(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】非経口剤を製造するための液体を導管システムから取り出す取出装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/07 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
A61L2/07
(21)【出願番号】P 2019557568
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2018060403
(87)【国際公開番号】W WO2018197446
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンデル、フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ライカ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】リーガー、ヴォルフガング
【審査官】越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0013832(US,A1)
【文献】特開2000-126276(JP,A)
【文献】特開2011-046387(JP,A)
【文献】特表2002-534329(JP,A)
【文献】特開2006-082822(JP,A)
【文献】特開2003-103203(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0186137(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01852131(EP,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02755155(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-2/28
B67D 1/00-3/04
B08B 9/00-9/46
B67C 3/00-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの低細菌液を導管システム(110)から取り出すための取出装置(112)であって、前記取出装置(112)が、少なくとも1つの取出接続部材(146)を備え、少なくとも1つの連結ベンド(156)をさらに備え、前記連結ベンド(156)は、前記取出接続部材(146)に、取り外し可能に接続され、前記取出接続部材(146)の少なくとも1つの管端部(154)は、前記連結ベンド(156)の内部(158)に突出し、純粋蒸気を用いて、前記連結ベンド(156)内で、その内面(180)、その外面(174)およびその端面(178)上で殺菌可能であ
り、
前記取出装置(112)は、前記連結ベンド(156)が前記取出接続部材(146)に接続されている状態を検出するための、前記連結ベンド(156)に接続された電気接点(188)をさらに有し、前記電気接点(188)は、前記連結ベンド(156)が前記取出接続部材(146)に接続されている状態においてのみ、制御ユニット(190)に接続されるように構成されている、取出装置(112)。
【請求項2】
前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)は、前記連結ベンド(156)の内壁(172)により環状に包囲され、前記管端部(154)は、前記内壁(172)と前記管端部(154)との間に環状間隙(176)が形成され、環状間隙(176)内に前記純粋蒸気が入り込み得るように、前記内壁(172)から離間される、請求項1記載の取出装置(112)。
【請求項3】
前記取出接続部材(146)は、管状構成であり、内径を有し、前記連結ベンド(156)は、管状構成であり、内径を有する、請求項1または2記載の取出装置(112)。
【請求項4】
前記取出接続部材(146)の前記内径は、3mm~40mmである、請求項3記載の取出装置(112)。
【請求項5】
前記取出接続部材(146)の前記内径は、10mm~20mmである、請求項3記載の取出装置(112)。
【請求項6】
前記連結ベンド(156)の前記内径は、4mm~50mmである、請求項3~5のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項7】
前記連結ベンド(156)の前記内径は、11mm~42mmである、請求項3~5のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項8】
前記連結ベンド(156)は、少なくとも部分的に二重壁構成を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項9】
前記連結ベンド(156)は、少なくとも、前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)が突出する領域において、二重壁構成を有する、請求項8記載の取出装置(112)。
【請求項10】
前記二重壁構成は、前記連結ベンド(156)の外径よりも大きい内径を有し、前記連結ベンド(156)に押し当てられる少なくとも1つの外側スリーブによって生成される、請求項8または9記載の取出装置(112)。
【請求項11】
前記外側スリーブは、前記連結ベンド(156)に溶接される、請求項10記載の取出装置(112)。
【請求項12】
前記取出接続部材(146)は、L字形状であり、前記連結ベンド(156)は、接続された状態の前記取出接続部材(146)と前記連結ベンド(156)とを備える前記取出装置(112)が、全体としてU字状構成を有するように、L字形状である、請求項1~11のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項13】
前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)の前記端面(178)は、前記管端部(154)の管軸に対して傾斜する、請求項1~12のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項14】
前記連結ベンド(156)は、管部分として構成され、前記管部分の第1開口部は、前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)を受容し、前記管部分の第2開口部は、前記管部分を通って前記第2開口部から前記第1開口部へと純粋蒸気が通過し、そこで前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)を純粋蒸気が殺菌し得るように、純粋蒸気に曝され得る、請求項1~13のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項15】
前記管部分は、L字形状に屈曲される、請求項14記載の取出装置(112)。
【請求項16】
前記連結ベンド(156)は、ねじ接続により、前記取出接続部材(146)に取り外し可能に接続される、請求項1~15のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項17】
