(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】光ディスク装置
(51)【国際特許分類】
G11B 17/056 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
G11B17/056
(21)【出願番号】P 2020565114
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2019000565
(87)【国際公開番号】W WO2020144819
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】510130675
【氏名又は名称】パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】宇田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 克博
(72)【発明者】
【氏名】福島 良光
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀夫
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-151686(JP,A)
【文献】実開平05-027817(JP,U)
【文献】特開2008-084416(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1577558(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101320578(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 17/04 - 17/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを載置する載置部及び一の方向に沿って延びる一対のトレイリブにより形成された溝部を含む第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有するトレイと、
前記第1面と対向して配置されるとともに、第1ボス部を有するトラバースメカと、
前記第2面と対向して配置されたクランパと、
前記溝部内に挿入される第2ボス部と、前記第1ボス部が挿通されるとともに、前記第1面に沿った平面において前記一の方向と交わる他の方向への移動に伴い前記第1ボス部を案内して前記トラバースメカを昇降させる昇降カム孔とを有するカムスライダと、
を備え、
前記一対のトレイリブは、前記載置部によって分断されている
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記第2面は、前記一の方向に沿って延びるトレイラックを有し、
前記第1面と対向して配置され、前記トレイを前記一の方向に沿って移動させるための動力を出力するモータと、
前記第2面と対向して配置され、前記トレイラックと噛合する歯車と、
前記モータから出力された動力を前記歯車に伝達する動力伝達部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記カムスライダは、前記他の方向への前記カムスライダの移動を抑制する第1抑制部材を有することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記昇降カム孔は、前記光ディスクがクランプされるときに、前記トラバースメカが位置する第2位置における前記トラバースメカと前記トレイとの間の距離が、前記光ディスクの再生又は記録が行われるときに、前記トラバースメカが位置する第1位置における前記距離よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記クランパは、当該光ディスク装置のカバーに形成された凹部内に回転自在に配置されており、
前記カバーのうち前記凹部を形成する部分に当接して、前記凹部内における前記クランパの位置変動を抑制する第2抑制部材を有するクランパカバーを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記トレイの第1面側、且つ、前記トレイから離隔された位置に形成されるとともに、前記光ディスクの前記トラバースメカ側への移動を制限する制限部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、例えば光ディスクを用いたアーカイブシステムに用いられる。該アーカイブシステムとして、例えば、複数の光ディスクドライブを備えるアーカイブシステムが提案されている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-93110号公報
