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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/06 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
F16K15/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020560843
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2020003755
(87)【国際公開番号】W WO2021152842
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】501061733
【氏名又は名称】株式会社イシザキ
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】石崎 信之
(72)【発明者】
【氏名】大内 剛志
(72)【発明者】
【氏名】太田 和浩
(72)【発明者】
【氏名】菊池 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小島 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 太史
(72)【発明者】
【氏名】原 英司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 佑介
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01703248(US,A)
【文献】特開2002-213629(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176850(WO,A1)
【文献】特開2016-205616(JP,A)
【文献】特開2016-075356(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103759050(CN,A)
【文献】特開2016-065572(JP,A)
【文献】国際公開第2013/180108(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/038321(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第104976390(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0096535(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-17/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレート管継手タイプの斜めリフト型の逆止弁であって、
弁座と、
該弁座に対して密着する閉状態と前記弁座から離間した開状態とに直線的に往復移動可能な移動体と、
該移動体よりも上流側に位置する一次流路と、
前記移動体よりも下流側に位置する二次流路と、を備え、
前記移動体は、
前記閉状態で前記弁座に支持される弁体と、
該弁体から延在する弁軸と、を含み
前記弁座は、前記一次流路と前記二次流路とを含んで直線的に延在する接続流路の中心線を含む断面において、前記中心線に跨るように形成されており、
前記弁体と前記弁軸には、ねじ部が設けられており、
前記弁体と前記弁軸は、中央部において前記ねじ部により直接螺合しており、
前記弁体は、前記弁軸との螺合部分よりも径方向外側に中空部を有することを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
ストレート管継手タイプの斜めリフト型の逆止弁であって、
弁座と、
該弁座に対して密着する閉状態と前記弁座から離間した開状態とに直線的に往復移動可能な移動体と、
該移動体よりも上流側に位置する一次流路と、
前記移動体よりも下流側に位置する二次流路と、を備え、
前記移動体は、
前記閉状態で前記弁座に支持される弁体と、
該弁体から延在する弁軸と、を含み
前記弁座は、前記一次流路と前記二次流路とを含んで直線的に延在する接続流路の中心線を含む断面において、前記中心線に跨るように形成されており、
前記弁体は、弁体下部と弁体上部と、を含んで構成されており、
前記弁体下部は、前記移動体の往復動方向に平行に切り立つ平面部と、該平面部に連続し一体として形成された縁部と、を有することを特徴とする逆止弁。
【請求項3】
前記移動体は、前記閉状態で前記弁座に当接する止水部を更に有し、
該止水部の一部は、前記閉状態にあるときに、前記中心線よりも下方にあり、前記止水部のすべては、前記開状態のいずれかの位置で、前記中心線よりも上方の位置まで移動する請求項1又は2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記弁体は、弁体下部と弁体上部と、を含んで構成されており、
前記弁体上部は、前記弁軸を中心として前記弁体下部よりも径方向に広がった鍔を有し、
