(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】冗長性を提供する分散アンテナシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/04 20090101AFI20220509BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20220509BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20220509BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W88/08
H04W16/26
(21)【出願番号】P 2019543935
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2018050457
(87)【国際公開番号】W WO2018149557
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-12-22
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519194423
【氏名又は名称】メイベン ワイヤレス スウェーデン アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】ミーケル ルイス
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541875(JP,A)
【文献】特開2005-252452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0169263(US,A1)
【文献】米国特許第06848006(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第00994635(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00ーH04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DAS(分散アンテナシステム)に接続する無線通信装置にDASインタフェースを提供するように構成された複数のデジタルリモートユニット(201-209)、および前記DASに接続する基地局にDASインタフェースを提供するように構成された少なくとも1つのデジタルマスターユニット(210-212)を備えるデジタルDAS(200)を構成する方法であって、前記方法は、
サブセット内の各デジタルリモートユニットが、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の1つおよび前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット、または、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の2つのいずれかと接続されるように前記デジタルリモートユニット(201-209)の少なくともサブセットを接続するステップ(S101)と、
前記デジタルリモートユニットのサブセット(202、204、205、206、207、208)の少なくとも1つを、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の2つおよび前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット、または、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の3つのいずれかに接続するステップ(S102)と、
を含み、
前記方法は、
前記デジタルリモートユニットのサブセットの少なくとも2つに前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット(210-212)を接続するステップ(S103)であって、これにより、冗長データ伝送のための少なくとも1つのパスが提供される、ステップと、
選択された無線通信装置にダウンリンク方向でデータを伝送する任意のデジタルマスターユニット(210-212)に対して、前記任意のデジタルマスターユニットから前記選択された無線通信装置にサービス提供する前記デジタルリモートユニット(201-209)へ前記データを伝送するためのメインルートとして、前記DAS(200)内のすべての可能なルートの最小遅延のコストメトリックをもたらすルートを選択するステップと、
前記任意のデジタルマスターユニット(210-212)から前記選択された無線通信装置にサービス提供する前記デジタルリモートユニット(201ー209)へ前記データを伝送するための冗長ルートとして、前記DAS(200)内のすべての可能なルートの第2の最小遅延のコストメトリックをもたらすルートを選択するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのさらなるデジタルマスターユニット(211、212)を、前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット(210)に接続するステップ(S201)であって、前記少なくとも1つのさらなるデジタルマスターユニットは、前記複数のデジタルリモートユニットの少なくとも2つにさらに接続される、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択された無線通信装置にサービス提供する前記デジタルリモートユニット(201-209)により、前記メインルート及び前記冗長ルートを介して伝送される前記データのうちの最初に到着するデータを、前記任意のデジタルマスターユニット(210-212)から前記無線通信装置へ提出するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通であるルーティング・ポイントを決定するステップと、
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通である前記決定されたルーティング・ポイントを回避する代替の冗長ルートを選択するステップと、
をさらに含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通であるルーティング・ポイントを決定するステップと、
前記冗長ルートに対して、前記メインルートと前記冗長ルートとに共通する個々のルーティング・ポイントの各々にペナルティを課すステップであって、該ペナルティは、前記冗長ルートのコストメトリックを増加させるものである、ステップと、
をさらに含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記メインルートと前記冗長ルートとに対して共通なルーティング・ポイントを決定するステップと、
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通する個々のルーティング・ポイントの各々にペナルティを課すステップであって、該ペナルティは、前記メインルートおよび前記冗長ルートのコストメトリックを増加させるものである、ステップと、
をさらに含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
伝送される前記データを収容する能力を持っていないルーティング・ポイントを決定するステップと、
