(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】一体化された手術台のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20220509BHJP
A61G 13/06 20060101ALI20220509BHJP
A61G 13/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A61B34/30
A61G13/06
A61G13/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020020423
(22)【出願日】2020-02-10
(62)【分割の表示】P 2017512805の分割
【原出願日】2015-10-27
【審査請求日】2020-03-06
(32)【優先日】2014-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】イトコウィッツ,ブランドン ディー
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス,ポール ジー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンフィル,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】リンチ,ゴーラン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】オグレディ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】スワラップ,ニティシュ
(72)【発明者】
【氏名】ズィアエイ,カム
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/048957(WO,A1)
【文献】特開2012-005557(JP,A)
【文献】特開2000-300579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別個のテーブルとの一体的な動作をサポートする装置であって、当該装置は、
1つ又は複数の関節及び該1つ又は複数の関節より先端側の先端部分を有する関節式アームと、
前記1つ又は複数の関節に結合され、通信接続を介して前記テーブルに通信可能に結合された制御ユニットと、を有しており、
前記制御ユニットは、
前記テーブルからテーブル移動要求を受信
すること、
該テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の動
きを許可することにより、前記1つ又は複数の関節の第1の関節が可動域の制限に
なるかどうかを判定
することであって、該判定には、前記テーブル移動要求に従った前記テーブルの前記動きを投影し、該投影されたテーブルの動きによって前記第1の関節が前記可動域の制限に向けて又はこれから遠ざかるように動かされるかどうかを決定することが含まれる、判定すること、、
前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きを許可
することにより、前記第1の関節が前記可動域の制限にならないという判定に基づいて、前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きを許可
すること、
前記テーブル移動要
求に従って前記テーブルが動くときに、前記テーブルの動きを当該装置に関連する座標フレームにマッピングすることにより、前記テーブルの
前記動きを追跡
すること、
及び
前記テーブルの前記追跡された動きに基づいて、前記1つ又は複数の関節を使用して、前記テーブルに対する前記先端部分の位置、向き、又は前記位置と前記向きとの両方を維持する
こと、を行うように構成される、
装置。
【請求項2】
前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動きを許可するために、前記制御ユニットは、前記1つ又は複数の関節のいずれも対応する可動域の制限にないという判定に応答して、前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きを許可するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記テーブルが前記テーブル移動要
求に従って動いている間に、前記位置、前記向き、又は前記位置及び前記向きを維持する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の関節が前記可動域の制限にあると判定された場合に、前記制御ユニットは、前記第1の関節がもはや前記可動域の制限にない状態になるまで、テーブル移動要求のさらなる許可をさらに禁止する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の関節が前記可動域の制限にあると判定された場合に、前記制御ユニットは、前記テーブルに命令して、以前に実行された1つ又は複数のテーブル移動を逆転させるようにさらに構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の関節が前記可動域の制限にあると判定された場合に、前記制御ユニットは、許可されるテーブル移動要求のタイプを制限するようにさらに構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、許可された以前のテーブル移動要求の記録に基づいて、許可される前記テーブル移動要求のタイプを制限するようにさらに構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
許可される前記テーブル移動要求のタイプを制限するために、前記制御ユニットは、前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きにより、前記第1の関節が前記可動域の制限に向けた又はこの制限を超える動きになる
という判定に基づいて、前記テーブル移動要求を禁止するようにさらに構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記制御ユニットは、
オペレータから動作コマンドを受信し、
前記テーブルに対する前記先端部分の前記位置、向き、又は前記位置と前記向きとの両方を維持するために使用される前記1つ又は複数の関節の動きに前記動作コマンドを組み合わせるようにさらに構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
複数の機械可読命令を含む非一時的な機械可読媒体であって、前記命令が、別個のテーブルとの一体的な動作をサポートする装置に関連付けられた1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、該1つ又は複数のプロセッサに、
通信接続を介して前記装置に通信可能に結合された前記テーブルからテーブル移動要求を受信すること、
前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きを許可することにより、前記装置の1つ又は複数の関節の第1の関節が可動域の制限に
なるかどうかを判定すること
であって、該判定には、前記テーブル移動要求に従った前記テーブルの動きを投影し、該投影されたテーブルの動きによって前記第1の関節が前記可動域の制限に向けて又はこれから遠ざかるように動かされるかどうかを決定することが含まれる、判定すること、
前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きを許可
することにより、前記第1の関節が前記可動域の制限にならないという判定に基づいて
、前記テーブル移動要求
に従った前記テーブルの前記動きを許可すること、
前記テーブル移動要
求に従って前記テーブルが動くときに、前記テーブルの
前記動きを前記装置に関連する座標フレームにマッピングすることにより、前記テーブルの動きを追跡すること、及び
前記テーブルの前記追跡された動きに基づいて、前記1つ又は複数の関節を使用して、前記テーブルに対する前記装置の先端部分の位置、向き、又は前記位置と前記向きとの両方を維持することであって、前記先端部分は、前記1つ又は複数の関節より先端側にある、維持すること、を含む段階を実行させるように適合される、
非一時的な機械可読媒体。
【請求項11】
前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きを許可することは、前記1つ又は複数の関節のいずれも対応する可動域の制限にならないという判定に応答して、前記テーブル移動要
求に従っ
た前記テーブル
の前記動
きを許可することを含む、請求項10に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項12】
前記位置、前記向き、又は前記位置及び前記向きを維持することは、前記テーブルが前記テーブル移動要
求に従って動いている間に実行される、請求項10又は11に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項13】
前記段階は、前記第1の関節がもはや可動域の制限にない状態になるまで、テーブル移動要求のさらなる許可を禁止することをさらに含む、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項14】
前記第1の関節が前記可動域の制限にあると判定された場合に、前記段階は、
前記テーブルに命令して、以前に実行された1つ又は複数のテーブル移動を逆転させること、又は
許可された以前のテーブル移動要求の記録に基づいて、許可されるテーブル移動要求のタイプを制限すること、又は
テーブル移動要求を実行することにより、第1の関節が
前記可動域の制限に向けた又はこの制限を超える動きになる場合に、前記テーブル移動要求を禁止すること、をさらに含む、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項15】
前記段階は、
オペレータから動作コマンドを受信すること、及び
前記テーブルに対する前記先端部分の前記位置、前記向き、又は前記位置と前記向きとの両方を維持するために使用される前記1つ又は複数の関節の動きに前記動作コマンドを組み合わせること、をさらに含む、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の非一時的な機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本開示は、2014年10月27日に出願された、”System and Method for Integrated Operating Table”という標題の米国仮特許出願第62/069,245号、及び2015年3月17日に出願された、”System and Method for Integrated Surgical Table”という標題の米国仮特許出願第62/134,207号について優先権を主張するものであり、これら両文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、関節式アームを有する装置の動作に関し、より具体的には、関節式アームを有する装置と一体化された手術台との動作に関する。
【背景技術】
【0003】
益々多くの装置が、自律的な及び半自律的な電子装置に置き換えられている。これは、自律的な及び半自律的な電子装置の大型アレイが、手術室、介入処置室、集中治療室、救急処置室等で見受けられるような、今日の病院に特に当てはまる。例えば、ガラス体温計や水銀体温計が、電子体温計に置き換えられ、点滴ラインには、現在、電子監視装置や流れ調整器が含まれ、従来のハンドヘルド式手術用器具は、コンピュータ支援医療装置に置き換えられている。益々多くの自律的な及び半自律的な装置が使用されるにつれて、2つ以上の装置が協働して共通の目標を達成する機会が拡がる。
【0004】
患者の内部解剖学的構造へのアクセス又はこの内部解剖学的構造の視覚化を改善又は最適化するために、外科医又は手術室のスタッフは、大抵の場合、手術用マニピュレータアセンブリとして使用されるコンピュータ支援装置のマニピュレータアームに対して、手術台又は処置台上の患者を移動させることを望む。例えば、外科医は、外科的処置中に臓器の重力補助後退(retraction)を行うことを望む場合がある。手術台を傾斜させると患者の臓器が移動するので、安全のため、手術台を動かす前に手術用器具を患者から取り外す。次に、多くの従来の遠隔操作手術システムでは、このような後退を行うために、切開部位及び/又は身体オリフィス等の身体開口部を通って患者の体内に挿入されたカニューレ及び器具からマニピュレータアームをドッキング解除しなければならず、それによって身体開口部が安全に移動することができ、次に標的臓器の後退に適すると推定される新しい位置に手術台を移動させ、次にマニピュレータを患者に再ドッキングさせる必要がある。この方法は時間がかかり、面倒となり得る。さらに、このプロセスは、一般に、安全性を高めるために手術台の移動前に内視鏡を患者から取り外すので、何回かの繰返しを伴い、それによって、手術用作業スペースの視覚化が失われ、且つ新しい位置が典型的に経験に基づいた推測となるため、後退を適切に行うのに正確又は十分である又はそうではない可能性がある。繰り返される反復動作を避けるために、医師は、大抵の場合、「過剰補正」を行い、所望の重力補助後退が起こるのを確実にするために必要以上に急激な位置及び向きを選択する。この過剰補正は、患者の安全性の問題につながる可能性がある。その理由は、患者の頭部を下向きにした姿勢等の特定の向きが、特に大部分の患者はそのような姿勢で呼吸が困難となるので殆ど耐えられないからである。加えて、器具が患者から取り外され且つマニピュレータアームがカニューレから取り外されるので、従来の腹腔鏡処置で行われ得るような後退を補助するために、医師が器具を使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、まず、マニピュレータ及び器具アセンブリを含むコンピュータ支援装置を患者から取り外すことなく、手術台内の動きを可能にするシステム及び方法を有することは、有益となるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
有利には、本発明によるシステム及び方法は、まず、マニピュレータ制御式手術用器具を患者から取り外し、且つ患者の体内に挿入されたままのカニューレからマニピュレータをドッキング解除することなく、手術用器具マニピュレータアームに対して(患者と共に)手術台を移動させることができる。一態様では、マニピュレータアームを有するコンピュータ支援医療装置と手術台との間で、双方向通信が最初に確立される。この通信が確立された後に、手術台の動きの動作制御が、まず、コンピュータ支援装置からの許可及び/又は承認を受け取ることなく、手術台の物理的な動きが許可されないようにコンピュータ支援装置による制御を受ける。
【0007】
一態様では、患者を移動させる場合に、手術室のスタッフのうちの1人(例えば、麻酔医)が、(例えば、手術台命令ユニット上のボタンを押すことによって)移動を開始させる。所望の動き(例えば、患者の頭を上下させるためにトレンデレンブルグ姿勢を調整する、患者を左に傾ける又は患者を右に傾ける、及び/又はテーブル表面を上下させる)の所望のコマンドは、通信リンクを介してコンピュータ支援装置に中継される。次に、コンピュータ支援装置のコントローラは、一体化されたシステムの現在の条件又は状態(例えば、物理的、電気的、及び/又はソフトウェア的な条件)に基づいて、所望の動きが許容可能であるかどうかを判定する。手術台移動要求は、手術台への返信メッセージによって承認又は拒否される。手術台移動要求が承認されると、以下に説明するように、命令された方向に増分的な態様(例えば、距離、角度、又は時間の増分)で手術台を移動させることができる。さらに、いくつかの態様では、テーブルの移動速度は、外科医が内視鏡等の撮像装置を介して組織運動を確認して、重力による有効な組織運動を見ることができるように十分に速く、且つ手術台又はコンピュータ支援装置の近くの患者又は従事者にとって明らかに危険でないように十分遅く制御される。一態様では、動作中の手術台の動きを、毎秒3°未満(例えば、毎秒約1.5°)に制御することが望ましい。この速度は、手術台を効率的な方法で再位置付けするのに適した動きを提供するが、制御システムからの断続的な許可により、コンピュータ支援装置の問題のある状態及び/又は患者への損傷が大きくならないように十分遅く制御される。
【0008】
別の態様では、コンピュータ支援装置が手術台の動作中にマニピュレータアームの状態の関連する変化(例えば、関節接合式関節の可動域の制限に近づいていること)を検出すると、コンピュータ支援装置は、患者又はスタッフへの損傷及び/又は設備への損害を防ぐために手術台の動作を中止させる。次に、移動を要求し、この要求を承認又は拒否し、次に移動させるこのサイクルが、個々のテーブル制御ボタンの押下及び/又はコマンドのストリーム(例えば、ボタンを押下した状態)について、立て続けに、例えば10ms毎に繰り返される。コンピュータ支援装置の状態が「安全」又は許容可能であると考えられる限り、手術台移動要求は、コンピュータ支援装置によって承認され、手術台は、オペレータによって命令された方向に自由に動く。
【0009】
一態様では、手術台移動要求が拒否された場合に、又はコンピュータ支援装置がコンピュータ支援装置の可動域の制限等によって現在実行中の手術台の動作を中断した場合に、手術台の動きは、追加の安全性をシステムの使用に提供することに制限される。いくつかの例では、手術台とコンピュータ支援装置との間の運動学的マッピングを用いて、可動域の制限及び/又は安全でない状態から離れる方向に遠隔の運動中心及び/又は関節速度を生じさせる手術台の動作を決定する。いくつかの例では、手術台の動きは、拒否/停止条件が作成された手術台の動きの反対方向の動作に限定され、承認される。いくつかの実施例では、手術台の動きにより、2つ以上の関節式アームが反対側の可動域の制限に近づく及び/又は到達する場合に、手術台の更なる動きは許容されない。
【0010】
特定の態様では、手術台は、大抵の場合、アイソセンタと呼ばれる空間内の単一の点(仮想動作中心点)の周りで移動する。一実装形態では、例えば、このアイソセンタは、典型的な患者のサイズ、吹送(insufflation)、手術台のパッディング(padding)等を考慮するために、手術台の関節式構造の上の略中央に、手術台の上部の少し上(例えば、約35cm)に配置される。こうして、手術台がそのトレンデレンブルグ調整で動く際に、テーブル表面は、僅かな「ディッシング(dishing)」弧を通って移動する。手術台の傾斜自由度は、アイソセンタ点を基準にして同様に移動することができ、又はテーブル面(table top)を支持するカラムの上部等の空間内の別の点を基準にして移動することができる。手術台は、アイソセンタ又は別の点を基準にして規定されるヨー自由度も含むことができる。アイソセンタは、大抵の場合、テーブル面を基準にして、切開部位又は身体オリフィス等の典型的な手術部位及び/又は身体開口部の高さで、患者の体内におおよそ位置するように配置される。いくつかの実装形態では、アイソセンタは、テーブル機構に対して固定され、他の実装形態では、様々な患者サイズ及び手術部位の位置に適応するようにアイソセンタ(例えば、高さ及び/又は位置)を規定してもよい。
【0011】
特定の態様では、コンピュータ支援装置は、アイソセンタのXYZデカルト座標を手術台に提供し、続いて特定のロール・ピッチ・ヨー角運動コマンドを与えて患者の動きをもたらすことができる。そのような動きは、いくつかの状況では、患者の体壁における関連する身体開口部の全動作を最小にし、器具が挿入される身体開口部における物理的外傷を最小にするため、向上した臨床能力を外科医に提供することができる。一態様では、このような動作コマンドは、処置を行うために使用される手術用器具又は器具のための手術用コントローラの外科医の動きによって生成してもよい。XYZロール・ピッチ・ヨー座標及びコマンドが、第1の動作モードで説明したのと同じ通信リンクを介して手術台に送られる。このようなアイソセンタの動きを生じさせるためには、コンピュータ支援装置が、コンピュータ支援装置に対する手術台の位置及び/又は向きを知っておかなければならないことに留意すべきである。この関係は、ユーザによって入力してもよく、又は適切な手段によってコンピュータ支援装置によって決定してもよい。一態様では、この関係は、2014年3月17日に出願された、”Methods and Devices for Tele-surgical Table Registration”という標題の米国仮特許出願第61/954,538号に記載されるような位置合せによって決定してもよく、又は2014年3月17日に出願された、”Methods and Devices for Table Pose Tracking using Fiducial Markers”という標題の米国仮特許出願第61/954,559号に記載されるような位置手段によって決定又は推定してもよく、これら各文献は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
コンピュータ支援装置では、多自由度のマニピュレータが手術用器具を保持し、次にマルチリンク・セットアップアームが機械的接地に対してマニピュレータを保持する。マニピュレータは遠隔操作され、セットアップアームは手で動かすことができる。リンクを所定の位置に保持するために機械式ブレーキ(ハードウェアによる関節のロック)を用いてもよく、さらに、非ブレーキ式(unbraked)リンクを所定の位置に保持するために電動式関節(ソフトウェアによる関節のロック)を用いてもよい。いくつかの態様では、機械式ブレーキの一部又は全部を解除して、セットアップ/マニピュレータアーム全体が「浮動」する(実質的に無重力に見える)、又はセットアップ/マニピュレータアーム全体の一部が浮動することができる。いくつかの状況では、この(ハードウェア及び/又はソフトウェアによる)ブレーキの解除は、クラッチ掛け(clutching)と呼ばれる。関節に関連するブレーキをクラッチ掛けすることによって、リンクを動かすことができる。関節式アームがクラッチ掛けされると、関節式アームは、機械的にバランスがとられ、動かされるまで空間内で静止したままになるように制御される。いくつかの態様では、(例えば、手術台を動かすことによって)患者を動かすときに、患者の体壁によるカニューレに対する力によって、クラッチされたアーム関節の位置及び/又は向きの変化を生じさる外部運動は、器具ドラッギングによるものである。
【0013】
本明細書に記載される実施形態と同じ又は同様の運動学を有する従来の特定の遠隔操作手術マニピュレータシステムでは、カニューレによって器具を患者の体内に挿入している間に、患者を動かすことは推奨されない。このようなシステムでは、現在のセットアップアーム関節は、患者の体壁による器具ドラッギング(dragging)を可能にする程、十分低い摩擦を有しておらず、より重要なことに、クラッチされた関節の1つが可動域の制限に到達した場合に、手術台の動きを停止させる方法が現在存在していない。これらの条件下で患者と共に手術台を動かし続けることは、特に器具が挿入される身体開口部で患者に危害を与える可能性がある。従って、「インターロック」の態様によって、手術台を移動させるが、コンピュータ支援装置が安全でない(又は危険に直面する)状態を判定又は検出した場合に、安全に停止させる。
【0014】
