(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】付着物を防止する機能を有する粉末材料の微粉化のための装置
(51)【国際特許分類】
B02C 19/06 20060101AFI20220509BHJP
B02C 23/26 20060101ALI20220509BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20220509BHJP
A61K 31/167 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/232 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/56 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/4164 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/34 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/4422 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/365 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/573 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/585 20060101ALN20220509BHJP
A61K 31/57 20060101ALN20220509BHJP
【FI】
B02C19/06 B
B02C23/26
B02C25/00 B
A61K31/167
A61K31/232
A61K31/56
A61K31/4164
A61K31/34
A61K31/4422
A61K31/365
A61K31/573
A61K31/585
A61K31/57
(21)【出願番号】P 2019538716
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2017074669
(87)【国際公開番号】W WO2018060355
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】102016000098452
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519113642
【氏名又は名称】ミクロ-マチナチオーネ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤマルティーノ,ピエロ
(72)【発明者】
【氏名】レオン,ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】マーキュリー,サルバトーレ
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-243317(JP,A)
【文献】特開昭62-273061(JP,A)
【文献】特開平10-028857(JP,A)
【文献】特表2016-515931(JP,A)
【文献】特開2017-127824(JP,A)
【文献】特開2009-028707(JP,A)
【文献】特開2004-313928(JP,A)
【文献】特表2015-514575(JP,A)
【文献】特開昭48-090048(JP,A)
【文献】特開平04-161257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末材料若しくは製品(P)又は一般的に粒子を含む材料の微粉化のための装置(10、110)であって、
-
第1のガス流体(A)の高エネルギージェットを有するタイプの微粉化ミル(20、120)であって、前記微粉化ミル(20、120)は順に、前記ガス流体(A)の前記高エネルギージェット(G)によって引き起こされる前記それぞれの粒子間の衝突の結果として前記粉末材料又は製品(P)が微粉化される、円形状の内部微粉化チャンバ(20a、120a)を含む、微粉化ミル(20、120)を備える、装置(10、110)において、
前記微粉化ミル(20、120)の前記微粉化チャンバ(20a、120a)が、前記微粉化チャンバ(20a、120a)内の付着物及び/又は粉末材料の蓄積物の形成を回避するように、前記微粉化チャンバ(20a、120a)の内部に向けて方向付けられた第2のガス流体(F)の規則的な流れ(f1)によって横断されるのに好適な少なくとも1つの多孔質又は濾過部分を有する、それぞれの壁部(20f、120f)によって区切られている、装置(10、110)であって、
前記それぞれの微粉化ミル(20)が、円形状の前記内部微粉化チャンバ(20a)に加えて、
-円形状の前記内部微粉化チャンバ(20a)の周囲に配置され、圧力下で前記第1のガス流体(A)が供給されやすい、環状形状の外部圧力チャンバ(20b)と、
-環状形状の前記外部圧力チャンバ(20b)を円形状の前記内部微粉化チャンバ(20a)に接続する複数のダクト又は貫通孔(20c)であって、圧力下で前記外部圧力チャンバ(20b)から来る前記第1のガス流体(A)を搬送して、それにより前記内部微粉化チャンバ(20a)内に前記粉末材料(P)の前記微粉化を引き起こす前記高エネルギージェット(G)を生成する、複数のダクト又は貫通孔(20c)とを更に備える微粉化のための装置(10)において、
微粉化のための前記装置(10)は、
-環状形状の前記外部圧力チャンバ(20b)と円形状の前記内部微粉化チャンバ(20a)との間に配置された環状形状の中間チャンバ又は中空空間(20d)であって、前記中間チャンバ(20d)が、前記多孔質部分(20f)を横断するように方向付けられた前記第2のガス流体(F)が供給されるように設けられた、中間チャンバ又は中空空間(20d)と、
-前記中間チャンバ(20d)を前記外部圧力チャンバ(20b)から分離する、環状形状の第1の壁部(20e)と、
-前記内部微粉化チャンバ(20a)を取り囲み外部から区切り、環状形状の前記中間チャンバ(20d)を円形状の前記内部微粉化チャンバ(20a)から分離する、環状形状の第2の壁部(20f)とを更に備え、