前記鍔の下端部は、前記閉状態にあるときに、前記中心線よりも下方にあり、前記開状態のいずれかの位置で、前記中心線よりも上方の位置まで移動する請求項1から3のいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記開状態のいずれかの位置とは、全開状態に対する70%の位置である請求項又はに記載の逆止弁。
【請求項6】
前記弁体下部は、中空部を有する部分球状に形成されている請求項に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記二次流路を形成する前記弁座よりも下流側の内壁面の下部に、前記中心線側に張り出す下流側張出部が設けられており、
該下流側張出部の張り出し量は、下流側に向かうにつれて漸次的に減少している請求項1からのいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項8】
前記一次流路を形成する前記弁座よりも上流側の内壁面の上部に、前記中心線側に張り出す上流側張出部が設けられており、
該上流側張出部の張り出し量は、下流側に向かうにつれて漸次的に増加している請求項1からのいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項9】
前記移動体における前記弁体とは逆側の少なくとも一部を収容する弁箱を更に備え、
前記弁体は、弁体下部と弁体上部と、を含んで構成されており、
前記弁軸及び前記弁箱は、前記一次流路及び前記二次流路の流路方向に対して交差する方向で前記二次流路側に傾斜して延在し、
前記弁座及び前記弁体上部は、前記一次流路及び前記二次流路の流路方向並びに前記弁軸及び前記弁箱の延在方向に対して交差する方向に延在しており、
前記弁体の開放時に、前記弁体上部における前記一次流路側の端部が、前記弁箱の内壁に摺接可能に配置されている請求項1から8のいずれか一項に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フート弁の構造に係るものであり、リフト式の逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
配管内の流体を一方向に通過させる逆止弁が知られている。逆止弁には、弁体の動作態様により分類される種々の方式のものがある。
このうち、リフト式逆止弁は、弁体が弁座に対して接近又は離間する方向に直線的に往復移動する構造であるため、迅速な閉止動作が可能である。特に、スモレンスキ式のリフト式逆止弁は、バネ体を備えることで水撃の発生を好適に抑制することが可能である。
【0003】
特許文献1には、ストレート管継手タイプの斜めリフト型であるY字の逆止弁が開示されている。この逆止弁は、弁体と、弁体を押し下げる方向に弁座側に付勢するバネ体と、を備える。
この逆止弁の弁体は、流入口と流出口を結ぶ直線方向に対して、順方向に流れる流体によって斜め上方にリフトされて開状態となり、逆方向に流体が流れようとすると、バネ体に押し下げられて弁体は斜め下方に移動して閉状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2005/0062000号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1に開示された逆止弁は、順方向に流体が流れる際には、流入口と流出口とを結ぶ直線方向に対して、弁体を斜め上方にリフトする都合上、流路内の流体圧力が不均一となりやすかった。このため、流路の一部に渦が生じることもあり、圧力損失が大きくなることがあった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、流体を流す際に生じる圧力損失を低減可能な逆止弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ストレート管継手タイプの斜めリフト型の逆止弁であって、弁座と、弁座に対して密着する閉状態と弁座から離間した開状態とに直線的に往復移動可能な移動体と、移動体よりも上流側に位置する一次流路と、移動体よりも下流側に位置する二次流路と、を備え、移動体は、閉状態で弁座に支持される弁体と、弁体から延在する弁軸と、を含み弁座は、接続対象である他の管体に接続する接続部分同士を結ぶ接続流路の中心線を含む断面において、中心線に跨るように形成されていることを特徴とする逆止弁が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流体を流す際に生じる圧力損失を低減可能な逆止弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る逆止弁の外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る逆止弁の閉状態を示す縦断面図である。
図3】第1実施形態に係る逆止弁の開状態を示す縦断面図である。
図4】第1実施形態に係る逆止弁を流入路側から見た側面図である。
図5】第1実施形態に係る逆止弁に流体を流したときの流路内の動圧分布を示す説明図である。
図6】第2実施形態に係る逆止弁の開状態を示す縦断面図である。
図7】第3実施形態に係る逆止弁の開状態を示す縦断面図である。
図8】第3実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
図9】第4実施形態に係る逆止弁の閉状態を示す模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、全ての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
