(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/653 20140101AFI20220509BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220509BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220509BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20220509BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220509BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220509BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6555
H01M10/625
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2020540292
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2019013228
(87)【国際公開番号】W WO2020076067
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122132
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン-キュ・キム
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-258110(JP,A)
【文献】特開2011-249016(JP,A)
【文献】特開2013-020826(JP,A)
【文献】特開2013-038001(JP,A)
【文献】特開2014-146417(JP,A)
【文献】特開2015-125881(JP,A)
【文献】特開2016-131115(JP,A)
【文献】特開2017-126418(JP,A)
【文献】特開2017-218971(JP,A)
【文献】特開2018-003616(JP,A)
【文献】特表2017-523584(JP,A)
【文献】特表2017-524240(JP,A)
【文献】特表2018-503217(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0114862(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0151301(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0263984(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0309545(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254504(US,A1)
【文献】国際公開第2015/050269(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の二次電池と、
内部に空間が形成され、内部空間に前記一つ以上の二次電池を収納するモジュールケースと、
前記モジュールケースの内部空間において前記二次電池と対面するように配置され、前記二次電池から印加される圧力が基準値以下である場合、熱を吸収して保持
することにより前記二次電池を冷却し、前記二次電池から印加される圧力が前記基準値を超過する場合、保持した熱を放出する
ことにより前記二次電池を加熱するように構成された一つ以上の熱圧力交換部材と、を含むことを特徴とする、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記二次電池が複数含まれ、
前記熱圧力交換部材は、前記二次電池同士の間の空間に介在することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記二次電池は、パウチ型二次電池であって、前記モジュールケースの内部空間に立てられて水平方向へ配置され、
前記熱圧力交換部材は、板状で構成され、前記二次電池同士の間の空間に立てられて配置されたことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記熱圧力交換部材は、圧力が印加されないときに熱を吸収して保持し、圧力が印加されるときに保持された熱を放出するセラミック物質を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記熱圧力交換部材は、圧力印加の有無によって熱を吸収及び放出する材質から構成された熱交換部と、前記熱交換部と異なる材質から構成され、前記熱交換部を支持する本体部と、を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記本体部は、立てられたプレート形態で構成されたことを特徴とする、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記熱交換部は、立てられたプレート形態を有し、下端が前記本体部の上端に並んで結合するように構成されたことを特徴とする、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記本体部は、前記熱交換部の外周部に位置し、前記熱交換部を囲むように構成されたことを特徴とする、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
一つ以上の二次電池と、
内部に空間が形成され、内部空間に前記一つ以上の二次電池を収納するモジュールケースと、
前記モジュールケースの内部空間において前記二次電池と対面するように配置され、前記二次電池から印加される圧力が基準値以下である場合、熱を吸収して保持し、前記二次電池から印加される圧力が前記基準値を超過する場合、保持した熱を放出するように構成された一つ以上の熱圧力交換部材と、を含むことを特徴とする、バッテリーモジュールであって、
前記熱圧力交換部材は、圧力印加の有無によって熱を吸収及び放出する材質から構成された熱交換部と、前記熱交換部と異なる材質から構成され、前記熱交換部を支持する本体部と、を備え、
前記熱交換部は、前記本体部の表面の少なくとも一部にコーティングされた形態で構成されたことを特徴とする
、バッテリーモジュール。
【請求項10】
一つ以上の二次電池と、
内部に空間が形成され、内部空間に前記一つ以上の二次電池を収納するモジュールケースと、
前記モジュールケースの内部空間において前記二次電池と対面するように配置され、前記二次電池から印加される圧力が基準値以下である場合、熱を吸収して保持し、前記二次電池から印加される圧力が前記基準値を超過する場合、保持した熱を放出するように構成された一つ以上の熱圧力交換部材と、を含むことを特徴とする、バッテリーモジュールであって、
前記熱圧力交換部材は、圧力印加の有無によって熱を吸収及び放出する材質から構成された熱交換部と、前記熱交換部と異なる材質から構成され、前記熱交換部を支持する本体部と、を備え、
前記熱交換部は、前記本体部よりも前記二次電池側へ突出するように構成されたことを特徴とする
、バッテリーモジュール。
【請求項11】
一つ以上の二次電池と、
内部に空間が形成され、内部空間に前記一つ以上の二次電池を収納するモジュールケースと、
前記モジュールケースの内部空間において前記二次電池と対面するように配置され、前記二次電池から印加される圧力が基準値以下である場合、熱を吸収して保持し、前記二次電池から印加される圧力が前記基準値を超過する場合、保持した熱を放出するように構成された一つ以上の熱圧力交換部材と、を含むことを特徴とする、バッテリーモジュールであって、
前記熱圧力交換部材は、圧力印加の有無によって熱を吸収及び放出する材質から構成された熱交換部と、前記熱交換部と異なる材質から構成され、前記熱交換部を支持する本体部と、を備え、
前記熱交換部は、一つの熱圧力交換部材において厚さが異なる部分が存在するように構成されたことを特徴とする
、バッテリーモジュール。
【請求項12】
前記熱交換部は、少なくとも一部が前記二次電池の中央部分から縁部へ進むほど厚さが薄くなるように構成されたことを特徴とする、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を含むバッテリーに関し、より詳しくは、充電性能及び/または熱制御性能が改善したバッテリーモジュール及びこれを含むバッテリーパック並びに自動車に関する。
【0002】
