(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】取得装置及び取得システム
(51)【国際特許分類】
A01D 46/30 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
A01D46/30
(21)【出願番号】P 2020567626
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001487
(87)【国際公開番号】W WO2021144955
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2020-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520470752
【氏名又は名称】AGRIST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 潤一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】秦 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】福山 望
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲辻▼ 克海
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158248(WO,A1)
【文献】特開平11-299364(JP,A)
【文献】特開平05-049332(JP,A)
【文献】特開平01-309632(JP,A)
【文献】特開昭62-163631(JP,A)
【文献】特開平01-309608(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0133397(KR,A)
【文献】特開2012-055207(JP,A)
【文献】特開2008-206438(JP,A)
【文献】特開平06-007021(JP,A)
【文献】特開昭48-090823(JP,A)
【文献】実開昭48-047742(JP,U)
【文献】特開2012-239386(JP,A)
【文献】特開2011-206014(JP,A)
【文献】特開2017-051103(JP,A)
【文献】特開平09-294448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 46/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って配列された対象物を取得可能であり、前記対象物より高い位置に配置され、前記所定方向に沿って延びる支持部のみに支持される取得装置であって、
前記支持部に吊り下げられ、
前記対象物が農作物であって、
前記支持部に沿って移動可能であり、上下方向に移動可能であり、前記農作物を取得する取得部を備え、
前記取得部は、
前記農作物の収穫物近傍又は前記収穫物そのものを掴む把持部と、
前記把持部で掴んだ状態で、前記収穫物の近傍を切断する切断部と、
前記農作物の収穫物近傍又は前記収穫物そのものを挟持して、先端側から基端側に移動可能な取得部材と、
前記取得部材の前記先端側に配置され、前記農作物から、前記収穫物を切り離す第1切断部と、
前記取得部材の前記基端側に配置され、前記取得部材に挟持された部分と、前記収穫物を切り離す第2切断部と、を備える取得装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の取得装置と、前記支持部と、を備える取得システムであって、
前記支持部は、前記農作物が複数列で配列されている場合、第1の列に沿って延び、当該第1の列の端部で湾曲して、当該第1の列の隣の列である第2の列に延び、当該第2の列に沿って延びる取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取得装置及び取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、農業において、人手不足が深刻な問題となっている。このため、農作物の収穫作業の自動化が望まれている。
【0003】
そこで、特許文献1には、畝と畝の間の軌道上を移動し、摘果用ハンドで、果実を収穫する収穫装置が提案されている。
このような収穫装置によれば、収穫装置が軌道上を移動しながら、果実を自動で収穫できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、農作物が育成されている畑によっては、畝と畝の間が比較的狭く、軌道を設置できない場合もある。また、特許文献1の取得装置100のように、地表を移動する場合、タイヤ等が4輪以上必要となり、収穫装置が大型になり、比較的狭い畑等には導入できない場合もある。また、収穫装置が大型になると、導入費用も嵩む傾向にある。
【0006】
