(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ピボットシーアンカーシステム
(51)【国際特許分類】
B63B 21/48 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
B63B21/48
(21)【出願番号】P 2019536624
(86)(22)【出願日】2017-09-20
(86)【国際出願番号】 AU2017051025
(87)【国際公開番号】W WO2018053586
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-15
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519098442
【氏名又は名称】ウィミン アット ワーク グループ ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WOMEN AT WORK GROUP PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ ルーク
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-046883(JP,A)
【文献】米国特許第08550023(US,B1)
【文献】特表2013-536789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の漂流を制御するために、前記船舶上に取り付け可能な可変ジオメトリシーアンカーであって、
前記船舶の甲板部分に取り付け可能な支持構造体と、
前記支持構造体に調整可能に取り付けられたマスト支持アセンブリと、
前記マスト支持アセンブリに動作可能に相互に連結されたマストアセンブリと、
前記支持構造体に取り付けられ、かつ前記マスト支持アセンブリに動作可能に連結されて、前記マストアセンブリの支持フレームの向きを選択的に制御する、少なくとも第1のアクチュエータと、を備え、
前記マストアセンブリは、
前記マスト支持アセンブリによって、保管定位と動作定位との間の第1の平面、および保管ジオメトリと漂流制御ジオメトリとの間の第2の平面において
、同時に調整可能な前記支持フレームと、
前記支持フレームによって取り付けられたウェブシートであって、前記漂流制御ジオメトリにおいて効果的な漂流制御を提供するように、前記支持フレームによって移動可能であるウェブシートと、を備え、
漂流制御動作状態では、前記少なくとも第1のアクチュエータが前記マスト支持アセンブリに作用して、前記支持フレームの
前記向きを前記保管定位と前記動作定位との間の前記第1の平面内で変化させ、かつ前記支持フレームが前記第2の平面内でジオメトリを変化させて、前記支持フレームとウェブシートとの組み合わせが前記船舶の漂流を制御するのに有効な動作構成を採用するようにする、可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項2】
前記マストアセンブリの向きおよびジオメトリが前記マスト支持アセンブリによって制御可能であり、索具がねじれ及び再展開に時間を要する欠点を最小限に抑える、請求項1に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項3】
前記支持フレームが、前記マスト支持アセンブリに取り付けられて前記マスト支持アセンブリによって移動自在に調整可能である一対のアームを備え、前記一対のアームは、保管定位において、水面から上方または垂直位置にユニット構造を形成する、請求項1に記載の可変ジオメトリアンカー。
【請求項4】
前記支持フレームの一対のアームは、動作制御または漂流制御状態において、前記保管定位から水中に下方に向けられ、前記アームは、前記調整可能なマスト支持アセンブリによって分離されて台形形状を形成する、請求項1に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項5】
前記保管定位では、一対のアームが当接してユニットを形成すると、前記ウェブシートは前記一対のアームの間
で折り畳まれて排水を許容する、請求項1に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項6】
動作制御または漂流制御状態では、一対のアームが離れて台形形状を形成すると、前記アームの間に前記ウェブシートが延在し、したがって前記アームの間に漂流を制御するためのウェビングが形成される、請求項1に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項7】
船舶の漂流を制御するために、前記船舶上に取り付け可能な可変ジオメトリシーアンカーであって、
前記船舶の甲板部分に取り付け可能な支持構造体と、
前記支持構造体に調整可能に取り付けられたマスト支持アセンブリと、
マストアセンブリと、
前記支持構造体に取り付けられ、かつ前記マスト支持アセンブリに動作可能に連結されて、前記マスト支持アセンブリを選択的に制御する、第1のアクチュエータと、を備え、
前記マストアセンブリは、
前記マスト支持アセンブリに取り付けられて前記マスト支持アセンブリによって保管構成及び動作構成の間で移動自在に調整可能である、一対のアームを備える支持フレームと、
前記支持フレームの前記一対のアームによって取り付けられたウェブシートであって、前記アームによって保管状態と動作状態との間で移動可能であるウェブシートと、を備え、
漂流制御動作状態では、少なくとも前記第1のアクチュエータが前記マスト支持アセンブリに作用して、前記支持フレームの向きを保管位置と使用位置との間で変化させ、かつ前記マストアセンブリの前記支持フレームの前記アームが、前記アームによって再形成されるジオメトリを変化させて、前記マストアセンブリの前記ウェブシートが前記船舶の漂流を制御するのに有効な前記アームによる動作構成を採用するようにする、可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項8】
前記可変ジオメトリシーアンカーは、前記マストアセンブリに動作可能に連結された第2のアクチュエータをさらに含むことができ、前記第2のアクチュエータは、水中で前記マスト支持アセンブリに対する前記ウェブシートの角度を変化させるように動作して、漂流制御をさらに支援することができる、請求項7に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項9】
前記ウェブシートは、前記アームが動作状態から保管位置に移動するときに前記ウェブシートの折り畳みを助けるために、上縁部に複数の磁石をさらに含む、請求項8に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項10】
前記支持構造体は、ボートの甲板部分に取り付け可能なベースプレートと、前記ベースプレートに角度を付けて固定された一対のアーム部材と、を備えることができる、請求項9に記載の可変ジオメトリアンカー。
【請求項11】
前記マスト支持アセンブリは、一端で前記第1のアクチュエータに枢動可能に連結された一連の相互連結ピボットアームと、前記マスト支持アセンブリに取り付けられた固定アーム部材上の転心と、を備えることができる、請求項10に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項12】
前記ウェブシートは、厚さが約0.5mmのネオプレン材料から製造されている、請求項7に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項13】
前記一対のアーム部材は、アルミニウム、炭素繊維またはガラス繊維を含む一連の材料から製造されたポールである、請求項11に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項14】
