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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】缶ボディメーカのラム用減衰アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/26 20060101AFI20220509BHJP
   B21D 22/28 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B21D51/26 X
B21D22/28 L
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020535232
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 US2018067603
(87)【国際公開番号】W WO2019135970
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】15/860,702
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッチャー,グレゴリー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】カーステンス,アーロン イー.
(72)【発明者】
【氏名】スコーリー,イアン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン,ダニエル エイ.
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-075932(JP,A)
【文献】特表平10-511045(JP,A)
【文献】米国特許第05145075(US,A)
【文献】特表2016-513589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
B21D 22/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶ボディメーカ(10)用のラム本体減衰アセンブリ(100)であって、
前記ボディメーカ(10)は、細長いラム本体(50)を含んでおり、
前記ラム本体(50)は、引き込まれた第1の位置と前進した第2の位置との間で往復するように構成されており、
前記ラム本体減衰アセンブリ(100)は、
ラム本体減衰アセンブリハウジング(102)と、
前記ラム本体減衰アセンブリハウジング(102)に結合された減衰部材(104)と、
を備えており、
前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)周りにエアギャップを規定するように構成されている、ラム本体減衰アセンブリ。
【請求項2】
前記エアギャップは、約0.00インチ乃至約0.00インチである、請求項に記載のラム本体減衰アセンブリ。
【請求項3】
前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)が通るように構成された概ね円形の通路(108)を規定する、請求項に記載のラム本体減衰アセンブリ。
【請求項4】
前記ラム本体減衰アセンブリハウジング(102)は、パージエアシステム(140)と、幾つかのシール(120)とを含んでおり、
前記幾つかのシール(120)及び前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)周りにエンベローブ(128)を規定するように構成されており、
前記パージエアシステム(140)は、前記エンベローブ(128)に加圧流体を供給するように構成されている、請求項に記載のラム本体減衰アセンブリ。
【請求項5】
缶ボディメーカ(10)において、
ハウジングアセンブリ(11)と、
前記ハウジングアセンブリ(11)に結合されている駆動機構(14)と、
細長いラム本体(50)を含むラムアセンブリ(12)であって、前記駆動機構(14)は前記ラムアセンブリ(12)に動作可能に結合されており、前記駆動機構(14)は、前記ラム本体(50)に往復動作をもたらし、前記ラム本体(50)は、引き込まれた第1の位置と前進した第2の位置との間を移動経路にわたって移動する、ラムアセンブリ(12)と、
前記ハウジングアセンブリ(11)に結合され、前記ラム本体(50)の移動経路に隣接して配置されたドーマアセンブリ(22)と、
前記ラム本体の移動経路に隣接して配置されたラム本体減衰アセンブリ(100)と、
を備えており、
前記ラム本体減衰アセンブリ(100)は、ハウジング(102)及び減衰部材(104)を含んでおり、
前記減衰部材(104)は、前記ラム本体減衰アセンブリのハウジング(102)に結合されており、
前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)の移動経路に隣接して配置されている、缶ボディメーカ。
【請求項6】
前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)周りにエアギャップを規定するように構成されている、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項7】
前記エアギャップは、約0.00インチ乃至約0.00インチである、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項8】
前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)が通るように構成された概ね円形の通路(108)を規定しており、
前記ラム本体(50)の移動経路は、前記減衰部材の通路(108)を通って延びており、
前記ラム本体(50)が静止して前記減衰部材の通路(108)を通って延びている場合に、前記減衰部材(104)は前記ラム本体(50)周りにエアギャップを規定する、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項9】
前記エアギャップは約0.00インチ乃至約0.00インチである、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項10】