【文献】国際公開第2017/199430号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アーカイブシステムでは、その性質上、光ディスク一枚当たりのデータ容量を増やすことが図られる。光ディスク一枚当たりのデータ容量を増やす方法としては、例えば、一方の面、及び、該一方の面とは反対側の他方の面の両方に記録層が設けられた両面光ディスクを用いる方法が挙げられる。
【0005】
特許文献1に記載のアーカイブシステムでは、両面光ディスクを反転する反転機構を備えることなく、該両面光ディスクを用いるために、次のような構成が採られている。即ち、光ディスクの回転軸が鉛直方向に対して交わるように光ディスクドライブが配置される(即ち、光ディスクドライブが縦置きされる)とともに、光ピックアップの位置が互いに反対になるように、両面光ディスクの一方の面の記録層に対して再生又は記録動作を行う光ディスクドライブと、両面光ディスクの他方の面の記録層に対して記録又は再生動作を行う光ディスクドライブとが配置されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載のアーカイブシステムのように、光ディスクの回転軸が鉛直方向に沿うように光ディスクドライブが配置されるアーカイブシステムには、特許文献1に記載の技術を適用することはできない。特に、光ディスクドライブとして、トレイローディング方式の光ディスクドライブが用いられる場合、上記反転機構を用いることなく、両面光ディスクのトレイと接しない側の面(即ち、上面)の記録層に対して再生又は記録動作を行うことは極めて困難である。
【0007】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、光ディスクのトレイと接しない側の面の記録層に対して再生又は記録動作を行うことができる光ディスク装置(上述の光ディスクドライブに相当)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光ディスクは、上記課題を解決するために、光ディスクを載置する載置部及び一の方向に沿って延びる一対のトレイリブにより形成された溝部を含む第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有するトレイと、前記第1面と対向して配置されるとともに、第1ボス部を有するトラバースメカと、前記第2面と対向して配置されたクランパと、前記溝部内に挿入される第2ボス部と、前記第1ボス部が挿通されるとともに、前記第1面に沿った平面において前記一の方向と交わる他の方向への移動に伴い前記第1ボス部を案内して前記トラバースメカを昇降させる昇降カム孔とを有するカムスライダと、を備え、前記一対のトレイリブは、前記載置部によって分断されている。
【0009】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例に係る光ディスクドライブの構成要素の配置を示す図である。
【
図2】実施例に係る光ディスクドライブの要部を示す斜視図である。
【
図5】トレイに対するカムスライダの動きを示す図である。
【
図6】カムスライダに対するトラバースメカの動きを示す図である。
【
図7】実施例に係る樹脂ばね近傍を拡大して示す拡大図である。
【
図8】実施例に係るクランプカバーを示す図である。
【
図9】実施例に係る光ディスクドライブのシャーシを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の光ディスク装置に係る実施形態について説明する。
【0012】
実施形態に係る光ディスク装置は、光ディスクを載置する載置部及び一の方向に沿って延びる一対のトレイリブにより形成された溝部を含む第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有するトレイと、前記第1面と対向して配置されるとともに、第1ボス部を有するトラバースメカと、前記第2面と対向して配置されたクランパと、前記溝部内に挿入される第2ボス部と、前記第1ボス部が挿通されるとともに、前記第1面に沿った平面において前記一の方向と交わる他の方向への移動に伴い前記第1ボス部を案内して前記トラバースメカを昇降させる昇降カム孔とを有するカムスライダと、を備え、前記一対のトレイリブは、前記載置部によって分断されている。
【0013】
当該光ディスク装置は、いわゆるトレイローディング方式の光ディスク装置である。当該光ディスク装置では、例えば光ピックアップ、スピンドルモータ等を含むトラバースメカが、トレイの第1面と対向して配置されている。このため、当該光ディスク装置では、トレイの載置部に載置された光ディスクの該トレイと接しない側の面が、トラバースメカと対向することとなる。従って、当該光ディスク装置では、光ディスクのトレイと接しない側の面に対して、再生又は記録動作が行われることになる。
【0014】