本出願は、2018年10月12日出願の韓国特許出願第10-2018-0122132号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系二次電池に比べてメモリー効果がほとんど起こらず充放電が自由で、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板が、セパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液とともに封止して収納する外装材、即ち、電池ケースを備える。
【0005】
通常、リチウム二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に収納されている缶型の二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに収納されているパウチ型の二次電池に分けられる。
【0006】
なお、二次電池は、適正温度よりも高いか、または低い温度環境で使われる場合、性能が低下することがある。例えば、二次電池が適正温度よりも低い温度で充電される場合、充電性能が低下し得る。さらに、最近は、バッテリーの充電に所要される時間を短縮するために急速充電に対する要求が増大しつつある。この際、周辺温度が適正温度よりも低いと、このような急速充電性能がまともに発現されにくい。
【0007】
また、二次電池は、充電時に比べて放電時により多い熱が発生し得る。放電時において、二次電池から熱をまともに除去しないと、適正温度よりも高い温度によって二次電池の性能が低下するのみならず、ひどい場合、バッテリーの発火や爆発につながり得る。さらに、最近は、携帯電子機器のような小型装置だけではなく、自動車や電力貯蔵装置(Energy Storage System;ESS)のような中・大型装置にも駆動用やエネルギー貯蔵用として二次電池が広く用いられている。この場合、バッテリーモジュールの容量及び出力を高めるために、バッテリーモジュールには複数の二次電池が含まれて相互電気的に接続する。ここで、複数の二次電池は、一つのモジュールケースの内部に収納され、一つのバッテリーモジュールを構成し得る。このような状況では、複数の二次電池から生成される熱によって、バッテリーモジュールの冷却がより重要となる。また、中・大型バッテリーモジュールの場合、一つのモジュールにおいて、位置によって二次電池同士の熱的不均衡が発生し得る。鹿のみならず、一つの二次電池においても、部位によって熱的不均衡が発生し得る。このように複数の二次電池同士、または一つの二次電池における幾つかの部位の間に熱的不均衡が発生する場合、バッテリーモジュールやパック、または二次電池の性能や安全性が低下し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2011/0151301号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0309545号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0357616号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0254504号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0214103号明細書
【文献】韓国公開特許第10-2011-0070199号公報
【文献】韓国公開特許第10-2015-0050449号公報
【文献】韓国公開特許第10-2015-0114862号公報
【文献】韓国公開特許第10-2017-0005117号公報
【文献】特開2008-258110号公報
【文献】特開2013-20826号公報
【文献】特開2014-146417号公報
【文献】特開2015-125881号公報
【文献】特許第6344245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、詳しくは、効果的な制御によって二次電池の性能が向上できるバッテリーモジュール及びこれを含むバッテリーパック並びに自動車を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記する説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するための本発明によるバッテリーモジュールは、一つ以上の二次電池と、内部に空間が形成され、内部空間に前記一つ以上の二次電池を収納するモジュールケースと、前記モジュールケースの内部空間において前記二次電池と対面するように配置され、前記二次電池から印加される圧力が基準値以下である場合、熱を吸収して保持し、前記二次電池から印加される圧力が前記基準値を超過する場合、保持した熱を放出するように構成された一つ以上の熱圧力交換部材と、を含む。
【0012】
ここで、前記二次電池が複数含まれ、前記熱圧力交換部材は、前記二次電池同士の間の空間に介在し得る。
【0013】
また、前記二次電池は、パウチ型二次電池であって、前記モジュールケースの内部空間に立てられて水平方向へ配置され、前記熱圧力交換部材は、板状で構成され、前記二次電池同士の間の空間に立てられて配置され得る。
【0014】
また、前記熱圧力交換部材は、圧力が印加されないときに熱を吸収して保持し、圧力が印加されるときに保持された熱を放出するセラミック物質を含み得る。
【0015】
また、前記熱圧力交換部材は、圧力印加の有無によって熱を吸収及び放出する材質から構成された熱交換部と、前記熱交換部と異なる材質から構成され、前記熱交換部を支持する本体部と、を備え得る。
【0016】
前記本体部は、立てられたプレート形態で構成され得る。
【0017】
また、前記熱交換部は、立てられたプレート形態を有し、下端が前記本体部の上端に並んで結合するように構成され得る。
【0018】
また、前記本体部は、前記熱交換部の外周部に位置し、前記熱交換部を囲むように構成され得る。
【0019】
また、前記熱交換部は、前記本体部の表面の少なくとも一部にコーティングされた形態で構成され得る。
【0020】
また、前記熱交換部は、前記本体部よりも前記二次電池側へ突出するように構成され得る。
【0021】
また、前記熱交換部は、一つの熱圧力交換部材において厚さが異なる部分が存在するように構成され得る。
【0022】
また、前記熱交換部は、少なくとも一部が前記二次電池の中央部分から縁部へ進むほど厚さが薄くなるように構成され得る。
【0023】
なお、上記の課題を達成するための本発明によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【0024】
また、上記の課題を達成するための本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一面によれば、一つ以上の二次電池が含まれたバッテリーモジュールにおいて熱制御を効果的に行うことができる。
【0026】
特に、二次電池は、充電及び放電時に体積が変化し得るが、本発明は、このような二次電池の体積変化を用いて二次電池から熱を吸収するか、または二次電池へ熱を放出することができる。
【0027】
したがって、本発明のこのような面によれば、二次電池の性能を改善することができる。特に、二次電池の急速充電時において、二次電池へ熱が供給されて充電性能がより向上できる。また、冬季のような低温状況で二次電池の充電性能が低下し得るが、本発明を適用する場合、低温状況においても二次電池の充電性能を一定水準以上に確保することができる。
【0028】
さらに、本発明のこのような面によれば、別のエネルギーが供給されなくても、自ら熱を吸収、保持及び放出するため、熱制御のための別の構成を設けなくてもよく、関連費用も節減することができる。
【0029】
また、本発明の一面によれば、複数の二次電池がバッテリーモジュールに含まれる場合、二次電池同士の熱的不均衡を減少または解消することができる。
【0030】
また、本発明の一面によれば、一つの二次電池において、部位別の熱的不均衡を減少させることができる。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示した分離斜視図である。
【
図2】
図1の一部構成が結合した結合斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示した正断面図である。
【
図4】二次電池による圧力印加によって熱圧力交換部材が熱を放出または吸収する構成を概略的に図式化して示した図である。
【
図5】本発明の他の実施例による熱圧力交換部材の構成を概略的に示した斜視図である。
【
図6】
図5の熱圧力交換部材が複数含まれたバッテリーモジュールの構成を概略的に示した正断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材の構成を概略的に示した斜視図である。
【
図8】二次電池の放電時において、
図7の熱圧力交換部材及び二次電池で発生し得る熱の流れを概略的に図式化して示した図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材の構成を概略的に示した斜視図である。
【
図10】二次電池の放電時において、
