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特許7068279二酸化チタンゾル、その調製方法およびそれから得られる生成物
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  • 特許-二酸化チタンゾル、その調製方法およびそれから得られる生成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】二酸化チタンゾル、その調製方法およびそれから得られる生成物
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/053 20060101AFI20220509BHJP
   C01G 25/02 20060101ALI20220509BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20220509BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20220509BHJP
   B01J 37/06 20060101ALI20220509BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20220509BHJP
   C09D 1/00 20060101ALI20220509BHJP
   C09C 1/36 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C01G23/053
C01G25/02
B01J37/04 102
B01J37/02 301B
B01J37/06
B01J35/02 J
C09D1/00
C09C1/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019516073
(86)(22)【出願日】2017-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017063441
(87)【国際公開番号】W WO2017211712
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102016110374.8
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518432551
【氏名又は名称】ヴェナートア・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー・ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ティーデ・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ガルバルチク・ニコル
(72)【発明者】
【氏名】ボンネン・ジーモン
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1632993(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101695656(CN,A)
【文献】米国特許第05021392(US,A)
【文献】特開昭64-063563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 1/00-23/08
C01G 25/00-47/00
C01G 49/10-99/00
B01J 37/04
B01J 37/02
B01J 37/06
B01J 35/02
C09D 1/00
C09C 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタン、二酸化ジルコニウムおよび/またはこれらの水和形態を含有するゾルを調製する方法であって、
メタチタン酸を含有する材料であって、硫酸法からの懸濁液またはろ過ケーキであり、メタチタン酸含有材料中のTiOの量に対して3~15重量%のHSOの含有量を有する前記メタチタン酸含有材料が、水性相でジルコニル化合物またはいくつかのジルコニル化合物の混合物と混合され、前記ジルコニル化合物が、硫酸の量に応じて反応混合物をゾルに変換するのに十分な量で添加される、
方法。
【請求項2】
SOが、前記メタチタン酸含有材料のTiOの量に対して、前記メタチタン酸含有材料の4~12重量%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一塩基酸(monoprotonic acid)のアニオンを有するジルコニル化合物またはそれらの混合物が、前記ジルコニル化合物として使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ZrOClまたはZrO(NOが、前記ジルコニル化合物として使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ゾルが形成された後に、SiO含有化合物またはその水和プリフォームが、酸化物の量に対して2~20重量%の量でさらに添加される、請求項1~4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記のSiO 含有化合物またはその水和プリフォームが水ガラスである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