カムスライダは、トレイの第1面に一対のトレイリブにより形成された溝部内に挿入される第2ボス部を有する。カムスライダは更に、トラバースメカの第1ボス部を案内する昇降カム孔を有する。カムスライダが第2ボス部及び昇降カム孔を有することで、トレイ、カムスライダ及びトラバースメカが連動することになる。
【0015】
ところで、光ディスク装置は、他の光ディスク装置との互換性を高めるために、或いは、光ディスク装置を搭載する装置(例えば、上述したアーカイブシステム、パーソナルコンピュータ等)に用いられる筐体の汎用性を高めるために、そのサイズに係る規格が存在する。
【0016】
当該光ディスク装置のサイズを規格に合わせる場合、トレイの幅(即ち、トレイの上記他の方向の長さ)を、光ディスクの直径とほぼ同じにする必要がある。他方で、トレイ、カムスライダ及びトラバースメカを連動させるために、カムスライダの第2ボス部が挿入される溝部(言い換えれば、一対のトレイリブ)をトレイの第1面に形成しなければならない。
【0017】
しかるに当該光ディスク装置では、トレイの第1面において、載置部により一対のトレイリブが分断されている。つまり、載置部には一対のトレイリブが形成されていない。このように構成すれば、トレイ、カムスライダ及びトラバースメカを連動させることができるとともに、当該光ディスク装置のサイズを規格に合わせることができる。
【0018】
以上の結果、当該光ディスク装置によれば、光ディスクのトレイと接しない側の面の記録層に対して再生又は記録動作を行うことができる。加えて、当該光ディスク装置のサイズを規格に合わせることができるので、当該光ディスク装置の互換性及び/又は汎用性を高めることができる。
【0019】
本実施形態に係る光ディスク装置の一態様では、前記第2面は、前記一の方向に沿って延びるトレイラックを有し、前記第1面と対向して配置され、前記トレイを前記一の方向に沿って移動させるための動力を出力するモータと、前記第2面と対向して配置され、前記トレイラックと噛合する歯車と、前記モータから出力された動力を前記歯車に伝達する動力伝達部材と、を備える。
【0020】
この態様では、トレイを一の方向に沿って移動させるための動力は、トレイの第1面側に配置されたモータから、トレイの第2面に形成されたトレイラックに伝達される。トレイの第1面と対向してトラバースメカが配置されているので、トレイの第1面側に上記モータが配置されたとしても、当該光ディスク装置の高さ(又は厚み)への影響はない。従って、この態様によれば、当該光ディスク装置のサイズ(特に高さ又は厚み)を規格に合わせつつ、トレイを一の方向に沿って移動させることができる。
【0021】
本実施形態に係る光ディスク装置の他の態様では、前記カムスライダは、前記他の方向への前記カムスライダの移動を抑制する第1抑制部材を有する。上述の如く、トレイの第1面のうち載置部には一対のトレイリブは形成されていない。つまり、カムスライダの第2ボス部が挿入される溝部は、トレイの載置部で途切れている。このため、何らの対策もしなければ、上記溝部が途切れていることに起因して、想定されているよりも多くカムスライダが他の方向へ移動する可能性がある。しかるに、この態様によれば、カムスライダが第1抑制部材を有しているが故に、他の方向へのカムスライダの移動を抑制することができる。
【0022】
本実施形態に係る光ディスク装置の他の態様では、前記昇降カム孔は、前記光ディスクがクランプされるときに、前記トラバースメカが位置する第2位置における前記トラバースメカと前記トレイとの間の距離が、前記光ディスクの再生又は記録が行われるときに、前記トラバースメカが位置する第1位置における前記距離よりも小さくなるように形成されている。
【0023】
この態様では、光ディスクがクランプされるときのトラバースメカとトレイとの間の距離は、光ディスクの再生又は記録が行われるときの該距離に比べて小さい。このため、トラバースメカのスピンドルモータと、クランパとの間の距離も比較的小さくなるので、光ディスクを適切にクランプすることができる。
【0024】
本実施形態に係る光ディスク装置の他の態様では、前記クランパは、当該光ディスク装置のカバーに形成された凹部内に回転自在に配置されており、前記カバーのうち前記凹部を形成する部分に当接して、前記凹部内における前記クランパの位置変動を抑制する第2抑制部材を有するクランパカバーを備える。
【0025】
この態様によれば、第2抑制部材によりクランパの位置変動が抑制されるので、光ディスクがクランプされるときに、トラバースメカのスピンドルモータとクランパとの位置ずれが生じることを好適に抑制することができる。
【0026】
本実施形態に係る光ディスク装置の他の態様では、前記トレイの第1面側、且つ、前記トレイから離隔された位置に形成されるとともに、前記光ディスクの前記トラバースメカ側への移動を制限する制限部材を備える。
【0027】
トレイの第2面と対向してトラバースメカが配置されている光ディスク装置では、トラバースメカと光ディスクとの間にトレイが介在することとなる。このため、光ディスクの再生又は記録が終了した後、光ディスク装置から光ディスクが取り出されるときには、トレイの排出動作に起因して、光ディスクがアンクランプされることになる。
