(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形
(51)【国際特許分類】
C07D 417/12 20060101AFI20220509BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220509BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C07D417/12 CSP
A61P35/00
A61K31/454
(21)【出願番号】P 2019520040
(86)(22)【出願日】2017-10-13
(86)【国際出願番号】 IB2017056379
(87)【国際公開番号】W WO2018069892
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-10-07
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】グランドゥリ,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ワイコール,リーラダー ムリダー
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-534410(JP,A)
【文献】高田則幸,PHARM STAGE,Vol.6, No.10,2007年,p.20-25
【文献】C.G.WERMUTH編,最新 創薬化学 下巻,p.347-365,株式会社 テクノミック,1999年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 417/12
A61P 35/00
A61K 31/454
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含
み、かつ6.3±0.2°2θ、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される2つ以上のピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形。
【請求項2】
前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、請求項1
に記載の結晶形。
【請求項3】
前記結晶形が形態Aである、請求項1
または2のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項4】
前記形態Aが、実質的に相純粋である、請求項
3に記載の結晶形。
【請求項5】
1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含
み、かつ6.3±0.2°2θ、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される2つ以上のピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項6】
前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、請求項
5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記結晶形が形態Aである、請求項
5または6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの少なくとも1つの他の固体形態をさらに含む、請求項
5~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの一塩酸塩をさらに含む、請求項
5~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドまたはその薬学的に許容できる塩の非晶形をさらに含む、請求項
5~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記非晶形が、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの塩酸塩である、請求項
10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記形態Aが、実質的に相純粋である、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項13】
多形性膠芽腫を治療するための医薬組成物であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含
み、かつ7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される2つ以上のピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を含む、医薬組成物。
【請求項14】
前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記結晶形が形態Aである、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
乳癌を治療するための医薬組成物であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含
み、かつ7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される2つ以上のピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を含む、医薬組成物。
【請求項17】
前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記結晶形が形態Aである、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
膵臓癌を治療するための医薬組成物であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含
み、かつ7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される2つ以上のピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を含む、医薬組成物。
【請求項20】
前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、請求項
19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記結晶形が形態Aである、請求項
19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含
