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特許7068313電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板製品、およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板製品、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/00 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
C23C22/00 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019534738
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 KR2017015202
(87)【国際公開番号】W WO2018117670
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2016-0178484
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ボン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ノ,テ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ボン,ウォン ソク
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509994(JP,A)
【文献】特表2016-540901(JP,A)
【文献】特表2018-504516(JP,A)
【文献】特表2019-508573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体固形分100重量%基準で、
芳香族炭化水素を含む樹脂10~50重量%、
芳香族炭化水素を含む樹脂に無機ナノ粒子が置換された有機/無機複合体5~40重量%、
複合金属リン酸塩10~30重量%、
リン酸5~50重量%、および
結合強化剤1~15重量%を含み、
前記複合金属リン酸塩は、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸コバルト、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、および第1リン酸マグネシウムのうちの1種以上を含み、
前記芳香族炭化水素を含む樹脂は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、およびベンゾピレニル基の中から選択される1種以上の官能基を含み、
接着層の耐熱性および/または接着性のバランスを維持する前記結合強化剤は、酸化物、水酸化物、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック、顔料、およびカップリング剤の中から選択される1種以上を含むことを特徴とする電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項2】
前記芳香族炭化水素を含む樹脂は、エポキシ系樹脂、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、およびウレタン系樹脂の中から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項3】
前記芳香族炭化水素を含む樹脂は、重量平均分子量が1,000~100,000であり、軟化点(Tg)が30~150℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項4】
前記無機ナノ粒子は、SiO、Al 、TiO、MgO、ZnO、CaO、およびZrOのうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項5】
前記無機ナノ粒子は、前記有機/無機複合体内に10~50重量%置換されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電磁鋼板接着コーティング組成物。
【請求項6】
複数の電磁鋼板と、
前記複数の電磁鋼板の間に位置する熱融着層とを含み、
前記熱融着層は、芳香族炭化水素を含む樹脂10~50重量%、芳香族炭化水素を含む樹脂に無機ナノ粒子が置換された有機/無機複合体5~40重量%、複合金属リン酸塩10~30重量%、リン酸5~50重量%、および結合強化剤1~15重量%を含み、
前記複合金属リン酸塩は、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸コバルト、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、および第1リン酸マグネシウムのうちの1種以上を含み、
前記芳香族炭化水素を含む樹脂は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、およびベンゾピレニル基の中から選択される1種以上の官能基を含み、
接着層の耐熱性および/または接着性のバランスを維持する前記結合強化剤は、酸化物、水酸化物、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック、顔料、およびカップリング剤の中から選択される1種以上を含むことを特徴とする電磁鋼板積層体。
【請求項7】
請求項1に記載の接着コーティング組成物を準備する段階と、
前記接着コーティング組成物を電磁鋼板の表面にコーティングした後、硬化させて接着コーティング層を形成する段階と、
前記接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して熱融着層を形成する段階と、
熱融着された電磁鋼板積層体を応力除去焼鈍して、接着層を形成する段階と、を含むことを特徴とする電磁鋼板製品の製造方法。
【請求項8】
前記接着コーティング層を形成する段階は、
200~600℃の温度範囲で行われることを特徴とする請求項7に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
【請求項9】
前記熱融着層を形成する段階は、
150~300℃の温度、0.5~5.0MPaの圧力、および0.1~120分の加圧条件で熱融着することを特徴とする請求項7又は8に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
【請求項10】
前記熱融着層を形成する段階は、
昇温段階および融着段階を含み、昇温段階の昇温速度は10℃/分~1000℃/分であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
【請求項11】
前記熱融着層の収縮率が0.1%以下であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
(ただし、収縮率は、([熱融着層を形成する段階の前の接着コーティング層の厚さ]-[熱融着層を形成する段階の後の熱融着層の厚さ])/[熱融着層を形成する段階の前の接着コーティング層の厚さ]で計算される。)