図9の熱圧力交換部材及び二次電池で発生し得る熱の流れを概略的に図式化して示した図である。
【
図11】本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材の構成を概略的に示した正断面図である。
【
図12】
図11の熱圧力交換部材において、本体部の構成のみを概略的に示した斜視図である。
【
図13】本発明の他の実施例による熱圧力交換部材の本体部の構成を概略的に示した斜視図である。
【
図14】本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材及び二次電池の構成を概略的に示した正断面図である。
【
図15】本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材の構成を概略的に示した正断面図である。
【
図16】本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材の構成を概略的に示した正断面図である。
【
図17】本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示した正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示した分離斜視図であり、
図2は、
図1の一部構成が結合した結合斜視図である。また、
図3は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示した正断面図である。例えば、
図3は、
図2の線A1-A1’による断面構成を概略的に示した図である。
【0036】
図1~
図3を参照すれば、本発明によるバッテリーモジュールは、二次電池100、モジュールケース200及び熱圧力交換部材300を含み得る。
【0037】
上記二次電池100は、充電及び放電を反復的に行い、電気的エネルギーを保持及び放出できる構成要素であって、電極組立体、電解液及び外装材を備え得る。ここで、電極組立体は、電極と分離膜との組立体であって、一つ以上の正極板及び一つ以上の負極板が分離膜を挟んで配置されて構成され得る。また、電極組立体の各電極板には、電極タブが備えられて電極リードと接続し得る。特に、パウチ型二次電池の場合、一つ以上の電極タブが電極リードと接続でき、電極リードは、パウチ外装材の間に介在して一端が外部に露出することで電極端子として機能できる。外装材は、内部に空間を備えて電極組立体及び電解液を収納し、密閉した形態で構成され得る。外装材は、缶型二次電池の場合、金属材質から構成され、パウチ型二次電池の場合、外部絶縁層、金属層及び内部接着層を備えて構成され得る。このような二次電池の構成については、本願が属する技術分野における当業者にとって自明な事項であるので、より詳細な説明を省略する。そして、本発明によるバッテリーモジュールには、本願の出願時点における公知の多様な二次電池を採用することができる。
【0038】
上記二次電池100は、バッテリーモジュールに一つ以上含まれ得る。特に、バッテリーモジュールの出力及び/または容量を増大させるために、バッテリーモジュールには複数の二次電池100が備えられ得る。そして、このような複数の二次電池100同士は、相互電気的に直列及び/または並列接続し得る。
【0039】
上記モジュールケース200は、内部に空間が形成されており、このような内部空間に一つ以上の二次電池100を収納し得る。上記モジュールケース200は、一部の構成要素(本体201)が二次電池100を収納するために、少なくとも一側が開放されるように構成され得る。例えば、モジュールケース200の本体201は、ほぼ直四角形の管状に形成され、前方及び/または後方が開放されて構成され得る。そして、モジュールケース200は、このような本体201の開放部に結合し、モジュールケース200の内部空間を密閉するカバー202をさらに備え得る。
【0040】
一方、上記モジュールケース200は、プラスチックや金属などの多様な材質から構成され得る。但し、本発明は、このようなモジュールケース200の具体的な材質や形態などによって限定されず、本発明の出願時点における公知の多様なモジュールケース200が本発明に採用され得る。
【0041】
上記熱圧力交換部材300は、一つ以上が含まれ、モジュールケース200の内部空間で二次電池100と対面するように配置され得る。即ち、上記熱圧力交換部材300は、少なくとも一表面が二次電池100の表面と対向するように配置され得る。例えば、上記熱圧力交換部材300は、二つの広い表面を有する板状、またはシート状で構成され得る。そして、二次電池100、特にパウチ型二次電池は、ほぼ板状または直方体の形状で構成され得る。この場合、熱圧力交換部材300は、二次電池100と並んで配置され、熱圧力交換部材300の一つまたは二つの表面が、一側または両側に位置した二次電池100の広い表面(収納部の表面)に対面するように構成され得る。
【0042】
上記熱圧力交換部材300は、二次電池100による圧力印加の有無または圧力印加の程度によって熱を吸収または放出し得る。これについては、前述した
図3と共に
図4をさらに参照してより具体的に説明する。
【0043】
図4は、二次電池100による圧力印加によって熱圧力交換部材300が熱を放出または吸収する構成を概略的に図式化して示した図である。但し、
図3及び
図4において、矢印として示す熱の移動方向や二次電池の膨張方向については、簡単に図示するために、一部対象のみを示す。
【0044】
先ず、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100から印加される圧力が基準値以下である場合、周辺の熱を吸収して保持するように構成され得る。例えば、
図3に示したように、二次電池100から熱圧力交換部材300に圧力が印加されない場合、二次電池100側で生成された熱は、熱圧力交換部材300に伝達されて吸収され得る(点線の矢印)。そして、このように吸収された熱は、熱圧力交換部材300の内部に保持され得る。
【0045】
次に、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100から印加される圧力が基準値を超過する場合、予め保持していた熱を周辺へ放出するように構成され得る。例えば、
図4に示したように、二次電池100から熱圧力交換部材300に圧力が印加される場合(実線の矢印)、熱圧力交換部材300の内部に保持されていた熱が二次電池100側へ供給され得る(点線の矢印)。
【0046】
上記熱圧力交換部材300は、印加された圧力が基準値を超えるかによって熱を吸収または放出するように構成され得る。ここで、基準値は、熱圧力交換部材300を構成する材料の種類や熱圧力交換部材300の形態、熱圧力交換部材300と二次電池100との距離などによって多様に設計され得る。例えば、上記基準値は0であり得る。この場合、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100から圧力が印加されないときには、周辺の熱を吸収して保持し、二次電池100から圧力が印加されるときには、周辺へ熱を放出し得る。または、上記基準値は、0よりも高い値、例えば、10MPaに設定され得る。この場合、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100から印加される圧力が 10MPa以下である場合には、周辺の熱を吸収して保持し、二次電池100から印加される圧力が10MPaを超過する場合、保持された熱を周辺へ放出し得る。
【0047】
さらに、上記熱圧力交換部材300は、少なくとも一表面が二次電池100の表面と対向するように構成され得る。したがって、二次電池100から如何なる圧力も印加されないか、または基準値以下の圧力のみが印加される状態では、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100から熱を吸収して二次電池100を冷却することができる。そして、以後、二次電池100から圧力が印加されるか、または基準値を超える圧力が印加される場合、二次電池100に熱を供給して二次電池100を加熱することができる。
【0048】
特に、本発明において、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100の充電及び放電状態によって熱を吸収するか、または放出するように構成され得る。二次電池100は、充電時に体積が膨張し、放電時に体積が減少し得る。例えば、
図3に示した構成は、二次電池100が放電されるときの状況を示す図であり、
図4に示した構成は、二次電池100が充電されるときの状況を示す図である。
【0049】