【0028】
他方で、当該光ディスク装置では、トレイの第1面と対向してトラバースメカが配置されているが故に、トラバースメカと光ディスクとの間にはトレイが介在していない。このため、何らの対策も採らなければ、当該光ディスク装置から光ディスクが取り出されるときに、トラバースメカのスピンドルモータに光ディスクが貼り付いたままになる可能性がある(即ち、光ディスクが適切にアンクランプされない可能性がある)。この結果、光ディスクが当該光ディスク装置から排出されない、光ディスクに傷や汚れがつく等の不具合が発生する可能性がある。
【0029】
しかるに、この態様では、当該光ディスク装置が制限部材を備えるが故に、光ディスクのトラバースメカ側への移動が制限される。このため、この態様によれば、当該光ディスク装置から光ディスクが取り出されるときに、トラバースメカのスピンドルモータに光ディスクが貼り付いたままになることを好適に抑制することができる。
【実施例】
【0030】
本発明の光ディスク装置に係る実施例を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の光ディスク装置の一例として、光ディスクドライブを挙げる。
【0031】
(構成)
実施例に係る光ディスクドライブの構成について
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1は、実施例に係る光ディスクドライブの構成要素の配置を示す図である。
図2は、実施例に係る光ディスクドライブの要部を示す斜視図である。
図3は、実施例に係るトレイを示す平面図である。
図4は、実施例に係るカムスライダを示す図である。
【0032】
実施例に係る光ディスクドライブの概要について
図1を参照して説明する。
図1において、光ディスクドライブ1は、トレイ10と、トレイ10の光ディスク200が載置される側の面である第1面に対向して配置されるとともに、スピンドルモータ(SPDL)及び光ピックアップ(PU)を有するトラバースメカ20と、トレイ10の第1面とは反対側の面である第2面に対向して配置されたクランパ30と、カムスライダ40と、トレイ10及びカムスライダ40を駆動する動力を出力する駆動部50と、駆動部50から出力された動力をトレイ10に伝達するギア列部60とを備えて構成されている。
【0033】
当該光ディスクドライブ1は、いわゆるトレイローディング方式の光ディスクドライブである。当該光ディスクドライブ1では、
図1に示すように、トラバースメカ20の光ピックアップにより、光ディスク200のトレイ10と接しない側の面(即ち、上面)に対して再生又は記録動作が行われることになる。
【0034】
トレイ10について
図3を参照して説明を加える。
図3(a)は、光ディスクドライブ1の上方からトレイ10を見た平面図である。つまり、
図3(a)は、上述したトレイ10の第1面を示す平面図である。
図3(b)は、光ディスクドライブ1の下方からトレイ10を見た平面図である。つまり、
図3(b)は、上述したトレイ10の第2面を示す平面図である。
【0035】
図3(a)に示すように、トレイ10の第1面には、光ディスク200が載置される載置部11が形成されている。トレイ10の第1面には更に、x方向に沿って延びる一対のトレイリブ12が形成されている。この一対のトレイリブ12により溝部13が形成される。この溝部13により、カムスライダ40の移動が制限される(詳細については後述する)。
図3(a)に示すように、一対のトレイリブ12は、載置部11により分断されている。
【0036】
図3(b)に示すように、トレイ10の第2面には、x方向に沿って延びるトレイラック14が形成されている。トレイラック14には、歯車61が噛合している(歯車61への動力伝達経路についての説明は後述する)。
【0037】
カムスライダ40は、
図4に示すように、トレイ10の溝部13内に挿入されるボス41を有する。カムスライダ40には、トラバースメカ20のボス21が挿通されるとともに、カムスライダ40のy方向(
図2及び
図3参照)への移動に伴いボス21を案内してトラバースメカ20を昇降させる昇降カム孔42が形成されている。
【0038】
トラバースメカ20及びクランパ30には、既存の各種態様を適用可能であるので、その詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、トレイ10をx方向に沿って移動させるための動力伝達経路について
図2を参照して説明する。
図2(a)において、モータ51から出力された動力は、モータ51に固着されたプーリ(図示せず)からベルトを介してプーリ52に伝達される。その後、モータ51から出力された動力は、歯車53等を介して、歯車54に伝達される。尚、歯車53は、カムスライダ40に形成されたカムラック(図示せず)と噛合可能に構成されている。
【0040】
