(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ヒートシンクの貼付方法及びその貼付装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20220509BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 E
(21)【出願番号】P 2020120852
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2020-09-18
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】311005208
【氏名又は名称】▲き▼邦科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】林 家松
(72)【発明者】
【氏名】周 煥凱
(72)【発明者】
【氏名】顏 佳欣
(72)【発明者】
【氏名】周 文復
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-260359(JP,A)
【文献】特開2008-047560(JP,A)
【文献】特開平11-251483(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110203(WO,A1)
【文献】特開2007-048858(JP,A)
【文献】特開2008-126114(JP,A)
【文献】特開2012-015282(JP,A)
【文献】特開2002-190555(JP,A)
【文献】特開2010-206072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンク貼付領域(12)を有する複数の回路基板ユニット(11)を有するサーキットテープ(10)を
第一方向(X)に沿って輸送する工
程と、
フレキシブルキャリア(21)の上表面(21a)に粘着層(23)を介して複数のヒートシンク(22)を一時的に貼付するヒートシンクテープ(20)
を前記第一方向と交わる第二方向(Z)に沿って輸送する工程と、
前記サーキットテープ上方に設置される
ホルダー(40)は、前記サーキットテープとの間
にギャップ(G)を有する当接部(41)を形成し
、ヒートシンクテープ
を装設する工程と、
前記ヒートシンクテープは前記フレキシブルキャリアの下表面(21b)が前記当接部に当接し、前記フレキシブルキャリアは
、前記第一方向と交わる第二方向(Z)に沿って各前記ヒートシンクを順に輸送
する工程と、
前記フレキシブルキャリアは、前記当接部を通過した後、前記ギャップを貫通し、前記第一方向と前記第二方向との間の刃先角(B)方向に進行
する工程と、
各前記ヒートシンクの先端(22a)及び後端(22b)が前記当接部を順に通過すると、前記先端及び前記後端下方に位置する前記粘着層が前記フレキシブルキャリアから順に剥離
する工程と、
前記フレキシブルキャリアか
ら順に剥離した前記ヒートシンクの前記先端及び前記後端は、前記粘着層により前記回路基板ユニットの前記ヒートシンク貼付領域に順に貼付
される工程と、を含むことを特徴とするヒートシンクの貼付方法。
【請求項2】
各前記ヒートシンクの前記先端から前記後端までの間には長さ(L)を有し、前記ギャップの高さ(D)は前記長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクの貼付方法。
【請求項3】
前記当接部及び前記ギャッ
プを通過した前記フレキシブルキャリアは前記ホルダーと前記ヒートシンクが貼付されていない前記サーキットテープとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクの貼付方法。
【請求項4】
各前記ヒートシンクは前記粘着層により前記ヒートシンク貼付領域に貼付した後、圧着部材(60)により各前記ヒートシンクと前記サーキットテープとを圧着し、前記圧着部材は前記第一方向と垂直になる第三方向(Y)に沿って各前記ヒートシンクを圧迫することを特徴とする請求項3に記載のヒートシンクの貼付方法。
【請求項5】
前記圧着部材が各前記ヒートシンクと前記サーキットテープとを圧着する際には、圧着支持台(70)により前記サーキットテープを支持することを特徴とする請求項4に記載のヒートシンクの貼付方法。
【請求項6】
前記サーキットテープはコンベヤ(30)に装設し、前記コンベヤは前記第一方向に沿って前記サーキットテープを輸送すると共に各前記回路基板ユニットの前記ヒートシンク貼付領域を露出することを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクの貼付方法。
【請求項7】
前記刃先角の角度は20~30度の間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクの貼付方法。
【請求項8】
前記フレキシブルキャリアの可撓度は各前記ヒートシンクの可撓度以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクの貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクの貼付方法及びその貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子素子の機能が向上するに連れ、回路基板に設置するチップが高温になりやすく、チップの温度を下げるために、通常は回路基板にヒートシンクを貼付している。ヒートシンクを回路基板に貼付する方法は、吸着口によりヒートシンクを吸着した後、吸着口を移動させてヒートシンクの位置を回路基板に合わせた後、吸着口を下方に移動させてヒートシンクを放し、ヒートシンクを回路基板に位置させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヒートシンクを回路基板に貼付する際、吸着口の吸着力を受けてヒートシンクが変形しやすく、変形したヒートシンクは回路基板に平らに貼れなくなり、回路基板が求められる仕様を満たせなくなることがある。また、ヒートシンクの移動中に吸着口の吸着力が失われ、ヒートシンクが回路基板や機体に落ちるなど、歩留まりに影響が及ぶことがあった。