【請求項12】
前記接着層を形成する段階は、500~900℃の温度で30~180分間行われることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
【請求項13】
前記接着層を形成する段階は、変性気体または窒素(N )気体雰囲気で行われることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
【請求項14】
前記接着層を形成する段階は、液化天然ガス(LNG)10~30体積%および空気70~90体積%を含む変性気体雰囲気で行われることを特徴とする請求項7乃至13のいずれか一項に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
【請求項15】
前記接着層を形成する段階において、前記接着層と前記電磁鋼板との間に酸化層がさらに生成されることを特徴とする請求項7乃至14のいずれか一項に記載の電磁鋼板製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板製品、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無方向性電磁鋼板は、圧延板上のすべての方向に磁気的特性が均一な鋼板で、モータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器などに幅広く用いられている。電磁鋼板は、打抜加工後、磁気的特性の向上のために応力除去焼鈍(SRA)を実施しなければならないものと、応力除去焼鈍による磁気的特性効果より熱処理による経費損失が大きい場合、応力除去焼鈍を省略するもの、の2つの形態に区分される。
【0003】
絶縁被膜は、モータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器などの製品の仕上げ製造工程でコーティングされる被膜であって、通常、渦電流の発生を抑制させる電気的特性が要求される。その他にも、連続打抜加工性、耐粘着性および表面密着性などが要求される。連続打抜加工性とは、所定の形状に打抜加工後、複数を積層して鉄心に作る時、金型の摩耗を抑制する能力を意味する。耐粘着性とは、鋼板の加工応力を除去して磁気的特性を回復させる応力除去焼鈍過程後に鉄心鋼板間の密着しない能力を意味する。
【0004】
このような基本的な特性のほか、コーティング溶液の優れた塗布作業性と配合後に長時間使用可能な溶液安定性なども要求される。このような絶縁被膜は、溶接、クランピング、インターロッキングなど別途の締結方法を用いてこそ、電磁鋼板製品に製造が可能である。
【0005】
反面、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いず、電磁鋼板の表面に塗布されている接着溶液の熱融着によって締結させようとする試みがある。このような目的で開発された接着コーティングは、主要成分が有機物から構成されている。しかし、有機系接着コーティング組成物は、応力除去焼鈍工程時、有機物は高温で分解されるため、表面特性(絶縁、密着、耐食など)に劣るだけでなく、各電磁鋼板一枚一枚の間の接着力(締結力)もほぼ消失してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いず、電磁鋼板を接着(締結)できる接着コーティング組成物、これを適用した電磁鋼板製品およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、応力除去焼鈍工程後にもボンディング力を維持できる接着コーティング組成物、これを適用した電磁鋼板製品、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、全体固形分100重量%基準で、芳香族炭化水素を含む樹脂10~50重量%、芳香族炭化水素を含む樹脂に無機ナノ粒子が置換された有機/無機複合体5~40重量%、複合金属リン酸塩10~30重量%、リン酸5~50重量%、および結合強化剤1~15重量%を含み、前記複合金属リン酸塩は、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸コバルト、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、および第1リン酸マグネシウムのうちの1種以上を含み、前記芳香族炭化水素を含む樹脂は、ベンゼン基、トルエン基、キシレン基、ナフタレン基、アントラセン基、およびベンゾピレン基の中から選択される1種以上の官能基を含むことを特徴とする。
【0008】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン、およびベンゾピレンの中から選択される1種以上を含むことができる。芳香族炭化水素を含む樹脂は、エポキシ系樹脂、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、およびウレタン系樹脂の中から選択される1種以上を含むことができる。芳香族炭化水素を含む樹脂は、重量平均分子量が1,000~100,000であり、軟化点(Tg)が30~150℃であってもよい。
無機ナノ粒子は、SiO、Al、TiO、MgO、ZnO、CaO、およびZrOのうちの1種以上を含むことができる。
【0009】
無機ナノ粒子は、有機/無機複合体内に10~50重量%置換されていてもよい。
【0011】
結合強化剤は、酸化物、水酸化物、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック、顔料、およびカップリング剤の中から選択される1種以上を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体は、複数の電磁鋼板と、前記複数の電磁鋼板の間に位置する熱融着層とを含み、前記熱融着層は、芳香族炭化水素を含む樹脂10~50重量%、芳香族炭化水素を含む樹脂に無機ナノ粒子が置換された有機/無機複合体5~40重量%、複合金属リン酸塩10~30重量%、リン酸5~50重量%、および結合強化剤1~15重量%を含み、前記複合金属リン酸塩は、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸コバルト、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、および第1リン酸マグネシウムのうちの1種以上を含み、前記芳香族炭化水素を含む樹脂は、ベンゼン基、トルエン基、キシレン基、ナフタレン基、アントラセン基、およびベンゾピレン基の中から選択される1種以上の官能基を含むことを特徴とする。

【0013】
本発明の一実施形態による電磁鋼板製品は、複数の電磁鋼板と、複数の電磁鋼板の間に位置する接着層とを含み、接着層は、P:10~30重量%、Si、Ti、Zr、Al、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属:10~30重量%、N:1~10重量%、C:1~10重量%、および残部としてOを含む。
【0014】
