(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】画像処理装置、内視鏡システム、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
A61B1/045 610
(21)【出願番号】P 2020506006
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2018009816
(87)【国際公開番号】W WO2019175991
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 直
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158840(JP,A)
【文献】特開2013-197649(JP,A)
【文献】特開2016-15995(JP,A)
【文献】特開2008-256515(JP,A)
【文献】特開2012-10730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備える内視鏡が接続可能な画像処理装置であって、
前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成部と、
前記合成部が生成した前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間部と、
を備え
、
前記生成部は、前記検出部が検出した前記位置ずれ量に基づいて、前記合成画像データを用いて生成した前記参照画像データと、前記基準フレームの前記画像データを用いて生成した前記参照画像データとの重み付けを行って合成して新たな前記参照画像データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記検出部が検出した前記位置ずれ量が閾値未満であるか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記生成部は、
前記判定部によって前記位置ずれ量が閾値未満であると判定された場合、前記合成画像データを用いて前記参照画像データを生成する一方、
前記判定部によって前記位置ずれ量が閾値未満でないと判定された場合、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって前記参照画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1のフィルタは、緑色の波長帯域の光を透過する緑フィルタであることを特徴とする請求項1
または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1のフィルタは、青色の波長帯域の光および緑色の波長帯域の光を透過するシアンフィルタであることを特徴とする請求項1
または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
被検体に挿入可能な内視鏡と、
前記内視鏡が接続される画像処理装置と、
を備え、
前記内視鏡は、
2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、
前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備え、
前記画像処理装置は、
前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成部と、
前記合成部が生成した前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間部と、
を備え
、
前記生成部は、前記検出部が検出した前記位置ずれ量に基づいて、前記合成画像データを用いて生成した前記参照画像データと、前記基準フレームの前記画像データを用いて生成した前記参照画像データとの重み付けを行って合成して新たな前記参照画像データを生成することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項6】
2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備える内視鏡が接続可能な画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出ステップと、
前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成ステップと、
前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成ステップと、
前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間ステップと、
を含
み、
前記生成ステップは、前記検出ステップが検出した前記位置ずれ量に基づいて、前記合成画像データを用いて生成した前記参照画像データと、前記基準フレームの前記画像データを用いて生成した前記参照画像データとの重み付けを行って合成して新たな前記参照画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備える内視鏡が接続可能な画像処理装置に、
前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出ステップと、
前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成ステップと、
前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成ステップと、
前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間ステップと、
を実行させ
、
前記生成ステップは、前記検出ステップで検出した前記位置ずれ量に基づいて、前記合成画像データを用いて生成した前記参照画像データと、前記基準フレームの前記画像データを用いて生成した前記参照画像データとの重み付けを行って合成して新たな前記参照画像データを生成させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡が撮像した撮像信号に対して画像処理を行う画像処理装置、内視鏡システム、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野および工業分野において、各種検査のために内視鏡装置が広く用いられている。このうち、医療用の内視鏡装置は、患者等の被検体の体腔内に、複数の画素を有する撮像素子が先端に設けられた細長形状をなす可撓性の挿入部を挿入することによって、被検体を切開しなくても体腔内の体内画像を取得できるため、被検体への負担が少なく、普及が進んでいる。
【0003】
内視鏡装置の撮像方式として、フレーム毎に異なる波長帯域の照明を照射することでカラー情報を取得する面順次式と、撮像素子上に設けたカラーフィルタによりカラー情報を取得する同時式とが用いられている。面順次式は、色分離性能および解像度に優れるが、動的シーンでは色ズレが発生する。これに対して、同時式は、色ズレが発生しないが、色分離性能および解像度において面順次式に対して劣る。
【0004】
また、従来の内視鏡装置の観察方式として、白色の照明光(白色光)を用いた白色光観察方式(WLI:White Light Imaging)と、青色および緑色の波長帯域にそれぞれ含まれる二つの狭帯域光からなる照明光(狭帯域光)を用いた狭帯域光観察方式(NBI:Narrow Band Imaging)が広く知られている。白色光観察方式では緑色の波長帯域の信号を輝度信号としてカラー画像を生成し、挟帯域光観察方式では青色の波長帯域の信号を輝度信号として擬似カラー画像を生成する。このうち、狭帯域光観察方式は、生体の粘膜表層に存在する毛細血管および粘膜微細模様等を強調表示する画像を得ることができる。狭帯域光観察方式によれば、生体の粘膜表層における病変部をより的確に発見することができる。このような内視鏡装置の観察方式に関して、白色光観察方式と、狭帯域光観察方式とを切り替えて観察することも知られている。