み、かつ6.3±0.2°2θ、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、17.9±0.2°2θおよび19.0±0.2°2θから選択される2つ以上のピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形の、医薬品の製造における使用。
【請求項23】
医薬組成物を製造する方法であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含
み、かつ6.3±0.2°2θ、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、17.9±0.2°2θおよび19.0±0.2°2θから選択される2つ以上のピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤と接触させることを含む方法。
【請求項24】
前記形態Aが、実質的に相純粋である、請求項
15、18または21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年10月14日に出願された米国仮特許出願第62/408,358号に対する優先権および利益を主張するものであり、この仮特許出願の全内容は、全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般に、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形に関する。本開示はまた、一般に、この結晶形を含む医薬組成物、ならびに特定の癌の治療にこの結晶形を使用する方法、およびこのような結晶形を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドは、最初に、2007年4月18日に出願された国際公開第2007/121484号パンフレット(これは、全体が参照により援用される)に開示されており、式I:
【化1】
の構造を有するCSF-1Rキナーゼ阻害剤である。
【0004】
式Iの化合物は、線維芽細胞、内皮細胞およびマクロファージなどの非腫瘍細胞の活性化に関連する様々な病状の治療に有用である。したがって、式Iの化合物は、例えば、多形性膠芽腫、乳癌、膵臓癌および他の固形腫瘍を含む特定の癌の治療に有用である。
【0005】
特定の薬剤の医薬品有効成分(API)の固体形態は、多くの場合、薬剤の調製しやすさ、吸湿性、安定性、溶解性、貯蔵安定性、配合しやすさ、胃腸液への溶解速度および生体内バイオアベイラビリティの重要な決定要素であることが周知である。同じ組成物が異なる格子配列で結晶化する場合、結晶形が発生して、特定の結晶形に固有の様々な熱力学的特性および安定性が得られる。結晶形は、同じ化合物の様々な水和物または溶媒和物も含み得る。どの形態が好ましいか決定する際、形態の多くの特性が比較され、好ましい形態が、多くの物理的特性の変数に基づいて決定される。調製しやすさ、安定性などの特定の面が重要であると見なされるある状況では、ある形態が好ましいことがあることが全く可能である。他の状況では、より速い溶解速度および/またはより優れたバイオアベイラビリティのために、異なる形態が好ましいことがある。特定の化合物または化合物の塩が、多形を形成するかどうか、任意のこのような多形が、治療用組成物における商業的利用に好適であるかどうか、またはどの多形が、このような望ましい特性を示すかを予測することは、まだ可能でない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミド塩酸塩の結晶形を提供する。ある実施形態において、塩酸塩は、水をさらに含む(本明細書において水和物と呼ばれる)。これらの結晶形の実施形態は、本明細書において形態Aおよび形態Bと示される形態を含む。特定の形態を特定するために本明細書において使用される名称、例えば「形態A」などは、類似または同一の物理的および化学的特性を有する任意の他の物質に対して限定的であると考えられるべきではなく、これらの名称が、同様に本明細書に示される特性評価情報にしたがって解釈されるべきである識別子に過ぎないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】X軸における2θ(2シータ)度およびY軸における相対強度を示す、本明細書において形態Aと示される、式Iの化合物の二塩酸塩(HCl)一水和物塩についての例示的なXRPDスペクトルを提供する。
【
図2】X軸における2θ(2シータ)度およびY軸における相対強度を示す、本明細書において形態Bと示される、式Iの化合物の一塩酸塩(HCl)についての例示的なXRPDスペクトルを提供する。
【
図3】本明細書において形態Aと示される、式Iの化合物の二塩酸塩(HCl)一水和物塩についての例示的なTG/DTA(熱重量分析および示差熱分析)トレースを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
形態AおよびBのそれぞれについてのXRPDピークのより詳細なリストが、以下の表1および2に記載され、表において、%相対強度(I/I0×100)も提供される。X線粉末回折スペクトルまたはパターンにおいて、例えば、機器のばらつき(機器の間の差異を含む)の結果として、2θ度(°2θ)で測定される値の固有の変動があることが理解されるべきである。したがって、XRPDピーク測定において最大で±0.2°2θの変動があることが理解されるべきであり、さらにこのようなピーク値が、本明細書に記載される結晶性材料の特定の固体形態を示すことがさらに考えられる。相対強度および含水量などの、XRPD実験およびカール・フィッシャー分析からの他の測定値が、例えば、試料調製および/または貯蔵および/または環境条件の結果として変動し得ることも理解されるべきであり、さらに、測定値は、本明細書に記載される結晶性材料の特定の固体形態を示すことがさらに考えられる。
【0009】
本開示は、本明細書において記載され、特徴付けられる、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミド(式Iの化合物)の様々な塩酸塩の結晶形に関する。
【0010】