伝送される前記データを収容する能力を持っていない前記ルーティング・ポイントが回避されるように前記メインルートおよび前記冗長ルートを選択するステップと、
をさらに含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
伝送される前記データを収容する能力を持っていないルーティング・ポイントを決定するステップと、
伝送される前記データを収容する能力を持っていない各々のルーティング・ポイントにペナルティを課すステップであって、該ペナルティは、伝送される前記データを収容する能力を持っていない前記各々のルーティング・ポイントを含むすべてのルートに対するコストメトリックを増加させる、ステップと、
をさらに含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)の第1のもの(211)によってサービスされるデジタルリモートユニットの少なくともサブセット(204-206)が、さらに、前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)の第2のもの(212)によってサービスされるように前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)を接続するステップをさらに含み、
前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)の前記第1のもの(211)の故障の場合には、フォールバックが、前記デジタルリモートユニットのサブセット(204-206)に提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)は、それぞれが少なくとも1つの基地局に接続されるように構成され、
前記少なくとも2つのデジタルマスターユニットの前記第1のもの(211)に接続されている前記少なくとも1つの基地局は、前記少なくとも2つのデジタルマスターユニットの前記第2のもの(212)に接続されている前記少なくとも1つの基地局に関して隣接セルに配置される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
DAS(分散アンテナシステム)に接続する無線通信装置にDASインタフェースを提供するように構成された複数のデジタルリモートユニット(201-209)、および前記DASに接続する基地局にDASインタフェースを提供するように構成された少なくとも1つのデジタルマスターユニット(210-212)を備えるデジタルDAS(200)であって、
前記DASは、
サブセット内の各デジタルリモートユニットが、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の1つおよび前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット、または、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の2つのいずれかと接続されるように前記デジタルリモートユニット(201-209)の少なくともサブセットが接続され、
前記デジタルリモートユニットのサブセット(202、204、205、206、207、208)の少なくとも1つは、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の2つおよび前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット、または、前記デジタルリモートユニットの少なくとも他の3つのいずれかに接続されるように構成され、
前記DAS(200)は、前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット(210-212)が、前記デジタルリモートユニットのサブセットの少なくとも2つに接続され、これにより、冗長データ伝送のための少なくとも1つのパスが提供されるように構成されることでさらに特徴づけられ、
前記DAS(200)は、
選択された無線通信装置にダウンリンク方向でデータを伝送する任意のデジタルマスターユニット(210-212)に対して、前記任意のデジタルマスターユニットから前記選択された無線通信装置にサービス提供する前記デジタルリモートユニット(201-209)へ前記データを伝送するためのメインルートとして、前記DAS(200)内のすべての可能なルートの最小遅延のコストメトリックをもたらすルートを選択し、
前記任意のデジタルマスターユニット(210-212)から前記選択された無線通信装置にサービス提供する前記デジタルリモートユニット(201-209)へ前記データを伝送するための冗長ルートとして、前記DAS(200)内のすべての可能なルートの第2の最小遅延のコストメトリックをもたらすルートを選択するようにさらに構成されている、DAS(200)。
【請求項12】
少なくとも1つのさらなるデジタルマスターユニット(211、212)は、前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット(210)に接続され、
前記少なくとも1つのさらなるデジタルマスターユニットは、前記複数のデジタルリモートユニットの少なくとも2つにさらに接続されるようにさらに構成される、請求項11に記載のDAS(200)。
【請求項13】
前記選択された無線通信装置にサービス提供する前記デジタルリモートユニット(201-209)により、前記メインルート及び前記冗長ルートを介して伝送される前記データのうちの最初に到着するデータを、前記任意のデジタルマスターユニット(210-212)から前記無線通信装置へ提出するようにさらに構成される、請求項11または12に記載のDAS(200)。
【請求項14】
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通であるルーティング・ポイントを決定し、
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通である前記決定されたルーティング・ポイントを回避する代替の冗長ルートを選択するようにさらに構成される、請求項11ないし13のいずれか一項に記載のDAS(200)。
【請求項15】
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通であるルーティング・ポイントを決定し、
前記冗長ルートに対して、前記メインルートと前記冗長ルートとに共通する個々のルーティング・ポイントの各々にペナルティを課すようにさらに構成され、
該ペナルティは、前記冗長ルートのコストメトリックを増加させるものである、請求項11ないし13のいずれか一項に記載のDAS(200)。
【請求項16】
前記メインルートと前記冗長ルートとに対して共通なルーティング・ポイントを決定し、
前記メインルートと前記冗長ルートとに共通する個々のルーティング・ポイントの各々にペナルティを課すようにさらに構成され、
該ペナルティは、前記メインルートおよび前記冗長ルートのコストメトリックを増加させるものである、請求項11ないし13のいずれか一項に記載のDAS(200)。
【請求項17】
伝送される前記データを収容する能力を持っていないルーティング・ポイントを決定し、
伝送される前記データを収容する能力を持っていない前記ルーティング・ポイントが回避されるように前記メインルートおよび前記冗長ルートを選択するようにさらに構成される、請求項11ないし16のいずれか一項に記載のDAS(200)。
【請求項18】
伝送される前記データを収容する能力を持っていないルーティング・ポイントを決定し、
伝送される前記データを収容する能力を持っていない各々のルーティング・ポイントにペナルティを課すようにさらに構成され、
