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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】解剖学的対象の表面に外圧を加える装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020539146
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 FI2017050690
(87)【国際公開番号】W WO2019063871
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】520111626
【氏名又は名称】ヘルシンキ サージカル インストゥルメンツ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】レザイ ジャロミ、ベナム
(72)【発明者】
【氏名】ヒルヴェラ、ヴァルダマー
(72)【発明者】
【氏名】サルパネヴァ、ステパン
(72)【発明者】
【氏名】へルネスニエミ、ジュハ
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-245939(JP,A)
【文献】特表2013-542779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0022062(US,A1)
【文献】特表2011-500139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管などの解剖学的対象の表面に外圧を加える装置(100)であって、
少なくとも2つの顎部(101、102)と、
前記顎部を互いに向かって移動させるように前記顎部に圧縮力を加える閉鎖力生成装置(103)と、
前記圧縮力に対して反力を加える作動装置(104)と、
制御ユニット(105)と
前記制御ユニット(105)にタイミングパラメータを提供する時計仕掛け装置(114)と
を備え、
前記制御ユニット(105)が、前記タイミングパラメータを受信し、かつ前記作動装置(104)の作動パラメータ前記タイミングパラメータに従って制御して前記反力を加えるように構成されており、そのため、前記顎部(101、102)によって前記解剖学的対象の表面に加えられる前記外圧が、時間の関数として制御可能な様式で、かつ前記時計仕掛け装置(114)により提供された前記タイミングパラメータに従って、前記解剖学的対象内の流体の流れの流量を操作するように加えられるように構成されている、装置(100)。
【請求項2】
前記閉鎖力生成装置(103)が、前記顎部を互いに向かって移動させるように前記顎部に前記圧縮力を加えるように構成されたばねを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記作動装置(104)が、シリンダ(106)とピストン(107)とを備え、前記ピストンが、前記反力を加えるように配置されており、前記シリンダが、前記ピストンが前記シリンダ内で自由に動くことを防ぐために前記シリンダ内に流体を含み、前記制御ユニット(105)が、制御された様式で前記シリンダ(106)から前記流体を除去し、それによって前記ピストン(107)を前記シリンダ内に後退させ、それによって前記反力を再び減少させ、制御された様式で前記顎部(101、102)を互いに向かって移動させるように構成されている、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、バルブ(108)を備え、前記制御ユニット(105)が前記バルブ(108)の動作を制御するように構成されており、それによって、制御された様式で、前記バルブ(108)を介した前記シリンダ(106)から外側への前記流体の前記除去を制御するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記シリンダ(106)内の前記流体に接続して配置されたスクリューコンベヤを備え、前記制御ユニット(105)が、前記スクリューコンベヤの動作を制御するように構成されており、それによって制御された様式で、前記スクリューコンベヤを使用することによって、前記シリンダ(106)の外側への前記流体の前記除去を制御するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記シリンダ(106)が、前記ピストン(107)の第1の側(107A)及び第2の側(107B)の両方で前記シリンダ(106)内に流体を含み、前記制御ユニット(105)が前記シリンダの前記第1の側(107A)から前記流体を除去すると同時に、前記シリンダの前記第2の側(107B)に流体を供給するように構成されている場合にのみ、前記ピストンが前記シリンダ(106)内で移動するように構成されている、請