一実施形態において、本開示は、12.1±0.2°2θにおける、°2θに関する代表的ピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形(形態A)を提供する。別の実施形態において、XRPDパターンは、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される1つ以上のさらなる代表的ピークをさらに含む。別の実施形態において、XRPDパターンは、6.3±0.2°2θ、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、17.9±0.2°2θおよび19.0±0.2°2θから選択される1つ以上のさらなる代表的ピークをさらに含む。したがって、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形についてのXRPDパターンは、1つ、2つ、3つ、または4つの代表的ピークを含み得る。別の実施形態において、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形は、8.9±0.2°2θ、21.2±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のさらなる代表的ピークをさらに含み得るXRPDパターンを有する。したがって、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形についてのXRPDパターンは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの代表的ピークを含み得る。さらに別の実施形態において、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形は、
図1に実質的に示されるXRPDパターンを有する。形態Aの含水量が、約3.2%~約4.0%の範囲であり得ることが理解されるべきであり、上述される1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの代表的ピークを含むXRPDパターンを含む一水和物であることがさらに考えられる。形態Aについての理論的含水量は、3.68%である。
【0011】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形は、熱的に特徴付けられ得る。一実施形態において、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形は、約156.6℃から開始する吸熱を含む示差熱重量分析プロファイルを有する。別の実施形態において、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形は、
図3に実質的に示されるTG/DTAプロファイルを有する。水和形態が、機器パラメータに応じて(ピーク形状およびプロファイルに関して)異なるサーモグラムを生じることがあり、したがって、データが2つの異なる機器において生成される場合、同じ材料が、互いに実質的に異なって見えるサーモグラムを有し得ることが理解されるべきである。
【0012】
別の実施形態において、本開示は、14.4±0.2°2θにおける、°2θに関する代表的ピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの一塩酸塩の結晶形(形態B)を提供する。別の実施形態において、XRPDパターンは、6.4±0.2°2θ、12.4±0.2°2θ、および15.0±0.2°2θから選択される1つ以上のさらなる代表的ピークをさらに含む。したがって、式Iの化合物の一塩酸塩の結晶形についてのXRPDパターンは、1つ、2つ、3つ、または4つの代表的ピークを含み得る。別の実施形態において、式Iの化合物の一塩酸塩の結晶形は、18.0±0.2°2θおよび21.2±0.2°2θから選択される1つ以上のさらなる代表的ピークをさらに含み得るXRPDパターンを有する。したがって、式Iの化合物の一塩酸塩の結晶形についてのXRPDパターンは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの代表的ピークを含み得る。さらに別の実施形態において、式Iの化合物の一塩酸塩の結晶形は、
図2に実質的に示されるXRPDパターンを有する。
【0013】
本明細書において使用される際、「約」および「実質的に」という用語は、吸熱、発熱、ベースラインシフトなどの特徴に関して、それらの値が±2℃変動し得ることを示す。示差走査熱量測定(DSC)の場合、観察される温度の変動は、温度変化の速度ならびに試料調製技術および用いられる特定の機器に応じて決まる。したがって、TG/DTAサーモグラムに関して本明細書に報告される吸熱/融点値は、±4℃変動し得る(また、参照される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの特定の結晶形に特有であるとさらに考えられる)。例えば、重量パーセント(重量%)などの、他の特徴に関して使用される場合、「約」という用語は、±5%の変動を示す。
【0014】
本明細書において使用される際、「多形」は、同じ化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子、および/またはイオンの異なる空間的配置を有する結晶形を指す。
【0015】
本明細書において使用される際、「溶媒和物」は、結晶格子構造に組み込まれる1つまたは複数の溶媒の分子をさらに含む、分子、原子、および/またはイオンの結晶形を指す。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的配列および/または無秩序な配列で存在し得る。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒分子を含み得る。例えば、非化学量論量の溶媒分子を含む溶媒和物は、溶媒和物からの溶媒の部分的な喪失から生じ得る。あるいは、溶媒和物は、2つ以上の分子を含む二量体もしくはオリゴマーとして、または結晶格子構造内に存在し得る。
【0016】
本明細書において使用される際、「非晶質」は、結晶性でない分子、原子、および/またはイオンの固体形態を指す。非晶質固体は、明確なX線回折パターンを示さない。
【0017】
本明細書において使用される際、式Iの化合物の任意の結晶形に関して使用される場合の「実質的に相純粋な」は、無水基準で化合物の重量を基準にして、約90重量%超(約90、91、92、93、94、95、96、97、98、および約99重量%超を含み、約100重量%も含む)の式Iの化合物の相純度を有する化合物を意味する。本明細書における「相純粋」または「相純度」という用語は、式Iの化合物の特定の固体形態に関する相均一性を指し、その効果に対する明確な記載がない場合、必ずしも高度の化学的純度を意味しない。特定の実施形態において、特定の多形体に関する「実質的に相純粋な」という用語は、多形体が、10%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、3%未満、最も好ましくは、1重量%未満の、化合物の任意の他の物理的形態を含むことを意味する。例えば、「実質的に相純粋な形態A」は、10重量%未満の式(I)の化合物の任意の他の物理的形態(非晶形および形態Bなど)を指す。相純度は、当該技術分野において公知の方法にしたがって、例えば、当該技術分野において公知の1つ以上の手法を用いて定量的相分析を行うためにXRPDを用いて、例えば、外部標準法、特定のスペクトルにおける異なる相に起因する線形(ピーク)特性の直接比較によって、または内部標準法によって決定され得る。しかしながら、相純度のXRPD定量化は、非晶質材料の存在によって複雑化され得る。したがって、相純度を決定するのに有用であり得る他の方法としては、例えば、固体NMR分光法、ラマンおよび/または赤外分光法が挙げられる。