接着層は、無機物を50~90重量%含むことができる。接着層は、Cu、Cr、Fe、B、Si、Na、およびKのうちの1種以上を1~20重量%さらに含んでもよい。接着層は、Pの炭化物、窒化物、または酸化物、およびAl、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属の炭化物、窒化物、または酸化物を含むことができる。接着層は、接着層の断面面積に対して、接着層内の無機成分が互いに凝集して粒径30nm以上の凝集体を形成した面積分率が0.1以下であってもよい。接着層は、接着層の断面面積に対して、気孔の占める面積の分率が0.5以下であってもよい。接着層の厚さは0.5~25μmであってもよい。接着層の硬度はロックウェル硬度基準5以上であってもよい。
【0015】
電磁鋼板および接着層の間に位置する酸化層をさらに含んでもよい。酸化層は、P:10~30重量%、Si、Ti、Zr、Al、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属:10~30重量%、および残部としてOを含むことができる。酸化層の厚さは10~500nmであってもよい。酸化層の硬度はロックウェル硬度基準20以上であってもよい。酸化層と電磁鋼板との界面から電磁鋼板の内部方向に10μm以内で生成された酸化物の面積分率が0.05以下であってもよい。酸化層と前記電磁鋼板との界面から電磁鋼板の内部方向に10μm以内で生成された酸化物の平均粒径は0.01~5μmであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態による電磁鋼板製品の製造方法は、接着コーティング組成物を準備する段階と、接着コーティング組成物を電磁鋼板の表面にコーティングした後、硬化させて接着コーティング層を形成する段階と、接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して熱融着層を形成する段階と、熱融着された電磁鋼板積層体を応力除去焼鈍して、接着層を形成する段階とを含む。
【0017】
接着コーティング層を形成する段階は、200~600℃の温度範囲で行われる。熱融着層を製造する段階は、150~300℃の温度、0.5~5.0Mpaの圧力、および0.1~120分の加圧条件で熱融着することができる。熱融着層を形成する段階は、昇温段階および融着段階を含み、昇温段階の昇温速度は10℃/分~1000℃/分とすることができる。熱融着層の収縮率が0.1%以下であってもよい。(ただし、収縮率は、([熱融着層を形成する段階の前の接着コーティング層の厚さ]-[熱融着層を形成する段階の後の熱融着層の厚さ])/[熱融着層を形成する段階の前の接着コーティング層の厚さ]で計算される。)
【0018】
接着層を形成する段階は、500~900℃の温度で30~180分間行われる。接着層を形成する段階は、変性気体または窒素(N2)気体雰囲気で行われる。接着層を形成する段階は、液化天然ガス(LNG)10~30体積%および空気70~90体積%を含む変性気体雰囲気で行われる。
接着層を形成する段階は、接着層と電磁鋼板との間に酸化層がさらに生成されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によれば、接着コーティング層自体の耐油性、密着性、耐食性、絶縁性を改善し、互いに異なる電磁鋼板を接着させるにあたり、接着力、耐スクラッチ性、耐候性、溶接性、高温耐油性を向上させることができる。本発明の一実施形態によれば、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いず、電磁鋼板を接着可能で、電磁鋼板製品の磁性にさらに優れている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電磁鋼板製品の模式図である。
図2】本発明の一実施形態による電磁鋼板製品の断面の概略図である。
図3】本発明の他の実施形態による電磁鋼板製品の断面の概略図である。
図4】実施例7における熱融着後の、電磁鋼板製品の断面の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
図5】実施例7における熱融着後の、電磁鋼板製品の断面の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真および厚さの測定結果である。
図6】実施例7における熱融着後の、熱融着層のSi元素の分析結果である。
図7】実施例7における熱融着後の、熱融着層のP元素の分析結果である。
図8】実施例7、8、11および12における熱融着後の、熱融着層の接着力の測定結果である。
図9】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
図10】実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
図11】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真および厚さの測定結果である。
図12】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図13】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図14】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図15】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図16】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図17】実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図18】実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図19】実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図20】実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図21】実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図22】実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図23】実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。
図24】実施例7、8、11および12における応力除去焼鈍後の、接着層の接着力測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1、第2および第3などの用語は、多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるが、これらに限定されない。これらの用語は、ある部分、成分、領域、層またはセクションを、他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下に述べる第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及される。
【0022】
ここで使用される専門用語は、単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるわけではない。