図2に示すように、歯車54の回転軸55には、歯車62が接続されている。このため、歯車54に伝達されたモータ51から出力された動力は、回転軸55及び歯車62を介して、歯車61に伝達される。トレイラック14(
図3(b)参照)と噛合した歯車61が回転することにより、トレイ10がx方向に沿って移動される。尚、モータ51、プーリ52、歯車53及び54並びに回転軸55は、駆動部50の一部を構成している。歯車61及び62は、ギア列部60の一部を構成している。
【0041】
(動作)
次に、上述の如く構成された光ディスクドライブ1の動作について
図3に加えて、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、トレイに対するカムスライダの動きを示す図である。
図6は、カムスライダに対するトラバースメカの動きを示す図である。ここで、
図5(a)に示す状態は、
図6(a1)及び(a2)各々に示す状態に対応している。5(b)に示す状態は、
図6(b1)及び(b2)各々に示す状態に対応している。
図5(c)に示す状態は、
図6(c1)及び(c2)各々に示す状態に対応している。
図5(d)に示す状態は、
図6(d1)及び(d2)各々に示す状態に対応している。尚、
図6(a1)、(b1)、(c1)及び(d1)は、
図5の下側からカムスライダ40等を見た図(即ち、正面図)であり、
図6(a2)、(b2)、(c2)及び(d2)は、
図5の右側からトラバースメカ20等を見た図(即ち、側面図)である。
【0042】
図3(a)は、トレイ10が当該光ディスクドライブ1のメインベース(図示せず)の前方に突出した状態を示している。
図5(b)は、トレイ10が当該光ディスクドライブ1のメインベース内に収容された状態を示している(対応する
図6(b1)及び
図6(b2)についても同様)。
図5(a)は、
図3(a)に示す状態と、
図5(b)に示す状態との間の状態を示している(対応する
図6(a1)及び
図6(a2)についても同様)。
【0043】
図5(c)は、対応する
図6(c1)及び(c2)に示すように、トラバースメカ20により光ディスク200がクランプされるときの状態を示している。
図5(d)は、トラバースメカ20の光ピックアップにより、光ディスク200に対して再生又は記録動作が行われるときの状態を示している(対応する
図6(d1)及び
図6(d2)についても同様)。
【0044】
さて、
図3(a)に示す状態から、トレイ10がメインベース内に収容される場合、
図5(a)に破線矢印で示すように、カムスライダ40は、トレイ10の後端側(即ち、
図5(a)の上側)から、トレイ10の前端側(即ち、
図5(a)の下側)に向かって移動する。このとき、カムスライダ40のボス41(
図4参照)は、トレイ10の溝部13内を移動する。
【0045】
上述したように、溝部13を形成する一対のトレイリブ12(
図3(a)参照)は、トレイ10の載置部11により分断されている。このため、トレイ10がメインベース内に収容される際には、カムスライダ41のボス41は、トレイ10の溝部13から一旦外れ、カムスライダ40がトレイ10の載置部11を通過した後に再度溝部13内に進入することとなる。
【0046】
トレイ10の
図5(a)の点線円c1で示す部分では、カムスライダ40がy方向に沿って移動するように溝部13が形成されている。
図5(a)に示す状態では、カムスライダ40のカムラックと歯車53(
図2参照)とは、未だ噛合していない。
図5(a)に示す状態から、トレイ10がメインベース内に更に収容されると、カムスライダ40は溝部13の形状に起因して、
図5(b)に破線矢印で示すように(即ち、
図5の右側から左側に向かって)移動する。この結果、カムラックと歯車53とが噛合される。
【0047】
その後、カムラックと噛合した歯車53が回転することにより、カムスライダ40は、
図5の右側から左側に向かって更に移動することとなる。ここで、
図5(b)に示す状態に対応する
図6(b1)及び(b2)を参照すると、
図5(b)に示す状態では、トラバースメカ20は、トレイ10と一緒にメインベース内に収容される光ディスク200とぶつからない退避位置に位置している。
【0048】
カムラックと噛合した歯車53が回転することにより、カムスライダ40は、
図5の右側から左側に向かって更に移動すると、
図6(c1)及び(c2)に示すように、トラバースメカ20のボス21が、カムスライダ40に形成された昇降カム孔42の形状に従って移動する結果、トラバースメカ20が光ディスク200に向かって降下することとなる。尚、
図6(c1)及び(c2)に示す状態では、トラバースメカ20は、光ディスク200をクランプするときのクランプ位置に位置している。
【0049】
その後、カムスライダ40が、
図5の右側から左側に向かって更に移動すると、
図6(d1)及び(d2)に示すように、ボス21が昇降カム孔42の形状に従って移動する結果、トラバースメカ20が、光ディスク200に対し再生又は記録動作を行う位置(ここでは、便宜上“再生位置”と称する)へ移動する。
