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特許7068272材料をレーザ加工するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】材料をレーザ加工するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/064 20140101AFI20220509BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20220509BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B23K26/064 K
B23K26/70
G02B6/02 416
G02B6/02 431
【請求項の数】 58
(21)【出願番号】P 2019505394
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 GB2017000118
(87)【国際公開番号】W WO2018025005
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】1613494.2
(32)【優先日】2016-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】503443773
【氏名又は名称】トルンプ レーザー ユーケー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【弁理士】
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー マリノウスキ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ アンドレ コードマード
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル ニコラオス ザーバス
(72)【発明者】
【氏名】ポール マーティン ハリソン
(72)【発明者】
【氏名】マーク グリーンウッド
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500571(JP,A)
【文献】特開2003-019588(JP,A)
【文献】特開2010-115686(JP,A)
【文献】特開2010-008900(JP,A)
【文献】特開2004-354671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0037495(US,A1)
【文献】米国特許第07233720(US,B2)
【文献】米国特許第07138621(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第101630045(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103364956(CN,A)
【文献】国際公開第2000/041019(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/200271(WO,A1)
【文献】特表2007-518566(JP,A)
【文献】特開2006-053559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
G02B 6/02 - 6/10、6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料をレーザ加工するための装置であって、該装置は、レーザとビーム送出ケーブルとを備え、
該レーザは該ビーム送出ケーブルに接続されており、
前記ビーム送出ケーブルは、前記レーザから放出されたレーザ放射を伝送するように構成され、
該レーザ放射はビームパラメータ積によって規定され、
前記装置は、
該装置が、ピッチによって画定される周期的表面を備える少なくとも1つの絞り機構を含み、
前記レーザおよび/または前記ビーム送出ケーブルの一部を形成するある長さの光ファイバが該周期的表面に隣接して配置されており、
前記絞り機構は、絞り力で、前記周期的表面と前記光ファイバの長さとを絞るように構成され、それによって、前記ビームパラメータ積を前記絞り力を調整して変化させることが可能であり、
前記絞り機構は、前記材料に実行される前記レーザ加工に依存する最適な出力ビームプロファイルを達成するために、前記ビームパラメータ積および前記レーザ放射の出力ビームプロファイルの反復調整を提供可能な調整可能絞り機構である、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記周期的表面がチャープされている(chirped)、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記絞り機構は、互いに角度をなして配置された少なくとも2つの前記周期的表面を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記周期的表面が同じピッチを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記角度が直角である、請求項3または請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記角度が60度である、請求項3または請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記絞り機構は、前記周期的表面のうちの1つを、前記周期的表面の別のものとは異なる絞り力を有する前記光ファイバに対して絞ることができるようなものである、請求項3ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記周期的表面の空間位相は、前記絞り力が前記周期的表面に印加されるとき、前記光ファイバがらせん形状に変形するように構成されている、請求項3ないし7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記絞り力は、前記光ファイバは、1N未満の力で前記周期的表面を通って引っ張られることができるようなものである、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
複数の前記絞り機構を備える、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記絞り機構の少なくとも1つは、前記絞り機構の別のものとは異なるピッチを有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記絞り機構が線形絞り機構である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記絞り機構はシリンダを備え、前記光ファイバは前記シリンダの周りに巻き付けられており、前記絞り力は前記シリンダの軸に沿って加えられる、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記ピッチが前記シリンダの半径または周囲に沿って変化する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記光ファイバが、少なくとも10μmの直径を持つコアを有する、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記直径が少なくとも15μmである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記直径が少なくとも50μmである、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記光ファイバが、100μm以下の外径を有するガラスを含む、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記外径が、80μm以下である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ピッチが8mm以下である、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記ピッチが6mm以下である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ピッチが5mm以下である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ピッチが0.5mmから4mmの範囲にある、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記光ファイバは、伝搬定数βを有する第1の光学モードと伝搬定数βを有する第2の光学モードとをサポートするコアを備え、前記ピッチは、前記絞り力が加えられたときに前記第1の光学モードを前記第2の光学モードに結合するように選択される、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記ピッチが2π/(β-β)に等しい、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記絞り機構は前記光ファイバをその長さに沿って歪ませ、該歪みは対称性によって規定され、前記対称性は、前記第1の光学モードを前記第2の光学モードに結合するように選択される、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記絞り機構は、前記光ファイバの出力を、前記絞り力を変えることによって、前記第1の光モードから前記第2の光モードに切り替えることができるようにするように構成されている、請求項24ないし請求項26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記光ファイバは、伝搬定数β1を有する第1の光モードをサポートするコアと、

伝搬定数β2を有する第2の光モードをサポートする少なくとも1つのサテライトコアと、を備え、前記ピッチは、前記第1の光学モードを前記第2の光学モードに結合するように選択される、請求項1ないし請求項23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記コアを囲む、少なくとも2つの前記サテライトコアが存在する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記コアを囲む、少なくとも4つの前記サテライトコアが存在する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記サテライトコアがリングコアである、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記ピッチが2π/(β-β)に等しい、請求項28ないし31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記絞り機構は、前記光ファイバをその長さに沿って歪ませ、該歪みは対称性によって規定され、前記対称性は、前記第1の光学モードが前記第2の光学モードに結合できるように選択される、請求項28ないし32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
