(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】CD40L特異的Tn3由来足場およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20220509BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20220509BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220509BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220509BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20220509BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20220509BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20220509BHJP
A61K 35/02 20150101ALI20220509BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220509BHJP
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A61P 3/06 20060101ALI20220509BHJP
A61P 5/38 20060101ALI20220509BHJP
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A61P 31/04 20060101ALI20220509BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220509BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220509BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220509BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220509BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220509BHJP
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A61P 11/00 20060101ALI20220509BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20220509BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220509BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20220509BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K14/00
C07K19/00
C12P21/02 C
C12N15/62 Z
A61K47/60
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A61K35/76
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A61P3/10
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A61P21/04
A61K47/64
C07K14/705
(21)【出願番号】P 2019106642
(22)【出願日】2019-06-07
(62)【分割の表示】P 2017090963の分割
【原出願日】2012-10-10
【審査請求日】2019-07-04
(32)【優先日】2011-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518320041
【氏名又は名称】ヴィエラ バイオ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コイル,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】バカ,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】システッド,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ドラビック,ステイシー
(72)【発明者】
【氏名】グリンバーグ,ルバ
(72)【発明者】
【氏名】ノバラ,シャバズ
(72)【発明者】
【氏名】オガネスヤン,バヘー
(72)【発明者】
【氏名】ハーブスト,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー,デビッド,ケネス
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6140712(JP,B2)
【文献】特許第6539300(JP,B2)
【文献】特表2011-501951(JP,A)
【文献】Therapeutic targets of the TNF superfamily,2009年,Vol.647,p.8-36
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C07K 14/00
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A61K 47/64
C07K 14/705
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場をコードする核酸分子を含む発現ベクターであって、前記モノマーサブユニットのそれぞれは、A、B、C、D、E、F、およびGと命名される7つのベータ鎖、ならびにAB、BC、CD、DE、EF、およびFGと命名される6つのループ領域を含み、
前記Aベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号11で示され
る配列を含み、前記Bベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号12で示され
る配列を含み、前記Cベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号14で示され
る配列を含み、前記Dベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号15で示され
る配列を含み、前記Eベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号16で示され
る配列を含み、前記Fベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号17で示され
る配列を含み、前記Gベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号18で示され
る配列を含み、
前記ABループ領域のアミノ酸配列は配列番号4で示され
る配列を含み、前記BCループ領域のアミノ酸配列は配列番号86で示され
る配列を含み、前記CDループ領域のアミノ酸配列は配列番号6で示され
る配列を含み、前記DEループ領域のアミノ酸配列は配列番号96で示され
る配列を含み、前記EFループ領域のアミノ酸配列は配列番号8で示され
る配列を含み、そして前記FGループ領域のアミノ酸配列は配列番号9または139で示され
る配列を含み、
前記Tn3足場はCD40Lに特異的に結合する、発現ベクター。
【請求項2】
前記FGループ領域のアミノ酸配列は配列番号9で示される、請求項1に記載の発現ベクター。
【請求項3】
前記FGループ領域のアミノ酸配列は配列番号139で示される、請求項1に記載の発現ベクター。
【請求項4】
前記Tn3足場をコードする核酸分子が、前記少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットのうち少なくとも1つに融合した異種部分をさらにコードし、前記異種部分が、ペプチドリンカー、薬物、毒素、細胞傷害剤、造影剤、放射性核種、放射性化合物、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIII足場、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマーおよびサイトカインからなる群から選択される、請求項1、2または3に記載の発現ベクター。
【請求項5】
前記異種部分が、ヒト血清アルブミン(HSA)である、請求項4に記載の発現ベクター。
【請求項6】
前記HSAが、バリアントHSAである、請求項5に記載の発現ベクター。
【請求項7】
前記HSAバリアントが、配列番号133のアミノ酸配列を有するか、または前記HSAバリアントが、407、415、463、500、506、508、509、511、512、515、516、521、523、524、526、535、550、557、573、574、および580からなる群から選択される位置における全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除いて、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配
列を含み、;前記少なくとも1つのアミノ酸置換が、573位におけるリジン(K)のグルタミン酸(E)への置換を含まず、前記Tn3足場が、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する、請求項6に記載の発現ベクター。
【請求項8】
前記少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、ペプチドリンカーによりタンデムに連結されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の発現ベクター。
【請求項9】
ペプチドリンカーが、配列番号131、配列番号132、配列番号142、または配列番号143のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の発現ベクター。
【請求項10】
前記核酸分子が、配列番号145のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする、請求項1に記載の発現ベクター。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、部分的には、2011年10月11日に出願された米国仮特許出願第61/546,028号明細書、2010年4月13日に出願された米国仮特許出願第61/323,708号明細書;2011年4月12日に出願された国際出願第PCT/US2011/032184号明細書;2011年4月12日に出願された国際出願第PCT/US2011/032188号明細書;および2008年10月10日に出願されたPCT出願第PCT/US2008/012398号明細書に関連し、国際公開第2009/058379A2号パンフレットとして公開された主題を含有する。上記参照出願のそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、2012年10月3日に作成され、232キロバイトのサイズを有する表題「CD40L-101WO1_SL.txt」のテストファイル(test filed)としてEFS-Webを介するアプリケーションを用いて提出された配列表を参照により組み込む。
【0003】
本発明は、一般に、抗体模倣体の分野、具体的には、例えば、新規結合特性を有する産物の生成に有用なヒトテネイシンCの第3フィブロネクチンIII型ドメインに由来する足場に関する。特に、本発明は、CD40L特異的Tn3足場、そのような足場を作製する方法、ならびに全身性エリテマトーデスならびに他の自己免疫および/または炎症障害の診断および治療に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明は、例えば、自己免疫および/または炎症障害の治療に有用なCD40Lに結合するCD40L特異的タンパク質足場に関する。
【0005】
所望の標的エピトープに特異的に結合し得る生体分子は、治療、研究、および医用診断ツールとして非常に重要である。このクラスの分子の周知の例は、抗体である。ほとんど全ての構造的エピトープに特異的に親和性を有して結合する抗体を選択することができる。しかしながら、古典的な抗体は、構造的に複雑なヘテロテトラマー分子であり、単純な真核系中で発現させるのは困難である。結果として、ほとんどの抗体は、複雑で高価な哺乳動物細胞発現系を使用して産生される。
【0006】
相対的に定義された三次元構造を有し、一般にタンパク質足場と称されるタンパク質は、遺伝子操作産物の設計のための試薬として使用することができる。このような足場が有用な1つの特定の領域は、抗体模倣体設計の分野である。抗体模倣体、すなわち、小分子非抗体タンパク質治療薬は、抗体および抗体断片の利点、例えば、標的の高親和性結合ならびに低免疫原性および毒性を利用する一方、不十分な点の一部、例えば、抗体断片が凝集し全長IgGよりも安定性が低い傾向を回避する。
【0007】
これらの欠点は、抗体ネイティブフォールドの一部の除去により作出される抗体断片を使用することにより対処することができる。しかしながら、これは、通常、疎水性環境、例えば、可変および定常ドメイン間の界面に埋もれているアミノ酸残基が溶媒に曝される場合、凝集を引き起こすことが多い。足場ベース抗体模倣体の一例は、門およびタンパク質クラスにわたり、例えば、哺乳動物血液および構造タンパク質において広く見出されるドメインであるフィブロネクチンIII型ドメイン(FnIII)の構造に基づく。ヒトテネイシンCの第3FnIIIドメインに由来するFnIII足場の設計および使用は、PCT出願PCT/US2011/032184号明細書およびPCT/US2011/032188号明細書に記載されており、その両方は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0008】
CD40Lは、主として活性化T細胞(例として、Th0、Th1、およびTh2サブタイプ上で発現される分子のTNFファミリーのメンバーであり、このファミリーの他のメンバーと類似のホモトリマーを形成する。さらに、CD40Lは、マスト細胞、および活性化好塩基球および好酸球上で発現されることも見出されている。CD40Lは、抗原提示細胞(APC)上のCD40受容体(CD40R)に結合し、標的細胞型に応じて多くの効果をもたらす。一般に、CD40Lは、共刺激分子の役割を担い、APC上のMHC分子によるT細胞受容体刺激に伴いAPCにおける活性化を誘導する。
【0009】
CD40LによるCD40受容体を介するシグナリングは、CD40受容体担持細胞の活性化および最適なCD4+T細胞のプライミングをもたらすイベントのカスケードを開始させる。より具体的には、CD40LとCD40受容体とのコグネート相互作用は、B細胞の抗体分泌細胞およびメモリーB細胞への分化を促進する(Burkly,In Adv.Exp.Med.Bio.,Vol.489.,D.M.Monroe,U.Hedner,M.R.Hoffman,C.Negrier,G.F.Savidge,and G.C.I.White,eds.Klower Academic/Plenum Publishers,2001,p.135)。さらに、CD40LとCD40受容体との相互作用は、マクロファージおよび樹状細胞の活性化ならびにナチュラルキラー細胞および細胞傷害性Tリンパ球の生成を介して細胞媒介免疫を促進する(Burkly、前掲参照)。
【0010】
CD40LとCD40受容体との相互作用は、いくつかの実験誘導自己免疫疾患、例えば、コラーゲン誘導関節炎、実験的アレルギー性脳脊髄炎、卵巣炎、大腸炎、薬物誘導性ループス腎炎において重要であることが示されている。具体的には、これらのモデルの全てにおける疾患誘導を抗原投与時においてCD40Lアンタゴニストにより遮断することができることが示されている。抗CD40Lアンタゴニストを使用する疾患の遮断は、自発性自己免疫疾患、例として、インスリン依存性糖尿病およびループス腎炎の動物モデル、ならびに移植片対宿主病、移植、肺線維症、およびアテローム性動脈硬化症疾患モデルにおいても確認されている。
【0011】
CD40L遮断を介するCD40L/CD40R経路の破壊は、多くの自己免疫介在性疾患(例えば、限定されるものではないが、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)および同種移植片拒絶反応において有益であることが示されている。例えば、抗CD40L抗体による治療は、コラーゲン誘導関節炎マウスモデルにおいて腎炎を予防または改善した(Mohan et al.J.Immuno.154:1470)。さらに、抗CD40L抗体は、腎炎が樹立されたSNF1マウスにおいて腎機能を保存した(Kalled et al.J.Immuno.160:2158)。CD40Lレベルは、非ヒトおよびヒトの両方において臨床疾患重症度(すなわち、炎症の低減)、および標的組織の損傷と密接に相関する。
【0012】
SLEは、進行性および場合により致死性の自己免疫疾患である。ループスの多様な症候は、発疹および関節炎から貧血および血小板減少症からさらには精神病に及ぶ。多くの免疫系のアームが腎臓、皮膚、脳疾患および血栓症をもたらす炎症プロセスに関与することを示す明確な証拠が存在する。SLEの1つの特徴的な特性はB細胞トレランスの損失であり、自己抗体がこの疾患を有する患者において顕著である。ループス腎疾患において、抗二本鎖DNA自己抗体は、抗体ヌクレオソーム複合体を形成し得、腎糸球体基底膜中に沈降する。これらの免疫複合体は、次いで補体を活性化し、糸球体腎炎をもたらし得る。
【0013】
CD40RおよびCD40Lの発現は、SLEを有する患者において上昇することが見出されている。共刺激シグナルの増加は、SLEにおいて見出される病理学的炎症応答に寄与する可能性が高い。SLE T細胞は、自己抗原に対する活性化の閾値の低減に伴う、自発的に増加した活性化を有する。さらに、これらの細胞は、さらなる抗原性刺激に低応答性であり、アポトーシスに耐性であり、活性化後の生存率の増加を有し、多くの変化した細胞内シグナリング経路を有する。T細胞CD40LによるAPC上でのCD40R活性化後、APCおよびT細胞の両方が活性化され、サイトカインを産生し、SLEにおいて病原性自己抗体の産生および組織損傷(ループス腎炎)に寄与する。CD40R/CD40L経路の遮断は、ループスモデルマウスにおける疾患の遮断において単独または組合せで有効である。SLEを有する患者において、ヒト化CD40L抗体は、抗dsDNAおよびB細胞、タンパク尿を低減させ、SLE疾患重症度を改善した。
【0014】
しかしながら、従来の抗体によるCD40Lの標的化は、顕著な安全性の懸念を生じさせている。例えば、慢性難治性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を罹患する患者における抗CD40L抗体5c8(BIOGEN(登録商標))を用いる試験は、血栓閉塞性合併症が報告されたため、保留された(Davidson et al.Arth Rheu,43:S271)。さらに、CD40Lに対して指向される代替抗体を用いる追加の試験は、他の血栓性関連合併症を生じさせた(Davis et al.Arth Rheu,43:S281;Schuler,Transplantation,77:717)。CD40Lの抗体指向アンタゴニズムにより合併症が生じるため、非抗体代替物によりCD40Lを標的化およびアンタゴナイズする要求は満たされてない。したがって、Tn3ベース足場によるCD40Lの標的化は、Fab2および/またはFc媒介血小板凝集ならびに下流の副作用を回避することによる魅力的な代替策である。
【0015】
本明細書における参照文献の引用および考察は、それらが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】PCT出願PCT/US2011/032184号明細書
【文献】PCT/US2011/032188号明細書
【非特許文献】
【0017】
【文献】Burkly,In Adv.Exp.Med.Bio.,Vol.489.,D.M.Monroe,U.Hedner,M.R.Hoffman,C.Negrier,G.F.Savidge,and G.C.I.White,eds.Klower Academic/Plenum Publishers,2001,p.135
【文献】Mohan et al.J.Immuno.154:1470
【文献】Kalled et al.J.Immuno.160:2158
【文献】Davidson et al.Arth Rheu,43:S271
【文献】Davis et al.Arth Rheu,43:S281;Schuler,Transplantation,77:717
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場であって、モノマーサブユニットは、A、B、C、D、E、F、およびGと命名される7つのベータ鎖、ならびにAB、BC、CD、DE、EF、およびFGと命名される6つのループ領域を含み、CD40Lに特異的に結合するTn3足場を提供する。一部の実施形態において、Tn3足場は、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、タンデムに連結されている2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。一部の具体的な実施形態において、Tn3足場は、直接連結されている2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0019】
一部の実施形態において、2つのCD40L特異的モノマーサブユニットは、リンカーにより連結されている。他の実施形態において、リンカーは、フレキシブルペプチドリンカーであり得るペプチドリンカーを含む。一部の実施形態において、ペプチドリンカーは、(GmX)n配列(式中、Xは、セリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)、Leu(L)、イソロイシン(I)、またはバリン(V)であり;mおよびnは、整数値であり;mは、1、2、3または4であり;nは、1、2、3、4、5、6、または7である)を含む。一部の実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号131、配列番号132、配列番号142または配列番号143を含む。
【0020】
一部の実施形態において、2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のCD40Lへの結合は、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれと比べて改善される。他の実施形態において、2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のCD40Lへの結合は、標的に対する作用を単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれと比べて改善する。他の実施形態において、Tn3足場のCD40Lへの結合の改善は、結合親和性の改善、結合アビディティーの改善、またはその両方である。ある実施形態において、2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のCD40Lへの結合親和性およびTn3足場タンパク質安定性は、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれらと比べて改善される。一部の実施形態において、2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のCD40Lについての結合アビディティーおよびTn3足場タンパク質安定性は、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれらと比べて改善される。
【0021】
一部の実施形態において、Tn3足場中の少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットは、リンカーに、または異種部分に結合している。他の実施形態において、Tn3足場中のリンカーまたは異種部分は、CD40L特異的モノマーサブユニットのN末端またはC末端にコンジュゲートしている。ある実施形態において、Tn3足場中のCD40L特異的モノマーサブユニットに結合しているリンカーは、一部の実施形態においてはフレキシブルペプチドリンカーであり得るペプチドリンカーを含む。このペプチドリンカーは、ある実施形態において、(GmX)n配列(式中、Xは、セリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、またはバリン(V)であり;mおよびnは、整数であり;mは、1、2、3または4であり;nは、1、2、3、4、5、6、または7である)を含み得る。一部の実施形態において、Tn3足場中のCD40L特異的モノマーサブユニットに結合しているペプチドリンカーは、配列番号131、配列番号132、配列番号142、または配列番号143を含む。
【0022】
一部の実施形態において、Tn3足場は、機能的部分を含むリンカーを含む。一部の実施形態において、この機能的部分は、免疫グロブリンまたはその断片である。ある実施形態において、この免疫グロブリンまたはその断片は、Fcドメインを含む。一部の実施形態において、このFcドメインは、少なくとも1つのFcγR媒介エフェクター機能を誘導し得ない。一部の実施形態において、この少なくとも1つのFcγR媒介エフェクター機能は、ADCCである。
【0023】
一部の実施形態において、Tn3足場は、異種部分に結合している少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。一部の実施形態において、この異種部分は、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、薬物、毒素、細胞傷害剤、造影剤、放射性核種、放射性化合物、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIII足場、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカイン、および前記部分の2つ以上の組合せからなる群から選択される組成物を含む。
【0024】
一部の実施形態において、Tn3足場は、PEGにコンジュゲートしている少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、アルブミンにコンジュゲートしている少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。ある実施形態において、このアルブミンは、ヒト血清アルブミン(HSA)である。他の実施形態において、このHSAは、バリアントHSAである。一部の具体的な実施形態において、バリアントHSAのアミノ酸配列は、配列番号133である。他の実施形態において、バリアントHSAは、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片と比較して少なくとも1つの改善された特性を有する。ある実施形態において、改善された特性は、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片の血漿半減期と比較して変化した血漿半減期である。一部の実施形態において、変化した血漿半減期は、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片の血漿半減期と比較して長い血漿半減期である。他の実施形態において、変化した血漿半減期は、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片の血漿半減期と比較して短い血漿半減期である。
【0025】
一部の実施形態において、Tn3足場は、HSAドメインIII中の少なくとも1つのアミノ酸置換を含むHSAバリアントに融合している。他の実施形態において、Tn3足場は、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列またはその断片を含むHSAバリアントに融合しており、但し、407、415、463、500、506、508、509、511、512、515、516、521、523、524、526、535、550、557、573、574、および580からなる群から選択される位置における全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き;少なくとも1つのアミノ酸置換は、573位におけるリジン(K)のグルタミン酸(E)への置換を含まず、Tn3足場は、このようなHSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。
【0026】
一部の実施形態において、Tn3足場は、HSAバリアントに融合しており、全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換は、463、508、523、および524からなる群から選択される位置におけるものであり、前記Tn3足場は、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。一部の実施形態において、HSAバリアントは、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列またはその断片を含み、但し、(a)407位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)またはチロシン(Y)への置換;(b)415位におけるバリン(V)のトレオニン(T)への置換;(c)463位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)への置換;(d)500位におけるリジン(K)のアルギニン(R)への置換;(e)506位におけるトレオニン(T)のチロシン(Y)への置換;(f)508位におけるトレオニン(T)のアルギニン(R)への置換;(g)509位におけるフェニルアラニン(F)のメチオニン(M)またはトリプトファン(W)への置換;(h)511位におけるアラニン(A)のフェニルアラニン(F)への置換;(i)512位におけるアスパラギン酸(D)のチロシン(Y)への置換;(j)515位におけるトレオニン(T)のグルタミン(Q)への置換;(k)516位におけるロイシン(L)のトレオニン(T)またはトリプトファン(W)への置換;(l)521位におけるアルギニン(R)のトリプトファン(W)への置換;(m)523位におけるイソロイシン(I)のアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)への置換;(n)524位におけるリジン(K)のロイシン(L)への置換;(o)526位におけるグルタミン(Q)のメチオニン(M)への置換;(p)535位におけるヒスチジン(H)のプロリン(P)への置換;(q)550位におけるアスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換;(r)557位におけるリジン(K)のグリシン(G)への置換;(s)573位におけるリジン(K)のフェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、プロリン(P)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)への置換;(t)574位におけるリジン(K)のアスパラギン(N)への置換;(u)580位におけるグルタミン(Q)のリジン(K)への置換;および(v)前記置換の2つ以上の組合せからなる群から選択される全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、前記Tn3足場は、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。
【0027】
一部の実施形態において、Tn3足場は、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列またはその断片を含むHSAバリアントに融合しており、但し、(a)463位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)への置換;(b)508位におけるトレオニン(T)のアルギニン(R)への置換;(c)523位におけるイソロイシン(I)のアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)への置換;(d)524位におけるリジン(K)のロイシン(L)への置換;および(e)前記置換の2つ以上の組合せからなる群から選択される全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、前記Tn3足場は、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。
【0028】
一部の実施形態において、Tn3足場は、少なくとも2つの同一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、少なくとも2つの異なるCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40受容体アゴニストである。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40受容体アンタゴニストである。
【0029】
一部の実施形態において、Tn3足場は、同一のCD40Lエピトープに特異的に結合する少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、異なるCD40Lエピトープに特異的に結合する少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。一部の実施形態において、これらの異なるCD40Lエピトープは、非重複エピトープである。他の実施形態において、これらの異なるCD40Lエピトープは、重複エピトープである。
【0030】
一部の実施形態において、Tn3足場は、少なくとも2つのCD40L分子に結合する。他の実施形態において、Tn3足場は、少なくとも2つのCD40L分子に結合するCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0031】
一部の実施形態において、Tn3足場の少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットのベータ鎖は、配列番号3のベータ鎖と少なくとも90%の配列同一性を有する。他の実施形態において、Tn3足場は、配列番号11を含むAベータ鎖を含み、または少なくとも1つの突然変異を除き配列番号11を含むAベータ鎖を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、配列番号12を含むBベータ鎖を含み、または少なくとも1つの突然変異を除き配列番号12を含むBベータ鎖を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号13もしくは14を含むCベータ鎖を含み、または少なくとも1つの突然変異を除き配列番号13もしくは14を含むCベータ鎖を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、配列番号13のシステインも配列番号14のシステインも置換されていない。他の実施形態において、Tn3足場は、配列番号15を含むDベータ鎖を含み、または少なくとも1つの突然変異を除き配列番号15を含むDベータ鎖を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0032】
一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号16を含むEベータ鎖を含み、または少なくとも1つの突然変異を除き配列番号16を含むEベータ鎖を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、配列番号17を含むFベータ鎖を含み、または少なくとも1つの突然変異を除き配列番号17を含むFベータ鎖を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、配列番号17のシステインは置換されていない。一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号18を含むGベータ鎖を含み、または少なくとも1つの突然変異を除き配列番号18を含むGベータ鎖を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0033】
一部の実施形態において、Tn3足場は、アミノ酸配列:
IEV(XAB)nALITW(XBC)nCELX1YGI(XCD)nTTIDL(XDE)nYSI(XEF)nYEVSLIC(XFG)nKETFTT
(式中、XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGは、それぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列中に存在するアミノ酸残基を表し;X1は、アミノ酸残基AまたはTを表し;ループの長さnは、2から26の整数である)
を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0034】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ABループの配列は、配列番号4または配列番号136を含み、CDループの配列は、配列番号6を含み、EFループの配列は、配列番号8または配列番号137を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、および168からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、DEループの配列は、配列番号94、95、96、97、98、および169からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、FGループの配列は、配列番号9、99、139、および170からなる群から選択される配列を含む。
【0035】
他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、および174からなる群から選択される配列を含む。ある実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、DEループの配列は、配列番号118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、および175からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、FGループの配列は、配列番号129、130、および177からなる群から選択される配列を含む。ある実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ABループの配列は、配列番号4および136からなる群から選択される配列を含む。
【0036】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号83を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号83を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号99を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号84を含み、DEループの配列は、配列番号95を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。
【0037】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号85を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号86を含み、DEループの配列は、配列番号96を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号87を含み、DEループの配列は、配列番号97を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。
【0038】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号88を含み、DEループの配列は、配列番号95を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号89を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号90を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。
【0039】
他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号91を含み、DEループの配列は、配列番号95を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号92を含み、DEループの配列は、配列番号98を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号93を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。
【0040】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号100を含み、DEループの配列は、配列番号118を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号101を含み、DEループの配列は、配列番号119を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号102を含み、DEループの配列は、配列番号120を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号103を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ABループの配列は、配列番号136を含む。
【0041】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号104を含み、DEループの配列は、配列番号122を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号105を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号106を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ABループの配列は、配列番号136を含む。
【0042】
ある実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号107を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号108を含み、DEループの配列は、配列番号118を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号109を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号110を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ABループの配列は、配列番号136を含む。
【0043】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号111を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号130を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号108を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号112を含み、DEループの配列は、配列番号124を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号113を含み、DEループの配列は、配列番号125を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ABループの配列は、配列番号136を含む。
【0044】
一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号114を含み、DEループの配列は、配列番号118を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号115を含み、DEループの配列は、配列番号126を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号116を含み、DEループの配列は、配列番号127を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、BCループの配列は、配列番号117を含み、DEループの配列は、配列番号128を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ABループの配列は、配列番号136を含む。
【0045】
一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、アミノ酸配列:
IEVKDVTDTTALITWX1DX2X3X4X5X6X7X8CELTYGIKDVPGDRTTIDLWX9HX10AX11YSIGNLKPDTEYEVSLICRX12GDMSSNPAKETFTT(配列番号167)
(式中、(a)X1は、アミノ酸残基セリン(S)またはロイシン(L)を表し;(b)X2は、アミノ酸残基アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;(c)X3は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;(d)X4は、アミノ酸残基アラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;(e)X5は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;(f)X6は、アミノ酸残基フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;(g)X7は、アミノ酸残基イソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;(h)X8は、アミノ酸残基グリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;(i)X9は、アミノ酸残基トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;(j)X10は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;(k)X11は、アミノ酸残基トリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;(l)X12は、アミノ酸残基アルギニン(R)またはセリン(S)を表す)