一態様では、退避機能(withdrawal feature)(すなわち、「入って来た道順を戻る」)によって、直前まで進んで来た移動経路に沿って手術台を戻すことを可能にし、さらに他の方向のアプローチ又は患者の動きを可能又は有効にする。安全面では、コンピュータ支援装置が安全でない状態を検出した場合に、コンピュータ支援装置及び手術台の全ての動作は通常禁止され、安全でない状態が解消されるまで、動作が許可されない。この退避機能がないと、(コンピュータ支援装置からの自動コマンドによって)手術台を停止させた場合に、コンピュータ支援装置が安全でない状態(例えば、「停止」コマンドが依然として発生している状態)であるので、手術台を再び移動させることができない。こうして、予め既知の位置/動作を使用することにより、手術台が安全でない状態に至った経路に沿って戻ることが可能にされるため、この退避機能により手術台の安全な移動が保証される。他の特定の軸線に沿った移動は恐らく「安全」であろうが、そのような軸線は安全であるか分かっていない。特定の実施形態では、アイソセンタの運動能力は、システムのインターロック特性を超えて前進する。
【0015】
本明細書に記載の方法及びシステムを使用することにより、外科医は、カニューレを介して患者に大きな力が加えられる前にコンピュータ支援装置が手術台に命令して手術台を停止させることができるため、患者を安全に動かすことができる。次に、手術台の動きは、検出された状態が解決されるまで、安全でないか、又は潜在的に安全でない姿勢に留まるのを防ぐために「入って来た道順を戻る」ように逆戻りすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療装置は、1つ又は複数の第1の関節及び1つ又は複数の第2の関節を有する関節式アームと、第1の関節及び第2の関節に結合される制御ユニットとを含む。関節式アームは、1つ又は複数の第1の関節及び1つ又は複数の第2の関節の先端側に取り付けられた少なくともカニューレ、内視鏡、又は器具を有するように構成される。カニューレ、内視鏡、又は器具は、身体開口部で患者の体内に挿入されるように構成される。通信接続を介して装置に結合された手術台との一体的な動きをサポートするために、制御ユニットは、1つ又は複数の第1の関節をロック解除し、手術台から手術台移動要求を受け取り、手術台移動要求を許可すべきかどうかを決定し、この決定に基づいて手術台が手術台移動要求を実行することを可能にし、1つ又は複数の第1の関節を用いて、関節式アームが、実行された手術台の移動により身体開口部で患者の体壁によって加えられる力に基づく身体開口部の動きを追跡するのを可能にし、且つ1つ又は複数の第2の関節における補償動作を実行することにより追跡された動きによるカニューレ、内視鏡、又は器具の姿勢の変化を補償するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態と一致して、手術台とコンピュータ支援医療装置との一体的な動きを補償する方法は、コンピュータ支援医療装置の関節式アームの1つ又は複数の関節をロック解除するステップを含む。関節式アームは、この関節式アームに取り付けられた少なくともカニューレ、内視鏡、又は器具を有する。カニューレ、内視鏡、又は器具は、身体開口部で患者の体内に挿入されるように構成される。この方法は、手術台から手術台移動要求を受信するステップと、手術台移動要求を許可すべきかどうかを決定するステップと、この決定に基づいて、手術台が手術台移動要求を実行することを可能にするステップと、1つ又は複数の第1の関節を用いて、関節式アームが、実行された手術台の移動により身体開口部で患者の体壁によって加えられる力に基づく身体開口部の動きを追跡するステップと、関節式アームの1つ又は複数の第2の関節における補償動作を実行することにより追跡された動きによるカニューレ、内視鏡、又は内視鏡の姿勢の変化を補償するステップと、をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態と一致して、複数のコンピュータ可読命令を含む非一時的な機械可読媒体であって、この命令がコンピュータ支援医療装置に関連する1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、以下の段階を実行させる。この段階は、コンピュータ支援医療装置の関節式アームの1つ又は複数の関節をロック解除することを含む。関節式アームは、この関節式アームに取り付けられた少なくともカニューレ、内視鏡、又は器具を有する。カニューレ、内視鏡、又は器具は、身体開口部で患者の体内に挿入されるように構成される。この段階は、手術台から手術台移動要求を受信することと、手術台移動要求を許可すべきかどうかを決定することと、この決定に基づいて、手術台が手術台移動要求を実行することを可能にすることと、1つ又は複数の第1の関節を用いて、関節式アームが、実行された手術台の移動により身体開口部で患者の体壁によって加えられる力に基づく身体開口部の動きを追跡することを可能にすること、関節式アームの1つ又は複数の第2の関節において補償動作を実行することにより追跡された動きによるカニューレ、内視鏡、又は器具の姿勢の変化を補償すること、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】いくつかの実施形態によるコンピュータ支援システムの簡略図である。
【
図2】いくつかの実施形態によるコンピュータ支援システムを示す簡略図である。
【
図3】いくつかの実施形態によるコンピュータ支援医療システムの運動学的モデルの簡略図である。
【
図4】いくつかの実施形態による一体化された手術台の動作の方法の簡略図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、手術中のテーブル動作のための手術台及びコンピュータ支援装置を準備するプロセスの簡略図である。
【
図6】いくつかの実施形態による手術台命令ユニットの一部の簡略図である。
【
図7】いくつかの実施形態による手術台の動作を実行するためのプロセスの簡略図である。
【
図8】いくつかの実施形態による手術台追跡のためのプロセスの簡略図である。
【
図9】いくつかの実施形態による手術台追跡を監視するためのプロセスの簡略図である。
【
図10】いくつかの実施形態によるユーザインターフェイスの簡略図である。
【
図11A】本明細書に記載の一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。
【
図11B】本明細書に記載の一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。
【
図11C】本明細書に記載の一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。
【
図11D】本明細書に記載の一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。
【
図11E】本明細書に記載の一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。
【
図11F】本明細書に記載の一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。
【
図11G】本明細書に記載の一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面において、同一の記号表示を有する要素は、同一又は同様の機能を有する。
以下の詳細な説明では、本開示に一致するいくつかの実施形態を説明する具体的な詳細について記載する。しかしながら、いくつかの実施形態は、これらの特定の詳細の一部又は全てを用いずに実施できることは、当業者には明らかであろう。本明細書に開示された特定の実施形態は、例示することを意図しており、限定するものではない。当業者は、ここでは特に説明しない、本開示の範囲及び精神の範囲内にある他の要素を実現し得る。また、不必要な繰返しを避けるために、一実施形態に関連して図示し且つ説明した1つ又は複数の特徴は、他に特に明記しない限り或いは1つ又は複数の特徴が実施形態を機能しないものにしない限り、他の実施形態に組み込むことができる。用語「~を含む、有する(including)」は、目的語となるものを含むが、その含むもの自体に限定されるものではないことを意味し、含まれる1つ又は複数の個々のアイテムのそれぞれは、特に断りのない限り、オプションであるとみなすべきである。同様に、用語「~してもよい、~ことができる、~する可能性がある(し得る)(may)」は、アイテムがオプションであることを示す。
【0021】
図1は、いくつかの実施形態によるコンピュータ支援システム100の簡略図である。
図1に示されるように、コンピュータ支援システム100は、1つ又は複数の可動式又は関節式アーム120を有する装置110を含む。1つ又は複数の関節式アーム120のそれぞれは、1つ又は複数のエンドエフェクタを支持する。いくつかの例では、装置110は、コンピュータ支援手術用装置と一致してもよい。1つ又は複数の関節式アーム120は、それぞれ、関節式アーム120のうちの少なくとも1つの先端部に取り付けられた1つ又は複数の器具、手術用器具、撮像装置等の支持を提供する。装置110をオペレータワークステーション(図示せず)にさらに結合してもよく、このワークステーションは、装置110、1つ又は複数の関節式アーム120、及び/又はエンドエフェクタを動作させるための1つ又は複数のマスター制御部を含むことができる。いくつかの実施形態では、装置110及びオペレータワークステーションは、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical, Inc.によって市販されているda Vinci(登録商標)手術システムに対応してもよい。いくつかの実施形態では、オプションで、他の構成、より少ない又はより多い関節式アーム等を含むコンピュータ支援手術用装置を、コンピュータ支援システム100と共に使用してもよい。
【0022】
装置110は、インターフェイスを介して制御ユニット130に結合される。インターフェイスは、1つ又は複数の無線リンク、ケーブル、コネクタ、及び/又はバスを含んでもよく、且つ1つ又は複数のネットワーク・スイッチング及び/又はルーティング装置を含む1つ又は複数のネットワークをさらに含んでもよい。制御ユニット130は、メモリ150に結合されたプロセッサ140を含む。制御ユニット130の動作は、プロセッサ140によって制御される。1つのみのプロセッサ140を含む制御ユニット130が示されているが、プロセッサ140は、制御ユニット130内の1つ又は複数の中央処理装置、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)等であってもよいことが理解される。制御ユニット130は、コンピュータ装置に追加されたスタンドアロン型のサブシステム及び/又はボード、或いは仮想マシンとして実現してもよい。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、オペレータワークステーションの一部として含まれてもよく、及び/又はオペレータワークステーションとは別個に動作してもよいが、オペレータワークステーションと協調して動作することができる。
【0023】
メモリ150は、制御ユニット130によって実行されるソフトウェア及び/又は制御ユニット130の動作中に使用される1つ又は複数のデータ構造を格納するために使用される。メモリ150は、1つ又は複数のタイプの機械可読媒体を含んでもよい。機械可読媒体のいくつかの一般的な形態は、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、他の光媒体、パンチカード、紙テープ、ホール(holes)パターンを含む他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、他のメモリチップ又はカートリッジ、及び/又はプロセッサ又はコンピュータが読み取るように適合された他の媒体を含むことができる。
【0024】
図示されるように、メモリ150は、装置110の自律的な及び/又は半自律的な制御をサポートする動作制御アプリケーション160を含む。動作制御アプリケーション160は、装置110から位置、動作、及び/又は他のセンサ情報を受信し、位置、動作、及び/又は衝突回避情報を手術台及び/又は撮像装置等の他の装置に関する他の制御ユニットと交換し、及び/又は、装置110、装置110の関節式アーム120及び/又はエンドエフェクタ125の動作を計画し及び/又はこの計画を支援するための1つ又は複数のアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)を含むことができる。動作制御アプリケーション160が、ソフトウエア・アプリケーションとして示されているが、動作制御アプリケーション160は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアとの組合せを用いて実現してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンピュータ支援システム100は、手術室及び/又は介入処置室内に見出すことができる。コンピュータ支援システム100は、2つの関節式アーム120を有する1つの装置110のみを含むが、当業者であれば、コンピュータ支援システム100は、装置100と同様の及び/又は装置100とは異なる関節式アーム及び/又はエンドエフェクタを有する任意数の装置を含むことができることを理解するだろう。いくつかの例では、各装置は、これより少ない又はより多い関節式アーム及び/又はエンドエフェクタを含んでもよい。
【0026】
コンピュータ支援システム100は、手術台170をさらに含む。1つ又は複数の関節式アーム120と同様に、手術台170は、手術台170のベースに対するテーブル面(table top)180の関節運動をサポートする。いくつかの例では、テーブル面180の関節運動は、テーブル面180の高さ、傾斜、スライド、トレンデレンブルグ(Trendelenburg)向き等を変更するためのサポートを含むことができる。図示されていないが、手術台170は、テーブル面180の位置及び/又は向きを制御する手術台命令ユニット等の1つ又は複数の制御入力部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、手術台170は、ドイツのTrumpf Medical Systems GmbHによって市販されている1つ又は複数の手術台に対応してもよい。
【0027】
手術台170は、対応するインターフェイスを介して制御ユニット130にも結合される。インターフェイスは、1つ又は複数の無線リンク、ケーブル、コネクタ、及び/又はバスを含んでもよく、且つ1つ又は複数のネットワーク・スイッチング及び/又はルーティング装置を含む1つ又は複数のネットワークをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、手術台170は、制御ユニット130とは異なる制御ユニットに結合してもよい。いくつかの例では、動作制御アプリケーション160は、手術台170及び/又はテーブル面180に関連する位置、動作、及び/又は他のセンサ情報を受信するための1つ又は複数のアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)を含むことができる。いくつかの例では、動作制御アプリケーション160は、手術台170及び/又はテーブル面180の動きを計画し及び/又はこの計画を支援することができる。いくつかの例では、動作制御アプリケーション160は、衝突回避に関連する動作計画に関与することができ、関節及びリンクの可動域の制限、関節式アーム、器具、エンドエフェクタ、手術台構成要素の運動に適応及び/又は回避して関節式アーム、器具、エンドエフェクタ、手術台構成要素等の他の動作を補償し、内視鏡等の表示装置を調整して関心領域及び/又は1つ又は複数の器具又はエンドエフェクタを表示装置の視野内に維持及び/又は配置する。いくつかの例では、動作制御アプリケーション160は、手術台命令ユニットの使用によって手術台170及び/又はテーブル面180の動きを阻止する等して、手術台170及び/又はテーブル面180の動作を阻止することができる。いくつかの例では、動作制御アプリケーション160は、装置110と手術台170との間の幾何学的関係が分かるように、装置110を手術台170に位置合わせするのを補助することができる。いくつかの例では、幾何学的関係は、装置110及び手術台170に対して維持される座標フレーム(coordinate frame)同士間の並進及び/又は1つ又は複数の回転を含むことができる。
【0028】
図2は、いくつかの実施形態によるコンピュータ支援システム200を示す簡略図である。例えば、コンピュータ支援システム200は、コンピュータ支援システム100と一致してもよい。
図2に示されるように、コンピュータ支援システム200は、1つ又は複数の関節式アームを有するコンピュータ支援装置210と手術台280とを含む。
図2には示されていないが、コンピュータ支援装置210及び手術台280は、1つ又は複数のインターフェイス及び1つ又は複数の制御ユニットを用いて一緒に結合され、それによって手術台280に関する少なくとも運動学的情報を、動作制御アプリケーションが知り、その情報を使用して、コンピュータ支援装置210の関節式アームの動作を実行する。
【0029】
コンピュータ支援装置210は、様々なリンク及び関節を含む。
図2の実施形態では、コンピュータ支援装置は、一般的に、3つの異なるセットのリンク及び関節に分割される。基端部側の移動カート215又は患者側カート215で始まるのは、セットアップ構造220である。セットアップ構造の先端部には、関節式アームを形成する一連のリンク及びセットアップ関節240が結合される。マルチ関節式マニピュレータ260が、セットアップ関節240の先端部に結合される。いくつかの例では、一連のセットアップ関節240及びマニピュレータ260は、関節式アーム120のうちの1つに対応することができる。1つの一連のセットアップ関節240及び対応するマニピュレータ260のみを有するコンピュータ支援装置が示されているが、当業者は、コンピュータ支援装置が、複数の一連のセットアップ関節240及び対応するマニピュレータ260を含むことができ、コンピュータ支援装置に複数の関節式アームが装備されることを理解するであろう。
【0030】
図示されるように、コンピュータ支援装置210は、移動カート215に取り付けられる。移動カート215によって、コンピュータ支援装置を手術台280に近接してより良く位置付けするために、コンピュータ支援装置210を手術室同士の間で又は手術室内等のある位置から別の位置へ移すことを可能にする。セットアップ構造220は、移動カート215に取り付けられる。
図2に示されるように、セットアップ構造220は、カラム(column)リンク221及び222を含む2つの部分から構成されるカラムを含む。カラムリンク222の上端又は先端部には、肩関節223が結合される。肩関節223には、ブームリンク224及び225を含む2つの部分から構成されるブームが結合される。ブームリンク225の先端部には、手首関節226があり、この手首関節226には、アーム取付けプラットフォーム227が結合される。
【0031】
セットアップ構造220のリンク及び関節は、アーム取付けプラットフォーム227の位置及び向き(すなわち、姿勢)を変更するための様々な自由度を含む。例えば、2つの部分から構成されるカラムは、肩関節223を軸線232に沿って上下に動かすことにより、アーム取付けプラットフォーム227の高さを調整するために使用される。アーム取付けプラットフォーム227は、肩関節223を用いて移動カート215、2つの部分から構成されるカラム、及び軸線232の周りでさらに回転される。アーム取付けプラットフォーム227の水平位置は、2つの部分から構成されるブームを用いて軸線234に沿って調整される。また、アーム取付けプラットフォーム227の向きは、手首関節226を用いてアーム取付けプラットフォームの向き軸線236の周りに回転させることによって調整してもよい。こうして、セットアップ構造220内のリンク及び関節の動作制限に応じて、アーム取付けプラットフォーム227の位置は、2つの部分から構成されるカラムを用いて、移動カート215の上で垂直方向に調整することができる。アーム取付けプラットフォーム227の位置は、2つの部分から構成されるブーム及び肩関節223をそれぞれ用いて、移動カート215の周りに半径方向及び角度方向に調整することもできる。また、アーム取付けプラットフォーム227の角度姿勢は、手首関節226を用いて変更することもできる。
【0032】
アーム取付けプラットフォーム227は、1つ又は複数の関節式アームの取付け点として使用される。アーム取付けプラットフォーム227の移動カート215の周りでの高さ、水平位置、及び向きを調整する能力は、手術又は処置が行われる、移動カート215の近くに位置する作業スペースの周りに1つ又は複数の関節式アームを位置付け及び向き合せするためのフレキシブルなセットアップ構造を提供する。例えば、様々な関節式アーム及びこれらの対応するマニピュレータ及び器具が外科的処置を患者に行うのに十分な可動域を有するように、アーム取付けプラットフォーム227を患者の上に位置付けすることができる。
図2は、第1のセットアップ関節242を用いてアーム取付けプラットフォーム227に結合された単一の関節式アームを示す。1つの関節式アームのみが示されているが、当業者であれば、追加の第1のセットアップ関節を用いて、複数の関節式アームをアーム取付けプラットフォームに結合してもよいことを理解するだろう。
【0033】
第1のセットアップ関節242は、関節式アームのセットアップ関節240のセクションの最も基端側部分を形成する。セットアップ関節240は、一連の関節及びリンクをさらに含むことができる。
図2に示されるように、セットアップ関節240は、1つ又は複数の関節(明示的には図示せず)を介して結合された少なくともリンク244及び246を含む。セットアップ関節240の関節及びリンクは、第1のセットアップ関節242を用いて、アーム取付けプラットフォーム227に対してセットアップ関節240を軸線252の周りに回転させ、第1のセットアップ関節242とリンク246との間の半径方向及び水平方向の距離を調整し、アーム取付けプラットフォーム227に対するリンク246の先端部におけるマニピュレータ取付け部262の高さを軸線254に沿って調整し、マニピュレータ取付け部262を軸線254の周りに回転させる能力を含む。いくつかの例では、セットアップ関節240は、アーム取付けプラットフォーム227に対するマニピュレータ取付け部262の姿勢を変更するために、追加の自由度を許容する追加の関節、リンク、及び軸をさらに含むことができる。
【0034】
マニピュレータ260は、マニピュレータ取付け部262を介してセットアップ関節240の先端部に結合される。マニピュレータ260は、器具キャリッジ268がマニピュレータ260の先端部に取り付けられた、追加の関節264及びリンク266を含む。器具270が、器具キャリッジ268に取り付けられる。器具270は、挿入軸線に沿って整列されたシャフト272を含む。シャフト272は、典型的には、マニピュレータ260に関連する遠隔の運動中心274を通過するように整列される。遠隔の運動中心274の位置は、典型的には、マニピュレータ取付け部262に対して固定された並進関係に維持され、マニピュレータ260内の関節264の動作は、遠隔の運動中心274の周りでシャフト272の回転を生じさせる。実施形態に応じて、マニピュレータ取付け部262に対する遠隔の運動中心274の固定された並進関係は、マニピュレータ260の関節264及びリンク266の物理的な制約を用いて、関節264に許容される動作に行われるソフトウェア制約、及び/又はこれら両方の組合せを用いて、維持される。関節及びリンクの物理的な制約を用いて維持された遠隔の運動中心を使用するコンピュータ支援手術装置の代表的な実施形態は、2013年5月13日に出願された、”Redundant Axis and Degree of Freedom for Hardware-Constrained Remote
Center Robotic Manipulator”という標題の米国特許出願第13/906,888号に記載されており、及びソフトウェア制約によって維持された遠隔の運動中心を使用するコンピュータ支援手術装置の代表的な実施形態は、2005年5月19日に出願された、”Software Center and Highly Configurable Robotic Systems for Surgery