得られた前記ゾルに安定剤が添加され、次いで前記ゾルが、少なくとも5にpH値を調整するのに十分な量の塩基と混合される、請求項1~6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
得られた前記ゾルが、4から8までの間の混合物のpH値を得るために塩基で調整され、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、任意選択的にSiOおよび/またはそれらの水和形態を含有する析出した粒状材料がろ別され、ろ液の導電率が、<500μS/cm達するまで洗浄され、一定の質量まで乾燥される、請求項1~6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において得ることができる、
- 3~40重量%のZrOの含有量、
- TiOおよびZrOの水和形態が含まれ、
- 0.40ml/gを超える総細孔容積の80%を超える、3~50nmの範囲の細孔径を有するメソ細孔の含有量、
- 150m/gを超えるBET、
- 5~50nmの結晶子サイズを有する微結晶アナターゼ構造
を有する粒状TiOであって、
重量%が酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、粒状TiO
【請求項10】
3~20重量%含有量のSiOをさらに有し、TiO、ZrOおよびSiOの水和形態が含まれ、重量%が、酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、請求項9に記載の粒状TiO
【請求項11】
Co、Ni、Fe、W、V、Cr、Mo、Ce、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Cuまたはそれらの混合物から選択される触媒活性金属を3~15重量%の量でさらに含有し、重量%が、酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、請求項9または10に記載の粒状TiO
【請求項12】
触媒としてまたは触媒を調製するための、請求項9、10または11に記載の粒状TiOの使用。
【請求項13】
不均一系触媒作用、光触媒作用、SCR、水素化処理、クラウス法およびフィッシャー-トロプシュ法における触媒としての、請求項9、10または11に記載の粒状TiOの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、硫酸法に従って硫酸チタニル含有溶液の加水分解によってTiOが調製される場合に得られるチタン化合物を含有し、ならびに/または微結晶アナターゼ構造を有しおよびジルコニウム化合物を含有する二酸化チタン含有ゾルの調製、ならびにそれによって得られる二酸化チタンゾルおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタンゾルは、不均一系触媒作用を含む広範な用途に使用される。これに関連して、このようなゾルは、例えば、光触媒の調製に、または押出触媒体の製造もしくはコーティングプロセスにおける結合剤としても使用される。アナターゼ変態は、これらの2つの用途の分野で特に好ましい。なぜなら、アナターゼ変態は一般により優れた光触媒活性を示し、ルチル変態より大きな表面積を提供するからであり、アナターゼ変態は実際に熱力学的により安定である。
【0003】
アナターゼTiOゾルを調製するためのいくつかの異なる方法が存在する。典型的な製造方法には、有機TiO前駆体化合物、例えばアルコラートもしくはアセチルアセトネート(acetylactonate)など、または工業規模で入手可能なTiO前駆体化合物、例えばTiOClおよびTiOSOの加水分解が含まれる。加水分解核を用いてまたは用いずに実施することができる加水分解の他に、微粒子アナターゼTiOを中和反応で調製することもできる。
【0004】
通常、前記方法は水性媒体中で実施され、使用される酸および塩基は、一般的に工業量で入手可能な物質(例えばHCl、HNO、HSO、有機酸、アルカリまたはアルカリ土類水酸化物または炭酸塩、アンモニアまたは有機アミン)であることが多い。加水分解の間に、および特に中和反応の場合、塩または他の分離可能な化合物(HSOなど)が溶液に添加され、これらはそれに続く解膠の前に、得られた懸濁液から除去しなければならない。これは、多くの場合中和工程に先立ってろ過および脱塩水による洗浄によって実施される(例えば、HSOを含有する懸濁液の場合)。次いで、解膠を例えば、低pH値のHClまたはHNOなどの一塩基酸(monoprotonic acids)を添加することによって実施する。この種の酸性ゾルに基づく多数の方法が、中性または塩基性ゾルを調製するために記述されている。典型的には、有機酸(クエン酸など)を最初に酸性ゾルに添加し、次いで適した塩基(アンモニア、NaOH、KOHまたは有機アミン)でpH値を所望の範囲に調整する。
【0005】
