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特許7068293非フッ素化洗浄性添加剤を組み込んだコーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】非フッ素化洗浄性添加剤を組み込んだコーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20220509BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20220509BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20220509BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20220509BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20220509BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20220509BHJP
   C09D 123/00 20060101ALI20220509BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20220509BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D133/00
C09D167/00
C09D7/65
C09K3/18 101
C09D163/00
C09D123/00
C09D175/04
B05D7/24 303A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019522700
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2017059221
(87)【国際公開番号】W WO2018085238
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/415,549
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド オロンデ ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】テス クロセット
(72)【発明者】
【氏名】エワ クーラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン クリストファー スウォーレン
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第01511652(GB,A)
【文献】特開2005-336388(JP,A)
【文献】特開2016-020413(JP,A)
【文献】特開2015-168729(JP,A)
【文献】特表2007-508407(JP,A)
【文献】特開2008-285528(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106283697(CN,A)
【文献】特開2001-302978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D,C09K,B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングベースと、コーティングの総固形分重量を基準にして、0.1~10重量%の添加剤化合物とを含むコーティング組成物であって、
前記添加剤化合物が、
(a)ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、
(b)シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、
(c)加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩であって、前記α-オレフィンが、環状構造を含む、直鎖若しくは分枝鎖C 2 ~C 22 アルケンであり、および
(d)ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤、
の(a)~(d)のうちの少なくとも2つを含み、
前記(a)が、少なくとも10,000Daの分子量M n を有し、
前記(b)が、式(I)又は(II)のシリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、又はそれらの混合物から選択され
【化1】
(式中、
1 、R 2 、及びR 3 は、独立して、C 1 ~C 8 アルキル基であり、
Xは、直鎖又は分枝鎖C 1 ~C 4 アルキレン基であり、
4 は、独立して、H又は-C(O)-Y-C(O)O - + であり、
Yは、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和C 1 ~C 5 アルキレン基であり、
Mは、独立して、H、アルカリ金属、NH 4 + 、ジアルキルアンモニウムカチオン、又はアミンカチオンであり、
a及びbは、独立して、1~40の整数であるが、a+bは少なくとも2の整数であり、
c及びdは独立して、0~20の整数であるが、c+dは少なくとも1の整数であり、
5 は、H、C 1 ~C 5 アルキル基、又は-C(O)-Y-C(O)O - + であり、
eは、1~40の整数である)、
前記コーティングベースは建築用塗料、建築用着色剤、又は建築用透明コーティングである、コーティング組成物。
【請求項2】
前記添加剤化合物が、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記添加剤化合物が、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアミン塩、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記添加剤化合物が、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記添加剤化合物が、ポリカルボン酸カルシウム封鎖剤又はポリカルボン酸カルシウム封鎖剤の混合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記添加剤化合物が、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、ポリカルボン酸カルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記添加剤化合物が、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、ポリカルボン酸カルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記添加剤化合物が、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、ポリカルボン酸カルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記添加剤化合物が、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項5に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
疎水性表面効果剤を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記疎水性表面効果剤が、環状又は非環状ポリオールの脂肪酸エステル、ポリカルボン酸の脂肪酸エステル、疎水性非フッ素化カチオン性アクリルポリマー、疎水性非フッ素化アニオン性アクリルポリマー、疎水性非フッ素化非イオン性アクリルポリマー、部分フッ素化ウレタン、疎水性非フッ素化ウレタン、カチオン性部分フッ素化アクリルポリマー若しくはコポリマー、非イオン性部分フッ素化アクリルポリマー若しくはコポリマー、部分フッ素化アクリルアミドポリマー若しくはコポリマー、フッ素化若しくは非フッ素化フォスフェート、フッ素化エトキシレート、フッ素化若しくは非フッ素化オルガノシラン、シリコーン、ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記コーティング組成物の総固形分重量を基準にして、0.2~5重量%の前記添加剤化合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記コーティングベースが、室内塗料、室外塗料、建築用着色剤、又は建築用透明コーティングの形態の、アクリルポリマー、エポキシポリマー、ビニルポリマー、及びポリウレタンポリマーからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のコーティング組成物でコーティングされた基材を含む物品であって、前記基材が、無釉コンクリート、煉瓦、タイル、花崗岩、石灰岩、大理石、グラウト、モルタル、彫像、モニュメント、木材、複合材料、テラゾ、石膏板、壁若しくは天井パネル、又はそれらの組み合わせである、物品。
【請求項15】
前記コーティングが、少なくとも0.0254mm(0.1ミルの厚さを有する、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
物品に表面効果を付与する方法であって、前記物品の表面をコーティング組成物と接触させることを含み、
前記コーティングが、コーティングベースと、コーティングの総固形分重量を基準にして、0.1~10重量%の添加剤化合物を含み、
前記添加剤化合物が、
(a)ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、
(b)シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、