を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0046】
一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、および82からなる群から選択される配列を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0047】
一部の実施形態において、Tn3足場は、アミノ酸配列:
IEVX1DVTDTTALITWX2X3RSX4X5X6X7X8X9X10CELX11YGIKDVPGDRTTIDLX12X13X14X15YVHYSIGNLKPDTX16YEVSLICLTTDGTYX17NPAKETFTT(配列番号171)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基リジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基トレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基セリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基チロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基チロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基セリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14は、アミノ酸残基プロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはアラニン(A)またはアミノ酸無しを表し;
(o)X15は、アミノ酸残基イソロイシン(I)またはアミノ酸無しを表し;
(p)X16は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;
(q)X17は、アミノ酸残基セリン(S)またはアスパラギン(N)を表す)
を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0048】
一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号134、135、205、206、207および208からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態において、Tn3足場は、配列番号134、135、205、206、207および208からなる群から選択される配列からなる。
【0049】
一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号201、202、203、および204からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号201、202、203、および204からなる群から選択される配列からなる。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、前記CD40L特異性は、ヒトCD40Lに関する。一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットを含み、前記CD40L特異性は、膜結合CD40L(配列番号1)、可溶性CD40L(配列番号2)、またはその断片に向けられる。一部の具体的な実施形態において、Tn3足場は、CD40Lに結合し、CD40LのCD40への結合を妨害する。
【0050】
本発明はまた、CD40L発現細胞をTn3足場と接触させることを含みCD40L発現細胞の活性を変化させる方法であって、Tn3足場は、CD40Lに結合し、CD40LのCD40への結合を妨害する方法を提供する。一部の実施形態において、Tn3足場は、約1μM以下、または約500nM以下、または約100nM以下、または約50nM以下、または約25nM以下、または約10nM以下、または約5nM以下、または約2nM以下の親和性(Kd)でCD40Lに結合する。
【0051】
一部の実施形態において、Tn3足場は、配列番号2の142から155、200から230、または247から251位に局在するアミノ酸を含むCD40Lエピトープに特異的に結合するCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、一部の実施形態において、Tn3足場は、CD40Lアミノ酸E142、Y146、M148、N151、L155、R200、R203、およびE230と相互作用するCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、CD40Lアミノ酸R203、I204、V247、H249、およびT251と相互作用するCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、第1のCD40L分子中に局在するCD40Lアミノ酸E142、Y146、M148、N151、L155と、および第2のCD40L分子中に局在するCD40Lアミノ酸R200、R203、およびE230と相互作用するCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、Tn3足場は、第1のCD40L分子中に局在するCD40Lアミノ酸R203およびI204と、および第2のCD40L分子中に局在するCD40Lアミノ酸V247、H249、およびT251と相互作用するCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0052】
本発明はまた、1つ以上のCD40L特異的モノマーを含むポリペプチド、例として、限定されるものではないが、本明細書に記載の血清アルブミン融合体を提供する。
【0053】
本発明はまた、CD40L特異的Tn3足場をコードする単離核酸分子、CD40L特異的Tn3足場を含むコードする核酸分子を含む発現ベクター、およびこのようなベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明はまた、核酸分子によりコードされるCD40L特異的Tn3足場が発現される条件下で宿主細胞を培養することを含む、Tn3足場を産生する方法を提供する。
【0054】
本発明はまた、CD40L特異的Tn3足場および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、CD40L特異的Tn3足場を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む、自己免疫疾患の予防、治療、改善、または管理が必要とされる患者における自己免疫疾患を予防、治療、改善、または管理する方法を提供する。
【0055】
本発明はまた、CD40L特異的Tn3足場を含む治療有効量の医薬組成物を患者に投与することを含む、自己免疫を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および量を低減させる方法を提供する。
【0056】
CD40L特異的Tn3足場の投与により治療される自己免疫疾患は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、シェーグレン症候群、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生性緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーブス病を含む)、角膜および他の組織移植、ならびに慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再灌流損傷、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流損傷、脊髄損傷および同種移植片拒絶反応。自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄多発性神経障害、チャーグストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギランバレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、例えば、疱疹状皮膚炎血管炎、白斑およびウェゲナー肉芽腫症であり得る。
【0057】
一部の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場の投与により治療される自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)である。
【0058】
CD40L特異的Tn3足場により治療する方法は、追加の治療法、例えば、免疫療法、生物療法、化学療法、放射線療法、または小分子薬物療法をさらに含み得る。
【0059】
本発明はまた、可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号20からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P212121斜方晶空間群およびa=85.69Å、b=90.64Å、c=95.56Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶を提供する。一部の実施形態において、結晶の非対称単位は、CD40LのトリマーおよびTn3足場の3つの分子を含む。他の実施形態において、結晶は、構造座標の決定のためのX線を3.2Å以下の値の分解能に回折させる。
【0060】
本発明はまた、可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号68からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P213立方晶空間群およびa=b=c=97.62Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶を提供する。一部の実施形態において、結晶の非対称単位は、1つのCD40L分子および1つのTn3足場分子を含む。他の実施形態において、結晶は、構造座標を決定するためのX線を2.7Å以下の値の分解能に回折させる。
【0061】
本発明はまた、可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号28または146からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P321空間群およびa=95.53Å、b=93.53Å、c=66.69Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶を提供する。一部の実施形態において、結晶の非対称単位は、1つのCD40L分子および1つのTn3足場分子を含む。他の実施形態において、結晶は、構造座標を決定するためのX線を2.8Å以下の値の分解能に回折させる。
【0062】
本発明はまた、可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号68および配列番号28または146からなる2つの異なるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P21立方晶空間群およびa=80.32Å、b=143.48Å、c=111.27Å、β=98.22Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶を提供する。一部の実施形態において、結晶の非対称単位は、2つのCD40Lトリマーおよび6つのそれぞれのTn3足場分子を含む。他の実施形態において、結晶は、構造座標を決定するためのX線を1.9Å以下の値の分解能に回折させる。
【0063】
一部の実施形態において、タンパク質結晶は、シッティングドロップ蒸気拡散を使用することにより産生される。本発明はまた、(a)CD40Lとの複合体中のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場を含むある容量の液体を、沈殿剤を含むある容量のリザーバー溶液と混合すること;および(b)工程(a)において得られた混合物を密閉容器中で、タンパク質結晶が形成するまで結晶化に好適な条件下でインキュベートすることを含む、タンパク質結晶を作製する方法を提供する。一部の実施形態において、タンパク質結晶を産生する方法は、シッティングドロップ蒸気拡散を使用することを含む。
【0064】
一部の実施形態において、タンパク質結晶を作製する方法は、配列番号20、配列番号28、配列番号68または配列番号146のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットを含む結晶を産生するために使用される。
【0065】
本発明はまた、(a)データを、CD40Lと複合体化されたCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のタンパク質結晶の一部の構造についてのグラフ三次元表示に変換するための;および(b)前記グラフ三次元表示の表示をもたらすための、機械可読命令が符号化されたデータ保存材料を含む機械可読データ保存媒体を提供する。一部の実施形態において、このようなTn3足場は、配列番号20、配列番号28、配列番号68または配列番号146を含む。他の実施形態において、このようなタンパク質結晶は、
(a)可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号20からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P212121斜方晶空間群およびa=85.69Å、b=90.64Å、c=95.56Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶;
(b)可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号68からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P213立方晶空間群およびa=b=c=97.62Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶;または
(c)配列番号20からなるTn3足場および配列番号68からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、両方のTn3足場は、可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中に存在するタンパク質結晶
(d)可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号28または146からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P321空間群およびa=95.53Å、b=93.53Å、c=66.69Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶
(e)可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号68および配列番号28または146からなる2つ異なるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P21立方晶空間群およびa=80.32Å、b=143.48Å、c=111.27Å、β=98.22Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶
である。
【0066】
本発明を説明する目的のため、本発明のある実施形態を図面に示す。しかしながら、本発明は、図面中に示される実施形態の正確な配置および手段に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1A】D10G4.1/PBMC(末梢血単核細胞)アッセイを使用して計測されたネズミCD40L(MuCD40L)誘導CD86発現の阻害を示す。M13マウスCD40L特異的Tn3足場、そのM31親和性最適化バリアント(約20倍の親和性改善)、抗CD40L MR1モノクローナル抗体、および陰性対照をアッセイした。IC
50値も示す。
【
図1B】ネズミNfkBアッセイにおけるCD40L阻害を示す。アッセイは、ネズミCD40Rを発現し、NfkB-ルシフェラーゼレポーター構築物を含有するNIHT3T細胞を使用する。CD40Lの添加は、MR1抗CD40L抗体、およびM31CD40L特異的Tn3足場の両方により阻害される(ルシフェラーゼ活性により計測される)シグナリングをもたらす。
【
図2A】CD40L特異的タンデム二価Tn3足場および血清アルブミン(SA)融合構築物の設計を示す。
【
図2B】精製一価M13構築物(CD40L特異的Tn3構築物)、または2つのM13Tn3モノマーサブユニットを結合する1、3、5もしくは7つのGly
4Ser単位(GSと示す)を含有するリンカーを有するタンデム二価足場のSDS-PAGE分析を示す。一価M13構築物をレーン2に流し、1つのGS単位を有するダイマー構築物(C1)をレーン3および7に流し、3つのGS単位を有するダイマー構築物(C2)をレーン4および8に流し、5つのGS単位を有するダイマー構築物(C3)をレーン5および9に流し、7つのGS単位を有するダイマー構築物(C4)をレーン6および10に流した。試料を非還元条件(レーン2~6)または還元条件(レーン7~10)のいずれかで流した。
【
図2C】ネズミCD40L特異的一価(M13)または二価タンデム足場(1、3、5または7つのGly
4Ser単位を含有するリンカーを有する二価足場に対応するM13-xGS-M13(式中、xは、1、3、5または7である))による、バイオセンサーチップ上に固定化されたネズミCD40受容体へのネズミCD40L結合の競合阻害を示す。種々の構築物についての半最大阻害濃度(IC
50)も示す。
【
図2D】B細胞上のネズミCD40L誘導CD86発現に対するネズミCD40L特異的Tn3一価(M13)および二価タンデム足場の阻害効果を示す。全てのTn3構築物について、およびMR1抗ネズミCD40L抗体についてのIC
50値を提供する。
【
図3A】HEK293細胞中のマウス血清アルブミン(MSA)に融合しているネズミCD40L特異的タンデム二価Tn3足場の高い発現レベルを示す。これらの構築物は、Tn3足場単位間のリンカー中の1つの(G
4S)リピートおよびTn3足場とMSAとの間のリンカー中の3つの(G
4S)リピートを有する。さらに、構築物は、潜在的なN結合グリコシル化部位を除去するようにM13およびM31足場のそれぞれの中にN49Q突然変異を含有する。形質移入3または6日後に採取された10μlの培養上清を、既知量の精製タンパク質とともにSDS-PAGEゲル上に流した。発現レベルは、形質移入6日後に200mg/lと推定した。精製は、C末端Hisタグを介するIMACにより実施した。
【
図3B】D10G4.1/PBMC細胞アッセイを使用して計測されたネズミCD40L(MuCD40L)誘導CD86発現の阻害を示す。CD40L特異的タンデム二価Tn3足場(M13-1GS-M13)、マウス血清アルブミン(MSA)に融合している同一の構築物(M13-1GS-M13-MSA)、およびMR1抗ネズミCD40Lモノクローナル抗体をアッセイした。全ての構築物についてのIC
50値を提供する。
【
図3C】D10G4.1/PBMC細胞アッセイを使用して計測されたネズミCD40L(MuCD40L)誘導CD86発現の阻害を示す。マウス血清アルブミン(MSA)に融合しているCD40L特異的タンデム二価Tn3足場(M13-1GS-M13)(M13-1GS-M13-MSA)、MSAにコンジュゲートしているM13足場の親和性成熟バリアント(M31Mono-MSA)、MSAにコンジュゲートしているM31親和性最適化バリアントを含むタンデム二価足場(M31-1GS-M31-MSA)、ネズミCD40Lに結合しない陰性対照タンデム二価足場(D1-1GS-D1-MSA)、およびMR1モノクローナル抗体をアッセイした。IC
50値を提供する。
【
図4A】ELISAにより測定されたマウスにおけるいくつかのネズミCD40L特異的構築物の薬物動態を示す。それぞれの構築物についての血漿半減期(t
1/2)値を示す。
【
図4B】ELISAにより測定されたカニクイザルにおけるヒトCD40L特異的342-HSAおよび463位におけるLeuのAsnによる置換(L463N)および524位におけるLysのLeuによる置換(K524L)を含む342-HSAバリアントの薬物動態を示す。
【
図5A】ヒツジ赤血球(SRBC)免疫化アッセイからの胚中心(GC)におけるB細胞成熟を示す。MR1モノクローナル抗ネズミCD40L抗体をアッセイした。
【
図5B】ヒツジ赤血球(SRBC)免疫化アッセイからの胚中心(GC)におけるB細胞成熟を示す。MSAに融合しているM31由来一価および二価構築物をアッセイした。MSAにコンジュゲートしているD1-D1二価構築物を陰性対照として使用した。
【
図5C】ヒツジ赤血球(SRBC)免疫化アッセイからの末梢(非GC)におけるB細胞成熟を示す。MSAに融合しているM31由来一価および二価構築物をアッセイした。MSAにコンジュゲートしているD1-D1二価構築物を陰性対照として使用した。
【
図5D】ヒツジ赤血球(SRBC)免疫化アッセイからのCD4陽性細胞の割合(%CD4)および数(#CD4)を示す。MSAに融合しているM31由来一価および二価構築物、ならびにMR1抗CD40Lモノクローナル抗体をアッセイした。MSAにコンジュゲートしているD1-D1二価構築物を陰性対照として使用した。
【
図5E】ヒツジ赤血球(SRBC)免疫化アッセイからのCD44hi陽性細胞の割合(%CD44hi)および数(#CD44hi)を示す。MSAに融合しているM31由来一価および二価構築物、ならびにMR1抗CD40Lモノクローナル抗体をアッセイした。MSAにコンジュゲートしているD1-D1二価構築物を陰性対照として使用した。
【
図5F】ヒツジ赤血球(SRBC)免疫化アッセイからの抗SRBC IgGの量を示す。MSAに融合しているM31由来一価および二価構築物をアッセイした。MSAにコンジュゲートしているD1-D1二価構築物を陰性対照として使用した。
【
図5G】KLH特異的T細胞依存性抗体応答(TDAR)モデルからの抗KLH IgM力価を示す。HSAに融合している342由来一価および二価構築物をアッセイした。
【
図5H】KLH特異的T細胞依存性抗体応答(TDAR)モデルからの抗KLH IgG力価を示す。HSAに融合している342由来一価および二価構築物をアッセイした。
【
図6A】Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現に対するヒトCD40L特異的一価Tn3モノマー足場309および311の阻害効果を示す。
【
図6B】ヒトCD40L刺激B細胞増殖に対するヒトCD40L特異的一価Tn3モノマー足場309および311の阻害効果を示す。
【
図6C】T/B細胞共培養物中の形質細胞数に対するヒトCD40L特異的一価Tn3モノマー足場309および311の阻害効果を示す。Tn3足場309は、FACSにより活性化初代T細胞に結合することも示された(データ示さず)。D1足場(「Neg Tn3」)を対照として使用した。aCD40L(RE)およびaCD40L(Bio)(Biogen製5c8抗ヒトCD40Lモノクローナル抗体)と命名されるCD40Lに対する2つのモノクローナル抗体も対照として使用した。
【
図7A】ヒトCD40L特異的一価Tn3足場309および311が類似の生物物理学的特性を有することを示す。両方の足場は、SECにより計測されるとおり単分散される。
【
図7B】ヒトCD40L特異的一価Tn3足場309および311が類似の生物物理学的特性を有することを示す。両方の足場は、示差走査熱量測定(DSC)により計測されるとおり親Tn3足場(グラフ中でTn3(野生型)と命名)と類似の熱安定性を有する。
【
図8A】Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現の阻害を示す。一価(311)および二価(311_3GSおよび311_7GS)ヒトCD40L特異的Tn3足場をアッセイした。それぞれの構築物についてのIC
50値を示す。
【
図8B】Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現の阻害を示す。一価(309)および二価(309_3GSおよび309_7GS)ヒトCD40L特異的Tn3足場、ならびにBiogen製5c8抗ヒトCD40Lモノクローナル抗体をアッセイした。それぞれの構築物および抗体についてのIC
50値を示す。
【
図9A】代表的なヒト血清アルブミン(HSA)に融合しているヒトCD40L特異的タンデム二価Tn3足場の設計を示す。「GGGGG」(配列番号148)および「GGGGA」(配列番号149)は、「GGGGS」リンカー(配列番号147)の代替リンカーである。
【
図9B】IEXカラム上での293F細胞からの試験精製を示す。ショルダー分画(メジャーピークの<10%)は、リンカー中に存在するセリン残基に結合しているO-グリコシル化タンパク質を含有する。
【
図9C】Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現の阻害を示す。二価(309)ヒトCD40L特異的Tn3足場、HSAに融合している同一足場、およびBiogen製5c8抗ヒトCD40Lモノクローナル抗体をアッセイした。
【
図9D】Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現の阻害を示す。3つの二価(309)ヒトCD40L特異的Tn3足場を試験した。3つ(G
4S)リピートがヒトCD40L特異的サブユニット(本実施例における309)間のリンカー中に存在した一方、309サブユニットとHSAとの間のリンカーは1から3つの(G
4S)リピートで変動させた。Biogen製5c8抗ヒトCD40Lモノクローナル抗体もアッセイした。
【
図10A】CD40L結合に対する309(左パネル)および311(右パネル)のループ配列の突然変異の効果を示す。結合は、結合アッセイにおけるシグナル強度を示す。WTは、元のリード配列(親Tn3配列)を有するバリアントである一方、BC、DEおよびFGは、BC、DE、またはFGループ配列をヒトテネイシンC中に存在する親Tn3配列に変化させたバリアントを示す。
【
図10B】Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現により計測された親和性最適化足場のパネルの阻害プロファイルを示す。ヒトCD40L特異的Tn3クローン309モノマーを親和性最適化した。親和性最適化モノマーは、クローン340からクローン349として設計される。クローン309wtFG構築物は、親Tn3足場のFGループにより置き換えられているFGループ全体を有した。5c8抗CD40Lモノクローナル抗体もアッセイした。
【
図10C】Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現により計測された阻害プロファイルを示す。ヒトCD40L特異的Tn3 311モノマー、そのK4Eバリアント、および陰性対照のプロファイルを示す。
【
図10D】は、Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導CD86発現により計測された阻害プロファイルを示す。ヒトCD40L特異的Tn3 311K4Eモノマー、親和性最適化311K4E_12モノマー、および5c8抗CD40Lモノクローナル抗体のプロファイルを示す。2つの構築物および抗体についてのIC
50も提示する。
【
図11A】親CD40L特異的Tn3足場309、309FGwtバリアント、および親和性最適化バリアント340から349の多重配列アラインメントを示す。アミノ酸残基1から42を
図11Aに示し、アミノ酸残基43から83を
図11Bに示す。バリアントループを陰影により示す。コンセンサスアミノ酸配列を、多重配列アラインメント下方に提示する。アラインされた配列は、Tn3足場クローン309(配列番号20)、309FGwt(配列番号22)、340(配列番号24)、341(配列番号26)、342(配列番号28)、343(配列番号30)、344(配列番号32)、345(配列番号34)、346(配列番号36)、347(配列番号38)、348(配列番号40)、および349(配列番号42)のアミノ酸配列に対応する。
【
図11B】親CD40L特異的Tn3足場309、309FGwtバリアント、および親和性最適化バリアント340から349の多重配列アラインメントを示す。アミノ酸残基1から42を
図11Aに示し、アミノ酸残基43から83を
図11Bに示す。バリアントループを陰影により示す。コンセンサスアミノ酸配列を、多重配列アラインメント下方に提示する。アラインされた配列は、Tn3足場クローン309(配列番号20)、309FGwt(配列番号22)、340(配列番号24)、341(配列番号26)、342(配列番号28)、343(配列番号30)、344(配列番号32)、345(配列番号34)、346(配列番号36)、347(配列番号38)、348(配列番号40)、および349(配列番号42)のアミノ酸配列に対応する。
【
図12A】親CD40L特異的Tn3足場311、311K4Eバリアント、および親和性最適化バリアント311K4E_1から311K4E_21の多重配列アラインメントを示す。アミノ酸残基1から44を
図12Aに示し、アミノ酸残基45から87を
図12Bに示す。バリアントループを陰影により示す。陰影が付されたループ外側のアミノ酸変動を枠で囲む。コンセンサス配列を、多重配列アラインメント下方に提示する。アラインされた配列は、Tn3足場クローン311(配列番号44)、311K4E(配列番号46)、311K4E_1(配列番号48)、311K4E_2(配列番号50)、311K4E_2(配列番号52)、311K4E_3(配列番号54)、311K4E_4(配列番号56)、311K4E_5(配列番号58)、311K4E_7(配列番号60)、311K4E_8(配列番号62)、311K4E_9(配列番号64)、311K4E_10(配列番号66)、311K4E_11(配列番号68)、311K4E_12(配列番号70)、311K4E_13(配列番号72)、311K4E_14(配列番号74)、311K4E_15(配列番号76)、311K4E_16(配列番号78)、311K4E_19(配列番号80)、311K4E_20(配列番号82)、および311K4E_21(配列番号84)のアミノ酸配列に対応する。
【
図12B】親CD40L特異的Tn3足場311、311K4Eバリアント、および親和性最適化バリアント311K4E_1から311K4E_21の多重配列アラインメントを示す。アミノ酸残基1から44を
図12Aに示し、アミノ酸残基45から87を
図12Bに示す。バリアントループを陰影により示す。陰影が付されたループ外側のアミノ酸変動を枠で囲む。コンセンサス配列を、多重配列アラインメント下方に提示する。アラインされた配列は、Tn3足場クローン311(配列番号44)、311K4E(配列番号46)、311K4E_1(配列番号48)、311K4E_2(配列番号50)、311K4E_2(配列番号52)、311K4E_3(配列番号54)、311K4E_4(配列番号56)、311K4E_5(配列番号58)、311K4E_7(配列番号60)、311K4E_8(配列番号62)、311K4E_9(配列番号64)、311K4E_10(配列番号66)、311K4E_11(配列番号68)、311K4E_12(配列番号70)、311K4E_13(配列番号72)、311K4E_14(配列番号74)、311K4E_15(配列番号76)、311K4E_16(配列番号78)、311K4E_19(配列番号80)、311K4E_20(配列番号82)、および311K4E_21(配列番号84)のアミノ酸配列に対応する。
【
図13】ヒトCD40受容体を発現し、NfkB-ルシフェラーゼレポーター構築物を含有するHEK293細胞を使用するヒトNfkB阻害アッセイを示す。ヒトCD40Lの添加は、CD40L結合分子により阻害することができる(ルシフェラーゼ活性により計測される)シグナリングをもたらす。CD40L特異的Tn3足場340および342、ならびに5c8抗CD40Lモノクローナル抗体をアッセイした。
【
図14】24時間抗CD3/28活性化ヒトCD4+T細胞へのヒトCD40特異的Tn3足場の結合を示す。HSAに融合している一価342足場(342-HSAと命名)およびHSAに融合している二価342足場(342-342-HSAと命名)をアッセイした。
【
図15】3日目における初代ヒトT/B細胞増殖の阻害を示す。HSAに融合している一価340足場(340-HSA)、HSAに融合している一価342足場(342-HSA)、およびHSAに融合している二価342足場(342-342-HSA)をアッセイした。それぞれの構築物についてのIC
50値を示す。
【
図16A】洗浄血小板に対する凝集アッセイを示す。グラフは、ドナーについての代表的なADP誘導凝集陽性対照(それぞれ、上の3つのトレース)ADP:0.5μM、1μM、および2μM)を、5c8モノクローナル抗体(600nM)および可溶性ヒトCD40L(200nM)の免疫複合体(IC)とともに示す。
【
図16B】洗浄血小板に対する凝集アッセイを示す。グラフは、事前形成された309-309二価足場(HSAに融合していない)および可溶性CD40Lの免疫複合体を使用した場合の凝集の欠損を示す。ヒトCD40L(可溶性形態)の濃度を600nMに一定に保持し、足場構築物の濃度を200nMから800nMに変動させた。
【
図16C】洗浄血小板に対する凝集アッセイを示す。グラフは、事前形成されたHSAに融合している342一価足場および可溶性ヒトCD40Lの免疫複合体を使用した場合の凝集の欠損を示す。ヒトCD40L(可溶性形態)の濃度を600nMに一定に保持し、足場構築物の濃度を100nMから400nMに変動させた。グラフは、Biogen5c8モノクローナル抗体および可溶性ヒトCD40Lの免疫複合体により誘導された急速な凝集も示す。
【
図17A】CD40L特異的Tn3 309モノマー足場との複合体中の可溶性CD40Lの結晶構造のリボン表示を示す。CD40Lは、トリマー(ポリペプチドA、BおよびC)を形成する。それぞれの309足場(ポリペプチドD、EおよびF、丸印)は、2つのCD40Lポリペプチドと接触する。それぞれの309足場と第1および第2のCD40Lポリペプチドとの間の特異的接触を列記する。これは、構造の「トップダウン」図である。
【
図17B】CD40L特異的Tn3 311K4E_12モノマー足場との複合体中の可溶性CD40Lの結晶構造のリボン表示を示す。CD40Lは、トリマー(ポリペプチドA、BおよびC)を形成する。それぞれの311K4E_12モノマー足場(ポリペプチドD、EおよびF、丸印)は、2つのCD40Lポリペプチドと接触する。それぞれの311K4E_12モノマー足場と第1および第2のCD40Lポリペプチドとの間の特異的接触を列記する。これは、構造の「トップダウン」図である。
【
図17C】311K4E_12および309足場(丸印)が、CD40Lトリマー複合体の異なる部分中に局在する異なるエピトープに結合することを説明するリボン表示を示す。両方の足場は、CD40受容体と相互作用する同一の溝中で結合する。これは、構造の「側面」図である。
【
図17D】CD40L特異的Tn3 342モノマー足場との複合体中の可溶性CD40Lの結晶構造のリボン表示を示す。1つのみのCD40Lおよび1つの342モノマー足場を示す。342モノマー足場と第1のCD40Lポリペプチドとの間の特異的接触を列記する。
【
図17E】342および311K4E_12足場が、CD40Lトリマー複合体の異なる部分中に局在する異なるエピトープに同時に結合し得ることを説明するリボン表示を示す。両方の足場は、CD40受容体と相互作用する同一の溝中で結合する。これは、構造の「側面」図である。
【
図18A】
図17Aに示されるCD40L特異的Tn3 311K4E_12モノマー足場(配列番号68)および可溶性CD40L(配列番号2)分子により形成されるトリマー中のアミノ酸間の接触の局在を示す。それぞれの足場は、2つのCD40L分子と接触する。CD40L配列(配列番号2)を示す。点線下線=細胞質ドメイン;実線下線=シグナルアンカーII型膜タンパク質;二重下線=Tn3足場と共結晶化した部分;暗色陰影=Tn3に接触する第1のCD40L上の残基;淡色陰影=Tn3に接触する第2のCD40L上の残基。
【
図18B】
図17Bに示されるCD40L特異的Tn3 309モノマー足場およびCD40Lトリマー中のアミノ酸間の接触の局在を示す。それぞれの足場は、2つのCD40L分子と接触する。CD40L配列(配列番号2)を示す。点線下線=細胞質ドメイン;実線下線=シグナルアンカーII型膜タンパク質;二重下線=Tn3足場と共結晶化した部分;暗色陰影=Tn3に接触する第1のCD40L上の残基;淡色陰影=Tn3に接触する第2のCD40L上の残基;二重に囲まれた残基は、野生型FGループを有するクローン中で保存されていない可能性が高い309足場のFGループと接触する。
【
図19】パネルAは、サイズ排除Superdex200 10/300GLカラムからのTn3足場(309または311K4E_12)、CD40Lおよびそれら間の複合体の溶出の例示的クロマトグラムを示す。パネルBは、309-CD40L複合体の結晶を示す。示される結晶は、最大0.15×0.15×0.1mmの寸法に成長した。パネルCは311K4E_12-CD40Lの複合体の結晶を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
定義
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、具体的な組成物またはプロセス工程が変動し得るため、それらに限定されないことを理解すべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が特に明記しない限り、複数参照対象を含むことに留意しなければならない。「a」(また「an」)という用語、ならびに「1つ以上の」、および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において同義に使用することができる。
【0069】
さらに、本明細書において使用される「および/または」は、他方を含め、または含めない、2つの規定の特性または構成要素のそれぞれの具体的開示と解釈すべきである。したがって、本明細書の語句、例えば、「Aおよび/またはB」において使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、語句、例えば、「A、B、および/またはC」において使用される「および/または」という用語は、以下の実施形態のそれぞれを包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0070】
特に定義の無い限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が関連する分野の当業者により一般に理解されているものと同一の意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology、3rd ed.,1999,Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本発明において使用されている多くの用語の一般的辞書を当業者に提供する。
【0071】
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)により認められた形態で示される。数値の範囲は、範囲を定義する数値を含む。特に記載の無い限り、アミノ酸配列は、左から右へアミノからカルボキシの方向へ記述される。本明細書において提供される表題は、本発明の種々の態様または実施形態を限定するものではなく、それらは明細書への全体としての参照により把握することができる。したがって、直後に定義される用語は、明細書への全体としての参照により、より完全に定義される。
【0072】
実施形態が、本明細書において「~を含む」という用語を用いて記載される場合は常に、「~からなる」および/または「本質的に~からなる」の用語で記載される他の点で類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0073】
アミノ酸は、本明細書において、IUPAC-IUB生化学命名法委員会(IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commission)により推奨されているそれらの一般に公知の3文字記号または1文字記号のいずれかにより参照される。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に認められている1文字コードにより参照される。
【0074】
本明細書において使用される「エピトープ」という用語は、本発明の足場に結合し得るタンパク質決定因子を指す。エピトープは、通常、化学的に活性な表面分子集団、例えば、アミノ酸または糖側鎖からなり、通常、特異的三次元構造特性、および特異的電荷特性を有する。立体構造および非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下で立体構造エピトープへの結合が失われ、非立体構造エピトープへの結合は失われない点で区別される。
【0075】
「フィブロネクチンIII型(FnIII)ドメイン」、「FnIIIドメイン」および「FnIII足場」という用語は、ヒトフィブロネクチンIII型ドメインに相同なポリペプチドを指し、これは少なくとも7つのベータ鎖を有し、それらのベータ鎖は2つのベータシート間に分布し、それら自体で互いに集合してタンパク質のコアを形成し、さらにベータ鎖を相互に連結する溶媒露出ループを含有する。ベータシートサンドイッチのそれぞれの端部に少なくとも3つのこのようなループが存在し、この端部は、ベータ鎖の方向に垂直なタンパク質の境界である。ある特定の実施形態において、FnIIIドメインは、AB、BC、CD、DE、EF、およびFGと命名される6つのループ領域に結合しているA、B、C、D、E、F、およびGと命名される7つのベータ鎖を含み、ループ領域は、それぞれのベータ鎖を連結する。
【0076】
本明細書において使用される「Tn3足場」という用語は、少なくとも1つのFnIII足場を含み、Aベータ鎖は、配列番号11を含み、Bベータ鎖は、配列番号12を含み、Cベータ鎖は、配列番号13または14を含み、Dベータ鎖は、配列番号15を含み、Eベータ鎖は、配列番号16を含み、Fベータ鎖は、配列番号17を含み、ベータ鎖Gは、配列番号18を含み、少なくとも1つのループは、「親Tn3足場」中のループの非天然バリアントである分子を指す。ある実施形態において、Tn3分子のベータ鎖の1つ以上は、Cベータ鎖(例えば、配列番号13のシステインも14のシステインも)およびFベータ鎖(配列番号17)のシステイン残基が置換されていないことを除き少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0077】
本明細書において使用される「親Tn3」という用語は、配列番号3を含むFnIII足場、すなわち、ヒトテネイシンCの第3FnIIIドメインに由来する熱安定化システイン遺伝子操作FnIII足場を指す。
【0078】
「マルチマー」または「マルチマー足場」という用語は、会合する少なくとも2つのFnIII足場を含む分子を指す。マルチマー足場を形成する足場は、それぞれの足場が独立して機能することを可能とするリンカーを介して結合していてよい。
【0079】
「モノマー」、「モノマーサブユニット」または「モノマー足場」という用語は、1つのみのFnIII足場を含む分子を指す。
【0080】
本明細書において使用される「CD40L特異的モノマーサブユニット」という用語は、CD40Lまたはその断片、例えば、CD40Lの可溶性形態に特異的に結合する、「親Tn3」に由来するTn3モノマーを指す。
【0081】
「DNA」という用語は、2つ以上の共有結合している天然または改変デオキシリボヌクレオチドの配列を指す。
【0082】
「融合タンパク質」という用語は、(ii)第2の異なるタンパク質(すなわち、「異種」タンパク質)に結合している(i)本発明の1つ以上の足場を含むタンパク質を指す。
【表1】
【0083】
本発明において「異種部分」という用語は、本発明の足場への組成物の添加を示すために使用され、その組成物は、FnIIIドメインの通常の部分ではない。例示的な異種部分には、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、薬物、毒素、造影剤、放射性化合物、有機および無機のポリマー、ならびにFnIIIドメイン自体に固有ではない活性を提供し得る任意の他の組成物、例として、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、細胞傷害剤、放射性核種、造影剤、ビオチン、ダイマー化ドメイン(例えば、ロイシンジッパードメイン)、ヒト血清アルブミン(HSA)もしくはそのFcRn結合部分、抗体のドメインもしくは断片(例えば、抗体可変ドメイン、CH1ドメイン、Cカッパドメイン、Cラムダドメイン、CH2、またはCH3ドメイン)、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、IgG分子、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIII足場、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカインなどが含まれる。
【0084】
本明細書において使用される「リンカー」という用語は、2つ以上の足場を結合またはこれらを連結する任意の分子集合体を指す。リンカーは、機能が足場中のモジュール間の「スペーサー」として作用することである分子であり得、または追加の機能を有する分子(すなわち、「機能的部分」)でもあり得る。「異種部分」の定義に含まれる分子もリンカーとして機能し得る。
【0085】
「結合している」および「融合している」という用語は、同義に使用される。これらの用語は、あらゆる手段、例として、化学的コンジュゲーションまたは組換え手段により2つ以上の足場、異種部分、またはリンカーを一緒に結合することを指す。
【0086】
「ドメイン」または「タンパク質ドメイン」という用語は、多くの場合、タンパク質の残部と独立して安定な三次元構造にフォールドし得、特定の機能を付与することができるタンパク質の領域を指す。この構造は、元のタンパク質内のドメインの機能に関連する規定の機能、例えば、酵素活性、別の分子についての認識モチーフの作出またはタンパク質が、タンパク質の特定の環境中で存在するために必要な構造構成要素を提供することを維持する。タンパク質ファミリーおよび関連タンパク質スーパーファミリーの両方の中で、タンパク質ドメインは、進化的に保存された領域であり得る。マルチマー足場の構成要素を記載する場合、「ドメイン」、「モノマー足場」、「モノマーサブユニット」および「モジュール」という用語は同義に使用することができる。「ネイティブFnIIIドメイン」は、生物によりコードされる任意の非組換えFnIIIドメインを意味する。