前記内部微粉化チャンバ(20a)を画定する環状形状の前記第2の壁部(20f)が、前記内部微粉化チャンバ(20a)内の付着物及び/又は粉末材料の蓄積物の前記形成を回避するように、前記第2のガス流体(F)によって横断されるように設けられた、前記多孔質又は濾過部分を備えることを特徴とする、粉末材料若しくは製品(P)又は一般的に粒子を含む材料の微粉化のための装置(10、110)。
【請求項2】
粉末材料若しくは製品(P)又は一般的に粒子を含む材料の微粉化のための装置(10、110)であって、
-第1のガス流体(A)の高エネルギージェットを有するタイプの微粉化ミル(20、120)であって、前記微粉化ミル(20、120)は順に、前記ガス流体(A)の前記高エネルギージェット(G)によって引き起こされる前記それぞれの粒子間の衝突の結果として前記粉末材料又は製品(P)が微粉化される、円形状の内部微粉化チャンバ(20a、120a)を含む、微粉化ミル(20、120)を備える、装置(10、110)において、
前記微粉化ミル(20、120)の前記微粉化チャンバ(20a、120a)が、前記微粉化チャンバ(20a、120a)内の付着物及び/又は粉末材料の蓄積物の形成を回避するように、前記微粉化チャンバ(20a、120a)の内部に向けて方向付けられた第2のガス流体(F)の規則的な流れ(f1)によって横断されるのに好適な少なくとも1つの多孔質又は濾過部分を有する、それぞれの壁部(20f、120f)によって区切られている装置(10、110)であって、
前記それぞれの微粉化ミル(120)は、円形状の前記内部微粉化チャンバ(120a)に加えて、
-圧力下で前記第1のガス流体(A)が供給されやすいチャネルのシステム(120b)であって、前記システムが、前記内部微粉化チャンバ(120a)の周囲に環状に延び、前記粉末材料(P)の前記微粉化を引き起こす前記高エネルギージェット(G)を生成するように、前記内部微粉化チャンバ(120a)内部に圧力下で前記第1のガス流体(A)を搬送するように方向付けられた複数のチャネル(120c)を含む、チャネルのシステム(120b)、を更に含む微粉化のための装置(110)において、
微粉化のための前記装置(110)は、
-チャネルの前記システム(120b)のリングと前記内部微粉化チャンバ(120a)との間に配置された、環状形状の中間チャンバ又は中空空間(120d)であって、前記中間チャンバ(120d)が、前記多孔質部分を横断するように方向付られた前記第2のガス流体(F)が供給されるように設けられた、中間チャンバ又は中空空間(120d)と、
-前記内部微粉化チャンバ(120a)を取り囲み外部から区切り、環状形状の前記中間チャンバ(120d)を円形状の前記内部微粉化チャンバ(120a)から分離する、環状形状の壁部(120f)とを更に備え、
前記内部微粉化チャンバ(120a)を区切る環状形状の前記壁部(120f)は、前記内部微粉化チャンバ(120a)内の付着物及び/又は粉末材料の蓄積物の前記形成を回避するために、前記第2のガス流体(F)によって横断されるように設けられた前記多孔質又は濾過部分を備えることを特徴とする、粉末材料若しくは製品(P)又は一般的に粒子を含む材料
の微粉化のための装置(110)。
【請求項3】
前記微粉化チャンバ(20a)に微粉化される前記粉末材料(P)を供給するための供給ダクト(30a)を順に含む供給システム(30)を備え、前記供給ダクト(30a)が、その後前記多孔質部分を通過する前記第2のガス流体(F)が供給されるように設けられた、前記中間チャンバ(20d、120d)を通って延びている、請求項
1又は
2に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置(10、110)。
【請求項4】
前記粉末材料(P)の前記微
粉化を引き起こす前記高エネルギージェット(G)を生成するように方向付られた前記第1のガス流体(A)、及び、前記微
粉化チャンバ(20a、120a)内部の付着物及び/又は粉末材料の蓄積物の前記形成を回避するために、前記多孔質部分(20f、120f)を横断するように方向付けられた前記第2のガス流体(F)が、ともに、同じ種類のガス流体、特に窒素又は空気によって構成された、請求項1~
3のいずれか一項に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置(10、110)。
【請求項5】
前記第2のガス流体(F)が、前記微
粉化チャンバ(20a、120a)の中央領域に存在する圧力(P3)よりもわずかに高い圧力(P2)で前記微
粉化チャンバ(20a、120a)の内部にアクセスするように、前記中間チャンバ(20d、120d)内に存在する圧力(P1)と前記微
粉化チャンバ(20a、120a)内に存在する圧力(P2)との間の圧力差(P1-P2)によって、前記内部微
粉化チャンバ(20a、120a)を区切り、前記多孔質部分(20f、120f)を呈する前記壁部(20f、120f)を通って流れるようにされた、請求項
2または3に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置(10、110)。
【請求項6】
前記第2のガス流体(F)が流れる前記多孔質部分は、前記微
粉化チャンバ(20a、120a)を横方向に区切る、特に円筒形の、壁部(20f、120f)に沿って形成されている、請求項1
または2に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置(10、110)。
【請求項7】
前記第2のガス流体(f)が流れる前記多孔質部分は、前記微
粉化チャンバの下壁部又は基底壁部に沿って形成されている、請求項1
または2に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置。
【請求項8】
前記第2のガス流体(F)が流れる前記多孔質部分は、前記微
粉化チャンバの上壁部に沿って形成されている、請求項1
または2に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置。
【請求項9】
前記多孔質又は濾過部分(20f、120f)は、多孔質PTFE、又は好適な多孔性を呈するプラスチック材料若しくは焼結鋼などの焼結材料、又は多孔質セラミック材料によって構成されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置(10、110)。
【請求項10】
前記多孔質又は濾過部分(20f、120f)が、付着物の前記微
粉化チャンバ(20a、120a)内部での前記形成を防止するために、前記微