(c)加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩であって、前記α-オレフィンが、環状構造を含む、直鎖若しくは分枝鎖C 2 ~C 22 アルケンであり、および
(d)ポリカルボン酸カルシウム封鎖剤、
の(a)~(d)のうちの少なくとも2つを含み
前記(a)が、少なくとも10,000Daの分子量M n を有し、
前記(b)が、式(I)又は(II)のシリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、又はそれらの混合物から選択され
【化2】
式中、
1 、R 2 、及びR 3 は、独立して、C 1 ~C 8 アルキル基であり、
Xは、直鎖又は分枝鎖C 1 ~C 4 アルキレン基であり、
4 は、独立して、H又は-C(O)-Y-C(O)O - + であり、
Yは、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和C 1 ~C 5 アルキレン基であり、
Mは、独立して、H、アルカリ金属、NH 4 + 、ジアルキルアンモニウムカチオン、又はアミンカチオンであり、
a及びbは、独立して、1~40の整数であるが、a+bは少なくとも2の整数であり、
c及びdは独立して、0~20の整数であるが、c+dは少なくとも1の整数であり、
5 は、H、C 1 ~C 5 アルキル基、又は-C(O)-Y-C(O)O - + であり、
eは、1~40の整数である)
前記コーティングベースが建築用塗料、建築用着色剤、又は建築用透明コーティングである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
非フッ素化親水性化合物は、各種物品に表面効果を提供するために建築用コーティングに用いられている。
【背景技術】
【0002】
フッ素化ポリマー組成物は、基材に表面効果をもたらすための多種多様な表面処理材料の調製において使用される。多くのこのような組成物は、所望の特性をもたらすための、ペルフルオロアルキル鎖中に主に8個以上の炭素を含有するフッ素化界面活性剤である。Hondaら(Macromolecules,2005,38,5699~5705)は、8個を超える炭素のペルフルオロアルキル鎖では、R基と呼ばれるペルフルオロアルキル基の配向が平行配置に維持される一方で、6個以下の炭素を有する鎖では再配向が起こることを教示している。この再配向は、接触角などの表面特性を低下させると言われている。したがって、短いペルフルオロアルキル鎖を含有するポリマー、又はフッ素を含まない化合物は、これまで、低い性能を示していた。ラテックス塗料を含め、一般的に耐汚染性が悪い塗料の洗浄性を高めるためにフッ素添加剤も使用されてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Hondaら(Macromolecules,2005,38,5699~5705)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
建築用コーティングに表面効果をもたらし、その性能の結果がフッ素化処理剤に匹敵する、非フッ素添加剤化合物の必要性が存在する。本発明は、これらの要求を満たすものである。
【0005】
本発明は、コーティングベースと、コーティングの総固形分重量を基準にして0.1~10重量%の添加剤化合物とを含むコーティング組成物に関し、添加剤化合物は、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つであり、コーティングベースは、建築用塗料、建築用着色剤、又は建築用透明コーティングである。
【0006】
本発明は、物品に表面効果を付与する方法を更に含み、この方法は、物品の表面をコーティング組成物と接触させることを含み、コーティングは、コーティングベースと、コーティングの総固形分重量を基準にして、0.1~10重量%の添加剤化合物とを含み、添加剤化合物は、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、ポリカルボン酸カルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つであり、コーティングベースは、建築用塗料、建築用着色剤、建築用透明コーティングである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、商標は大文字で示す。「発明を実施するための形態」に記載される本発明の実施形態の特徴は、任意の方法で組み合わせることができる。
【0008】
本発明は、撥水性、撥油性、又は耐しみ性(stain repellency)が向上し、洗浄性及び/又はその他の表面効果が向上した、塗料及びコーティングされた物品を提供する。コーティング組成物は、従来の市販の非フッ素化処理剤と比較して性能が向上している。形成されたコーティングは耐性があり、即ち、コーティングは、水や洗浄剤で簡単に除去されない持続性のある膜である。一態様では、コーティングは、乾燥すると水や洗浄剤に不溶であるか又は分散せず、別の態様では、コーティングは、複数回洗浄しても、性能を損なうことなく耐性を保つ。
【0009】
一態様では、本発明は、コーティングベースと、コーティングの総固形分重量を基準にして0.1~10重量%の添加剤化合物とを含むコーティング組成物に関し、添加剤化合物は、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つであり、コーティングベースは、建築用塗料、建築用着色剤、建築用透明コーティングである。
【0010】
塩を形成するために使用されるアルカリ金属は、Li、Na、及びKを含むがこれらに限定されない。用語「アンモニウム化合物」は、アンモニウムカチオンを有する化合物を意味することを意図する。アンモニウム化合物としては、NH 又はジアルキルアンモニウム化合物、例えばジメチルアンモニウム化合物若しくはジエチルアンモニウム化合物が含まれるが、これらに限定されない。塩を形成するために使用されるアミン化合物はカチオンを形成する化合物であり、アミノ酸又はアミノアルカノールを含むがこれらに限定されない。用語「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマー単位を有するポリマー化合物を意味することを意図する。用語は、4つ以上の異なるモノマー単位を有するターポリマー及びポリマーを含む。
【0011】
本発明で使用する場合、用語「コーティングベース」とは、基材表面に永続的な膜を作製するために基材に塗布される組成物である。このようなコーティングベースは、建築用塗料、建築用透明コート、及び建築用透明コーティングなどのポリマー樹脂を含む組成物を含む。用語「建築用」は、住宅、甲板、及び工業用建物などの建築物及び建築構造物を保護するために一般的に使用される塗料及びコーティングを説明するために使用される。一態様では、添加剤化合物はコーティングベースのポリマー樹脂と反応しない。一旦塗布されると、コーティングは、少なくとも0.1ミルの厚さの乾燥膜厚を有し得、別の態様では、コーティングは、少なくとも0.3ミルの厚さの乾燥膜厚を有し得、別の態様では、コーティングは、3ミルの厚さの乾燥膜厚を有し得る。系(エポキシ、アクリル、ラテックス、ウレタン、ポリウレタンなど)並びにコーティング(プライマーコート、ボディーコート、及びトップコートを含む)の数に応じて、工業的用途における保護のために最終乾燥膜厚はより大きく、時には30ミル超になる。
【0012】
一態様では、コーティング組成物は、40~99.9重量%のポリマー樹脂を含み、コーティング組成物の全固形分重量を基準にして、0~50重量%の追加成分を含む。ポリマー樹脂は、コーティングベースの一部である。別の態様において、コーティング組成物は、40~99.8重量%のポリマー樹脂を含み、コーティング組成物の全固形分重量を基準にして、0~50重量%の追加成分を含む。コーティング組成物はまた、コーティングが乾燥又は固体になると存在しない液体担体、例えば水又は有機溶媒を含み得る。一態様では、液体担体は水である。コーティング組成物中に存在する追加の成分として、染料又はTiO;などの顔料、界面活性剤、硬化剤、pH調整剤、又は湿潤剤が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0013】
一態様では、添加剤化合物は、a、b、c、又はd:a)ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸コポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアンモニウム化合物塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアミン塩、ポリ(メタ)アクリル酸コポリマーのアンモニウム化合物塩、又はポリ(メタ)アクリル酸コポリマーのアミン塩、b)シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物塩、若しくはシリコーンポリエーテルカルボキシレートのアミン塩、c)加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、d)ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択される。一態様では、添加剤化合物は、a、b、c、又はdのうちの少なくとも2つを含み、つまり、添加剤化合物は、a及びb、a及びc、a及びd、b及びc、b及びd、又はc及びdのそれぞれから少なくとも1つの化合物を含む。一態様では、添加剤化合物は、a、b、c、又はdのうちの少なくとも3つを含み、つまり、添加剤化合物は、a、b、及びc;a、b、及びd;a、c、及びd;又はb、c及びdのそれぞれから少なくとも1つの化合物を含む。一態様では、添加剤化合物は、a、b、c、及びdのそれぞれから少なくとも1つの化合物を含む。一態様では、添加剤化合物の混合物を含む添加剤化合物のpHは、約7~約10.5である。
【0014】
