(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/16 20140101AFI20220509BHJP
E05B 77/04 20140101ALI20220509BHJP
【FI】
E05B85/16 D
E05B77/04
(21)【出願番号】P 2018176236
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000105925
【氏名又は名称】サカエ理研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】岩間 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏夫
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-040913(JP,A)
【文献】特開2012-107489(JP,A)
【文献】特開平07-082933(JP,A)
【文献】特開2008-208588(JP,A)
【文献】特開2007-321470(JP,A)
【文献】実開平06-082334(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0106082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 5/02
E05B 85/10-85/18
E05B 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手形状に形成されたハンドルレバーと、
前記ハンドルレバーを支持する部材であって、前記ハンドルレバーの長手方向における一端側に対して他端側が伏せた閉位置と、前記他端側が前記一端側よりも外向きに突出して背後に手を入れるスペースを形成する開位置との間で移動するように前記一端側を案内する第1案内部を有した支持部材と、
前記ハンドルレバーが前記開位置の状態から所定の解錠操作方向に移動するように前記一端側を案内する第2案内部とを備え、
前記支持部材に支持される前記一端側の部分を被支持部として、
前記第1案内部は、前記被支持部が前記外向きに移動しながら回転するように前記開位置へと案内し、
前記解錠操作方向は前記閉位置から前記開位置への突出移動方向に交差する方向である車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記解錠操作方向は、前記一端側を中心にして前記ハンドルレバーの表面に交差する軸線回りに回転する方向である請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記ハンドルレバーは、
前記一端側と前記他端側とを有したハンドル本体と、
前記ハンドル本体の前記一端側に接続されて前記被支持部及び前記第2案内部を構成する補助部材とを有し、
前記ハンドル本体は、前記一端側の裏側に、内側に空間を有した裏側端部を有し、
前記補助部材は、前記裏側端部の内側の前記空間において前記ハンドル本体の表面に交差する方向に延びた軸線回りに回転可能に設けられる前記第2案内部としての内側部と、前記内側部から前記裏側端部の外側に突出するように設けられて前記支持部材に支持される外側部とを有する請求項1又は2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
前記裏側端部は、前記ハンドル本体を正面から見たときに、前記ハンドル本体の意匠面となる表面に対して側方にはみ出ないように形成される請求項3に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
前記車両用ドアハンドル装置はカウンターウェイトを備えていない請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
前記ハンドルレバーが前記閉位置にあるときの前記ハンドルレバーの長手方向における前記他端側から前記一端側に向かう方向を長手第1方向として、
前記第1案内部は、前記外向きに延びつつ、前記外向きに移行するにつれて次第に前記長手第1方向に移行する曲線経路を形成し、
前記被支持部は、前記曲線経路に沿って移動可能に前記第1案内部に嵌合した嵌合部を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
前記支持部材は、
前記第1案内部を有するベース部材と、
所定方向に移動可能に設けられ、前記所定方向への移動に伴い前記嵌合部が前記曲線経路に沿って移動するように前記被支持部に連結された連結部材とを備え、
前記車両用ドアハンドル装置は、前記連結部材を前記所定方向に移動させる駆動部を備える請求項6に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項8】
前記連結部材は、
前記ベース部材との間で、前記ハンドルレバーの表面における短手方向に平行な軸線回りの回転を許容するように前記ベース部材に連結される第1連結部と、
前記被支持部との間で、前記ハンドルレバーの表面における短手方向に平行な軸線回りの回転を許容し、かつ、該軸線に直角な所定方向に移動を許容するように前記被支持部に連結される第2連結部とを有し、
前記駆動部は、前記第1連結部の軸線回りに前記連結部材を回転させる請求項7に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項9】
前記第1連結部は、前記ハンドルレバーの背後における前記一端側と前記他端側の間の位置に設けられる請求項8に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不使用時にはハンドルレバーの意匠面とドアの外面とが面一となるようにハンドルレバーを格納し、使用時にハンドルレバーがドアの外面に対して外向きに突出する車両用ドアハンドル装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、ハンドルレバーとしてのハンドル部材が長手方向における一端側を回転中心として開閉するように設けられることが記載されている。特許文献1には、さらに、ハンドル部材が突出した位置から上下方向の一方に回動してドア部材の解錠を行うことも記載されている。また、使用時にハンドルレバーの全体が外向きに平行移動するように突出するタイプのドアハンドル装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、ハンドルレバーが長手方向の一端側を回転中心として開閉するタイプのドアハンドル装置にあっては以下の問題点がある。すなわち、ハンドルレバーが開いた時に背後に手を入れるスペースを確保し、かつ、ドアを開ける際のハンドルレバーの操作性を良好にするためには、ハンドルレバーを長くする必要がある。ハンドルレバーを短くした場合、ハンドルレバーが開いた時に背後に手を入れるスペースを確保するためには、ハンドルレバーの開き角度が大きくなってしまう。開き角度が大きいと、ハンドルレバーを手前側に引く際の操作方向と、ドア解放方向(ドアの外面に直角な方向)とのズレが大きくなってしまう。この場合、ハンドルレバーの操作によりドアを解錠した後、ハンドルレバーを手前側に引いてドアを開ける際のハンドルレバーの操作性が悪くなる。
【0005】
一方、使用時にハンドルレバーの全体が外向きに平行移動するように突出するタイプのドアハンドル装置にあっては、背後に手を入れるスペースを確保するためには、ハンドルレバーの外向きへの平行移動量を大きくする必要がある。この平行移動量を大きくすると、ドアハンドル装置の奥行き方向(ハンドルレバーの意匠面に直角な方向)における幅が大きくなってしまう。