前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)は、0.8マイクロメートル以下の表面粗さRAを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の取出装置(112)。
【請求項18】
少なくとも1つの低細菌液を利用可能にするための導管システム(110)であって、前記導管システム(110)が、前記低細菌液のための少なくとも1つのパイプシステム(118)を備え、少なくとも1つの、請求項1~
17のいずれか1項に記載の取出装置(112)をさらに備え、前記取出装置(112)は、前記パイプシステム(118)に接続される、導管システム(110)。
【請求項19】
前記導管システム(110)は、前記低細菌液を受容するための少なくとも1つの容器(116)をさらに有し、前記容器(116)は、前記パイプシステム(118)に接続される、請求項
18記載の導管システム(110)。
【請求項20】
前記パイプシステム(118)は、環状構成であり、少なくとも1つのポンプ(122)を有し、前記ポンプ(122)は、前記パイプシステム(118)および前記容器(116)を通る循環内で前記低細菌液を送り出すように設計される、請求項
19記載の導管システム(110)。
【請求項21】
前記パイプシステム(118)は、少なくとも1つの分岐部(128)を有し、前記分岐部(128)は、前記取出装置(112)に接続される、請求項
18~
20のいずれか1項に記載の導管システム(110)。
【請求項22】
純粋蒸気のための少なくとも1つの供給部(134)は、前記連結ベンド(156)内で前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)を殺菌するために、前記供給部(134)から、前記取出接続部材(146)を通り、前記連結ベンド(156)内へと純粋蒸気が運搬可能であるように、前記分岐部(128)と前記取出装置(112)との間に配置される、請求項
21記載の導管システム(110)。
【請求項23】
前記導管システム(110)は、少なくとも1つの制御ユニット(190)をさらに有し、前記制御ユニット(190)は、少なくとも1つの電気接点(188)を介して前記連結ベンド(156)に接続可能であり、前記連結ベンド(156)が前記取出接続部材(146)に接続されているかどうかを検出するように設計され、前記制御ユニット(190)は、前記連結ベンド(156)が前記取出接続部材(146)に接続されるときにのみ、純粋蒸気を利用可能にし、それ以外の場合は、純粋蒸気が利用可能とされることを防止するようにさらに設計される、請求項
18~
22のいずれか1項に記載の導管システム(110)。
【請求項24】
前記連結ベンド(156)は、前記取出接続部材(146)から離れる方向の端部(160)にて、少なくとも1つの流出部(142)に接続される、請求項
18~
23のいずれか1項に記載の導管システム(110)。
【請求項25】
少なくとも1つの低細菌液を導管システム(110)から取り出すための方法であって、
a)請求項
18~
24のいずれか1項に記載の導管システム(110)を利用可能にするステップと、
b)純粋蒸気を前記連結ベンド(156)内に導入し、前記取出接続部材(146)の前記管端部(154)を、前記管端部(154)の周りを前記純粋蒸気で洗浄することによって、前記連結ベンド(156)の前記内部(158)にて殺菌するステップと、
c)前記連結ベンド(156)を前記取出接続部材(146)から解放して、取り外すステップと、
d)前記低細菌液を前記取出接続部材(146)から取り出すステップと
を含む方法。
【請求項26】
導管システム(110)から少なくとも1つの低細菌液を取り出すための、請求項1~
17のいずれか1項に記載の取出装置(112)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低細菌液、特に注射品質またはより低い品質の製薬用水を導管システムから取り出す取出装置に関する。本発明は、さらに、低細菌液、特に製薬用水を利用可能にするための導管システム、低細菌液、特に製薬用水を導管システムから取り出す方法、および本発明による取出装置の使用に関する。本発明による装置および方法は、特に、たとえば輸液または注射液の製造のために製薬業界において使用され得る。本発明による装置および方法は、特に、注射用水(WFI)、高純度水(HPW)、または概して純水および超純水のために使用され得る。特に、欧州薬局方、たとえば欧州薬局方、第8版、第3号、5248-5257ページに従う、WFI、HPWまたはAP(精製水)の品質の水を使用することが可能である。他の分野の使用も可能である。
【背景技術】
【0002】
低細菌液、特に滅菌液の提供は、多くの技術および化学分野において重要である。さらなる分野の使用の可能性を排除することなく、以下において、滅菌注射用水(WFI)を利用可能にすることに関して本発明を説明する。しかし、これ以外に、たとえば検査室診断または生化学研究における、滅菌液が使用される他の多数の可能な適用例が存在する。
【0003】
非経口剤、すなわち輸液または注射液の製造において、通例、注射用水またはWFIとも呼称される水を使用する。この水を製造するために、様々な調製技術、特に蒸留法、逆浸透法または限外濾過法が、しばしば組み合わされて使用される。水は、概してタンク内にて貯蔵され、等間隔に送り出され、適切な導管システムによって、使用される場所で利用可能にされる。
【0004】
特許文献1は、少なくとも1つの補償タップを有する分注システムを洗浄するための装置を開示している。装置は、少なくとも1つの流出ノズル、および補償タップの出口への接続管を備える、洗浄液のための貯蔵容器、ならびに、補償タップから離れる方向のタップラインの端部に取り付け可能な絞り要素を特徴とする。
【0005】
さらに、特許文献2には、飲料、特にビールのための分注システム、およびシステムを洗浄するための方法が記載される。分注システムは、飲料用タンク、飲料用タンクの上方に位置し、飲料用タンクから距離をおいて備え付けられるタップ、およびその第1の、上端部がタップに接続され、第2の、下端部が飲料用タンクに接続される飲料ラインを含む。さらに、洗浄システムは、洗浄剤を飲料ライン内に導入するために設けられる。洗浄システムは、飲料ラインの第1の端部にて、洗浄剤のための入口を、および飲料ラインの第2の端部にて、洗浄剤のための出口を有する。
【0006】
さらに、特許文献3には、冷却水を供給するための冷水用給排水システム、および加熱水を供給するための温水用給排水システムを備えるディスペンサが開示され、両方のシステムは、3つのポートを有するバルブである三方バルブにより、1つの充填ポートに接続されている。ディスペンサは、三方バルブにより冷水用給排水システムおよび温水用給排水システムに水を通過させること、および、水温の差により引き起こされる対流現象を利用して、両方の給排水システム中に温水を循環させることにより行われる滅菌処理を特徴とする。ディスペンサは、三方バルブのみが追加で使用される、非常に簡素な構造を用いて熱殺菌を行うことが可能である。細菌の繁殖が最も起こりやすい冷水充填ポートは、冷水および温水の両方のための充填ポートを用いて、熱により殺菌され得る。
【0007】