【0087】
「タンパク質配列」または「アミノ酸配列」は、アミノ末端からカルボキシル末端方向のポリペプチド中のアミノ酸成分の直鎖状表示を意味し、その表示中で相互に隣接する残基は、ポリペプチドの一次構造中で連続する。
【0088】
「核酸」という用語は、任意の2つ以上の共有結合しているヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体または誘導体を指す。本明細書において使用されるこの用語には、限定されるものではないが、DNA、RNA、およびPNAが含まれる。「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書において同義に使用される。
【0089】
「ポリヌクレオチド」という用語は、単一の核酸および複数の核酸を包含することが意図され、単離核酸分子または構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。「単離」核酸またはポリヌクレオチドという用語は、自然環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを指す。例えば、ベクター中に含有される例えば本発明の足場をコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されているとみなされる。単離ポリヌクレオチドのさらなる例には、異種宿主細胞中に維持された組換えポリヌクレオチドまたは溶液中の(部分的にまたは実質的に)精製されたポリヌクレオチドが含まれる。単離RNA分子には、本発明のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロRNA転写物が含まれる。本発明による単離ポリヌクレオチドまたは核酸には、合成により産生されたそのような分子がさらに含まれる。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、調節エレメント、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、または転写ターミネーターであり得、またはそれらを含み得る。
【0090】
「薬学的に許容可能な」という用語は、顕著な医学的悪影響を示さず動物(例えば、哺乳動物)に投与することができる化合物またはタンパク質を指す。
【0091】
「生理学的に許容可能な担体」という用語は、治療されている宿主に顕著な有害な影響を与えず、ともに投与される化合物の治療特性を保持する担体を指す。1つの例示的な生理学的に許容可能な担体は、生理食塩水である。他の生理学的に許容可能な担体およびその配合物は当業者には公知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,(18thedition),ed.A.Gennaro,1990,Mack Publishing Company,Easton,Pa.に記載されている。
【0092】
「ポリペプチド」は、長さ、翻訳後修飾、または機能にかかわらず、アミド結合(ペプチド結合)により直鎖状に結合している2つ以上のアミノ酸の任意の配列を意味する。「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書において同義に使用される。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、またはオリゴペプチドは、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかに代え、またはそれらと同義的に使用することができる。「ポリペプチド」という用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例として、限定されるものではないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク分解性開裂、または非天然アミノ酸による修飾の産物を指すことも意図される。ポリペプチドは、天然生物源に由来し得、または組換え技術により産生することができるが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳される必要はない。ポリペプチドは、任意の様式で、例として化学合成により生成することができる。
【0093】
本発明のポリペプチドとして、上記のポリペプチドの断片、誘導体、類似体、またはバリアント、およびそれらの任意の組合せも含まれる。バリアントは、天然でも非天然でもよい。非天然バリアントは、当分野において公知の変異誘発技術を使用して産生することができる。バリアントポリペプチドは、保存的もしくは非保存的アミノ酸置換、欠失、または付加を含み得る。「誘導体」として、20種の標準アミノ酸の1つ以上の天然アミノ酸誘導体を含有するペプチドも含まれる。
【0094】
「ランダム化された」または「突然変異した」は、テンプレート配列に対して1つ以上のアミノ酸変化、例として、欠失、置換または付加を含むことを意味する。「ランダム化する」または「突然変異させる」は、このようなアミノ酸変化を配列中に導入するプロセスを意味する。ランダム化または突然変異は、一般に、核酸コード配列の意図的、ブラインド、または自発的配列変化を介して達成することができ、任意の技術、例えば、PCR、エラープローンPCR、または化学的DNA合成により行うことができる。「ランダム化する」、「ランダム化された」、「突然変異させる」、「突然変異した」などの用語は、本明細書において同義に使用される。
【0095】
「コグネート」または「コグネート非突然変異タンパク質」は、バリアントタンパク質がランダム化または突然変異導入される場合のバリアントタンパク質中に導入されたアミノ酸突然変異を除き、バリアントタンパク質に対する配列が同一であるタンパク質を意味する。
【0096】
「RNA」は、2つ以上の共有結合している天然または改変リボヌクレオチドの配列を意味する。この用語に含まれる改変RNAの一例は、ホスホロチオエートRNAである。
【0097】
本明細書において使用される1つまたは複数の「本発明の足場」という用語は、マルチマーTn3足場およびモノマーTn3足場を指す。「標的」という用語は、本発明の特異的足場により認識される化合物を指す。「標的」および「抗原」という用語は、本明細書において同義に使用される。例えば、本明細書において使用される「特異的に結合する」または「特異的結合」という用語中の「特異的」という用語は、本発明のTn3足場が1つ以上の抗原結合ドメインを介して1つ以上の抗原に結合する相対的親和性を指し、その結合は1つ以上の抗原結合ドメインと1つ以上の抗原の間のいくらかの相補性を必要とする。この定義によれば、本発明のTn3足場は、ランダムな非関連エピトープに結合するよりも容易にエピトープに結合する場合、そのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。
【0098】
「親和性成熟」足場は、変化を有さない親Tn3足場と比較してエピトープについてのTn3足場の親和性の改善をもたらす一般にループ中の1つ以上の変化を有する足場である。
【0099】
本明細書において使用される「親和性」という用語は、本発明のあるTn3足場の個々のエピトープへの結合の強度の尺度を指す。
【0100】
本明細書において使用される「アビディティー」という用語は、本発明のTn3足場集団とあるエピトープとの間の複合体の全体的安定性、すなわち、機能的に組み合わされた複数のTn3足場の抗原との結合強度を指す。アビディティーは、個々の抗原結合ドメインの特異的エピトープとの親和性、およびさらには本発明の足場の価数の両方に関連する。
【0101】
「標的に対する作用」という用語は、本発明のTn3足場の1つ以上の標的への結合、およびこのような結合から得られる生物学的効果を指す。この点に関して、Tn3足場中の複数の抗原結合単位は、種々の標的および/またはエピトープと相互作用し得、例えば、2つの標的を物理的により接近させ、区別される標的との相互作用を介して代謝カスケードを誘発させるなどし得る。CD40Lに関して、「標的に対する作用」は、例えば、CD40Lの1つ以上の生物学的活性の向上、刺激または活性化により達成される効果を指す。
【0102】
本明細書において使用される「価数」という用語は、潜在的な抗原結合モジュールの数、例えば、多くの本発明の足場中のFnIIIモジュールの数を指す。本発明のTn3足場が2つ以上の抗原結合モジュールを含む場合、それぞれの結合モジュールは、例えば、同一の標的または異なる標的中の同一エピトープまたは異なるエピトープに特異的に結合し得る。
【0103】
本明細書において使用される「ジスルフィド結合」という用語は、2つの硫黄原子間で形成された共有結合を含む。アミノ酸システインは、第2のチオール基とジスルフィド結合または架橋を形成し得るチオール基を含む。
【0104】
「免疫グロブリン」および「抗体」という用語は、生化学的に区別することができる種々の広範なクラスのポリペプチドを含む。当業者は、重鎖がガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンに分類されることを認識する。抗体の「クラス」をそれぞれIgG、IgM、IgA、IgG、またはIgEとして決定するのは、この鎖の性質である。これらのクラスのそれぞれの改変形は、当業者には容易に識別可能である。本明細書において使用される「抗体」という用語には、限定されるものではないが、インタクト抗体、改変抗体、抗体VLまたはVLドメイン、CH1ドメイン、Cカッパドメイン、Cラムダドメイン、Fcドメイン(以下参照)、CH2、またはCH3ドメインが含まれる。
【0105】
本明細書において使用される「Fcドメイン」ドメインという用語は、抗体定常領域の一部を指す。慣習的に、Fcドメインという用語は、抗体の対合されたCH2、CH3およびヒンジ領域を包含するプロテアーゼ(例えば、パパイン)開裂産物を指す。本開示に関して、FcドメインまたはFcという用語は、産生の手段にかかわらず、免疫グロブリンポリペプチドのCH2、CH3およびヒンジ領域の全部または一部を含む任意のポリペプチド(またはこのようなポリペプチドをコードする核酸)を指す。
【0106】
本明細書において使用される「改変抗体」という用語には、非天然の、例えば、少なくとも2つの重鎖部分を含むが、2つの完全な重鎖を含まない抗体(例えば、ドメイン欠失抗体またはミニボディーのような)となるように変化させた合成形態の抗体;2つ以上の抗原または単一抗原の異なるエピトープに結合するように変化させた多重特異的形態の抗体(例えば、二重特異性、三重特異性など)が含まれる)。さらに、「改変抗体」という用語には、多価形態の抗体(例えば、三価、四価など、同一抗原の3つ以上のコピーに対する抗体)が含まれる(例えば、Antibody Engineering,Kontermann & Dubel,eds.,2010,Springer Protocols,Springer参照)。
【0107】
「インビボ半減期」という用語は、その通常の意味、すなわち、ポリペプチドの生物学的活性の50%が身体/標的器官中に依然として存在する時間、またはポリペプチドの活性がその初期値の50%になる時間の意味で使用される。機能的インビボ半減期を測定する代替法として、「血清半減期」、すなわち、クリアランスされる前、ポリペプチド分子の50%が血漿または血流中を循環する時間を測定することができる。血清半減期の測定は、機能的インビボ半減期の測定よりも簡単なことが多く、血清半減期の大きさは、通常、機能的インビボ半減期の大きさの良好な指標である。血清半減期の代替用語には、「血漿半減期」、循環(circulating)半減期、循環(circulatory)半減期、血清クリアランス、血漿クリアランス、およびクリアランス半減期が含まれる。保持すべき機能は、通常、凝血促進性、タンパク分解性、補因子結合、受容体結合活性、または特定のタンパク質に関連する他の型の生物学的活性から選択される。
【0108】
機能的インビボ半減期または血漿半減期に関する「増加した」という用語は、ポリペプチドの関連する半減期が参照分子(例えば、非改変ポリペプチド)のそれと比べて同等の条件下で測定して統計的に有意に増加することを示すために使用される。
【0109】
機能的インビボ半減期または血漿半減期に関する「減少した」という用語は、ポリペプチドの関連する半減期が参照分子(例えば、非改変ポリペプチド)のそれと比べて同等の条件下で測定して統計的に有意に減少することを示すために使用される。
【0110】
本明細書において使用される「発現」という用語は、遺伝子が生化学物質、例えば、本発明の足場またはその断片を産生するプロセスを指す。このプロセスは細胞内の遺伝子の機能的存在の任意の顕在化、例として、限定されるものではないが、遺伝子ノックダウンならびに一過的発現および安定的発現の両方を含む。限定されるものではないが、それは遺伝子の1つ以上のmRNAへの転写、およびこのようなmRNAの1つ以上のポリペプチドへの翻訳を含む。最終所望産物が生化学物質である場合、発現は、その生化学物質および任意の前駆体の作出を含む。
【0111】
「発現産物」は、核酸、例えば、遺伝子の転写により産生されるメッセンジャーRNA、またはポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載の発現産物は、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化を受けた核酸、または転写後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク分解性開裂などを受けたポリペプチドをさらに含む。
【0112】
本明細書において使用される「ベクター」または「発現ベクター」という用語は、本発明により宿主細胞中に導入し、所望発現産物を発現させるためのビヒクルとして使用されるベクターを意味するために使用される。当業者に公知であるとおり、このようなベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルスおよびレトロウイルスからなる群から容易に選択することができる。一般に、本発明に適合するベクターは、選択マーカー、所望核酸のクローニングを容易にするための適切な制限酵素部位、ならびに真核または原核細胞中への流入能および/またはその中での複製能を含む。
【0113】
「宿主細胞」という用語は、組換えDNA技術を使用して構築され、少なくとも1つの発現産物をコードするベクターを保有する細胞を指す。組換え宿主から発現産物を単離するプロセスの記載において、特に明記の無い限り、「細胞」および「細胞培養物」という用語は、発現産物の源を示すために同義に使用され、すなわち、「細胞」からの発現産物の回収は、遠心沈殿全細胞からの回収、または培地および懸濁細胞の両方を含有する細胞培養物からの回収のいずれかを意味する。
【0114】
本明細書において使用される「治療する」または「治療」という用語は、治療法上の治療および防止または予防措置の両方を指し、その目的は、対象における不所望な生理学的変化または障害、例えば、炎症性疾患または病態の進行を予防し、または減速させる(弱める)ことである。有益または所望臨床的結果には、限定されるものではないが、検出可能か検出不可能かにかかわらず、症状の軽減、疾患の程度の縮小、病状の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅滞化または遅延、病状の改善または緩和、および寛解(部分または完全を問わない)が含まれる。
【0115】
「治療」という用語は、治療を受けていない場合に予期される生存に比べての生存の延長も意味する。治療が必要とされる者には、既に病態もしくは障害を有する者および病態もしくは障害を有する傾向がある者、または病態もしくは障害を予防すべき者が含まれる。
【0116】
「対象」、「個体」、「動物」、「患者」、または「哺乳動物」という用語は、診断、予後診断、または治療が望まれる任意の個体、患者または動物、特に、哺乳動物の対象を指す。哺乳動物の対象には、ヒト、ドメスティックアニマル、家畜、および動物園の動物、競技用動物または愛玩動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、雌ウシなどが含まれる。
【0117】
本明細書において使用される「CD40L」という用語は、限定されるものではないが、T細胞の表面上で発現されたCD40L、組換え発現されたCD40L、大腸菌(E.coli)または他の好適な組換えタンパク質発現系から発現および精製されたCD40L、非グリコシル化CD40L、ならびにCD40Lの可溶性断片を指す。本明細書において使用される「CD40L」は、MegaCD40Lも指す。MegaCD40L(商標)は、2つのトリマーCD40リガンドがACRP30/アディポネクチンのコラーゲンドメインを介して人工的に結合している高活性構築物である。この構築物は、インビボでのCD40Lの天然膜支援凝集を極めて効率的にシミュレートする。これは、[CD40L+エンハンサー]組合せ(Alexis biochemicals)の簡易で均等に強力な代替物を提供する。「CD40L」という用語は、CD40Lのモノマー形態およびオリゴマー形態、例えば、トリマーCD40Lを指す。
【0118】
「CD40L」という用語は、全長CD40Lおよび可溶性断片、例えば、タンパク質分解から得られるCD40Lの細胞外ドメイン形態の両方を指す。ヒトCD40L(Swissprot:P29965)の膜結合および可溶性形態のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1および配列番号2に示す。
【0119】
「CD40Lアンタゴニスト」または「アンタゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、それには、インビトロ、インサイチュー、またはインビボにおいてCD40Lの1つ以上の生物学的活性を部分的または完全に阻害し、減少させまたは不活性化させる任意の分子、および生物学的に活性なそのバリアントが含まれる。例えば、CD40Lアンタゴニストは、CD40Lへのその結合の結果として、インビボ、インビトロまたはインサイチューにおいて1つ以上のCD40L分子、またはCD40もしくは他の標的に結合している1つ以上のCD40L分子の1つ以上の生物学的活性を部分的または完全に阻害し、減少させまたは不活性化させるように機能し得る。
【0120】
「CD40Lアゴニスト」または「アゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、それには、インビトロ、インサイチュー、またはインビボにおいてCD40Lの1つ以上の生物学的活性を部分的または完全に向上させ、刺激しまたは活性化させる任意の分子、および生物学的に活性なそのバリアントが含まれる。例えば、CD40Lアゴニストは、CD40Lへのその結合の結果として、インビボ、インビトロまたはインサイチューにおいて1つ以上のCD40L分子、またはCD40Rもしくは他の標的に結合している1つ以上のCD40L分子の1つ以上の生物学的活性を部分的または完全に向上させ、刺激しまたは活性化させるように機能し得る。
【0121】
本明細書において使用される「結晶」という用語は、原子が三次元で周期的に繰り返すパターンで配置され、典型的には格子を形成する物質の固体状態の一形態を指す。
【0122】
本明細書において使用される「空間群対称性」という用語は、結晶格子の並進対称性を点群対称性と組み合わせる結晶の全対称性を指す。「空間群」は、格子群を識別する大文字(P、A、Fなど)に続く回転および反射要素がらせん軸および映進面を含むように拡張される点群記号により指定される。所与の空間群についての点群対称性は、空間群の格子中心記号を除去し、全てのらせん軸を類似の回転軸により置き換え、全ての映進面を鏡面により置き換えることにより決定することができることが留意されたい。空間群についての点群対称性は、その逆格子の真の対称性を説明する。
【0123】
本明細書において使用される「単位格子」という用語は、規則的な繰り返しパターンで配置される結晶中の原子を意味し、それにおいて最小繰り返し単位が単位格子と称される。構造全体を、3つの長さ(a、b、およびc)および3つの角度(α、β、およびγ)により特性決定される単位格子の情報から再構築することができる。量aおよびbは、格子の底辺の長さであり、γは、これら2辺間の角度である。量cは、単位格子の高さである。角度αおよびβは、単位格子の底辺と垂直辺との間の角度を説明する。
【0124】
本明細書において使用される「機械可読データ保存媒体」という用語は、機械可読データが符号化されたデータ保存材料であって、機械がこのようなデータを使用するための命令によりプログラムされ、データを所望のフォーマット、例えば、分子または分子複合体のグラフ三次元表示で表示し得るデータ保存材料を意味する。
【0125】
「X線回折パターン」という用語は、結晶中の分子または原子の周期的集合体のX線散乱から得られるパターンを意味する。X線結晶学は、X線が結晶により回折される事実を利用する技術である。X線は、同等サイズの原子の電子雲により散乱される適正な波長(オングストローム範囲、約10-8cm)を有する。結晶中の分子または原子の周期的集合体のX線散乱から得られる回折パターンに基づき、電子密度を再構築することができる。追加の位相情報は、回折データからまたは再構築を完了させるための補足回折実験から抽出することができる(結晶学の位相問題)。モデルを実験的電子密度に進行的に組み込み、データに対してリファインして正確な分子構造を取得する。X線構造座標は、空間中の点の特有の構成を定義する。当業者は、タンパク質またはタンパク質-リガンド複合体、またはその一部についての構造座標の集合が相対的な点集合を定義し、次いでそれが三次元中の構成を定義することを理解する。類似または同一の構成を、全く異なる座標の集合により定義することができ、但し、座標間の距離および角度が本質的に同一のままであることを条件とする。さらに、点の構成は、座標間の距離をスカラー因子により増加または減少させる一方、角度を本質的に同一に保持することにより定義することができる。
【0126】
本明細書において使用される「結晶構造」という用語は、結晶質材料中の繰り返し原子または分子単位の三次元または格子間隔配置を指す。結晶質材料の結晶構造は、X線結晶学的方法により決定することができ、例えば、“Principles of Protein X-Ray Crystallography”by Jan Drenth,Springer Advanced Texts in Chemistry,Springer Verlag,2nd ed.,February 199,ISBN:0387985875、および“Introduction to Macromolecular Crystallography”by Alexander McPherson,Wiley-Liss,Oct.18,2002,ISBN:0471251224参照。
【0127】
「エフェクター機能」という用語は、抗体または抗体のFc領域(ネイティブFc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因する抗体断片のそれらの生物学的活性を指し、抗体アイソタイプにより変動する。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;およびB細胞活性化が含まれる。
【0128】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」という用語は、ある細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌Igが、それらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を細胞毒素により殺傷することを可能とする細胞傷害の形態を指す。
【0129】
「Fc受容体」または「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明する。FcRは、ネイティブ配列ヒトFcRであり得る。FcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合し得、それにはFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体、例として、これらの受容体のアレルバリアントおよび代替スプライシング形態が含まれる。この用語には、新生児受容体FcRnも含まれる。
【0130】
「コンセンサス配列」という用語は、複数の配列がアラインされた後に特定位置における最も共通するアミノ酸を示すタンパク質配列を指す。コンセンサス配列は、関連配列が互いに比較される多重配列アラインメントの結果を表す手法である。コンセンサス配列は、それぞれに位置におけるアラインメント中でどの残基が最も豊富であるか、およびそれぞれの位置における変動性の程度を示す。
【0131】
緒言
CD40L(CD154、CD40リガンド、gp39またはTBAMとしても公知)は、33kDaのII型膜糖タンパク質(Swiss-Protアクセッション番号P29965)である。さらに、より短い18kDaのCD40L可溶性形態が存在する(sCD40Lまたは可溶性CD40Lとしても公知)。これらのCD40Lの可溶性形態は、膜結合タンパク質のタンパク質分解プロセシングにより生成されるが、可溶性種の細胞活性は、より高次のオリゴマー化(例えば、トリマー化)を除き弱い。
【0132】
本発明は、CD40Lに結合し得る組換え非天然タンパク質足場(Tn3足場)のファミリーを提供する。特に、本明細書に記載のタンパク質は、抗体可変領域の相補性決定領域(「CDR」)に相似の定義されたループをディスプレイするために使用することができる。これらのループは、ランダム化または制限進化(restricted evolution)に供して多数の標的化合物に結合し得る多様性を生成することができる。Tn3足場は、モノマーとして使用することができ、またはCD40Lに結合し得るマルチマー足場にアセンブルすることができる。
【0133】
具体的な実施形態において、本発明は、疾患、例えば、限定されるものではないが、自己免疫疾患の予防改善、検出、診断、またはモニタリングに有用なCD40L特異的結合剤を提供する。他の具体的な実施形態において、本発明のCD40L特異的Tn3足場は、自己免疫疾患および病態の治療に有用である。一部の実施形態において、自己免疫疾患には、限定されるものではないが、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)および同種移植片拒絶反応が含まれ得る。
【0134】
本発明のTn3足場は、少なくとも1つの非天然分子内ジスルフィド結合が遺伝子操作されたヒトテネイシンCの第3FnIIIドメインに由来するCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。本発明のTn3足場を構成するモノマーサブユニットは、互いに独立して正確にフォールドし、それらの結合特異性および親和性を保持し、モノマー足場のそれぞれは、その機能特性を保持する。モノマーサブユニットが高い価数のマルチマーTn3足場にアセンブルされる場合、モノマーサブユニットは、互いに独立して正確にフォールドし、それらの結合特異性および親和性を保持し、モノマーのそれぞれはその機能特性を保持する。
【0135】
2つ以上のモノマーサブユニットを含む本発明のTn3足場は、複数のエピトープに結合し得、例えば、(i)単一標的中の複数のエピトープに結合、(ii)複数の標的中の単一エピトープに結合、(iii)1つの標的の異なるサブユニット上に局在する複数のエピトープに結合、または(iv)複数の標的上の複数のエピトープに結合し得、したがってアビディティーを増加させる。
【0136】
さらに、リンカーを介する複数のモノマー間の距離を変動させる可能性に起因して、マルチマーTn3足場は、表面上(同一細胞/表面上または異なる細胞/表面中)の複数の標的分子に結合し得る。本発明のTn3マルチマー足場は、2つ以上の標的へのそれらの自発結合能の結果として、複数の経路をモジュレートするため、細胞表面上の受容体を架橋するため、別個の細胞上の細胞表面受容体を結合させるため、および/または標的分子もしくは細胞を基質に結合させるために使用することができる。
【0137】
さらに、本発明は、規定の標的についての足場の親和性が突然変異を介してモジュレートされる親和性成熟足場を提供する。さらに、本発明は、本発明の足場を産生する方法および所望の物理化学的、薬理学的、または免疫学的特性を有するように足場を遺伝子操作する方法を提供する。さらに、本発明は、治療、防止、および診断使用のための、このような足場および方法についての使用を提供する。
【0138】
FnIII構造モチーフ
本発明のTn3足場は、生物およびウイルス、ならびに多数のタンパク質クラスの3つ全ての領域にわたり広く見出されているドメインであるIII型フィブロネクチンモジュール(FnIII)の構造をベースとする。具体的な実施形態において、本発明の足場は、ヒトテネイシンCの第3FnIIIドメインに由来する(国際公開第2009/058379号パンフレットとして公開されている国際出願第国際出願第PCT/US2008/012398号明細書;国際公開第2011/130324号パンフレットとして公開されているPCT/US2011/032184号明細書;および国際公開第2011130328号パンフレット参照として公開されている国際出願第PCT/US2011/032188号明細書)。
【0139】
1つの具体的な実施形態において、本発明のTn3足場は、親Tn3足場に由来するCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。モノマーの全三次元フォールドは、ラクダおよびラクダ科(例えば、ラマ)の単一ドメイン抗体中で抗原認識単位全体を含む最小機能抗体断片の重鎖の可変領域(VH)のそれと密接に関連する。
【0140】
本発明のTn3モノマーサブユニットおよびテネイシンCからのネイティブFnIIIドメインは、同一の三次元構造、すなわち、6つのループ領域により連結されている、一方の側面上の3つのベータ鎖(A、B、およびE)および他方の側面上の4つのベータ鎖(C、D、F、およびG)を有するベータサンドイッチ構造を特徴とする。これらのループ領域は、それぞれのループのNおよびC末端に連結されているベータ鎖に従って命名される。したがって、ABループは、ベータ鎖AB間に局在し、BCループは、鎖BC間に局在し、CDループは、ベータ鎖CD間に局在し、DEループは、ベータ鎖DE間に局在し、EFループは、ベータ鎖EF間に局在し、FGループは、ベータ鎖FG間に局在する。FnIIIドメインは、高い親和性で特異的標的に結合し得るタンパク質足場の多様なプールの生成を容易にする、ランダム化にトレラントな溶媒露出ループを有する。
【0141】
本発明の一態様において、Tn3モノマーサブユニットは、抗体可変領域の相補性決定領域(CDR)に相似のループの1つ以上をランダム化するように設計される指向進化に供される。このような指向進化アプローチは、関心対象の標的、例えば、CD40Lについて高い親和性を有する抗体様分子の産生をもたらす。
【0142】
さらに、一部の実施形態において、本発明に記載のTn3足場は、定義される露出ループ(例えば、既にランダム化され、標的結合に基づき選択されたループ)をディスプレイしてこのような導入ループに結合する分子の進化を指向するために使用することができる。この型の選択は、任意の個々のCDR様ループについての、または非線形エピトープ結合部分に合わされた2つもしくは3つ全てのCDR様ループの認識についての認識分子を同定するために実施することができる。特異的標的結合を付与し得る3つのループ(BC、DE、およびFGと命名)の組は、それぞれBC鎖間;DE鎖間、およびFGベータ鎖間に及ぶ。ヒトテネイシンCの第3FnIIIドメインのBC、DE、およびFGループは、それぞれ9、6、および10アミノ酸残基長である。これらのループの長さは、抗体重鎖中に見出されるコグネート抗原認識ループの狭い範囲内、すなわち、それぞれ7~10、4~8、および4~28アミノ酸長に収まる。同様に、ループの第2の組であるAB、CD、およびEFループ(それぞれ、7、7、および8アミノ酸長)は、それぞれABベータ鎖間;CDベータ鎖間;およびEFベータ鎖間に及ぶ。
【0143】
Tn3モノマー足場中のループは、ランダム化され、標的への高親和性結合について選択されると、抗体中のコグネートCDRループの接触に等価の標的との接触をなし得る。したがって、一部の実施形態において、AB、CD、およびEFループは、ランダム化され、1つ以上の標的、例えば、CD40Lへの高親和性結合について選択される。一部の実施形態において、このランダム化および選択プロセスをBC、DE、およびFGループのランダム化と並行して実施することができる一方、他の実施形態において、このランダム化および選択プロセスは連続して実施される。
【0144】
CD40L特異的モノマーサブユニット
本発明は、複数のループ領域に結合している複数のベータ鎖ドメインを含むCD40L特異的組換え非天然Tn3足場であって、前記ループ領域の1つ以上は、野生型Tn3(配列番号3)(表1参照)中のコグネートループからの少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または付加により変動するTn3足場を提供する。
【0145】
新規結合特性を有する改善されたCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットを生成するため、親Tn3は、アミノ酸付加、欠失または置換に供される。CD40L特異的Tn3モノマーサブユニットの配列を親Tn3の配列と比較する場合、ベータ鎖およびループの同一の定義が利用されることが理解される。一部の実施形態において、本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットは、アミノ酸配列:
IEV(X
AB)
nALITW(X
BC)
nCELX
1YGI(X
CD)
nTTIDL(X
DE)
nYSI(X
EF)
nYEVSLIC(X
FG)
nKETFTT
(式中、
(a)X
AB、X
BC、X
CD、X
DE、X
EF、およびX
FGは、それぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列中に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X
1は、アミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(c)ループの長さnは、2から26の整数である)
を含む。
【表2】
【0146】
一部の実施形態において、本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットは、アミノ酸配列:
IEV(XAB)nALITW(XBC)nCELX1YGI(XCD)nTTIDL(XDE)nYSI(XEF)nYEVSLIC(XFG)nKETFTT
(式中、
(a)XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGは、それぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列中に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X1は、アミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(c)ループの長さnは、2から26の整数である)
からなる。
【0147】
一実施形態において、CD40L特異的Tn3モノマー足場のベータ鎖は、親Tn3足場(配列番号3)のベータ鎖と少なくとも90%の配列同一性を有する。配列同一性のこのような割合を計算するため、当分野において公知の方法を適用してアミノ酸配列をアラインする。配列同一性の割合は、(a)配列アラインメント中で同一であるベータ鎖中に局在するアミノ酸の数と、(b)ベータ鎖中に局在するアミノ酸の総数との比として定義される。
【0148】
一実施形態において、ABループの配列は、配列番号4または配列番号136を含む。別の実施形態において、CDループの配列は、配列番号6を含む。別の実施形態において、EFループの配列は、配列番号8または配列番号137を含む。一実施形態において、ABループの配列は、配列番号4または配列番号136からなる。別の実施形態において、CDループの配列は、配列番号6からなる。別の実施形態において、EFループの配列は、配列番号8または配列番号137からなる。
【0149】
一実施形態において、BCループの配列は、配列番号83、84、85、86、87、88、89、90、91、92および93からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態において、BCループの配列は、配列番号83、84、85、86、87、88、89、90、91、92および93からなる群から選択される配列からなる。
【0150】
一実施形態において、DEループの配列は、配列番号94、95、96、97および98からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態において、DEループの配列は、配列番号94、95、96、97および98からなる群から選択される配列からなる。
【0151】
一実施形態において、FGループの配列は、配列番号9、99、および139からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態において、FGループの配列は、配列番号9、99、および139からなる群から選択される配列からなる。
【0152】
一実施形態において、BCループの配列は、配列番号100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116および117からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態において、BCループの配列は、配列番号100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116および117からなる群から選択される配列からなる。
【0153】
一部の実施形態において、DEループの配列は、配列番号118、119、120、121、122、123、124、125、126、127および128からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態において、DEループの配列は、配列番号118、119、120、121、122、123、124、125、126、127および128からなる群から選択される配列からなる。
【0154】
一部の実施形態において、FGループの配列は、配列番号129および130からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態において、FGループの配列は、配列番号129および130からなる群から選択される配列からなる。
【0155】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号83を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号83からなり、DEループの配列は、配列番号94からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0156】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号83を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号99を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号83からなり、DEループの配列は、配列番号94からなり、FGループの配列は、配列番号99からなる。
【0157】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号84を含み、DEループの配列は、配列番号95を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号84からなり、DEループの配列は、配列番号95からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0158】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号85を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号85からなり、DEループの配列は、配列番号94からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0159】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号86を含み、DEループの配列は、配列番号96を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号86からなり、DEループの配列は、配列番号96からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0160】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号87を含み、DEループの配列は、配列番号97を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号87からなり、DEループの配列は、配列番号97からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0161】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号88を含み、DEループの配列は、配列番号95を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号88からなり、DEループの配列は、配列番号95からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0162】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号89を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号89からなり、DEループの配列は、配列番号94からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0163】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号90を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号90からなり、DEループの配列は、配列番号94からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0164】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号91を含み、DEループの配列は、配列番号95を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号91からなり、DEループの配列は、配列番号95からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0165】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号92を含み、DEループの配列は、配列番号98を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号92からなり、DEループの配列は、配列番号98からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0166】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号93を含み、DEループの配列は、配列番号94を含み、FGループの配列は、配列番号9または139を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号93からなり、DEループの配列は、配列番号94からなり、FGループの配列は、配列番号9または139からなる。
【0167】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号168を含み、DEループの配列は、配列番号169を含み、FGループの配列は、配列番号170を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号168からなり、DEループの配列は、配列番号169からなり、FGループの配列は、配列番号170からなる。