本明細書では、上下方向を規定して説明する場合があるが、これは構成要素の相対関係を説明するために便宜的に設定するものであり、本発明に係る製品の製造時や使用時の方向を特定するものではない。
理想的には、鉛直上方が上向き、鉛直下方が下向きであるが、逆止弁の設置状態を限定するものではない。逆止弁に係る「上下」は、逆止弁が接続される流路である接続流路方向に対して垂直な方向のうち、移動体が弁体から離間する向きを上向き、弁体に近接する向きを下向きとする。
【0012】
<<第1実施形態>>
<本実施形態に係る逆止弁の概要>
まず、本実施形態に係る逆止弁1の概要について、図1及び図2を主に参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る逆止弁1の外観を示す斜視図、図2は、第1実施形態に係る逆止弁1の閉状態を示す縦断面図である。なお、弁軸7の軸心を含む断面を縦断面と称呼する。
本実施形態に係る逆止弁1は、図1及び図2に示すように、ストレート管継手タイプの斜めリフト型である。逆止弁1は、弁座12aと、弁座12aに対して密着する閉状態と弁座12aから離間した開状態とに直線的に往復移動可能な移動体2と、移動体2よりも上流側に位置する一次流路(流入路12c)と、移動体2よりも下流側に位置する二次流路(流出路12d)と、を備える。
移動体2は、閉状態で弁座に支持される弁体6と、弁体6から延在する弁軸7と、を含む。
弁座12aは、一次流路(流入路12c)と二次流路(流出路12d)とを含んで直線的に延在する接続流路の中心線CLを含む断面において、中心線CLに跨るように形成されていることを特徴とする。
【0013】
「ストレート管継手タイプ」とは、他の配管に接続される管継手であり、流入方向の延長上に流出方向があるものである。
「斜めリフト型」とは、流入方向と流出方向を結ぶ直線に対して斜めに弁体が動作するものであり、弁体が流体によって持ち上げられるタイプである。
本実施形態において、他の配管と接続する接続部分は鍔部13、14であり、フランジであるが、このような構成に限定されず、他の配管と接続されるものであればよい。例えば、ヘルール接続による部分であったり、ねじ接続による部分であってもよい。
「弁座12aが中心線CLに跨る」について換言すると、中心線CLが弁座12aによって画定される開口を通っていることをいい、また、弁座12aの一部が中心線CLよりも下方にあり、他の一部が中心線CLよりも上方にあることをいう。
なお、弁座12aは、中心線CLを含む任意の断面のいずれかにおいて中心線に跨るように形成されていればよい。
【0014】
上記構成によれば、弁座12aが接続流路の中心線CLを跨るように形成されていることで、これを跨がずに一方に偏って形成されているものと比較して、弁体6が開いたときに直線的に流体を流しやすくなり、乱流(渦流)が生じることを抑制できる。このため、流体を流す際に生じる逆止弁1の圧力損失を低減できる。
【0015】
<各部の構成>
次に、第1実施形態に係る逆止弁1を構成する各部の構成について、図1及び図2に加え、図3図5を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る逆止弁1の開状態を示す縦断面図、図4は、第1実施形態に係る逆止弁1を流入路12c側から見た側面図、図5は、第1実施形態に係る逆止弁1に流体を流したときの流路内の動圧分布を示す説明図である。なお、図5は、弁体上部6b、パッキン8、弁箱12及びバネ体20等を省略し、その他逆止弁1の構成を簡略化して示して、動圧分布を主に説明する図である。
【0016】
本実施形態に係る逆止弁1は、上記のようにストレート管継手タイプの斜めリフト型であり、弁体6を含む移動体2が弁座12aに対して接近又は離間する方向に直線的に往復揺動するものである。特に、逆止弁1は、同一の中心線CLとする流入路12cと流出路12dとを含む。移動体2は、この中心線CLに対して斜めに傾斜する方向、具体的には、流出路12d側に傾いた方向に往復揺動するものである。
逆止弁1により逆流が規制される流体は、水等の液体又は空気等の気体である。
【0017】
図2に示す閉状態で、弁体6はバネ体20に付勢されて弁座12aに押し付けられており、本実施形態の逆止弁1は、いわゆるスモレンスキ式である。このため、バネ体20による付勢力により、逆止弁1は流体の流れが二次側から一次側に流れる逆流に転ずる瞬間に、弁体6が弁座12aに当接して迅速に流路を閉止する。これにより、逆止弁1は、逆流を防止して水撃発生を抑制し、その閉止状態の確実性(止水性)を高めることができる。
しかしながら、逆止弁1は、バネ体20を備えて弁座12aに弁体6を押圧する構成に限定されない。例えば、移動体2の自重のみにより、又は、移動体2の自重と弁軸7と後述するガイド筒4とによるダンパ機構から加わる荷重によって、弁座12aに弁体6を押圧する構成であってもよい。
【0018】
例えば、本実施形態の逆止弁1は、いわゆるフート弁として揚送ポンプ(図示せず)の一次側に用いることにより、止水の確実性が高いことで、揚水管における落水を良好に防止することができる。
【0019】