【0018】
本明細書において使用される際、式Iの化合物の任意の結晶形に関して使用される場合の「実質的に化学的に純粋な」は、(無水基準で)塩の重量を基準にして、約90重量%超(約90、91、92、93、94、95、96、97、98、および約99重量%超を含み、約100重量%も含む)の式Iの化合物の化学的純度を有する化合物を意味する。残りの材料は、一般に、例えば、式Iの化合物の他の立体異性体、反応不純物、出発材料、試薬、副生成物、および/または特定の結晶形の調製および/または単離および/または精製から生じる他の処理不純物などの他の化合物を含む。例えば、式Iの化合物の結晶形は、当該技術分野において公知の標準的でかつ一般に認められている方法によって測定した際に、約90重量%を超える化学的純度を有することが決定された場合、実質的に化学的に純粋であると見なされてもよく、ここで、残りの約10重量%未満が、式Iの化合物の他の立体異性体、反応不純物、出発材料、試薬、副生成物、および/または処理不純物などの他の材料を構成する。化学的純度は、当該技術分野において公知の方法、例えば、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、LC-MS(液体クロマトグラフィー-質量分析法)、核磁気共鳴(NMR)分光法、または赤外分光法にしたがって決定され得る。
【0019】
本明細書に開示される化合物の「治療有効量」という用語は、対象における生物学的または医学的応答、例えば、酵素またはタンパク質活性の低下または阻害を引き起こし、または症状を改善し、病態を軽減し、または疾患の進行を減速するかもしくは遅らせるなどの化合物の量を指す。非限定的な一実施形態において、「治療有効量」という用語は、対象に投与される場合、(1)(i)CSF-1Rによって媒介されるか、もしくは(ii)CSF-1R活性に関連するか、もしくは(iii)CSF-1Rの(正常もしくは異常な)活性によって特徴付けられる病態、または障害もしくは疾患を少なくとも部分的に軽減する、阻害する、および/または改善し;または(2)CSF-1Rの活性を低下させるかもしくは阻害し;または(3)CSF-1Rの発現を低下させるかもしくは阻害するのに有効である化合物の量を指す。非限定的な別の実施形態において、「治療有効量」という用語は、細胞、または組織、または非細胞生体物質、または媒体に投与される場合、CSF-1Rの活性を少なくとも部分的に低下させるかもしくは阻害し;またはCSF-1Rの発現を少なくとも部分的に低下させるかもしくは阻害するのに有効な化合物の量を指す。
【0020】
本明細書において使用される際、「阻害する」、「阻害」または「阻害すること」という用語は、所与の病態、症状、もしくは障害、もしくは疾患の軽減もしくは抑制、または生物学的活性もしくは過程のベースライン活性の有意な低下を指す。
【0021】
本明細書において使用される際、任意の疾患または障害を「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語は、一実施形態において、疾患または障害を改善すること(すなわち、疾患もしくは障害またはそれらの臨床症状の少なくとも1つの発生を遅らせるかまたは停止させるかまたは減少させること)を指す。別の実施形態において、「治療する」、「治療すること」または「治療」は、患者によって認識できないことがあるものを含む疾患または病態に関連する少なくとも1つの物理的パラメータを軽減または改善することを指す。さらに別の実施形態において、「治療する」、「治療すること」または「治療」は、物理的に、(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に、(例えば、物理的パラメータの安定化)、またはその両方のいずれかで、疾患または障害を調節することを指す。さらに別の実施形態において、「治療する」、「治療すること」または「治療」は、疾患または障害の開始または発生または進行を遅らせることを指す。
【0022】
本明細書に記載される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形は、例えば乳癌(より具体的には、トリプルネガティブ乳癌)、膵臓癌および脳腫瘍(例えば、神経膠腫および多形性膠芽腫など)を含む様々な癌の治療に有用である。ある実施形態において、本明細書に記載される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形は、単一の薬剤として、または治療される疾患または病態のための周知の標準治療(SOC)法と組み合わせて使用される。他の実施形態において、本明細書に記載される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形は、例えば、外科手術または放射線治療などの他の治療法と組み合わせて使用され得る。
【0023】
ある実施形態において、本明細書に記載される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形は、単独で使用可能であり、またはそれらは、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤も含有し、多くの場合、少なくとも2つ以上の薬学的に許容できる賦形剤を含有する医薬組成物へと製剤化され得る。いくつかの好適な賦形剤が、本明細書に開示される。本出願の趣旨および範囲から逸脱せずに、当該技術分野において公知の他の賦形剤が使用され得る。
【0024】
ある実施形態において、本発明は、本発明の結晶形および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物を用いる。医薬組成物は、経口投与、非経口投与、および直腸投与などの特定の投与経路向けに製剤化され得る。さらに、本発明の医薬組成物は、固体形態(限定はされないが、カプセル剤、錠剤、丸薬、粒剤、粉末剤または坐薬を含む)、または液体形態(限定はされないが、溶液、懸濁液またはエマルジョンを含む)で構成され得る。医薬組成物は、滅菌などの従来の製薬作業に供され得、および/または従来の不活性希釈剤、滑沢剤、担体または緩衝剤、ならびに溶媒、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤および増量剤などの補助剤を含有し得る。
【0025】
典型的に、医薬組成物は、
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウム塩またはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはさらに、
c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、でんぷんペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;必要に応じて;
