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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】圧力表示器
(51)【国際特許分類】
   G01L 7/16 20060101AFI20220509BHJP
   G01L 19/10 20060101ALI20220509BHJP
   G01L 19/12 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G01L7/16
G01L19/10
G01L19/12 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020519442
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018051885
(87)【国際公開番号】W WO2019070409
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】62/568,501
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ワートマン セス アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ムトレイ ブラッド ジェームズ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】実公昭51-003016(JP,Y1)
【文献】特公昭45-032984(JP,B1)
【文献】英国特許出願公告第00264001(GB,A)
【文献】米国特許第06531960(US,B1)
【文献】国際公開第2015/013299(WO,A2)
【文献】特公昭46-016039(JP,B1)
【文献】米国特許第03812816(US,A)
【文献】特公昭50-002112(JP,B1)
【文献】特公昭49-019823(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/16,19/10-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力表示器であって、
本体であって、
長手方向軸を有する略円筒状の孔と、
肩部と、を有する本体と、
少なくとも部分的に前記孔内に配置されるピストンであって、
ベースと、
前記ベースから前記長手方向軸に沿って延出するステムであって、第1溝を有するステムと、を有し、
前記ピストンは、前記ベースに作用する流体の圧力が、閾値圧力より低いときに、前記本体に対する第1軸方向位置に位置する、ピストンと、
前記ピストンの前記ベースと、前記本体の前記肩部との間に配置される第1付勢要素であって、
前記第1付勢要素の力は、前記閾値圧力以上の圧力で前記ベースに作用する流体の圧力に負けて、それにより、前記ピストンは前記本体に対する第2軸方向位置に移動可能となる、第1付勢要素と、
前記長手方向軸周りに回転するように構成される回転可能ディスクであって、
前記回転可能ディスクは、前記ピストンが前記第1軸方向位置にあるときに、第1回転位置を有し、また、前記回転可能ディスクはタブを有し、該タブは、前記ピストンが前記第1軸方向位置にあるときに、前記第1溝に収容され得る、回転可能ディスクと、
前記ピストンが前記第2軸方向位置にあるときに、前記回転可能ディスクを第2回転位置に付勢するように構成される第2付勢要素と、
を備える圧力表示器。
【請求項2】
前記第1溝は、前記長手方向軸と略平行に配置される、請求項に記載の圧力表示器。
【請求項3】
前記ステムは第2溝を有し、
前記第2溝は、
前記長手方向軸と略直交するように配置され、
前記第1溝に接続され、
前記ピストンが前記第2軸方向位置にあるときに、前記タブを収容するように構成される、
請求項1または2に記載の圧力表示器。
【請求項4】
前記ステムは第3溝を有し、
前記第3溝は、
前記長手方向軸と略平行に配置され、
前記第2溝に接続され、
前記ピストンが前記第2軸方向位置から前記第1軸方向位置に移動するときに、前記タブを収容するように構成される、
請求項に記載の圧力表示器。
【請求項5】
前記回転可能ディスクは突起を有し、
前記本体は、前記突起を受け入れるように構成される弓形凹部を有する、
請求項1~の何れか一項に記載の圧力表示器。
【請求項6】
前記弓形凹部は、反対側の第1端及び第2端を有し、
前記回転可能ディスクが前記第1回転位置にあるとき、前記突起は前記第1端に位置し、