and Other Uses”という標題の米国特許第8,004,229号に記載されており、これらの明細書はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、遠隔の運動中心274は、シャフト272が患者278の体内に挿入される、患者278の切開部位又は身体オリフィス等の身体開口部の位置に対応してもよい。遠位の運動中心274が身体開口部に対応しているので、器具270が使用されるとき、遠隔の運動中心274は患者278に対して静止したままであり、遠隔の運動中心274での患者278の解剖学的構造へのストレスを制限する。いくつかの例では、シャフト272は、オプションで、身体開口部に位置するカニューレ(図示せず)を通過してもよい。いくつかの例では、比較的大きなシャフト又はガイドチューブの外径(例えば、4~5mm以上)を有する器具は、カニューレを用いて身体開口部を通過させてもよいが、カニューレは、オプションで、比較的小さなシャフト及びガイドチューブの外径(例えば、2~3mm以下)を有する器具では省略してもよい。
【0035】
シャフト272の先端部には、エンドエフェクタ276がある。関節264及びリンク266によるマニピュレータ260の自由度によって、マニピュレータ取付け部262に対するシャフト272及び/又はエンドエフェクタ276の少なくともロール、ピッチ、及びヨーの制御が可能になる。いくつかの例では、マニピュレータ260の自由度は、器具キャリッジ268を用いてシャフト272を前進及び/又は後退させる能力をさらに含むことができ、それによってエンドエフェクタ276を、挿入軸線に沿って且つ遠隔の運動中心274に対して前進及び/又は後退させることができる。いくつかの例では、マニピュレータ260は、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical, Inc.によって市販されているda Vinci(登録商標)手術システムと共に使用するためのマニピュレータと一致してもよい。いくつかの例では、器具270は、内視鏡等の撮像装置、把持器、焼灼器具又は手術用メス等の手術用器具であってもよい。いくつかの例では、エンドエフェクタ276は、ロール、ピッチ、ヨー、把持等の追加の自由度を含むことができ、この追加の自由度によって、シャフト272の先端部に対するエンドエフェクタ276の部分の更なる局所的な操作を可能にする。
【0036】
手術又は他の医療処置中に、患者278は、通常、手術台280上に配置される。手術台280は、テーブルベース282及びテーブル面284を含み、テーブルベース282が移動カート215に近接して位置する状態で、器具270及び/又はエンドエフェクタ276がコンピュータ支援装置210によって操作される一方、器具270のシャフト272が身体開口部で患者278の体内に挿入される。手術台280は、テーブルベース282とテーブル面284との間に1つ又は複数の関節又はリンクを含む関節式構造290をさらに含み、それによってテーブルベース282に対するテーブル面284、つまり患者278の相対位置が制御される。いくつかの例では、関節式構造290は、テーブル面284が、テーブル面284の上の点に位置し得る仮想的に規定されるテーブル動作のアイソセンタ286に対して制御されるように構成してもよい。いくつかの例では、アイソセンタ286は、患者278の内部に位置してもよい。いくつかの例では、アイソセンタ286は、遠隔の運動中心274に対応する身体開口部位等の身体開口部のうちの1つで又はこの近くで、患者の身体壁と共に配置してもよい。
【0037】
図2に示されるように、関節式構造290は、テーブル面284がテーブルベース282に対して上昇及び/又は下降できるように高さ調整関節292を含む。関節式構造290は、アイソセンタ286に対するテーブル面284の傾斜294とトレンデレンブルグ(Trendelenburg)姿勢296との両方を変更させる関節及びリンクをさらに含む。傾斜294によって、テーブル面284が左右に傾いて、患者278の右側又は左側のいずれかが、患者278の他方の側に対して上方に回転する(すなわち、テーブル面284の長手方向又は頭部からつま先(頭蓋から尾骨)の軸線の周りに回転する)。トレンデレンブルグ296によって、患者278の足を持ち上げる(トレンデレンブルグ)か、又は患者278の頭部を持ち上げる(逆トレンデレンブルグ)ようにテーブル面284を回転させる。いくつかの例では、傾斜294及び/又はトレンデレンブルグ回転296のいずれかを調整して、アイソセンタ286の周りの回転を生じさせることができる。関節式構造290は、
図2に示されるような概ね左及び/又は右の動作でテーブルベース282に対してテーブル面284を長手方向(頭蓋から尾骨)の軸線に沿って摺動させる追加のリンク及び関節298をさらに含む。
【0038】
図11A~
図11Gは、本明細書に記載される一体化されたコンピュータ支援装置及び可動式手術台の特徴を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す簡略化された概略図である。様々な図示されるシステム構成要素は、本明細書に記載される原理に従う。これらの図では、明瞭化のために構成要素が簡略化されており、個々のリンク、関節、マニピュレータ、器具、エンドエフェクタ等の様々な詳細が示されていないが、これら様々な詳細は、図示された様々な構成要素に組み込まれていると理解すべきである。
【0039】
これらのアーキテクチャでは、1つ又は複数の手術用器具又は器具のクラスタに関連するカニューレは示されていないが、カニューレ及び他の器具ガイド装置は、比較的大きなシャフト又はガイドチューブの外径(例えば、4~5mm以上)を有する器具又は器具クラスタでは使用されるが、オプションとして、比較的小さいシャフト又はガイドチューブの外径(例えば、2~3mm以下)を有する器具では省略してもよい。
【0040】
これらのアーキテクチャにおいても、遠隔操作可能なマニピュレータは、手術中に、ハードウェア制約(例えば、交差して固定した器具のピッチ、ヨー、及びロールの軸線)又はソフトウェア制約(例えば、ソフトウェアによって制約された交差する器具のピッチ、ヨー、及びロール軸線)を用いて遠隔の運動中心を規定するマニピュレータを含むと理解すべきである。そのような器具の回転軸線のハイブリッド(例えば、ハードウェア制約によるロール軸線及びソフトウェア制約によるピッチ及びヨー軸線)を規定することもできる。さらに、いくつかのマニピュレータは、処置中に手術用器具の回転軸線を規定し且つ制約しない場合があり、いくつかのマニピュレータは、処置中に器具の1つ又は2つの回転軸線のみを規定し且つ拘束する場合がある。
【0041】
図11Aは、可動式手術台1100及び単一の器具コンピュータ支援装置1101aを示している。手術台1100は、可動式テーブル面1102と、このテーブル面1102を先端部で支持するために、機械的に接地されたテーブルベース1104から延びるテーブル支持構造1103とを含む。いくつかの例では、手術台1100は、手術台170及び/又は280と一致してもよい。コンピュータ支援装置1101aは、遠隔操作可能なマニピュレータ及び単一の器具アセンブリ1105aを含む。コンピュータ支援装置1101aは、基端側ベース1107aに機械的に接地され、且つマニピュレータ及び器具アセンブリ1105aを先端部で支持するように延びる支持構造1106aも含む。支持構造1106aは、アセンブリ1105aが手術台1100に対して移動し且つ手術台1100に対して様々な固定姿勢で保持されることを可能にするように構成される。ベース1107aは、オプションで、手術台1100に対して恒久的に固定される又は移動可能である。手術台1100及びコンピュータ支援装置1101aは、本明細書に記載されるように一緒に動作する。
【0042】
図11Aは、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の個々のコンピュータ支援装置を含み得ることを示すオプションの第2のコンピュータ支援装置1101bをさらに示しており、各装置が、対応する支持構造1106bによって支持された対応する個々の遠隔操作可能なマニピュレータ及び単一の器具アセンブリ(複数可)1105bを含む。コンピュータ支援装置1101bは、機械的に接地され、アセンブリ1105bは、コンピュータ支援装置1101aと同様の姿勢を取る。手術台1100及びコンピュータ支援装置1101a及び1101bは、マルチ器具手術システムを一緒に構成し、且つ本明細書に記載されるように一緒に動作する。いくつかの例では、コンピュータ支援装置1101a及び/又は1101bは、コンピュータ支援装置110及び/又は210と一致してもよい。
【0043】
図11Bに示されるように、別の可動式手術台1100及びコンピュータ支援装置1111が示される。コンピュータ支援装置1111は、代表的なマニピュレータ及び器具アセンブリ1105a及び1105bによって示されるように、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の個々の遠隔操作可能なマニピュレータ及び単一の器具アセンブリを含むマルチ器具装置である。コンピュータ支援装置1111のアセンブリ1105a及び1105bは、アセンブリ1105a及び1105bが手術台1100に対してアセンブリ1105a及び1105bをグループとして一緒に移動させ且つ姿勢を取らせることを可能にする組合せ支持構造1112によって支持される。コンピュータ支援装置1111のアセンブリ1105a及び1105bは、対応する個々の支持構造1113a及び1113bによってそれぞれ支持されており、これら支持構造によって、各アセンブリ1105a及び1105bが、手術台1100に対して及び1つ又は複数の他のアセンブリ1105a及び1105bに対して個別に移動され且つ姿勢を取ることを可能にする。このようなマルチ器具手術システムアーキテクチャの例は、Intuitive Surgical, Inc.によって市販されているda Vinci Si(登録商標)手術システム及びda Vinci Xi(登録商標)手術システムである。手術台1100及び例示的なコンピュータ支援装置11111を含む手術マニピュレータシステムは、本明細書に記載されるように一緒に動作する。いくつかの例では、コンピュータ支援装置1111は、コンピュータ支援装置110及び/又は210と一致する。
【0044】
図11A及び
図11Bのコンピュータ支援装置は、それぞれ、床に機械的に接地された状態で示されている。しかし、1つ又は複数のこのようなコンピュータ支援装置は、オプションで、壁又は天井に機械的に接地され、そのような壁又は天井の接地部に対して恒久的に固定又は移動可能である。いくつかの例では、コンピュータ支援装置は、コンピュータ支援システムの支持ベースを手術台に対して移動させることが可能なトラック又はグリッドシステムを用いて、壁又は天井に取り付けることができる。いくつかの例では、1つ又は複数の固定又は着脱可能な取付けクランプを用いて、それぞれの支持ベースをトラック又はグリッドシステムに取り付けることができる。
図11Cに示されるように、コンピュータ支援装置1121aは、壁に機械的に接地され、コンピュータ支援装置1121bは、天井に機械的に接地される。
【0045】
さらに、コンピュータ支援装置は、可動式手術台1100を介して間接的に機械的に接地してもよい。
図11Dに示されるように、コンピュータ支援装置1131aは、手術台1100のテーブル面1102に結合される。コンピュータ支援装置1131aは、
図11Dに示される破線の構造によって表されるように、オプションで、テーブル支持構造1103又はテーブルベース1104等の手術台1100の他の部分に結合してもよい。テーブル面1102がテーブル支持構造1103又はテーブルベース1104に対して移動すると、コンピュータ支援装置1131aも同様にテーブル支持構造1103又はテーブルベース1104に対して移動する。しかしながら、コンピュータ支援装置1131aがテーブル支持構造1103又はテーブルベース1104に結合される場合に、コンピュータ支援装置1131aのベースは、テーブル面1102が移動する際に、接地面に対して固定したままである。テーブルの動作が発生すると、患者の身体が動いてテーブル面1102に対する身体開口部の位置を変化させるため、器具が患者の体内に挿入される身体開口部も同様に動き得る。従って、コンピュータ支援装置1131aがテーブル面1102に結合される実施形態について、テーブル面1102は、局所的な機械的接地として機能し、身体開口部は、テーブル面1102に対して移動し、それによって、コンピュータ支援装置1131aに対して同様に移動する。
図11Dは、第2のコンピュータ支援装置1131bがオプションで追加され、コンピュータ支援装置1131aと同様に構成され、マルチ器具システムを形成することも示す。手術台に結合された1つ又は複数のコンピュータ支援装置を含むシステムは、本明細書に開示されるように動作する。
【0046】
いくつかの実施形態では、同じ又はハイブリッドの機械的接地部を含むコンピュータ支援装置の他の組合せも可能である。例えば、システムは、床に機械的に接地された1つのコンピュータ支援装置と、手術台を介して床に機械的に接地された第2のコンピュータ支援装置とを含むことができる。このようなハイブリッドの機械的接地システムは、本明細書で開示されるように動作する。
【0047】
本発明の態様は、2つ以上の手術用器具が単一の身体開口部を介して身体に入る単一の身体開口システムも含む。このようなシステムの例は、2010年8月12日に出願された、”Surgical System Instrument Mounting”という標題の米国特許第8,852,208号、及び2007年6月13日に出願された、”Minimally Invasive Surgical System”という標題の米国特許第9,060,678号に示されており、これら両文献は参照により組み込まれる。
図11Eは、上述したような手術台1100と一緒の遠隔操作可能なマルチ器具コンピュータ支援装置1141を示す。2つ以上の器具1142が、それぞれ対応するマニピュレータ1143に結合され、器具1142のクラスタ及び器具マニピュレータ1143がシステムマニピュレータ1144によって一緒に移動される。システムマニピュレータ1144は、システムマニピュレータ1144を移動させ様々な姿勢に固定することが可能な支持アセンブリ1145によって支持される。支持アセンブリ1145は、上記の説明と一致するベース1146に機械的に接地される。2つ以上の器具1142は、単一の身体開口部で患者の体内に挿入される。オプションで、器具1142は、単一のガイドチューブを通って一緒に延びており、このガイドチューブは、上記で引用した参考文献に記載されているように、カニューレを通って延びる。コンピュータ支援装置1141及び手術台1100は、本明細書に記載されるように一緒に動作する。
【0048】
図11Fは、オプションで、テーブル面1102、テーブル支持構造1103、又はテーブルベース1104に結合されることによって、手術台1100を介して機械的に接地された別のマルチ器具の単一の身体開口コンピュータ支援装置1151を示す。
図11Dを参照して上述した説明は、
図11Fに示される機械的な接地オプションにも適用される。コンピュータ支援装置1151及び手術台1100は、本明細書に記載されるように一緒に動作する。
【0049】
図11Gは、1つ又は複数の遠隔操作可能なマルチ器具、単一の身体開口コンピュータ支援装置1161、及び1つ又は複数の遠隔操作可能な単一の器具コンピュータ支援装置1162を組み合わせて、本明細書に記載されるように手術台1100と一緒に動作させてもよいことを示す。コンピュータ支援装置1161及び1162の各々は、上述したように様々な方法で、直接的に又は別の構造を介して機械的に接地してもよい。
【0050】
図3は、いくつかの実施形態によるコンピュータ支援医療システムの運動学的モデル300の簡略図である。
図3に示されるように、運動学的モデル300は、多くのソース及び/又は装置に関連する運動学的情報を含むことができる。運動学的情報は、コンピュータ支援医療装置及び手術台のリンク及び関節についての既知の運動学的モデルに基づくものである。運動学的情報は、コンピュータ支援医療装置及び手術台の関節の位置及び/又は向きに関連する情報にさらに基づくものである。いくつかの例では、関節の位置及び/又は向きに関連する情報は、直動関節(prismatic joints)の直線位置及びレボリュート関節(revolute joint)の回転位置を測定するエンコーダ等の1つ又は複数のセンサから導出することができる。
【0051】
運動学的モデル300は、いくつかの座標フレーム又は座標系、及び1つの座標フレームから別の座標フレームに位置及び/又は向きを変換するための同次変換(homogeneous transforms)等の変換を含む。いくつかの例では、
図3に含まれる変換リンケージによって示される順方向及び/又は逆方向/反対方向の変換を合成することによって、1つの座標フレームの位置及び/又は向きを他の座標フレームに順方向マッピング及び/又は逆方向マッピングを可能にするために、運動学的モデル300を使用することができる。いくつかの例では、変換が行列形式の同次変換としてモデル化される場合に、合成は、行列乗算を用いて達成される。いくつかの実施形態では、
図2のコンピュータ支援装置210と手術台280との運動学的関係をモデル化するために、運動学的モデル300を使用することができる。
【0052】
運動学的モデル300は、手術台170及び/又は手術台280等の手術台の位置及び/又は向きをモデル化するために使用されるテーブルベースの座標フレーム305を含む。いくつかの例では、テーブルベースの座標フレーム305を用いて、手術台に関連する基準点及び/又は向きに対する手術台上の他の点をモデル化することができる。いくつかの例では、基準点及び/又は向きは、テーブルベース282等の手術台のテーブルベースに関連付けてもよい。いくつかの例では、テーブルベースの座標フレーム305は、コンピュータ支援システムのワールド(world)座標フレームとして使用するのに適している。
【0053】
運動学的モデル300は、テーブル面284等の、手術台のテーブル面を表す座標フレーム内の位置及び/又は向きをモデル化するために使用されるテーブル面の座標フレーム310をさらに含む。いくつかの例では、テーブル面の座標フレーム310は、アイソセンタ286等の、テーブル面の回転中心又はアイソセンタを中心にしてセンタリングしてもよい。いくつかの例では、テーブル面の座標フレーム310のz軸は、手術台が配置される床又は表面に対して垂直方向に及び/又はテーブル面の表面に直交して向き合せしてもよい。いくつかの例では、テーブル面の座標フレーム310のx軸及びy軸は、テーブル面の長手方向(頭からつま先方向)及び横方向(左右方向)の主軸を取り込むように向き合せしてもよい。いくつかの例では、テーブルベース対テーブル面の座標変換315を用いて、テーブル面の座標フレーム310とテーブルベースの座標フレーム305との間の位置及び/又は向きをマッピングする。いくつかの例では、過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、関節式構造290等の、手術台の関節式構造の1つ又は複数の運動学的モデルを用いて、テーブルベース対テーブル面の座標変換315を決定する。
図2の実施形態と一致するいくつかの例では、テーブルベース対テーブル面の座標変換315は、手術台に関連する高さ、傾斜、トレンデレンブルグ、及び/又はスライド設定の複合効果をモデル化する。
【0054】
運動学的モデル300は、コンピュータ支援装置110及び/又はコンピュータ支援装置210等のコンピュータ支援装置の位置及び/又は向きをモデル化するために使用される装置ベースの座標フレームをさらに含む。いくつかの例では、装置ベースの座標フレーム320を用いて、コンピュータ支援装置に関連する基準点及び/又は向きに対して、コンピュータ支援装置上の他の点をモデル化することができる。いくつかの例では、基準点及び/又は向きは、移動カート215等の、コンピュータ支援装置の装置ベースに関連付けてもよい。いくつかの例では、装置ベースの座標フレーム320は、コンピュータ支援システムのワールド座標フレームとして使用するのに適している。
【0055】
手術台とコンピュータ支援装置との間の位置及び/又は向きの関係を追跡するために、大抵の場合、手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合わせを行うことが望ましい。
図3に示されるように、この位置合わせを用いて、テーブル面の座標フレーム310と装置ベースの座標フレーム320との間の位置合せ変換325を決定することができる。いくつかの実施形態では、位置合せ変換325は、テーブル面の座標フレーム310と装置ベースの座標フレーム320との間の部分的な又は完全な変換となり得る。位置合せ変換325は、手術台とコンピュータ支援装置との間のアーキテクチャ配置に基づいて決定される。
【0056】
コンピュータ支援装置がテーブル面1102に取り付けられる
図11D及び
図11Fの例では、位置合せ変換325が、テーブルベース対テーブル面の座標変換315から決定され、コンピュータ支援装置がテーブル面112のどの箇所に取り付けられる位置を分かっている。
【0057】
コンピュータ支援装置が床に配置される、或いは壁又は天井に取り付けられる
図11A~
図11C、
図11E、及び
図11Fの例では、位置合せ変換325の決定は、装置ベースの座標フレーム320とテーブルベースの座標フレーム305とにいくつかの制約を与えることによって簡略化される。いくつかの例では、これらの制約は、装置ベースの座標フレーム320とテーブルベースの座標フレーム305との両方が同じ垂直上向き又はz軸上で一致することを含む。手術台が水平な床に配置されると仮定して、部屋の壁(例えば、床に対して垂直)と天井(例えば、床に対して平行)との相対的な向きは既知であり、共通の垂直上向き又はz軸(又は適切な向き変換)が、装置ベースの座標フレーム320とテーブルベースの座標フレーム305との両方又は適切な向き変換について維持されることが可能である。いくつかの例では、共通のz軸のため、位置合せ変換325は、オプションで、テーブルベースの座標フレーム305のz軸の周りの、テーブルベースに対する装置ベースの回転関係(例えば、θZ位置合せ)を単にモデル化することができる。いくつかの例では、位置合せ変換325は、オプションで、テーブルベースの座標フレーム305と装置ベースの座標フレーム320との間の水平オフセット(例えば、XY位置合せ)をモデル化することもできる。これは、コンピュータ支援装置と手術台との間の垂直(z)方向関係が分かっているために可能である。従って、テーブルベース対テーブル面の座標変換315におけるテーブルの高さの変化は、テーブルベースの座標フレーム305及び装置ベースの座標フレーム320の垂直方向軸線が同じ又はほぼ同じであり、テーブルベースの座標フレーム305と装置ベースの座標フレーム320との間の高さの変化が互いの妥当な許容誤差(公差)内にあるため、装置ベースの座標フレーム320の垂直方向調整に類似している。いくつかの例では、テーブルベース対テーブル面の座標変換315における傾斜及びトレンデレンブルグの調整は、テーブル面の高さ(又はそのアイソセンタ)及びθZ及び/又はXY位置合せが分かっているので、装置ベースの座標フレーム320にマッピングすることができる。いくつかの例では、位置合せ変換325及びテーブルベース対テーブル面の座標変換315を用いて、たとえそのコンピュータ支援装置が構造的にそうでない場合でもテーブル面に取り付けられているかのように、コンピュータ支援手術用装置をモデル化することができる。
【0058】
