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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】工作機械を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/22 20060101AFI20220509BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20220509BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20220509BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220509BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B23Q17/22 A
B23Q17/24 C
B23Q3/155 D
B25J13/08 A
G05B19/19 H
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019537303
(86)(22)【出願日】2017-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2017056413
(87)【国際公開番号】W WO2018130313
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-07-09
(31)【優先権主張番号】17150786.6
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ローナー,ゴットフリート
(72)【発明者】
【氏名】ザイラー,クリスティアン
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-528016(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02255930(EP,A1)
【文献】特表2009-513174(JP,A)
【文献】特開平05-277912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0254414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/22
B23Q 17/24
B23Q 3/155
B25J 13/08
G05B 19/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械が少なくとも2本、特に少なくとも3本の空間軸によって動作範囲内で動作可能なロボットアームを備え、前記ロボットアームが必要に応じてワークピースホルダを介して少なくとも1個のワークピースを支承し、誘導し、また移動させ、さらに前記工作機械を制御するための制御ユニットを備えてなる、工作機械の制御方法と特にミルブランク等のワークピースとそのワークピースの加工方法とからな、前記工作機械(62)が位置固定された光センサを備えるか、または前記工作機械に割り当てられたセンサを設け、前記センサの捕捉領域(66)が前記動作範囲と少なくとも部分的に重なり合い、前記ワークピース(10)を前記ロボットアーム(70)によって前記捕捉領域(66)内で移動させ、前記ワークピース(10)が孔部(12)を備え、前記センサによって前記孔部(12)を検出した際に前記制御ユニットが前記工作機械(62)を制御するための基準点または基準面を判定するシステムであり、
前記孔部が鋭敏な角部を有するとともに、その孔部が形成された平面に対して90°の角度かつ1°未満の角度誤差をもって延在し、さらに前記孔部を前記センサに対して横方向、好適には直角方向に移動させることを特徴とするシステム
【請求項2】
孔部(12)の検出を行う前にワークピース(10)の孔部(12)を含んだ面(14)上に平坦な面を形成しながら切削加工することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
検出中にロボットアーム(70)がワークピース(10)の孔部(12)をセンサの軸に平行に整列させ、その際センサがカメラ(64)であることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
孔部(12)はそれの軸がワークピース(10)の面(14)に対して直角に延在していて、検出を行う前に前記面(14)を平坦に研削することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
ワークピース(10)をホルダ(20)上に接着し、前記ホルダ(20)をロボットアーム(70)内に締付けて保持することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
孔部(12)はワークピース(10)を通じる貫通孔として形成し、1つの面上に円錐部(16)を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
孔部(12)の円錐部が形成されていない側の端部をセンサによって捕捉するためにそのセンサの方向を指向させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
工作機械(62)は開放可能な扉によって作業空間から分離された補助空間内にカメラ(64)を備え、ロボットアーム(70)は孔部(12)を検出するためにワークピース(10)を扉開口部の直近に保持するか、および/またはその直近を通って移動させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
ロボットアーム(70)は孔部(12)を有するワークピース(10)をセンサの光軸を介してX軸方向に直線的に移動させ、その後の工程において追加的にそれと直角なY軸方向に移動させることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