逆止弁1は、液体又は気体(流体)を流通させる流路に設けられ、弁体6の一次側と二次側との差圧が所定の最低作動圧力(クラッキング圧)を超えているときに、図3に示すように、弁体6は開状態となって流体を流通させる。弁体6の一次側と二次側との差圧が負又は最低作動圧力以下となった場合、図2に示すように弁体6は閉状態となって流体の流通が遮断される。
なお、流体に関して所望の量の流通面積を確保することが可能であれば、弁体6は必ずしも図3に示す全開状態になる構成でなくてよい。図3においては、弁体6の全開状態を示しているが、移動体2の質量及びバネ体20の復元力により、弁体6の開度は流量に応じて変わることになる。
【0020】
逆止弁1は、移動体2と、移動体2における弁体6とは逆側の少なくとも一部を収容する弁箱12と、ガイド筒4を有して弁箱12に取り付けられるガイドキャップ3と、弁体6とガイドキャップ3との間に設けられて、弁体6を一次流路側に付勢するバネ体20と、を備える。つまり、本書における逆止弁1は、弁体6等を内部に含む管継手全体を指称するものである。
【0021】
(弁箱及び継手部について)
本実施形態に係る弁箱12は、流入路12c及び流出路12dを形成する略直線的に延在する継手部9とロストワックス製法により一体的に形成されたものであり、継手部9から枝分かれて交差している。弁箱12及び後述する弁軸7は、一次流路(流入路12c)及び二次流路(流出路12d)の流路方向に対して交差する方向で流出路12d側に傾斜して延在している。
【0022】
継手部9には、上流側(一次側)に鍔部13、下流側(二次側)に鍔部14が一体的に形成されており、配管類(図示せず)に対してボルト・ナットなどの緊締具(図示せず)を用いて固定される。本実施形態に係る弁箱12(継手部9)の流入路12c側には、図1に示すように、吸引ポンプ(不図示)に接続された吸引管(不図示)を取り付けるための平坦な取付台15が形成されている。取付台15には、弁箱12の一次流路側の内部まで貫通する減圧口15aが形成されている。
【0023】
作業者は、吸引ポンプを作動して、吸引管から流体を減圧口15aに向けて引き込むことで、弁体6よりも上流側を負圧にして流体で満たすことが可能となる。なお、減圧口15aに圧力センサが取り付けられている構成を採用すれば、作業者は、弁箱12内部の圧力状態を確認して、弁箱12内部が流体で満たされているかを確認することもできる。
そして、弁箱12における、流入路12cと流出路12dの中心線CLに交差する方向に延在する部位の末端には、後述するガイドキャップ3が着脱可能に装着されている。
【0024】
(弁座について)
弁座12aは、図2に示して上記したように、接続対象である他の管体に接続する接続部分同士(鍔部13、14)を結ぶ接続流路の中心線CLを含む断面図において、中心線CLに跨るように形成されている。
また、弁座12aは、弁箱12の内壁の一部が、全周に亘って、流路側に迫り出すように(流入路12cを狭めるように)形成されている。弁座12aの座面は、環状に形成されており、移動体2の往復動方向に垂直に延在している。つまり、弁座12aは、流入路12c及び流出路12dの流路方向並びに弁軸7及び弁箱12の延在方向に対して交差する方向に延在している。
【0025】
弁座12aの外周には、環状溝12hが形成されている。環状溝12hは、弁座12aの座面に対して、流入路12c側(移動体2から離間する側)に窪んで形成されている。環状溝12hにより、移動体2の弁体6が当接する弁座12aの面積が制限されており、弁体6が弁座12aに密着しやすくなる。
【0026】
弁座12aは、一次流路(流入路12c)及び二次流路(流出路12d)の流路方向並びに弁軸7の延在方向に対して交差する方向に延在している。
二次流路(流出路12d)を形成する弁座12aよりも下流側の内壁面の下部に、中心線CL側に張り出す下流側張出部12fが設けられている。ここで、「中心線CL側に張り出す」は、継手部9の内壁面の主壁面(鍔部13、14から直線的に連続する内壁面)よりも中心線CL側に張り出していることを指す。つまり、図9に示すように、下流側張出部は、弁座から連続して形成されているものであっても、(主壁面から)張り出していることとなる。
本実施形態において、図2に示す下流側張出部12fは、流出路12dを画定する継手部9の下部が肉厚になっていることで、肉厚部の内壁面が、中心線CL側に張り出す構成となっている。
そして、下流側張出部12fの張り出し量は、下流側に向かうにつれて漸次的に減少している。
【0027】
換言すると、弁座12aよりも下流側の流路断面積が局所的に急激に変化していない。本実施形態に係る逆止弁1においては、流出路12dを形成する部位のうち、下流側張出部12fは、弁座12aにおける中心線CL側に近い部位よりも流路の中心線CL側に突出しておらず、この部位の延長上にある。そして、下流側張出部12fは、環状溝12hの下流側の外周を画定するように流路内側に突出した後に、さらに下流側に向かうにつれて外周面側に向かうようになだらかに広がっている。
【0028】
例えば、米国特許出願公開第2005/0062000号明細書の図2等に示された逆止弁にあっては、弁座よりも下流側の流路断面積が急激に拡張している。このため、下流側の拡張部分に流れ込んだ流体の動圧の差異によって渦が生じることになる。
本実施形態においては、流出路12dの弁座12a近傍における流路断面積が、一定、又は下流側に向かうにつれて漸次的に変化していることで、弁座12aを越えた二次側で流路断面積が急拡大することにより、渦が生じることを抑制できる。
【0029】