工業規模でのアナターゼTiOゾルの製造は、安価な原材料だけでなく、単純で、安定的な製造方法にも左右される。有機金属のTiO供給源は、その非常に高い価格および加水分解の間の有機化合物の放出による取扱い、およびその結果、労働安全および廃棄の観点からのさらに厳しい要求事項に付随する問題のために適切な原材料とは考えられない。TiOClおよびTiOSOを出発化合物として使用してもよく、2つの工業的製造方法(塩化物法および硫酸塩法、Industrial Inorganic Pigments、第3版、Gunter Buxbaum刊、Wiley-VCH、2005(非特許文献1)も参照されたい)を介して得ることができるが、これらの化合物は、この目的のために特定の方法で、主要な製品フローとは別個に製造される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Industrial Inorganic Pigments、第3版、Gunter Buxbaum刊、Wiley-VCH、2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことを全て考慮して、本発明が対処するべき課題は、安価におよび軽減された処理労力で実施することができる、TiO含有ゾルを調製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、このようなTiO含有ゾルを調製するための本発明による方法であって、工業規模で入手可能である出発材料を使用し、したがって安価でもあり、少数の安定でしたがって単純なプロセス工程のみを含む、方法を提供することによって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
したがって、本発明は、以下の態様を含む:
- 二酸化チタン、二酸化ジルコニウムおよび/またはこれらの水和形態を含有するゾルを調製する方法であって、硫酸法からの懸濁液またはろ過ケーキであってもよく、メタチタン酸含有材料中のTiOの量に対して3~15重量%のHSOの含有量を有するメタチタン酸含有材料が、水性相でジルコニル化合物またはいくつかのジルコニル化合物の混合物と混合され、ジルコニル化合物が、硫酸の含有量に応じて、反応混合物をゾルに変換するのに十分な量で添加される、方法。
- HSOが、メタチタン酸含有材料中のTiOの量に対して、メタチタン酸含有材料の4~12重量%を構成する、前記方法。
- 一塩基酸のアニオンを有するジルコニル化合物またはこれらの混合物、特にZrOClまたはZrO(NOが、ジルコニル化合物として使用される、前記方法。
- SiO含有化合物またはその水和プリフォームも、好ましくは水ガラスとして、ゾルが形成された後に酸化物の量に対して2~20重量%の量で添加される、前記方法。
- 二酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/またはこれらの水和形態を含有し、前述の方法により調製できるゾル。
- メタチタン酸含有材料中のTiO含有量に対して3~15重量%の含有量のスルフェートを有する、二酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/またはこれらの水和形態を含有するゾル。
- 安定剤が得られたゾルに添加され、次いでゾルが、少なくとも5のpH値を得るのに十分な量の塩基と混合される、前記方法。
- 最後に記載した方法により調製できるゾル。
- 触媒体の製造またはコーティングプロセスにおける前記ゾルの使用。
- 得られたゾルが、4から8までの間、特に4から6までの間の混合物のpH値を得るために、塩基で調整され、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、任意選択的にSiOおよび/またはこれらの水和形態を含有する析出した粒状材料が、ろ別され、ろ液の導電率が、<500μS/cm、特に<100μS/cmに達するまで洗浄され、一定の質量まで乾燥される、前記方法。
- 最後に記載した方法により得られる粒状TiO
- 3~40、特に5~15重量%のZrOの含有量であって、TiOおよびZrOの水和形態が含まれる含有量、
0.40を超え、特に0.50を超え、とりわけ0.60ml/gを超える総細孔容積の80%を超え、特に90%を超える、3~50nmの範囲の細孔径を有するメソ細孔の含有量、
- 150m/gを超え、特に200m/gを超え、とりわけ250m/gを超えるBET、および
- 特に、5~50nmの結晶子サイズを有する微結晶アナターゼ構造
を有する粒状TiOであって、重量%が、酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、粒状TiO
- 3~20重量%、特に5~15重量%の含有量のSiOをさらに有し、TiO、ZrOおよびSiOの水和形態が含まれ、重量%が、酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、前記粒状TiO
- Co、Ni、Fe、W、V、Cr、Mo、Ce、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Cuまたはこれらの混合物から選択される触媒活性金属を3~15重量%の量でさらに含有し、重量%が、酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、前記粒状TiO
- 特に不均一系触媒作用、光触媒作用、SCR、水素化処理、クラウス法、フィッシャー-トロプシュ法における触媒としてのまたはその製造のための、前述の粒状TiOの使用。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】製造例4および5(メソ多孔性TiO/ZrOおよびTiO/ZrO/SiO-固体)からならびに比較例1からの材料の細孔径分布