前記回転可能ディスクが前記第2回転位置にあるとき、前記突起は前記第2端に位置する、
請求項に記載の圧力表示器。
【請求項7】
前記本体は、前記第2付勢要素がその中に配置される凹部を有する、請求項1~の何れか一項に記載の圧力表示器。
【請求項8】
前記第2付勢要素は、反対側の第1端及び第2端を有し、前記第1端は、前記本体に対して固定され、前記第2端は、前記回転可能ディスクに取り付けられる、請求項1~の何れか一項に記載の圧力表示器。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の圧力表示器を用いて、圧力容器の内部における流体の圧力レベルが閾値圧力レベルを超えたことを示すための方法であって、
前記圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、前記閾値圧力レベルより低いときに、第1視覚表示を提示することと、
前記圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、前記閾値圧力レベルより高いレベルに上昇したときに、前記第1視覚表示とは異なる第2視覚表示を提示することと、
前記圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、前記閾値圧力レベルより低いレベルに低下した後であっても、前記第2視覚表示を維持することと、
を含む方法。
【請求項10】
前記第1視覚表示を提示することは、前記回転可能ディスクの第1扇形部をプレートの窓内に配置することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2視覚表示を提示することは、前記回転可能ディスクを回転させて、前記回転可能ディスクの第2扇形部を前記プレートの前記窓内に配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2視覚表示を維持することは、前記回転可能ディスクの前記プレートに対する相対的な位置を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1視覚表示を提示することは、前記圧力表示器の前記ステムを、実質的に前記圧力表示器の前記本体内に配置することを含み、
前記第2視覚表示を提示することは、前記圧力表示器の前記ステムの少なくとも一部を、前記圧力表示器の前記本体の外側に突出させることを含む、
請求項~1の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
圧力容器は、一般に、例えば、水素、酸素、天然ガス、窒素、プロパン、メタン、及び、他の燃料などの様々な流体を加圧下で収容するために用いられる。一般的に、圧力容器は任意の大きさまたは形状を有し得る。これらの容器は、例えば、重くても軽くてもよく、1回使用(例えば、使い捨て)でも再利用可能でもよく、高圧(例えば、50psiより高い)や低圧(例えば、50psiより低い)にさらされてもよく、高温下または低温下で流体を貯蔵するために用いられてもよい。
【0002】
適した圧力容器シェル材料は、鋼などの金属、または、複合材料を含み、複合材料は、熱硬化性または熱可塑性の樹脂により互いに結合される、巻回されたガラス繊維フィラメントまたは他の合成フィラメントの積層物を含み得る。繊維は、ガラス繊維、アラミド、カーボン、グラファイト、または、任意の他の一般的に知られている繊維強化材料であってもよい。樹脂材料は、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、熱可塑性樹脂、または、繊維間結合、繊維層間結合、及び、容器が用いられることになる特定の用途に必要とされる破砕耐性を提供できる任意の他の適切な樹脂性物質であってもよい。容器の複合材構造は、軽量、並びに、腐食、疲労、及び、突発的故障に対する耐性などの多数の利点をもたらす。これらの特性は、強化繊維またはフィラメントの高い比強度によるものである。
【0003】
ポリマーまたは他の非金属の弾性を有するライナまたはブラダは、容器を密閉し、また、内部の流体が複合材料に接触することを防止するために、複合材シェル内にしばしば配置される。ライナは、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、または、任意の他の一般的に知られている技術によって製造され得る。あるいは、ライナは、鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、プラチナ、金、銀、ステンレス鋼、及び、それらの任意の合金を含む他の材料で製造され得る。これらの材料は、一般的に高い弾性率を有することを特徴とし得る。一実施形態において、ライナは、ブロー成形された高密度ポリエチレン(HDPE)にて形成される。