【0050】
尚、トレイ10がメインベースから排出される際は、
図5及び
図6を参照して説明した動作とは逆の手順の動作が行われる。
【0051】
(構成上の特徴)
(1)当該光ディスクドライブ1では、例えば
図1に示すように、カムスライダ40がトレイ10の上方に配置されている。当該光ディスクドライブ1では、トレイ10及びカムスライダ40(更には、トラバースメカ20)が連動するように、カムスライダ40のボス41が挿入される溝部13を形成する一対のトレイリブ12は、トレイ10の第1面に形成される必要がある。他方で、当該光ディスクドライブ1のサイズが規格に合うように、トレイ10の幅(即ち、y方向の長さ)は、光ディスク200の直径とほぼ同じにする必要がある。そこで、当該光ディスクドライブ1では、トレイ10の第1面に形成された一対のトレイリブ12を載置部11により分断することにより(言い換えれば、載置部11に一対のトレイリブ12を形成しないことにより)、トレイ10の上方に配置されたカムスライダ40とトレイ10との連動と、当該光ディスクドライブ1のサイズの規格への適合とを両立させている。
【0052】
(2)当該光ディスクドライブ1では、
図2に示すように、トレイ10を駆動するための動力を出力するモータ51は、トレイ10の上方に配置されている。しかしながら、トレイラック14は、
図3(b)に示すように、トレイ10の第2面に形成されている。そこで、当該光ディスクドライブ1では、歯車54、回転軸55及び歯車62を介して、モータ51から出力された動力を、トレイラック14と噛合する歯車61に伝達している。尚、「歯車54」、「回転軸55」及び「歯車62」は、本発明に係る「動力伝達部材」の一例に相当する。
【0053】
(3)
図5を参照して説明したように、トレイ10がメインベースに収容される場合(及び、トレイ10がメインベースから排出される場合)、カムスライダ40のボス41は、トレイ10の溝部13から一旦外れる。このとき何らの対策も採らなければ、カムスライダ40がy方向へ移動する可能性がある。
【0054】
トレイ10がメインベースに収容されているときは、例えば
図6(a2)に示すように、トラバースメカ20は退避位置に位置している。このとき、トラバースメカ20のボス21は、カムスライダ40の昇降カム孔42の
図6(a1)に示す位置にある。当該光ディスクドライブ1では、カムスライダ40の
図6(a1)の点線円c2で示す部分(即ち、ボス21が位置している部分)が、その周辺よりもわずかに低くなるように形成されている。つまり、点線円c2で示す部分に凹みが形成されている。
【0055】
ここで、
図6(a2)に示すように、カムスライダ40は、トラバースメカ20の一端を支持しているので、ボス21には、鉛直方向下向きに相応の力が加わっている。このため、トレイ10がメインベースに収容されるときに、カムスライダ40に、
図5の右側から左側に向かう力(即ち、
図6(a1)の右側から左側に向かう力)が多少加わったとしても、つまり、カムスライダ40に外乱が加わったとしても、ボス21が、カムスライダ40の
図6(a1)の点線円c2で示す部分から動くことはない。
【0056】
カムスライダ40は更に、
図4に示すように、樹脂ばね43を有している。この樹脂ばね43は、トラバースメカ20をその周囲から囲うシャーシ(図示せず)に形成された凸部に当接するように形成されている。ここで、樹脂ばね43について
図7を参照して説明を加える。
図7は、実施例に係るカムスライダの樹脂ばね近傍を拡大して示す拡大図である。
【0057】
上記凸部は、シャーシの
図7の点線円c4で示す部分に形成されている。トレイ10がメインベースに収容されているとき(特に、カムスライダ40のボス41が、トレイ10の載置部11の上方に位置しているとき)に、樹脂ばね43が当接するように、上記凸部がシャーシに形成されている。このため、トレイ10がメインベースに収容されるときに、カムスライダ40に、
図7の右側から左側に向かう力(即ち、
図5の右側から左側に向かう力)が多少加わったとしても、つまり、カムスライダ40に外乱が加わったとしても、樹脂ばね43の作用により、カムスライダ40のy方向への移動が抑制される。尚、樹脂ばね43は、本発明に係る「第1抑制部材」の一例に相当する。
【0058】
(4)光ディスク200がクランプされるときには、光ディスク200に向かって降下したトラバースメカ20と、クランパ30との間に働く磁力に起因して、クランパ30がトラバースメカ20に向かって吸い寄せられ、クランパ30がトラバースメカ20のスピンドルモータと結合することによって、光ディスク200がクランプされる。
【0059】
当該光ディスクドライブ1では、トラバースメカ20が、クランプ位置(
図6(c1)及び(c2)参照)に位置する場合のトラバースメカ20とトレイ10との間の距離が、トラバースメカ20が再生位置(