粉化チャンバ(20a、120a)の内部にアクセスする前記流体(F)の前記多孔質又は濾過部分を通る通過を可能にするのに好適な、互いに連通する微小隙間によって特徴付けられる特別な構成を有する材料によって構成された、請求項1~
8のいずれか一項に記載の粉末材料又は製品の微粉化のための装置(10)。
【請求項11】
請求項1または2の装置(10)の微粉化チャンバ内で、粉末材料又は製品(P)が、第1のガス流体(A)、特に窒素又は空気の高エネルギージェット(G)によって引き起こされるそれぞれの粒子の間の衝突の結果として微粉化される、微粉化ミル(20、120)の前記微
粉化チャンバ(20a、120a)内部の付着物及び/又は粉末材料の蓄積物の形成を同時に回避する、ガス流体(A)の前記高エネルギーのジェットを有するタイプの前記微粉化ミル(20、120)によって、前記粉末材料若しくは製品(P)又は一般的に粒子を含有する材料を微
粉化する方法であって、
-前記微粉化ミル(20、120)の前記微
粉化チャンバ(20a、120a)を、少なくとも1つの多孔質又は濾過部分を有するそれぞれの壁部(20f、120f)によって区切られるように構成する工程と、
-第2のガス流体(F)、特に空気の規則的な流れ(f1)を前記多孔質又は濾過部分を通して前記微
粉化チャンバ(20b)の外部から内部に向かって供給する工程とを含む、方法。
【請求項12】
前記粉末材料若しくは製品(P)又は一般的に前記方法により微粉化される粒子を含有するものが、例えば、フルタミド、アシトレチン、フルチカゾン、イソコナゾール、イソソルビドモノニトレート、ニフェジピン、オルリスタット、メドロキシプロゲステロンアセテート、トリアムシノロン、デソゲストレル、及びエプレレノンからなる群から選択することができる、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記粉末材料(P)の前記微
粉化を引き起こす前記高エネルギージェット(G)を生成するために、及び、前記微
粉化チャンバ(20a、120a)内部の付着物及び/又は粉末材料の蓄積物の前記形成を回避するために、前記多孔質部分(20f、120f)を通って流れるために、それぞれ提供される、前記第1及び第2のガス流体(A、F)が、ともに、同じ種類のガス流体、特に窒素又は空気によって構成された、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項14】
前記微粉化ミル(20、120)内に前記高エネルギーガスジェット(G)を生成するように方向付けられた、空気及び窒素などの前記ガス流体(A)、及び/又は、前記微粉化ミル(20、120)の前記微
粉化チャンバ(20a、120a)を区切る前記多孔質壁部(20f、120f)を通って流れる、空気及び窒素などの前記ガス流体(F)は、前記微
粉化チャンバ(20a、120a)内の温度を制御するために、低温状態、
または、0℃未満の温度の低温状態で使用される
、請求項
11~
13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、粉末材料を微粉化するための、すなわち粉末材料及び類似の物質をより細かい微粉化粉末に変換するための粉砕及び破砕するための装置及び装置の分野に関する。この装置は、特に、高エネルギーの気体流体ジェットを有するタイプの微粉化ミルを備える、粉末状の製品などの微粉化のための装置であり、粉砕して粉末材料を微粉化するための使用中に、微粉化装置の内部に付着物及び堆積物の形成を防止することを目的とする性能及び特徴を改善する。
【0002】
本発明はまた、粉末材料又は同様の製品の微粉化のための対応する方法にも関する。この方法は、ガス流体の高エネルギージェットを有するタイプの微粉化ミルを使用することを提供し、微粉化ミル内部の粉末材料の付着物及び他の蓄積物の形成を効果的に防止する利点を有する。この付着物及び他の蓄積物は、粉末製品を微粉化するためのその使用中に重大な問題及び欠点を引き起こすことがある。
【背景技術】
【0003】
粉末材料、及び一般的な、例えば、医薬品業界で使用するための粉末化合物からなる粉末の粉砕及び微粉化のための現在の技術は、多数の解決策を提供しており、また互いに代替である。その中でも、特に、「螺旋ミル」又は「ジェットミル」とも呼ばれる、ガス流体の高エネルギージェットを有するミルの使用に基づく粉末の微粉化のシステムについて言及する。
【0004】
これらのジェットミルは、通常、円形の形状などの粉砕又は微粉化チャンバを備える。この粉砕又は微粉化チャンバでは、典型的には空気又は窒素などの圧縮ガス流体によって生成される高エネルギーを有する一連のジェットを作動させる。この一連のジェットは、粉末製品の粒子をかき混ぜ、粒子間に連続衝突を生じさせ、それにより、より微細かつ小さい粒子へのそれらの微粉化を引き起こす。
【0005】
これらのジェットミルはまた、通常、静的若しくは動的タイプの、選択又は分類のシステムを備えており、このシステムは、微粉化チャンバの中央領域に関連付けられており、及びこのシステムは、破砕され微粉化された粒子をその粒径に基づいて選択的に分類及び分離する。
【0006】
より具体的には、これらのジェットミルが機能している間、微粉化チャンバ内部に生成され作用するガス流体の高エネルギージェットによってかき混ぜられた粒子は、遠心力を受ける。この遠心力は、選択も決定する。それにより、より微細かつ既に微粉化された粒子は、微粉化チャンバの内部中央区域に向かって移動し、微粉化チャンバから排出される傾向がある。一方、まだ微粉化されていない、より大きな寸法の粒子は、微粉化チャンバの外周領域に留まって、微粉化チャンバの軸の周りを回転する傾向がある。これらの更なる衝突の効果によって、特定の細かさ及び十分な微粉化に到達するまで、それら粒子が微粉化チャンバの中央領域に向かって引き戻され、その後排出される。
【0007】
長年の間の微粉化装置及び対応する方法を伴った改善にもかかわらず、現時点で、いくつかの問題は、これらの微粉化の装置及び方法の更なる改善を必要とするように、未だ解決されていない、又は少なくとも完全に満足のいかない方法で解決されているように見える。
【0008】
より具体的には、これらの未解決の問題の中でも、微粉化チャンバ内部の重要な区域及び表面における、粉末材料の、特に粉末材料の特定の種類の微粉化中の、望ましくない付着物及び蓄積物の形成の重要な問題に言及する。これは、微紛化の装置の生産性を低減する影響を有し、また、メンテナンスコストの大幅な増加とともに、粉末材料のこれらの付着物及び蓄積物を除去するために定期的に介入しなければならないことを伴う。