【0011】
以下の明細書中に記載される本発明の実施形態は、任意の形で相互に組み合わされて、それによって特に好ましい実施形態がもたらされてもよい。
【0012】
以下の詳細な説明は、本発明による個々の特徴の特定のおよび/または好ましい変形を開示する。本発明の範囲内で、2つ以上の本発明の好ましい実施形態が組み合わされた実施形態は、通常、論理的にはさらに好ましいことになる。
【0013】
特に明記しない限り、本出願の文脈において「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、明確に列挙された成分に加えて、場合による追加の成分が存在し得ることを示すために使用される。しかし、これらの用語の使用は、列挙された成分から純粋になる、即ち、これらの列挙された成分以外を含まない実施形態もこの用語の意味に含まれていることを意味するものとする。
【0014】
特に明記しない限り、すべての百分率は、重量百分率であり、150℃において一定の質量まで乾燥された固体の重量に対応している。百分率データまたは一般名称を用いて定義される成分の相対量に対する他のデータに関しては、このようなデータは、一般名称の意味に含まれるすべての具体的な変形体の総量に対するものであると理解される。本発明による実施形態において一般的に定義された成分が、一般名称に含まれる具体的な変形体に対しても特定された場合、これは、一般名称の意味にさらに含まれる他の具体的な変形体は存在せず、したがって、当初定義されたすべての具体的な変形体の総量は、この場合、1つの所与の具体的な変形体の量に対するものであることを意味するものと理解される。
【0015】
TiO(OH)は、硫酸法において、TiOSO含有溶液(「black solution(黒色溶液)」とも呼ばれる)の加水分解によって得られる。工業的方法において、このようにして得られた固体材料をろ過によって母液から分離し、水で徹底的に洗浄する。いずれの残留する外来のイオン、特にFeイオンをできるだけ十分に除去するために、「漂白」と呼ばれることを実施し、漂白は水溶性に乏しいFe3+イオンを、水に容易に可溶性のFe2+イオンに還元する。より容易に調製され、非常に豊富に含まれる化合物が、TiOSO4含有「黒色溶液」の加水分解に続いて得られ、水和酸化チタン、チタニアまたはメタチタン酸とも称され、化学式TiO(OH)、HTiOまたはTiO・xHO(式中、0<x≦1)によって表されてもよい、一般式TiO(OH)を有する微粒子TiO含有材料である。これに関連して、微結晶という用語は、微結晶TiO(OH)のX線粉末ディフラクトグラムにおいて、シェラーの式を用いた回折ピークの幅の解析が、4~10nmの結晶子の平均広がりを示すことを意味するものと理解される。
【0016】
ろ過および洗浄により、大量の顔料製造にも必要な同じTiO(OH)が得られる。これは、例えばHNOまたはHClによる解膠において活性であり、酸性ゾルを生成する。このチタン化合物または水和酸化チタンは、好ましくは150m/gを超え、より好ましくは200m/gを超え、特に好ましくは250m/gを超えるBET表面積を有し、工業規模で容易に得ることができる微結晶TiOから構成されている。チタン化合物の最大BET表面積は、好ましくは500m/gである。これに関連して、脱気し、140℃で1時間乾燥した水和酸化チタン粒子の試料で77KにおいてNを用いてDIN ISO 9277に従って、BET表面積を測定する。解析を多点測定(10点測定)で実施する。
【0017】
この種のTiOをゾルに変換できることは、先行技術において知られている。これを実施するためには、可能な限り残留する硫酸(TiOに対して約8重量%)を除去することが重要である。これは、さらなる中和工程で実施され、ろ過/洗浄工程が続く。この中和のために、すべての慣例の塩基、例えば、NaOH、KOH、NHの水性溶液を任意の濃度で使用してもよい。特に、最終生成物が極めて少量のアルカリを含有しなくてはならない場合、NHを使用することが必要であり得る。理想的には、塩をほとんど含有しないまたは含有しないろ過ケーキを得るために、洗浄を脱塩水または低塩水を用いて実施する。中和およびろ過/洗浄後に残留するする硫酸の量は、典型的にはTiO固体に対して1重量%未満である。
【0018】
次いで、低硫酸含有量を有するろ過ケーキから、例えばHNOまたはHClを添加し、任意選択的に加温することによってゾルを調製してもよい。したがって、工業的に入手可能なTiO(OH)を常法によってTiO含有ゾルに変換するために、示された装置および化学物質による以下のプロセス工程が必要となる:
1.中和(反応容器、中和のための塩基)
2.ろ過(ろ過ユニット)
3.洗浄(脱塩水)
4.解膠(反応容器、解膠のための酸)
【0019】
したがって、特に必要な化学物質に加えて、適切な装置を個々の工程それぞれに対して提供しなければならない。これは、他の生成物に対する生産能力の損失を考慮に入れなければならず、または必要な装置および容量が利用可能であることを確実にするための投資がなされなければならないことを意味する。個々のプロセス工程それぞれはまた、一定量の時間がかかり、特に洗浄はかなりの時間の要求事項を伴うことを念頭に置かなくてはならない。
【0020】
