IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッドの特許一覧

特許7068327ナノビーズを含むバイオセンサーの製造方法及びその使用
<>
  • 特許-ナノビーズを含むバイオセンサーの製造方法及びその使用 図1
  • 特許-ナノビーズを含むバイオセンサーの製造方法及びその使用 図2
  • 特許-ナノビーズを含むバイオセンサーの製造方法及びその使用 図3
  • 特許-ナノビーズを含むバイオセンサーの製造方法及びその使用 図4
  • 特許-ナノビーズを含むバイオセンサーの製造方法及びその使用 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ナノビーズを含むバイオセンサーの製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/327 20060101AFI20220509BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20220509BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G01N27/327 353Z
G01N27/416 336G
G01N27/30 F
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2019546140
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018020136
(87)【国際公開番号】W WO2018160644
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】62/466,741
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,マイケル エス.
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-193969(JP,A)
【文献】特開昭58-043797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0194263(US,A1)
【文献】特開2013-220066(JP,A)
【文献】特開2009-031283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0026646(US,A1)
【文献】中国実用新案第202916237(CN,U)
【文献】特開平03-160358(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0100423(KR,A)
【文献】特表2015-508902(JP,A)
【文献】Andreea Cernat et al.,Micro- to nanostrucured poly(pyrrole-nitrilotriacetic acid) films via nanoshere templates:applications to 3Denzyme attachment by affinity interactions,Analytical and Bioanalytical Chemistry,2014年,406,1141-1147
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体生物試料中の標的被検物質の存在または濃度を検出するための複数回使用バイオセンサーであって、
前記複数回使用バイオセンサーは、
電極と、
前記電極上に配置された複数のナノビーズであって、
その各々に、結合されている少なくとも1つの酵素を有し、前記酵素が、前記標的被検物質の検出のために前記標的被検物質と相互作用する、複数のナノビーズと、
前記複数のナノビーズ上に配置された半透膜であって、
前記電極上に前記複数のナノビーズを固定化し、前記半透膜が、検出される前記標的被検物質に対して透過性であるが、前記複数のナノビーズに結合される前記酵素に対して実質的に不透過性である、半透膜と、
を備え
前記複数のナノビーズは、
前記電極に物理的に付着されることなく前記電極に接している第1のナノビーズと、
前記第1のナノビーズ上に配置されている第2のナノビーズと、
を含む、複数回使用バイオセンサー。
【請求項2】
電位差測定被検物質バイオセンサーとしてさらに定義された、請求項1に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの酵素が、架橋結合によって前記複数のナノビーズの各々に結合された、請求項1または2に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項4】
前記複数のナノビーズがストレプトアビジンで被覆され、前記少なくとも1つの酵素がビオチンに接合された、請求項3に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの酵素が、前記複数のナノビーズに共有結合された、請求項1または2に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの酵素が、アルデヒド、アミン、カルボニル、カルボキシ、マレイミド、およびスルフヒドリル反応基からなる群から選択される反応基によってナノビーズに共有結合する、請求項5に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項7】
前記複数のナノビーズの各々が、100nm~1μmの範囲の直径を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項8】
前記複数のナノビーズが非磁性である、請求項1~7のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項9】
前記複数のナノビーズがラテックスを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項10】
前記半透膜が、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(塩化ビニル)、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料から形成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項11】
複数回使用血液尿素窒素(BUN)バイオセンサーとしてさらに定義される、前記少なくとも1つの酵素がウレアーゼである、請求項1~10のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項12】
前記バイオセンサーは、少なくとも14日間の使用寿命を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項13】
前記半透膜は、前記複数のナノビーズの周囲において前記電極に固定されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【請求項14】
複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリであって、
基材と、
複数の複数回使用バイオセンサーであって、
その各々が、請求項1~13のいずれか1項に記載された複数回使用バイオセンサーであり、前記複数の複数回使用バイオセンサーのうちの少なくとも2つの酵素が異なり、前記複数の複数回使用バイオセンサーの各々が、前記基材の少なくとも1つの表面上に空間的に配置されている、複数の複数回使用バイオセンサーと、
を備える、複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリ。
【請求項15】
複数回使用被検物質バイオセンサーの製造方法であって、
(a)少なくとも1つの酵素を少なくとも1つのナノビーズに結合させる工程と、
(b)前記少なくとも1つの酵素が結合された複数のナノビーズを電極上に堆積する工程と、
(c)半透膜を酵素架橋結合ナノビーズおよび前記電極上に堆積する工程と、を含む製造方法であって、
前記複数のナノビーズは、
前記電極に物理的に付着されることなく前記電極に接している第1のナノビーズと、
前記第1のナノビーズ上に配置されている第2のナノビーズと、
を含み、
前記半透膜は前記電極上に前記複数のナノビーズを固定化させ、
前記半透膜が、検出される被検物質に対しては透過性であるが、前記複数のナノビーズに結合された前記酵素に対しては実質的に不透過性である、製造方法。
【請求項16】