船舶の漂流を制御するために、前記船舶上に取り付け可能な可変ジオメトリシーアンカーであって、
前記船舶の甲板部分に取り付け可能な支持構造体と、
前記支持構造体に調整可能に取り付けられたマスト支持アセンブリと、
マストアセンブリと、
前記支持構造体に取り付けられ、かつ前記マスト支持アセンブリに動作可能に連結されて、前記マスト支持アセンブリを選択的に制御する、少なくとも第1のアクチュエータと、を備え、
前記マストアセンブリは、前記マスト支持アセンブリに取り付けられて前記マスト支持アセンブリによって保管構成と動作構成との間で移動自在に調整可能である、一対のアームを備える支持フレームと、前記支持フレームの前記一対のアームによって取り付けられた折り畳み可能な材料と、を備え、
保管状態では、前記アームが当接して前記材料が前記アーム間で折り畳まれ、
第1の選択漂流制御動作状態では、前記少なくとも第1のアクチュエータが前記マスト支持アセンブリに作用して、前記マストアセンブリの向きを保管位置と使用位置との間で変化させ、かつ前記マストアセンブリの前記アームが分離されて、前記マストアセンブリの折り畳み可能な前記材料が前記船舶の漂流を制御するのに有効な前記アームによる構成を採用するようにする、可変ジオメトリアンカー。
【請求項15】
船舶の漂流を制御するために、前記船舶上に取り付け可能な可変ジオメトリシーアンカーであって、
前記船舶の甲板部分に取り付け可能な支持構造体と、
前記支持構造体に調整可能に取り付けられたマスト支持アセンブリと、
マストアセンブリと、
前記支持構造体に取り付けられ、かつ前記マスト支持アセンブリに動作可能に連結されて、前記マスト支持アセンブリを選択的に制御する、第1のアクチュエータと、
前記マストアセンブリに取り付けられて動作可能に連結された第2のアクチュエータであって、水中における前記マスト支持アセンブリに対するウェブシートの角度を変化させるように動作して、細やかな漂流制御をさらに支援することができる、第2のアクチュエータと、を備え、
前記マストアセンブリは、前記マスト支持アセンブリに取り付けられて前記マスト支持アセンブリによって保管構成と動作構成との間で移動自在に調整可能である、一対のアームを備える支持フレームと、前記支持フレームの前記一対のアームによって取り付けられた前記ウェブシートであって、前記アームによって保管状態と動作状態との間で移動可能であるウェブシートと、を備え、
漂流制御動作状態では、少なくとも前記第1のアクチュエータが前記マスト支持アセンブリに作用して、前記支持フレームの向きを保管位置と使用位置との間で変化させ、かつ前記マストアセンブリの前記支持フレームの前記アームが、前記アームによって再形成されるジオメトリを変化させて、前記マストアセンブリの前記ウェブシートが前記船舶の漂流を制御するのに有効な前記アームによる動作構成を採用するようにする、可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項16】
前記ウェブシートは、前記アームが動作状態から保管位置に移動するときに前記ウェブシートの折り畳みを助けるための、バッフルまたは磁石を含み得る内部パネルを含む、請求項7に記載の可変ジオメトリシーアンカー。
【請求項17】
船舶の漂流を制御するための可変ジオメトリアンカーであって、
支持構造体と、
前記支持構造体に枢動可能に取り付けられたマスト支持アセンブリであって、一対のマストアームと前記マストアームに取り付けられた折り畳み式又は可撓性構造とを含み、前記マストアームが第1の保管ジオメトリと動作ジオメトリとの間で移動可能である、マスト支持アセンブリと、
前記支持構造体に枢動可能に連結され、かつ前記マストアーム上の固定ピボット取付け部で前記マスト支持アセンブリに動作可能に連結された開閉サブシステムと、を備え、
前記開閉サブシステムは、前記マスト支持アセンブリのジオメトリを制御して、保管定位では、前記開閉サブシステムが前記マストアーム
を一緒に閉じることにより、前記折り畳み式または可撓性構造が前記マストアームの間に受容されるようにし、使用状態では、前記開閉サブシステムが前記マストアームを作動的に引き離すことにより、前記マストアームの間で前記折り畳み式または可撓性構造を扇形に広げるようにする、可変ジオメトリアンカー。
【請求項18】
前記支持構造体に取り付けられ、かつ前記マスト支持アセンブリに動作可能に連結されたフリップフロップサブシステムをさらに含み、前記フリップフロップサブシステムは、前記開閉サブシステムに対する個別または組み合わせの動作で、マスト支持アセンブリの向きを
、直立位置または保管位置から前記船舶の甲板の下方の位置まで変化させるようになっている、請求項17に記載の船舶の漂流を制御するための可変ジオメトリアンカー。
【請求項19】
前記開閉サブシステムは、リニアアクチュエータとピボットアームアセンブリとを備え、前記
マストアームの一端がピボット取付け部によって前記マスト支持アセンブリの上脚部に連結され、前記
マストアームの他端がリニアアクチュエータに枢動可能に連結されている、請求項17に記載の船舶の漂流を制御するための可変ジオメトリアンカー。
【請求項20】
前記フリップフロップサブシステムは、ピストンを有するリニアアクチュエータであって、一端がベース支持体または甲板に固定的に取り付けられたリニアアクチュエータと、一端で前記ピストンに、他端で固定支持体上のピボット取付け部に枢動可能に取り付けられたスイングアームであって、前記マスト支持アセンブリにさらに動作可能に連結されたスイングアームと、を含み、
前記フリップフロップサブシステムの前記
リニアアクチュエータは、前記スイングアームを弧状の経路で反転し、前記マスト支持アセンブリの前記向きを変える、請求項18に記載の船舶の漂流を制御するための可変ジオメトリアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたシーアンカーおよび該改良されたシーアンカーを使用してボートなどの船舶の漂流を制御するためのシステムに関する。
【0002】
特に、本発明は、魚釣りをしているときの漂流を制御して、ボート経験と釣りの成果を実質的に改善するのに有効である、船舶用の改良された可変ジオメトリアンカーに関する。
【0003】
本発明は、ボートなどの船舶または船の漂流の制御を改善するための改良されたアンカーで使用し、あるいは該アンカーとともに使用するために主に開発されており、本出願を参照して以下に説明される。しかしながら、本発明は、この特定に使用分野に限定されないことが理解されよう。
【背景技術】
【0004】
船またはボートなどの船舶用のアンカーは、通常は金属製であり、船舶または船が風や海流によって漂流するのを防ぎ、かつ荒天時に船舶を安定させるべく、船舶を水域の底に接続するために使用される装置である。従来のアンカーは、様々な形態をとり得るが、一般には、ロープまたはチェーンを使用して船舶に繋がれた塊の形態を有する。その塊は、船舶を固定するために水域の中へ投げ出されるか、あるいは水域中に落とされて、水域の底に沈みこんで海底と噛み合う。
【0005】
様々な魚が住む浅瀬で行われることが多い、スポーツおよびレクリエーションを目的とした釣りにおいては、従来のアンカーの使用はしばしば望ましくない。これは、船舶が水流によって不規則に、そして広く漂流するためである。この漂流効果は、生き餌が広がっている浅瀬釣りに最も有利な位置以外の、意図しない位置にボートを配置する可能性がある。漂流を制御できない結果、釣り人はボートの位置を変えるためにアンカーを定期的に引っ張る必要があり得る。スポーツフィッシングでは、一般的に漂流を制御することが必要であるが、例えば、動きの速い流れまたは適度な微風において、従来のアンカーでは漂流の制御がほとんどなされない。
【0006】
釣り人が魚を視覚的に探し出そうとしているとき、従来のアンカーではさらなる問題が生じる。経験豊富な釣り人は、多くの場合、魚の収穫量が最適になる場所を目視で見つけ、当該場所に船舶を配置して固定することができる。しかしながら、従来のアンカーを使用する場合、アンカーの塊が水域の底面全体に引きずられて粒子状物質がかき混ぜられ、水中に対する釣り人の視界が不明瞭になる状況下では、釣り人の技能は制限されてしまう。アンカーの塊が水域を横切る際、該水域の底で成長している植生もまた付随して損傷され得る。