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記圧縮力に対して反力を加える前記作動装置(104)が、電気駆動モータ(121)であり、前記電気駆動モータ(121)が、前記反力を加えるために前記顎部(101、102)の少なくとも1つに機械的に(120)連結されており、そのため、前記顎部によって前記解剖学的対象の表面に加えられる前記外圧が、時間の関数として制御可能な様式で、前記解剖学的対象内の流体循環の流量を操作するように加えられるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、蓄圧器(109)を備え、前記蓄圧器(109)が、前記作動装置(104)を介して追加の反力を加えるように配置されており、それによって前記顎部(101、102)を互いからより離れて移動させて、前記顎部によって前記解剖学的対象の表面に加えられる前記外圧を減少させる、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、前記顎部を前記解剖学的対象に押し付ける圧力及び/又は力を測定する圧力及び/又は力センサ(110)を備え、前記装置が、前記測定された圧力及び/又は力の情報を前記制御ユニット(105)の制御パラメータとして使用して、前記反力を加えるように前記作動装置(104)を制御するように構成されており、そのため、前記顎部(101、102)によって前記解剖学的対象の表面に加えられる前記外圧が、時間の関数として制御可能な様式で、前記解剖学的対象内の流体循環の流量を操作するように加えられる、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、前記解剖学的対象内を流れる前記流体の流量を測定する流量測定装置(111)を備え、前記装置が、前記測定された流量の情報を前記制御ユニット(105)の制御パラメータとして使用して、前記反力を加えるように前記作動装置(104)を制御するように構成されており、そのため、前記顎部(101、102)によって前記解剖学的対象の表面に加えられる前記外圧が、時間の関数として制御可能な様式で、前記解剖学的対象内の流体循環の流量を操作するように加えられる、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、前記制御ユニット(105)に関連する情報、又は制御パラメータ、又は前記顎部(101、102)を前記解剖学的対象に押し付ける圧力及び/若しくは力に関する圧力及び/若しくは力センサ(110)の情報を前記装置の外部に送信する送信器(112)を備える、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、メモリ装置(113)を備え、前記メモリ装置(113)が、制御データを含むか、又は受信するように構成されており、そのため、前記制御ユニット(105)が、前記制御データに従って前記作動装置(104)の作動パラメータを制御するように構成されており、それによって、前記顎部の閉鎖速度及び時間などの前記装置の閉鎖パラメータを制御し、そのため、前記顎部によって前記解剖学的対象の表面に加えられる前記外圧が、前記制御データに従って時間の関数として、前記解剖学的対象内の流体循環の流量を減少させるなどの操作を行う、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、メモリ装置(113)と、前記作動装置(104)の動作を制御する前記制御ユニット(105)によって使用される制御データを受信するなど、前記装置の外部のデータを受信する受信器(112)とを備える、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、例えば、前記制御ユニットが誤動作状態にある場合、又は前記装置の外部で起動された場合にパラメータをリセットする自己リセット機能を備える、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、前記作動装置(104)を制御して前記反力を加えるために前記制御ユニット(105)に制御データを適用する前記装置の外部の制御コマンドを受信する通信装置(112)を備え、そのため、前記顎部(101、102)によって前記解剖学的対象の表面に加えられる前記外圧が、時間の関数として制御可能な様式で、前記解剖学的対象内の流体循環の流量を操作するように加えられる、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つの前記顎部(101、102)の遠位端(101A、102A)が湾曲しており、かつ/又は鋸歯状面又は摩擦面を含み、動作中又は圧縮力を加えている間に前記解剖学的対象が前記顎部の間から滑り落ちるのを防ぐ、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの前記顎部(101、102)の遠位端(101A、102A)が、前記解剖学的対象の少なくとも一部を前記装置に縫合するための穴を有し、動作中又は圧縮力を加えている間に、前記解剖学的対象が前記顎部の間から滑り落ちるのを防ぐ、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、MRIスキャンに干渉しないように、チタンを含むか、又は本質的にチタン製である、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記顎部の互いに対する圧縮力が、0.1~50Nの範囲内であり、より有利には約2N、最も有利には調整可能である、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解剖学的対象の表面に外圧を加える装置に関する。解剖学的対象は、血管などの動物又はヒトの任意の解剖学的流路であってもよい。
【背景技術】
【0002】
ヒト及び動物の身体の多くの解剖学的対象は、例えば手術中の圧迫などの操作に抗する。多くの場合、これらの解剖学的対象は、血管又は腸などの解剖学的流路を有し、その流れは、手術中又は手術後に操作するか、さらには完全に止める必要がある。これらの手術は、血流調整手術と呼ばれることもあり、解剖学的対象の流体の流れを低減又は制限又は操作する必要がある。
【0003】
拡張性脳底動脈瘤(dolichoectatic basilar trunk aneurysm)又は非嚢状動脈瘤は、外科医が遭遇する最も困難な外科的問題の1つであり、外科的介入は、例えば動脈の血行力学的応力を変化させることなどによる血流調整手術によって症状を緩和すること、又は動脈瘤の進行を防ぐことである。拡張性脳底動脈瘤の治療は、非嚢状の形態、位置の深さ、及び脳幹穿孔器の関与により、依然として効果がないか病気の状態である。悪性の血行動態を排除し、動脈瘤の成長を落ち着かせるために、バイパス手術による治療が提唱されている。
【0004】
動脈壁の進行性の構造的及び形態学的変化には、血行力学的変化が伴い、異常な流速、壁せん断応力、乱流、及び停滞の領域が生じ、これらは、分解、血栓形成、及び炎症を通じて動脈変性を悪化させる可能性がある。
【0005】
血行力学的応力が動脈瘤壁の強度を超えると、動脈瘤は破裂する。既知の方法によれば、拡張性動脈瘤、動静脈奇形、硬膜動静脈瘻又は紡錘状動脈瘤などの血管形成異常は、血液循環から隔離されるか、又は、少なくとも、血流及び血流に起因する機械的応力が動脈瘤嚢などの血管形成異常において低減され、それによって、より一般的な嚢状動脈瘤の場合と同様に、血管形成異常の成長又は出血を防ぎ、病気を治す。
【0006】
バイパス手術による拡張性脳底動脈瘤の治療は、悪性の血行動態を排除し、動脈瘤の変性領域から離れるように血流を変化させ、管腔内血栓症を促進し、それによって動脈瘤の成長を落ち着かせ、出血を防ぐ手段として提唱されている。
【0007】
動脈瘤を血液循環から隔離するため、又は動脈瘤と接触している血管内の血流を減少させるために、様々な種類のクリップが使用される。例えば、脳底動脈のクリップ閉塞は、遠位又は近位に関係なく脳底血流を排除するが、その分岐が、遠位の動脈瘤閉塞の場合は近位の脳底動脈から、又は近位の動脈瘤閉塞の場合はバイパスから引くか又は溜めることができるものを除く。小さな穿通枝は、それらの保存のために十分な血流を溜めることができず、巨大な動脈瘤内空間内の血液の停滞によって圧倒され、血栓症を引き起こす。
【0008】
しかしながら、例えば、クリップを使用した場合の最終的な結果は、血流の十分だが大幅すぎない減少に依存し、すなわち、血流の減少が少なすぎる場合、動脈瘤の成長及びその後の症状の進行を防ぐのに十分ではない。既知のクリップは、血管などの解剖学的対象を過度に強く、又は過度に弱く、及びさらに一定の力で圧迫することが多いという欠点がある。さらに、血管の閉鎖時間は非常に重要だが、特にクリップを使用する場合、推定が困難である。通常、血管の閉鎖時間は、血管の環境に関係する生物学が回復して新しい状態に統合できるように十分遅いが、動脈瘤の進行を防ぐために十分速い必要がある。従前の経験は重篤な病態に関連し、明確な解決策は実証されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、既知の従来技術に関連する問題を軽減及び排除することである。特に本発明の目的は、圧縮力及び/又は解剖学的対象の閉鎖時間、又は解剖学的対象内の流れが、例えば解剖学的対象の環境に関係する生物学が回復して新しい状態に統合できるように十分遅いが、それ以上の症状又は欠点を防ぐのに十分な速さであるように、血管などの解剖学的対象の表面に外圧を加える装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、独立請求項の特徴によって達成できる。
【0011】