セントラルコアと少なくとも1つのサテライトコアとを備える遷移光ファイバを含み、該サテライトコアは、前記第2の光学モードで伝播する前記レーザ放射の前記ビーム径の拡大に対して、異なる割合で、前記第1の光学モードで伝播する前記レーザ放射の前記ビーム径を拡大するように構成される、請求項24から33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記サテライトコアが少なくとも4つ存在する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記サテライトコアがリングコアである、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
セントラルコアを含むビーム送出光ファイバを含み、該ビーム送出光ファイバは、そこからレーザ放射が放出される出力端を備える、請求項24ないし36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記ビーム送出光ファイバがペデスタルを含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記ビーム送出光ファイバが、前記セントラルコアを囲むリングコアを含む、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
テーパを含み、該テーパは、前記セントラルコアの直径が前記出力端に向かって増加するようなものである、請求項37ないし39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
2つの前記絞り機構が存在し、第2の絞り機構は、ピッチによって規定される周期的表面を有し、前記第2の絞り機構の前記周期的表面は、前記ビーム送出光ファイバに適用されている、請求項37ないし40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記第2の絞り機構のピッチは、第1の絞り機構のピッチより大きい、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記ビーム送出光ファイバは、伝搬定数β1を有する基本モード、および、伝搬定数βを有する第2次光学モードをサポートし、前記第2の絞り機構のピッチは、2π/(β-β)より長く、それにより、前記第2の絞り機構は、前記基本モードと前記第2次光学モードとを結合しない、請求項41または42に記載の装置。
【請求項44】
前記第2の絞り機構の前記ピッチは、前記ビーム送出光ファイバにおいて、伝播することができる高次モードを結合するように選択され、それによって、より均一な出力ビームプロファイルを作り出す、請求項41ないし43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
前記ビーム送出ケーブルからの前記レーザ放射を受けるように配置されているレンズシステムを含む、請求項1ないし44のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
前記レンズシステムは、前記材料の上の集束スポットの直径を変えることができるようなものである、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記絞り機構は、アクチュエータを含む、請求項1ないし46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
コンピュータおよびアクチュエータを含み、前記レンズシステムおよび前記アクチュエータのうちの少なくとも1つは、前記コンピュータによって制御される、請求項45または46に記載の装置。
【請求項49】
前記コンピュータは、材料パラメータに関する情報を含むメモリを備える、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記装置は、前記光ファイバから前記レーザ放射を受け取るように構成された処理ヘッドを含む、請求項1ないし49のいずれか1項に記載の装置。
【請求項51】
前記装置は、第1の光ファイバと第2の光ファイバとを備え、
第1の光ファイバは第1のコア径を有し、
前記第2の光ファイバは、該第1のコア径よりも大きい第2のコア径を有し、
前記第2の光ファイバは、前記処理ヘッドと前記第1の光ファイバとの間に配置されており、
前記絞り機構の第1のものは、前記第1の光ファイバに適用され、
前記絞り機構の第2のものは、前記第2の光ファイバに適用され、それにより、使用時に、前記第1の光ファイバにおいて伝播するレーザ放射のスポットサイズが、前記第1の絞り機構によって変化し、前記レーザ放射のプロファイルは、前記第2の絞り機構によって変化する、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記ビーム送出ケーブルに取り付けられた、または、前記ビーム送出ケーブルの一部を形成している振動要素を含む、請求項1ないし51のいずれか1項に記載の装置。
【請求項53】
材料をレーザ加工する方法であって、該方法は、
レーザおよびビーム送出ケーブルを提供するステップであって、該ビーム送出ケーブルは、該レーザからのレーザ放射を伝送するように構成され、該レーザ放射はビームパラメータ積によって規定される、ステップと、
ピッチによって画定される周期的表面を備える少なくとも1つの絞り機構を提供するステップであって、前記レーザおよび/または前記ビーム送出ケーブルの一部を形成するある長さの光ファイバが、該周期的表面に隣接して配置されており、前記絞り機構は、絞り力と共に周期的表面と光ファイバの長さとを絞るように構成されるものであ
前記絞り機構は、前記ビームパラメータ積および前記レーザ放射の出力ビームプロファイルの反復調整を提供可能な調整可能絞り機構である、ステップと、
ビームパラメータ積および前記材料に実行される前記レーザ加工に依存する最適な出力ビームプロファイルを達成するために前記ビーム送出ケーブルから放射されたレーザ放射の前記出力ビームプロファイルを変えるために絞り力を調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項54】
前記方法は、レンズシステムを提供するステップと、前記ビーム送出ケーブルから前記レーザ放射を受けるように前記レンズシステムを位置決めするステップとを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記レンズシステムは、前記材料の上の集束スポットの直径を変えることができるようなものであり、前記方法は、前記材料の上の前記集束スポットの前記直径を変えることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記絞り機構がアクチュエータを含む、請求項53ないし55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
コンピュータを提供するステップと、
前記コンピュータによって、前記レンズシステムおよび前記アクチュエータのうちの少なくとも1つを制御するステップと
を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記コンピュータは、材料パラメータに関する情報を備えるメモリを含む、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、材料をレーザ加工するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼のレーザ切断は、レーザビームを、加工ヘッドを介して、加工物に向けることによって達成される。加工ヘッドはレーザ光線を平行にし、集束させるための光学系およびビームと同軸である高圧ガスジェットを提供するための円錐銅ノズルを有する。基本的な切断作業は、金属板加工物を加熱して溶融させるレーザビームと、溶融材料をカットゾーンの底部から吹き出す補助ガスジェットとして知られるガスジェットとを含む。切断ヘッドは、ノズル先端と加工物表面との間の距離を一定に保ちながら、板金上を移動する。切断ヘッドは、プログラムされた経路で動かされて、所望のシートメタルプロファイルを作り出す。
【0003】
ステンレス鋼を切断する場合、不活性アシストガスを使用するのが一般的である。これは、金属部品が使用されているときに問題を引き起こす可能性がある加工物の切断端面上の金属酸化物の生成を回避する。この切断プロセスのための唯一の熱源は、集束レーザビームによって提供されるので、より高いエネルギー出力密度を有する、より小さい焦点サイズは、より狭い溶融領域を生成することによってより効率的な切断を提供することになる。溶融領域が金属の厚さにわたって狭いように、低い発散を使用することは有益である。最小実用焦点の限界は、材料の厚さと共に光学的被写界深度によって決まる。これは、カット幅(カーフ)が、クリーンカットを生成するために溶融材料をきれいに除去し、下方カットエッジ上のドロスを回避するのに十分な圧力でアシストガスがカットの底部に移動することを可能にするために、十分広くなければならないためである。この種の切断のためには、アシストガスを高圧で、典型的には10から20バールの範囲で、加えなければならない。ノズル出口の直径は通常0.5mmから2.0mmの範囲であり、そして、一般的に厚い材料はより大きいノズルを必要とする。
【0004】
5mmより厚い軟鋼(低炭素鋼としても知られている)を切断する場合、切断速度を増大させる追加的な熱を供給するために、加工物内の鉄と発熱的に反応する補助的なガスとして酸素を使用するのが一般的である。これは典型的には0.25バールから1バールの範囲の圧力で適用され、それは窒素補助ガス切断に使用されるものと比較してはるかに低い。典型的には10mmから30mmの厚さの範囲での厚い切片の切断のために、酸素アシストガスが、ドロスフリーカットを維持しながら、溶融材料を射出するのに十分なガス流で切断ゾーンの底部に到達することができるように、切り溝は十分な幅でなければならず、厚い軟鋼切断に対して、シートメタル表面上の入射ビーム径がビームウェストよりも大きくなるように、ビームウェストがシートメタル表面上にあるようにビームの焦点をぼかすことは、典型的である。ビームの発散が増加すると、より低いエッジ粗さでより良い品質のカットが得られる。
【0005】
ほとんどの汎用フラットベッドレーザ切断機は、全てが高品質でなければならない様々な厚さの金属の範囲を切断することを要求される。焦点サイズの選択は、通常、幅広い一連のプロセス条件を満たすために必要な要件の妥協点である。薄いステンレス鋼を切断するためには、小さな焦点が低い発散で必要とされる一方、厚い軟鋼を切断するためにはより大きい焦点がより高い発散で必要とされる。このようなフラットベッド切断機は、一定のビーム品質を有するレーザで作動するように設計されている。加工能力を増大させるために、切削ヘッドは、第1に、ビーム経路に沿った集束レンズの制限された移動を可能にしてワークピースに対するレーザビームのデフォーカスを可能にする増強光学系を有する。そして、第2に、焦点直径を調整することを可能にする。一定のレーザビーム品質を有するレーザは焦点サイズと発散との間に固定された関係を有し、それは切断プロセス体制によって望まれるものと反対の方法で働くので、これは利益を制限する。
【0006】