【0004】
図1は、参照により本願明細書に取り込まれる、「損傷軽減システムを備える圧力容器」と題する米国特許第5,476,189号に開示されるような、長尺の圧力容器10を示す。圧力容器10は、本体部12と、略半球状またはドーム形状の端部14と、を有する。典型的にはアルミニウムで構成されるボス16が圧力容器10の一方または両方の端部に設けられ、圧力容器10の内部環境17と外部環境19との間の連通のためのポートを提供する。図2に示されるように、圧力容器10は、シェル18によって覆われるライナ20(内側ポリマーライナなど)を有して形成される。一例において、シェル18は、フィラメントが巻回された複合材シェルであり得る。ライナ20がガスバリアを提供する一方で、シェル18は、圧力容器10に掛かる構造的荷重を解決する。
【0005】
図2は、参照により本願明細書に取り込まれる、「フィラメントが巻回された圧力容器のためのボス」と題する米国特許第5,429,845号にて開示されるような、ボス16を含む端部14の、図1の線分2-2に沿って得られた部分断面図である。ボス16は、外面23及びポート26を有する首部22を有する。ポート26は、ボス16の外面23を垂直に横切り、圧力容器10の外部環境19と内部環境17との間の流体連通を可能にする。ボス16はまた、首部22のポート26から半径方向外側に延出するフランジ24(環状フランジとして描写される)を有する。一般的に、ボス16のフランジ24は、ライナ20の部分の間に収容され、且つ/または、ライナ20とシェル18との間に挟持される。典型的には、シェル18は、首部22に当接する。
【0006】
本開示において、内部環境17に向かう面、方向、及び、要素は、「内部」との表記と共に呼称され、外部環境19に向かう面、方向、要素は、「外部」との表記と共に呼称される。これらの表記は限定するものではなく、むしろ、利便性、及び、理解のし易さのために提供されるものであり、他の表記の使用が可能、且つ/または、適切な場合もあることが理解されるであろう。例示的な圧力容器の構成に関する詳細は、参照により本願明細書に取り込まれる「フィラメントを巻回する方法及び装置」と題する米国特許第4,838,971号に開示されている。
[概要]
1つの態様において、圧力表示器は、本体、ピストン、第1付勢要素及び第2付勢要素、並びに、回転可能ディスクを備える。本体は、長手方向軸を有する略円筒状の孔と、肩部と、を有する。ピストンは、孔内に少なくとも部分的に配置される。ピストンは、ベースと、ベースから長手方向軸に沿って延出するステムと、を有する。ピストンは、ベースに作用する流体の圧力が閾値圧力より低いときに、本体に対する第1軸方向位置に位置する。第1付勢要素は、ピストンのベースと、本体の肩部との間に配置される。第1付勢要素の力は、閾値圧力以上の圧力でベースに作用する流体の圧力に負け、それにより、ピストンは本体に対する第2軸方向位置に移動可能となる。回転可能ディスクは、長手方向軸周りに回転するように構成される。ディスクは、ピストンが第1軸方向位置にあるときに、第1回転位置を有する。第2付勢要素は、ピストンが第2軸方向位置にあるときに、ディスクを第2回転位置に付勢するように構成される。
【0007】
別の態様において、圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、閾値圧力レベルを超えたことを示すための方法は、圧力容器の内部における流体の圧力レベルが閾値圧力レベルより低いときに第1視覚表示を提示することと、圧力容器の内部における流体の圧力レベルが閾値圧力レベルより高いレベルに上昇したときに、第1視覚表示とは異なる第2視覚表示を提示することと、圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、閾値圧力レベルより低いレベルに低下した後であっても第2視覚表示を維持することと、を含む。
【0008】
本開示はまた、その様々な組合せにおいて、装置または方法の形態で、以下の項目のリストによって特徴付けられてもよい。
1.圧力表示器であって、
本体であって、
長手方向軸を有する略円筒状の孔と、
肩部と、を有する本体と、
少なくとも部分的に上記孔内に配置されるピストンであって、
ベースと、
上記ベースから上記長手方向軸に沿って延出するステムと、を有し、