前記エアギャップは約0.025インチである、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項11】
前記ラム本体減衰アセンブリのハウジング(102)は、パージエアシステム(140)と幾つかのシール(120)とを含んでおり、
前記幾つかのシール(120)及び前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)周りにエンベロープ(128)を規定するように構成されており、
前記パージエアシステム(140)は、前記エンベロープ(128)に加圧流体を供給するように構成されている、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項12】
前記ラム本体(50)はカンチレバー長さを有しており、
前記ラム本体(50)が前記引き込まれた第1の位置と前記前進した第2の位置との間を移動する際に、前記ラム本体(50)のカンチレバーの長さは変化しない、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項13】
前記減衰部材(104)は、前記ラム本体(50)が通るように構成された概ね円形の通路(108)を規定し、
前記ラム本体(50)の移動経路は、前記減衰部材の通路(108)を通って延びており、
前記ラム本体(50)が静止して前記減衰部材の通路(108)を通って延びている場合に、前記ラム本体(50)は前記減衰部材(104)に接触しない、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【請求項14】
前記ラム本体(50)は、非作動ラム本体(50A)であって、
前記非作動ラム本体(50A)は、前記減衰部材(104)に接触しない、請求項に記載の缶ボディメーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2018年1月3日に出願された米国特許出願第15/860,702号、発明の名称「DAMPENING ASSEMBLY FOR CAN BODYMAKER RAM」の利益を主張する。
【0002】
開示されており、特許請求の範囲に記載される概念は、縮小された長さのラムアセンブリを有する缶ボディメーカに関しており、より具体的には、縮小された長さのラム本体用の減衰アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的にアルミ缶は、「ブランク」とも呼ばれるアルミ製ディスクを始まりとしており、ブランクは、アルミニウムのシート又はコイルから打ち抜かれる。即ち、シートがデュアルアクションプレスに送られて、そこで外側スライド/ラムが動くことによって、「ブランク」ディスクがシートから切断される。内側スライド/ラムがその後、絞りプロセスを通じて「ブランク」を押して、カップ2(図1)が作られる。カップは、底部とそれに付随する側壁とを有している。カップはボディメーカ1に供給され、ボディメーカ1は、再絞り及びしごき動作を実行する。より具体的には、カップ2は、実質的に円形の開口を有するダイパック6の口部にて缶製造機に配置される。カップ2は、再絞りアセンブリ8の一部である再絞りスリーブによって所定の位置に保持される。再絞りスリーブは、カップ2の内側に配置され、且つダイパック6に対してカップを付勢する中空の管状構造体である。より具体的には、ダイパック6の第1のダイは再絞りダイであって、再絞りアセンブリの一部ではない。カップ2は、再引きスリーブによって再引きダイに対して付勢される。他のダイ、しごきダイは、再引きダイの後方において、再引きダイと軸方向に揃えられて配置される。しごきダイ及び再絞りダイは、再絞りアセンブリの一部ではない。図1及び図1Aに示されている細長い円筒状のラムアセンブリ1はキャリッジ7を含んでおり、キャリッジ7は、前方の遠位端にてパンチを有するラム9を支持する。ラム9及びパンチは、再絞りダイ及びしごきダイにある開口に揃えられており、それを通過するように構成されている。ラムと反対側におけるダイパック6の端には、ドーマ「D」がある。ドーマは、カップ/缶の底部に凹状のドームを形成するように構成されているダイである。更に、ラム9は、ダイパック6の前に配置されたベアリング「B」によって支持されていた。シールアセンブリ「S」が、ベアリングアセンブリ「B」とダイパック6の間に配置されていた。シールアセンブリ「S」は、ラムから冷却剤及び潤滑油を除去していた。
【0004】
このように、運転中に、カップはダイパックの一端に配置される。カップは、典型的には、完成した缶よりも大きな直径とより大きな壁厚とを有する。再絞りスリーブは、カップの内側に配置されて、カップの底部を再絞りダイに対して付勢する。再絞りダイの開口の直径は、カップよりも小さい。細長いラム本体、より具体的にはパンチが、中空の再絞りスリーブを通過してカップの底部に接触する。ラム本体が前進し続けると、カップは再絞りダイを通って移動する。再絞りダイの開口がカップの元の直径よりも小さいので、カップは変形して細長くなり、直径はより小さくなる。カップの肉厚は通常、カップが再絞りダイを通過しても同じままである。ラムが前進し続けると、細長いカップは幾つかのしごきダイを通過する。各しごきダイはカップの肉厚を薄くしてカップを伸ばす。缶ボディの最終的な形成は、細長いカップの底部がドーマと係合し、カップ底部に凹状のドームを形成すると起こる。この時点で、カップの元の形状と比較して、缶ボディは細長くなり、壁が薄くなり、底部はドーム状になっている。このプロセスは、ラムのボディが往復することで繰り返される。つまり、ラムは、前進ストロークにおいてダイパックに接近してダイパックを通過し、後退ストロークにおいて、ダイパックを通過してダイパックから離れる。
【0005】
缶ボディの形成動作が完了した後、缶ボディは、ラム、より具体的にはパンチから排出され、限定ではないが、トリミング、洗浄、印刷、フランジング、検査などの更なる処理のためにパレットに載置されて、充填機に運ばれる。充填機では、缶はパレットから取り出されて、充填され、その上に缶エンドが配置されて、充填された缶は、6パック及び/又は12パックのケースなどに再包装される。
【0006】