【0006】
このように、ハンドルレバーが開閉するタイプの従来のドアハンドル装置では、ハンドルレバーを手前側に引く際の良好な操作性の確保と、ハンドルレバーが開いた時に背後に手を入れるスペースの確保とを実現するために、ドアハンドル装置の体格が大きくなってしまうという問題点があった。
【0007】
また、ドアハンドル装置には、車両への側突時の衝撃でドアが解放しないようにカウンターウェイトが設けられる場合があるが、この場合、カウンターウェイトの分だけ重量や部品点数が増加してしまう。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされ、ドアハンドル装置をコンパクトに構成でき、かつ、解錠後のドアに対してハンドルレバーを手間側に引いて開ける場合にドアを開けやすくでき、さらにカウンターウェイトを設けなくても車両への側突時の衝撃でドアが解放してしまうのを抑制できる車両用ドアハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の車両用ドアハンドル装置は、
長手形状に形成されたハンドルレバーと、
前記ハンドルレバーを支持する部材であって、前記ハンドルレバーの長手方向における一端側に対して他端側が伏せた閉位置と、前記他端側が前記一端側よりも外向きに突出して背後に手を入れるスペースを形成する開位置との間で移動するように前記一端側を案内する第1案内部を有した支持部材と、
前記ハンドルレバーが前記開位置の状態から所定の解錠操作方向に移動するように前記一端側を案内する第2案内部とを備え、
前記支持部材に支持される前記一端側の部分を被支持部として、
前記第1案内部は、前記被支持部が前記外向きに移動しながら回転するように前記開位置へと案内し、
前記解錠操作方向は前記閉位置から前記開位置への突出移動方向に交差する方向である。
【0010】
本発明によれば、ハンドルレバーが前記開位置に移動する際に、ハンドルレバーの一端側に設けられる被支持部が外向きに移動しながら回転するので、ハンドルレバーの回転軸を固定とした従来の構成に比べて、ハンドルレバーを長くしなくても背後に手を入れるスペースを確保できる。また、被支持部も外向きに移動することで、ハンドルレバーの回転量を抑えることができる。これによって、ハンドルレバーを手前側に引く際の操作方向とドア外面に直角な方向(ドア解放方向)とのズレを小さくでき、解錠後のドアに対してハンドルレバーを手間側に引いて開ける場合にドアを開けやすくできる。また、ハンドルレバーの全体が外向きに平行移動する構成に比べて、外向きの平行移動量を抑えることができる。これにより、ドアハンドル装置の奥行き方向における幅を抑えることができる。以上より、本発明の車両用ドアハンドル装置はコンパクトに構成でき、コンパクトにしたとしても、ハンドルレバーが開いた時に背後に手を入れるスペースとを確保しやすい。さらに、本発明では、ドアを解錠するためのハンドルレバーの操作方向である解錠操作方向が、閉位置から開位置への突出移動方向に交差する方向であり、側突時のドアへの衝撃方向(ドアの外面に直角な方向)と異なっている。したがって、カウンターウェイトを設けなくても、側突時の衝撃でハンドルレバーが解錠操作方向に移動してしまうのを抑制できる。これにより、重量や部品点数を削減できる。
【0011】
本発明において、前記解錠操作方向は、前記一端側を中心にして前記ハンドルレバーの表面に交差する軸線回りに回転する方向であるとしてもよい。これによれば、解錠操作方向を、閉位置から開位置への突出移動方向と異ならせることができる。
【0012】
本発明において、前記ハンドルレバーは、
前記一端側と前記他端側とを有したハンドル本体と、
前記ハンドル本体の前記一端側に接続されて前記被支持部及び前記第2案内部を構成する補助部材とを有し、
前記ハンドル本体は、前記一端側の裏側に、内側に空間を有した裏側端部を有し、
前記補助部材は、前記裏側端部の内側の前記空間において前記ハンドル本体の表面に交差する方向に延びた軸線回りに回転可能に設けられる前記第2案内部としての内側部と、前記内側部から前記裏側端部の外側に突出するように設けられて前記支持部材に支持される外側部とを有するとしてもよい。
【0013】
これによれば、ハンドルレバーを構成するハンドル本体及び補助部材は、閉位置から開位置へは一体で移動する。また、補助部材がハンドル本体の表面に交差する方向に延びた軸線回りに回転可能に設けられるので、ハンドル本体を開位置の状態からその軸線回りの方向(解錠操作方向)に移動させることができる。また、ハンドルレバーの被支持部を構成する補助部材の一部(内側部)がハンドル本体(裏側端部)の内側の空間に設けられるので、ハンドルレバーの被支持部が大きくなってしまうのを抑制できる。
【0014】
本発明において、前記裏側端部は、前記ハンドル本体を正面から見たときに、前記ハンドル本体の意匠面となる表面に対して側方にはみ出ないように形成されるとしてもよい。これによれば、ハンドルレバー及びこれを支持する支持部材をより一層コンパクトに構成できる。
【0015】
本発明の車両用ドアハンドル装置はカウンターウェイトを備えていないとしてもよい。これによれば、車両用ドアハンドル装置の重量や部品点数を削減できる。
【0016】
本発明において、前記ハンドルレバーが前記閉位置にあるときの前記ハンドルレバーの長手方向における前記他端側から前記一端側に向かう方向を長手第1方向として、
前記第1案内部は、前記外向きに延びつつ、前記外向きに移行するにつれて次第に前記長手第1方向に移行する曲線経路を形成し、
前記被支持部は、前記曲線経路に沿って移動可能に前記第1案内部に嵌合した嵌合部を有するとしてもよい。
【0017】
これによれば、ハンドルレバーが開位置に移動する際に、ハンドルレバーの嵌合部が第1案内部の曲線経路に沿って移動する。この際、曲線経路は、外向きに延びつつ、外向きに移行するにつれて次第に前記長手第1方向に移行するので、ハンドルレバーを外向きに移動させながら開き方向に回転させることができる。
【0018】
また、本発明において、
前記支持部材は、
前記第1案内部を有するベース部材と、
所定方向に移動可能に設けられ、前記所定方向への移動に伴い前記嵌合部が前記曲線経路に沿って移動するように前記被支持部に連結された連結部材とを備え、
前記車両用ドアハンドル装置は、前記連結部材を前記所定方向に移動させる駆動部を備えるとしてもよい。
【0019】
このように、連結部材を介してハンドルレバーを駆動することで、駆動部の駆動力を、ハンドルレバーの被支持部(嵌合部)を前記曲線経路に沿って移動させる力に容易に変換できる。
【0020】
また、前記連結部材は、
前記ベース部材との間で、前記ハンドルレバーの表面における短手方向に平行な軸線回りの回転を許容するように前記ベース部材に連結される第1連結部と、
前記被支持部との間で、前記ハンドルレバーの表面における短手方向に平行な軸線回りの回転を許容し、かつ、該軸線に直角な所定方向に移動を許容するように前記被支持部に連結される第2連結部とを有し、
前記駆動部は、前記第1連結部の軸線回りに前記連結部材を回転させるとしてもよい。
【0021】
これによって、駆動部が連結部材を第1連結部の軸線回りに回転させることで、被支持部の嵌合部を曲線経路に沿って移動させることができる。
【0022】
また、前記第1連結部は、前記ハンドルレバーの背後における前記一端側と前記他端側の間の位置に設けられるとしてもよい。これによれば、連結部材が、ハンドルレバーの長手方向においてハンドルレバーからはみ出てしまうのを抑制でき、ひいては車両用ドアハンドル装置が長手方向に長くなってしまうのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ドアハンドル装置の閉位置での正面図である。