異なる切断方式では、発散が小さい小スポットまたは発散が大きい大スポットのいずれかが必要であるのに対し、固定ビーム品質のレーザは、発散が大きな小スポットと発散が狭い大スポットとを提供することができる。したがって、すべての金属の種類と厚さに対してプロセスパラメータを最適化することは不可能である。
【0007】
溶接、マーキング、および積層造形などの他の材料加工装置でも同様の制限が生じる。これら全ての応用分野において、レーザのビームパラメータ積を変えることができ、かつ加工される材料上の集束レーザビームの直径を変えることができるレーザ加工装置が必要とされている。
【0008】
本願発明の目的は、上述の問題を軽減する材料をレーザ加工するための装置および方法を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本願発明の非限定的な実施形態によれば、材料をレーザ加工するための装置が提供され、この装置はレーザとビーム送出ケーブルとを含む。
● レーザはビーム送出ケーブルに接続されている。
● ビーム送出ケーブルは、レーザから放出されたレーザ放射を伝送するように構成される。
そして、
● レーザ放射はビームパラメータ積によって規定される。
そして、装置は以下の特徴を有する。
● 装置は、ピッチによって画定された周期的表面を含む少なくとも1つの絞り機構を含む。
● レーザおよび/またはビーム送出ケーブルの一部を形成するある長さの光ファイバが周期的表面に隣接して配置されている。
そして、
● 絞り圧構は、絞り力と共に周期的表面と光ファイバの長さとを絞るように構成される。それにより、絞り力を調整することによってビームパラメータ積を変えることができる。
【0010】
光ファイバを選択することおよび絞り力を変えることによって、典型的な産業用レーザのビームパラメータ積を0.3mm・mradから30mm・mradの範囲に調整することが可能である。有利なことに、光ファイバに沿って伝播するレーザ放射のビーム半径および有効開口数の両方が、絞り力を変えることによって制御され得る。レーザ放射の出力ビームプロファイルを、例えばベル型ガウスビームプロファイルからトップハットビームプロファイルまたはリングプロファイルに調整または切り替えることも可能である。これは多くのレーザ切断用途に非常に望ましい。本願発明は、切断のような材料プロセスを最適化することにおいてはるかに大きな自由度を可能にする。焦点サイズと発散は、板金の種類と厚さごとに最適化できる。この装置は、金属を貫通してステンレス鋼を切断するための高ビーム品質(低ビームパラメータ製品)、および、より厚い軟鋼を切断するための低ビーム品質(高ビームパラメータ製品)でレーザ放射を生成するように設定することができる。前者の場合、材料に焦点を合わせたときのレーザ放射の直径は、後者の場合よりも小さくかつより低い発散でなければならない。
【0011】
周期的表面はチャープされてもよい。単調にまたは非単調的に、絞り機構の長さに沿ってピッチを変化させることは、所望のビームパラメータ積または出力ビームプロファイルを得るために必要とされる絞り力の量を減らすことができ、それによって信頼性を高める。
【0012】
絞り機構は、互いに角度をなして配置された少なくとも2つの周期的表面を含むことができる。周期的表面は同じピッチを有してもよい。角度は直角でもよい。角度は60度であり得る。絞り機構は、一方の周期的表面を他方の周期的表面とは異なる絞り力で光ファイバに対して圧迫することができるようにすることができる。周期的表面の空間位相は、絞り力が周期的表面に加えられたときに光ファイバが実質的にらせん状に変形するように構成することができる。絞り力は、1N未満の力で光ファイバを周期的表面を通して引っ張ることができ、その結果、機械的信頼性が向上するようなものであり得る。
【0013】
この装置は、複数の絞り機構を備えることができる。複数の絞り機構を有することは、各絞り機構に必要な絞り力を減少させ、それによって信頼性を向上させる。
【0014】
少なくとも一方の絞り機構は、他方の絞り機構とは異なるピッチを有してもよい。ピッチが異なると、光ファイバ内の導波モードの異なるグループ間の結合が可能になる。異なるピッチを有する絞り機構を組み合わせることは、出力ビームパラメータ積および出力ビームプロファイルのより優れた制御を提供する。
【0015】
絞り機構は線形絞り機構であってもよい。スペースが貴重な場合、これは有利である。
【0016】
絞り機構はシリンダを含んでもよい。光ファイバはシリンダの周りに巻き付けられてもよい。絞り力は、シリンダの軸に沿って加えられてもよい。これはコンパクトな配置を提供し、線形絞り機構よりも長い長さの光ファイバに絞り力を加えることをより便利にし、そして1ターンより多くの光ファイバを使用することを可能にする。これにより、より小さな絞り力を加えることが可能になり、それによって長期信頼性が向上する。それはまた、絞られたときの光ファイバ内の光損失を減らすのを助ける。
【0017】
ピッチは、シリンダの半径または周囲に沿って変わり得る。これにより、チャープ長周期格子を製造することが可能になる。
【0018】
光ファイバは、少なくとも10μmの直径を有するコアを有することができる。直径は少なくとも15μmであり得る。直径は少なくとも50μmであり得る。
【0019】
この光ファイバは、100μm以下の外径を有するガラスを含むことができる。外径は80μm以下であり得る。材料をレーザ加工するための機器に使用される光ファイバの従来技術のガラス直径は、125μmを超える。直径を小さくすると、光ファイバをより簡単に変形させることができる。それはまた、0.5mm以下のピッチが得られることを可能にし、それらの伝播定数においてはるかに大きい差を有するモード間の結合を可能にする。したがって、より小さいガラス直径は、先行技術を超える有用な利点を提供する。
【0020】
ピッチは、8mm以下であり得る。ピッチは6mm以下であり得る。ピッチは5mm以下であり得る。ピッチは0.5mmから4mmの範囲であり得る。
【0021】
光ファイバは、伝搬定数βを有する第1の光学モードと伝搬定数βを有する第2の光学モードとを支持するコアを含み得る。ピッチは、絞り力が加えられたときに第1の光学モードを第2の光学モードに結合するように選択される。ピッチは2π/(β-β)に等しいことがあり得る。絞り機構は光ファイバをその長さに沿って歪ませることができ、その歪みは対称性によって規定することができる。対称性は、それが第1の光学モードを第2の光学モードに結合するように選択されてもよい。絞り機構は、光ファイバの出力を切り替えることができるように構成することができる。絞り力を変化させることによって、第1の光学モードから第2の光学モードへと変化させる。
【0022】
光ファイバは、伝搬定数βを有する第1の光学モードをサポートするコアと少なくとも1つのサテライトコアとを含み得る。それは伝搬定数βを有する第2の光学モードをサポートする。ピッチは、第1の光学モードを第2の光学モードに結合するように選択され得る。コアを囲む少なくとも2つのサテライトコアがあってもよい。コアを囲む少なくとも4つのサテライトコアがあり得る。サテライトコアはリングコアであり得る。ピッチは2π/(β-β)に等しいことがあり得る。絞り機構は、光ファイバをその長さに沿って歪ませる可能性がある。歪みは対称性によって規定されてもよく、対称性は第1の光学モードが第2の光学モードに結合することができるように選択されてもよい。
【0023】
この装置は、セントラルコアと少なくとも1つのサテライトコアとを備える遷移光ファイバを含み得る。サテライトコアは、第2の光学モードで伝播するレーザ放射のビーム径の拡大に対する異なる割合によって、第1の光学モードで伝播するレーザ放射のビーム径を拡大するように構成されることができる。少なくとも4つのサテライトコアがあり得る。サテライトコアはリングコアであり得る。
【0024】
この装置は、セントラルコアを含むビーム送出光ファイバを含むことができ、そのビーム送出光ファイバは、そこからレーザ放射が放出される出力端を含む。ビーム送出光ファイバはペデスタルを含み得る。ビーム送出光ファイバは、セントラルコアを囲むリングコアを含み得る。この装置は、セントラルコアの直径が出力端に向かって増大するようなテーパを含み得る。装置は、2つの絞り機構を含み得る。第2の絞り機構は、ピッチによって規定される周期的表面を有してもよい。そして、第2の絞り機構の周期的表面は、ビーム送出光ファイバに適用されてもよい。第2の絞り機構のピッチは、第1の絞り機構のピッチよりも大きくてもよい。
【0025】
ビーム送出光ファイバは、伝搬定数βを有する基本モードをサポートすることができる。伝搬定数βを有する2次光学モード。そして、第2の絞り機構のピッチは2π/(β-β)より長く、それによって、第2の絞り機構は基本モードと2次モードは結合していない。
【0026】
第2の絞り機構のピッチは、ビーム送出光ファイバ内を互いに伝播することができる高次モードを結合するように選択することができる。それにより、より均一な出力ビームプロファイルが作成される。
【0027】
この装置は、ビーム送出ケーブルからレーザ放射を受け取るように配置されたレンズシステムを含み得る。レンズシステムは、材料上の集束スポットの直径を変えることができるようなものであり得る。
【0028】
絞り機構はアクチュエータを含むことができる。
【0029】
この装置はコンピュータを含むことができ、レンズシステムおよびアクチュエータの少なくとも一方はコンピュータによって制御される。コンピュータは、材料パラメータに関する情報を含むメモリを含み得る。好適には、メモリは、レンズシステムおよび/またはアクチュエータ信号が、材料パラメータに応じて、選択されることを可能にする情報を含む。材料パラメータは、材料の種類とその厚さを含むことができる。これは、レンズシステムおよびアクチュエータへの信号を制御することによってレーザ放射の発散および集束スポットの直径を制御することを可能にするので、本願発明の特に有用な態様である。したがって、比較的高価な工業用レーザを、処理される材料に応じて広範囲のレーザ処理パラメータにわたって自動的に調整することを可能にする。
【0030】
2つ以上の絞り機構を使用することにより、レーザ放射のパラメータの自動制御が簡単になる。さらに、異なるガイド特性を有する光ファイバに異なる絞り機構を使用することにより、適用可能な制御範囲が改善される。
【0031】
この装置は、光ファイバからレーザ放射を受け取るように構成された処理ヘッドを含み得る。
【0032】
装置は、第1および第2の光ファイバを含むことができ、第1の光ファイバは第1のコア直径を有する。第2の光ファイバは、第1の直径よりも大きい第2のコア直径を有する。第2の光ファイバは、処理ヘッドと第1の光ファイバとの間に配置することができる。第1の絞り機構を第1の光ファイバに適用し、第2の絞り機構を第2の光ファイバに適用することができる。それによって、使用時に、第1の光ファイバ内を伝播するレーザ放射のスポットサイズは、第1の絞り機構によって変化させることができ、レーザ放射のプロファイルは、第2の絞り機構によって変化させることができる。この構成は、ビームパラメータ積を出力ビームプロファイルとは独立して大幅に制御することを可能にする。同じ出力ビームプロファイルで異なるビームパラメータ積を達成することができる。したがって、例えば、この装置を使用して4から100の間のビームパラメータ積を有するトップハットビームプロファイルを出力することが可能である。
【0033】