本発明は、請求項1に記載の装置に関する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、血管などの解剖学的対象の表面に外圧を加える装置が提供される。解剖学的対象の例は血管であるが、解剖学的対象は、腸などの動物又はヒトのいくつかの他の流路であってもよい。本装置は、少なくとも2つの顎部を含み、それらは、完全に、又は少なくとも一定の距離で、例えば顎部の間に一定の空間ができるように、互いにクランプできる。一実施形態によれば、顎部は、互いからより離れて移動させることもできる。ただし、これは任意の機能である。
【0013】
本装置は、圧縮力又は閉鎖力を顎部に加えて、顎部を互いに向かって移動させるが、必ずしも互いに閉鎖しない閉鎖力生成装置も備える。閉鎖力生成装置は、例えば、顎部と機械的に連結され、顎部を互いに向かって移動させる力を加えるばねであってもよい。例えば、顎部を備えた本装置は、顎部を同じ材料片から作製し、顎部の構造又は顎部のヒンジ部分が上記閉鎖力を誘発するように製造できる。ただし、これらは単なる例であり、この明細書の他の場所で説明されているように、他の実装も使用できる。
【0014】
さらに、本装置は、圧縮力に対する反力を加える作動装置、及び制御ユニットも備える。制御ユニットは、反力を加えるように作動装置を制御し、そのため、顎部によって血管などの上記解剖学的対象の表面に加えられる外圧は、制御可能な様式で、解剖学的対象内の血液循環などの流体循環の流量を操作するように加えられる。例えば、顎部の閉鎖速度及び/又は顎部によって加えられる力が、事前に決定されるか、例えば、測定結果に基づくリアルタイムなどの別の方法で制御されるように、操作を実施してもよい。例えば、圧縮力又は解剖学的対象内の流体の流れの流量を測定でき、上記圧縮力又は流量への応答である測定情報を、反力を増加又は減少させ、それによって解剖学的対象内の流体の流量を減少又は増加させるための制御情報として使用できる。
【0015】
一実施形態によれば、作動装置は、シリンダ及びピストンを備えてもよく、ピストンは、反力を加えるように配置される。ピストンは、有利には顎部の間に配置され、そのため、ピストンは、顎部が互いに対して自由にクランプされることを直接機械的に防止できる。シリンダは、有利には、ピストンがシリンダ内で自由に動くのを防ぐために、シリンダ内に流体を含む。制御ユニットは、制御された様式でシリンダから流体を除去し、それによってピストンをシリンダ内に後退させ、それによって再び反力を減少させるなどの操作を行い、制御された様式で顎部を互いに向かって移動させるように構成される。
【0016】
一例として、本装置は、シリンダからの流体をバルブを介して吐出できるように、シリンダに連結されたバルブを含んでもよい。制御ユニットは、有利にはバルブの動作を制御し、それによって、バルブを介したシリンダから外部への流体の除去を制御し、それによって再び反力を減少させるなどの操作を行い、制御された様式で顎部を互いに向かって移動させる。システムは、例えば、マイクロコントローラ及びマイクロバルブ(MEMS/Microelectromechanical systems技術)によって実施してもよい。
【0017】
一実施形態によれば、少量の流体を時々シリンダから除去又は吐出でき、そのため、ばね又は他の閉鎖力生成装置は、顎部を血管又は他の解剖学的対象に対して再び押し付けることができる。顎部の閉鎖時間、それによって血管の閉鎖時間は、一週間、一ヶ月などのように、事前に決定できる。一例として、制御ユニットをプログラムしてもよく、又は閉鎖速度及び閉鎖時間についての、可能であればさらに顎部が血管を押し付ける押圧力についてのマップを備え得る。さらに、一例によれば、閉鎖パラメータは、動作中に、有利には無線通信技術の使用などによって接触せずに外部で変更できる。当然ながら、有線通信技術も使用できる。さらに、用途の目的及び必要性に応じて、閉鎖速度は、線形若しくは非線形であるか、又は特別な閉鎖機能を一時的に有してもよいことに留意されたい。
【0018】
別の実施形態によれば、バルブはスクリューコンベヤで置き換えることができ、スクリューコンベヤはシリンダ内の上記流体に接続して配置される。流体は、例えば、ゲルであり得る。この実施形態では、制御ユニットは、スクリューコンベヤの動作を制御し、それによって、スクリューコンベヤを使用してシリンダから外部に流体を除去し、それによって再び反力を減少させるなどの操作を行い、制御された様式で顎部を互いに向かって移動させる。
【0019】
一実施形態によれば、シリンダは、ピストンの第1の側及び第2の側の両方でシリンダ内に流体を含んでもよい。この実施形態では、流体がシリンダの第1の側から除去され、同時に制御ユニットの制御下でシリンダの第2の側に供給される場合にのみ、ピストンはシリンダ内で移動する。これにより、バルブが1つしか使用されておらず、漏れやすい場合に、安全のために顎部の閉鎖を防止できる。
【0020】