本発明のバッテリーモジュールは、このような二次電池100の性質を考慮し、二次電池100の放電時には二次電池100から熱圧力交換部材300に圧力が印加されず、二次電池100の充電時には、二次電池100から熱圧力交換部材300に圧力が印加されるように構成され得る。例えば、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、二次電池100の放電時には、二次電池100と熱圧力交換部材300とが相互接触せず所定の距離で離隔するように構成され得る。そして、本発明のこのような実施例によるバッテリーモジュールは、二次電池100の充電時には、二次電池100と熱圧力交換部材300とが相互密着接触し、二次電池100の膨張による圧力が熱圧力交換部材300に印加されるように構成され得る。
【0050】
または、本発明のバッテリーモジュールは、二次電池100の放電時には、二次電池100から熱圧力交換部材300に基準値以下の圧力が印加され、二次電池100の充電時には、二次電池100から熱圧力交換部材300に基準値超過の圧力が印加されるように構成され得る。例えば、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、二次電池100の放電時にも二次電池100と熱圧力交換部材300とが相互接触し、予め設定された基準値以下の圧力が二次電池100から熱圧力交換部材300に印加されるように構成され得る。ここで、基準値とは、熱圧力交換部材300が熱を放出する温度の最小値であるといえる。そして、このような実施例によるバッテリーモジュールは、二次電池100の充電時、二次電池100が膨張して熱圧力交換部材300に印加される圧力が基準値を超過するように構成され得る。
【0051】
このような構成において、二次電池100の放電時、二次電池100から熱圧力交換部材300に印加される圧力が基準値以下になるようにし、二次電池100の充電時、二次電池100から熱圧力交換部材300に印加される圧力が基準値超過になるようにする構成は、二次電池100の種類及び形態、熱圧力交換部材300の材質及び形態などを適切に設計ないし選択することで具現できる。
【0052】
上記のような本発明の実施構成において、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100の放電時には、二次電池100側の熱を吸収して内部に保持し得る。そして、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100の充電時には、保持した熱を二次電池100側へ供給し得る。
【0053】
特に、リチウム二次電池100の場合、充電時に内部で行われる反応は吸熱反応であり得、放電時に内部で行われる反応は発熱反応であり得る。そして、リチウム二次電池100は、前述したように、充電時に体積が膨張し、放電時に体積が減少し得る。したがって、本発明の一面によれば、二次電池100が充電中であるときには、体積が膨脹して熱圧力交換部材300を加圧し得る(
図4の実線の矢印)。そして、このような加圧によって、熱圧力交換部材300は、保持した熱を二次電池100に供給することができる(
図4の点線の矢印)。そうすれば、熱を受けた二次電池100は、吸熱反応である充電過程がさらに活性化し、充電性能がより向上する。特に、このような効果を考えると、本発明は、バッテリーモジュールの急速充電の場合、より有利に適用されるといえる。
【0054】
また、二次電池100が放電中であるときには、体積が減少しながら熱圧力交換部材300を加圧する圧力が解除されるか、または基準値以下に低下し得る。したがって、熱圧力交換部材300は、熱を吸収できる状態に転換可能である。ここで、二次電池100は、放電時に発熱反応が起こるため、二次電池100の内部で発生した熱は、熱圧力交換部材300に伝達されて吸収できる(
図3の点線の矢印)。したがって、これにより二次電池100の放電性能はさらに向上できる。
【0055】
さらに、バッテリーモジュールの内部には、二次電池100のみならず、バッテリーモジュールの内部または外部に存在する他の構成から生成された熱が存在し得る。例えば、バッテリーモジュールの内部または外部に位置するバッテリー管理装置(BMS;Battery Management System)、バスバー及び各種IC(Integrated Circuit)チップなどで熱が発生し得る。または、夏季のように外部の気温が高い場合、大気や地熱などからの熱によってバッテリーモジュール内部の温度が高くなり得る。特に、バッテリーモジュールが自動車に装着される場合、モーターやエンジンなど、車両内部の他の構成要素から供給される熱、太陽光による車体熱及び道路の熱などによってバッテリーモジュールの内部の温度が上昇し得る。そして、このようにバッテリーモジュールの内部の温度が適正水準よりも高くなる場合、二次電池100の性能は低下してしまい、ひどい場合、二次電池100などで発火などが発生する問題が惹起され得る。しかし、本発明によるバッテリーモジュールの場合、熱圧力交換部材300に圧力が印加されないか、または印加されても一定水準以下の圧力のみが印加されれば、熱圧力交換部材300は、バッテリーモジュールの内部の熱を吸収してバッテリーモジュールの内部の温度を低下させることができる。したがって、本発明のこのような面によれば、二次電池100の性能がより安定的に確保され、バッテリーモジュールの安全性が向上できる。
【0056】
特に、バッテリーモジュールは、充電時よりは放電時に熱を吸収することが望ましい場合が多い。代表的に、電気自動車のような車両に搭載されたバッテリーの場合、放電時には主に道路で走行中である場合が多い。この際、二次電池100による発熱、車両に備えられたモーターや他の電子装備による発熱、外部の気温、地熱などによってバッテリーモジュールの内部の温度は高くなりやすい。本発明の一面によれば、熱圧力交換部材300がバッテリーモジュールの放電時にバッテリーモジュールの内部の熱を吸収するので、バッテリーモジュールの性能及び冷却効率がより向上できる。一方、充電時には、車両の走行が終了している場合が多い。この時には、バッテリーモジュールの内部へ熱を供給するソースが減るため、放電時とは異なり、熱圧力交換部材300が熱を発散して二次電池100に熱が供給できる。したがって、この場合、二次電池100の充電性能がさらに向上する。
【0057】
上記熱圧力交換部材300は、圧力が印加されないとき、熱を吸収して保持し、圧力が印加されるとき、保持した熱を放出する物質を含み得る。特に、上記熱圧力交換部材300は、このような特性を有するラミック物質を含み得る。
【0058】
代表的に、上記熱圧力交換部材300は、圧力によって熱を吸収、保持及び放出する蓄熱材料として五酸化三チタン(trititanium-pentoxide,Ti3O5)を含み得る。特に、上記熱圧力交換部材300は、ラムダ五酸化三チタン(Lambda-trititanium-pentoxide,λ-Ti3O5)を蓄熱材料として含み得る。このようなラムダ五酸化三チタンは、約230kJ/Lの熱エネルギーを吸収及び放出できる。特に、ラムダ五酸化三チタンは、約60MPaの圧力を受ける場合、ベータ五酸化三チタン(Beta-trititanium-pentoxide,β-Ti3O5)に相転移しながら熱エネルギーを放出することができる。そして、ベータ五酸化三チタンは、圧力が一定水準以下に解除される場合、ラムダ五酸化三チタンにさらに相転移しながら熱エネルギーを吸収することで、追って相転移時において放出可能な熱エネルギーを保持することができる。
【0059】
上記熱圧力交換部材300は、バッテリーモジュールに一つ以上含まれ得る。特に、上記熱圧力交換部材300は、
図1~
図4に示したように、モジュールケース200の内部に複数個が含まれ得る。
【0060】
望ましくは、上記熱圧力交換部材300は、二次電池100の間に介在し得る。即ち、二次電池100は、バッテリーモジュールに複数個が含まれ得、この場合、熱圧力交換部材300は、二次電池100同士の間の空間に介在し得る。
【0061】
例えば、
図1~
図4に示したように、複数の二次電池100が水平方向(図のx軸方向)へ積層されるように配置される場合、熱圧力交換部材300は、二次電池100同士の間に配置され得る。特に、3個以上の二次電池100が積層されて配列される場合、熱圧力交換部材300は二つ以上含まれ、各二次電池100の間ごとに熱圧力交換部材300が介在するように構成され得る。例えば、3個以上の二次電池100が一方向へ積層された場合、各二次電池100の間ごとに一つの熱圧力交換部材300が挿入介在し得る。
【0062】
このように、熱圧力交換部材300が二次電池100同士の間の空間に介在する場合、熱圧力交換部材300は、両側に位置する二次電池100から各々圧力が印加され得る。したがって、二次電池100の体積膨張及び減少による圧力印加及び解除が熱圧力交換部材300へより明確に伝達できる。したがって、二次電池100の充放電時、熱圧力交換部材300の熱放出及び熱吸収が確実に起こる。このため、本発明のこのような面によれば、熱圧力交換部材300によるバッテリーモジュールの充電性能及び/または冷却性能がより効果的に発現できる。
【0063】
一方、上記二次電池100は、図示したように、パウチ型二次電池であることが望ましい。このようなパウチ型二次電池の場合、缶型二次電池に比べて、充放電時における体積変化の程度が大きい。したがって、二次電池100の加圧有無による熱圧力交換部材300の熱吸収及び放出がより効果的となる。