一態様では、添加剤化合物は、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアミン塩、又はそれらの混合物から、少なくとも1つの化合物が選択される。一実施形態では、添加剤化合物又は化合物の混合物は、室温、1重量%で水に可溶性又は分散性である。
【0015】
添加剤化合物が、シリコーンポリエーテル又はシリコーンポリエーテルカルボキシレート塩から選択される場合、それは式(I)のものであり得、
【0016】
【化1】
式中、R、R、及びRは、独立して、C~Cアルキル基であり、Xは、直鎖又は分枝鎖C~Cアルキレン基であり、Rは、独立して、H又は-C(O)-Y-C(O)Oであり、Yは、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和C~Cアルキレン基であり、Mは、独立して、H、アルカリ金属、NH 、ジアルキルアンモニウムカチオン、又はアミンカチオンであり、a及びbは、独立して、1~40の整数であるが、a+bは少なくとも2の整数であり、c及びdは、独立して、0~20の整数であるが、c+dは少なくとも1の整数である。化合物は、シリコーンポリエーテルモノマー単位の組み込みによって顕著な親水性含量を有する。そのようなポリマーは任意で追加の繰り返し単位、例えばC~Cのアルキル基を有するアルキルシロキサン単位を含み得る。一態様において、bは、少なくとも1であり、別の態様では、bは少なくとも2であり、第3の態様では、bは少なくとも3である。一態様では、a+bは、少なくとも2であり、別の態様では、a+bは少なくとも4であり、第3の態様では、a+bは少なくとも6である。一実施形態では、添加剤化合物は、室温、1重量%で水に可溶性又は分散性である。RはHであり、添加剤化合物はシリコーンポリエーテルである。Rは-C(O)-Y-C(O)Oであり、化合物は、ポリカルボキシレートであり、シリコーンポリエーテルスクシネート、シリコーンポリエーテルマロネート、又はシリコーンポリエーテルプロパンテートを含むがこれらに限定されない。一態様では、Yは、1つのオレフィン基を任意に含む直鎖又は分枝鎖C~Cアルキレン基であり、別の態様では、Yは、1つのオレフィン基を任意に含む直鎖又は分枝鎖アルキレンC~Cである。
【0017】
別の態様では、シリコーンポリエーテル添加剤化合物は、式(II)のものであり得、
【0018】
【化2】
式中、Rは、H、C~Cアルキル基、-C(O)-Y-C(O)Oであり、Yは、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和C~Cアルキレン基であり、Mは、独立して、H、アルカリ金属、NH 、ジアルキルアンモニウムカチオン、又はアミンカチオンであり、eは1~40の整数であり、c及びdは、独立して、0~20の整数であり、c+dは少なくとも1の整数である。一態様において、Rは、H又はCHである。化合物は、末端基にアルコキシド単位の組み込みによって、顕著な親水性含量を有する。一態様では、eは少なくとも2であり、別の態様では、eは少なくとも4であり、第3の態様では、eは少なくとも6である。
【0019】
式(I)又は(II)の-(OCHCH)-はオキシエチレン基(oxyethylene groups、EO)を表し、-(OCHCH(CH))-はオキシプロピレン基(oxypropylene groups、PO)を表す。これらの化合物は、EO基のみ、PO基のみ、又はそれらの混合物をランダム又はブロック構成で含むことができる。これらの化合物は、例えば、PEG-PPG-PEG(ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール)と表記されるトリブロックコポリマーとしても存在し得る。一実施形態では、式(I)又は(II)のc+dは、1~30である。別の実施形態では、n+mは2~20であり、第3の実施形態では、n+mは6~16である。
【0020】
一実施形態では、添加剤化合物はポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸コポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアンモニウム化合物塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアミン塩、ポリ(メタ)アクリル酸コポリマーのアンモニウム化合物塩、又はポリ(メタ)アクリル酸コポリマーのアミン塩、又はそれらの混合物の、少なくとも1つの化合物である。用語「(メタ)アクリル」における括弧の使用は、この用語がアクリル及びメタクリル物質の両方を包括することを示す。このような化合物は市販されているか、ポリ(メタ)アクリル酸又はポリ(メタ)アクリル酸コポリマーを中和することによって得ることができる。一態様では、ポリ(メタ)アクリル酸又はコポリマーのMによって測定される、ポリ(メタ)アクリル酸又はコポリマー塩の分子量は、少なくとも2,000Daであり、別の態様では、分子量Mは少なくとも10,000Daであり、別の態様では、分子量Mは少なくとも20,000Daである。添加剤化合物がポリ(メタ)アクリル酸コポリマーの塩である場合、(メタ)アクリル酸繰り返し単位は、コポリマーの少なくとも19重量%を構成し得る。一態様では、(メタ)アクリル酸繰り返し単位は、コポリマーの少なくとも30重量%を構成し得、別の態様では、(メタ)アクリル酸繰り返し単位は、コポリマーの少なくとも50重量%を構成し得る。
【0021】
分子量M及びMは、ポリメタクリル酸(PMAA)較正標準を使用するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定することができる。例えば、ポリマー溶液を0.1モル濃度のリン酸二ナトリウム(NaHPO)中で3.0±0.3mg/mLに希釈し、周囲温度で4日間静置し、0.2μmのシリンジフィルターに通した。G1362A屈折率検出器を備えたAGILENT 1100システムで、30℃に保った2本のPSS SUPREMAカラム(10,000A、10μm、1,000A、5μm、両方8×300mm)を通して1.0mL/分40分間圧送し、20μLのポリマー溶液を同じ移動相に注入した。PMAA較正標準(PMAA calibration standards、PSS)を使用して、1,310~549,000ダルトンの較正曲線を作成した。
【0022】
一実施形態では、添加剤化合物は、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物である。α-オレフィンは、直鎖又は分枝鎖C~C22アルケンであり得、これはまた環状構造を含み得る。例として、α-オレフィンはスチレン、α-メチルスチレン、シクロペンテン、エチレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、及びエイコセンを含むが、これらに限定されない。このような化合物は市販されているか、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーを中和することによって得ることができる。加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーの塩は、繰り返し単位-[CH(COO)-CH(COO)]-を含み、式中、Mはアルカリ金属、アンモニウム、又はアミンである。エステル化塩は、無水マレイン酸基をエステル化し、次いでコポリマーを中和することによって得ることができる。エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーの塩は、繰り返し単位-[CH(COOR)-CH(COO)]-を含み、式中、Rは一価の有機基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム、又はアミンである。一態様では、Rは直鎖又は分枝鎖のC~C12アルキル基である。添加剤がα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂又はその塩である場合、コポリマーは繰り返し単位-[CH(C(O)-NH-CH)-CH(COO)]-を含み、式中、MはH、アルカリ金属、アンモニウム、又はアミンである。一態様では、Mによって測定されるスチレン/無水マレイン酸コポリマー塩の分子量は、少なくとも1,000Daであり、別の態様では、分子量Mは少なくとも1,500Daであり、別の態様では、分子量Mは、少なくとも2,000Daである。無水マレイン酸繰り返し単位は、加水分解型、エステル化型、又はアミド酸型を含み、コポリマーの少なくとも19重量%を構成し得る。一態様では、無水マレイン酸繰り返し単位は、コポリマーの少なくとも30重量%を構成し得、別の態様では、無水マレイン酸繰り返し単位は、コポリマーの少なくとも50重量%を構成し得る。
【0023】
一実施形態では、添加剤化合物は、ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤、又はそれらの混合物である。本明細書における用語「ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤」の使用は、複数のカルボキシレート基を有する非ポリマー有機化合物を示し、化合物は、カルシウムとキレート錯体を形成することができる。例えば、添加剤化合物は、アルカリ金属アミノポリカルボキシレート、アンモニウム化合物アミノポリカルボキシレート、又はアミノポリカルボキシレートのアミン塩であり得る。このような化合物は、アルキレン基を介して2つ以上のカルボキシレート基に結合している1つ以上の窒素原子を含み得る。一態様では、ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤は、少なくとも2つのカルボキシレート基を含み、別の態様では、ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤は、少なくとも3つのカルボキシレート基を含み、別の態様では、ポリカルボキシレートカルシウム封鎖剤は、少なくとも4つのカルボキシレート基を含む。ポリカロシレートカルシウム封鎖剤の例としては、限定するものではないが、グリコン酸の塩、エチレンジアミン四酢酸の塩、フラア-2の塩、アミノ二酢酸の塩、ニトリロ三酢酸の塩、ジエチレントリアミン五酢酸の塩、エチレンジアミン-N,N-二コハク酸の塩、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N,N,N-四酢酸の塩、1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N’,N’-四酢酸の塩、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸の塩、L-グルタミン酸N,N-二酢酸の塩、ポリアスパラギン酸の塩、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸の塩、又はイミノジスクシネートの塩。