上記ピストンは、上記ベースに作用する流体の圧力が、閾値圧力より低いときに、上記本体に対する第1軸方向位置に位置する、ピストンと、
上記ピストンの上記ベースと、上記本体の上記肩部との間に配置される第1付勢要素であって、
上記第1付勢要素の力は、上記閾値圧力以上の圧力で上記ベースに作用する流体の圧力に負け、それにより、上記ピストンは上記本体に対する第2軸方向位置に移動可能となる、第1付勢要素と、
上記長手方向軸周りに回転するように構成される回転可能ディスクであって、
上記ディスクは、上記ピストンが上記第1軸方向位置にあるときに、第1回転位置を有する、回転可能ディスクと、
上記ピストンが上記第2軸方向位置にあるときに、上記ディスクを第2回転位置に付勢するように構成される第2付勢要素と、
を備える圧力表示器。
2.上記回転可能ディスクは、
第1視覚表示を有する第1扇形部と、
上記第1視覚表示とは異なる第2視覚表示を有する第2扇形部と、
を有する項目1に記載の圧力表示器。
3.窓を有するプレートであって、上記ディスクが上記第1回転位置にあるときに、上記窓を通して上記第1扇形部が視認可能であり、上記ディスクが上記第2回転位置にあるときに、上記窓を通して上記第2扇形部が視認可能である、プレートを更に備える、項目2に記載の圧力表示器。
4.上記プレートは、上記本体に対して不動である、項目3に記載の圧力表示器。
5.上記回転可能ディスクはタブを有する、項目1~4の何れかに記載の圧力表示器。
6.上記ステムは、上記ピストンが上記第1軸方向位置にあるときに、上記タブを収容するように構成される第1溝を有する、項目5に記載の圧力表示器。
7.上記第1溝は、上記長手方向軸と略平行に配置される、項目6に記載の圧力表示器。
8.上記ステムは第2溝を有し、
上記第2溝は、
上記長手方向軸と略直交して配置され、
上記第1溝に接続され、
上記ピストンが上記第2軸方向位置にあるときに、上記タブを収容するように構成される、
項目6~7の何れかに記載の圧力表示器。
9.上記ステムは第3溝を有し、
上記第3溝は、
上記長手方向軸と略平行に配置され、
上記第2溝に接続され、
上記ピストンが上記第2軸方向位置から上記第1軸方向位置に移動するときに、上記タブを収容するように構成される、
項目8に記載の圧力表示器。
10.上記回転可能ディスクは突起を有し、
上記本体は、上記突起を受け入れるように構成される弓形凹部を有する、
項目1~9の何れかに記載の圧力表示器。
11.上記弓形凹部は、反対側の第1端及び第2端を有し、
上記回転ディスクが上記第1回転位置にあるとき、上記突起は上記第1端に位置し、
上記回転ディスクが上記第2回転位置にあるとき、上記突起は上記第2端に位置する、
項目10に記載の圧力表示器。
12.上記本体は、上記第2付勢要素がその中に配置される凹部を有する、項目1~11の何れかに記載の圧力表示器。
13.上記第2付勢要素は、反対側の第1端及び第2端を有し、上記第1端は、上記本体に対して固定され、上記第2端は、上記回転可能ディスクに取り付けられる、項目1~12の何れかに記載の圧力表示器。
14.圧力容器の内部における流体の圧力レベルが閾値圧力レベルを超えたことを示すための方法であって、
上記圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、上記閾値圧力レベルより低いときに、第1視覚表示を提示することと、
上記圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、上記閾値圧力レベルより高いレベルに上昇したときに、上記第1視覚表示とは異なる第2視覚表示を提示することと、
上記圧力容器の内部における流体の圧力レベルが、上記閾値圧力レベルより低いレベルに低下した後であっても、上記第2視覚表示を維持することと、
を含む方法。
15.上記第1視覚表示を提示することは、回転可能ディスクの第1扇形部をプレートの窓内に配置することを含む、項目14に記載の方法。
16.上記第2視覚表示を提示することは、上記回転可能ディスクを回転させて、上記回転可能ディスクの第2扇形部を上記プレートの上記窓内に配置することを含む、項目15に記載の方法。
17.上記第2視覚表示を維持することは、上記回転可能ディスクの上記プレートに対する相対的な位置を維持することを含む、項目16に記載の方法。
18.上記第1視覚表示を提示することは、表示器の中心ステムを、実質的に上記表示器の本体内に配置することを含む、項目14~17の何れかに記載の方法。
19.上記第2視覚表示を提示することは、上記表示器の上記中心ステムの少なくとも一部を、上記表示器の上記本体の外側に突出させることを含む、項目18に記載の方法。