該ペナルティは、伝送される前記データを収容する能力を持っていない前記各々のルーティング・ポイントを含むすべてのルートに対するコストメトリックを増加させるものである、請求項11ないし16のいずれか一項に記載のDAS(200)。
【請求項19】
少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)の第1のもの(211)によってサービスされるデジタルリモートユニットの少なくともサブセット(204-206)が、前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)の第2のもの(212)によってサービスされるように前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)が接続されるようにさらに構成され、
前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)の前記第1のもの(211)の故障の場合には、フォールバックが、前記デジタルリモートユニットのサブセット(204-206)に提供される、請求項12に記載のDAS(200)。
【請求項20】
前記少なくとも2つのデジタルマスターユニット(211、212)は、それぞれが少なくとも1つの基地局に接続されるように構成され、
前記少なくとも2つのデジタルマスターユニットの前記第1のもの(211)に接続されている前記少なくとも1つの基地局は、前記少なくとも2つのデジタルマスターユニットの前記第2のもの(212)に接続されている前記少なくとも1つの基地局に関して隣接セルに配置される、請求項19に記載のDAS(200)。
【請求項21】
コンピュータ実行可能命令が、前記DAS(200)に含まれる少なくとも1つの処理ユニット(220)で実行されるとき、請求項1-10のいずれか一項に記載の方法を、前記DAS(200)に実行させるためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム(221)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散アンテナシステム(DAS)およびDASを構成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散アンテナシステム(DAS)は、共通な移動無線ネットワークから直接サービスを提供することができないエリア(例えば、地下鉄システムおけるトンネル、または、建物複合体)において、無線カバレッジを提供するための技術であり、単一DASが多くの無線基地局で使用することができるので、複数の無線サービス・プロバイダが、カバレッジを提供する必要があるところでのアプリケーションに特に有利である。
【0003】
典型的なデジタルDASは、
図1に示されており、ヘッドエンド装置から構成されている。ここで、多数の無線基地局(複数のRBS)10-13からダウンリンク信号を受信するデジタル
マスターユニット(DMU)14、15を参照し、それらを光
ファイバ16、17で、1つまたは複数のルーティングユニット(RU)18を介して、複数のリモートノード19、20に搬送するために変換する。ここでは、それらを、デジタルリモートユニット(DRU)と呼び、光信号を無線信号に変換するカバレッジエリアに位置し、スマートフォンやタブレットなど
無線通信
装置21、22との送受信のためのDRU19、20によって駆動されるアンテナでブロードキャストできる。各DRU19、20は、その接続されたアンテナ(単数または複数)からのアップリンク信号を受信し、DMU14、15に戻し、RBS10-13への前方へ光ファイバ16、17を介して送信するためにそれらを変換する。
【0004】
古い世代のアクティブDASは、光ファイバでアナログ形式で無線信号を送信する。ここで、DRUが光スプリッター/コンバイナーモジュールに接続されており、結果として、同じファイバに接続されたすべてのDRUは同じ信号の組み合わせを受信する(ただし、光波長分割多重化を介して多数の異なる信号セットが並行して使用される場合がある)。
【0005】
図1に示すような、現代のアクティブDASは、通常、光ファイバ接続を介して、デジタルサンプルの形で無線信号を搬送する。ただし、常にそうであるわけではない。デジタルデータ搬送が、受動光結合器を介して、アップリンク信号を組み合わせることはもはや不可能であるので、追加された複雑さのペナルティと通して、どの信号がどのDRUに行くについてより細かな制御での無線信号の柔軟なルーティングおよび配布を可能にする。デジタルアップリンクサンプルは、送信する前にデジタル信号処理を使用して、システム内のアクティブノードにおいて,一緒に加算しなければならない。このような構成を実現するための最も実用的な方法は、各DRUが、2つの以上のデータ・コネクタを有し、コネクタ間の信号を転送し、ダウンリンク信号を抽出し、必要に応じて、自身のアップリンク信号に加算することができるDRUのデイジーチェーン接続を用いることである。
【0006】
そのようなソリューションの例が
図2に示されている。DMUは、1つ以上の基地局とインタフェースし、DRUのデイジーチェーン・ネットワークを介して信号を送信する。
【0007】
別の解決策は、信号分布が、多くのDRUに接続することができるハブ・ノードの限られた数に集中するスタートポロジを使用することである。ただし、大容量デジタルDASのためには、必要数の接続を有する利用可能な装置は高価であり、任意対任意ルーティングがサポートされるような場合、ルーティングの複雑さは、接続数の2乗に比例するため、多数の接続を有する単一のハブを実現することは、非現実的になる。
【0008】
モバイルオペレータは、機器の故障イベント(例えば、ファイバ接続が壊れる、または、システム・ノードが故障するなど)におけるサービス停止を回避するために注意している。公共安全無線ネットワークに対して、サービスの損失がクリティカルになり得る。結果として、全体として無線ネットワークおよびそれらの一部を形成するDASは、典型的には、個々のシステム構成要素の故障の場合において、故障したコンポーネントを、制御された停止を伴う計画的な方法で交換する時間があるように、機能し続けるという要件を持っている。
【0009】
これらの要件を満たすためには、DMUと任意のDRUの間に複数のパスが存在しなければならず、少なくとも1つのパスは、単一または複数のノード間の接続に障害が発生した場合に機能し続けなければならないことが必要である。旧世代のアナログDASでは、これは、典型的には、信号が、1本のファイバが遮断された場合に、依然として宛先に到達するように、冗長ファイバを設置することによって達成される。ファイバは、通常、いくつかのファイバが1つのインシデントにおいて破損するリスクを加えるルーティングバンドルとして一緒にインストールされている。この場合、両方のファイバがリングの周りのある点で遮断されたとしても、リングに接続されているすべてのノードに対して双方向パスがまだあるように、信号がリングの反対方向に送信されるリング構成を使用できる。
【0010】
受動組み合わせが使用される場合、単一ノードの障害は、(故障したノードは、その故障の結果として、ファイバ上のノイズを送信しない限り)同じファイバに接続された他のノードに影響を与える必要はない。ただし、デジタルDASの場合のように、アクティブな結合が行われると、ノードの障害により、ノード全体のデータフローも遮断される。ここでリングトポロジは、使用のものとすることができます。
【0011】