上述のようなボディメーカ1は、米国特許出願第14/471,043号明細書で説明されているように、ラムの長さに関する幾つかの既知の問題を有しており、その背景情報の箇所は、参照によって本明細書の一部となる。そして、その出願で開示されているように、約26.0インチ乃至約36.0インチの長さを有する縮小された長さのラム本体は、より長いラムの問題の幾つかを解決する。例えば、そのような縮小された長さを有するラム本体は、ラム本体を支持して案内する前側軸受なしで動作することができる。前側軸受なく動作をしており、そのような縮小された長さを有するラム本体は、しかしながら、幾つかの場合には、振動などのその他の問題を有する。即ち、ラム本体は、缶ボディがドーマに接触すると、又は、接触した後に振動しやすい。この接触は、ラム本体がダイパックを通って引き抜かれる直前に起こるので、ラム本体がダイパックを通って引き抜かれる際にラム本体が振動する可能性が高い。また、再絞り抜き動作時のラム本体の振動も問題となっている。
【0007】
従来のラムを支えていたベアリングは、振動を減衰させていた。しかしながら、長さが縮小されている新しいラム本体は、ベアリングで支持されていないのでダイパックを通過する際に振動することがある。これは、振動するラム本体がダイパックのダイに接触する、及び/又は、損傷を与える可能性があることから問題である。故に、戻りストローク中にラム本体が振動しないような、縮小された長さのラム本体を有するボディメーカが必要とされている。即ち、戻りストローク中にラム本体が振動することが、前述の問題である。
【発明の概要】
【0008】
これらの要求、及び他の要求は、開示及び請求された概念の少なくとも1つの実施形態によって満たされ、ハウジングアセンブリ、駆動機構、ラムアセンブリ、ドーマアセンブリ、及びラム本体「減衰アセンブリ」を含む缶ボディメーカが提供される。「減衰アセンブリ」は「減衰部材」を含んでおり、この減衰部材は、以下に定義されるように、ラム本体への支持をもたらさない。このように、本明細書においては、ベアリングは「減衰部材」ではなく、ベアリングアセンブリは「減衰アセンブリ」ではない。ラム本体減衰アセンブリは、ラム本体の移動経路に隣接して配置される。ラム本体減衰アセンブリは、ハウジング及び減衰部材を含む。減衰部材は、ラム本体減衰アセンブリのハウジングに結合されている。減衰部材は、ラム本体の移動経路に隣接して配置される。以下に記載される又は特許請求の範囲に記載される構成の減衰アセンブリは、上記の問題点を解決する。即ち、例えば、以下に記載される又は特許請求の範囲に記載される構成の減衰アセンブリは、ラム本体がダイパックを通って引き出されると、再絞り動作の間、及び/又はラム本体の第1位置と第2位置の間の任意の位置で、ラム本体の振動を減衰するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付の図面と併せて、好適な実施形態に関する以下の説明から完全に理解することができる。
【0010】
図1図1は、従来技術のボディメーカの断面側面図である。
図2図2は、本発明のボディメーカの側断面図である。
図3図3は、ラムアセンブリ及び減衰アセンブリを示す側断面図である。
図3A図3Aは、ラムアセンブリ及び減衰アセンブリの詳細を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に示されており、以下の説明に記載される具体的な要素は、単に開示される概念の例示的な実施形態に過ぎず、例示のためだけに非限定的な例として提供されると理解される。従って、特定の寸法、向き、アセンブリ、使用されるコンポーネントの数、実施形態の構成、及び本明細書に開示される実施形態のその他の物理的特性は、開示される概念の範囲に関する限定とみなすべきではない。
【0012】
本明細書で使用される方向表現、例えば、時計回り、反時計回り、左、右、上、下、上方、下方、及びその派生語は、図示される要素の向きに関連しており、本明細書に明示されない限り特許請求の範囲を限定するものではない。
【0013】
後述するように、ボディメーカは、細長往復ラムアセンブリとドーマアセンブリとを含む。本明細書では、ドーマアセンブリは、ボディメーカの「前(forward)」端に配置される。本明細書では、ラムアセンブリがドーマアセンブリに隣接する場合、ラムアセンブリ12は、ストロークの「前」端に位置する。本明細書では、ボディメーカの「後」又は「背」端は、「前」端の反対側に位置する。更に、本明細書では、ボディメーカは、後述するラムアセンブリ本体の長軸に平行な「長手」方向と、「長手」方向にほぼ水平及び垂直な「横」方向とを有する。
【0014】
本明細書では、「ある」及び「その」の単数形は、文脈上特に明示されない限り、複数形を含む。
【0015】
本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように形成された、サイズ決めされた、配置された、結合された、及び/又は構成された構造を有することを意味する。例えば、「移動するように構成された」部材は、別の要素に移動可能に結合されて部材を移動させる要素を含む、又は部材は、別の要素又はアセンブリに応答して移動するように別の様式で構成される。よって、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、機能ではなく構造を指す。更に、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように意図及び設計されることを意味する。よって、特定された動詞を単に実行できるだけで、特定された動詞を実行するように意図及び設計されていない要素は、「[動詞]するように構成されていない」。
【0016】
本明細書では、「関連付けられる」は、要素が同じアセンブリの一部である、及び/又は共に動作する、又は何らかの様式で相互に作用することを意味する。例えば、自動車は4つのタイヤと4つのハブキャップを有する。全ての要素が自動車の部品と結合されているが、各ハブキャップは特定のタイヤと「関連付けられる」と理解される。
【0017】