運動学的モデル300は、コンピュータ支援装置の関節式アーム上の最も基端側の点に関連する共有座標フレームの適切なモデルとして使用されるアーム取付けプラットフォームの座標フレーム330をさらに含む。いくつかの実施形態では、アーム取付けプラットフォームの座標フレーム330は、アーム取付けプラットフォーム227等のアーム取付けプラットフォーム上の好都合な点に関連付けられ且つこの点に対して向き合せされる。いくつかの例では、アーム取付けプラットフォームの座標フレーム330の中心点は、アーム取付けプラットフォームの座標フレーム330のz軸が、アーム取付けプラットフォームの方向軸線236と整列された状態で、アーム取付けプラットフォームの方向軸線236上に配置される。いくつかの例では、装置ベース対アーム取付けプラットフォームの座標変換335を用いて、装置ベースの座標フレーム320とアーム取付けプラットフォームの座標フレーム330との間の位置及び/又は向きをマッピングする。いくつかの例では、過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、装置ベースとセットアップ構造220等のアーム取付けプラットフォームとの間のコンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルを用いて、装置ベース対アーム取付けプラットフォームの座標変換335を決定する。
図2の実施形態と一致するいくつかの例では、装置ベース対アーム取付けプラットフォームの座標変換335は、コンピュータ支援装置の2つの部分から構成されるカラム、肩関節、2つの部分から構成されるブーム、及びセットアップ構造部分の手首関節の複合効果をモデル化することができる。
【0059】
運動学的モデル300は、コンピュータ支援装置の各関節式アームに関連する一連の座標フレーム及び変換をさらに含む。
図3に示されるように、運動学的モデル300は、3つの関節式アームについての座標フレーム及び変換を含むが、当業者は、異なるコンピュータ支援装置が、より少ない及び/又はより多い(例えば、1、2、4、5つ、又はそれ以上)関節式アーム含んでもよいことを理解するだろう。
図2のコンピュータ支援装置210のリンク及び関節の構成と一致して、関節式アームの各々は、関節式アームの先端部に取り付けられた器具のタイプに依存して、マニピュレータ取付けの座標フレーム、遠隔の運動中心の座標フレーム、及び器具又はカメラの座標フレームを用いてモデル化される。
【0060】
運動学的モデル300では、関節式アームのうちの第1の関節式アームの運動学的関係が、マニピュレータ取付けの座標フレーム341、遠隔の運動中心の座標フレーム342、器具の座標フレーム343、アーム取付けプラットフォーム対マニピュレータ取付けの変換344、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換345、及び遠隔の運動中心対器具の変換346を用いて、取り込まれる。マニピュレータ取付けの座標フレーム341は、マニピュレータ260等のマニピュレータに関連する位置及び/又は向きを表すのに適したモデルを表す。マニピュレータ取付けの座標フレーム341は、対応する関節式アームのマニピュレータ取付け部262等のマニピュレータ取付け部に関連付けられる。次に、アーム取付けプラットフォーム対マニピュレータ取付けの変換344は、対応するセットアップ関節240の過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、アーム取付けプラットフォームと、対応するセットアップ関節240等の対応するマニピュレータ取付け部との間のコンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。
【0061】
遠隔の運動中心の座標フレーム342は、対応するマニピュレータ260の対応する遠隔の運動中心274等の、マニピュレータに取り付けられた器具の遠隔の運動中心に関連付けられる。次に、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換345は、対応する関節264の過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、対応するマニピュレータ取付け部と、対応するマニピュレータ260の対応する関節264、対応するリンク266、及び対応するキャリッジ268等の対応する遠隔の運動中心との間のコンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。対応する遠隔の運動中心が、
図2の実施形態のように、対応するマニピュレータ取付け部に対して固定した位置関係で維持される場合に、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換345は、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化しない本質的に静的な並進要素と、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化する動的な回転要素とを含む。
【0062】
器具の座標フレーム343は、対応するエンドエフェクタ276等の、器具の先端部に位置するエンドエフェクタに関連付けられる。次に、遠隔の運動中心対器具の変換346は、過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、対応する器具、エンドエフェクタ、及び遠隔の運動中心を移動及び/又は向き合せする、コンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。いくつかの例では、遠隔の運動中心対器具の変換346は、対応するシャフト272等のシャフトが遠隔の運動中心を通過する向きと、このシャフトが遠隔の運動中心に対して前進及び/又は後退する距離とを説明する。いくつかの例では、遠隔の運動中心対器具の変換346は、器具のシャフトの挿入軸線が遠隔の運動中心を通過するように制約してもよく、このシャフトによって規定される軸線の周りのシャフト及びエンドエフェクタの回転を説明する。
【0063】
運動学的モデル300では、関節式アームのうちの第2の関節式アームの運動学的関係が、マニピュレータ取付けの座標フレーム351、遠隔の運動中心の座標フレーム352、器具の座標フレーム353、アーム取付けプラットフォーム対マニピュレータ取付けの変換354、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換355、及び遠隔の運動中心対器具の変換356を用いて、取り込まれる。マニピュレータ取付けの座標フレーム351は、マニピュレータ260等のマニピュレータに関連する位置及び/又は向きを表すのに適したモデルを表す。マニピュレータ取付けの座標フレーム351は、対応する関節式アームのマニピュレータ取付け部262等のマニピュレータ取付け部に関連付けられる。次に、アーム取付けプラットフォーム対マニピュレータ取付けの変換354は、対応するセットアップ関節240の過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、アーム取付けプラットフォームと、対応するセットアップ関節240等の対応するマニピュレータ取付け部との間のコンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。
【0064】
遠隔の運動中心の座標フレーム352は、対応するマニピュレータ260の対応する遠隔の運動中心274等の、関節式アームに取り付けられたマニピュレータの遠隔の運動中心に関連付けられる。次に、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換355は、対応する関節264の過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、対応するマニピュレータ取付け部と、対応するマニピュレータ260の対応する関節264、対応するリンク266、及び対応するキャリッジ268等の対応する遠隔の運動中心との間のコンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。対応する遠隔の運動中心が、
図2の実施形態に示されるように、対応するマニピュレータ取付け部に対して固定した位置関係で維持される場合に、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換355は、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化しない本質的に静的な並進要素と、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化する動的な回転要素とを含む。
【0065】
器具の座標フレーム353は、対応する器具270及び/又はエンドエフェクタ276等の、器具の先端部に位置するエンドエフェクタに関連付けられる。次に、遠隔の運動中心対器具の変換356は、過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、対応する器具、エンドエフェクタ、及び遠隔の運動中心を移動及び/又は向き合せする、コンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。いくつかの例では、遠隔の運動中心対器具の変換356は、対応するシャフト272等のシャフトが遠隔の運動中心を通過する向きと、このシャフトが遠隔の運動中心に対して前進及び/又は後退する距離とを説明する。いくつかの例では、遠隔の運動中心対器具の変換356は、器具のシャフトの挿入軸線が遠隔の運動中心を通過するように制約してもよく、このシャフトによって規定される挿入軸線の周りのシャフト及びエンドエフェクタの回転を説明する。
【0066】
運動学的モデル300では、関節式アームのうちの第3の関節式アームの運動学的関係が、マニピュレータ取付けの座標フレーム361、遠隔の運動中心の座標フレーム362、カメラの座標フレーム363、アーム取付けプラットフォーム対マニピュレータ取付けの変換364、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換365、及び遠隔の運動中心対カメラの変換366を用いて、取り込まれる。マニピュレータ取付けの座標フレーム361は、マニピュレータ260等のマニピュレータに関連する位置及び/又は向きを表すのに適したモデルを表す。マニピュレータ取付けの座標フレーム361は、対応する関節式アームのマニピュレータ取付け部262等のマニピュレータ取付け部に関連付けられる。次に、アーム取付けプラットフォーム対マニピュレータ取付けの変換364は、対応するセットアップ関節240の過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、アーム取付けプラットフォームと、対応するセットアップ関節240等の対応するマニピュレータ取付け部との間のコンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。
【0067】
遠隔の運動中心の座標フレーム362は、対応するマニピュレータ260の対応する遠隔の運動中心274等の、関節式アームに取り付けられたマニピュレータの遠隔の運動中心に関連付けられる。次に、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換365は、対応する関節264の過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、対応するマニピュレータ取付け部と、対応するマニピュレータ260の対応する関節264、対応するリンク266、及び対応するキャリッジ268等の対応する遠隔の運動中心との間のコンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。対応する遠隔の運動中心が、
図2の実施形態に示されるように、対応するマニピュレータ取付け部に固定した位置関係で維持される場合に、マニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換365は、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化しない本質的に静的な並進要素と、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化する動的な回転要素とを含む。
【0068】
カメラの座標フレーム363は、関節式アームに取り付けられた内視鏡等の撮像装置に関連付けられる。次に、遠隔の運動中心対カメラの変換366は、過去及び/又は現在の関節センサの読取値と一緒に、撮像装置及び対応する遠隔の運動中心を移動及び/又は向き合せさせる、コンピュータ支援装置のリンク及び関節の1つ又は複数の運動学的モデルに基づくものである。いくつかの例では、遠隔の運動中心対カメラの変換366は、対応するシャフト272等のシャフトが遠隔の運動中心を通過する向きと、このシャフトが遠隔の運動中心に対して前進及び/又は後退する距離とを説明する。いくつかの例では、遠隔の運動中心対カメラの変換366は、撮像装置のシャフトの挿入軸線が遠隔の運動中心を通過するように制約してもよく、このシャフトによって規定される軸線の周りの撮像装置の回転を説明する。
【0069】
上で議論され、ここでさらに強調するように、
図3は、単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を過度に制限すべきでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、及び修正形態を認識するだろう。いくつかの実施形態によれば、手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合せは、代替の位置合せ変換を用いてテーブル面の座標フレーム310と装置ベースの座標フレーム320との間で決定してもよい。代替の位置合せ変換が使用される場合に、位置合せ変換325は、テーブルベース対テーブル面の変換315の逆/反対を用いて代替の位置合せ変換を合成することによって決定される。いくつかの実施形態によれば、コンピュータ支援装置をモデル化するために使用される座標フレーム及び/又は変換は、コンピュータ支援装置のリンク及び関節、その関節式アーム、そのエンドエフェクタ、そのマニピュレータ、及び/又はその器具の特定の構成に応じて異なるように構成してもよい。いくつかの実施形態によれば、運動学的モデル300の座標フレーム及び変換を用いて、1つ又は複数の仮想器具及び/又は仮想カメラに関連する座標フレーム及び変換をモデル化することができる。いくつかの例では、仮想器具及び/又はカメラは、以前に格納及び/又はラッチされた器具の位置、動作による器具及び/又はカメラの投影、外科医及び/又は他の従事者等によって規定された基準点等に関連付けてもよい。
【0070】
前述したように、コンピュータ支援システム100及び/又は200等のコンピュータ支援システムが動作する際に、手術台170及び/又は280等の手術台の動作が許容される間に、コンピュータ支援装置を用いて器具及び/又はエンドエフェクタの継続的な制御が可能になることが望ましいだろう。いくつかの例では、これは、まず、器具及びエンドエフェクタを患者から取り外すことなく、又は手術台を動かす前に器具をコンピュータ支援装置に結合するマニピュレータから患者の体内に留まる器具を接続解除することなく、手術台の動作が生じ得るので、時間のかかる処置を少なくすることができる。いくつかの例では、これにより、オプションで、外科医及び/又は他の医療従事者は、手術台のより最適な姿勢を得るために手術台の動作が行われている間に、臓器の移動を監視することができる。いくつかの例では、これは、オプションで、手術台の動作中に外科的処置を積極的に続けることも可能にする。
【0071】
図4は、いくつかの実施形態による一体化された手術台の動作の方法400の簡略図である。方法400のプロセス405~450のうちの1つ又は複数は、非一時的で、有形の機械可読媒体に格納された実行可能コードの形態で少なくとも部分的に実装され、そのコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御ユニット130内のプロセッサ140)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサにプロセス405~450の1つ又は複数を実行させることができる。いくつかの実施形態では、方法400は、まず、患者から器具又はエンドエフェクタを取り外すことなく、又は手術台を動かす前に器具をコンピュータ支援装置に結合するマニピュレータから患者の体内に留まる器具を接続解除することなく、手術台の動きを生じさせるために使用される。コンピュータ支援装置の1つ又は複数のマニピュレータが患者にドッキングされる間に、1つ又は複数の対応する器具が患者の解剖学的構造の内部にある。いくつかの例では、これにより、外科医及び/又は他の医療従事者は、手術台のより最適な姿勢を得るために手術台の動作が行われている間に、臓器の移動を監視することが可能になる。いくつかの例では、これは、オプションで、手術台の動作中に外科的処置を積極的に続けることも可能にする。いくつかの実施形態によれば、プロセス405~450が実行される順序は、オプションで、
図4の図面に示唆される順序から変更してもよい。いくつかの例では、オプションで、プロセス425の位置合せを、プロセス405、410及び/又は405の前に又はこれらを同時に実行してもよい。いくつかの例では、プロセス425の位置合せを、プロセス430~445と同時に実行及び/又は繰り返してもよい。いくつかの例では、プロセス430~445を同時に実行してもよい。
【0072】
プロセス405では、手術台及びコンピュータ支援装置が、手術中のテーブル動作のために準備される。いくつかの実施形態では、様々な準備ステップが、一般的に、手術台170及び/又は280等の手術台と、コンピュータ支援装置110及び/又は210等のコンピュータ支援装置が一体化(統合)される態様で使用される前に、実行され、ここでコンピュータ支援装置の器具が患者の体内に挿入される間に、手術台の動きが許容される。
【0073】
図5は、いくつかの実施形態による手術中のテーブル動作のために手術台及びコンピュータ支援装置を準備するプロセス405の簡略図である。プロセス405のプロセス510~570のうちの1つ又は複数は、非一時的で、有形の機械可読媒体に格納された実行可能コードの形態で少なくとも部分的に実装され、このコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御ユニット130内のプロセッサ140)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサにプロセス510~570の1つ又は複数を実行させることができる。いくつかの実施形態では、プロセス405を用いて、手術台及びコンピュータ支援装置を準備及び/又は構成し、コンピュータ支援装置の1つ又は複数の器具が患者の体内に挿入される及び/又は1つ又は複数の対応する器具が患者の解剖学的構造の内部にある間に、手術台の動作が行われる。いくつかの実施形態によれば、プロセス510~570が実行される順序は、オプションで、
図5の図面によって示唆される順序から変更してもよい。いくつかの例では、プロセス520の手術台及びコンピュータ支援装置の再配置を阻止することは、オプションで、プロセス510~540のいずれかの前、途中、又は後に実行してもよい。例えば、患者は、プロセス520で再配置の阻止が行われる前に、この患者の上に向き合せされた手術台及び/又はコンピュータ支援装置上に患者を置くことができる。
【0074】
プロセス510では、手術台とコンピュータ支援装置との間の接続が確立される。手術中のテーブル動作の間に適切な安全性を提供するために、コンピュータ支援装置は、手術台に対して監督能力で動作しているので、コンピュータ支援装置からの承認なしに手術台の動きは行われない。手術台を監督するために、手術台とコンピュータ支援装置との間に通信接続が確立される。いくつかの例では、通信接続は、
図1の実施形態で説明したように、手術台170と制御ユニット130との間のインターフェイスに対応してもよい。いくつかの例では、接続は、赤外線近接検出システムを含むことができ、手術台及びコンピュータ支援装置が互いに適切に近接していることを確認するのに役立つ。いくつかの例では、適切な赤外線放射器及び/又は検出器は、手術室及び/又は介入処置室の他の装備によって、及び/又は医療従事者によって覆い隠される可能性のない位置で、手術台のベース及びコンピュータ支援装置のベースの位置に取り付けてもよい。赤外線放射器及び検出器が互いに所定範囲内で移動されると、様々な識別子、キー、及び/又はメッセージが交換され、手術台及びコンピュータ支援装置は、それぞれ、手術術中のテーブル動作をサポートする互換装置に近接していること、及び進行中の接続を確立することを確認することができる。いくつかの例では、メッセージは、オプションで、接続を調整するためのメッセージ、手術台移動要求のためのメッセージ、手術台移動要求を承認するためのメッセージ、状態及び/又は運動学的情報を交換するためのメッセージ等を含むことができる。いくつかの例では、赤外線近接検出システムの代替及び/又は補完として、オプションで、無線周波数信号、近距離通信等に基づく無線接続を用いてもよい。いくつかの例では、赤外線近接検出システム又は他の通信システムの代替及び/又は補完として、オプションで、手術台及びコンピュータ支援装置の対応する通信ポート同士の間に、1つ又は複数のケーブルを結合してもよい。いくつかの例では、1つ又は複数のケーブルは、接続を確立する際に置き換えられ及び/又はその接続確立に冗長性を提供してもよい。いくつかの実施形態では、接続部は、以下でさらに詳細に説明するように、手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合せを補助するための1つ又は複数の機械的装置を追加で含んでもよい。
【0075】
プロセス520では、手術台及びコンピュータ支援装置の再配置が阻止される。手術台とコンピュータ支援装置との両方の可動域が制限されているので、手術台とコンピュータ支援装置との位置合せを維持するのを補助するために、手術台とコンピュータ支援装置との両方の相対的な配置が、手術中のテーブル動作の間に阻止される。こうして、手術台及びコンピュータ支援装置が手術中のテーブル動作モード(以下のプロセス420参照)に入ることを許可する前の時点で、手術台及びコンピュータ支援装置の更なる再配置が阻止される。いくつかの例では、これは、手術台のベースとコンピュータ支援装置のベースとの間の相対運動も阻止し得る。いくつかの実施形態では、手術台及びコンピュータ支援装置の再配置は、手術台のベース又はコンピュータ支援装置のベースの1つ又は複数の脚部、車輪、及び/又は取付けクランプをロックすることにより阻止され、手術台又はコンピュータ支援装置のベースのいずれも、手術中のテーブル動作の間に床を横切って転がったり、壁に沿って移動したり、手術室及び/又は介入処置室の天井に沿って移動したり、及び/又はテーブル面に沿って移動することはできない。いくつかの例では、カニューレがもう1つのマニピュレータ又は器具に取り付けられると、コンピュータ支援装置の脚部、車輪、及び/又は取付けクランプが自動的にロックすることができる。いくつかの例では、1つ又は複数のセンサを用いて、脚部、車輪、及び/又は取付けクランプのロック状態を、手術中のテーブル動作に亘って監視する。いくつかの例では、脚部、車輪、及び/又は取付けクランプのロック喪失が検出されると、これは、手術中のテーブル動作の早期終了を生じさせる可能性がある。いくつかの例では、手術台のベース及び/又はコンピュータ支援装置のベースのいずれかの動きは、対応する脚部、車輪、又は取付けクランプに関連するシーケンス番号を監視することによって決定することができる。いくつかの例では、脚部、車輪、及び取付けクランプのロックのそれぞれが係合及び/又は係合解除した回数を追跡するシーケンス番号を用いて、1つ又は複数の一時的なロック喪失を判定することができる。各車輪に関連する回転エンコーダ及び/又は回転カウンタを監視して、いずれかの車輪の回転を検出することができる。シーケンス番号のいずれかの変化は、手術台のベース及び/又はコンピュータ支援装置のベースの再配置が行われたか又は発生していることの指標を示す。