センサの方向を指向しかつ孔部(12)を含んだワークピース(10)の面(14)がセンサの光軸に対して直角に指向することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
同じロボットアーム(70)が孔部(12)を有するワークピース(10)をセンサの捕捉領域(66)内に保持するとともに、切削加工するためにワークピース(10)を工具スピンドル(72)に向かって誘導することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
ワークピース(10)および/またはそれに対応するホルダ(20)がコード(52)を備え、ホルダ(20)がロボットアーム(70)内に締付けられた際にカメラ(64)によって形成されたセンサによって前記コード(52)を読み取り可能であり、また前記コード(52)をワークピース(10)の削除すべき部位に設けることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
センサによって捕捉したワークピース(10)のコード(52)を制御ユニットに伝達し、それに対応する加工をワークピース(10)に対して選定することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
ワークピース(10)および/またはそれに対応するホルダ(20)が備えるコード(52)はデータマトリクスコードであることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
工作機械が少なくとも2本またはそれ以上の空間軸によって動作範囲内で動作可能なロボットアームを備え、前記ロボットアームが必要に応じてワークピースホルダを介して少なくとも1個のワークピースを支承し、誘導し、また移動させ、さらに前記工作機械を制御するための制御ユニットを備えてなる、工作機械の制御方法とミルブランク等のワークピースとそのワークピースの加工方法とからなるシステムであり、前記工作機械(62)が位置固定された光センサを備えるか、または前記工作機械に割り当てられたセンサを設け、前記センサの捕捉領域(66)が前記動作範囲と少なくとも部分的に重なり合い、交換可能な工具(40)または前記ワークピース(10)がコード(52)を備え、前記ワークピース(10)を前記ロボットアーム(70)によって前記捕捉領域(66)内で移動させ、前記センサによって前記コード(52)を検出した際に前記制御ユニットが前記ワークピース(10)および/または工具(40)の識別情報に対応した加工を行うように前記工作機械(62)を制御するために前記ワークピース(10)および/または工具(40)の識別を実行することを特徴とするシステム。
【請求項16】
工具(40)をロボットアーム(70)の把持部あるいはソケット(76)上に取り付け、工具シャフト(44)がセンサの捕捉領域(66)内に延在するようにすることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
工具(40)のシャフト(44)がコード(52)を備え、前記工具(40)を識別するためにセンサを介して前記コードを制御ユニットに伝達することを特徴とする請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
工具(40)のシャフト(44)が備えるコード(52)は1次元のCODE128であることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
工作機械(62)がセラミックからなるワークピース(10)の面(14)を平坦に切削加工、極めて好適には平坦に研削あるいはフライス削りし、ロボットアーム(70)が前記面(14)をセンサの捕捉領域(66)の軸に対して実質的に平行に整列させ、また前記ロボットアーム(70)は前記の面とそれに隣接する面との間の縁部を検出するために前記センサの捕捉領域(66)を介して前記ワークピース(10)を移動させることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1および14前文に記載の工作機械の制御方法と特にミルブランク等のワークピースとワークピースの加工方法とからなるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
その種のシステムは例えば特許文献1によって開示されている。それによって開示されたフライス盤は固定的に設置されたカメラを備える。そのカメラは工具の上方に配置され工具の方を指向する捕捉領域を有する。そのカメラは工具の先端の状態を検出するものである。
【0003】
特に4本あるいは5本の空間軸によって動作可能で固定式の工具スピンドルと組み合わされたロボットアームを備えるフライス盤の場合に、工具に対するワークピースの基本となる位置を検出する必要性が生じる。例えば、ロボットアームとそれに固定された工具を慎重にスピンドルに接近させることが提案されている。接触と切削加工によってスピンドルモータの機械電流が上昇し、それによって接触が存在することを判定することができる。
【0004】
この解決方式は比較的不正確であり、また相当量の切削を行う必要があってそれによりさらに不正確性が増大する。
【0005】
今日の工作機械、特に歯科工業用の切削装置、さらに回転旋盤、研削装置、および穿孔装置等は、多様なワークピースを処理することも可能である必要がある。それらの機械は、場合によって多様なプログラムを使用し、また場合によって多様な工具を使用して動作する必要がある。
【0006】
そのため、識別手段を使用してワークピースとそれに対応するプログラムとの間の割り当てを可能にすることが提案されている。しかしながら、異なったワークピースのためには異なった工具が必要となり、従って工具交換のために使用者の介入がなお必要であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2007/111640号(A1)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、先行技術の問題点の観点において改善された請求項1および14前文に記載の工作機械の制御方法と特にミルブランク等のワークピースとワークピースの加工方法とからなるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は本発明に従って請求項1または14によって解決される。従属請求項によって好適な追加構成が定義される。