【0023】
ある部分が他の部分の「上に」あると言及する場合、これは、まさに他の部分の上にある。その間に他の部分が伴っていてもよい。対照的に、ある部分が他の部分の「真上に」あると言及する場合、その間に他の部分は介在しない。別途に定義しないものの、ここに使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。通常使用される辞書に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り、理想的または非常に公式的な意味で解釈されない。
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0025】
本発明の一実施形態では、電磁鋼板接着コーティング組成物、電磁鋼板積層体、電磁鋼板製品、およびその製造方法をそれぞれ提供する。本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、全体固形分100重量%基準で、芳香族炭化水素を含む樹脂10~50重量%;芳香族炭化水素を含む樹脂に無機ナノ粒子が置換された有機/無機複合体5~40重量%;複合金属リン酸塩10~30重量%、リン酸5~50重量%、および結合強化剤1~15重量%を含む。本発明の一実施形態による電磁鋼板接着コーティング組成物は、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いず、電磁鋼板を接着(締結)できるようにする。また、応力除去焼鈍工程後にもボンディング力を維持することができる。本発明の一実施形態において、電磁鋼板は、無方向性または方向性電磁鋼板であり、より具体的には、無方向性電磁鋼板であってもよい。
【0026】
以下、各成分別に具体的に説明する。
芳香族炭化水素を含む樹脂は、後述する熱融着時、熱融着層を形成し、電磁鋼板の間に介在して、電磁鋼板の間に接着力を付与する。熱融着層が電磁鋼板の間で接着力を適切に付与できない場合、精密に積層された複数の電磁鋼板が工程の進行過程でずれてしまう。積層位置がずれてしまうと、最終的に製造された電磁鋼板製品の品質に薬影響を及ぼす。芳香族炭化水素を含む樹脂によって熱融着後、接着力を確保することによって、積層された電磁鋼板の位置がずれないようにすることができる。
【0027】
芳香族炭化水素を含む樹脂は、後述する応力除去焼鈍段階で一部は分解されるが、一部は残存して、電磁鋼板の間に接着力を付与する。この時、芳香族炭化水素は、高温でも熱分解されず、応力除去焼鈍工程後にも接着力を維持する。反面、芳香族炭化水素を含まない樹脂の場合、応力除去焼鈍段階ですべて熱分解されて、接着力が劣化する。
【0028】
芳香族炭化水素を含む樹脂とは、主鎖および/または側鎖に芳香族炭化水素を含む樹脂を意味する。具体的には、芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン、およびベンゾピレンの中から選択される1種以上を含むことができる。樹脂は、具体的には、エポキシ系樹脂、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、およびウレタン系樹脂の中から選択される1種以上を含むことができる。この時、先に例示された樹脂のうちの1種または2種以上の混合物を選択することによって、熱融着層、接着層の耐熱性を向上させることができる。言い換えれば、芳香族炭化水素を含む樹脂は、熱融着層、接着層の絶縁性、耐熱性、表面特性などを改善するのに寄与する。
【0029】
芳香族炭化水素を含む樹脂は、重量平均分子量が1,000~100,000であり、数平均分子量が1,000~40,000であってもよい。重量平均分子量および数平均分子量に関連し、各下限未満の場合、硬化性、強度など接着コーティング層の物性が低下することがあり、各上限超過の場合、前記水溶性樹脂内の相(phase)分離が起こり、複合金属リン酸塩との相溶性が低下することがある。より具体的には、芳香族炭化水素を含む樹脂は5,000~30,000の重量平均分子量を有することができる。また、水溶性樹脂の軟化点(Tg)は30~150℃であってもよく、固体分率(固形分の含有量)は10~50重量%であってもよい。もし、水溶性樹脂の軟化点(Tg)が120℃超過の場合、組成物の粘度が過度に高くなって、コーティング作業性が低下することがある。
【0030】
芳香族炭化水素を含む樹脂は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、10~50重量%含まれる。芳香族炭化水素を含む樹脂が過度に少なく含まれる場合、熱融着層の接着力を適切に確保できない問題が発生しうる。芳香族炭化水素を含む樹脂が過度に多く含まれる場合、芳香族炭化水素を含む樹脂は、応力除去焼鈍段階で一部熱分解されるため、接着層の接着力を適切に確保できない問題が発生しうる。さらに具体的には、芳香族炭化水素を含む樹脂は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、20~40重量%含まれる。
【0031】
接着コーティング物は、炭化水素を含む樹脂に無機ナノ粒子が置換された有機/無機複合体を含む。前述のように、芳香族炭化水素を含む樹脂は、応力除去焼鈍段階で一部熱分解されるため、芳香族炭化水素を含む樹脂だけでは接着層の接着力を適切に確保しにくい。接着層の接着力を適切に付与するために、炭化水素を含む樹脂に無機ナノ粒子が置換された有機/無機複合体を含む。無機ナノ粒子が応力除去焼鈍段階の後、接着層の接着力を付与する。また、複合金属リン酸塩の浸漬(precipitation)やもつれ(agglomeration)現象を防止し、応力除去焼鈍(Stress relief Annealing)後の表面特性をより優れたものに発現するのに寄与する。
【0032】
有機/無機複合体において炭化水素を含む樹脂は、前述した接着コーティング物の成分として炭化水素を含む樹脂の説明と同一であるので、繰り返しの説明は省略する。接着コーティング物の成分として炭化水素を含む樹脂と、有機/無機複合体において炭化水素を含む樹脂とは、同一の種類であってもよい。無機ナノ粒子を、炭化水素を含む樹脂に置換させず、単独で添加する場合、無機ナノ粒子同士で凝集し、分散が行われなくなる。
【0033】
具体的には、無機ナノ粒子は、SiO、Al、TiO、MgO、ZnO、CaO、およびZrOのうちの1種以上を含むことができる。
無機ナノ粒子は、平均粒子サイズが3~50nmであってもよい。
無機ナノ粒子は、有機/無機複合体内に10~50重量%置換されていてもよい。つまり、有機/無機複合体100重量%に対して、無機ナノ粒子が10~50重量%および炭化水素を含む樹脂50~90重量%を含むことができる。無機ナノ粒子の量が少なすぎると、応力除去焼鈍後の接着層の接着力を適切に確保しにくいことがある。無機ナノ粒子の量が多すぎると、無機ナノ粒子が凝集する問題が発生しうる。
【0034】