また、一次流路(流入路12c)を形成する弁座12aよりも上流側の内壁面の上部に、中心線側に張り出す上流側張出部12iが設けられている。
より具体的には、上流側張出部12iは、下流側に向かうにつれて斜め下方に張り出している。
そして、上流側張出部12iの張り出し量は、下流側に向かうにつれて漸次的に増加している。
【0030】
例えば、米国特許出願公開第2005/0062000号明細書の図2等に示された逆止弁にあっては、弁座よりも上流側に本実施形態の上流側張出部12iが設けられておらず、一次流路は斜め上方に向けられている。このため、弁体の開口を通って下流側に向かう流体は大幅に蛇行することになる。
一方で、本実施形態においては、流入路12cから流入する流体の一部が上流側張出部12iに当接することにより、上流側張出部12iは斜め下方に向かう流れを形成することができる。このため、弁座12a部分の開口によって弁体6を押し上げるために斜め上方に向かわせる必要がある流体を、流入路12c及び流出路12dを通じて直線的に流すことが可能となり、圧力損失を抑制できる。
【0031】
上流側張出部12iは、中心線CLに至るまでは張り出していない。例えば、本実施形態に係る上流側張出部12iは、図3に示す縦断面において、流入側の流路幅の1/3(略1/3を含む)だけ上壁面から張り出している。
上記構成によれば、図3から図5に示すように、流体の一部を流入路12cから中心線CLに沿って直線的に流れ込みやすくでき、圧力損失低減することができる。
【0032】
(移動体について)
移動体2は、弁箱12の内部を往復移動して、一次流路と二次流路の間において、弁体6を弁座12aに対して近接離間させることで、流量に応じて弁体6の開口量を調整しつつ逆流を防止するものである。
移動体2は、往復移動方向に延在する弁軸7と、弁軸7の下側端部に設けられた弁体6と、閉状態で弁座12aに当接する弁体6に取り付けられた止水部(パッキン8)と、から主に構成されている。
【0033】
図3に示すように、弁軸7は、後述するガイド筒4に収容されることで、移動体2が弁軸7の軸心方向に垂直な方向にブレないように、移動体2を往復移動させるためのものである。弁軸7は、棒状に形成されて弁体6の上面の中央部分から連続的に延在している。
【0034】
弁体6及び弁軸7は、ステンレス鋼により形成されているが、例えばポリ塩化ビニルなどの耐食性の合成樹脂材料で形成することもできる。図2に示す閉状態及び図3に示す開状態で、弁軸7の周囲に装着されたバネ体20が弁体6(弁体上部6b)の上面を弾性的に付勢している。
【0035】
弁体6は、弁体下部6aと弁体上部6bと、を含んで構成されている。
弁体上部6bは、流入路12c及び流出路12dの流路方向並びに弁軸7及び弁箱12の延在方向に対して交差する方向に延在している。
弁体上部6bは、弁軸7を中心として弁体下部6aよりも径方向に広がった鍔6cを有する。本実施形態においては弁体上部6b自身の端部が鍔6cとなっている。
鍔6cの下端部は、図に示す閉状態にあるときに、中心線CLよりも下方にあり、図に示す開状態のいずれかの位置で、中心線CLよりも上方の位置まで移動する。
【0036】
上記構成によれば、閉状態から開状態のいずれかの位置となるときに、鍔6cが中心線CLよりも上方の位置まで移動することで、直線的に流れる流体の量を多くすることができる。
【0037】
本実施形態においては、鍔6cの下端部よりも後述するパッキン8の下端部の方が下方に位置している。
しかし、鍔6cの径をパッキン8に対してより大きくしたり、弁箱12がより傾いていることによって、鍔6cの下端部の方がパッキン8の下端部よりも下方に位置する構成としてもよい。
この場合に、鍔6cの下端部が、開状態のいずれかの位置で、中心線CLよりも上方の位置まで移動する構成であれば、パッキン8の下端部も中心線CLよりも上方の位置まで移動することになり、逆止弁1を直線的に流れる流体の量を多くすることができる。
【0038】
また、弁体上部6bは、移動体2が往復移動する際に、移動体2の下端側が弁軸7の軸心方向に垂直な方向にブレないように、弁箱12の内壁12bに摺接することによって、その移動をガイドする機能を有する。
つまり、弁体6の開放時に、弁体上部6bにおける流入路12c側の端部が、弁箱12の内壁12bに摺接可能に配置されている。
【0039】
弁体上部6bが摺接する弁箱12の内壁12bは、平坦なものに限定されず、周囲よりも突出したガイドリブ12g等のリブ状のものが付加されたものについても内壁12bの一部に含むものとする。
本実施形態においては、弁体上部6bは、弁箱12の内部に突出して弁箱12の長尺方向に沿って延在する4本のガイドリブ12gに摺接可能に配置されている。
上記構成によれば、弁体上部6bの流入路12c側の端部が、弁箱12の内壁12bに摺接可能に配置されていることで、弁体上部6bの振れを弁箱12によって抑制することができる。
【0040】
また、弁体上部6bは、上面をナット11から押し込まれることによって、弁体下部6aとの間でパッキン8を面方向に均等に支持するワッシャーとしての機能を有する。弁体上部6bの中心には、弁軸7が挿通する挿通孔6gが肉厚方向に貫通して形成されている。
【0041】
弁体下部6aは、弁軸7が中央部に連続して形成された平面状の上面と、部分球状に形成された他の面と、を備える。