【0007】
上述の問題に加えて、アンカーを水中に投げ入れる行為は、しばしば大きな騒音を引き起こし、水との接触時に水を飛び散らせるので、ボート付近の魚を追い払ってしまう可能性がある。従来のアンカーを使用する場合、釣り人は、漂流を制御し、魚を怖がらせないように騒音を最小限に抑え、魚の目視を維持するために海底を横切る引きずりを最小限に抑えるために、あらゆる試みをしなければならない。
【0008】
従来技術では、従来のアンカーの問題に対処するためのいくつかの試みがなされてきた。漂流を制御するためのある試みは、索具が解放されたときにキャノピーが水中で開くことを可能にするキャノピーおよび付随の索具を有する、パラシュートタイプのシーアンカーまたはドロウグの使用であった。このタイプのアンカーは、船舶が使用不可能になったときに、船舶の船首を海中に保持するための安全装置としてより適している傾向にある。特定の欠点は、索具がねじれてしまうことがあり、索具とシュートをデッキに戻すと、次回の展開前にシステムを手作業で解撚する必要がしばしばあり、また、吊索を解撚する過程でオペレータが濡れる場合があることである。
【0009】
他のタイプのアンカーは、ナイロンまたはポリプロピレンなどの軽量材料から製造された漂流制御ソックを含み得る。制御ソックは、水を受けて反対側の端部の小さな開口部を通る流れを制限するための漏斗形のシュートと、船舶に繋がれたトリップラインであって、魚と格闘するか別の場所に移動するために、オペレータがシュートをつぶして該シュートをボート内に引っ張ることを可能にするトリップラインと、を含み得る。漂流制御ソックはまた、回転を制御しながら、上方部分の浮揚および漏斗の迅速な開口を促進するために、下端に重りを含む。しかしながら、このタイプのアンカーは、船舶のスクリューに巻き込まれて回転したりつぶれたりする傾向があり、保管および/または配置転換のために、水中での展開から船上に持ち込まれる際には、ボートとの絡み合いを最小限に抑えるようにしながら、肉体的に/手作業で巻き戻し、過剰な水分を振り落とす必要がある。しばしば魚釣りの場合、および時間が本質的である場合、崩壊し、回収ラインを引き上げ、余分な水分を振り落とし、最展開のためにもつれを解いて折り畳むのにかかる時間は、漁獲の可能性が失われることを意味する。さらなる欠点は、アンカーを使用しない場合には、アンカーを梱包して片づけておく必要があることである。アンカーをボードの床上に置いたままにすると、スピード走行時にアンカーが風に巻き込まれる可能性がある。制御ソックのさらに別の欠点は、使用時に、ソックが配置されているボートの正面およびボートの反対側での釣りが制限されること、すなわち、従来の方法でボートのソックと同じ側面から釣りを行うことができないことである。
【0010】
シュートタイプの漂流制御ソックおよびシーアンカーの使用は、一般に、合理的なレベルの船員関係を必要とし、ボートを再配置する必要がある前に漂流の範囲を制限する。これらの欠点に対処するための最近の試みにより、海底を貫通する伸縮式タロンまたは伸縮自在の引込み式スパイクを垂直に開放するように遠隔操作可能である、ボートの後端部に取り付けられた浅瀬アンカーがもたらされた。そのようなデバイスは、ボートを特定の場所に固定する。しかしながら、1つの欠点は、そのようなデバイスが浅瀬に限定されることである。さらなる欠点は、デバイスが船舶を固定して漂流を制限する傾向にあることである。
【0011】
したがって、従来技術のアンカーは、以下のうちの1つ以上を含む一連の問題を有することが分かる。
a.複雑な構造;
b.漂流制御の欠如;
c.索具のねじれと絡み合い;
d.索具とプロペラのもつれ;
e.再展開および/または保管のための索具の運搬および水の除去;
f.索具の運搬および再展開の準備のための時間経過;
g.ボートの正面または反対側からの釣りの制限。
【0012】
上記を考慮して、従来技術の欠点の少なくとも1つ以上に対処し改善するか、あるいは従来技術の欠点の1つ以上を回避するための実用的なバリエーションを提供するアンカーを有することが望ましい。
【0013】
本明細書で先行技術情報が参照される場合、そのような参照は、その情報がオーストラリアまたはその他の国における共通の一般的知識の一部を形成するという承認を構成するものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、ボートなどの船舶の漂流を制御するために、該船舶上に取り付け可能な可変ジオメトリアンカーが提供され、該アンカーは:船舶の甲板部分に取り付け可能な支持構造体と;支持構造体に調整可能に取り付けられたマスト支持アセンブリと;マスト支持アセンブリに動作可能に相互に連結されたマストアセンブリであって:マスト支持アセンブリによって:保管定位と動作定位との間の第1の平面、および保管ジオメトリと漂流制御ジオメトリとの間の第2の平面において、実質的に同時に調整可能な支持フレームと;支持フレームによって取り付けられたウェブシートであって、漂流制御ジオメトリにおいて効果的な漂流制御を提供するように、支持フレームによって移動可能であるウェブシートと、を備えるマストアセンブリと;支持構造体に取り付けられ、かつマスト支持アセンブリに動作可能に連結されて、マストアセンブリの支持フレームの向きを選択的に制御する、少なくとも第1のアクチュエータと;を備え、漂流制御動作状態では、少なくとも第1のアクチュエータがマスト支持アセンブリに作用して、支持フレームの向きを保管定位と動作定位との間の第1の面内で変化させ、かつ支持フレームが第2の平面内でジオメトリを変化させて、支持フレームとウェブシートとの組み合わせが船舶の漂流を制御するのに有効な構成を採用するようにする。
【0015】
本発明は、索具のねじれや再展開にかかる時間などの従来技術の欠点を最小限に抑えるように、マストアセンブリの向きおよびジオメトリがマスト支持アセンブリによって制御可能である点において、従来技術のアンカーシステムに対して進歩している。
【0016】
支持フレームは、マスト支持アセンブリに取り付けられて当該マスト支持アセンブリによって移動自在に調整可能である一対のアームを備えることができ、当該一対のアームは、保管定位において、水面から上方または垂直位置にユニット構造を形成するようになっている。
【0017】
動作状態または漂流制御状態において、支持フレームの一対のアームは、保管定位から水中に下方に向けられ、調整可能なマスト支持アセンブリによって分離されてウェブシートを開く。一実施形態では、アーム間の距離をマスト支持アセンブリによって調整し、ウェブシートを広げて引っ張り、水流に対する調整可能で制御された抵抗を提供することができる。
【0018】
保管定位では、一対のマストアームが当接して単一構造を形成すると、ウェブシートはそれらの間に実質的に折り畳まれて排水を許容する。したがって、従来技術のように索具を解く必要がなく、アセンブリを直ちに再展開することができる。
【0019】
動作制御またはドリフト制御状態では、一対のマストアームが離れて台形形状を形成すると、アームの間にウェブシートが延在し、したがってアームの間に、抵抗を作り出して漂流を制御するためのウェビングが形成される。
【0020】
一実施形態において、マストアセンブリは、保管状態において一対のマストアームを受容するための保管シースをさらに含むことができる。
【0021】
好ましくは、甲板部分は船尾梁(トランサム)である。
【0022】