【0009】
本概要は、詳細な説明において以下で更に説明される概念を、単純化された形態で紹介するために提供される。本概要は、開示されるか、または、特許請求される主題の、重要な特徴、または、本質的な特徴を特定することを意図しておらず、開示されるか、または、特許請求される主題の、開示されるそれぞれの実施形態、または、全ての実施を説明することも意図していない。具体的には、一実施形態に関して本願明細書で開示される特徴は、別の実施形態にも同様に適用され得る。更に、本概要は、特許請求される主題の範囲を特定するための補助として用いられることを意図していない。多くの他の新規な利点、特徴、及び、関連性は、この説明が進むにつれて明らかになるであろう。以下に続く図及び説明は、具体的な実施形態をより詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
開示される主題が、添付の図を参照して更に説明される。同様の構造またはシステム要素は、いくつかの図を通して同様の参照番号により参照される。全ての説明は、いくつかの実施形態を通じて、同様の構造や類似の構造に適用できることが想定される。
図1】典型的な従来の圧力容器の側面図である。
図2図1の圧力容器の一端の、図1の線分2-2に沿って得られた部分断面図である。
図3】低圧状態における例示的な圧力表示器の斜視図である。
図3A図3の表示器の、図3の線分A-Aに沿って得られた断面図である。
図4図3及び3Aの表示器の側方立面図である。
図4A図4の線分A-Aに沿って得られた端部断面図である。
図5】高圧状態における例示的な表示器の斜視図である。
図5A図5の表示器の、図5の線分A-Aに沿って得られた断面図である。
図6図5及び5Aの表示器の側方立面図である。
図6A図6の線分A-Aに沿って得られた表示器の端部断面図である。
図7】高圧状態によって作動させられ、圧力容器が低圧状態に戻ったときであっても作動状態のままである表示器の斜視図である。
図8】例示的な圧力表示器のピストン及び回転可能表示ディスクの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上で特定された図は、開示される主題の1つ以上の実施形態を示す一方で、本開示で述べられるように他の実施形態もまた想定される。全ての場合において、本開示は、開示される主題を、限定ではなく代表として示す。本開示の原理の範囲内にある多数の他の変形及び実施形態が、当業者により考案され得ることが理解されるべきである。
【0012】
図は、縮尺通りに描かれていないことがあり得る。具体的には、いくつかの特徴は、明確性のため、他の特徴に対して拡大され得る。更に、上方、下方、上、下、上部、下部、側部、右、左、垂直、水平などの用語が用いられる場合、それらは、説明の理解を容易にするためにのみ用いられると理解されるであろう。構造は、別の方向に向けられ得ることが想定される。
[詳細な説明]
現コンセプトは、圧力シリンダが、設定された閾値を超える圧力状態を経験したかどうかを視覚的に示すための表示器を説明する。現在、特定のシリンダが過加圧を生じたか否かを現場で判定することは困難である。そのような判定は、シリンダの完全性を評価したり、故障調査のためのさらなるデータを提供したりするのに役立つであろう。
【0013】
例示的な表示器は、ボスまたはバルブにおいて圧力容器に配管されるねじ継手として形成される。図3及び3Aに示されるように、表示器は、圧力容器内の内圧が無いとき、または、ピストンと表示器本体との間のばねが圧縮される閾値圧力より低い内圧であるときに、空白表示を有する。図5及び5Aでは、内圧は閾値圧力を超えており、それによりピストンは図の右側に向かって移動し、ばねを圧縮する。圧力表示器の表面では、開口を有する固定プレートが、その下のプレートのいくつかの扇形部を覆い、扇形部は、交互に空白にされ、また記号が付される(図8に示される)。
【0014】
図3~4Aに示されるように、ピストンが表示器内に引き込まれるとき、表示ディスクのタブは第1溝内に存在し、その結果、空白の扇形部が固定プレートの窓内に見える。しかしながら、図5~6Aに示されるように、一旦、閾値圧力レベルを超える内圧によって圧縮されると、表示ディスクのタブはピストンの第2溝内で45度回転し、それにより次に、交互に記号が付された扇形部がプレートの窓の中に見えるようになる。更に、ピストンのステムは、窓付きのプレートを通り過ぎて飛び出す。開示される圧力表示器の特定の実施形態が示される一方で、本願明細書における教示は他の実施形態、例えば、ディスクが45度とは異なる径方向角度で回転する形態、または、窓付きプレートがより多いか、または、より少ない窓を有する形態などにも適用され得ることが理解されるであろう。