【0009】
実験的に観察されたように、高エネルギージェットミルでの微粉化中にジェットミルの微粉化チャンバの壁部上の付着物及び蓄積物の形成の欠点を受ける、粉末状物質の中でも、以下の物質が例として挙げられる:フルタミド、アシトレチン、フルチカゾン、イソコナゾール、イソソルビドモノニトレート、ニフェジピン、オルリスタット、メドロキシプロゲステロンアセテート、トリアムシノロン、デソゲストレル、及びエプレレノン、並びにいくつかの種類のステロイド。
【0010】
当然ながら、上記のリストは限定するものであると見なされるべきではなく、そのため、本明細書で言及されていない他の物質が、それらの微粉化中に付着物を生成するという欠点を有し得るため、本発明は、これらの他の物質に関しても有用かつ有利な用途を有することができる。
【0011】
解決策が研究され、微粉化チャンバ内部の粉末材料のこれらの付着物及び蓄積物の形成を防止するために設定されたシステムが検討されていることも事実である。
【0012】
しかしながら、既知かつ使用中のこれらの解決策及びシステムは、現在既知の微粉化装置の適切な改善及び完璧さにより、克服し解決する必要がある限界及び欠点を依然として有する。
【0013】
例えば、米国特許第3,856,214号は、微粉化される粉末材料がガス流体の作用による渦運動を受けて、それにより粉末材料の粒子をより微細な粒子に破砕させる、微粉化ミルを備える粉末材料の微粉化のための装置を提案している。この微粉化ミルは、既に微粉化された微粒子をミルの外部に搬送する出口ダクト内に配置され、この出口ダクトの区域内の粉末材料の付着物及び蓄積物を回避する特定の機能を有するスクリーンを更に含む。
【0014】
しかしながら、この装置もまた、粉末材料の微粉化に関して、限界及び欠点がないわけではなく、特に、米国特許第3,856,214号から既知の、この微粉化装置に採用されているスクリーンを含む解決策は、微粉化ミルの出口の制限領域においてのみ粉末材料の付着物及び蓄積物の形成を回避及び防止することに限定され、また構造上いくぶん複雑であり、いずれの場合も、スクリーンによって精密に構成され、それにより無視できないコストも伴う追加部品を伴うように見える。
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の第1の目的は、前に例示し従来技術に存在する欠点を回避することができる、したがって、ジェットミル内部の粉末材料の望ましくない付着物及び/又は蓄積物の形成を防止し、したがってまた、同じジェットミルからこれらの付着物及び蓄積物を除去するために定期的に介入しなければならないことを回避する能力を有する、典型的には窒素又は空気などのガス流体の高エネルギージェットを有するミルを備えるタイプの、粉末の微粉化のための新しい改良された装置を製造することである。
【0016】
本発明の更なるかつ第2のより一般的な目的はまた、典型的にはガス流体の高エネルギージェットを有するミルを使用する粉末及び同様の材料の微粉化方法の効率を高め、既知のように、微粉化方法の効率及び生産性に悪影響を有し、かつそれらを低減する、ジェットミル内の蓄積物及び付着物の形成などの現象を回避することである。
【0017】
再度、本発明の第3の目的は、実験的に観察されたように、特に重要な、かつ粉末材料の付着物の形成及び蓄積物の形成の現象を他のものより受ける、特定の粉末状物質の微粉化の間の、ジェットミルの微粉化チャンバの表面上の材料の付着物及び蓄積物の形成を防止及び回避することである。
【0018】
前述の目的は、独立請求項1によって定義される特徴を有する粉末の微粉化のための装置、及び独立請求項9によって定義される特徴を有する粉末の微粉化のための対応する方法によって、完全に達成されると考えることができる。
【0019】
本発明の特定の実施形態は、従属請求項によって定義される。
【0020】
本発明の利点
単に例として以下に列挙されるものなどの、粉末の微粉化のための、本発明による新しい装置に関連付けられた、利点は多数であり、部分的に既に暗黙的に前に記載されている。
-従来の装置で得ることができる品質に対して、微粉化製品の概してより高い品質、
-微粉化装置のメンテナンスコストの大幅な削減、
-特に医薬品業界で広く使用されている重要な物質の微粉化方法のより高い効率及び品質、
-微粉化しなければならない粉末材料及び回避されるべきその付着物の形成の特徴の関数として、異なるガス流体を使用する可能性、
-簡単かつ製造が容易な構成、
-比較的単純かつ複雑でない修正により従来型の微粉化装置を適応させることにより、新たな微粉化装置を作製する可能性。
【0021】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴、及び利点は、添付図面を参照して非限定的な実施例として与えられる、その好ましい実施形態のうちの1つの以下の説明によって、より明確かつより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ガス流体の高エネルギージェットを有するタイプの、同じ微粉化ミル内部の粉末材料の付着物及び蓄積物の形成を防止する能力を有する微粉化ミルを備える、粉末材料の微粉化のための本発明による装置の、
図2並びに
図5A及び
図5Bの線I-Iによって定義される垂直平面に沿って切断した部分概略図である。
【
図2】粉末材料の微粉化のための本発明による装置の、
図1並びに
図5C及び
図5Dの線II-IIによって定義される水平平面に沿って切断した部分概略図である。
【
図3】同じ微粉化装置に含まれ、高エネルギージェットを有する微粉化ミルの微粉化チャンバ内部の粉末材料の付着物及び蓄積物の形成を防止するために、ガス流体の流れが横断しやすい多孔質壁部を有する、
図1及び
図2の微粉化装置の領域の拡大スケールの概略断面図である。
【
図4】微粉化装置の微粉化ミルの内部の付着物及び蓄積物の形成を回避することを目的としたガス状流れの制御回路を示す、本発明の微粉化装置の図である。
【
図5A】微粉化ミル内部の粉末材料の付着物及び蓄積物の形成を防止する能力を有するガス流体の高エネルギージェットを有するミルを備える、粉末材料の微粉化のための本発明による装置を示す、第1の三次元グラフィック図である。
【
図5B】
図5Aの微粉化装置の上方からの更なるグラフィック平面図である。
【
図5C】本発明の微粉化装置の、
図5Aの線V-Vによって定義される垂直平面に沿って切断した更なるグラフィック図である。
【
図5D】本発明の微粉化装置の、