さらに、特許文献4は、呼吸ガスを運搬する呼吸システムの構造ユニットの熱消毒のための装置を開示しており、装置は、構造ユニットに連結することができ、構造ユニットの消毒のための少なくとも1つの空気処理部品、空気入口開口部ならびに空気出口開口部を含む運搬ユニットを備え、それによって、消毒モード時に、構造ユニットに所定の最低温度にまで加熱された空気流が作用し、運搬ユニットの空気入口開口部は、構造ユニットの既存の空気出口開口部に取り付けることができ、運搬ユニットの空気出口開口部は、構造ユニットの既存の空気入口開口部に取り付けることができ、構造ユニットは、少なくとも1つの空気処理部品を有し、それによって、消毒モードにて、加熱された空気が、運搬ユニットおよび構造ユニットにより形成される回路内で循環する。
【0008】
さらに、特許文献5は、製品の加熱処理のための方法および装置を開示しており、そこでは、処理される製品が、環状チャンバを通って軸方向にガイドされ、環状チャンバの外側および内側境界面が、自動調温制御下で加熱される。内側境界面は、ウォームとして構成され、モータにより駆動され得る内側本体により形成され、一方で、外側境界面は、渦巻き型の内面に設けられるダブルジャケットチューブからなる。その外側表面上で断熱されるアウタチューブには、ジャケット表面間の空間に取り付けられる蒸気流入ポートおよび復水排出ポートが設けられる。回転内側本体には、凝縮液昇降装置が設けられる。
【0009】
さらに、非特許文献1は、洗浄性に対する材料表面の効果に関する研究の現状を記載している。それらは、損傷を防止する可能性を含め、非ステンレス鋼の起こり得る腐食損傷の原因、およびエラストマ性密閉材料としてのEPDMの使用の分野をさらに議論している。
【0010】
さらに、特許文献6は、要求に応じて滅菌水の流れを生成する滅菌水生成装置を開示している。水加熱器は、水の滅菌を達成するために、入ってくる非滅菌水を十分な温度にまで加熱する。そして、滅菌水は熱交換器を通過し、熱交換器は滅菌水からの余熱を入ってくる水に移送する。これにより、水加熱器のエネルギー消費が低下し、使用の準備ができている滅菌水の温度が低下する。滅菌水は、水の汚染を回避するために、滅菌送達路を通って、水が使用される部位へと送達される。送達路の第1部分は、水加熱器により生成される蒸気または温水を送達路に沿って流動させることにより、事前に滅菌される。送達路の第2部分は、抗菌液剤により滅菌される。送達路の第1および第2部分は、少なくとも1つの共通部分を含む。
【0011】
さらに、特許文献7は、出口から冷水を分配するための冷水貯水槽、および出口から温水を分配するための温水貯水槽を有する水分配システムを備える閉鎖型ウォーターディスペンサを開示している。冷水貯水槽は、入口を備え、入口は、分配された水を入れ替えるために倒立状態のボトルに、解放可能に接続可能である。システムは、出口を一時的に接続し、温水貯水槽により生成される蒸気または温水を循環させることにより、定期的に消毒して、システム内を殺菌する。
【0012】
液体、特にWFIの調製における技術的課題は、概して、WFIが導管システムから取り出される取出点は、細菌が少なくあるべきであるということである。さもなければ、細菌および汚染物質が、取出点を介して、導管システムおよび試料に入り得る。したがって、多くの検査室では、取出点、たとえばタップまたは接続部材は、たとえば燃焼装置によって、取り出しの前および/または後に殺菌される。しかし、そのような方法の不利な点は、それらが作業者の側に注意力を要求することである。不注意により、導管システム全体が影響を受ける場合がある。さらに、取出点を殺菌する従来の技術、たとえば燃焼装置の使用は、取出点に負担をかけ、概して自動化が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】独国特許出願公開第2755155号明細書
【文献】国際公開第2005/016814号
【文献】国際公開第2012/066626号
【文献】独国特許出願公開第102005023391号明細書
【文献】独国特許出願公開第3238434号明細書
【文献】国際公開第01/56613号
【文献】欧州特許出願公開第1852131号明細書
【非特許文献】
【0014】
【文献】Bobe et al. (“Anforderungen an Werkstoffe und Werkstoffoberflaechen bezueglich Reinigbarkeit und Bestaendigkeit”, CHEMIE INGENIEUR TECHNIK., BD. 78, NR. 11, November 2006 (2006-11-01), Seiten 1615-1622, XP055423970, Weinheim; DE, ISSN: 0009-286X, DOI: 10.1002/C.200600095)
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の目的は、既知の装置および方法の不利な点の、少なくとも大部分を回避する取出装置、導管システム、方法および使用を利用可能にすることである。特に、単純かつ取り扱いが容易であり、それでいて確実な方法で、導管システムの微生物汚染の少なくとも大部分を回避して、少なくとも1つの低細菌液を導管システムから安全に取り出すことを提案する。
【0016】
この目的は、独立請求項の特徴を有する取出装置、導管システム、方法および使用により達成される。個別に、または任意の望ましい組み合わせで実現されてもよい有利な改良を、従属請求項に明記する。
【0017】
以下において、「有する」、「備える」または「含む」という用語またはその任意の文法上の派生語は、非排他的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語により導入される特徴以外に、追加の特徴が存在しない状況、または1つもしくは複数の追加の特徴が存在する状況のいずれかを言及することができる。たとえば、「AはBを有する」、「AはBを備える」または「AはBを含む」という表現は、B以外には、Aには他の要素が存在しない状況(すなわちAが排他的にBからなる状況)、およびB以外に、Aに、たとえば要素C、要素CおよびD、またはさらにそれ以上の要素など、1つまたは複数の追加の要素が存在する状況の両方を言及し得る。
【0018】
さらに、「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」という用語、ならびにこれらの文法上の変形は、1つまたは複数の要素または特徴に関連して使用され、そして要素または特徴が、単独で、または複数で提供され得ることを表現するように意図される場合は、概して、たとえば特徴または要素が初めて導入されるときに一度のみ使用されることが指摘される。特徴または要素が後に再度言及される際は、対応する「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」という用語は、概して、それ以上は使用されず、特徴または要素が単独で、または複数で提供され得るという可能性を排除することはない。
【0019】
さらに、以下において、「好ましくは」、「特に」、「たとえば」または類似の用語は、任意の特徴と併せて用いられ、代替の実施形態がそれによって限定されることはない。この点に関して、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、これらの特徴により、請求項、特に独立請求項の保護の範囲を限定することを意図しない。この点に関して、本発明は、当業者が認識するように、他の構成を用いても実行され得る。同様に、「本発明の一実施形態において」または「本発明の一例示的実施形態において」によって導入される特徴は、任意の特徴であると理解され、これは、代替の改良例、または独立請求項の保護の範囲を限定することはない。さらに、これらの導入表現により導入される特徴と、他の特徴との組合せのすべての可能性は、任意の特徴または非任意の特徴に関わらず、前述の導入表現により影響されないままであると意図される。