【0005】
上述した観察方式でカラー画像を生成して表示するため、単板の撮像素子により撮像画像を取得すべく、撮像素子の受光面上には、一般的にベイヤー配列と呼ばれるカラーフィルタが設けられている。この場合、各画素は、フィルタを透過した波長帯域の光を受光し、その波長帯域の光に応じた色成分の電気信号を生成する。このため、カラー画像を生成する処理では、各画素においてフィルタを透過せずに欠落した色成分の信号値を補間する補間処理が行われる。このような補間処理は、デモザイキング処理と呼ばれる。また、撮像素子の受光面上には、一般的にベイヤー配列と呼ばれるカラーフィルタが設けられている。ベイヤー配列は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の波長帯域の光を透過するフィルタ(以下、「フィルタR」、「フィルタG」および「フィルタB」という)を1つのフィルタ単位(ユニット)として画素毎に配列したものである。
【0006】
近年、生体内において、白色光観察方式および狭帯域光観察方式のどちらでも高い解像感を得るために、原色カラーフィルタだけでなく、シアン(Cy)またはマゼンタ(Mg)のような補色カラーフィルタ(以下、「フィルタCy」および「フィルタMg」という)を混在させたフィルタ配置の技術が知られている(特許文献1)。この技術によれば、補色画素を混在させることによって、原色画素のみの場合に比べて青色波長帯域の情報を多く取得することができるので、狭帯域光観察方式の場合において毛細血管等の解像度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した特許文献1のように原色画素と補色画素が混在したフィルタ配置の撮像素子で撮像された画像データを用いた場合であっても、1フレームの画像データの情報のみに対してデモザイキング処理を施して生成したカラー画像データが面順次式と比べ情報量が不足しているため、解像度が低いという問題点があった。
【0009】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、同時式であっても、高解像度の画像を生成することができる画像処理装置、内視鏡システム、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る画像処理装置は、2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備える内視鏡が接続可能な画像処理装置であって、前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成部と、前記合成部が生成した前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成部と、前記生成部が生成した前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本開示に係る画像処理装置は、上記開示において、前記検出部が検出した前記位置ずれ量が閾値未満であるか否かを判定する判定部をさらに備え、前記生成部は、前記判定部によって前記位置ずれ量が閾値未満であると判定された場合、前記合成画像データを用いて前記参照画像データを生成する一方、前記判定部によって前記位置ずれ量が閾値未満でないと判定された場合、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって前記参照画像データを生成することを特徴とする。
【0012】
また、本開示に係る画像処理装置は、上記開示において、前記生成部は、前記検出部が検出した前記位置ずれ量に基づいて、前記合成画像データを用いて生成した前記参照画像データと、前記基準フレームの前記画像データを用いて生成した前記参照画像データとの重み付けを行って合成して新たな前記参照画像データを生成することを特徴とする。
【0013】
また、本開示に係る画像処理装置は、上記開示において、前記第1のフィルタは、緑色の波長帯域の光を透過する緑フィルタであることを特徴とする。
【0014】
また、本開示に係る画像処理装置は、上記開示において、前記第1のフィルタは、青色の波長帯域の光および緑色の波長帯域の光を透過するシアンフィルタであることを特徴とする。
【0015】
また、本開示に係る内視鏡システムは、被検体に挿入可能な内視鏡と、前記内視鏡が接続される画像処理装置と、を備え、前記内視鏡は、2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備え、前記画像処理装置は、前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成部と、前記合成部が生成した前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成部と、前記生成部が生成した前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本開示に係る画像処理方法は、2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備える内視鏡が接続可能な画像処理装置が実行する画像処理方法であって、前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出ステップと、前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成ステップと、前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成ステップと、前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
本開示に係るプログラムは、2次元格子状に配置されてなる複数の画素がそれぞれ受光して光電変換することによって画像データを所定のフレームで生成する撮像素子と、前記撮像素子における全画素の1/2以上の画素に配置されてなる第1のフィルタと、前記第1のフィルタと異なる分光感度特性を有する複数種類の第2のフィルタと、によって構成され、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを前記複数の画素に対応させて配置してなるカラーフィルタと、を備える内視鏡が接続可能な画像処理装置に、前記撮像素子が生成した複数フレームの前記画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する検出ステップと、前記位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの前記画像データの前記第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレームの前記画像データに合成して合成画像データを生成する合成ステップと、前記合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する生成ステップと、前記参照画像データを参照して、前記基準フレームの前記画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に前記第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、前記複数種類の第2のフィルタ毎に生成する補間ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