図5Aの線V-Vによって定義される垂直平面に沿って切断した更なるグラフィック図である。
【
図5E】
図5Aの微粉化装置の下方からの更なるグラフィック図である。
【
図5F】
図5Aの微粉化装置の上方からの、
図2に対応する更なるグラフィック断面図である。
【
図6】
図1~
図3のもの及び
図5A~
図5Fの対応するグラフィック図のものに対する更なる実施形態での本発明の微粉化装置の図である。
【
図6A】本発明の微粉化装置の
図6の更なる実施形態の3次元グラフィック断面図である。
【
図6B】本発明の微粉化装置の
図6の更なる実施形態の3次元グラフィック断面図である。
【
図6C】本発明の微粉化装置の
図6の更なる実施形態の3次元グラフィック断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、微紛化される粒子を含有し、それによって形成され、典型的には生成物、化合物、物質、又は一般的に粉末形態の材料Pによって構成される、材料の粉砕又は微粉化のための本発明による装置又は設備を、全体として10で示し、この装置は、
-全体として20で示す、典型的には空気などのガス流体の高エネルギージェットを有するタイプの微粉化ミルと、
-全体として30で示す、微粉化される粉末材料Pを微粉化ミル20に供給するための供給システムと、
-全体として40で示す、P’で示す微粉化された粉末材料、又は微粉化ミル20によって微粉化された後の粉末材料Pを回収及び排出するための、回収及び排出のシステムと、を備える。
【0024】
多くの場合「ジェットミル」とも呼ばれる高エネルギージェットを有する微粉化ミル20は、実質的に既知の基本構造及び動作の特徴を有し、したがって、これは、簡単に説明し、当業者の知識の組の一部と見なされることになる。
【0025】
より具体的には、微粉化ミル20は、
-単に粉砕又は微粉化チャンバとも呼ばれる円形状を有する内部微粉化チャンバ20aと、
-単に圧力チャンバとも呼ばれる環状形状を有する外部圧力チャンバ20bであって、環状形状の内部微粉化チャンバ20aを取り囲み、同じ外部圧力チャンバ20bの入口開口部又は口20b’を通って加圧された流体が供給されるために設けられた、外部圧力チャンバ20bと、
-微粉化チャンバ20aの半径に対して適切に傾斜した複数のダクト又は貫通孔20cであって、外部圧力チャンバ20bを内部微粉化チャンバ20aに接続し、外部圧力チャンバ20bから来る加圧流体は、複数のダクト又は貫通孔20cを通過して内部微粉化チャンバ20a内に搬送され、それにより内部微粉化チャンバ20a内部に、粉末材料Pの微粉化を引き起こす高エネルギージェットを生成する、複数のダクト又は貫通孔20cと、を含む。
【0026】
外部圧力チャンバ20bを内部微粉化チャンバ20aと連通する傾斜したダクト又は貫通孔20cは、様々な形状に作製することができ、異なる組み合わせの一部であってもよい。
【0027】
例えば、傾斜したダクト又は貫通孔20cは、追加の部品又は要素で形成することなく、単純な貫通穴によって構成することができる。この単純な貫通穴は、直径約100mmの微粉化チャンバを有するものなどの特に小さいサイズの微粉化ミル内における、圧力チャンバ20bと微粉化チャンバ20とを互いに分離する、典型的には、テフロン製の領域又は壁部若しくは複数の壁部を延びて横断する。又は、直径約300mmの微粉化チャンバを有するものなどの、より大きなサイズの微粉化ミルの場合には、
図2に示すような金属本体20c’を備えた実際のノズルに組み込まれてもよい。
【0028】
また、実質的に既知の特徴を備える供給システム30は、順に、
-本明細書で以下により詳細に説明するように、微粉化される粉末材料Pを微粉化ミル20の内部微粉化チャンバ20bに供給するために、微紛化ミル20の内部を貫通する供給ダクト30aであって、具体的には、それぞれの外部環状チャンバ20a及びそれぞれの中間環状壁部20cを通って延びる、供給ダクト30aと、
-
図1の対応する矢印Pによって示すように、微粉化される粉末材料Pで充填されるホッパ30bであって、30Cで示すベンチュリ管と通常関連付けられ、次いで、供給ダクト30aに一体化され、供給ダクト30aによって画定されている、ホッパ30bとを備える。
【0029】
回収及び排出システム40はまた、実質的に既知の特徴とともに、本明細書で以下により詳細に説明するように、微粉化チャンバ20aの中央領域に実際に集中する、微粉化された粉末材料P’又は以前に微粉化された粉末材料Pを、微紛化ミル20から回収及び排出する機能を有する。
【0030】
通常、回収及び排出システム40は、既知の特徴の、したがって図面には示さない分級機に関連付けられ、特定のレベルの微粉化に到達した粒子のみを微粉化ミル20から排出するように、それらの寸法及び粒径に基づいて、微粉化された粉末材料P’の粒子を分類又は選択する機能を有する。
【0031】
この回収及び排出のシステム40は、特に、微粉化しなければならない製品タイプの関数として、様々な構成を有することができる。
【0032】
例えば、
図1に示すように、回収及び排出システム40は、最終回収サイクロンの方向に分級機を通って上向きに出る微粉化された製品を回収するように、対応する下端部で微紛化チャンバ20aの中央領域と関連付けられた、漠然とホッパの形状のコレクタ部材40aを含むことができる。
【0033】
又は代わりに、回収及び排出のシステム40は、微粉化された粒子を受け入れる分級機が下向きに開放され、微粉化された製品がミルの下で回収されるように、微粉化チャンバから下向きに出て流れる微粉化された製品を回収するように構成されてもよい。
【0034】
微粉化された製品がミルの下で回収されるこの代替の構成では、回収及び排出システム40は、いずれの場合でも、常に、微粉化チャンバから来るガスの放出を可能にする上向きの開口部を含み、それによって、上向きに放出されて出るこのガスが、最小限の割合であっても特定の量の微紛化粒子を含有し、それゆえ、失われることになる。
【0035】
微粉化装置10の作動中に、供給システム30の供給ダクト30aは、図にBで示す加圧空気が外部から供給され、それにより、供給ダクト30aに沿って流れ、ベンチュリ管30cの区域を横断している間に粉末材料Pをホッパ30bから引き戻す真空を生成する、空気の流れを生成し、それにより、粒子が微粉化されるように、供給ダクト30aの出口開口部30a’を通して微粉化ミル20の内部微粉化チャンバ20aに、微粒子化される粉末材料Pの粒子を引き込んで供給する、図の矢印B’で示す空気の流れを生成する。
【0036】