【0076】
プロセス530では、患者が手術台上に置かれる。いくつかの例では、患者を手術台に置き、患者を手術台に固定し、患者が適切に固定されることを確認するために、医療活動及び/又は推奨される医療行為が使用され得る。いくつかの例では、患者を手術台に置くことには、例えば、傾斜及び/又はトレンドレンブルグの設定をニュートラル0°に調整することによって、テーブルの上部を水平出しすることがさらに含まれ得る。いくつかの例では、テーブルの上部に患者をセンタリングしてもよく、及び/又は手術台の関節式構造の上にテーブルの上部をセンタリングするように、テーブルのスライドを調整してもよい。いくつかの例では、テーブルの高さを調整することもできる。いくつかの例では、アイソセンタ286等の手術台のアイソセンタは、オプションで、意図した手術部位に略対応する、手術台の上部の点に調整してもよい。いくつかの例では、この点は、手術台の上部の約35cm上方に位置し得る。いくつかの例では、アイソセンタ286は、遠隔の運動中心274に対応する、切開部位又は身体オリフィス等の身体開口部の1つ又はこの近くで患者の体壁と共に配置することができる。いくつかの例では、1つ又は複数の遠隔の運動中心及び/又は意図した手術部位の位置に又はこの近くにアイソセンタを配置することによって、トレンドレンブルグ調整が手術台に対して行われたときに、コンピュータ支援装置によって補償しなければならない手術台の動きの量を低減することができる。
【0077】
プロセス540では、コンピュータ支援装置が、患者の上で向き合わせされる。処置中に適切な可動域を可能にするために、コンピュータ支援装置の関節式アーム、エンドエフェクタ、及び/又はマニピュレータは、所望の手術部位に基づいて患者の上に位置付けされ、向き合せされる。いくつかの例では、これは、器具、エンドエフェクタ、及び/又はマニピュレータが所望の手術部位の上で及びこの周りに位置付けされるように、コンピュータ支援装置のセットアップ構造及び/又はセットアップ関節の1つ又は複数の関節を調整することを含んでもよい。
図2の実施形態と一致して、この向き合せは、所望の手術部位の上にアーム取付けプラットフォーム227をセンタリングし、このアーム取付けプラットフォーム227を回転させて、アーム取付けプラットフォーム227に取り付けられた関節式アームが所望の手術部位の周りに配置され、及び/又はアーム取付けプラットフォーム227の高さを調整することを含むことができる。この向き合せを実行するために使用される可能な目標及び/又は動作のより詳細な議論は、2014年7月15日に出願された、”System and Method for Aligning with a Reference Target”という標題の米国仮特許出願第62/024,887号、2014年3月17日に出願された、”System and Method for Aligning with a Reference Target”という標題の米国仮特許出願第61/954,261号、及び2015年3月17日に出願された、”System and Method for Maintaining a Tool Pose”という標題のPCT特許出願第PCT/US15/21089号により詳細に記載されており、これら各文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
プロセス550では、撮像装置が配置される。外科医及び/又は他の医療従事者に手術部位の画像を提供するために、撮像装置を患者にドッキングすることができる。いくつかの例では、患者に切開を行い、腹壁等の、患者の外部解剖学的構造を通してカニューレを挿入することができる。次に、カニューレは、遠隔の運動中心の座標フレーム362に対応するマニピュレータ等の、マニピュレータの1つの先端部に取り付けられる。内視鏡等の撮像装置は、器具としてマニピュレータに取り付けられ、次にカニューレを通して挿入され、患者の解剖学的構造の内部画像を得る。
【0079】
プロセス560では、所望の手術部位が標的とされる。撮像装置がカニューレを通って挿入されると、撮像装置が取り付けられたセットアップ関節及び/又はマニピュレータの1つ又は複数の関節が、撮像装置を向き合せするように調整される。次に、撮像装置は、視線方向が所望の手術部位に向き、カメラの座標フレーム363等の対応するカメラの座標フレームの視線方向軸線が同じ方向を向くように向き合せされる。所望の作業深さまで、撮像装置を挿入及び/又は後退させてもよい。いくつかの例では、撮像装置を回転して、撮像画像及び対応するカメラの座標フレームにおける適切な視野方向を提供することもできる。いくつかの例では、医療従事者が撮像装置の向きを手動で調整できるように、セットアップ関節及び/又はマニピュレータの1つ又は複数の関節をロック解除状態にすることができる。いくつかの実施形態では、所望の手術部位が標的とされると、患者の上でコンピュータ支援装置をより良く向き合せするために、コンピュータ支援装置に対して追加の調整を行うことができる。いくつかの例では、このような整列手順等の整列手順が、2014年7月15日に出願された、”System and Method for Aligning with a Reference Target”という標題の米国仮特許出願第62/024,887号、2014年3月17日に出願された、”System and Method for Aligning with a Reference Target”という標題の米国仮特許出願第61/954,261号、及び2015年3月17日に出願された、”System and Method for Maintaining a Tool Pose”という標題のPCT特許出願第PCT/US15/2108号に詳細に記載されており、これら各文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
オプションのプロセス570では、追加のマニピュレータ及び器具を配置してもよい。プロセス550と同様のプロセスを用いて、1つ又は複数の追加の器具を、対応するマニピュレータに取り付け、且つ対応するカニューレを用いて患者の体内に挿入することができる。次に、器具のエンドエフェクタが、現在の処置のための適切な姿勢に置かれる。
【0081】
図4を再び参照すると、プロセス410では、手術中のテーブル動作エントリ要求が受信される。いくつかの例では、手術中のテーブル動作モードへのエントリは、手術台及び/又はコンピュータ支援装置を操作する医療従事者からの明示的な要求によって行われる。いくつかの例では、コンピュータ支援装置を操作する医療従事者は、ペダル、スイッチ、ボタン、グラフィカルユーザインターフェイス制御等の、オペレータワークステーション上の1つ又は複数の入力制御を用いて、手術中のテーブル動作エントリを要求することができる。いくつかの例では、麻酔医等の手術台を操作する医療従事者は、手術台の手術台命令ユニット上のボタン等の1つ又は複数の手術台制御を用いて、手術中のテーブル動作エントリを要求することができる。いくつかの例では、手術中のテーブル動作エントリ要求は、手術台とコンピュータ支援装置との間の接続を介して受信される1つ又は複数のメッセージとして、及び/又は制御ユニット130等のシステム制御ユニットによって受信される1つ又は複数のメッセージとして受け取ることができる。いくつかの例では、手術中のテーブル動作エントリ要求は、手術台とコンピュータ支援装置との間の接続が確立され、少なくとも1つの器具がマニピュレータに取り付けられ、且つ患者の体内に挿入されたことを検出することに応答して自動的に生じる。
【0082】
図6は、いくつかの実施形態による手術台命令ユニット600の一部の簡略図である。
図6に示されるように、手術台命令ユニット600は、テレビ、デジタルビデオレコーダ等の家電装置に一般的に使用されるリモコンと同様のサイズ及び形状であってもよい。いくつかの例では、手術台命令ユニット600は、手術台命令ユニット600と、手術台内のコントローラ、電子機器、及び/又はプロセッサとの間の通信をサポートするケーブルを用いて、手術台に結合してもよい。いくつかの例では、手術台命令ユニット600は、代替的に、赤外線、無線周波数、及び/又は近距離インターフェイス等の無線インターフェイスを用いて、手術台に結合してもよい。手術台命令ユニット600は、様々な領域に分割され、各領域は、入力ボタン及び/又は状態情報を提供する。いくつかの例では、各ボタンの照明は、オプションで、どのボタンが手術台の動作コマンドを入力するために利用可能であるかを示すように操作されてもよい。例えば、利用可能なアクティブなボタンが点灯し、利用出来ない非アクティブなボタンは点灯しない。いくつかの例では、オプションで、非アクティブなボタンからの点灯を排除する代わりに、アクティブの場合には緑、非アクティブである場合には赤等の照明の色を使用してもよい。
【0083】
手術台命令ユニット600は、オプションの手術中のテーブル動作入力ボタン610を含む。手術台命令ユニット600のオペレータは、手術中のテーブル動作入力ボタン610を用いて、手術中のテーブル動作モードを開始及び/又は終了することができる。手術台命令ユニット600が方法400の間に使用される場合に、手術中のテーブル動作入力ボタン610を押すと、プロセス410中に受信された手術中のテーブル動作エントリ要求をトリガすることができる。いくつかの例では、手術中のテーブル動作入力ボタン610は、プロセス415に関して以下でさらに詳細に説明するように、条件が手術中のテーブル動作に適しているかどうかを示すために制御可能に点灯させることができる。
【0084】
手術台命令ユニット600は、手術台の脚部及び/又は車輪のロックを制御するために使用される移動(transport)ロックボタン620及びロック解除ボタン630をさらに含んでもよい。いくつかの例では、プロセス520中にロックボタン620を用いて、手術台の脚部及び/又は車輪のロックを可能にする。いくつかの例では、手術台の脚部及び/又は車輪がロックされたときに、ロックボタン620を点灯させてもよい。いくつかの例では、手術台及びコンピュータ支援装置が手術中のテーブル動作モードにあるときに、ロック解除ボタン630を無効にしてもよい。
【0085】
手術台命令ユニット600は、いくつかの移動要求ボタン640をさらに含む。移動要求ボタン640は、手術中のテーブル動作だけでなく手術台の他の動作モードにおいて手術台移動要求を行うために使用してもよい。
図6に示されるように、移動要求ボタン640は、手術台の上部を左右に傾斜させる、手術台のトレンドレンブルグ設定を調整する、及び床に対する手術台の上部の高さを調整するためのボタンを含む。手術台の動作モード及び/又は可動域の制限に達したかどうかに応じて、それぞれの移動要求ボタン640がアクティブであるかどうかを示すために、各移動要求ボタン640を制御可能に点灯させてもよい。例えば、手術台が完全な高さまで延ばされている場合に、高さ上昇ボタンから点灯を消してもよい。
図6には示されていないが、追加の移動要求ボタンが、長手方向のスライド、頭を上げる、頭を下げる、足を上げる、足を下げる等を制御するためのボタンとして手術台命令ユニット600に含めてもよい。
【0086】
手術台命令ユニット600は、状態表示領域650をさらに含む。状態表示領域650は、手術台の状態及び/又は設定を表示するためのマルチラインディスプレイ及び/又はラスタディスプレイを含む。状態表示領域650は、状態情報の1つ又は複数のライン及び/又は1つ又は複数の状態アイコンを含むことができる。
図6の例では、表示領域650は、手術中のテーブル動作の状態、脚部/車輪/取付けクランプのロック、通信接続、及び電源のための状態アイコンだけでなく、トレンデレンブルグ姿勢、傾斜、高さ、スライド、脚部、背もたれ等の現在の設定を示す状態ラインも含む。
【0087】
図6には示されていないが、手術台命令ユニット600は、追加のボタン及び/又は状態表示領域を含むことができる。いくつかの例では、追加ボタンは、手術台への電力を制御するため、手術台を自動水平出しするため、手術台をコンピュータ支援装置から接続解除する等のためのボタンを含むことができる。
【0088】
図4を再び参照すると、プロセス415では、手術中のテーブル動作が許可されるかどうかが判定される。手術台及びコンピュータ支援装置の動作に適切な安全性を提供するために、手術中のテーブル動作へのエントリが許容される前に、いくつかの安全インターロック及び/又はチェックが実行される。いくつかの例では、このチェックは、プロセス510~570のそれぞれが実行されたことを確認することを含んでもよい。これは、例えば、手術台とコンピュータ支援装置との両方が初期化されること、手術台とコンピュータ支援装置との両方の脚部、車輪、及び/又は取付けクランプがロックされていること、及び少なくとも1つの器具が、マニピュレータに取り付けられ且つ患者の体内に挿入されたことを確認することを含むことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、オプションの追加チェックを行うこともできる。いくつかの例では、追加チェックは、外科医及び/又は他の従事者がオペレータコンソールに存在することを確認することを含んでもよい。いくつかの例では、これは、患者にドッキングされた撮像装置からの画像を表示するモニタ上の(頭部を配置する)ヘッドイン(head-in)センサ等の任意の適切なインターロックによって、オペレータが患者の体内に挿入された器具の動きを視覚的に監視するために存在していることを示す。いくつかの例では、追加チェックは、マニピュレータに取り付けられ且つ対応するカニューレを超えて挿入された器具のエンドエフェクタが、プロセス550中に配置された撮像装置の視野内にあることを確認することを含んでもよい。これは、オペレータが手術中のテーブル動作の間に挿入された器具を観察することを保証するのに役立つ。いくつかの例では、追加チェックは、コンピュータ支援装置の関節のいずれもが、アーム取付けプラットフォーム227、セットアップ関節240及び対応するリンク、及び/又はマニピュレータに取り付けられ且つ患者の体内に挿入された器具のいずれかに関連するマニピュレータ260上に配置されたロック解除ボタンを用いて、オペレータ等によって手動でロック解除されていないことを確認することを含んでもよい。いくつかの例では、追加チェックは、コンピュータ支援装置の1つ又は複数の関節が可動域の制限に又はこの近くにあるかどうか、及び/又はコンピュータ支援手術用装置が、手術台の動きを補償するために器具の姿勢を連続的に変化させているかどうかを判定する監視チェックを含んでもよい。いくつかの例では、追加チェックは、計画した手順が、手術中のテーブルの動きに適合する手順のリストにあるかどうか、ドッキングしたアームに関連するカニューレの挿入点が、十分な剛性をカニューレに提供して、患者が移動する際に手術中のテーブル動作の結果としてカニューレ及び器具のドラッギングをサポートするかどうか、及び/又はマニピュレータに取り付けられた器具が、手術中のテーブル動作に適合しているかどうかの評価を含む。いくつかの例では、互換性のない器具は、手術中のテーブル動作と互換性のある手順のリストにない、他の手順のための心臓、経口腔、及び/又は器具用の器具であってもよい。いくつかの例では、追加チェックは、手術台及び/又はコンピュータ支援装置が、手術中のテーブル動作について患者、手術用ドレープ、ケーブル等による障害等について十分なクリアランスを有するかどうかを判定するために、クリアランスチェックに関連する1つ又は複数のオペレータ確認チェックを含んでもよい。いくつかの例では、追加チェックは、関節式アーム、マニピュレータ、及び/又は取付けられた器具が許容できない機能低下なしに機能及び/又は動作しているかどうかを判定することを含むことができる。いくつかの例では、追加チェックは、他のシステム、較正、及び/又は同様のチェックを含んでもよい。
【0090】
手術中のテーブル動作が許可されない場合に、手術中のテーブル動作へのエントリは、プロセッサによって阻止され、手術中のテーブル動作エントリ要求は拒否される。いくつかの例では、手術中のテーブル動作が阻止された場合に、1つ又は複数の情報メッセージ、警告等が、手術中のテーブル動作が何故阻止されかの理由を説明するために発することができる。いくつかの例では、手術中のテーブル動作要求が拒否されると、この方法は、プロセス410に戻り、別の手術中のテーブル動作エントリ要求を受信するまで待機する。手術中のテーブル動作が許可された場合に、手術中のテーブル動作がプロセス420から開始される。
【0091】
プロセス420では、手術中のテーブル動作が入力される。プロセス410中の手術中のテーブル動作エントリ要求の受信及びプロセス415の安全性インターロック及び/又はチェックを正常に通った後に、コンピュータ支援装置及び手術台は、手術中のテーブル動作を開始するのを許可される。患者は手術中のテーブル動作の間に手術台の上部による移動の結果として移動し得るので、ドッキングされた関節式アームの遠隔の運動中心は、カニューレが患者の体壁を通過する身体開口部に過度のストレスが加わるのを避けるために同様に移動する必要がある。いくつかの例では、患者の体壁によりカニューレに加えられる力を緩和するために、コンピュータ支援装置は、身体開口部を介して患者の体内に挿入される器具を有する各関節式アームのセットアップ関節及び/又はマニピュレータの1つ又は複数の関節が、解放及び/又はロック解除され、対応する遠隔の運動中心が動くことが可能になるようなモードに置かれる。いくつかの例では、関節式アームの有効質量及び/又は、解放及び/又はロック解除された関節の摩擦が十分に小さい場合に、患者の体壁は、カニューレに十分な力を加えることができ、それによって、遠隔の運動中心は、器具が挿入されるカニューレをドラッギング(dragging)するだけでなく、時には「器具ドラッギング」と呼ばれる対応するマニピュレータ及びセットアップ関節をドラッギングすることにより、患者と一緒に移動する。こうして、器具ドラッギングへの前提条件として、患者の体内に挿入され取り付けられた各器具のセットアップ関節及び/又はマニピュレータのそれぞれにおける1つ又は複数の関節が、解放及び/又はロック解除される。いくつかの例では、セットアップ関節、マニピュレータ、及び/又は器具の動きが器具ドラッギング中に追跡され、セットアップ関節、マニピュレータ、及び器具が、質量がない又は質量が殆どないような効果を得るために対応する関節動作が導入される、重力又は質量補償モードが、オプションで使用される。
【0092】
手術台の動きが開始する前であっても、患者の体壁が、器具が挿入されたカニューレにアサートされた(asserted)力及び/又は押圧(pent up)力を既に適用していることが多い。いくつかの例では、これらの押圧力は、これらの器具の遠隔の運動中心が対応する身体開口部と十分に並置されていない場合に、器具の運動学の制御における誤差、手術台の動きでない患者の動き、患者の吹送の変化、マニピュレータ及び/又は器具の早期の動きによって引き起こされるストレス等の結果として、生じることがある。こうして、関節が解放及び/又はロック解除されると、器具ドラッギングによって、器具及び/又はエンドエフェクタに望ましくない動きが誘発されて、押圧力が緩まることがある。この望ましくない動きが十分に大きい場合に、その望ましくない動きは、患者への損傷及び/又はコンピュータ支援装置の損害を生じさせる可能性がある。いくつかの例では、関節が解放及び/又はロック解除されるときに遠隔の運動中心及び/又はエンドエフェクタを監視すること、及びセットアップ関節及び/又はマニピュレータの他の関節を用いて補償動作を適用することによって、この望ましくない動きを大幅に低減させることができる。いくつかの実施形態では、オプションで、以下に記載の文献に詳細に記載される技術を用いてオペレータコンソールでのオペレータによる1つ又は複数の器具及びエンドエフェクタの継続的な操作を許容しながら、望ましくない動きを大幅に低減することができる、その文献は、2015年3月17日に出願された、”System and Method for Reducing Tool Disturbances”という標題の米国特許出願第62/134,212号、及び同時に出願された、”System and Method for Instrument Disturbance Compensation”という標題のPCT特許出願(代理人整理番号ISRG07010PCT/70228.490WO01)であり、これら両文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、望ましくない動きの量は、以下の文献にさらに詳細に記載されるように、関節の解放及び/又はロック解除の順序及び/又はタイミングを交互に行う及び/又は慎重に制御することによって、一連のより小さな外乱に縮小させることもできる、その文献は、2015年3月17日に出願された、”System and Method for Reducing Tool Disturbance”という標題の米国仮特許出願第62/134,225号、及び同時に出願された、”Medical Device with Active Brake Release Control”というPCT特許出願(代理人整理番号ISRG06990PCT/70228.488WO01)にさらに詳細に記載されており、これら両文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、手術中のテーブル動作をサポートするのを補助するために、
図3の変換等の手術台及び/又はコンピュータ支援装置の1つ又は複数の運動学的関係が、手術中のテーブル動作に入る前に記録及び/又はラッチされ、手術中のテーブル動作が許可される前のマニピュレータ、器具、及び/又はエンドエフェクタの位置及び向きのベースライン記録を提供する。いくつかの例では、運動学的関係は、手術中のテーブル動作に入る直前に記録される。いくつかの例では、プロセス550中にドッキングされた撮像装置の再位置付けが完了するときはいつでも、この運動学的関係がオプションで記録される。手術中のテーブル動作が生じると、ベースライン記録は、オプションで、手術台の動きによって誘発されたマニピュレータ、器具、及び/又はエンドエフェクタの動きを検出するために使用され、それらの誘発された動きを自動的に補償することができる。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、手術中のテーブル動作が生じる移行期間は、押圧力によって誘発される望ましくない動きを補償し続けながら、押圧力を解放させるのに十分長くされる。いくつかの例では、移行期間は、数秒の長さ、例えば2.5秒程度であってもよい。いくつかの例では、器具及び/又はエンドエフェクタのオペレータ操作は、オプションで、手術中のテーブル動作エントリ移行期間中に許容される。
【0095】