【0024】
物品表面におけるコーティングは、コーティングの総固形分重量を基準にして、0.1~10重量%の疎水性化合物を含む。第2の態様では、物品表面上のコーティングは0.2~5重量%の疎水性化合物を含み、また第3の態様では、コーティングの総固形分重量を基準にして、0.25~2重量%の疎水性化合物を含む。「コーティングの固体重量」という語は、水性成分、溶媒成分、又はその他の液体成分が蒸発した後に残るコーティング成分の総量を指して用いられている。即ち、コーティングの非水、非溶媒、不揮発性成分の総量である。コーティングは、水性又は有機溶媒、ポリマー樹脂、コーティングベース(ポリマー樹脂、色素、機能性添加剤、界面活性剤、及び疎水性表面効果剤を含有する)を更に含んでよい。
【0025】
コーティング組成物は、疎水性表面効果剤を更に含み得る。例えば、コーティング組成物は、環状又は非環状ポリオールの脂肪酸エステル、ポリカルボン酸の脂肪酸エステル、疎水性非フッ素化カチオン性アクリルポリマー、疎水性非フッ素化アニオン性アクリルポリマー、疎水性非フッ素化非イオン性アクリルポリマー、部分フッ素化ウレタン、疎水性非フッ素化ウレタン、カチオン性部分フッ素化アクリルポリマー又はコポリマー、非イオン性部分フッ素化アクリルポリマー又はコポリマー、部分フッ素化アクリルアミドポリマー又はコポリマー、フッ素化又は非フッ素化フォスフェート、フッ素化エトキシレート、フッ素化又は非フッ素化オルガノシラン、シリコーン、ワックス、パラフィンを含み、及びそれらの混合物を更に含み得る。
【0026】
一実施形態では、疎水性表面効果剤は、コーティングの全固形分重量を基準にして、0.1~10重量%の量で使用され得る。別の実施形態では、疎水性表面効果剤は、コーティングの総固形分重量を基準にして、0.1~5重量%の量で使用され得る。疎水性表面効果剤は、湿度調節、強度、滑り防止、帯電防止、抗スナッグ(anti-snag)、抗ピル(anti-pill)、しみ忌避性(stain repellency)、しみ落とし(stain release)、汚れ忌避性(soil repellency)、汚れ放出(soil release)、撥水性、撥油性、匂い防除、抗菌性、日焼け防止、粘着防止、清浄性(cleanability)、防塵性、均染性(leveling)、耐食性、耐酸性、防曇性、又は氷結防止、及び類似の効果などの、表面効果を提供する。一部のしみ落とし剤及び防汚剤は親水性であり、ポリアクリル酸メチルや親水性ウレタン等の化合物を含む。
【0027】
環状又は非環状ポリオールの適切な脂肪酸エステルは、脂肪酸と環状又は非環状アルコールとの反応生成物、又はジペンタエリスリトールを含むペンタエリスリトール、を含み、内部アルコキシド単位も更に含み得る。ポリカロチルオキシ酸の脂肪酸エステルは、ポリカルボン酸と長鎖アルカノールとの反応生成物が含まれる。ポリオール及びポリカルボン酸の例は、グルコース、1,4-無水-D-グルシトール、2,5-無水-D-マンニトール、2,5-無水-L-イジトール、イソソルビド、ソルビタン、グリセルアルデヒド、エリトロース、アラビノース、リボース、アラビノース、アロース、アルトロース、マンノース、キシロース、リキソース、グロース、ガラクトース、タロース、フルクトース、リブロース、マンノヘプツロース、セドヘプツロース、トレオース、エリスリトール、トレイトール、グルコピラノース、マンノピラノース、タロピラノース、アロピラノース、アルトロピラノース、イドピラノース、グロピラノース、グルシトール、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ボレミトール、グルコン酸、グリセリン酸、キシロン酸、ガラクタル酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸ラクトン、グリセリン酸ラクトン、キシロン酸ラクトン、グルコサミン、ガラクトサミン又はそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。好適な脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミステリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、オレイン酸、エルカ酸、これら酸類のアルコキシル化変種、及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。一実施形態では、脂肪酸エステル又は脂肪酸エステルは、11~29個の炭素を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を含み、別の実施形態では、17~21個の炭素を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を含む。特定の例としては、SPAN、ソルビタンステアレート、又はソルビタンベヘニンなどの一置換、二置換、又は三置換ソルビタン;パルミトレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、及びエルカ酸から誘導された一置換、二置換、及び三置換ソルビタン;ポリソルベートトリステアレート及びポリソルベートモノステアレートなどのポリソルベート;アルキル基で一置換、二置換、又は三置換されたシトレート;アルキル基で一置換、二置換、又は三置換されたペンタエリスリオールエステルが挙げられる。
【0028】
物品に塗布する前に疎水性化合物を疎水性表面効果との組み合わせにより、低黄変及び良好な耐久性という望ましい特性に加えて、優れた特性が物品に付与される。これら組み合わせブレンドは、他の処理化学薬品の塗布前、塗布後又は塗布中のいずれかに、水又は他の溶媒中の分散体の形態で物品に塗布される。
【0029】
特に興味深いのは、処理基材の表面に撥性を提供するための疎水性表面硬化剤として有用なフッ素化ポリマーである。これには、フッ素化された、安定、不活性、かつ非極性である、好ましくは飽和性で一価の、疎油性と疎水性の両方を備える1種以上のフルオロ脂肪族基(本明細書ではR基と称する)を含有するフルオロケミカル化合物又はポリマーが含まれる。R基は、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子、最も好ましくは約4~約6個の炭素原子を含有する。R基は、直鎖若しくは分枝鎖若しくは環式フッ素化アルキレン基又はそれらの組み合わせを含有してもよい。R基の末端部分は、式C2n+1(式中、nは約3~約20である)の過フッ素化脂肪族基であることが好ましい。フッ素化ポリマー処理剤の例としては、Chemours Company(Wilmington,DE)から入手可能なCAPSTONE及びZONYL、Asahi Glass Company,Ltd.(Tokyo,Japan)から入手可能なASAHI GARD、Daikin America,Inc.(Orangeburg,NY)から入手可能なUNIDYNE、3M Company,St.Paul,MNから入手可能なSCOTCHGARD、Nanotex,Emeryville,CAから入手可能なNANO TEXが挙げられる。
【0030】
そのようなフッ素化ポリマーの例としては、R含有ポリウレタン及びポリ(メタ)クリレートが挙げられる。フルオロケミカル(メタ)アクリレートモノマーと共重合性モノビニル化合物又は共役ジエンとのコポリマーが特に好ましい。共重合性モノビニル化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート、脂肪酸ビニルエステル、スチレン及びアルキルスチレン、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アルキルエステル、ビニルアルキルケトン、並びにアクリルアミドが挙げられる。共役ジエンは好ましくは1,3-ブタジエンである。上記に分類される代表的な化合物としては、メチル、プロピル、ブチル、2-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシエチル、イソアミル、2-エチルヘキシル、オクチル、デシル、ラウリル、セチル、及びオクダデシルのアクリレート及びメタクリレート;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルカプリレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、スチレン、アルファメチルスチレン、p-メチルスチレン、フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン、アリルヘプタノエート、アリルアセテート、アリルカプリレート、アリルカプロエート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、イソプレン、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アミン末端(メタ)アクリレート、及びポリオキシ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0031】