、原色フィルタと補色フィルタが混在したフィルタ配置の撮像素子で撮像された画像データであっても、高解像度の画像を生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態1に係る内視鏡システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態1に係るカラーフィルタの構成の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態1に係るカラーフィルタを構成する各フィルタの透過特性の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態1に係る光源が出射する各光の分光特性の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態1に係る光源装置が出射する狭帯域光の分光特性の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が生成する画像を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態2に係るカラーフィルタの構成の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態2に係るカラーフィルタの構成の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が生成する画像を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施の形態3に係る画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が生成する画像を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本開示の実施の形態1に係るプロセッサ装置が生成する画像を模式的に示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施の形態1~4の変形例に係るカラーフィルタの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。本実施の形態では、患者等の被検体の体腔内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡装置について説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、本開示の実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成図である。
図2は、本開示の実施の形態1に係る内視鏡システムの機能構成を示すブロック図である。
【0022】
図1および
図2に示す内視鏡システム1は、患者等の被検体に挿入して被検体の体内を撮像し、この画像データに対応する体内画像を外部の表示装置へ出力する。医者等の使用者は、表示装置で表示された体内画像の観察を行うことによって、検出対象部位である出血部位、腫瘍部位および異常部位それぞれの有無を検査する。
【0023】
内視鏡システム1は、内視鏡2と、光源装置3と、プロセッサ装置4と、表示装置5と、を備える。内視鏡2は、被検体に挿入することによって被検体の観察部位を撮像して画像データを生成する。光源装置3は、内視鏡2の先端から出射する照明光を供給する。プロセッサ装置4は、内視鏡2が生成した画像データに所定の画像処理を施すとともに、内視鏡システム1全体の動作を統括的に制御する。表示装置5は、プロセッサ装置4が画像処理を施した画像データに対応する画像を表示する。
【0024】
〔内視鏡の構成〕
まず、内視鏡2の詳細な構成について説明する。
内視鏡2は、撮像光学系200と、撮像素子201と、カラーフィルタ202と、ライトガイド203と、照明用レンズ204と、A/D変換部205と、撮像情報記憶部206と、操作部207と、を備える。
【0025】
撮像光学系200は、少なくとも観察部位からの光を集光する。撮像光学系200は、一または複数のレンズを用いて構成される。なお、撮像光学系200には、画角を変化させる光学ズーム機構および焦点を変化させるフォーカス機構を設けてもよい。
【0026】
撮像素子201は、光を受光する画素(フォトダイオード)が2次元マトリックス状に配置されてなり、各画素が受光した光に対して光電変換を行うことによって画像データを生成する。撮像素子201は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを用いて実現される。
【0027】
カラーフィルタ202は、撮像素子201の各画素の受光面上に配置されてなり、各々が個別に設定された波長帯域の光を透過する複数のフィルタを有する。
【0028】
〔カラーフィルタの構成〕
図3は、カラーフィルタ202の構成の一例を示す模式図である。
図3に示すカラーフィルタ202は、赤色の波長帯域の光を透過するRフィルタと、緑色の波長帯域の光を透過する2つのGフィルタと、青色の波長帯域の光を透過するBフィルタとによって構成されたベイヤー配列をなす。赤色の波長帯域の光を透過するRフィルタが設けられた画素Pは、赤色の波長帯域の光を受光する。以下、赤色の波長帯域の光を受光する画素PをR画素という。同様に、緑色の波長帯域の光を受光する画素PをG画素、青色の波長帯域の光を受光する画素PをB画素、緑色の波長帯域の光を受光する画素PをG画素という。なお、以下においては、R画素、G画素およびB画素が原色画素として説明する。ここで、青色、緑色および赤色の波長帯域H
B,H
GおよびH
Rは、波長帯域H
Bが390nm~500nm、波長帯域H
Gが500nm~600nm、波長帯域H
Rが600nm~700nmである。
【0029】
〔各フィルタの透過特性〕
図4は、カラーフィルタ202を構成する各フィルタの透過特性の一例を示す図である。なお、
図4においては、各フィルタの透過率の最大値が等しくなるように透過率曲線を模擬的に規格化している。
図4において、曲線L
BがBフィルタの透過率曲線を示し、曲線L
GがGフィルタの透過率曲線を示し、曲線L
RがRフィルタの透過率曲線を示し、また、
図4において、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が透過率(感度)を示す。
【0030】
図4に示すように、Bフィルタは、波長帯域H
Bの光を透過する。Gフィルタは、波長帯域H
Gの光を透過する。Rフィルタは、波長帯域H
Rの光を透過する。このように、撮像素子201は、カラーフィルタ202の各フィルタに応じた波長帯域の光を受光する。
【0031】
図1および
図2に戻り、内視鏡システム1の構成の説明を続ける。
ライトガイド203は、グラスファイバ等を用いて構成され、光源装置3から供給された照明光の導光路をなす。
【0032】
照明用レンズ204は、ライトガイド203の先端に設けられる。照明用レンズ204は、ライトガイド203によって導光された光を拡散して内視鏡2の先端から外部に出射する。照明用レンズ204は、一または複数のレンズを用いて構成される。
【0033】
A/D変換部205は、撮像素子201が生成したアナログの画像データ(画像信号)をA/D変換し、この変換したデジタルの画像データをプロセッサ装置4へ出力する。A/D変換部205は、コンパレータ回路、参照信号生成回路およびアンプ回路等で構成されたAD変換回路を用いて構成される。
【0034】
撮像情報記憶部206は、内視鏡2を動作させるための各種プログラム、内視鏡2の動作に必要な各種パラメータおよび内視鏡2の識別情報を含むデータを記憶する。また、撮像情報記憶部206は、識別情報を記録する識別情報記憶部206aを有する。識別情報には、内視鏡2の固有情報(ID)、年式、スペック情報、伝送方式およびカラーフィルタ202におけるフィルタの配列情報等が含まれる。撮像情報記憶部206は、フラッシュメモリ等を用いて実現される。