より具体的には、弁体下部6aは、流路に面する側の外面に部分球面を有する。特に、弁体下部6aの部分球面は、図4に示すように、流入路12cから流路方向に直線的に流れ込む流体が当接する位置に配設されている。
流入路12cから流れ込んだ流体が弁体6(弁体下部6a)に当接し、移動体2(弁体6)を弁座12aから上方に離すように押し上げた後も、弁体下部6aの部分球面側に流体が接しながら逆止弁1を流れることになる。このため、弁体は、流体の流れの妨げとなりにくく、流体の速度が低下することを抑制できる。このため、低い損失水頭(摩擦抵抗)にて流体を流通させることができる。
【0042】
弁軸7の下部及び弁体下部6aと、弁体上部6bとは、別個の部材が組み付けられることで構成されている。
しかしながら、このような構成に限定されず、パッキン8が可撓性を有することにより、パッキン8を変形させることによって弁体6に取り付けることが可能であれば、必ずしも弁体下部6aと弁体上部6bとが別個の部材で構成されていなくてもよい。
【0043】
止水部(パッキン8)は、逆止弁1の閉状態で弁体6(弁体上部6b)と弁座12aとで押圧されて弁座12aを止水する部材であり、弁体下部6aと弁体上部6b(鍔6c)との間に配設されている。パッキン8は、厚さ方向に貫通する中心孔を有して環状に形成されている。具体的には、パッキン8は、パッキン8の中心孔に弁軸7が通されて、弁体下部6aと弁体上部6bとの間に配設されている。
パッキン8の一部は、図に示す閉状態にあるときに、中心線CLよりも下方にあり、図に示す開状態のいずれかの位置で、パッキン8のすべては、中心線CLよりも上方の位置まで移動する。
上記構成によれば、閉状態から開状態のいずれかの位置に変わったときにパッキン8が中心線CLを通る流れを妨げることを抑制でき、圧力損失を低減できる。
【0044】
上記の「開状態のいずれかの位置」としては、標準的な流量のときに弁体6が開状態になったときの位置であると好ましい。
例えば、この位置とは、全開状態に対して70%(逆止弁1の最大開度の70%)逆止弁1(弁体6)が開いている状態の位置である。
このような構成によれば、標準的な流量のときに、パッキン8が最も流れが早くなる中心線CL近傍の流れを妨げることを抑制でき、圧力損失が大きくなることを抑制できる。
【0045】
逆止弁1は、弁体上部6bを、他方側(上方側)から弁体下部6a側に向けて押圧するナット11を更に備える。ナット11は、弾性変形可能なフリクションリングを有し、緩み止め機能を有する。なお、ナット11は、緩み止め機能を有すればよく、フリクションリングを有するものに限定されない。例えば、ダブルナット(図示せず)から成る構成であってもよい。具体的には、ダブルナットのうち一方のナットが、くさび状の突起を有し、他方ナットが当該突起を受け入れるように対応する形状で凹溝が形成されていればよい。
【0046】
(ガイドキャップについて)
ガイドキャップ3は、図2に示すように、弁箱12に対して着脱可能に装着されて弁体6の上方側を封止しつつ、移動体2の往復移動をガイドするためのものである。ガイドキャップ3は、ガイド筒4と、ガイド筒4の上端に一体的に形成された円盤状の天板部5と、から構成されている。
天板部5は、図2に示すヘルールフランジ5eを端縁に有し、ヘルールフランジ5eと、弁箱12の上端部に形成されたヘルールフランジ12eとの間にガスケット16を挟み込むようにして、ヘルール継手(図示せず)によって着脱可能に締結されている。
【0047】
天板部5の略中央には、ガイド筒4が斜め下方(一次流路側)に向けて立設されている。
ガイド筒4は、弁体6の弁軸7の摺動をその内面で案内するものであり、天板部5から弁座12a側である斜め下方に延在して、弁体6が往復移動可能となるように弁体6に接続された弁軸7を案内する。
【0048】
<動圧分布>
次に、逆止弁1に流体(水)を流したことを想定した流体解析による動圧分布について、図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態に係る逆止弁1に流体を流したときの流路内の動圧分布を示す説明図であり、流入側の流速約4m/s、流量約4800L/min(弁開度50%)における流体の流れ、及び動圧分布を示す図である。なお、図5においては、色が濃いほど(ドット密度が高いほど)、動圧が高いことを示している。
【0049】
図5に示すように、流体が弁座12aと弁体6の間を通過する前後で、高い動圧(動圧DP1)を有する主流は、流路の底側に向かわず、ほぼ流路方向に平行に延在している。そして、主流によって誘導される渦Wは、流路の中心側まで侵食しておらず、その範囲は小さいことがわかる。このため流体の拡散及び剥離は少なく、損失水頭は約2.8mであり、圧力損失を小さく抑えることができていた。
【0050】
<<第2実施形態>>
次に、第2実施形態に係る逆止弁1Xについて、図6を主に参照して説明する。逆止弁1Xは、逆止弁1と比較して口径の大きい配管に取り付けられるものである。図6は、第2実施形態に係る逆止弁1Xの開状態を示す縦断面図である。
なお、逆止弁1Xにおいて、第1実施形態に係る逆止弁1と共通する構成については説明省略する。
【0051】
本実施形態に係る逆止弁1Xは、移動体32を備える。移動体32は、弁軸37と、弁軸37の下端部と一体的に形成された弁体36とを備える。弁体36は、弁体下部36aと弁体上部36bと、を含んで構成されている。
弁体下部36aは、中空部36dを有する部分球状に形成されている。