【0020】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの低細菌液を導管システムから取り出すための取出装置が提案される。「取出装置」は、原則として、液体を貯蔵容器または導管から取り出すことを可能にする任意の装置として理解される。
【0021】
本発明の文脈において、「低細菌液」は、概して、減細菌処理に曝された液体として理解される。低細菌液は、特に、100mlごとに細菌数100未満、特に100mlごとに細菌数50未満、さらには、100mlごとに細菌数10未満を有してもよい。特に、低細菌液は、水、特に、欧州薬局方に従う、たとえば欧州薬局方、第8版、第3号、5248-5257ページに従うWFI、HPWまたはAPの品質の水であり得る。しかし、他の液体、特に水を含まない液体が、原則として使用され得る。
【0022】
本発明の文脈において、「導管システム」は、1つまたは複数の導管および/または1つまたは複数の貯蔵装置を備える配置として理解され、導管システムを通して、低細菌液は運搬され得るか、または導管システム中に、低細菌液は貯蔵され得る。特に、導管システムは、導管または貯蔵装置内に位置する液体に細菌が入り込むことの、少なくとも大部分を防止するように構成され得る。
【0023】
取出装置は、少なくとも1つの取出接続部材を備える。本発明の文脈において、「取出接続部材」は、開放している、または開放され得るパイプの端部として理解される。特に、以下においてより詳細に説明するように、取出接続部材は、一方の端部にて、直接または間接的に導管システムに接続され、他方の端部にて、開放している、または開放され得る管部分を備え得る。管部分は、たとえば、導管システムから出て、取出接続部材を通る低細菌液の自由な流れが、バルブによってのみ、防止され、そして可能にされ得るように、少なくとも1つのバルブを介して、導管システムに接続され得る。
【0024】
取出装置は、少なくとも1つの連結ベンドをさらに備える。連結ベンドは、取出接続部材に、取り外し可能に接続される。取出接続部材の少なくとも1つの管端部は、連結ベンドの内部に突出する。取出接続部材内に突出する取出接続部材の管端部は、純粋蒸気、殺菌用蒸気または薬品製造用超純粋蒸気により、その内面、その外面およびその端面にて、連結ベンド内で殺菌され得る。
【0025】
本発明の文脈において、「連結ベンド」は、概して、取出接続部材の一部、本件においては、特に管端部を受容し、後者を外部から閉止し得る被覆部として理解される。連結ベンドは、特に、少なくとも1つの空洞を有し、空洞内に、そこで純粋蒸気により洗浄され、消毒されるために管端部が突出し得る。空洞は、特に、管端部の外面、端面および内面が蒸気に曝され、蒸気に自由にアクセス可能であるように、寸法決めされ得る。以下においてより詳細に説明するように、連結ベンドは、特に、管端部が管状連結ベンドに挿入され得るように、取出接続部材の管端部よりも大きい内径を有する、少なくとも部分的に管形状を有して構成され得る。連結ベンドの管は、直線状であってもよく、または好ましくは曲線状であってもよい。連結ベンドは、同様に、取出接続部材の管端部に押し当てられ得る端部を有するパイプ接続具を有し得る。しかし、原則として他の構成も可能である。
【0026】
「取り外し可能な接続」は、概して、可逆である接続として理解される。特に、それは、取出接続部材と連結ベンドとの間の圧力嵌め接続であり得る。この圧力嵌め接続は、たとえば少なくとも1つのねじ接続を含む。液体を取り出すために、連結ベンドは、バルブが開放されると即座に、低細菌液が取出接続部材から流出することができるように、たとえば取出接続部材から取り外され得る。他の場合では、低細菌液が取り出されない場合は、連結ベンドは、管端部が連結ベンドによって汚染から保護されるように、取出接続部材の管端部に嵌められ得る。
【0027】
連結ベンド中の取出接続部材の管端部が、その内面、その外面およびその端面にて、純粋蒸気で殺菌され得る配置は、取出接続部材自体を通して、および/または連結ベンドを通して管端部へと運搬される純粋蒸気が、内面、外面および端面へと、そこで殺菌するために自由に通過し得るように、管端部が、連結ベンド中で自由に受容される配置であると理解される。
【0028】
低細菌液が取り出されない場合は、全体的に一方で、連結ベンドによって取出接続部材の汚染を効率的に回避することが可能である。低細菌液の取り出しの前そして後でも、連結ベンドの管端部は、作業者が純粋蒸気に接触することなく、純粋蒸気を用いて殺菌され得る。この方法も、自動化され得る。
【0029】
取出接続部材の管端部は、特に、連結ベンドそれ自体が管状である場合、特に、連結ベンドの内壁により環状に包囲され得る。管端部は、このようにして、内壁と管端部との間に環状間隙が形成され、その環状間隙中を純粋蒸気が入り込み得るように、連結ベンドの内壁から離間して受容され得る。環状間隙は、特に、0.2mm~5mm、好ましくは0.5mm~3mm、特に好ましくは0.7mm~1mmの間隙厚さを有し得る。しかし、原則として他の寸法も可能である。
【0030】
上記のように、取出接続部材は、特に、管状、たとえば少なくとも部分的に、円形、楕円形または多角形の断面を有する筒状であってもよく、たとえば内径を、適切な場合は、同等の内径を有してもよい。内径は、特に3mm~40mm、特に10mm~20mmであり得る。しかし、原則として他の寸法も可能である。
【0031】
同様に、上記のように、連結ベンドもまた、特に、管状であり、内径を有し得る。連結ベンドの内径は、特に4mm~50mm、特に11mm~42mmであり得る。しかし、原則として他の寸法も可能である。特に、連結ベンドの内径は、少なくとも、取出接続部材の管端部が突出する領域において、取出接続部材よりも大きな内径を有し得る。
【0032】
純粋蒸気を用いての管端部の殺菌は、好ましくは、連結ベンド内で行われるため、作業者が連結ベンドを取出接続部材から取り外す際に負傷しないように、連結ベンドが、少なくとも部分的に断熱されることは有利である。したがって、連結ベンドは、少なくとも部分的に二重壁を有して構成され得る。しかし、二重壁構成の代替として、または追加として、他の断熱も考えられる。しかし、二重壁構成は、容易に実現することができ、特に洗浄が容易である。二重壁構成は、特に、空洞が連結ベンドの2つの壁の間に設けられ、その空洞は、好ましくは、細菌がその空洞に入り得ることながいように完全に閉鎖されるような構成であり得る。
【0033】
連結ベンドは、特に、少なくとも、取出接続部材の管端部が突出する領域において、二重壁構成を有し得る。連結ベンドは、取出接続部材の管端部が突出する領域全体において、またはこの領域の一部においてのみ、二重壁であり得る。
【0034】
二重壁構成は、特に、連結ベンドの外径よりも大きい内径を有し、連結ベンドに押し当てられる少なくとも1つの外側スリーブによって、生成され得る。連結ベンドは、したがって、全体的または部分的に二重管として構成され、断熱性の環状間隙が管の間に形成し得る。外側スリーブ、すなわち外管は、この場合、連結ベンド、特に内管に溶接され得る。
【0035】
取出接続部材の管端部は、特に、連結ベンドの内部に少なくとも10mm、好ましくは少なくとも20mm突出し得る。取出接続部材の管端部は、特に、連結ベンドの内部に少なくとも10mm~50mm突出し得る。
【0036】