前記複数回使用被検物質バイオセンサーが、電位差測定被検物質バイオセンサーとしてさらに定義される、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記工程(a)が、前記少なくとも1つの酵素を前記少なくとも1つのナノビーズに架橋結合するとしてさらに定義される、請求項15または16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記工程(a)が、前記少なくとも1つの酵素を前記少なくとも1つのナノビーズに共有結合するとしてさらに定義される、請求項15または16に記載の製造方法。
【請求項19】
前記複数のナノビーズの各々が、100nm~1μmの範囲の直径を有する、請求項15~18のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記複数のナノビーズが非磁性である、請求項15~19のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項21】
前記複数のナノビーズがラテックスを含む、請求項15~20のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項22】
前記半透膜が、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(塩化ビニル)、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料から形成される、請求項15~21のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記バイオセンサーが、複数回使用血液尿素窒素(BUN)バイオセンサーとしてさらに定義され、前記少なくとも1つの酵素がウレアーゼである、請求項15~22のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項24】
前記バイオセンサーが、少なくとも14日間の使用寿命を有する、請求項15~23のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項25】
前記工程(b)の前に、酵素活性を検証する工程(d)をさらに含む、請求項15~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリの製造方法であって、
複数の複数回使用バイオセンサーを基材の少なくとも1つの表面上に形成させる工程を含み、
その各々は、請求項15~25のいずれか1項に記載の方法によって形成され、前記複数の複数回使用バイオセンサーのうちの少なくとも2つの酵素が異なり、その各々が前記基材の前記少なくとも1つの表面上に空間的に配置されている、製造方法。
【請求項27】
流体生物試料中の標的被検物質の存在または濃度の検出方法であって、
(a)請求項1~13のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサーを有する血液ガス、電解質、または代謝物測定装置に流体生物試料を注入する工程と、
(b)前記複数回使用バイオセンサーによって収集された標的被検物質の存在または濃度を測定する工程と、
を含む、検出方法。
【請求項28】
流体生物試料中の複数の標的被検物質の存在または濃度の検出方法であって、
(a)請求項14に記載の複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリを有する血液ガス、電解質、または代謝物測定装置に流体生物試料を注入する工程と、
(b)前記複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリの個々の複数回使用バイオセンサーによって収集された複数の標的被検物質のそれぞれの存在または濃度を測定する工程と、
を含む、検出方法。
【請求項29】
前記流体生物試料が、血液、血漿、血清、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽腔液、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27または28に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照/参照による援用)
本出願は、2017年3月3日に出願された米国仮出願第62/466,741号の優先権を主張し、参照によりその内容全体を本明細書中で援用する。
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
該当なし。
【背景技術】
【0002】
検出器とも呼ばれるセンサーは、物理量を測定し、それを観察者または計器によって読み取ることができる信号に変換する装置である。センサーは、化学的および生化学的試験において、試料または試料内の対象被検物質の特性を決定するために使用される。生物医学およびバイオテクノロジーにおいて、細胞、タンパク質、または核酸のような生体成分を有する被検物質を検出するセンサーは、バイオセンサーと呼ばれる。
【0003】
複数のバイオセンサーが単一のユニットに分類されたバイオセンサーアレイは、生物学的被検物質の存在および/または濃度を決定するための化学および医学において有用である。例えば、患者から採取した液体試料の分析によって、患者の診断および治療に関係する様々な種類の分析試験を実施することができる。一般的に、検査される体液としては、尿、血液、血漿、唾液、脳脊髄液、胸水などが挙げられる。例えば、血液試料は日常的に分析され、血液中のCOおよびOの分圧、ならびに電解質および代謝物の濃度の測定値が得られる。生物学的被検物質の存在および濃度を決定するために、被検物質を吸着し、捕捉するための固定化酵素を含むバイオセンサーが一般に使用される。具体的に言うと、対象イオンの選択的拡散を可能にするイオン選択電極またはイオン透過膜を有する電極を利用することができる電位差測定バイオセンサーを使用することが多い。動作原理は、相間でイオンが平衡化したときに生じる測定可能な電位差に基づいている。
【0004】
現在、剛性層状センサーアセンブリおよび電気回路を利用して、上記の測定を行うための多くの複数の分析器が存在する。このようなセンサーアセンブリは、一次臨床的適応により内科患者の状態を評価するために使用される。多くの患者が検査を受ける頻度が高いため、分析を実施するために試料の大きさが小さいものを用いることが望ましい。集中治療室の患者は、血液ガスおよび臨床化学測定のために1日当たり15~20回の標本抽出頻度を必要とすることがある。これらの場合、比較的短時間で採取される標本数が比較的多いため、少量の血液サンプルを分析することが望ましい。さらに、実施する多くの試験を制限するために、各試験について可能な限り多くの情報を収集することが望ましい。
【0005】
現在、使い捨てバイオセンサーおよび複数回使用バイオセンサーは、米国公開第2015/0082874号および米国公開第2011/0286888号ならびに国際公開第2015/155665号(これらの各々の全内容を、本明細書中で参照により明示的に援用する)に記載されているセンサーアレイなどのセンサーアレイでの使用に利用可能である。バイオセンサー測定を受ける検査の一例が、血中尿素窒素(BUN)検査である。BUN分析は、老廃物である尿素からの血液中の窒素の量を測定する。尿素は、タンパク質が分解されると腎臓で産生される副産物である。尿素は肝臓で産生されるが、腎臓を通過し、BUNを測定することにより、医師および臨床医は患者の腎機能を評価することができる。正常BUN値よりも高いBUN値は、患者の腎臓が正常に機能していないことを示す。使い捨てBUNバイオセンサーが現在入手可能であり、バイオセンサーは、グルタルアルデヒド架橋結合などの様々なウレアーゼ固定化方法を使用する(例えば、Abbott Point of Care Inc.,Princeton,NJから入手可能な現在利用可能なiSTAT(登録商標)試験カートリッジを参照されたい)。一般に、ウレアーゼは電極上に堆積し、架橋結合によって不溶性に「保持され」、ポリマー中で捕捉される。次に、酵素をさらに保持し、汚れ、干渉物質などから保護するために、通常保護膜が塗布される。しかしながら、この技術を複数回使用BUNバイオセンサーの製造に適応しようと試みると問題に遭遇する。複数回使用BUNバイオセンサーでは一般に使用寿命が短いことが分かっている。使用寿命が短いことは、多くの場合、バイオセンサー上へ不十分な量の活性ウレアーゼの固定化、長期間に渡る滲出に起因するウレアーゼの損失による性能低下、および使用ベースの酵素分解を含む(ただし、それらに限定されない)様々な要因の結果である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本明細書に開示された本発明の概念に従って構成されたバイオセンサーの1つの非限定的実施形態の図式的表示である。