より具体的には、弁体下部36aは、流路に面する側の外面に部分球面を有して、弁軸37の軸心方向に対称となるような形状を有しており、かつ、逆止弁1内に配設されている。
【0052】
上記構成によれば、弁体下部36aが、中空部36dを有することで流量の変化に対する応答性を良好にしつつ、部分球状に形成されていることにより、流れの抵抗となることを抑制して圧力損失を低くすることができる。
【0053】
弁体下部36aは、弁体上部36bに当接する部位に、環状の小径部36hを備える。
この小径部36hに、中空部36dに繋がる開口36iが形成されている。
小径部36hの外周側と弁体上部36bと弁体下部36aとの間に形成された窪み36eに、パッキン8が嵌合している。
この窪み36eは、より具体的には、弁体上部36bの下面と、小径部36hの周面から連続する弁体下部36aの一部の上面によって断面L字状に形成された部位と、が重なり合うことで形成されている。
【0054】
弁軸37の軸心方向に対して垂直な方向において、中空部36dの最大径は、開口36iよりも大きく形成されている。
弁体下部36aに中空部36dが形成されていることにより、移動体32を軽量化できる。中空部36dを含む弁体36が、流路方向と弁軸37の軸心方向とを面内に含む仮想面に対して鏡面対称に形成されている。このように形成されていることで、流体が流路方向に流れる際に、流体から弁体36に加わる力によって弁体36がブレることを抑制でき、流体の流れを安定させることができる。
【0055】
<<第3実施形態>>
次に、第3実施形態に係る逆止弁1Yについて、図7及び図8を主に参照して説明する。図7は、第3実施形態に係る逆止弁1Yの開状態を示す縦断面図、図8は、第3実施形態に係る移動体52を示す斜視図である。
なお、逆止弁1Yにおいて、第1実施形態に係る逆止弁1又は第2実施形態に係る逆止弁1Xと共通する構成については説明省略する。例えば、逆止弁1Yに係るガイドキャップは、第1実施形態及び第2実施形態のものと大きさ以外が共通するため、その説明を省略する。
【0056】
逆止弁1Yは、移動体52と、移動体52を収める弁箱62と、を主に備える。移動体52は、往復移動方向に延在する丸棒状の弁軸57と、弁軸57の下側端部に設けられた弁体56と、弁体56に取り付けられたパッキン8と、から主に構成されている。
弁体56は、弁軸57の下側(一次流路側)の端部に一体的に形成された弁体下部56aと、弁体下部56aに取り付けられた弁体上部56bと、から構成されている。
【0057】
弁体下部56aは、部分球面状に形成された外面を有し、移動体52の往復動方向に平行に切り立ち、互いに平行に延在する2つの平面部56fを、軸心方向を中心として180度ずれた位置に有する。
この2つの平面部56fが設けられていることで、後述する縁部56kの面積を、平面部56fがないものと比較して大きくすることができる。このため、弁体56を押し上げる流体の荷重を、球面状の部分に流体が押し込むよりも、大きくすることができ、流体の流れ始めをスムーズにすることができる。
【0058】
また、弁体下部56aの中央部に雌ねじ部が形成されており、弁軸57の下端部に形成された雄ねじ部に螺合している。
初期状態において、図7に示すように平面部56fが流路方向に対して傾斜していたとしても、流体が逆止弁1Yに流れ込んで移動体52を上方に押し上げて下流側に流れようとするときに、弁体56は弁軸ごと回動することになる。
換言すると、平面部56fが流体の動圧を受けて、流路方向に平行な向きに、自動的に移動体52の姿勢が調整されることになる。このようにして、弁体56の圧力損失は低減される。
【0059】
弁体下部56aは、弁体上部56bの小径部56hに一部が対向する位置に形成された対向部56jと、対向部56jよりも径方向外側に形成され、弁体下部56aにおいて、弁体上部56bとの間でパッキン8を挟持する縁部56kと、を有する。
【0060】
また、弁体下部56aには、中空部56dと、中空部56dに繋がり弁体上部56bに対向する位置にある開口56iと、が形成されている。
この対向部56jは、弁体下部56aにおいて、中空部56dの径方向外側の上部を画定するものである。対向部56jの径方向の中央部分に上記の開口56iが形成されている。
縁部56kは、弁体上部56bとの間でパッキン8を挟持する機能を有し、対向部56jよりも厚肉に形成されている。このように、縁部56kが対向部56jよりも厚肉に形成されていることで、中空部56dの体積を広くしつつ、弁体56の開閉を繰り返すことにより、弁箱62に設けられた弁座62aから繰り返し衝撃荷重がかかるパッキン8を安定して保持することができる。
【0061】
図8に示すように、弁体上部56bの他方側の面(上面)における径方向内側には、径方向外側の部位よりも下方(一次流路側)に窪んだばね座面56eが形成されている。
【0062】
<<第4実施形態>>
次に、第4実施形態に係る逆止弁1Zを、図9を主に参照して説明する。図9は、第4実施形態に係る逆止弁1Zの閉状態を示す模式的な縦断面図である。なお、図9においては、バネ体20を省略して示している。
【0063】
本実施形態に係る逆止弁1Zが備える弁軸77は、中空空間77aを有して筒状に形成されている。弁軸77は、弁軸77内の中空空間77aに挿入されたガイド棒74によって往復動可能に案内されている。つまり、弁軸77は、その中空空間77aに面する内面でガイド棒74の外面に摺動することによって、ガイド棒74に往復動方向を案内されている。
