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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ドアハンドル組立体
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/06 20140101AFI20220509BHJP
   E05B 85/16 20140101ALI20220509BHJP
   E05B 85/18 20140101ALI20220509BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
E05B79/06 B
E05B85/16 D
E05B85/18 D
B60J5/04 H
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018547410
(86)(22)【出願日】2017-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 GB2017050616
(87)【国際公開番号】W WO2017153746
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-02-04
(31)【優先権主張番号】1604137.8
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】303063311
【氏名又は名称】ベントレー・モーターズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウント,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ビーストン,ラッセル
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】実公昭34-014020(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0177478(US,A1)
【文献】特開2003-221960(JP,A)
【文献】特開2007-254993(JP,A)
【文献】特開2015-148041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面および内面を有するドアパネルを備え、
開口部が前記ドアパネルに設けられ、
前記開口部を閉じるためにカバープレートが配置され、かつ内方に後退可能であり、
前記ドアパネルの内面にラッチ解除ハンドルが設けられ、
前記カバープレートが内方に折り畳まれ、次いで内方および上方にスライドされ、前記開口部の後ろに形成されたポケット内に後退するように配置される、ドアハンドル組立体。
【請求項2】
前記ラッチ解除ハンドルがテクスチャ表面を備える、請求項1に記載のドアハンドル組立体。
【請求項3】
電子「開」信号に応答して前記カバープレートを後退させることができ、
前記電子「開」信号は、内部ロック解除ボタンを押し、および/または内部ドアハンドルを操作することによって提供される、請求項1または2に記載のドアハンドル組立体。
【請求項4】
前記カバープレートの周縁と前記開口部の周縁の間に3ミリメートル未満のギャップが存在する、請求項1~の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項5】
前記カバープレートの周縁と前記開口部の周縁の間に1ミリメートル未満のギャップが存在する、請求項1~の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項6】
前記カバープレートの周縁と前記開口部の周縁の間に1ミリメートル以上のギャップが存在する、請求項1~の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項7】
前記ポケット内にロックバレルが設けられる、請求項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項8】
前記ポケットは装飾面を備える、請求項またはに記載のドアハンドル組立体。
【請求項9】
前記開口部の背後の領域を照らすために、1つまたは複数のランプが設けられる、請求項1~の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項10】
前記カバープレートが閉位置にあるとき、前記カバープレートと前記開口部の間の間隙を照らすように、1つまたは複数のランプが配置される、請求項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項11】
ロック状態に応答して照明の色を変えるように、前記1つまたは複数のランプが配置される、請求項または10に記載のドアハンドル組立体。
【請求項12】