プロセス425では、手術台及びコンピュータ支援装置が位置合わせされる。手術中のテーブル動作をサポートするために、手術台とコンピュータ支援装置との間の相対的な位置付け及び/又は向きを決定するために、手術台及びコンピュータ支援装置を少なくとも部分的に位置合わせすることが有用である。位置合せ変換325に関して上述したように、手術台のベースの座標フレーム及びコンピュータ支援装置のベースの座標フレームが共通の垂直上向き又はz軸を有しており、且つコンピュータ支援装置のベースの高さが手術台のベースに対して既知であるという仮定で、位置合せは、手術台のベース及びコンピュータ支援装置のベース上の基準点同士の間の水平方向又はx-y並進、及び/又は手術台ベースと患者側のカートとの間の回転関係を決定するものとして特徴付けることができる。いくつかの例では、回転関係、すなわちθZ位置合せは、手術台の垂直上向き又はz軸に対するコンピュータ支援装置のベースの向きを説明することができる(例えば、コンピュータ支援装置のベースが、手術台と整列される、又は床上の手術台のベースの回転及び/又はコンピュータ支援装置のベースの回転によって手術台に対してある角度で整列される)。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、位置合せは、手術台と患者側カートとの間の既知の幾何学的関係を強制する1つ又は複数の物理的な位置合せ装置を用いて決定される。いくつかの例では、物理的な位置合せ装置は、手術台に対して患者側カートの位置及び/又は向きをロックする1つ又は複数のバー(bar)、治具等を含むことができる。いくつかの例では、物理的な位置合せ装置を用いて手術台及びコンピュータ支援装置を位置合わせするための技術は、2015年3月17日に出願された、”Methods and Devices for Tele-Surgical Table Registration”という標題のPCT特許出願第PCT/US2015/20891号にさらに詳細に記載されており、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、位置合せの幾何学的関係は、手術台及び患者側カート上の既知の点同士の間の既知の位置及び/又は向きを決定するために使用される1つ又は複数の関節式及び/又はフレキシブルな位置合せ装置を用いて決定される。いくつかの例では、位置合せ装置は、1つ又は複数のセンサを有する関節式構造を含み、そのセンサは関節式構造の1つ又は複数の関節の位置及び/又は向きを報告し、この報告から、位置合せ構造の運動学的モデルを用いて、関節式構造の2つの端部の間の幾何学的関係を決定することができる。いくつかの例では、位置合せ装置は、コア領域を有する光ファイバを含み、このコアの全長に沿って配置された複数のファイバブラッグ格子を含むことができる。いくつかの例では、光ファイバの問合せ装置(interrogator)を用いて、光ファイバの屈曲及びねじれを検出し、光ファイバの端部同士の間の幾何学的関係を決定することができる。いくつかの例では、2008年6月30日に出願された、”Fiber Optic Shape Sensor”という標題の米国特許第7,720,322号(この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。)に詳細に記載される技術と同様の技術を用いて、手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合わせを決定するために光ファイバを使用することができる。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、位置合せの幾何学的関係は、手術台の動きが、器具ドラッギングを受けたコンピュータ支援装置の遠隔の運動中心にどの様な動きを誘起させるかの観察に基づいて、決定してもよい。いくつかの例では、手術台の観察された動きは、例えば移動要求ボタン640を使用すること及び/又は位置合せ手順による手術台の動作の制御シーケンスを開始すること等による、オペレータによって行われた手術台移動要求の結果として生じる手術台の動きと関連し得る。いくつかの例では、位置合せは、θZ位置合せが最初に決定され、次に水平方向又はXY位置合せが続く段階で行ってもよい。いくつかの例では、XY位置合せは、傾斜及びトレンデレンブルグ運動が観察されるまで段階的に行ってもよい。いくつかの例では、手術台及びコンピュータ支援装置を位置合わせするための技術は、2015年3月17日に出願された、”System and Method for Registering to a Surgical Table”という標題の米国仮特許出願第62/134,296号、及び同時に出願された、”System and Method for Registering to a Surgical Table”という標題のPCT特許出願(代理人整理番号ISRG06960PCT/70228.486WO01)にさらに詳細に記載されており、これら両文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
プロセス430では、手術機能を実施するために手術台の動作が実行される。プロセス420中に手術中のテーブル動作が入力され、且つ器具ドラッギングを許容するために使用される関節の解放及び/又はロック解除による外乱が補償されると、手術台の動きが開始する。一般的に、手術台の動きは、反復的な要求-チェック-移動手順を用い、こうして手術台移動要求を受信し、要求された移動を評価してこの移動要求を許可すべきかどうかを決定し、承認を受けた後に手術台の動作を実行する。この反復手順では、手術台の移動を許可するかどうかは、コンピュータ支援装置によって制御され、手術台の動きが、患者、手術台、及び/又はコンピュータ支援装置の適切な安全性を維持しながら、手術台の動きに対して適切に応答し補償するように、コンピュータ支援装置の能力内で許可される。
【0100】
図7は、いくつかの実施形態による手術台の動作を実行するためのプロセス430の簡略図である。プロセス430のプロセス710~760のうちの1つ又は複数は、非一時的で、有形の機械可読媒体に格納された実行可能コードの形態で少なくとも部分的に実装され、このコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御ユニット130内のプロセッサ140(複数可))によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、プロセス710~760の1つ又は複数を実行させることができる。いくつかの実施形態では、プロセス430を用いて、反復的な要求-チェック-移動手順を実行することができる。いくつかの例では、プロセス430中の動きの記録を用いて、オプションで、コンピュータ支援装置によって適切に応答及び/又は補償されない位置及び/又は方向から手術台を遠ざけるような1つ又は複数の追加の手術台の動作モードをサポートすることができる。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、プロセス430は、反復制御ループを用いて実行される。いくつかの例では、各手術台移動要求が受信されると、その要求はプロセス710~760を用いて以下に説明するように処理され、次に、プロセス710~760が立て続けに反復されて、手術台移動要求の連続的なストリームが受け取られ、承認され、及び適用されるような感覚を与える。いくつかの例では、オペレータが移動要求ボタン640のいずれか等の移動要求ボタンを押下して保持すると、移動要求ボタンが押下されている限り、承認された手術台の動きが適用されるように見える。いくつかの例では、プロセス710~760の反復制御ループは、毎秒複数回、例えば10ms(ミリ秒)毎に完了する。いくつかの例では、移動要求が承認され、同じ移動要求ボタンが押下されると、可動域の制限、差し迫った衝突、オペレータ停止コマンド、及び/又は何らかの他のイベントが移動要求の承認の取消しをトリガするまで、手術台の動きを許可する。
【0102】
プロセス710では、手術台移動要求が受信される。いくつかの例では、手術台移動要求は、外科医及び/又は他の医療従事者によって、
図1に関して説明したワークステーション等のオペレータワークステーションを用いて開始することができる。いくつかの例では、手術台移動要求は、手術台命令ユニット600等の手術台命令ユニットを用いて、外科医及び/又は麻酔医等の他の医療従事者によって開始してもよい。いくつかの例では、手術台移動要求は、移動要求ボタン640のうちの1つを押下して保持することに対応してもよい。いくつかの例では、手術台移動要求は、手術台命令ユニットを制御ユニットに結合する1つ又は複数の通信接続を介して、制御ユニット130等の、コンピュータ支援装置の制御ユニットに通信してもよい。いくつかの例では、手術台移動要求は、コンピュータ支援装置の動作制御アプリケーション160等の動作制御アプリケーション内の1つ又は複数のAPI呼出し(コール)の起動によって開始してもよい。
【0103】
プロセス720では、手術台の動きを許可するかどうかが決定される。いくつかの実施形態では、手術台の動きを許可するかどうかの決定は、プロセス415中に手術中のテーブル動作を許可するかどうかを決定するために使用された1つ又は複数のチェックに基づいてもよい。いくつかの例では、同じチェックの使用は、手術中のテーブルの動作中に、手術台及び/又はコンピュータ支援装置の進行中の監視を表し、その適切な安全性が、患者、手術台、及びコンピュータ支援装置に維持されていることを保証する。いくつかの例では、チェックは、オプションで、手術台及び/又はコンピュータ支援装置の脚部、車輪、及び/又は取付けクランプがロックされた状態のままであることを確認すること、外科医及び/又は他のオペレータがオペレータコンソールに依然として(頭部を配置する)ヘッドインした状態であることを確認すること、ドッキングされた関節式アームに取り付けられた器具のエンドエフェクタが撮像装置の視野内にあり、及び/又は対応するカニューレに後退されることを確認すること、コンピュータ支援装置が進行中の手術台の動きを依然として追跡していることを確認すること、コンピュータ支援装置及び手術台が通信していることを確認すること等の1つ又は複数を含むことができる。いくつかの例では、1つ又は複数のチェックは、手術中のテーブル動作の間に、要求された動きのタイプを許容する確認をさらに含んでもよい。いくつかの例では、手術中のテーブル動作の間に許容される動作のタイプは、高さ調整、傾斜調整、トレンデレンブルグ調整、及び/又はスライド調整等、手術台の可能な動きのサブセットに限定してもよい。いくつかの例では、以下でさらに詳細に説明するように、プロセス760の間に決定された許可された手術台移動の決定に基づいて、許容される移動のタイプをさらに制限してもよい。いくつかの例では、許容される移動のタイプは、プロセス425の位置合せが完了したかどうかに応じて制限してもよい。いくつかの例では、3つ未満の関節式アーム及び/又はマニピュレータが患者にドッキングされると、手術台の動作のタイプは、制限された能力によって高さ調整に限られているため、手術台とコンピュータ支援手術との間の位置合わせを適切に決定する。要求された手術台の動きがコンピュータ支援装置によって許可及び/又は許容されると、プロセス730で始まる動作を実行する前に、可動域(ROM)の制限が検査される。手術台移動要求が許可されない場合に、手術台移動要求は無視され、プロセス430は、プロセス710を用いて別の手術台移動要求を待つのを継続する。いくつかの例では、手術台移動要求が許可されない場合に、オペレータコンソールの外科医に及び/又は手術台命令ユニットを操作する医療従事者に、1つ又は複数の音声及び/又は視覚警告を与えてもよい。
【0104】
プロセス730では、コンピュータ支援装置が可動域の制限にあるか、又はその近くにあるかどうかが判定される。プロセス720中に実行されるチェックに加えて、手術台の動きを補償するために使用したセットアップ関節及び/又はマニピュレータの関節を監視して、それらセットアップ関節及び/又はマニピュレータの関節が可動域の制限にあるか又はその近くにあるかを判定する。その1つの関節が可動域の制限に又はその近くにある場合に、これは、対応する関節式アームが、対応する遠隔の運動の中心における対応するカニューレの器具ドラッギングによって生じた器具及び/又はエンドエフェクタに誘発された動きを適切に補償できないことを示す指標である。いくつかの例では、可動域の制限は、関節が一定の制限を超えて移動することを許容しない関節の物理的特性によるハード面での可動域の制限を含む。いくつかの例では、可動域の制限は、関節の動きを停止させるのに役立つ対応するハード面での可動域(の制限)がハード面での可動域の制限に到達する前の点に設定されるようなソフト面での可動域の制限を含む。いくつかの例では、ソフト面での可動域の制限は、対応するハード面での可動域の制限の前に、対応する関節の可動域の全範囲の固定された割合(1、2、又は5%等)に設定することができる。いくつかの例では、可動域の制限は、関節の現在の位置及び関節の現在の速度を用いて、継続する同様の動きが間もなく可動域の制限に到達することになることを予測する予測態様で適用される。コンピュータ支援装置の各関節が対応する可動域の制限に又はその近くにない場合に、プロセス740で始まる手術台の動作が実行される。コンピュータ支援装置の1つ又は複数の関節が、対応する可動域の制限に又はその近くにある場合に、プロセス760を用いて、手術台の是正(remedial)動作が実行される。いくつかの例では、コンピュータ支援装置の1つ又は複数の関節が対応する可動域の制限に又はその近くにある場合に、オプションで、オペレータコンソールの外科医に及び/又は手術台命令ユニットを操作する医療従事者に、1つ又は複数の音声及び/又は視覚的警告を与えてもよい。
【0105】
プロセス740では、要求された手術台の動きが実行される。要求された手術台の動きがプロセス720中に許可され、且つコンピュータ支援装置の可動域の制限が、プロセス730中の手術台の動きを補償するコンピュータ支援装置の能力と干渉しないと決定された後に、手術台は、要求された手術台の動作を実行することが許可される。いくつかの例では、コンピュータ支援装置の制御ユニットは、例えば、プロセス510中に確立された接続を介して手術台に1つ又は複数のメッセージを送る。1つ又は複数のメッセージは、手術台を承認し、要求された手術台の動きを実行させる。いくつかの例では、手術台の関節式構造290等の関節式構造内の1つ又は複数のアクチュエータにコマンド及び/又は信号を送信することによって、要求された手術台の動きを実行する。いくつかの例として、要求された手術台の動きが手術台の上部の高さ調整である場合に、手術台の上部の高さを制御する1つ又は複数のアクチュエータが対応して起動され、要求された手術台の動きがトレンデレンブルグ調整である場合に、アイソセンタの周りの手術台の上部のトレンデレンブルグ角を制御する1つ又は複数のアクチュエータが対応して起動される。
【0106】
いくつかの例では、要求された手術台の動きは、オプションで、アクチュエータへの対応する速度コマンドとして実装され、手術台移動要求ボタンが押下され、且つ移動要求が承認される限り、1つ又は複数のアクチュエータは、手術台の上部を適切な速度で動かす。いくつかの例では、速度は、手術台の動きを補償する及び/又は医療従事者が手術台、患者に対するコンピュータ装置、患者の動き等の安全な動きを監視するのを可能にするために、コンピュータ支援装置の能力によってバランスが取られる手術台の動きの迅速性に良好な妥協点が与えられるように選択される。いくつかの例では、速度は、傾斜及び/又はトレンデレンブルグ調整について毎秒3度未満(例えば、1.5°/秒)、及び/又は高さ及び/又はスライド調整について毎秒1~3cm(例えば、毎秒2cm)に制限される。
【0107】
オプションのプロセス750では、可動域の制限の潜在的な将来の問題からの回復をより良くサポートするために、プロセス740中に実行された、要求された手術台の動きが記録される。いくつかの例では、手術台の動きは、メモリ150等のメモリに記録される。いくつかの例では、手術台の動きは、手術台の動きのタイプ(例えば、テーブル上昇、右への傾斜、逆トレンデレンブルグ等)、手術台の移動の距離、持続時間、及び/又は速度、及びオプションでタイムスタンプを記録するデータ構造に記録される。いくつかの例では、データ構造は、少なくとも先入れ先出しアクセスパターンをサポートするスタック、二重リンクリスト、及び/又は他のデータ構造であってもよく、それによって、記録された動きの順序を逆転させて、記録された動きを元に戻す、及び可動域の制限及び/又は他の問題から後退する。いくつかの例では、手術台の動きは、ログ及び/又は他のタイプのファイルに記録してもよい。手術台の動きを記録すると、手術台の動きは、別の手術台移動要求を受け取るためにプロセス710に戻ることによって継続される。
【0108】
プロセス760では、手術台の動きが制限される。コンピュータ支援装置の1つ又は複数の関節が対応する可動域の制限に又はその近くにある場合に、コンピュータ支援装置は、手術台が行う可能性のある動きを制限するように作用する。これについてのいくつかのアプローチが可能である。
【0109】
いくつかの実施形態では、
図3の運動学的モデル等の、手術台及びコンピュータ支援装置の運動学的モデルを用いて、手術台の1つ又は複数の潜在的な動きを評価することができる。いくつかの例では、高さ上昇、高さ下降、左への傾斜、右への傾斜、順方向トレンドレンブルグ、逆方向トレンドレンブルグ、及び/又はスライド等の手術台の可能な動きのそれぞれを評価して、手術台の可能な動きによって、コンピュータ支援装置の関節が、対応する可動域の制限に向けて又はこれから遠ざけるように動かされるかどうかを決定する。いくつかの例では、手術台及びコンピュータ支援装置の運動学的モデルだけでなく手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合せ変換を用いて、手術台の可能な各動きが投影され、手術台の可能な動きが遠隔の各動作中心にどの様な影響を与えるかを決定する。いくつかの例では、各関節式アームの対応するヤコビアンを用いて、対応する可動域の制限に又はこの近くにある関節式アームの1つ又は複数の関節の動きと、対応する遠隔の運動中心との間の関係を決定することができる。投影された遠隔の運動中心の動きとヤコビアンによって予測された動きとが、対応する可動域の制限から離れる方向の動きと一致する場合に、手術台の対応する可能な動きが許容される。投影された遠隔の運動中心の動きとヤコビアンによって予測された動きとが、対応する可動域の制限に向かう動きと一致する場合に、手術台の対応する可能な動きは許容されない。いくつかの例では、動きが対応する可動域の制限に向かう及び/又はこれから遠ざかる動きと一致するかどうかは、対応する可動域の制限に又はこの近くの関節に関連するヤコビアンから列(column)を抽出すること及び遠隔の運動中心の投影された動きとのドット積をとることによって、決定される。ドット積が負の場合に、投影された動きは、対応する可動域に向かう動きと一致する。いくつかの例では、ドット積に設定可能な閾値を用いて、投影された動きを許容すべきかどうかを決定することができる。いくつかの例では、設定可能な閾値がゼロである場合に、対応する可動域の制限に向かう関節の動きは禁止される。いくつかの例では、設定可能な閾値が僅かに負である場合に、対応する可動域の制限に向かう小さな動きが許容される。いくつかの例では、手術台の可能な動きは、異なる遠隔の運動中心及び対応する器具に対して異なる許可/禁止決定をもたらすことができる。いくつかの例では、設定可能な閾値の負の量は、評価がどの程度許容されるかに影響を及ぼし得る。いくつかの例では、遠隔の運動中心のいずれかの評価の結果として、手術台の可能な動きが禁止される場合に、手術台の可能な動きが禁止される。こうして、ドット積の各試験に基づいて、手術台の可能な各動きを評価して、それらの動きを許容すべきか及び/又は禁止すべきかを決定することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、手術台の潜在的な動きを評価する能力は、手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合せ変換(例えば、位置合せ変換325)が既知であるかどうか、及び/又はどの程度まで既知であるかに基づいて制限され得る。いくつかの例では、位置合せが行われなかった場合に、手術台の動きは、高さ調整に制限され得る。いくつかの例では、手術台とコンピュータ支援装置との両方が共通の垂直上向き又はz軸を有する場合に、手術台の高さ調整が遠隔の運動中心における垂直方向の動きにマッピングされ、遠隔の運動中心の垂直方向の動きによって影響を受ける対応する可動域の制限が評価され、高さ調整を許容又は禁止する。いくつかの例では、プロセス425中に傾斜及びトレンデレンブルグ運動が観察されなかった等のため、XY位置合せが部分的である場合に、傾斜及びトレンデレンブルグ運動の観察された一方に関連する手術台の可能な動きが評価され、傾斜及びトレンデレンブルグ運動の他方に関連する手術台の可能な動きが禁止される。いくつかの例では、可動域の制限によって手術台のスライド調整に制限され得る手術台の可能な動きが、トレンドレンブルグ運動を含む場合に、手術台の可能な動きは、アイソセンタリングの有無に拘わらずトレンドレンブルグ運動を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、手術台の動きは、プロセス750中に記録された手術台の動きの履歴に基づいて制限される。いくつかの例では、手術台の動きは、手術台の直近の動きの逆の動きに制限される。手術台の直近の動きを逆にすることによって、患者は、プロセス730中に検出された可動域の制限の方向とは反対の方向に移動される。その結果、器具の遠隔の運動中心は、それらの方向を逆転させ、器具ドラッギングは、セットアップ関節及び/又はマニピュレータの関節を可動域の制限から離れる方向に後退させるように作用する。いくつかの実施形態では、プロセス760を用いて、可動域の制限を回避するために「入って来た道順を戻る」機能を実施する。この実施に応じて、手術台の記録された動きの逆転は、半自動化された方法で、及び/又は手術台の動きを手術台のオペレータに推奨することによって実行してもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、半自動化プロセスが使用される場合に、手術台の最近記録された動きのうちの1つ又は複数が逆に適用される。一例として、10msで1cm/sの最近の高さ上昇運動は、10msで1cm/sの高さ下降運動として逆転される。いくつかの例では、手術台の直近の動きを逆にさせる回数は、構成可能な設定に基づいて、手術台の記録された動きを1から5(例えば、2)まで変化させることができる。いくつかの例では、手術台の最近の複数の動きが逆転される場合に、それら逆転は、手術台の直近の動きが最初に逆転され、手術台の次に直近の動きが次に逆転されるように、最初に発生した順序とは逆の順序で逆転される。いくつかの例では、手術台の各動きが逆転されると、手術台の対応する動きが、プロセス750中に要求された手術台の動きを記録するために使用されたデータ構造、ログ、及び/又はファイルから消去される。いくつかの例では、データ構造がスタックである場合に、手術台の直近の動きがスタックから取り出 (popped off)される。半自動の逆転が完了した後に、手術台の動きは、別の手術台移動要求を待つプロセス710に戻ることによって継続する。
【0113】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、可動域の制限に掛かる(addressed)可能性が高い手術台の動きの表示を、手術台のオペレータに表示することができる。いくつかの例では、手術台の動きに対する制限を用いて、外科医が行うことができる手術台移動要求を限定してもよい。例えば、プロセス730中に検出された可動域の制限に高さ上昇運動が含まれる場合に、手術台移動要求は、高さ下降運動要求のみに限定してもよい。いくつかの例では、オペレータが可動域の制限から遠ざかる方向に動かすと、追加的なタイプの手術台移動要求が許容され得る。いくつかの例では、オペレータが手術台命令ユニット600を用いる場合に、対応する移動要求ボタン460を点灯させ、許容されない移動要求ボタン460から点灯を消すことによって、許容された手術台移動要求を示すことができる。手術台の動きが制限された後に、手術台の動きは、別の手術台移動要求を待つためにプロセス710に戻って継続する。
【0114】
図4を再び参照すると、プロセス435では、手術台の追跡が実行される。プロセス430中に手術台の動きが実行されると、患者が移動し、マニピュレータの遠隔の運動中心が患者と共に移動し始める。患者の体壁によって遠隔の運動中心に配置されたカニューレに加えられる力を低減するために、コンピュータ支援装置は、マニピュレータの遠隔の運動中心が器具ドラッギングによって移動するのが許容される手術台追跡モードに置かれる。いくつかの例では、コンピュータ支援装置の1つ又は複数の関節を移動させて、器具ドラッギングを調整し、遠隔の運動中心の移動によって、器具に取り付けられた器具の姿勢のエラーを修正することができる。
【0115】