d)カプチゾル(captisol)、PEG、グリセリン、シクロデキストリンなどの共溶媒和(co-solvating)材料を含有する水性ビヒクルなどの担体;
e)崩壊剤、例えば、でんぷん、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡剤混合物;および/または
f)吸収剤、着色剤、香味料および甘味料
などの少なくとも1つの賦形剤と一緒に有効成分を含む錠剤またはカプセル剤である。
【0026】
錠剤は、当該技術分野において公知の方法にしたがって、フィルムコーティングまたは腸溶コーティングされ得る。
【0027】
好ましくは、化合物または組成物は、錠剤またはカプセル剤など、経口投与向けに調製され、例えば、任意選択的に、医薬品の単位用量を貯蔵および/または分配するのに好適な複数回投与形式で包装される。好適な包装の例としては、限定はされないが、密閉箔、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップ包装が挙げられる。
【0028】
錠剤は、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容できる賦形剤との混合物中で有効成分を含有し得る。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシでんぷん、またはアルギン酸;結合剤、例えば、でんぷん、ゼラチンまたはアカシア;および滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、コーティングされていないか、または消化管中での崩壊および吸収を遅らせ、それによって、より長い期間にわたって持続される作用を提供するために、公知の技術によってコーティングされる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が用いられ得る。経口使用のための製剤は、硬ゼラチンカプセル剤(ここで、有効成分は、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される)として、または軟ゼラチンカプセル剤(ここで、有効成分は、水または油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合される)として示され得る。
【0029】
ある実施形態において、式(I)の化合物の結晶形の治療有効量は、約150mg/日~約2000mg/日である。特定の実施形態において、有効量は、約150mg/日~約300mg/日である。投与量は、1日に1~4回投与され得、またはそれは、隔日でまたは投与間を複数日空けて投与され得る。好ましい実施形態において、投与量は、約1000mg/日であり、1日に1回または2回経口投与される。
【0030】
特に規定されない限り、本開示の特定の化合物(例えば、式(I)の化合物)またはその結晶形について本明細書において言及される重量または投与量は、化合物の塩または溶媒和物の重量または投与量(これは、意図される治療効果を得るには異なり得る)ではなく、化合物自体の重量または投与量である。例えば、本明細書に開示される方法、組成物、または組合せに好適な化合物の対応する塩の重量は、塩および化合物自体の分子量の比率に基づいて計算され得る。
【0031】
本明細書に記載される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形は、医薬品有効成分(API)ならびに1つ以上の薬学的に許容できる賦形剤を組み込み、ヒト対象への投与に好適な製剤を調製するための材料としても有用である。ある実施形態において、これらの製剤は、例えば、錠剤および/またはカプセル剤などの固体経口剤形などの医薬品である。これらの製剤の調製において、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶形が、任意の十分な量で検出できない場合があり得る。それは、APIの結晶性が喪失され、したがって最終的な医薬品中に存在しないように、APIの溶解を促進するのに十分な量の、例えば、水などの溶媒の存在下で、結晶性APIが、1つ以上の薬学的に許容できる賦形剤と接触される場合である。
【0032】
本明細書において使用される際、「薬学的に許容できる賦形剤」という用語は、当業者に公知であるように(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照)、あらゆる溶媒、担体、希釈剤、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存料(例えば、抗菌剤、抗真菌剤、酸化防止剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬剤安定剤、結合剤、添加剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、着香剤、染料などおよびそれらの組合せを含む。従来の賦形剤が有効成分と適合しない場合を除いて、任意の治療用または医薬組成物における任意の従来の賦形剤の使用が、本出願によって想定されることが理解されるべきである。
【0033】
したがって、本開示の一実施形態において、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形(形態A)は、実質的に相純粋な形態で提供される。実質的に相純粋な形態の4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩のこの結晶形(形態A)は、1つ以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含み得る医薬組成物を調製するのに使用され得る。ある実施形態において、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩は、医薬組成物中でその結晶性を保持しないことがある。例えば、ある実施形態において、結晶形Aは、例えば、噴霧乾燥または湿式造粒を含み;したがって、結晶形Aが、得られる医薬組成物中でほとんどないし全く検出されないことが予測される、医薬組成物を調製するための方法において使用され得る。本明細書において使用される際の「接触」という用語は、本明細書に記載される式Iの化合物の結晶形を組み合わせる方法を明らかに含むことが理解されるべきであり、ここで、APIの結晶性が、維持されるか、またはAPIの結晶性が、医薬組成物もしくは医薬品を調製する方法の結果として喪失される。
【0034】
一実施形態において、形態Bと一緒に結晶形Aを含む組成物が提供される。別の実施形態において、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの非晶形と一緒に結晶形Aを含む組成物が提供される。ある実施形態において、非晶形は、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの非塩(遊離塩基)である。
【0035】