【0168】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号100を含み、DEループの配列は、配列番号118を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号100からなり、DEループの配列は、配列番号118からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0169】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号101を含み、DEループの配列は、配列番号119を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号101からなり、DEループの配列は、配列番号119からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0170】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号102を含み、DEループの配列は、配列番号120を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号102からなり、DEループの配列は、配列番号120からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0171】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号103を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号103からなり、DEループの配列は、配列番号121からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0172】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号104を含み、DEループの配列は、配列番号122を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号104からなり、DEループの配列は、配列番号122からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0173】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号105を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号105からなり、DEループの配列は、配列番号121からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0174】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号106を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号106からなり、DEループの配列は、配列番号123からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0175】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号107を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号107からなり、DEループの配列は、配列番号123からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0176】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号108を含み、DEループの配列は、配列番号118を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号108からなり、DEループの配列は、配列番号118からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0177】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号109を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号109からなり、DEループの配列は、配列番号123からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0178】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号110を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号110からなり、DEループの配列は、配列番号121からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0179】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号111を含み、DEループの配列は、配列番号123を含み、FGループの配列は、配列番号130を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号111からなり、DEループの配列は、配列番号123からなり、FGループの配列は、配列番号130からなる。
【0180】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号108を含み、DEループの配列は、配列番号121を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号108からなり、DEループの配列は、配列番号121からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0181】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号112を含み、DEループの配列は、配列番号124を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号112からなり、DEループの配列は、配列番号124からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0182】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号113を含み、DEループの配列は、配列番号125を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号113からなり、DEループの配列は、配列番号125からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0183】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号114を含み、DEループの配列は、配列番号118を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号114からなり、DEループの配列は、配列番号118からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0184】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号115を含み、DEループの配列は、配列番号126を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号115からなり、DEループの配列は、配列番号126からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0185】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号116を含み、DEループの配列は、配列番号127を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号116からなり、DEループの配列は、配列番号127からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0186】
一部の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136を含み、BCループの配列は、配列番号117を含み、DEループの配列は、配列番号128を含み、FGループの配列は、配列番号129を含む。他の実施形態において、ABループの配列は、配列番号136からなり、BCループの配列は、配列番号117からなり、DEループの配列は、配列番号128からなり、FGループの配列は、配列番号129からなる。
【0187】
一部の実施形態において、BCループの配列は、配列番号174を含み、DEループの配列は、配列番号175を含み、FGループの配列は、配列番号177を含む。他の実施形態において、BCループの配列は、配列番号174からなり、DEループの配列は、配列番号175からなり、FGループの配列は、配列番号177からなる。
【0188】
一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列からなる。
【0189】
一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、配列番号28または146を含む。他の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、配列番号28または146からなる。
【0190】
一部の実施形態において、本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットは、アミノ酸配列:
IEVKDVTDTTALITWX1DX2X3X4X5X6X7X8CELTYGIKDVPGDRTTIDLWX9HX10AX11YSIGNLKPDTEYEVSLICRX12GDMSSNPAKETFTT(配列番号167)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基セリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基アラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基イソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基グリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基トリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基アルギニン(R)またはセリン(S)を表す)
を含む。
【0191】
一部の実施形態において、本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットは、アミノ酸配列:
IEVKDVTDTTALITWX1DX2X3X4X5X6X7X8CELTYGIKDVPGDRTTIDLWX9HX10AX11YSIGNLKPDTEYEVSLICRX12GDMSSNPAKETFTT(配列番号167)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基セリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基アラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基イソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基グリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基トリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基アルギニン(R)またはセリン(S)を表す)
からなる。
【0192】
一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、および82からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、および82からなる群から選択される配列からなる。
【0193】
一部の実施形態において、本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットは、アミノ酸配列:
IEVX1DVTDTTALITWX2X3RSX4X5X6X7X8X9X10CELX11YGIKDVPGDRTTIDLX12X13X14X15YVHYSIGNLKPDTX16YEVSLICLTTDGTYX17NPAKETFTT(配列番号171)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基リジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基トレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基セリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基チロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基チロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基セリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14は、アミノ酸残基プロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはアラニン(A)またはアミノ酸無しを表し;
(o)X15は、アミノ酸残基イソロイシン(I)またはアミノ酸無しを表し;
(p)X16は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;
(q)X17は、アミノ酸残基セリン(S)またはアスパラギン(N)を表す)
を含む。
【0194】
一部の実施形態において、本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットは、アミノ酸配列:
IEVX1DVTDTTALITWX2X3RSX4X5X6X7X8X9X10CELX11YGIKDVPGDRTTIDLX12X13X14X15YVHYSIGNLKPDTX16YEVSLICLTTDGTYX17NPAKETFTT(配列番号171)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基リジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基トレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基セリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基チロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基チロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基セリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14は、アミノ酸残基プロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはアラニン(A)またはアミノ酸無しを表し;
(o)X15は、アミノ酸残基イソロイシン(I)またはアミノ酸無しを表し;
(p)X16は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;
(q)X17は、アミノ酸残基セリン(S)またはアスパラギン(N)を表す)
からなる。
【0195】
一部の実施形態において、CD40L特異的モノマー足場は、ベータ鎖の1つ以上が、CおよびFベータ鎖(それぞれ配列番号13または14;および配列番号17)中のシステイン残基が置換され得ないことを除き少なくとも1つのアミノ酸置換を含むTn3モジュールを含む。
【0196】
CD40L特異的モノマーサブユニットの種々のベータ鎖を連結するループは、長さおよび/または配列多様性についてランダム化することができる。一実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、長さおよび/または配列多様性にについてランダム化された少なくとも1つのループを有する。一実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つのループが、長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。一実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットの少なくとも1つのループは、一定に保持される一方、少なくとも1つの追加のループは、長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。別の実施形態において、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てが一定に保持される一方、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てが長さまたは配列多様性についてランダム化される。別の実施形態において、ループAB、CD、およびEFのの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つ全てがランダム化される一方、ループBC、DE、およびFGのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てが長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。さらに別の実施形態において、ループAB、CD、EF、BC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つのループ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つ全てが長さまたは配列多様性についてランダム化される。
【0197】
一部の実施形態において、ループ内の1つ以上の残基が一定に保持される一方、他の残基が長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。一部の実施形態において、ループ内の1つ以上の残基が所定の限られた数の異なるアミノ酸に保持される一方、他の残基が長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。したがって、本発明のCD40L特異的モノマーサブユニットは、縮重コンセンサス配列および/または1つ以上の不変アミノ酸残基を有する1つ以上のループを含み得る。
【0198】
一実施形態において、本発明のCD40L特異的モノマーサブユニットは、ランダム化されたABループを含む。別の実施形態において、本発明のCD40L特異的モノマーサブユニットは、ランダム化されたBCループを含む。一実施形態において、本発明のCD40L特異的モノマーサブユニットは、ランダム化されたCDループを含む。一実施形態において、本発明のCD40L特異的モノマーサブユニットは、ランダム化されたDEループを含む。一実施形態において、本発明のCD40L特異的モノマーサブユニットは、ランダム化されたEFループを含む。
【0199】
ある実施形態において、本発明のCD40L特異的モノマーサブユニットは、ヒトテネイシンCの第3FnIIIドメインのコグネートFGループよりも短い少なくとも1つのアミノ酸残基であるように保持され、さらに1つ以上の位置においてランダム化されたFGループを含む。
【0200】
具体的な実施形態において、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つは、ランダム化され、Aベータ鎖は、配列番号10または11を含み、Bベータ鎖は、配列番号12を含み、Cベータ鎖は、配列番号13または14を含み、Dベータ鎖は、配列番号15を含み、Eベータ鎖は、配列番号16を含み、Fベータ鎖は、配列番号17を含み、Gベータ鎖は、配列番号18を含み、ABループは、配列番号4または136を含み、CDループは、配列番号6を含み、EFループは、配列番号8または137を含む。
【0201】
他の具体的な実施形態において、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つは、ランダム化され、Aベータ鎖は、配列番号10または11を含み、Bベータ鎖は、配列番号12を含み、Cベータ鎖は、配列番号13または14を含み、Dベータ鎖は、配列番号15を含み、Eベータ鎖は、配列番号16を含み、Fベータ鎖は、配列番号17を含み、Gベータ鎖は、配列番号18を含み、BCループは、配列番号5を含み、DEループは、配列番号7を含み、FGループは、配列番号9または139を含む。
【0202】
足場安定性の向上
本発明のTn3足場の安定性は、多くの異なるアプローチにより増加させることができる。一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、Nおよび/またはC末端領域の伸長により安定化することができる。Nおよび/またはC末端領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11個以上のアミノ酸だけ伸長することができる。他の実施形態において、本発明のTn3足場は、本明細書に記載のとおり血清半減期を増加させる変化を導入することにより安定化することができる。さらに別の実施形態において、本発明のTn3足場は、足場の疎水性コアを安定化するための少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換を含む。
【0203】
本発明のTn3足場は、国際特許出願第PCT/US2011/032184号明細書に開示のとおり、非天然ジスルフィド結合を遺伝子操作することにより有効に安定化することができる。一部の実施形態において、本発明の足場は、PCT公開国際公開第2009/058379号パンフレットに記載のとおり、非天然ジスルフィド結合を含む。ジスルフィド結合の遺伝子操作に好適な候補位置を同定するためにバイオインフォマティクスアプローチを利用するができる。
【0204】
一実施形態において、本発明のTn3モノマー足場は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの非天然分子内ジスルフィド結合を含む。一実施形態において、本発明のTn3モノマーサブユニットは、少なくとも1つの非天然分子内ジスルフィド結合を含み、前記少なくとも1つの非天然ジスルフィド結合は、モノマーを安定化する。さらに別の実施形態において、本発明のTn3足場は、少なくとも1つの非天然ジスルフィド結合を含み、結合は、2つの区別されるモノマーまたはマルチマーTn3足場間に局在し、すなわち、ジスルフィド結合は、分子間ジスルフィド結合である。例えば、ジスルフィド結合は、区別される足場(例えば、2つのCD40L特異的モノマー足場)、Tn3足場およびリンカー、Tn3足場およびFcドメイン、またはTn3足場および抗体もしくはその断片を結合させ得る。
【0205】
一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、Tn3モノマーサブユニットおよび単離異種部分、Tn3モノマーサブユニットおよび同一のTn3足場に融合もしくはコンジュゲートしている異種部分、またはTn3モノマーサブユニットおよび異なるTn3足場に融合もしくはコンジュゲートしている異種部分を結合させる少なくとも1つの非天然分子間ジスルフィド結合を含む。
【0206】
同一の実施形態において、本発明のTn3足場は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれを超えるモノマーサブユニットのTn3マルチマー足場を形成するジスルフィド結合を含む。
【0207】
別の実施形態において、本発明のTn3足場は、Nおよび/またはC末端領域の伸長を含み得る。一実施形態において、本発明のTn3足場は、本明細書に記載のとおり血清半減期を増加させるための変化を含む。さらに別の実施形態において、本発明の足場は、足場の疎水性コアを安定化するための少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換を含む。
【0208】
安定性の計測
単離され、またはマルチマーTn3足場の一部としての本発明のTn3モノマーサブユニットの安定性は、当分野において周知の技術、例えば、熱(Tm)およびカオトロピック変性(例えば、尿素、またはグアニジン塩による処理)、プロテアーゼ処理(例えば、サーモリシンによる処理)またはタンパク質安定性を測定する当分野において認められた別の方法により容易に計測することができる。タンパク質安定性を計測するために使用される技術の包括的考察は、例えば、“Current Protocols in Molecular Biology”および“Current Protocols in Protein Science”by John Wiley and Sons.2007に見出すことができる。
【0209】
マルチマーTn3足場
本発明の一態様は、タンデムに連結されている少なくとも2つの本発明のTn3モノマーサブユニットを含むTn3マルチマー足場であって、モノマーの少なくとも1つは、CD40L特異的モノマーサブユニットであるTn3マルチマー足場を提供する。このようなマルチマーTn3足場は、複数のフォーマットにアセンブルすることができる。具体的な態様において、本発明は少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットがペプチドリンカーを介してタンデムに連結されているマルチマーTn3足場を提供する。一部の実施形態において、マルチマーTn3足場は、標的結合の価数および/もしくはアビディティー、または標的の他の作用の増加を示す。一部の実施形態において、複数のモノマーサブユニットが同一標的に結合する場合に標的結合の価数および/またはアビディティーの増加が達成される。一部の実施形態において、価数の増加により、標的に対する特異的作用、例えば、標的タンパク質のダイマー化の増加が改善される。
【0210】
具体的な実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場は、タンデムに連結されている少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、それぞれのCD40L特異的モノマーサブユニットは、少なくとも1つの標的に結合し、それぞれのCD40L特異的モノマーサブユニットは、複数のループ領域に結合している複数のベータ鎖を含み、少なくとも1つのループは、親Tn3足場(配列番号3)中のコグネートループの非天然バリアントである。
【0211】
一実施形態において、マルチマーTn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニット間の共有結合を介して、例えば、CD40L特異的モノマーサブユニットを直接結合させることにより、またはリンカー、例えば、ペプチドリンカーを含めることにより生成される。特定の例において、共有結合Tn3足場は、CD40L特異的モノマーサブユニットをコードする融合遺伝子を構築することにより、またはシステイン残基についてのコドンをCD40L特異的モノマーサブユニット中へ遺伝子操作し、ジスルフィド結合形成を発現産物間で生じさせることにより生成される。
【0212】
一実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場は、いかなる追加の介在アミノ酸も有さない、互いに直接連結されている少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。別の実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場は、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを介してタンデムに連結されている少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0213】
具体的な実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場は、ペプチドリンカーを介してタンデムに連結されている少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ペプチドリンカーは、1から約1000、または1から約500、または1から約250、または1から約100、または1から約50、または1から約25個のアミノ酸を含む。具体的な実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場は、ペプチドリンカーを介してタンデムに連結されている少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、ペプチドリンカーは、1から約20、または1から約15、または1から約10、または1から約5個のアミノ酸を含む。
【0214】
具体的な実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場は、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを介してタンデムに連結されている少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、リンカーは、機能的部分である。機能的部分は、マルチマーTn3足場の所望の機能および/または特徴に基づき選択される。例えば、精製に有用な機能的部分(例えば、ヒスチジンタグ)は、リンカーとして使用することができる。リンカーとして有用な機能的部分には、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、細胞傷害剤、放射性核種、造影剤、ビオチン、ダイマー化ドメイン、ヒト血清アルブミン(HSA)またはそのFcRn結合部分、抗体のドメインまたは断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、IgG分子、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非Tn3足場、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカインなどが含まれる。リンカーとして使用することができる具体的なペプチドリンカーおよび機能的部分は、以下に開示される。
【0215】
具体的な実施形態において、機能的部分は、免疫疾患またはその断片である。一部の実施形態において、免疫グロブリンまたはその断片は、Fcドメインを含む。一部の実施形態において、Fcドメインは、少なくとも1つのFcγR媒介エフェクター機能、例えば、ADCC(抗体依存性細胞媒介性傷害)を誘導し得ない。Fcドメインは、少なくとも1つのFcγR媒介エフェクター機能を低減させまたは排除するように変化させることができることが当分野において公知であり、例えば、米国特許第5,624,821号明細書および米国特許第6,737,056号明細書参照。
【0216】
一部の実施形態において、マルチマーTn3足場は、1つ以上のリンカーを介して連結されている少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含み、それぞれのCD40L特異的モノマーサブユニット間に挟まれるリンカーは、同一のリンカーでも異なるリンカーでもよい。一部の実施形態において、リンカーは、複数のリンカーを含み得、それらは同一のリンカーでも異なるリンカーでもよい。一部の実施形態において、複数のリンカーが鎖状に連結されている場合、一部または全部のリンカーが機能的部分であり得る。
【0217】
足場結合化学量論
一部の実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、単一のCD40L分子上または異なるCD40L標的分子上の異なるエピトープであり得る、異なるエピトープに特異的なCD40L特異的モノマーサブユニットを含み得る。一部の実施形態において、マルチマーTn3足場は、それぞれのサブユニットが1つ以上のCD40L分子上の1つ以上の異なるエピトープを標的化するCD40L特異的モノマーサブユニットを含み得る。
【0218】
他の実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、同一のCD40L分子上の2つ以上の異なるエピトープに結合し得る。一部の実施形態において、異なるエピトープは、非重複エピトープである。他の実施形態において、異なるエピトープは、重複エピトープである。
【0219】
さらに別の具体的な実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、CD40L分子上の1つ以上のエピトープに結合し、第2のCD40L分子上の1つ以上のエピトープにさらに結合し得る。一部の実施形態において、異なる標的分子は、オリゴマー複合体、例えば、トリマーCD40L複合体の一部である。
【0220】
さらに別の具体的な実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、CD40Lトリマー上の単一のエピトープに結合し得る。さらに別の具体的な実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、少なくとも2つのCD40Lトリマー上の同一のエピトープに結合し得る。
【0221】
ある実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、隣接細胞表面上のCD40L分子の2つ以上のコピー上の同一のエピトープに結合し得る。ある実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、溶液中のCD40L分子の2つ以上のコピー上の同一のエピトープに結合し得る。一部の実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、同一または異なる結合親和性および/またはアビディティーでCD40L上の同一のエピトープまたは異なるエピトープに結合し得る。
【0222】
別の実施形態において、モノマーまたはマルチマーTn3足場は、CD40Lの1つ以上のコピー上のエピトープに結合し、標的に対する所望の作用を達成しまたは向上(例えば、相乗的に)させ、例えば、受容体への結合を妨害し、またはオリゴマー化を妨害し得る。
【0223】
さらに、本発明のモノマーまたはマルチマーTn3足場が複数のCD40L特異的モノマーサブユニット、例えば、それぞれのモノマーがCD40L上の異なるエピトープを標的化する異なるモノマーを含む場合、このようなモノマーサブユニットは、ある生物学的効果を達成しまたは向上させるためにあるパターンまたは空間配向に従って配置することができる。モノマーサブユニットのこのような組合せをアセンブルし、続いて当分野において公知の方法を使用して評価することができる。
【0224】
融合体
本発明は、少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットが異種部分に融合していてよいTn3足場を提供する。これに関して、異種部分は、スペーサーとして足場を結合させるために使用されるのではなく、Tn3足場に追加の機能を提供し得る。一部の実施形態において、異種部分は、リンカーとしても機能し得る。本発明は、1つ以上の異種部分、例として、限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、核酸分子、小分子、模倣剤、合成薬物、無機分子、および有機分子にコンジュゲートまたは融合しているTn3足場の使用を包含する。したがって、本発明は、1つ以上のCD40L特異的Tn3モノマー、例として、限定されるものではないが、本明細書に記載の融合タンパク質を含むポリペプチドを提供する。
【0225】
本発明は、異種タンパク質またはポリペプチドまたはその断片に組換え融合または化学的にコンジュゲートしているTn3足場の使用を包含する。コンジュゲーションには、共有結合および非共有結合コンジュゲーションの両方が含まれる。一部の実施形態において、Tn3足場は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも500、または少なくとも1000個のアミノ酸)のポリペプチドに融合または化学的にコンジュゲートさせて融合タンパク質を生成することができる。
【0226】
1つ以上の異種部分へのマルチマーTn3足場の融合またはコンジュゲーションは、直接的、すなわち、Tn3足場と異種部分の間に挟まれるリンカーを有さず、または1つ以上の本明細書に記載のリンカー配列を介するものであり得る。一部の実施形態において、足場は、Tn3足場を標的細胞中の特定の細胞表面受容体に特異的な抗体に融合またはコンジュゲートさせることにより、インビトロまたはインビボにおいて異種ポリペプチドに特定の細胞型を標的化させるために使用することができる。
【0227】
異種ポリペプチドに融合またはコンジュゲートしているTn3足場は、当分野で公知の方法を使用するインビトロイムノアッセイおよび精製法に使用することもできる。例えば、国際公開第93/21232号パンフレット;欧州特許第439,095号明細書;Naramura et al.Immunol.Lett.39:91-99、1994;米国特許第5,474,981号明細書;Gillies et al.,PNAS 89:1428-1432,1992;およびFell et al.,J.Immunol.146:2446-2452,1991参照、これらは参照により全体として組み込まれる。
【0228】
一部の実施形態において、Tn3足場は、足場を免疫グロブリンまたはそのドメイン、例として、限定されるものではないが、IgG(Fc)の定常領域と、例えば、NまたはC末端を介して融合またはコンジュゲートさせることにより、ヒト免疫応答に統合することができる。同様に、Tn3足場と補体タンパク質、例えば、CIqの間の融合体は、細胞を標的化するために使用することができる。
【0229】
種々の刊行物は、FcRn結合ポリペプチドを分子中に導入することにより(例えば、国際公開第97/43316号パンフレット;米国特許第5,869,046号明細書;米国特許第5,747,035号明細書;国際公開第96/32478号パンフレット;および国際公開第91/14438号パンフレット参照)、FcRn結合親和性が保存されているが、他のFc受容体についての親和性は大きく低減している抗体と分子を融合させることにより(例えば、国際公開第99/43713号パンフレット参照)、または分子を抗体のFcRn結合ドメインと融合させることにより(例えば、国際公開第00/09560号パンフレット;米国特許第4,703,0390号明細書参照)、半減期が改変された生理学的に活性な分子を得る方法を記載している。生理学的に活性な分子の半減期を増加させる具体的な技術および方法は、米国特許第7,083,784号明細書に見出すこともできる。具体的には、Tn3足場は、IgGからのFc領域に融合させることができ、Fc領域は、アミノ酸残基突然変異M252Y/S254T/T256EまたはH433K/N434F/Y436Hを含み、アミノ酸位置は、Kabat番号付与スキームに従い命名されることが企図される。FcドメインバリアントへのTn3足場の融合体は、ADCCを誘導し得ないことが具体的に企図される。
【0230】
一部の実施形態において、Tn3足場の半減期は、Tn3足場を本質的に決まった構造を取らない組換えポリペプチド(例えば、XTEN(商標)ポリペプチド)と遺伝子融合させることにより、またはポリエチレングリコール(PEG)とのコンジュゲーションにより増加させることができる。
【0231】
一部の実施形態において、Tn3足場は、インビボまたは血清半減期を増加または延長させる分子と融合させることができる。一部の実施形態において、足場は、アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、その新生児Fc受容体(FcRn)結合断片、PEG、多糖、抗体、補体、ヘモグロビン、結合ペプチド、リポタンパク質ならびに血流中のその半減期および/またはその組織浸透を増加させる他の因子に融合またはコンジュゲートさせることができる。これらの融合体のいずれも、標準的な方法、例えば、公に利用可能な遺伝子配列を使用して構築された組換え融合遺伝子からの融合タンパク質の発現により生成することができる。
【0232】
一部の実施形態において、Tn3足場の特性は、HSAバリアント、すなわち、少なくともアミノ酸置換、欠失、または配列トランケーションを含む全長HSA(配列番号139)に由来する分子へのコンジュゲーションまたは融合により改善することができる。
【0233】
一部の実施形態において、HSAバリアントとのコンジュゲーションにより改善される特性は、血漿半減期である。Tn3足場の血漿半減期の改善は、その特性の変化、例えば、血漿半減期の増加もしくは減少、または他の薬物動態パラメーターの変化であり得る。一部の実施形態において、HSAバリアントは、全長HSA(配列番号138)に由来する突然変異体である。具体的な実施形態において、HSAバリアントは、34位におけるシステインのセリンへの置換を含む(配列番号133)。Tn3足場の血漿半減期を改変するために使用することができるHSAバリアントは、例えば、国際公開第2011/103076号パンフレットおよび国際公開第2011/051489号パンフレットに記載されており、これらは両方とも参照により全体として組み込まれる。一部の実施形態において、本発明のTn3足場の血漿半減期は、それを、HSAのドメインIII中の少なくとも1つのアミノ酸置換を含むHSAバリアントと融合させることにより増加される。
【0234】
一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、全長成熟HSA(配列番号138)の配列またはその断片を含むHSAバリアントを含み、但し、407、415、463、500、506、508、509、511、512、515、516、521、523、524、526、535、550、557、573、574、および580からなる群から選択される位置における全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き;少なくとも1つのアミノ酸置換は、573位におけるリジン(K)のグルタミン酸(E)への置換を含まず、Tn3足場は、HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。
【0235】
一部の他の実施形態において、全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換は、463、508、523、および524からなる群から選択される位置におけるものであり、Tn3足場は、HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。
【0236】
他の実施形態において、本発明のTn3足場は、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列またはその断片を含むHSAバリアントを含み、但し、
(a)407位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)またはチロシン(Y)への置換;
(b)415位におけるバリン(V)のトレオニン(T)への置換;
(c)463位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)への置換;
(d)500位におけるリジン(K)のアルギニン(R)への置換;
(e)506位におけるトレオニン(T)のチロシン(Y)への置換;
(f)508位におけるトレオニン(T)のアルギニン(R)への置換;
(g)509位におけるフェニルアラニン(F)のメチオニン(M)またはトリプトファン(W)への置換;
(h)511位におけるアラニン(A)のフェニルアラニン(F)への置換;
(i)512位におけるアスパラギン酸(D)のチロシン(Y)への置換;
(j)515位におけるトレオニン(T)のグルタミン(Q)への置換;
(k)516位におけるロイシン(L)のトレオニン(T)またはトリプトファン(W)への置換;
(l)521位におけるアルギニン(R)のトリプトファン(W)への置換;
(m)523位におけるイソロイシン(I)のアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)への置換;
(n)524位におけるリジン(K)のロイシン(L)への置換;
(o)526位におけるグルタミン(Q)のメチオニン(M)への置換;
(p)535位におけるヒスチジン(H)のプロリン(P)への置換;
(q)550位におけるアスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換;
(r)557位におけるリジン(K)のグリシン(G)への置換;
(s)573位におけるリジン(K)のフェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、プロリン(P)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)への置換;
(t)574位におけるリジン(K)のアスパラギン(N)への置換;
(u)580位におけるグルタミン(Q)のリジン(K)への置換;および
(v)前記置換の2つ以上の組合せ
からなる群から選択される全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、
前記Tn3足場は、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。
【0237】
一部の実施形態において、Tn3足場は、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列またはその断片を含むHSAバリアントを含み、但し、
(a)463位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)への置換;
(b)508位におけるトレオニン(T)のアルギニン(R)への置換;
(c)523位におけるイソロイシン(I)のアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)への置換;
(d)524位におけるリジン(K)のロイシン(L)への置換;および
(e)前記置換の2つ以上の組合せ
からなる群から選択される全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、
前記Tn3足場は、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する。
【0238】
さらに、本発明のTn3足場は、マーカー配列、例えば、精製を容易にするためのペプチドに融合させることができる。一部の実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、ポリヒスチジンペプチド(Hisタグ)、例えば、オクタヒスチジンタグ(His-8-タグ)またはヘキサヒスチジンタグ(His-6-タグ)、例えば、多くが市販されているベクターのうち、pQE発現ベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,Calif,91311)中に提供されるタグである。Gentz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821-824,1989に記載のとおり、例えば、ポリヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用な他のペプチドタグには、限定されるものではないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応するヘマグルチニン(「HA」)タグ(例えば、Wilson et al.、Cell 37:767,1984参照)、FLAGタグ、Strepタグ、mycタグ、V5タグ、GFPタグ、AU1タグ、AU5タグ、ECSタグ、GSTタグ、またはOLLASタグが含まれる。
【0239】
本発明のTn3足場を含む追加の融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エキソンシャフリング、および/またはコドンシャフリング(まとめて「DNAシャフリング」と称される)の技術を介して生成することができる。
【0240】
DNAシャフリングは、標的に対するTn3足場の作用を変化させるために(例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を有する足場を生成するために)用いることができる。Tn3足場は、組換え前に、エラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法によるランダム突然変異誘発により変化させることができる。特異的標的に結合する、足場をコードするポリヌクレオチドの1つ以上の部分は、1つ以上の異種分子の1つ以上の構成要素、モチーフ、区画、部分、ドメイン、断片などにより組換えることができる。
【0241】
抗体およびFcドメイン融合体