【0035】
操作部207は、内視鏡2の動作を切り替える指示信号や光源装置に照明光の切替動作を行わせるための指示信号等の入力を受け付け、この受け付けた指示信号をプロセッサ装置4へ出力する。操作部207は、スイッチ、ジョグダイヤル、ボタンおよびタッチパネル等を用いて構成される。
【0036】
〔光源装置の構成〕
次に、光源装置3の構成について説明する。光源装置3は、照明部31と、照明制御部32と、を備える。
【0037】
照明部31は、照明制御部32の制御のもと、波長帯域が互いに異なる照明光をライトガイド203へ供給する。照明部31は、光源31aと、光源ドライバ31bと、切替フィルタ31cと、駆動部31dと、駆動ドライバ31eと、を有する。
【0038】
光源31aは、照明制御部32の制御のもと、照明光を出射する。光源31aが出射した照明光は、切替フィルタ31cや、集光レンズ31fおよびライトガイド203を経由して内視鏡2の先端から外部に出射される。光源31aは、互いに異なる波長帯域の光を照射する複数のLEDランプまたは複数のレーザ光源を用いて実現される。例えば、光源31aは、LED31a_B、LED31a_GおよびLED31a_Rの3つのLEDランプを用いて構成される。
【0039】
図5は、光源31aが出射する各光の分光特性の一例を示す図である。
図5において、横軸が波長を示し、縦軸が強度を示す。
図5において、曲線L
LEDBがLED31a_Bによって照射される青色の照明光の分光特性を示し、曲線L
LEDGがLED31a_Gによって照射される緑色の照明光の分光特性を示し、曲線L
LEDRがLED31a_Rによって照射される赤色の照明光の分光特性を示す。
【0040】
図5の曲線L
LEDBに示すように、LED31a_Bは、青色の波長帯域H
B(例えば380nm~480nm)にピーク強度を有する。また、
図5の曲線L
LEDGに示すように、LED31a_Gは、緑色の波長帯域H
G(例えば480nm~580nm)にピーク強度を有する。さらに、
図5の曲線L
LEDRに示すように、LED31a_Rは、赤色の波長帯域H
R(例えば580nm~680nm)にピーク強度を有する。
【0041】
図1および
図2に戻り、内視鏡システム1の構成の説明を続ける。
光源ドライバ31bは、照明制御部32の制御のもと、光源31aに対して電流を供給することによって、光源31aに照明光を出射させる。
【0042】
切替フィルタ31cは、光源31aが出射する照明光の光路上に挿脱自在に配置されてなり、光源31aが出射した照明光のうち所定の波長帯域の光を透過する。具体的には、切替フィルタ31cは、青色の狭帯域光および緑色の狭帯域光を透過する。即ち、切替フィルタ31cは、照明光の光路上に配置された場合、2つの狭帯域光を透過する。より具体的には、切替フィルタ31cは、波長帯域HBに含まれる狭帯域TB(例えば、390nm~445nm)の光と、波長帯域HGに含まれる狭帯域TG(例えば、530nm~550nm)の光と、を透過する。
【0043】
図6は、光源装置3が出射する狭帯域光の分光特性の一例を示す図である。
図6において、横軸が波長を示し、縦軸が強度を示す。また、
図6において、曲線L
NBが切替フィルタ31cを透過した狭帯域T
Bにおける狭帯域光の分光特性を示し、曲線L
NGが切替フィルタ31cを透過した狭帯域T
Gにおける狭帯域光の分光特性を示す。
【0044】
図6の曲線L
NBおよび曲線L
NGに示すように、切替フィルタ31cは、青色の狭帯域T
Bの光および緑色の狭帯域T
Gの光を透過する。切替フィルタ31cを透過した光は、狭帯域T
Bおよび狭帯域T
Gからなる狭帯域照明光となる。この狭帯域T
B,T
Gは、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい青色光および緑色光の波長帯域である。この狭帯域照明光による画像の観察を狭帯域光観察方式(NBI方式)という。
【0045】
図1および
図2に戻り、内視鏡システム1の構成の説明を続ける。
駆動部31dは、ステッピングモータやDCモータ等を用いて構成され、照明制御部32の制御のもと、切替フィルタ31cを光源31aが出射する照明光の光路上に挿入または光路上から退避させる。具体的には、駆動部31dは、照明制御部32の制御のもと、内視鏡システム1が白色光観察方式(WLI方式)を行う場合、切替フィルタ31cを光源31aが出射する照明光の光路上から退避させる一方、内視鏡システム1が狭帯域光観察方式(NBI方式)を行う場合、切替フィルタ31cを光源31aが出射する照明光の光路上に挿入(配置)する。
【0046】
駆動ドライバ31eは、照明制御部32の制御のもと、駆動部31dに所定の電流を供給する。
【0047】
集光レンズ31fは、光源31aが発した照明光を集光してライトガイド203へ出射する。また、集光レンズ31fは、切替フィルタ31cを透過した照明光を集光してライトガイド203へ出射する。集光レンズ31fは、一または複数のレンズを用いて構成される。
【0048】
照明制御部32は、CPU等を用いて構成される。照明制御部32は、プロセッサ装置4から入力される指示信号に基づいて、光源ドライバ31bを制御して光源31aをオンオフ動作させる。また、照明制御部32は、プロセッサ装置4から入力される指示信号に基づいて、駆動ドライバ31eを制御して切替フィルタ31cを光源31aが出射する照明光の光路上に挿入したり、退避させたりすることによって、照明部31が出射する照明光の種類(帯域)を制御する。具体的には、照明制御部32は、面順次式の場合、光源31aの少なくとも2つのLEDランプを個別に点灯させる一方、同時式の場合、光源31aの少なくとも2つのLEDランプを同時に点灯させることによって、照明部31から出射される照明光を、面順次式および同時式のいずれか一方に切り替える制御を行う。
【0049】
〔プロセッサ装置の構成〕
次に、プロセッサ装置4の構成について説明する。
プロセッサ装置4は、内視鏡2から受信した画像データに対して画像処理を行って表示装置5へ出力する。プロセッサ装置4は、画像処理部41と、入力部42と、記憶部43と、制御部44と、を備える。
【0050】
画像処理部41は、GPU(Graphics Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて構成される。画像処理部41は、画像データに対して所定の画像処理を行って表示装置5へ出力する。具体的には、画像処理部41は、後述する補間処理の他に、OBクランプ処理、ゲイン調整処理およびフォーマット変換処理等を行う。画像処理部41は、検出部411と、生成部413と、補間部414と、を有する。なお、実施の形態1では、画像処理部41が画像処理装置として機能する。
【0051】
検出部411は、撮像素子201が生成した複数フレームの画像データ間の各画素の位置ずれ量を検出する。具体的には、検出部411は、複数フレームのうち過去フレームの画像データに対応する過去画像と基準フレーム(最新フレーム)の画像データに対応する最新画像とを用いて、過去画像と最新画像との画素間の位置ずれ量(動きベクトル)を検出する。
【0052】
合成部412は、検出部411が検出した位置ずれ量に基づいて、少なくとも1つ以上の過去フレームの画像データの第1のフィルタが配置された画素の情報を、基準フレーム(最新フレーム)の画像データに合成して合成画像データを生成する。具体的には、合成部412は、過去画像のG画素の情報(画素値)を最新画像のG画素の情報に合成することによって、1/2以上のG画素の情報を含む合成画像を生成する。また、合成部412は、過去フレームの画像データに対応する過去画像のR画素の情報(画素値)を基準フレーム(最新フレーム)の画像データに対応する最新画像のR画素の情報に合成した合成画像を生成し、かつ、過去画像のB画素の情報(画素値)を最新画像のB画素の情報に合成した合成画像データを生成する。