図2図2は、本明細書に開示された発明概念に従って構成されたナノビーズと共に使用できる架橋技術の1つの非限定的実施形態の図式表示である。
図3図3は、未修飾ウレアーゼと比較したビオチン化ウレアーゼ活性のグラフ表示である。ビオチン化ウレアーゼは、本明細書中に開示された発明概念に従って使用するナノビーズへのその後の付着のための、カップリング機構への酵素接合の1つの非限定的実施形態である。この図は、ウレアーゼが活性の重大な損失なしにビオチン化され得ることを示す。
図4図4は、本明細書中に開示された発明概念による、図3のビオチン化ウレアーゼで構成された複数回使用バイオセンサーに関連するBUNアッセイ用量反応曲線のグラフ表示である。
図5図5は、本明細中に開示された発明概念による、図3のビオチン化ウレアーゼで構成された複数回使用バイオセンサーに関連するBUNアッセイ応答速度のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の発明概念の少なくとも1つの実施形態を例示的用語および結果によって詳細に説明する前に、本明細書中に開示された発明概念は、その出願において、以下に説明する構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本明細書中に開示された発明概念は、他の実施形態、または様々な形態で実践または実施することが可能である。従って、本明細書で使用する用語は、可能な限り広い範囲および意味を与えることを意図しており、このことは、実施形態が、あくまで例示的なものであり、網羅的ではないことを意味している。また、本明細書で使用する用語および専門用語は、説明を目的とするものであり、限定と見なすべきではないことを理解されたい。
【0008】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書中に開示された発明概念に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上特に要求されない限り、単数形は複数形を含み複数形は単数形を含む。上述の技術および手順は、一般に、当該技術分野で周知の慣用的方法に従って、および本明細書全体にわたって参照および議論される様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されたように実施される。本明細書に記載された分析化学、合成有機化学、および医薬および医薬品化学に関連して利用される命名法、ならびに検査法および技術は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されているものである。化学合成や化学分析には標準的な方法が用いられる。
【0009】
本明細書に記載された全ての特許、公開特許出願、および非特許刊行物は、本明細書中に開示された発明概念が関係する当業者のレベルを示す。本出願の任意の箇所で参照される全ての特許、公開特許出願、および非特許刊行物は、それぞれの個々の特許または刊行物が、参照により援用されるように具体的かつ個別に示すのと同じ程度まで、その内容全体を参照により本明細書中で明示的に援用する。
【0010】
本明細書中に開示された物、組成物、および/または方法の全ては、本明細書中の開示に鑑み過度の実験を行うことなく製造および実施できる。本発明概念の物、組成物、および方法を特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本発明の発明概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、物、組成物、および/または方法、ならびに本明細書に記載された方法の工程または工程の順序に変更を加えてよいことは明らかである。当業者に明らかなこのような類似の代替物および変更は全て、添付の特許請求の範囲によって定義される発明概念の趣旨、範囲、および概念内にあると見なされる。
【0011】
本発明の開示に従って使用する場合、以下の用語は、特に指定のない限り、以下の意味を有すると理解すべきでものとする。
【0012】
特許請求項の範囲および/または本明細書において、用語「備える(comprising)」と共に使用される場合の、冠詞「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味するが、それはまた、「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」および「1つまたはそれ以上(one or more thanone)」の意味と一致する。本明細書中の開示は、代替物のみおよび「および/または(and/or)」の定義を支持しているが、特許請求の範囲における用語「または」の使用は、参照するよう明示的に示されていない限り、「および/または」の意味で用いられ、あるいは代替物は相互に排他的である。本出願を通じて、用語「約(about)」は、値が、装置、その値を決定するために使用する方法、または研究対象間に存在する固有の誤差変動を含むことを示すために使用される。用語「少なくとも1つ」の使用は、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含むが、これらに限定されない、1以上の量と同様に、1以上の任意の量を含むと理解する。用語「少なくとも1つの」は、それが付与される用語に応じて、100または1000以上にまで広げてもよい。さらに、量100/1000は、上限また満足のいく結果をもたらす可能性があるため、限定的であると見なすべきではない。さらに、用語「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、ならびにX,Y,およびZの任意の組合せを含むと理解する。順序数(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など)の使用は、2つ以上の項目を区別する目的のためだけであり、例えば、任意の順番、順序、別のものから1つを選択する重要性、または任意の追加順位を含むことを意味しない。
【0013】
用語「約(about)」は、値が、装置の固有の誤差変動を含むことを示すために使用され、この方法は、値および/または研究対象間に存在する変動を決定するために使用する。例えば、限定としてではなく、用語「約」を使用する場合、指定値は、±12パーセント、または11パーセント、または10パーセント、または9パーセント、または8パーセント、または7パーセント、または6パーセント、または5パーセント、または4パーセント、または3パーセント、または2パーセント、または1パーセントだけ変化し得る。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲の任意の形態において使用するように、用語「備える(comprising)」(および「備える(comprise)」および「備える(comprises)」などの、備える)、「有する(having)」(および「有する(have)」および「有する(has)」などの任意の形態)、「含む(including)」(および「含む(includes)」および「含む(include)」などの任意の形態)、または「含む(containing)」(および「含む(contains)」および「含む(contain)」などの任意の形態)は、包括的または非限定的であり、追加の、クレームされない構成要素または方法工程を排除しない。
【0015】
本明細書で使用する「またはその組合せ」という用語は、その用語に先行する列挙された項目のすべての並べ替えおよび組合せを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含むことを意図しており、順序が特定の状況において重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABも含む。この例を踏襲すると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどのような、1つまたは複数の項目または用語の繰り返しを含む組合せを明白に含む。当業者は、文脈から特に明らかでない限り、通常は、いかなる組合せにおいても項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0016】
本明細書で「実質的に(substantially)」という用語は、後述する事象または状況が間違いなく起こること、または後述する事象または状況がかなりの範囲または程度まで起こることを意味する。例えば、特定の事象または状況と関連する場合、用語「実質的に(substantially)」は、後述する事象または状況が、少なくとも80%の割合で、または少なくとも85%の割合で、または少なくとも90%の割合で、または少なくとも95%の割合で発生することを意味する。「実質的に隣接する(substantially adjacent)」という用語は、2つの項目が互いに100%隣接していること、または2つの項目が互いに近接しているが、100%隣接していないこと、または2つの項目のうちの1つの一部が他方の項目に100%隣接していないが、他方の項目に近接していることを意味してもよい。
