(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】置換フェニル酢酸誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 69/757 20060101AFI20220509BHJP
C07C 49/697 20060101ALI20220509BHJP
C07C 51/08 20060101ALI20220509BHJP
C07C 59/86 20060101ALI20220509BHJP
C07C 67/343 20060101ALI20220509BHJP
C07C 253/14 20060101ALI20220509BHJP
C07C 253/30 20060101ALI20220509BHJP
C07C 255/40 20060101ALI20220509BHJP
C07C 255/41 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C07C69/757 B CSP
C07C49/697
C07C51/08
C07C59/86
C07C67/343
C07C253/14
C07C253/30
C07C255/40
C07C255/41
(21)【出願番号】P 2020535284
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 CN2018099121
(87)【国際公開番号】W WO2019047654
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】201710800788.8
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520079728
【氏名又は名称】江蘇瑞科医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李潔平
(72)【発明者】
【氏名】高照波
(72)【発明者】
【氏名】柴兵
(72)【発明者】
【氏名】鄭輝
(72)【発明者】
【氏名】劉声民
(72)【発明者】
【氏名】劉阿情
(72)【発明者】
【氏名】郭必豹
(72)【発明者】
【氏名】鄭俊成
(72)【発明者】
【氏名】王長発
(72)【発明者】
【氏名】盧▲イ▼▲イ▼
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5238757(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第101412670(CN,A)
【文献】特開2000-327603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 69/757
C07C 49/697
C07C 51/08
C07C 59/86
C07C 67/343
C07C 253/14
C07C 253/30
C07C 255/40
C07C 255/41
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIIの化合物:
【化1】
式中、R
1は、水素またはメチルであり、
R
2は、ハロゲン、またはCNであり、
R
3は、メチルである。
【請求項2】
式III-1、III-2およびIII-3で表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R
1およびR
3は、メチルである。
【請求項3】
下記反応式に示される、1,4-ビスハロベンジル化合物と、アルキル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートとの間の反応によって、式III-1の化合物が得られる、請求項2に記載の式III-1の化合物の製造方法:
【化3】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R
3は、メチルである。
【請求項4】
下記反応式に示される、式III-1のシアン化反応によって、式III-2の化合物が製造される、請求項2に記載の式III-2の化合物の製造方法:
【化4】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R
3は、メチルである。
【請求項5】
下記反応式に示される、式III-2のアルキル化反応によって、式III-3の化合物が製造される、請求項2に記載の式III-3の化合物の製造方法:
【化5】
式中、R
1およびR
3は、メチルである。
【請求項6】
下記反応式に示される、任意の順序での置換反応、シアン化反応およびアルキル化反応によって、式III-3の化合物が製造される、請求項2に記載の式III-3の化合物の製造方法:
【化6】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R