本明細書では、2つ以上の部品又はコンポーネントが「結合される」という表現は、結合が発生する限り、それらの部品が、直接的、又は間接的に、即ち、1又は複数の中間部品又はコンポーネントを通じて、共に接合される、又は動作することを意味するものとする。本明細書では、「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触することを意味する。本明細書では、「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つのコンポーネントが、相互に一定の向きを維持しながら移動するように結合されることを意味する。従って、2つの要素が結合されると、これらの要素の全ての部分が結合される。しかしながら、第1の要素の特定の部分が第2の要素に結合される、例えば、車軸の第1の端部が第1の車輪に結合されるというような記載は、第1の要素の特定の部分が、第1の要素の他の部分に比べて第2の要素により近く配置されることを意味する。更に、重力によってのみ別の物体上の適所に載置される物体は、上側の物体がそれ以外の方法でほぼ適所に保持されない限り、下側の物体に「結合」されていない。つまり、例えば、テーブル上の本はテーブルに結合されていないが、テーブルに糊付けされる本はテーブルに結合されている。
【0018】
本明細書では、「締結具」は、2つ以上の要素を結合するように構成された別個のコンポーネントである。よって、例えば、ボルトは「締結具」であるが、さねはぎ(tongue-and-groove)継ぎは「締結具」ではない。つまり、さねはぎ要素は、結合されている要素の一部であり、別個のコンポーネントではない。
【0019】
本明細書では、「着脱可能に結合される」又は「一時的に結合される」という表現は、あるコンポーネントが別のコンポーネントに実質上一時的に結合されることを意味する。つまり、2つのコンポーネントは、コンポーネントどうしの接合又は分離が容易であり、コンポーネントにダメージを及ぼさないように結合される。例えば、限られた数の、容易にアクセス可能な締結具、即ち、アクセスが難しくない締結具によって相互に固定された2つのコンポーネントは、「着脱可能に結合されており」、溶接された、又はアクセスが難しい締結具によって接合された2つのコンポーネントは、「着脱可能に結合されていない」。「アクセスが難しい締結具」は、締結具へのアクセス前に1又は複数の他のコンポーネントを取り外す必要がある締結具のことであり、「他のコンポーネント」は、限定はされないが、例えばドアなどのアクセス装置ではない。
【0020】
本明細書では、「一時的に配置される」は、第1の要素又はアセンブリが、第1の要素を分離する又はそれ以外の形で操作することなく、第1の要素/アセンブリを移動させることができるように、第2の要素又はアセンブリに載置されていることを意味する。例えば、テーブルに単に載っている本、即ち、テーブルに糊付け又は固定されていない本は、テーブルに「一時的に配置される」。
【0021】
本明細書では、「動作可能に結合される」は、第1の位置と第2の位置、又は第1の配置と第2の配置の間で移動可能な複数の要素又はアセンブリが、第1の要素が一方の位置/配置から他方の位置/配置に移動し、第2の要素も両者の位置/配置間で移動するように結合されることを意味する。なお、逆が成り立たないように、第1の要素が別の要素に「動作可能に結合され」てもよい。
【0022】
本明細書では、「結合アセンブリ」は、2つの又は2つを超えるカップリング又は結合用コンポーネントを含む。結合アセンブリのカップリング又はコンポーネントは一般的には、同じ要素又は他のコンポーネントの一部ではない。よって、「結合アセンブリ」のコンポーネントは、以下の説明で同時に記載されないことがある。
【0023】
本明細書では、「カップリング」又は「結合用コンポーネント」は、結合アセンブリの1又は複数のコンポーネントである。つまり、結合アセンブリは、共に結合されるように構成された少なくとも2つのコンポーネントを含む。結合アセンブリのコンポーネントは、相互に適合可能であると理解される。例えば、結合アセンブリでは、一方の結合用コンポーネントがスナップソケットである場合には、他方の結合用コンポーネントはスナッププラグであって、一方の結合用コンポーネントがボルトである場合には、他方の結合用コンポーネントはナットである。
【0024】
本明細書では、「対応する」は、2つの構造コンポーネントが相互に類似したサイズと形状を有し、最小摩擦量で結合され得ることを示す。よって、部材に対応する開口は、部材が最小摩擦量で開口を通過できるように、部材よりもわずかに大きいサイズを有する。この定義は、2つのコンポーネントが「ぴったりと」嵌合する場合には変更される。かかる状況では、コンポーネント間の寸法差がはるかに小さくなるために、摩擦量が増加する。開口を画定する要素及び/又は開口に挿入されるコンポーネントが、変形可能又は圧縮可能な材料から作製される場合、開口は、開口に挿入されるコンポーネントよりもわずかに小さくてもよい。表面、形状、及び線に関して、2つ以上の「対応する」表面、形状、又は線はほぼ同一のサイズ、形状、及び輪郭を有する。
【0025】
本明細書では、「平面体」又は「平坦部材」は、概ね薄い要素であって、対向する幅広の略平行面、即ち、平坦部材の平面だけでなく、幅広平行面の間を延びる薄縁面も含む。つまり、本明細書では、「平坦」要素は本来、2つの対向平面を有する。周辺部、ひいては縁面は、例えば、矩形面状部材のように略直線部を有してもよい、又はディスクのように湾曲していてよく、又は任意の他の形状を有してもよい。
【0026】
本明細書では、「移動経路」又は「経路」は、移動する要素と関連付けられる場合、移動中に要素が通る空間を含む。よって、移動する要素は本来、「移動経路」又は「経路」を有する。
【0027】
本明細書では、2つの又は2つを超える部品又はコンポーネントが相互に「係合する」という表現は、それらの要素が、直接的に、或いは、1又は複数の中間要素又はコンポーネントを介して相互に力を加えること、又は付勢することを意味する。更に、可動部品に関して本明細書では、可動部品は、ある位置から別の位置への移動中に別の要素に「係合し」てよく、及び/又は一旦記載される位置に至ったら別の要素に「係合し」てよい。よって、「要素Aは、要素の第1の位置まで移動すると、要素Bに係合する」と、「要素Aは、要素の第1の位置に至ると、要素Bに係合する」とは等価の表現であり、この表現は、要素Aは、要素の第1の位置に移動する間に要素Bに係合する、及び/又は要素の第1の位置にいる間、要素Bに係合することを意味すると理解される。
【0028】