【0053】
生成部413は、合成部412が生成した合成画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に第1のフィルタの情報を含む第1の補間画像データを参照画像データとして生成する。生成部413は、合成部412が生成した合成画像に対して、G画素の情報を補間する補間処理を行うことによって全画素にG画素の情報を含む補間画像を参照画像として生成する。
【0054】
補間部414は、生成部413が生成した参照画像データを参照して、基準フレーム(最新フレーム)の画像データに対して補間処理を行うことによって全画素位置に第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、複数種類の第2のフィルタ毎に生成する。具体的には、補間部414は、生成部413が生成した参照画像に基づいて、合成部412が生成したR画素の合成画像およびB画素の合成画像の各々に対して補間処理を行うことによって、全画素にR画素の情報を含む補間画像および全画素にB画素の情報を含む補間画像の各々を生成する。
【0055】
入力部42は、スイッチ、ボタンおよびタッチパネル等を用いて構成され、内視鏡システム1の動作を指示する指示信号の入力を受け付け、この受け付けた指示信号を制御部44へ出力する。具体的には、入力部42は、光源装置3が照射する照明光の方式を切り替える指示信号の入力を受け付ける。例えば、入力部42は、光源装置3が同時式で照明光を照射している場合、光源装置3に面順次式で照明光を照射させる指示信号の入力を受け付ける。
【0056】
記憶部43は、揮発性メモリや不揮発性メモリを用いて構成され、内視鏡システム1に関する各種情報や内視鏡システム1が実行するプログラムを記憶する。
【0057】
制御部44は、CPU(Central Processing Unit)を用いて構成される。制御部44は、内視鏡システム1を構成する各部を制御する。例えば、制御部44は、入力部42から入力された光源装置3が照射する照明光の方式を切り替える指示信号に基づいて、光源装置3が照射する照明光の方式を切り替える。
【0058】
〔表示装置の構成〕
次に、表示装置5の構成について説明する。
表示装置5は、映像ケーブルを経由してプロセッサ装置4が生成した画像データを受信し、この画像データに対応する画像を表示する。また、表示装置5は、プロセッサ装置4から受信した内視鏡システム1に関する各種情報を表示する。表示装置5は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)の表示モニタ等を用いて構成される。
【0059】
〔プロセッサ装置の処理〕
次に、プロセッサ装置4が実行する処理について説明する。
図7は、プロセッサ装置4が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図8は、プロセッサ装置4が生成する画像を模式的に示す図である。なお、
図8においては、説明を簡略化するため、過去フレームの画像データとして1フレーム(1枚)の画像データを用いる場合について説明するが、これに限定されることなく、複数の過去フレームの各々の画像データを用いてもよい。さらに、
図7および
図8においては、光源装置3は、白色光を内視鏡2に供給する場合について説明する。
【0060】
図7に示すように、まず、制御部44は、内視鏡2が光源装置3およびプロセッサ装置4に接続され、撮像を開始する準備が整った場合、記憶部43から光源装置3の駆動方法および観察方式および内視鏡の撮像設定の読込を行い、内視鏡2の撮影を開始する(ステップS101)。
【0061】
続いて、制御部44は、記憶部43に複数フレーム(例えば2フレーム以上)の画像データが保持されているか否かを判断する(ステップS102)。制御部44によって記憶部43に複数フレームの画像データが保持されていると判断された場合(ステップS102:Yes)、プロセッサ装置4は、後述するステップS104へ移行する。これに対して、制御部44によって記憶部43に複数フレームの画像データが保持されていないと判断された場合(ステップS102:No)、プロセッサ装置4は、後述するステップS103へ移行する。
【0062】
ステップS103において、画像処理部41は、記憶部43から1フレームの画像データの読込を行う。具体的には、画像処理部41は、記憶部43から最新の画像データの読込を行う。ステップS103の後、プロセッサ装置4は、後述するステップS109へ移行する。
【0063】
ステップS104において、画像処理部41は、記憶部43から複数フレームの画像データの読込を行う。具体的には、画像処理部41は、記憶部43から過去フレームの画像データと最新フレームの画像データとの読込を行う。
【0064】
続いて、検出部411は、過去フレームの画像データと最新フレームの画像データとの位置ずれ量を検出する(ステップS105)。具体的には、検出部411は、過去フレームの画像データに対応する過去画像と最新フレームの画像データに対応する最新画像とを用いて、過去画像と最新画像との画素間の位置ずれ量(動きベクトル)を検出する。例えば、検出部411は、過去画像と最新画像の2枚の画像の位置合わせ処理を行う場合、2枚の画像間の位置ずれ量(動きベクトル)を検出し、この検出した位置ずれ量がなくなるように各画素を移動させながら基準となる最新画像の各画素に位置合わせを行う。ここで、位置ずれ量を検出する検出方法として、既知のブロックマッチング処理を用いて検出する。ブロックマッチング処理は、基準となるフレーム(最新フレーム)の画像(最新画像)を一定の大きさのブロック、例えば8画素×8画素に分割し、このブロック単位で位置合わせ対象となるフレーム(過去フレーム)の画像(過去画像)の画素との差を算出し、この差の絶対値の和(SAD)が最小となるブロックを探索し、位置ずれ量を検出する。
【0065】
その後、合成部412は、検出部411によって検出された位置ずれ量に基づいて、過去フレームの画像データに対応する過去画像のG画素の情報(画素値)を最新フレームの画像データに対応する最新画像のG画素の情報に合成する(ステップS106)。具体的には、
図8に示すように、最新画像P
N1は、画像全体に対して1/2のG画素の情報を含む。このため、合成部412は、過去画像のG画素の情報を合成することによって、1/2以上のG画素の情報を含む合成画像を生成することができる。例えば、
図8に示すように、合成部412は、過去画像P
F1のG画素の情報(画素値)を最新画像P
G1のG画素の情報に合成することによって、1/2以上のG画素の情報を含む合成画像PG
_s
umを生成する。なお、
図8では、説明を簡略化するため、過去画像が1フレームのみの場合について説明したが、これに限定されることなく、合成部412は、複数の過去フレームの各々の画像データのG画素の情報を最新フレーム画像データのG画素の情報に合成してもよい。
【0066】
続いて、生成部413は、合成部412が生成した合成画像PG
_sumに基づいて、G画素の情報を補間する補間処理を行うことによって全画素にG画素の情報を含む補間画像を参照画像として生成する(ステップS107)。具体的には、
図8に示すように、生成部413は、合成画像PG
_sumに対して、G画素の情報を補間する補間処理を行うことによって全画素にG画素の情報を含む補間画像P
FG1を参照画像として生成する。G画素は、もともと画像全体に対して1/2の位置に存在しているため、R画素やB画素に比べて、画素位置に情報を含む状態となっている。このため、生成部413は、既知のバイリニア補間処理や方向判別補間処理等によって高精度に補間処理を行った補間画像P
FG1を参照画像として生成することができる。
【0067】