【0015】
容器の内圧が、閾値レベルより低いレベルに戻ったときであっても、表示器は、図7に示すように、作動させられたまま(つまり、窓36内に高圧扇形部42を示したまま)であり、その結果、ユーザは、目視で、圧力容器がその最大許容レベル(つまり、閾値圧力レベル)を超える圧力を経験したと分かる。
【0016】
図3~4Aは、低圧状態における例示的な圧力表示器28を示す。例示的な使用方法において、圧力表示器28は、例えばポート26などの開口において、または、圧力容器10を貫通する別の開口において、圧力容器10に取り付けられる。それにより、ピストン32のベース30は、圧力容器10の内部環境17にさらされ、すなわち、圧力容器10の内部環境17と流体連通する。窓36を有する表示プレート34は、圧力容器10の外部環境19に位置するユーザによって視認可能である。図3、3A及び8に示されるように、回転可能ディスク38は、低圧視覚表示を有する交互扇形部40と、高圧視覚表示を有する交互扇形部42とを有する。
【0017】
図3及び3Aに示されるように、低圧扇形部40は、表示プレート34の窓36を通して視認可能であり、一方、高圧表示扇形部42は、窓36の間に配置される、表示プレート34の不透明な部分によって覆われる。図3A及び8に示されるように、ピストン32は、ベース30及びステム44を有する。実施形態において、ステム44は、第1溝46、第2溝48、及び、第3溝50を有する。実施形態において、第1及び第3溝46,50は、略平行であり、表示器28の長手方向軸52と整列する。第2溝48は、第1及び第3溝46,50のそれぞれの端部に位置し、第1及び第3溝46,50と略直交して配置される。回転可能ディスク38は、それぞれの溝46,48,及び50内で移動するように構成されるタブ54を有する。図3A及び4Aに示されるように、回転可能ディスク38の裏面は直径方向において反対側の2つの突起56を有し、2つの突起56は、凹部60及び62において、表示器28の本体58に挿入されるように構成される。
【0018】
図3A及び8に示されるように、ピストン32のベース30は、Oリングまたはガスケットなどのシール66を受け入れるための溝64を有する。図3Aに示されるように、例えば圧縮コイルばねなどの付勢要素68は、ピストン32と本体58との間の空隙(孔82)内に配置され、その両端がピストン32のベース30の肩部70と、本体58の肩部72とによって圧縮される。
【0019】
図4Aは、引張コイルばねの形態の別の付勢要素74を示し、この付勢要素74は伸長状態で示され、その端部76が、凹部62内で、固定位置において本体58に取り付けられている。付勢要素74の他方の端部78は、回転可能ディスク38の突起56に取り付けられ、突起56は円弧部分に沿って凹部62内を移動可能である。図3A及び4Aに示されるように、圧力表示器28の低圧状態おいて、低圧を表す扇形部40が、表示プレート34の窓36を通して視認可能である。更に、回転可能ディスク38のタブ54は、ピストン32のステム44の第1溝46内に位置する。
【0020】
圧力表示器28は、圧力容器10の内部環境17内の内圧が、付勢要素68のばね定数に合わせて調整される閾値より低い限り、図3~4Aの低圧状態のままである。圧力閾値を満足するか、または、超えたとき、流体圧力は、ピストン32のベース30に作用し、ピストン32を、示された図面の右側へ移動させる。その結果、付勢要素68は、図5Aに示されるように圧縮される。このピストン32の図面右方向への移動は、ピストン32のベース30の肩部70の、本体58の肩部80との接触により制限される。この程度まで付勢要素68が圧縮されることにより、回転可能ディスク38のタブ54は、ピストン32のステム44の直交溝48に入る。
【0021】
実施形態において、回転可能ディスク38のタブ54が直交溝48に入ると、(付勢要素74がその無伸長状態へ復帰することによる)付勢要素74からの引張力は、ディスク38を付勢して、本体58に対して長手方向軸52周りに回転させる。その結果、タブ54は、溝48に沿って溝50に向かって移動する。回転可能ディスク38のタブ54は、もはや第1溝46内に保持されていないので、回転可能ディスク38は、長手方向軸52周りに回転可能となり、それにより、高圧表示を表す交互扇形部42を、表示プレート34の窓36を通して視認可能とする。更に、圧力容器10の内側の流体圧力は、ピストン32を図の右側へ押圧するので、ステム44の一部が、表示プレート34の面を越えて飛び出す。従って、閾値圧力値より高い圧力容器10の高圧状態の間、この高圧状態の2つの視覚表示、つまり、1)ピストン32のステム44が表示プレート34を越えて延出した状態、及び、2)高圧表示を有する視認可能な交互扇形部42、が見る者に提示される。