一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、抗体(例えば、IgG)のドメインまたは断片、例として、限定されるものではないが、Fcドメインに融合しているCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0242】
一部の実施形態において、1つのみのCD40L特異的モノマーサブユニットが、抗体のドメインまたは断片にコンジュゲートまたは融合している。例えば、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを、抗体のドメインまたは断片(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)のポリペプチドのN末端に融合させることができる。他の実施形態において、Tn3足場は、1つ以上のCD40L特異的モノマーサブユニットを、抗体のドメインまたは断片(例えば、抗体の重鎖および/もしくは軽鎖、またはFcドメイン)のポリペプチドのN末端および/またはC末端に融合またはコンジュゲートさせることにより作出される。
【0243】
一部の実施形態において、抗体のドメインまたは断片に融合しているCD40L特異的モノマーサブユニットの一部または全部は、同一である。一部の他の実施形態において、抗体のドメインまたは断片に融合しているCD40L特異的モノマーサブユニットの一部または全部は、異なる。
【0244】
具体的な実施形態において、本発明のTn3足場は、Fcドメインに融合している1つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。他の実施形態において、本発明のTn3足場は、Fcドメインに融合している少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。1つの具体的な実施形態において、Fcドメインに融合しているCD40L特異的モノマーサブユニットの2つは同一である。1つの具体的な実施形態において、Fcドメインに融合しているCD40L特異的モノマーサブユニットの2つは異なる。1つの具体的な実施形態において、Fcドメインに融合している2つのCD40L特異的モノマーサブユニットは、互いにタンデムに連結されており、CD40L特異的モノマーサブユニットの一方は、Fcドメインに融合している。
【0245】
一部の実施形態において、本発明の異なるTn3足場は、ヘテロダイマーの形成を助けるFcドメイン突然変異の使用によりダイマー化することができる。Fc領域のバリアント(例えば、アミノ酸置換および/または付加および/または欠失)が抗体のエフェクター機能を向上または縮小させ、抗体の薬物動態特性(例えば、半減期)を変化させ得ることが当分野において公知である。したがって、ある実施形態において、本発明のTn3足場は、Tn3足場の機能および/または薬物動態特性を変化させるために1つ以上の変化がFc領域中でなされた変化したFc領域を含むFcドメインを含む。ある実施形態において、本発明のTn3足場は、少なくとも1つのFc R媒介エフェクター機能を低減させまたは排除するために1つ以上の変化がFc領域中でなされた変化したFc領域を含むFcドメインを含む。
【0246】
エフェクター機能および/または抗炎症活性を増加または減少させるためにFc領域のグリコシル化を改変することができることも公知である。したがって、一実施形態において、本発明のTn3足場は、Tn3足場の細胞傷害および/または抗炎症特性を変化させるためにアミノ酸残基の変化したグリコシル化を有するFc領域を含む。
【0247】
Tn3足場トポロジー
本発明のTn3足場は、任意の好適な空間配置でFcドメイン、抗体軽鎖、および抗体重鎖のC末端に融合させることができる。例えば、企図される足場トポロジーの詳細な説明について国際公開PCT/US2011/032184号明細書参照。
【0248】
本発明の足場の生成
本明細書に記載のTn3足場は、新たなまたは改善された標的結合タンパク質を進化させる任意の技術において使用することができる。1つの特定の例において、標的を固体支持体、例えば、カラム樹脂またはマイクロタイタープレートウェル上に固定化し、標的を候補足場ベース結合タンパク質のライブラリーと接触させる。このようなライブラリーは、CDR様ループの配列および/または長さのランダム化を介してTn3足場から構築されたクローンからなり得る。
【0249】
これに関して、バクテリオファージ(ファージ)ディスプレイは、1つの周知技術であり、これは大きなオリゴペプチドライブラリーをスクリーニングして標的に特異的に結合し得るこれらのライブラリーのメンバーを同定することを可能とする。ファージディスプレイは、バリアントポリペプチドがバクテリオファージ粒子表面上のコートタンパク質への融合体としてディスプレイされる技術である(Scott,J.K.and Smith,G.P.(1990)Science 249:386)。天然FnIIIドメインのループ長さおよび多様性の優先度を測定するため、バイオインフォマティクスアプローチを用いることができる。この分析を使用して、ループ長さおよび配列多様性についての優先度は、「制限ランダム化(restricted randomization)」アプローチを開発するために用いることができる。この制限ランダム化において、相対ループ長さおよび配列の優先度が、ライブラリー戦略の開発に組み込まれる。ループ長さおよび配列多様性分析のライブラリー開発への統合は、制限ランダム化(すなわち、アミノ酸が存在し得るランダム化ループ内のある位置が限定される)をもたらす。
【0250】
本発明はまた、非天然Tn3足場の多様な集団を含む組換えライブラリーを提供する。一実施形態において、ライブラリーは、複数のループ領域に結合している複数のベータ鎖ドメインを含む非天然Tn3足場を含み、前記ループの1つ以上は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または付加により変動する。具体的な実施形態において、ライブラリーは、野生型Tn3足場に由来するTn3足場を含む。
【0251】
上記で詳細に説明したとおり、足場の種々のベータ鎖を連結するループは、長さおよび/または配列多様性についてランダム化することができる。一実施形態において、本発明のライブラリーは、長さおよび/または配列多様性についてランダム化された少なくとも1つのループを有するTn3足場を含む。一実施形態において、Tn3足場の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つのループが、長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。一実施形態において、少なくとも1つのループが、一定に保持される一方、少なくとも1つの追加のループが、長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。別の実施形態において、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てが一定に保持される一方、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てが長さまたは配列多様性についてランダム化される。別の実施形態において、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つ全てがランダム化される一方、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てが長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。
【0252】
具体的な実施形態において、本発明のライブラリーは、FnIII足場を含み、Aベータ鎖は、配列番号10または11を含み、Bベータ鎖は、配列番号12を含み、Cベータ鎖は、配列番号13または14を含み、Dベータ鎖は、配列番号15を含み、Eベータ鎖は、配列番号16を含み、Fベータ鎖は、配列番号17を含み、Gベータ鎖は配列番号18を含む。
【0253】
具体的な実施形態において、本発明のライブラリーはFnIII足場を含み、Aベータ鎖は、配列番号10または11からなり、Bベータ鎖は、配列番号12からなり、Cベータ鎖は、配列番号13または14からなり、Dベータ鎖は、配列番号15からなり、Eベータ鎖は、配列番号16からなり、Fベータ鎖は、配列番号17からなり、Gベータ鎖は、配列番号18からなる。
【0254】
具体的な実施形態において、本発明のライブラリーはFnIII足場を含み、Aベータ鎖は、本質的に配列番号10または11からなり、Bベータ鎖は、本質的に配列番号12からなり、Cベータ鎖は、本質的に配列番号13または14からなり、Dベータ鎖は、本質的に配列番号15からなり、Eベータ鎖は、本質的に配列番号16からなり、Fベータ鎖は、本質的に配列番号17からなり、Gベータ鎖は、本質的に配列番号18からなる。
【0255】
上記で詳細に説明したとおり、ループ内の1つ以上の残基を一定に保持することができる一方、他の残基が長さおよび/または配列多様性についてランダム化される。場合により、または代替的に、ループ内の1つ以上の残基を所定の限られた数の異なるアミノ酸に保持することができる一方、他の残基が長さおよび/または配列多様性に関してランダム化される。したがって、本発明のライブラリーは、縮重コンセンサス配列および/または1つ以上の不変アミノ酸残基を有する1つ以上のループを含み得るTn3足場を含む。別の実施形態において、本発明のライブラリーは、ランダム化されたBCループを有するTn3足場を含む。別の実施形態において、本発明のライブラリーは、ランダム化されたBCループを有するTn3足場を含む。さらに別の実施形態において、本発明のライブラリーは、ランダム化されたBCループを有するTn3足場を含む。
【0256】
一実施形態において、本発明のライブラリーは、ランダム化されたDEループをTn3足場を含む。一実施形態において、本発明のライブラリーは、ランダム化されたFGループを有するTn3足場を含む。別の実施形態において、本発明のライブラリーは、ランダム化されたFGループを有するFnIII足場を含む。
【0257】
具体的な実施形態において、本発明のライブラリーは、アミノ酸配列:
IEV(XAB)nALITW(XBC)nCELX1YGI(XCD)nTTIDL(XDE)nYSI(XEF)nYEVSLIC(XFG)nKETFTT
(式中、
(a)XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGは、それぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列中に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X1は、アミノ酸残基AまたはTを表し;
(c)ループの長さnは、2から26の整数である)
を含む足場を含む。
【0258】
一部の実施形態において、本発明のライブラリーは、アミノ酸配列:
IEVKDVTDTTALITWX1DX2X3X4X5X6X7X8CELTYGIKDVPGDRTTIDLWX9HX10AX11YSIGNLKPDTEYEVSLICRX12GDMSSNPAKETFTT(配列番号167)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基セリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基アラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基イソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基グリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基トリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基アルギニン(R)またはセリン(S)を表す)
を含む本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットを含む。
【0259】
一部の実施形態において、本発明のライブラリーは、アミノ酸配列:
IEVX1DVTDTTALITWX2X3RSX4X5X6X7X8X9X10CELX11YGIKDVPGDRTTIDLX12X13X14X15YVHYSIGNLKPDTX16YEVSLICLTTDGTYX17NPAKETFTT(配列番号171)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基リジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基トレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基セリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基チロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基チロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基セリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14は、アミノ酸残基プロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはアラニン(A)またはアミノ酸無しを表し;
(o)X15は、アミノ酸残基イソロイシン(I)またはアミノ酸無しを表し;
(p)X16は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;
(q)X17は、アミノ酸残基セリン(S)またはアスパラギン(N)を表す)
を含む本発明のCD40L特異的Tn3モノマーサブユニットを含む。
【0260】
本発明は、本発明のライブラリーをスクリーニングすることにより、標的、例えば、CD40Lに結合し、親Tn3足場と比較して増加した安定性または標的、例えば、CD40Lに対する改善された作用を有する組換えTn3足場を同定する方法をさらに提供する。
【0261】
ある実施形態において、親Tn3足場と比較して増加したタンパク質安定性を有し、特異的に標的に結合する組換えTn3足場を同定する方法は、
標的リガンドを本発明のライブラリーと、足場:標的リガンド複合体の形成に好適な条件下で接触させること;
複合体から標的リガンドに結合する足場を得ること;
工程(b)において得られた足場の安定性が野生型Tn3足場のそれよりも大きいかどうかを判定すること
を含む。
【0262】
同一の方法を使用して標的に対する改善された結合親和性、アビディティーなどを有する組換えTn3足場を同定することができる。一実施形態において、工程(a)において、本発明の足場ライブラリーを固定化標的とインキュベートする。一実施形態において、工程(b)において、足場:標的リガンド複合体を洗浄して非特異的結合剤を除去し、最も強固な結合剤を極めてストリンジェントな条件下で溶出させ、PCRに供して配列情報を回収する。工程(b)において得られた結合剤および/または配列情報は、本明細書に開示の方法または当業者に公知の方法を使用して新たなライブラリーを作出するために使用することができ、さらなる配列の突然変異誘発を用いてまたは用いずに選択プロセスを繰り返すために使用することができることが具体的に企図される。一部の実施形態において、抗原についての十分な親和性を有する結合剤が得られるまで多くの選択のラウンドを実施することができる。
【0263】
本発明のさらなる実施形態は、本発明および上記の足場を含むライブラリーをコードする単離核酸分子の回収物である。
【0264】
本発明の足場は、親和性成熟に供することができる。この当分野において認められたプロセスにおいて、特異的結合タンパク質を、特異的標的についての増加した親和性について選択するスキームに供する(Wu et al.,Proc Natl Acad Sci USA.95(11):6037-42参照)。得られる本発明の足場は、親和性成熟前の足場と比較して少なくとも同程度の大きさの結合特性を示し得る。
【0265】
本発明はまた、標的に結合して足場:標的複合体を形成し得るタンパク質足場のアミノ酸配列を同定する方法を提供する。一実施形態において、この方法は、(a)本発明のライブラリーを固定化または分離可能な標的と接触させること;(b)足場:標的複合体を遊離足場から分離すること;(c)(b)の分離された足場の複製を引き起こし、低下した多様性を有することにより、および標的に結合し得るディスプレイされた足場の濃縮により(a)におけるものとは区別される新たなポリペプチドディスプレイライブラリーをもたらすこと;d)場合により、工程(a)、および(b)を(c)の新たなライブラリーを用いて繰り返すこと;ならびにe)(d)からの種のディスプレイされた足場をコードする領域の核酸配列を決定し、それにより標的に結合し得るペプチド配列を推定することを含む。
【0266】
別の実施形態において、本発明のTn3足場は、ライブラリースクリーンからの同定後にさらにランダム化することができる。一実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載の方法を使用してライブラリーから同定された足場の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つのループをさらにランダム化することを含む。別の実施形態において、さらにランダム化された足場を、標的に結合し得る足場を同定する後続の方法に供する。この方法は、(a)前記さらにランダム化された足場を固定化または分離可能な標的と接触させること、(b)さらにランダム化された足場:標的複合体を遊離足場から分離すること、(c)(b)の分離された足場の複製を引き起こし、場合により、工程(a)~(c)を繰り返すこと、および(d)前記さらにランダム化された足場をコードする領域の核酸配列を決定し、それにより標的に結合し得るペプチド配列を推定することを含む。
【0267】
さらなる実施形態において、さらにランダム化された足場は、最初のライブラリーにおいて事前にランダム化された少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのランダム化ループを含む。代替的なさらなる実施形態において、さらにランダム化された足場は、最初のライブラリーにおいて事前にランダム化されなかった少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのランダム化ループを含む。
【0268】
本発明はまた、少なくとも1つ以上の標的に結合する少なくとも2つのTn3足場を得る方法を提供する。この方法は、特定の応答を誘発するように協調して作用する薬剤のスクリーニングを可能とする。2つ以上の足場の協調を要求するアゴニスト活性が要求される場合、このようなスクリーンを使用することは有利であり得る。この方法は、ライブラリーを再フォーマット化してマルチマー複合体を形成することなく協調薬剤のスクリーニングを可能とする。一実施形態において、本発明の方法は、標的リガンドを本発明のライブラリーと、足場:標的リガンド複合体の形成を可能とする条件下で接触させること、前記足場を架橋剤(少なくとも2つの同一または区別される足場を近接して合わせる薬剤と定義)と会合させ、足場の架橋が検出可能な応答を誘発すること、および複合体から、前記標的に結合する足場を得ることを含む。さらなる実施形態において、架橋剤は、足場特異的抗体、またはその断片、エピトープタグ特異的抗体またはその断片、ダイマー化ドメイン、例えば、Fc領域、コイルドコイルモチーフ(例えば、限定されるものではないが、ロイシンジッパー)、化学架橋剤、または当分野において公知の別のダイマー化ドメインである。
【0269】
本発明はまた、本発明のTn3足場を利用して化合物を検出する方法を提供する。ライブラリースクリーニングにより得られたTn3足場の結合特異性に基づき、このようなTn3足場をアッセイにおいて、例えば、診断法に使用して試料中の特異的標的を検出することが可能である。一実施形態において、化合物を検出する方法は、試料中の前記化合物を本発明のTn3足場と、化合物:足場複合体の形成を可能とする条件下で接触させること、および前記足場を検出し、それにより試料中の前記化合物を検出することを含む。さらなる実施形態において、足場を標識(すなわち、放射標識、蛍光、酵素結合または比色標識)して化合物の検出を容易にする。
【0270】
本発明はまた、本発明のTn3足場を利用して化合物を捕捉する方法を提供する。ライブラリースクリーニングにより得られたTn3足場の結合特異性に基づき、試料中の特異的標的を捕捉するためのアッセイにおいて、例えば、精製法にこのようなTn3足場を使用することが可能である。一実施形態において、試料中の化合物を捕捉する方法は、試料中の前記化合物を本発明の足場と、化合物:足場複合体の形成を可能とする条件下で接触させること、および前記複合体を試料から取り出し、それにより前記試料中の前記化合物を捕捉することを含む。さらなる実施形態において、Tn3足場を固定化して化合物:足場複合体の取り出しを容易にする。
【0271】
一部の実施形態において、本発明のライブラリーから単離されたTn3足場は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、またはそれを超えるランダム化ループを含む。一部の実施形態において、単離Tn3足場ループ配列を、ドナー足場からFnIIIレシーバー足場、例として、限定されるものではないが、Tn3レシーバー足場中の任意のループとスワッピングすることができる(例えば、ドナー足場からのFGループ配列を、レシーバーFnIII足場中の任意のループに移すことができる)。具体的な実施形態において、単離ループ配列を、レシーバー足場のコグネートループに移すことができる(例えば、ドナー足場からのFGループ配列を、FGループ位置中のFnIIIレシーバー足場に移すことができる)。一部の実施形態において、単離ループ配列は、種々のレシーバー足場とランダムに「混合し、一致させる」ことができる。
【0272】
他の実施形態において、単離Tn3足場配列は、ループ配列により同定することができる。例えば、ライブラリーを使用して特定の標的に対してパニングし、特異的結合剤の回収物を単離する。ランダム化ループ配列は、Tn3足場バックグラウンド(すなわち、配列番号XのFGループ配列を含む、標的Xに結合する足場)とは独立して特異的配列として特性決定することができる。代替的実施形態において、足場が標的Xに結合する2つのループ配列を示す場合、ループ配列は、足場配列の不存在下で結合標的Xとして特性決定することができる。言い換えれば、特定の標的に結合するライブラリーから単離された足場は、足場骨格とは独立した標的に結合する可変ループ配列として発現させることができることが企図される。このプロセスは、抗体の可変領域のCDRの概念と類似する。
【0273】
親和性成熟
本発明のTn3足場の開発は、1つ以上のインビトロまたはインビボ親和性成熟工程を含み得る。一部の実施形態において、Tn3モノマーサブユニットは、単一の親和性成熟の工程を受け得る。他の実施形態において、Tn3モノマーサブユニットは、2つ以上の親和性成熟の工程を受け得る。一般に、親和性成熟Tn3足場の所望抗原への結合を改善する親Tn3足場中のアミノ酸変化、または具体的には親Tn3足場ループ中のアミノ酸変化をもたらす任意の親和性成熟アプローチを用いることができる。
【0274】
これらのアミノ酸変化は、例えば、ランダム突然変異誘発、「ウォークスルー(walk through)」突然変異誘発、および「ルックスルー(look through)」突然変異誘発を介して達成することができる。このような突然変異誘発は、FnIIIベース結合分子の全部または一部のアブイニシオ合成の間に、例えば、エラープローンPCR、酵母または細菌の「突然変異誘発遺伝子」株、ランダムまたは規定核酸変化の組込みを使用することにより達成することができる。親和性成熟および/または突然変異誘発を実施する方法は、例えば、米国特許第7,195,880号明細書;米国特許第6,951,725号明細書;米国特許第7,078,197号明細書;米国特許第7,022,479号明細書;米国特許第5,922,545号明細書;米国特許第5,830,721号明細書;米国特許第5,605,793号明細書;米国特許第5,830,650号明細書;米国特許第6,194,550号明細書;米国特許第6,699,658号明細書;米国特許第7,063,943号明細書;米国特許第5,866,344号明細書およびPCT公開国際公開第06023144号パンフレットに記載されている。
【0275】
このような親和性成熟法は、抗原結合スクリーニングアッセイのストリンジェンシーを増加させて抗原についての改善された親和性を有するTn3足場を選択することをさらに要求し得る。タンパク質-タンパク質相互作用アッセイのストリンジェンシーを増加させる当分野において承認された方法を本明細書において使用することができる。一実施形態において、アッセイ条件の1つ以上を変動させ(例えば、アッセイ緩衝液の塩濃度)所望抗原についてのTn3足場の親和性を低減させる。別の実施形態において、Tn3足場が所望抗原に結合するのに許容される時間の長さを低減させる。
【0276】
別の実施形態において、競合的結合工程をタンパク質-タンパク質相互作用アッセイに追加することができる。例えば、最初に、Tn3足場を所望の固定化抗原に結合させることができる。次いで、固定化抗原と結合について競合するように機能する規定濃度の非固定化抗原を添加し、それにより、抗原について最低の親和性を有するTn3足場を固定化抗原から溶離させ、改善された抗原結合親和性を有するTn3足場の選択をもたらす。アッセイ条件のストリンジェンシーは、アッセイに添加される非固定化抗原の濃度を増加させることによりさらに増加させることができる。
【0277】
スクリーニング法は、改善された抗原結合を有する1つ以上のTn3足場を濃縮するために、複数の選択ラウンドも要求し得る。一実施形態において、それぞれの選択ラウンドにおいて、さらなるアミノ酸突然変異をTn3足場中に導入する。別の実施形態において、それぞれの選択ラウンドにおいて、所望抗原への結合のストリンジェンシーを増加させて抗原についての増加した親和性を有するTn3足場が選択される。
【0278】
一部の実施形態において、親和性成熟は、Tn3のBC、DE、およびFGループ一部の飽和突然変異誘発により実施する。一部の実施形態において、飽和突然変異誘発は、Kunkel突然変異誘発を使用して実施する。他の実施形態において、飽和突然変異誘発は、PCRを使用して実施する。
【0279】
一部の実施形態において、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つ以上の親和性成熟ラウンドを適用する。一部の実施形態において、飽和突然変異誘発を1つのみのループに適用する一方、一部の他の実施形態において、1つのみのループまたはループの一部を1つの親和性成熟ラウンドの間に突然変異させる。一部の実施形態において、2つ以上のループまたは1つ以上のループの一部を、同一の親和性成熟ラウンドの間に突然変異させる。
【0280】
他の実施形態において、BC、DE、およびFGループを、同一の親和性成熟ラウンドの間に同時に突然変異させる。
【0281】
モノマーを同一標的の異なるエピトープに結合するマルチマーTn3足場にアセンブルする場合、または二重特異性Tn3足場の場合、それぞれの結合特異性を独立してスクリーニングすることができる。
【0282】
一部の実施形態において、ループはファージディスプレイライブラリーを使用してランダム化させる。一部の実施形態において、Tn3足場の所望標的への結合は、当分野において承認された方法を使用して測定することができる。また、スクリーンにおいて同定されたTn3足場のアミノ酸配列は、当分野において承認された方法を使用して決定することができる。
【0283】
一部の実施形態において、本発明のモノマー親和性成熟足場は、表面プラズモン共鳴または当分野において公知の他のアッセイにより計測して、親和性成熟前の同一のTn3足場と比較して少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、または少なくとも100倍またはそれを超えるCD40Lについての親和性の増加を示す。一部の実施形態において、本発明のモノマー親和性成熟足場は、表面プラズモン共鳴または当分野において公知の他のアッセイにより計測して5μM未満、1μM未満、500μM未満、250μM未満、100μM未満、または50μM未満の解離定数(Kd)を有する。
【0284】
これらの親和性成熟法は、望ましい改善された結合特性、例えば、増加した親和性、または他の望ましい特徴、例えば、好ましい薬物動態特性、高効力、低免疫原性、増加もしくは減少した交差反応性などを有するTn3足場を開発するために適用することができる。
【0285】
タンデムリピートの生成
2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを結合させることにより形成されるダイマーであるタンデム構築物の結合は、当分野において公知の制限酵素、例として、限定されるものではないが、II型およびIIS型制限酵素を使用する制限酵素部位におけるオリゴヌクレオチドのライゲーションにより生成することができる。
【0286】
本発明のマルチマーTn3足場は、C末端および/またはN末端において、および/または本明細書に記載のドメイン間にリンカーを含み得る。さらに、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つまたはポリペプチド足場を含む本発明の足場は、ダイマー化ドメイン、例として、限定されるものではないが、以下から選択される抗体部分に融合またはコンジュゲートさせることができる:
(i)VL、CL、VHおよびCH1ドメインを有するFab断片;
(ii)CH1ドメインのC末端において1つ以上のシステイン残基を有するFab断片であるFab’断片;
(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFd断片;
(iv)VHおよびCH1ドメインならびにCH1ドメインのC末端における1つ以上のシステイン残基を有するFd’断片;
(v)抗体単一アームのVLおよびVHドメインを有するFv断片;
(vi)VHドメインからなるdAb断片;
(vii)単離CDR領域;
(viii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋により結合している2つのFab’断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片;
(ix)単鎖抗体分子(例えば、単鎖Fv;scFv);
(x)同一ポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に連結されている重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する「ダイアボディー」;
(xi)相補的な軽鎖ポリペプチドと一緒になって一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「直鎖抗体」;
(xii)全長抗体;ならびに
(xiii)CH2-CH3を含み、ヒンジ領域および/またはCH1領域の全部または一部をさらに含み得るFc領域。
【0287】
Tn3足場の産生
本発明のTn3足場の組換え発現は、Tn3足場をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を要求する。Tn3足場をコードするポリヌクレオチドを得たら、Tn3足場産生のためのベクターを当分野において周知の技術を使用する組換えDNA技術により産生することができる。したがって、ヌクレオチド配列をコードするTn3足場を含有するポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製する方法が本明細書に記載される。当業者に周知の方法を使用して足場ポリペプチドコード配列ならびに適切な転写および転写制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換え技術が含まれる。したがって、本発明は、プロモーターに作動可能に結合している本発明のTn3足場をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。
【0288】
発現ベクターは、慣用の技術により宿主細胞に移し、次いで形質移入された細胞を慣用の技術により培養して本発明のTn3足場を産生する。したがって、本発明は、異種プロモーターに作動可能に結合している本発明の足場をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を含む。好適な宿主細胞には、限定されるものではないが、微生物、例えば、細菌(例えば、大腸菌(E.coli)および枯草菌(B.subtilis))が含まれる。
【0289】
種々の宿主発現ベクター系を、本発明のTn3足場を発現させるために利用することができる。このような宿主発現系は、関心対象のコード配列を産生し、続いて精製することができるビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換または形質移入された場合、本発明の足場をインサイチューで発現し得る細胞も表す。これらには、限定されるものではないが、微生物、例えば、足場コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌(例えば、大腸菌(E.coli)および枯草菌(B.subtilis))または哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NSO、および3T3細胞)が含まれる。
【0290】
本発明のTn3足場の産生に有用な方法は、例えば、国際特許出願公開の国際公開第2009/058379号パンフレットに開示されている。本発明の足場を組換え発現により産生したら、それをタンパク質の精製について当分野において公知の任意の方法により精製することができる。
【0291】
一部の実施形態において、本発明の足場は、組換え発現の間にグリコシル化され得るアミノ酸残基を置き換えることにより非グリコシル化形態で産生することができる。1つの具体的な実施形態において、グリシン-セリンリンカー(例えば、配列番号131または配列番号132)中のセリンアミノ酸を、他のアミノ酸残基、例えば、アラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシンまたはバリン(例えば、配列番号140、141、142および143参照)、により置き換えて組換え発現の間のグリコシル化を妨害することができる。一部の具体的な実施形態において、N-グリコシル化部位を本発明のTn3足場から除去する。他の実施形態において、本発明の足場は、組換え発現後に脱グリコシル化することができる。例えば、酵素カクテルを使用する組換え発現後のインビトロ脱グリコシル化の方法は、当分野において公知である(例えば、QA-bio,Palm Desert,CAから市販されているPFGase F、Enodo F Multi、Orela O-linked Glycan Release、Enzymatic CarboRelease、およびEnzymatic DeGlycoMx脱グリコシル化キット)。
【0292】
研究室における本発明のTn3足場の産生は、米国特許出願公開第2010-0298541A1号明細書に記載のとおり、分析スケールのリアクターまたは生産スケールのリアクターで足場を産生するためにスケールアップすることができる。
【0293】
分泌Tn3足場のスケーラブル産生
本発明のTn3足場は、細胞内で、または分泌形態として産生することができる。一部の実施形態において、分泌足場は、適正にフォールドされ、完全に機能的である。本発明のTn3足場は、スケーラブルプロセスにより産生することができる。一部の実施形態において、足場は、スケールアップして本発明の足場を分析スケールのバイオリアクター(例えば、限定されるものではないが、5L、10L、15L、30L、または50Lバイオリアクター)で産生可能な、研究室における本発明のスケーラブルプロセスにより産生することができる。他の実施形態において、Tn3足場は、スケールアップして本発明のTn3足場を生産スケールのバイオリアクター(例えば、限定されるものではないが、75L、100L、150L、300L、または500L)で産生することができる、研究室における本発明のスケーラブルプロセスにより産生することができる。一部の実施形態において、本発明のスケーラブルプロセスは、研究室において実施される産生プロセスと比較して生産効率の低減をほとんど、または全くもたらさない。
【0294】
リンカー
マルチマーTn3足場中のモノマーサブユニットは、タンパク質および/または非タンパク質リンカーにより連結することができ、それぞれのリンカーは、少なくとも2つのモノマーサブユニットに融合される。好適なリンカーは、タンパク質リンカー、非タンパク質リンカー、およびそれらの組合せからなっていてよい。リンカーの組合せは、ホモマーであってもヘテロマーであってもよい。一部の実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場は、複数のモノマーサブユニットを含み、全てのリンカーは、同一である。他の実施形態において、マルチマーTn3足場は、複数のモノマーサブユニットを含み、リンカーの少なくとも1つは、残りのリンカーとは機能的にまたは構造的に異なる。一部の実施形態において、リンカーは、標的への結合に直接的または間接的に関与することにより、それ自体でマルチマーTn3足場の活性に寄与し得る。
【0295】
一部の実施形態において、タンパク質リンカーは、ポリペプチドである。リンカーポリペプチドは、2つ以上のモノマーサブユニットを、それらが所望活性を保持できるように互いに対して正確な立体構造を呈するように結合させるために適切な長さを有するべきである。
【0296】
一実施形態において、ポリペプチドリンカーは、1から約1000アミノ酸残基、1から約50アミノ酸残基、1~25アミノ酸残基、1~20アミノ酸残基、1~15アミノ酸残基、1~10アミノ酸残基、1~5アミノ酸残基、1~3アミノ酸残基を含む。本発明は、ポリペプチドリンカー配列をコードする核酸、例えば、DNA、RNA、またはその両方の組合せをさらに提供する。ポリペプチドリンカー中に含めるために選択されるアミノ酸残基は、本発明のマルチマーTn3足場の活性とも機能とも顕著に干渉しない特性を示すべきである。したがって、ポリペプチドリンカーは全体として、本発明のTn3マルチマー足場の活性とも機能とも一致しない電荷も、内部フォールディングと干渉する電荷も、本発明のTn3マルチマー足場のCD40Lへの結合を大きく害するモノマーサブユニットの1つ以上のアミノ酸残基と結合を形成する電荷も、それらとの他の相互作用を形成する電荷も示すべきではない。
【0297】
ポリペプチドを新規結合融合ポリペプチドに連結するための、天然および人工ペプチドリンカーの使用は、文献において周知である。したがって、2つ以上のモノマーサブユニットを融合しているリンカーは、天然リンカー、人工リンカー、またはそれらの組合せである。一部の実施形態において、本発明のTn3マルチマー足場中に存在する全てのペプチドリンカーのアミノ酸配列は、同一である。他の実施形態において、本発明のマルチマーTn3足場中に存在するペプチドリンカーの少なくとも2つのアミノ酸配列は、異なる。
【0298】
一部の実施形態において、ポリペプチドリンカーは、立体構造のフレキシビリティを有する。一部の実施形態において、ポリペプチドリンカー配列は、(G-G-G-G-X)mアミノ酸配列を含み、式中、Xは、アラニン(A)、セリン(S)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)またはバリン(V)であり、mは、正の整数である(例えば、配列番号209参照)。具体的な実施形態において、ポリペプチドリンカー配列は、(G-G-G-G-S)mアミノ酸配列を含み、式中、mは、正の整数である(例えば、配列番号147参照)。別の具体的な実施形態において、ポリペプチドリンカー配列は、(G-G-G-G-G)mアミノ酸配列を含み、式中、mは、正の整数である(例えば、配列番号148参照)。さらに別の具体的な実施形態において、ポリペプチドリンカー配列は、(G-G-G-G-A)mアミノ酸配列を含む、式中、mは、正の整数である(例えば、配列番号149参照)。一部の実施形態において、ポリペプチドリンカーは、本質的に決まった構造を取らない天然または人工ポリペプチドである(例えば、Schellenberger et al.,Nature Biotechnol.27:1186-1190、2009参照;さらにSickmeier et al.,Nucleic Acids Res.35:D786-93、2007参照)。
【0299】
ペプチドリンカーは、非ポリペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基が導入されるように改変することができる。このようなアミノ酸残基の例は、(続いて非ポリペプチド部分が結合される)システイン残基であり得、またはアミノ酸配列は、インビボN-グリコシル化部位を含み得る(それにより、糖部分(インビボで)をペプチドリンカーに結合させる)。
【0300】
一部の実施形態において、ポリペプチドマルチマー中に存在する全てのペプチドリンカーのアミノ酸配列は、同一である。あるいは、ポリペプチドマルチマー中に存在する全てのペプチドリンカーのアミノ酸配列は、異なり得る。
【0301】
Tn3足場の標識またはコンジュゲーション
本発明のTn3足場は、非コンジュゲート形態で使用することができ、または標的検出を容易にするために、または画像化もしくは治療法のために、種々の異種部分の少なくとも1つにコンジュゲートさせることができる。Tn3足場は、精製を実施する場合、精製の前または後のいずれかで標識しまたはコンジュゲートさせることができる。
【0302】
多くの異種部分は、本発明のTn3足場を結合させることができる好適な官能基を欠く。したがって、一部の実施形態において、リンカーを介してエフェクター分子を足場に結合させ、リンカーは、コンジュゲーションのための反応性基を含む。一部の実施形態において、本発明のTn3足場にコンジュゲートしている異種部分は、リンカーとして機能し得る。他の実施形態において、この部分は、開裂可能または開裂不能であり得るリンカーを介してTn3足場にコンジュゲートさせる。一実施形態において、開裂可能な結合分子は、酸化還元開裂可能結合分子であり、その結果その結合分子は、より低い酸化還元電位を有する環境、例えば、細胞質および遊離スルフヒドリル基を有するより高濃度の分子を有する他の領域中で開裂可能である。酸化還元電位の変化に起因して開裂され得る結合分子の例には、ジスルフィドを含有する分子が含まれる。
【0303】
一部の実施形態において、本発明のTn3足場を、コンジュゲーションのための反応性基を提供するように遺伝子操作する。このような足場において、N末端および/またはC末端は、コンジュゲーションのための反応性基を提供するようにも機能し得る。他の実施形態において、N末端は、ある部分(例えば、限定されるものではないが、PEG)にコンジュゲートさせることができる一方、C末端は、別の部分(例えば、限定されるものではないが、ビオチン)にコンジュゲートさせ、またはその逆も可能である。
【0304】
「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、カップリング剤、カップリングまたは活性化部分を有しまたは有さない(例えば、チオール、トリフレート、トレシレート、アジリジン、オキシラン、N-ヒドロキシスクシンイミドまたはマレイミド部分を有する)ポリエチレングリコール化合物またはその誘導体を意味する。「PEG」という用語は、例えば、末端のOH基がメトキシ基(mPEGと称される)により置き換えられた、500から150,000Daの分子量のポリエチレングリコール(その類似体を含む)を示すことが意図される。
【0305】
本発明のTn3足場は、ポリエチレングリコール(PEG)により誘導体化することができる。PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を有するエチレンオキシド繰り返し単位の直鎖水溶性ポリマーである。PEGは、典型的には約500ダルトンから約40,000ダルトンに及ぶそれらの分子量により分類される。具体的な実施形態において、用いられるPEGは、5,000ダルトンから約20,000ダルトンに及ぶ分子量を有する。本発明の足場にカップリングされたPEGは、分枝鎖でも非分枝鎖でもよい。例えば、Monfardini,C.et al.1995 Bioconjugate Chem 6:62-69参照。PEGは、Nektar Inc.,Sigma Chemical Co.および他の会社から市販されている。このようなPEGには、限定されるものではないが、モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG-OH)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシネート(MePEG-S)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシンイミジルスクシネート(MePEG-S-NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール-アミン(MePEG-NH2)、モノメトキシポリエチレングリコール-トレシレート(MePEG-TRES)、およびモノメトキシポリエチレングリコール-イミダゾリル-カルボニル(MePEG-IM)が含まれる。
【0306】
簡潔に述べると、用いられる親水性ポリマー、例えば、PEGを、非反応性基、例えば、メトキシ基またはエトキシ基により一端においてキャッピングする。その後、ポリマーを、好適な活性化剤、例えば、ハロゲン化シアヌル(例えば、塩化、臭化またはフッ化シアヌル)、カルボニルジイミダゾール、無水物試薬(例えば、無水ジハロコハク酸、例えば、無水ジブロモコハク酸)、アシルアジド、p-ジアゾニウムベンゾイルエーテル、3-(p-ジアゾニウムフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピルエーテル)などとの反応により他端において活性化させる。次いで、活性化ポリマーを本明細書に記載のポリペプチドと反応させてポリマーにより誘導体化されたポリペプチドを産生する。あるいは、本発明のTn3足場中の官能基は、ポリマーとの反応のために活性化させることができ、または2つの基は、公知のカップリング法を使用する協調カップリング反応で結合させることができる。本発明のポリペプチドは、当業者に公知であり、当業者により使用される多数の他の反応スキームを使用してPEGにより誘導体化することができることは容易に認識される。PEGは、Tn3足場のいずれかの末端またはTn3足場内の1つ以上の官能基の位置において、本発明の足場にカップリングすることができる。ある実施形態において、PEGは、N末端またはC末端のいずれかにおいてカップリングされる。
【0307】
他の実施形態において、本発明のTn3足場、その類似体または誘導体は、診断剤または検出剤にコンジュゲートさせることができる。このようなTn3足場は、臨床試験手順の一部として疾患の発症または進行のモニタリングまたは予後診断に、例えば、特定の治療法の効力を決定するために有用であり得る。
【0308】
本発明は、治療部分にコンジュゲートしているTn3足場の使用をさらに包含する。Tn3足場は、治療部分、例えば、細胞毒素、例えば、静菌剤もしくは殺細胞剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、α線放射体にコンジュゲートさせることができる。細胞毒素または細胞傷害剤には、細胞に有害である任意の薬剤が含まれる。