【0017】
本明細書で、語句「会合する(associated with)」および「結合する(coupled to)」は、直接結合またはスペーサー基を介したいずれかによる、一方の部分の他方の部分への共有結合、直接または該部分に結合した特異的結合対成員のいずれかによる、一方の部分の他方の部分への非共有結合、例えば、一方の部分を他方の部分に溶解するか、または合成すること、および一方の部分を他方の部分に被覆することを含む。
【0018】
本明細書で使用する「試料」という用語は、本明細書中に開示された発明概念に従って利用することができる任意の種類の生物試料を含むと理解される。利用し得る流体生物試料の例は、全血またはその任意の部分(すなわち、血漿または血清)、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽腔液、それらの組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
「患者」という用語は、ヒトおよび動物実験材料を含む。ある実施形態において、患者は哺乳動物である。特定の他の実施形態において、患者はヒトである。治療目的のための「哺乳類」とは、ヒト、飼育動物および家畜、非ヒト霊長類、動物園の動物、競技用動物、または愛玩動物(例えば、犬、馬、猫、牛など)を含む、哺乳類として分類される任意の動物を指す。
【0020】
本明細書で使用する「電極」という用語は、本明細書に開示された発明概念に従って機能することができる任意の種類の導体または媒体を指す。本明細書中に開示された発明概念の範囲内にある電極の非限定的な例としては、複数の電極を有する電気化学セルが挙げられる。例示的電気化学セル構造としては、1つの指示電極および1つの参照電極を含む電極セル、1つのアノードおよび1つのカソードを含む電極セル、1つのアノード、1つのカソードおよび1つの参照電極を含む三電極セル、および2つの作用電極、1つの対極、および1つの参照電極を含む四電極セルが挙げられる。
【0021】
現在、複数回使用バイオセンサーは、センサーアレイに利用可能である。しかしながら、これらのバイオセンサーは、一般的に、バイオセンサー上に固定化された不十分な活性酵素、時間と共に滲出する酵素の損失によって引き起こされる性能低下、単に使用による酵素の分解、および/または付着物および/または干渉物質による不十分な酵素活性に起因して、通常は使用寿命が短い。
【0022】
従って、従来技術の現在の複数回使用バイオセンサーの問題を解決する一方で、センサーアレイアセンブリにおいても使用可能な、新規で品質が向上した複数回使用バイオセンサーが、当該技術分野において必要とされている。特に、バイオセンサーの完全性、応答、および精度を実質的に維持しながら、少なくとも14日間の使用寿命(例えば、少なくとも30日間の使用寿命などであるが、これに限定されない)および3000個の試料採取能力を有する複数回使用バイオセンサー(BUNおよび他の酵素系バイオセンサーなど)が当該技術分野で必要とされている。
【0023】
では次に本明細書中に開示された発明概念(複数可)を見てみると、その特定の実施形態は、流体生物試料中の少なくとも1つの標的被検物質の存在および/または濃度を検出するための複数回使用バイオセンサーに関する。複数回使用バイオセンサーは、電極、それに結合した酵素を有する複数のナノビーズ、および半透膜(本明細書では、区別なく「保護膜」とも呼ぶ)を含む。複数のナノビーズのそれぞれは、それに結合した少なくとも1つの酵素を有し、酵素は、標的被検物質の検出のために標的被検物質と相互作用する。複数のナノビーズ(酵素により結合されている)は、電極上に分注され、半透膜は、複数のナノビーズ上に配置され、それによって、膜は、複数のナノビーズを電極上に固定化する。膜は、検出される標的被検物質に対して透過性であるが、ナノビーズに結合された酵素に対して実質的に不透過性である。
【0024】
本発明の複数回使用バイオセンサーは、電極に直接ではなくナノビーズに酵素を付着させることによって、従来技術の欠点および不利益を克服し、それによって、使用寿命を延ばし、試料採取能力を増大させた複数回使用バイオセンサーを提供する。例えば(限定としてではなく)、複数回使用バイオセンサーは、少なくとも約14日間の使用寿命および少なくとも約3000個の試料採取能力を超えて、その完全性を実質的に維持することができる。
【0025】
現在、マルチバイオセンサーアレイ製品の製造に利用される2つの一般的な方法がある。これらの方法において、個々のセンサーは、別々に製造され、次いで、各センサー上で化学反応が起こった後に、アレイ状に一緒に止められる。または、アレイ状の複数の電極を有する単一の基材を使用して、適切なカップリング反応(例えば、架橋結合による酵素)が、各電極上で(通常は、連続的に試薬を分注することによって)起こる。この第2の選択肢は、コスト削減および試料量低減という利点を有するが、製造中に電極化学性質のいずれか1つに何らかの問題が起こった場合、アレイ全体が損なわれるリスクが増大する。
【0026】
従って、従来技術の標準的な架橋方法の欠点の1つは、カップリング反応が製造中に電極上で直接起こることであり、この直接相互作用は、特に「単一基材」マルチセンサーアレイ製品において1つ以上のカップリング反応が起こる複数の電極がある場合に、製造のリスクおよび複雑性を増加させる。本明細書中に開示された発明概念は、最終アレイ製造工程外で電極反応を起こすことでこの欠陥を克服し、それにより製造工程に関連するリスクを大幅に低減する。酵素をナノビーズにオフラインで結合することによって、酵素-ナノビーズ接合は、製造中に電極に付着する前に(活性、動態などについて)検証を行うことができ、アレイ上で酵素を架橋する必要性がなくなる。
【0027】
複数回使用バイオセンサーの特定の構成要素に戻ると、酵素を用いるバイオセンサーで使用可能であるとして当該技術分野で周知の任意の種類のセンサーを、本明細書中に開示された発明概念に従って利用することができる。例えば(限定としてではなく)、バイオセンサーは、電位差センサー、電流センサー、インピーダンスセンサー、または導電率センサーであってもよい。さらに、上記種類のバイオセンサーの1つと共に使用可能であるとして当該技術分野で周知の任意の電極を、本明細書中に開示された発明概念に従って利用することができる。利用し得る電極の非限定的な例としては、イオン電極またはイオン選択電極(ISE)が挙げられる。選択された特定種類の電極は、センサーの種類(すなわち、電位差測定、電流測定、インピーダンス測定、導電率測定など)に依存する。
【0028】
電極は、本明細書中に開示された発明的概念に従って電極が機能することを可能にする任意の形状を有してもよい。例えば、特定の非限定的実施形態では、電極は、平面または円形の形状であってもよい。電極は、当該技術分野で周知であるか、または本明細書に開示された任意の方法によって製造することができる。本明細書中に開示された発明概念に従って利用し得る製造方法の例としては、スクリーン印刷、金属スパッタリング、フォトリソグラフィ、または任意の他の標準的電極製造方法が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
標的被検物質は、流体生物試料中に存在する任意の被検物質であってよく、当該技術分野で周知であるか、あるいは酵素を用いたバイオセンサーによる検出のために本明細書に開示された被検物質でもよい。標的被検物質の非限定的実施例としては、血中尿素窒素(BUN)、グルコース、グルタミン酸、乳酸、エタノール、アスコルビン酸、コリンアセチルコリン、クレアチニン、コレステロール、ピルビン酸、ビリルビンなどが挙げられる。
【0030】
流体生物試料中の標的被検物質の検出のためのバイオセンサーにおいて使用可能である当該技術分野において周知の任意の酵素は、本明細書中に開示された発明概念の範囲内に入る。酵素の非限定的な実施例としては、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルタミン酸オキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ラクカーゼ、チロシナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0031】
当該技術分野で周知であり、本明細書に記載されたように機能することができる任意のナノビーズを、本明細中に開示された発明概念に従って利用することができる。ナノビーズは、本明細書に記載あるいは開示されたように機能するのに適した任意の適切な材料から形成できることを理解するであろう。特定の非限定的実施形態において、ナノビーズは、その表面(表面積および特定種類の表面の両方)ならびに利用される酵素とのその適合性および安定性に基づいて選択される。特定の実施形態では、ナノビーズは、ラテックスなどの非磁性材料から形成されるが、これらに限定されない。