【0064】
特に、上記二次電池100は、モジュールケース200の内部空間で立てられて水平方向へ配置され得る。例えば、
図1~
図4に示したように、本発明によるバッテリーモジュールにおいて、複数のパウチ型二次電池が各々上下方向(図面のz軸方向)へ立てられて水平方向へ配列され得る。ここで、上下方向とは、バッテリーモジュールのモジュールケース200を地面に置いたとき、モジュールケース200の底面または地面に対して垂直である方向を意味する。一方、本明細書において、水平方向とは、モジュールケース200の底面または地面に平行な方向を意味する。
【0065】
このように、パウチ型二次電池が立てられた状態で、収納部110の広い外側表面は、各々左右方向(図面のx軸方向)に向けるようにし、上部、下部、前方及び後方には、封止部120が位置するように立てられて構成され得る。そして、このように立てられた形態のパウチ型二次電池は、広い面が相互対面するように左右方向へ平行に配列され得る。
【0066】
このようにパウチ型二次電池が立てられた状態で水平方向へ配列された場合、熱圧力交換部材300は、二次電池100同士の間の空間に立てられて配置され得る。特に、熱圧力交換部材300は、板状で構成され得る。この場合、熱圧力交換部材300の広い両表面は左右側に位置し、熱圧力交換部材300の左右側に配置された二次電池100の収納部110の広い表面と対面し得る。
【0067】
本発明のこのような構成によれば、パウチ型二次電池の体積が膨張または収縮するとき、体積変化が熱圧力交換部材300に確実に伝達されるようにすることができる。即ち、パウチ型二次電池は、膨張時、収納部110が水平外側方向(図面のx軸方向)へ拡張する場合が多く、膨張程度も収納部が最も大きいといえる。したがって、板状の熱圧力交換部材300が立てられてパウチ型二次電池同士の間に介在すれば、二次電池100の充放電時、二次電池100による体積変化の効果を最も大きく受けることができる。したがって、熱圧力交換部材300による熱吸収及び放出効果がより増大できる。さらに、熱圧力交換部材300は板状で構成されることで、二次電池100の積層方向(図面のx軸方向)へバッテリーモジュールの体積が無駄に増加することを防止することができる。
【0068】
また、図示したように、複数の熱圧力交換部材300が複数の二次電池100の間に介在する場合、パウチ型二次電池及び熱圧力交換部材300の積層方向は水平方向であり得る。本発明のこのような構成によれば、複数の熱圧力交換部材300の各々に最大限に均一な圧力が印加されるようにすることができる。したがって、各々の熱圧力交換部材300による熱吸収及び放出がバッテリーモジュール内の全体の二次電池100に対して最大限均一に行われるようにすることができる。
【0069】
一方、上記熱圧力交換部材300は、複数の二次電池100が積層されるとき、最外郭に積層された二次電池100の外側に位置し得る。例えば、
図3及び
図4を参照すれば、最右側に積層された二次電池100の右側に熱圧力交換部材300が積層され得る。また、最左側に積層された二次電池100の左側にも熱圧力交換部材300が積層され得る。本発明のこのような構成によれば、二次電池100の積層体において最外郭に位置した二次電池100も、膨張による熱の吸収及び放出が他の二次電池100と均等に行われるようにすることができる。
【0070】
上記熱圧力交換部材300は、全体的に同一の材質から構成され得る。例えば、上記熱圧力交換部材300は、全体的にセラミック材質のみから構成され得る。特に、上記熱圧力交換部材300は、五酸化三チタン(Ti3O5)のみからなり得る。但し、本発明は必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、熱圧力交換部材300は、他の多様な形態で構成され得る。
【0071】
図5は、本発明の他の実施例による熱圧力交換部材300の構成を概略的に示した斜視図である。また、
図6は、
図5の熱圧力交換部材300が複数含まれたバッテリーモジュールの構成を概略的に示す正断面図である。
【0072】
図5及び
図6を参照すれば、上記熱圧力交換部材300は、熱交換部310及び本体部320を備え得る。
【0073】
上記熱交換部310は、圧力印加の有無によって熱を吸収及び放出する材質から構成され得る。即ち、上記熱交換部310は、周辺(例えば、二次電池100)から熱を吸収して保持しており、二次電池100の膨張などによって加圧される場合、周辺(二次電池100)へ熱を放出する材質から構成され得る。例えば、上記熱交換部310は、五酸化三チタンなどの蓄熱セラミック材質から構成され得る。さらに、上記熱交換部310は、熱圧力交換部材300において二次電池100の充放電による体積変化が容易に伝達される位置に備えられ得る。
【0074】
上記本体部320は、熱交換部310を支持するように構成され得る。特に、上記本体部320は、熱交換部310の機械的剛性を補完する一方、モジュールケース200の内部で熱交換部310が適切な位置に安定的に位置するように構成され得る。特に、上記本体部320は、熱交換部310が二次電池100の体積変化が最もよく行われる位置に位置するように構成され得る。
【0075】
上記本体部320は、熱交換部310とは異なる材質から構成され得る。特に、上記本体部320は、熱交換部310とは異なり、二次電池100の体積変化による蓄熱性能を保持しないように構成され得る。一方、上記本体部320は、強度や硬度などに優れており、成形性に優れた材質から構成され得る。例えば、上記本体部320は、機械的剛性の確保に有利な金属またはプラスチック材質から構成され得る。
【0076】
さらに、上記本体部320は、フォーム材質から構成され得る。例えば、上記本体部320は、ウレタンフォーム材質から構成され得る。このようなフォーム材質は、弾性を有する。したがって、フォーム材質は、圧力が印加されると縮小変形でき、圧力印加が解除されると元の形態に容易に戻ることができる。そのため、本発明のこのような実施例によれば、二次電池100の膨張によって二次電池100の加圧力が熱交換部310へ伝達されるとき、圧力伝達効果が本体部320によって阻止されることを防止または減少させることができる。
【0077】
上記のように本体部320が熱圧力交換部材300に含まれる構成において、本体部320は、立てられたプレートの形態で構成され得る。即ち、上記本体部320は、板状から構成されるが、横たえられておらず、広い二つの表面が水平方向、例えば、左右方向(図面のx軸方向)に向けるように立てられた形態で構成され得る。
【0078】
特に、このような実施例の場合、パウチ型二次電池が立てられた形態で水平方向へ積層されたセルアセンブリーの構成に一層有用である。例えば、
図6に示したように、パウチ型二次電池が立てられた形態で左右方向へ配置される場合、板状の本体部320が各々のパウチ型二次電池の間の空間及び/またはパウチ型二次電池の積層体の外側に立てられて配置され得る。
【0079】
このような構成において、上記熱交換部310は、立てられたプレート形態を有し、下端が本体部320の上端に並んで結合した形態で構成され得る。例えば、熱圧力交換部材300は、ポリウレタン材質の本体部プレート及び五酸化三チタンのようなセラミック材質の熱交換部プレートを備え得る。この際、熱交換部プレートの下端エッジは、本体部プレートの上端エッジに結合固定され得る。さらに、上部に位置した熱交換部310と下部に位置した本体部320とは、相互エッジが当接して平行に結合し、一体のプレートを形成するように構成され得る。
【0080】
本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュールの内部において、二次電池100と熱を交換する構成(熱交換部310)及びこのような熱交換構成を支持する構成(本体部320)の占有空間を大きくならないようにすることができる。したがって、このような熱圧力交換構成をバッテリーモジュールの内部に導入するとしても、バッテリーモジュールの体積が大幅増大することを防止することができる。
【0081】
また、本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュールの内部における熱の不均衡を解消するのに有利である。例えば、
図6に示した構成のように、バッテリーモジュールの下部には、Cで示したように冷却構成が存在し得る。ここで、冷却構成は、中空を有するパイプ形態で形成され、中空内部に空気や水のような冷却用流体を流し得る。または、バッテリーモジュールの下部に備えられた冷却構成は、パイプのような別途の部材なく、空気などが直接接触する形態で構成してもよい。特に、自動車に搭載されるバッテリーモジュールの場合、車体の下部に搭載されてバッテリーモジュールの下部が空気などによって自然冷却されるようにしてもよい。
【0082】