上記構成によれば、弁軸77が、ガイド棒74に案内されることによって、弁軸77に接続された弁体76が往復動方向に案内されることになる。
【0064】
特に、本実施形態に係る弁体76には、弁軸77の中空空間77aに連続する中空部76dが形成されている。
上記構成によれば、弁軸77の中空空間77aと弁体76の中空部76dが連続して形成されていることで、弁軸77と弁体76とを備える移動体72を軽量化でき、流量の変化に対する応答性を高めることができる。
【0065】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
本発明の逆止弁及び逆止弁を構成する往復動部材の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0066】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)ストレート管継手タイプの斜めリフト型の逆止弁であって、
弁座と、
該弁座に対して密着する閉状態と前記弁座から離間した開状態とに直線的に往復移動可能な移動体と、
該移動体よりも上流側に位置する一次流路と、
前記移動体よりも下流側に位置する二次流路と、を備え、
前記移動体は、
前記閉状態で前記弁座に支持される弁体と、
該弁体から延在する弁軸と、を含み
前記弁座は、前記一次流路と前記二次流路とを含んで直線的に延在する接続流路の中心線を含む断面において、前記中心線に跨るように形成されていることを特徴とする逆止弁。
(2)前記移動体は、前記閉状態で前記弁座に当接する止水部を更に有し、
該止水部の一部は、前記閉状態にあるときに、前記中心線よりも下方にあり、前記止水部のすべては、前記開状態のいずれかの位置で、前記中心線よりも上方の位置まで移動する(1)に記載の逆止弁。
(3)前記弁体は、弁体下部と弁体上部と、を含んで構成されており、
前記弁体上部は、前記弁軸を中心として前記弁体下部よりも径方向に広がった鍔を有し、
前記鍔の下端部は、前記閉状態にあるときに、前記中心線よりも下方にあり、前記開状態のいずれかの位置で、前記中心線よりも上方の位置まで移動する(1)又は(2)に記載の逆止弁。
(4)前記開状態のいずれかの位置とは、全開状態に対する70%の位置である(2)又は(3)に記載の逆止弁。
(5)前記弁体下部は、中空部を有する部分球状に形成されている(3)に記載の逆止弁。
(6)前記二次流路を形成する前記弁座よりも下流側の内壁面の下部に、前記中心線側に張り出す下流側張出部が設けられており、
該下流側張出部の張り出し量は、下流側に向かうにつれて漸次的に減少している(1)から(5)のいずれか一項に記載の逆止弁。
(7)前記一次流路を形成する前記弁座よりも上流側の内壁面の上部に、前記中心線側に張り出す上流側張出部が設けられており、
該上流側張出部の張り出し量は、下流側に向かうにつれて漸次的に増加している(1)から(6)のいずれか一項に記載の逆止弁。
(8)前記上流側張出部は、前記中心線に至るまでは張り出していない(7)に記載の逆止弁。
(9)前記移動体における前記弁体とは逆側の少なくとも一部を収容する弁箱を更に備え、
前記弁体は、弁体下部と弁体上部と、を含んで構成されており、
前記弁軸及び前記弁箱は、前記一次流路及び前記二次流路の流路方向に対して交差する方向で前記二次流路側に傾斜して延在し、
前記弁座及び前記弁体上部は、前記一次流路及び前記二次流路の流路方向並びに前記弁軸及び前記弁箱の延在方向に対して交差する方向に延在しており、
前記弁体の開放時に、前記弁体上部における前記一次流路側の端部が、前記弁箱の内壁に摺接可能に配置されている(1)から(8)のいずれか一項に記載の逆止弁。
(10)前記弁軸は、中空空間を有して筒状に形成されており、
前記弁軸内の前記中空空間に挿入されたガイド棒によって往復動可能に案内されている(1)から(9)のいずれか一項に記載の逆止弁。
(11)前記弁体には、前記弁軸の前記中空空間に連続する中空部が形成されている(10)に記載の逆止弁。
【符号の説明】
【0067】
1、1X、1Y、1Z 逆止弁
2 移動体
3 ガイドキャップ(キャップ)
4 ガイド筒
5 天板部
5e ヘルールフランジ
6 弁体
6a 弁体下部
6b 弁体上部
6c 鍔
6g 挿通孔
7 弁軸
8 パッキン(止水部)
9 継手部
11 ナット
12 弁箱
12a 弁座
12b 内壁
12c 流入路(一次流路)
12d 流出路(二次流路)
12e ヘルールフランジ
12f 下流側張出部
12g ガイドリブ
12h 環状溝
12i 上流側張出部
13、14 鍔部
15 取付台
15a 減圧口
16 ガスケット
20 バネ体
32 移動体
36 弁体
36a 弁体下部
36b 弁体上部
36d 中空部
36e 窪み
36h 小径部
36i 開口
37 弁軸
52 移動体
56 弁体
56a 弁体下部
56b 弁体上部
56d 中空部
56e ばね座面
56f 平面部
56h 小径部
56i 開口
56j 対向部
56k 縁部
57 弁軸
62 弁箱
62a 弁座
72 移動体
73 ガイドキャップ
74 ガイド棒
76 弁体
76a 弁体下部
76b 弁体上部
76d 中空部
77 弁軸
77a 中空空間
CL 中心線
DP1 動圧
W 渦
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9