図8は、いくつかの実施形態による手術台追跡のためのプロセス435の簡略図である。プロセス435のプロセス810~860のうちの1つ又は複数は、一時的で、有形の機械可読媒体に格納された実行可能コードの形態で少なくとも部分的に実装され、このコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御ユニット130内のプロセッサ140)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサにプロセス810~860の1つ又は複数を実行させることができる。いくつかの実施形態では、プロセス435を用いて、手術台の動きを追跡し、手術台の動きによって誘起される患者の動きを補償するためにいずれかの器具の姿勢を調整することができる。いくつかの例では、プロセス860は、オプションであり、外科医によって積極的に制御されない器具については省略され得る。
【0116】
プロセス810では、手術台の動きが決定される。プロセス430中に手術台が移動され、プロセス740中にとりわけに移動されると、手術台の動きが監視される。監視の一部として、手術台の動きの特性及び特徴は、患者及び/又は器具の遠隔の運動中心への影響が同様に監視されるように決定される。いくつかの例では、手術台の動きは、テーブルベース対テーブル面の変換315等のテーブルベース対テーブル面の変換を用いることによって特徴付けられる。いくつかの例では、手術台は、現在のテーブルベース対テーブル面の変換をコンピュータ支援装置に提供する。いくつかの例では、手術台は、テーブルベース対テーブル面の変換が最後に提供されたときから現在のテーブルベース対テーブル面の変換の間の差(デルタ;Δ)を提供する。いくつかの例では、手術台は、手術台の関節式構造内の関節の現在の位置及び/又は速度を提供し、それによってコンピュータ支援装置が、手術台の関節式構造の1つ又は複数の運動学的モデルを用いて、現在のテーブルベース対テーブル面の変換を決定することができる。いくつかの例では、手術台は、1つ又は複数のメッセージをコンピュータ支援装置に送って、テーブルベース対テーブル面の変換、テーブルベース対テーブル面の変換の差(Δ)、現在の関節位置、及び/又は現在の関節速度を交換する。
【0117】
プロセス820では、プロセス420中のセットアップ関節及び/又はマニピュレータの1つ又は複数の関節の解放及び/又はロック解除の結果として、器具ドラッギングが許可される。こうして、手術台がプロセス810中に決定された運動を受けると、同様の動きが、各器具の遠隔の運動中心に生じると予想される。いくつかの例として、手術台の高さを上方向に調整すると、器具の遠隔の運動中心も同様に上方向に移動し、傾斜及び/又はトレンデレンブルグ調整のために手術台の上部をアイソセンタの周りに回転すると、器具の遠隔の運動中心はアイソセンタの周りを同様に回転する。
【0118】
プロセス830では、手術台の動きは、コンピュータ支援装置の座標フレームにマッピングされる。プロセス810中に決定された手術台の動きは、コンピュータ支援装置に関連する座標フレームにマッピングされ、それによってコンピュータ支援装置は、手術台の動きが器具の遠隔の運動中心の動き及び/又は器具の姿勢にどの様に影響を及ぼすかを予測できる。いくつかの例では、座標フレームは、装置ベースの座標フレーム320、アーム取付けプラットフォームの座標フレーム330等の、コンピュータ支援手術用装置のグローバル及び/又はローカル座標フレームであってもよい。いくつかの例では、器具の遠隔の運動中心の対応する動きに反映されるような手術台の動きは、テーブルベース対テーブル面の変換とテーブルベース対装置ベースの変換との合成を適用することによってコンピュータ支援装置の装置ベースの座標フレームにマッピングされる。遠隔の運動中心の動きが装置ベースの座標フレームにマッピングされると、遠隔の運動中心の動きは、コンピュータ支援装置の運動学的モデル及び変換を用いて、コンピュータ支援装置のアーム取付けプラットフォームの座標フレーム330、マニピュレータ取付けの座標フレーム341、351、及び/又は361のいずれか、遠隔の運動中心の座標フレーム342、352、及び/又は362のいずれか等の、コンピュータ支援装置の適切な座標フレームにマッピングされる。いくつかの例では、手術台の動きのマッピングを用いて、器具の遠隔の運動中心が手術台の動きによってどの様に動くかを予測する。
【0119】
プロセス840では、遠隔の運動中心の位置が決定される。手術台とコンピュータ支援装置との間のXY又は水平方向の並進が、プロセス425の位置合せ中に決定されていない可能性があるため、プロセス830中に決定された器具の遠隔の運動中心の位置は、器具の遠隔の運動中心のそれぞれのx、y、z位置を正確に予測していない可能性がある。しかしながら、いくつかの例では、遠隔の運動中心のx、y及びz位置は、コンピュータ支援装置の運動学的モデル及びコンピュータ支援装置の関節センサ読取り値を用いて代替的に決定してもよい。
【0120】
プロセス850では、器具ドラッギングによる器具の姿勢変化が補償される。プロセス830による手術台の動きをコンピュータ支援装置の座標フレームにマッピングすることと、プロセス840中に決定された遠隔の運動中心の位置とを用いて、手術台の動きによって器具の遠隔の運動中心をどの様に動くのかの推定が決定される。次に、遠隔の運動中心の動きの推定値を用いて、器具の姿勢が、例えば遠隔の運動中心対器具/カメラの変換346、356、及び346を用いて、手術台の動きによってどの様に変化するかを推定する。器具の姿勢変化の推定値が分かれば、コンピュータ支援装置の1つ又は複数の追加の関節が、器具の姿勢の変化を補償するように駆動され、それによってテーブル面の座標フレームに対する器具及び/又はエンドエフェクタの動き及び/又は患者の解剖学的構造が、手術台の動きを補償する。
【0121】
オプションのプロセス860では、外科医からの動作コマンドがこの補償に重ね合わされる。手術中のテーブル動作の目標の1つは、手術台の動きが行われている間に器具の制御及び/又は操作を許容することであるため、例えばオペレータワークステーションにおいてマスター制御を介して外科医から受け取った器具の動作コマンドは、器具やエンドエフェクタにも適用される。いくつかの例では、器具の動作コマンドは、カメラの基準フレーム363等の内視鏡カメラの基準フレームにおける相対的な動きに対応することができる。いくつかの例では、撮像装置、従ってカメラの基準フレームは、テーブル面の座標フレーム及び/又は患者の解剖学的構造に対する一貫した姿勢を維持するように制御することもできる。いくつかの例では、動作コマンドは、それら補償動作を一緒に重ね合わせることによってプロセス850中に決定された補償動作と組み合わされる。次に、重ね合わされた動きを用いて、1つ又は複数の追加の関節を駆動する。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、上述したように、プロセス435及び/又はプロセス810~860は、遠隔の運動中心及び対応する器具が、外科医によって積極的に制御される器具に関連する(及びオプションのプロセス860が実行されている)及び/又は積極的に制御されていない器具(例えば、撮像器具)に関連するどうかに依存して、コンピュータ支援装置の変換及び/又は座標フレームの様々な組み合わせを使用して実行することができる。いくつかの例では、手術台追跡が積極的に制御される器具に対して使用される場合に、2015年3月17日に出願された、”System and Method for Integrating Surgical Table Motion”という標題の米国仮特許出願第62/134、292号、及び同時に出願された、”System and Method for Integrating Surgical Table Motion”という標題のPCT特許出願(代理人整理番号ISRG07000PCT/70228.484WO01)(これら両文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に説明されるような技術を用いて、プロセス435及び/又はプロセス810~860を実行することができる。いくつかの例では、積極的に制御されない器具について手術台追跡が使用される場合に、2015年3月17日に出願された、”System and Method for Maintaining a Tool Pose”という標題のPCT特許出願第PCT/US15/2108号(この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載される技術を用いて、プロセス435及び/又はプロセス810~860を実行することができる。
【0123】
図4を再び参照すると、プロセス440では、手術台の追跡が監視される。手術中のテーブル動作の複雑性と、コンピュータ支援装置がプロセス420、440、及び/又は850中等の器具の姿勢変化を適切に補償できない可能性とのために、器具の遠隔の運動中心が手術中のテーブル動作の間に監視及び/又は追跡され、遠隔の各運動中心が予想通りに患者と共に動くことを確実にする。いくつかの例では、遠隔の運動中心が予想通りに動いていない場合に、この状態は、マニピュレータによって保持される器具の遠隔の運動中心が患者の身体開口点から逸れている可能性があるため、ドッキングされたカニューレによって患者の体壁に増大する力が加えられていることを示すことができる。いくつかの例では、これらの力が不適切に増大すると、患者への損傷、コンピュータ支援装置への損害、及び/又は手術台への損害を与える可能性がある。
【0124】
図9は、いくつかの実施形態による手術台の追跡を監視するためのプロセス440の簡略図である。プロセス440のプロセス910~950のうちの1つ又は複数は、非一時的で、有形の機械可読媒体に格納された実行可能コードの形態で少なくとも部分的に実装され、このコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御ユニット130内のプロセッサ140)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサにプロセス810~860の1つ又は複数を実行させることができる。いくつかの実施形態では、プロセス440を用いて、器具の遠隔の運動中心が手術台の動きと共に動くことを保証することができる。いくつかの例では、遠隔の運動中心は、ドッキングされた関節式アームによる障害及び/又は衝突、検出されない可動域の制限等のために、予想通りに動くことができないことがある。
【0125】
プロセス910では、手術台の動きが決定される。プロセス810及び/又はプロセス810と実質的に同様のプロセスを用いて、手術台の動きが決定される。
【0126】
プロセス920では、遠隔の運動中心の動きが予測される。プロセス910中に決定された手術台の動き、テーブルベース対テーブル面の変換、及びテーブルベース対装置ベースの変換を用いて、手術台の動きが、例えばプロセス830と同様のプロセスを用いて装置ベースの座標フレームにマッピングされる。手術台の動きが装置ベースの座標フレームにマッピングされると、装置ベース対アーム取付けプラットフォームの座標変換335、アーム取付けプラットフォーム対マニピュレータ取付けの変換344、354、及び/又は364、及び/又はマニピュレータ取付け対遠隔の運動中心の変換345、355、及び/又は365等のコンピュータ支援装置の運動学的モデル及び/又は変換を用いて、手術台の動きが器具の遠隔の運動中心のどの様な動きをもたらすかを予測する。いくつかの例では、様々な遠隔の運動中心の座標フレーム342、352及び/又は362にマッピングされたテーブルベース対テーブル面の変換315の差(Δ)を用いて、遠隔の運動中心の動きを予測する。
【0127】
プロセス930では、実際の遠隔の運動中心の動きが決定される。プロセス840と同様のプロセスを用いて、マニピュレータの遠隔の運動中心の実際の位置が決定される。
【0128】
プロセス940では、予測された遠隔の運動中心と実際の遠隔の運動中心とが比較される。プロセス920中に決定された予測される遠隔の運動中心と、プロセス930中に決定された実際の遠隔の運動中心とを比較して、遠隔の運動中心が予想通りに動いているかどうかが判定される。いくつかの例では、この比較は、遠隔の運動中心の実際の各位置が、遠隔の運動中心の対応する予測される位置の適切な誤差許容範囲(例えば、12mm)内にあるかどうかを判定することを含んでもよい。いくつかの例では、この比較は、オプションで、遠隔の運動中心の実際の動きが、共通の座標フレームにおける遠隔の運動中心の部分によって規定される配置(constellation)の間の相対距離及び角度関係等の、遠隔の運動中心の間の1つ又は複数の幾何学的関係を維持する。
【0129】
プロセス950では、1つ又は複数の不適格な(non-compliant)関節式アームが決定される。プロセス940の比較により、1つ又は複数の遠隔の運動中心が予想通りに動いていないことが示されると、実際の遠隔の運動中心の動きと予測される遠隔の運動中心の動きとの間の差を用いて、どの関節式アーム及び/又はマニピュレータが手術台の動きに従い及び補償できないかを決定する。次に、1つ又は複数の不適格な関節式アームは、オペレータワークステーション上に表示されるメッセージ等の1つ又は複数の音声及び/又は視覚的警告、不適格な関節式アーム上の点滅ライト等を用いて、外科医及び/又は医療従事者に伝達される。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、プロセス440及び/又はプロセス910~950は、2015年3月17日に出願された、”System and Method for Monitoring Control Points during Reactive Motion”という標題の米国仮特許出願第62/134,252号、及び同時に出願された、”System and Method for Monitoring Control Points during Reactive Motion”という標題のPCT特許出願(代理人整理番号ISRG07030PCT/70228.496WO01)(これら両文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている技術を用いて実行することができる。
【0131】
図4を再び参照すると、プロセス445では、手術台及びコンピュータ支援装置の状態が表示される。この状態表示は、手術中のテーブル動作の間に外科医がオペレータワークステーションに(頭部を配置する)ヘッドインしなければならない場合に、及び/又は外科医が手術台及び/又はコンピュータ支援装置を直接的に観察することができない場合等に有用であり得る。さらに、患者は、典型的には、1つ又は複数の滅菌ドレープで覆われているため、手術台の上部の向きを観察及び/又は評価することが困難になることが多い。いくつかの例では、外科医は、所望の重力後退(retraction)が確実に起こるようにするために、一般的に必要とされるものよりも急な手術台角度(例えば、傾斜及び/又はトレンデレンブルグ)を用いてもよいが、その急な角度は、患者に更なるストレスを与え、損傷を与える可能性がある。
【0132】
図10は、いくつかの実施形態によるユーザインターフェイス1000の簡略図である。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェイス1000は、オペレータワークステーションに、手術台上に又はその近くに配置されたディスプレイ等に表示してもよい。
図10に示されるように、ユーザインターフェイス1000は、手術及び/又は他の処置に関与する1人又は複数の医療従事者に状態情報を提供する。ユーザインターフェイス1000は、異なるタイプの情報を医療従事者に表示するためにいくつかの領域に分割される。いくつかの例では、ユーザインターフェイス1000がどこに及び/又はどの医療従事者に表示されるかに応じて、異なる領域及び/又は領域の異なる配置を使用することができる。
図10には示されていないが、ユーザインターフェイス1000は、ユーザインターフェイス1000が立体視のオペレータワークステーションに表示される場合等の、ユーザインターフェイス1000が表示されるディスプレイが立体視用に構成される場合に、左眼又は右眼用のユーザインターフェイスディスプレイを表すことができる。
【0133】
メイン表示領域1010は、プロセス550中に患者にドッキングされた撮像装置によって提供されるライブ画像を表示するために使用される。いくつかの例では、ライブ画像は、所望の手術部位の近傍における患者の内部解剖学的構造の画像である。いくつかの例では、撮像装置の位置及び/又は向きは、本明細書でこれ以上説明しないプロセスを用いて外科医によって変更してもよい。メイン表示領域1010に表示される画像内には、2つの器具1020及び1030が示されているが、これら器具は、把持式エンドエフェクタを有する器具として表示目的でのみ示されている。外科医がオペレータワークステーションでマスター制御を用いて器具1020及び1030を操作すると、外科医は、外科的処置中に器具1020及び1030がどの様に動いているかを観察することができる。いくつかの例では、プロセス415中に説明されるように、外科医が可能性のある複雑性によって手術中のテーブル動作を通して器具1020及び1030を観察し続けることができるように、器具1020及び1030は、手術中のテーブル動作の間に撮像装置の視野内に留まらなければならない。
【0134】
手術台の状態領域1040は、メイン表示領域1010の上に位置するように示されているが、当業者は、恐らくはメイン表示領域1010に重ね合わされて、ユーザインターフェイス内の他の場所に手術台の状態領域1040を配置してもよいことを理解するだろう。手術台の状態領域1040内には、手術台の状態に関する情報を提供するいくつかのアイコン及びテキストフィールドが配置される。図示されるように、傾斜状態アイコン1050は、手術台の現在の傾斜設定を示すために使用される。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050内に描かれた手術台及び患者の実際の傾きは、手術台の傾きをより正確に描くように調整することができる。例えば、手術台が水平に向けて傾けられるにつれて、傾斜状態アイコン1050内のテーブル面及び患者は、水平に向けて同様に傾くことができる。このようにして、外科医は、手術台が実際にどの様に傾いているかの視覚的描画を得る。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050は、手術台の傾きが調整されていることを示す1つ又は複数の視覚的キュー(cue)を含んでもよい。いくつかの例では、視覚的キューは、傾斜状態アイコン1050の色の変化、傾斜状態アイコン1050の点滅、及び/又は変化する傾斜方向を示す時計回り及び/又は反時計回りの追加矢印を含んでもよい。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050は、患者がこの患者の背中ではなく患者の左側又は右側に配置される等の、患者の向きを反映するように調整することができる。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050は、テーブル面の傾きに対する可動域の制限及び/又は極限の向き、及び/又はテーブル面の現在の傾きが可動域の制限及び/又は極限の向きに何時到達するかの1つ又は複数の視覚的インジケータを含んでもよい。いくつかの例では、可動域の制限及び/又は極限の向きは、最大角度線を用いて描いてもよい。いくつかの例では、傾きが可動域の制限及び/又は極限の向きに近づいていることを示すために、点滅、色の変化等の強調表示を使用してもよい。傾斜状態アイコン1050の隣には、現在の傾斜角度及び手術台の方向を報告するために使用される傾斜値インジケータ1055が配置される。
【0135】
手術台の現在のトレンデレンブルグ設定を示すために使用されるトレンデレンブルグ状態アイコン1060も示されている。いくつかの例では、トレンデレンブルグ状態アイコン1060内に描かれた手術台及び患者の実際のトレンデレンブルグ姿勢は、手術台のトレンデレンブルグ姿勢をより正確に描くように調整することができる。例えば、手術台のトレンドレンブルグ設定が水平位置に向けて調整されると、トレンドレンブルグ状態アイコン1060内のテーブル面及び患者は、水平位置に向けて同様に移動することができる。このようにして、外科医は、手術台のトレンデレンブルグ配向の視覚的描画を得る。いくつかの例では、トレンドレンブルグ状態アイコン1060は、手術台のトレンドレンブルグ向きが調整されていることを示す1つ又は複数の視覚的キューを含んでもよい。いくつかの例では、視覚的キューは、トレンデレンブルグ状態アイコン1060の色の変更、トレンデレンブルグ状態アイコン1060の点滅、及び/又はトレンデレンブルグ姿勢を変更する方向を示す時計回り及び/又は反時計回りの追加矢印を含んでもよい。いくつかの例では、トレンデレンブルグ状態アイコン1060は、患者がこの患者の背中ではなく患者の左側又は右側に配置される等、患者の向きを反映するように調整してもよい。いくつかの例では、トレンデレンブルグ状態アイコン1060は、テーブル面のトレンデレンブルグ設定の可動域の制限及び/又は極限の向き、及び/又はテーブル面の現在のトレンデレンブルグ設定が可動域の制限及び/又は極限の向きに何時到達するかの1つ又は複数の視覚的インジケータを含んでもよい。いくつかの例では、可動域の制限及び/又は極限の向きは、最大角度線を用いて描いてもよい。いくつかの例では、点滅、色の変化等の強調表示を用いて、トレンデレンブルグ設定が可動域の制限及び/又は極限の向きに近づいていることを示すことができる。トレンドレンブルグ状態アイコン1060の隣には、手術台の現在のトレンドレンブルグ方位角を報告するために使用されるトレンドレンブルグ値インジケータ1065が配置される。
【0136】
いくつかの実施形態では、傾斜状態アイコン1050及び/又はトレンデレンブルグ状態アイコン1060の使用によって、外科医及び/又は医療従事者に有用で直観的なテーブル向き読取り値を提供する。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050及び/又はトレンデレンブルグ状態アイコン1060は、外科医が、患者の解剖学的構造がメイン表示領域1010においてどの様に応答するかを観察しながら、手術台の上部の向きを同時にモニタすることもできるので、外科医が手術台の向きの有効量を決定して特定の処置をサポートするのを補助する。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050及び/又はトレンデレンブルグ状態アイコン1060は、様々な処置をサポートするために使用される手術台の向きの繰返し性を改善することができる。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050及び/又はトレンデレンブルグ状態アイコン1060によって、外科医が処置中に使用した傾斜及び/又はトレンデレンブルグ姿勢の量をより良く調整することを可能にする。いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050及び/又はトレンドレンブルグ状態アイコン1060によって、外科医が、実質的に急峻な傾斜及び/又はトレンドレンブルグ姿勢が何時起こるか、及び/又は、従来よりも急峻な傾斜及び/又はトレンドレンブルグ姿勢が処置中に何時使用されるかを認識するのに役立つ。いくつかの例では、極限の向きの強調表示によって、望ましくない及び/又は不必要な急峻な傾斜及び/又はトレレンレンブルグ姿勢をさらに回避することができる。時間の経過とともに、外科医は、所望の効果を達成するために必要な最小限の概算の向きを学び、それによって患者のストレスを制限することができる。
【0137】
いくつかの例では、傾斜状態アイコン1050及び/又はトレンデレンブルグ状態アイコン1060の存在によって、通信接続が手術台とコンピュータ支援装置との間に確立されたことをさらに示すことができる。いくつかの例では、手術台とコンピュータ支援装置との間に通信接続が確立されていない場合や、一体化されたテーブル動作が許容されない場合等に、傾斜状態アイコン及び/又はトレンデレンブルグ状態アイコン1060をユーザインターフェイス1000によって消すことができる。また、状態アイコン1050及び1060が存在していないことのオプションの表示を、インターフェイス1000に含めてもよい。