取出接続部材は、特にL字形状であり得る。連結ベンドもまた、L字形状であり得る。取出接続部材のL字の一方の端部は、たとえば導管システムに直接または間接的に接続され、取出接続部材のL字の他方の端部は、連結ベンドに接続され得る。したがって、連結ベンドのL字の一方の端部は、取出接続部材に接続され得る。連結ベンドのL字のもう一方の端部は、たとえば流出部に直接または間接的に接続され得る。したがって、接続された状態の取出接続部材と連結ベンドとを有する取出装置は全体として、角のある、または丸みを帯びたU字を有するU字状構成を有し得る。このようにして、たとえば、取出装置は、U字の2つの端部を用いてハウジングまたは壁に固定され得る。
【0037】
取出接続部材の管端部の端面は、特に、管端部の管軸に対して傾斜し得る。この傾斜した管端部は、たとえば管端部の先端部に液体の滴が残らないように、低細菌液の滴下を促がし得る。特に、取出装置は、管端部の先端部が下方を向くように取り付けられ得る。管端部を受容する連結ベンドの開放端部は、それに応じて、上方を向き得る。
【0038】
連結ベンドは、特に、管部分として構成することができ、管部分の第1開口部は、取出接続部材の管端部を受容し、管部分を通って第2開口部から第1開口部へと純粋蒸気が通過して、そこで取出接続部材の管端部を純粋蒸気が殺菌し得るように、管部分の第2開口部は、純粋蒸気に曝され得る。管部分は、特に、角のある、または丸みを帯びたL字を有するL字形状に屈曲され得る。
【0039】
連結ベンドは、特に、少なくとも1つの圧力嵌めおよび/または形状嵌め接続により、取出接続部材に接続され得る。特に、連結ベンドは、少なくとも1つのねじ接続により、取出接続部材に、取り外し可能に接続され得る。たとえば、ねじ接続は、連結ベンドに固定される外ねじと取出接続部材上に配置されるユニオンナット、および、取出接続部材上に配置される外ねじと連結ベンド上に配置されるユニオンナットからなる群から選択される少なくとも1つの組合せを含み得る。ユニオンナットを担持する取出装置の組合せの一部は、たとえば、ユニオンナットが、他のそれぞれの部分の外ねじに螺合される際に、係合するカラーまたはフランジを有し得る。
【0040】
取出装置は、特に全体的または部分的に、特に管端部にて、鋼から、特にステンレス鋼から製造され得る。鋼、および特にステンレス鋼は、洗浄および消毒することが特に容易であり、それらは、汚染の発生の大部分を防止する。
【0041】
取出装置は、特に全体的または部分的に、特に管端部にて、汚染のための攻撃の可能な限り最小の表面を提供するように、非常に小さな表面粗さを有して構成され得る。少なくとも取出接続部材の管端部が、0.1~2.0マイクロメートル、特に0.2~0.6マイクロメートル、および特に好ましくは0.4マイクロメートル以下の表面粗さRMSを有する場合、有利となる。
【0042】
さらに、取出装置は、制御ユニットへの接続のため、および連結ベンドが取出接続部材に接続されている状態を検出するための、連結ベンドに接続される少なくとも1つの電気接点を有し得る。たとえば、電気接点は、連結ベンドに強固に接続され得るが、制御ユニットに対する取出装置の配置は、連結ベンドが取出接続部材に接続される際の状態においてのみ、電気接点が制御ユニットに接続されるような配置であり得る。このようにして、たとえば、制御ユニットは、取出接続部材が管端部に嵌っていない場合に、純粋蒸気が取出装置内へと運搬されることを防止し得る。したがって、作業者が、純粋蒸気により負傷することを防止することが可能である。
【0043】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの低細菌液を利用可能にするための導管システムが提案される。導管システムは、低細菌液のための少なくとも1つのパイプシステムを備える。「パイプシステム」は、ここでは、概して、1つまたは複数のパイプおよび/または1つまたは複数の貯蔵装置を有する配置として理解され、1つまたは複数のパイプおよび/または1つまたは複数の貯蔵装置を通して、1つまたは複数の液体が運搬され得る、および/または1つまたは複数のパイプおよび/または1つまたは複数の貯蔵装置に、1つまたは複数の液体が貯蔵され得る。導管システムは、本発明による、たとえば、上記の構成のうちの1つまたは複数による、および/または、以下において詳細に説明する構成のうちの1つまたは複数による、少なくとも1つの取出装置をさらに備える。取出装置は、特に、パイプシステムと取出装置との間に流体接続が存在するように、および/または取出装置が、パイプシステムに一体化されるように、パイプシステムに接続される。導管システムは、低細菌液が1つまたは複数の取出点にてパイプシステムから取り出され得るように、1つまたは複数の取出装置を備え得る。
【0044】
導管システムは、低細菌液を受容するための少なくとも1つの容器をさらに有し得る。容器は、特に、パイプシステムに接続され得る。容器は、たとえば、低細菌液がこの容器を通って連続的に送り出されるように構成され得る。たとえば、少なくとも1つの供給部、たとえば少なくとも1つのスプレーノズルが、容器の上端部に配置され、低細菌液を容器内へと運搬し、容器から取り出される低細菌液が通過する流出部が、容器の下端部に配置され得る。たとえば、低細菌液は、容器を含むパイプシステムを通る循環内で送り出され得る。特に、パイプシステムは、環状構成であってもよく、低細菌液をパイプシステムおよび容器を通る循環内で送り出すように設計される少なくとも1つのポンプを有してもよい。
【0045】
上記のように、少なくとも1つの取出装置は、たとえば取出装置がパイプシステムに直接一体化されることによって、または、パイプシステムへの流体接続によって、パイプシステムに流体接続され得る。パイプシステムは、特に、少なくとも1つの分岐部を有し得る。分岐部は、取出装置に接続され得る。分岐部は、たとえば、一方の端部にて、たとえばTピースまたは多方向バルブを介して、直接または間接的にパイプシステムに接続され、もう一方の端部にて、直接または間接的に取出装置に接続される少なくとも1つの管部分を備え得る。特に、少なくとも1つのバルブは、分岐部と取出装置との間に設けられ得る。これは、二方向バルブもしくは多方向バルブであり得るか、またはたとえば、単純に遮断バルブであり得る。
【0046】
上記のように、導管システムは、パイプシステムの他に、流体または非流体であり得る1つまたは複数の追加の構成要素を備え得る。特に、1つまたは複数の機械部品または電気部品が含まれ得る。したがって、導管システムは、また、特に、1つまたは複数の制御および/または調整タスクを引き受け得る少なくとも1つの制御ユニットを有し得る。特に、制御ユニットは、少なくとも1つの電気接点を介して、連結ベンドに接続可能であり、連結ベンドが取出接続部材に接続されているかどうかを検出するように設計され得る。したがって、上記のように、制御ユニットは、また、特に、連結ベンドが取出接続部材に接続される場合にのみ純粋蒸気を利用可能にし、それ以外の場合は、純粋蒸気が利用可能にされることを防止するように設計され得る。たとえば、制御ユニットは、純粋蒸気が取出接続部材の管端部に作用することを可能にし得る1つまたは複数のバルブを作動させ得る。したがって、上記のように、制御ユニットによって、たとえば、連結ベンドが取出接続部材から取り外される際に、作業者が純粋蒸気により負傷することを防止することが可能である。
【0047】