有機/無機複合体は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、5~40重量%含まれる。有機/無機複合体が過度に少なく含まれる場合、応力除去焼鈍後の接着層の接着力を適切に確保しにくいことがある。また、複合金属リン酸塩の浸漬(precipitation)やもつれ(agglomeration)現象が起こることがある。有機/無機複合体が過度に多く含まれる場合、相対的に炭化水素を含む樹脂の含有量が低くなって、熱融着層の接着力を適切に確保しにくいことがある。さらに、複合金属リン酸塩の含有量が相対的に少なくなって、結合層の結合力が低下することがある。さらに具体的には、有機/無機複合体は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、10~35重量%含まれる。
【0035】
接着コーティング物は、複合金属リン酸塩を含む。本発明の一実施形態で使用されるリン酸塩は、Mx(HPO)yの化学式で表されるもので、Mx(PO)yの化学式で表される金属リン酸塩(metal phosphate)と区別するために、「複合金属リン酸塩」と定義する。
【0036】
前記「複合金属リン酸塩」は、リン酸(HPO)と、金属水酸化物(Mx(OH)y)または金属酸化物(MxO)との反応を利用して製造され、その具体例としては、後述する実施例で使用される第1リン酸アルミニウム(Al(HPO)、第1リン酸コバルト(Co(HPO)、第1リン酸カルシウム(Ca(HPO)、第1リン酸亜鉛(Zn(HPO)、第1リン酸マグネシウム(Mg(HPO)などがある。複合金属リン酸塩は、熱融着による熱融着層の高温接着性、高温耐油性および応力除去焼鈍(Stress Relief Annealing)後の接着層の接着特性に寄与する。前述した炭化水素を含む樹脂および有機/無機複合体とともに含まれるので、接着コーティング組成物は、有機/無機混合組成物になる。
【0037】
先に簡単に言及したが、前記複合金属リン酸塩は、Mx(HPO)yの化学式で表されるもので、Mx(PO)yの化学式で表される金属リン酸塩(metal phosphate)と区別される。このような複合金属リン酸塩1種または2種以上の混合物が前記第2成分に含まれる。先に簡単に言及したが、前記第2成分に含まれる複合金属リン酸塩は、金属水酸化物(Mx(OH)y)または金属酸化物(MxO)と、リン酸(HPO)との反応を利用して製造される。
【0038】
例えば、85重量%の自由リン酸リン酸(HPO)を含むリン酸水溶液を100重量部基準とし、金属水酸化物(Mx(OH)y)または金属酸化物(MxO)をそれぞれ投入し、80~90℃で6~10時間反応させると、それぞれの複合金属リン酸塩が得られる。この時、金属水酸化物(Mx(OH)y)または金属酸化物(MxO)の投入量は、水酸化アルミニウム(Al(OH))の場合に1~40重量部、水酸化コバルト(Co(OH))の場合に1~10重量部、酸化カルシウム(CaO)の場合に1~15重量部、酸化亜鉛(ZnO)の場合に1~20重量部、酸化マグネシウム(MgO)の場合に1~10重量部で、それぞれ前記リン酸水溶液を100重量部基準としたものである。このような各範囲を満足する場合、耐熱性および/または接着性のバランスを維持することができる。
【0039】
複合金属リン酸塩は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、10~30重量%含まれる。複合金属リン酸塩が過度に少なく含まれる場合、応力除去焼鈍後の接着層の接着力を適切に確保しにくいことがある。複合金属リン酸塩が過度に多く含まれる場合、複合金属リン酸塩間の凝集によって、接着層の接着力にむしろ劣ることがある。さらに具体的には、複合金属リン酸塩は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、15~27重量%含まれる。
【0040】
リン酸は、前述した複合金属リン酸塩とともに、熱融着による熱融着層の高温接着性、高温耐油性および応力除去焼鈍(Stress Relief Annealing)後の接着層の接着特性に寄与する。リン酸は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、10~50重量%含まれる。リン酸が過度に少なく含まれる場合、応力除去焼鈍後の接着層の接着力を適切に確保しにくいことがある。リン酸は、水分を吸収する性質があり、リン酸が過度に多く含まれる場合、接着コーティング組成物における水分を吸収して、接着コーティング組成物を凝集させることがある。これによって、接着層の接着力にむしろ劣ることがある。さらに具体的には、リン酸は、接着コーティング物の固形分100重量%基準で、12~35重量%含まれる。
【0041】
結合強化剤は、接着層の耐熱性および/または接着性のバランスを維持するのに寄与し、特に、応力除去焼鈍工程後の接着力を向上させるのに寄与する。結合強化剤は、酸化物、水酸化物、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック、顔料、およびカップリング剤の中から選択される1種以上を含む。具体的には、酸化物として、酸化銅(CuO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化クロム(CrO)、酸化鉄(Fe)、ホウ酸(HBO)、リン酸(HPO)、酸化亜鉛(ZnO)、およびシリカ(SiO)のうちの1種以上になってもよい。特に、シリカは、SiOの粒径が3~100nmのコロイダルシリカを使用することができる。さらに具体的には、水溶液中のSiOの含有量は10wt%~50wt%になってもよい。
【0042】
水酸化物として、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化カルシウム(Ca(OH))、および水酸化カリウム(KOH)のうちの1種以上になってもよい。カーボンナノチューブ(CNT)は、幅方向の直径が1~15nmであり、水溶液に含まれている含有量は1~20wt%のカーボンナノチューブを使用することができる。カーボンブラックは、粒径が1~20μmであり、水溶液に含まれている含有量は5wt%~40wt%のカーボンブラックを使用することができる。
【0043】
顔料は、Phthalocyanine系BlueおよびGreenを使用することができ、粒径は1~30μmを使用することができる。カップリング剤は、シラン系カップリング剤を使用することができ、さらに具体的には、3-Glycidoxypropyltrimethoxysilaneを使用することができる。
【0044】
結合強化剤は、接着コーティング組成物の固形分100重量%に対して、1~15重量%含まれる。前述の範囲を満足する場合、接着層の耐熱性および/または接着性のバランスを維持可能であり、特に、応力除去焼鈍工程後の接着力がはるかに向上できる。結合強化剤の含有量が少なすぎる場合、応力除去焼鈍工程後の接着性に劣ることがある。結合強化剤の含有量が多すぎる場合、熱融着時、接着力に劣ることがある。より具体的には、結合強化剤は3~12重量%含まれる。
【0045】
前述した成分のほか、電磁鋼板接着コーティング組成物は、塗布を容易にし、成分を均一に分散させるために、溶媒を含むことができる。前述した固形分の表現は、溶媒を含む揮発分を除き、残りの固形分を称するのである。