【0022】
低圧を表す交互扇形部40及び高圧を表す交互扇形部42の特定の実施形態が図示される一方で、他の視覚的な識別表示が用いられ得ることが想定される。例えば、低圧を表す交互扇形部40は緑色とされてもよく、一方、高圧表示を有する交互扇形部42は、赤色とされてもよい。他の対照的な視覚表示が利用されてもよい。例えば、ピストン32のステム44の露出部が、対照的な色彩設計を有してもよい。
【0023】
図7に示されるように、圧力容器10の内側の圧力は、閾値圧力値より低くなっており、それにより、付勢要素68は伸長可能となり、ピストン32は、図に示される左方向に後退して本体58内に移動可能となる。しかしながら、回転可能ディスク38の視覚表示は同じままであり、高圧を表す交互扇形部42が、表示プレート34の窓36を通して視認可能である。このように高圧扇形部42の視認性が維持されるのは、付勢要素74の引張りによるものであり、付勢要素74は、回転可能ディスク38の突起56を、図6Aに示す位置に保持する。従って、ピストン32が図の左側の位置に戻るとき、回転可能ディスク38のタブ54は、今度は第3溝50に乗る。そのため、回転可能ディスク38の扇形部42の高圧表示を引き起こす高圧状態の後、圧力容器の内部環境17が低圧状態に戻ったときであっても、回転可能ディスク38の視覚表示は、作動させられたまま(つまり、窓36を通して高圧扇形部42を示したまま)である。
【0024】
観測者が図3に示される圧力表示器28の状態を見るとき、彼または彼女は、圧力容器が、圧力表示器28に対して調整された閾値より高い内部流体圧力を経験していないと分かる。ユーザが図5の表示を見るとき、ユーザは、圧力容器が、現在、閾値圧力値を超える高圧状態であると警告される。ユーザが、図7の状態を見るとき、ユーザは、圧力容器が、閾値圧力より高い高圧状態を以前に経験したものの、現在は圧力閾値より低い低圧状態に戻っていると警告される。
【0025】
従って、開示される圧力表示器28は、圧力容器10の内部環境17の低圧状態及び高圧状態だけでなく、圧力容器10が、現在は、圧力閾値より低いとしても、当該閾値を超える高圧状態を以前に経験したことも有利に示す。圧力容器が過加圧であったこの表示は、ユーザに、圧力容器の完全性に関する追加的な情報を提供する。例示的な使用方法において、圧力表示器28は、特定の圧力容器に対する最大推奨充填圧力をわずかに超える閾値圧力にて機械的に動作するように調整される。圧力表示器28は、複雑な電気的センサまたは電気信号通信網を必要としない、信頼性のある機械装置である。
【0026】
圧力表示器の要素として特定の構造が図示され、説明されたが、同様の機能を達成するために他の構造も用いられ得ることが想定される。例えば、付勢要素68及び74は、ばねとして説明されたが、例えば、非らせん状ばねや、ベルビルワッシャなど、エネルギを蓄積する他の機械的な手段が用いられ得ることも想定される。このような付勢要素は、所望の閾値圧力値で圧力表示器を作動させるように調整され得る。例えば、より抵抗の少ない付勢要素68は、圧力表示器28がより低い閾値圧力値で作動する(つまり、高圧を表す交互扇形部42を示す)ことを可能にするであろう。
【0027】
圧力表示器28の例示的であって限定的でない実施形態は、本体58、ピストン32、第1付勢要素68、回転可能ディスク38、及び、第2付勢要素74を備える。本体58は、長手方向軸52を有する略円筒状の孔82と、肩部80とを有する。ピストン32は、少なくとも部分的に孔82内に配置され、ピストン32は、ベース30と、ベース30から長手方向軸52に沿って延出するステム44とを有する。ピストン32は、ベース30に作用する流体の圧力が閾値圧力より低いとき、本体58に対する第1軸方向位置(図3Aに示される)に位置する。第1付勢要素68は、ピストン32のベース30と、本体58の肩部80との間に配置される。第1付勢要素68の力(ばね力など)は、閾値圧力以上の圧力でベース30に作用する流体の圧力に負けて、それにより、ピストン32は本体に対する第2軸方向位置(図5Aに示される)に移動可能となる。回転可能ディスク38は、長手方向軸52周りに回転するように構成され、ディスク38は、ピストン32が第1軸方向位置にあるときに、第1回転位置(図3Aに示される)を有する。第2付勢要素74は、ピストン32が第2軸方向位置にあるときに、ディスク38を第2回転位置(図5Aに示される)に付勢するように構成される。