米国特許US8,737,30062は、デジタルアクティブDASにおいて冗長性を提供するためのリングトポロジの使用を記載している。ここで、リングはDMUから出発し、リング内の各DRUは、各方向の単一の隣接DSUに接続される。この構成は、
図3に示されている。
【0012】
一旦、冗長パスが配置されると、さまざまな形式の冗長フェールオーバーを実装することができる。例えば、切り替えられた冗長性を、(メインパスの障害が検出され、信号が冗長パスを使用するように切り替えられる場合)使用することができる、または、組み合わせることができる。これにより、そのため、1つのパスが失われても、信号強度が低下するだけであるように、障害状態の検出に必要な時間中に信号が失われることはないように、メインパスと冗長パスからの信号が合計される。
【0013】
典型的な無線ネットワークは、単一のDMUによって提供するには大きすぎる。デジタルDASの主な利点の1つは、DMUからの任意の信号が、典型的には、任意のDRUにルーティングすることができることである。パスは、DMUとDRU間に適切なリンクのビットレート容量で存在する限り、データをルーティングすることができ、そして、再度、冗長な相互接続を使用してシステムを構築することが重要である。これを達成できる1つの方法は、
図3に示す冗長リング構成など、マスターノードで追加の接続を使用してそれらを接続することによるものである。DMU間のリンクの1つの障害は、(十分なリンクビットレート容量が残りのリンクに存在する限り)信号のルーティングを引き続き可能にする。
【0014】
リングトポロジは、冗長性を達成するために有用であるが、複数のノードの故障のリスクが増加し始めるので、リング内のDRUを多数接続することは安全ではない。また、リングが接続されているDMUが失敗した場合、その特定のリング内のすべてのDRUが、DASの残りの部分との接続を失う。ハブユニットの故障は、接続されているすべてのユニットをノックアウトするので、中央ハブユニットに依存スタートポロジはさらに脆弱である。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、この問題を解決する、あるいは少なくとも、軽減し、デジタルDASを構成する改良された方法を提供することである。
【0016】
この目的は、DASに接続する無線通信装置にDASインタフェースを提供するように構成された複数のデジタルリモートユニットおよびDASに接続する基地局にDASインタフェースを提供するように構成された少なくとも1つのデジタルマスターユニットを含むデジタル分散アンテナシステム(DAS)を構成する方法によって、本発明の第1の態様において達成される。この方法は、前記サブセットの内の各デジタルリモートユニットは、前記デジタルリモートユニットのうちの少なくとも別のものと前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット、もしくは、前記デジタルリモートユニットのうちの別の2つのいずれかに接続されるようにデジタルリモートユニットの少なくともサブセットを接続するステップを含む。この方法はさらに、前記デジタルリモートユニットのうちの少なくとも2つの別のものと前記少なくとも1つのデジタルマスターユニット、もしくは、少なくとも2つの他のデジタルリモートユニットのいずれかに、デジタルリモートユニットの少なくともサブセットを接続するステップと、デジタルリモートユニットの前記サブセットのうちの少なくとも2つに前記少なくとも1つのデジタルマスターユニットを接続するステップとを含み、これにより、冗長データ搬送のための少なくとも1つのパスが提供される。
【0017】
この目的は、デジタル分散アンテナシステム(DAS)によって、本発明の第2の態様において達成される。DASは、DASおよび、DASに接続している基地局にDASインタフェースを提供するように構成された少なくとも1つのデジタルマスターユニットに接続する無線通信装置にDASインタフェースを提供するように構成された複数のデジタルリモートユニットを備える。DASは、少なくとも2つのデジタルマスターユニットが、前記サブセットの内の各デジタルリモートユニットは、前記デジタルリモートユニットのうちの少なくとも別の1つおよび前記少なくとも1つのデジタルマスターユニットに、もしくは、前記デジタルリモートユニットのうちの別の2つに、のいずれかに接続されるように接続されるように構成される。DASは、さらに、デジタルリモートユニットのサブセットの少なくとも1つは、少なくとも2つの他のデジタルリモートユニットおよび少なくとも1つのデジタルマスターユニットに、または、少なくとも3つの他のデジタルリモートユニットに、のいずれかに接続され、そして、少なくとも1つのデジタルマスターユニットが、デジタルリモートユニットのサブセットのうち少なくとも2つに接続され、これにより、冗長データ搬送用の少なくとも1つのパスが提供されるように構成される。
【0018】
有利には、本発明を用いて、従来技術のリングまたはスタートポロジの前述の問題を軽減することができる、あるいは、すべてまたはデジタルリモートユニット(のDRU)の一部が2以上の高速接続をサポートしている場合でも、排除することができる。このシステムは、分散ノード間の接続の「メッシュ」構成において、冗長なデータ搬送のための複数の可能なパスを提供して、で実現することが可能になる。
【0019】
したがって、本発明の実施形態で提案されているようDASトポロジは、リンクまたはノードに障害が発生した場合、冗長データパスに沿ったデータ転送が有利に提供されるという点で高い程度の冗長性を提供する。
【0020】
1つの実施形態では、DASは、1つ以上のさらなるDMUが、少なくとも1つのDMUに接続され、さらに、DRUの複数のうちの少なくとも2つに接続されるように構成される。
【0021】
1つの実施形態では、選択された無線通信装置へのダウンリンク方向にデータを搬送する任意のDMUに対して、メインルートは、有利には、データが搬送されるべき無線通信装置にサービスするDRUに、DMUからデータを搬送するために選択される。これは、DAS内のすべての可能なルートの最小コストメトリックのどのメインルートをもたらす。例えば、選択されたメインルートは、すべての可能なルートの最小総リンク遅延を有することができる。
【0022】
さらなる実施形態では、選択された無線通信装置へ、ダウンリンク方向にデータを搬送する任意のDMUに対して、冗長ルートは、有利には、データが搬送されるべき無線通信装置をサービスするDRUに、DMUからデータを搬送するために選択される。この冗長ルートは、そのDAS内のすべての可能なルートの第2の最小コストメトリックをもたらす。例えば、選択された冗長ルートは、すべての可能なルートの第2の最小の総リンク遅延を有することができる。
【0023】
有利には、DMUは、このようにメインルートと冗長ルートを介してダウンリンクデータを送信する。任意のリンク障害がメインルートに沿って発生しない限り、ダウンリンクデータが冗長ルートを介して選択されたDRUに到達する前に、そのダウンリンクデータは、メインルートを介して選択DRUに到着する。したがって、ダウンリンクデータが既にメインルートを介してDRUに到着したとすると、DRUは。冗長ルートを介して後到着ダウンリンクデータを単に廃棄する。データがメインルートを介して到着しない場合は、障害が、おそらくメインルート内のリンクまたはノードの1つ以上において発生しており、DRUは、冗長ルートを介して受信したデータを使用する。
【0024】