【0010】
請求項1の本発明に係る解決方式は、センサ、特に位置固定された光センサがロボットアーム内に締付けられたワークピースの動作範囲と少なくとも部分的に重なり合う捕捉領域を有することを特徴とする。従って適宜に設けられたカメラがワークピースの動作を捕捉することが可能になる。
【0011】
この実施形態においてワークピースが孔部を有し、その孔部はセンサ、例えばカメラに対して直角に横移動することが好適である。カメラの捕捉軸、すなわち光軸は、孔部の縁部が軸上にある場合に捕捉する。孔部は鋭敏な角部を有することが好適であり、またその孔部が形成された平面に対して90°の角度かつ1°未満の角度誤差をもって延在する。カメラを使用する場合は鮮明な明/暗境界が生じ、それによってロボットアームの動作方向における孔部の開始点の正確な位置を判定することができる。
【0012】
その後ロボットアームを現存の動作方向に対して90°の角度で誘導することが好適であり、しかも再び孔部が軸を介して誘導されるようにする。
【0013】
両方の動作方向をX方向およびY方向として呼称することができる。
【0014】
孔部の直径は既知であって、従ってロボットアームを孔部の半径分側方移動させ、動作の間にセンサ軸が孔部の軸にも交接するように動作軌道を選択する。
【0015】
両方の捕捉軌道を数学的に関連付けることによって孔部の中心、すなわち孔部の軸を正確に判定することができる。
【0016】
その数値をX/Y方向における切削加工、すなわちフライス削りのための基準点として固定し、同様に既知である工具スピンドル内の工具の位置への座標変換を実行する。
【0017】
ワークピースは例えば歯科用ミルブランクとすることができる。アバットメントを製造するためには適宜な孔部の形成が必要であり、従って請求項1に係るシステムがアバットメントの製造に極めて適したものとなる。アバットメントは孔部の周囲をフライス削りすることによって作成され、しかも本発明によればミルブランク内の孔部の整列ならびに配置が捕捉され従って所要の均一な壁厚と実質的に対称なアバットメントの構成が可能になるようにフライス削りを実行することができるため、極めて好適に高い精度をもってアバットメントが作成される。
【0018】
本発明によれば、アバットメントが回転防止装置を備える可能性も排除されないことが理解される。これは内側および外側のいずれにも形成することができるが、回転防止装置を孔部の内側に向かって突立する棒体として形成する場合は特に動作軌道が回転防止装置を介して延在しないようにして測定を実行することが好適である。
【0019】
ワークピースが立方体として形成され動作軌道が立方体面に対して直角に延在する場合、例えばそれらの方向に対して45°の角度で適宜な回転防止装置を設置することができ、その場合動作軌道が回転防止装置に交接しないように考慮する。
【0020】
ワークピースが予備焼成された歯科用セラミックから形成される場合、例えば実質的に立方体のワークピースの面は通常精密に平坦にはならない。そのことは特にワークピースが予備焼成された珪酸リチウムの形式で存在する場合に該当する。その場合例えばさらにワークピースの角部を丸み付けする。
【0021】
本発明の好適な実施形態によれば、ワークピースの面のうち少なくとも1面を予め平坦にフライス削りする。そのため、その面に対して直角に延在する少なくとも1枚の面との間に鋭敏な角部を形成することができる。そのことにより、緩やかに丸み付けられた面または円形部を介して他の立方体面と接続する面に比べて著しく効果的に明/暗境界を形成することができ、従って正確な判定に適する。
【0022】
従って本発明によれば、まず少なくとも1面、あるいは相互に隣り合った少なくとも2面の予備フライス削りを実行し、その後センサの捕捉領域を介してワークピースを移動させ、その際形成された鋭敏な角度を検出してそれを基準面として使用することを目的とする。
【0023】
この解決方式は孔部を備えないワークピースにも適する。
【0024】
一解決方式によれば、同様に捕捉領域が動作範囲と少なくとも部分的に重なるようにし、予め形成された平坦な面と他の面との間の角部を有するワークピースをロボットアームによって捕捉領域内に移動させる。角部の検出に際して対応するセンサ信号がセンサによって制御ユニットに伝送され、それによって工作機械を制御するための基準点、基準軸および/または基準面が決定される。
【0025】
ワークピースと工作機械が全体として相互に直角な座標を有することが好適であり、そのことは実質的に立方体形状のワークピースを加工する際に極めて好適であることが理解される。しかしながら、円盤状のワークピースを加工する場合は、代替的に少なくとも部分的に極座標を適用することもできる。
【0026】
請求項14に記載の本発明に係るシステムは、ワークピースと所要の加工方式の間の割り当てを実行するために特に好適である。そのため、ワークピースに付されたコードを介してそのワークピースを識別するためにも、センサを構成するカメラを利用することができる。さらに工具も、好適にはそれのシャフト上に、適宜なコードを有することができ、そのシャフトがロボットアームによって誘導されるがコードは露出し、すなわちカメラによって捕捉可能であるようにする。
【0027】
この好適な構成形態によれば、どの種類のワークピースが使用されるかをカメラによって検知することができる。この例えばデータマトリクスコードによって判定された識別指標を制御ユニットに伝送する。そのことによってどのフライス削り方式によってワークピースをフライス削りすべきであるかが決定される。さらに適宜な工具が選定され、そのため再びシャフト上に付されたコード、例えばCODE128を介して工具の識別を実行する。
【0028】
本発明は、特に5/0の軸配置、すなわち1本の固定式のフライススピンドルと5軸によって動作可能なロボットアームを有する歯科用フライス盤に適する。この装置の装置原点はカメラの測定によって極めて好適に較正することができ;それに対してスピンドル上の工具の位置は固定される。
【0029】