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体は、複数の電磁鋼板と、複数の電磁鋼板の間に位置する熱融着層とを含む。この時、熱融着層とは、前述した接着コーティング組成物を電磁鋼板の表面にコーティングし、硬化させて接着コーティング層を形成し、これを積層して熱融着することによって形成された層を意味する。熱融着過程で樹脂を分解させず、接着コーティング組成物内の樹脂を硬化させて熱融着層に接着力を付与する。このように、熱融着層は適切な接着力を確保することによって、積層された電磁鋼板の位置がずれないようにすることができる。熱融着過程で接着コーティング組成物内の溶媒などの揮発成分は除去され、固形分のみが残存するので、熱融着層は、接着コーティング組成物内の固形分と成分および成分比率が同一である。熱融着層の成分に関する説明は、接着コーティング組成物の説明と重複するので、重複する説明を省略する。
【0046】
本発明の一実施形態による電磁鋼板製品は、複数の電磁鋼板と、複数の電磁鋼板の間に位置する接着層とを含む。図1では、本発明の一実施形態による電磁鋼板製品の模式図を示す。図1に示されるように、複数の電磁鋼板が積層されている形態である。
【0047】
図2では、本発明の一実施形態による電磁鋼板製品の断面の概略図を示す。図2に示されるように、本発明の一実施形態による電磁鋼板製品100は、複数の電磁鋼板10と、複数の電磁鋼板の間に位置する接着層30とを含む。
本発明の一実施形態による電磁鋼板製品は、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の方法を用いず、単純に前述した接着コーティング組成物を用いて接着層を形成することによって、互いに異なる電磁鋼板を熱融着させた製品である。
【0048】
この時、前述した接着コーティング組成物の特性によって、電磁鋼板製品は、熱融着後にも高温接着性および高温耐油性に優れ、特に、応力除去焼鈍(Stress Relief Annealing)まで経て製造された製品であるにもかかわらず、表面特性および接着特性が低下しない特性がある。以下、各構成別に詳細に説明する。
【0049】
電磁鋼板10は、一般的な無方向性または方向性電磁鋼板10を制限なく使用可能である。本発明の一実施形態では、複数の電磁鋼板10の間に接着層30を形成して、電磁鋼板製品100を製造することが主要構成であるので、電磁鋼板10に関する具体的な説明は省略する。
【0050】
接着層30は、複数の電磁鋼板10の間に形成され、複数の電磁鋼板10を、溶接、クランピング、インターロッキングなど既存の締結方法を用いず、接着できる程度に接着力が強い。接着層30は、前述した接着コーティング組成物を表面にコーティングし、硬化させて接着コーティング層を形成し、これを積層して熱融着して熱融着層を形成した後、応力除去焼鈍して接着層を形成することができる。接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板10を積層し熱融着すると、接着コーティング層内の樹脂成分が熱融着されて、熱融着層を形成する。このように、熱融着層が形成された電磁鋼板積層体を再び応力除去焼鈍すると、接着コーティング組成物成分中、樹脂のような有機成分はCO2またはCOに大部分分解され、一部は残存する。分解によって生成されたCO2またはCOは完全に気化せず、接着層30内で炭化物の形態で再結合する。また、有機/無機複合体樹脂および複合金属リン酸塩に由来するOは酸化物の形態で生成され成長する。
【0051】
応力除去焼鈍雰囲気および大気に由来するNは窒化物の形態で生成および成長する。このように生成および成長した炭化物、酸化物、窒化物は、接着層30内で接着力を確保する。本発明の一実施形態において、接着層30は、無機物を50~90重量%含むことができる。接着層30は、無機物ネットワークの形成および成長によって接着力を形成する。無機物が多すぎると、熱融着時、接着力に劣ることがある。無機物が少なすぎると、応力除去焼鈍後、接着力に劣ることがある。さらに具体的には、接着層30は、無機物を60~75重量%含むことができる。
【0052】
本発明の一実施形態において、接着層30は、P:10~30重量%、Si、Ti、Zr、Al、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属:10~30重量%、N:1~10重量%、C:1~10重量%、および残部としてOを含む。リン(P)は、接着コーティング組成物内の複合金属リン酸塩およびリン酸に由来する。Pが適切な含有量で含まれていてこそ、接着性を維持することができる。Si、Ti、Al、Zr、Zn、Mgは、樹脂に置換されている無機ナノ粒子であるSiO、Al、TiO、MgO、ZnO、またはZrOに由来できる。Al、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属は、接着コーティング組成物内の複合金属リン酸塩に由来できる。前述した金属が適切な含有量で含まれていてこそ、接着性を維持することができる。前述した金属を2種以上の複数種含む場合、その複数種の金属の含有量で前述の範囲に含まれる。
【0053】
C、O、Nは、前述したP、およびAl、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属と結合して、炭化物、酸化物、または窒化物を生成および成長させることによって、接着層30内の接着力を確保する。C、O、Nがそれぞれ前述の範囲に含まれてこそ、接着性を確保することができる。Cは樹脂成分、OおよびNは大気に由来できる。
【0054】
本発明の一実施形態において、接着層は、Cu、Cr、Fe、B、Si、Na、およびKのうちの1種以上を1~20重量%さらに含んでもよい。これらの元素は、接着コーティング組成物内の添加剤に由来し、C、O、Nと結合して、炭化物、酸化物、または窒化物を生成および成長させることによって、接着層30内の接着力を確保する。
【0055】
本発明の一実施形態において、炭化物とは、CaC、Na、H、Al、Mg、SiC、BC、CO、COなどになってもよいし、酸化物とは、NaO、KO、CaO、MgO、Al、Fe、CoO、MgO、NaO、CaO、FeO、Al、KO、SiOなどになってもよく、窒化物は、KN、Mg、Ca、FeN、Zn、(CN).S、SiNなどになる。
【0056】
接着層30は、接着層30の断面面積に対して、接着層30内の無機成分が互いに凝集して粒径30nm以上の凝集体を形成した面積分率が0.1以下であってもよい。面積分率とは、全体面積を1とした時、凝集体の面積を意味する。前述した接着コーティング組成物内の水溶性樹脂成分によって、複合金属リン酸塩および添加剤内の無機成分が均等に分散し、応力除去焼鈍しても無機成分が凝集しなくなる。このように、無機成分が凝集せず、均等に分散して、接着層30内の接着力をさらに確保することができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、凝集体とは、前述したP、Si、Al、Co、Ca、Zn、MgなどがC、O、Nと反応して凝集したものを意味する。
接着層30は、接着層30の断面面積に対して、気孔の占める面積の分率が0.5以下であってもよい。このように気孔の占める面積が少ないため、応力除去焼鈍しても水溶性有機成分が熱分解されて生成されるCO、CO2が完全に気化せず、炭化物または酸化物の形態で生成される。さらに具体的には、気孔の占める面積の分率が0.1以下であってもよい。さらに具体的には、気孔の占める面積の分率が0.01以下であってもよい。
【0058】