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒートシンクをフレキシブルキャリアから剥離しヒートシンク貼付領域に貼付するヒートシンクの貼付方法及びその貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のヒートシンクの貼付方法は、ヒートシンク貼付領域(12)を有する複数の回路基板ユニット(11)を有するサーキットテープ(10)を第一方向(X)に沿って輸送する工程と、フレキシブルキャリア(21)の上表面(21a)に粘着層(23)を介して複数のヒートシンク(22)を一時的に貼付するヒートシンクテープ(20)を前記第一方向と交わる第二方向(Z)に沿って輸送する工程と、前記サーキットテープ上方に設置されるホルダー(40)は、前記サーキットテープとの間にギャップ(G)を有する当接部(41)を形成し、ヒートシンクテープを装設する工程と、前記ヒートシンクテープは前記フレキシブルキャリアの下表面(21b)が前記当接部に当接し、前記フレキシブルキャリアは、前記第一方向と交わる第二方向(Z)に沿って各前記ヒートシンクを順に輸送する工程と、前記フレキシブルキャリアは、前記当接部を通過した後、前記ギャップを貫通し、前記第一方向と前記第二方向との間の刃先角(B)方向に進行する工程と、
各前記ヒートシンクの先端(22a)及び後端(22b)が前記当接部を順に通過すると、前記先端及び前記後端下方に位置する前記粘着層が前記フレキシブルキャリアから順に剥離する工程と、前記フレキシブルキャリアから順に剥離した前記ヒートシンクの前記先端及び前記後端は、前記粘着層により前記回路基板ユニットの前記ヒートシンク貼付領域に順に貼付される工程とを含むことを特徴とする。
【0005】
参考態様であるヒートシンク貼付装置は、第一方向(X)に沿って複数の回路
基板ユニット(11)を有するサーキットテープ(10)を輸送するために用い、各前記
回路基板ユニットはヒートシンク貼付領域を有するコンベヤ(30)と、
コンベヤ上方に設置され当接部(41)を有し、前記当接部と前記サーキットテープと
の間にはギャップ(G)を形成し、前記当接部はフレキシブルキャリア(21)を当接す
るために使用され、前記フレキシブルキャリアは前記第一方向と交わる第二方向(Z)に
沿って複数のヒートシンク(22)を輸送するために用い、各前記ヒートシンクは粘着層
(23)により前記フレキシブルキャリアに一時的に貼付され、前記当接部を通過した前記フレキシブルキャリアが前記ギャップを貫通した後、前記第一方向と前記第二方向との
間の刃先角(B)方向に進行すると、前記当接部が各前記ヒートシンクを前記フレキシブ
ルキャリアから順に剥離され各前記回路基板ユニットのヒートシンク貼付領域(12)に
順に貼付するホルダー(40)とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は進行中のヒートシンクテープの各ヒートシンクがホルダーの当接部を通過した後にヒートシンクテープのフレキシブルキャリアから順に剥離し、フレキシブルキャリアから剥離した各ヒートシンクを粘着層により進行中のサーキットテープのヒートシンク貼付領域に順に貼付する。したがって、吸着口により各ヒートシンクを吸着することによる欠点を回避し、各ヒートシンクが吸着口の吸着力が失われた後に各ヒートシンクが不正確な位置や機体に落ちることを回避する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るサーキットテープを示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るサーキットテープを示す上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るヒートシンクテープを示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るヒートシンクテープを示す上面図である。
【
図5】本発明のホルダーによりヒートシンクをサーキットテープに貼付する概略図である。
【
図6】本発明のホルダーによりヒートシンクをサーキットテープに貼付する概略図である。
【
図7】本発明のホルダーによりヒートシンクをサーキットテープに貼付する概略図である。
【
図8】本発明のホルダーによりヒートシンクをサーキットテープに貼付する概略図である。
【
図9】本発明のホルダーによりヒートシンクをサーキットテープに貼付する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明による実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について
図1から
図9に基づいて説明する。
図1と
図2に示すように、サーキットテープ10は複数のチップ50を結合するために用い、サーキットテープ10は複数の回路基板ユニット11を有し、各回路基板ユニット11はヒートシンク貼付領域12及びチップ実装領域13を有する。本実施形態では、チップ実装領域13はサーキットテープ10の第一表面10aに位置し、ヒートシンク貼付領域12はサーキットテープ10の第二表面10bに位置し、チップ実装領域13は各チップ50を結合するために用い、ヒートシンク貼付領域12は少なくとも1つのヒートシンク22を貼付するために用いる。