そこで、本発明では、上記の課題に鑑みて、比較的狭い場所でも導入可能であり、導入費用を抑えることが可能な取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1) 所定方向に沿って配列された対象物を取得可能であり、前記対象物より高い位置に配置され、前記所定方向に沿って延びる支持部のみに支持される取得装置であって、
前記支持部に吊り下げられ、
前記対象物が農作物であって、
前記支持部に沿って移動可能であり、上下方向に移動可能であり、前記農作物を取得する取得部を備え、
前記取得部は、
前記農作物の収穫物近傍又は前記収穫物そのものを掴む把持部と、
前記把持部で掴んだ状態で、前記収穫物の近傍を切断する切断部と、
前記農作物の収穫物近傍又は前記収穫物そのものを挟持して、先端側から基端側に移動可能な取得部材と、
前記取得部材の前記先端側に配置され、前記農作物から、前記収穫物を切り離す第1切断部と、
前記取得部材の前記基端側に配置され、前記取得部材に挟持された部分と、前記収穫物を切り離す第2切断部と、を備える取得装置。
【0009】
上記構成によれば、取得装置は、所定方向に沿って配列された対象物を取得可能であり、対象物より高い位置に配置され、所定方向に沿って延びる支持部に支持される。
そして、取得装置は、支持部に吊り下げられ、支持部に沿って移動可能であり、上下方向に移動可能であり、対象物を取得する取得部を備える。
【0010】
このように、取得部を備える取得装置は、支持部に吊り下げられ、支持部に沿って移動し、対象物を取得することが可能である。これにより、取得装置に自走するためのタイヤ等の車輪を設ける必要がなく、取得装置が吊り下げられた状態で移動して対象物を取得するので、全体として比較的小型化することが可能となる。
したがって、比較的狭い場所でも導入可能であり、導入費用を抑える可能な取得装置を提供できる。
【0012】
上記構成によれば、取得部は、把持部と、切断部と、を備える。
把持部は、対象物である農作物の収穫物近傍又は収穫物そのものを掴む。
切断部は、把持部で掴んだ状態で、収穫物の近傍を切断する。
【0013】
これにより、取得部により農作物から収穫物である実や果実、野菜等(以下、「実」とする)を取得する際に、まず、実近傍の果梗(花梗、果柄、花柄、小果梗等)または周辺の茎(以下、「果梗」とする)を、把持部で掴んでから、切断部で果梗を切断する。または、収穫物である実そのものを、把持部で掴み、切断部で果梗を切断する。これにより、農作物から実を取得した後に、実が落下して地表等に衝突し、実が傷んでしまうのを防止できる。
また、実のついた果梗をむしり取ると、農作物に負担がかかるが、把持部で果梗又は収穫物を掴んだ状態で、切断部で果梗を切断するので、農作物に余計な負担をかけるのを防止できる。
【0015】
上記構成によれば、取得部は、取得部材と、第1切断部と、第2切断部と、を備える。
取得部材は、対象物が農作物であって、当該農作物の収穫物近傍又は収穫物そのものを挟持して、先端側から基端側に移動可能である。
第1切断部は、取得部材の先端側に配置され、農作物から、収穫物を切り離す。
第2切断部は、取得部材の基端側に配置され、取得部材に挟持された部分と、収穫物を切り離す。
【0016】
ここで、農作物の収穫物(例えば、実)を出荷する際、実から延びる果梗が長い状態だと、他の実に傷を付ける可能性もあり、この状態で出荷することができない。
(1)の発明によれば、第1切断部により農作物から、収穫物を切り離した後、取得部材で挟持している収穫物近傍(例えば、果梗等)を、第2切断部により収穫物(例えば、実)から切り離す。
これにより、収穫物の果梗を取ることが可能となるので、収穫後、果梗を取る作業をせずに出荷できるので、農作業の負担を軽減することが可能となる。
【0017】
(2) (1)に記載の取得装置と、前記支持部と、を備える取得システムであって、
前記支持部は、前記農作物が複数列で配列されている場合、第1の列に沿って延び、当該第1の列の端部で湾曲して、当該第1の列の隣の列である第2の列に延び、当該第2の列に沿って延びる取得システム。
【0018】
これにより、対象物を取得する取得部を備える取得装置は、第1の列の対象物を取得したら、第1の列の隣の列である第2の列に移動し、第2の列の対象物を取得することが可能となる。このため、対象物が複数列で配列されている場合でも、複数列に亘って連続的に対象物を取得することが可能となり、取得の作業効率を向上できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、比較的狭い場所でも導入可能であり、導入費用を抑える可能な取得装置を提供を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る取得システムの概要を説明する図である。
【
図2】
図2は、本発明の好適な実施形態に係る取得システムを適用した畑を上から見た概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の本体を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の取得部を説明する図である。