1およびR
3は、メチルである。
【請求項7】
下記反応式に示される、脱炭酸反応および
加水分解反応を経て、ロキソプロフェンまたはその誘導体を製造する、請求項2に記載の式III-3の化合物の、ロキソプロフェンまたはその誘導体を製造するための使用:
【化7】
式中、R
1およびR
3は、メチルである。
【請求項8】
下記反応式に示される、置換反応、脱炭酸反応、シアン化反応、アルキル化反応および
加水分解反応によってロキソプロフェンまたはその誘導体が得られる、ロキソプロフェンまたはその誘導体の製造方法:
【化8】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R
1およびR
3は、メチルである。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2017年9月7日に中国特許庁に提出された、出願番号201710800788.8、「置換フェニル酢酸誘導体の調製方法」と題する中国特許出願の優先権を主張するものである。その内容の全ては、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、医薬製造の分野に属し、置換フェニル酢酸誘導体の製造方法に関し、特に、2-(4-((2-オキソシクロペンチル)メチル)フェニル)プロパン酸に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
米国特許第4161538号には、抗炎症、鎮痛および解熱の良好な医薬活性を有する、置換フェニル酢酸誘導体が開示されている。その構造を、以下に示す。
【0004】
【0005】
上記の一般式の構造において、Aが酸素であり、n=1であり、R1がメチル基である場合、代表的な置換フェニル酢酸は、ロキソプロフェンである。その構造を、以下に示す。
【0006】
【0007】
ロキソプロフェンは、プロピオン酸部分を有する非ステロイド性抗炎症型薬物である。プロピオン酸誘導体薬物ファミリーはまた、イブプロフェンおよびナプロキセン等を含む。ロキソプロフェンは、ブラジル、メキシコ、および日本で、三共(Sankyo)からナトリウム塩の形態で発売されている。日本、アルゼンチンおよびインドにおけるロキソプロフェンナトリウムの商品名は、それぞれロキソニン(Loxonin)、オキセノ(Oxeno)およびロキソマク(Loxomac)である。これらの国では、ロキソプロフェンナトリウムは、経口投与で使用されており、2006年1月、日本において、注射剤の販売が承認されている。
【0008】
特許US4161538号では、ロキソプロフェンを製造するための以下の合成経路が開示されている(式中、n=1、R1は、メチル基を表す)。
【0009】
【0010】
特許US5681979号では、以下の式を有する化合物が開示されている。
【0011】
【0012】
しかしながら、この式は、この特許において、ロキソプロフェンの製造には使用されなかった。
【0013】
ロキソプロフェンナトリウムの医学への見通しは良好であるから、ロキソプロフェンを製造するためのより優れた工程を開発するが必要である。
【0014】
〔発明の概要〕
本発明は、ロキソプロフェンを含む置換フェニル酢酸誘導体の合成工程を提供する。本発明の新規な合成工程は、置換フェニル酢酸およびその誘導体を、低コストかつ高収率で合成することができる。
【0015】
第一に、本発明は、一般式GおよびG1の中間体化合物を提供する:
【0016】
【0017】
式中、R1は、水素または短鎖アルキル基であり、
R2は、ハロゲン、CN、OH、-CH2OH、-CHO、CH3NO2、エステル基、-NR4R5、OTf、OTs、OMs、-C=CR6、または
【0018】
【0019】
であり、ここで、R4、R5、R6およびR7は、短鎖アルキル基であり、
Zは、シクロペンタノン基、および
【0020】
【0021】
から選択されるシクロペンタノン基の前駆体形態であり、R3は、短鎖アルキル基であり、L2の定義は、R2と同じであり、L3は、ハロゲン、OH、OMs、OTs、OTf等から選択される好適な脱離基、または有機金属基である。
【0022】
第二に、本発明は、下記反応式に示される、1,4-ジハロベンジル化合物または二置換ベンジル化合物と、シクロペンタノン基の前駆体形態との反応による、一般式GおよびG1化合物の製造方法を、さらに提供する:
【0023】
【0024】
式中、Xは、ハロゲンであり、
L1は、ハロゲン、OH、OMs、OTs、OTf等から選択される好適な脱離基であり、
L2は、R2の定義と同じであり、
Zは、シクロペンタノン基、および
【0025】
【0026】
から選択される、シクロペンタノン基の前駆体形態であり、L3は、ハロゲン、OH、OMs、OTs、OTf等から選択される好適な脱離基、または有機金属基である。
【0027】