疎水性非フッ素化アクリルポリマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、脂肪酸ビニルエステル、スチレン及びアルキルスチレン、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アルキルエステル、ビニルアルキルケトン、並びにアクリルアミドが挙げられる。共役ジエンは好ましくは1,3-ブタジエンである。上記に分類される代表的な化合物としては、メチル、プロピル、ブチル、2-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシエチル、イソアミル、2-エチルヘキシル、オクチル、デシル、ラウリル、セチル、及びオクダデシルのアクリレート及びメタクリレート;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルカプリレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、スチレン、アルファメチルスチレン、p-メチルスチレン、フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン、アリルヘプタノエート、アリルアセテート、アリルカプリレート、アリルカプロエート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、イソプレン、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アミン末端(メタ)アクリレート、及びポリオキシ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0032】
疎水性非フッ素化ウレタンの例としては、イソシアネート化合物を、上述の疎水性化合物にアルコール試薬として反応させたウレタンが挙げられる。これらの化合物は、米国特許出願公開第2014/0295724号、同第2016/0090508号に記載されている。疎水性非フッ素化非イオン性アクリルポリマーの例としては、上述の疎水性化合物のアクリルエステルを重合又は共重合したものが挙げられる。この化合物は、米国特許出願公開第2016/0090686号に記載されている。
【0033】
添加剤化合物及び表面活性剤は、室温又は周囲温度で十分に撹拌することによって、コーティング組成物に効果的に導入される。メカニカルシェーカを用いるか、又は熱を与えるか、又は他の方法によって、更に精密な混合を使用することができる。
【0034】
本発明のブレンド組成物は、任意で、追加の表面効果を達成するための追加処理剤若しくは仕上げ剤、又はかかる処理剤若しくは仕上げ剤と共に一般に使用される添加剤などの追加成分を更に含む。1つ以上のこのような処理剤又は仕上げ剤をブレンド組成物と組み合わせ、物品に塗布してもよい。界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、及び当業者に周知の他の添加剤等の、一般的にこのような処理剤又は仕上げ剤と共に使用される他の添加剤が存在してもよい。更に、効果の組み合わせを得るために、任意選択的に、他のエクステンダー組成物が含まれる。
【0035】
コーティングが、塗料、着色剤、シーラー(sealer)又は他の透明コーティングの形態である場合、当該コーティングはコーティングベースを更に含む。一実施形態において、コーティングベースは、室内塗料、室外塗料、建築用着剤、又は建築用透明コーティングの形態の、アクリルポリマー、エポキシポリマー、ビニルポリマー及びポリウレタンポリマーからなる群から選択される。通常、ポリマー樹脂、液体キャリア、及び機能性添加剤を含むこのような塗料は、多数の主要な商標で、市場にて容易に入手可能である。このようなコーティングは、無着色であってもよく、又は限定されないが、二酸化チタンを含む化合物で着色していてもよい。
【0036】
一態様では、本発明は、物品に表面効果を付与する方法を更に含み、この方法は、物品の表面をコーティング組成物と接触させることを含み、コーティング組成物は、コーティングベースと、コーティングの総固形分重量を基準にして、0.1~10重量%の添加剤化合物とを含み、添加剤化合物は、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはそのコポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアルカリ金属塩、シリコーンポリエーテルカルボキシレートのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、加水分解されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、エステル化されたα-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム化合物若しくはアミン塩、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂、α-オレフィン/無水マレイン酸コポリマーアミド酸樹脂の塩、ポリカルボン酸カルシウム封鎖剤、又は混合物を少なくとも1つであり、コーティングベースは、建築用塗料、建築用着色剤、又は建築用透明コーティングである。
【0037】
物品は、無釉コンクリート(unglazed concrete)、煉瓦、タイル、花崗岩、石灰岩、大理石、グラウト、モルタル、彫像、モニュメント、木材、複合材料、テラゾ、石膏板、壁パネル又は天井パネル、又はこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。接触工程は、コーティングベースを伴う液体キャリアによる、疎水性化合物の塗布により起こり得る。添加剤化合物は、水溶液、水性分散液、有機溶媒溶液若しくは分散液、又は共溶媒溶液若しくは分散液の形態であり得る。基材との接触工程は、吹付け塗り、ロール塗り、はけ塗り、滴下塗り、又はスクリーン印刷を含むがこれらに限定されない、任意の従来の方法により起こり得る。
【0038】
物品上の最終的なコーティングは固まった、耐久性のある、永久コーティングとなる。別の態様では、この方法は乾燥によってコーティングを固める工程を更に含む。加熱又は自然乾燥により液体キャリアを乾燥させて液体キャリアを蒸発させてよく、したがって、恒久的な固体コーティングを残してよい。
【0039】
試験方法及び材料
全ての溶媒及び試薬は、特に指示がない限り、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から購入し、供給された状態のまま使用した。MPEG 750は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル750であり、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている。
【0040】
L-リジンは、Shaanxi Top Pharma(Xi’an,China)から市販されている。
【0041】
VERSENE 100 XLは、四ナトリウムエチレンジアミン四酢酸塩の40%水溶液であり、DOWFAX 2A1はアルキルジフェニルオキシドジスルホネートアニオン界面活性剤であり、全てDow Chemical(Midland,Michigan)から市販されている。
【0042】
四ナトリウムN,Nビス-(カルボキシメチル)-Lグルタメート(Tetrasodium N,N-Bis-(carboxymethyl)-L-glutamate、TSCMG)は、40%水溶液として市販されており、FLEXISPERSE 875は、pH6.5±0.5及び分子量M 70,000Daの水性アクリル酸/無水マレイン酸コポリマーであり、いずれもTCI America(Portland,OR)から入手可能である。
【0043】
BAYPURE CX 100は、四ナトリウムイミノサクシネートの35%水溶液であり、BAYPURE DS 100は、ポリアスパラギン酸ナトリウムの40%水溶液であり、いずれもLanxess(Cologne,Germany)から市販されている。
【0044】
DISSOLVINE GL-47-Sは、L-グルタミン酸N、N-ジアク酸の四ナトリウム塩の47%水溶液であり、Akzo-Nobel(Amsterdam,Netherlands)から市販されている。
【0045】
SILUBE CS-1はPEG-8-ジメチコンサクシネートであり、SILSURF D212-CGはPEG-12ジメチコンであり、SILSURF DI-1010はPEG-10ジメチコンであり、SILSURF DI-1017であり、SILSURF J208は、高分子量PEG-8ジメチルピゾンであり、SILSURF J208-412は、ラウリルPEG-8ジメチコンであり、SILSURF A008-UPは低分子量エトキシル化ポリジメチルシロキサンであり、SILSURF I108はポリジメチルシロキサンコポリマーであり、SILSURF E608はPEG-8ジメチコンであり、及びSILSURF C410はPEG-10ジメチコンであり、全てSiltech(Dacula,GA)から市販されている。
【0046】
SMA 1000 H溶液は、分子量M=2000及びM=5500の1:1スチレン/無水マレイン酸コポリマーの水性アンモニウム塩であり、SMA 1000 HKは、スチレン無水マレイン酸コポリマーの水性カリウム塩であり、SMA 2000 Hは、2:1スチレン/無水マレイン酸コポリマーの水性アンモニウム塩であり、SMA 3000 Hは、3:1スチレン/無水マレイン酸コポリマーの水性アンモニウム塩であり、全てCray Valley(Exton,PA)から入手可能である。
【0047】
Polysciences PMAAは、Polysciences,Inc.(Warrington,PA)から市販されている分子量M=70,000Da及びM=246,000Daのポリ(メタクリル酸)である。
【0048】
CARBOSPERSE K-765は、Lubrizol(Cleveland,OH)から市販されている分子量M=22,600Da及び30,000DaのMのポリ(メタクリル酸)の30%水溶性ナトリウム塩である。
【0049】