その後、合成部412は、検出部411によって検出された位置ずれ量に基づいて、過去フレームの画像データに対応する過去画像のR画素の情報(画素値)を最新フレームの画像データに対応する最新画像P
R1のR画素の情報に合成してR画素の合成画像を生成し、かつ、過去画像のB画素の情報(画素値)を最新画像のB画素の情報に合成してB画素の合成画像を生成する(ステップS108)。具体的には、
図8に示すように、合成部412は、過去画像P
F1のB画素の情報(画素値)を最新画像P
B1のB画素の情報に合成してB画素の合成画像PB
_sumを生成し、かつ、過去画像P
F1のR画素の情報(画素値)を最新画像P
R1のR画素の情報に合成してR画素の合成画像PR
_sumを生成する。
【0068】
続いて、補間部414は、生成部413が生成した参照画像に基づいて、R画素の合成画像PR
_sumおよびB画素の合成画像PB
_sumの各々に対して補間処理を行うことによってR画像およびB画像の全画素にR画素およびB画素の情報を含むR画素の補間画像およびB画素の補間画像を生成する(ステップS109)。具体的には、補間部414は、
図8に示すように、生成部413が生成した参照画像(補間画像P
FG)に基づいて、合成画像PR
_sumおよび合成画像PB
_sumの各々に対して補間処理を行うことによって、全画素にR画素の情報を含む補間画像P
FR1、および全画素にB画素の情報を含む補間画像P
FB1を生成する。ここで、参照画像を用いた補間方法としては、既知のジョイントバイラテラル補間処理またはガイデッドフィルタ補間処理等である。従来の参照画像を用いた補間処理は、高精度に補間を行うことができるが、補間対象の情報と参照画像の情報の相関が低い場合、補間対象の情報が少ないほど参照画像の情報が補間画像に混入してしまい、色分離性能が悪くなる問題点があった。これに対して、実施の形態1によれば、参照画像を用いてR画素およびB画素の補間処理を行う前に、合成部412が過去画像からR画素およびB画素の各々の情報を合成することによって、R画素およびB画素の情報量を増加させた状態にした後に、補間部414がR画素およびB画素の各々の補間処理を行うので、色分離性能を向上させることができる。この結果、高解像度の画像(カラー画像)を表示装置5へ出力することができる。なお、補間部414は、記憶部43に過去フレームの画像データが記憶されていない場合、最新の画像データに対応する最新画像に対して、周知の補間処理を行うことによって、R画素、G画素およびB画素の各々の3色の画像を生成して表示装置5へ出力する。
【0069】
その後、入力部42または操作部207から終了を指示する指示信号を受信した場合(ステップS110:Yes)、プロセッサ装置4は、本処理を終了する。これに対して、入力部42または操作部207から終了を指示する指示信号を受信していない場合(ステップS110:No)、プロセッサ装置4は、上述したステップS102へ戻る。
【0070】
以上説明した実施の形態1によれば、補間部414が生成部413によって生成された参照画像データを参照して、最新フレームの画像データに対応する最新画像に対して補間処理を行うことによって全画素位置に第2のフィルタの情報を含む第2の補間画像データを、複数種類の第2のフィルタ毎に生成するので、同時式であっても、高解像度の画像を生成して表示装置5へ出力することができる。
【0071】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2について説明する。実施の形態2は、上述した実施の形態1に係るカラーフィルタ202と構成が異なる。以下においては、実施の形態2のカラーフィルタの構成を説明後、実施の形態2に係るプロセッサ装置が実行する処理について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
〔カラーフィルタの構成〕
図9は、本開示の実施の形態2に係るカラーフィルタの構成の一例を示す模式図である。
図9に示すカラーフィルタ202Aは、4×4で2次元格子状に並べられた16個のフィルタからなり、各フィルタを画素の配置に応じて並べられて配置したものである。カラーフィルタ202Aは、青色(B)の波長帯域H
B、緑色(G)の波長帯域H
Gおよび赤色(R)の波長帯域H
Rの光を透過する。また、カラーフィルタ202Aは、赤色の波長帯域H
Rの光を透過するRフィルタと、緑色の波長帯域H
Gの光を透過するGフィルタ、青色の波長帯域H
Bの光を透過するBフィルタと、青色の波長帯域の光および緑色の波長帯域の光を透過するCyフィルタを有する。具体的には、カラーフィルタ202Aは、Cyフィルタが全体の1/2の割合(8つ)で市松状に配置され、Gフィルタが全体の1/4の割合(4つ)で配置され、フィルタBよびフィルタRの各々が1/8(2つ)の割合で配置されている。
【0073】
〔各フィルタの透過特性〕
次に、カラーフィルタ202Aを構成する各フィルタの透過特性について説明する。
図10は、カラーフィルタ202Aを構成する各フィルタの透過特性の一例を示す図である。
図10において、各フィルタの透過率の最大値が等しくなるように透過率曲線を模擬的に規格化している。
図10において、曲線L
BがBフィルタの透過率曲線を示し、曲線L
GがGフィルタの透過率曲線を示し、曲線L
RがRフィルタの透過率曲線を示し、曲線L
CyがCyフィルタの透過率曲線を示す。また、
図10において、横軸が波長を示し、縦軸が透過率を示す。
【0074】
図10に示すように、Cyフィルタは、波長帯域H
Bおよび波長帯域H
Gそれぞれの光を透過し、波長帯域H
Rの光を吸収(遮光)する。即ち、Cyフィルタは、補色であるシアン色の波長帯域の光を透過する。なお、本明細書において、補色とは、波長帯域H
B,H
G,H
Rのうち少なくとも二つの波長帯域を含む光により構成される色のことをいう。
【0075】
〔プロセッサ装置の処理〕
次に、プロセッサ装置4が実行する処理について説明する。
図11は、プロセッサ装置4が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図12は、プロセッサ装置4が生成する画像を模式的に示す図である。なお、
図12においては、説明を簡略化するため、過去フレームの画像データとして1フレーム(1枚)の画像データを用いる場合について説明するが、これに限定されることなく、複数の過去フレームの各々の画像データを用いてもよい。さらに、以下においては、光源装置3が狭帯域照明光を内視鏡2へ供給する場合について説明する。なお、光源装置3が白色光を内視鏡2へ供給する場合、プロセッサ装置4は、上述した実施の形態1と同様の処理を行うことによって、R、GおよびB画像それぞれの画像を生成する。
【0076】
図11において、ステップS201~ステップS205は、上述した
図7のステップS101~ステップS105の各々に対応する。
【0077】
ステップS206において、合成部412は、検出部411によって検出された位置ずれ量に基づいて、過去フレームの画像データに対応する過去画像P
F2のCy画素の情報(画素値)を最新フレームの画像データに対応する最新画像P
Cy1のCy画素の情報に合成する。最新画像P
N2は、画像全体に対して1/2のCy画素の情報を含む。このため、
図12に示すように、合成部412は、過去画像P
F2のCy画素の情報を最新画像P
Cy1に合成することによって、1/2以上のCy画素の情報を含む合成画像PCy
_
sumを生成することができる。なお、
図12では、説明を簡略化するため、過去画像が1フレームのみの場合について説明したが、これに限定されることなく、合成部412は、複数の過去フレームの各々の画像データのCy画素の情報を最新フレーム画像データのCy画素の情報に合成してもよい。
【0078】