圧縮力に対する反力を加える作動装置は、他の方法で実装することもできる。例えば、作動装置は、電気駆動モータであってもよく、その出力は、反力を加えるために顎部の少なくとも1つに機械的に連結されており、そのため、顎部によって解剖学的対象の表面に加えられる外圧は、制御可能な様式で解剖学的対象内の流体循環の流量を減少又は増加させるなどの操作を行うように加えられる。機械的連結は、例えば、ねじ又はねじ付きロッドを介して実施してもよいが、他の方法も使用できる。電気駆動モータは、例えば、マイクロモータ、圧電モータ、ローボールメカニズム(rowball mechanism me)又はDCモータであってもよく、さらに2ウェイで駆動してもよく、それぞれ、反力を減少又は増加、圧縮力を増加又は減少させることができる。
【0021】
一実施形態によれば、本装置はまた、蓄圧器を備えてもよく、蓄圧器は、例えば、有利には制御された方法で作動装置又はバルブを介して追加の反力を加え、それによって顎部を互いからより離れて移動させ、顎部によって対象の表面に加えられる外圧を減少させることができる。蓄圧器は、導管を介してシリンダ及びピストンと接続されてもよく、そのため、操作されると、ピストンがシリンダから押し出され、それによって、顎部は互いからより離れて移動する。これは、例えば、圧縮力の実行を突然止める必要がある場合の安全上の理由であり得る。もちろん、蓄圧器導管にはバルブを設けることができ、バルブは、例えば制御ユニットによって作動でき、そのため、圧力を蓄圧器から導管を介してシリンダに導き、制御された様式でピストンを押し出すことができる。制御コマンドは、無線又は有線様式で装置の外部で提供してもよく、又は、装置自体が、流量又は流速又は解剖学的対象を押し付ける圧力又は他のパラメータを測定し、その情報を反力を制御するための制御情報として使用してもよい。
【0022】
本装置は、顎部を解剖学的対象に押し付ける圧力及び/又は力を測定する圧力及び/又は力センサを備えてもよい。本装置はまた、上記解剖学的対象内を流れる流体の流量又は流速を測定する流量又は流速測定装置を備えてもよい。流量又は流速測定装置は、例えば、赤外線センサ又は超音波センサによって実装してもよい。さらに、解剖学的対象の直径又は寸法は、例えば、顎部の開口角度又は顎部間の距離によって測定できる。
【0023】
一例によれば、制御ユニットは、測定された圧力及び/又は力情報、流量又は流速情報、並びに他の情報を制御パラメータとして使用して、反力を加えるように作動装置を制御し、そのため、血管などの解剖学的対象の表面に顎部によって加えられる外圧は、制御された様式で、特に測定様式で、解剖学的対象内の流体循環の流量を操作するように加えられる。例えば、流量を一定の速度で減少させる必要がある場合、装置は現在の流量を測定し、計画どおりに流量が減少したかどうかの傾向も判定する。流量又は傾向によって、例えば減少が遅すぎると示された場合、制御ユニットは作動装置を制御して反力をより小さくすることができ、それによって顎部が互いに及び解剖学的対象に対してより強く押し付けられ、それによって再び流体循環を操作して流量の減少を固定する。操作は、有利には、時間の関数として制御可能な様式で、例えば事前に決定された様式で実行される。
【0024】
さらに加えて、本装置は、送信器も備えてもよく、送信器は、制御ユニット又は制御パラメータ又は測定された圧力に関する情報、圧縮力(反力に均衡して等しい)情報、又は顎部間の距離(したがって顎部間の解剖学的対象の直径又は厚さ)に関する距離情報、又は顎部の開口角度に関する情報を装置の外部に送信する。本装置は、受信器も備えてもよく、受信器は、作動装置の動作を制御する制御ユニットによって使用される制御データを受信するなど、装置外部のデータを受信する。例えば、解剖学的対象又は動脈瘤などの症状が、例えば画像化されるか、さもなければその状態又は段階が判定されると、測定された血行動態などの画像又は他の測定情報に基づいて、新しいパラメータを有する可能な新しい制御データを提供できる。新しいパラメータを有する新しい制御データは、例えば、閉鎖動作に関連してもよく、例えば、閉鎖動作は、例えばしばらくの間中断し、その後一定時間後に続行できる。次に、新しいパラメータを有する新しい制御データを受信器に、再び制御ユニットに送信できる。
【0025】
送信器と外部装置との間、及び受信器と外部装置との間のデータ通信は、有線又は無線で実施でき、短距離無線周波数又は赤外線通信技術などを使用できる。
【0026】