【
図2】ドアハンドル装置の閉位置での側面図である。
【
図4】ドアハンドル装置の閉位置での
図1のIV-IV線断面図である。
【
図7】ドアハンドル装置の開位置での側面図である。
【
図16】駆動ユニットの筐体内部の構成を示した図である。
【
図17】ドアハンドル装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図19】ドアハンドル装置の、ハンドルレバーが下向き操作された状態の正面図である。
【
図20】変形例に係るドアハンドル装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態の車両用ドアハンドル装置を説明する。
図1~
図4、
図7に本実施形態の車両用ドアハンドル装置1(以下、単にドアハンドル装置という)を示す。なお、
図3では、後述の駆動ユニット10の図示を省略している。ドアハンドル装置1は、例えば車両の右側面又は左側面に設けられるドアのアウターパネル100(
図2、
図4参照)に取り付けられる。ドアハンドル装置1が取り付けられるドアは、例えば前端が車両の上下方向に伸びた軸線回りに回転可能に車体に取り付けられて、その軸線回りに回転することで、ドアの外面100(アウターパネル100の表面)が車体の外面と面一となる閉位置と、車体の外面から外向きに突出した開位置との間で移動する。なお、ドアは車両前後方向に平行移動するように開閉する、いわゆるスライドドアであってもよい。
【0025】
ドアハンドル装置1は、ドアを開く際にユーザに把持されて所定の解錠操作方向への操作が行われるハンドルレバー2を備えている。ハンドルレバー2は、
図8~
図10に示すように、ハンドル本体3と補助部材4とを備えている。ハンドル本体3は、
図8の正面視で見て長手形状に形成されており、具体的には略長方形に形成されている。またハンドル本体3は、長手方向における一端側3cに、ハンドル本体3の裏側に突出した裏側突出部3e(
図4、
図9、
図10参照)を有する。この裏側突出部3eは、表面3a側が閉塞し、その反対側(裏側)に開口を有した筒状に形成されている。裏側突出部3eは、ハンドル本体3を正面(
図8の方向)から見たときに、表面3aに対して側方にはみ出ないように形成されている。具体的には、ハンドル本体3の短手方向に平行な方向における裏側突出部3eの幅は、ハンドル本体3の短手方向における幅と同一となっている。また、
図9において、裏側突出部3eの紙面左方向に向いた側面3e1は、表面3aの紙面左方向に向いた端部3a1よりも紙面右方向(他端部3d側)に凹んだ位置にある。
【0026】
また、
図10に示すように、裏側突出部3eの側面には、裏側突出部3eの内側の空間3fと外側とを通じさせる貫通部3jが形成されている。
図10の紙面の上下方向をドアハンドル装置1の上下方向としたとき、貫通部3jは、裏側突出部3eの側面のうち、ドアハンドル装置1の上方向に向いた部分と、下方向に向いた部分とにそれぞれ形成されている。また、貫通部3jは、裏側突出部3eの開口が形成された端部に繋がるように形成されている。貫通部3jは、
図10の方向から見て(言い換えると表面3aに直角な方向から見て)、後述の補助部材4の側方突出部4bの幅(
図8、
図10の紙面で左右方向における幅)よりも大きい。具体的には、
図10において、貫通部3jの内面のうち、補助部材4の筒状部4aの中心Oに対する時計方向の進行側に位置する部分3j1を第1内面とし、その反対側に位置する部分3j2を第2内面と定義する。そして、ハンドル本体3の長手方向と、側方突出部4bの突出方向とが直角の状態(
図10の状態)にあるときには、側方突出部4bと第2内面3j2とが接触する一方で、側方突出部4bと第1内面3j1との間には隙間が形成されている。
【0027】
また、ハンドル本体3の表面3aは例えば平坦面となっている。ハンドル本体3の裏側には、ハンドル本体3を把持する際にユーザの指の位置決め部として機能する、長手方向に沿って山、谷が繰り返される波線形状の部分3b(
図4、
図7、
図9、
図10参照)が形成されている。この波線部3bは他端側3d(自由端側)に形成されている。また、
図4、
図10に示すように、ハンドル本体3の裏側における波線部3bと裏側突出部3eの間には凹部3iが形成されている。
【0028】
さらに、ハンドル本体3は、長手方向における他端側3dから一端側3cに向かう方向を長手第1方向(
図8~
図10の紙面の左方向)、その反対方向を長手第2方向としたとき、裏側突出部3eの長手第1方向に向いた側面から長手第1方向に延びた延設部3g(
図8~
図10参照)を有する。
【0029】
補助部材4は、裏側突出部3eの内側の空間3fに嵌め込まれた状態で設けられる。補助部材4は、
図8~
図10に示すように、空間3fに配置される筒状部4aと、筒状部4aの側面から側方に突出した側方突出部4bと、側方突出部4bに接続されて側方突出部4bの突出方向に直角な方向に張り出した張出部4cと、張出部4cから筒状部4aの方に突き出たガイド用突起部4dと、張出部4cから、側方突出部4bと同軸かつ側方突出部4bの突出方向に突出した先端部4eとを有する。なお、側方突出部4b、張出部4c、ガイド用突起部4d、及び先端部4eは、
図8、
図10の紙面で、裏側突出部3eを間に挟んで上側と下側の両方に設けられている。
【0030】
筒状部4aはその中心軸線がハンドルレバー2の表面3aに直角な方向に向くように設けられる。筒状部4aは、その内側の空間に設けられるボルト等の締結部材5(
図4、
図10参照)によって、筒状部4aの中心軸線L2(
図7参照)の回りにはハンドル本体3との間で相対移動が可能であるが、それ以外の方向には相対移動が不能にハンドル本体3に接続されている。なお、中心軸線L2は、筒状部4aの中心O(
図10参照)を通る、
図10の紙面に直角な直線である。
【0031】
側方突出部4bは、筒状部4aの側面のうちドアハンドル装置1の上方向(
図8、
図10の紙面上方向)に向いた部分と、下方向(
図8、
図10の紙面下方向)に向いた部分のそれぞれに設けられている。各側方突出部4bは、貫通部3jを通って裏側突出部3eの側方(言い換えるとハンドル本体3の側方)に突出するように設けられる。また、側方突出部4bの、
図8、
図10の紙面で左右方向における幅(側方突出部4bの突出方向に直角な方向の幅)は、貫通部3jの幅よりも小さく、かつ、ケース6のガイド溝6e(
図12参照)の幅よりも若干小さい。
【0032】
張出部4cは、上側の側方突出部4bと下側の側方突出部4bのそれぞれに設けられている。各張出部4cは、側方突出部4bの突出方向と筒状部4aの中心軸線L2の方向の両方に直角な方向(
図8、
図10の紙面の左右方向)に張り出すように設けられる。より具体的には、各張出部4cは、側方突出部4bから上記長手第1方向(
図8、
図10の紙面の左方向)に張り出した部分と、上記長手第2方向(
図8、
図10の紙面の右方向)に張り出した部分とを有する。張出部4cは、側方突出部4bの突出方向に向いた第1面と、その反対方向である筒状部4aの方向に向いた第2面とを有した板状に形成されている。
【0033】
ガイド用突起部4dは、
図8、
図10に示すように、張出部4cの上記第2面において側方突出部4bの突出方向と筒状部4aの中心軸線L2の方向の両方に直角な方向に間隔をあけて2箇所に形成されている。2箇所のうちの一方のガイド用突起部4dは、張出部4cの長手第1方向に張り出した部分に形成されている。他方のガイド用突起部4dは、張出部4cの長手第2方向に張り出した部分に形成されている。
【0034】
図8、