【0309】
Tn3足場のアッセイ
Tn3足場の抗原への結合親和性および他の結合特性は、当分野において公知の種々のインビトロアッセイ法、例として、例えば、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)またはカイネティクス(例えば、BIACORE(登録商標)分析)、ならびに他の方法、例えば、間接結合アッセイ、競合結合アッセイ、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)により測定することができる。これらのおよび他の方法は、試験されている構成要素の1つ以上に対する標識を利用し、および/または種々の検出法、例として、限定されるものではないが、発色、蛍光、発光、または同位体標識を用い得る。結合親和性およびカイネティクスについての詳細な説明は、Paul,W.E.,ed.,Fundamental Immunology,4th Ed.,Lippincott-Raven,Philadelphia(1999)に見出すことができる。
【0310】
一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、規定のカイネティクスで標的に特異的に結合する。一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、1×10-2M、1×10-3M、1×10-4M、1×10-5M、1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M、1×10-12M、1×10-13M、1×10-14M未満または1×10-15M未満の解離定数またはKd(koff/kon)を有し得る。具体的な実施形態において、本発明のTn3足場は、BIAcoreアッセイ(登録商標)により、または当分野において公知の他のアッセイにより測定して500μM、100μM、500nM、100nM、1nM、500pM、100pM、またはそれ未満のKdを有する。
【0311】
代替的な実施形態において、本発明のTn3足場の親和性は、少なくとも1×102M-1、1×103M-1、1×104M-1、1×105M-1、1×106M-1、1×107M-1、1×108M-1、1×109M-1、1×1010M-1 1×1011M-1 1×1012M-1、1×1013M-1、1×1014M-1、1×1015M-1、または少なくとも5×l015M-1のkon/koff比として算出される会合定数(Ka)を単位として記載される。
【0312】
ある実施形態において、本発明のTn3足場が標的エピトープから解離する速度は、KdまたはKaの値よりも適切であり得る。一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、10-3s-1未満、5×10-3s-1未満、10-4s-1未満、5×10-4s-1未満、10-5s-1未満、5×10-5s-1未満、10-6s-1未満、5×10-6s-1未満、10-7s-1未満、5×10-7s-1未満、10-8s-1未満、5×10-8s-1未満、10-9s-1未満、5×10-9s-1未満、または10-10s-1未満のkoffを有する。
【0313】
ある他の実施形態において、本発明のTn3足場が標的エピトープと会合する速度は、KdまたはKaの値よりも適切であり得る。この場合、本発明のTn3足場は、少なくとも105M-1s-1、少なくとも5×105M-1s-1、少なくとも106M-1s-1、少なくとも5×106M-1s-1、少なくとも107M-1s-1、少なくとも5×107M-1s-1、または少なくとも108M-1s-1、または少なくとも109M-1s-1のkon速度で標的に結合する。
【0314】
本発明のTn3足場は、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用な固体支持体に結合させることもできる。このような固体支持体には、限定されるものではないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが含まれる。
【0315】
CD40L特異的Tn3足場
本発明は、CD40Lに特異的に結合するTn3足場を提供する。具体的な実施形態において、本発明の足場は、ヒトCD40Lに特異的に結合する。他の具体的な実施形態において、本発明のTn3足場は、マウス、ニワトリ、アカゲザル、カニクイザル、ラット、またはウサギからのCD40L相同体に結合する。一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、CD40Lの露出エピトープに結合する。このような実施形態には、細胞上で内因的に発現したCD40Lおよび/または受容体を異所的に発現するように形質移入された細胞が含まれる。
【0316】
一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、モノマーCD40L上でディスプレイされたエピトープを認識する。他の実施形態において、本発明のTn3足場は、CD40Lのトリマー形態上でディスプレイされたエピトープを認識する。他の実施形態において、本発明のTn3足場は、膜結合CD40L上でディスプレイされたエピトープを認識する。他の実施形態において、本発明のTn3足場は、可溶性CD40L上でディスプレイされたエピトープを認識する。
【0317】
さらに他の実施形態において、本発明のTn3足場は、モノマーCD40Lに結合し、CD40L分子のオリゴマー化を妨害または干渉する。さらに他の実施形態において、本発明の足場は、CD40LとCD40との相互作用を低減させまたは阻害する。他の実施形態において、本発明のTn3足場は、CD40Lにより媒介される細胞シグナリングをアゴナイズする。さらに他の実施形態において、本発明のTn3足場は、CD40Lにより媒介される細胞シグナリングをアンタゴナイズする。
【0318】
本発明はまた、本明細書に記載のTn3足場を使用してCD40L活性をモジュレートする方法を提供する。一部の実施形態において、本発明の方法は、CD40LをCD40L特異的足場と接触させること、およびCD40とCD40Lとの相互作用を遮断することを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、CD40L発現細胞をCD40L特異的Tn3足場と接触させること、および細胞表面からのCD40Lのタンパク質分解開裂を妨害することを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、CD40LモノマーをCD40L特異的Tn3足場と接触させること、およびCD40Lオリゴマー化を妨害することを含む。他の実施形態において、CD40Lのダイマー化またはオリゴマー化は、マルチマーTn3足場の使用を介して達成することができる。
【0319】
一部の実施形態において、本発明の方法は、当分野において公知の定型アッセイにより計測してCD40媒介免疫応答(例えば、Elqueta et al.229:152-172,2009参照)、またはCD40LへのCD40結合により開始される下流シグナリング経路を低減させるCD40L特異的足場の投与を含む。
【0320】
任意の特定の理論により拘束されるものではないが、本発明のCD40L足場は、CD40へのCD40Lの結合を妨害することにより、可溶性CD40Lを結合および封鎖することにより、CD40LとCD40との相互作用を変化させるが結合を妨害しないことにより、可溶性CD40Lを生じさせるための細胞表面からのCD40Lのメタロプロテアーゼ媒介酵素的開裂を妨害または向上させることにより、細胞表面CD40Lエンドサイトーシスを妨害または向上させることなどにより機能し得る。
【0321】
特異的CD40L結合配列
一部の実施形態において、本発明のTn3足場は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのCD40Lに結合するループ配列を含むCD40L特異的モノマーサブユニットを含む。
【0322】
一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、以下から選択されるCD40L結合モノマークローンの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのループ配列を含む:309(ナイーブTn3ライブラリーから単離された親309ファミリークローン;配列番号20)、309FGwt(ヒト化FGループを有する親309クローン;配列番号22)、340(親和性成熟309クローン;配列番号24)、341(親和性成熟309クローン;配列番号26)、342(親和性成熟309クローン;配列番号28または配列番号146)、343(親和性成熟309クローン;配列番号30)、344(親和性成熟309クローン;配列番号32)、345(親和性成熟309クローン;配列番号34)、346(親和性成熟309クローン;配列番号36)、347(親和性成熟309クローン;配列番号38)、348(親和性成熟309クローン;配列番号40)、349(親和性成熟309クローン;配列番号42)、311(ナイーブTn3ライブラリーから単離された親311ファミリークローン;配列番号44)、311K4E(第1の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号46);311K4E_1(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号48)、311K4E_2(第2の親和性成熟のラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号50)、311K4E_3(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号52)、311K4E_4(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号54)、311K4E_5(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号56)、311K4E_7(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号58)、311K4E_8(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号60)、311K4E_9(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号62)、311K4E_10(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号64)、311K4E_11(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号66)、311K4E_12(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号68)、311K4E_13(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号70)、311K4E_14(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号72)、311K4E_15(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号74)、311K4E_16(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号76)、311K4E_19(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号78)、311K4E_20(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号80)、および311K4E_21(第2の親和性成熟ラウンドからのバリアント311ファミリークローン;配列番号82)。
【0323】
一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、表2に列記されるループ配列から選択される少なくとも1つのループ配列を含む。他の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、表2に列記されるBCループ配列から選択される少なくとも1つのBCループ配列を含む。他の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、表2に列記されるDEループ配列から選択される少なくとも1つのDEループ配列を含む。他の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、表2に列記されるFGループ配列から選択される少なくとも1つのFGループ配列を含む。
【0324】
一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、表2に列記されるBCループ配列から選択されるBCループ配列;および表2に列記されるDEループ配列から選択されるDEループ配列を含む。他の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、表2に列記されるBCループ配列から選択されるBCループ配列;および表2に列記されるFGループ配列から選択されるFGループ配列を含む。他の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、表2に列記されるDEループ配列から選択されるDEループ配列;および表2に列記されるFGループ配列から選択されるFGループ配列を含む。一部の実施形態において、CD40L特異的モノマーサブユニットは、1、2または3つの異なるTn3クローンからのループ配列に対応するループ配列を含む。
【0325】
ある実施形態において、CD40L特異的モノマー足場配列が配列のC末端においてリンカーおよび/またはヒスチジンタグ(例えば、His-8タグ)、または追加のN末端アミノ酸を含有する場合、これらのC末端リンカーおよび/またはヒスチジンタグならびに追加のN末端アミノ酸を除去することができ、したがって、対応するアミノ酸配列は、C末端リンカーおよびHisタグ配列ならびに1つまたは複数のN末端追加アミノ酸の欠失を含有する。
【0326】
一部の実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、単一のモノマーサブユニット、例えば、342クローン配列(親和性成熟309クローン;配列番号28および/または配列番号146)を含む。他の実施形態において、CD40L特異的足場は、2つ以上のモノマーサブユニット、例えば、2つの342クローンモノマーサブユニット(配列番号28および/または配列番号146)をタンデムで(例えば、配列番号135参照)含む。具体的な実施形態において、本発明のTn3足場は、バリアントHSAにコンジュゲートしている(例えば、配列番号134および配列番号135参照)。さらなる実施形態において、HSAは、マルチマーTn3足場のN末端またはC末端のいずれかにおいてコンジュゲートさせることができる。
【0327】
具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、単一の311K4E_12モノマーサブユニット、GSリンカー、およびC34S HSAバリアント(例えば、配列番号201参照)を含む。別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、ベータ鎖C CELTYGバリアントを有する単一の311K4E_12モノマーサブユニット、全グリシンリンカー、およびC34S HSAバリアント(例えば、配列番号202参照)を含む。別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、タンデムの2つの311K4E_12サブユニットおよび2つのGSリンカーを含み、一方のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは一方のサブユニットをC34S HSAバリアントに連結する(例えば、配列番号203参照)。さらに別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、タンデムの2つの311K4E_12サブユニット、および2つの全グリシンリンカーを含み、一方の全グリシンリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2の全グリシンリンカーは一方のサブユニットをC34S HSAバリアントに連結する(例えば、配列番号204参照)。
【0328】
1つの具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、GSリンカーを介してタンデムに連結されている2つの309サブユニットを含む(例えば、配列番号205参照)。別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、C34S HSAバリアントに連結されている単一の309サブユニットを含む(例えば、配列番号206参照)。別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、タンデムの2つの309サブユニット、および2つのGSリンカーを含み、一方のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは一方のサブユニットをC34S HSAバリアントに連結する(例えば、配列番号207参照)。
【0329】
具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、単一の342モノマーサブユニット、GSリンカー、およびC34S HSAバリアントを含む(例えば、配列番号134参照)。別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、単一の342モノマーサブユニット、全グリシンリンカー、およびC34S HSAバリアントを含む(例えば、配列番号144参照)。別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、タンデムの2つの342サブユニット、および2つのGSリンカーを含み、一方のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは一方のサブユニットをC34S HSAバリアントに連結する(例えば、配列番号135参照)。さらに別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、タンデムの2つの342サブユニット、および2つの全グリシンリンカーを含み、一方の全グリシンリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2の全グリシンリンカーは一方のサブユニットをC34S HSAバリアントに連結する(例えば、配列番号145参照)。さらに別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、GSリンカーによりタンデムに連結されている2つの342サブユニットを含む(例えば、配列番号208参照)。
【0330】
具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は含み、別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、311サブユニット、または311に由来するサブユニット(例えば、311K4E_12)および309サブユニット、またはタンデムの309に由来するサブユニット(例えば、342)および2つのGSリンカーを含み、一方のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは一方のサブユニットをC34S HSAバリアントに連結する(例えば、配列番号135参照)。さらに別の具体的な実施形態において、CD40L特異的Tn3足場は、311サブユニット、または311に由来するサブユニット(例えば、311K4E_12)および309サブユニット、またはタンデムの309に由来するサブユニット(例えば、342)、および2つの全グリシンリンカーを含み、一方の全グリシンリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2の全グリシンリンカーは一方のサブユニットをC34S HSAバリアントに連結する(例えば、配列番号145参照)。
【0331】
CD40L特異的タンデム二価Tn3足場および血清アルブミン(SA)融合体の例を
図2A(
図9Aも参照)に示す。具体的なリンカーを
図2Aに提供するが、本明細書に提供されるとおり他のリンカーが企図される。野生型成熟SA、例えば、ネズミ血清アルブミン(MSA)またはヒト血清アルブミン(HSA)を使用することができるが、成熟SA中の1つ以上のシステイン(C)アミノ酸残基を例えば、セリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)などにより置換することができることが企図される。
【0332】
代表的な構築物を以下に示す。SAの配列を下線により示す。リンカーを枠で囲む。多数の変動が本発明の範囲内であることが理解される。例えば、リンカーは変化させることができ(いくつかの非限定的な例が本明細書に提供される)、最初の1または2つのN末端アミノ酸残基(SQ)は不存在および/または代替アミノ酸残基により置換されていてよく、タグ(例えば、6×Hisタグ)を組み込むことができ、代替CD40L特異的足場(例えば、フィブロネクチンの第10Fn3ドメインをベースとする足場)を類似の構築物などの中で利用することができる。
【化1】
【化2】
【化3】
【0333】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、組成物、例えば、限定されるものではないが、薬学的に許容可能な担体と一緒に配合された、本発明のTn3足場の1つまたは組合せを含有する医薬組成物を提供する。このような組成物は、例えば、限定されるものではないが、本発明の2つ以上の異なるTn3足場の1つまたは組合せを含み得る。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合し、または相補的な活性を有するTn3足場の組合せを含み得る。具体的な実施形態において、医薬組成物は、本発明の単一のモノマーTn3足場を含む。具体的な実施形態において、医薬組成物は、本発明のマルチマーTn3足場を含む。さらに別の具体的な実施形態において、医薬組成物は、本発明のダイマーTn3足場を含む。
【0334】
本発明の医薬組成物は、例えば、他の薬剤と組み合わせた組合せ療法において投与することもできる。例えば、組合せ療法は、免疫療法、化学療法、放射線療法、または薬物療法であり得る少なくとも1つの他の治療法と組み合わせた本発明のTn3足場を含み得る。本発明の医薬化合物は、1つ以上の薬学的に許容可能な塩を含み得る。
【0335】
足場の使用方法
本発明のTn3足場は、インビトロおよびインビボにおいて診断および治療有用性を有する。例えば、これらの分子を、培養物中の細胞に、例えば、インビトロもしくはエキソビボで、または対象中に、例えば、インビボで投与して種々の障害を治療、予防または診断することができる。
【0336】
本発明はまた、本発明のTn3足場を使用する方法を提供する。本発明はまた、疾患、疾患の障害または障害、例として、限定されるものではないが、癌、炎症および自己免疫疾患、感染性疾患に伴う1つ以上の症状の予防、診断、管理、治療または改善のための、単独または他の治療法との組合せのいずれかでの本発明のTn3足場の使用を包含する。本発明はまた、疾患、障害または感染、例として、限定されるものではないが、癌、炎症および自己免疫疾患、感染性疾患に伴う1つ以上の症状の予防、診断、管理、治療または改善のための、単独または他の治療法との組合せのいずれかでの、部分(例えば、治療剤または薬物)にコンジュゲートまたは融合している本発明のTn3足場の使用を包含する。
【0337】
本発明はまた、慣習的な抗体によっては容易に達成されないエピトープを標的化する方法を提供する。例えば、一実施形態において、本発明のTn3足場を使用して隣接抗原を最初に標的化することができ、結合の間、別の結合ドメインが潜在抗原に会合し得る。
【0338】
本発明はまた、区別される細胞型を一緒にするために本発明のTn3足場を使用する方法を提供する。一実施形態において、本発明のタンパク質は、1つの結合ドメインを有する標的細胞に結合し、別の結合ドメインを介して別の細胞を動員し得る。別の実施形態において、第1の細胞は癌細胞であり得、第2の細胞は免疫エフェクター細胞、例えば、NK細胞である。別の実施形態において、本発明のTn3足場を使用して2つの区別される細胞間、例えば、免疫応答をブーストする可能性がある抗原提示細胞とT細胞との相互作用を強化することができる。
【0339】
本発明はまた、細胞集団を枯渇させるためにTn3足場を使用する方法を提供する。一実施形態において、本発明の方法は、以下の細胞型の枯渇において有用である:好酸球、好塩基球、好中球、T細胞、B細胞、肥満細胞、単球および腫瘍細胞。
【0340】
本発明はまた、診断試薬としてTn3足場を使用する方法を提供する。このような診断試薬は、CD40Lの存在もしくは不存在、CD40受容体の存在、CD40受容体へのCD40Lの結合効率、患者中の遊離CD40L、試料中の遊離CD40L、または試料中のCD40受容体に結合したCD40Lについて試験するために使用することができる。
【0341】
本発明のTn3足場およびそれを含む組成物は、多くの目的に、例えば、広範な慢性および急性疾患および障害、例として、限定されるものではないが、自己免疫および/または炎症疾患に対する治療剤として有用である。本明細書に記載の本発明の組成物および方法は、自己免疫障害および/または炎症障害の予防または治療に有用である。
【0342】
自己免疫および/または炎症性障害の例には、限定されるものではないが、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、シェーグレン症候群、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生性緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーブス病を含む)、角膜および他の組織移植、ならびに慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再灌流損傷、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流損傷、脊髄損傷および同種移植片拒絶反応。自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄多発性神経障害、チャーグストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギランバレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、例えば、疱疹状皮膚炎血管炎、白斑、およびヴェゲナー肉芽腫が含まれる。
【0343】
炎症障害の例には、限定されるものではないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性ウイルスまたは細菌感染から生じる慢性炎症が含まれる。本発明の組成物および方法を、上記疾患を予防、管理または治療するために使用される1つ以上の慣用の治療法とともに使用することができる。
【0344】
本発明は、癌、自己免疫、炎症または感染疾患またはそれらの1つ以上の症状または1つ以上の症状を予防、管理、治療または改善する方法であって、それが必要とされる対象に、本発明の1つ以上のTn3足場を、癌治療剤ではない治療剤(別称、非癌治療法)の1つ以上との組合せで投与することを含む方法を提供する。
【0345】
このような薬剤の例には、限定されるものではないが、制吐剤、抗真菌剤、抗細菌剤、例えば、抗生物質、抗炎症剤、および抗ウイルス剤が含まれる。制吐剤の非限定例には、メトピマジンおよびメトクロプラミドが含まれる。抗真菌剤の非限定例には、アゾール薬、イミダゾール、トリアゾール、ポリエン、アンホテリシンおよびリリミジン(ryrimidine)が含まれる。抗細菌剤の非限定例には、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、ミトラマイシン、セファロスポリン、イミペネム、アクストレオナム(axtreonam)、バンコマイシン、シクロセリン、バシトラシン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン、トリメトプリム、ノルフロキサシン、レファンピン(refampin)、ポリミキシン、アンホテリシンB、ナイスタチン、ケトカナゾール(ketocanazole)、イソニアジド、メトロニダゾールおよびペンタミジンが含まれる。抗ウイルス剤の非限定例には、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダルビン(vidarbine)、イドクスウリジン、トリフルリジンおよびリバビリン)、フォスカレット(foscaret)、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、インターフェロン(「IFN」)-α、βまたはγおよびAZTが含まれる。抗炎症剤の非限定例には、非ステロイド抗炎症薬(「NSAID」)、ステロイド抗炎症薬、ベータ-アゴニスト、抗コリン剤およびメチルキサンチンが含まれる。
【0346】
一実施形態において、本発明は、慢性炎症を治療し得る組成物を含む。一実施形態において、組成物は、破壊または不活性化のための免疫細胞の標的化において有用である。一実施形態において、組成物は、活性化T細胞、休止T細胞、B細胞、好中球、好酸球、好塩基球、脂肪細胞、または樹状細胞の標的化において有用である。別の実施形態において、本発明は、免疫細胞機能を減少させ得る組成物を含む。別の実施形態において、組成物は、免疫細胞機能を除去し得る。
【0347】
別の実施形態において、本発明は、胃腸管の疾患の治療に有用な組成物を含む。本発明の足場は、低pH条件下で高レベルの安定性を示す。低pHにおける安定性は、組成物が種々の胃腸障害、例えば、過敏性腸症候群、胃食道逆流、腸偽閉塞、ダンピング症候群、難治性悪心、消化性潰瘍、虫垂炎、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)疾患、クローン病、ウィップル病、セリアックスプルー、憩室炎、憩室症、嚥下障害、裂孔ヘルニア、感染性食道障害、しゃっくり、反芻などのための経口投与に好適であることを示唆する。
【0348】
本発明はさらに、組合せ組成物および疾患またはその症状の予防、治療、低減、または改善におけるそのような組成物の使用方法を提供する。本発明のTn3足場を、疾患またはその症状の予防、治療、低減または改善に好適な慣用の治療法と組み合わせることができる。例示的な慣用の治療法は、Physician’s Desk Reference(56th ed.,2002および57th ed.,2003)に見出すことができる。一部の実施形態において、本発明のTn3足場を、化学療法、放射線療法、外科手術、生物剤(抗体もしくはペプチド)を用いる免疫療法、小分子、または当分野において公知の別の治療法と組み合わせることができる。一部の実施形態において、組合せ療法は一緒に施す。他の実施形態において、組合せ療法は別個に施す。
【0349】
本発明はまた、疾患を診断する方法を提供する。疾患と関連する特異的標的に結合する本発明のTn3足場を、前記疾患を診断するために使用される方法に組み入れることができる。一実施形態において、本発明のTn3足場を、対象における疾患を診断する方法であって、対象から試料を得ること、標的をTn3足場と、標的:足場相互作用の形成を可能とする条件下で試料中で接触させること、標的:足場複合体を同定し、およびそれにより試料中の標的を検出することを含む方法において使用する。他の実施形態において、診断すべき疾患は本明細書に記載される。
【0350】
本発明はまた、特異的標的を画像化する方法を提供する。一実施形態において、画像化剤、例えば、緑色蛍光タンパク質、他の蛍光タグ(Cy3、Cy5、ローダミンなど)、ビオチン、または放射性核種にコンジュゲートしている本発明のTn3足場を、特異的標的の存在、局在、または進行を画像化する方法において使用することができる。一部の実施形態において、本発明のTn3足場を含む標的を画像化する方法をインビトロで実施する。他の実施形態において、本発明のTn3足場を含む標的を画像化する方法をインビボで実施する。他の実施形態において、本発明のTn3足場を含む標的を画像化する方法を、MRI、PET走査、X線、蛍光検出により、または当分野において公知の他の検出法により実施する。
【0351】
本発明はまた、本発明の足場を使用して疾患の進行、再発、治療、または改善をモニタリングする方法も提供する。一実施形態において、疾患の進行、再発、治療、または改善をモニタリングする方法を、本明細書に提供されるとおり画像化、診断する方法、または化合物/標的を本発明のTn3足場と接触させることにより達成する。
【0352】
医薬投薬および投与
本発明のTn3足場を含む医薬組成物または滅菌組成物を調製するため、足場を、薬学的に許容可能な担体または賦形剤と混合する。投与のため、組成物は、好ましくは発熱物質不含であり、エンドトキシンおよび/または関連する発熱物質を実質的に含まない。治療剤のための投与計画の選択は、いくつかの要因、例として、実体の血清または組織ターンオーバー速度、症状のレベル、実体の免疫原性、および生体マトリックス中の標的細胞の接近性に依存する。ある実施形態において、投与計画は、許容可能なレベルの副作用と一致する患者に送達される治療剤の量を最大化する。
【0353】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対して毒性を示すことなく、特定の患者、組成物、および投与様式について所望の治療応答を達成するために有効である活性成分の量を得るために変動させることができる。選択される投与量レベルは、種々の薬物動態要因、例として、用いられる本発明の特定の組成物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられている特定の化合物の排泄速度、治療期間、用いられる特定の組成物との組合せにおける他の薬物、化合物および/または材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、病態、全身健康状態および既往歴、ならびに医学分野において周知の同様の要因に依存する。
【0354】
本発明の組成物は、当分野において公知の種々の方法の1つ以上を使用して1つ以上の投与経路を介して投与することもできる。ある実施形態において、本発明のTn3足場をインビボでの適正な分布を確保するように配合することができる。
【0355】
均等物
当業者は、定型以下の実験を使用して本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができる。このような均等物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【0356】
本明細書に挙げられる全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別的に参照により本明細書に組み込まれると示されるのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0357】
ここで本発明を以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は説明にすぎず、本発明は、決してこれらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書に提供される技術の結果として明らかになる任意および全ての変形を包含すると解釈されるべきである。
【0358】
実施例1
親Tn3足場に基づく3ループライブラリーの構築
ライブラリーは、「Tn3SS4」と命名される国際特許出願公開の国際公開第2009/058379号パンフレットに記載の親Tn3足場に基づき構築した。ライブラリーは、BC、DEおよびFGループのランダム化領域を含有した。この設計は、天然FnIIIドメインについて記載される多様性のパターン、BCおよびFGループについての3つの異なる長さと一致する特性決定された配列およびループ長さの多様性をTn3ライブラリー中に組み込み、多様性をライブラリー中に導入するための「NHT」混合コドンスキームを使用した(H=A、T、C)。このスキームは、12/20個のアミノ酸(表3参照)をコードする12個のコドンを生成し、すなわち、それぞれのコドンは、特有のアミノ酸をコードした。さらに、停止コドンもシステイン(Cys)コドンも存在しなかった。
【表3】
【0359】
ライブラリー多様性は、表4に示される縮重オリゴヌクレオチドを使用して生成した。
【表4】
【0360】
ライブラリーは、表5に示されるオリゴヌクレオチドを使用してアセンブルした。
【表5】
【0361】
縮重オリゴヌクレオチド(等モル比のBCおよびFGループにそれぞれ対応するオリゴヌクレオチド)、BCX-DEブリッジv2、DE-FGXブリッジv2、およびKpnI amp rev v2の混合物は、20サイクルのPCR反応において過剰の外部プライマーを用いることなくアセンブルした。この産物を希釈し、プライマーBCライブラリーamp v2およびKpnIリバースv2を使用するレギュラーPCR反応において増幅させた。得られたPCR産物は、完全なTn3遺伝子を生成し、次いでそれをNcoIおよびKpnIにより消化し、ファージディスプレイベクター(国際公開第2009/058379号パンフレットに記載)中にライゲートした。DNAをエレクトロポレーションにより大腸菌(E.coli)中に形質転換した。ライブラリーの最終多様性は、約7.9×1010個のメンバーであると推定した。
【0362】
エレクトロポレーション後、ライブラリーを37℃において振とうしながら1時間インキュベートした。M13K07ヘルパーファージを添加し、1時間後、細胞をより大きい容量に希釈し、37℃において振とうしながら一晩増殖させた。翌日、ファージを取り出し、PEG8000による沈殿により上清から濃縮した。
【0363】
実施例2
ヒトCD40L特異的Tn3足場についてのライブラリーのパニング
>1010個のユニーク配列を含有するファージディスプレイされたTn3ライブラリーを、CD40Lに対してパニングした。これらのライブラリーの多様性は、抗体可変ドメイン内の3つのCDRループと相似のBC、DEおよびFGループの配列および長さの変動性に由来した。リードTn3タンパク質の選択は、組換えビオチン化ヒトCD40LおよびCD40L過剰発現CHO細胞系に対するライブラリーのパニングにより実施した。これら2つの試薬に対する交互のパニングラウンドを使用してリードが組換え細胞外ドメインおよびネイティブ膜固定CD40Lを認識することを確保した。
【0364】
組換えヒトCD40L(ヒトMegaCD40L;Axxora)は、5倍モル過剰のビオチン化試薬を使用してEZ-Linkスルホ-NHS-ビオチン(Pierce,Rockford,IL)によりビオチン化した。室温において1時間インキュベートした後、試料をPBS中で一晩透析して未コンジュゲートビオチンを除去した。10μgのビオチン化CD40LをM280ストレプトアビジンビーズ(Dynal,Carlsbad,CA)上で固定化し、次いで10mg/mlのBSAを含有するPBS中で2時間ブロッキングした。インプットは、実施例1に記載のとおり開発されたライブラリーまたはさらに標準的な構築技術、例えば、国際公開第2009/058379号パンフレットに記載のものを使用して開発されたライブラリーからなるものであった。
【0365】
ファージは、10mg/mlのBSAを含有するPBS中で2時間ブロッキングした。ブロッキングされたインプットをブロッキングされたM280ストレプトアビジン対照ビーズ(標的を有さない)に添加し、ロッカー上で室温において2時間インキュベートしてビーズに対する結合剤のライブラリーを枯渇させた。次いで、枯渇ライブラリーをCD40Lコートビーズに添加し、ロッキングプラットフォーム上で室温において2時間インキュベートした。PBST(PBS+0.1%のTween)により3回洗浄して未結合ファージを除去した後、ビーズを指数関数的に増殖する大腸菌(E.coli)XL-1Blue細胞に添加し、続いてそれにM13KO7ヘルパーファージを50μg/mlのカルベニシリンを含有する60mlの2×YT培地中で同時感染させた。ファージを振とうしながら37℃において一晩増殖させた後、一晩培養培地からPEG沈殿により回収した。
【0366】
第2のパニングラウンド(ラウンド2)は、CD40L過剰発現CHO細胞系に対して実施した。ファージライブラリーは、3%のBSA/PBS中で室温においてロッキングしながら1時間ブロッキングした。細胞をAccutase(Invitrogen)により剥離し、5mlのPBSにより2回洗浄し、107個の細胞を1mlの3%BSA/PBS中で室温においてロッキングしながら30分間ブロッキングした。ブロッキングされた細胞を500×gにおいて5分間回転沈降させ、ブロッキングされたファージライブラリー溶液中で穏やかに再懸濁し、室温において1時間インキュベートした。未結合ファージは、細胞を1mlの3%BSA/PBS中で3回、およびPBS中で1回穏やかに洗浄し、細胞をそれぞれの洗浄について新たなEppendorfチューブを使用して微小遠心機中で500×gで5分間遠心分離することによりペレット化することにより除去した。細胞ペレットを指数関数的に増殖する大腸菌(E.coli)XL-1Blueに直接添加し、次いでそれをラウンド1に記載のとおり処理した。
【0367】
パニングラウンド3は、ラウンド1に記載のとおり実施し、但し結合ファージを、100mMのHClを添加し、次いで1MのTris-HCl、pH8により中和することにより溶出させた。溶出され、中和されたファージを使用してラウンド1に記載のとおり大腸菌(E.coli)XL1Blue細胞に感染させた。
【0368】
パニングラウンド4も、ラウンド2に記載のとおり細胞に対して実施し、但し、3%BSA/PBS中での5回の洗浄を実施した。ラウンド5は、5μgのビオチン化MegaCD40Lを使用して行ったが、その他はラウンド3に記載のとおりであった。
【0369】
5つのパニングラウンド後、可溶性タンパク質としての得られたTn3バリアントのスクリーニングを実施した。増幅され、PEG沈殿したファージ原液をPCRにおいて使用してコードされるTn3配列を包含する断片のプールを増幅させた。この断片プールをNcoI+KpnIにより消化し、プラスミドpSec-oppA(L25M)-Tn3の対応するNcoI-KpnI部位中にクローニングした(例えば、国際公開第2009/058379号パンフレット参照)。96ウェル深ウェルプレート中でカルベニシリン(100μg/ml)を含有する自己誘導MagicMedia(Invitrogen)に、pSec-oppA(L25M)-Tn3由来構築物により形質転換された大腸菌(E.coli)BL21DE3細胞を接種した。培養物を37℃において振とうしながら18時間増殖させ、細胞を遠心分離により培地から分離した。分泌された可溶性Tn3バリアントを含有する培地を、CD40L結合についてのスクリーニングアッセイにおいて直接使用した。
【0370】
10セットの96個のクローンをスクリーニングして組換えCD40Lに特異的に結合したTn3タンパク質を同定した。簡潔に述べると、スクリーニングアッセイは、マイクロプレートのウェル中に固定化された抗His抗体への結合を介する、培地中に分泌された可溶性Hisタグ付Tn3バリアントの捕捉を利用した。捕捉後、培地および過剰のタンパク質を洗浄除外し、捕捉されたTn3バリアントとCD40Lとの相互作用を、ビオチン化ヒトMegaCD40Lを利用し、SA-HRPおよび慣用のELISA試薬により残留標的(プレート洗浄後)を計測することによりモニタリングした。
【0371】
捕捉工程において、固定化された抗His抗体をTn3により飽和させ、それぞれのウェル中の捕捉されたTn3のモル量は、個々のクローンの発現レベルに関係なく実質的に同一になった。Tn3レベルのこの標準化は、標的相互作用の効率に比例し、タンパク質発現レベルの潜在的な差異により影響を受けないアッセイレベルをもたらした。
【0372】
このアッセイからの陽性物を配列決定して組換えCD40Lに結合する34個のユニークTn3配列を同定した。ユニークCD40L結合Tn3配列のパネルから、ロバストなアッセイシグナルおよび培養物上清のSDS-PAGEにより判断して良好な発現レベルを有する24個のクローンのサブセットを再発現および小スケール精製に供した。
【0373】
簡潔に述べると、1%のグルコース)を有するカルベニシリン(100μg/mL)を含有するSuperbroth培地に、pSec-oppA(L25M)-Tn3由来構築物により形質転換された大腸菌(E.coli)BL21DE3細胞を接種した。培養物を37℃において0.5~0.8の光学密度(O.D.)に増殖させ、次いで0.2mMのIPTGにより誘導した。37℃において5時間振とうした後、細胞を遠心分離により培地から分離した。培地からのTn3足場の精製は、Ni-NTA Superflow(Qiagen)を使用するバッチ精製により行い、20mMのイミダゾールを有する2×PBS中で洗浄し、250mMのイミダゾールを有する2×PBSにより溶出させた。試料をPBS中で透析し、Gill and von Hippel(Anal.Biochem.182:319,1989)に従って濃度を280nmにおけるUV吸光度により測定した。
【0374】
アッセイランキングおよびSEC挙動に基づき、8つのリードの発現をスケールアップし、機能細胞アッセイにおける試験のために低エンドトキシンレベル(<1EU/mg)に精製した。
【0375】
2つのTn3クローン(309および311と命名)は、生化学および細胞ベースアッセイにおいて類似の活性を示し(
図6A、6B、6C)、最も近縁の競合クローンよりも3~5倍強力であった。
【0376】
ヒトCD40L特異的一価Tn3足場309および311は、総B細胞数、形質細胞数およびIgクラススイッチを阻害した(
図6A、6Bおよび6C)。
図6Aは、Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のHuCD40L誘導CD86発現に対する309および311の阻害効果を示し;
図6Bは、309および311によるHuCD40L刺激B細胞増殖の阻害を示し;
図6CCは、T/B細胞共培養物における形質細胞数の阻害を示す。309は、FACSにより活性化初代T細胞に結合することも示した(データ示さず)。PBMCは、組換えヒトMegaCD40L(Axxora)またはヒトCD40L発現Jurkat細胞(D1.1,ATCC)により刺激し、24時間後にCD19+/CD86+細胞の割合をFACSにより計測した。
【0377】
309および311リードクローンは単分散され、精製試料のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析により測定されたとおり、溶液中でより高次のオリゴマーを凝集させる傾向も形成する傾向も全く示さなかった(
図7A)。
【0378】
309および311リードクローンの熱安定性は、PBS pH7.2中1mg/mLにおけるタンパク質試料を使用する示差走査熱量測定(DSC)により測定し、親Tn3タンパク質の熱安定性と比較した(