更に、同時に、微粉化ミル20は、高圧で、Aで示す流体、具体的には空気又は窒素が供給され、これは、外部圧力チャンバ20b内に供給され、次いで、外部圧力チャンバ20bを内部微粉化チャンバ20aに接続するチャネル20cを通って、内部微粉化チャンバ20a内に矢印Gで示す高エネルギージェットの形態で現れる。
【0037】
このようにして、微粉化チャンバ20aの軸の周りの渦及び空気螺旋運動を決定し、微粉化チャンバ20aの中心領域に向かって収束する、微粉化チャンバ20aの半径に対して傾斜した、高エネルギージェットのシステムが、微粉化チャンバ20a内部に生成される。
【0038】
この渦運動は、次に、粉末材料Pの粒子間の連続衝突を引き起こし、粉末材料は、このようにして破砕され、次第に小さい寸法をとる、すなわち、微粉化される。
【0039】
より具体的には、微粉化チャンバ20a内では、この渦運動によって、粉末材料Pの粒子は、微紛化チャンバ20aの周辺に向かって粒子を移動させ、したがって、粒子が特定の寸法を上回る、又はまだ十分に破砕されていない間、粒子を微粉化領域内に維持する傾向がある遠心力を受ける。
【0040】
同じ粒子は、完全に破砕されると、代わりに、20a’及び点鎖線の円で図に示す微粉化チャンバ20aの中央領域に向かって粒子を移動させる傾向がある半径方向力を受け、この中央領域から、粒子は、回収及び排出システム40から排出される。
【0041】
したがって、微粉化チャンバ内の渦運動もまた、微粉化されると粒子の排出を決定するように、粒子の分級機として動作する。
【0042】
本発明の本質的な特徴によれば、より広い微粉化装置10に含まれる微粉化ミル20の微粉化チャンバ20aは、微粉化チャンバ20aの内部に向けて向けられた、Fで示すガス流体の規則的な流れが横断しやすい少なくとも1つの多孔質又は濾過部分を有するそれぞれの壁部によって区切られ、それにより、微粉化チャンバ20aを区切る壁部のこの多孔質部分上、及び微粉化チャンバ20aに隣接する領域内の粉末材料の付着物及び/又は蓄積物の形成を回避するようになる。
【0043】
より具体的には、この目的のために、かつ図面に示すように、本発明の微粉化装置10の微粉化ミル20は、円形状の内部微粉化チャンバ20aに加えて、
-内部微粉化チャンバ20aを取り囲み外部から区切り、環状形状の外部圧力チャンバ20bと円形状の内部微粉化チャンバ20aとの間に配置された、20dで示す環状形状の中間チャンバ又は空洞と、
-中間チャンバ20dを外部圧力チャンバ20bから分離する、典型的には、テフロン製の環状形状の第1の壁部20eと、
-内部微粉化チャンバ20aを取り囲み外部から区切り、それにより、円形状の内部微粉化チャンバ20aから環状形状の中間チャンバ20dを分離する、環状形状の第2の壁部20fと、を含む。
【0044】
中間チャンバ20dは、微粉化チャンバ20aを区切る壁部の多孔質部分を横断することを目的としたガス流体Fを供給するために設けられている。
【0045】
内部微粉化チャンバ20aを取り囲み外部から区切り、かつ中間チャンバ20dから分離する環状形状の第2の壁部20fは、微粉化装置10の使用中及び機能中に微粉化チャンバ20a内部の粉末材料の付着物及び/又は蓄積物の形成を回避するように、
図3の複数の矢印f1で示すように、流体Fによって横断されるために、この多孔質又は濾過部分を設けられている。
【0046】
詳細には、図面、例えば、
図3に示すように、中間チャンバ20dを微粉化チャンバ20aから分離する環状壁部20fの多孔質部分を通って流れるガス流体Fは、微粉化ミル20の20gで示す外部ケーシングを通って延びる入口ダクト21を介して中間チャンバ20dの外部からアクセスする。
【0047】
また、多数かつ徹底的な実験的試験によって確認されたように、多孔質壁部20fを横断するガス流体Fのこの規則的な流れは、通常又は少なくとも多くの場合に従来のジェットミルで起こるようにではなく、微粉化装置10の使用中の時間に、微粉化方法に供される粉末材料が微粉化ミル20の微粉化チャンバ20aの壁部上及びこの微粉化チャンバ20aに隣接する領域内に堆積又は蓄積することを防止する効果を実際に有する。
【0048】
当然のことながら、壁部20fの多孔質部分を横断し、上述したように、微粉化チャンバ20a内部の蓄積物及び付着物の形成を防止する有益な効果を有する、このガス状流れは、中間チャンバ20dと微粉化チャンバ20aとの間の圧力の差又は勾配によって誘発される。
【0049】
換言すれば、
図3及び
図4を参照して、中間チャンバ20d内に存在するガス流体Fの圧力P1は、微粉化チャンバ20aの周辺領域又は多孔質壁部20fのすぐ近傍に存在する圧力P2よりも高く、それにより、ガス流体Fが、この多孔質壁部20fの厚さSを横断する間に同じガス流体Fが受ける圧力の低下にも対応する(P1-P2)に等しい圧力の差によって多孔質壁部20fを通って流れるように誘発される。
【0050】
例示的には、実験的試験に基づいて、多孔質壁部20fを通る流体Fのこの流れは、例えば、10kg/cm2である10ataに等しい、中間チャンバ20d内に存在する流体Fの圧力P1によって、及び、通常大気圧に等しく、かついずれの場合でも相対的に低く、微粉化された粉末P’が回収される微粉化チャンバ20aの中央領域20a’内に存在するP3の圧力よりもわずかに高い、多孔質壁部20fのすぐ近傍にある微粉化チャンバ20aの周辺領域に存在する圧力P2によって誘発することができることが明らかになっている。
【0051】
当然のことながら、上記で与えられる数値圧力値は、相対的で、絶対圧力値ではなく、すなわち、1バールの大気圧に対しての圧力の値であると理解されるべきである。
【0052】
多孔質壁部20f又はその一部分を作製するために使用することができる材料は、異なることができ、全てが本発明の範囲内に入る。
【0053】
例えば、これらの可能な材料の中でも、医薬及び食品業界において滅菌及び浄化フィルタカートリッジの製造に現在既に使用されているAISI 316規定によって既知の焼結ステンレス鋼、又はテフロンとしてより周知のPTFEなどのプラスチック材料が言及される。
【0054】
特に、PTFEに関しては、この材料は、微粉化装置10の多孔質壁部20fを作製するために、及び例えば、ガス流体Fが、この多孔質壁部20fを通るガス流体Fの流れを生成するために、微粉化チャンバ20a内の20ミリバールだけの相対圧力の条件にさらされる、本発明による微粉化装置を作製するために、その特定の特徴及び技術的特性を考慮して、好都合に使用されるのに好適である。