本明細書では、「動作可能に係合する」は、「係合し、移動する」ことを意味する。つまり、「動作可能に係合する」は、移動可能又は回転可能な第2のコンポーネントを移動させるように構成された第1のコンポーネントと関連して使用されるとき、第1のコンポーネントが、第2のコンポーネントを移動させるのに十分な力を加えることを意味する。例えば、ねじ回しは、ねじと接触させて配置することができる。力がねじ回しに加えられないと、ねじ回しは単にねじに「結合される」だけである。軸方向力がねじ回しに加えられると、ねじ回しがねじを圧迫して、ねじに「係合する」。しかしながら、回転力がねじ回しに加えられると、ねじ回しは、ねじに「動作可能に係合して」、ねじを回転させる。更に、電子コンポーネントでは、「動作可能に係合する」は、あるコンポーネントが制御信号又は電流によって別のコンポーネントを制御することを意味する。
【0029】
本明細書では、「一体型」という文言は、単一の片又はユニットとして作製されているコンポーネントを意味する。つまり、別個に作製された後に共にユニットとして結合されるコンポーネントは、「一体型」コンポーネント又は「一体型」構造体ではない。
【0030】
本明細書では、「幾つかの」という用語は、1又はそれを超える整数(即ち、複数)を意味するものとする。
【0031】
本明細書では、「[x]が第1の位置と第2の位置との間を移動する」、又は「[y]が、第1の位置と第2の位置との間で[x]を移動させるように構成される」という表現において、「[x]」は、要素又はアセンブリの名称である。更に、[x]が複数の位置の間を移動する要素又はアセンブリである場合、「その」という代名詞は、「[x]」、即ち、「その」という代名詞の後に言及される要素又はアセンブリを意味する。
【0032】
本明細書では、円状又は円筒状の物体の「径方向側面/面」は、その中心又は中心を通過する高度線周りに延びる、或いはその中心又は中心を通過する高度線を包囲する側面/面である。本明細書では、円状又は円筒状本体の「軸方向側面/面」は、中心を通過する高度線にほぼ垂直に延びる面において延びる側面である。つまり、一般的には、円筒状スープ缶の場合、「径方向側面/面」は略円状側壁であり、「軸方向側面/面」はスープ缶の上部と底部である。
【0033】
本明細書では、「缶」及び「容器」という用語は、任意の既知の又は適切な容器を指すためにほぼ置換可能に使用され、物質(限定することなく、例えば、液体、食品、任意のその他の適切な物質)を収容するように構成され、限定はされないが、ビールやソーダ缶などの飲料缶だけでなく食料缶も明確に含む。
【0034】
本明細書では、「略曲線状」は、複数の湾曲部と、湾曲部と平坦部の組合せと、相互に角度を成すことによって曲線を形成する複数の平坦部分又はセグメントとを有する要素である。
【0035】
本明細書では、「輪郭」は、物体を画定する線又は表面を意味する。つまり、例えば、断面で見ると、3次元物体の表面は2次元物体の表面に変換される。よって、3次元の面の輪郭の一部は、2次元の線の輪郭によって表される。
【0036】
本明細書では、「周辺部」は、画定された領域、表面、又は輪郭の外縁の領域を意味する。
【0037】
本明細書では、「[要素、点、又は軸]周りに配置される」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に延びる」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に[X]度」などの表現における「周りに」は、それを中心に包囲、延在、又は測定されることを意味する。測定又はそれに類似した状況で使用される場合、「約」は、「おおよそ」、即ち、当業者によって理解される、測定に関する近似的な範囲を意味する。
【0038】
本明細書では、「一般的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「一般的な方法で」を意味する。
【0039】
本明細書では、「にて」は用語に関して、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して位置及びその近傍を意味する。
【0040】
本明細書では、「実質的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「概ね」を意味する。
【0041】
本明細書で使用されるように、「カンチレバー」又は「カンチレバー部材」とは、1又は複数の点で支持され、支持されていない1つの端部を有する突出ビーム又は他の水平部材を意味する。限定ではないが、以下に説明するラム本体50のような可動要素に関して、要素の動作中の任意の時点で支持されていない端部を有する場合には、可動要素は「カンチレバー部材」である。故に、ラム本体50は、ラムが第1の位置にある場合、そして、ラム本体50(又は後述するパンチ58)が後述するダイパック16に入る前に、「カンチレバー長さ」(以下に定義される)を有する「カンチレバー部材」である。
【0042】
本明細書では、「張力部材」とは、張力を受けると最大の長さになるが、それ以外の場合には実質的に可撓性を有する構造体、例えば、チェーン又はケーブルなどであるが、これらに限定されない。
【0043】
図2に示すように、缶ボディメーカ10は、カップ2(図2)を缶ボディ3(図2)に変換するように構成されている。以下に説明するように、カップ2、ラム本体50、ダイパック16を通る通路、及び他の要素は、実質的に円形の断面を有すると想定される。しかしながら、カップ2と、更には、最終的に生じる缶ボディ3と、カップ2又は缶ボディ3と相互作用する要素とは、実質的に円形以外の形状を有していてもよいことは理解される。カップ2は、付随する側壁5を有する底部材4を有しており、実質的に閉じた空間を規定する(図示せず)。底部材4の反対側にあるカップの端部は開いている。
【0044】