図10に示すように、一方のガイド用突起部4dと側方突出部4bとで第1のガイド用凹部4h1が形成されている。他方のガイド用突起部4dと側方突出部4bとで第2のガイド用凹部4h2が形成されている。これら凹部4h1、4h2の幅(換言すると側方突出部4bとガイド用突起部4dの間隔)は、後述のケース6の凸部6f1、6f2(
図12参照)の幅と同様に設定されている。
【0035】
先端部4eは、その軸線に直交する平面で切ったときの断面が円形に形成、つまり円柱状に形成されている。先端部4eの直径は、リンク8に形成されたガイド溝8iの幅d2(
図14参照)と同様に設定されている。
【0036】
補助部材4が上記のようにハンドル本体3に接続されることで、ハンドル本体3は、補助部材4の中心軸線L2(
図7参照)の方向には補助部材4と一体に移動し、中心軸線L2の回りには、裏側突出部3eの貫通部3jの幅に応じた角度だけ補助部材4に対して回転可能となっている。なお、ハンドル本体3がケース6の凹部6b(
図4参照)に格納された閉位置にあるときには、この凹部6bの内周面によって、補助部材4に対するハンドル本体3の回転は規制されている。
【0037】
ハンドルレバー2の設置状態について説明する。ハンドルレバー2は、意匠面となる表面3aがドアの外面から露出するように設けられる。また、ハンドルレバー2は、ハンドル本体3がケース6の凹部6b(
図4参照)に格納された閉位置にあるときに、ハンドル本体3の長手方向(
図8の紙面の左右方向)が車両の前後方向を向き、短手方向(
図8の紙面の上下方向)が車両の上下方向を向き、ハンドル本体3の奥行き方向(表面3aに直角な方向、
図8の紙面に直角な方向)が車両の左右方向(言い換えるとドアの外面に直角な方向)に向くように、設けられる。さらに、ハンドルレバー2は、長手方向における一端側3cが支持されて、他端側3dが支持されない片持ち梁の形態に設けられる。この際、一端側3cは例えばドアの回転軸側(前端側)に位置し、他端側3dがドアの自由端側(後端側)に位置する。
【0038】
さらに詳しくは、ハンドルレバー2は、支持される側である一端側3cに対して自由端側である他端側3dが伏せた閉位置(
図2、
図4参照)と、一端側3cよりも他端側3dがドアの外向きに突出して背後に手を入れるスペース200を形成する開位置(
図7参照)との間で移動可能に設けられる。ハンドル本体3は閉位置にあるときにケース6の凹部6b(
図4、
図11参照)に格納される。この際、ハンドル本体3の表面3aとドアの外面100とはほぼ面一となっている。また、裏側突出部3eはケース6の凹部6b内に形成された区画部6c(
図4、
図11、
図13参照)の内側に配置される。
【0039】
また、補助部材4の側方突出部4bは、ケース6のガイド溝6eに挿入されている(
図5参照)。補助部材4の張出部4cは、ガイド用突起部4dが形成された側の面である第2面が、ケース6のガイドレール6fを構成する2つの凸部6f1、6f2(
図2、
図12、
図13参照)の上面に接触するように設けられる。換言すると、第1のガイド用凹部4h1が第1凸部6f1に嵌まっている。第2のガイド用凹部4h2が第2凸部6f2に嵌まっている(
図5参照)。そして、これら凹部4h1、4h2が凸部6f1、6f2の延設方向に沿って移動可能となっている。
【0040】
補助部材4の先端部4eは、リンク8のガイド溝8iに嵌まっている(
図2参照)。先端部4eは、ガイド溝8iとの間で、ガイド溝8iの延設方向(長手方向)に沿って相対移動が可能であり、ガイド溝8iの短手方向には相対移動が不能であり、先端部4eの軸線回りに相対移動が可能である。
【0041】
なお、補助部材4の側方突出部4b、張出部4c、ガイド用突起部4d及び先端部4eは、ハンドル本体3を間に挟んで上下両側に設けられている。そして、ハンドル本体3に対して上側に位置する補助部材4を構成する部分と、下側に位置する補助部材4を構成する部分は、互いに同じ状態でケース6及びリンク8に支持されている。
【0042】
ハンドルレバー2が閉位置から開位置に移動する際に、補助部材4のガイド用凹部4h1、4h2がケース6のガイドレール6f1、6f2に沿って曲線状に移動する。これにより、ハンドルレバー2の一端側3c(裏側突出部3e、補助部材4)は、外向きに平行移動しながら、ガイドレール6f1、6f2(言い換えるとガイド溝6e)の曲率中心300(曲率円の中心)(
図12参照)を回転中心にして、この曲率中心300を通る
図12の紙面に直交する直線(ハンドル本体3の短手方向に平行な方向に延びた直線)回りに回転する。この曲率中心300は、ガイドレール6f1、6f2(言い換えるとハンドルレバー2の一端側3c)よりも長手第1方向P2側に設定されている。なお、曲率中心300の位置には、ハンドルレバー2の回転軸線を形成する構造物(具体的には回転軸及びこれを支持する軸受け部)は設けられていない。これによって、ハンドルレバー2は、ドアの外面100に対して角度をつけた状態で外向きに突出した開位置の状態となる。この状態では、ハンドルレバー2の一端側3cよりも他端側3dのほうが外向きへの突出量が大きい。
【0043】
さらに、ハンドルレバー2には、開位置の状態(ハンドルレバー2がアウターパネル100から突出し、かつ、ハンドルレバー2の長手方向が水平方向に向いた状態)から、ハンドル本体3が一端側3cを中心に鉛直下向きに所定角度だけ回転した状態(以下、下向き回転状態という)が設定されている(
図19参照)。開位置状態は、後述の駆動ユニット10によって自動で移行する状態である。下向き回転状態は、ユーザが、開位置状態にあるハンドル本体3を下向きに回す操作によって移行する状態である。
【0044】
なお、ハンドルレバー2の裏側突出部3e及び補助部材4が本発明の被支持部に相当する。補助部材4の側方突出部4b、張出部4c、ガイド用突起部4d、及びガイド用凹部4h1、4h2が嵌合部に相当する。また、裏側突出部3eが裏側端部に相当する。補助部材4の筒状部4aが第2案内部及び内側部に相当する。補助部材4の側方突出部4b、張出部4c、ガイド用突起部4d及び先端部4eが外側部に相当する。
【0045】
ドアハンドル装置1は、
図1~
図4に示すように、ハンドルレバー2の他に、ケース6とパッド7とリンク8と駆動ユニット10とスイッチ11、12とベルクランク13とバネ9とを備えている。
【0046】
ケース6は、その表面に、ハンドルレバー2に対応した形状に形成された有底の凹部6bを有する(
図4、
図11参照)。凹部6bは、ハンドルレバー2の形状に対応して長手形状に形成されている。ケース6は、複数のボルト挿入孔6aを有し(
図11、
図13参照)、これらボルト挿入孔6aに挿入されるボルトによって、アウターパネル100の背後にてアウターパネル100に取り付けられる。なお、ドアの、ドアハンドル装置1が取り付けられる箇所には、ハンドル本体3の形状に対応した開口が形成されている。凹部6bは、アウターパネル100の背後においてこの開口の位置に設けられる。このとき、凹部6bの長手方向が車両前後方向を向き、凹部6bの短手方向が車両上下方向を向き、凹部6bの深さ方向が車両左右方向を向く。
【0047】
また、ケース6は、凹部6bの内部における長手方向の一端側に、ケース6の裏側まで貫通した区画部6cを有する(
図4、
図11、
図13参照)。区画部6cは、凹部6bの底面から背後方向に延設した壁部を有し、この壁部が周方向を囲むようにして構成されている。区画部6cの内側の空間に、ハンドルレバー2の裏側突出部3e及びこれに接続された補助部材4が設けられている。
【0048】
また、
図4に示すように、ケース6は、区画部6cの内側空間に繋がる空間6dを有する。ケース6の長手方向のうち、閉位置にあるハンドルレバー2の他端側3dから一端側3cに向かう方向に平行な方向を長手第1方向、その反対方向を長手第2方向としたとき、空間6dは、ケース6の長手方向における区画部6cよりも長手第1方向に隣接した位置に設けられている。この空間6dには、ハンドルレバー2の延設部3g(