接着層30の厚さは0.5~25μmであってもよい。この範囲を満足する場合、接着層30の優れた表面特性(例えば、絶縁性、耐食性、密着性など)を有することができる。接着層30の硬度はロックウェル硬度基準5以上であってもよい。硬度が低すぎると、表面にStickyと加工性に問題が発生しうる。
【0059】
図3は、本発明の他の実施形態による電磁鋼板製品の断面の概略図を示す。図3に示すように、本発明の一実施形態による電磁鋼板製品100は、複数の電磁鋼板10と、複数の電磁鋼板の間に位置する接着層30と、電磁鋼板10および接着層30の間に位置する酸化層20とを含む。
【0060】
酸化層20は、応力除去焼鈍過程で融着層にある無機および金属成分と素地層にある酸化物とが高温反応によってDenseなPassivation Layerを生成する。酸化層20が形成されることによって、電磁鋼板10内に酸化物が生成されることが抑制され、電磁鋼板製品100の磁性をさらに向上させることができる。
【0061】
酸化層は、P:10~30重量%、Si、Ti、Zr、Al、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属:10~30重量、および残部としてOを含むことができる。Pは、接着層30のように接着コーティング組成物内の複合金属リン酸塩に由来する。Si、Ti、Zr、Al、Co、Ca、Zn、およびMgから選択される1種以上の金属は、接着コーティング組成物内の水溶性樹脂に置換されている無機ナノ粒子および複合金属リン酸塩に由来する。酸化層20は、N、Cをほとんど含まない点から、接着層30と区別される。その他にも、酸化層20は、応力除去焼鈍過程で電磁鋼板10から拡散するFe、Siなどをさらに含んでもよい。
【0062】
酸化層20の厚さは10~500nmであってもよい。酸化層20の厚さが薄すぎると、電磁鋼板10内に酸化物が生成されて磁性に悪影響を及ぼすことがある。酸化層20の厚さが厚すぎると、酸化層と樹脂層との密着性が良くなくて、むしろボンディング力に劣ることがある。酸化層20は、接着層30に比べて硬度が高い。具体的には、酸化層20の硬度はロックウェル硬度基準20以上であってもよい。
【0063】
前述のように、酸化層20が形成されることによって、電磁鋼板10内に酸化物が生成されることが抑制される。具体的には、酸化層20と電磁鋼板10との界面から電磁鋼板10の内部方向に10μm以内で生成された酸化物の面積分率が0.05以下であってもよい。また、酸化物が生成されてもその粒径が非常に小さくて、磁性に及ぼす影響を最小化することができる。具体的には、酸化層20と電磁鋼板10との界面から電磁鋼板10の内部方向に10μm以内で生成された酸化物の平均粒径は0.01~5μmであってもよい。
【0064】
本発明の一実施形態による電磁鋼板製品の製造方法は、接着コーティング組成物を準備する段階と、接着コーティング組成物を電磁鋼板の表面にコーティングした後、硬化させて接着コーティング層を形成する段階と、接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して熱融着層を形成する段階と、熱融着された電磁鋼板積層体を応力除去焼鈍して、接着層を形成する段階とを含む。
【0065】
以下、各段階別に具体的に説明する。
【0066】
まず、接着コーティング組成物を準備する。接着コーティング組成物については前述したので、繰り返しの説明を省略する。次に、接着コーティング組成物を電磁鋼板の表面にコーティングした後、硬化させて接着コーティング層を形成する。この段階は、接着コーティング組成物の硬化のために、200~600℃の温度範囲で行われる。接着コーティング層が形成された複数の電磁鋼板を積層し、熱融着して熱融着層を形成する。熱融着する段階により接着コーティング層内の樹脂成分が熱融着し、熱融着層を形成する。
【0067】
熱融着する段階は、150~300℃の温度、0.5~5.0Mpaの圧力、および0.1~120分の加圧条件で熱融着することができる。前記条件は、それぞれ独立して満足することができ、2以上の条件を同時に満足することもできる。このように熱融着する段階での温度、圧力、時間条件を調節することによって、電磁鋼板の間に、ギャップや、気孔なしに、密に熱融着できる。熱融着する段階は、昇温段階および融着段階を含み、昇温段階の昇温速度は10℃/分~1000℃/分になってもよい。
【0068】
熱融着層の収縮率が0.1%以下になってもよい。この時、収縮率は、([熱融着層を形成する段階の前の接着コーティング層の厚さ]-[熱融着層を形成する段階の後の熱融着層の厚さ])/[熱融着層を形成する段階の前の接着コーティング層の厚さ]で計算される。熱融着層の収縮率が小さいとの意味は、熱融着層内に気孔や、ギャップなしに密に熱融着されたことを意味し、この後、応力除去焼鈍過程で水溶性樹脂成分が分解されて生成されたGas(CO、CO2など)が接着層の外部に抜け出ず、炭化物、酸化物に形成されることを意味する。したがって、収縮率が低いほど、接着層の接着力が向上する。
【0069】
次に、熱融着された電磁鋼板積層体を応力除去焼鈍して、接着層を形成する。応力除去焼鈍は、500~900℃の温度で30~180分間行われる。
接着層を形成する段階は、変性気体または窒素(N2)気体雰囲気で行われる。具体的には、変性気体は、液化天然ガス(LNG)10~30体積%および空気70~90体積%を含む気体を意味する。窒素気体雰囲気とは、窒素を含む雰囲気を意味する。具体的には、窒素100体積%の気体または窒素90~100体積%未満、および水素0超過~10体積%を含む気体を意味する。
【0070】
接着層を形成する段階は、接着層と電磁鋼板との間に酸化層がさらに生成されてもよい。接着層および酸化層については前述したので、重複する説明を省略する。このように、本発明の一実施形態による電磁鋼板製品の製造方法によって製造する場合、応力除去焼鈍(Stress Relief annealing)後にも電磁鋼板自体の磁性(具体的には、鉄損、磁束密度など)が向上するだけでなく、接着コーティング層による高温接着性および高温耐油性に優れ、特に、応力除去焼鈍(Stress Relief Annealing)後にも表面特性および接着特性が低下しない。
【0071】
以下、本発明の好ましい実施例、これに対比される比較例、およびこれらの評価例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0072】
「実験例1」
接着コーティング組成物は、下記表1および表2に示しており、水溶性樹脂に置換されたナノ粒子の含有量は、水溶性樹脂の固形分100重量%対比、10重量%に固定し、粒子サイズは、置換されたナノ粒子の種類によって5nm~50nmである。電磁鋼板(50×50mm、0.35mmt)を供試片として準備した。下記表1および表2にまとめられた成分から構成された接着コーティング溶液を、Bar CoaterおよびRoll Coaterを用いて、各準備された供試片に上部と下部に一定の厚さ(約5.0μm)に塗布し、400℃で20秒間硬化した後、空気中でゆっくり冷却させて、接着コーティング層を形成した。
【0073】
接着コーティング層がコーティングされた電磁鋼板を高さ20mmに積層した後、500Kgfの力で加圧して、220℃、60分間熱融着した。融着条件下で得られた電磁鋼板を、応力除去焼鈍条件である780℃、窒素100体積%の雰囲気で応力除去焼鈍を行った。条件別に熱融着された電磁鋼板の接着力と応力除去焼鈍を行った各電磁鋼板に対する剪断面引張法によって接着力を測定して、表3に示した。