さらに、1つの実施形態では、データのルーティングパスを選択する有利な基準は、メインルートと冗長ルートに共通する故障の可能ポイントを回避するべきであるということである。あるシナリオでは、そのような共通のルーティングポイントは、冗長ルートを完全に回避される。別のシナリオでは、共通のルーティングポイントを選択することができるが、共通ルーティングポイントを含むルートのコストメトリックを増加させるコスト要因でペナルティを課される。さらに別の実施形態では、データのルーティングパスを選択する有利な基準は、伝送されるデータを収容する能力が、任意のルーティングポイントについて決定されることである。あるシナリオでは、このような低容量のルーティングポイントは、メインルートおよび冗長ルートともに回避される。別のシナリオでは、このような低容量のルーティングポイントを選択することができるが、低容量のルーティングポイントを含むルートのコストメトリックを増加させるコスト要因でペナルティを課される。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、詳細な説明において、論じられる。
【0026】
一般的には、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、明示的に本明細書に定義されない限り、技術分野における通常の意味にしたがって解釈されるべきである。「要素、装置、部品、手段、ステップなど」へのすべての参照は、特に明記しない限り、要素、装置、成分、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを参照するものとして、オープンに解釈されるべきである。本明細書に開示された任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、次に、添付図面を参照しながら、一例として、記載される。
【
図1】
図1は、本発明を実施することができる従来技術のDASシステムを示す。
【
図2】
図2は、冗長性のいずれかの規定せずに3つのリモートユニットに接続する1つのマスターユニットを含む簡略化された従来技術のDASを示す図である。
【
図3】
図3は、リング冗長性が提供される3つのリモートユニットに接続する1つのマスターユニットを含む簡略化された従来技術のDASを示す図である。
【
図4】
図4は、3つの相互接続された
マスターユニットを含む簡略化された従来技術のDASを示し、各
マスターユニットは、さらに、3つのリモートユニットに接続し、それぞれ、リング冗長性を提供する。
【
図5】
図5は、冗長性の欠如に関連する先に述べた問題が克服される、本発明の実施形態に係る簡略化されたDASを示す図である。
【
図6】
図6は、
マスターユニットの複数を含む、本発明のさらなる実施形態による簡略化されたDASを示す図である。
【
図7】
図7は、
図6のDASを示しているが、仮想的なリンク遅延メトリックが含まれている場合である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明を、添付図面を参照して詳細に説明する。添付図面には、本発明の特定の実施形態が示されている。本発明は、しかしながら、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全となり、当業者に完全に本発明の範囲を伝えるように、例として提供される。同様の参照番号は、本願明細書を通して同様の要素を指す。
【0029】
図1は、本発明を実施することができる典型的な従来技術のDASを示す図である。
【0030】
図2は、冗長性のいずれかを設けることなく3つのリモートユニットに接続する1つのマスターユニットを含む簡略化されたDASを示す図である。
【0031】
図3は、リング冗長性が提供される3つのリモートユニットに接続する1つのマスターユニットを含む簡略化されたDASを示す図である。
【0032】
図4は、リング冗長性を提供するための3つの相互接続されたマスターユニット、さらにそれぞれ3つのリモートユニットに接続する各
マスターユニットを含む簡略化されたDASを示す図である。
【0033】
図1-4は、上で議論されており、したがって、以下では、さらに説明はしない。
【0034】
図5は、本発明の実施形態に係る簡略化されたDAS100を示し、冗長性の欠如に関連する先に述べた問題が克服される。
【0035】
したがって、デジタルマスターユニット(DMU)110は、第1デジタルリモートユニット(DRU)101に接続し、それは、次に、第2DRU102に接続する、などである。
【0036】
図から分かるように、各DRUは、少なくとも2つの他のDRU(例えば、第五のDRU S101で示される第4DRU105および第DRU106に接続105)、または、DRUのうちの別の1つ、および、DMU101(例えば、第DRU105とDMU110に接続する第6のDRU106、また、S101で示す)のいずれかに接続する。この実施形態では、DRU101-106の少なくともサブセットは、DRUの少なくとも別の1つ、および、DMU110、または、DRUの他の少なくとも2つのいずれかに接続されている。
【0037】
例えば、第2DRU102が第1のDRU101、第4のDRU104およびDMU110に接続され、S102に示す。
【0038】
図5でのDRUの各々が少なくとも2つの他のユニットに接続されていても(別の2つのDRUまたは1つのさらなるDRUとDMUの形態のいずれか)、1つ以上のDRUが、別のDRUまたはそのDMUのいずれかの形態で単一のさらなるユニットに接続されていることを想定することができる。
【0039】
DMU110は、好適には、少なくとも2つのDRUに接続する。しかしながら、この特定の例示実施形態では、DMU110は、第1のDRU101、第3のDRU103は、第4のDRU106および第6のDRU106に接続され、S103で示される。
【0040】
リングやスタートポロジの前述の問題を、DRUの全部または一部が、2つ以上の高速接続をサポートしている場合、軽減またはなくすことができる。このため、このシステムは、ノード間の分散接続で、複数の可能なパスを提供して、「メッシュ」構成で実現することが可能になる。
【0041】
図5において、第2DRU102は、DRUの3番目に、すなわち、第4DRU10
4に接続し、加えて、第1DRU101と第2DRU103に接続し、第4DRU104は、第2DRU102、第5DRU105、および、DMU110に接続する。したがって、この実施形態では、デジタル
リモートユニット101-106のサブセットの少なくとも1つは、他の少なくとも2つのDRUとDMU11
0に、または他の少なくとも3つのDRUに、のいずれかに接続する。
【0042】
したがって、先に論じたトポロジと比較して、
図5に示したDAS100の実施例で提案する
トポロジは、たとえば、第2DRU102と第1DRU101との間、および、第2DRU102と第3DRU103との間の各リンクで、障害が発生した場合、DASは、第4のDRU104を介して第2DRUとの間で、データをルーティングすることが依然として有利なことに可能であることにおいて高度な冗長性を提供する。したがって、冗長データパスが、有利に提供される。
【0043】
以下に詳細に説明するように、DRUとDMUとの間のデータの任意のルーティングは、メインルート上、および、冗長ルート上に発生する。DAS内のDRUの数が冗長ルートへのアクセスを持っていないことが想定できたとしても、DASにおいて、DRUの大半に対して、これを実行する必要がある。
【0044】
実際には、DASは、複数の無線基地局を処理するための複数のデジタルマスターユニットを含む可能性がある。
【0045】
図6は、本発明のさらなる実施形態による、3つのDMU210、211、212を備える、簡略化されたDAS200を示している。