図8~
図10参照)及びベルクランク13の一部13c(
図18参照)が配置されている。
【0049】
また、ケース6は、側面に、ハンドルレバー2を閉位置と開位置との間で移動するようガイドするためのガイド溝6e及びガイドレール6fを有する(
図12、
図13参照)。ガイド溝6eは、ケース6の長手方向における区画部6cが形成された位置に形成されている。また、ガイド溝6eは、凹部6bを取り囲む壁部のうち、ケース6の長手方向に延びた2つの壁部(上側の壁部及び下側の壁部)のそれぞれに形成されている。ガイド溝6eは、凹部6bの壁部を、ケース6の短手方向に平行な方向に貫通した形態で形成されている。
【0050】
ガイド溝6eは、
図12に示すように、ケース6の奥行き方向(ドアの外面100に直角な方向)に細長い形状に形成されている。具体的には、ガイド溝6eの、ケース6の裏面側の端部を始点として、ガイド溝6eの始点からの一部区間はケース6の外向きP1に平行に延びた平行区間に設定され、残りの区間は外向きP1に延びつつ外向きP1に移行するにつれて次第に長手第1方向P2に移行する傾斜区間に設定されている。ガイド溝6eはこれら平行区間と傾斜区間とで略円弧状の曲線経路を形成している。
【0051】
ガイド溝6eの始点(裏面側の端部)はケース6の背後空間に導通した開放端部に形成され、終点(表面側の端部)が行き止まりとなる閉鎖端部に形成されている。また、ガイド溝6eの短手方向の幅は、ハンドルレバー2の側方突出部4bの径より若干大きい。
【0052】
ガイドレール6fは、ガイド溝6eの外周縁に沿って延びるように設けられている。詳しくは、ガイドレール6fは、
図12の方向から見て、ガイド溝6eを間に挟んで2つの凸部6f1、6f2を有する。一方の凸部6f1は、ガイド溝6eよりも長手第1方向P2側に設けられている。他方の凸部6f2は、ガイド溝6eよりも長手第2方向P3側に設けられている。これら凸部6f1、6f2は、ケース6の外周壁から外側(側方)に突出している。また、凸部6f1、6f2は、ガイド溝6eに沿った形状を有し、すなわち、ガイド溝6eが形成する曲線経路と同様の曲線経路を形成する。
【0053】
凸部6f1、6f2の長手方向における一端はガイド溝6eの始点と同じ位置に設けられている。凸部6f1、6f2の長手方向における他端は、ガイド溝6eの終点近くの位置に設定されている。
【0054】
また、
図12の方向から見て、凸部6f1、6f2の短手方向の幅は、補助部材4のガイド用凹部4h1、4h2(
図8、
図10参照)の幅と同様に設定されている。
【0055】
また、
図7、
図12に示すように、ケース6は、ハンドルレバー2が開位置にあるときに張出部4cに接触して張出部4cがさらに外向きに移動するのを規制するストッパ部6hを有する。ストッパ部6hは、第1凸部6f1の終点において第1凸部6f1よりもさらに外側に突出するように設けられる。ストッパ部6hの第1凸部6f側の端面6h1は、ハンドルレバー2が開位置にあるときの張出部4cの外周縁の傾きと同様の傾きに設定されている。
【0056】
なお、ガイド溝6e、ガイドレール6f及びストッパ部6hは、凹部6bを間に挟んで両側に形成されている。
【0057】
また、ケース6は、
図13に示すように、ケース6の凹部6bが形成された側(表面側)と反対側の面である裏面に、リンク8の軸部8aを支持するための第1軸受け部6iを有する。第1軸受け部6iは、
図13の紙面で上下方向つまりケース6の短手方向に平行に延びた溝として形成されている。第1軸受け部6iの溝幅は、リンク8の軸部8aの直径と同様に設定されている。また、第1軸受け部6iは、ケース6の長手方向における中間位置に設けられている。より具体的には、閉位置にあるハンドルレバー2の他端側3dが位置するケース6の端部側6j(
図13参照)を第1側としたとき、第1軸受け部6iは、区画部6cと第1側6jの間の位置に設けられている。なお、区画部6cと第1側6jの間の位置は、ハンドルレバー2の一端側3cと他端側3dの間の位置でもある。
【0058】
また、ケース6は、
図13に示すように、ケース6の裏面に、ベルクランク13の軸部13aの両方の端部13b(
図18参照)を支持するための第2軸受け部6gを有する。第2軸受け部6gは、
図13の紙面で左右方向つまりケース6の長手方向に平行な方向に間隔をあけた2箇所の溝として形成されている。これら2箇所の溝の間隔は、ベルクランク13の軸部13aの両端13bの間隔と同様に設定されている。また、第2軸受け部6gは、区画部6cよりも長手第1方向(
図13の紙面で左方向)に形成されている。また、ケース6の裏面の、第2軸受け部6gを構成する2箇所の溝の間に、ベルクランク13の軸部13a及びこれに装着されたバネ9(
図3参照)を配置するための凹部6kが形成されている。さらに、ケース6の裏面の、第2軸受け部6gを構成する2箇所の溝の間に、ケース6の空間6d(
図4参照)に通じた貫通部6lが形成されている。この貫通部6lは、凹部6kに隣接した位置に形成されている。
【0059】
なお、ケース6が本発明の支持部材及びベース部材に相当する。ガイド溝6e及びガイドレール6fが第1案内部に相当する。
【0060】
図1、
図2、
図4に示すパッド7は、
図1の方向から見て、ハンドル本体3の表面3aの形状に合った内周線を有したリング状に形成されている。パッド7の内周線は、ケース6の凹部6bの外周線に対応した形状でもある。パッド7は、ケース6の表面において凹部6bを取り囲む位置に取り付けられている。また、パッド7は、アウターパネル100の背後においてアウターパネル100とケース6の間に挟み込まれるように設けられている。パッド7は、緩衝部材として機能し、すなわちケース6、アウターパネル100及びハンドルレバー2よりも柔らかい材料により形成され、具体的には例えばゴム状弾性体、又は軟質プラスチック材等により形成される。
【0061】
図14、
図15に示すリンク8は、丸棒状の軸部8aと、軸部8aの一端に接続して軸部8aに直角な方向に延びた第1側面部8bと、軸部8aの他端に接続して軸部8aに直角な方向に延びた第2側面部8cとを有する。第1側面部8bの延設方向における一端に軸部8aの端部が接続されている。同様に、第2側面部8cの延設方向における一端に軸部8aの端部が接続されている。第1側面部8b及び第2側面部8cは軸部8aから互いに同一方向に延設されている。
【0062】
また、リンク8は、
図15に示すように、軸部8aとは別の位置で、第1側面部8bと第2側面部8cの間を接続する第1補強部8dを有する。第1補強部8dは、軸部8aに平行な方向に延びるように設けられる。第1補強部8dは、第1、第2側面部8b、8cの両端のうち、軸部8aが接続された端部に近い位置で、第1、第2側面部8b、8cに接続されている。また、リンク8は、第1補強部8dの延設方向における中間位置と、軸部8aの延設方向における中間位置との間を接続する第2補強部8eを有する。
【0063】
さらに、リンク8は、駆動ユニット10の球状部10d(
図2、
図16参照)を収容するための収容部8fと、後述の第1スイッチ11及び第2スイッチ12(
図2参照)をオンするための突起部8gとを有する。収容部8fは、第1側面部8bの長手方向における中間部に設けられている。収容部8fは、
図14の方向から見て下方向(駆動ユニット10が設けられる方向)に開放した第1開放口8f1を有する。第1開放口8f1は、