この装置は、ビーム送出ケーブルに取り付けられているか、またはビーム送出ケーブルの一部を形成している振動要素を含むことができる。振動要素は、ビーム送出ケーブルを振動させるように構成することができる。これは、レーザ放射からレーザスペックルを除去するのに有利であり得る。振動素子は、圧電素子または電磁気素子であり得る。
【0034】
本願発明はまた、材料をレーザ加工するための方法を提供し、この方法は、レーザとビーム送出ケーブルとを提供することを含む。ビーム送出ケーブルは、レーザからのレーザ放射を伝達するように構成され、レーザ放射はビームパラメータ積によって規定される。装置は、ピッチによって画定された周期的表面を含む少なくとも1つの絞り機構を含む。レーザおよび/またはビーム送出ケーブルの一部を形成するある長さの光ファイバが周期的表面に隣接して配置されている。絞り機構は、絞り力とともに周期的表面と光ファイバの長さとを絞り込むように構成されている。ビームパラメータ積を変えるために絞り力を調整する。
【0035】
本願方法は、レンズシステムを提供するステップと、ビーム送出ケーブルからレーザ放射を受けるようにレンズシステムを位置決めするステップとを含み得る。
【0036】
レンズシステムは、材料上の集束スポットの直径を変えることができるようにすることができ、この方法は、材料上の集束スポットの直径を変えることを含むことができる。
【0037】
本願発明の方法では、絞り機構はアクチュエータを含み得る。
【0038】
本願方法は、コンピュータを提供するステップと、コンピュータによってレンズシステムおよびアクチュエータの少なくとも一方を制御するステップとを含むことができる。コンピュータは、材料パラメータに関する情報を含むメモリを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本願発明の実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として説明される。
図1図1は、本願発明による材料をレーザ加工するための装置を示す図である。
図2図2は、チャープ周期的表面を有する絞り機構を示す図である。
図3図3は、互いに直角の2つの周期的表面を含む絞り機構を示す図である。絞り機構は、光ファイバをらせん状に変形させることができるような機構である。
図4図4は、互いに対して60度の3つの周期的表面を含む絞り機構を示す図である。
図5図5は、図4の3つの周期的表面間の空間位相を示す図である。
図6図6は、第2の周期的表面を有する絞り機構を示す図である。
図7図7は、一緒に組み立てられた図6の絞り機構を示す図である。
図8図8は、シリンダの形態の絞り機構を示す。
図9図9は、均一なピッチを有する絞り面を示す図である。
図10図10は、チャープピッチを有する絞り面を示す図である。
図11図11は、光ファイバの基本モードおよび二次モードの実効屈折率を示す図である。
図12図12は、光ファイバの基本モードを示す図である。
図13図13は、光ファイバの二次モードを示す図である。
図14図14は、サテライトコアを有する光ファイバを示す図である。
図15図15は、図14の光ファイバの光学モードを示す図である。
図16図16は、セントラルコアを囲むリングコアを有する光ファイバを示す図である。
図17図17は、リングコアの二次モードを示す図である。
図18図18は、ペデスタル光ファイバを示す図である。
図19図19は、セントラルコアを囲むリングコアを有する光ファイバを示す図である。
図20図20は、装置が第1、第2、および第3の光ファイバを含む本願発明の一例を示す図である。絞り機構に絞り力を加えることによって、第3の光ファイバによって導かれるレーザ放射の直径を13μmから100μmに切り替えることができる。
図21図21は、装置が第1および第2の光ファイバを含む本願発明の一例を示す図である。そして、絞り機構に絞り力を加えることによって、第2の光ファイバによって導かれるレーザ放射の直径を13μmから100μmに切り替えることができる。
図22図22は、本願発明の一例を示す図であり、この装置は、第1、第2、および第3の光ファイバを含む。また、第3の光ファイバによって放射されたレーザ放射の出力ビームプロファイルは、ビーム径が50μmの中心ビームから100μmのビーム径を持つリング状ビームに切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、材料11をレーザ加工するための装置10を示しており、この装置は、レーザ1とビーム送出ケーブル2とを備えている。ここで、
● レーザ1はビーム送出ケーブル2に接続されている。
● ビーム送出ケーブル2は、レーザ1から放射されたレーザ放射13を伝送するように構成される。および、
● レーザ放射13はビームパラメータ積4によって規定される。装置10は、次の点で特徴付けられる。
● 装置10は、ピッチ7によって規定される周期的表面6を備える少なくとも1つの絞り機構5を含む。
● レーザ1および/またはビーム送出ケーブル2の一部を形成する光ファイバ9の長さ8は、周期的表面6に隣接して配置されている。
そして、
● 絞り機構5は、絞り力12を用いて光ファイバ9の周期的表面周と長さ8を絞り込むように構成されており、それによって、絞り力12を調整することによってビームパラメータ積4を変えることができる。
【0041】
ピッチ7は、周期的表面6の連続する最大値間の距離であり、周期的表面6の周期性または空間周波数の逆数である。周期的表面6は、図1に示す周期的表面6のように、単一の部品から作られた連続周期的表面とすることができる。あるいは、周期的表面6は、一緒に組み立てられるワイヤまたはフィンガなどの複数の部品を含むことができる。ワイヤまたはフィンガは、ピッチ7が調整可能であるように調整可能であり得る。
【0042】
図1は、レンズシステム24、加工ヘッド3、および集束レンズ25に光学的に結合された装置10を示す。レンズシステム24は、レーザ光線13をコリメートおよび/または拡大するための1つまたは複数のレンズを含むことができる。加工ヘッド3は、材料11上のレーザ放射13を走査するための1つまたは複数の走査システムを含むことができる。集束レンズ25は、焦点29においてレーザ放射13を材料11に集束させることができる。
【0043】
ビームパラメータ積4は、集束レーザ放射13のビーム径2ω21の半分と発散角α22との積に等しい。ビームパラメータ積4は、レーザビームのビーム品質の尺度であり、これもまたそのM値によって特徴付けることができる。ビームパラメータ積4はM・λ/πに等しい。ここで、λはレーザ放射13の波長23である。シングルモードファイバレーザは通常、約1.1のMを有する。波長23が1.06μmである場合、ビームパラメータ積4は0.35mm.mradに等しい。レーザビームのビームパラメータ積4は、収差のないレンズを含む単純な光学系に保存される。したがって、焦点29におけるビームパラメータ積4は、レーザ放射13のビームパラメータ積34とほぼ同じである。レーザ放射13が放射されるビーム送出ケーブル2の出力端28からそれが出るとき。焦点29におけるビーム径21は、ビーム送出ケーブル2の出力端28におけるビーム径27およびレンズシステム24および集束レンズ24を含む光学系の倍率の積に実質的に等しい。レーザ放射13の発散度22は、ビーム送出ケーブル2の出力端28から放射されるレーザ放射13の発散度35および、光学系の倍率の商に実質的に等しい。
【0044】
したがって、ビーム径21がビーム径27よりも大きい場合、発散22は発散35よりも小さい。
【0045】
レーザ放射13は、光ファイバ9、光ファイバ19(存在する場合)、およびビーム送出ケーブル2に沿ってガイドされる。レーザ放射13は、絞り機構5によって調整または切り替え可能な、ガイドビームプロファイル38およびガイドビーム径39を有する。したがって、図1に示されるように、レーザ1の出力においてほぼガウスビームプロファイルとして描かれているガイドビームプロファイル38は、トップハットビームプロファイルを有するものとして示されている出力ビームプロファイル14になるように調整されている。出力ビーム径27は、ガイドビーム径39よりも大きいものとして示されている。
【0046】
光ファイバ9と絞り機構5を選択し、絞り力12を変えることによって、典型的な工業用レーザのビームパラメータ積4を0.3mm・mradから30mm・mradの範囲で調整することが可能である。有利なことに、絞り力12を選択することによってビーム径27と発散35の両方を制御することができる。レーザ放射13の出力ビームプロファイル14を、例えば、図1に示されるガイドビームプロファイル38のようなベル形ガウスビームプロファイルからトップハットビームプロファイルへ(図1に示される出力ビームプロファイル14のような)またはリングプロファイルへ、調整または切り替えることも可能である。出力ビームプロファイル14を調整または切り換える能力は、多くのレーザ切断用途にとって非常に望ましい。出力ビームプロファイル14を変えることができることは、多くのレーザ材料加工用途において望ましい。例えば、ガウスプロファイルは材料11を貫通するのに有利であり得、トップハットプロファイルまたはリングプロファイルは材料11を切断するのに有利であり得る。異なる出力ビームプロファイル14は異なる用途に有利であり、最適な出力ビームプロファイルは材料11およびその厚さ26に依存する。
【0047】
レンズシステム24は、コリメーション光学系、可変ビームエキスパンダ、および/または望遠鏡を含むことができる。レンズシステム24は、材料11上の集束レーザ光線13の直径21を変えるように構成することができる。絞り機構5をレンズシステム24と共に使用することにより、レーザ放射13の発散22を可能にする。レーザ放射13のビーム径21は独立に変えられる。これは非常に魅力的な特徴であり、装置が小さい直径21で高いビーム品質(M<4)を提供することを可能にする。中程度のビーム品質(10≦M≦20)は中程度のビーム径21を有し、そして低いビーム品質(M>30)は大きいビーム径21を有する。さらに、中または低ビーム品質の小ビーム径21と、低または高ビーム品質の中ビーム径21とを生成することが可能である。この程度の柔軟性は、切断のような材料プロセスを最適化する上ではるかに大きな自由度を可能にする。焦点サイズと発散は、板金の種類と厚さごとに最適化できる。この装置は、ステンレス鋼切削用(ロービームパラメータ品4)、厚さ26を有する軟鋼を切断するためのロービーム品質(ハイビームパラメータ品4)高ビーム品質のレーザ放射13を生成するように設定することができる。前者の場合、材料11に焦点を合わせたときのレーザ放射13のビーム径21は、後者の場合よりも小さくかつより低い発散を有するべきである。
【0048】
本願発明はレーザで金属を切断するのに有利である。レーザ1は、ファイバレーザ、ディスクレーザ、または固体レーザとすることができる。レーザ1は、500Wから20kWの範囲の出力パワーによって規定することができる。
【0049】
実験では、レーザ1は3kWのイッテルビウムドープファイバレーザであった。波長23は1.07μmであった。材料11はステンレス鋼であった。集束ビーム径21は200μmであり、出力ビームプロファイル14はトップハットプロファイルであった。2mmから8mmの範囲の厚さ26を有するステンレス鋼を切断するとき、より高い切断速度およびより良好な切断品質は、約4.8mm・mradのビームパラメータ積4の場合よりも、約3.0mm・mradのビームパラメータ積4の場合に得られた。逆に、材料11が15mmから30mmの範囲の厚さ26を有する軟鋼である場合、3.0mm・mradのビームパラメータ積4よりも約4.8mm・mradのビームパラメータ積4の方がより良い結果が得られた。出力プロファイル14はトップハットプロファイルであった。軟鋼の低ビーム品質(高ビームパラメータ製品4)は、切断面の品質を改善し、表面粗さを減少させました。