【0032】
さらに、特定の非限定的実施形態では、ナノビーズは、グループ化を最小限に抑える、または防止する(分散を可能にする)のに十分な重量を有し、各ナノビーズの表面上に十分な濃度の酵素を結合および固定化するのに十分な表面積の直径を有する。特定の(非限定的)実施形態では、ナノビーズは、約100nm、約125nm、約150nm、約175nm、約200nm、約225nm、約250nm、約275nm、約300nm、約325nm、約350nm、約375nm、約400nm、約425nm、約450nm、約475nm、約500nm、約525nm、約550nm、約575nm、約600nm、約625nm、約650nm、約675nm、約700nm、約725nm、約750nm、約775nm、約800nm、約825nm、約850nm、約875nm、約900nm、約925nm、約950nm、約975nm、および約1μmの直径を有することができる。さらに、上に列挙した2つの値(例えば、約225nm~約850nmの範囲、約375nm~約675nmの範囲など)の組合せから形成される任意の範囲内の直径を有するナノビーズもまた、本明細書中に開示された発明概念の範囲内に包含される。特定の(非限定的)実施形態では、ナノビーズは、約80nm~約1μmの範囲の直径を有する。
【0033】
これに対して、ナノビーズに結合された酵素の大きさは、ナノビーズの直径よりもかなり小さい。例えば(限定としてではなく)、酵素ウレアーゼは、約15~20nmの大きさであり、本明細書中に開示された発明概念に従って利用される特定の酵素は、約30nm以下の大きさである。従って、ナノビーズと比較して酵素の大きさがかなり小さいことで、ナノビーズ当たりの複数の酵素の結合が可能になり、それによって、バイオセンサー上に固定化された酵素の濃度が増加する。さらに、酵素に対するナノビーズの大きさが大きいので(酵素のナノビーズへの付着に加えて)、酵素がバイオセンサーから滲出するのを防ぎ、それによってバイオセンサーの使用寿命を延ばす。
【0034】
酵素をナノビーズに結合させることができる当該技術分野で周知の、または本明細書中に開示された共有結合または非共有結合機構は、本明細書中に開示された発明概念に従って利用することができる。特定の非限定的実施形態において、少なくとも1つの酵素は、架橋結合によってナノビーズの各々に結合し得る。任意の周知の架橋結合法を、本明細書中に開示された発明概念に従って利用できる。例えば(限定としてではなく)、利用し得る1つのカップリング反応は、アビジン-ビオチン相互作用であり、ここで、複数のナノビーズは、ストレプトアビジンで被覆され、一方で、少なくとも1つの酵素は、ビオチンに接合される。
【0035】
特定の(限定としてではなく)実施例において、ナノビーズは、294nmのPOWER-BIND(登録商標)スチレン/アクリルストレプトアビジン被覆ナノビーズ(Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,MA)のようなストレプトアビジン被覆ラテックスナノビーズである。
【0036】
その代わりに、少なくとも1つの酵素をナノビーズに共有結合してもよい。任意の周知の共有結合法が、本明細書中に開示された発明概念に従って利用できる。例えば(限定としてではなく)、少なくとも1つの酵素は、アルデヒド、アミン、カルボニル、カルボキシル、マレイミド、スルフヒドリル反応基を含む基から選択される反応基を介してナノビーズに共有結合し得る。共有結合技術の特定の(非限定的)実施例としては、COOH官能化ナノビーズおよび1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(「EDC」)/N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(「NHS」)反応が挙げられる。
【0037】
酵素は、バイオセンサーが本明細書中に開示された発明概念に従って機能することを可能にする表面積の任意の割合で、各ナノビーズ上に存在してもよい。例えば(限定としてではなく)、酵素は、バイオセンサーによる標的被検物質の十分な捕捉を可能にするために、ナノビーズの十分な表面積上に存在しなければならない。特定の(非限定的)実施形態では、酵素は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、および約99%の割合の表面積で各ナノビーズ上に存在してもよい。さらに、本明細中に開示された発明概念の範囲としては、上掲した2つの値の組合せから形成される任意の範囲(例えば、約10%~約95%の表面積の範囲、約40%~約75%の表面積の範囲など)に収まる任意の表面積の割合における各ナノビーズ上の酵素の存在も含む。
【0038】
同様に、ナノビーズは、バイオセンサーが本明細書中に開示された発明概念に従って機能することを可能にする任意の濃度で電極上に堆積させてもよい。例えば(限定としてではなく)、ナノビーズは、ナノビーズ間に十分な間隔を開けて、より良い洗浄を可能にし、生物試料間の持ち越し汚染を防ぐ濃度で、電極上に堆積され得る。特定の(非限定的)実施形態では、ナノビーズは、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、および約99%の表面積の割合で電極上に存在してもよい。さらに、本明細書中に開示された発明概念の範囲は、上掲した2つの値の組合せから形成される任意の範囲内(例えば、約10%~約75%の表面積の範囲、約10%~約50%の範囲など)である表面積の任意の割合での電極上のナノビーズの存在も含む。
【0039】
特定の非限定的実施形態では、ナノビーズと電極との間に物理的な付着はない。その代わり、半透性の保護膜をナノビーズ(それに結合した酵素を有する)の上に置き、ナノビーズを電極上の定位置に保持する。保護膜は、バイオセンサーの構成要素として以前から使用されており、本明細書中に開示された発明概念に従って利用できるその非限定的な実施例が、米国特許第7,959,791号(その内容全体を参照により本明細書中で援用する)に開示されている。従って、当業者は、生物被検物質の通過および副産物の除去を可能にするために、保護膜が半透性である、本明細書中に開示された発明概念に従って利用できる保護膜を知っているであろう。
【0040】
半透膜は、バイオセンサーが本明細書中に開示された発明概念に従って機能することを可能にする、当技術分野で周知の、または本明細書中に開示された任意の材料から形成してもよい。すなわち、半透膜は、検出される標的被検物質に対して透過性であるが、ナノビーズに結合された酵素に対して実質的に不透過性である材料から形成しなければならない。半透膜を形成することができる材料の非限定的実施例としては、ポリウレタン、シリコン、ポリ(塩化ビニル)、それらの組合せなどが挙げられる。半透膜を構成することができる材料の1つの特定の(非限定的)実施例は、ポリエステル系のポリウレタン(AdvanSource Biomaterials Corp.,Wilmington,MA)であるHydroMed(登録商標)D7である。
【0041】
半透膜は、副産物を除去するために、使用の間に洗浄溶液で簡単に洗浄することができる。本明細書中に開示された発明概念におけるナノビーズ使用するよりも前は酵素が層のように高密度架橋結合されると、副産物を保持し、前の生物試料からの持ち越し汚染を引き起こす可能性があった
【0042】
ナノビーズへ酵素が結合することで、酵素をバイオセンサーに直接結合する従来技術の方法に勝る驚くべき予想外の改良を提供する。本明細書中に開示された発明概念によるナノビーズを使用することで、バイオセンサーの応答(従って、バイオセンサーの精度)も最大化しながら、バイオセンサーの使用寿命をより長くする。さらに、電極上のウレアーゼの高負荷は、ナノビーズの表面積が大きいことで達成され、この高負荷は、バイオセンサーの精度を最大にしつつ、バイオセンサーの使用寿命を延ばすのに役立つ。また、任意の多種多様な周知の化学反応を利用して、酵素をナノビーズに結合することができ、これらの化学反応は、任意のバイオセンサーアレイの電極分散およびアセンブリに対してオフラインで行うことができ、さらに、これらの結合反応を使用することで、バイオセンサーアレイ製造中にオフラインで行われる重要な酵素修飾を可能にし、これにより、バイオセンサーの使用寿命がより長くなり、バイオセンサーの応答および精度を最大にする。ナノビーズは、分注が始まる前に調製および検証することができ、このことによって、(十分な量の活性酵素が電極に固定されずに)「不良な」バイオセンサーが製造され、その結果バイオセンサーアレイアセンブリ全体の生産をだめにしてしまう危険性低減される。適切なナノビーズおよびナノビーズ表面を用いることにより、良好な酵素安定性も達成される。さらに、ナノビーズに結合した酵素に対してナノビーズの大きさが大きいと、保護膜を通してバイオセンサーから酵素が滲出するのを防ぎ、それによってバイオセンサーの使用寿命を延ばすことができる。ナノビーズはまた、ナノビーズ間に形成された隙間に起因する標的被検物質のための効率的な拡散経路を提供し、これらの空間は、ナノビーズが密に充填される場合であっても見られる。従って、バイオセンサーの速度および読み取り時間は速くなるが、試料の持ち越し汚染は減少する。