図16に示す駆動ユニット10の球状部10dよりも小さい幅を有し、かつ駆動ユニット10の小径部10eより若干大きい幅を有する。また、収容部8fは、軸部8aの延設方向に平行な向きに開放した第2開放口8f2も有する。第2開放口8f2は、第2側面部8c側の面と反対側に形成されている。収容部8fの、第2側面部8c側の面は閉塞されている。
【0064】
突起部8gは、第1側面部8bの、軸部8aが接続される側と反対側の端部に設けられている。突起部8gは、軸部8aの延設方向に平行な向きのうち第2側面部8cから離れる方向に突出している。
【0065】
さらに、リンク8は、補助部材4の先端部4eをガイドするためのガイド溝8i(
図14参照)を有する。ガイド溝8iは第1側面部8bと第2側面部8cのそれぞれに形成されている。ガイド溝8iは、第1、第2側面部8b、8cの、軸部8aが接続される側と反対の端部側に形成されている。ガイド溝8iは、第1、第2側面部8b、8cの長手方向に平行な方向に細長い形状に形成されている。また、ガイド溝8iは、
図14の紙面の直角な方向に第1、第2側面部8b、8cを貫通するように形成されている。ガイド溝8iは、第1、第2側面部8b、8cの、軸部8aが接続される側と反対の端部に開放口を形成するように形成されている。ガイド溝8iの延設方向における長さd1(
図14参照)は、補助部材4の先端部4eの直径よりも長い。ガイド溝8iの延設方向に直角な方向の幅d2(
図14参照)は、先端部4eの直径と同様に設定されている。
【0066】
リンク8は、ケース6とハンドルレバー2とを連結している。詳しくは、軸部8aが、ケース6の第1軸受け部6i(
図13参照)において、軸部8aの軸線回りの回転は可能であり、それ以外の方向への移動は不能に連結されている。なお、第1軸受け部6iは、駆動ユニット10の筐体10f(
図2参照)に設けられた突出蓋部10g(
図2参照)によって塞がれており、これによって軸部8aは第1軸受け部6iから外れないようになっている。また、第1側面部8bに形成されたガイド溝8iには、補助部材4に設けられた2つの先端部4eのうちの一方が挿入されている。第2側面部8cに形成されたガイド溝8iには他方の先端部4eが挿入されている。各先端部4eは、先端部4eの軸線回りの回転は可能であり、かつ、ガイド溝8iの延設方向に沿った移動は可能であり、それ以外の方向への移動は不能に、ガイド溝8iに連結されている。
【0067】
なお、リンク8が本発明の支持部材及び連結部材に相当する。軸部8aが第1連結部に相当する。ガイド溝8iが第2連結部に相当する。
【0068】
駆動ユニット10は、ハンドルレバー2を閉位置と開位置との間で自動で移動させるための部品である。駆動ユニット10は、
図16に示すように、正逆両方向に回転が可能なモータ10aと、モータ10aの回転力を直線方向の力に変換する変換部10bと、変換部10bにて変換された力により直線方向に移動する可動部10cとを有する。変換部10bは例えばボールねじとして構成される。可動部10cは、可動部10cの先端を構成する球状部10dと、球状部10dに接続した小径部10eとを有する。なお、モータ10a及び変換部10bは、駆動ユニット10の筐体10f(
図2参照)に収容されている。
図16ではこの筐体10fを図示していない。
【0069】
駆動ユニット10は、ケース6の背後において、可動部10cの移動方向がケース6の奥行き方向に平行となるよう設けられる。また、球状部10dは、リンク8の収容部8fに収容される(
図2参照)。小径部10eは、収容部8fの第1開放口8f1(
図14参照)を通っている。第1開放口8f1は球状部10dよりも小径に形成されるので、球状部10dは収容部8fから外れないようになっている。なお、駆動ユニット10が本発明の駆動部に相当する。
【0070】
図2に示すスイッチ11、12は、螺子等によりケース6に固定されている。各スイッチ11、12は、
図6に示すように、押下方向に可動する可動部11a、12aと、この可動部11a、12aを押下するための板部11b、12bと、板部11b、12bの先端に設けられる凸部11c、12cとを有する。可動部11a、12aは突出方向に付勢された状態で設けられる。つまり、可動部11a、12aは、押下方向への力が加わった際には押下方向に移動し、その力が解除された場合には自動で元の突出位置に復帰する。スイッチ11、12は、可動部11a、12aが押下されたときにオン信号を出力する。このオン信号は後述の制御部16(
図17参照)に入力される。
【0071】
板部11b、12bは、可動部11a、12aに対向した位置に設けられる。板部11b、12bの基端が各スイッチ11、12の筐体に接続されて、その基端を基点として可動部11a、12aに近づく方向に揺動可能に設けられる。板部11b、12bに力が加わっていない状態では、可動部11a、12aは突出状態となる。これに対して、板部11b、12bに、可動部11a、12aに近づく方向への力が加わった場合には、可動部11a、12aは、板部11b、12bからの力により押下状態となる。
【0072】
第1スイッチ11は、ハンドルレバー2が閉位置にあることを検知するためのスイッチである。第1スイッチ11は、
図7に示すように、ハンドルレバー2が閉位置にあるとき(補助部材4がケース6のガイド溝6eの始点付近に位置したとき)に、凸部11cがリンク8の突起部8gと接触する位置に設けられる。なお、凸部11cは、ハンドルレバー2が、開位置にある状態、及び閉位置に移行する途中状態では、突起部8gと接触しない。
【0073】
第2スイッチ12は、ハンドルレバー2が開位置にあることを検知するためのスイッチである。第2スイッチ12は、ハンドルレバー2が開位置にあるとき(補助部材4がケース6のガイド溝6eの終点付近に位置したとき)に、凸部12cがリンク8の突起部8gと接触する位置に設けられる。なお、凸部12cは、ハンドルレバー2が、閉位置にある状態、及び開位置に移行する途中状態では、突起部8gと接触しない。
【0074】
ベルクランク13は、
図18に示すように、丸棒状の軸部13aと、軸部13aから軸部13aに直角な方向に突出した第1レバー13cと、軸部13aから軸部13aに直角な方向かつ第1レバー13cの突出方向と異なる方向に突出した第2レバー13eとを有する。第1レバー13c及び第2レバー13eは、軸部13aの軸線に沿った位置のうち互いに同じ位置から突出するように設けられる。第1レバー13cの先端13dは、ハンドルレバー2の延設部3g(
図8~
図10参照)からの力を受ける部分に設定されている。第2レバー13eの先端には貫通孔13fが形成されている。貫通孔13fは、軸部13aの軸線方向に平行に第2レバー13eを貫通している。また、第2レバー13eには、バネ9の一端を係止するための突起部13gが形成されている。
【0075】
ベルクランク13はケース6に設置されている。具体的には、ベルクランク13の軸部13aの両端13bが、ケース6の第2軸受け部6gにおいて軸部13aの軸線回りの方向には移動可能であり、それ以外の方向には移動不能に連結されている(
図3参照)。軸部13aは、ケース6の凹部6k(
図13参照)に収容されている。また、第1レバー13cは、ケース6の貫通部6l(
図13参照)を通って空間6dに配置されている(
図4参照)。第1レバー13cの先端部13dは、延設部3gの先端側の側面3h(
図8、
図10参照)に接触している。この側面3hは、
図8の紙面において上方に向いた面であり、換言すれば、ハンドルレバー2の他端側3dが開位置の状態(水平状態)から下向き回転状態への移動方向(つまり鉛直下向き)と反対方向(つまり鉛直上向き)に向いた面である。第2レバー13eはケース6の外側に配置されている。
図3に示すように、第2レバー13eの貫通孔13fには、車両のドアに設けられたラッチ機構15に連結されたリンク部材19が連結されている。
【0076】