驚くべきことに、TiO含有ゾルを、(TiOに対して)約8重量%のHSOを含有する工業目的で入手可能なTiO(OH)懸濁液から直接、異なる経路によって極めて容易に調製することができることを見出した。このために、ZrOClなどのジルコニル化合物が、固体または予め溶解した形態で懸濁液に添加される。著しい粘度の変化によって証明されるように、解膠が極めて短時間、即ち多くの場合に数秒内に、固体形態が完全に溶解し、または溶質が十分に混合された後、確かに数分内に起こる。解膠されていない懸濁液は、解膠された懸濁液よりかなり攪拌することが困難である。PCS測定は、解膠によって形成されたTiO単位のサイズの指標を提供することができる。
【0021】
ここで、従来法で調製されたゾルを本発明によるゾルと比較すると、これらのゾルの性質に観察される差異は、仮に差異が存在するにしてもわずかにすぎない。ZrOCl、ZrO(NOなどの添加するジルコニル化合物の必要量は、使用されるTiO懸濁液中の硫酸含有量によって決まる(以下、例示的な目的でZrOClを使用する)。1種または複数のジルコニル化合物に加えて、製造条件下でジルコニル化合物に変換され得る他の化合物も使用することができる。このような例はZrClまたはZr(NOである。本発明者らは、解膠を引き起こすためには、HSOに対して約半分量(モル比で)のZrOClを添加しなければならないことを見出した。したがって、典型的に工業的方法に存在する約8重量%の硫酸含有量(TiOに対して酸化物として計算して)に対して、ZrOClは、約6重量%の理論的ZrO含有量(TiOおよびZrOの組み合わせた重量%に対するZrO含有量)が得られる量で添加されなければならない。
【0022】
より多量のZrOClを添加してもよく、この場合解膠はより迅速に起こる。HSOがより少量で存在する場合は、添加するZrOClの量もそれに対応して減少させ得る。未知のHSO含有量に対しては、必要なZrOClの量は、懸濁液の粘度を観察することによって決定してもよい。特に、極めて濃縮された出発懸濁液の場合、粘度の変化は、明らかであり速い。工業的方法に使用されるTiO(OH)懸濁液中の典型的なTiO含有量は、約20~35%の範囲である。本発明による方法によって調製されるゾルは、固体ZrOClが添加される場合、実質的に同じTiO含有量を有することになる。より高いTiO含有量が必要な場合、任意選択的に脱水工程を例えば膜ろ過によって前もって実施してもよい。それによって得られたろ過ケーキに固体ZrOClを添加すると(約50%の残留水分)、急速な粘度の変化に続いて解膠も引き起こす。
【0023】
多くの触媒用途において、塩化物イオンの形態の塩素の存在は望ましくない。この場合は、硝酸ジルコニルZrO(NOもしくは一塩基酸のアニオンを有する他のジルコニル化合物またはこれらの混合物を、得られるゾルの性質の変化なしに有利には使用してもよい。HSOに対するZrO(NOの必要なモル比は、ZrOClを使用する場合に適用されるモル比に対応する。
【0024】
したがって、本発明による方法は、中和、ろ過および洗浄のプロセス工程を完全に不要にするという点において、従来の方法に対する重要な利点を提供する。この結果は、全体的に見れば
i)利用しなければならないプロセス装置がより少なく、
ii)より少ない化学物質が消費され、
iii)時間の消費が有意に低減される。
【0025】
Zr化合物の使用による原材料に対するコストのいくらかの増加は、特に、新規な装置に求められる投資がないという事実によって相殺される。該方法の極端な単純さのために、本発明によるゾルに対する非常に高い生産能力を創出することが極めて容易である。したがって、本発明による方法に基づいて、生産能力は、工業的に入手可能な出発生成物(TiO(OH)懸濁液)の生産能力に等しいと考えられる。
【0026】
従来法で調製されたTiO2含有ゾルとの、方法に関連する差異は、特に以下のパラメーターに現れる:
1.HSO含有量
2.Zr含有量
【0027】
本発明による方法では、従来の方法で必要な中和およびろ過/洗浄の工程が省略されるので、出発懸濁液に存在する硫酸含有量は、調製されたゾルにおいて依然として低下していない。方法に関連する理由のために、調製されたゾルは、ある割合のジルコニウムも含有する。多数の触媒用途においてジルコニウムの存在は、面倒を引き起こすことはなく、実際はしばしば望ましく(例えば、酸-塩基特性の改質に対して)、Zr化合物の添加は、多数の用途に対してマイナスの影響を有さない。
【0028】
本発明による酸性のZr含有TiOゾルを、一連の調製に対する出発生成物として使用してもよい。一方では、酸性のZr含有TiOゾルを、不均一系触媒の製造における結合剤としてまたは光触媒的に活性な材料として直接使用してもよい。さもなければ、酸性のZr含有TiOゾルをさらに化学的に改質または処理してもよい。例えば、クエン酸を添加し、それに続きアンモニアまたは先行技術で公知の適した有機アミンを用いてpHを調整すると、中性または塩基性ゾルを得る(DE4119719A1)。本発明によるゾルを、pH値をより強い塩基性の範囲にシフトすることによって凝集させることも可能である。これは、ろ過および洗浄工程で塩を精製することができ、メソ多孔性を有する白色固体を生じる。さらなる添加剤が、この中和および洗浄プロセスの間において含まれてもよい。高度の熱安定性が、多くの触媒用途には必須である。これに関連して、熱安定性という用語は、アナターゼTiOのルチル化温度(rutilisation temperature)の上昇および熱処理の間の粒子成長の減少を意味するものと理解される。この粒子成長は、特に、BET表面積の減少またはX線粉末ディフラクトグラムにおける典型的なアナターゼ回折ピークの強度増加で明らかである。アナターゼTiOの場合、SiOの添加も、熱安定性を増加させるのに特に有利である。これは、中和工程中またはその後に、例えばナトリウム水ガラスを用いて添加され得る。他の混合剤も考え得て、W含有化合物の添加は、例えば、特にSCR用途に挙げることができる。