図7B)。309および3011リードクローンは、70±1℃のT
mを有し、それは親Tn3のT
m(72℃)をわずかに下回るにすぎなかった。
【0379】
ネズミ交差反応性クローンが同定されなかったため、上記の類似のパニングプロセスを実施してM13と命名されるネズミ特異的Tn3を同定した。M13は、PBMC細胞ベースアッセイにおける活性も示した(
図1A参照)。
【0380】
実施例3
CD40L特異的Tn3足場リード最適化
親和性最適化を使用して選択されたTn3リードの効力を増加させた。一般に、標的に接触するTn3ループ内の1つ以上の突然変異誘発ラウンドを実施し、コンビナトリアルファージディスプレイライブラリーから改善されたバリアントを選択した。
【0381】
3.1 ループスワッピング
2つのリード中の3つのどのループがCD40Lとの相互作用に関与するのかを決定するため、それぞれの単一ループ配列をヒトテネイシンCに見出される親Tn3ループ配列に変化させた構築物を生成した。突然変異バリアントの活性を、上記スクリーニングアッセイに記載のとおり実施された結合アッセイにおいて元のバリアントと比較した(
図10A)。両方のリードについて、BCおよびDEループの突然変異は、CD40Lへの結合の完全な損失をもたらした一方、親Tn3配列へのFGループの変化は、結合に対する効果を有さず(309について)または限定された効果を有した(311)。したがって、BCおよびDEループが主としてCD40Lへの接触を担う配列を含有すると考えられ、したがって最初に親和性最適化のために選択した。
【0382】
3.2 CD40L特異的Tn3足場309リード最適化
ループスワッピング実験は309FGループ配列を親Tn3FGループ配列により結合効力の実質的な損失なしで親Tn3FGループ配列により置換することができることを示したため、この構築物(309FGwtと称する)を親和性成熟のための骨格として使用することが決定された。これは、親テネイシンC配列から逸脱する非必須突然変異を排除して考えられる免疫原性リスクを低減させる。親Tn3FGループ配列は、最終リード分子中の突然変異により後に排除されるRGDモチーフを含有したことに留意すべきである。3つのBCループライブラリーおよび1つのDEループライブラリーを生成した。
【0383】
3つのBCループライブラリーについて、縮重オリゴBC9PCR、BC9-ループNNKおよび309BC-ループNNKドープ(表6)をリバースプライマーKpn1 amp rev v2(表5)と一緒に使用し、BCループコドンが停止コドンにより置き換えられた309FGwt由来テンプレートを使用して3つのPCRラウンドを行った。続いて、プライマーBCライブラリーamp v2(表5)およびKpnIリバースv2を用いるそれらの断片のPCR増幅により、全長Tn3ライブラリー断片を得た。
【0384】
DEループライブラリーについて、309FGwt由来テンプレート(DE-ループコドンが停止コドンにより置き換えられている)に対するDE PCRおよびKpnI ampリバースv2を用いるPCR増幅により、ランダム化DEループおよび野生型Tn3FGループを含有する断片を得、309テンプレートに対するBCライブラリーamp v2およびBCX-DEブリッジv2を用いてPCRにより生成されたDEループ上流のTn3領域をコードする断片と組み合わせた。2つの断片を、外部プライマーBCライブラリーamp v2およびKpnIリバースv2を用いる重複PCRにおいて結合させた。
【表6】
【0385】
NcoI-KpnI断片をファージディスプレイベクター中にクローニングし、および実施例1に記載のとおりファージライブラリーを生成した。
【0386】
4つのライブラリーを、実施例2の第1のラウンドに記載のとおりビオチン化ヒトMegaCD40Lに対して別個にパニングし、ラウンド1において4μgのCD40Lを、ラウンド2において1μgを使用した。ラウンド2後のファージアウトプットの増幅後、Qiagen Spin M13キット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して一本鎖DNAを単離し、BC lib amp v2およびBCシャフルrevを使用してBCループライブラリーからの断片を含有するBCループのプールを増幅させた一方、プライマーDE-シャフルFWDおよびKpnIリバースv2を使用してDEループ含有断片のプールをDEループライブラリーから増幅させた。PCR断片をゲル精製し、外部プライマーBC lib amp v2およびKpnIリバースv2を使用してそれらの重複配列を介してアセンブルした。得られたPCR断片を使用して上記のとおりファージベクター中のライブラリーを生成した。このライブラリーを、実施例2に記載のとおりビオチン化ヒトMegaCD40Lに対して合計5つのラウンドについてパニングし、但し、ライブラリーをラウンド1から4について、50nM、20nM、20nM、および10nM(50μlの総容量中)の濃度において最初に標的と2時間接触させてからブロッキングされたM280ストレプトアビジン化磁気ビーズと10分間インキュベートし、次いで洗浄した。
【0387】
アウトプットを、プラスミドpSec-oppA(L25M)-Tn3pSecのNcoI-KpnI部位中にプールクローニングし、上記スクリーニングアッセイにおいて可溶性タンパク質を使用して16個の96ウェルプレートをCD40L結合についてスクリーニングした。270個の最高評価クローンを選び、再アッセイし、配列決定した。10個のクローンを、結合アッセイおよび配列決定に基づくさらなる特性決定のために選択した。これは、PBMCアッセイにおける効力の評価、バイオセンサーアッセイにおけるCD40Lへの結合についてのK
d測定、示差走査熱量測定により測定される熱力学安定性、およびサイズ排除クロマトグラフィー分析による溶液中でのより高次のオリゴマーの凝集または形成傾向を含んだ。結果を表7にまとめる。10個の最適化クローン(340、341、342、343、344、345、346、347、348および349と命名)とアラインさせた309および309FGwtクローンの配列を
図11Aおよび11Bに示す。
【0388】
親和性成熟バリアントは、309クローンよりも1~3log高い効力を示し、DSCにより計測されるとおり高い安定性を保持し、SECにより計測されるとおりほとんどは単分散された。
【表7】
【0389】
PBMCアッセイは、ヒトCD40L発現Jurkat細胞(D1.1,ATCC)によりPBMCを刺激することにより実施し、24時間後にCD19+/CD86+細胞の割合をFACSにより計測した。このアッセイを使用してリーディングTn3足場のパネルを試験およびランキングして生化学的基準に基づく優先順位付けから浮上させた。PBMCアッセイの結果を
図10Bに示し、表7にまとめる。
【0390】
親和性計測は、GLCセンサーチップを25℃で用いるProteOn XPR36タンパク質相互作用アレイシステム(Bio-Rad,Hercules,CA)上で実施した。0.005%のTween20、pH7.4を有するProteOnリン酸緩衝生理食塩水(PBS/Tween)をランニング緩衝液として使用した。ヒトMegaCD40Lをチップ上で約2300RUの表面密度において固定化した。Tn3バリアント(340、342、343、345、346、347、348、および349)の2倍希釈物を、PBS/Tween/0.5mg/mlのBSA、pH7.4中で調製した(150から4.7nM)。それぞれの濃度の試料を6つの分析チャネル中に30μl/分の流速において300秒間注入した。Kdは、ProteOnソフトウェア内の平衡分析設定を使用することにより測定した。結果を表7に示す。
【0391】
10個のTCD40L特異的Tn3バリアントを、DSCにより安定性について分析した。簡潔に述べると、DSC計測をVP-Capillary DSC(MicroCal)上で実施した。タンパク質をPBS(pH7.2)中に大規模透析を介して交換し、DSC分析のために0.25~0.5mg/mlの濃度に調整した。試料を20~95℃において90℃/時間の走査速度において走査し、走査を繰り返さなかった。結果を表7に示す。
【0392】
リード最適化ライブラリー生成に使用された309と比べてIC50の最大300倍の改善が、および309FGwt骨格と比べて1000倍超の改善が最良のクローンについて得られた。7つのクローンは、一桁のnM範囲のKdを有した。
【0393】
3.3 CD40L特異的Tn3足場311リード最適化
上記ループ使用実験(
図10A)を実施する前に、リード最適化ライブラリーにおける最初の試みは、311のFGループ中での多様性の導入、得られたファージディスプレイライブラリーの生成およびスクリーニングにフォーカスした。スクリーニングは、上記ビオチン化ヒトMegaCD40Lに対する4つのパニングラウンド後に実施し、大多数の陽性ヒットがBCループ上流のTn3のN末端定常領域中の残基K4からEへの偶発的突然変異を含有することが見出された。陽性ヒットのFGループ配列の中で明らかなコンセンサスは検出されなかった。311中への単一のK4E突然変異の導入は、PBMCアッセイにおいて効力(約4μMから36nM)の約100倍の増加をもたらした(
図10C参照)。
【0394】
ループスワップ実験は、BCおよびDEループ配列がCD40Lへの結合に要求されることを示したため、次いでこれらのループをさらなる親和性成熟のために311K4E骨格中で標的化した。2つの別個のライブラリーを生成した。一方のライブラリーは、それぞれの残基が野生型311配列である50%の可能性、および他の11個のNHTコード残基の1つである約50%の可能性を有する戦略でBCループを標的化した。他方のライブラリーは、6残基DEループを完全にランダム化した。
【0395】
BCループライブラリーについて、オリゴヌクレオチドBC11-311GlyおよびBC11-311NHT(表8)を、BC、DEおよびFGループを含む断片を生成するためにBCループコドンが停止コドンにより置き換えられた311由来テンプレートに対するリバースプライマーKpnI amp rev v2(表5)を用いるPCR反応において使用した。最後に、プライマーBCライブラリーamp K4EおよびKpnI amp rev v2を用いるこれらの断片の1:1混合物の増幅により、全長Tn3ライブラリー断片を得た。
【0396】
DE-ループライブラリーは、上記309FGwt DE-ループライブラリーとして生成し、但し、311由来テンプレートをPCR反応において使用し、BCライブラリーamp K4Eプライマーを最終PCR増幅において使用した。
【表8】
【0397】
全長ライブラリー断片をNcoIおよびKpnIにより消化し、ファージディスプレイベクター中にクローニングし、ファージライブラリーを実施例1に記載のとおり生成した。
【0398】
2つのライブラリーを実施例1に記載のビオチン化ヒトMegaCD40Lに対して別個にパニングし、ラウンド1において10 gのタンパク質、ラウンド2において5 g、およびラウンド3において5 gを使用した。ラウンド3後のファージアウトプットの増幅後、Qiagenキット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して一本鎖DNAを単離し、2つのライブラリーを309FGwtライブラリーに記載のとおりシャフリングした。シャフリングされたライブラリーを合計5つのラウンドについて309FGwtシャフリングライブラリーについて上記のとおりビオチン化ヒトMegaCD40Lに対してパニングし、ラウンド1から5について100nM、20nM、4nM、1nMおよび1nMの標的を使用した。
【0399】
アウトプットを上記のとおり可溶性分泌ベクター中にプールクローニングし、上記の可溶性タンパク質スクリーニングアッセイを使用して5つの96ウェルプレートをCD40L結合についてスクリーニングした。陽性ヒットは、311K4E骨格バリアントについて得られるシグナルに対して同定した。18個の最高評価ユニーククローンを311K4E_1、311K4E_2、311K4E_3、311K4E_4311K4E_5、311K4E_7、311K4E_8、311K4E_9、311K4E_10、311K4E_11、311K4E_12、311K4E_13、311K4E_14、311K4E_15、311K4E_16、311K4E_19、311K4E_20および311K4E_21(
図12Aおよび
図12Bに示される配列)と命名し、粗製未精製タンパク質としてオフ速度ランキングについてアッセイした。未精製Tn3足場のオフ速度推定は、チップ上で固定化されたCD40Lを用いるバイオセンサーアッセイにおいてProteOn XPR36タンパク質相互作用アレイシステム(Bio-Rad,Hercules,CA)上で実施した。MegaヒトCD40LをGLCチップ(BioRad)上で固定化し、全てのバリアントを80nMの推定濃度に希釈し、30μl/分の流速において300秒間注入し、解離時間を1200秒に設定した。PBS、0.005%のTween20、3mMのEDTA、pH7.4をランニング緩衝液として使用した。オフ速度は、センサーグラムの可視調査によりランキングした。最も遅いオフ速度を示した4つのバリアント、311K4E_3、311K4E_11、311K4E_12および311K4E_15のサブセットを精製し、K
d値が1.1から6.4nMであることが測定された(表9)。
【表9】
【0400】
図10Dに示されるとおり、311K4E_12のK
dの減少(18nMから1nM)は、311K4E骨格に対するPBMCアッセイの効力の12倍の増加に対応する。
【0401】
まとめると、ナイーブライブラリーからの最初のヒット309および311のリード最適化試験は、CD40Lの一桁のnMの結合剤をもたらした。
【0402】
類似の最適化試験を、ネズミ特異的M13分子に対して実施した(データ示さず)。得られた最適化ネズミCD40L特異的分子(M31と命名)は、親分子と比べてPBMCアッセイにおける効力の約20倍の増加を示した(
図1A)。
【0403】
実施例4
タグ無しCD40L特異的Tn3-HSA融合体の発現および精製
図2Aおよび9Aに概説されるHSAに融合しているTn3構築物を、哺乳動物293F細胞系中で一過的形質移入により発現させた。Tn3-HSA融合発現構築物は、インハウス生成哺乳動物発現ベクターに基づき生成した。産物均一性を増加させるため、未対合の部分露出システイン34がセリンに突然変異されたHSAの突然変異形態(HSA C34Sと命名)(Zhao et al.,2009,Eur.J.Pharm.Biopharm.72:405-11)を用いた。
【0404】
融合タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)により1工程精製で精製することができる。塩勾配によるQ-HPカラム(GE HealthCare)からの309-309-HSAの溶出の例を
図9Bに示す。メインピークに加え、後に溶出するマイナーピークが確認された(総ピーク面積の10%未満を構成)。質量分析は、これらのマイナーサイドピークがO-グリコシル化309-309-HSA種について濃縮されることを示した。メインピークを含有する分画をプールし、後続の活性アッセイに使用した。
【0405】
大スケール精製のため、上記IEX工程に先行して培養物上清からのTn3-HSA融合体を、HSA親和性マトリックス、例えば、HiTrap Blue HP(GE HealthCare)を使用する親和性クロマトグラフィーにより捕捉した。洗浄後、HSA融合タンパク質は、オクテン酸含有緩衝液により溶出することができた。溶出物をリン酸緩衝液中で3倍希釈した後にQ-HPカラム上にロードした。
【0406】
マイナーピークの分析により、O-結合炭水化物部分の存在が明らかになった。O-グリカンは、以下に示される既に報告されたO-キシロシル化コア構造(Wakabayashi et al.,1999,J.Biol.Chem.274:5436-5442)に由来する炭水化物の異種混合物であることが提案された。
【化4】
【0407】
主要な結合部位は、Tn3ドメイン間のGGGGSリンカー中に存在すると決定された。グリカンは、Tn3とHSAとの間に見出されるGGGGSリンカー中でより少ない程度で存在することも見出された。したがって、O-グリカンのレベルは、一価構築物と比較して二価構築物において高く、CHO細胞と比較してHEK細胞中で産生される材料において高かった。このレベルは、異なるTn3構築物間でも変動した。したがって、O-グリカンのレベルは、慎重な宿主細胞セクション、例えば、CHO細胞またはより低レベルのO-グリカンを有する材料を産生することが見出された他の細胞の使用を介して低減させることができる。さらに、O-グリカンを含有する材料は、精製法を介して除去してO-グリカンを欠くより均一な産物を得ることができる。あるいは、リンカーは、例えば、Ser残基をGlyに突然変異させることにより主要なO-グリカン結合部位を除去するように改変することができる。いくつかの構築物中のリンカーは、1つ以上のGGGGGリンカーを有するように再遺伝子操作した。GGGGGリンカーを有する材料中でいかなる型のO-グリカンも検出されず、活性の差異は確認されなかった(データ示さず)。
【0408】
実施例5
CD40L特異的Tn3足場の血清半減期の拡張
血清アルブミンへの融合体を、CD40L特異的Tn3足場の血清半減期を拡張するための戦略として利用した。ネズミCD40L特異的Tn3-MSA融合体の薬物動態(PK)特性を測定するため、マウスPKアッセイを実施した。MSA融合体は、対応するHSA融合体に対するサロゲート分子の試験について選択した。それというのも、マウスFcRnはHSAにそれがMSAに結合するよりもかなり弱く結合し、エンドソームからの再循環の減少および結果的にターンオーバーの増加をもたらすためである(Andersen et al.J.Biol.Chem.285,4826-4836,2010)。
【0409】
HEK293細胞を、MSAに融合しているマウスCD40L特異的タンデム二価Tn3足場の発現に使用した。高レベルの発現が観察された(
図3A)。これらの構築物は、Tn3足場単位間の(G
4S)リンカーおよび足場とMSAとの間のリンカー中の3つの(G
4S)リピートとの間にリンカーを有した。さらに、N49Q突然変異をM13およびM31足場のそれぞれに導入して潜在的なN結合グリコシル化部位を除去した。この突然変異は、これらの足場の効力に影響しなかった(データ示さず)。発現レベルは、形質移入6日後に200mg/Lに推定された。精製は、C末端Hisタグを介してIMACにより実施した。精製タンパク質の収量は、1Lの培養物上清当たり125mgであると推定された。
【0410】
MSAを二価M13足場に融合させた場合、MSAを有さないM13ダイマー足場と比較して効力の8倍の減少が観察された(
図3B)。MSAに融合している親和性成熟M31を含む二価足場は、MSAに融合している対応する二価M13足場よりも140倍強力であり、一価M31MSA融合体よりも約900倍強力であり、MR1抗ネズミCD40Lモノクローナル抗体と同等の効力を有した(
図3C)。
【0411】
CD40L特異的Tn3-MSA融合体のPK特性を測定するため、マウスPK分析を実施した。タンパク質構築物を、10mg/kgにおいて5~7週齢雌CD-1マウス中に静脈内投与した。それぞれのマウスを種々の時点において150μl採血し、Tn3-HSA融合体の血清濃度をELISAアッセイにより測定した。簡潔に述べると、Nunc MaxiSorpプレートを抗FLAG M2抗体(Agilent)によりコートし、PBS+0.1%のTween(PBST)中4%のミルク中でブロッキングし、ネズミMegaCD40L(Axxora)とインキュベートした。MegaCD40Lは、そのFLAGタグを介して固定化した。血清試料およびタンパク質標準物を4%のミルクPBST中で希釈し、PBST中でプレートを洗浄した後に添加した。インキュベーション後、プレートをPBST中で洗浄し、ウサギ抗TN3ポリクローナル抗体(Covance)を使用し、標準ELISAプロトコルにおいてヤギ抗ウサギHRP-コンジュゲート抗体(Jackson ImmunoResearch)を使用してTn3-HSA融合構築物を検出した。血清試料中の濃度は、同一のTn3-HSA融合構築物の希釈物のアッセイにより作成された標準曲線の線形回帰に基づき測定した。濃度は、3匹の異なるマウスについての平均として測定した。
【0412】
図4Aにおいて確認されるとおり、M31-MSAおよびM13-M13-MSAは、それぞれ38および31時間の半減期を有した一方、M31-M31-HSA構築物は12時間の半減期を有した。比較において、M13-M13タンデム構築物自体(MSAに融合していない)は、30分間の半減期を示した(示さず)。
【0413】
マウス足場における観察とは対照的に、HSAをヒトCD40L特異的足場に融合させた場合、効力の顕著な減少は存在しなかった。
図9Cは、PMBCアッセイにおいて計測されるとおり、2つの309モノマーを含むヒトCD40L特異的二価Tn3足場をHSAに融合させることによる効力の顕著な減少が存在しなかったことを示す。
【0414】
ヒトCD40L特異的342-HSAモノマー構築物のPK特性を、単回静脈内注射後にカニクイザルにおける血清半減期を向上させるための2つの置換(L463NおよびK524L)を含む342-HSAバリアントのそれと比較した。タンパク質構築物を、スローボーラス注射を介して10mg/kgにおいて体重2~5kgの雄カニクイザルに投与した。1mLの血液/動物/時点を投薬前、投薬5分および30分後;投薬2、12、24、および48時間後;ならびに4、8、11、15、22、29、36、43および57日目に末梢血管から回収した。Tn3-HSA融合体の血清濃度をELISAアッセイにより測定した。簡潔に述べると、Nunc MaxiSorpプレートを抗FLAG M2抗体(Agilent)によりコートし、PBS+0.1%のTween(PBST)中4%のミルク中でブロッキングし、ヒトMegaCD40L(Axxora)とインキュベートした。MegaCD40Lは、そのFLAGタグを介して固定化した。血清試料およびタンパク質標準物を4%のミルクPBST中で希釈し、PBST中でプレートを洗浄した後に添加した。インキュベーション後、プレートをPBST中で洗浄し、ウサギ抗TN3ポリクローナル抗体(Covance)を使用し、標準ELISAプロトコルにおいてヤギ抗ウサギHRP-コンジュゲート抗体(Jackson ImmunoResearch)を使用してTn3-HSA融合構築物を検出した。血清試料中の濃度は、同一のTn3-HSA融合構築物の希釈物のアッセイにより作成された標準曲線の線形回帰に基づき測定した。濃度を
図4Bにプロットする。342-HSA構築物の半減期は約7日間であった一方、342-HSA L463N/K524Lバリアント構築物は、最初の線形期の間に13~17日間の増加した半減期を示した(
図4B)。30日後、342-HSA L463N/K524Lバリアント構築物の血清濃度は、野生型HSA構築物と比較して急激に降下した。これらの観察は、サルにおいてこの構築物のいくらかの免疫原性を示し得る。
【0415】
実施例6
CD40L特異的Tn3足場の特性決定
6.1 実験的方法
6.1.1 PBMC刺激アッセイ:血液は、MedImmune安全ガイドラインに従って健常ドナーから得た。PBMCは、CPTチューブを介して単離し(20分間における1500gの回転)、1×106個のPBMC(条件当たり)を組換えヒトMegaCD40L(Axxora)またはヒトCD40L発現Jurkat細胞(D1.1,ATCC)により刺激した。CD19+/CD86+細胞の割合を刺激24時間後にFACSにより計測した。このアッセイを使用してリーディングTn3足場のパネルを試験およびランキングして生化学的基準に基づく優先順位付けから浮上させた。このアッセイは、ネズミCD40L発現細胞系(D10.G4)またはネズミMegaCD40L(Axxora ALX522120)をヒト細胞または組換えタンパク質刺激に代えて用いて実施することもできる。それというのも、ネズミリガンドはヒト受容体と交差反応するためである。
【0416】
6.1.2 ネズミCD40R/NFκBアッセイ:NFκBレポーターNIH3T3細胞(Panomics NFκBレポーター系およびインハウスmCD40R形質移入)を、ネズミMegaCD40L(Axxora,カタログ番号ALX522120)組換えタンパク質またはCD40L過剰発現D10.G4細胞(ATCC)により、Tn3足場を用いてまたは用いずに24時間刺激した。Bright-Glow(Promega E2610)を、製造業者の指示書に従って添加した。リードアウトは、EnVisionシステム(Perkin Elmer)上で実施されるNFκBレポーター活性化を介するルミネッセンス(700)であった。
【0417】
6.1.3 ヒトCD40R/NFκBアッセイ:レポーターHEK293細胞(Panomicsおよびインハウス)を、MegaCD40L(Axxora ALX522110)組換えタンパク質またはCD40L過剰発現D1.1 Jurkatサブクローン細胞(ATCC)によりTn3足場を用いてまたは用いずに24時間刺激した。Bright-Glow(Promega E2610)を、製造業者の指示書に従って添加した。リードアウトは、EnVisionシステム(Perkin Elmer)上で実施されるNFκBレポーター活性化を介するルミネッセンス(700)であった。
【0418】
6.1.4 二重細胞アッセイ:初代T/B細胞を、種々のドナーから単離した。抗CD3刺激マイトマイシンC処理ヒトCD4+T細胞(1×105個)を、精製ヒトB細胞(5×104個)と培養した。リードアウトは、以下のとおりであった:2日目:活性化マーカー(FACS)、5日目:B細胞増殖(ATP代謝産物、Cell-Titer Glo,Invitrogen)、7日目:形質細胞分化(FACS)7日目:Ig産生(ELISA、R&D Systems)。
【0419】
6.1.5血小板凝集アッセイ:アデノシン二リン酸(ADP)は、Chrono-Log(Havertown,PA,USA)製であった。全ての他の製品は、少なくとも試薬グレードであった。血液試料を、健常被験者から12.9mMのクエン酸ナトリウム中で採取し、150×gにおいて15分間遠心分離してPRP(多血小板血漿)を得た。PRPの分離後、チューブを1,200×gにおいて15分間再度遠心分離してPPP(乏血小板血漿)を得た。Mustard et al.(Br.J.Haematol.22:193-204,1972)により記載される方法を使用して血小板を洗浄し、CaCl22mM、MgCl21mM、0.1%のデキストローズ、0.35%のウシ血清アルブミン、0.05U/mLのアピラーゼを含有するタイロード液、pH7.35中で再懸濁させた。血小板凝集は、光透過凝集計(Chrono-Log 700-4DR,Chrono-Log Corporation,Havertown,PA,USA)を使用して試験し、記載されるとおり示される血小板アゴニストによる血小板の刺激後10分間記録した。Tn3足場は、可溶性CD40L(sCD40L)とプレインキュベートして添加前に免疫複合体を形成した。
【0420】
6.1.6免疫化アッセイ:ヒツジ赤血球(SRBC)をColorado Serum(Denver,CO)から購入し、使用直前にHBSS培地中で10倍希釈した。マウスを0日目に0.2mlの希釈SRBCにより免疫化した。チャレンジマウスにおける一次胚中心(GC)応答を、FACSを介して免疫化14日後にアッセイした(GC B細胞、非GC B細胞、および全てのT細胞サブセット)。Tn3足場および対照を9~13日目に示されるとおり24時間漸増させて投与した。
【0421】
6.1.7 KLH特異的T細胞依存性抗体応答(TDAR)アッセイ:中国産の体重3.1~4.6kgのカニクイザル(Macaca fascicularis)(Covance Research Products,Alice TX)に、示される用量(0.5、5、40mg/kg)の阻害剤(342-モノマー-Tn3-HSAおよび342-342二価-Tn3-HSAまたは対照/ビヒクルを週1回静脈内投薬(伏在静脈または橈側皮静脈)した。KLH(ロット番号MD158678A,Supplier Pierce Biotechnologies,Rockford,Illinois)を、適切量の注射用滅菌水(Supplier Midwest Veterinary Supply,Norristown,Pennsylvania)を用いて滅菌条件下で再構成した。バイアルを回転混合し、次いで滅菌バイアル中に一緒にプールした。1mLのKLH溶液(10mg/mL)をそれぞれの動物の背中上で、2つの時点(1日目および29日目)に正中線の左側に試験または対照品投与終了後1時間以内に皮下投与した。さらなる分析のための血液試料を全ての動物から以下の時点において得た:試験前、4、6、8、11、15、22、25、32、34、36、39、43、46、50および57日目。8、15および22日目に回収された試料は、投薬前に採取した。LH特異的IgMおよびIgG抗体力価の評価を8、11および15日目において行った。15日目におけるKLH特異的IgMおよびIgG抗体の力価をそれぞれ
図5Gおよび5Hに示す。カットポイント力価測定法は、サル血清中の抗KLH抗体を検出するためのELISAフォーマットを利用した。試料をELISAプレート上で固定化されたKLHとインキュベートした。インキュベーション後、プレートを洗浄し、結合抗体をヤギ抗サルIgG-HRPまたはIgM-HRPにより検出し、次いでテトラメチルベンジジン(TMB)により可視化した。
【0422】
動物を利用する全ての実験について、良好な畜産の現在許容可能な実務は、例えば、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals;National Academy Press,2011に従った。Huntingdon Life Sciences,East Millstone,New Jerseyは、国際実験動物管理公認協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International)(AAALAC)により十分公認されている。動物は、考えられる獣医学的ケアを要求する任意の条件について技術スタッフによりモニタリングし、必要により治療した。
【0423】
6.2 CD40L特異的Tn3足場は、CD40L:CD40相互作用を機能的に中和する。
【0424】
CD40L発現T細胞は、CD40発現B細胞に会合し、NFκBシグナリング経路の活性化をもたらす(Zangani,2009)。したがって、NFκB-ルシフェラーゼレポーター細胞系を使用して抗CD40L-Tn3分子がCD40会合の下流のシグナリングを阻害し得るか否かを判定した。ヒトCD40Lおよびレポーターを発現するHEK293細胞を、ヒトまたはネズミMegaCD40LのいずれかによりEC90(90%の阻害剤をもたらす有効濃度;すなわち、ヒトMegaCD40Lについて1.5μg/ml、およびネズミMegaCD40Lについて3μg/ml)において刺激した。
【0425】
ヒト特異的342分子は、ヒトCD40L誘導NFκB活性を1.5nMのIC
50で阻害した(
図13)。ネズミ特異的M31分子は、ネズミCD40L誘導NFκB活性をIC
50=1.6nMで中和した(
図1B)。陽性対照抗CD40Lモノクローナル抗体5c8(抗ヒトCD40L)およびMR1(抗ネズミCD40L)は両方とも、モノマーTn3足場よりも約10倍良好に機能し、IC
50は0.200nM+/-SD(アッセイの最低閾値)であった。このことは、部分的には、モノクローナル抗体のそれぞれのCD40Lとの相互作用のアビディティーに寄与するモノクローナル抗体の二価性質に起因し得た。
【0426】
6.3 ダイマーCD40L特異的Tn3足場は、結合の改善を示す。
【0427】
実験データは、CD40L特異的Tn3二価足場の結合がCD40L特異的Tn3モノマー足場のそれと比べて改善されたことを示す。CD40L特異的Tn3二価足場のCD40Lへの結合は、一部の場合、
図2Cおよび
図2D(ネズミ)、ならびに
図8Aおよび
図8B(ヒト)に示されるとおり、インビトロにおいて標的に対する作用をCD40L特異的Tn3モノマー足場のそれと比べて約3logだけ改善した。
【0428】
図2Cは、ネズミCD40L特異的一価(M13)または二価タンデム足場によるバイオセンサーチップ上で固定化されたネズミCD40受容体へのネズミCD40L結合の競合阻害を示す。M13モノマーは、1つ(1GS)、3つ(3GS)、5つ(5GS)または7つ(7GS)の「GGGGS」リピートを含む変動する長さのペプチドリンカーにより結合させた。M13-1GS-M13足場のIC
50は29nMであった一方、モノマーM13足場のIC
50は71nMであった。より長いリンカーを用いる二価M13足場のIC
50は、大幅に低かった(5~6nM)。
【0429】
図2Dは、B細胞上のネズミCD40L誘導CD86発現に対するネズミCD40L特異的一価(M13)または二価タンデム足場の阻害効果を示す。二価足場は、一価足場よりも約3log強力であった。
【0430】
図8Aおよび8Bは、示されるヒトCD40L特異的Tn3足場309および311が二価タンデムフォーマットの効力を向上させたことを示す。二価311足場(
図8A)および二価309足場(
図8B)は、Jurkat D1.1細胞により刺激されたCD19陽性ヒトPBMC上のヒトCD40L誘導発現の阻害においてそれぞれ約7倍および500~1000倍の改善を示した。二価309足場は、Biogen製5c8抗ヒトCD40Lモノクローナル抗体と効力が同等であった。
【0431】
溶解度、安定性および精製容易性は、1つ(1GS)、3つ(3GS)、5つ(5GS)または7つ(7GS)の「GGGGS」リピートを含む変動する長さのペプチドリンカーの添加によっては影響を受けなかった(
図2B参照)。
【0432】
6.4 CD40L特異的Tn3足場結合および機能
上記生化学的結合に加え、これらの新規Tn3足場が初代T細胞上で活性化後に発現される内因性CD40Lに結合し得ることを確認することが重要であった。T細胞を複数のドナーから単離し、上記のとおり活性化させた。24時間後、5c8(ヒト特異的)モノクローナル抗体およびMR1(ネズミ特異的)モノクローナル抗体による染色により判定されるとおりCD40L発現が上方調節された(データ示さず)。CD40L特異的Tn3足場分子は、モノクローナル抗体と同等レベルのCD40L発現を検出し得、これらの分子がネイティブタンパク質に結合し得ることを確認した。
【0433】
CD40L:CD40相互作用の機能的結果の1つは、B細胞上の共刺激分子の上方調節である(Yellin et al.,J.Exp.Med.6:1857-1864,1995)。CD40L指向Tn3分子を、それらのその妨害能について試験した。ヒトまたはネズミCD40Lを内因的に発現する細胞系(それぞれD1.1 JurkatサブクローンまたはD10.G4)を使用して末梢血単核細胞(PBMC)を刺激した。刺激したら、フローサイトメトリーを介してCD19+B細胞によるCD86上方調節の割合を計測することによりB細胞の活性化を評価した。このアッセイにおいて、陽性対照モノクローナル抗体は、CD86発現を有する細胞のCD19+割合を0.170nM(5c8)および0.230nM(MR1)のIC
50で阻害し得た。ヒト特異的最適化Tn3、342は、CD86上方調節をIC
50値=0.700nM(n=5人のドナー)でアンタゴナイズし得た(
図10Bおよび表7参照)。
【0434】
ネズミ特異的最適化Tn3M31は、1.5nMのIC50を有した。これらの類似の結果は、Mega-CD40L組換えタンパク質を使用してPBMCを刺激した場合に観察された。実験データは、両方の分子が、ネズミ特異的かヒト特異的かにかかわらず細胞内の主なシグナリング経路(NFκB)だけでなく、その最も重要な機能的役割の1つ:T-B細胞相互作用を阻害し得たことを実証した。この阻害作用は、多くの自己免疫疾患および病態におけるCD40Lの寄与を減衰させ得る。
【0435】
6.5 抗CD40L Tn3は、T/B共培養後にB細胞増殖および形質細胞分化を阻害する。
【0436】
T細胞上のCD40LとCD40発現B細胞との相互作用は、適応的免疫応答の発生を容易にするT細胞ヘルプの根本的態様である(Banchereau,1994;Oxenius,1996,van Kooten & Banchereau,1997)。これをモデリングするため、340、342および342-342ダイマーの抗hCD40L Tn3-HSA融合体を、抗CD3刺激マイトマイシンC処理ヒトCD4+T細胞を精製ヒトB細胞と培養したT細胞およびB細胞の初代細胞共培養において評価した。B細胞の4日目において増殖して7日目までに形質細胞(PC)に分化し、それらの産生抗体クラスをスイッチする能力を計測した(PCおよび抗体データ示さず)(
図15)(Ettinger,2007)。CD40L特異的Tn3足場342-342-HSAは、T細胞誘導増殖を足場の不存在下または非特異的対照足場の存在下でのB細胞の細胞増殖と比較して少なくとも50%だけ低減し得た。増殖は、CD40L:CD40ライゲーション時の形質細胞分化の前駆シグナルの1つである。形質細胞分化および抗体クラススイッチの阻害(データ示さず)も観察された。
【0437】
6.6 CD40:CD40L軸のインビボ破壊
T依存性免疫応答におけるCD40L:CD40R相互作用の中心的役割は、十分特性決定されている(Noelle,1992;Renshaw,1994,Wykes,2003)。ネズミCD40L特異的Tn3足場M31(M31-MSAおよびM31-M31-MSA)を使用して0日目にマウスをヒツジ赤血球(SRBC)により免疫化(静脈内)することによりT依存性免疫化モデルにおけるこれらの新規分子の効果を評価した。
【0438】
9~13日目、マウスに示される用量の阻害剤を毎日、腹腔内注射し、14日目に脾臓およびリンパ節GC B細胞を定量した。インビボでのこの分子の31時間の短いT
1/2を所与とすると毎日の投薬が要求された(
図4)。CD40Lは、液性応答、例えば、解剖学的部位、例えば、脾臓およびリンパ節における胚中心の生成を制御することが事前の知見から十分に確立されている(Jacob,1991)。ここで、その形成へのCD40L:CD40軸の寄与の破壊が、GC B細胞の割合により示されるとおり、ナイーブまたは本発明者らの非特異的対照D1-MSAに対してM31-MSAについて用量依存的に観察された。
【0439】
M31-MSAは、10mg/kgにおいてもGC B細胞(
図5B)の割合をMR1モノクローナル抗体(
図5A)と同様に消失させた。細胞の他の下位集団、例として特異的T細胞集団は正常を呈し、観察結果はT細胞枯渇に起因しないことが確認された(
図5C、
図5D、
図5E)。さらに、抗SRBC Ig ELISAデータからの結果は、胚中心B細胞データのそれを反映した(
図5F)。まとめると、これらのデータは、ネズミ特異的Tn3足場M31-MSAがCD40シグナリングを介して推進される反応を解消させ得ることを示した。
【0440】
同様に、ヒトCD40L特異的Tn3足場342(342-HSAおよび342-342-HSA)を使用してカニクイザルのKLH特異的T細胞依存性抗体応答(TDAR)モデルにおけるこれらの新規分子の効果を評価した。ここで、CD40L:CD40軸の破壊は、KLH抗原に対する抗体生成の抑制を用量依存的にもたらす。
図5Gおよび5Hに示されるとおり、342-二価構築物は、IgMおよびIgG抗体のレベルを0.5mg/kg(mpk)において抑制し、ほぼ完全な抑制は5mg/kgにおいて確認された。342-モノマー構築物も、IgMおよびIgGのレベルを抑制したが、より高濃度において、40mg/kgにおいてほぼ完全な抑制が確認された。これらのデータは、ヒト特異的Tn3足場構築物342-HSAおよび342-342-HSAが両方ともCD40シグナリングを介して推進される反応を解消し得ることを示した。
【0441】
6.7 ヒトCD40L特異的Tn3足場は、血小板凝集を誘導しない。
【0442】
抗CD40Lモノクローナル抗体を用いるヒト臨床試験は、数人の患者において血栓塞栓症が発症した場合に中止された(Davidson et al.Arth Rheu,43:S271)。後続の前臨床分析は、これが抗CD40Lモノクローナル抗体のオンターゲットクラス効果であることを示唆した。したがって、血小板凝集アッセイにおいてヒトCD40L特異的Tn3足場を試験することが重要であった。
【0443】
生理学的CD40Lの3つの分子と抗CD40Lモノクローナル抗体の1つの分子との比を使用した場合、凝集促進効果がクエン酸化多血小板血漿(PRP)、洗浄血小板、および全血において観察された(
図16A)。これらの効果は、CD40L結合後にモノクローナル抗体Fcドメイン依存性相互作用により媒介された(データ示さず)。Fcドメイン融合体の不存在下、凝集は観察されなかった。凝集は、ダイマーとしてまたはHSA融合タンパク質としてのヒトCD40L特異的Tn3足場のいずれについても複数のドナーにおいて観察されなかった(
図16Bおよび
図16C)。
【0444】
臨床試験において観察される有害副作用は、血小板の存在下で可溶性CD40L/抗CD40Lモノクローナル抗体免疫複合体を作出することにより観察された(
図16Aおよび
図16C上の5C8トレース)。この別の例は、トランスジェニックヒトFcγRIIaネズミ試験の組織構造において確認することができる(Francis et al.,2010)。可溶性CD40L/モノクローナル抗体免疫複合体の投与時、多数の血栓が投与数分以内に肺組織内で確認された。しかしながら、正常組織構造は、抗CD40L Tn3足場により重複させた場合、対照試料と一致して肺中で存在した(データ示さず)。
【0445】
実施例7
CD40Lに結合するように遺伝子操作されたフィブロネクチンIII型ドメイン:2つの複合体のクローニング、発現、精製、結晶化および予備X線回折分析
組換えヒト可溶性CD40Lを、両方ともCD40L結合剤としてファージディスプレイライブラリーから単離された2つのCD40L特異的Tn3モノマー足場309および311K4E-12と共結晶化した。結晶は、それぞれ3.1および2.9Åに回折した。さらに、組換えヒト可溶性CD40Lを、最適化Tn3モノマー342単独ならびに342モノマーおよび311K4E_12モノマーの両方と共結晶化した。これらの構造についての結晶は、それぞれ2.8および1.9Åに回折した。対応する結晶構造は、Tn3足場とCD40Lとの相互作用の理解を支援し、より高い親和性のCD40L結合剤および複数のエピトープに結合するタンデム構築物を設計するために使用することができる。
【0446】
7.1 Tn3分子およびヒト可溶性CD40Lの発現および精製
結晶化のためにタグ無しTn3分子を産生するため、組換え発現タンパク質をペリプラズム空間中に分泌するように設計されたインハウスIPTG誘導性ベクターを使用して大腸菌(E.coli)中でタンパク質を発現させた。このベクターは、Ptacプロモーター、OppAシグナルペプチド突然変異体L25/M(MTNITKRSLVAAGVLAALMAGNVAMA)(配列番号210)、C末端8×Hisタグをトロンビン開裂部位に加えて有する。Tn3配列を、シグナルペプチドとトロンビン開裂部位との間でサブクローニングした。
【0447】
発現された分泌Hisタグ付きタンパク質は、製造業者の説明書(Qiagen,Valencia,California,USA)に従ってNi-NTA樹脂を使用して精製し、次いでトロンビンにより開裂させ、次いでNi-NTA親和性精製を再度行って未切断インタクトタンパク質および切断Hisタグ付き断片を除去した。この精製工程に次いで、Aekta Purifier(GE Healthcare,Piscataway,New Jersey,USA)上で実施されるHiTrap Qカラム(GE Healthcare,Piscataway,New Jersey,USA)を使用するイオン交換工程を行った。精製されたタグ無しTn3タンパク質は、SDS-PAGEおよびSEC結果に基づき95%超の純度および均一性を示す。
【0448】
ヒト可溶性CD40L(113-261、UNIPROT:P29965)遺伝子をN末端6×Hisタグを用いてGeneArtにより合成し、サイトメガロウイルス主要前初期(hCMVie)プロモーターの制御下でインハウス哺乳動物発現ベクター中にクローニングした(Boshart et al.,Cell 41:521-530,1985)。CD40L遺伝子をインフレームでCD33シグナルペプチドとクローニングした。タンパク質発現を増加させるためにベクター中のEBNAおよびOriP遺伝子を使用した。CD40L遺伝子はSV40ポリA配列も取り込んでそのmRNA3’末端の適正なプロセシングを可能とした。構築物を293F懸濁細胞(293Freestyle培地中で293Fectin,Invitrogen,Carlsbad,California,USAを使用して増殖させたヒト胚腎細胞[HEK])中に一過的に形質移入した。細胞を、標準プロトコルを使用して増殖させ、培地を4および8日後に回収した。次いで、Ni-NTA樹脂を使用して可溶性CD40Lタンパク質を精製し、次いでHi-Trap SP FFカラム(GE Healthcare,Piscataway,New Jersey,USA)を使用するイオン交換工程および50mMのTris pH7.5、50mMのNaClに対する透析を行った。
【0449】
複合体を調製するため、Tn3分子、309または311K4E_12もしくは342のいずれかを、CD40Lと1.1:1の比で混合し、Vivaspin濃縮器30,000Daカットオフ;GE Healthcare,Piscataway,New Jersey,USA)を使用して約10mg/mlに濃縮し、50mMのTris-HCl、pH7.5、100mMのNaCl、0.02%のNaN3により予備平衡化したSuperdex200 10/300GLカラム(GE Healthcare,Piscataway,New Jersey,USA)を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に供した(
図19、パネルA)。分離工程後、複合体を18mg/mlに濃縮し、結晶化に供した。342-311K4E_12-CD40L複合体は、本質的に上記のとおり3つの構成要素の1.1:1.1:1の比を使用して調製した。
【0450】
7.2 結晶化スクリーニングおよび最適化
シッティングドロップ結晶化実験は、300nLの容量のウェル溶液およびタンパク質複合体溶液を液滴区画中で混合し、それを50μLのウェル溶液に対して平衡させることによりPhoenix結晶化ロボット(Art Robbins Instruments,Sunnyvale,California,USA)を使用して96ウェルIntelliプレート(Art Robbins Instruments,Sunnyvale,California,USA)中で設定した。Hampton Research(Aliso Viejo,California,USA)、Emerald BioSystems(Bainbridge Island,Washington,USA)およびMolecular Dimensions(Apopka,Florida,USA)からの市販の結晶化スクリーンを使用した。
【0451】
309-CD40L、342-CD40Lおよび342-311K4E_12-CD40L複合体の結晶化はそれぞれ、Additive Screen HT(Hampton Research,Aliso Viejo,California,USA)を使用する追加のスクリーニングを含む最適化工程を要求した。最適化工程において、96ウェルプレートのウェル溶液に最初のスクリーニングからの80%の成功溶液および20%のそれぞれの添加剤を充填した。液滴は、300nLのタンパク質溶液および300nLの新たなウェル溶液から後者の完全に混合した後に構成した。回折質結晶を96ウェルプレートから直接回収した。冷凍保存のため、増加グリセロール濃度を有する母液の3つの連続溶液中に結晶を移した。