【0028】
実施形態において、回転可能ディスク38は、第1視覚表示を有する第1扇形部40と、第1視覚表示とは異なる第2視覚表示を有する第2扇形部42と、を有する。実施形態において、圧力表示器28は、窓36を有するプレート34を更に備える。ディスク38が第1回転位置にあるときに、窓36を通して第1扇形部40が視認可能である。ディスク38が第2回転位置にあるときに、窓36を通して第2扇形部42が視認可能である。実施形態において、プレート34は、本体58に対して不動である。別の実施形態において、表示器28は、ディスク38が不動のままである一方でプレート34が回転するようにして、プレート34とディスク38との相対移動により、窓36を通して第1扇形部40または第2扇形部42の何れかを視認可能とするように設計することができる。
【0029】
実施形態において、回転可能ディスク38は、タブ54を有する。ステム44は第1溝46を有し、第1溝46は、ピストン32が第1軸方向位置にあるときにタブ54を収容するように構成される。実施形態において、第1溝46は、長手方向軸52と略平行に配置される。実施形態において、ステム44は第2溝48を有し、第2溝48は、長手方向軸52と略直交して配置され、第1溝46に接続され、ピストン32が第2軸方向位置にあるときに、タブ54を収容するように構成される。実施形態において、ステム44は第3溝50を有し、第3溝50は、長手方向軸52と略平行に配置され、第2溝48に接続され、ピストン32が第2軸方向位置(図5A参照)から第1軸方向位置(図7参照)へ移動するときにタブ54を収容するように構成される。
【0030】
実施形態において、回転可能ディスク38は突起56を有し、本体58は、突起56を受け入れるように構成される弓形凹部60を有する。実施形態において、弓形凹部60は、反対側の第1端及び第2端を有する。図4Aに示されるように、突起56は、回転ディスク38が第1回転位置にあるときに、第1端に位置する。図6Aに示されるように、突起56は、回転ディスク38が第2回転位置にあるときに、第2端に位置する。
【0031】
実施形態において、本体58は、第2付勢要素74がその中に配置される凹部62を有する。実施形態において、第2付勢要素74は、反対側の第1端及び第2端を有し、第1端76は、本体58に対して固定され、第2端78は、回転可能ディスク38に取り付けられる。
【0032】
実施形態において、圧力容器10の内部17における流体の圧力レベルが、閾値圧力レベルを超えたことを示す方法が開示される。この方法は、圧力容器10の内部17における流体の圧力レベルが閾値圧力レベルより低いときに、第1視覚表示(図3参照)を提示することを含む。当該方法は、圧力容器10の内部17における流体の圧力レベルが、閾値圧力レベルより高いレベルに上昇したときに、第1視覚表示(図3参照)とは異なる第2視覚表示(図5参照)を提示することを含む。当該方法は、圧力容器10の内部17における流体の圧力レベルが閾値圧力レベルより低いレベルに低下した後であっても、第2視覚表示(図7参照)を維持することを含む。
【0033】
実施形態において、第1視覚表示を提示することは、回転可能ディスク38の第1扇形部40をプレート34の窓36内に配置することを含む。実施形態において、第2視覚表示を提示することは、回転可能ディスク38を回転させて、回転可能ディスク38の第2扇形部42をプレート34の窓36内に配置することを含む。実施形態において、第2視覚表示を維持することは、回転可能ディスク38のプレート34に対する相対的な位置を維持することを含む。
【0034】
実施形態において、第1視覚表示を提示することは、表示器28の中心ステム44を、実質的に表示器28の本体58内に配置することを含む。実施形態において、第2視覚表示を提示することは、表示器28の中心ステム44の少なくとも一部を、表示器28の本体58の外側に突出させることを含む。
【0035】
本開示の主題がいくつかの実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ると認識するであろう。更に、1つの実施形態に関して開示されたいかなる特徴も、別の実施形態に取り入れられてもよく、その逆も可能である。
図1
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5
図5A
図6
図6A
図7
図8