前記ラッチ解除ハンドルと前記ドアパネルの内面の間にランプ組立体を設けた、請求項11の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項13】
前記ラッチ解除ハンドルは、透明または半透明である、請求項1~12の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項14】
前記開口部は、少なくとも40ミリメートルの高さを有する、請求項1~13の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項15】
前記開口部は、少なくとも10ミリメートルの幅を有する、請求項1~14の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項16】
前記ラッチ解除ハンドルは、金属で形成される、請求項1~12の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項17】
前記ラッチ解除ハンドルが15ミリメートル~40ミリメートルの範囲の高さを有する、請求項1~16の何れか1項に記載のドアハンドル組立体。
【請求項18】
請求項1~17の何れか1項に記載のドアハンドル組立体を備えたドア。
【請求項19】
請求項18に記載のドアを備えた自動車。
【請求項20】
前記信号に応答してカバープレートを内方に後退させて前記開口部を開き、前記開口部へのユーザの指の導入を可能にし、
前記カバープレートが内方に折り畳まれ、次いで内方および上方にスライドされ、前記開口部の後ろに形成されたポケット内に後退するように配置され、
前記ラッチ解除ハンドルとの接触に応答してラッチを解除する、請求項1~17の何れか1項に記載のドアハンドル組立体を操作する方法。
【請求項21】
前記カバープレートを内方に後退させ、前記信号に応答して少なくとも1つのランプを点灯する、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドル組立体に関し、更に詳細には、自動車等の車両のドアハンドル組立体、およびドアハンドル組立体を備えたドアに関する。
【背景技術】
【0002】
美的および空力上の理由から、特定の自動車メーカーは、使用していないとき、ドアの外面と面一のドアハンドルを開発した。その一例を、フィアット(RTM)・バルケッタ型183に見ることができ、ドアの外面と面一のハンドルを有するドアハンドル組立体と、押されたとき、ドアをアンラッチするために引っ張ることができる位置までハンドルを外方に回動させる機械的なボタンと、が設けられている。
【0003】
最近では、テスラ(RTM)・モデルSに、ドアの外面と面一のドアハンドル組立体が設けられ、ドア鍵のセンサへの近接に応答して、(モータによって)自動的に延ばされてユーザによってそれが把持され、ドアを開くためにそれを引っ張ることができる。
【0004】
種々の他の刊行物には、フラッシュドアハンドルが開示されている。例えば、特許文献US4895403に開示された装置では、ユーザが凹部に第1軸の周りに内方にドアハンドルを回転させることが可能であり、次いで、ドアハンドルを引き、第2軸の周りに外方に回転させてラッチを解除し、ドアを開いている。
【0005】
特許文献US2004/0135380には、他の配置が開示されており、この場合、ドアを閉じるとき、ドアハンドルが水平な上面に配置される。ドアを開くため、ドアハンドルが垂直方向に対して内方かつ下方に回転され、次いでドアを開くために外方に引っ張っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この配置は、殆どの車両のドアに不向きであり、ドアハンドルを装着するのに適した任意の水平面がなく、主に垂直な面に配置されている。しかしながら、この構成は、殆どの車両のドアには不向きである。従来の自動車のドアに見られるように、使用中の凹部から延出しない部分の動きは、魅力的であり、同様の動作を達成することが望ましい。本発明は、実質的に垂直な面で使用できるドアハンドル組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ドアハンドル組立体は、外面および内面を有するドアパネルを備え、開口部がドアパネルに設けられ、カバープレートが前記開口部を閉じるために配置され、かつ内方に後退可能であり、前記ドアパネルの内面にラッチ解除ハンドルが設けられている。
【0008】
内方への後退により、開口部にユーザの指の導入が可能となる。カバープレートが後退した状態で、使用者は、ラッチを解除してドアを開くために、ラッチ解除ハンドルを引くことができる。
【0009】
ドアパネルの内面にラッチ解除ハンドルを設けたので、特許文献US2004/0135380と外観が類似したメカニズムが使用可能となり、使用時に外方に延びる部分がなく、ドアパネルの内面にカバープレートとは別部品として形成されるので、実質的に垂直なドアパネル上で使用可能である。