ベルクランク13は、ハンドルレバー2の開位置状態(水平状態)に対応した第1状態と、ハンドルレバー2の下向き回転状態に対応した第2状態との間で、軸部13aの軸線回りに移動可能に設けられる。また、ラッチ機構15は、ドアに設けられて、車体側に設けられたピン形状のストライカーに噛み合うラッチと、このラッチを、ストライカーに噛み合ったロック状態と、ストライカーから外れたアンロック状態との間で機械式に移動させるリンク部材19とを有する。ラッチ機構15は、ベルクランク13が上記第1状態にあるときにはドアをロック状態に保持する。ラッチ機構15は、ベルクランク13が上記第2状態にあるときには、リンク部材19を介してドアをアンロック状態に切り替える。このように、本実施形態では、ラッチ機構15は、ラッチの駆動に電気を使用せずに機械部品のみでラッチを駆動する機械式ラッチ機構として構成されている。
【0077】
図3に示すバネ9は、捩じりコイルバネとして構成されている。バネ9はベルクランク13の軸部13aに装着されている。バネ9の一端は、ベルクランク13の突起部13g(
図18参照)に係止されている。バネ9の他端はケース6に係止されている。バネ9は、ハンドルレバー2の延設部3gを
図8の紙面で下方に押す方向、換言すると、ハンドルレバー2の他端側3dを上方に移動させる方向に付勢した状態で設けられる。このバネ9の付勢力により、ハンドルレバー2が開位置の状態にあるときに、ハンドルレバー2に下向き操作が加えられない限りは水平状態に保持される。なお、
図10に示すハンドルレバー2の貫通部3jの第2面3j2及び側方突出部4bがストッパーとして機能することで、ハンドルレバー2の他端側3dが水平状態よりも上方に移動しないように規制されている。
【0078】
ドアハンドル装置1は、ハンドルレバー2の表面3aへのタッチ操作を検知する静電容量センサ等のタッチセンサ14(
図17参照)を備えている。タッチセンサ14は例えばハンドル本体3の凹部3i(
図4参照)に設けられる。なお、ドアハンドル装置1には、車両への側突時の衝撃でドアが解放しないようにするためのカウンターウェイトが設けられていない。
【0079】
図17に示すように、モータ10a、スイッチ11、12及びタッチセンサ14は制御部16に接続されている。制御部16は、タッチセンサ14、スイッチ11、12の信号に基づいてモータ10aを制御する。以下、ドアハンドル装置1の作用を説明する。制御部16は、車両のユーザがハンドルレバー2の表面3aをタッチ操作したことを示した信号をタッチセンサ14から受信したときに、モータ10aを正方向に回転させる。なお、車両に、車両と電子キーとの間の双方向通信に基づいて電子キーの認証を行い、その認証がOKの場合に車両ドアのロック、アンロック等を許可する電子キーシステムが備えられている場合には、制御部16は、例えば、上記認証がOKであることを前提として、表面3aへのタッチ操作があったときに、モータ10aを駆動させ、上記認証が不可のときには表面3aへのタッチ操作があったとしてもモータ10aを駆動させない。
【0080】
モータ10aが正方向に回転すると、駆動ユニット10の可動部10c及びこれに小径部10eを介して接続された球状部10dは外向きP1(
図2参照)に移動する。なお、外向きP1は
図2の紙面の上方向であって、閉位置にある表面3aに直角な方向のうち表面3aから外側に向かう方向である。球状部10dの移動に伴い、リンク8が軸部8aを中心にして
図2の紙面で時計回りに回転する。この回転に伴い、ハンドルレバー2(補助部材4)のガイド用凹部4h1、4h2が、ケース6のガイドレール6f(凸部6f1、6f2)が形成する曲線経路に沿って外向きP1に移動する。この移動により、ハンドルレバー2は外向きP1に移動しながら
図2の紙面で反時計回りに回転する。また、補助部材4の先端部4eは、リンク8の回転に伴い、リンク8のガイド溝8iに沿って移動、言い換えるとリンク8の軸部8aを中心とした円における径方向外側に移動する。このように、先端部4eがリンク8との間で上記円における径方向への相対的な移動が可能であるために、リンク8の回転軌跡と、ガイドレール6fが形成する曲線経路の向きが異なっていたとしても、ハンドルレバー2の、ガイドレール6fに沿った移動が可能となる。
【0081】
その後、
図7に示すように、ハンドルレバー2が予め定められた開き角度となる位置(開位置)まで移動したときに、リンク8の突起部8gが第2スイッチ12の凸部12cに接触することで第2スイッチ12がオンする。制御部16は、第2スイッチ12からのオン信号を受信したときに、モータ10aを停止させる。これによって、ハンドルレバー2は所定角度だけ突出した開位置の状態に保持される。なお、開位置状態では、補助部材4はガイド溝6e(曲線経路)の終点、又は終点付近に位置し、張出部4cはケース6のストッパ部6hに当たる。また、ハンドルレバー2が開位置にあるときには、ハンドルレバー2とケース6の凹部6bとの間にユーザの手を入れるスペース200が形成される。
【0082】
その後、ユーザは、スペース200に手を入れて、ハンドルレバー2の波線部3bに指をかけた状態でハンドルレバー2を把持し、バネ9(
図3参照)の付勢力に抗してハンドルレバー2を下向きに回す操作を行うと、
図19に示すように、ハンドルレバー2の本体3は、一端側3cを中心として、予め定められた角度だけ
図19の紙面で時計回りに回転する。このとき、補助部材4は回転しない。ハンドル本体3が予め定められた角度だけ下向きに回転したときに、
図10に示す補助部材4の側方突出部4bと貫通部3jの第1内面3j1とが接触することで、それ以上の下向き回転が規制される。また、ハンドル本体3が下向きに回転するに伴い、
図8に示す延設部3gが上向きに移動し、この延設部3gに押されてベルクランク13が上記第1状態から上記第2状態へと回転する。これによって、
図3のラッチ機構15がリンク部材19を介してアンロック状態に切り替わる。これによって、ユーザはドアを開けることができる。
【0083】
なお、ハンドル本体3を下向きに回転させた後に、ユーザがハンドル本体3への下向き操作を止めたとき(力を緩めたとき、又はハンドル本体3から手を離したとき)には、ハンドル本体3は、バネ9の付勢力によって、自動で水平状態に戻る。
【0084】
その後、制御部16は、予め定められた復帰条件を満たしたときに、モータ10aを逆方向に回転させる。なお、復帰条件は適宜に設定することができるが、例えば、ドアが開いた後、ドアが閉じた時を復帰条件の成立としてもよいし、ドアが開いてから所定時間が経過した時を復帰条件の成立としてもよい。モータ10aが逆方向に回転すると、駆動ユニット10の可動部10c及びこれに接続された球状部10dは内向きP4(
図7参照)に移動する。なお、内向きP4は
図7の紙面の下方向であって、閉位置にある表面3aに直角な方向のうちハンドルレバー2の背後に向かう方向である。球状部10dが内向きP4に移動するに伴い、リンク8が軸部8aを中心にして
図7の紙面で反時計回りに回転する。この回転に伴い、ハンドルレバー2(補助部材4)のガイド用凹部4h1、4h2が、ケース6のガイドレール6f(凸部6f1、6f2)が形成する曲線経路に沿って内向きP4に移動する。この移動により、ハンドルレバー2は内向きP4に移動しながら
図7の紙面で時計回りに回転する。また、補助部材4の先端部4eは、リンク8の回転に伴い、リンク8のガイド溝8iに沿って移動、言い換えるとリンク8の軸部8aを中心とした円における径方向内側に移動する。
【0085】
その後、ハンドルレバー2が閉位置まで移動したときに、リンク8の突起部8gが第1スイッチ11の凸部11cに接触することで第1スイッチ11がオンする。制御部16は、第1スイッチ11からのオン信号を受信したときに、モータ10aを停止させる。