【0055】
いずれの場合も、多孔質壁部20fを通って流れるように提供されるガス流体F中の圧力の条件を増加させる、又は一般的に変更することによって、多孔質PTFEで作製された同じ多孔質壁部20fを通るガス流体Fの最適かつより便利な流量を調整し得ることが可能であることが明らかである。
【0056】
この点において、現在様々な種類のPTFE、例えば、多孔質壁部20fに関する本発明の特定の必要性を満たすなどの多孔性の特徴を有する、GUARNIFLONという会社の登録商標TEKPOREで商業上既知のものが入手可能であることも指摘される。
【0057】
要約すれば、少なくとも現時点で、PTFE、すなわち、例えばテフロンは、加工、適合、及びモデル作製が容易であり、かつ更に粉末材料の微粉化技術によってもたらされる必要性及び要件と適合性がある材料の全てを上回っており、多孔質壁部を作製するための最良の選択であるように見える。
【0058】
焼結鋼に関して、この材料は、例えば、約1~3マイクロメートルの多孔性を有することができる。
【0059】
最終的に、付着物の形成を回避するためにガス流体Fが流れる多孔質壁部を作製するために使用することができる可能な材料の中でも、以下のものが更に言及される。
-多孔質ポリプロピレン、
-多孔質高密度ポリエチレン(HDPE)、
-多孔質セラミック材料。
【0060】
再度、壁部20fはまた、材料及び構成要素の技術における最近のいくつかの開発を利用して、厳密に多孔質ではなく、すなわち、非常に微細で、互いに連通する微小空洞系によって特徴付けられた非多孔質材料で作製された構造を有し、壁部20fを通る流体Fの通過を可能にし、したがって多孔質材料で作製された多孔質又は濾過壁部と機能的に同等となる材料で作製することもできる。
【0061】
情報の完全性のために、本発明の微粉化装置10の関連する寸法のうちのいくつか及びそれぞれの変動範囲の表示を、本明細書では以下に、表示レベル上で、
図3及び
図4を参照して示す。
-多孔質壁部20fの厚さS=2~3mm、
-微粉化チャンバ20aの直径D=100~300mm。
【0062】
再度、常により多くのかつ完全な情報のために、本発明の微粉化装置10の機能に関与するパラメータの値の概念を示すこと及び与えることを目的として、簡単な計算を本明細書で以下に示す。
【0063】
微粉化装置10が、100mmの直径を有し、かつ1cmをわずかに上回る高さの円筒リングによって横方向に区切られた、微粉化チャンバ20aを有する微粉化ミル20を含むと想定して、ガス流体Fによって横断される多孔質壁部20fに対応するこのリングの表面が、約50cm2に等しいことが得られる。
【0064】
したがって、高エネルギーを有する流体ジェットGを生成することを目的とした粉砕ガスAの流れが800リットル/分に等しく、かつ大気圧に対して約7バールの相対圧力で起こると仮定すると、円筒リングの多孔壁部20fを横断して粉砕チャンバ20bに到達するガスFの流れは、少なくとも10分の1、すなわち約100リットル/分に等しい流量を有しなければならないことが得られる。これは、円筒リング又は多孔壁部の表面が約50cm2であるという事実を考慮して、約2リットル/cm2/分のこのリングを通るガスFの流れ又は流量に対応する。
【0065】
したがって、説明したことから、本発明は、設定された目的を完全に達成し、具体的には、高エネルギージェットを有する微粉化ミルを備えるタイプの新たな微粉化装置又は設備を提供し、これは、典型的には医薬品業界で使用されることが意図されているものなどの粉末の微粉化のための、現在既知かつ使用されている装置に対する著しい改善及びより良好な性能を有し、特に、微粉化装置に含まれる高エネルギージェット微粉化ミル内部の厄介かつ損傷を与える付着物の形成を回避しやすいことは明らかである。
【0066】
医薬品業界で広く使用される物質の中でも、本発明の微粉化装置のプロトタイプで実施された多数かつ徹底的な実験的試験から見出されたように、既知の微粉化装置を使用して起こることが多いこととは異なり、微粉化ミル内部の粉末材料の蓄積物及び付着物の形成現象を生成していない、特に以下のものが挙げられる:フルタミド、アシトレチン、フルチカゾン、イソコナゾール、イソソルビドモノニトレート、ニフェジピン、オルリスタット、メドロキシプロゲステロンアセテート、トリアムシノロン。
【0067】
より具体的には、従来技術ではこの欠点及び問題によって影響されることが多いが本発明の微粉化装置は、そうではなく、長期使用後であっても、例えば、分級機の領域などの、これらの重要な領域における粉末材料の蓄積物を呈していない。
【0068】
変形形態
当然のことながら、前述した微粉化装置10は、依然として本発明の範囲内にある変更、改善、及び変形の対象となり得る。
【0069】
例えば、微粉化ミル20の微粉化チャンバ20aを区切る壁部に関連付けられ、流体Fが横断しやすい多孔質部分は、様々な構成を想定することができ、又は微粉化チャンバ20aを区切る壁部の異なる領域に関連付けられてもよく、例えば、同じ微粉化チャンバ20a内部の粉末材料の付着物の形成を回避するために、対応する基底壁部に関連付けられてもよい。
【0070】
例えば、この実施形態では、微紛化チャンバの基底壁部は、この基底壁部を通って流れることが意図される流体Fを外部から受け入れる空洞に関連付けられてもよく、これにより、やがて粉末材料の堆積物及び付着物が形成されることを回避することができる。
【0071】
多孔質部分はまた、更に、微粉化チャンバの外部環状壁部及び/又は下側基底壁部、基底壁部とは反対側の上壁部にも関連付けられてもよい。
【0072】
一般的に、この多孔質部分は、実験的に、かつ同じ微粉化チャンバ内に存在する特定の流体動的条件の効果を通じて確認されたように、粉末材料の堆積物及び付着物が形成される傾向にある、微粉化チャンバを区切る壁部の任意の領域に形成することができる。
【0073】
このようにして、すなわち、内部微粉化チャンバを区切る壁部の最も適切な領域に多孔質部分(単数又は複数)を形成することによって、材料又は粉末製品の微粉化のための本発明の装置は、既に既知のものとは異なり、使用中に、同じ内部微粉化チャンバの壁部上の粉末材料の付着物及び/又は堆積物が全くないことを確実に保証することができる。
【0074】
簡潔にするために、適切であると考えられる内部微粉化チャンバの壁部の任意の領域に多孔質部分を形成することができるこれらの変形形態は、粉末材料の微粉化のための本発明の装置の前述した実施形態10から暗黙的又は明らかに推測でき、図面には示さない。
【0075】