缶ボディメーカ10は、ハウジングアセンブリ11、往復ラムアセンブリ12、駆動機構14、ダイパック16、再絞りアセンブリ18、カップフィーダ20、及びドーマアセンブリ22を含む。上記の各要素は、ハウジングアセンブリ11に結合されている。例示的な実施形態では、駆動機構14は、往復クランクアーム32を含むクランクアセンブリ30を含む。駆動機構14は、ラムアセンブリ12に動作可能に結合されており、後述するラム本体50に往復運動を与えるように構成されている。知られているように、各サイクルにおいて、カップフィーダ20は、ダイパック16の前にカップ2を配置し、カップ2の開放端はラムアセンブリ12に向けられる。ダイパック16は、幾つかのダイ(図示せず)を通る通路17を規定する。ドーマアセンブリ22は、ドーム状表面を有するドーム部材24を含む。ドーム部材24の中心/頂点は、概ね又は実質的に、後述するラム本体の長手方向軸56の線上に配置されている。更に、ドーマアセンブリ22は、ラム本体50の移動経路に隣接して配置される。カップ2がダイパック16の前に配置されると、再絞りスリーブ40は、再絞りダイ42に対してカップ2を付勢する。知られているように、駆動機構14は、例えば、複数の二次クランクアーム(図示せず)を介して、再絞りスリーブ40を駆動し、ラムアセンブリ12が前進する直前に再絞りスリーブ40が前進するように同期が取られている。
【0045】
概して、ラムアセンブリ12は、近位端52、遠位端54、及び長手方向軸56を有しており、細長くて実質的に円形であるラム本体50を含む。ラム本体の遠位端54は、パンチ58を含む。ラム本体の近位端52は、駆動機構14に結合されている。駆動機構14は、ラム本体50に往復運動をもたらして、ラム本体50をその長手方向軸56に沿って通常前後に移動させる。即ち、ラム本体50は、移動経路にわたって、引き込まれた第1の位置と前進した第2の位置との間で往復運動するように構成されている。第1の引き込まれた位置では、ラム本体50は、ダイパック16から離間している。第2の伸びた位置では、ラム本体50は、ダイパック16を貫通して延びており、パンチ58は、ドーム部材24に隣接して配置される。即ち、パンチ5に配置されたカップがドーム部材24に接触する。第1の位置と第2の位置の間のラム本体50の任意の位置で、ラム本体50、即ち、駆動機構14は停止し得ることに留意のこと。故に、往復ラムアセンブリ12は、再絞りスリーブ40を通り、カップ2と係合したまま(図示では、左側に)前進する。カップ2は、再絞りダイ42と、ダイパック16内の幾つかのしごきダイ(図示せず)とを通って移動する。カップ2は、ダイパック16内で缶ボディ3に変換される。即ち、缶ボディ3を持ったパンチ58がダイパック16内を通過することにより、缶ボディ3が形成され、より具体的には、缶ボディ3が細長くされて、側壁5が薄くなる。形成ストロークの最後に、缶底部材4がドーマアセンブリ22とドーム部材24に係合することで、缶部材4にドームが形成される。更に、戻りストロークの開始時に、限定ではないが、ストリッパ装置や、缶ボディ3の内側に圧縮ガスを送ることなどの任意の公知の方法又は装置によって、缶ボディ3はパンチ58から排出される。次の形成ストロークの開始時に、新しいカップ2がダイパック16の前に及び/又はパンチ58の端部の前に配置される。
【0046】
例示的な実施形態では、ラム本体50は「縮小された長さのラム本体」である。本明細書では、「縮小された長さのラム本体」は、約26.0インチ乃至約36.0インチの長さを有する。例示的な実施形態では、ラム本体50は、約34.5インチの長さを有する。更に、ラム本体50は、カンチレバー部材である。即ち、ラム本体の近位端52は、上述したように駆動機構14に結合されており、ラム本体の遠位端54は支持されていない。故に、ラム本体50は、ラム本体軸受アセンブリを、例えば、限定ではないが、軸受を含む軸受アセンブリを通過せず、缶ボディメーカ10は、ラム本体軸受アセンブリを含んでいない。本明細書では、「ラム本体軸受アセンブリ」とは、ラム本体50に無視できる程度を超える支持をもたらすように構成されているアセンブリ又は装置を意味する。本明細書では、「無視できる程度の支持」とは、ラム本体50の重量の約10%を超える上向きの力を意味する。
【0047】
更に、ラム本体50は、「カンチレバー長さ」を有するカンチレバー部材90である。本明細書では、「カンチレバー長さ」は、支持されていない端部に最も近い支持部を越えたカンチレバー部材の長さを意味する。更に、本明細書では、無視できる程度の支持、又は微々たる程度の支持をもたらすアセンブリ又は要素は、ラム本体50に有意な支持をもたらさず、従って、ラム本体50の「カンチレバー長さ」を変化させない。上述したように、ラム本体50が軸受アセンブリBを通って移動する従来技術では、ラム本体50のカンチレバー長さは、動的なカンチレバー長さを有していた。即ち、カンチレバー長さは、ベアリングアセンブリを通って延びるラム本体50の長さに依存していた。例示的な実施形態のラム本体50は、ベアリングアセンブリを通って延びていないので、カンチレバー部材90のカンチレバー長さは、ラム本体50の往復運動の間、一定のままである。
【0048】
同様に、ラム本体50は、ラム本体ガイドアセンブリによって直接案内されない。故に、ラム本体50は、ラム本体ガイドアセンブリを、例えば、限定ではないが、静水圧/動圧軸受アセンブリなどのガイド軸受を含むラム本体ガイドアセンブリを通らず、缶ボディメーカ10は、ラム本体ガイドアセンブリを含んでいない。本明細書では、「ラム本体ガイドアセンブリ」は、ラム本体50に直接接触し、ラム本体を案内するように構成されて、実際に案内するアセンブリ又は装置を意味する。本明細書では、ラム本体を「案内する」ことは、ラム本体の長手方向軸56をダイパック16に対して連続的に位置決めすることを意味する。本明細書では、「連続的に位置決めする」とは、ある構造体が他の構造体と接触し、ラム本体50に微々たる程度の支持を越える支持をもたらすことを意味する。本明細書では、「微々たる程度の支持」とは、ラム本体50の重量の約15%を超える押上げ力を意味する。更に、本明細書では、「ラム本体ガイドアセンブリ」は、以下に定義されるような「ラム本体減衰アセンブリ」であることはできない。即ち、ラム本体を支持する任意のアセンブリは、「ラム本体減衰アセンブリ」であることはできない。例えば、本明細書では、ラム本体の「カンチレバー長さ」を変えるような任意の支持体又はガイドは「ラム本体減衰アセンブリ」ではない。
【0049】