【0086】
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、ハンドルレバー2は、被支持部となる裏側突出部3e及び補助部材4が外向きに移動しながら回転するように開位置まで移動するので、ハンドルレバー2の開き角度θ(
図7参照)を過度に大きくしなくても、ハンドルレバー2の背後に手を入れるのに必要なスペース200を確保できる。開き角度θを抑えることで、
図7に示すドアの解放方向P5(ドア外面に直角な方向)と、ハンドルレバー2をユーザの手前側に引く際の操作方向P6とのズレ量を小さくできる。そして、ハンドルレバー2を下向き操作してドアを解錠した後に、ハンドルレバー2を水平状態に戻し、ハンドルレバー2を手間側に引いてドアを開ける際に、ドアの解放方向P5と、ハンドルレバー2を手前側に引く際の操作方向P6とのズレ量が小さいので、ドアを開けやすい。
【0087】
また、ハンドルレバー2の長手方向における幅X(
図7参照)を過度に長くしなくても、手を入れるスペース200を確保できる。また、ハンドルレバーの全体を外向きに平行移動させる構造に比べて、外向きへの平行移動量Y(
図7参照)を小さくでき、ひいては、ドアハンドル装置1の奥行き方向幅を小さくできる。これにより、ドアハンドル装置1をコンパクトに構成できる。
【0088】
また、リンク8を介してハンドルレバー2を移動させるので、ハンドルレバー2の被支持部(裏側突出部3e及び補助部材4)を曲線経路に沿って移動させやすくできる。
【0089】
また、リンク8の回転軸8aは、ハンドルレバー2の背後においてハンドルレバー2の長手方向における一端側3cと他端側3dの間の位置に設けられるので、リンク8がハンドルレバー2の長手方向においてハンドルレバー2からはみ出てしまうのを抑制できる。これにより、ドアハンドル装置1の長手方向幅を抑えることができる。また、リンク8は、ハンドルレバー2と2箇所で連結されているので、ハンドルレバー2を安定して移動させることができる。
【0090】
また、裏側突出部3eは、正面から見たときにハンドルレバー2の表面3aからはみ出ない大きさに形成されているので、ハンドルレバー2及びこれを支持するケース6をより一層コンパクトに構成できる。また、閉位置の状態でハンドルレバー2の表面3a以外の部分がドアのアウターパネル100から露出してしまうのを抑制できる。
【0091】
また、ドアを解錠するためのハンドルレバー2の操作方向である解錠操作方向が下向きに設定されているので、ドアハンドル装置1にカウンターウェイトを設けなくても、車両への側突時の衝撃でハンドルレバー2が解錠操作方向に移動してドアが解放してしまうのを抑制できる。また、ドアハンドル装置1にはカウンターウェイトが設けられないので、重量や部品点数を削減できる。
【0092】
また、ハンドルレバー2の下向き回転を実現するための補助部材4の本体を構成する筒状部4aが裏側突出部3eの内側に配置されることで、裏側突出部3e及び補助部材4から構成される被支持部が大きくなってしまうのを抑制できる。また、この筒状部4aが、ハンドルレバー2の下向き回転方向への案内部として機能することで、ケース6側に、ハンドルレバー2を下向き回転方向に案内するための機構を設けなくてもよく、ケース6の構成が複雑になってしまうのを抑制できる。
【0093】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限度で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ドアのラッチ機構が機械式ラッチ機構である例を示したが、電動式のラッチ機構であってもよい。この場合、
図20に示すように、ドアハンドル装置に第3スイッチ17を備えさせる。第3スイッチ17は、第1、第2スイッチ11、12と同様に構成される。また、ハンドル本体3に、第3スイッチ17をオンするための押圧部を設ける。これら第3スイッチ17及び押圧部を、ハンドル本体3が下向き回転状態となったときに第3スイッチ17がオンする位置に配置させる。また、電動式のラッチ機構は、ドアに設けられて、車体側に設けられたピン形状のストライカーに噛み合うラッチと、このラッチを、ストライカーに噛み合ったロック状態と、ストライカーから外れたアンロック状態との間で電動で駆動するラッチ駆動部18(電動モータ等)とを有する。制御部16は、第3スイッチ17からのオン信号を受信したときに、ラッチ駆動部18を駆動させてラッチ機構をアンロック状態とする。これによっても上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0094】
また、
図3のラッチ機構15のラッチを電動でも駆動できるように構成してもよい。この場合、ドアハンドル装置に、
図20で示す第3スイッチ17及び第3スイッチ17をオンするための押圧部を備えさせる。また、ラッチ機構15は
図20に示すラッチ駆動部18を備える。また、
図3に示すように、ドアハンドル装置のベルクランク13と、ラッチ機構15とをリンク部材19で連結する。そして、第3スイッチ17のオンに基づき電動でラッチを解除する際のハンドル本体3の回転位置(以下、第1回転位置という)と、リンク部材19からの力でラッチを解除する際のハンドル本体3の回転位置(以下、第2回転位置という)とを異ならせる。例えば、ハンドル本体3を開位置の状態から下向きに第1角度だけ回転させたときに第3スイッチ17が押圧部によってオンし、制御部16はこのオンに基づいてラッチ駆動部18を駆動させてラッチを解除する。さらに、ハンドル本体3を開位置の状態から下向きに上記第1角度よりも大きい第2角度だけ回転させたときにリンク部材19を介してラッチが駆動するように設定する。これによって、車両のバッテリ切れや第3スイッチ17等の電気部品の故障によって、電動でラッチを駆動できない非常事態が発生したとしても、ハンドル本体3を第2角度状態にすることで、ラッチを機械式に解除することができ、ドアを開けることができる。なお、上記第1角度で機械式のラッチ機構が作動し、上記第2角度で電動式のラッチ機構が作動するようにしてもよい。また、上記第1回転位置と第2回転位置の一方を、水平位置よりも下方に設定し、他方を水平位置よりも上方に設定してもよい。つまり、ハンドル本体3を水平状態から下向きに回転させたときに電動式又は機械式のラッチ機構の一方を作動させ、ハンドル本体3を水平状態から上向きに回転させたときに他方のラッチ機構を作動させてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、解錠操作方向として、ハンドル本体3の一端側3cを中心とした下向きへの回転方向に設定した例を示したが、ハンドル本体3の一端側3cを中心とした上向きへの回転方向に設定してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、ハンドルレバーの表面へのタッチ操作によって、ハンドルレバーを自動的に開位置に移動させる例を示したが、ドアハンドル装置にプッシュスイッチ等の可動式スイッチを設け、この可動式スイッチが操作されたことに基づいて、ハンドルレバーを開位置に移動させてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 ドアハンドル装置
2 ハンドルレバー
3 ハンドル本体
3c ハンドル本体の一端側
3d ハンドル本体の他端側
3e 裏側突出部(被支持部)
4 補助部材(被支持部)
4a 補助部材の筒状部(第2案内部)
6 ケース(支持部材、ベース部材)
6e ケースのガイド溝(第1案内部)
6f ケースのガイドレール(第1案内部)
8 リンク(支持部材、連結部材)
10 駆動ユニット(駆動部)