4-(2-((1R、2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶性二塩酸塩一水和物塩(形態A)は、主に結晶性材料として存在する。形態Aは、吸湿性であり、25℃で約10.79%の最大吸水量および最大で95%の相対湿度(RH))を有する。一般に、形態Aは、湿気に曝すことで相変化をほとんど示さない。形態Aは、中性pHで非常に低い水溶解度(約0.006mg/mL)を有するが、それは、低いpHで高い水溶解度(約>20mg/mL)を有する。
【0036】
二塩酸塩の5つの水和形態が特定され、これは、本明細書に記載される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの結晶性二塩酸塩一水和物塩(形態A)を含んでいた。特定された異なる水和物の中でも、結晶形Aが、周囲条件で他の4つの水和形態と比較してより熱力学的に安定した水和物である。さらに、形態Aは、特定された他の水和形態と比較して、より良好な物理的および化学的安定性特性を有することが示された。特に、形態Aは、周囲相対湿度で、80℃で1週間にわたって曝された場合、バルクで物理的におよび化学的に安定していることが示された。具体的には、結晶形A薬剤原料の分析は、これらの条件下で、形態A材料の1%未満の分解があることが示された。形態Aはまた、周囲相対湿度で、50℃で、ならびに75%の相対湿度で、50℃で、1~2週間にわたってバルクで物理的におよび化学的に安定していることが分かった。具体的には、結晶形A薬剤原料の分析は、両方の組の条件下で形態A材料の1%未満の分解があることを示した。
【0037】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩の他の溶媒和形態、すなわち、エタノール溶媒和物ならびに2-プロパノール溶媒和物も特定された。
【0038】
二塩酸塩一水和物塩(形態A)の固有の溶解速度が、pH4.5で一塩酸塩(形態B)の固有の溶解速度より約150倍高いことも分かった。
【0039】
結晶形は、例えば、好適な溶媒からの結晶化もしくは再結晶化、昇華、融解からの成長、別の相から固体への変換、超臨界流体からの結晶化、およびジェット噴霧を含む様々な方法によって調製され得る。溶媒混合物からの結晶形の結晶化または再結晶化のための技術としては、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子および/または塩の過飽和溶媒混合物の結晶シーディング(crystal seeding)、溶媒混合物の凍結乾燥、および溶媒混合物への貧溶媒(逆溶媒(countersolvent))の添加が挙げられる。本明細書に記載される結晶形を調製する例示的な方法が、以下に詳細に記載されている。
【0040】
多形を含む薬剤の結晶、調製方法、および薬剤結晶の特性評価が、Solid-State Chemistry of Drugs,S.R.Byrn,R.R.Pfeiffer,and J.G.Stowell,2nd Edition,SSCI,West Lafayette,Indiana(1999)に記載されている。
【0041】
溶媒を用いる結晶化技術では、1つまたは複数の溶媒の選択は、典型的に、1つ以上の要因、化合物の溶解性、結晶化技術、および溶媒の蒸気圧に応じて決まる。溶媒の組合せが用いられてもよく、例えば、化合物は、第1の溶媒に可溶化されて、溶液を得た後、貧溶媒を加えて、溶液への化合物の溶解性を低下させ、結晶が形成され得る。貧溶媒は、化合物が低い溶解性を有する溶媒である。
【0042】
結晶を調製するための一方法において、化合物は、好適な溶媒中で懸濁および/または撹拌されて、スラリーが得られ、これは、溶解を促進するために加熱され得る。本明細書において使用される際の「スラリー」という用語は、化合物の飽和溶液を意味し、これは、さらなる量の化合物も含有して、所与の温度で化合物および溶媒の不均一な混合物が得られる。これは、懸濁液とも呼ばれ得る。
【0043】
結晶化を促進するために、種晶が、任意の結晶化混合物に加えられ得る。シーディングを用いて、特定の多形の成長を制御し、または結晶性生成物の粒度分布を制御し得る。したがって、必要とされる種晶の量の計算は、例えば、“Programmed Cooling of Batch Crystallizers”,J.W.Mullin and J.Nyvlt,Chemical Engineering Science,1971,26,369-377に記載されているように、入手可能な種晶のサイズおよび平均的な生成物粒子の所望のサイズに応じて決まる。一般に、小さいサイズの種晶が、バッチにおける結晶の成長を効果的に制御するのに必要とされる。小さいサイズの種晶は、大きい結晶のふるい分け、粉砕、もしくは微粉化、または溶液の微結晶化によって生成され得る。結晶の粉砕または微粉化が、所望の結晶形からの結晶性のいかなる変化(すなわち、非晶質または別の多形への変化)も生じないことが留意されるべきである。
【0044】
冷却された結晶化混合物は、減圧下でろ過されてもよく、単離された固体が、低温の再結晶化溶媒などの好適な溶媒で洗浄され、窒素パージ下で乾燥されて、所望の結晶形が得られる。単離された固体は、生成物の好ましい結晶形の形成を確実にするために、固体核磁気共鳴、示差走査熱量測定、X線粉末回折などの好適な分光または分析技術によって分析され得る。得られた結晶形は、典型的に、結晶化手順において最初に用いられる化合物の重量を基準にして、約70重量%を超える量の単離収率、好ましくは、90重量%を超える単離収率で生成される。必要に応じて、生成物の塊を粉砕するために、生成物は、同時粉砕されるかまたはメッシュスクリーンに通され得る。
【0045】
あるいは、結晶形は、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドを調製するための最終プロセスの反応媒体から直接調製され得る。これは、例えば、最終プロセス工程において、溶媒または溶媒の混合物を用いることによって行うことができ、それらから、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの塩酸塩が結晶化され得る。さらに、結晶形は、蒸留または溶媒添加技術によって得られる。
【0046】
以下に簡単に説明される方法に加えて、様々な分析方法が、本明細書に記載される材料のいずれかの特性評価に使用され得ることが理解されるべきである。
【0047】