【0452】
回折質311-CD40L結晶は、冷凍剤の添加を要求しない溶液からの最初のスクリーンにおいて成長した。
【0453】
7.3 X線回折およびデータ収集
309-CD40L複合体についてのX線回折パターンを、ADSC Q315R CCD X-Ray検出器(Area Detector Systems Corporation,Poway,California,USA)を備えるLawrence Berkeley National Laboratory(University of California,Berkeley)におけるAdvanced Light SourceのBeamline5.0.3において単結晶から収集した。0.5°の振動範囲を有する360個の連続画像を、300mmの結晶から検出器の距離および0.8秒の曝露時間において収集した。
【0454】
311K4E_12-CD40L、342-CD40Lおよび342-311K4E_12-CD40L複合体についてのX線回折パターンを、Rayonix225HE検出器(Rayonix LLC,Evanston,Illinois,USA)を備えるArgonne National Laboratory(University of Chicago,Chicago,IL)におけるAdvanced Photon SourceのBeamline31-ID-Dにおいて単結晶から収集した。1°の振動範囲を有する180個の連続画像を、300mmの結晶から検出器の距離および0.8秒の曝露時間において収集した。
【0455】
全てのデータセットについてのリダクションおよびスケーリングは、HKL2000パッケージソフト(Otwinowski & Minor,Methods in Enzymology,276:307-326.1997)を使用して実施した。
【0456】
7.4 結果および考察
309-CD40L複合体の最も再現性の高い結晶化条件は、Peg/Ion Screen(Hampton Research)におけるB5(0.2MのNaNO
3、20%のPEG3350)であると考えられた。Additive Screenを用いるさらなる最適化により、A1条件(0.1MのBaCl2・2H2O)からの回折質結晶を得た。
図19、パネルBに示される結晶を96ウェルプレートから回収し、20%のグリセロールを補給した母液に移した後に液体窒素中で冷却した。
【0457】
空間群対称性:結晶は、斜方晶空間群P212121に属し、格子定数a=85.69Å、b=90.64Å、c=95.56Åであり、3.1Åに回折した。非対称単位は、CD40Lのトリマーおよび3つの309分子を含有し、VM値は約2.3Å3/Daであることが予期される。
【0458】
311K4E_12-CD40L結晶化について、CryoI&IIスクリーン(Emerald BioStructures)により、最適化も冷凍保存も要求しない条件の数を得た。条件F7(40%のPEG600、0.1MのCH3COONa、0.2MのMgCl2)からの単結晶(
図19、パネルC)をデータ収集に使用した。
【0459】
空間群対称性:結晶は正方晶空間群P213に属し、格子定数97.62Åであり、2.6Åに回折した。非対称単位は、1つのCD40Lおよび1つの311K4E_12分子を含有し、VM値は約2.9Å3/Daである。
【0460】
342-CD40L空間群対称性:結晶は空間群P321に属し、格子定数a=93.53Å、b=93.53Å、c=66.69Å、分解能2.8Åであった。非対称性単位は、1つのCD40Lモノマーおよび1つの342モノマーを含有する。
【0461】
342-311K4E_12-CD40L空間群対称性:結晶は空間群P21に属し、格子定数a=80.32Å、b=143.48Å、c=111.27Å、β=98.22°、分解能1.9Åであった。非対称単位は、2つのCD40トリマー、6つの342モノマー、および6つの311K4E-12モノマーを含有する。
【0462】
全ての構造についてのデータ統計値を表10に示す。
【表10】
【0463】
CD40Lは、トリマー(
図17AのポリペプチドA、B、およびC)を形成した。それぞれの309Tn3足場(
図17AのポリペプチドD、E、およびF)は、2つのCD40Lポリペプチドに接触した。結晶構造は、それぞれの309足場と第1および第2のCD40Lポリペプチドとの間に6つの特異的接触が存在することを明らかにした。BC中のアスパラギン酸17は、第1のCD40L中のトレオニン251と接触する。BCループ中のグルタミン酸18は、第1のCD40L中のアルギニン203と、および第2のCD40L中のイソロイシン204と接触する。DEループ中のセリン47は、第1のCD40L中のヒスチジン249と接触する。DEループ中のトリプトファン49は、第1のCD40L中のバリン247と接触する。FGループ中のアスパラギン酸70は、第2のCD40L中のセリン185と接触する(
図17A参照)。311足場に接触するCD40Lアミノ酸残基も
図18Aに示す。
【0464】
309の場合、それぞれの311K4E_12モノマー足場(
図17BのポリペプチドA、B、およびC)は、2つのCD40Lポリペプチドと接触する。結晶構造は、それぞれの311K4E_12足場と第1および第2のCD40Lポリペプチドとの間に19個の特異的接触が存在することを明らかにした。BCループ中のアスパラギン17は、第1のCD40L中のチロシン146およびグルタミン酸142と接触する。BCループ中のアルギニン18は、第1のCD40L中のグルタミン酸142、チロシン146、およびメチオニン148と接触する。BCループ中のセリン19は、第1のCD40L中のグルタミン酸142およびロイシン155と接触する。BCループ中のセリン22は、第1のCD40L中のアスパラギン151と接触する。BCループ中のヒスチジン15は、第1のCD40L中のチロシン146と接触する。DEループ中のヒスチジン51は、第1のCD40L中のチロシン146と、および第2のCD40L中のグルタミン酸230と接触する。DEループ中のバリン50は、第2のCD40L中のグルタミン酸230と接触する。311K4E_12モノマー足場のN末端領域は、第2のCD40Lに連結されている。第2のCD40L中のアルギニン200は、311K4E_12のN末端領域中のトレオニン7、アスパラギン酸8、およびトレオニン10と接触する。第2のCD40L中のアルギニン203は、グルタミン酸4およびアスパラギン酸5と接触する。309足場に接触するCD40Lアミノ酸残基も
図18Bに示す。
【0465】
309および311K4E_12との複合体中のCD40Lの結晶構造は、311K4E_12および309モノマー足場がCD40Lトリマー複合体の異なる部分中に局在する異なるエピトープに結合することを示した(
図17C)。構造は、両方の足場が、CD40受容体と相互作用する同一の溝中で結合することを示した。
【0466】
CD40Lを有する342の結晶構造を
図17Dに提供し、この構造は、342がCD40Lの同一部分上で結合するが、親309クローンと比較して接触残基の特異的変化が確認されることを示した。具体的には、342においてBCループ中のアスパルテート18はCD40Lのトレオニン251と接触し、DEループのヒスチジン47はCD40Lのヒスチジン249と接触し、DEループのヒスチジン48はCD40Lのヒスチジン249、セリン245およびセリン248と接触し、DEループのヒスチジン50はCD40Lのバリン247と接触する。
【0467】
CD40Lを有する342および311K4E_12の結晶構造は、両方の足場が、CD40Lトリマー複合体の異なる部分中に局在するそれらのそれぞれのエピトープに同時に結合し得ることを実証する(
図17E)。別個の足場のそれぞれについての接触(上記)は維持される。
【0468】
上記の実施例は、本発明および本発明の方法の実施の種々の態様を説明する。これらの実施例は、本発明の多くの異なる実施形態の網羅的な説明を提供することが意図されない。したがって、本発明を理解の明確化の目的で説明および実施例によりある程度詳細に記載してきたが、当業者は、それに対して多くの変更および改変を添付の特許請求の範囲の趣旨からも範囲からも逸脱することなく行うことができることが容易に理解する。
【0469】
本明細書に挙げられる全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別的に参照により本明細書に組み込まれると示されるのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の実施形態として、例えば以下を挙げることができる。
(1) CD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場であって、前記モノマーサブユニットは、A、B、C、D、E、F、およびGと命名される7つのベータ鎖、ならびにAB、BC、CD、DE、EF、およびFGと命名される6つのループ領域を含み、CD40Lに特異的に結合するTn3足場。
(2) 単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含む、(1)に記載のTn3足場。
(3) タンデムに連結されている2つのCD40L特異的モノマーサブユニットを含む、(1)に記載のTn3足場。
(4) 前記2つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、直接連結されている、(3)に記載のTn3足場。
(5) 前記2つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、リンカーにより連結されている、(3)に記載のTn3足場。
(6) 前記リンカーは、ペプチドリンカーを含む、(5)に記載のTn3足場。
(7) 前記ペプチドリンカーが、フレキシブルペプチドリンカーである、(6)に記載のTn3足場。
(8) 前記ペプチドリンカーが、(GmX)n配列(式中、
(a)Xは、セリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)、Leu(L)、イソロイシン(I)、またはバリン(V)であり;
(b)mおよびnは、整数であり;
(c)mは、1、2、3または4であり;
(d)nは、1、2、3、4、5、6、または7である)
を含む、(7)に記載のTn3足場。
(9) 前記ペプチドリンカーが、配列番号131、配列番号132、配列番号142または配列番号143を含む、(8)に記載のTn3足場。
(10) 前記足場のCD40Lへの結合は、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれと比べて改善される、(3)に記載のTn3足場。
(11) 前記足場のCD40Lへの結合は、標的に対する作用を単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれと比べて改善する、(3)に記載のTn3足場。
(12) 前記CD40Lへの結合の改善は、結合親和性の改善、結合アビディティーの改善、またはその両方である、(10)に記載のTn3足場。
(13) CD40Lについての結合親和性およびタンパク質安定性が、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれらと比べて改善される、(10)に記載のTn3足場。
(14) CD40Lについての結合アビディティーおよびタンパク質安定性が、単一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のそれらと比べて改善される、(10)に記載のTn3足場。
(15) 少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、リンカーに、または異種部分に結合している、(1)~(9)のいずれかに記載のTn3足場。
(16) リンカーまたは異種部分が、前記足場のN末端またはC末端にコンジュゲートしている、(15)に記載のTn3足場。
(17) 前記リンカーが、ペプチドリンカーを含む、(15)または(16)に記載のTn3足場。(18) 前記ペプチドリンカーが、フレキシブルペプチドリンカーである、(17)に記載のTn3足場。
(19) 前記ペプチドリンカーが、(GmX)n配列(式中、
(a)Xは、セリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、またはバリン(V)であり;
(b)mおよびnは、整数であり;
(c)mは、1、2、3または4であり;
(d)nは、1、2、3、4、5、6、または7である)
を含む、(17)または(18)に記載のTn3足場。
(20) 前記ペプチドリンカーが、配列番号131、配列番号132、配列番号142、または配列番号143を含む、(19)に記載のTn3。
(21) 前記リンカーが、機能的部分を含む、(15)に記載のTn3足場。
(22) 前記機能的部分が、免疫グロブリンまたはその断片である、(21)に記載のTn3足場。
(23) 前記免疫グロブリンまたはその断片が、Fcドメインを含む、(22)に記載のTn3足場。
(24) 前記Fcドメインが、少なくとも1つのFcγR媒介エフェクター機能を誘導し得ない、(23)に記載のTn3足場。
(25) 前記少なくとも1つのFcγR媒介エフェクター機能が、ADCCである、(24)に記載のTn3足場。
(26) 少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、異種部分に結合している、(15)に記載のTn3足場。
(27) 前記異種部分が、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、薬物、毒素、細胞傷害剤、造影剤、放射性核種、放射性化合物、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIII足場、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカイン、および前記部分の2つ以上の組合せからなる群から選択される組成物を含む、(15)または(26)に記載のTn3足場。
(28) 少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、PEGにコンジュゲートしている、(27)に記載のTn3足場。
(29) 少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、アルブミンにコンジュゲートしている、(27)に記載のTn3足場。
(30) 前記アルブミンが、ヒト血清アルブミン(HSA)である、(29)に記載のTn3足場。
(31) 前記HSAが、バリアントHSAである、(30)に記載のTn3足場。
(32) 前記バリアントHSAのアミノ酸配列が、配列番号133である、(31)に記載のTn3足場。
(33) 前記バリアントHSAが、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片と比較して少なくとも1つの改善された特性を有する、(31)に記載のTn3足場。
(34) 前記改善された特性が、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片の血漿半減期と比較して変化した血漿半減期である、(33)に記載のTn3足場。
(35) 前記変化した血漿半減期が、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片の血漿半減期と比較して長い血漿半減期である、(34)に記載のTn3足場。
(36) 前記変化した血漿半減期が、ネイティブHSAまたはネイティブHSA断片の血漿半減期と比較して短い血漿半減期である、(34)に記載のTn3足場。
(37) 前記HSAバリアントが、HSAドメインIII中の少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、(31)または(33)~(36)のいずれかに記載のTn3足場。
(38) 前記HSAバリアントが、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列をまたはその断片を含み、但し、407、415、463、500、506、508、509、511、512、515、516、521、523、524、526、535、550、557、573、574、および580からなる群から選択される位置における全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き;前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、573位におけるリジン(K)のグルタミン酸(E)への置換を含まず、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する、(31)または(33)~(37)のいずれかに記載のTn3足場。
(39) 全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される前記少なくとも1つのアミノ酸置換が、463、508、523、および524からなる群から選択される位置におけるものであり、前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する、(38)に記載のTn3足場。
(40) 前記HSAバリアントが、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列またはその断片を含み、但し、
(a)407位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)またはチロシン(Y)への置換;
(b)415位におけるバリン(V)のトレオニン(T)への置換;
(c)463位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)への置換;
(d)500位におけるリジン(K)のアルギニン(R)への置換;
(e)506位におけるトレオニン(T)のチロシン(Y)への置換;
(f)508位におけるトレオニン(T)のアルギニン(R)への置換;
(g)509位におけるフェニルアラニン(F)のメチオニン(M)またはトリプトファン(W)への置換;
(h)511位におけるアラニン(A)のフェニルアラニン(F)への置換;
(i)512位におけるアスパラギン酸(D)のチロシン(Y)への置換;
(j)515位におけるトレオニン(T)のグルタミン(Q)への置換;
(k)516位におけるロイシン(L)のトレオニン(T)またはトリプトファン(W)への置換;
(l)521位におけるアルギニン(R)のトリプトファン(W)への置換;
(m)523位におけるイソロイシン(I)のアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)への置換;
(n)524位におけるリジン(K)のロイシン(L)への置換;
(o)526位におけるグルタミン(Q)のメチオニン(M)への置換;
(p)535位におけるヒスチジン(H)のプロリン(P)への置換;
(q)550位におけるアスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換;
(r)557位におけるリジン(K)のグリシン(G)への置換;
(s)573位におけるリジン(K)のフェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、プロリン(P)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)への置換;
(t)574位におけるリジン(K)のアスパラギン(N)への置換;
(u)580位におけるグルタミン(Q)のリジン(K)への置換;および
(v)前記置換の2つ以上の組合せ
からなる群から選択される全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、
前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する、(31)または(33)~(38)のいずれかに記載のTn3足場。
(41) 前記HSAバリアントが、全長成熟HSA(配列番号133または138)の配列またはその断片を含み、但し、
(a)463位におけるロイシン(L)のアスパラギン(N)への置換;
(b)508位におけるトレオニン(T)のアルギニン(R)への置換;
(c)523位におけるイソロイシン(I)のアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)への置換;
(d)524位におけるリジン(K)のロイシン(L)への置換;および
(e)前記置換の2つ以上の組合せ
からなる群から選択される全長成熟HSA中の位置に対して番号付与される少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、
前記HSAバリアントにコンジュゲートしていないTn3足場の血漿半減期よりも長い血漿半減期を有する、(40)に記載のTn3足場。
(42) 少なくとも2つの同一のCD40L特異的モノマーサブユニットを含む、(3)~(14)のいずれかに記載のTn3足場。
(43) 少なくとも2つの異なるCD40L特異的モノマーサブユニットを含む、(3)~(15)のいずれかに記載のTn3足場。
(44) CD40受容体アゴニストである、(1)~(43)のいずれかに記載のTn3足場。
(45) CD40受容体アンタゴニストである、(1)~(44)のいずれかに記載のTn3足場。
(46) 少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、同一のCD40Lエピトープに特異的に結合する、(3)~(14)のいずれかに記載のTn3足場。
(47) 少なくとも2つのCD40L特異的モノマーサブユニットが、異なるCD40Lエピトープに特異的に結合する、(3)~(14)のいずれかに記載のTn3足場。
(48) 前記異なるCD40Lエピトープが、非重複エピトープである、(47)に記載のTn3足場。
(49) 前記異なるCD40Lエピトープが、重複エピトープである、(47)に記載のTn3足場。
(50) 少なくとも2つのCD40L分子に結合する、(1)~(49)のいずれかに記載のTn3足場。
(51) 単一のCD40L特異的モノマーサブユニットが、少なくとも2つのCD40L分子に結合する、(1)~(50)のいずれかに記載のTn3足場。
(52) 少なくとも1つのCD40L特異的モノマーサブユニットのベータ鎖が、配列番号3のベータ鎖と少なくとも90%の配列同一性を有する、(1)に記載のTn3足場。
(53) 前記Aベータ鎖が、少なくとも1つの突然変異を除き配列番号11を含む、(1)に記載のTn3足場。
(54) 前記Bベータ鎖が、少なくとも1つの突然変異を除き配列番号12を含む、(1)に記載のTn3足場。
(55) 前記Cベータ鎖が、少なくとも1つの突然変異を除き配列番号13または14を含み、配列番号13のシステインも配列番号14のシステインも置換されていない、(1)に記載のTn3足場。
(56) 前記Dベータ鎖が、少なくとも1つの突然変異を除き配列番号15を含む、(1)に記載のTn3足場。
(57) 前記Eベータ鎖が、少なくとも1つの突然変異を除き配列番号16を含む、(1)に記載のTn3足場。
(58) 前記Fベータ鎖が、少なくとも1つの突然変異を除き配列番号17を含み、配列番号17のシステインが置換されていない、(1)に記載のTn3足場。
(59) 前記Gベータ鎖が、少なくとも1つの突然変異を除き配列番号18を含む、(1)に記載のTn3足場。
(60) 前記CD40L特異的モノマーサブユニットが、アミノ酸配列:
IEV(XAB)nALITW(XBC)nCELX1YGI(XCD)nTTIDL(XDE)nYSI(XEF)nYEVSLIC(XFG)nKETFTT
(式中、
(a)XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGは、それぞれ前記AB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列中に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X1は、アミノ酸残基AまたはTを表し;
(c)ループの長さnは、2から26の整数である)
を含む、(1)~(59)のいずれかに記載のTn3足場。
(61) 前記ABループの配列が、配列番号4または配列番号136を含み、前記CDループの配列が、配列番号6を含み、前記EFループの配列が、配列番号8または配列番号137を含む、(60)に記載のTn3足場。
(62) 前記BCループの配列が、配列番号83、84、85、86、87、88、89、90、91、92からなる群から選択される配列を含む、(60)に記載のTn3足場。
(63) 前記DEループの配列が、配列番号94、95、96、97、98、および169からなる群から選択される配列を含む、(60)に記載のTn3足場。
(64) 前記FGループの配列が、配列番号9、99、139、および170からなる群から選択される配列を含む、(60)に記載のTn3足場。
(65) 前記BCループの配列が、配列番号100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、および174からなる群から選択される配列を含む、(60)に記載のTn3足場。
(66) 前記DEループの配列が、配列番号118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、および175からなる群から選択される配列を含む、(60)に記載のTn3足場。
(67) 前記FGループの配列が、配列番号129、130、および177からなる群から選択される配列を含む、(60)に記載のTn3足場。
(68) (a)前記BCループの配列が、配列番号83を含み、前記DEループの配列が、配列番号94を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(b)前記BCループの配列が、配列番号83を含み、前記DEループの配列が、配列番号94を含み、前記FGループの配列が、配列番号99を含み;
(c)前記BCループの配列が、配列番号84を含み、前記DEループの配列が、配列番号95を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(d)前記BCループの配列が、配列番号85を含み、前記DEループの配列が、配列番号94を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(e)前記BCループの配列が、配列番号86を含み、前記DEループの配列が、配列番号96を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(f)前記BCループの配列が、配列番号87を含み、前記DEループの配列が、配列番号97を含み、前記FGループの配列は、配列番号9または139を含み;
(g)前記BCループの配列が、配列番号88を含み、前記DEループの配列が、配列番号95を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(h)前記BCループの配列が、配列番号89を含み、前記DEループの配列が、配列番号94を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(i)前記BCループの配列が、配列番号90を含み、前記DEループの配列が、配列番号94を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(j)前記BCループの配列が、配列番号91を含み、前記DEループの配列が、配列番号95を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;
(k)前記BCループの配列が、配列番号92を含み、前記DEループの配列が、配列番号98を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含み;または
(l)前記BCループの配列が、配列番号93を含み、前記DEループの配列が、配列番号94を含み、前記FGループの配列が、配列番号9または139を含む、
(60)に記載のTn3足場。
(69) (a)前記BCループの配列が、配列番号100を含み、前記DEループの配列が、配列番号118を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(b)前記BCループの配列が、配列番号101を含み、前記DEループの配列が、配列番号119を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(c)前記BCループの配列が、配列番号102を含み、前記DEループの配列が、配列番号120を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(d)前記BCループの配列が、配列番号103を含み、前記DEループの配列が、配列番号121を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(e)前記BCループの配列が、配列番号104を含み、前記DEループの配列が、配列番号122を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(f)前記BCループの配列が、配列番号105を含み、前記DEループの配列が、配列番号121を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(g)前記BCループの配列が、配列番号106を含み、前記DEループの配列が、配列番号123を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(h)前記BCループの配列が、配列番号107を含み、前記DEループの配列が、配列番号123を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(i)前記BCループの配列が、配列番号108を含み、前記DEループの配列が、配列番号118を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(j)前記BCループの配列が、配列番号109を含み、前記DEループの配列が、配列番号123を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(k)前記BCループの配列が、配列番号110を含み、前記DEループの配列が、配列番号121を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(l)前記BCループの配列が、配列番号111を含み、前記DEループの配列が、配列番号123を含み、前記FGループの配列が、配列番号130を含み;
(m)前記BCループの配列が、配列番号108を含み、前記DEループの配列が、配列番号121を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(n)前記BCループの配列が、配列番号112を含み、前記DEループの配列が、配列番号124を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(o)前記BCループの配列が、配列番号113を含み、前記DEループの配列が、配列番号125を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(p)前記BCループの配列が、配列番号114を含み、前記DEループの配列が、配列番号118を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(q)前記BCループの配列が、配列番号115を含み、前記DEループの配列が、配列番号126を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;
(r)前記BCループの配列が、配列番号116を含み、前記DEループの配列が、配列番号127を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含み;または
(s)前記BCループの配列が、配列番号117を含み、前記DEループの配列が、配列番号128を含み、前記FGループの配列が、配列番号129を含む、
(60)に記載のTn3足場。
(70) 前記ABループが、配列番号136を含む、(69)に記載のTn3足場。
(71) 前記CD40L特異的モノマーサブユニットが、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列を含む、(68)に記載のTn3足場。
(72) 前記CD40L特異的モノマーサブユニットが、アミノ酸配列:
IEVKDVTDTTALITWX1DX2X3X4X5X6X7X8CELTYGIKDVPGDRTTIDLWX9HX10AX11YSIGNLKPDTEYEVSLICRX12GDMSSNPAKETFTT(配列番号167)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基セリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基アラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基イソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基グリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基トリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基アルギニン(R)またはセリン(S)を表す)
を含む、(60)に記載のTn3足場。
(73) 前記CD40L特異的モノマーサブユニットが、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、および82からなる群から選択される配列を含む、(69)に記載のTn3足場。
(74) 前記CD40L特異的モノマーサブユニットが、アミノ酸配列:
IEVX1DVTDTTALITWX2X3RSX4X5X6X7X8X9X10CELX11YGIKDVPGDRTTIDLX12X13X14X15YVHYSIGNLKPDTX16YEVSLICLTTDGTYX17NPAKETFTT(配列番号171)
(式中、
(a)X1は、アミノ酸残基リジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2は、アミノ酸残基トレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3は、アミノ酸残基アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4は、アミノ酸残基セリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5は、アミノ酸残基チロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6は、アミノ酸残基チロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7は、アミノ酸残基アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8は、アミノ酸残基ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9は、アミノ酸残基ヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10は、アミノ酸残基グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11は、アミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12は、アミノ酸残基セリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13は、アミノ酸残基セリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14は、アミノ酸残基プロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはアラニン(A)またはアミノ酸無しを表し;
(o)X15は、アミノ酸残基イソロイシン(I)またはアミノ酸無しを表し;
(p)X16は、アミノ酸残基グルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;
(q)X17は、アミノ酸残基セリン(S)またはアスパラギン(N)を表す)
を含む、(60)に記載のTn3足場。
(75) 配列番号134、135、205、206、207および208からなる群から選択される配列を含むTn3足場。
(76) 配列番号134、135、205、206、207および208からなる群から選択される配列からなるTn3足場。
(77) 配列番号201、202、203、および204からなる群から選択される配列を含むTn3足場。
(78) 配列番号201、202、203、および204からなる群から選択される配列からなるTn3足場。
(79) 前記CD40Lが、ヒトCD40Lである、(1)~(78)のいずれかに記載のTn3足場。
(80) 前記CD40Lが、膜結合CD40L(配列番号1)、可溶性CD40L(配列番号2)、またはその断片である、(79)に記載のTn3足場。
(81) CD40Lに結合し、CD40LのCD40への結合を妨害する、(1)~(80)のいずれかに記載のTn3足場。
(82) CD40Lに結合し、CD40媒介シグナリングを破壊する、(1)~(81)のいずれか一項に記載のTn3足場。
(83) CD40L発現細胞を(1)~(82)のいずれかに記載のTn3足場と接触させることを含むCD40L発現細胞の活性を変化させる方法であって、前記Tn3足場は、CD40Lに結合し、CD40LのCD40への結合を妨害する方法。
(84) CD40L発現細胞を(1)~(82)のいずれかに記載のTn3足場と接触させることを含むCD40媒介シグナリング応答を変化させる方法であって、前記Tn3足場は、CD40Lに結合し、CD40媒介シグナリングを破壊する方法。
(85) 前記CD40媒介シグナリング応答が、T依存性免疫応答である、(84)に記載の方法。
(86) 約1μM以下、または約500nM以下、または約100nM以下、または約50nM以下、または約25nM以下、または約10nM以下、または約5nM以下、または約2nM以下の親和性(Kd)でCD40Lに結合する、(1)~(82)のいずれかに記載のTn3足場。
(87) CD40L特異的モノマーサブユニットが、配列番号2の142から155、200から230、または247から251位に局在するアミノ酸を含むCD40Lエピトープに特異的に結合する、(1)~(82)および(86)のいずれかに記載のTn3足場。
(88) CD40L特異的モノマーサブユニットが、CD40Lアミノ酸E142、Y146、M148、N151、L155、R200、R203、およびE230と相互作用する、(1)~(61)、(65)~(67)、(69)、(70)、(73)、(74)、(77)、および(78)のいずれかに記載のTn3足場。
(89) CD40L特異的モノマーサブユニットが、CD40Lアミノ酸R203、I204、V247、H249、およびT251と相互作用する、(1)~(64)、(68)、(71)、(72)、(75)および(76)のいずれかに記載のTn3足場。
(90) CD40L特異的モノマーサブユニットが、CD40Lアミノ酸S245、V247、H249、およびT251と相互作用する、(1)~(64)、(68)、(71)、(72)、(75)および(76)のいずれかに記載のTn3足場。
(91) CD40Lアミノ酸E142、Y146、M148、N151、L155が、第1のCD40L分子中に局在し、アミノ酸R200、R203、およびE230が、第2のCD40L分子中に局在する、(88)に記載のTn3足場。
(92) CD40Lアミノ酸R203およびI204が、第1のCD40L分子中に局在し、CD40Lアミノ酸V247、H249、およびT251が、第2のCD40L分子中に局在する、(89)に記載のTn3足場。
(93) (1)~(82)および(86)~(92)のいずれかに記載のTn3足場をコードする単離核酸分子。
(94) (93)に記載の核酸を含む発現ベクター。
(95) (94)に記載のベクターを含む宿主細胞。
(96) 前記核酸分子によりコードされるTn3足場が発現される条件下で(95)に記載の宿主細胞を培養することを含む、Tn3足場を産生する方法。
(97) (1)~(82)および(86)~(92)のいずれかに記載のTn3足場および薬学的に許容可能な賦形剤を含む組成物。
(98) 有効量の(96)に記載の組成物を投与することを含む、自己免疫疾患の予防、治療、改善、または管理が必要とされる患者における自己免疫疾患を予防、治療、改善、または管理する方法。
(99) 治療有効量の(93)に記載の組成物を患者に投与することを含む、自己免疫疾患を有する患者に投与されるコルチコステロイドの頻度および量を低減させる方法。
(100) 前記自己免疫疾患が、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、シェーグレン症候群、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生性緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーブス病を含む)、角膜および他の組織移植、ならびに慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再灌流損傷、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流損傷、脊髄損傷および同種移植片拒絶反応、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄多発性神経障害、チャーグストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギランバレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、例えば、疱疹状皮膚炎血管炎、白斑およびウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、(98)または(99)のいずれかに記載の方法。
(101) 前記自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス(SLE)である、(98)または(99)のいずれかに記載の方法。
(102) 追加の治療法をさらに含み、前記治療法は、免疫療法、生物療法、化学療法、放射線療法、または小分子薬物療法である、(98)または(99)のいずれかに記載の方法。
(103) 可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号20からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P212121斜方晶空間群およびa=85.69Å、b=90.64Å、c=95.56Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶。
(104) 前記結晶の非対称単位が、CD40LのトリマーおよびTn3足場の3つの分子を含む、(103)に記載のタンパク質結晶。
(105) 構造座標の決定のためのX線を、3.2Å以下の値の分解能に回折させる、(103)に記載のタンパク質結晶。
(106) 可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号68からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P213立方晶空間群およびa=b=c=97.62Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶。
(107) 前記結晶の非対称単位が、1つのCD40L分子および1つのTn3足場分子を含む、(106)に記載のタンパク質結晶。
(108) 構造座標を決定するためのX線を、2.7Å以下の値の分解能に回折させる、(106)に記載のタンパク質結晶。
(109) 可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号28または146からなるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P321空間群および、a=95.53Å、b=93.53Å、c=66.69Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶。
(110) 前記結晶の非対称単位が、1つのCD40L分子および1つのTn3足場分子を含む、(109)に記載のタンパク質結晶。
(111) 構造座標を決定するためのX線を、2.8Å以下の値の分解能に回折させる、(109)に記載のタンパク質結晶。
(112) 可溶性CD40L(配列番号2)との複合体中の配列番号68および配列番号28または146からなる2つの異なるTn3足場を含むタンパク質結晶であって、P21立方晶空間群およびa=80.32Å、b=143.48Å、c=111.27Å、β=98.22Åの単位格子寸法、+/-0.1%における結晶格子を有するタンパク質結晶。
(113) 前記結晶の非対称単位が、2つのCD40Lトリマーおよび6つのそれぞれのTn3足場分子を含む、(112)のタンパク質結晶。
(114) 構造座標を決定するためのX線を、1.9Å以下の値の分解能に回折させる、(112)に記載のタンパク質結晶。
(115) シッティングドロップ蒸気拡散により結晶化されている、(103)~(114)のいずれか一項に記載のタンパク質結晶。
(116) (a)CD40Lとの複合体中のCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場を含むある容量の液体を、沈殿剤を含むある容量のリザーバー溶液と混合すること;および
(b)工程(a)において得られた混合物を密閉容器中で、タンパク質結晶が形成するまで結晶化に好適な条件下でインキュベートすること
を含む、タンパク質結晶を作製する方法。
(117) 前記タンパク質結晶を、シッティングドロップ蒸気拡散により産生する、(116)に記載の方法。
(118) 前記Tn3足場が、配列番号20、配列番号28、配列番号68または配列番号146を含む、(116)に記載の方法。
(119) (a)データを、CD40Lと複合体化されたCD40L特異的モノマーサブユニットを含むTn3足場のタンパク質結晶の一部の構造についてのグラフ三次元表示に変換するための;および
(b)前記グラフ三次元表示の表示をもたらすための、
機械可読命令が符号化されたデータ保存材料を含む機械可読データ保存媒体。
(120) 前記Tn3足場が、配列番号20、配列番号28、配列番号68または配列番号146を含む、(119)に記載の機械可読データ保存媒体。
(121) 前記タンパク質結晶が、(103)に記載の結晶、(106)に記載の結晶、(118)に記載の結晶、またはそれらの任意の組合せである、(119)に記載の機械可読データ保存媒体。
【0470】
配列
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【配列表】