【0043】
本明細書中に開示された発明概念は、使用後または数回の使用後にバイオセンサーを交換する必要性をなくす。むしろ、本明細中に開示された発明概念のバイオセンサーは、使用寿命が延長され、使用と使用の間に洗浄溶液で簡単に洗浄することができる。さらに、ナノビーズ間に間隔があるお陰で、生物試料分析間のより良好な洗浄を可能にするため、本明細書中に開示された発明概念は、生物試料間の持ち越し汚染を低減する。従って、本明細書中に開示された発明概念は、(複数の試験を一度に行うことができるので)応答時間を減少させ、血液ガス分析装置などの機器に費やされるメンテナンス時間を短縮することによって、先行技術を改善する。
【0044】
本明細書に開示された発明的概念の特定の実施形態は、基材と組み合わせて、本明細書中において上記で詳述した複数回使用バイオセンサーを有する複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリに関する。複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリに存在する複数回使用バイオセンサーのそれぞれの少なくとも2つの酵素は互いに異なる。特定の実施形態では、アレイアセンブリに存在する酵素のすべてが異なっていてもよい。その代わりに、複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリに存在する複数の複数回使用バイオセンサーのそれぞれの少なくとも2つの酵素は同じであってもよい。基材は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有し、複数回使用バイオセンサーのそれぞれは、基材の表面のうちの少なくとも1つの上に空間的に配置されている。
【0045】
本明細書中に開示された発明概念の特定のさらなる実施形態は、バイオセンサーを調製および製造して、安定した品質の検査合格品を提供できる、本明細書中で上述した複数回使用被検物質バイオセンサーのいずれかの製造方法に関する。本方法において、少なくとも1つの酵素は、本明細書中において上記で詳述した、あるいは当該技術分野で周知の方法のいずれかによって、少なくとも1つのナノビーズに結合され、少なくとも1つの酵素が結合された複数のナノビーズは、電極上に堆積される。次いで、半透膜を、電極上に堆積されたナノビーズ(酵素が結合した)上に配置し、このようにして、膜は、複数のナノビーズを電極上に固定化する。
【0046】
この方法はまた、酵素活性を検証する任意の工程(電極への堆積前および/または堆積後)を含み得る。例えば、いったん酵素がナノビーズに結合し、電極上に堆積する前に、検査を行って酵素活性を測定することができる。次いで、その酵素適格性確認後、所望の量の酵素負荷ナノビーズを電極上に分注し、膜を介してその上に固定化する。
【0047】
本明細書中に開示された発明的概念のさらなる実施形態は、複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリの製造方法に関する。この方法では、複数の複数回使用バイオセンサー(それぞれ、上記で詳細に説明したバイオセンサーである)が形成され、基材の少なくとも1つの表面上に空間的に配置される。
【0048】
本明細書中に開示された発明概念のさらなる実施形態は、流体生物試料中の標的被検物質の存在および/または濃度の検出方法に関する。この方法において、流体生物試料は、本明細書中で詳述した複数回使用バイオセンサーのいずれかを含む血液ガス、電解質、および/または代謝物測定装置に注入される。次いで、標的被検物質の存在および/または濃度が、複数回使用バイオセンサーによって捕捉され、測定装置によって報告される。例えば(限定としてではなく)、標的被検物質イオンは、複数回使用バイオセンサーを通して分散し、複数回使用バイオセンサー上に存在する対応する酵素に結合する。その時点で、イオンレベルは、当該技術分野で現在周知、あるいは本明細書に開示された様々な方法のいずれかによって測定することができる(膜電位の変化または電流測定を含むが、これらに限定されない)。
【0049】
さらに、本明細書中に開示された発明概念の他の実施形態は、流体生物試料中の複数の標的被検物質の存在および/または濃度の検出方法に関する。この方法において、流体生物試料は、本明細書中において上記で詳述した複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリのいずれかを含む血液ガス、電解質、および/または代謝物測定装置に注入される。次いで、複数の標的被検物質の存在および/または濃度が、アレイアセンブリの個々の複数回使用バイオセンサーによって捕捉され、測定装置によって報告される。従って、本明細書中に開示された発明概念は、複数回使用バイオセンサーから複数の被検物質の測定値を同時に得ることを想定している。
【0050】
上記の検出方法のそれぞれにおいて、流体生物試料は、全血またはその任意の部分(すなわち、血漿または血清)、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽腔液、およびそれらの組合せを含む群から選択してもよい。
【0051】
ここで図面を参照すると、図1は、本明細書中に開示された発明概念に従って構成された複数回使用バイオセンサー10を示す。バイオセンサー10は、電極12を有し、電極12上には、複数のナノビーズ14が分注され、各ナノビーズには、複数の酵素16が結合されている。バイオセンサー10はまた、酵素16が結合された複数のナノビーズ14上に配置される半透性保護膜18を含む。半透性保護膜18は、電極12上にナノビーズ14(結合された酵素16を有する)を固定化する。
【0052】
酵素16が結合したナノビーズ14は、電極12上にナノビーズ14を分注する前に調製し、検証することができるため、ナノビーズ14は、一般に、バイオセンサー10を製造する前に作製される。電極12上への堆積の前にナノビーズ14へ酵素16を付着させ、電極上へ酵素を直接堆積する従来技術の改良であり、ナノビーズ14に結合された酵素16は、電極12上へ分注する前に検証することができる。この能力により、(不活性酵素の検出を可能にすることによって)バイオセンサーにとってより良い結果が得られ、誤差をより少なくすることができる。これは、本明細書中に開示された発明概念で想定されるように、個々のバイオセンサーがマルチセンサーアレイに配置され、1つの非作動バイオセンサーがアレイ全体に負の影響を及ぼす可能性がある場合に特に重要である。
【0053】
酵素は、本明細書中で上述または本明細書中に開示された任意のカップリング機構によってナノビーズに接合できる。例えば(限定としてではなく)、図2は、本明細書中に開示された発明概念に従って利用し得る1つのカップリング機構を示す。この実施形態において、ナノビーズ20は、ビオチン-ストレプトアビジン架橋結合により複数の酵素22に結合される。酵素22はビオチン24で被覆され、ストレプトアビジン26で被覆したナノビーズ20と反応させる。
【実施例
【0054】
実施例を以下に示す。しかしながら、本明細書中に開示された発明概念は、その出願において、特定の実験、結果および検査法に限定されないことを理解すべきである。むしろ、実施例は、単に各種実施形態の1つとして説明するものであり、例示であって、網羅的ではないことを意味する。
【0055】
この特定の実施例において、複数回使用バイオセンサーはBUNバイオセンサーであり(従って、利用される酵素はウレアーゼである)、アビジン-ビオチン相互作用は、ウレアーゼをナノビーズに結合するために利用される。
【0056】
材料及び方法
ウレアーゼ(100mg,BBI Solutions,Cardiff,UK)を、1mlの0.1Mリン酸緩衝食塩水、pH7.2(PBS)に溶解し、スルホ-NHS-LC-LC-ビオチン(0.6-2.8 mg,Thermo FisherScientific Inc.,Waltham,MA)を添加した。室温で2時間の反応後、過剰なビオチンを、溶離剤として0.1M PBSを用いる7K MWCO Zebaカラム(Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,MA)を用いて混合物から除去した。ビオチン化酵素の活性は、標準的なウレアーゼアッセイを用いて測定した。