本発明の関連する態様では、ボートなどの船舶の漂流を制御するために、該船舶上に取り付け可能な可変ジオメトリシーアンカーが開示されており、該アンカーは:船舶の甲板部分に取り付け可能な支持構造体と;支持構造体に調整可能に取り付けられたマスト支持アセンブリと;マストアセンブリであって:マスト支持アセンブリに取り付けられて当該マスト支持アセンブリによって保管構成と動作構成との間で移動自在に調整可能である、一対のアームを備える支持フレームと、支持フレームの一対のマストアームによって取り付けれたウェブシートであって、アームによって保管状態と動作状態との間で移動可能であるウェブシートと、を備えるマストアセンブリと;支持構造体に取り付けられ、かつマスト支持アセンブリに動作可能に連結されて、当該マスト支持アセンブリを選択的に制御する、第1のアクチュエータと、を備え、漂流制御動作状態では、少なくとも第1のアクチュエータがマスト支持アセンブリに作用して、支持フレームの向きおよび構成を保管位置と使用位置との間で変化させ、かつマストアセンブリのアームおよび相互に連結されたウェブシートが、船舶の漂流を制御するための有効な動作構成を提供する。
【0023】
本発明は、従来技術と比較して、非常に迅速かつ効率的に再展開することができる。さらに、保管状態において、マストアセンブリの向きおよびジオメトリは排水を容易にし、したがって迅速に、かつユーザが肉体的にアンカーをボートに引き上げたり濡れたりする必要なく、再展開する準備ができている。
【0024】
一実施形態において、支持構造体は、船舶の後部、好ましくはエンジンまたは船外エンジンブラケットに取り付けることができる。これにより、ボートが、釣りのための全エリアにアクセスすることが可能になる。
【0025】
本発明の一実施形態において、可変ジオメトリアンカーは、マストアセンブリに動作可能に連結されて、第1のアクチュエータが支持フレームのアームを昇降させ、ウェブシートを引っ張って広げるのを助ける、第2のアクチュエータを含むことができる。
【0026】
本発明のさらなる実施形態において、可変ジオメトリアンカーは、マストアセンブリに動作可能に連結されたさらなるアクチュエータを含むことができ、当該さらなるアクチュエータは、水中でマスト支持アセンブリに対するウェブシートの角度を変化させて、さらに細やかな漂流制御を支援するように動作することができる。これは、ウェブシートが一対のアームによって展開されたときの、該ウェブシートの角度位置を第2のアクチュエータによって変更して、水中でのボートの左右の漂流、または漂流速度を制御することができることを意味する。
【0027】
好ましくは、さらなるアクチュエータを使用してアンカーシステムを枢動させ、ボートの船尾(前方)を左右に遠隔制御できるようにすることができる。
【0028】
例えば、水中の流れが船舶に対して角度をなして流れている場合、ウェブシートは、第2のアクチュエータによって水中で調整されて、改善された細やかな制御を提供することができる。これは、方向性漂流および漂流速度のより優れた制御を達成して釣りの結果を改善することができる釣りトーナメントにおいて特に有利である。
【0029】
一実施形態において、ユーザは、可変ジオメトリアンカーのマストアセンブリを支配的な流れに対抗するように配置して、釣りの要件に応じて漂流の速度および方向を実質的に維持することができる。これは、明らかに従来技術のシステムに対する利点を表している。
【0030】
ウェブシートは、アームが動作状態から保管位置に移動するときにウェブシートの折り畳みを助けるために、該ウェブシートの上端部に複数の磁石をさらに含むことができる。
【0031】
支持構造体は、ボートの甲板部分に取り付け可能なベースプレートと、当該ベースプレートに角度を付けて固定された一対のアーム部材と、を備えることができる。支持構造体は、ジャックプレートとトランサムとの間、またはアウトボードとトランサムとの間に取り付けられた特殊な取付け部ブラケットと、ベースプレートに角度を付けて固定された一致のアーム部材と、を備えることができる。
【0032】
好ましくは、可変ジオメトリアンカーは、第2のアクチュエータを受容するようになっているベースプレートに取り付けられた、サブフレームアセンブリをさらに含む。サブフレームアセンブリは、ベースプレートに取り付けられて概して上方に延びる、サブフレーム構造と、一端でサブフレーム構造に枢動可能に連結され、かつ第2のアクチュエータに枢動可能に連結された、駆動アームと、を含むことができる。
【0033】
可変ジオメトリアンカーは、一端が第2のアクチュエータに枢動可能に連結され、かつマスト支持アセンブリに枢動可能に連結された第2の駆動アームをさらに含むことができる。
【0034】
マスト支持アセンブリは、一端で第1のアクチュエータに枢動可能に連結された一連の相互連結ピボットアームと、支持アセンブリに取り付けられた固定アーム部材上の転心と、を備え得る。ウェブシートは、厚さが約0.5mmのネオプレン材料から製造することができる。ウェブシートは、アームが動作状態から保管位置に移動するときに当該ウェブシートの折り畳みを助けるためのバッフルまたは磁石を含み得る内部パネルを含むことができる。
【0035】
一対のアーム部材は、アルミニウム、炭素繊維、ガラス繊維を含む一連の材料から製造されたポールとすることができる。ウェブシートは、弾性膜が点在する一連の間隔を置いて配置されたパネルを含むことができる。ウェブシートはまた、保管中にシートを折り畳まれた状態に保持するのを助けるために、好ましくはアルミニウムなどの金属製のフィンを含むことができる。
【0036】
本発明のさらに関連する態様では、ボートなどの船舶の漂流を制御するために、該船舶上に取り付け可能な可変ジオメトリシーアンカーが開示されており、該アンカーは:船舶の甲板部分に取り付け可能な支持構造体と;支持構造体に調整可能に取り付けられたマスト支持アセンブリと;マストアセンブリであって:マスト支持アセンブリに取り付けられて当該マスト支持アセンブリによって保管構成と動作構成との間で移動自在に調整可能である、一対のアームを備える支持フレームと、支持フレームの一対のアームによって取り付けられたウェブシートであって、当該アームによって保管状態と動作状態との間で移動可能であるウェブシートと、を備えるマストアセンブリと;支持構造体に取り付けられ、かつマスト支持アセンブリに動作可能に連結されて、当該マスト支持アセンブリを選択的に制御する、少なくとも第1のアクチュエータと;マスト支持アセンブリに動作可能に連結された第2のアクチュエータであって、水中におけるマスト支持アセンブリに対するウェブシートの角度を調整し、細やかな漂流制御を支援するようになっている、第2のアクチュエータと;を備え、漂流制御動作状態では、少なくとも第1のアクチュエータがマスト支持アセンブリに作用して、支持フレームの向きを保管位置と使用位置との間で変化させ、かつマストアセンブリの支持フレームのアームが、当該アームによって再形成されるジオメトリを変化させて、マストアセンブリのウェブシートが船舶の漂流方向および漂流速度を制御するのに有効なアームによる動作構成を採用するようにする。
【0037】
このシステムの利点には、以下の1つ以上が含まれる:
・マスト支持アセンブリにより、アンカーを肉体的に引き上げる必要性と濡れへの暴露が最小限に抑えられる;
・マストアセンブリを細やかに制御することにより、船舶の漂流方向および漂流速度をより細かく制御することができる;
・マスト支持アセンブリがマストアセンブリを方向付けることにより、保管状態における排水を容易にすることができる。
・従来技術と比較して、再展開に要する時間が大幅に短縮される;
・動作状態においてマストアセンブリの角度を調整できることにより、ボートの漂流速度および漂流方向に対するユーザの制御の程度が改善される。
【0038】
本発明の関連するさらなる態様では、船舶の漂流を制御するための可変ジオメトリアンカーが記載されており、該アンカーは:支持構造体と;支持構造体に枢動可能に取り付けられたマスト支持アセンブリであって、一対のマストアームと当該マストアームに取り付けられた可撓性構造とを含み、マストアームが第1の保管ジオメトリと動作ジオメトリとの間で移動可能である、マスト支持アセンブリと;支持構造体に枢動可能に連結され、かつマストアーム上の固定ピボット取付け部でマスト支持アセンブリに動作可能に連結された開閉サブシステムと;を備え、開閉サブシステムは、マスト支持アセンブリのジオメトリを制御して、保管定位では、開閉サブシステムがマストアームを実質的に一緒に閉じることにより、折り畳み式または可撓性構造がマストアームの間に受容されるようにし、使用状態では、開閉サブシステムがマストアームを作動的に引き離すことにより、それらの間で折り畳み式または可撓性構造を扇形に広げるようにする。