上記二置換ベンジル化合物の製造は、1,4-ジハロベンジル化合物または1,4-ジヒドロキシルベンジルアルコールから出発して行われる。反応式を以下に示す:
【0028】
【0029】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R3は、短鎖アルキル基であり、
L1またはL2は、OMs、OTs、OTf、CH3NO2、-CN、
【0030】
【0031】
または
【0032】
【0033】
から選択される好適な脱離基である。
L2が
【0034】
【0035】
である場合、下記に示す反応が起こる:
【0036】
【0037】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R3は、短鎖アルキル基である。
【0038】
上記一般式GおよびG1は、ロキソプロフェンの製造のために、脱炭酸ステップを含む。
【0039】
脱炭酸ステップの手順は、第1ステップ、第2ステップ、または第3ステップとすることができ、これは、当該手順は変更可能であることを示す。そして、脱炭酸ステップを、シアン化ステップの前に行うことが、最良の手順である。
【0040】
上記一般式GおよびG1は、ロキソプロフェンの製造のために、シクロペンタノン基の前駆体形態をシクロペンタノンに変換するステップを含む。変換するステップの手順は、第1ステップ、第2ステップ、または第3ステップとすることができる。
【0041】
本発明は、以下のような構造を示す、式IIIの化合物を、さらに提供する:
【0042】
【0043】
式中、R1は、Hまたは短鎖アルキル基であり、
R2は、ハロゲン、-CN、-OH、-CH2OH、-CHO、CH3NO2、エステル基、-NR4R5、OTf、OTs、OMs、-C=CR6、
【0044】
【0045】
から選択される基であり、ここで、R4、R5、R6およびR7は、アルキル基であり、
R3は、短鎖アルキル基である。
【0046】
上記式IIIにおいて、R1がH、R2がハロゲンである場合の、化合物の式を以下に示す:
【0047】
【0048】
R3の定義は、上記と同様である。
【0049】
上記式III-1の化合物は、下記に示される、1,4-ビス(ハロメチル)ベンゼンと、アルキル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートとの反応によって製造される:
【0050】
【0051】
式中、Xは、ハロゲンであり、
R1は、Hであり、
R3の定義は、上記と同じである。
【0052】
上記式IIIにおいて、R1がH、R2がOHである場合の、化合物の構造を以下に示す。
【0053】
【0054】
上記式III-1’の化合物は、下記に示される、1,4-フェニレンジメタノールと、アルキル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートとの反応によって製造される:
【0055】
【0056】
R3の定義は、上記と同じである。
【0057】
上記式IIIにおいて、R2は、式III-1の化合物および式III-1’の化合物から製造することができる。あるいは、1,4-フェニレンジメタノールまたは1,4-ビス(ハロメチル)ベンゼンを、スルホン化、アミノ化またはホモカップリング反応で処理し、次いで置換を進行させる。または、グリニャール反応させ、二酸化炭素とさらに反応させることにより製造することができる。スルホン化反応を以下に示す:
【0058】
【0059】
上記式IIIにおいて、R2がシアノ基の場合の、化合物の式を以下に示す:
【0060】
【0061】
式中、R3の定義は、上記と同じである。
【0062】
上記式III-2の化合物は、以下に示される、式III-1のシアン化反応によって製造される:
【0063】
【0064】
式中、R3の定義は、上記と同じである。
【0065】
上記式IIIにおいて、R1が短鎖アルキル基の場合の、化合物の式を以下に示す:
【0066】
【0067】
式中、R3の定義は、上記と同じである。
【0068】
上記式III-3の化合物は、以下に示される、式III-2のアルキル化によって製造される:
【0069】
【0070】
式中、R1およびR3の定義は、上記と同じである。
【0071】
さらに、上記3つのステップ、例えば、(i)アルキル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートの置換反応、(ii)シアン化反応、および(iii)アルキル化反応における反応手順は、任意の手順を採用することができる。例えば、手順は、(i)(ii)(iii)、(i)(iii)(ii)、(iii)(ii)(i)、(ii)(i)(iii)、または(ii)(iii)(i)であってもよい。
【0072】
反応手順が(iii)(ii)(i)の場合における反応を、以下に示す:
【0073】
【0074】
式中、Xは、ハロゲンであり、R1およびR3の定義は、上記と同じである。