本開示の異なる態様において、結晶形Aは、約22℃の温度で測定される、12.1±0.2°2θにおける、°2θに関する代表的ピークを含む2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含むX線粉末回折パターン(XRPD)によって特徴付けられ得る。別の実施形態において、XRPDパターンは、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される1つ以上のさらなる代表的ピークをさらに含む。したがって、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形についてのXRPDパターンは、1つ、2つ、3つ、または4つの代表的ピークを含み得る。別の実施形態において、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形は、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のさらなる代表的ピークをさらに含み得るXRPDパターンを有する。したがって、式Iの化合物の二塩酸塩一水和物塩の結晶形についてのXRPDパターンは、約22℃の温度および1.5418ÅのX線波長、λで測定される、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの代表的ピークを含み得る。具体的には、一実施形態において、結晶形Aは、約22℃の温度で測定される、12.1±0.2°2θ(CuKα λ=1.5418Å)におけるピークならびに7.3±0.2°2θ、8.9±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、17.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0048】
特に示されない限り、「a」および「an」という用語は、「1つ」、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味することが理解される。文脈上別段の解釈が必要でない限り、本明細書において使用される単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数を含むものとする。明確にするために、本明細書全体を通して引用されるいずれの特許、特許出願、および参照文献の内容も、全体が参照により本明細書に援用される。
【0049】
以下の非限定的な実施例は、本開示の例示である。
【実施例】
【0050】
本明細書に記載される4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの様々な結晶形を、以下のように調製した。これらの実施例は例示的なものであり、これらの材料は、本明細書に記載される他の方法にしたがって、または当該技術分野において公知の方法によって調製され得ることが理解されるべきである。
【0051】
(形態A)4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩
60~65℃でTHF中の4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミド遊離塩基の透明な溶液に、H2O中6NのHCl(3.0当量)を加えた。反応混合物を、60~65℃で約6時間撹拌した。得られた固体をろ過し、新鮮なTHFで洗浄し、乾燥させて、結晶形Aを得た。
【0052】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩のエタノール溶媒和物
約10mgの、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩を、約24時間にわたって25℃で、ニートエタノール中で撹拌した。次に、懸濁液をろ過し、得られた固体を空気乾燥させた。回収された材料のXRPD分析は、高結晶質のエタノール溶媒和物が形成されたことを示した。
【0053】
約10mgの、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩を、約24時間にわたって25℃で、水溶液中94%のエタノール中で撹拌した。次に、懸濁液をろ過し、得られた固体を空気乾燥させた。回収された材料のXRPD分析は、ニートエタノールとの平衡化によって生成された同じエタノール溶媒和物の存在を示した。
【0054】
4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩の2-プロパノール溶媒和物
2-プロパノール中の4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩の透明な溶液に、HCl溶液(過剰)を加えた。得られた溶液を、周囲温度で蒸発させた。得られた固体を回収し、XRPDによって分析した。
【0055】
(形態B)4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの一塩酸塩
55~60℃でイソプロピルアルコール(IPA)中の4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミド遊離塩基の懸濁液に、IPA中のHCl(1.1~1.2当量)を加えた。得られた溶液を撹拌させ、その後、溶液を酢酸イソプロピルで希釈し、濃縮し、固体を単離し、XRPDによって分析した。
【0056】
粉末X線回折
X線粉末回折(XRPD)データを、Bruker GADDS(General Area Detector Diffraction System)マニュアルカイプラットフォームゴニオメータ(manual chi platform goniometer)を用いて得た。粉末試料を、2つのKapton箔の間で調製した。試料-検出器の距離は、17cmであった。放射線は、Cu Kα(λ=1.5418Å)であった。データを、少なくとも300秒の試料暴露時間で、3<2θ<40°について収集した。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
熱分析
結晶形Aを、熱重量分析(TG)および示差熱分析(DTA)(Seiko TG/DTA)を用いて分析した。セル/試料室を、100ml/分の超高純度の窒素ガスでパージした。機器を、高純度のインジウムで校正した。加熱速度は、10度/分の走査速度で、25~295℃の温度範囲で10℃/分であった。試料重量によって正規化された熱流量を、測定された試料温度に対してプロットした。TGデータは、%重量減少およびエネルギー(マイクロVolt(uV))を示す。下向きの吸熱ピークでプロットを行った。吸熱融解ピーク(融点)を、外挿した開始温度について評価した。結晶形Aを用いて生成される例示的なTG/DTAトレースが、
図3に示される。
【0062】