【0039】
可変ジオメトリアンカーは、支持構造体に取り付けられ、かつマスト支持アセンブリに動作可能に連結されたフリップフロップサブシステムをさらに含み、フリップフロップサブシステムは、当該フリップフロップサブシステムに対する個別または組み合わせの動作で、マスト支持アセンブリの向きを、実質的な直立位置または保管位置から船舶の甲板の下方の位置まで変化させるようになっている。
【0040】
開閉サブシステムは、リニアアクチュエータとピボットアームアセンブリとを備えることができ、アームの一端がピボット取付け部によってマスト支持アセンブリの上脚部に連結され、アームの他端がリニアアクチュエータに枢動可能に連結されている。
【0041】
フリップフロップサブシステムは、ピストンを有するリニアアクチュエータであって、一端が支持体または甲板に固定的に取り付けられたリニアアクチュエータと、一端でピストンに、他端で固定支持体上のピボット取付け部に枢動可能に取り付けられたスイングアームであって、マスト支持アセンブリにさらに動作可能に連結されたスイングアームと、を含むことができ、フリップフロップサブシステムのアクチュエータは、スイングアームを弧状の経路で反転し、マスト支持アセンブリの向きを変えることができる。
【0042】
本発明の他の態様もまた、添付の図面および実施例を参照して開示されている。
【0043】
本発明の範囲に含まれ得る任意の他の形態があるとしても、本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照してほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の好適な実施形態に従う、保管状態にある可変ジオメトリアンカーの一方側からの概略図である。
【
図2】動作状態にある
図1の可変ジオメトリアンカーの一方側からの概略図である。
【
図3】保管状態にある
図1の可変ジオメトリアンカーの代替的な側面の概略図である。
【
図4】動作状態にある
図2の可変ジオメトリアンカーの代替的な側面の概略図である。
【
図5】本発明のさらなる好適な実施形態に従う、保管状態にある可変ジオメトリアンカーの概略図である。
【
図6】動作状態にある
図5の可変ジオメトリアンカーの正面の概略図である。
【
図7】本発明の好適な実施形態に従う、保管状態にある可変ジオメトリアンカーの代替的な側面の概略図である。
【
図8】動作状態にある
図7の可変ジオメトリアンカーの側面の概略図である。
【
図9】本発明のさらなる実施形態の写真表現である。
【
図10】
図9の実施形態の代替的な視点の写真表現である。
【
図11】
図9の実施形態の代替的な視点の写真表現である。
【
図12】
図9の実施形態の代替的な視点の写真表現である。
【
図13】
図9の実施形態の代替的な視点の写真表現である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明では、異なる実施形態における類似または同一の参照番号は、同一または類似の特徴を示していることに留意されたい。
【0046】
図面を参照すると、改良された可変ジオメトリアンカー1が示されており、該アンカー1は、(a)実質的に直立した保管位置と、ボートの甲板の高さよりも下方に延びる漂流制御位置と、の間で向きを変え、かつ(b)ボートや船などの船舶(不図示)の漂流速度の制御に影響を及ぼすように形状を変化させるようになっている。可変ジオメトリアンカーの明らかな利点は、浅瀬でのレクリエーションを目的とした魚釣りにとって最も有利である、船舶の位置を細やかに制御できる能力である。
【0047】
図中、特には
図1において、可変ジオメトリアンカー1は、ボートなどの船舶の甲板または船舶の甲板上に取り付け可能な構造とすることができる支持構造体2と、支持構造体2に枢動可能に取り付けられたマスト支持アセンブリ4と、マスト支持アセンブリ4に動作可能に連結された開閉サブシステム104と、を広く備える。開閉サブシステム104は、マスト支持アセンブリを動作させて、マストアーム4a,4bおよび中間に取り付けられたウェブシート材料またはパネルシステムの配置を変えて、扇状の効果をもたらし、ひいてはアンカーの全体的なジオメトリをもたらす。
【0048】
さらなる実施形態における可変ジオメトリアンカー1(
図3および4)は、開閉サブシステムに加えて、支持構造体に取り付けられ、かつマスト支持アセンブリに動作可能に連結された、フリップフロップサブシステム125を備える。フリップフロップサブシステム125は、開閉サブシステムに対する個別の動作または組み合わせられた動作で、マスト支持アセンブリの向きを、実質的な直立位置または保管位置から船舶の甲板の高さよりも下方の位置に変更するようになっている。
【0049】
図示するように、アンカー1の支持構造体2は、ボートなどの船舶(不図示)の船尾梁(トランサム)上に取り付けるのに適している。しかしながら、マスト支持アセンブリをボートの甲板に直接取り付けることも同様に可能である。
【0050】
支持構造体2は、ボートのトランサムに取り付けるためのベースプレート6と、該ベースプレートに取り付けられて間隔を置いて対向配置された1対の固定角度付きアーム部材7a,7bと、を少なくとも含む。
【0051】
図1に示す一実施形態において、アンカー1のマスト支持アセンブリ4は、支持構造体2のベースプレート6に取り付けられており、開閉サブシステム104は、マスト支持アセンブリ4に動作可能に連結されており、マスト支持アセンブリは、開閉サブシステムによって形状が変更されるようになっている。
図2では、マストアームおよび取り付けられたウェブシートまたはヒンジパネルの扇形構成によって示されるようなジオメトリの変化に加えて、
図1のマスト支持アセンブリの向きもまた、船舶の漂流動作を制御するために、フリップフロップサブシステム125(
図2および8参照)によって、保管された直立状態(
図1に最もよく示される)と漂流制御状態(
図2および8参照)との間で変えられている。
【0052】
一般に、相乗的に改良された可変ジオメトリアンカーを形成している、少なくとも2つの特徴の組合せがあることを示すことができ、それは、開閉サブシステム104およびフリップフロップサブシステム125として選択的に識別することができる。
【0053】
図示するように、マストアセンブリの形状を保管状態と漂流制御状態との間で変化させることによって、マストアセンブリを閉じられた保管位置(
図1)から扇状に広げられた漂流制御位置に調整するための開閉サブシステムがある。
【0054】
また、フリップフロップ機構などによって、マスト支持アセンブリの向きを実質的に水平な軸の周りで、水の外の非アクティブ位置から水中のアクティブ位置へ、あるいはその逆へ、と変化させることができるフリップフロップサブシステムがある。
【0055】
本発明を用いて、以下を含む幅広い組合せを考案することができる。
(i)単一の相互関連駆動アクチュエータによって両方ともに動作される、開閉サブシステムを有するフリップフロップサブシステム;
(ii)2つの相互関連駆動アクチュエータによって動作される、開閉サブシステムを有するフリップフロップサブシステム;
(iii)実質的に垂直な軸周りの回転運動のためのさらなる駆動アクチュエータを含む、開閉サブシステムを有するフリップフロップサブシステム。
これらは、以下のいずれかと組み合わせることができる:
a)フレーム
b)フレーム上のサブフレーム
c)a)またはb)を伴うストレージエンクロージャ。
【0056】
これらの変形例のいくつかを示すために様々な実施形態を説明する。それによって、当業者には他の変形例も理解されよう。
【0057】