このように、バッテリーモジュールの下部が冷却されるように構成された場合、冷却構成に隣接したバッテリーモジュールの下部に比べてバッテリーモジュールの上部の温度が相対的に高く形成され得る。この時には、多くの二次電池100の間に熱的不均衡が発生し得ることは勿論、一つの二次電池100においても部位ごとに熱的不均衡が発生し得る。即ち、二次電池100の下部側よりも上部側の温度が相対的に高く形成され得る。そして、このような熱的不均衡は、二次電池100またはバッテリーモジュールの性能低下を起こし得る。また、バッテリーモジュールの特定部位の温度が高すぎると、火事発生の可能性もある。
【0083】
しかし、本願発明の上記構成によれば、バッテリーモジュールにおいて特定部位の温度が不均一な状態で高くなることを防止することができる。例えば、上記
図6に示した構成のように、バッテリーモジュールの上部に熱交換部310が位置するように構成された熱交換部材によって、バッテリーモジュールの上部側は効果的に冷却される。即ち、バッテリーモジュールの上部側は、冷却パイプのような冷却構成との距離が相対的に遠く位置しているが、熱交換部材によって熱がさらに吸収される。したがって、温度が高い二次電池100の上部側への冷却がより一層行われる。
【0084】
さらに、本発明の一実施例による熱交換部310の場合、二次電池100の放電時、二次電池100の熱を吸収できる。したがって、自動車にバッテリーモジュールが装着された場合、二次電池100の放電が主に起こる自動車の走行中において、相対的に冷却性能が弱い二次電池100の上部側は、熱交換部310によって冷却性能が補完される。
【0085】
図7は、本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材300の構成を概略的に示した斜視図である。また、
図8は、二次電池100の放電時において、
図7の熱圧力交換部材300及び二次電池100で発生する熱の流れを概略的に図式化して示した図である。参照までに、
図8においては、説明の便宜のために一つの二次電池100及び一つの熱圧力交換部材300のみを図示する。また、
図8における矢印は、熱の流れを示す。このような実施例については、前述した実施例との差異点を中心に説明し、前述の実施例についての説明が共通的に適用可能な部分については、詳細な説明を省略する。
【0086】
先ず、
図7を参照すれば、上記熱圧力交換部材300は、熱交換部310及び本体部320を備え、熱圧力交換部材300の本体部320は、熱伝導パーツ321と熱遮断パーツ322を備え得る。
【0087】
ここで、熱伝導パーツ321は、熱伝導性材質から構成された部分であって、自ら熱を伝達するように構成され得る。例えば、上記熱伝導パーツ321は、金属材質、例えば、アルミニウムや銅、鉄のような材質から構成され得る。
【0088】
そして、熱遮断パーツ322は、実質的に熱伝導性がないか、または熱伝導性が熱伝導パーツ321に比べて相対的に低い材質から構成され得る。例えば、上記熱遮断パーツ322は、熱伝導率が常温基準で0.1W/mK以下である材質が用いられ得る。特に、上記熱遮断パーツ322は、熱伝導率が常温基準で0.05W/mK以下である材質からなり得る。より具体的な例として、上記熱遮断パーツ322は、ポリエチレンフォーム(polyethylene foam)、XPSフォーム(Extruded Polystyrene Sheet foam)、EPSフォーム(Expanded Polystyrene foam)、ポリウレタンフォーム(Polyurethane Foam)、水性軟質フォーム及びウレアフォーム(Urea Foam)の少なくとも一つ以上の材質から構成されるか、またはこれらの材質の少なくとも一つ以上を含み得る。
【0089】
このような構成において、熱交換部310及び熱伝導パーツ321は、熱遮断パーツ322により相互離隔して構成され得る。即ち、熱交換部310及び熱伝導パーツ321は、全体部分において相互直接接触せず、各々熱遮断パーツ322のみに接触するように構成され得る。例えば、
図7の構成を参照すれば、熱圧力交換部材300において、熱交換部310、熱遮断パーツ322及び熱伝導パーツ321は全て板状で構成され、熱交換部310、熱遮断パーツ322及び熱伝導パーツ321が一方向へ順次位置するように構成され得る。そして、このような熱交換部310、熱遮断パーツ322及び熱伝導パーツ321は、一つのプレートを形成するように構成され得る。一例で、図示したように、熱交換部310は上部に位置し、本体部320は下部に位置し、本体部320において熱遮断パーツ322は上部に位置し、熱伝導パーツ321は下部に位置するように構成され得る。このような構成の場合、熱交換部310及び熱伝導パーツ321は、どの部分においても直接接触することなく相互離隔している。
【0090】
本発明のこのような構成によれば、熱交換部310と熱伝導パーツ321との間に熱交換が行われない。特に、この場合、熱交換部310に吸収された熱は、熱伝導パーツ321を介して外部へ排出されない。因みに、
図8を参照してより具体的に説明すれば、先ず、二次電池100の下部側の熱は、隣接した熱圧力交換部材300の熱伝導パーツ321に吸収され得る。そして、このように熱伝導パーツ321に吸収された熱は、
図8において矢印d1で示したように、熱伝導パーツ321の内部から下方へ伝導され、熱圧力交換部材300の外部(下部)へ排出され得る。この際、熱伝導パーツ321に吸収された熱は、熱遮断パーツ322によって、熱交換部310には伝達されない。
【0091】
一方、二次電池100の上部側の熱は、隣接した熱圧力交換部材300の熱交換部310に吸収され得る。そして、熱交換部310に吸収された熱は、熱遮断パーツ322によって熱伝導パーツ321には伝達されず、
図8において矢印d2で示されたように、内部に保持され得る。但し、図面においては、説明の便宜のために、矢印d2で示されたように、熱交換部310の内部で熱が循環するように示されているが、これは、熱が熱遮断パーツ322によって熱伝逹パーツに伝達されないことを示すだけで、必ずしも熱が循環することを意味するものではない。
【0092】
そして、このように熱交換部310に保持された熱は、追って、圧力を受ける場合、例えば、二次電池100の充電時に二次電池100側へ熱を供給するのに用いられ得る。即ち、本発明の上記構成によれば、二次電池100から熱交換部310に吸収された熱は、熱伝導パーツ321を介して外部へ排出されず、熱交換部310に保持可能である。したがって、このような構成による場合、エネルギー効率が増大し、熱圧力交換部材300の性能をより安定的に確保することができる。特に、本発明の上記構成によれば、熱圧力交換部材300の一部は、熱をバッテリーモジュールの外部の冷却構成へ排出されるようにし、熱圧力交換部材300の他の一部は、熱を保持できる。
【0093】
一方、本明細書において、特定対象の上部側及び下部側という表現は、特定対象を上下方向に分けたとき、上部と下部を指す用語である。したがって、特に説明しない限り、特定対象の上部側及び下部側とは、特定対象の内部において各位置を区分するためのものであるだけで、特定対象の外部にある位置を区分するためのものではない。例えば、二次電池100の下部側とは、二次電池100よりも下の位置を意味することはなく、二次電池100を上部と下部に分けたとき、下部に位置した部分を意味する。
【0094】
図9は、本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材300の構成を概略的に示す斜視図である。また、
図10は、二次電池100の放電時、
図9の熱圧力交換部材300及び二次電池100で発生し得る熱の流れを概略的に図式化して示した図である。
図10においても、説明の便宜のために、一つの二次電池100及び一つの熱圧力交換部材300のみを図示する。また、本実施例についても、前述の実施例との相違点を中心に説明する。
【0095】
先ず、
図9を参照すれば、上記熱圧力交換部材300は、熱交換部310及び本体部320を備え、本体部320は、熱交換部310の外周部に位置して熱交換部310の縁部を囲むように構成され得る。例えば、熱交換部310が四角のプレート形態で構成された場合、本体部320は四角のリング形態に形成され、熱交換部310の四つのエッジを囲むように構成され得る。特に、このような構成において、上記本体部320は、上記熱交換部310の両表面、即ち、二次電池100と対面する表面を除いたエッジ部分の全体に対して外側を囲み得る。この場合、熱交換部310は、エッジ部分を除いた中央部分によって二次電池100と直接対面し得る。即ち、上記のような構成によれば、熱交換部310は、二次電池100の中央部分で二次電池100の収納部に対面し、本体部320は、二次電池100の縁部における封止部に対面し得る。
【0096】
特に、このような構成において、本体部320は、熱伝導率の低い材質から構成され得る。例えば、上記本体部320は、熱伝導率が常温基準で0.1W/mK以下である材質が用いられ得る。特に、上記本体部320は、熱伝導率が常温基準で0.05W/mK以下である材質からなり得る。より具体的な例として、上記本体部320は、ポリエチレンフォーム、XPSフォーム、EPSフォーム、ポリウレタンフォーム、水性軟質フォーム及びウレアフォームの少なくとも一つ以上の材質から構成されるか、またはこれらの材質の少なくとも一つ以上を含み得る。