したがって、純粋蒸気のための少なくとも1つの供給部は、供給部から取出接続部材を通って連結ベンド内へと純粋蒸気が運搬され、そこで取出接続部材の管端部を殺菌するために、たとえば、分岐部と取出装置との間に配置され得る。純粋蒸気のための供給部は、特に、少なくとも1つのバルブを用いて閉鎖可能であり得る。しかし、代替的または追加的に、純粋蒸気のための供給部は、少なくとも1つの追加の場所にて配置され得る。たとえば、純粋蒸気のための少なくとも1つの供給部が、流出部と連結ベンドとの間に設けられ得る。
【0048】
連結ベンドは、特に、取出接続部材から離れる方向の端部にて、少なくとも1つの流出部に接続され得る。少なくとも1つのバルブが、特に連結ベンドと流出部との間に設けられ得る。上記のように、純粋蒸気のための少なくとも1つの供給部が、さらに、連結ベンドと流出部との間に配置され得る。さらに、少なくとも1つの復水排出部が、連結ベンドと流出部との間、特に少なくとも1つのバルブと流出部との間に設けられ得る。
【0049】
本発明のさらなる態様にて、少なくとも1つの低細菌液を導管システムから取り出す方法が提案される。方法は、本発明による導管システムを使用し、したがって、可能な構成に関して、上記の説明、および以下において説明する例示的な実施形態を参照し得る。方法は、以下の、好ましくは示される順番で実行されるステップを含む。しかし、原則として別の順番も可能であり、方法のステップのうちの1つまたは複数が、時間的に重複して、もしくは同時に実行される、または1回もしくは複数回反復されて実行される方法も可能である。方法は、言及されない追加のステップを含み得る。
【0050】
方法は、以下の、
a)導管システムに関する前述の請求項のいずれか1つに記載の導管システムを利用可能にするステップと、
b)純粋蒸気を連結ベンド内に導入し、取出接続部材の管端部を、管端部の周りを純粋蒸気で洗浄することによって、連結ベンドの内部で殺菌するステップと、
c)連結ベンドを取出接続部材から解放して、取り外すステップと、
d)低細菌液を取出接続部材から取り出すステップと
を含む。
【0051】
本発明の文脈において、「純粋蒸気」は、原則として、任意の望ましい蒸気、特に水蒸気と理解される。蒸気は、特に、定義された品質を有し得る。たとえば、純粋蒸気は、たとえば10マイクロメートル以下または4マイクロメートル以下のフィルタ孔径でろ過された蒸気であり得る。代替的に、または追加的に、純粋蒸気は、低細菌液自体の蒸気、すなわち気体状態の低細菌液、たとえば、蒸気の形態のWFI、HPWまたはAP品質の水であり得る。純粋蒸気は、特に、以下の種類の蒸気、たとえば米国薬局方において定義される純粋蒸気、たとえばDIN58950part7において定義される殺菌用蒸気、たとえばDIN58950part7において定義される薬品製造用超純粋蒸気のうちの1つまたは複数であり得る。蒸気は、特に、元の液体の沸騰温度よりも高い温度を有し得る。それは、特に、蒸気、たとえば、100℃よりも高い温度、特に121℃以上の温度を有する水蒸気であり得る。たとえば、純粋蒸気は、121℃~約140℃の温度を有し得る。
【0052】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの低細菌液を導管システムから取り出すための、本発明による取出装置の使用が提案される。低細菌液は、特に、注射用水であり得るか、または注射用水を含み得る。
【0053】
提案する装置および提案する方法は、既存の装置および方法に対し、多くの利点を有する。特に、上に概説された課題、つまり取出装置の管端部が低細菌液の取り出し中に汚染の危険性に曝されることは、単純であるが確実な方法で解決され得る。管端部の、たとえば燃焼装置を用いてのユーザによる、手動による加熱は回避され得る。特に、純粋蒸気の使用により、前述の純粋蒸気による管端部の全体の殺菌と組み合わせて、取り出し前、または取り出し後にも、管端部にて、効果的に殺菌することが可能であり、そしてこの処理は自動化することも可能である。したがって、方法の全体が、たとえば制御ユニットにより制御され得る。このようにして、導管システム全体の、特に超純水のための導管システム全体の微生物汚染を生じさせ得る、人による動作、および特に不注意の影響を、効果的に低減させることが可能である。同時に、連結ベンドの使用により、作業者が、純粋蒸気により危険にさらされることを回避することが可能である。純粋蒸気の代替として、または追加として、他の殺菌媒体、たとえば他の殺菌用ガスを使用することが可能であることに留意する。これらは、連結ベンドが取り外される前に、たとえば連結ベンドを通して吸引され得る。
【0054】
要約すると、本発明の文脈において、以下の実施形態が特に好ましい。
【0055】
実施形態1:少なくとも1つの低細菌液を導管システムから取り出すための取出装置であって、取出装置が、少なくとも1つの取出接続部材を備え、少なくとも1つの連結ベンドをさらに備え、連結ベンドは、取出接続部材に、取り外し可能に接続され、取出接続部材の少なくとも1つの管端部は、連結ベンドの内部に突出し、純粋蒸気を用いて、連結ベンド内で、その内面、その外面およびその端面上で殺菌可能である、取出装置。
【0056】
実施形態2:取出接続部材の管端部は、連結ベンドの内壁により環状に包囲され、管端部は、内壁と管端部との間に環状間隙が形成され、環状間隙内に純粋蒸気が入り込み得るように、内壁から離間される、実施形態1記載の取出装置。
【0057】
実施形態3:環状間隙は、0.2mm~5mm、好ましくは0.5mm~3mm、特に好ましくは0.7mm~1mmの間隙厚さを有する、実施形態2記載の取出装置。
【0058】
実施形態4:取出接続部材は、管状構成であり、内径を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の取出装置。
【0059】
実施形態5:内径は、3mm~40mm、特に10mm~20mmである、実施形態4記載の取出装置。
【0060】
実施形態6:連結ベンドは、管状構成であり、内径を有する、実施形態4または5記載の取出装置。
【0061】
実施形態7:連結ベンドの内径は、4mm~50mm、特に11mm~42mmである、実施形態6記載の取出装置。
【0062】
実施形態8:連結ベンドの内径は、少なくとも、取出接続部材の管端部が突出する領域において、取出接続部材よりも大きい内径を有する、実施形態6または7記載の取出装置。
【0063】
実施形態9:連結ベンドは、少なくとも部分的に二重壁を有して構成される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の取出装置。
【0064】
実施形態10:連結ベンドは、少なくとも、取出接続部材の管端部が突出する領域において、二重壁構成を有する、実施形態9記載の取出装置。
【0065】
実施形態11:二重壁構成は、連結ベンドの外径よりも大きい内径を有し、連結ベンドに押し当てられる少なくとも1つの外側スリーブによって生成される、実施形態9または10記載の取出装置。
【0066】
実施形態12:外側スリーブは、連結ベンドに溶接される、実施形態11記載の取出装置。
【0067】
実施形態13:取出接続部材の管端部は、連結ベンドの内部に、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも20mm突出する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の取出装置。
【0068】
実施形態14:取出接続部材の管端部は、連結ベンドの内部に、少なくとも10mm~50mm突出する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の取出装置。