【0029】
前述のさらなる添加剤を含み得る、中和およびろ過/洗浄後に得られる生成物は後でさらに処理してもよいし、または直ちに、ろ過ケーキとしてもしくは任意選択的に例えば水で洗浄された(mashed)懸濁液として形成してもよい。
【0030】
同様に、典型的には、150m/gを超え、好ましくは200m/gを超え、特に好ましくは250m/gを超えるBET表面積を有する微粒子生成物を得る乾燥工程を実施してもよい。任意選択的に、特定の用途に応じて、さらなる熱処理工程を、より高温で例えば回転炉中で実施してもよい。
【0031】
この選択肢から、か焼に対して選択される温度および化学組成物に応じて、様々なBET表面積を有する材料が生じ得る。特に、極めて低硫黄含有量を必要とする用途に対して、酸化物総重量に対して5~20重量%の範囲のSiOを多量に添加すると、その終末で最終的生成物に硫黄の最小限の残留量しか残存せず、一方、BET表面積が有意に低下されない熱処理を可能にする生成物特性をもたらし得る。
【0032】
本発明を、以下の例を参照してより詳細に説明する。
【0033】

製造例1
TiO/ZrOゾル
スルフェート含有量w(SO)=7.9%/TiOおよびw(TiO)=29.2%の二酸化チタン含有量を有する水和酸化チタンスラリー1027.4gを、ZrOCl・8HO(TiOに対して10%ZrO)87gと反応させた。二酸化チタン含有量w(TiO2)=26.9%、353g/Lの二酸化チタン濃度および密度1.312g/cmを有する二酸化チタンゾルが生成された。PCS測定により、磁気撹拌機分散により46nmの粒径(平均)であると判明した。クロリド含有量は1.5%であり、スルフェート含有量は2.0%であった。
【0034】
製造例2
濃縮されたTiO/ZrOゾル
スルフェート含有量w(SO)=7.9%/TiOおよびw(TiO)=29.2%の二酸化チタン含有量を有する水和酸化チタンスラリー(MTSA、SB 2/4)1027.4gをろ過して取り出す。47.18重量%の固体含有量を有するろ過ケーキ700gが得られる。次いで、ZrOCl・8HO(TiOに対して10%ZrO)87gを添加する。これにより、二酸化チタン含有量w(TiO)=37%、556g/Lの二酸化チタン濃度および1.494g/cmの密度を有するチキソトロピー性二酸化チタンゾルが得られる。PCS測定により、磁気撹拌機分散により46nmの粒径(平均)を有することが判明した。クロリド含有量は2.1%であり、スルフェート含有量は2.8%であった。
【0035】
製造例3
TiO/ZrOゾル中性/塩基性
濃縮されたTiO/ZrOゾル(製造例2からの)56gに、部分的脱塩水を最大200gまで満たす。次いで、水20mL中のクエン酸一水和物13.0gの溶液を添加する。混合物が濃厚化する。次いで調製物をアンモニア、w(NH)=25%で中和する。pH値約4を超えると再びゾルが形成され、このゾルは最大9~10のpH値まで安定であることがわかる。
【0036】
変形1:
濃縮されたTiO/ZrOゾル(製造例2からの)56gを希釈せずに、水20mL中のクエン酸一水和物13.0gの溶液と反応させ、アンモニアで所望のpH値(>4.5)に調整する。
【0037】
変形2:
クエン酸13.0gを25%アンモニア溶液に溶解する(約pH6に対して15.4g)。この溶液を予め充填し、次いで濃縮されたTiO/ZrOゾル(製造例2からの)56gを添加する。
【0038】
変形3:
クエン酸13.0gを25%アンモニア溶液に溶解する(約pH6に対して15.4g)。濃縮されたTiO/ZrOゾル(製造例2からの)56gを予め充填し、クエン酸アンモニウム溶液を添加する。
【0039】
変形4:
濃縮されたTiO/ZrOゾル(製造例2からの)26.9g(9g TiOに対応する)およびクエン酸一水和物(10%)1gを撹拌により混合し、次いでアンモニアまたは苛性ソーダで所望のpH値に調整する。
【0040】
変形5:
濃縮されたTiO/ZrO-ゾル(製造例2からの)23.9g(8g TiOに対応する)およびクエン酸一水和物(20%)2gを混合し、次いでアンモニアまたは苛性ソーダで所望のpH値に調整する。
【0041】
製造例3および変形1~5によるすべての方法について、NHで、pH値を最大10まででも凝集させずに上昇させることができる。
【0042】
製造例4
TiO/ZrO-メソ多孔性固体-90%二酸化チタンおよび10%二酸化ジルコニウムを有する300gの最終生成物のための方法:
29.2%の二酸化チタン含有量およびw(SO)=7.9%/TiOのスルフェート含有量を有する水和酸化チタンスラリー925gを、部分的脱塩水で200g/Lの二酸化チタン濃度まで希釈する。ZrOCl・8HO 78.5gを添加し、混合物を50℃に加熱する。次いで、苛性ソーダ、w(NaOH)=50%で中和することによってTiOを凝析させる。このためにpH 5.25への中和を50℃で実施する。