AQUATREAT AR4、AQUATREAT AR6、及びAQUATREAT AR7Hは、分子量M 250,000、500,000、及び120万のポリ(アクリル酸)ポリマーであり、かつAQUATREAT AR235は分子量M 16,000のポリ(メタクリル酸)である。全て、Akzo-Nobel(Amsterdam,Netherlands)から入手可能である。
【0050】
CAPSTONE FS-81はフッ素化界面活性剤であり、CAPSTONE FS-87は、フルオロポリマーであり、CAPSTONE FS-50は、両性フッ素系界面活性剤であり、CAPSTONE TRは、フッ素化両親媒性縮合ポリマーしみ落とし剤であり、ZELAN 8719は、非フッ素化製品であり、ZELAN CA-72は、非フッ素化耐久性撥水剤であり、CAPSTONE FS-61は、アニオン性フッ素化界面活性剤であり、全てChemours Company(Wilmington,DE)から入手可能である。
【0051】
STRODEX PK-0VOCは、脂肪族アルコールのリン酸エステルであり、STRODEX PK-80 Nは、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)-アルファ-トリデシル-オメガ-ヒドロキシイソオクチルホスフェートカリウム塩であり、STRODEX KM-0VOCは脂肪族アルコールと脂肪族エトキシレート界面活性剤とのホスフェートエステルのカリウム塩であり、STRODEX PK-85NVは、脂肪族アルコールと脂肪族エトキシレート界面活性剤とのホスフェートエステルのカリウム塩であり、及びSTRODEX KM-400LVは、ホスフェートアルコールエステル系界面活性剤の疎水性カリウム塩であり、全てAshland Chemicals,(Covington,KY)から入手可能である。
【0052】
STS-30は、DuPont(Wilmington,DE)から入手可能である、ソルビタントリステアレート化合物である。
【0053】
DESMODUR N100は、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能である、イソシアネート化合物である。
【0054】
ARMEEN DM18Dは、Akzo Nobel(Bridgewater,NJ)から入手可能である。
【0055】
以下の試験方法及び材料を、本明細書の実施例で使用した。
【0056】
試験方法
塗料中のポリマー添加剤の添加及び試験パネルへの塗布
本発明の添加剤化合物を、選択した市販の室内用及び屋外用ラテックス塗料(添加前はフルオロ添加剤を含まない)に、加える。サンプルを、オーバーヘッドCowles Bladeスターラーを用いて、300rpmで5分間混合する。次いで、混合物をガラス瓶に移し、封をして、ロールミル上に少なくとも1~2時間置き、フルオロポリマーを均一に混合させる。次いで、5mLバードアプリケータを用いたBYK-Gardnerドローダウン装置によって、サンプルを、黒色のLeneta Mylar(登録商標)カード(5.5インチ×10インチ)の上に均一に引き出して、5ミルの膜厚の湿潤塗膜を得る。塗膜を、次に室温にて7日間乾燥させて、約2.5ミルの膜厚を有する乾燥塗膜を得る。
【0057】
試験方法1.接触角(Contact Angle、CA)測定による撥水性及び撥油性の評価
水及び油の接触角(CA)の測定値を使用し、塗膜表面に対するフッ素添加剤の移動を調べる。乾燥した塗膜でコーティングされた1インチ片のLenetaパネルに対し、ゴニオメーターによって試験を行う。自動分注システム、250μLのシリンジ、及び照明付き試料ステージアセンブリを備えた、DROPimageの標準的ソフトウェアを利用する、Rame-Hart Standard Automated Goniometer Model 200を使用する。ゴニオメーターのカメラをインターフェイスを介してコンピュータにつなぎ、コンピュータスクリーン上で液滴を表示させる。横軸線及び交差線の両方を、ソフトウェアを使用して、コンピュータスクリーン上で独立して調整できる。接触角測定に先立ち、サンプルをサンプルステージに置き、縦型スケールを、サンプルの水平面に一致する接眼部の横線(軸)に揃うように調節する。サンプル界面において、試験液滴の界面領域の一方が見えるように、接眼部に対してステージの水平位置を配置する。
【0058】
サンプル上の試験液の接触角を測定するため、30μLのピペットチップ、及び較正した量の試験液を移動させるための自動分注システムを用いて、おおよそ1滴の試験液をサンプル上に分注する。油接触角測定のために、ヘキサデカンが適切に使用され、水接触角測定には、脱イオン水が使用される。ステージを調節してサンプルの水平合わせを行った後、Model 200の場合はソフトウェアによって横線及び交差線を調整し、液滴の外観モデルに基づいて、コンピュータが接触角を算出する。初期接触角は、試験液をサンプル表面に分注した直後に測定した角度である。30度を超える初期接触角は、有効な撥油性を示す。
【0059】
試験方法2.家庭用洗浄性評価
家庭用洗浄性試験は、内部塗料上のLenetaしみの洗浄性についての方法を記載するASTMD3450に基づく。このバージョンの洗浄性は同じ基本原理を使用し、主に塗料に塗布されるしみを変更するだけである。試験材料(塗料)を黒色のMylarパネルに塗布し、7~10日間乾燥させる。しみの塗布は、選択されるしみに依存する。クレヨン、マーカー、及び鉛筆のしみは、均一な圧力で、約1インチのブロックを埋めることによって塗布される。コーヒー、茶、及びワインなどの液体のしみは、パネルを一定角度で保持し、ピペットを使用してしみを均一にコーティングすることによって塗布される。口紅のしみは目安として定規を使用して塗布される。しみを除去する前に30分間静置する。使用したしみは、下記表1に定義される。
【0060】
【表1】
【0061】
試験片を、BYK-Gardner(Silver Spring,MD)から入手可能な、Model AG 8100などの洗浄性試験装置クロースホルダー(Washability Test Apparatus Cloth Holder)上に水平に置き、膜を1%JOY Soapの中性石鹸溶液で25サイクル洗浄する。パネルを水ですすぎ、数時間乾燥させる。洗浄された領域は洗浄されていない領域と、目視評価スコアについて、下記の表2に従って比較される。この視覚的な採点方法は、シックスシグマ(Six Sigma)法を使用して作成され、評価の認定方法となっている。半分のスコア及び1/4スコアは、所与のサンプルセット内で区別するのを助ける。値「しみ1~7についての組み合わせしみ評価」は、7つの評価スコア全ての合計である。
【0062】
【表2】
【実施例
【0063】
比較例A
上の試験方法に従い、添加剤化合物を含まない塗料を試験した。
【0064】
比較例B
75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従ってCAPSTONE FS-81とブレンドして、0.2重量%のCAPSTONE FS-81の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0065】
(実施例1~25)
Polysciences PMAAを、pHが約9に達するまで20%NaOH溶液と混合して、PMAAのナトリウム塩を作製する。VERSENE 100 XLを、pHが約8に達するまで20%NaOH溶液と混合し、水で希釈して25%固形分にする。SILUBE CS-1を、pHが約7に達するまで20%NaOH溶液と混合し、水で希釈して25%固形分にする。SMA 1000 Hを、pHが約7に達するまで60%氷酢酸と混合し、水で希釈して20%固形分にする。
【0066】
VERSENE 100 XL、SILUBE CS-1、SMA 1000 H,及びPMAAのナトリウム塩の量を、表1に示す重量(グラム単位)で、バイアル瓶中で混合した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って各添加剤化合物又は添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.5固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
(実施例26~50)
75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って各添加剤化合物又は添加剤化合物の混合物とブレンドして、1.0固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製したことを除いて、実施例1~25を繰り返した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0070】
【表5】
【0071】
(実施例51~57)
CARBOSPERSE K-765(K-765)を、NaOHと混合してpHを7に低下させ、水で希釈して10%固形分にする。VERSENE 100 XLを、pHが約8に達するまで20%NaOH溶液と混合し、水で希釈して25%固形分にする。SILUBE CS-1を、pHが約7に達するまで20%NaOH溶液と混合し、水で希釈して25%固形分にする。SMA 1000 Hを、pHが約7に達するまで60%氷酢酸と混合し、水で希釈して20%固形分にする。
【0072】
VERSENE 100 XL、SILUBE CS-1、SILSURF D212-CG、SMA 1000 H、PMAAの塩の量を、表4に示す重量パーセントで、バイアル瓶中で混合した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って各添加剤化合物又は添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0073】
【表6】
【0074】
(実施例58)