本発明のその他の詳細、特徴、ならびに種々の利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係るシステムに適用可能なホルダ内に固定されたワークピースの第1の実施形態を示した断面図である。
図2図1の細部を示した拡大図である。
図3】ワークピースの別の実施形態を示した部分拡大図である。
図4】工具を示した立体図である。
図5】本発明に係る工具の側面を示した平面図である。
図6】本発明に係るワークピースの別の実施形態を動作軌道と共に示した説明図である。
図7図6のワークピースと別の設定される動作軌道を示した説明図である。
図8】本発明に係るシステムを示した立体図である。
図9図8のシステムを別のロボットアーム位置において示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示されたワークピース10は、そのワークピースを貫通して延在する孔部12を備える。上面14に隣接して孔部の円錐部16を設ける。他方、孔部12は下面18の部分には円錐部を有していない。
【0032】
図示された実施例においてワークピース10は歯科用セラミックからなりホルダ20上に設置される。ホルダ20は、例えば図8に示されたロボットアーム内に固定的に締付けるように機能する。
【0033】
ホルダ20は、ワークピース貯蔵容器内にワークピース10を収容するために設定された側方スロット22を備える。
【0034】
図2には、どのように円錐部16を形成し得るかが示されている。図示された実施例において円錐角は3ないし5°とされる。センサが面14とそこから下方に延在する孔部を捕捉するようにロボットアームの動作軌道を選定した場合、円錐16のため漸進的な明/暗境界が形成される。
【0035】
そのため、面18がセンサの方向を指向することが好適である。そのことはロボットアームを適宜に構成することによって容易に可能になる。その位置において孔部12が鋭敏な角部を有し、従って鮮明な明/暗境界を形成する。
【0036】
図3には、変更されたワークピース10の構成において最初丸型の角部24が存在することが示されている。位置検出あるいは基準点の作成のために、好適には固定式に設置されたフライススピンドルを使用し、線26および28に沿って材料削除を実行する。その場合線26と28上にそれぞれ平坦な面が存在し、さらに基準点の決定のために利用することができる鋭敏な角部32が形成される。
【0037】
それらの面に直角にさらに別の平坦な面を形成することが好適であり、また本発明に係るセンサによって再度測定を実行する。従ってワークピースに対して複数の次元で基準点が既知になり、適宜な座標変換によって基準点に基づいたワークピースの切削加工の精密な制御が可能になる。
【0038】
図4に示された工具が本発明に係るシステムに適する。工具40は、例えばダイヤモンドコーティングすることが可能な作用領域42を有する。反対側の端部には工具のシャフト44が設けられる。工具40はその中間に2本の隣接する環状溝48および50を有するリング46を備える。前記の環状溝はロボットアームのソケット上あるいは適宜な把持部上に固定されるように設定される。そのことは図8に示されており、その図面にはさらにその位置において工具40のシャフト44が露出することも示されている。
【0039】
図5によれば、シャフト44がコード52、好適にはCODE128を備える。そのためセンサあるいはカメラを適宜に配置することによってコードと該当する工具を捕捉して識別することができる。
【0040】
図6には、ロボットアーム上に締付けられたワークピースの可能な動作軌道56が示されている。ワークピースは孔部12の鋭敏な角部を有する部位がセンサの下あるいはセンサの前に達するように誘導され、同時に動作軌道56が孔軸58と交接するように敷設される。
【0041】
ここでも動作軌道が孔軸58と交接し、孔部がセンサ軸に接近する際に鋭敏な孔縁部が存在することが考慮される。
【0042】
図8には本発明に係る工作機械62の可能な基本構造が示されている。切削空間の上方にカメラ64が固定式に取り付けられ、図示されていない扉によって切削空間から分離されている。扉開口によってカメラの捕捉領域66が妨害されることはない。
【0043】
ロボットアーム70が設けられ、そのロボットアームは図示されていないホルダを介してワークピース10を締付けて保持する。この実施形態においてもワークピースが孔部12を備え、その孔部12がカメラ64の捕捉領域66および対応する光軸に達するような方式でロボットアーム70が動作する。
【0044】
このことは、水平方向の2次元、すなわちX方向とY方向で実行される。
【0045】
ロボットアーム70の下方に工具スピンドル72が示されている。その工具スピンドルは、チャック74を介して工具40を締付けて保持するように設定される。そのため、ロボットアーム70を介して工具のシャフト44をチャック74内に挿入しそこで締付ける。ロボットアーム70はそのために工具40用の2体のソケット76を備える。それらのソケットを選択的にチャック74内に挿入することができる。
【0046】
ソケット76は基本的にU字型であり、環状溝48あるいは50(図5参照)内に嵌合する。そのような取り付け方によって該当する工具のシャフト44がいずれも露出される。ロボットアーム70は5軸式に構成され、シャフト44が捕捉領域内に存在するような方式でソケット76を回転させることができる。この状態においてカメラ64が付されたコードを読み取って、工具を識別するために図示されていない制御ユニットに伝達することができる。
【0047】
さらに図示された実施例においてワークピース10が別のコード80を備え、それも同様にカメラ64によって読み取り可能かつ制御ユニットに伝達可能である。それによって該当するワークピース10の識別も可能になり、その結果所要の切削プログラムの選定も可能になる。
【0048】
ロボットアーム70の別の可能な位置が図9に示されている。この位置は、例えばワークピース10の面82および84が工具スピンドル72によって平坦に切削された場合に適用されるものである。その後面82と84の間の縁部32が検出されるまでロボットアームが水平に移動し、当該検出箇所は後に実行するワークピース10のフライス削り工程のための基準点として利用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9