【0010】
ドアパネルの内面にラッチ解除ハンドルを設けたので、ドアハンドルとして回動するカバープレートの使用に比べて、ドアハンドルとドアの間の堅固な接続が可能となる。
【0011】
ラッチ解除ハンドルは、開口部の上方に設けてもよい。これは、水の浸入の可能性を減少させるのに有益である。代替的に、ラッチ解除ハンドルは、開口部の一方の側に設けてもよい。これにより、垂直ヒンジを中心にドアを旋回させて開くための人間工学的に最適な位置にドアハンドルが置かれる。
【0012】
ラッチ解除ハンドルは、テクスチャ加工された表面を備えてもよい。ユーザの指と一致して配置された、例えばキザギザや窪みが、ドアハンドルに形成されてもよい。これにより、多少型破りなスタイルのドアハンドルをどのように操作するのか、乗客の理解を助けることとなる。
【0013】
ラッチ解除ハンドルは、金属で形成されてもよい。それは、少なくとも10ミリメートルの深さを有してもよく、例えば少なくとも20ミリメートル、例えば約25ミリメートルの深さを有してもよい。また、それは、15ミリメートル~40ミリメートルの範囲の高さを有してもよい。また、その幅は、開口部の幅とほぼ等しくてもよい。特にかなりの深さ等の寸法を有する金属製のラッチ解除ハンドルは、乗客の理解を助け、人間工学的かつ高価な感触をハンドル組立体に提供し、従来のハンドルの感触を与える。
【0014】
ドアパネルは、車両の外面を形成するドアの外板であってもよい。あるいは、ドアパネルは、ドアの外板に(例えば溶接によって)取り付けられた別個のパネルであってもよい。
【0015】
引っ張られたときにラッチ解除ハンドルがドア解除信号を送信するために、動作可能な、電子スイッチまたはセンサを設けてもよい。
【0016】
電子スイッチまたはセンサは、マイクロスイッチ、またはタッチセンサ方式の、例えば静電容量センサを備えてもよい。ドア解除信号は、ドアをアンラッチするために、E-ラッチに送信してもよい。E-ラッチは広く入手可能であり、例えばKiekert AGから入手可能であり、特許文献US7791218B2に記載されている。
【0017】
ラッチ解除ハンドルは、(追加的または代替的に)機械的なラッチ解除システムを備えてもよい。例えば、機械的なラッチ解除システムは、ラッチ解除ハンドルに取り付けられたボーデンケーブルと、内方にハンドルを付勢するバネ等の付勢手段と、を備えてもよい。バイアスに抗して外方に引っ張られたとき、ケーブルはぴんと張られ、または緩められ、これにより、機械式ドアラッチが開くこととなる。
【0018】
ボーデンケーブルは、E-ラッチを動作させるための機械信号を提供してもよく、または従来の機械的ラッチを開いてもよい。
【0019】
ドアハンドル組立体は、内方にカバープレートを後退させて開口部を開くことが可能なモータを含んでもよい。また、モータは、閉位置にカバーを戻すことが可能でもよい。
【0020】
カバープレートは、例えば、バネで閉位置に向かってバイアスされてもよい。
【0021】
バイアスおよび/またはモータの抵抗は、ユーザがその力を克服し、内方にカバープレートを押すことができるように選択できる。例えば、カバープレートを押す力に抗する力は、20ニュートン未満でもよい。
【0022】
組立体は、電子「開」信号に応答してカバープレートを後退させることが可能であってもよい。リモートキーによって、カバープレート上または近傍に設けられたセンサ(例えば指紋センサ)によって、近接感知によるキーレスエントリーによって、内部ロック解除ボタンを押すことによって、および/または内部ドアハンドルを操作することによって「開」信号が提供されてもよい。組立体は、信号に対する応答を制御する信号処理装置を設けてもよく、この信号処理装置は、電子制御装置(ECU)、例えばドア制御ユニット(DCU)または中央制御モジュールによって処理されてもよい。
【0023】
カバープレートは、内方に折り畳むように配置されてもよい。
【0024】
カバープレートは、内方にスライドするように配置されてもよい。
【0025】
カバープレートは、上方にスライドするように配置されてもよい。
【0026】
カバープレートは内方に折り畳まれ、次いで内方および上方にスライドさせるために配置されてもよい。この移動は、ハンド・クリアランスおよび快適さを最大化し、カバープレートに指が接触する可能性を最小化する。
【0027】
カバープレートは、ガイドレールによって運ばれ、および/またはラックが設けられ、カバープレートを後退させるピニオンに取り付けられたモータが設けられ、および/またはカバープレートを後退させるために取り付けられたモータ付きのボーデンケーブルを設けてもよい。
【0028】
カバープレートは、閉位置にあるドアパネルと略面一となるように配置されてもよい。カバープレートは、実質的に閉じた位置において開口を塞いでもよい。例えば、カバープレートの周縁と開口部の周縁の間には、3ミリメートル未満の隙間、好ましくは1ミリメートルの隙間があってもよい。
【0029】