図6では、DMU210ー212は、DRUまたは別のDMUに直接接続されている。ただし、DMU210-212は、スイッチやルーティングユニットなど1つ以上の中間ノードを介して、DRUまたは別のDMUに間接的に接続できることが想定される。
【0046】
したがって、第1DMU210は、S201で示されている、少なくとも第2DMU211に接続される。
【0047】
この実施形態では、冗長性のより高い程度を提供するために、3つのDMU210、211、212は、(直接または間接的に、他のネットワークノードを介して)相互接続されている。
【0048】
図6を参照すると、DAS内のすべてのユニットは、典型的には、処理装置を含む。実際には、例えば、第3DMU212によって決定された任意のルーティングは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの、マイクロプロセッサに結びついた適切な記憶媒体222にダウンロードされたコンピュータプログラム221を実行するように構成された1つ以上のマイクロプロセッサの形で具現化された処理ユニット220(または処理ユニットのシステム)によって行われる。システム内の他の処理ユニットと協働する処理ユニット220は、コンピュータ実行可能命令を含む適切なコンピュー
タプログラム221が、処理ユニット220により、記憶媒体222にダウンロードされ、実行されたとき、DAS100に、実施形態に係る方法を実行させるように構成されている。記憶媒体222は、また、コンピュータプログラム221を含むコンピュータプログラム製品であり得る。代替的に、コンピュータプログラム221は、多用途ディスク(DVD)またはメモリスティックなど適切なコンピュータプログラム製品を用いて、記憶媒体222の転送することができる。さらなる、代替として、コンピュータプログラム221は、ネットワークを介して記憶媒体222にダウンロードされることができる。処理ユニット220は、代替的に、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)等の形態で具現化することができる。
【0049】
さらに、
図6を見ると、1つまたはそれ以上のDRUに対して、3つ以上の高速リンクを提供することによって、達成された、追加の冗長性は、有利なことに、DRU202、204、205、206、207および208によって達成される。
【0050】
一例として、第2DMU211が、第2DRU102によってサービスされる無線通信装置へ、ダウンリンクデータを提出することを望むと仮定すると、第2DMU211は、以下に説明するそのうちの3つの選択肢の数を有することになる。
1)第2DMU211は、第DMU210および第3のDRU203を介して、第2DRU202に、ダウンリンクデータをルーティングする。
2)第2DMU211は、第1DMU210および第1DRU201を介して、第2DRU202に、ダウンリンクデータをルーティングする。
3)第2DMU211は、ルートダウンリンクデータを、第4DRU204を介して、第2DRU202に、ルーティングする。
【0051】
1つの実施形態では、宛先ノードへの選択されたルートは、最小の総リンク遅延を有するルートである。簡単にするために、すべてのリンクが同じ遅延Tを持っていると仮定すると、
オプション1:3Tの総ルート遅延をもたらす、
オプション2:また、3Tの総ルート遅延をもたらす、一方、
オプション3:2Tの総ルート遅延をもたらす。
【0052】
したがって、オプション3が、第2DRU202に、第2DMU211からダウンリンクデータを搬送するためのメインルートとして選択される。
【0053】
第2DMU211から第2DRU202へのダウンリンクデータを搬送するための冗長ルートとして、オプション1またはオプション2のいずれかが選択される。
【0054】
第2DMU211は、このように、メインルートと冗長ルートを介してダウンリンクデータを送信する。リンク障害がメインルートに沿って全く発生していない限り、ダウンリンクデータは、冗長ルートを介して第2DRU202に到達するダウンリンクデータの前に、第2DRU202に到達する。したがって、ダウンリンクデータが既にメインルートを介して第DRU202に到達していた、とすると、第2DRU202は、冗長ルートを介して後で到着したダウンリンクデータを単に廃棄する(また、データがメインルートを介して到達しない場合、おそらく、障害が、メインルートにおけるリンクまたはノードの1つ以上で発生している。)。
【0055】
転送ユニットから宛先ユニットへのルートを構成する、これら複数のパスを、有効に利用するために、DASは、冗長性を利用するために適切にルーティングを設定する必要がある。
図3に示すような単純なリングトポロジでは、冗長パスは直ちに明白であり、多かれ少なかれ、システムを設計している時に決定することができる。しかしながら、本発明で提案されているように、メッシュ相互接続を有するシステムのために、最適なルーティングを決定するプロセスを自動化することが必要である。
【0056】
さらなる実施形態では、ルーティングは、さらに、ルート内の任意のリンクを介してルーティングされた総ビットレートは、そのリンク上で利用可能なビットレートを超えないようなものでなければならない。ルーティング選択は、それを介して、データが送られ、各リンクのアカウントビットレート容量を考慮する必要がある。
【0057】
したがって、本実施形態では、最小のルート遅延基準(または任意の他の適切な基準)に基づいてルートを決定する際に、送信されるデータの量を収容することができないリンクは、選択されない、一方、別の実施形態では、リンクを選択することができるが、より大きなリンク遅延のペナルティが課される。そのような場合には、データを送信するDMUは、送信されたデータのレートを減少させる必要がある可能性が非常に高い。
【0058】
さらなる実施形態では、各リンクの遅延は、実際には、各リンクの遅延を測定することによって決定される。しかしながら、それが可能でない、または、意味のない場合は、適切な推定遅延が、各リンクに割り当てられる。すべてのリンクが同じ推定遅延を与えることができる、あるいは、代替的に、異なるリンクは、異なる推定遅延が与えられている。
【0059】
さらに別の実施形態では、データのルーティングパスを選択する基準は、メインルートと冗長ルートのための共通な障害の潜在的な点は、回避されるべきであるということである。したがって、故障のリスクによって、いかなる共通ルーティングポイントも、避けるべきである。
【0060】
図6を再度参照して、ダウンリンクデータが、第2DMU211から、第8DRU208によってサービスされる無線通信装置に送出されると仮定すると、第2DMU211は、多くのルーティン
グオプションを有し、そのうちの4つは、各リンクが、同じ遅延を有しているとすると、総リンク遅延をもたらす。4つのオプションは、以下に説明される。a)第2DMU211は、第6DRU206および第5DRU205を介して、第8DRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。
b)第2DMU211は、第4DRU204および第5DRU205を介して、第8のDRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。
c)第2DMU211は、第3DMR212および第9DRU209を介して、第8DRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。
d)第2DMU211は、第3DMR212および第7DRU207を介して、第8DRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。
【0061】
