接続ホース部8では、第1の直線部S11の高さが、第1の接続ホース部7の第1の直線部S1と異なる高さになり、第4の直線部S14の高さが、第1の接続ホース部7の第4の直線部S4と異なる高さになる。このため、第2の接続ホース部8は、第1の直線部S11および第4の直線部S14において、第1の接続ホース部7と干渉しにくくなる。また、接続管15の設置により、第2の接続ホース部8は、第1の直線部S11および第4の直線部S14のY方向の位置に関しても、第1の接続ホース部7と異なっており、この点でも、第1の接続ホース部7と干渉しにくくなる。なお、カプラ13と接続管15はフェルール継手(図示せず)を介して接続され、接続管15とエルボ12もフェルール継手(図示せず)を介して接続されている。
【0035】
また、第1の接続ホース部7が、パネル4の左側から背面4b側に回り込むように引き回されているのに対し、第2の接続ホース部8は、第1の接続ホース部7と干渉しないように、パネル4の右側から背面4b側に回り込むように引き回されている。すなわち、第2の接続ホース部8は、引き回しの方向(第2の接続ホース部8が接続される供給アダプタ5に対して第1の直線部S11が延びる方向)も第1の接続ホース部7と異なっている。さらに、第2の接続ホース部8は、第2の直線部S12と第3の直線部S13のY方向の位置、すなわち、第2の直線部S12と第3の直線部S13とを含む平面の位置が、第1の接続ホース部7と異なっている。
【0036】
このように、本実施形態では、2つの接続ホース部7,8を用いる場合であっても、それらが干渉することを抑制することができ、同時に2つの経路で流体の移送を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 配管切り替え装置
2 供給配管
3 受入配管
4 パネル
5 供給アダプタ(供給口)
6 受入アダプタ(受入口)
7 接続ホース部(第1の接続ホース部)
8 第2の接続ホース部
7a,8a 第1のフレキシブルホース
7b,8b 第2のフレキシブルホース
7c,8c 第3のフレキシブルホース
11,14 フェルール継手
12 エルボ
13 カプラ
15 接続管
21,31 上側天板
22,32 下側天板
23,33 案内ピン
S1,S11 第1の直線部
S2,S12 第2の直線部
S3,S13 第3の直線部
S4,S14 第4の直線部
C1,C11 第1の湾曲部
C2,C12 第2の湾曲部
C3,C13 第3の湾曲部