更に、微粉化チャンバ20a内に高エネルギージェットGを生成するために外部圧力チャンバ20bに供給するガス流体A、微粉化チャンバ20a内に微粉化される粉末Pを引き込むために供給ダクト30aに供給するガス流体B、及び同じ微粉化チャンバ20aを区切る壁部の多孔質部分20fを通って微粉化チャンバ20aに向かう流れを生成するために中間チャンバ又は環状空洞20dに供給する流体Fは、互いに異なっていてもよく、この可能性は、具体的には、圧力チャンバ20b及び空洞20dが互いに別個かつ異なり、また互いに異なるガス流体を供給するためのそれぞれのシステムに関連付けられているという事実によって可能になる。
【0076】
例えば、空洞20dに供給する流体Fは、外部圧力チャンバ20bに供給する流体Aのように、窒素又は空気によって構成することができる。
【0077】
この点において、いずれの場合でも、2つの流体、それぞれ、高エネルギージェットを生成することを目的とした流体A、及び微粉化チャンバ20b内部の付着物の形成を回避するために多孔質壁部を通って流れることを目的とした流体F、を区別することが可能であるが、好ましい解決策は、2つの流体A及びFに関して、同じ種類の流体、具体的には空気又は窒素を採用するものであると思われることが指摘される。
【0078】
いずれの場合でも、不活性ガスである窒素は、まさに、不活性であり、したがって化学反応に関与しないこの特性のために、高エネルギーガスジェットの生成のため、したがって粉末材料の微粉化を行うための、好ましい選択のガス流体Aと見なされるべきである。
【0079】
更に、窒素はまた、多孔質壁部20fを横断するガス流体Fを構成するのに好適であると思われる。
【0080】
いずれの場合でも、次に、空気はまた、多孔質壁部を通って流れる、したがって付着物の形成を防止するために使用されるのに非常に好適なガスであるように思える。
【0081】
更に、
図4は、多孔質壁部20fを通る第2のガス流体Fの流れを制御しやすい、具体的には電子制御ユニット51、及び微粉化ミル20の微粉化チャンバ20b内部に配置され、対応する微粉化チャンバ20a内部に存在する圧力を検出する機能を有する圧力センサ52を含む、全体として50で示す制御回路を含む、本発明の微粉化装置の興味深い改善を示す。
【0082】
作動中、制御ユニット51は、圧力センサ52から、微粉化チャンバ20b内部に存在する圧力を示す信号S1を受信し、適切な速度及び圧力で流体Fを空洞20dに供給するポンプ53を制御することを目的とした対応する信号S2を生成し、それにより、制御下に、すなわち予め設定された傾向に従って、微粉化チャンバ20b内部の圧力、したがって多孔質壁部20fを横断する流体Fの流れも維持する。
【0083】
図6の図及び
図6A~
図6Cの写真は、本発明の微粉化装置の、全体として110で示す更なる変形形態を参照し、ここで、前述した好ましい実施形態10のものに対応する部品及び特徴は、明確にするために、この前述の実施形態10のものに対して100だけ増分した参照番号で示されている。
【0084】
詳細には、この更なる実施形態では、粉末材料又は製品の微粉化のための装置110に含まれる微粉化ミル120は、実施形態10に含まれる円形状の内部微粉化チャンバ120a、あるいは圧力チャンバ20bとともに、
-加圧された第1のガス流体Aが供給されやすい、全体として120bで示すチャネル又はダクトのシステムを含み、このチャネルのシステム120bは、内部微粉化チャンバ120aの周囲の環状構成を有し、更に、リング形状を有する外部チャネル120b’と、1つの端部で外部環状チャネル120b’に接続され、加圧された第1のガス流体Aを内部微粉化チャンバ120a内部に搬送して、それにより、粉末材料Pの微粉化を引き起こす高エネルギージェットGを生成する機能を有する、複数のチャネル120cとを含む。
【0085】
更に、微粉化装置110の微粉化ミル120は、微粉化装置10の微粉化ミル20と同様に、
-環状形状を有し、チャネルのシステム120bのリング120b’と微粉化チャンバ120aとの間に配置され、第2のガス流体Fが供給されるように設けられた、中間チャンバ又は空洞120dと、
-内部微粉化チャンバ120aを取り囲み外部から区切り、微粉化ミル120の円形状の内部微粉化チャンバ120aから環状形状の中間チャンバ120dを分離する、環状形状の壁部120fと、を含む。
内部微粉化チャンバ120aを区切る環状形状のこの壁部120fは、微粉化チャンバ120a内部及び隣接領域内の粉末材料の付着物及び/又は蓄積物の形成を回避する機能を有する、第2のガス流体Fが流れる多孔質又は濾過部分を有する。
【0086】
この変形形態110では、加圧された第1のガス流体Aを搬送して内部微粉化チャンバ120aに供給するチャネル120cは、実施形態10に含まれかつ
図2に示すチャネル又は貫通孔20cと同様に、中間チャンバ120dを外部から区切る壁部120e及び微粉化チャンバ120aを区切る壁部120fを通って延びる対応する金属本体をそれぞれが備えた実際のノズルに組み込むことができる。
【0087】
更なる改善
また、本発明の改善及び変形形態の範囲内であると常に考えられる、微粉化ミル20内の粉末材料を微粉化する高エネルギーガスジェットを生成するために、0度未満、すなわち0℃未満の温度でガス流体、特に窒素を使用する可能性が指摘される。
【0088】
高エネルギージェットを生成するガス流体が比較的低温で使用されることに基づく、この可能な改善は、化学的及び物理的安定性の理由から、又は微粒子化される粒子の冷たさによって影響を受ける硬度の特徴に作用する微粉化の同じ方法を促進及び改善するために、これが必要とされる場合に、極低温又は低温条件での活性物質の粉砕又は微粉化を可能にするために、微紛化チャンバ内部の温度を制御する利点を有する。
【0089】
低温条件及び比較的低温で動作するこれらの条件は、微粉化方法の特定の性質及び粉砕される活性物質の特徴を考慮して、粉砕流体のみに適用する、又は多孔質壁部を通って流れる流体にも拡張することができる。
【0090】
このようにして、粉末材料を微粉化することを目的とした高エネルギーガスジェットを生成し、多孔質壁部を横断し、それにより微粉化ミル内部の付着物の形成を回避するために提供される、2つのガス流体、具体的には窒素及び空気は、極低温機能に、すなわち、特に微粉化された最終製品の品質及び付着物の時間的形成を回避し対比する微粉化装置の能力に関して、微粉化方法を改善及び最適化するように、微粉化ミルの微粉化チャンバ内部の温度を制御するために、使用される。