【0050】
レーザ切断プロセスは、材料11をレーザビーム13で突き刺すことから始まる。穿孔時には、切断時よりも小さい発散部22を有する小さいビーム径21を使用することが有利である。出力プロファイル14は、好ましくは、ガウスプロファイルのようなベル型のプロファイルである。これにより、ピアスの品質とスピードが向上する。全ての金属を貫通するときのビームパラメータ積4は、3mm・mrad未満、好ましくは1mm・mrad未満、より好ましくは0.5mm・mrad未満であるべきである。
【0051】
ビーム径27、発散角35、および出力ビームプロファイル14を選択することができる、および、ビーム送出ケーブル2の出力端28で放射されるという利点は、焦点29において異なるビーム径21および発散角22を選択することを可能にする。これは、材料11の上、中、または下にあり得る。例えば、ステンレス鋼では、焦点29は材料11の下にあり得る。レーザ放射13が材料11に集束するのに対して、軟鋼の場合、焦点29は材料11の上方にあり得る。その結果、レーザ放射は材料11で発散する。1つ以上の機構5を調整することによってそうすることができることは、先行技術を超える大きな利点である。それは、集束光学系の倍率を調整することを含む代替案よりも低コストでより単純なシステムを提供するからである。
【0052】
貫通後、補助ガスは溶融金属と破片を貫通孔出口から吹き出す。この段階で、集束スポット29において最適なビーム径21と発散角度22を提供するためにビーム径28と発散35を増大させることができる。結果として得られるビームパラメータ積4は、処理中の材料11に応じて選択することができる。
【0053】
絞り機構5は、対向する周期的表面42を有することが好ましい。周期的表面6と対向する周期的表面42とは、図1に示すように、互いに同相であることが好ましい。したがって、周期的表面6および対向する周期的表面42が光ファイバ9に対して圧迫されると、光ファイバ9はばねとして作用し、光ファイバ9の歪みエネルギーが最小になるようにその長さに沿って周期的に偏向される。光ファイバ9の撓みは周期的表面6と同じピッチ7を有する。しかし、周期的表面6の周期性よりも高い空間周波数で追加の高調波を含むことがある。絞り力12が増大すると、光ファイバ9が周期的表面6と反対側の周期的表面42との間に把持されるまで、光ファイバ9の撓みも増大する。絞り力12がさらに増加すると、光ファイバ9を横切って絞り応力が誘起される。
【0054】
周期的表面6と対向する周期的表面42とは、互いに非ゼロ位相を有することができる。そのような設計は、光ファイバ9の歪みに追加の高調波を誘発する可能性がある。これは、光ファイバ9によって支持されている追加の組の光学モード間の結合を誘発することがある。
【0055】
周期的表面6と対向する周期的表面42との間の位相は逆位相であり得る。これにより、光ファイバ9は周期的表面6と対向する周期的表面42との間に挟持される。モード結合は、光弾性効果によって引き起こされる周期的な摂動によって引き起こされる。
【0056】
図1の装置は、ピッチ17によって画定された周期的表面16を含む第2の絞り機構15を有するものとして示されている。周期的表面16は、光ファイバ19の長さ18に対して圧迫することができる。第2の絞り機構15を使用すると、必要なビーム径27、発散35、および出力ビームプロファイル14を得るのに必要な絞り力12を低減することができる。それにより、光ファイバ9を破断し、機械的信頼性を高める危険性が減少する。第2の絞り機構15はまた、高次光学モードを互いに結合するためにも使用され得る。ピッチ7よりも長いことが好ましい。
【0057】
図1に示されるように、周期的表面16はチャープされてもよく、すなわちそのピッチ17は絞り機構15の長さに沿って変化してもよい。ピッチ17は、単調的に(図示されているように)または非単調的に変化することができる。チャープは、所望のビームパラメータ積4または出力ビームプロファイル14を得るために必要とされる絞り力12の量を減少させる。それによって信頼性が増す。図2は、チャープされた絞り機構15の一例を示す。絞り機構15は、対向する周期的表面41を有する。また、光ファイバ19(図示せず)は、周期的表面16と対向する周期的表面41との間に挟まれている。絞り力12は、タップ穴でもよい少なくとも1つの穴43を介して加えることができる。対向する周期的表面41は、少なくとも1つの孔44を通って取り付けられた固定ねじを使用して適所に固定することができる。
【0058】
周期的表面16と対向する周期的表面41とは、図1に示すように、互いに同相であることが好ましい。したがって、周期的表面16および対向する周期的表面41が光ファイバ19に対して押し付けられると、図1を参照して示されるように、光ファイバ19はばねとして作用し、その長さに沿って撓む。これにより、光ファイバ19の歪エネルギーが最小になる。偏向は周期的表面16と同じピッチ17を有するであろうが、追加の高調波を含み得る。これは、光ファイバ19によって導かれる追加のモードを互いに結合するために望ましいことがあり得る。絞り力12が増大すると、光ファイバ19が周期的表面16と反対側の周期的表面41との間に把持されるまで、光ファイバ19の撓みも増大する。絞り力12がさらに増加すると、光ファイバ19を横切ってさらに絞り応力が生じる。あるいは、周期的表面16と反対側の周期的表面41とは互いに対して非ゼロ位相を有し得る。そのような設計は、光ファイバ19の歪みに追加の高調波を誘発する可能性がある。これは、光ファイバ19によって支持されている追加の組の光学モード間の結合を誘発することがある。周期的表面16と対向する周期的表面41との間の位相は逆位相であり得る。これにより、光ファイバ19は、周期的表面16と対向する周期的表面41との間に挟持される。モード結合は、光弾性効果によって引き起こされる周期的な摂動によって引き起こされます。
【0059】
絞り機構5は、図3に示す絞り機構40に示すように、互いに45°の角度でアレンジされた2つの周期的表面6を含むことができる。周期的表面6のそれぞれは、同一または類似の設計の対向する周期的表面42を有する。図1および図2を参照して説明したように、周期的表面6はそれらのそれぞれの対向する周期的表面42と同じ位相を有することができる。周期的表面6の各々が光ファイバ9に対して押し付けられると、光ファイバ9の長さはばねとして作用し、その長さに沿って歪む。絞り機構40の周期的表面6は、互いに同じピッチ7を有していてもよいし、互いに異なるピッチ7を有していてもよい。角度45は直角でもよい。絞り機構40は、絞り機構40の中心線から周期的表面6の1つだけオフセットして示されている光ファイバ9と共に断面で示されている。
【0060】
絞り機構40は、各周期的表面6を異なる絞り力12で光ファイバ9に対して圧迫することができるようにすることができる。2つの周期的表面6の空間位相は、互いに対して90度位相がずれていてもよい。絞り力12が2つの周期的表面6に加えられると、光ファイバ9は実質的にらせん状に変形することができる。図1および図2を参照して説明したように、光ファイバ9は、ばねとして作用し、そのひずみエネルギーを最小にするように変形する。したがって、光ファイバ9の変形は正確にはらせん状ではないかもしれないが、高調波を含むことができる。これらの高調波は、光ファイバ9によって導かれる特定の組の光学モード間の結合において有利であり得る。この構成は、光ファイバ9のどの導波モードがどの導波モードに結合されているかについて優れた制御を提供する。
【0061】
絞り機構5は、図4に示す絞り機構50に示すように、互いに角度51でアレンジされた奇数の周期的表面6を含むことができる。角度51は、180度と(n-2)/nとの積であることが好ましい。ここで、nは周期的表面6の数である。図5を参照して示されるように、周期的表面6は、360度を周期的表面6の数で割ったものに等しい、互いに対する相対空間位相55を有することが好ましい。奇数は3が好ましく、角度51は60度が好ましい。図5は、絞り機構50の長さに沿った、図4に示す3つの周期的表面6のそれぞれの振幅52、53、54を示す。周期的表面6は、互いに対して120度の相対空間位相55を有する。周期的表面6の各々が光ファイバ9に対して押し付けられると、光ファイバ9の長さはばねとして作用し、その長さに沿って実質的にらせん状にゆがめられる。図1図2および図3を参照して説明したように、光ファイバ9はばねとして作用し、そのひずみエネルギーを最小にするように変形する。したがって、光ファイバ9の変形は、その長さに沿って正確にらせん状ではないが、らせんの周期性の高調波(ピッチ7の逆数として規定される)を含み得る。これらの高調波は、光ファイバ9によって導かれる特定の組の光学モード間の結合において有利であり得る。
【0062】
絞り機構5は、図6を参照して示された絞り機構60であり得る。それは、他の部分66の周期的表面6と整列するように設計されている第2の周期的表面61を有する少なくとも3つの部分66を含む。図4および5を参照して説明したように、3つの周期的表面6は、互いに対して120度の相対空間位相55を有することが好ましい。部分66が互いに適合するように、各部分66の第2の周期的表面61は、同じ部分66の周期的表面6に対して120度の相対空間位相55を有する。図7は、3つの部分66が互いに嵌合されて絞り力12が加えられた1つの構成を示す。光ファイバ9は、部分66のうちの1つによって偏向されて示されている。第2の周期的表面61のうちの1つが光ファイバ9に対して圧迫される配置を含む、部分66を互いに合わせるための他の配置もまた可能である。実験的に、光ファイバ9によって導かれるLP01モードは、LPモードおよびLP32モードに優先的に結合され得ることが観察されている。これは、絞り機構50の三回対称性の結果であり得る。有利なことに、図3図7を参照して説明した絞り機構40、50、60における絞り力は、光ファイバ9によって導かれる基本LP01モードからの同様のレベルのモード結合について、図2を参照して、図示した絞り機構15よりも実質的に少ない絞り力12を必要とする。実験では、かなりの量のモード結合があるにもかかわらず、絞り力12は、図7に示す絞り機構から1N未満の力で引っ張ることができるほど十分に小さかった。同じレベルのモード結合に対して絞り力12を減少させる能力は信頼性を向上させる。
【0063】
この装置は、複数の絞り機構5を備えることができる。複数の絞り機構を含むことにより、各絞り機構5にかかる必要な絞り力12を減らすことができ、それによって信頼性が向上する。
【0064】
少なくとも1つの絞り機構5は、他の絞り機構5とは異なるピッチ7を有することができる。ピッチ7が異なると、光ファイバ9内の導波モードの異なるグループ間で結合が生じる。異なるピッチ7を有する絞り機構5を組み合わせることは、出力ビームパラメータ積4と出力ビームプロファイル14のより優れた制御を提供する。
【0065】
絞り機構5は、図1から図4図6および図7を参照して示されるような線形絞り機構5であり得る。スペースが貴重である場合、これは有利である。
【0066】