カバープレートの周縁と開口部の周縁の間には、少なくとも1ミリメートルの隙間、例えば1ミリメートル~3ミリメートルの隙間があってもよい。これにより、カバープレートが閉じられるとき、カバープレートの背後の光を周囲から見ることができる。したがって、前カバープレートを後退させる前に、歓迎されるシーケンスを提供することができる(例えば、電子遠隔操作を介して、またはユーザの接近を感知して車両のロック解除)。
【0030】
開口部は、少なくとも40ミリメートルの高さ、好ましくは少なくとも45ミリメートル、例えば50ミリメートルの高さを有してもよい。開口部は、少なくとも10ミリメートルの幅、例えば20ミリメートルの幅を有してもよい。これにより、車両の外部または引っ込めたカバープレートに接触することなくラッチ解除ハンドルを操作するために、開口部に指のための良好なクリアランスを可能にしている。これが、この種のハンドルにおいて達成が困難な、豪華な操作とハンドルの感触を増大させている。
【0031】
ポケットは、補助パネルなどによって開口部の後ろに形成されてもよい。補助パネルによって形成されたポケットを設けたので、ドアの内部への水の侵入が防止され、開口部がドアの外板に設けられている場合には、特に好ましい。
【0032】
ロックバレルを、ポケットに、例えば補助パネルに設けてもよい。これは、電子「開」信号が不具合のとき、手動オーバーライドを可能にしながら、外面のきれいな外観を向上している。
【0033】
ロックバレルは、同じ材料で、かつ周囲の補助パネルと同じ色で形成された取り外し可能なカバーを備えてもよい。これにより、美的特徴を損なうことなく、目立つことを避けることができ、また、ロックバレルにアクセスする泥棒の見通しを減らすことができる。
【0034】
1つまたは複数のランプが、ポケット、例えば、開口部の後ろの領域を照明するために設けてもよい。
【0035】
1つまたは複数のランプを、ドアパネルの内面に設けてもよく、ランプの上方に設けてもよい。ポケットの前方かつ上部にランプ(単数または複数)を設けたことにより、カバープレートが開くとき、「パドル」ランプからの最良の範囲を可能にする。
【0036】
1つまたは複数のランプが、カバープレートが閉位置にあるとき、カバープレートと開口部の隙間を照明するために配置されてもよい。1つまたは複数のランプが、顧客による照明の選択後、またはロック状態に応じて照明の色を変更するために配置されてもよい。例えば、緑色光は、ドアがロックされていることを示し、赤色光は、ドアのロックが解除されることを示してもよい。
【0037】
ラッチ解除ハンドルは、透明/半透明であってもよい。ラッチ解除ハンドルは、ランプとポケットの間に設けてもよい。
【0038】
ポケットは、装飾任意に被照射面を備えてもよい。例えば、それはバックライト付きおよび/またはロゴを設けてもよい。
【0039】
開口部は、ドアパネルの実質的に垂直な部分に設けてもよい。
【0040】
内方への後退は、開口部へのユーザの指の導入を可能にし、カバープレートの内方への後退において、ラッチ解除ハンドルが引っ張られてラッチを解除し、ドアを開いてもよい。
【0041】
本発明は、上述のようにドアハンドル組立体(必要に応じてオプション機能の何れかを含み)を備えたドアや、そのようなドアを備えた自動車を含む車両にまで言及している。
【0042】
本発明の第2の態様は、(必要に応じてオプション機能の何れかを含む)第1の態様に係るドアハンドルを操作する方法を提供し、この方法は、開口部を開いて、開口部へのユーザの指の導入を可能にし、信号に応答してカバープレートを内方に後退させ、ラッチ解除ハンドルとの接触に応答してラッチを解除する。
【0043】
この方法は、カバープレートを内方に後退させ、信号に応答して少なくとも1つのランプを点灯してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
以下、本発明をより明確に理解できるようにするため、添付図面の参照によって実施の形態を単に一例として説明する。
図1】カバープレートが部分的に後退した状態にある本発明に係るドア組立体を含む自動車のドアの部分側面図である。
図2】カバープレートが閉じた状態にある図1のドアの部分側面図である。
図3図2の線B-Bに沿って取った図1および図2のドア組立体の横断面図である。
図4a図1図3のドア組立体の断面図である。
図4b図1図3のドア組立体の断面図である。
図4c図1図3のドア組立体の断面図である。
図4d図1図3のドア組立体の断面図である。
図5図4a~図4dのドア組立体が搭載された車両の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面を参照すると、自動車19のドア2にドアハンドル組立体1が設けられている。このドアハンドル組立体1は、自動車19の外面を形成するドア2の外板(outer skin)または外部ドアパネル4の開口部3を含んでいる。
【0046】