【0138】
図10には示されていないが、手術台の状態領域1040は、追加の状態アイコン及び/又はインジケータを含むことができる。いくつかの例では、追加の状態アイコン及び/又はインジケータは、手術台の高さ及び/又はスライド設定、患者が手術台にどの様に置かれているか、手術中のテーブル動作に入ったかどうか、手術台及び/又はコンピュータ支援装置の脚部及び/又は車輪がロックされている等を示すことができる。
【0139】
ユーザインターフェイス1000は、オプションの情報メッセージ領域1070も含むことができる。情報メッセージ領域1070を用いて、手術中のテーブル動作に適用可能な1つ又は複数の情報メッセージを表示することができる。2つの代表的な情報メッセージが現在
図10に示されているが、当業者は、必要に応じてこれよりも少ない又は多い情報メッセージを表示してもよいことを理解するだろう。接続状態情報メッセージ1080は、手術台とコンピュータ支援装置との間の接続状態を示す。いくつかの例では、接続状態は、プロセス510中に確立された接続に関連してもよい。警告式の情報メッセージ1090は、手術中のテーブル動作に進む前に、患者と、関節式アーム及び/又はマニピュレータとの間のクリアランスを監視することが望ましいという警告を外科医に提供する。いくつかの例では、プロセス415中に手術中のテーブル動作に入ることを拒否する通知、プロセス730中に検出された可動域の制限、プロセス950中に検出された不適格な関節式アーム等の追加の情報メッセージを、情報メッセージ領域1070に表示してもよい。
【0140】
上で議論され、ここでさらに強調するように、
図10は、単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を過度に制限すべきでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、及び修正形態を認識するだろう。いくつかの実施形態によれば、1つ又は複数の追加の表示領域は、手術台、患者及び/又はコンピュータ支援装置のライブの上面図及び/又は側面図を示すことができる。
【0141】
図4を再び参照すると、プロセス450では、手術中のテーブル動作が終了する。手術台及びコンピュータ支援装置が手術中のテーブル動作で動作しているときに、手術中のテーブル動作を継続又は終了すべきかを決定するためのチェックが行われる。いくつかの例では、手術中のテーブル動作は、ワークステーションを用いて外科医、手術台命令ユニット600上の手術中のテーブル動作入力ボタン610を押す医療従事者等によって出されたコマンドに基づいて終了することができる。いくつかの例では、いくつかの安全インターロックのいずれかが、手術中のテーブル動作の終了を生じさせ得る。いくつかの例では、手術中のテーブル動作は、プロセス510中に確立された手術台とコンピュータ支援装置との間の接続が切れたとき、手術台又はコンピュータ支援装置のいずれかの脚部、車輪、及び/又は取付けクランプがロック解除されたとき、カニューレをマニピュレータに取り付けた及び/又はマニピュレータからカニューレを取り外したとき、外科医がオペレータワークステーションに(頭部を配置する)ヘッドインしていないと判定されたとき、器具に取り付けられた器具のエンドエフェクタがもはやプロセス550中にドッキングされた撮像装置の視野内に存在しておらず且つそれぞれのカニューレに後退していないとき、関節式アーム及び/又はマニピュレータのいずれかの関節ロック解除ボタンが押されたとき、及び他の潜在的に安全でない状態が検出されたときに、終了することができる。いくつかの例では、手術中のテーブル動作は、プロセス730中に検出された可動域の制限が解決されないこと、プロセス950中に1つ又は複数の不適格な関節式アームが検出された場合等に、終了することもある。いくつかの例では、手術台及び/又はコンピュータ支援装置内の1つ又は複数の電力障害及び/又はシステム障害によって、手術中のテーブル動作の終了を生じさせることもある。
【0142】
上で議論され、ここでさらに強調するように、
図4は、単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を過度に制限すべきでない。当業者であれば、多くの変形形態、代替形態、及び修正形態を認識するだろう。いくつかの実施形態によれば、プロセス405~450のうちの1つ又は複数は、
図4に示唆される順序とは異なる順序で実行してもよい。いくつかの例では、プロセス425~445のうちの1つ又は複数は、任意の順序及び/又は部分的又は全体的に平行に実行してもよい。
【0143】
制御ユニット130等の制御ユニットのいくつかの例は、実行可能なコードを含む非一時的で、有形の機械可読媒体を含み、このコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ140)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに方法400のプロセスを実行させることができる。方法400のプロセスを含み得る機械可読媒体のいくつかの一般的な形態は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、他の光媒体、パンチカード、紙テープ、ホールパターンを含む他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、他のメモリチップ又はカートリッジ、及び/又はプロセッサ又はコンピュータが読み取るように適合される他の媒体である。
【0144】
例示的な実施形態について図示し且つ説明してきたが、広範な修正、変更、及び置換が、前述した開示において企図されており、いくつかの例では、実施形態のいくつかの特徴は、他の特徴の対応する使用なしに用いることができる。当業者は、多くの変形形態、代替形態、及び修正形態を認識するだろう。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、特許請求の範囲は、本明細書に開示された実施形態の範囲と一致する態様で及び広範に解釈することが適切である。
【0145】
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の内容を実施例として記載する。
[実施例1]
コンピュータ支援医療装置であって、当該装置は、
1つ又は複数の第1の関節及び1つ又は複数の第2の関節を有する関節式アームと、
第1の関節及び第2の関節に結合される制御ユニットと、を備えており、
前記関節式アームは、前記1つ又は複数の第1の関節及び前記1つ又は複数の第2の関節の先端側に取り付けられた少なくともカニューレ、内視鏡、又は器具を有するように構成されており、前記カニューレ、前記内視鏡、又は器具は、身体開口部で患者の体内に挿入されるように構成され、
前記制御ユニットは、通信接続を介して当該装置に結合される手術台との一体的な動きをサポートするために、
前記1つ又は複数の第1の関節をロック解除し、
前記手術台から手術台移動要求を受け取り、
該手術台移動要求を許可すべきかどうかを決定し、
該決定に基づいて、前記手術台が前記手術台移動要求を実行することを可能にし、
前記1つ又は複数の第1の関節を用いて、前記関節式アームが、前記実行された手術台の移動により前記身体開口部で前記患者の体壁によって加えられる力に基づく前記身体開口部の動きを追跡するのを可能にし、且つ
前記1つ又は複数の第2の関節における補償動作を実行することにより前記追跡された動きによる前記取り付けられたカニューレ、内視鏡、又は器具の姿勢の変化を補償する、ように構成される、
装置。
[実施例2]
前記制御ユニットは、前記1つ又は複数の第1の関節を監視して、前記1つ又は複数の第1の関節のいずれかがそれぞれの可動域の制限にあるかどうかを判定するようにさらに構成される、実施例1に記載の装置。
[実施例3]
前記それぞれの可動域の制限は、ハード面での可動域の制限である、実施例2に記載の装置。
[実施例4]
前記それぞれの可動域の制限は、ソフト面での可動域の制限である、実施例2に記載の装置。
[実施例5]
前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれが前記それぞれの可動域の制限にあると判定された場合に、前記制御ユニットは、前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれがもはや前記それぞれの可動域の制限にない状態になるまで、手術台移動要求の更なる許可をさらに禁止する、実施例2に記載の装置。
[実施例6]
前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれが前記それぞれの可動域の制限にあると判定された場合に、前記制御ユニットは、前記手術台に指示して、手術台の1つ又は複数の最近実行された移動を逆転させるようにさらに構成される、実施例2に記載の装置。
[実施例7]
前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれが前記それぞれの可動域の制限にあると判定された場合に、前記制御ユニットは、許可される手術台移動要求のタイプを制限するようにさらに構成される、実施例2に記載の装置。
[実施例8]
前記制御ユニットは、許可された最近の手術台移動要求の記録に基づいて、許可される手術台移動要求のタイプを制限するようにさらに構成される、実施例7に記載の装置。
[実施例9]
前記許可される手術台移動要求のタイプを制限するために、前記制御ユニットは、前記手術台移動要求が前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれの前記それぞれの可動域の制限に向かう動きを生じさせる場合に、前記手術台移動要求を禁止するようにさらに構成される、実施例7に記載の装置。
[実施例10]
前記許可される手術台移動要求のタイプを制限するために、前記制御ユニットは、前記手術台移動要求が許可された場合に生じる投影された動きに基づいて、前記手術台移動要求を禁止するようにさらに構成される、実施例7に記載の装置。
[実施例11]
前記制御ユニットは、前記投影された動きを、前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれに対応するヤコビアン列と比較するようにさらに構成される、実施例10に記載の装置。
[実施例12]
前記許可される手術台移動要求のタイプは、高さ調整要求、傾斜調整要求、トレンデレンブルグ調整要求、及びスライド調整要求に限定される、実施例1に記載の装置。
[実施例13]
前記制御ユニットは、オペレータから器具動作コマンドを受け取り、前記1つ又は複数の第2の関節によって実行される前記補償動作に前記器具動作コマンドを重ね合わせるようにさらに構成される、実施例1に記載の装置。
[実施例14]
前記制御ユニットは、前記手術台と当該装置との間の位置合せ変換を決定するようにさらに構成される、実施例1に記載の装置。
[実施例15]
前記制御ユニットは、前記1つ又は複数の第1の関節の前記ロック解除による前記器具の前記姿勢の変化を補正するようにさらに構成される、実施例1に記載の装置。
[実施例16]
3つ未満の関節式アームが前記患者にドッキングされる場合に、許可される手術台移動要求のタイプが、高さ調整要求に限定される、実施例1に記載の装置。
[実施例17]
前記制御ユニットは、前記身体開口部の動きを監視して、該身体開口部の動きが前記実行された手術台の動きと一致するかどうかを判定するようにさらに構成される、実施例1に記載の装置。
[実施例18]
前記手術台移動要求は、前記手術台の手術台命令ユニットから受信される、実施例1に記載の装置。
[実施例19]
前記制御ユニットは、オペレータワークステーションに前記手術台の状態情報を表示するようにさらに構成される、実施例1に記載の装置。
[実施例20]
前記手術台の動きを許可すべきかどうかを決定するために、前記制御ユニットは、1つ又は複数の条件が満たされているかどうかを判定するようにさらに構成され、前記1つ又は複数の条件のそれぞれが、前記手術台のベースが移動するのを阻止されているかどうか、当該装置のベースが移動するのを阻止されているかどうか、撮像装置が前記患者の体内に挿入されているかどうか、前記器具が前記患者の体内に挿入されているかどうか、オペレータがオペレータワークステーションに存在しており且つ前記器具を積極的に制御しているかどうか、前記器具のエンドエフェクタが撮像装置の視野内にあるかどうか、前記手術台と当該装置との間の通信接続が存在するかどうか、前記身体開口部が一体化されたテーブル移動をサポートできるかどうか、実行されている処置が、条件を満たす一体化されたテーブル移動によってサポートされているかどうか、及び前記器具が一体化されたテーブル移動によってサポートされているかどうか、から構成されるグループから選択される、実施例1に記載の装置。
[実施例21]
前記制御ユニットは、該制御ユニットが1つ又は複数の条件が存在するかどうかを判定するときに一体化されたテーブル移動を終了させるようにさらに構成され、前記1つ又は複数の条件のそれぞれは、前記手術台のベースが移動するかどうか、当該装置のベースが移動するかどうか、オペレータがもはやオペレータワークステーションに存在していないかどうか、前記オペレータがもはや前記器具を積極的に制御していないかどうか、前記器具のエンドエフェクタがもはや撮像装置の視野内にないかどうか、前記手術台と当該装置との間の通信接続が遮断したかどうか、カニューレが前記関節式アームから取り外されたかどうか、及び前記関節式アームが前記身体開口部の動きを追跡することができないかどうか、から構成されるグループから選択される、実施例1に記載の装置。
[実施例22]
手術台とコンピュータ支援医療装置との一体的な動きを補償する方法であって、当該方法は、
前記コンピュータ支援医療装置の関節式アームの1つ又は複数の関節をロック解除するステップであって、前記関節式アームは、該関節式アームに取り付けられた少なくともカニューレ、内視鏡、又は器具を有するように構成され、前記カニューレ、前記内視鏡、又は前記器具は、身体開口部で患者の体内に挿入されるように構成される、ロック解除するステップと、
前記手術台から手術台移動要求を受信するステップと、
該手術台移動要求を許可すべきかどうかを決定するステップと、
該決定に基づいて、前記手術台が前記手術台移動要求を実行することを可能するステップと、
前記1つ又は複数の第1の関節を用いて、前記関節式アームが、前記実行された手術台の移動により前記身体開口部で前記患者の体壁によって加えられる力に基づく前記身体開口部の動きを追跡することを可能にするステップと、
前記関節式アームの1つ又は複数の第2の関節における補償動作を実行することにより前記追跡された動きによる前記カニューレ、前記内視鏡、又は前記器具の姿勢の変化を補償するステップと、を含む、
方法。
[実施例23]
前記1つ又は複数の第1の関節を監視して、前記1つ又は複数の第1の関節のいずれかがそれぞれの可動域の制限にあるかどうかを判定するステップをさらに含む、実施例22に記載の方法。
[実施例24]
前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれが前記それぞれの可動域の制限にあると判定された場合に、当該方法は、前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれがもはや前記それぞれの可動域の制限にない状態になるまで、手術台移動要求の更なる許可を禁止するステップをさらに含む、実施例23に記載の方法。
[実施例25]
前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれが前記それぞれの可動域の制限にあると判定された場合に、当該方法は、許可される手術台移動要求のタイプを制限するステップをさらに含む、実施例23に記載の方法。
[実施例26]
前記許可される手術台移動要求のタイプを制限するステップは、前記手術台移動要求が前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれの前記それぞれの可動域の制限に向かう動きを生じさせる場合に、前記手術台移動要求を禁止するステップを含む、実施例25に記載の方法。
[実施例27]
前記許可される手術台移動要求のタイプを制限するステップは、前記手術台移動要求が許可された場合に生じる投影された動きに基づいて、前記手術台移動要求を禁止するステップを含む、実施例25に記載の方法。
[実施例28]
オペレータから器具動作コマンドを受け取り、前記1つ又は複数の第2の関節によって実行される前記補償動作に前記器具動作コマンドを重ね合わせるステップをさらに含む、実施例22に記載の方法。
[実施例29]
前記手術台と前記装置との間の位置合せ変換を決定するステップをさらに含む、実施例22に記載の方法。
[実施例30]
前記1つ又は複数の第1の関節のロック解除による前記器具の前記姿勢の変化を補正するステップをさらに含む、実施例22に記載の方法。
[実施例31]
3つ未満の関節式アームが前記患者にドッキングされる場合に、許可される手術台移動要求のタイプは、高さ調整要求に限定される、実施例22に記載の方法。
[実施例32]
前記身体開口部の動きを監視して、該身体開口部の動きが前記実行された手術台の動きと一致するかどうかを判定するステップをさらに含む、実施例22に記載の方法。
[実施例33]
前記手術台の動きを許可すべきかどうかを決定するステップは、1つ又は複数の条件が満たされているかどうかを判定するステップを含み、前記1つ又は複数の条件のそれぞれが、前記手術台のベースが移動するのを阻止されているかどうか、前記装置のベースが移動するのを阻止されているかどうか、撮像装置が患前記者の体内に挿入されているかどうか、前記器具が前記患者の体内に挿入されているかどうか、オペレータがオペレータワークステーションに存在しており且つ前記器具を積極的に制御しているかどうか、前記器具のエンドエフェクタが撮像装置の視野内にあるかどうか、前記手術台と前記装置との間の通信接続が存在するかどうか、前記身体開口部が一体化されたテーブル移動をサポートできるかどうか、実行されている処置が、条件を満たす一体化されたテーブル移動によってサポートされているかどうか、及び前記器具が一体化されたテーブル移動によってサポートされているかどうか、から構成されるグループから選択される、実施例22に記載の方法。
[実施例34]
複数の機械可読命令を含む非一時的な機械可読媒体であって、前記命令がコンピュータ支援医療装置に関連する1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサに、
前記コンピュータ支援医療装置の関節式アームの1つ又は複数の関節をロック解除することであって、前記関節式アームは、該関節式アームに取り付けられた少なくともカニューレ、内視鏡、又は器具を有するように構成され、前記カニューレ、前記内視鏡、又は前記器具は、身体開口部で患者の体内に挿入されるように構成される、ロック解除することと、
手術台から手術台移動要求を受信することと、
該手術台移動要求を許可すべきかどうかを決定することと、
該決定に基づいて、前記手術台が前記手術台移動要求を実行することを可能にすることと、
前記1つ又は複数の第1の関節を用いて、前記関節式アームが、前記実行された手術台の移動により前記身体開口部で前記患者の体壁によって加えられる力に基づく前記身体開口部の動きを追跡するのを可能にすること、
前記関節式アームの1つ又は複数の第2の関節における補償動作を実行することにより前記追跡された動きによる前記カニューレ、前記内視鏡、又は前記器具の姿勢の変化を補償すること、を含む段階を実行させるように構成される、
非一時的な機械可読媒体。
[実施例35]
前記段階は、前記1つ又は複数の第1の関節を監視して、前記1つ又は複数の第1の関節のいずれかがそれぞれの可動域の制限にあるかどうかを判定することをさらに含む、実施例34に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例36]
前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれが前記それぞれの可動域の制限にあると判定された場合に、前記段階は、前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれがもはや前記それぞれの可動域の制限にない状態になるまで、手術台移動要求の更なる許可を禁止することをさらに含む、実施例35に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例37]
前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれが前記それぞれの可動域の制限にあると判定された場合に、前記段階は、許可される手術台移動要求のタイプを制限することをさらに含む、実施例35に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例38]
前記許可される手術台移動要求のタイプを制限することは、前記手術台移動要求が前記1つ又は複数の第1の関節のそれぞれの前記それぞれの可動域の制限に向かう動きを生じさせる場合に、前記手術台移動要求を禁止することを含む、実施例37に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例39]
前記許可される手術台移動要求のタイプを制限することは、前記手術台移動要求が許可
された場合に生じる投影された動きに基づいて、前記手術台移動要求を禁止することを含む、実施例37に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例40]
前記段階は、オペレータから器具動作コマンドを受け取ることと、前記1つ又は複数の第2の関節によって実行される前記補償動作に前記器具動作コマンドを重ね合せることとをさらに含む、実施例34に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例41]
前記段階は、前記手術台と前記装置との間の位置合せ変換を決定することをさらに含む、実施例34に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例42]
前記段階は、前記1つ又は複数の第1の関節のロック解除による前記器具の前記姿勢の変化を補正することをさらに含む、実施例34に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例43]
3つ未満の関節式アームが前記患者にドッキングされる場合に、許可される手術台移動要求のタイプが、高さ調整要求に限定される、実施例34に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例44]
前記段階は、前記身体開口部の動きを監視して、該身体開口部の動きが前記実行された手術台の動きと一致するかどうかを判定することをさらに含む、実施例34に記載の非一時的な機械可読媒体。
[実施例45]
前記手術台の動きを許可すべきかどうかを決定することは、1つ又は複数の条件が満たされているかどうかを判定することを含み、前記1つ又は複数の条件のそれぞれが、前記手術台のベースが移動するのを阻止されているかどうか、前記装置のベースが移動するのを阻止されているかどうか、撮像装置が前記患者の体内に挿入されているかどうか、前記器具が前記患者の体内に挿入されているかどうか、オペレータがオペレータワークステーションに存在しており且つ前記器具を積極的に制御しているかどうか、前記器具のエンドエフェクタが撮像装置の視野内にあるかどうか、前記手術台と前記装置との間の通信接続が存在するかどうか、前記身体開口部が一体化されたテーブル移動をサポートできるかどうか、実行されている処置が、条件を満たす一体化されたテーブル移動によってサポートされているかどうか、及び器具が一体化されたテーブル移動によってサポートされているかどうか、から構成されるグループから選択される、実施例34に記載の非一時的な機械可読媒体。