絞り機構5は、図8に示すようにシリンダ81を備えることができる。光ファイバ9(図示せず)をシリンダ81の周りに巻き付けることができる。絞り力12は、例えばリング82を用いて光ファイバ9を圧迫することによって、シリンダ81の軸に沿って加えることができる。リング82は、反対側の周期的表面42を有するように示されているが、必ずしもそうである必要はない。それぞれの周期が線83で示されている図9および図10の周期的表面6の例の上面によって示されているように、ピッチ7は、均一またはチャープであり得る。周期的表面6は、図8に示すように平面内に構成されてもよく、または曲面上に構成されてもよい。シリンダ81は円形または楕円形であり得る。他の形状もまた可能である。ピッチ7は、シリンダ81の周囲85の半径84に沿って変化することができる。これにより、チャープ長周期格子を製造することが可能になる。
【0067】
シリンダ81の形態の絞り機構5はコンパクトな構成を提供し、絞り力12を光ファイバ9のより長い長さ8にわたって加えることをより便利にする。これは、線形絞り機構5の場合よりも大きく、そして1ターン以上の光ファイバ9を使用することを可能にする。これにより、より小さな絞り力12を加えることが可能になり、それによって長期信頼性が向上する。それはまた、圧迫時の光ファイバ9内の光損失を減少させるのを助ける。
【0068】
光ファイバ9および/または光ファイバ19は、図11を参照して示されている光ファイバ90とすることができる。光ファイバ90は、コア91、ガラスクラッド94、およびポリマーコーティング95を有する。コア91は、好ましくは、少なくとも10μmの直径92を有する。直径92は少なくとも15μmであり得る。直径92は少なくとも50μmであり得る。コア直径92を増大させることは、光ファイバ90が増大する数の光学モードをガイドすることを可能にする。
【0069】
コア91は、ガラスクラッド94の屈折率99よりも大きい屈折率96を有する。好ましくは、光ファイバ9は、少なくとも、図12を参照して示されている基本モード121と図13を参照して示されている二次モード122とをサポートする。この基本モード121は、2つの直交偏光状態で起こり得るLP01モードであり得る。二次モード122は、2つの向きで起こり得るLP11モードであり得、その両方とも2つの直交偏光状態で起こり得る。したがって、図12および図13にそれぞれ示すように、2つの基本モード121と4つの2次モード122がある。
【0070】
LP01モードとLP11モードは、より一般的にはLPp,qモードと呼ばれる。ここで、pは方位角モード番号、qはラジアルモード番号である。2pは方位角周囲のローブ数、qは半径に沿ったローブ数である。したがって、LP01モードは、方位角の周りにゼロのローブを有し、半径に沿って1つのローブを有する。LP11モードは、方位角の周りに2つのローブと半径に沿って1つのローブを有する。絞り機構5は、絞り機構5によって引き起こされる光ファイバ9の摂動の積の重なり積分が重なる場合、第1のモードを第2のモードに結合する。第1のモードの電界と第2のモードの電界は、光ファイバ9の長さ8にわたって非ゼロ値に積分する。以下に説明されるように、これは、第1のモードおよび第2のモードの伝搬定数、および周期的表面7の周期性に要件を置く。それはまた、光ファイバの摂動と比較して、第1モードと第2モードの電界に対称性の要件を課す。
【0071】
図11を参照すると、基本モード121はβ/kの実効屈折率97を有し、2次モード122はβ/kの実効屈折率98を有する。ここで、βとβとはそれぞれ基本モード121と2次モード122の伝搬定数である。kは、レーザ放射13の波長λ23に関連する波数であり、k=2π/λである。伝播定数における差Δβ=β-βを考慮することは有益である。図1図7を参照して示した絞り機構5がLP01モードをLP11モードに結合するためには、光ファイバ9の歪みには、その長さに沿ってΔβ/2πに等しい空間周波数成分があることが必要である。これは、周期性(ピッチ7の逆数として規定される)が、Δβ/2πに等しい場合、または周期性の高調波がΔβ/2πに等しい場合に発生する。しかしながら、光学モードと比較して光ファイバ9の摂動の対称性を考慮することもまた重要である。
【0072】
光ファイバ9のコアによって導かれるLPp,qモードは以下のように表すことができる。E(r,θ)=E(r).cos(pθ)E(r,θ)=E(r).sin(pθ)ここで、E(r)は電界の動径依存性で、cos(p θ)とsin(p θ)は図13に示す2つの方向を表す(p = 1に対して)。
【0073】
光ファイバ9または光ファイバ19がその長さに沿って直線的な正弦波のたわみを有する(例えば、直線的な絞り機構によって引き起こされる)とき、図1および2に示すように、ピッチ7が長さ8に沿って均一であり、対称性を考慮すると、ピッチ7が2π/Δβに等しいとき、これら2つの向きの一方のみが結合されることになる。これは、図13の二次モード122が縮退していると仮定している。より一般的には、コアによって導かれるLP01モードは、pが奇数である場合、同じコアによって導かれるLPp,qモードに結合することができる。ピッチ7が2π/(β-β)に等しい場合、βとβとは互いに結合されている光学モードの伝搬定数である。しかし、正弦波偏向に大きな高調波がない限り、LP11モードへの結合が最も強くなる。pが偶数の整数の場合、摂動の対称性は正しくない。同様の対称性の議論により、ファイバがその長さに沿って正弦波偏向を有する場合、線形スクイーズ機構はまた、LP01モードをLP0qモードに結合しない。以下に説明するように、セントラルコアによって導かれるLP01モードおよび他の光学モードもまた光学モードに結合することができる。それはセントラルコアに隣接しているサテライトコアによって導かれる。このような結合は、上記の重なり積分がゼロではない場合に起こり得る。
【0074】
周期的表面散と反対側の周期的表面42とが逆位相にある場合(図1に示す同相配置とは対照的に)、それから光ファイバ9はその長さに沿って周期的に圧縮される。次に、モード結合は光弾性効果によって引き起こされる。対称性を考慮すると、対称性が正しくないため、LP01モードはLP11モードに結合しない。しかしながら、LP01モードは、LP21モードに、より一般的には、LPp,qモードに結合することができる。ここで、ピッチ7が2π/(β-β)に等しい場合、p=2、4、8などである。ここで、βおよびβは、互いに結合されている光学モードの伝搬定数である。しかしながら、かなりのモード結合を得るために必要とされる絞り力12が一般的に必要とされる絞り力12よりはるかに大きいので、周期的表面6と対向する周期的表面42とが図1に関して示されるように同相であるとき、この配置は一般的に好ましくない。
【0075】
光ファイバ9または光ファイバ1がらせん状の歪みを有するとき(例えば、図3、4、6および7に示される絞り機構のうちの1つによって引き起こされるとき)、対称性によって。ピッチ7が2π /Δβに等しい場合、LP01モードは両方向でLPp,qモードに結合できる。ただし、pが偶数の場合、またはLP0qモードの場合は結合しない。したがって、図3、4、6、および7に示される絞り機構によって提供されるモード結合の量は少なくとも2倍である。図1および図2に示す絞り機構よりも優れている。図5を参照して説明したように、絞り機構60は、光ファイバ90をらせん状に変形させる3つの部分60を含む。LP01モードがLP31およびLP32モードに結合することが観察された。これは、カップリングに必要な対称性を提供する絞り機構60によって引き起こされる、光ファイバ90に沿って3倍の方位角摂動があることを意味する。
【0076】
前述のように、光ファイバ9がその長さに沿って周期的に圧縮されるように、機構40、50、60の周期的表面6と反対側の周期的表面42とが逆位相にある場合、モード結合は異なる組の光学モードの間にある。対称性を考慮すると、LP01モードはLP0qモードに結合します。この配置は、匹敵する効果のためにより大きな絞り力12を必要とするので、一般的には好ましくない。
【0077】
一旦LP01モードから結合されると、光は他の高次モードにさらに容易に結合または散乱することができる。なぜなら、
(i)これらのモード間の伝搬定数Δβの差は、一般に、LP01モードとそれが結合する第1のモードとの間の伝搬定数Δβの差よりも小さい、および、
(ii)統計的には、周期性よりも長い空間周波数で生じる摂動が光ファイバ9内に存在することになるからである。
【0078】
図3、4、6および7を参照して示され、らせん状に摂動された光ファイバ9を有する、らせん絞り機構30、40、50、60は、したがって、それらは、図1および図2を参照して示された線形絞り機構よりも多くのモードの配向を一緒に結合し、さらに、絞り力12、したがって光ファイバ9の最大撓み。結合を提供するために必要とされる距離はより少なく、それは光ファイバ9に加えられる応力がより少なくなり、したがってより高い信頼性をもたらすことにおいて有利である。実験的には、光ファイバ9をらせん状絞り機構から引き出すことができることが観察されている。図7に示すように、1Nより小さい引っ張り力でこれは、図2に示すような線形絞り機構から光ファイバ9を引っ張るのに必要な引っ張り力よりも実質的に小さい。ここで、らせん状および線形の絞り機構は、光ファイバ9において同様のレベルのモード結合を引き起こす。したがって、らせん状絞り機構内の光ファイバに加わる絞り力12が小さくなり、機械的信頼性が向上する。
【0079】
図14に示すように、光ファイバ9および光ファイバ19は、コア91に隣接して少なくとも1つのサテライトコア臼41を有することができる。光ファイバ140は、コア91の周りに対称的に配置された4つのサテライトコア141を有する。各サテライトコア141は、図15を参照して示されたその光学モード151が、図11および図13を参照して示される二次モード122の実効指数β/k98と実質的に同じ有効指数143を有するようになるように、屈折率142および直径143を有することができる。そして、光学モード151は、二次モード122に共鳴結合する。この共振結合は、図15の両端矢印で示されている。したがって、図1、2、3、4、6および7を参照して示されている絞り機構5は、コア91のLP01モードをコア91のLPnモードに結合するように構成することができる。それは次にサテライトコア141の光学モード151に結合する。代替的に又は追加的に、図1、2、3、4、6及び7を参照して示された絞り機構5が光ファイバ140に適用される場合、たとえ、コア91の設計が、コア91が二次LP11モード122をサポートしないようなものであっても、スクイーズ力12は、LP01基本モード121からサテライトコア141の光学モード151へ直接結合するように選択することができる。前述のように、光ファイバ9が正弦波状に直線的に歪められている場合、結合はただ1つの方位??において最も強くなる。らせん状に歪められている場合、結合はすべての方位角方向で発生する。有利なことには、サテライトコア141を含むことにより、レーザ放射13をコア91からサテライトコア141に結合することが可能になる。したがって、レーザ放射13が光ファイバ9に沿って伝播するにつれて、レーザ放射13のガイドビーム径39が増大する。
【0080】