【0043】
次いで生成物をろ過し、ろ液の導電率<100μS/cmが得られるまで洗浄する。次いでろ過ケーキを150℃において一定の質量まで乾燥する。BET表面積:326m/g。総細孔容積:0.62mL/g。メソ細孔容積:0.55mL/g。細孔径:19nm。
【0044】
製造例5
TiO/ZrO/SiO-メソ多孔性固体- 82%二酸化チタン、10%二酸化ジルコニウムおよび8%SiOを有する300gの最終生成物のための方法:
29.2%の二酸化チタン含有量およびw(SO)=7.9%/TiOのスルフェート含有量を有する水和酸化チタンスラリー943gを、部分的脱塩水で150g/Lの二酸化チタン濃度まで希釈する。ZrOCl・8HO 78.5gを添加し、混合物を50℃まで加熱する。次いで、これをケイ酸ナトリウム、w(SiO2)=358g/L 68mLで後処理する。このために、ケイ酸ナトリウムを3mL/分の排出速度を有するぜん動ポンプを介して、解膠されたTiO懸濁液に撹拌しながら添加する。次いで、懸濁液を、50℃において5.25のpH値まで苛性ソーダ、w(NaOH)=50%で中和する。
【0045】
次いで、生成物をろ過し、ろ液の導電率<100μS/cmが得られるまで洗浄する。次いで、ろ過ケーキを150℃において一定の質量まで乾燥する。BET表面積:329m/g。総細孔容積:0.75mL/g。メソ細孔容積:0.69mL/g。細孔径:19nm。
【0046】
さらなる製造例により、本発明者らは、解膠されたゾルを調製するのに必要な条件を決定しており、表1に列挙された値を計算した。
【0047】
比較例1
比較例1を製造例5と同様の方法で調製し、ただし、ケイ酸ナトリウムをZrOCl・8HOの前に添加した。BET表面積:302m/g。総細孔容積:0.29mL/g。メソ細孔容積:0.20mL/g。細孔径:4nm。
【0048】
【表1】
【0049】
したがって、解膠能力の要求事項は、出発懸濁液のpH値が少なくとも1.0でなければならず、重量百分率での、硫酸の量に対するジルコニル化合物の必要量が、酸化物の総量として計算しし、最終的生成物中のZrOの重量%として計算して、出発懸濁液中のTiOに対するHSOの重量%に対して、少なくとも0.45、特に少なくとも0.48でなければならないことである。量比で表すと、本発明によるゾルを得るためには、硫酸の量は、添加したジルコニル化合物の量の2.2倍、特に2.0倍を超えてはならない(表1を参照されたい)。
【0050】
測定方法
PCS測定
該方法の原理は、粒子のブラウン分子運動である。これに対する必要条件は、粒子がその中を自由に移動することができる非常に希釈された懸濁液である。小さい粒子は、大きな粒子より速く移動する。レーザービームが試料中を通過する。移動する粒子上で散乱された光を90°の角度で検出する。光の強度の変動(ゆらぎ)を測定し、ストークの法則およびミー理論を用いて粒径分布を計算する。使用されたデバイスは、Zetasizer Advanced Softwareを備えた光子相関分光計(例えば、Malvernによって製造されたZetasizer 1000HSa)、超音波プローブ;例えば、Sonicsによって製造されたVC-750である。分析する試料から10滴を取り出し、硝酸の希釈水(pH1)60mlで希釈する。この懸濁液をマグネチックスターラーで5分間撹拌する。このようにして調製された試料バッチを25℃に加熱制御し、(必要に応じて)硝酸の希釈水で希釈し、Zetasizer 1000HSaデバイスのカウントが約200kCpsになるまで測定する。以下の測定条件またはパラメーターも使用する:
測定温度:25℃
フィルター(減衰器):×16
分析:マルチモーダル
試料Ri:2.55 Abs:0.05
分散剤 Ri:1.33
分散剤粘度:0.890cP
【0051】
窒素-ガス吸着法(Nポロシメトリー)による比表面積の測定(多点法)および細孔構造の解析
比表面積ならびに細孔構造(細孔容積および細孔径)を、Nポロシメトリーを用いてQuantachrome GmbHによって製造されたAutosorb 6または6Bデバイスで計算する。BET表面積(Brunnauer、EmmetおよびTeller)をDIN ISO 9277に従って測定し、細孔分布をDIN 66134に従って測定する。
【0052】
試料の調製(Nポロシメトリー)
試料を測定セルに秤量し、か焼ステーションにおいて真空中で16時間予備乾燥する。次いで、これを真空中で約30分間で180℃まで加熱する。次いで、この温度をなおも真空下で1時間維持する。脱ガス装置において20~30ミリトルの圧力が確立され、真空ポンプを切り離した後、真空計の針が約2分間留まっているならば、試料は十分に脱気されたとみなす。
【0053】
測定/解析(Nポロシメトリー)
等温曲線全体を、20の吸着点および25の脱着点で測定する。測定値を以下の通り解析した。
【0054】
比表面積(多点BET)
0.1~0.3p/p0の解析範囲で5測定点
【0055】
総細孔容積解析
ギュルビッチ(Gurvich)則に従った細孔容積の計算(最後の吸着点から測定)
【0056】
総細孔容積をギュルビッチ則に従い、DIN 66134により測定する。ギュルビッチ則により、試料の全体の細孔容積を、吸着測定の間の最後の加圧点から決定する。
p. 吸着材の圧力
p0. 吸着材の飽和蒸気圧力
Vp. ギュルビッチ則による比細孔容積(p/P0=0.99における総細孔容積)、事実上、測定の間に到達した最後の吸着加圧点。