メタクリル酸ホモポリマーを、酸化還元触媒を介して水中で合成した。水(181g)、メタクリル酸(99%、20g)、及び水酸化ナトリウム溶液(5N、12.88g)を窒素下で68℃に加熱しながら撹拌した。反応混合物が68℃に達したら、水中(8.36g)の過硫酸ナトリウム(0.443g)を加え、続いて水中(8.36g)の硫酸第一鉄(0.013g)を加えた。反応を68℃で5時間維持した。反応物を室温に冷却し、水酸化ナトリウム溶液(Fisher、5N、38.63g)を加えた。得られたポリマーのpHは7であり、分子量M=49,100Da及びM=177,000Daを有した。
【0075】
SMA 1000 Hを、pHが約7に達するまで、60%氷酢酸と混合した。ポリメタクリル酸溶液のナトリウム塩の量(総重量の37%)及びSMA 1000 H(総重量の63%)をバイアル瓶中で混合した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って得られた添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0076】
(実施例59)
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(開始前5.18g、重合後15.53g)を水酸化ナトリウムの代わりに使用したことを除いて、実施例58を繰り返した。得られたポリマーのpHは7であり、分子量M=45,400Da及びM=150,000Daを有した。
【0077】
(実施例60)
L-リジン(開始前8.49g、重合後25.47g)を水酸化ナトリウムの代わりに使用したことを除いて、実施例58を繰り返した。得られたポリマーのpHは7であり、分子量M=41,600Da及びM=93,700Daを有した。
【0078】
【表7】
【0079】
(実施例61~64)
N,N-ビス-(カルボキシメチル)-L-グルタメート(TSCMG)、BAYPURE CX-100、BAYPURE DS-100、及びDISSOLVINE GL-47-Sを、pH約7.5~8に達するまで60%氷酢酸と混合した。SILUBE CS-1を、pHが約7に達するまで20%NaOH溶液と混合し、水で希釈して25%固形分にした。SMA 1000 Hを、pHが約7に達するまで60%氷酢酸と混合し、水で希釈して20%固形分にする。
【0080】
N,Nビス-(カルボキシメチル)-L-グルタメート(TSCMG)、BAYPURE CX-100、BAYPURE DS-100、DISSOLVINE GL-47-S、SILUBE CS-1、及びSMA 1000 Hを、表6に示す重量パーセントの量で、バイアル瓶内で混合した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って各添加剤化合物又は添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】
(実施例65~69)
AQUATREAT AR4(AR4)、AQUATREAT AR6(AR6)、Polysciences PMAA(PMAA)、及びAQUATREAT AR235(AR235)を、約7.5~8のpHに達するまで、個々に20%NaOH溶液と混合し、AQUATREAT AR4、AQUATREAT AR6、Polysciences PMAA及びAQUATREAT AR235、それぞれのナトリウム塩を作製した。AQUATREAT AR7H(AR7H)を、pH約10.5に達するまで20%NaOH溶液と混合して、AQUATREAT AR7Hのナトリウム塩を作製した。SMA 1000 Hを、pHが約7に達するまで60%氷酢酸と混合し、水で希釈して20%固形分にした。
【0084】
SMA 1000 H及びPMAA又はPAAのナトリウム塩を、表8に明示した重量パーセントで、バイアル瓶中で混合した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って各添加剤化合物又は添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0085】
【表10】
【0086】
【表11】
【0087】
(実施例70~73)
AQUATREAT AR6(AR6)を20%水酸化ナトリウム水溶液と混合して、pH7.8に達する。DISSOLVINE GL-47-S、SILSURF D212、SMA 1000 H(20%固形分)、Ar6のナトリウム塩を、表10に明示する重量パーセントの量で、バイアル瓶中で混合した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って各添加剤化合物又は添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0088】
【表12】
【0089】
【表13】
【0090】
(実施例74)
SILSURF D212 CG(100%、5g)、水(15g)、及びDISSOLVINE GL-47-S(25%、19.2g)を容器内で混合した。氷酢酸(60%)を加えてpHを9.4に低下させ、得られた溶液を水(12g)で希釈した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0091】
(実施例75)
SILSURF D212 CG、水、DISSOLVINE GL-47-S、及びAQUATREAT AR6を容器内で混合して、32.7固形分重量%のSILSURF D212 CG、30.6固形分重量%のDISSOLVINE GL-47-S、及び36.7固形分重量%のAQUATREAT AR6の溶液を作製した。溶液のpHは8.9であり、25.6%の固形分であった。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0092】
(実施例76)
SILSURF D212 CG、水、及びAQUATREAT AR6を容器内で混合して、32.7固形分重量%のSILSURF D212 CG、及び67.3固形分重量%のAQUATREAT AR6の溶液を作製した。溶液のpHは8.5であり、19.5%の固形分であった。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0093】
(実施例77)
SILUBE CS-1、水、及びSMA 1000 Hを容器中で混合して、33.3固形分重量%のSILUBE CS-1及び66.6固形分重量%のSMA 1000 Hの溶液を作製した。水酸化ナトリウム溶液(10N)を加えてpHを8.6に下げ、得られた溶液は21.5%固形分であった。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0094】
(実施例78)
SILUBE CS-1の代わりにSILSURF D212 CGを使用したことを除いて、実施例77を繰り返した。
【0095】
(実施例79)
AQUATREAT AR6、水、及びSMA 1000 Hを容器中で混合して、46.0固形分重量%のAQUATREAT AR6及び固形分重量54.0%のSMA 1000 Hの溶液を作製した。溶液のpHは9.7であり、19.5%の固形分であった。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.5固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0096】
(実施例80)
添加剤化合物の混合物は、塗料サンプル中に0.25固形分重量%の添加剤化合物を投与したことを除いて、実施例79を繰り返した。
【0097】
(実施例81)
SILSURF D212 CG、AQUATREAT AR6、水、及びSMA 1000 Hを容器中で混合して、23.5固形分重量%のSILSURF D212 CG、22.4固形分重量%のAQUATREAT AR6及び54.1固形分重量%のSMA 1000 Hの溶液を作製した。溶液のpHは10.3であり、16.8%の固形分であった。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って添加剤化合物の混合物とブレンドして、0.75固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0098】
(実施例82)
添加剤化合物の混合物は、塗料サンプル中に0.25固形分重量%の添加剤化合物を投与したことを除いて、実施例81を繰り返した。
【0099】
(実施例83)
実施例80を繰り返して、17.7固形分重量%のSILSURF D212 CG、45.4固形分重量%のAQUATREAT AR6及び36.9固形分重量%のSMA 1000 Hの溶液を作製した。溶液のpHは9.5であり、13.2%の固形分であった。
【0100】
【表14】
【0101】
(実施例84)
メタクリル酸ホモポリマーを酸化還元触媒を介して、水中で合成した。水(188g)、メタクリル酸(99%、20g)、及び水中(7.0g)の水酸化ナトリウム(3.1g)を、窒素下で68℃に加熱しながら撹拌した。反応混合物が68℃に達したら、水中(8.36g)の過硫酸ナトリウム(0.443g)を加え、続いて水中(8.36g)の硫酸第一鉄(0.013g)を加えた。反応を68℃で4時間維持した。反応物を室温に冷却し、水中(13.9g)の水酸化ナトリウム溶液(6.2g)を加えた。最終的なポリマーは、分子量M=35,200Da及びM=112,000Daを有した。75gの塗料サンプルを、上記の投与手順に従って添加剤化合物とブレンドして、1固形分重量%の添加剤化合物の塗料サンプルを作製した。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0102】
(実施例85)
塗料に0.035固形分重量%のCAPSTONE FS-61を更に投与したことを除いて、実施例84を繰り返した。
【0103】
(実施例86)
塗料に0.2固形分重量%のCAPSTONE FS-81を更に投与したことを除いて、実施例84を繰り返した。
【0104】
(実施例87)
塗料に0.2固形分重量%のCAPSTONE FS-87を更に投与したことを除いて、実施例84を繰り返した。
【0105】
(実施例88)
塗料に0.035%固形分重量のCAPSTONE FS-50を更に投与したことを除いて、実施例84を繰り返した。
【0106】
(実施例89)