【0069】
実施形態15:取出接続部材は、L字形状であり、連結ベンドは、接続された状態の取出接続部材と連結ベンドとを備える取出装置が、全体としてU字状構成を有するように、L字形状である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の取出装置。
【0070】
実施形態16:取出接続部材の管端部の端面は、管端部の管軸に対して傾斜する、実施形態1~15のいずれか1つに記載の取出装置。
【0071】
実施形態17:連結ベンドは、管部分として構成され、管部分の第1開口部は、取出接続部材の管端部を受容し、管部分の第2開口部は、管部分を通って第2開口部から第1開口部へと純粋蒸気が通過し、そこで取出接続部材の管端部を純粋蒸気が殺菌し得るように、純粋蒸気に曝され得る、実施形態1~16のいずれか1つに記載の取出装置。
【0072】
実施形態18:管部分は、L字形状に屈曲される、実施形態17記載の取出装置。
【0073】
実施形態19:連結ベンドは、ねじ接続により、取出接続部材に取り外し可能に接続される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の取出装置。
【0074】
実施形態20:ねじ接続は、連結ベンドに固定される外ねじと取出接続部材に配置されるユニオンナット、および、取出接続部材上に配置される外ねじと連結ベンド上に配置されるユニオンナットからなる群から選択される少なくとも1つの組合せを含む、実施形態19記載の取出装置。
【0075】
実施形態21:取出装置は、全体的、または部分的に鋼、特にステンレス鋼から製造される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の取出装置。
【0076】
実施形態22:取出接続部材の管端部は、0.1~2.0マイクロメートル、特に0.2~0.6マイクロメートル、特に好ましくは0.4マイクロメートルの表面粗さRMSを有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の取出装置。
【0077】
実施形態23:取出装置は、制御ユニットへの接続のため、および連結ベンドが取出接続部材に接続されている状態を検出するための、連結ベンドに接続される電気接点をさらに有する、実施形態1~22のいずれか1つに記載の取出装置。
【0078】
実施形態24:少なくとも1つの低細菌液を利用可能にするための導管システムであって、導管システムが、低細菌液のための少なくとも1つのパイプシステムを備え、少なくとも1つの、実施形態1~23のいずれか1つに記載の取出装置をさらに備え、取出装置は、パイプシステムに接続される、導管システム。
【0079】
実施形態25:導管システムは、低細菌液を受容するための少なくとも1つの容器をさらに有し、容器は、パイプシステムに接続される、実施形態24記載の導管システム。
【0080】
実施形態26:パイプシステムは、環状構成であり、少なくとも1つのポンプを有し、ポンプは、パイプシステムおよび容器を通る循環内で低細菌液を送り出すように設計される、実施形態25記載の導管システム。
【0081】
実施形態27:パイプシステムは、少なくとも1つの分岐部を有し、分岐部は、取出装置に接続される、実施形態24~26のいずれか1つに記載の導管システム。
【0082】
実施形態28:少なくとも1つのバルブが、分岐部と取出装置との間に設けられる、実施形態27記載の導管システム。
【0083】
実施形態29:純粋蒸気のための少なくとも1つの供給部は、連結ベンド内で取出接続部材の管端部を殺菌するために、供給部から、取出接続部材を通り、連結ベンド内へと純粋蒸気が運搬可能であるように、分岐部と取出装置との間に配置される、実施形態27または28記載の導管システム。
【0084】
実施形態30:純粋蒸気のための供給部は、少なくとも1つのバルブを用いて閉鎖可能である、実施形態29記載の導管システム。
【0085】
実施形態31:導管システムは、少なくとも1つの制御ユニットをさらに有し、制御ユニットは、少なくとも1つの電気接点を介して連結ベンドに接続可能であり、連結ベンドが取出接続部材に接続されているかどうかを検出するように設計され、制御ユニットは、連結ベンドが取出接続部材に接続されるときにのみ、純粋蒸気を利用可能にし、それ以外の場合は、純粋蒸気が利用可能とされることを防止するようにさらに設計される、実施形態24~30のいずれか1つに記載の導管システム。
【0086】
実施形態32:連結ベンドは、取出接続部材から離れる方向の端部にて、少なくとも1つの流出部に接続される、実施形態24~31のいずれか1つに記載の導管システム。
【0087】
実施形態33:少なくとも1つのバルブが、連結ベンドと流出部との間に設けられる、実施形態32記載の導管システム。
【0088】
実施形態34:少なくとも1つの復水排出部が、連結ベンドと流出部との間、特に少なくとも1つのバルブと流出部との間に設けられる、実施形態32または33記載の導管システム。
【0089】
実施形態35:少なくとも1つの低細菌液を、導管システムから、特に超純水のための導管システムから取り出すための方法であって、
a)実施形態24~34のいずれか1つに記載の導管システムを利用可能にするステップと、
b)純粋蒸気を連結ベンド内に導入し、取出接続部材の管端部を、管端部の周りを純粋蒸気で洗浄することによって、連結ベンドの内部にて殺菌するステップと、
c)連結ベンドを取出接続部材から解放して、取り外すステップと、
d)低細菌液を取出接続部材から取り出すステップと
を含む方法。
【0090】
実施形態36:純粋蒸気は、121℃~140℃の温度を有する、実施形態35記載の方法。
【0091】
実施形態37:少なくとも1つの低細菌液を、導管システムから、特に超純水のための導管システムから取り出すための、実施形態1~23のいずれか1つに記載の取出装置の使用。
【0092】
実施形態38:低細菌液は、注射目的の水を含む、実施形態37記載の使用。
【0093】
本発明のさらなる詳細および任意の特徴を、以下の、好ましい例示的な実施形態の説明により、特に従属請求項と併せて明らかにする。この場合、それぞれの特徴は、それら自体で、または互いに組み合された複数として実現され得る。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図面において概略的に描写される。この場合、個々の図面中の同一の参照符号は、同一もしくは機能的に同一の要素、またはそれらの機能に関して互いに対応する要素を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】取出装置を備える導管システムの例示的な実施形態の概略図を示す。
【
図4】壁に取り付けられた、
図2による取出装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1~4は、少なくとも1つの低細菌液を利用可能にするための導管システム110、および少なくとも1つの低細菌液を導管システム110から取り出すための取出装置112の例を示している。低細菌液は、特に、注射用水、すなわち注射目的の水であってもよい。したがって、低細菌液に言及する際に、WFIという略語が、概して、以下において用いられる。
【0096】
図1は、1つの可能な構成における導管システム110の図である。そして、
図2~4は、取出装置112の詳細を、断面図(
図2)で、連結ベンドが取り外された状態の斜視図(