本発明およびその実施形態が、詳細に説明されてきた。しかしながら、本発明の範囲は、本明細書に記載されるいずれかのプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、および/または工程の特定の実施形態に限定されることは意図されていない。様々な変更、置き換え、および変形が、本発明の趣旨および/または本質的特徴から逸脱せずに、開示される材料に対して行われ得る。したがって、当業者は、本明細書に記載される実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、または実質的に同じ結果を得る、その後の変更、置き換え、および/または変形が、本発明のこのような関連する実施形態にしたがって用いられ得ることを、本開示から容易に理解するであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、それらの範囲内に、本明細書に開示されるプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、および/または工程に対する変更、置き換え、および変形を包含することが意図される。特許請求の範囲は、その効果に対する記載がない限り、記載される順序または要素に限定されるものと読まれるべきではない。形態および詳細の様々な変形が、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに行われ得ることが理解されるべきである。
以下の態様を包含し得る。
[1] 1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形。
[2] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、6.3±0.2°2θ、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[1]に記載の結晶形。
[3] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[1]または[2]に記載の結晶形。
[4] 前記結晶形が形態Aである、上記[1]、[2]または[3]のいずれか一項に記載の結晶形。
[5] 前記形態Aが、実質的に相純粋である、上記[4]に記載の結晶形。
[6] 1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物。
[7] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、6.3±0.2°2θ、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[6]に記載の医薬組成物。
[8] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[6]または[7]に記載の医薬組成物。
[9] 前記結晶形が形態Aである、上記[6]~[8]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[10] 4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの少なくとも1つの他の固体形態をさらに含む、上記[6]~[9]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[11] 4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの一塩酸塩をさらに含む、上記[6]~[10]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[12] 4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドまたはその薬学的に許容できる塩の非晶形をさらに含む、上記[6]~[10]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[13] 前記非晶形が、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの塩酸塩である、上記[12]に記載の医薬組成物。
[14] 前記形態Aが、実質的に相純粋である、上記[9]に記載の医薬組成物。
[15] 治療の必要性が認識されたヒト対象における多形性膠芽腫を治療する方法であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を治療有効量で前記ヒト対象に投与することを含む方法。
[16] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[15]に記載の方法。
[17] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[15]または上記[16]に記載の方法。
[18] 前記結晶形が形態Aである、上記[15]に記載の方法。
[19] 治療の必要性が認識されたヒト対象における乳癌を治療する方法であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を治療有効量で前記ヒト対象に投与することを含む方法。
[20] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[19]に記載の方法。
[21] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[19]または上記[20]に記載の方法。
[22] 前記結晶形が形態Aである、上記[21]に記載の方法。
[23] 治療の必要性が認識されたヒト対象における膵臓癌を治療する方法であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を治療有効量で前記ヒト対象に投与することを含む方法。
[24] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、7.3±0.2°2θ、10.9±0.2°2θ、および17.9±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[23]に記載の方法。
[25] 前記X線粉末回折パターンが、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、8.9±0.2°2θおよび24.2±0.2°2θから選択される1つ以上のピークを含む、上記[23]または上記[24]に記載の方法。
[26] 前記結晶形が形態Aである、上記[23]に記載の方法。
[27] 1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形の、医薬品の製造における使用。
[28] 医薬組成物を製造する方法であって、1.5418Åの波長および約22℃の温度で、CuKα放射線を用いて測定したとき、12.1±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、4-(2-((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ベンゾチアゾール-6-イルオキシ)-N-メチルピコリンアミドの二塩酸塩一水和物塩の結晶形を、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤と接触させることを含む方法。
[29] 前記形態Aが、実質的に相純粋である、上記[18]、[22]または[26]のいずれか一項に記載の方法。