【0097】
本発明のこのような構成によれば、熱交換部310と二次電池100とは直接対面しているため、二次電池100による加圧力がない状態では、二次電池100から熱が直接熱交換部310に吸収できる。また、二次電池100の膨張時、膨張力が熱交換部310に直接伝達される。そして、二次電池100が膨張した場合、熱交換部310の熱は、二次電池100に直接伝達される。例えば、
図10の構成において、熱はx軸方向へ直接伝達され得る。
【0098】
一方、熱交換部310に吸収された熱は、熱交換部310の内部のみに保持されるだけで、本体部320によって熱圧力交換部材300の外側、特に、熱圧力交換部材300のエッジ部分へは排出されない。例えば、
図10を参照すれば、二次電池100の放電時、二次電池100から熱が排出され得るが、このような熱は、熱交換部310に吸収されてその内部のみに保持され、熱交換部310の上部や下部側へは排出されにくい(矢印d3)。そして、このように熱交換部310の内部に保持された熱は、圧力が印加されて熱を排出する場合、二次電池100が位置した左右方向、即ち、二次電池100の積層方向(図のx軸方向)へ主に排出され、二次電池100の積層方向に垂直である方向(図面のy軸方向及びz軸方向)へは排出されにくい。言い換えれば、熱交換部310を基準にして、上部、下部、前部及び後部には、熱伝導性の低い材質の本体部320が存在するため、熱交換部310の熱は、主に左右方向のみへ排出される。そのため、本発明のこのような構成によれば、熱交換部310による二次電池100への熱排出性能が向上し、温度上昇による二次電池100の充電性能がさらに向上できる。さらに、この場合、熱交換部310の熱保持性能が向上し、エネルギー効率面においても優れた効果を奏する。
【0099】
一方、前述した幾つかの実施例による熱圧力交換部材300の場合、熱交換部310が板状で構成された形態を中心に説明したが、本発明は、必ずしもこのような実施形態に限定されるものではない。また、本体部320も、前述した実施例と異なる多様な形態で構成され得る。
【0100】
図11は、本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材300の構成を概略的に示した正断面図であり、
図12は、
図11の熱圧力交換部材300において本体部320の構成のみを概略的に示した斜視図である。本実施例においても、前述した実施例との相違点を中心に説明する。
【0101】
図11及び
図12を参照すれば、熱交換部310は、本体部320の表面の少なくとも一部にコーティングされる形態で構成され得る。例えば、本体部320はほぼ板状で構成され、二次電池100の間、または二次電池100の外側に立てられて構成され、熱交換部310は、このような本体部320の少なくとも一部の表面にコーティングされて構成され得る。
【0102】
本発明のこのような構成によれば、熱圧力交換部材300の機械的強度を安定的に確保することができる。特に、熱を吸収、保持及び放出する性能が重要な熱交換部310と異なり、本体部320は、熱交換部310に比べて機械的剛性に優れた材質を採用できる。例えば、本体部320は、ポリマーや金属のような材質から構成され得る。したがって、上記構成によれば、機械的剛性に優れた本体部320が熱圧力交換部材300の基本的な骨格を構成し、圧力によって熱を交換する物質がこのような本体部320の表面にコーティングされるようにすることで、熱圧力交換部材300の機械的強度を安定的に確保することができる。
【0103】
特に、本体部320には、少なくとも一部に凹部が形成され得る。そして、このような本体部320の凹部に熱交換部310が満たされた形態で熱交換部310が本体部320の表面にコーティングされ得る。例えば、本体部320は、
図12においてG1で示されたように、中央部分に内側水平方向へ凹んだ形態の凹部が形成され得る。そして、このような本体部320の凹部G1に熱交換部310が満たされる形態で熱圧力交換部材300が構成され得る。本発明のこのような構成によれば、熱交換部310のコーティング工程を容易に行うことができ、熱交換部310と本体部320との結合力をより安定的に確保することができる。また、熱交換部310が凹部G1によって、前、後、上、下の方向が遮断されるため、これらの方向への熱放出が阻止され、熱交換部310による熱保持性能をより安定的に確保することができる。
【0104】
図13は、本発明の他の実施例による熱圧力交換部材300の本体部320の構成を概略的に示した斜視図である。
図13の構成は、
図12に示した本体部320の変形した形態である。本実施例においても、前述した実施例との相違点を中心に説明する。
【0105】
図13を参照すれば、熱圧力交換部材300の本体部320は、ほぼリング状に形成され、リングの中央部分はメッシュ形態に形成され得る。例えば、本体部320は、四角のリング状に形成された縁パーツR1と、このような縁パーツR1の中空に網状のメッシュパーツM1を備え得る。このような本体部320の構成において、熱交換部310は、メッシュパーツM1に満たされるように構成され得る。
【0106】
本発明のこのような構成によれば、メッシュパーツM1によって縁パーツR1の機械的剛性が補完される。また、本発明のこのような構成によれば、メッシュパーツM1によって熱交換部310と本体部320との結合力が向上できる。特に、熱交換部310がセラミック材質である場合、製造過程でセラミック材質が本体部320のメッシュパーツM1に結着しやすい。また、本発明のこのような構成によれば、メッシュパーツM1の左右水平方向(図面のx軸方向)の貫通部分によって、熱交換部310が水平方向へ完全に満たされる。したがって、熱交換部310による熱の吸収、保持及び放出性能が安定的に確保される。
【0107】
図14は、本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材300及び二次電池100の構成を概略的に示す正断面図である。以下においても。前述した実施例との相違点を中心に説明する。
【0108】
図14を参照すれば、熱圧力交換部材300において、熱交換部310は、本体部320よりも二次電池100側へ突出するように構成され得る。即ち、図面において熱圧力交換部材300の左側部分を基準にしてよく見れば、熱交換部310は、本体部320に比べて、二次電池100が位置する方向、即ち、左側方向へe1で示された分さらに突出するように構成され得る。したがって、熱交換部310は、本体部320よりも二次電池100により近く構成され得る。また、熱圧力交換部材300の右側にも二次電池100が位置し得るが、このために、熱交換部310は、右側方向へも本体部320よりも突出するように構成され得る。
【0109】
本発明のこのような構成によれば、熱交換部310による熱の吸収、保持及び/または放出性能を向上させることができる。例えば、二次電池100が熱を吸収するとき、熱交換部310が本体部320よりも二次電池100に近く構成されるので、二次電池100の熱は、本体部320よりも熱交換部310に伝達されやすい。また、熱交換部310の物質が熱圧力交換部材300に十分な量で存在するようにすることで、熱交換部310による熱保持性能を一定水準以上に確保することができる。また、このような構成によれば、本体部320よりも熱交換部310が二次電池100側へ突出した分だけ、二次電池100の膨張時、本体部320の干渉を受けずに二次電池100の膨張力が本体部320に円滑に伝達される。したがって、加圧による熱交換部310の熱放出性能を確実に保障することができる。また、熱交換部310が二次電池100に近く位置するので、熱放出時において、さらに二次電池100側へ熱が伝達されやすい。
【0110】
図15及び
図16は、本発明のさらに他の実施例による熱圧力交換部材300の構成を概略的に示す正断面図である。以下でも、前述の実施例との相違点を中心に説明する。
【0111】
図15及び
図16に示したように、一つの熱圧力交換部材300において、熱交換部310は、厚さが異なる部分が存在するように構成され得る。ここで、熱交換部310の厚さとは、二次電池100の積層方向における熱交換部310の長さないし幅を意味する。
【0112】
例えば、
図15を参照すれば、熱交換部310は、二次電池100の積層方向(x軸方向)に垂直である平面(y-z平面)上の一方向、例えば、上下方向(z軸方向)へ段差が形成されるように構成され得る。即ち、熱交換部310は、上方から下方へ進むほど左右の厚さが部分的に変わるように複数の段が形成され得る。特に、
図15の構成において、熱交換部310は、厚さがf1、f2及びf3の値を有する各々の段を有し得る。この際、f1、f2及びf3の値は全て相違し得る。
【0113】
他の例で、