更に、例示的な実施形態では、ラム本体50はラム本体シールアセンブリを通らず、缶ボディメーカ10はラム本体シールアセンブリを含んでいない。即ち、ラム本体50が従来技術のラム本体と同じような手法で潤滑されないので、ラム本体50は、かなりの量の潤滑剤を集めるように構成されたシールアセンブリを通って延びない。本明細書では、「ラム本体シールアセンブリ」とは、ラム本体が通るアセンブリであって、かなり量の冷却剤及び/又は潤滑剤をラム本体50から除去するように構成されているアセンブリを意味する。「ラム本体シールアセンブリ」は、ラム本体50に無視できる程度の支持を与えてよく、微々たる程度の支持を与えてもよい。即ち、限定ではないが、ラム本体シールアセンブリのゴム製シールなどの要素は、ラム本体50に接触してよく、それによってラム本体50に無視できる程度の支持又は微々たる程度の支持を与えてよい。そのようなシールは、しかしながら、ラム本体50の振動を減衰させるように構成されていない。即ち、本明細書では、「ラム本体シールアセンブリ」には、ラム本体50内の振動を減衰させることを意図した如何なる構成も含まれない。ラム本体50の振動に対する如何なる効果も付随的なものであって、故に、ラム本体シールアセンブリは、ラム本体50の振動を減衰させるようには構成されていない。従って、ラム本体50の振動を付随的に減衰させる「ラム本体シールアセンブリ」の任意の構成物は、以下に定義される「減衰部材」ではない。
【0050】
例示的な実施形態では、缶ボディメーカ10は、図3及び図3Aに示すように、ラム本体減衰アセンブリ100を含む。本明細書では、「ラム本体減衰アセンブリ」100は、使用中にラム本体50の振動を減衰させるように構成された構造体である。「ラム本体減衰アセンブリ」100は、無視できる程度の支持又は微々たる程度の支持を超える支持をラム本体50に与えない。「ラム本体減衰アセンブリ」100は、缶ボディメーカ10の運転中にラム本体50の振動を減衰させるように構成されており、また、減衰させる。即ち、上述したように、缶ボディメーカ10の運転中に、パンチ58に配置されたカップ2を有するラムアセンブリ12が、ラム本体50を振動させるドーム部材24と係合する。この振動は、ラム本体減衰アセンブリ100、即ち後述する減衰部材104によって減衰する。即ち、本明細書では、「減衰部材」は、「減衰部材」を通る、又はそれに隣接する細長い本体の振動を減衰させるように構成された構造体である。本明細書では、「減衰させる」とは、振動する構造体における振動の振幅を減少させることを意味する。「減衰部材」は、振動する細長い本体との「減衰係合」を提供するように構成されており、そうすることで、振動している細長い本体との「減衰係合」をもたらす。本明細書では、「減衰係合」(又は「ダンピング係合」)は、振動する要素の周りの様々な位置との迅速且つ断続的な接触を意味し、振動の減衰後に要素に接触してもよいが、無視できる程度の支持又は微々たる程度の支持を超える支持をラム本体50に与えることはない。本明細書では、「減衰係合」は、細長い本体に支持をもたらさない。逆に、本明細書では、要素が細長い本体に支持をもたらす場合、それは、細長い本体に「減衰係合」をもたらさず、先に定義された「減衰部材」であることはできない。更に、「減衰」は、「能動的」減衰と「受動的」減衰の両方を含む。本明細書では、「能動的」な減衰は、「減衰アセンブリ」が振動を検出し、振動を減衰させるカウンター振動(counter-vibration)又は他の動きで応答するように構成されていることを意味する。言い換えると、「能動的」減衰は、振動を低減する手法においてエネルギーが消費されることを意味する。本明細書は、そのような減衰アセンブリは、「能動的減衰アセンブリ」として特定される。このように、「能動的減衰アセンブリ」は、振動する要素又はアセンブリの振動を低減する手法においてエネルギーを消費するように構成される。更に、「能動的減衰アセンブリ」の「減衰部材」は、本明細書では「能動的減衰部材」として特定される。逆に、「受動的」減衰とは、「減衰アセンブリ」が、振動部材又は要素によって作用を受けるように構成されており、作用を受けるが、振動を低減する手法においてエネルギーを消費しないことを意味する。即ち、本明細書では、「受動的減衰アセンブリ」は、エネルギーを消費することなく、振動部材又はアセンブリの振動を低減するように構成されている。例えば、振動要素又はアセンブリからエネルギーを吸収し、それによって振動を減少させる減衰アセンブリは、「受動的減衰アセンブリ」である。更に、「受動的減衰アセンブリ」における「減衰部材」は、本明細書では「受動的減衰部材」として特定される。
【0051】
例示的な実施形態では、ラム本体減衰アセンブリ100は、能動的減衰アセンブリ又は受動的減衰アセンブリのいずれかである。図示された実施形態では、ラム本体減衰アセンブリ100は、受動的減衰アセンブリである。このように、缶ボディメーカ10の運転中、振動するラム本体50は、迅速且つ断続的に減衰部材104に接触し、減衰部材104は、振動するラム本体50を減衰係合して、その振動を低減させる。
【0052】
更に、本明細書では、「減衰部材」は、細長い本体が振動していない場合に「エアギャップ」を規定するように構成されている。「エアギャップ」は、本明細書では、「減衰部材」と細長い本体の間のギャップであって、緩衝するように構成されている。即ち、「エアギャップ」は、細長い本体が振動していない場合にのみ存在し、「減衰部材」に隣接して配置される。故に、振動する細長い本体がラム本体50である場合、缶ボディメーカが動いておらず、ラム本体50が減衰部材104を通って延びていると、「エアギャップ」が存在する。本明細書では、細長い本体が「減衰部材」に配置されていない場合、又は、「減衰部材」に隣接していない場合には、「エアギャップ」は存在しないことに更に留意のこと。故に、ラム本体50が、引き込まれた第1の位置にあるか、又はそれに近い位置にあって、減衰部材104を通って、又はそれに隣接して配置されていない場合には、本明細書で定義される「エアギャップ」は存在しない。例示的な実施形態では、減衰部材104は、概ねトーラス形状の本体105を含んでおり、本体105は、ラム本体50が通過するように構成された概ね円形の通路108を含んでいる。ラム本体50が減衰部材の通路108を通って延びている状態で、例えばメンテナンスのために駆動機構が停止すると、減衰部材の通路108は、ラム本体50の断面積よりも約0.005インチ乃至約0.001インチ、又は約0.0025インチだけ大きい。故に、ラム本体50が静止している場合、減衰部材104は、ラム本体50についてエアギャップを規定するように構成されている。即ち、上述した実施形態では、ラム本体50の外側表面と減衰部材の本体105の内側表面との間の「エアギャップ」は、約0.005インチ乃至約0.001インチ、又は約0.0025インチである。
【0053】