<第1の実施形態-第1の開閉サブシステム>
【0058】
図面において、特には
図1および2を参照すると、可変ジオメトリアンカー1は、船舶の甲板に取り付けることができる支持構造体2と、支持構造体に枢動可能に取り付けられたマスト支持アセンブリ4と、マスト支持アセンブリに動作可能に連結された開閉サブシステム104と、を備える。
【0059】
図1および2に示すように、マスト支持アセンブリ4は、直立定位(
図1)で実質的に隣接する(保管)状態で示される一対のマストアーム4aおよび4bと、それらのマストアームから延びる脚部105および106と、を備える。脚部は、ピボットジョイント109によって連結された上部107と下部108とを含み、脚部105の下部108は、一端がピボット取付け部135によって支持構造体2に連結されている。
【0060】
開閉サブシステム104は、リニアアクチュエータ16とピボットアームアセンブリ124とを含み、ピボットアームアセンブリ124は、カムアーム13の形態で示されており(
図1参照)、該カムアームの一端がピボット取付け部126によってマスト支持アセンブリの脚部の上部107に連結されており、他端がリニアアクチュエータ16のピストンに枢動可能に連結されている。
【0061】
この実施形態では、ネオプレンまたは他の適切な材料などの可撓性材料のウェブシート18(
図2)が、マストアセンブリの一対のマストアーム4aおよび4bに取り付けられている。
【0062】
図1に示すように、リニアアクチュエータ16は、開閉サブシステム104のカムアーム13の一端に連結されたピストン101を含む。動作中、ピストンが
図1に示すような後退位置から伸びると、該ピストンは、開閉サブシステム104のカムアームをピボットジョイント126に対して変位させ、これが次に、ピボットジョイント109を中心とした脚部105および106の上部107の横方向ピボット変位と、ピボット取付け部135を中心とした脚部の下部108のピボット運動を促進する。
【0063】
開閉サブシステム104とマスト支持アセンブリ4との間に示される相乗効果が、マスト支持アセンブリ4のジオメトリの変化を促進する。マスト支持アセンブリのジオメトリの変化は、
図1と
図2との間に示されている。
図1では、アーム4aおよび4bで示されるマストアームアセンブリの一部が互いに隣接して位置して、実質的にモノリシック構成を示しているが、
図2では、同じアーム4aおよび4bが扇状に開いて、マストアームおよびウェブシート18が台形形状を画定するようになっている。
【0064】
一例において、一対のマストアーム4aおよび4bは、アルミニウム、炭素繊維またはガラス繊維から製造される。ウェブシートはまた、マストアームが動作状態または扇状状態から保管折り畳み位置に移動するときにウェブシートの折り畳みを助けるための、バッフルまたは磁石を含み得る内部パネルを含むことができる。ネオプレン材料は、約0.5mmの厚さとすることができる。
【0065】
図1に示す実施形態では、アンカー1のマスト支持アセンブリは、マスト支持アセンブリのマストアーム4aおよび4bが隣接して、水(不図示)から実質的に直立または垂直方向に配置された単一構造を形成する、直立保管状態で示されている。マストアーム4aおよび4bは、開閉システム104によって実質的に一緒にされて実質的に隣接する関係に保持されており、マスト支持アセンブリのこの保管(直立)定位において、ウェブシートは、第1のジオメトリでマストアーム間で折り畳まれるか、あるいはマストアーム間に受容されて、除水または排水を容易にし得るようになっている。
【0066】
図1および2に最もよく示されているように、第1の開閉サブシステム104は、カムアーム13の形態のサブアセンブリ要素を含み、該カムアームの一端はマスト支持アセンブリのマストアーム4aおよび4bに枢動可能に連結され、他端はピストン101に連結されている。
【0067】
図1および2に示すように、カムアーム13がアクチュエータ16のピストンによって作用されると、マストアセンブリ4のマストアーム4aおよび4bは、保管関係から離れて開かれ、ウェブシートが折り畳まれた状態から広げられて扇状または台形状の構成が形成される。
【0068】
<第2の実施形態-第1の開閉サブシステムおよび第1のフリップフロップサブシステム>
【0069】
図3および4を参照すると、本発明のさらなる実施形態に従う、第1の開閉サブシステム104および第1のフリップフラップサブシステム125を有するアンカー1が示されている。
【0070】
マスト支持アセンブリのジオメトリを変えるようになっている第1の開閉サブシステム104は、ピストン101を備えたアクチュエータ16と、ピボットサブアセンブリカムアーム要素13と、を備え、カムアーム要素13はそれぞれ、その一端がアクチュエータピストンに枢動可能に連結し、その他端がマスト支持アセンブリ4の脚部105および106の上部107に枢動可能に連結されている。
【0071】
この実施形態において、第1の開閉サブシステムのアクチュエータ16は、水中(不図示)のマストアーム間の距離を制御することによって、ウェブシート18のジオメトリの変化を可能にするように動作する。さらなる実施形態において、ウェブシートの角度は、水中の流れ、潮汐および渦の存在下で細やかな漂流制御を補助するために変更することができる。ウェブシートの角度を水に対して調整することにより、一般的な条件および釣りの必須条件に応じてボートを所望の位置に保持し得る静的漂流を実質的に維持することができる。
【0072】
第1のフリップフロップサブシステム125は、船舶の甲板の一端136または支持構造体のベース6に取り付けられて示されている、リニアアクチュエータ5を含む。リニアアクチュエータ5のピストン10は、スイングアーム部材8の第1の端を枢動可能に連結するためのピボット取付け部77をその端に提供している。ピストンに対して遠位の、スイングアーム部材8の反対側の端は、ピボット取付け部9において固定角度付きアーム部材7a(
図3aに最もよく示されている)の一端に枢動可能に連結されている。フリップフロップサブシステム125は、マストアセンブリ4とスイングアームアセンブリ8とを相互に連結するピボットサブアセンブリ要素を含み、スイングアームがピストン5によって変位されると、マストアセンブリ、したがってマストアーム4aおよび4bが上下に向きを変えることができる。
【0073】
図3および4に示すように、リニアアクチュエータ4のピストン10が直線的に伸びると、スイングアーム部材8は弧状経路上を変位し、したがってリニアアクチュエータ5のピストン10の伸長に伴ってピボット取付け部7を中心に反転する。その結果、スイングアーム8がピボット取付け部7を中心にして反転すると、アーム8の弧状の変位が実質的に同時にマスト支持アセンブリの向きの変化を促し、したがってマストアーム4aおよび4bはピボット取付け部135を中心とする枢動によって向きを変える。このように、
図3および
図4には、ピストン10を伸長させるアクチュエータ5の作動時における、保管(直立)位置から甲板または支持アセンブリのレベルより下方の使用時の位置への向きの遷移が示されている。同様に、その逆に、アクチュエータ5のピストン10が引っ込められると、スイングアーム8は同じ弧状経路をたどって、マスト支持アセンブリおよびマストアームを使用位置から保管位置に戻す。
【0074】
アンカー1は、固定取付け部136において支持構造体2のベースプレート6に固定的に取り付けられた第1のリニアアクチュエータ5を備える。ベース6は、一端にピボット取付け部7を有する固定角度付きアーム7aおよび7bを有し、ピボット取付け部7には、マスト支持アセンブリの脚部105および106の下部108の一端が枢動可能に受けられている。
図3および4にさらに示されるように、固定アーム7aの一端は、ピボット取付け点7を提供し、スイングアーム部材8は、ピボット取付け部77および7の上を円弧の周りに延びる。
【0075】
図3および4は、マストアセンブリ4の向きおよびジオメトリの両方における変化の組み合わせを示している。