【0075】
反応手順が(ii)(iii)(i)の場合における反応を、以下に示す:
【0076】
【0077】
式中、Xは、ハロゲンであり、R1およびR3の定義は、上記と同じである。
【0078】
本発明において、アルキル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートの置換は、塩基性条件で行われ、塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アルコキシドナトリウム等である。
【0079】
本発明において、シアン化反応は、NaCN、KCN、CuCN2等の一般的なシアン化剤を使用することにより進行する。
【0080】
本発明において、アルキル化反応は、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、トリメトキシメタン、ハロゲン化アルキル等の一般的なアルキル化剤を使用することにより進行する。
【0081】
本発明における上記反応は、有機溶媒の作用下で行うことができる。有機溶媒は、置換反応、アルキル化反応およびシアン化反応において一般的に使用される溶媒であり得る。有機溶媒としては、DMF、DMSO、NMP、1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、THF、MTBE、およびアセトニトリル等が挙げられる。
【0082】
本発明の中間体化合物は、ロキソプロフェンを製造するために使用される。式III-3の化合物を加水分解して、関連生成物を生成することができることが最良である。反応を以下に示す:
【0083】
【0084】
R1およびR3の定義は、上記と同じであり、R1がメチルである場合の構造は、ロキソプロフェンである。
【0085】
加水分解反応に使用される加水分解試薬は、当該分野で一般的に施用される酸であり、硫酸、塩酸またはトリフルオロ酢酸等の有機酸または無機酸であってよい。
【0086】
本発明は、出発物質として1,4-ビス(ハロメチル)ベンゼン化合物を使用し、任意の順序での置換反応、シアン化反応およびアルキル化反応を経て、式IIIの中間体を製造する:
【0087】
【0088】
式中、R1は、Hまたは短鎖アルキル基であり、
R2は、ハロゲンまたはシアノ基であり、
R3は、低置換アルキル基である。
【0089】
R1がメチルであり、R2がシアノ基であり、R3が短鎖アルキル基である場合、式III-3の化合物を加水分解して、ロキソプロフェンを生成することができる。
【0090】
本発明は、前駆体の形態のシクロペンタノン基をシクロペンタノンに変換するステップを含む、ロキソプロフェン様化合物の製造方法を開示する。例えば、当該分野で一般的に使用される環化反応が使用される。ロキソプロフェンの前駆体化合物を使用して、ロキソプロフェン化合物を製造する。
【0091】
一方、本発明は、以下に示される、1,4-ビス(ハロメチル)ベンゼンの置換反応、脱炭酸反応、シアン化反応およびアルキル化反応によって製造されるロキソプロフェン化合物の製造方法も提供する:
【0092】
【0093】
式中、Xは、ハロゲンであり、R1およびR3の定義は、上記と同じである。
【0094】
本発明により提供される製造方法は、以下の有益な作用を有する。第1に、本発明は、置換フェニル酢酸の誘導体を製造するための代替方法を提供する。第2に、本発明の製造方法は、いずれの先行技術によっても報告されていない。特許US5681979号で使用される化合物とは全く異なる。第3に、反応工程において、出発物質として、1,4-ビス(ハロメチル)ベンゼンを使用することは、安価で便利である。最後に、本発明によって提供される製造方法は、工業規模の生産に好適であり、ある種の経済的利点を有する。
【0095】
〔詳細な説明〕
[実施例1]
【0096】
【0097】
1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン(30g、0.17mol)、DMF(150g、4.74vol)および炭酸ナトリウム(19.8g、0.19mol)を、250mL丸底フラスコに添加した。反応混合物を攪拌し、60℃に加熱した。次いで、メチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレート(22.1g、0.16mol)を反応混合物に1時間かけて滴下し、その後、30分間、反応温度を維持した。次いで、反応混合物を25℃に冷却し、濾過して、母液を水と混合した。固体を分離する。母液を、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮して、47.0gの式III-1の化合物(式中、R1はHであり、R2はClであり、R3はメチルである)を得た(高速液体クロマトグラフィー純度:77.3%、収率:83.3%)。
【0098】
[実施例2]
【0099】
【0100】