従来、ドア2の外板4は実質的に垂直であり、その外面が自動車19の一側の一部を規定し、その内面が外板4と内板(図示せず)の間にキャビティ10の一側を規定している。本実施の形態では、開口部3は細長く、実質的に水平に外板4を横切って(垂直面上を)延びており、実質的に垂直、または実際には水平と垂直の間の角度で伸びている、と理解される。
【0047】
本実施の形態の開口部3は実質的に台形であり、2つの長い平行なエッジ5,6と、平行なエッジ5,6に対して垂直な後縁7と、その一番上端から下方かつ後方に延びる前縁8と、を有している。角部は全て湾曲している。もちろん、他の形状を使用してもよい。
【0048】
開口部3と同じ形状であるが、わずかに小さいカバープレート9が設けられ、例えば、開口部3は、長さが200ミリメートル、高さ50ミリメートルであり、カバープレート9は、長さが198ミリメートル、高さが48ミリメートルであってもよい。
【0049】
カバープレート9の外面は、閉じられた配置において、ドア2の外板4の外面と面一に配置され、それによって開口部3が閉じられ、車両の滑らかな空気力学的に効率的な外面を生成している。
【0050】
ドアパネル4とカバープレート9は、任意の適切な材料で作られ、要求に応じて仕上げられ、例えば金属(例えば鋼またはアルミニウム)または複合材料で形成され、塗装されてもよい。
【0051】
カバープレート9は、ドアキャビティ10内に後退可能に取り付けられ、より具体的には、開口部2の下縁部6からドアキャビティ10内に内方かつ上方に延びる補助パネル12によってドアキャビティ10内に形成されたポケット11内に後退可能に取り付けられている。図4a-4cに示すように、補助パネル12は、固定点13の一連のドアキャビティ10内に固定される。
【0052】
カバープレート9の裏面は、一対の支持体14(図1)の一端(前後に)に回転自在に取り付けられ、カバープレート9をポケット11内に後退可能である。支持体14の他端は、ラックアンドピニオンの方式、またはボーデンケーブルとプーリ21の方式でカバープレート9がポケット11内に後退するように移動自在に駆動機構20と接続され、これにより、信号に応答して開口部を開き、閉じられた配置にカバープレート9を戻している。
【0053】
閉位置に向かってカバープレート9を付勢する弾性バイアスとしてバネ(図示せず)を設けてもよい。
【0054】
閉位置に向かってカバープレート9が付勢されているが、電動駆動機構が故障のときには、ユーザによって手動でカバープレート9を後退させ、この状況が克服できるように、モータのバイアスおよび力が選択される。
【0055】
図4a~図4dおよび図3の仮想線によって示されるように、最初にカバープレート9を下方かつ内方に折り畳み(図4b)、次いでスライドさせ、カバープレート9を内方かつ上方に回転させ、例えば、元の場所の5センチメートル内方かつ5センチメートル上方の位置に配置されるように、駆動機構が配置される。これにより、例えば、ユーザは、開口部を経て、ポケット11が外板4の背後、かつ絞り3(図4d)の上方に位置するポケットの空間に、指を導入することができる。
【0056】
ラッチ解除ハンドル15は、ドアラッチ23を解除するためにドアパネル4の内面に取り付けられている。ラッチ解除ハンドル15は、任意の適切な材料から形成され、実際にはポケット11内に収容され、外に出ないため、外部のドアハンドルとしての使用には一般的に適さない材料、例えば、皮革または他のより繊細な材料から形成されてもよい。この実施の形態では、ラッチ解除ハンドル15は、一般的に湾曲した断面を有し、開口部3の長さにわたって延在するローレット金属棒(knurled metal rod)を備えている。その寸法は、深さ25ミリメートルで、高さ35ミリメートルである。一方、ラッチ解除ハンドル15は、ランプ組立体17の代わりに、またはランプ組立体17と併せて、透明/半透明プラスチック、またはそれを通して照明するためのガラスなどの代替材料から形成可能であり、ユーザの指に合う窪みとして、その表面に別のテクスチャを有してもよい。
【0057】
ラッチ解除ハンドル15は、ドアパネル4の内面に向かい、内面から離れる横方向移動のために取り付けられ、内面から離れるように付勢されており、ボーデンケーブル16の引っ張りを解除して、ドアラッチ23を解除するようにドアパネル4の内面に向かって引っ張ることができる。ラッチ解除ハンドル15は、静電容量センサとして、タッチスイッチ18と接続されている。あるいは、マイクロスイッチ等に当接してもよい。ドア2のラッチを外し、ドア2が引っ張られて開くための電子「開」信号をE-ラッチ23に提供するように、静電容量センサは、ドア制御ユニット(DCU)24と接続されている。
【0058】
DCU24は、さらに、モータ22を操作してカバープレート9を後退させる信号を提供する。この信号は、解除信号と対応し、例えば、従来のロック解除入力の結果として、リモートキー(図示せず)の操作に基づいて、カバープレート上または近傍、またはドアハンドル組立体の他の場所、または車両に設けられた指紋センサまたは他の生体センサ25によって、内部ロック解除ボタン(図示せず)を押して、および/または内方ドアハンドル(図示せず)を操作して提供されてもよい。ロック/アンロック信号は、DCU24によって、またはECU27から直接受信してもよい。