【0057】
ビオチン-ウレアーゼ(10mg)を1mgのストレプトアビジン被覆ビーズ(294nm POWER-BIND(登録商標)スチレン/アクリルストレプトアビジン被覆ナノビーズ、Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,MA)に添加した。任意で、遠心分離によるペレット化およびPBSを用いたビーズの洗浄を繰り返すことにより、過剰な酵素を除去した。
【0058】
次いで、ウレアーゼビーズ(1μl)を、非アクチン系NH 検知層を含むスクリーン印刷されたAg/AgCl極(1.5×05mm)上に分注し、乾燥させた(例えば、ButtおよびCammann,(1992)Anal.Lett.25:1597)。
【0059】
次に、HydroMed(登録商標)D7ポリウレタン膜(AdvanSource BiomaterialsCorp.,Wilmington,MA)の層をビーズ(2×05μl,THF中4%)上に分注し、乾燥させた。
【0060】
最後に、電位差測定センサーを改良RAPIDPoint(登録商標)500血液ガスシステム(Siemens Medical Solutions USA,Inc.,Malvern,PA)に設置し、37℃で少なくとも2週間連続検査した。少なくとも60個の標準物質試料および10個の無添加血液試料を毎日検査した。
【0061】
結果
ウレアーゼは、スルホ-NHS-LC-LC-ビオチン(ThermoFisher Scientific Inc.,Waltham,MA)のような標準試薬を用いてビオチン化した。次いで、酵素活性を維持しながらウレアーゼのビオチン化レベルを最大にし、図3に示すように、ウレアーゼの活性は、標準的なグルタミン酸デヒドロゲナーゼ/アミナート-ケトグルタル酸/ニコチンアミド-アデニンジヌクレオチドアッセイ(Worthington, CE.(1972) Worthington Enzyme Manual,Worthington Biochemical Corporation,Freehold,NJ)を用いて測定されるビオチン化レベルの範囲にわたって実質的に維持された。
【0062】
次いで、ビオチン化ウレアーゼを29nmのPOWER-BIND(登録商標)スチレン/アクリルストレプトアビジン被覆ナノビーズ(Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,MA)に結合し、ナノビーズ(ウレアーゼが結合されている)を電位差電極上に分注し、HydroMed(登録商標)D7ポリウレタン膜(AdvanSource Biomaterials Corp.,Wilmington,MA)を用いてその上に固定化した。
【0063】
図4および5は、それぞれ18,96,および30mM尿素標準物質溶液に対する、センサーのアッセイ用量-反応曲線および応答速度を示す。センサーは、一般に、少なくとも2週間、完全な安定性を維持した。
【0064】
従って、本明細書中に開示された発明概念に従って、上述した目的および利点を完全に満足する、組成物および装置、ならびにそれを製造および使用する方法を提供する。本明細書中に開示された発明概念は、上述した特定の図面、実験、結果および用語と共に説明したが、多くの代替手段、変更、および変形が当業者に明らかであることは明白である。従って、本明細書中に開示された発明概念の精神及び広い範囲内に入る全ての上記の代替手段、変更及び変形を包含することを目的としている。
[発明概念の非限定的実施形態]
【0065】
特定の実施形態は、流体生物試料中の標的被検物質の存在および/または濃度を検出するための複数回使用バイオセンサーに関する。複数回使用バイオセンサーは、電極、複数のナノビーズ、および半透膜を有する。複数のナノビーズは、電極上に分注され、複数のナノビーズのそれぞれは、それに結合された少なくとも1つの酵素を有し、酵素は、標的被検物質の検出のために標的被検物質と相互作用する。半透膜は、複数のナノビーズ上に配置され、膜は、複数のナノビーズを電極上に固定化する。膜は、検出される標的被検物質に対して透過性であるが、ナノビーズに結合された酵素に対して実質的に不透過性である。
【0066】
複数回使用バイオセンサーは、電位差測定被検物質バイオセンサーであってもよい。
【0067】
特定の実施形態において、少なくとも1つの酵素は、架橋結合によってナノビーズの各々に結合してもよい。例えば、複数のナノビーズをストレプトアビジンで被覆し、少なくとも1つの酵素をビオチンに接合させてもよい。
【0068】
あるいは、少なくとも1つの酵素は、ナノビーズに共有結合している。例えば、少なくとも1つの酵素は、アルデヒド、アミン、カルボニル、カルボキシル、マレイミド、およびスルフヒドリル反応基を含む群から選択される反応基を介してナノビーズに共有結合してもよい。
【0069】
複数のナノビーズは、約100nm~約1μmの範囲の直径を有してもよい。特定の実施形態において、ナノビーズは非磁性である。例えば、ナノビーズはラテックスを含んでもよい。
【0070】
半透膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(塩化ビニル)、およびそれらの組合せを含む群から選択される材料から形成してもよい。
【0071】
特に、複数回使用バイオセンサーは、複数回使用血液尿素窒素(BUN)バイオセンサーとしてさらに定義してもよく、この場合、少なくとも1つの酵素はウレアーゼである。
【0072】
複数回使用バイオセンサーは、少なくとも14日間の使用寿命を有してもよい。
【0073】
特定の実施形態は、基材と共に、本明細書中で上述した複数回使用バイオセンサーを有する複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリに関する。複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリに存在する複数回使用バイオセンサーのうちの少なくとも2つの酵素は異なる。複数回使用バイオセンサーの各々は、基材の少なくとも1つの表面上に空間的に配置される。
【0074】
特定の実施形態は、(a)少なくとも1つの酵素を少なくとも1つのナノビーズに結合する工程と、(b)少なくとも1つの酵素が結合された複数のナノビーズを電極上に堆積する工程と、(c)酵素架橋結合ナノビーズおよび電極上に半透膜を配置する工程とを含み、膜が複数のナノビーズを電極上に固定化され、膜が検出される被検物質に対して透過
性であるが、ナノビーズに結合された酵素に対して実質的に不透過性である、複数回使用被検物質バイオセンサーの製造方法に関する。この方法はまた、工程(b)の前に酵素活性を検証する任意の工程(d)を含んでもよい。
【0075】
本製造方法において、複数回使用被検物質バイオセンサーは、電位差測定被検物質バイオセンサーとしてさらに定義してもよい。
【0076】
特定の実施形態において、工程(a)は、少なくとも1つの酵素を少なくとも1つのナノビーズへの架橋結合ととしてさらに定義される。あるいは、工程(a)は、少なくとも1つの酵素を少なくとも1つのナノビーズへの共有結合としてさらに定義してもよい。
【0077】
複数のナノビーズは、約100nm~約1μmの範囲の直径を有してもよい。特定の実施形態において、ナノビーズは非磁性である。例えば、ナノビーズはラテックスを含んでもよい。
【0078】
半透膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(塩化ビニル)、およびそれらの組合せを含む群から選択される材料から形成してもよい。
【0079】
特に、複数回使用バイオセンサーは、複数回使用血液尿素窒素(BUN)バイオセンサーとしてさらに定義してもよく、この場合、少なくとも1つの酵素はウレアーゼである。
【0080】
複数回使用バイオセンサーは、少なくとも14日間の使用寿命を有してもよい。
【0081】
特定の実施形態はまた、複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリの製造方法に関する。本方法は、複数の複数回使用バイオセンサーを基材の第1の表面上に形成する工程(複数の複数回使用バイオセンサーの各々は、上記の実施形態に記載されているように形成される)を含み、複数の複数回使用バイオセンサーのうちの少なくとも2つの酵素は異なり、複数の複数回使用バイオセンサーの各々は、基材の少なくとも1つの表面上に空間的に配置される。
【0082】
特定の実施形態はまた、流体生物試料中の標的被検物質の存在および/または濃度の検出方法に関する。本方法は、(a)流体生物試料を、本明細書中において上記で詳述した複数回使用バイオセンサーのいずれかを有する血液ガス、電解質、および/または代謝物測定装置に注入する工程と、(b)複数回使用バイオセンサーによって捕捉された標的被検物質の存在および/または濃度を測定する工程とを含む。