つぎに、オプションa)およびb)をメインルートおよび冗長ルートとして使用することは、第5DRU205と8つのDRU208第5DRU205からのリンクは、メインおよび冗長ルートは、これらのルートの両方に共通であるため、この特定の実施形態では好ましくない。
【0062】
結果として、障害が、第5DRU205において、および/または、第5DRU205から第8DRU208へのリンクにおいて発生した場合に、メインルートおよび冗長ルートのいずれも、第2DMU211から第8DRU208へデータを搬送することができない。
【0063】
同様に、オプションc)およびd)を、メインルートおよび冗長ルートとして使用することは、また、第3DMU212および、第2DMU211から第3DMU212へのリンクは、両方のこれらのルートに共通であるため、この特定の実施形態では好ましくない。
【0064】
結果として、障害が、第3DMU212において、および/または、第2DMU211から第3DMU212へのリンクで発生した場合に、メインルートおよび冗長ルートのいずれも、第2DMU211から第8DRU208へデータを搬送することができない。
【0065】
この特定の例では、潜在的に共通な障害ポイントの問題を克服するために、第2DMU211は、メインルートとして、オプションa)およびb)のいずれか1つ、冗長ルートとして、オプションc)およびd)のいずれかの1つを選択し(または逆もまた同様)、これにより、メインルートおよび冗長ルートの共通な障害ポイントを有利に回避できる。
【0066】
したがって、第2DMU211は、一実施形態において、総リンク遅延を最小化し、総リンク遅延を決定することに加えて(実際に測定された、または推定された遅延を使用するか、1の遅延ウェイトを1つのリンクに、2を別のものに、3を更に別のものに、など割り当てることによって、遅延メトリックなど 適切なコスト指標を使用して)、リンク遅延には、共通なルーティングポイントを反映する追加のコスト係数が適用されるアルゴリズムを実行することができる。
【0067】
したがって、以前に論じたように、冗長ルートを選択する際に、共通のルーティングポイントを完全に回避することができるが、また、共通のルーティングポイントを冗長ルートに選択することができるが、いかなる共通のリンクやノードの選択がペナルティを課せられることが想定される。
【0068】
例えば、所与のリンクが「1」のリンク遅延メトリックを有すると考えられていると仮定すると、そのリンクが、メインルートと冗長ルートにたいして共通である場合、前記所定のリンクは、「2」の新たなリンクの遅延メトリックを割り当てることができ、それによって、より高いメトリックリンク遅延を有する所与のリンクの選択にペナルティを課す。
【0069】
結論として、ルートの総リンク遅延(TD)を決定するとき、1つの実施形態では、ルートを形成する個々のリンクの遅延(T)は、
【数1】
のように合計することができる。
【0070】
例示するために、
図7を参照すると、これは、
図6のDAS200を示しているが、仮想的なリンク遅延メトリックが含まれている。
【0071】
再び、ダウンリンクデータが、第DMU211から第8DRU208によってサービスされる無線通信装置に配信されると仮定すると、先に述べた4つのルーティングオプションa)-d)が、再び、以下のように説明される。
a)第2DMU211は、第6DRU206および第5DRU205を介して、第8DRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。TDa=0.5+0.3+0.4=1.2
b)第2DMU211は、第4DRU204および第5DRU205を介して、第8のDRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。TDc=0.5+0.2+0.4=1.1
c)第2DMU211は、第3DMR212および第9DRU209を介して、第8DRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。TDc=0.2+0.3+0.4=0.9
d)第2DMU211は、第3DMR212および第7DRU207を介して、第8DRU208に、ダウンリンクデータをルーティングする。TDd=0.2+0.6+0.2=1.0
【0072】
次に、総リンク遅延のみを考慮に入れると、(ただし、メインおよび冗長ルートに共通のルーティングポイントはない)オプションd)がメインとして選択され、一方、オプションc)が冗長ルートとして選択される。これら2つのルートの総リンク遅延が最も小さいためである。
【0073】
この実施形態において、共通なルーティングポイントの悪影響を考慮して、ルートのコストメトリック(TD)を決定するとき、ルートを形成する個々のリンクの遅延(T)は、1つの実施形態では、合計される前に、冗長性喪失コスト要因と組み合わせることができる。
【数2】
ここで、w
comは、共通のルーティングポイントのコスト要因である。典型的には、コスト係数w
comは、冗長ルートに適用されるだけであり、選択されたメインルートには適用されない。
【0074】
この特定の例では、共通のルーティングポイントは、その共通ルーティングポイントを含むどの可能な冗長ルートに対してもwcom=3でペナルティを課せられる。
【0075】
したがって、この例では、オプションc)の総遅延は依然としてTDc=0.2+0.3+0.4=0.9これにより、オプションc)が、メインルートの選択になる。
【0076】
しかし、オプションD)に対して、第2DMU211および第3DMU212との間のリンクは、ペナルティを課され、結果として、コストメトリックは、TDd=(0.2x3)+0.6+0.2=1.4となる。
【0077】
図から分かるように、共通のルーティングポイントを考慮するとき、もはや、冗長ルートとしてオプションd)を選択しない。代わりに、オプションb)は、この例では、総リンク遅延メトリックである第2の最小コストメトリックTDb=1.1を有する。
【0078】
アップリンクデータを第2DMU211に送信する場合に、第DRU208が第2DMU211に同一のメインルートと冗長ルートを使用することに留意する。
【0079】
別の例示の実施形態では、コスト係数は乗法では適用されないが、加法的に適用される。
【数3】
ここで、R
iは、共通のルーティングポイントに対する追加コスト係数を表す。
【0080】
図7のリンク遅延を使用して、共通のルーティングポイントに対して、R
i=1と仮定すると、オプションc)のコストメトリックは、依然として、TD
c=0.2+0.3+0.4=0.9であり、それによって、オプションc)を、メインルートの選択とする。
【0081】
しかし、オプションD)に対して、第2DMU211および第3DMU212との間のリンクは、ペナルティを課され、結果として、コストメトリックTDd=(0.2+1)+0.6+0.2=2.0となる。
【0082】
図から分かるように、共通のルーティングポイントと追加コスト係数Riを考慮するとき、オプションd)は、もはや冗長ルートとして選択されない。代わりに、オプションB)は、第2最小コストメトリックを有する。この例では、コストメトリックTDB=1.1を有する。
【0083】
図6および
図7を参照して説明した実施形態では、DMUとDRUとは、任意の遅延そのものを引き起こさないと考えられる。しかしながら、そうであると、それぞれのノードの遅延は、DMUから行先DRUへの総リンク遅延を決定するために、単に、対応するリンクの遅延に追加される。
【0084】