図16に示すように、光ファイバ9および光ファイバ19は、コア91を囲むリングコア161を有する光ファイバ160とすることができる。リングコア161は、図17を参照して示されるその二次モード171が、図11および図13を参照して示した二次モード122の実効屈折率β/k98と実質的に同じである実効屈折率163を有するように、屈折率162および厚さ164を有することができる。コア91の二次モード122が光ファイバ160に入射すると、二次モード122は二次モード171に共振結合する。あるいは、または、さらに、図1図2図3図4図6および図7を参照して示した絞り機構5を光ファイバ160に適用する場合、たとえ、コア91の設計が、コア91が二次LP11モード122をサポートしないようなものであっても、絞り力12は、LP01基本モード121からリングコア161の光学モード171に直接結合するように選択され得る。前述のように、光ファイバ9が正弦波状に直線的に歪められている場合、結合はただ1つの方位方位において最も強くなる。らせん状に歪められている場合、結合はすべての方位角方向で発生する。有利なことには、リングコア161を含めることによって、レーザ放射13をコア91からリングコア161に結合することが可能になる。二次LP11モード122を介して直接的または間接的のいずれかで、このようにしてレーザ放射13のガイドビーム径39を増大させると、光ファイバ9に沿って伝播する。
【0081】
図11、14および16を参照すると、ガラスクラッディング94は、70μmから500μmの間の直径93を有することができる。直径93は、70μmから200μmの間であり得る。直径93は、125μm以下であることが好ましい。直径93は、80μm以下がより好ましい。直径93を小さくすると、光ファイバ9をより容易に変形させることができる。また、0.5mm以下のピッチ7を得ることが可能となり、伝搬定数の差が大きいモード間の結合が可能となる。したがって、より小さいピッチ7と組み合わされたより小さいガラス直径93は、従来技術に対して有用な利点を提供する。
【0082】
図1から4、および6から10を参照すると、ピッチ7は12mm未満であり得る。ピッチ7は5mm未満であり得る。ピッチ7は、0.5mmから5mmの範囲内であり得る。
【0083】
図1を参照すると、光ファイバ9、または存在する場合は、光ファイバ19がビーム送出ケーブル2に結合されている。ビーム送出ケーブル2は、図18を参照して示される光ファイバ180を含み得る。光ファイバ180は、直径182を有するコア181と屈折率183を有する。光ファイバ180はまた、直径185および屈折率186を有するペデスタル184を含む。直径182および185ならびに屈折率183および186は、レーザ放射13の割合を保つように選択することができる。それは、光ファイバ9または存在する場合には光ファイバ19のコア91内を伝播する。したがって、例えば、図14の光ファイバ140に接合される場合、直径182は、直径92と実質的に同じになるように選択することができる。そして、直径185は、外縁から外縁までの距離149と実質的に同じかそれより大きいように選択することができる。屈折率186は、屈折率142と実質的に同じかまたはそれより高くなるように選択することができる。屈折率183は、屈折率142に屈折率96と99の差を加えたものに実質的に等しくなるように選択することができる。光ファイバ140のコア91から1つ以上のサテライトコア141に結合されるレーザ放射13は、したがって、光ファイバ180のペデスタル184内に結合され、ビーム送出ケーブル2に沿って伝搬することができる。
【0084】
ビーム送出ケーブル2は、図19を参照して示される光ファイバ190を含み得る。光ファイバ190は、直径192を有するコア191と屈折率193を有する。光ファイバ190はまた、直径195、屈折率196、および厚さ199を有するリングコア194を含む。直径192および195、厚さ199、ならびに屈折率193および196は、レーザ放射13の割合を維持するように選択される。それは、光ファイバ9または存在する場合には光ファイバ19のコア91内を伝搬する。したがって、例えば、図16の光ファイバ160に接合される場合、直径192は、直径92と実質的に同じになるように選択することができる。厚さ199は厚さ164と実質的に同じになるように選択することができ、直径195は直径169と実質的に同じになるように選択することができる。屈折率196は、屈折率162と実質的に同じかそれより高いように選択することができる。屈折率193は、屈折率96と実質的に等しくなるように選択することができる。したがって、光ファイバ160のコア91からリング161に結合されたレーザ放射13は、光ファイバ190のリング194に結合され、ビーム送出ケーブル2に沿って伝播することができる。
【0085】
再び図1を参照すると、絞り機構5は少なくとも1つのアクチュエータ31を含み得る。アクチュエータ31は、電気モータおよび/または電磁石を含み得る。アクチュエータはラチェットを含み得る。電気信号の印加を使用して、アクチュエータ31を介して絞り力12を提供することができる。
【0086】
装置10はコンピュータ32を含み得る。レンズシステム24およびアクチュエータ31の少なくとも一方は、コンピュータ32によって制御することができる。コンピュータ32は、材料パラメータに関する情報を含むメモリ33を含み得る。好ましくは、メモリ33は、レンズシステム24および/または少なくとも1つのアクチュエータ31を駆動する信号が材料11のパラメータに応じて選択されることを可能にする情報を含む。このパラメータは、材料の種類およびその厚さ26を含み得る。これは本願発明の特に有用な態様であり、それは、それが、レンズシステム24およびアクチュエータ31への信号を制御することによって、レーザ光線13の発散22、および、集束レーザ光線13の直径21を制御することを可能にするからである。したがって、比較的高価な工業用レーザ1を、処理される材料に応じて広範囲のレーザ1処理パラメータにわたって自動的に調整することが可能になる。
【0087】
実施例1
【0088】
図20は、本願発明の第一の実施例を示す。図1に示す絞り機構5を図11の第1の光ファイバ90に適用した。コア91は、図12の基本モード121および図13の二次モード122をサポートしていた。基本モード121は、点Aにおいて第1の光ファイバ90の上下に示されるようにコア91内を伝搬した。コア91は、15μmオーダーの直径92と、クラッド屈折率99より0.0034大きい屈折率96とを有していた。絞り機構5は、ピッチ17=2π/Δβとなるように、光学モード121と122の有効屈折率97と98の差に一致するピッチ7を有していた。絞り機構5によって加えられる絞り力12を調整することによって、第1の光ファイバ90によって出力されるレーザ放射13は、図20の点Bにおいて第1の光ファイバ90の上下にそれぞれ示されているように基本モード121と二次モード122との間で切り替えられ得る。基本モード121と2次モード122の組み合わせを切り替えることも可能であった。これらの組み合わせは、図20には示されていない。
【0089】
第1の光ファイバ90を図14に示す第2の光ファイバ140に接合した。第2の光ファイバ140のセントラルコア91は、第1の光ファイバ90のコア91と同じ設計を有していた。4つのサテライトコア141は、6.6μmの直径143、セントラルコア91の屈折率96と同じ屈折率142を有した。36.6μmの外縁間距離149である。第1の光ファイバ90の出力が基本モード121となるように絞り機構5を調整したとき、基本モード121は、第2の光ファイバ140のコア91にうまく結合し、他の高次光学モードと結合することなく、第2の光ファイバ140に沿って伝搬した。したがって、第2の光ファイバ140は、図20の点Cで光ファイバ140の上に示されている基本モード121を放射した。第1の光ファイバ90の出力が2次モード122になるように絞り機構5を調整したとき、2次モード122は、第2の光ファイバ140の出力でサテライトコア141から出力された図15に示される光学モード151に変換された。光学モード151は、図20の点Cにおける第2の光ファイバ140の下に示されている。したがって、第2の光ファイバ140は、2次光学モード122で伝播するレーザ放射13のガイドビーム径39の拡大に対する異なる割合によって、基本光学モード121で伝播するレーザ放射13のガイドビーム径39を拡大するための遷移光ファイバとして使用されている。
【0090】
第2の光ファイバ140の出力は図18の第3の光ファイバ180に接続された。第3の光ファイバ180はビーム伝達光ファイバである。第3の光ファイバ180のコア181は、第1の光ファイバ90のコア91と同じ直径92であった。コア屈折率183とペデスタル屈折率186との差は0.0034であった。ペデスタル184は100μmの直径185を有し、ペデスタル屈折率186とクラッド屈折率99との間の差は0.014であった。絞り機構5を調整して第1の光ファイバ90の基本モード121を選択したとき、第3の光ファイバ180の出力は13μmの出力ビーム径27、および約1.1のビーム品質M値を有していた。これは、ほぼガウス分布である出力ビームプロファイル14、および約0.37mm・mradのビームパラメータ積4に対応する。絞り機構5が第1の光ファイバ90内の2次モード122を選択するように調整されたとき、レーザ放射13は、多くの高次モード(個々には図示せず)の組み合わせとして、主に第3の光ファイバ180のペデスタル184内にレーザビーム2001として導かれた。レーザビーム2001は、約100μmの出力ビーム径27、および約12のビーム品質Mファクタを有していた。これは、ほぼトップハットである出力ビームプロファイル14、およびほぼ4mm・mradのビームパラメータ積4に対応する。
【0091】
レーザビーム2001は安定した出力ビームプロファイル14を有していないことが観察された。したがって、図2を参照して示した第2の絞り機構15を第3の光ファイバ180に適用した。第2絞り機構15のピッチ17は、絞り機構5のピッチ7よりも長い。なぜなら、より狭い間隔の有効屈折率(図示せず)を有する第3の光ファイバ180に沿って伝搬する高次光学モードを結合することが望ましいからである。第2の絞り機構15を使用することにより、ビーム品質Mファクタが約15であり、ペデスタル186の領域内で均一なパワー分布が保証された。ビームパラメータ積4は約5であった。図20に示すように、その後、次のことが可能でした。光ファイバ180から放射されるレーザ放射13を出力ビームプロファイル14から切り換える。出力ビームプロファイル14に対して、13μmの出力ビーム径27および0.37mm.mradのビームパラメータ積4を有するガウスプロファイルを有する。これはほぼトップハットであり、絞り機構5に加えられる絞り力12を選択することによって、ほぼ100μmの出力ビーム径27および5mm.mradのビームパラメータ積4を有する。ガウスプロファイルは、切断前に材料11をレーザビーム13で突き刺すためにしばしば好ましい。シルクハットプロファイルは、材料11をレーザビーム3で切断するのに好ましいことが多い。
【0092】