図3)で、および壁114に取り付けられた場合の斜視図(
図4)で示す。以下において、図を併せて説明する。
【0097】
図1による視点における導管システム110は、低細菌液を受容するための、WFIとの関連により単にWFI容器とも呼称される容器116を備える。この容器116は、たとえば調整装置から、供給ライン(詳細には示されない)を介して低細菌液で充填される。
【0098】
容器116は、パイプシステム118に組み込まれる。低細菌液は、このパイプシステム内、特に循環内に送り込まれ得るが、流れ方向は、
図1にて、参照符号120で記号的に示されている。循環は、特に、ポンプ122により維持することができ、ポンプ122は、低細菌液を、取出導管124を介して容器116から取り出し、この低細菌液を、パイプシステム118を通るように送り出し、そして、たとえばスプレーノズルで広がる供給導管126を介して、容器116へと戻す。
【0099】
低細菌液をパイプシステム118から取り出すために、導管システム110は、特に、たとえばTピースとして構成され得る、少なくとも1つの分岐部128を有し得る。この分岐部128は、取出装置112に直接または間接的に接続される。少なくとも1つのバルブ130、たとえばブロックバルブは、取出装置112と分岐部128との間に配置され得る。この少なくとも1つのバルブは、たとえば、分岐部128を閉鎖するための第1バルブ132を有し得る。さらに、少なくとも1つの供給部134は、分岐部128と取出装置112との間に設けられ、取出装置112と分岐部128との間の接続に開き得る。この供給部134は、第2バルブ136により閉鎖可能であり得る。この第2バルブ136は、バルブ130、たとえばブロックバルブを形成するために、第1バルブ132と組み合わされ得るが、第2バルブ136は、第1バルブ132から分離して構成され得る。
【0100】
一方の端部が分岐部128に接続され、以下においてより詳細に説明する取出装置112は、パイプシステム118から離れる方向に面し、ユーザ側とも指定され得る壁114の側方138に設けられる。その反対側の端部にて、取出装置112は、たとえば、ここでもバルブ140を介して流出部142に接続され得る。さらに、少なくとも1つの復水排出部144が、バルブ140と流出部142との間に設けられ得る。
【0101】
図2~4では、取出装置112の可能である詳細を断面図で示す。取出装置112は、たとえば、
図4に示すように垂直方向に取り付けられ、全体的に略U字状である。
【0102】
取出装置112は、取出接続部材146を有し、取出接続部材146は、その上端部148にてバルブ132および分岐部128に接続され、それによって低細菌液に曝され得る。その下端部150にて、取出接続部材146は、管端部154が取り付けられるフランジ152またはカラーを有する。この管端部154は、たとえば、
図2および3に見られるように、液滴の流出を容易にするために面取りされ得る。
【0103】
取出装置112は、連結ベンド156をさらに有する。この連結ベンド156は、たとえば、管状であってもよく、その中に管端部154が突出する空洞158を提供する。連結ベンド156は、取出接続部材146と同様に、たとえばL字形状であってもよく、その下端部160にて、たとえば、ここでもフランジ162を介して流出部142に連結され得る。その上端部164にて、連結ベンド156は、たとえば外ねじ168を備える挿入部166を有し得る。この外ねじ168は、たとえば、
図3に見られるユニオンナット170により、フランジ152に接続され得る。
【0104】
管端部154は、内部としても指定される空洞158内に突出する。内部158は、連結ベンド156の内壁172と管端部154の外面174との間に環状間隙176が形成されるように寸法決めされる。それに応じて、管端部154は、管端部154の端面178、内面180および外面174が、純粋蒸気に自由にアクセス可能となり、純粋蒸気をそれらの周りで循環させ得るように、内部158で自由に配置される。
【0105】
したがって、取り出しの準備をするために、たとえば、最初に、純粋蒸気が、供給部134を介して、取出装置112内へと通過することができるように、第1バルブ132が閉鎖され、第2バルブ136が開放され得る。連結ベンド156の内部158において、この純粋蒸気は、管端部154の周りを循環し、外面174、端面178および内面180を殺菌する。そして、純粋蒸気は、バルブ140および復水排出部144を介して外へと導かれ得る。
【0106】
殺菌が行われた後、第2バルブ136も閉鎖され、そして純粋蒸気の供給が中断され得る。ユニオンナット170を解放することにより、連結ベンド156が取出接続部材146から取り外され、その結果、管端部154が曝露されている
図3に示される状態となる。そして、バルブ132が開放され、低細菌液が、取出接続部材146から取り出され得る。
【0107】
図2にも示すように、連結ベンド156は、特に、断熱設計である。したがって、取出接続部材は、特に、
図2にて参照符号182で記号的に示されるように、二重壁構成を有し得る。
【0108】
図4は、壁114に取り付けられた状態の取出装置112を、斜視図で示している。ここでは、連結ベンド156のフランジ162は、たとえば、ユニオンナット184を介して固定され得ることがわかる。また、流れ出す低細菌液を収集するために、流し台186がたとえば、取出装置112の下方に設けられ得ることがわかる。また、取出装置112は、少なくとも1つの電気接点188をさらに有し得ることがわかり、この電気接点は、たとえば、剛性の構成であり得るし、たとえば、
図4にて記号的に示される制御ユニット190に接続可能であり得る。この制御ユニットは、たとえばバルブ130に、また、任意にバルブ140にも接続されて、取り出しを作動させ得る。特に、蒸気の適用は、制御ユニット190により制御可能であり得る。たとえば、制御ユニット190は、電気接点188が連結されているかどうかを検出することができ、これは、連結ベンド156が、
図4に示す取付けられた状態に位置する場合にのみ生じる。この状態においてのみ、純粋蒸気が連結ベンド156内に導入され得る。このようにして、制御ユニット190は、たとえば、連結ベンド156が取出接続部材146に嵌っていない場合に、作業者が純粋蒸気により負傷することを防止し得る。
【0109】
取出装置112は、特に、全体的または部分的にステンレス鋼から製造され得る。ここでは、細菌がステンレス鋼の表面に付着することが難しくなるように、表面粗さが特に低い場合、特に好ましい。たとえば、ステンレス鋼は、0.8マイクロメートル以下の表面粗さRAまたは0.8マイクロメートル未満の表面粗さRAを有し得る。
【符号の説明】
【0110】
110 導管システム
112 取出装置
114 壁
116 容器
118 パイプシステム
120 流れ方向
122 ポンプ
124 取出導管
126 供給導管
128 分岐部
130 バルブ
132 第1バルブ
134 純粋蒸気のための供給部
136 第2バルブ
138 ユーザ側
140 バルブ
142 流出部
144 復水排出部
146 取出接続部材
148 上端部
150 下端部
152 フランジ
154 管端部
156 連結ベンド
158 空洞、内部
160 下端部
162 フランジ
164 上端部
166 挿入部
168 外ねじ
170 ユニオンナット
172 内壁
174 外面
176 環状間隙
178 端面
180 内面
182 二重壁構成
184 ユニオンナット
186 流し台
188 電気接点
190 制御ユニット