結論として、この実施形態では、DMU(または、他の適切なネットワークノード)によって実行されるルーティングアルゴリズムは、有利にも、冗長パスを維持するための要件を考慮に入れる。これは、冗長性が失われるソリューションにペナルティを課す検索アルゴリズムにおいて、コスト係数を追加することにより実現される(たとえば、メイン信号と冗長信号の両方が同じリンクを介してルーティングされるため、または、同じノードを経由してルーティングされるため、つまり、信号が、少なくとも1つの共通ルーティングポイント経由でルーティングされるためである)。
【0085】
冗長ペナルティの相対的な大きさは、DASオペレータの判断である。例えば、
● 冗長性の喪失を完全に禁止することができ、完全な冗長ルートが見つからない場合、障害が報告される、
● 冗長性の喪失に、適度な重みを与えることができ、リンク遅延を最小限に抑えるために、冗長性を犠牲にすることができるように、ルートのコストメトリックにおいて、相応に緩やかな増加を引き起こす、
● 冗長性の喪失に、リンク遅延に起因する可能性のパスコストよりもはるかに大きい重みを与えることができる。これにより、検索アルゴリズムにリンク遅延よりも冗長性を優先させるが、しかし、冗長性を維持できない場合の解決策を見つける。
【0086】
完全な冗長性が、利用可能なルーティングパスの欠如に起因して、達成することができない状況において、システムのユーザインタフェースは、共通の障害ポイントであるルートのセグメントをハイライトする警報を発することができる。
【0087】
グラフ内の2つのノード間の最適ルートを(リンク遅延のみを考慮して)見つける問題は、広く研究されてきた最短パス問題である。例えば、各DMUからDAS内の各DRUへの最低遅延パスを見つけるために、ダイクストラ(Dijkstra)のアルゴリズムを使用でき、または、任意の2つのノード間の最小遅延パスを効率的に見つけるために、ワーシャル-フロイド(Floyd-Warshall)アルゴリズムを使用できる。しかし、実際には、DASは、現在どのデータ信号がどの場所にルーティングされているかに依存して、動的に変化するリンクキャパシティ使用を有する。これらの容量制限は、すべてのリンクが、その信号の容量要件に応じて、特定の信号をルーティングするために利用可能であるのではないことを意味する。これらの制限は、迂回してルーティングする必要がグラフにおいて、「障壁」を配置する効果を持っている。このような、いわゆるA*探索アルゴリズムと呼ばれるヒューリスティックドリブンアルゴリズムは、各ノードからのヒューリスティックが、リンク容量を無視してそのノードから計算された最小遅延によって与えられるような場合において、最適なソリューションを見つける効率的な方法を与える。
【0088】
前述したように、最小ルート遅延基準(またはその他の適切な基準)に基づいてルートを決定する場合、送信するデータ量に対応できないリンクは、1つの実施形態では、選択されないが、一方、別の実施形態では、リンクは選択できるが、リンク遅延が大きくなるとペナルティが課される。
【0089】
リンク上の容量制限のマイナスの影響を考慮した実施形態では、ルートのコストメトリック(TD)を決定するとき、ルートを形成する個々のリンクの遅延(T)は、1つの実施形態では、
【数4】
で合計される前に、容量コスト係数wcapで重み付けすることができる。
【0090】
したがって、送信されるべきデータを収容することができないルーティングポイント(すなわち、リンクおよび/またはノード)が選択された場合、リンク遅延メトリックは、容量コスト係数wcap>1で乗算される。メインルートを選択する際に、冗長ルートを選択するだけでなく、この重み付けが適用されることに留意する。
【0091】
図7を参照して説明した上記実施の形態では、メインパスは、(冗長性のためのいかなる追加コストもなしで)最初に決定される。ルーティングアルゴリズムは、この場合、メインルートが故障以外の状況で使用されるものであるので、典型的には望ましいメインルートに対する可能な最低の遅延を計算する。メインパスが決定された後、冗長ルートが、メインルートと共通のルーティングポイントに対するペナルティの重みを考慮することによって、決定される。
【0092】
容量コスト係数を導入する場合に、前述のように、コスト係数を、付加的に適用することができることに留意する。
【0093】
最初に、メインルートを決定し、次に、冗長ルートを決定する前述の実施形態は、メインルート遅延が増加することが許されている場合に達成できるよりも大きい冗長パスの総遅延につながる可能性がある。
【0094】
代替適実施形態では、メインルートと冗長ルートが同時に決定される。
【0095】
冗長結合では、2つのルート間の遅延をバランスさせる必要があり、メインパスに対する低遅延を見つけることに利益はない、冗長なルート遅延に一致させるために、人為的に遅延させる必要があるためである。その代わりに、2つのルートが遅延をバランスさせるために一緒に最適化することができる。この場合、検索アルゴリズムには、検索の各反復間で可能な状態の変化が、メインおよび冗長ルートのそれぞれが個別にとる次の可能なステップによって定義されることにおいて、自由度が追加されている。そして、それぞれのルートを形成する各リンクのコストが、メインルートと冗長ルートのそれぞれに対して実行されたステップのコストの合計、さらに、冗長性の損失による追加コストをプラスとして、定義される。探索アルゴリズムは、まだ、1つのルートの場合と同様のヒューリスティックによってガイドすることができる。各状態のヒューリスティックは、各ルートのためのヒューリスティックの合計として定義される。このアプローチでは、加えて、メインおよび冗長ルート上のリンク遅延(所望の場合に冗長パスを介して、メインパスにある優先順位を与えることは依然可能である)に、異なる相対的重みを割り当てることが可能である。
【0096】
図6を参照して、再度、本発明の更なる実施形態について説明する。
【0097】
前述の実施形態は、デジタルマスターユニットとデジタルリモートユニットと間の信号ルートの冗長性に焦点を当てている。しかし、DMU自体に障害が発生したことによる追加的な故障モードがある。この場合には、DMUに障害が発生した場合にフォールバックするための追加オプションを提供するために冗長DMUから別の信号源を特定することができることが望ましい。
【0098】
この例示の実施形態では、第2DMU211は、典型的には、DRUの第1セット(すなわち、DRU204、205、206)にサービスし、一方、第3DMU212は、典型的には、DRUの第2セット(すなわちの、DRU207、208、209)にサービスする。
【0099】
図から分かるように、第3DMU212は、さらに、DRU207-209の第2セットを介して、搬送された信号で、DRU204-206の第1セットにサービスする。
【0100】
したがって、第2DMU211に障害が発生した場合、第3DMUの信号は、有利には、既に、DRU204-206の第1セットに重複してルーティングされている。
【0101】
さらに、1つの実施形態では、第2DMU211に接続された少なくとも1つの基地局(図示せず)は、第3DMU212に接続されている、少なくとも1つの基地局への隣接セルを形成するように構成されている。
【0102】
有利には、DRU204-206の第1のセットによってサービスされる任意の無線通信装置は、第2のセットのDRU207-209のいずれか1つに引き渡すように指示でき、これにより、ダウンタイムが削減される。ここで、無線通信装置は、第2DMU211からの失われた信号の代替として新しい信号を検索する。
【0103】
本発明は、主に、いくつかの実施形態を参照して記載した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるが、上記に開示したもの以外の実施形態が本発明の範囲内で同様に可能である。