【0074】
その具体的な評価条件は次の通りである。
液安定性:各接着コーティング組成物を撹拌機によって30分間強く撹拌させた後、撹拌なしに30分間維持する。その後に、組成物内に沈殿やゲル(Gel)現象の有/無で判断した。
【0075】
表面特性:各接着コーティング組成物によって形成された熱融着前のコーティング層に対して、絶縁性、耐食性、および密着性を総合的に観察して評価したもので、絶縁性、耐食性、および密着性がすべて優れている場合に非常に優秀、これらのうち2つの項目が優れている場合に優秀、1つの項目が優れている場合に普通、すべて劣っている場合に劣位と表現した。
【0076】
接着力:上部/下部ジグ(JIG)に一定の力で固定させた後、一定の速度で引っ張りながら積層されたサンプルの引張力を測定する装置を用いて、応力除去焼鈍前後の接着力をそれぞれ測定した。この時、測定された値は、積層されたサンプルの界面中における、最小接着力を有する界面が脱落する地点を測定した。応力除去焼鈍前後の接着力は、それぞれ異なる基準で評価した。熱融着後応力除去焼鈍前に測定した接着力が1.0MPa以上の時に非常に優秀、0.5MPa以上の時に優秀、0.2MPa以上の時に普通、0.1MPa以下の時に劣位と表現した。一方、応力除去焼鈍まで終えた後に測定した接着力が0.5MPa以上の時に非常に優秀、0.2MPa以上の時に優秀、0.1MPa以上の時に普通、0.05MPa以下の時に劣位と表現した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
表1~表3から分かるように、本願の構成成分および成分比率をすべて満足する実施例1~実施例10は、表面特性、応力除去焼鈍前の熱融着層の接着力および応力除去焼鈍後の接着層の接着力がすべて優れていることを確認することができる。
【0081】
有機/無機複合体、金属リン酸塩、および添加剤から構成された接着コーティング組成物の溶液安定性は、CNTまたはカーボンブラック(実施例8、9)が添加される場合、やや劣る傾向を示しており、CNTおよびカーボンブラックを除いたその他の添加剤は、全般的に水溶性樹脂および金属リン酸塩との溶液安定性には優れている。熱融着は、温度220℃、加圧力500Kgf、加圧時間60分でいずれも同一の条件で熱融着した後、接着力を評価した。全般的に金属リン酸塩と添加剤の注入含有量が高いほど、熱融着後の接着力はやや劣る傾向を示した。
【0082】
熱融着された電磁鋼板を、焼鈍温度780℃、焼鈍時間120分、100体積%のN2雰囲気で応力除去焼鈍後、接着力を評価した。応力除去焼鈍後の接着力は、応力除去焼鈍前の接着力対比、相対的に劣る傾向にある。これは、高温の応力除去焼鈍工程で水溶性樹脂が分解され、一枚一枚の間に気孔が存在して相対的に接着力が弱くなるためと分析される。しかし、応力除去焼鈍工程前に熱融着によって一枚一枚の間が非常に緻密に接着されていて、雰囲気(窒素、酸素、または一酸化炭素など)の侵入を防止して分解された樹脂の消失を最小化することによって、一枚一枚の電磁鋼板のボンディング層の間に依然として接着力を維持している。また、高温の雰囲気で水溶性樹脂が分解されながら電磁鋼板と接着コーティングとの界面間に酸化層が形成され、応力除去焼鈍過程で酸化物が成長することによって、応力除去焼鈍処理後にも一枚一枚の電磁鋼板の間の接着力が向上する。
【0083】
反面、比較例1~比較例3は、芳香族炭化水素を有していない樹脂を適用して、表面特性および応力除去焼鈍前の熱融着層の接着力は確保可能であるが、応力除去焼鈍(SRA)後の接着層の接着力に劣ることを確認することができる。また、比較例4~比較例7では、リン酸を除いて複合金属リン酸塩のみを用いて、応力除去焼鈍(SRA)後の接着層の接着力に劣ることを確認することができる。
【0084】
さらに、比較例8~比較例11では、結合強化剤を用いず、応力除去焼鈍(SRA)後の接着層の接着力に劣ることを確認することができる。
また、比較例12~比較例15では、複合金属リン酸塩を除いてリン酸のみから構成された組成を用いて、応力除去焼鈍(SRA)後の接着層の接着力に劣ることを確認することができる。
【0085】
「実験例2」
実験例1と同一に実施するが、接着コーティング溶液の成分および応力除去焼鈍条件を下記表4のように変更した。
【0086】
【表4】
【0087】
図4は、実施例7において熱融着工程を終えた(SRA工程前)、電磁鋼板製品の断面に対する走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真を示すものである。図4を参照すれば、実施例7において熱融着工程を終えた製品の断面は、熱融着層内に空き空間なく融着されたと観察される。図5では、熱融着層の厚さを測定した。5.5~5.6μmの厚さの熱融着層が形成されたことを確認した。
【0088】
図6および図7では、熱融着層のSi、およびP元素の分析結果をそれぞれ示した。図6および図7に示されるように、熱融着層内にSiおよびP元素が均一に分散していることを確認することができる。図8は、実施例7、8、11および12における熱融着後の、熱融着層の接着力の測定結果を示した。熱融着後、いずれも2.0~2.5MPaの優れた接着力を有することを確認することができる。
【0089】
図9および図10は、実施例7および11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。窒素雰囲気で応力除去焼鈍する場合、変性ガス雰囲気で応力除去焼鈍することに比べて空隙が少なく形成され、緻密な接着層が形成されることを確認することができた。
【0090】
図11は、実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真および厚さの測定結果である。電磁鋼板および接着層の間に205~219nmの酸化層が形成されていることを確認することができる。図12図17は、実施例7における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。P、Si、C、Fe、K、O、Alなどの元素が接着層および酸化層に均一に分散していることを確認することができる。図18図23は、実施例11における応力除去焼鈍後の、電磁鋼板製品の断面の電子探針微細分析(EPMA)結果である。P、Si、C、Fe、K、O、Alなどの元素が接着層および酸化層に均一に分散していることを確認することができる。図24は、実施例7、8、11および12における応力除去焼鈍後の、接着層の接着力の測定結果である。変性ガス雰囲気で応力除去焼鈍する場合、窒素雰囲気で応力除去焼鈍するものに接着力が高く測定された。弱酸化性の変性ガス雰囲気によって接着層内に混合リン酸塩と金属成分がさらに強固な酸化層を形成して接着力が向上するためと分析される。
【0091】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施可能であることを理解するであろう。そのため、以上に述べた実施例はあらゆる面で例示的なものであり、限定的ではない。
【符号の説明】
【0092】
100 電磁鋼板製品
10 電磁鋼板
20 酸化層
30 接着層
図1
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