ラム本体減衰アセンブリ100は、ラム本体50の移動経路に隣接して配置される。例示的な実施形態では、ラム本体減衰アセンブリ100は、ハウジング102及び減衰部材104を含む。例示的な実施形態では、ラム本体減衰アセンブリのハウジング102は、ラム本体50が延びる通路106を規定する。即ち、ラム本体減衰アセンブリのハウジング102は、ラム本体50の移動経路の周囲に配置される。図示しない代替的な実施形態では、ラム本体減衰アセンブリのハウジング102は、通路を規定せず、ラム本体50の移動経路に隣接して配置される。ラム本体減衰アセンブリのハウジングの通路106は、ラム本体50の断面積よりもかなり大きい。即ち、ラム本体減衰アセンブリのハウジング通路106は、缶ボディメーカ10の通常の運転中にラム本体50とラム本体減衰アセンブリのハウジング102との間の接触を防止するのに十分な大きさである。
【0054】
上述したように、例示的な減衰部材104は、ラム本体50が通るように構成された概ね円形の通路108を規定する概ねトーラス形状の本体105を含む。例示的な実施形態では、減衰部材の本体105は、限定ではないが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの弾性材料から作られている。減衰部材の通路108は、ラム本体50の断面積にほぼ対応している。即ち、減衰部材の通路108は、ラム本体50の断面積よりもわずかに大きく、ラム本体50が減衰部材の通路108を通って延びる場合には、ラム本体50と減衰部材の通路108との間にエアギャップが存在するが、缶ボディメーカ10の運転中には存在しないような大きさになっている。即ち、缶ボディメーカ10の運転中は、ラム本体50が振動してラム本体50が減衰部材104に接触するため、エアギャップは測定できない。この構成では、減衰部材104は、ラム本体50の移動経路に隣接して配置される。図示しない別の代替的な実施形態では、減衰部材の本体はラム本体50を囲まない。図示しない別の代替的な実施形態では、減衰部材の本体105の内側表面、即ちラム本体50の移動経路に隣接する表面は、ラム本体50を減衰的に係合させるように構成された幾つかの突起を含んでいる。
【0055】
減衰部材104は、ラム本体減衰アセンブリのハウジング102に、そして図示されているようにラム本体減衰アセンブリのハウジングの通路108に、結合、直接結合、又は固定されている。ラム本体減衰アセンブリのハウジング102は、ラム本体50の移動経路周りに(即ち、包囲して)又はそれに隣接して配置されている。この構成では、ラム本体50は、ラム本体減衰アセンブリのハウジングの通路106及び減衰部材の通路108を通る。言い換えると、ラム本体50の移動経路は、減衰部材の通路108を通って延びる。更に、この構成及び例示的な実施形態では、ラム本体減衰アセンブリ100、即ち減衰部材104は、ラム本体50を支持しない。即ち、静止している間、即ち、缶ボディメーカ10が運転していない場合には、ラム本体50が前方の第2の位置にあっても、ラム本体50は減衰部材104に接触しない。言い換えると、缶ボディメーカ10が運転していない場合、即ちラム本体50が静止しており、ラム本体50が減衰部材の通路108を通って延びている場合、ラム本体50が減衰部材104に接触しないように、ラム本体の長手方向軸56は減衰部材の通路108に揃えられる。言い換えると、ラム本体50は、例示的な実施形態では、「非作動ラム本体」50Aである。本明細書では「非作動ラム本体」50Aは、ラム本体50が静止しており、減衰部材の通路108を通って延びるように配置されていることを意味する。従って、例示的な実施形態では、非作動ラム本体は減衰部材104に接触しない。
【0056】
例示的な実施形態では、ラム本体50には冷却液が付されている。この実施形態では、ラム本体の減衰アセンブリ100はまた、ラム本体50から冷却液を除去するように構成された幾つかのシール120を含む。ラム本体減衰アセンブリのシール120は、ラム本体50を支持しないが、例示的な実施形態では、ラム本体50に対して無視できる程度の支持又は微々たる程度の支持を与える。ラム本体減衰アセンブリのシール120は、減衰部材104から離間して配置される。この構成では、ラム本体50がラム本体減衰アセンブリのシール120及び減衰部材104を通って延びると、ラム本体減衰アセンブリのシール120及び減衰部材104は、ラム本体50周りにエンベローブ128を形成するように構成されている。
【0057】
例示的な実施形態では、ラム本体減衰アセンブリ100は、パージエアシステム140も含む。パージエアシステム140は、ラム本体減衰アセンブリのハウジング102内に配置、又は部分的に配置されており、減衰部材104とラム本体50の移動経路とに隣接して配置された幾つかの入口144を有する導管142を含む。パージエアシステム140はまた、ドレーン出口146を含む。パージエアシステム140は、限定ではないが、空気などの加圧ガスを提供するように構成されており、集められた冷却液をドレーン出口146を介して排出する。即ち、パージエアシステムの入口144及びドレーン出口146は、エンベローブ128に配置されている。パージエアシステム140は、エンベローブ128に加圧流体を供給するように構成されている。エンベローブ128内の加圧流体は、ラム本体50上の冷却液及び他の物質を、ドレーン出口146を介して排出させる。
【0058】
缶ボディ減衰アセンブリ100はまた、例示的な実施形態では、緊急ストリッパ150も含む。緊急ストリッパ150は、缶ボディ50の移動経路に隣接して配置された本体152を含む。缶ボディ50の往復ストローク中に缶ボディ3が緊急ストリッパ本体152に接触すると、緊急ストリッパ本体152は缶ボディと係合して、缶ボディ3が缶ボディ50と共に移動し続けることを阻止する。この動作によって、缶ボディが缶ボディ減衰アセンブリ100を通って後方に移動する際に、缶ボディ3が缶ボディ50から取り外される。
【0059】
本発明の特定の実施形態について詳細に説明したが、当業者であれば、それらの詳細に対する様々な修正や代替を、本開示の教示全体に鑑み開発することができると認識されるであろう。従って、開示される特定の構成は、単に例示であることを意図し、添付の特許請求の範囲及びその全ての均等物の全範囲を、提供される発明の範囲に関して限定するものではない。
図1
図2
図3
図3A