本装置は、例えば、制御データを格納するメモリ装置も備えてもよく、そのため、制御ユニットはメモリ装置及びそこに格納されたデータにアクセスでき、制御データを使用して作動装置を操作し、それによって、顎部の閉鎖速度及び時間などの顎部の閉鎖パラメータ又は所望によりさらに開放パラメータを制御し、そのため、顎部によって解剖学的対象の表面に加えられる外圧は、上記制御データに従って、解剖学的対象内の流体循環の流量を減少又は増加させるなどの操作を行う。顎部の閉鎖時間は、例えば、線形又は非線形であるか、又は一定のパターン若しくは形式(最初は速く、次に遅くなど)に従うことができることに留意されたい。さらに、制御データ又は他の情報は、事前に、つまり解剖学的対象に装置を導入する前にメモリ装置に格納するか、又は本明細書の他の場所で説明される通信方法によって後でメモリ装置に送信してもよいことに留意されたい。依然として、制御データ又は他の情報は永久保存してもよく、又は書き換えることもできる。メモリ装置は、例えば、フラッシュメモリ又は当業者に既知の他の適切なメモリ装置によって実装されてもよい。
【0027】
本装置はまた、時計仕掛け装置を備えてもよく、時計仕掛け装置は、制御ユニットにタイミングパラメータを提供し、タイミングパラメータに従って、可能であれば他の制御パラメータとともに、作動装置の作動パラメータを制御し、それによって、顎部の閉鎖速度及び時間などの装置の閉鎖パラメータを制御し、そのため、顎部によって解剖学的対象の表面に加えられる外圧は、時計仕掛け装置によって提供されるタイミングパラメータに従って、時間の関数として、解剖学的対象内の流体循環の流量を操作する。例えば、制御データは、時間の関数としての顎部の開閉速度に関する情報を有してもよく、制御ユニットは、タイミングパラメータを受信し、時間の関数としての制御データに従って作動装置を操作する。
【0028】
本装置は、パラメータをリセットする自己リセット機能を備えてもよい。パラメータは、例えば制御ユニットが誤動作状態にある場合、又は装置の外部で起動された場合にリセットできる。
【0029】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの顎部の遠位端は湾曲しているか、又は鋸歯状面若しくは摩擦面を含み、動作中及び特に圧縮力を加えるときに血管などの解剖学的対象が顎部の間から滑り落ちるのを防ぐ。少なくとも1つの顎部の遠位端はまた、解剖学的対象の少なくとも一部を装置に縫合するための穴を有し、解剖学的対象が顎部の間から滑り落ちるのを防ぐ。
【0030】
本装置は当然ながら、様々な材料で製造でき、例えば本質的にチタンでもよく、チタンは、装置のMRIスキャンへの干渉を防ぐために非常に有利である。セラミック材料などの他の材料も使用できる。
【0031】
用途に応じて、装置や顎部などの材料は異なり得る。また、顎部の互いに対する圧縮力は、意図された使用又は用途に適すように選択でき、通常、0.1~50Nの範囲内で変化する。例えばより小さな血管の場合、顎部の圧縮力は、1~5Nの範囲内、より有利には約2Nである。一実施形態によれば、圧縮力の大きさは、例えば長さを調整して圧縮力の大きさを調整できるばねなどで、調整可能である。
【0032】
本発明は、既知の従来技術に勝る利点を提供し、例えば利点としては、圧縮力及び/又は解剖学的対象の閉鎖時間、又は解剖学的対象内の流れが、例えば解剖学的対象の環境に関係する生物学が回復して新しい状態に統合できるように十分遅いが、それ以上の症状又は欠点を防ぐのに十分な速さであるように、血管などの解剖学的対象の表面に外圧を加えることが挙げられる。最も有利には、閉鎖パラメータは、現在の動作に適すように事前にプログラムでき、又はさらには測定データに基づいて動作中に制御できる。さらに、本発明の装置は、安全機能も提供でき、すなわち、動作中に異常が発生した場合、閉鎖動作を例えばしばらくの間中断し、その後一定時間後に続行でき、又は何らかの理由で圧縮力の実行を突然停止する必要がある場合、顎部を開放することもできる。
【0033】
特に、血管の閉鎖時間などの解剖学的対象の操作時間は操作又は制御でき、そのため、解剖学的対象の環境に関係する対象の生物学的反応を、該当の解剖学的対象内の流体の流量を操作することによって制御又は操作できる。例えば、一例として、本発明の実施形態による装置を使用して、脳内の血管に外圧を加え、それによって、動脈又は静脈の直径を変化させて血行力学的応力及び血行力学的流れを変化させ、動脈及び静脈系の望ましい血行力学的変化を達成できる。
【0034】
この明細書に提示されている例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用性に制限をもたらすと解釈されるべきではない。この明細書では、「含む(to comprise)」という動詞は、列挙されていない特徴の存在を排除しないオープンな制限として使用されている。従属請求項に列挙されている特徴は、特に明記されていない限り、相互に自由に組み合わせることができる。
【0035】
本発明の特徴と考えられる新規の特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明自体は、その構造及びその動作方法の両方に関して、その追加の目的及び利点とともに、特定の例示的な実施形態に関する以下の説明を添付の図面に関連して読めば最もよく理解できるだろう。
【0036】