図16を参照すれば、熱交換部310は、上下方向へ進むほど厚さが次第に変わる形態の傾斜部を備え得る。即ち、このような傾斜構成によって、熱交換部310は、図面においてf4及びf5で示されたように、上下方向へ進むほど相異なる厚さを有するように構成され得る。
【0114】
本発明のこのような構成によれば、熱交換部310において、熱の吸収、保持及び/または放出性能がより効果的に達成されるようにすることができる。したがって、一つの二次電池100に対して、冷却や加熱がさらに必要な部分が存在すれば、該当の部分に対して熱圧力交換部材300によって集中的に熱の吸収及び/または放出などが行われるようにすることができる。
【0115】
特に、上記熱交換部310は、少なくとも一部が二次電池100の中央部分から縁部へ進むほど厚さが薄くなるように構成され得る。
【0116】
例えば、
図15の構成に示したように、熱交換部310において上下方向へ中央部分に位置する部分(段)の厚さをf1とし、中央部分から外側方向へ進む各段の厚さをf2及びf3とし、f1>f2>f3のような関係が成立し得る。
【0117】
また、
図16の構成を参照すれば、熱交換部310において上下方向へ中央部分に位置する部分の厚さをf4とし、熱交換部310において上下方向(外側方向)の端部の厚さをf5とするとき、f4>f5の関係が成立され得る。
【0118】
本発明のこのような構成によれば、二次電池100に対する熱の吸収、保持及び/または放出性能がより向上できる。特に、パウチ型二次電池の場合、一般的に縁部に比べて中央部分の体積変化が最もひどいといえる。また、複数のパウチ型二次電池がバッテリーモジュールに収納されるとき、各二次電池100の中央部分で熱が多量排出される場合が多い。また、二次電池100の充電時、収納部が位置した部分で化学反応が活発に行われれば、充電性能がより向上する。そのため、上記構成によれば、パウチ型二次電池の膨張時における膨張力が熱交換部310に容易に伝達され、これによって熱交換部310の発熱性能が向上する。また、二次電池100から発生した熱が熱交換部310に容易に伝達され、逆に、熱交換部310による熱が二次電池100に容易に伝達される。
【0119】
一方、本発明によるバッテリーモジュールにおいて、上記熱圧力交換部材300は、モジュールケース200と少なくとも一部が結合固定され得る。
【0120】
例えば、上記熱圧力交換部材300は、上端及び下端がモジュールケース200の内面に結合固定され得る。より具体的に、モジュールケース200の内部空間における上面及び下面には、熱圧力交換部材300の上端及び下端に対して左右方向の移動を阻止するストッパ形態で突起が形成され得る。他の例で、モジュールケース200の内部空間における上面及び下面には、挿入溝が形成され、熱圧力交換部材300の上端及び下端が挿入締結し得る。
【0121】
本発明のこのような構成によれば、モジュールケース200の内部において、熱圧力交換部材300の位置が安定的に固定される。また、二次電池100の膨張時、膨張による加圧力が熱圧力交換部材300に円滑に伝達される。したがって、圧力による熱圧力交換部材300の熱放出がより確実に行われるようにすることができる。また、二次電池100が縮小する場合にも、熱圧力交換部材300の位置は元の位置をそのまま維持できる。
【0122】
図17は、本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す正断面図である。以下においても、前述の実施例との相違点を中心に説明する。
【0123】
図17を参照すれば、上記熱圧力交換部材300は、モジュールケース200に対して交替可能に構成され得る。より具体的に、熱圧力交換部材300は、図示したように、モジュールケース200の上方へ引出しまたは引込み可能に構成され得る。このために、モジュールケース200は、少なくとも一側、例えば、上側に熱圧力交換部材300の引出し及び引込みのための出入口Oが形成され得る。
【0124】
本発明のこのような構成によれば、熱圧力交換部材300の性能が低下する場合、新しい熱圧力交換部材300に交替することで、熱圧力交換部材300による熱制御性能が長期間に安定的に維持されるようにすることができる。また、場合によっては、熱圧力交換部材300の性能に変化を与えなければならない場合があり、このときは、蓄熱セラミック物質のような熱保持物質の量が相違に構成された熱圧力交換部材300に交替し得る。例えば、既に製造されたバッテリーモジュールが温度の低い極地方などで用いられる場合、熱の吸収、保持及び放出性能が高い熱圧力交換部材300に交替し得る。または、バッテリーモジュールが装着される位置によってバッテリーモジュールの内部で温度分布が変わり得るため、熱圧力交換部材300は、熱交換部310の位置が異なる熱圧力交換部材300に交替し得る。したがって、このような実施例によれば、周辺状況や環境により適応的に対処して熱圧力交換部材300の性能が最適化できるバッテリーモジュールを提供することができる。
【0125】
また、本発明によるバッテリーモジュールにおいて、上記二次電池100は、リチウム二次電池100であって、内部の負極板はケイ素系物質を含み得る。即ち、本発明によるバッテリーモジュールに含まれる二次電池100は、負極活物質としてケイ素系物質を用い得る。このようにケイ素系物質が負極活物質として用いられた場合、炭素系物質が用いられた場合に比べて容量が大幅増大できる。さらに、このようなケイ素系物質が適用された二次電池100の場合、体積膨張率が非常に大きい特性を有する。したがって、充放電時において、二次電池100の膨張及び縮小による熱の放出及び吸収が行われる本発明の効果がさらに増大する。
【0126】
ここで、ケイ素系物質は、例えば、ケイ素、ケイ素の合金、SiB4、SiB6、Mg2Si、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2、SiC、Si3N4、Si2N2O、SiOv(0.5≦v≦1.2)、LiSiO、SiOなどであり得るが、本発明は、このようなケイ素系物質の特定種類によって限定されない。そして、このようなケイ素系物質が負極活物質として適用された二次電池100については、本発明の出願時点における公知であるので、詳細な説明を省略する。そして、本発明のバッテリーモジュールは、本発明の出願時点における公知の多様なケイ素系物質が負極活物質として採用された二次電池100を含み得る。
【0127】
一方、前述した幾つかの図面には示していないが、本発明によるバッテリーモジュールは、二次電池100、モジュールケース200及び熱圧力交換部材300の外に他の構成要素をさらに含み得る。
【0128】
例えば、本発明によるバッテリーモジュールは、積層用フレームをさらに含み得る。このような積層用フレームは、パウチ型二次電池の積層を容易にするために設けられるものであって、相互積層可能に構成され、積層によって形成された内部空間にパウチ型二次電池を収容し得る。このような積層用フレームは、ほぼ四角リング状に形成され得、中央部分に冷却プレートのような構成要素をさらに備え得る。このような積層用フレームは、カートリッジとも称し得る。このような積層用フレームは、本発明の出願時点における公知であるため、これについての詳細な説明を省略する。
【0129】
本発明によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを一つ以上含み得る。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュールに加え、バッテリーモジュールを収納するためのパックケース、バッテリーモジュールの充放電を制御するための各種装置、例えば、BMS(Battery Management System)、電流センサー、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0130】
本発明によるバッテリーモジュールは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用できる。即ち、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含み得る。特に、電気自動車のようにバッテリーから駆動力を得る自動車の場合、バッテリーモジュールの冷却性能及び/または充電性能は非常に重要となる。したがって、このような自動車に本発明によるバッテリーモジュールを適用する場合、効果的な冷却性能及び/または充電性能によって、安定かつ安全であり、充電性能、特に急速充電性能に優れたバッテリーモジュールを提供することができる。
【0131】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0132】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0133】
100 二次電池
200 モジュールケース
201 本体
202 カバー
300 熱圧力交換部材
310 熱交換部
320 本体部
321 熱伝導パーツ
322 熱遮断パーツ