ポリ(メタクリル酸)ナトリウム塩溶液(Sigma Aldrich、pH8~9、M5,400、M8,500)は、上記の投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は1固形分重量%のポリ(メタクリル酸)ナトリウム塩を含有する。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0107】
(実施例90)
ポリ(メタクリル酸)ナトリウム塩溶液(Sigma Aldrich,M4,000~6,000)は、上記の投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は1固形分重量%のポリ(メタクリル酸)ナトリウム塩を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0108】
【表15】
【0109】
実施例91~94及び比較例C
ZELAN 8719、SILUBE CS-1、SILSURF D212-CG、SMA 1000 H、及びSTRODEX PK-0VOCを表14に明示された量で一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0110】
【表16】
【0111】
(実施例95~98)
ZELAN 8719、SILSURF DI-1010、SILSURF D212-CG、SMA 1000 H、及びSMA 1000 HKを、表15に明示された量で一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0112】
【表17】
【0113】
(実施例99~104)
SILSURF D212(159.3g)、水(38g)、及びSMA 1000 H(802.7g)を室温で1時間撹拌した。STS-30混合物を作製するために、STS-30(60g)をメチルイソブチルケトン(150g)中で融解させた。次に、DOWFAX 2A1(2g)及び水(163g)を加え、混合物を65℃で30分間撹拌した。次に、混合物を6000psiで4回均質化し、蒸留して有機溶媒を除去した。SILSURF/SMA 1000 H混合物を、STRODEX PK-0VOC、ZELAN CA-72、又はSTS-30混合物と合わせ、表16に明示する量で一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0114】
【表18】
【0115】
【表19】
【0116】
(実施例105~109)
SILSURF D212(159.3g)、水(38g)、及びSMA 1000 H(802.7g)を室温で1時間撹拌した。SILSURF D212/SMA 1000 H混合物は、50:50の固形分重量比でSTRODEX PK-80N(105)、STRODEX KM-0VOC(106)、STRODEX PK-85NV(107)、STRODEX KM-400LV(108)又はSTRODEX PK-0VOC(109)と合わせ、一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0117】
(実施例110~113)
SILSURF D212(159.3g)、水(38g)、及びSMA 1000 H(802.7g)を室温で1時間撹拌した。SILSURF D212/SMA 1000 H混合物をSTRODEX PK-0VOCと合わせ、表17に明示する量で一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0118】
【表20】
【0119】
(実施例114)
SILSURF D212を、固形分重量35:65の比率でSTRODEX PK-0VOCと合わせ、一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0120】
(実施例115~121)
SMA 1000 Hは、50:50の固形分重量比でSILSURF DI-1017(115)、SILSURF J208(116)、SILSURF J208-412(117)、SILSURF A008-UP(118)、SILSURF I108(119)、SILSURF E608(120)、又はSILSURF C410(121)と合わせ、一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0121】
(実施例122~123)
SILSURF D212を、固体重量33:66の比率でSMA 2000 H(122)又はSMA 3000 H(123)と合わせ、一緒に混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0122】
【表21】
【0123】
(実施例124)
SILSURF D212-CGを、固形分重量33:66の比率でSMA 1000 Hと合わせ、一緒に混合して、25固形分重量%及びpH8.9の混合物を作製した。混合物を固形分重量90:10の比率でZELAN CA-72とブレンドした。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は1固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0124】
(実施例125)
しみ落とし組成物を、次に合成した。4ッ口丸底フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対及び凝縮器を取り付け、DESMODUR N100(135g)、MPEG 750(378g)、炭酸ナトリウム(3.1g)及び触媒を加えた。混合物を80℃に加熱した。1時間後、ソルビタントリステアレート(161g)を添加し、活性イソシアネートが存在しなくなるまで95℃に加熱した。水(2357g)及び酢酸(4.4g)をビーカーに加え、撹拌して溶液を作製した。溶液を65℃に加熱した。混合物を浸漬ブレンドし、6000psiで均質化した。得られたウレタン分散液は、冷却及び濾過後、20.54%固形分であった。
【0125】
SILSURF D212-CGを、固形分重量33:66の比率でSMA 1000 Hと合わせ、一緒に混合して、25固形分重量%及びpH8.9の混合物を作製した。混合物を、固形分重量90:10の比率でしみ落とし組成物と混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は1固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0126】
(実施例126)
しみ落とし組成物を、次に合成した。メチルイソブチルケトン(MIBK)(0.96g)及びMIBK(221g)中のMPEG 750(14.77g)、SILSURF D212(11.95g)、炭酸ナトリウム(0.35g)、DESMODUR N100(15g)、0.5%FeClを80℃に加熱した。1時間後、STS-30(29.73g)を加えた。更に1gの水及びFeClを加え、活性イソシアネートが存在しなくなるまで混合物を撹拌した。ARMEEN DM 18D(2.7g)、酢酸(2.0g)及び水(300g)を加えた。混合物を6000psiで2回均質化し、溶媒を蒸留により除去した。
【0127】
SILSURF D212-CGを、固形分重量33:66の比率でSMA 1000 Hと合わせ、一緒に混合して、25固形分重量%及びpH8.9の混合物を作製した。混合物を、固形分重量90:10の比率でしみ落とし組成物と混合した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は1固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0128】
(実施例127)
SILSURF D212-CGの代わりにSILSURF Di-1017(25.23g)を使用して、実施例126を繰り返した。
【0129】
(実施例128~129)
ZELAN CA-72の代わりにSTS-30(128)又はCAPSTONE TR(129)を使用して、実施例124を繰り返した。
【0130】
【表22】
【0131】
(実施例130)
SILUBE CS-1を、固形分重量33:66の比率でSMA 1000 Hと合わせ、水酸化アンモニウムで中和して、25固形分重量%及びpH8.6の混合物を作製した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は1固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0132】
(実施例131)
SILSURF D212-CGを、固形分重量33:66の比率でSMA 1000 Hと合わせ、機械的撹拌で一緒に混合して、45固形分重量%で混合物を作製した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は1固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0133】
(実施例132)
水酸化アンモニウムを添加せずに、40%固形分で混合物を作製し、実施例130を繰り返した。
【0134】
(実施例133)
固形分重量42:58の比率を使用して、実施例132を繰り返した。
【0135】
(実施例134~136)
混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.5固形分重量%の混合物を含むことを除いて、実施例131~133を繰り返した。
【0136】
(実施例137)
SILUBE CS-1を水酸化ナトリウムで中和して、25固形分重量%及びpH7の混合物を作製した。混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.01固形分重量%の混合物を含む。上記試験方法に従って、得られた塗料サンプルを試験した。
【0137】
(実施例138)
混合物は、投与手順に従って75gの塗料サンプルに投与し、最終混合物は0.75固形分重量%の混合物を含むことを除いて、実施例137を繰り返した。
【0138】
【表23】