次に、本発明を、添付の図面による例示的な実施形態を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の有利な実施形態による、解剖学的対象の表面に外圧を加える例示的な装置の分解図を示す。
図2】本発明の有利な実施形態による、解剖学的対象の表面に外圧を加える例示的な装置の側面図を示す。
図3】本発明の有利な実施形態による例示的な装置のさらなる側面図を示す。
図4】本発明の有利な実施形態による別の例示的な装置を示す。
図5】本発明の有利な実施形態によるさらに別の例示的な装置を示す。
図6】本発明の有利な実施形態による例示的な装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1図6は、本発明の有利な実施形態による、解剖学的対象の表面に外圧を加える装置100の例を示し、装置100は、少なくとも2つの顎部101、102を備える。顎部101、102は、完全に、又は少なくとも一定の距離d1、d2などで、例えば顎部の間に解剖学的対象を受け入れる空間ができるように、互いにクランプできる。
【0039】
本装置は、ばねなどの、圧縮力又は閉鎖力を顎部101、102に加える閉鎖力生成装置103も備える。図に見られるように、顎部を備えた本装置は、顎部を同じ材料片から作製し、顎部のヒンジ部分にばね103を設けたそのような構造によって閉鎖力が誘発されるように有利に製造される。当然ながら、適切な閉鎖力を提供するために、閉鎖力生成装置103として他の実装を使用することもできる。
【0040】
本装置はまた、圧縮力に対する反力を加える作動装置104と、作動装置104の動作を制御する制御ユニット105とを含む。特に図1及び図3に示す実施形態では、作動装置104は、シリンダ106及びピストン107を備え、ピストン107は、顎部101、102の間に配置される。顎部101、102の間に配置されると、作動装置104、すなわちピストン107は、顎部が互いに対して自由にクランプされることを直接機械的に防止する。一例によれば、シリンダ106は、ピストンがシリンダ内で自由に動くのを防ぐために、シリンダ内に流体を含む。制御ユニット105は、制御された様式でシリンダから流体を除去し、それによってピストン107をシリンダ内に後退させ、それによって再び反力を減少させるなどの操作を行い、制御された様式で顎部101、102を互いに向かって移動させる。
【0041】
本装置はまた、シリンダ106と連結されたバルブ108を備え、そのため、制御ユニット105の動作下でシリンダからの流体をバルブ108を介して吐出できる。
【0042】
流体循環はまた、例えば図4に示す装置の場合のように、シリンダ107がピストン107の第1及び第2の側107A、107Bの両方でシリンダ内部に流体を含み得るように実施できる。この実施形態では、流体がシリンダの第1の側107Aから除去され、同時に流体(又はいくつかの他の媒体)がピストン107の第2の側107Bに供給される場合にのみ、ピストン107はシリンダ内で移動する。供給は、制御ユニット105の制御下で行われる。
【0043】
本装置はまた、例示的な図4に示すように、蓄圧器109を備えてもよい。蓄圧器109は、作動装置104を介して追加の閉鎖力又は反力を加えることができ、例えば、有利には制御ユニット105の制御下で追加の流体又は圧力をピストン107のいずれかの側107A、107Bに供給する。例えば、蓄圧器109からピストン107の第1の側107Aに圧力を供給し、それによって反力を増加させ、同時に顎部101、102によって対象の表面に加えられる外圧を減少させることによって、顎部101、102を互いからより離れて移動させることができる。
【0044】
本装置はまた、顎部101、102を解剖学的対象に押し付ける圧力及び/又は力を測定する圧力及び/又は力センサ110を備えてもよい。本装置はまた、上記解剖学的対象内を流れる流体の流量又は流速を測定する、赤外線センサ又は超音波センサなどの流量又は流速測定装置111を備えてもよい。さらに、本装置はまた、顎部101、102間の距離又は顎部101、102の開口角度αを測定する開口測定装置118を備えてもよい。圧力及び/又は力センサ110、流量又は流速測定装置111、並びに開口測定装置118は、有利には、制御ユニット105とデータ通信し、制御ユニット105は、測定された圧力及び/又は力情報、流量又は流速情報、並びに他の情報を制御パラメータとして使用して、反力を加えるように作動装置104を制御し、そのため、血管などの解剖学的対象の表面に顎部101、102によって加えられる外圧は、制御された様式で、有利には測定様式又は事前に決定された様式で、解剖学的対象内の流体循環の流量を操作するように加えられる。
【0045】