図3に示すように、閉じたジオメトリまたは保管ジオメトリにおいて、マストアーム4aおよび4bは当接しており、実質的に直立した構造を形成している。この状態において、リニアアクチュエータ5のピストン10は後退している。
図4に示すように、リニアアクチュエータ5のピストン10が直線的に伸びると、スイングアーム8がピボット取付け部77および7の周りに弧状に変位し、アーム部材8を回転変位させて
図3の保管位置と
図4の漂流制御位置との間でマストアームの向きを変える。
【0076】
したがって、
図3の構成と
図4の構成との間で行われるマスト支持アセンブリの調整では、(i)マストアセンブリの向きが、実質的に直立位置にある保管定位から、ボート(不図示)に隣接する水中(不図示)での動作位置に変わり、かつ(ii)マストアームが開閉サブシステムによって押しやられると、可撓性ウェブシートが展開されて抵抗を与え、したがって水中での漂流制御機構をもたらすので、マスト支持アセンブリのジオメトリが変わる。
【0077】
図示される本発明のさらなる実施形態では、アンカー1は、マストアームのジオメトリを変化させるようにマスト支持アセンブリ4に枢動可能に連結された第1の開閉サブシステム104と、固定支持取付け部136と固定角度付きアーム7上のピボット取付け部7との間に動作可能に相互に連結されている第1のフリップフロップサブシステムと、を含む。フリップフロップサブシステムの一部は、マスト支持アセンブリと相互作用して、フリップフロップサブシステムの作動時に、マスト支持アセンブリの向きを直立位置または保管位置と使用定位との間で変化させる。
【0078】
第1の開閉サブシステムは、ピストンを動作させるアクチュエータ16と、一端でピストンに枢動可能に取り付けられ、他端で脚部105および106の上部に枢動可能に取り付けられた、カムアーム13と、を含む。フリップフロップサブシステムはまた、一端でベース支持体または甲板に固定的に取り付けられたアクチュエータである、ピストンを備えるリニアアクチュエータ5と、一端でピストン77に枢動可能に取り付けられ、他端で固定角度付きアーム7a上のピボット取付け部7に枢動可能に取り付けられたスイングアームと、を含む。スイングアーム8はさらに、マスト支持アセンブリ4に動作可能に連結されている。この実施形態において、開閉サブシステム104のアクチュエータ16は、水中(不図示)でマストアームによって画定されるウェブシートの角度調整を可能にし、水中の流れ、潮汐および渦の存在下で細やかな漂流制御を補助するように動作する。ウェブシートの角度を調整することにより、一般的な条件および釣りの必須条件に応じてボートを所望の位置に保持し得る静的漂流を実質的に維持することができる。
【0079】
漂流制御動作状態では、開閉サブシステムとフリップフロップサブシステムとの組み合わせ動作によって、マストアームの向き、すなわち甲板の高さより下方の角度と、ウェブシートのジオメトリ、すなわち、水中におけるウェブシートの開き具合および角度と、を制御する。
【0080】
使用時におけるマスト支持アセンブリのマストアームの向きを制御し、水中でのウェブシートのジオメトリおよび相対角度を調整する能力により、ボートの操縦者が船舶の漂流を制御することが可能となり、したがってレクリエーションを目的とした釣りが改善される。
【0081】
<第3の実施形態-第2の開閉サブシステム-フレキシブル>
【0082】
図5~8を参照すると、図示の可変ジオメトリアンカーは、支持構造体2と、マスト支持アセンブリ4と、マスト支持アセンブリの脚部に動作可能に連結されてマストアーム4aおよび4bのジオメトリの変化を駆動する開閉サブシステムと、マスト支持アセンブリのマストアームに動作可能に連結されて、直立保管位置と、マストアームが水中に位置するようにボートの高さより下方に傾斜した動作位置と、の間でマスト支持アセンブリの向きの変化を駆動するフリップフロップサブシステム125と、を含む。
【0083】
マスト支持アセンブリは、上側マストアーム4aおよび4bと、同延の角度付き下側脚部105と、を有し、下側脚部105の一方の端部はピボット取付け部24で支持体2に枢動可能に取り付けられている。この実施形態では、ヒンジによって相互に連結された一連の長手方向成形パネル構造31が示されており、それぞれのマストアーム4aおよび4bには、端子パネルが取り付けられている。一連のパネル31は、保管状態で互いに折り重なるようになっており、端子パネルはまた、折り畳んだ状態でその中にパネルを受け入れるための成形縁部を含み得る。
【0084】
開閉サブシステム104は、アクチュエータ26およびピストン101を備え、駆動アーム25は、一端でピストン101を相互に連結するピボット取付け部29に連結され、他端で角度付き下側脚部105上のピボット取付け部30に枢動可能に取り付けられている。
図5と6との間の動作遷移に示されるように、マストアーム4aと4bとの間に取り付けられたパネル31は、直立方向に蛇腹状に折り畳まれる。この向き(
図5)では、アクチュエータ226のピストン101は完全に伸びている。
図6では、ピストン101は完全に後退している。アクチュエータ226によってピストン101が後退させられると、駆動アーム25はピボット取付け部29および30の周りで横方向に変位し、脚部105およびマストアーム4a,4bがパネル31を扇状に展開する。この扇状の範囲は制御可能であり、マストアームと相互に連結されたヒンジパネルとによって形成される扇状構造の角度もまた細やかに調整することができる。
【0085】
マストアームの向きの変化を駆動するフリップフロップサブシステム125(
図7および8に最もよく示されている)は、一端でサブアセンブリ200に枢動可能に取り付けられたアクチュエータ336と、サブアセンブリ200の固定支持部221上のピボット取付け部に枢動可能に取り付けられた一端およびピボット取付け部338でピストン301に枢動可能に取り付けられた他端を有する第1のドッグレッグ要素227、ならびにピボット取付け部338に取り付けられた一端およびピボット取付け部277に取り付けられた他端を有する第2のドッグレッグ要素228を備える、駆動アームアセンブリ225と、を含む。
【0086】
図5~8におけるアンカーは、支持アセンブリ2のベースプレート6に固定された下側支持体221を有するサブアセンブリ構造200と、ジョイント23で下側固定支持体221の上端に固定されたシース構造224と、を含む。シース構造224は、保管状態において、マスト支持アセンブリのマストアーム4aおよび4bをその中に受容する。
【0087】
開閉サブシステム104は、ピボット取付け部7で支持構造体2のベースプレート6に枢動可能に取り付けられたリニアアクチュエータ226(
図8に最もよく示される)をさらに含む。
【0088】
図7および8にさらに示すように、アクチュエータ226は、アーム4aおよび4bをシース224内から変位させて、保管状態から動作状態に変位させる。アーム4aおよび4bは、ピストン101を後退させることによってピボット取付け部29および30の周りで該マストアームを開くように駆動アーム25を促すアクチュエータ226によって、動作可能に開かれる。
【0089】
図6および7に示すように、ウェブシートまたはマストアセンブリの一連のパネル部材18は、保管位置にあるときにウェブを保持するのを助けるように、ウェブシートの端部に取り付けられた一連の内部離間パネル31およびフィン32を備える。
【0090】
<第4の実施形態-第2の開閉サブシステム-セミリジッド>
【0091】
図9~13は、本発明の一実施形態に従う、さらなる可変ジオメトリアンカーシステム10を示す。アンカーシステム10は、支持構造体1を含み、該支持構造体1は、ボードの甲板部分に調整可能に取り付けられ、実質的に直立の保管位置(AおよびB)と甲板の高さよりも下方に傾斜した動作位置(C)との間で動作可能になっている。支持構造体は:
a.甲板に取り付け可能なベース;
b.フレーム;
c.その中にマスト支持アセンブリ2の少なくとも一部を動作可能に受容するためのフレーム内の脊柱を含む。