続いて、生成部413は、補間部414が生成した合成画像に基づいて、Cy画素の情報を補間する補間処理を行うことによって画像の全画素にCy画素の情報を含む補間画像を参照画像として生成する(ステップS207)。具体的には、
図12に示すように、生成部413は、合成画像Cy
_sumに対して、Cy画素の情報を補間する補間処理を行うことによって画像の全画素にCy画素の情報を含む補間画像P
FCyを参照画像として生成する。Cy画素は、もともと全画素に対して1/2の位置に存在しているため、G画素やB画素に比べて、画素位置に情報を含む状態となっている。このため、生成部413は、既知のバイリニア補間処理や方向判別補間処理等によって高精度に補間処理を行った補間画像P
Fcyを参照画像として生成することができる。
【0079】
続いて、補間部414は、生成部413が生成した参照画像に基づいて、B画素の合成画像およびG画素の合成画像の各々に対して補間処理を行うことによってB画像およびG画像の全画素にB画素およびG画素の情報を含むB画素の補間画像およびG画素の補間画像を生成する(ステップS208)。具体的には、
図12に示すように、補間部414は、生成部413が生成した参照画像(補間画像P
FCy)と最新画像P
N1に含まれるB画素の情報(画像P
B2)と、G画素(画像P
G2)の情報とを用いて、補間処理を行うことによってB画素の補間画像P
FB2およびG画素の補間画像P
FG2を生成する。市松状に配置されたCy画素は、B画素およびG画素と相関が高い。このため、補間部414は、B画素およびG画素の情報量(画素値)が少なくとも、Cy画素の参照画像(補間画像P
FCy)を用いて補間処理を行うことによって、色分離性能を保ちながら高精度に補間処理を行うことができる。これにより、内視鏡システム1は、内視鏡2が狭帯域光観察方式を行った場合、高解像度の画像を出力することができる。ステップS208の後、プロセッサ装置4は、ステップS209へ移行する。ステップS209は、上述した
図7のステップS109に対応する。
【0080】
以上説明した実施の形態2によれば、補間部414がCy画素の参照画像(補間画像P
FCy)を用いてB画素およびG画素の各々の補間処理を行うことによって、B画素およびG画素の情報量(画素値)が少ない場合であっても、色分離性能を保ちながら高精度に補間処理を行うことができるので、色分離性能を向上させることができるうえ、B画素およびG画素の合成処理の省略化を行うことができる。
【0081】
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、上述した実施の形態2に係る画像処理部401と構成が異なる。具体的には、実施の形態3では、位置ずれ量に基づいて、参照画像を用いた補間画像を生成するか否かを判定する。以下においては、実施の形態3に係る画像処理部の構成を説明後、実施の形態3に係るプロセッサ装置が実行する処理について説明する。
【0082】
図13は、本開示の実施の形態3に係る画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
図13に示す画像処理部401Bは、上述した実施の形態2に係る画像処理部401の構成に加えて、判定部415をさらに備える。
【0083】
判定部415は、検出部411が検出した位置ずれ量が閾値未満であるか否かを判定する。
【0084】
〔プロセッサ装置の処理〕
次に、プロセッサ装置4が実行する処理について説明する。
図14は、プロセッサ装置4が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図15は、プロセッサ装置4が生成する画像を模式的に示す図である。なお、
図15においては、説明を簡略化するため、過去フレームの画像データとして1フレーム(1枚)の画像データを用いる場合について説明するが、これに限定されることなく、複数の過去フレームの各々の画像データを用いてもよい。さらに、以下においては、光源装置3が狭帯域照明光を内視鏡2へ供給する場合について説明する。なお、光源装置3が白色光を内視鏡2へ供給する場合、プロセッサ装置4は、上述した実施の形態1と同様の処理を行うことによって、R、GおよびB画像それぞれの画像を生成する。
【0085】
図14において、ステップS301~ステップS305は、上述した
図7のステップS101~ステップS105の各々に対応する。
【0086】
ステップS306において、判定部415は、検出部411によって検出された位置ずれ量が閾値未満であるか否かを判定する。判定部415が検出部411によって検出された位置ずれ量が閾値未満であると判定した場合(ステップS306:Yes)、プロセッサ装置4は、後述するステップS307へ移行する。これに対して、判定部415が検出部411によって検出された位置ずれ量が閾値未満でないと判定された場合(ステップS306:No)、プロセッサ装置4は、後述するステップS308へ移行する。
【0087】
ステップS307において、合成部412は、検出部411によって検出された位置ずれ量に基づいて、過去フレームの画像データに対応する過去画像P
F2のCy画素の情報(画素値)を最新フレームの画像データに対応する最新画像P
Cy1のCy画素の情報に合成する。具体的には、
図15に示すように、合成部412は、過去画像P
F2のCy画素の情報を最新画像P
Cy1に合成することによって、1/2以上のCy画素の情報を含む合成画像PCy
_sumを生成する。ステップS307の後、プロセッサ装置4は、後述するステップS308へ移行する。なお、
図15では、説明を簡略化するため、過去画像が1フレームのみの場合について説明したが、これに限定されることなく、合成部412は、複数の過去フレームの各々の画像データのCy画素の情報を最新フレーム画像データのCy画素の情報に合成してもよい。
【0088】
続いて、生成部413は、補間部414が生成した合成画像または最新画像に基づいて、Cy画素の情報を補間する補間処理を行うことによって画像の全画素にCy画素の情報を含む補間画像を参照画像として生成する(ステップS308)。具体的には、生成部413は、判定部415が検出部411によって検出された位置ずれ量が閾値未満であると判定した場合において、合成部412が合成画像を生成したとき、合成画像Cy_sumに対して、Cy画素の情報を補間する補間処理を行うことによって画像の全画素にCy画素の情報を含む補間画像PFCyを参照画像として生成する。これに対して、生成部413は、判定部415が検出部411によって検出された位置ずれ量が閾値未満でないと判定した場合において、最新画像PN2のCy画素の情報(最新画像PCy1)に対して、Cy画素の情報を補間する補間処理を行うことによって全画素にCy画素の情報を含む補間画像PFCyを参照画像として生成する。即ち、生成部413は、内視鏡2による被検体の病変のスクリーニング時等の動き量(位置ずれ量)が大きいシーンの場合、解像度が比較的重要でないため、1フレームのみの画像データを用いて参照画像を生成する。
【0089】
ステップS309およびステップS310は、上述した
図11のステップS209およびステップS210それぞれに対応する。
【0090】
以上説明した実施の形態3によれば、判定部415が検出部411によって検出された位置ずれ量が閾値未満であると判定した場合において、合成部412が合成画像を生成したとき、生成部413が合成画像Cy_sumに対して、Cy画素の情報を補間する補間処理を行うことによって画像の全画素にCy画素の情報を含む補間画像PFCyを参照画像として生成するので、上述した実施の形態2の効果に加えて、シーンの動き量に応じて最適な参照画像の生成が可能となり、動きの大きいシーンであっても、アーティファクトが発生させることなく、出力画像を生成することができる。
【0091】
(実施の形態4)