【0059】
手動のロッキングバレル26が、補助パネル12の開口部に設けられている。その結果、電子ロック解除信号が不具合のとき、ボーデンケーブル16を引っ張るドア解除ハンドル15の操作によるラッチ解除のため、カバープレート9を手動で後退させ、キーをロッキングバレル26内に挿入し、ドア2がロック解除される。ロッキングバレル26はカバーで覆われ、それが比較的に区別できないように補助パネル12と同じ材料かつ同じ色で形成されている。
【0060】
ランプ組立体17(図4a~4d)は、ドアパネル4の内面、開口部3の上方、かつラッチ解除ハンドル15とドアパネル4の間に設けられ、開口部3の背後からポケット11を照明するように配置されている。
【0061】
ランプ組立体17の光が装飾的である補助パネル12の外面を照明し、補助パネル12には、ランプ組立体17によって照明されるロゴが設けられている。例えば、ランプ組立体17は、異なる複数色の光を提供することが可能である(赤や緑の複数のLEDを用い、どのように達成できるか、当業者は直ちに理解できる)。DCU24は、(所定のLED(図示せず)を点灯することによって)提供される光の色や提供される時間を判定する。
【0062】
DCU24は、ロック信号およびアンロック信号に応答して異なる照明効果を提供するため、ランプ組立体17を制御するようにプログラムされている。一の実施の形態では、緑色光がアンロック信号に応答して提供され、赤色光がロック信号に応答して提供される。当業者であれば、フェージングや単一色の光の点滅のような他の効果が利用できることが理解できる。
【0063】
その結果、解除信号に応答してポケット3が緑色光で照明され、カバープレートが閉位置にある状態のとき、カバープレート9と開口部3の縁部の間の僅かな隙間から見ることができ、カバープレート9が後退することによって明らかとなる。車両がロックされたとき、同じ間隙を通して赤色光を見ることができる。
【0064】
通常の使用では、DCU24は、(例えばセンサ25またはECU27から)ロック解除信号を受信し、ポケット11が緑色光で照明されるようにランプ組立体17を制御する。また、モータ22を作動させてカバープレート9を後退させ、図4bおよび図4cに示されるように、カバープレート9が上方かつ内方に移動し、次いで内方へ折り畳まれるように、DCU24によって信号が提供される。ユーザは、図4dに示すように開口部3を介して指を導入し、ラッチ解除ハンドル15を引っ張る。ラッチ解除ハンドル15の接触がタッチスイッチ18によって検知され、タッチスイッチ18からドア2を解除する信号が直ちにDCU24に送信される。DCU24は、ユーザがラッチ解除ハンドル15を引っ張ったとき、ドア2を開けるよう、ドア2を直ちに解除する。
【0065】
ドア2が閉じられるとき、DCU24は、ラッチ23の閉鎖(closure)を感知し、モータ22の方向を反転し、カバープレート9を閉位置に移動させる信号を提供する。閉位置では、その外面が周囲のドアパネル4の外面と面一であり、自動車19が駆動されるとき、滑らかな空気力学的表面を提供する。
【0066】
ドア2が、従来の内部ドアハンドルの操作によってアンラッチされてもよい(図示せず)。これにより、DCU24から駆動機構20に「開」信号を送信してカバープレート9を後退させ、車外の誰かがドア2の開口部に指を挿入してドア2が開くのを補助できる。運転者/乗客が車両から出たとき、任意の従来のロッキング・アクションに応答して、例えばロッキング・リモート/キーからの信号、または近接/運動/時間検知に応答してDCU24から提供される。DCU24からのロック信号は、光組立体17に赤色光を表示させ、カバープレート9を閉位置に戻す。
【0067】
電力不足の場合には、例えば、電気がなくなった車両のバッテリー(図示しない)に応じて、ユーザは、(図4bおよび図4cに示されるように)内方かつ上方にカバープレート9を押し、次いでロッキングバレル26にキーを挿入してラッチ23を解除してもよい。ラッチ23が解除された状態で、ユーザは、ドアパネル4に向かってラッチ解除ハンドル15を引き、ボーデンケーブル16の引っ張りを解除し、ドア2を機械的に開けてもよい。
【0068】
上記実施の形態は単に一例として記載したものであり、本発明の範囲から逸脱しない範囲で多くの変形が可能である。
【0069】
例えば、ラッチ解除ハンドルが、異なる照明効果を提供するために、透明/半透明であってもよく、実際には、他の部分、例えばカバープレート3(またはその一部、例えば装飾領域、例えばロゴの領域)、または補助パネル12(またはその一部、例えば装飾領域、例えばロゴの領域)が透明/半透明であってもよい。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5