【0092】
マスト支持アセンブリ2は、当該支持構造体に枢動可能に取り付けられた一対のマストアーム、椎骨要素5、および椎骨要素と一対のマストアームとを相互に連結して可変ジオメトリフレーム様構造を形成する中間のピボットアームを備える。
【0093】
組み立て状態において、マスト支持体の椎骨要素は、支持構造体の脊柱内に変位可能に受容されている。椎骨要素は、支持構造体に取り付けられて、それに動作可能に連結されたアクチュエータピストン4によって脊柱内で直線的に変位可能である。
【0094】
図A,B,D,およびEに示すように、椎骨要素は、アクチュエータアームの漸進的な収縮とともに脊柱内で直線的に下方に変位する。脊柱内の椎骨要素の最上部位置では、中間アームは脊柱と実質的に同一の広がりを有する形状に折り畳まれている。
【0095】
アクチュエータピストンが漸進的に収縮するにつれて、椎骨要素は、最上部位置から脊柱内で直線的に変位する。椎骨要素が最上部位置から離れるように変位すると、椎骨要素を一対のマストアームに相互に連結する中間アームは、支持構造体の脊柱とT字形のジオメトリを形成しながら、脊柱と同一の広がり位置から展開する。その結果、マスト支持体は、椎骨が変位するにつれてジオメトリを変化させる。
【0096】
図示のように中間アームが展開して脊柱とともにT字形状を形成すると、枢動可能に連結された一対のマストアームが横方向外側に変位する。
【0097】
マスト支持アセンブリの一対のマストアームは、マストアームにまたがり、閉じられた状態(A,BおよびC)と完全に開かれた状態(DおよびE)との間で動作可能である、シート材料またはスラット構造を支える。
図AおよびBに示す一実施形態では、閉じられた保管状態でマストアームによって取り付けられた蛇腹構造が示されている。蛇腹構造は、一連の成形スラットを備え、該成形スラットは、各スラットがその隣接するスラット要素に対して折り畳まれるようにヒンジ要素によって連結されている。一対のマストアームが、脊柱および椎骨要素のジオメトリの変化に伴って横方向外側にT字形の構成に変位すると、スラットドローグが開く。
【0098】
ドロウグ要素を開くことができる範囲は、アクチュエータピストンによって制御され、ドロウグの角度もまた、第2のアクチュエータによって調整可能である。そのため、一般的な状況に応じて、ドロウグの角度が垂直面と水平面とで調整可能であるため、漂流の速度と角度とを制御することができる。
【0099】
椎骨要素がアクチュエータアームによって脊柱内で変位する場合に、中間アームが支持構造体の横方向外側に移動するように、中間アームは、支持構造体上に枢動可能に配置され、かつ椎骨要素およびマストアームに枢動可能に連結される。
【0100】
<<解釈>>
【0101】
[実施形態]
【0102】
本明細書を通して、「ある実施形態」または「一実施形態」という言及は、その実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な個所における「ある実施形態において」または「一実施形態において」というフレーズの出現は、必ずしもすべての同じ実施形態の指すものではないが、そうである場合もある。さらに、本開示から当業者には明らかであるように、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得るものである。
【0103】
同様に、本発明の例示的な実施形態の上記説明において、本発明の様々な特徴は、単一の実施形態、図、またはその説明にまとめられている場合があるが、これは、開示を簡素化し、様々な発明の態様の1つ以上の理解を助けるためである。しかしながら、この開示方法は、特許請求される発明が、各請求項に明示的に列挙されているものよりも多くの特徴を要求しているという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、上述の開示された単一の実施形態のすべての特徴よりも少ない部分にある。したがって、特定の実施形態の詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この特定の実施形態の詳細な説明に明白に組み込まれており、各請求項は、本発明の別々の実施形態として独立している。
【0104】
さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが他の特徴を含まないが、異なる実施形態の特徴の組合せは、本発明の範囲内にあり、当業者によって理解されるように異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲では、特許請求の範囲に記載の実施形態のいずれも、任意の組合せで使用することができる。
【0105】
[対象の様々な実例]
【0106】
本明細書で使用されるように、他に特定されない限り、共通の対象を説明するための序文形容詞「第1の」、「第2の」、「第3の」などの使用は、単に類似の対象の異なる事例が言及されていることを示すものであり、そのように記述された対象が、時間的に、空間的に、ランク付けにおいて、またはその他の方法で、与えられた順序でなければならないことを意味するものではない。
【0107】
[具体的な詳細]
【0108】
本明細書に提供される説明では、多数の測定の詳細が記載されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、この説明の理解を曖昧にしないように、周知の方法、構造、および技法については詳細に示していない。
【0109】
<<用語>>
【0110】
図示される本発明の好適な実施形態を説明する際、明確さのために特定の用語を使用している。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の用語は、同様の技術目的を達成するために同様に動作するすべての技術均等物を含むと理解される。「前方に」、「後方に」、「半径方向」に、「周辺に」、「上方に」、「下方に」などのような用語は、参照点を提供するために便宜的に用いているものであり、限定的な用語として解釈されるべきではない。
【0111】
[備える及び含む]
【0112】
以下の特許請求の範囲および以上の本発明の説明では、文脈上、明示的な表現または必然的な意味合いのために必要とされる場合を除き、「備える」という用語または「備えている」などのその変形は包括的な意味で用いられる。すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加の特徴を排除するものではない。
【0113】
本明細書で使用される「含む」または「が含む」といういずれの用語もまた、その用語が受ける要素/特徴を少なくとも含むが他を除外しないことを意味する解放用語である。したがって、含むとは、備えると同義であり、備えることを意味する。
【0114】
[発明の範囲]
【0115】
以上、本発明の好適な実施形態であると考えられるものを説明したが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく他のおよびさらなる修正が可能であり、そのようなすべての変更および修正が本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。例えば、上記に与えられた式はいずれも、使用され得る手順の単なる代表例である。機能は、ブロック図に追加されても、該ブロック図から削除されてもよく、動作は、機能ブロック間で交換されてもよい。本発明の範囲内で説明した方法にステップを追加または削除することができる。
【0116】
本発明を特定の実施例を参照して説明したが、当業者であれば、本発明が他の多くの形態で具体化されてもよいことを理解するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上の説明から明らかであるように、記載の装置は、船舶の漂流を制御するための可変ジオメトリアンカーに適用可能である。