式III-1の化合物(式中、R1はHであり、R2はClであり、R3はメチルである)(10g、0.036mol)、アセトニトリル(50g、49.1vol)、およびNaCN(1.9g、0.039mol)を、100ml丸底フラスコに添加した。反応混合物を還流した。出発物質が消失したら、反応混合物を25℃に冷却した。濾過および蒸発後、攪拌しながら酢酸エチルおよび水を添加した。有機層を分離し、蒸発させて、9.8gの式III-2の化合物(式中、R1はHであり、R2はCNであり、R3はメチルである)を得た(高速液体クロマトグラフィー純度:93.7%、収率:94.7%)。
【0101】
[実施例3]
【0102】
【0103】
式III-2の化合物(式中、R1はHであり、R2はCNであり、R3はメチルである)(30g、0.11mol)、ジメチルカーボネート(24.8g、0.28mol)、K2CO3(1.5g、0.011mol)、およびテトラブチルアンモニウムブロミド(1.8g、0.006mol)を、オートクレーブに添加した。130~140℃にて、10時間、反応混合物を攪拌した。オートクレーブの圧力は約0.3Mpaである。次いで、反応混合物を28℃に冷却し、少量のベンズアルデヒドを添加することによって反応を停止させた。濾過して、濾過ケーキを、酢酸エチル、1NのHClおよび水で洗浄した。有機層を分離し、蒸発させて、32.6gの式III-3の化合物(式中、R1はメチルであり、R2はCNであり、R3はメチルである)を得た(高速液体クロマトグラフィー純度:78.1%、収率:80.5%)。
【0104】
[実施例4]
【0105】
【0106】
式III-3の化合物(式中、R1はメチルであり、R2はCNであり、R3はメチルである)(18.5g、0.065モル)および80重量%のH2SO4水溶液(16g、0.13モル)を、100ml丸底フラスコに添加した。80~90℃にて、5時間、反応混合物を攪拌した。出発物質が消失したら、反応混合物を25℃に冷却し、酢酸エチルを加えて抽出した。有機層を水で洗浄し、蒸発させて、16.4gのロキソプロフェンを得た(高速液体クロマトグラフィー純度:93.7%、収率:96.2%)。
【0107】
[実施例5]
【0108】
【0109】
式III-1の化合物(式中、XはClであり、R3はメチルである)(21g、0.075モル)、酢酸(37mL、2vol)および35重量%のHCl水溶液(63mL、3vol)を、100mL丸底フラスコに添加した。90~95℃にて、2.5~3.5時間、反応混合物を攪拌した。出発物質が消失したら、反応混合物を15~25℃に冷却し、その後、水および酢酸エチルを添加した。有機層を、5%NaHCO3水溶液、飽和NaCl水溶液および水で洗浄した。有機層を分離し、蒸発させて、19.7gの式IVの化合物(式中、XはClである)を得た(高速液体クロマトグラフィー純度:81.4%、収率:96.1%)。
【0110】
[実施例6]
【0111】
【0112】
式IVの化合物(式中、XはClである)(10g、0.045mol)、アセトニトリル(50g、5vol)、NaCN(2.4g、0.049mol)を、100mL丸底フラスコに添加した。反応混合物を還流した。出発物質が消失したら、反応混合物を25℃に冷却した。濾過および蒸発後、酢酸エチルおよび水を添加して攪拌した。有機層を飽和NaCl溶液および水で洗浄し、次いで有機層を分離し、蒸発させて、9.68gの式Vの化合物を得た(高速液体クロマトグラフィー純度:93.7%、収率:94.7%)。
【0113】
[実施例7]
【0114】
【0115】
式Vの化合物(30g、0.14mol)、炭酸ジメチル(31.5g、0.35mol)、K2CO3(1.5g、0.011mol)および臭化テトラブチルアンモニウム(1.8g、0.006mol)を、100mlオートクレーブに添加した。130~140℃にて、10時間、反応混合物を攪拌した。オートクレーブの圧力は約0.3MPaである。次いで、反応混合物を28℃に冷却し、少量のベンズアルデヒドを添加することによって反応を停止させた。濾過して、濾過ケーキを、酢酸エチル、1NのHClおよび水で洗浄した。有機層を分離し、蒸発させて、31.7gの式VI(式中、R1はHである)の化合物を得た(高速液体クロマトグラフィー純度:81.1%、収率:80.4%)。
【0116】
[実施例8]
【0117】
【0118】
式VIの化合物(式中、R1がH)(18.5g、0.081モル)、酢酸(37mL、2vol)および35重量%のHCl水溶液(55.5mL、3vol)を、100mL丸底フラスコに添加した。90~95℃にて、2.5~3.5時間、反応混合物を攪拌した。出発物質が消失したら、反応混合物を15~25℃に冷却し、水および酢酸エチルを添加した。有機層を、飽和NaCl溶液および水で洗浄した。有機層を分離し、蒸発させて、20.5gのロキソプロフェンを得た(高速液体クロマトグラフィー純度:93.7%、収率:96.2%)。