本装置はまた、送信器及び/又は受信器又は送受信器112を備えてもよく、これらは、制御ユニット又は制御パラメータ又は測定された圧力に関連する情報、圧縮力情報、又は顎部間の距離(したがって顎部間の解剖学的対象の直径又は厚さ)に関する距離情報、又は顎部の開口角度に関する情報を装置の外部に送信し、同様に、作動装置の動作を制御する制御ユニットによって使用される制御データを受信するなど、装置の外部からデータを受信する。送信器、受信器又は送受信器112と外部装置との間のデータ通信は、患者の皮膚を介して伝導される細い導線又は光ファイバなどの有線で、又は特に送受信器112が皮膚の真下にある場合、短距離無線周波数又は赤外線などを使用して無線で実施できる。
【0046】
本装置はまた、例えば、制御データを格納するためのメモリ装置113を備えてもよく、そのため、制御ユニット105はメモリ装置及びそこに格納されたデータにアクセスできる。制御データ又は他の情報は、事前にメモリ装置113に格納するか、又は本明細書の他の場所で説明される通信方法によって後でメモリ装置に送信してもよい。制御ユニット105は、圧力及び/又は力センサ110、流量又は流速測定装置111並びに開口測定装置118によって測定されたデータを、メモリ又はメモリ装置113に格納することもできる。制御データ又は他の情報は永久保存してもよく、又は書き換えることもできる。
【0047】
本装置はまた、時計仕掛け装置114を備えてもよく、時計仕掛け装置114は、制御ユニット105にタイミングパラメータを提供し、タイミングパラメータに従って、可能であれば他の制御パラメータとともに、作動装置104の作動パラメータを制御し、それによって、顎部の閉鎖速度及び時間などの装置の閉鎖パラメータを制御し、そのため、顎部によって解剖学的対象の表面に加えられる外圧は、時計仕掛け装置によって提供されるタイミングパラメータに従って、時間の関数として、解剖学的対象内の流体循環の流量を操作する。
【0048】
さらに加えて、少なくとも1つの顎部101、102の遠位端101A、102Aは湾曲していてもよく、又は解剖学的対象が顎部101、102の間から滑り落ちるのを防ぐために鋸歯状面又は摩擦面を含む。少なくとも1つの顎部101、102の遠位端101A、102Aはまた、解剖学的対象の少なくとも一部を装置に縫合するための穴119を有し、解剖学的対象が顎部の間から滑り落ちるのを防ぐ。
【0049】
図5は、本発明の有利な実施形態による例示的な装置100を示し、圧縮力に対する反力を加える作動装置104は、反力を加えるように顎部101、102の少なくとも1つに機械的に連結されたねじ又はねじ付きロッド120によって実装され、そのため、顎部によって解剖学的対象の表面に加えられる外圧は、制御ユニット105の制御下で制御可能な様式で、解剖学的対象内の流体循環の流量を減少又は増加させるなどの操作を行うように加えられる。ねじ又はねじ付きロッド120は、電気駆動モータ121によって駆動され、その動作は、制御ユニット105によって制御される。有利には、ねじ又はねじ付きロッド120は、両方向に駆動でき、それによって、圧縮力に対する反力又は追加の圧縮力のいずれかを加えることができる。図5に示す装置100は、当然ながら、圧力及び/又は力センサ110、送受信器112、メモリ装置113、時計仕掛け装置114及び開口測定装置118などの別の図に関連して示される機能、センサ及び他の手段も備える。
【0050】
本装置は、有利には、電池などの電源116、及び電源カバー117も備える。本装置は、作動装置カバー115も備える。
【0051】
本発明は、前述の実施形態を参照して上記で説明されており、本発明のいくつかの利点が実証されている。本発明がこれらの実施形態に限定されるだけでなく、本発明の思想及び以下の特許請求の範囲の精神及び範囲内のすべての可能な実施形態を含むことは明らかである。
【0052】
例えば、本発明の装置が、動脈の表面に外圧を加え、それによって動脈の血行力学的応力を変化させ、ひいては拡張性脳底動脈瘤の治療に非常に適している場合でも、本装置は、他の解剖学的対象の流体操作にも適用できる。
【0053】
特に、本発明の実施形態による装置は、血管又は腸などの解剖学的流路を有する解剖学的対象に外圧を加えるために使用でき、その流れは、手術中又は手術後に操作するか、さらには完全に止める必要があることに留意されたい。例えば、本明細書の他の場所で説明されているように、本装置によって脳内の血管、同様に他の解剖学的対象にも外圧を加えることができ、それによって、動脈又は静脈の直径を変化させて血行力学的応力及び血行力学的流れを変化させ、動脈及び静脈系の望ましい血行力学的変化を達成できる。本装置は、例えば、拡張性動脈瘤、動静脈奇形、硬膜動静脈瘻又は紡錘状動脈瘤などの血管形成異常の治療に使用することができ、それは、外圧を加え、それによって血液循環から隔離するか、又は少なくとも、血流及び血流に起因する機械的応力を動脈瘤嚢内などの血管形成異常において低減することによる。
【0054】
従属請求項に記載されている特徴は、特に明記されていない限り、相互に自由に組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6