【0057】
平均細孔径の解析(水力細孔径)
この計算のために、「平均細孔径」に対応して関係式4Vp/ABETが使用される。ABET ISO 9277による比表面積。
【0058】
SiOとして計算したケイ素の定量
材料を硫酸/硫酸アンモニウムと秤量し、温浸し、続いて蒸留水で希釈し、ろ過し、硫酸で洗浄する。次いで、フィルターを焼却し、SiO含有量の重量測定をする。
【0059】
TiOとして計算したチタンの定量
材料を硫酸/硫酸アンモニウムまたは二硫酸カリウムと秤量し、温浸する。Alで還元してTi3+とする。硫酸アンモニウム鉄(III)で滴定する。(指示薬:NHSCN)
【0060】
ZrOとして計算したZrの定量
試験する材料をフッ化水素酸に溶解する。次いで、Zr含有量をICP-OESによって分析する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.二酸化チタン、二酸化ジルコニウムおよび/またはこれらの水和形態を含有するゾルを調製する方法であって、
メタチタン酸を含有する材料であって、硫酸法からの懸濁液またはろ過ケーキであってもよく、メタチタン酸含有材料中のTiO の量に対して3~15重量%のH SO の含有量を有する前記メタチタン酸含有材料が、水性相でジルコニル化合物またはいくつかのジルコニル化合物の混合物と混合され、前記ジルコニル化合物が、硫酸の量に応じて反応混合物をゾルに変換するのに十分な量で添加される、
方法。
2.H SO が、前記メタチタン酸含有材料のTiO の量に対して、前記メタチタン酸含有材料の4~12重量%を構成する、上記1に記載の方法。
3.一塩基酸(monoprotonic acid)のアニオンを有するジルコニル化合物またはそれらの混合物が、前記ジルコニル化合物として使用される、上記1または2に記載の方法。
4.ZrOCl またはZrO(NO が、前記ジルコニル化合物として使用される、上記3に記載の方法。
5.前記ゾルが形成された後に、SiO 含有化合物またはその水和プリフォームが、好ましくは水ガラスとして、酸化物の量に対して2~20重量%の量でさらに添加される、上記1~4のいずれか一つに記載の方法。
6.上記1~5のいずれか一つに記載の方法により得られる、二酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/またはそれらの水和形態を含有するゾル。
7.メタチタン酸含有材料中のTiO の量に対して3~15重量%の含有量のスルフェートを有する、二酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/またはそれらの水和形態を含有するゾル。
8.得られた前記ゾルに安定剤が添加され、次いで前記ゾルが、少なくとも5にpH値を調整するのに十分な量の塩基と混合される、上記1~5のいずれか一つに記載の方法。
9.上記8に記載の方法において調製することができるゾル。
10.触媒成形体の製造またはコーティングプロセスにおける、上記6、7または9のいずれか一つに記載のゾルの使用。
11.得られた前記ゾルが、4から8までの間、特に4から6までの間の混合物のpH値を得るために塩基で調整され、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、任意選択的にSiO および/またはそれらの水和形態を含有する析出した粒状材料がろ別され、ろ液の導電率が、<500μS/cm、特に<100μS/cmに達するまで洗浄され、一定の質量まで乾燥される、上記1~5のいずれか一つに記載の方法。
12.上記11に記載の方法において得ることができる粒状TiO
13.- 3~40、特に5~15重量%のZrO の含有量であって、TiO およびZrO の水和形態が含まれる含有量、
- 0.40を超え、特に0.50を超え、とりわけ0.60ml/gを超える総細孔容積の80%を超え、特に90%を超える、3~50nmの範囲の細孔径を有するメソ細孔の含有量、
- 150m /gを超え、特に200m /gを超え、とりわけ250m /gを超えるBET、
- 5~50nmの結晶子サイズを有する微結晶アナターゼ構造
を有する粒状TiO であって、
重量%が酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、粒状TiO
14.3~20重量%、特に5~15重量%の含有量のSiO をさらに有し、TiO 、ZrO およびSiO の水和形態が含まれ、重量%が、酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、上記12または13に記載の粒状TiO
15.Co、Ni、Fe、W、V、Cr、Mo、Ce、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Cuまたはそれらの混合物から選択される触媒活性金属を3~15重量%の量でさらに含有し、重量%が、酸化物として計算され、最終生成物の重量を表す、上記12~14のいずれか一つに記載の粒状TiO
16.触媒としてまたは触媒を調製するための、上記12~15のいずれか一つに記載の粒状TiO の使用。
17.不均一系触媒作用、光触媒作用、SCR、水素化処理、クラウス法およびフィッシャー-トロプシュ法における触媒としての、上記12~15のいずれか一つに記載の粒状TiO の使用。
図1