実施例2図21は、第1実施例の第1光ファイバ90を光ファイバ140に置き換えた本願発明の第2実施例を示す。図1に示す絞り機構5を図14に示す繊維140に適用した。コア91は、約15μmの直径92と、クラッドの屈折率99よりも0.0034大きい屈折率96とを有していた。コア91は、有効屈折率97を有する基本モード121を支持することができる。4つのサテライトコア141はそれぞれ、6.6μmの直径143、クラッドの屈折率99より0.003大きい屈折率142、および、36.6μmの外縁から外距離149を有した。サテライトコア141は、有効屈折率143を有するモード151を伝播することができる。絞り機構5は、ピッチ7=2π/Δβとなるように有効屈折率97と143の差に一致するように設計されたピッチ7を有していた。図21に示すように、絞り機構5によって加えられる絞り力12を調整することによって、基本モード121または光学モード151は、光ファイバ140の出力において選択され得る。
【0093】
ファイバ140の出力は図18の光ファイバ180に接続され、そのパラメータは実施例1の第3のファイバと同じ特性を有していた。絞り機構5がファイバ140内の基本モード121を選択するように調整されたとき、光ファイバ180の出力は実質的に基本モード121にあった。絞り機構5が光ファイバ140内の光学モード151を選択するように調整されたとき、レーザ放射13は主として光ファイバ180のペデスタル184内に導かれた。そして、約100μmの出力ビーム径27、および約4mm・mradのビームパラメータ積4に対応する約12のビーム品質Mファクタを有していた。実施例1で説明したように、光ファイバ180の出力28における出力ビームプロファイル14を安定させるために、図2を参照して示した。図21に示すように、光ファイバ180から放射されるレーザ放射13をガウス分布から切り換えることが可能であった。出力ビーム径27が13μm、ビームパラメータ積が0.37mm.mradでほぼトップハットのプロファイルを有する。絞り機構5に適用される絞り力12を選択することによって、約100μmの出力ビーム径27、および5mm.mradのビームパラメータ積4を有する。
【0094】
実施例3図22は、本願発明の第3の実施例を示し、第1の実施例の第2の光ファイバ140が図16の第2の光ファイバ160に置き換えられている。第1の実施例の第3の光ファイバ180は、図19を参照して説明した第3の光ファイバ190に置き換えられている。第1の光ファイバ90の設計は、第1の実施例および図20に関して説明したものと同じであった。
【0095】
第1の光ファイバ90を図16に示す第2の光ファイバ160に接合した。第2の光ファイバ160のセントラルコア91は、第1の光ファイバ90のコア91と同じ設計であった。リングコア161は、40μmの外径169、5μmの厚さ164、およびクラッド屈折率99より0.0026大きい屈折率162を有していた。第1の光ファイバ90の出力が基本モード121となるように絞り機構5を調整すると、基本モード121は第2の光ファイバ160のコア91にうまく結合した。そして、他の高次光学モードに結合することなく、第2の光ファイバ160に沿って伝搬した。第1の光ファイバ90の出力が2次モード122になるように絞り機構5を調整したとき、二次モード122は、第二の光ファイバ160の出力でリングコア161から出力された図17に示される光学モード171に変換された。
【0096】
図19の第3の光ファイバ190のコア191は、50μmの直径192を有していた。コア屈折率193はペデスタル屈折率99より0.014大きかった。リングコア194は、外径195が100μm、厚さ199が20μm、および屈折率196がクラッド屈折率99より0.014大きかった。コア直径192は、第2の光ファイバ160のコア直径92の約2.5倍大きかった。したがって、約2.5のテーパ比で第3の光ファイバをテーパすることが必要であった。その結果、第2および第3の光ファイバ160および10の対応する横方向寸法は、第3の光ファイバ190の入力部221において整合する。
【0097】
絞り機構5が第1のファイバ90内の基本モード121を選択するように調整されたとき、第3のファイバ180の出力は、50μmの出力ビーム径27を有していた。ビーム品質M値は約4であり、これは、約1.35mm.mradのビームパラメータ積に対応する。スクイーズ機構5が第1の光ファイバ90内の2次モード122を選択するように調整されたとき、レーザ放射13は第3の光ファイバ190の外側コア194内に導かれた。出力ビーム径27は約100μmであり、ビーム品質Mファクタは約12であった。約4mm・mradのビームパラメータ積4に対応する。
【0098】
図2を参照して示した第2の絞り機構15を第3の光ファイバ190に適用した。第2絞り機構15のピッチ17は、絞り機構5のピッチ7よりも長い。なぜなら、より狭い間隔の有効屈折率(図示せず)を有する光ファイバ190に沿って伝搬する高次光学モードを結合することが望ましいからである。第2絞り機構15は、絞り力12を調整することによって調整された。絞り機構5に絞り力12を加えることによって、第1の光ファイバ90の出力で基本モード121が選択されたとき、第3の光ファイバ190の出力におけるレーザビーム13は、約7のビーム品質Mファクタを有していた。これは約2.36mm・mradのビームパラメータ積14に対応する。レーザ放射13は、コア191内にほぼ均等に分布していた。第1の光ファイバ90の出力において2次モード122が選択されたとき、第3の光ファイバ190の出力28におけるビーム品質Mファクタは、約5mm・mradのビームパラメータ積4に対応する約15であった。光パワーはリングコア194内でほぼ均等に分配された。第1のファイバ90において基本モード121と2次モード122の組み合わせが、絞り機構5に加える絞り力12を調整することによって、選択されたとき、コア191とリングコア194との間の全電力の約0%から約100%の間の任意の相対分布を達成することができる。図22に示すように、次に、50μmの出力ビーム径27を有するほぼトップハットのプロファイル14から光ファイバ190から放出されるレーザ放射13を切り替えることが可能であった。約2.66mm・mradのビームパラメータ積と約100μmの出力ビーム径27を有する略トップハット型リングプロファイル14とを比較する。絞り機構5に加えられる絞り力12を選択することにより、5mm・mradのビームパラメータ積4を得る。トップハットリングプロファイルを有する出力ビームプロファイル14は、レーザビーム13で材料11を切断するために、トップハットプロファイルまたはベル型ガウスビームプロファイルを有する出力ビームプロファイル14よりもしばしば好ましい。ベル形のガウスプロファイル(M~1.1)からトップハットリングプロファイルに切り替えることが望ましい場合、テーパ225を設計することができることに留意する。それは、基本モード121がモード結合なしに光ファイバ90、160、テーパ255、および光ファイバ190に沿って伝搬するように断熱的であるようにする。
【0099】
実施例1および2は両方とも光ファイバ180および第2の機構15を使用した。しかしながら、装置10から放射されたレーザ放射13を基本モード121およびサテライトコア141のモード151から切り換えることが望まれる場合、これらは省略することができる。これは、間隔の狭い複数のビームが望まれる特定の溶接用途にとって有利となり得る。
【0100】
実施例1-3で使用した絞り機構5および絞り機構15は、図1および図2を参照して説明した線形の種類のものであった。絞り機構5および絞り機構15の一方または両方を、図3から図10を参照して説明した絞り機構で置き換えることができる。好ましくは、絞り機構5および絞り機構15は、図3から図7を参照して説明したらせん絞り機構である。このような絞り機構は、同じ量のモード変換に対してより低い絞り力12を加えることを可能にし、それ故信頼性を改善する。そのような絞り機構はまた、全ての配向の光学モードを結合し、したがって出力ビームプロファイル14において時々見られるホットスポットの形成を減少させる。基本モード121と二次モード122のような2つの規定された光学モードの間を結合するとき、一様なピッチ7または17が好ましい。実施例1-3において第2絞り機構15を光ファイバ180、190に適用した場合のように、種々の光学モード間を結合する場合には、チャープピッチ7または17が好ましい。様々な高次光学モード間の結合時のピッチ7または17は、基本モード121と二次モード122間の結合時よりも長いことが好ましい。
【0101】
複数の絞り機構5を使用することにより、レーザ放射13のパラメータの自動制御が簡単になる。ビーム発散22、直径21、およびモードプロファイル14を制御することができる。さらに、異なるガイド特性を有する光ファイバ9に異なる絞り機構5を使用することにより、適用可能な制御範囲が改善される。例えば、光ファイバ9および光ファイバ19はそれぞれ図11の光ファイバ90とすることができる。光ファイバ90の直径93は、ピッチ7を0.5mmと同じくらい小さくすることを可能にする75μmとすることができる。光ファイバ19の直径93は、250μmであり、コア91は、光ファイバ9のコア91よりもマルチモード化することができる。その場合、ピッチ17は、ピッチ7より長いことが好ましく、例えば2mmから8mmの範囲である。さらに、絞り機構5および15のうちの少なくとも一方は、図3に示される形態であり得、光ファイバ9または19は、ピッチ7または17を有し得るらせん状に変形することができる。それは一様であるかチャープされている。なお、これらの機構5のうちの1つは、例えばオフセットコアを有するスプライスのような他のモード結合装置で置き換えることができる。
【0102】
図1を参照して示されているように、装置10は、ビーム送出ケーブル2に取り付けられているか、またはビーム送出ケーブル2の一部を形成している振動要素36を含むことができる。振動要素36は、ビーム送出ケーブル2を振動させるように構成することができる。これは、レーザ放射13からレーザスペックルを除去するため、またはレーザ放射13の出力ビームプロファイル14からホットスポットを除去するために有利であり得る。振動素子36は、圧電素子または電磁気素子であり得る。
【0103】
図1に示す光ファイバ9および光ファイバ19は、図11、14、16、18および19を参照して説明した光ファイバ90、140、160、180および190のいずれでもよい。光ファイバ9および光ファイバ19は、ソリッドコアおよびクラッドを有することができ、ディプレストクラッドを含む追加のコアおよびクラッドを有することができ、コアおよび/またはクラッド内に長手方向に延びる孔を有することができる。ここでの議論は、主にLP01基本モードのLP112次モードへの結合に焦点を当ててきた。しかしながら、絞り機構5、15、40、50、60、および82を使用して、他の組の光学モード間にモード結合を生じさせることができる。
【0104】
添付の図面を参照して上記で説明された本願発明の実施形態は、例としてのみ与えられたものであり、性能を向上させるために修正および追加の構成要素を提供することができることが理解されるべきである。図面に示される個々の構成要素は、それらの図面における使用に限定されず、それらは他の図面および本願発明のすべての態様において使用され得る。本願発明はまた、単独でまたは任意の組み合わせでとらえられて、上で言及および/または示された個々の構成要素にも及ぶ。
図1
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図5
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図9
図10
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図22