【0083】
特定の実施形態はまた、流体生物試料中の複数の標的被検物質の存在および/または濃度の検出方法に関する。本方法は、(a)流体生物試料を、本明細書中において上記で詳述した複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリを有する血液ガス、電解質、および/または代謝物測定装置に注入する工程と、(b)アレイアセンブリの個々の複数回使用バイオセンサーによって捕捉された複数の標的被検物質のそれぞれの存在および/または濃度を測定する工程とを含む。
【0084】
上記の検出方法において、流体生物試料は、全血またはその任意の部分(すなわち、血漿または血清)、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽腔液、およびそれらの組合せを含む群から選択してもよい。
【0085】
以下に、本明細書中に開示された発明概念の非限定的な例示的実施形態の一覧を示す。
【0086】
1、流体生物試料中の標的被検物質の存在および/または濃度を検出するための複数回使用バイオセンサーであって、電極と、電極上に分注された複数のナノビーズを備え、複数のナノビーズの各々は、標的被検物質と結合した少なくとも1つの酵素を有し、酵素は、標的被検物質を検出するために標的被検物質と相互作用するナノビーズと、複数のナノビーズ上に半透膜が配置され、膜は、電極上に複数のナノビーズを固定化し、膜は、検出される標的被検物質に対しては透過性であるが、ナノビーズと結合した酵素に対しては実質的に不透過性である、複数回使用バイオセンサー。
【0087】
2.さらに、電位差測定被検物質バイオセンサーとして定義される、例示的実施形態1の複数回使用バイオセンサー。
【0088】
3.少なくとも1つの酵素が、架橋結合によってナノビーズの各々に結合される、例示的実施形態1または2に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0089】
4.複数のナノビーズは、ストレプトアビジンで被覆され、少なくとも1つの酵素は、ビオチンに接合する、例示的実施形態3に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0090】
5.少なくとも1つの酵素が、ナノビーズに共有結合する、例示的実施形態1または2に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0091】
6.少なくとも1つの酵素が、アルデヒド、アミン、カルボニル、カルボキシル、マレイミド、およびスルフヒドリル反応基を含む群から選択される反応基を介して、ナノビーズに共有結合する、例示的実施形態5に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0092】
7.複数のナノビーズの各々が、約100nm~約1μmの範囲の直径を有する、例示的実施形態1~6のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0093】
8.ナノビーズが非磁性である、例示的実施形態1~7のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0094】
9.ナノビーズがラテックスを含む、例示的実施形態1~8のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0095】
10.半透膜が、ポリウレタン、シリコン、ポリ(塩化ビニル)、およびそれらの組合せを含む群から選択される材料から形成される、例示的実施形態1~9のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0096】
11.さらに、複数回使用血液尿素窒素(BUN)バイオセンサーとして定義され、少なくとも1つの酵素がウレアーゼである、例示的実施形態1~10のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0097】
12.バイオセンサーは、少なくとも14日間の使用寿命を有する、実施例1~11のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサー。
【0098】
13.基材と、複数の複数回使用バイオセンサーとを備え、複数の複数回使用バイオセンサーの各々が、例示的実施形態1~12のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサーであり、複数の複数回使用バイオセンサーのうちの少なくとも2つの酵素が異なり、複数の複数回使用バイオセンサーの各々が、基材の少なくとも1つの表面上に空間的に配置される、複数の複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリ。
【0099】
14.(a)少なくとも1つの酵素を少なくとも1つのナノビーズに結合する工程と、(b)少なくとも1つの酵素が結合された複数のナノビーズを電極上に堆積する工程と、(c)半透膜を酵素架橋結合ナノビーズおよび電極上に配置する工程とを含む、複数回使用被検物質バイオセンサーの製造方法であって、膜が複数のナノビーズを電極上に固定化し、膜が検出される被検物質に対して透過性であるが、ナノビーズに結合された酵素に対して実質的に不透過性である、複数回使用被検物質バイオセンサーの製造方法。
【0100】
15.複数回使用被検物質バイオセンサーは、電位差測定被検物質バイオセンサーとしてさらに定義される、例示的実施形態14に記載の製造方法。
【0101】
16.工程(a)が、少なくとも1つの酵素を少なくとも1つのナノビーズに架橋結合するとしてさらに定義される、例示的実施形態14または15の製造方法。
【0102】
17.工程(a)が、少なくとも1つの酵素を少なくとも1つのナノビーズに共有結合的するとしてさらに定義される、例示的実施形態14または15の製造方法。
【0103】
18.複数のナノビーズの各々が、約100nm~約1μmの範囲の直径を有する、例示的実施形態14~17のいずれか1項に記載の製造方法。
【0104】
19.ナノビーズが非磁性である、例示的実施形態14~18のいずれか1項に記載の製造方法。
【0105】
20.ナノビーズがラテックスを含む、例示的実施形態14~19のいずれか1項に記載の製造方法。
【0106】
21.半透膜が、ポリウレタン、シリコン、ポリ(塩化ビニル)、およびそれらの組合せを含む群から選択される材料から形成される、例示的実施形態14~20のいずれか1項に記載の製造方法。
【0107】
22.バイオセンサーは、複数回使用血液尿素窒素(BUN)バイオセンサーとしてさらに定義され、少なくとも1つの酵素は、ウレアーゼである、例示的実施形態14~21のいずれか1項に記載の製造方法。
【0108】
23.バイオセンサーは、少なくとも14日間の使用寿命を有する、例示的実施形態14~22のいずれか1項に記載の製造方法。
【0109】
24.(d)工程(b)の前に酵素活性を検証する工程をさらに含む、例示的実施形態14~23のいずれか1項に記載の製造方法。
【0110】
25.基材の少なくとも1つの表面上に複数の複数回使用バイオセンサーを形成する工程を含み、複数の複数回使用バイオセンサーの各々は、例示的実施形態14~24のいずれか1項に記載の方法によって形成され、複数の複数回使用バイオセンサーのうちの少なくとも2つの酵素は異なり、複数の複数回使用バイオセンサーの各々は、基材の少なくとも1つの表面上に空間的に配置される、複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリの生成方法。
【0111】
26.(a)流体生物試料を、例示的実施形態1~12のいずれか1項に記載の複数回使用バイオセンサーを有する血液ガス、電解質、および/または代謝物測定装置に注入する工程と、(b)複数回使用バイオセンサーによって捕捉された標的被検物質の存在および/または濃度を測定する工程とを含む、流体生物試料中の標的被検物質の存在および/または濃度の検出方法。
【0112】
27.(a)例示的実施形態13の複数回使用バイオセンサーアレイアセンブリを有する血液ガス、電解質、および/または代謝物測定装置に流体生物試料を注入する工程と、(b)アレイアセンブリの個々の複数回使用バイオセンサーによって捕捉された複数の標的被検物質のそれぞれの存在および/または濃度を測定する工程とを含む、流体生物試料中の複数の標的被検物質の存在および/または濃度の検出方法。
【0113】
28.流体生物試料が、血液、血漿、血清、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽腔液、およびそれらの組合せを含む群から選択される、例示的実施形態26または27の検出方法。
図1
図2
図3
図4
図5