次に、本開示の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態2では、位置ずれ量に基づいて、過去画像のCy画素の情報と最新画像のCy画素の情報とを単に合成していたが、実施の形態4では、位置ずれ量に基づいて合成する際の重み付けを行って合成する。以下において、実施の形態4に係るプロセッサ装置が実行する処理について説明する。なお、上述した実施の形態2に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0092】
〔プロセッサ装置の処理〕
図16は、プロセッサ装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図17は、プロセッサ装置4が生成する画像を模式的に示す図である。
図17においては、説明を簡略化するため、過去フレームの画像データとして1フレーム(1枚)の画像データを用いる場合について説明するが、これに限定されることなく、複数の過去フレームの各々の画像データを用いてもよい。さらに、以下においては、光源装置3が狭帯域照明光を内視鏡2へ供給する場合について説明する。なお、光源装置3が白色光を内視鏡2へ供給する場合、プロセッサ装置4は、上述した実施の形態1と同様の処理を行うことによって、R、GおよびB画像それぞれの画像を生成する。
【0093】
図16において、ステップS401~ステップS407は、上述した
図7のステップS101~ステップS107それぞれに対応する。
【0094】
ステップS408において、生成部413は、最新フレームの画像データに対応する最新画像のCy画素に対して、補間処理を行うことによって全画素にCy画素の情報を含む補間画像を生成する。具体的には、
図17に示すように、生成部413は、Cy画素の最新画像P
Cy1に対して、補間処理を行うことによって全画素にCy画素の情報を含む補間画像P
FCy2を生成する。
【0095】
続いて、生成部413は、検出部411が検出した位置ずれ量に基づいて、合成画像データを用いて生成した参照画像データと、最新フレーム(基準フレーム)の画像データを用いて生成した参照画像データとの重み付けを行って合成した新たな参照画像データを生成する(ステップS409)。具体的には、
図17に示すように、生成部413は、検出部411が検出した位置ずれ量が閾値未満である場合、参照画像F
Cy2に対して参照画像F
Cyの割合が高くなるように重み付けを行って参照画像P
FCy3を生成する。例えば、生成部413は、検出部411が検出した位置ずれ量が閾値未満である場合、参照画像F
Cy2と参照画像F
Cyとを合成する比率を9:1の重み付けによって合成することによって参照画像P
FCy3を生成する。これに対して、生成部413は、検出部411が検出した位置ずれ量が閾値未満でない場合、参照画像F
Cy2に対して参照画像F
Cyの割合が小さくなるように重み付けを行って参照画像P
FCy3を生成する。
【0096】
ステップS410およびステップS411は、
図7のステップS109およびステップS110それぞれに対応する。
【0097】
以上説明した実施の形態4によれば、生成部413が検出部411によって検出された位置ずれ量に基づいて、合成画像データを用いて生成した参照画像データと、最新フレーム(基準フレーム)の画像データを用いて生成した参照画像データとの重み付けを行って合成して新たな参照画像データを生成するので、複数フレームの画像データを用いる場合と1フレームのみの画像データを用いる場合の切り替わり時の急激な画質変化を低減することができる。
【0098】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態1~4では、カラーフィルタの構成を適宜変更することができる。
図18は、本開示の実施の形態1~4の変形例に係るカラーフィルタの構成の一例を示す模式図である。
図18に示すように、カラーフィルタ202Cは、5×5で2次元格子状に並べられた25個のフィルタからなる。カラーフィルタ202Cは、Cyフィルタが全体の1/2以上の割合(16つ)で配置され、Gフィルタが4つで配置され、フィルタBが4つで配置され、フィルタRが2つで配置されている。
【0099】
また、本開示の実施の形態1~4に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した本開示の実施の形態1~4に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、上述した本開示の実施の形態1~4で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0100】
また、本開示の実施の形態1~4では、プロセッサ装置と光源装置とが別体であったが、一体的に形成してもよい。
【0101】
また、本開示の実施の形態1~4では、内視鏡システムであったが、例えばカプセル型の内視鏡、被検体を撮像するビデオマイクロスコープ、撮像機能および照明光を照射する照射機能を有する携帯電話および撮像機能を有するタブレット型端末であっても適用することができる。
【0102】
また、本開示の実施の形態1~4では、軟性の内視鏡を備えた内視鏡システムであったが、硬性の内視鏡を備えた内視鏡システム、工業用の内視鏡を備えた内視鏡システムであっても適用することができる。
【0103】
また、本開示の実施の形態1~4では、被検体に挿入される内視鏡を備えた内視鏡システムであったが、例えば硬性の内視鏡を備えた内視鏡システム、副鼻腔内視鏡および電気メスや検査プローブ等の内視鏡システムであっても適用することができる。
【0104】
また、本開示の実施の形態1~4では、上述してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0105】
また、本開示の実施の形態1~4に係る内視鏡システムに実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0106】
また、本開示の実施の形態1~4に係る内視鏡システムに実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。さらに、本開示の実施の形態1~4に係る内視鏡システムに実行させるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0107】
また、本開示の実施の形態1~4は、ケーブルを介して双方向にデータを送受信していたが、これに限定されることなく、プロセッサ装置は、サーバ等を経由して内視鏡が生成した画像データを格納したファイルをネットワーク上に送信してもよい。
【0108】
また、本開示の実施の形態1~4では、伝送ケーブルを介して内視鏡からプロセッサ装置へ信号を送信していたが、例えば有線である必要はなく、無線であってもよい。この場合、所定の無線通信規格(例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標))に従って、内視鏡から画像信号等をプロセッサ装置へ送信するようにすればよい。もちろん、他の無線通信規格に従って無線通信を行ってもよい。
【0109】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本開示を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0110】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本開示を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 光源装置
4 プロセッサ装置
5 表示装置
41 画像処理部
42 入力部
43 記憶部
44 制御部
201 撮像素子
202,202A,202C カラーフィルタ
401,401B 画像処理部
411 検出部
412 合成部
413 生成部
414 補間部
415 判定部