【0010】
図3と
図4に示すように、ヒートシンクテープ20はフレキシブルキャリア21及び複数のヒートシンク22を有し、フレキシブルキャリア21は離型フィルムから選択し、上表面21a及び下表面21bを有する。各ヒートシンク22は粘着層23によりフレキシブルキャリア21の上表面21aに一時的に貼付する。各ヒートシンク22は先端22a及び後端22bを有し、先端22aから後端22bまでの間には長さLを有する。フレキシブルキャリア21の可撓度は各ヒートシンク22の可撓度以下である。
【0011】
本発明に係るヒートシンクの貼付方法は、第一方向Xに沿ってサーキットテープ10を輸送し、各回路基板ユニット11のヒートシンク貼付領域12を露出する。本実施形態では、サーキットテープ10はヒートシンク貼付装置のコンベヤ30に装設し、コンベヤ30は第一方向Xに沿ってサーキットテープ10を輸送する(
図1及び
図5参照)。
【0012】
図1、
図5及び
図6に示すように、ヒートシンクテープ20はヒートシンク貼付装置のホルダー40に装設し、ホルダー40はサーキットテープ10上方に設置され当接部41を有する。ヒートシンクテープ20はフレキシブルキャリア21の下表面21bにより当接部41に当接し、当接部41とサーキットテープ10との間にはギャップGを形成する。ギャップGの高さDは長さL以下である。フレキシブルキャリア21は第一方向Xと交わる第二方向Zに沿ってヒートシンク22を順に輸送し、フレキシブルキャリア21は当接部41を通過した後、ギャップGを貫通し、第一方向Xと第二方向Zとの間の刃先角B方向に向けて進行し、各ヒートシンク22が当接部41を順に通過する。刃先角Bの角度は20~30度の間の範囲である。
【0013】
図6と
図7に示すように、フレキシブルキャリア21は当接部41及びギャップGを通過した後、刃先角B方向に進行し、各ヒートシンク22の先端22a及び後端22bが当接部41を順に通過する。先端22aが当接部41を通過すると、先端22a下方に位置する粘着層23がフレキシブルキャリア21から剥離し、サーキットテープ10のヒートシンク貼付領域12に接触するまで先端22aがサーキットテープ10方向に前進し、各ヒートシンク22の先端22aが粘着層23によりヒートシンク貼付領域12に貼付される。先端22aをヒートシンク貼付領域12に接触して貼付される際に、後端22b下方に位置する粘着層23がフレキシブルキャリア21から持続的に剥離する。本実施形態では、ギャップGの高さDが長さL以下であるため、各ヒートシンク22がフレキシブルキャリア21から脱離した後、後端22bが先端22aの後でサーキットテープ10のヒートシンク貼付領域12に接触し、後端22bが粘着層23によりヒートシンク貼付領域12に貼付される。本実施形態では、各ヒートシンク22がフレキシブルキャリア21から脱離した後、当接部41及びギャップGを通過したフレキシブルキャリア21がホルダー40とヒートシンク22が未貼付であるサーキットテープ10との間に位置し、次いでリールにより巻き取られる(図示省略)。
【0014】
図8に示すように、各ヒートシンク22をヒートシンク貼付領域12に設置した後、ヒートシンク貼付装置の圧着部材60により各ヒートシンク22とサーキットテープ10とを圧着し、各ヒートシンク22を粘着層23により各回路基板ユニット11のヒートシンク貼付領域12に貼付する。
図9に示すように、圧着部材60が第一方向Xと垂直になる第三方向Yに沿って各ヒートシンク22を圧迫する。本実施形態では、圧着部材60は架台(図示省略)に可動に装設し、架台は第三方向Yに沿って圧着部材60を連動され圧着部材60によりヒートシンク22を圧迫した後に回転する。ヒートシンク貼付装置は圧着支持台70を備え、圧着部材60及び圧着支持台70はサーキットテープ10の両側にそれぞれ位置する。圧着支持台70はサーキットテープ10を支持するために用い、圧着部材60をヒートシンク22に貼付する。
【0015】
本発明は、進行中のヒートシンクテープ20の各ヒートシンク22が当接部41を通過した後にヒートシンクテープ20のフレキシブルキャリア21から順に剥離し、フレキシブルキャリア21から剥離した各ヒートシンク22を進行中のサーキットテープ10のヒートシンク貼付領域12に順に貼付する。これにより、従来技術に存在する吸着口を各ヒートシンク22に吸着することによる欠点を回避し、各ヒートシンク22が吸着口の吸着力が失われた後に各ヒートシンク22が不正確な位置または機体に落ちるという問題を解決する。
【0016】
(その他の実施形態)
図8に示されるように、各ヒートシンク22をヒートシンク貼付領域12に設置した後、ヒートシンク貼付装置の圧着部材60により各ヒートシンク22とサーキットテープ10とを圧着し、各ヒートシンク22を粘着層23により各回路基板ユニット11のヒートシンク貼付領域12に貼付する。圧着部材60はローラーであるが、これに限られない。
【0017】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0018】
10 サーキットテープ
10a 第一表面
10b 第二表面
11 回路基板ユニット
12 ヒートシンク貼付領域
13 チップ実装領域
20 ヒートシンクテープ
21 フレキシブルキャリア
21a 上表面
21b 下表面
22 ヒートシンク
22a 先端
22b 後端
23 粘着層
30 コンベヤ
40 ホルダー
41 当接部
50 チップ
60 圧着部材
70 圧着支持台
B 刃先角
D 高さ
G ギャップ
L 長さ
X 第一方向
Z 第二方向
Y 第三方向