図6(d1)及び(d2)参照)に位置する場合の上記距離に比べて小さくなるように、カムスライダ40の昇降カム孔42が形成されている。
【0060】
具体的には、
図6(d1)に示す状態(ボス21の位置に着目されたし)、トラバースメカ20が再生位置に位置する場合である。これに対して、
図6(d1)の点線円c3で示す部分にボス21が位置する状態(即ち、
図6(c1)に示す状態)が、トラバースメカ20がクランプ位置に位置する場合である。このように、トラバースメカ20がクランプ位置に位置する場合のボス21の位置が、トラバースメカ20が再生位置に位置する場合のボス21の位置に比べて低くなるように、昇降カム孔42が形成されている。
【0061】
ここで、クランパ30について
図8を参照して説明する。
図8は、実施例に係るクランプカバーを示す図である。
【0062】
クランパ30は、当該光ディスクドライブ1のカバーに形成された凹部内に回転自在に配置されている。該凹部には、クランパ30がトラバースメカ20のスピンドルモータと結合可能なように、孔が形成されている。
【0063】
ところで、光ディスク200に対して再生又は記録動作が行われる場合に(即ち、クランパ30が、スピンドルモータの回転に伴って回転している場合に)、カバーとクランパ30とが接触しないように、上記凹部が形成されている。このため、何らの対策も採らなければ、上記凹部内におけるクランパ30の位置変動が比較的大きくなる可能性がある。すると、上記凹部内におけるクランパ30の位置変動に起因して、光ディスク200が適切にクランプされない可能性がある。
【0064】
そこで、当該光ディスクドライブ1では、クランパカバー70に、上記凹部内におけるクランパ30の位置変動を抑制するためのリブ71が形成されている。
図8に示すように、リブ71で囲われた部分に、クランパ30が配置されているので、クランパカバー70により、上記凹部内におけるクランパ30の位置変動を好適に抑制することができる。加えて、
図8に示すように、リブ71の一部が、カバーのうち上記凹部を構成する部分に当接している。このため、リブ71により、クランパカバー70が上記凹部に対してずれることも抑制される。尚、「リブ71」は、本発明に係る「第2抑制部材」の一例に相当する。
【0065】
このように、当該光ディスクドライブ1では、光ディスク200がクランプされるときに、トラバースメカ20のスピンドルモータとクランパ30との間の距離ができるだけ短くなるように、カムスライダ40の昇降カム孔42が形成されているとともに、上記凹部内におけるクランパ30の位置変動が抑制されるようにクランパカバー70がリブ71を有する。従って、当該光ディスクドライブ1によれば、光ディスク200を適切にクランプすることができる。
【0066】
(5)光ディスク200の再生又は記録が終了した後、当該光ディスクドライブ1から光ディスク200が取り出されるときには、トレイ10が当該光ディスクドライブ1のメインベースから排出される排出動作に起因して、光ディスク200がアンクランプされる。このとき、何らの対策も採らなければ、光ディスク200がトラバースメカ20のスピンドルモータに貼り付いたままになる可能性がある(即ち、光ディスク200が適切にアンクランプされない可能性がある)。この結果、光ディスク200が当該光ディスクドライブ1から排出されない、光ディスク200に傷や汚れがつく等の不具合が発生する可能性がある。
【0067】
そこで、当該光ディスクドライブ1では、
図9(a)に示すように、トラバースメカ20をその周囲から囲うシャーシの
図9(a)の点線円c5で示す部分に、光ディスク200のトラバースメカ20側への移動(即ち、上方への移動)を制限するリブ80(
図9(b)参照)が形成されている。
【0068】
ここで、リブ80は、当該光ディスクドライブ1の高さ方向(z方向)において、トラバースメカ20が退避位置に位置するときのスピンドルモータの下端の位置よりも低く、且つ、トラバースメカ20が再生位置に位置するときの光ディスク200の上面の位置よりも高い、位置に形成されている。
【0069】
仮に、光ディスク200がトラバースメカ20のスピンドルモータに貼り付いたとしても、トレイ10の排出動作に起因してトラバースメカ20が退避位置に向かって上昇する際に、光ディスク200がリブ80に接触することによって、光ディスク200がスピンドルモータから外れる。従って、当該光ディスクドライブ1によれば、光ディスク200を適切にアンクランプすることができる。尚、「リブ80」は、本発明に係る「制限部材」の一例に相当する。
【0070】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光ディスク装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
1…光ディスクドライブ、10…トレイ、20…トラバースメカ、30…クランパ、40…カムスライダ、50…駆動部、60…ギア列部、70…クランパカバー