【
図5】
図5は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の取得部の変形例を説明する図である。
【
図6】
図6は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の取得部の変形例を説明する図である。
【
図7】
図7は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の収容部材を説明する図である。
【
図8】
図8は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の収容部材を説明する図である。
【
図9】
図9は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の収容部材を説明する図である。
【
図10】
図10は、本発明の好適な実施形態に係る制御部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
例えば、以下の実施形態の説明では、取得する対象物として、農作物から収穫する実等の収穫物を一例として説明するが、本発明の取得装置及び取得システムは、農作物から収穫物を収穫する場合に限らず、医療で使用される薬品、物流の荷物等のように、複数の対象物が所定方向に沿って配列され、この配列された複数の対象物から所望する対象物を取得する状況で用いることができる。
【0022】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る取得システムの概要を説明する図である。
図2は、本発明の好適な実施形態に係る取得システムを適用した畑を上から見た概略図である。
【0023】
取得システム1は、所定方向に沿って植えられた農作物Cの収穫物Fを取得する。
ここで、
図2に示すように、畑は、農作物Cが一定の間隔で、所定方向に沿って植えられた条Sが、所定間隔で複数列設けられている。また、取得システム1は、農作物のうち、特に、地表より上方に延び、地表より上に収穫物を付ける、例えば、ピーマン、トマト、ミカン、イチゴ、ナス、キュウリ等の野菜や果物の取得に用いられる。
取得システム1は、支持部5と、取得装置10と、を備える。
【0024】
支持部5は、地表から立設する支柱や、ビニールハウスの構造体やこの構造体に取り付けられた部材に支持され、農作物の収穫物より高い位置に配置されたワイヤで構成され、条Sが延びる所定方向に沿って延びている。
【0025】
また、支持部5は、
図2に示すように、農作物Cの条Sが複数列(
図2に示す例では、S1~S4)で植えられている場合、第1の列(例えば、条S1)に沿って延び、当該第1の列の端部で湾曲して、当該第1の列の隣の列である第2の列(例えば、条S2)に延び、当該第2の列に沿って延びている。
【0026】
図1に戻って、取得装置10は、支持部5に吊り下げられており、本体20と、本体20の少なくとも一部を覆うカバー30と、を備える。
【0027】
図3は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の本体を説明する図である。
本体20は、縦部材21と、吊り下げ部材22と、取得部材23と、収容部材24と、を備える。また、本体20は、
図3では図示を省略しているが、制御部50(後述する
図10参照)と、取得装置10を駆動するための電源となるバッテリを備える。
【0028】
縦部材21は、上下方向に延びる長尺体で形成され、カバー30(
図1参照)が取り付けられる。
【0029】
吊り下げ部材22は、支持部5に係合する係合部221と、係合部221の下に設けられ、縦部材21の上端に連結され、上下方向に延びる軸を中心に縦部材21を回転する回転部222と、を備える。
【0030】
係合部221は、支持部5に係合するローラと、制御部50に制御され、ローラを、支持部5が延びる方向と直交する方向に延びる軸を中心に回転させるワイヤ移動モータ221aと、これらの部材を支持する支持部材と、を備える。
図3に示す例では、係合部221は、支持部5の上に2つのローラを配置しているが、これに限らず、例えば、4つのローラを配置してもよいし、支持部5の下にもローラを配置し、支持部5をローラで挟むようにしてもよい。
【0031】
回転部222は、係合部221の支持部材に連結されたベース部と、ベース部に固定され、制御部50に制御され、縦部材21を、上下方向に延びる軸を中心に回転させる回転モータ222aと、縦部材21の上端が接続され、回転モータ222aの回転を縦部材21に伝達する伝達部と、を備える。
【0032】
取得部材23は、移動部230と、取得部40と、を備える。
移動部230は、上下移動部231と、前後移動部232と、を備える。
上下移動部231は、縦部材21に、上下方向(縦部材21が延びる方向)に沿って移動可能に係合する上下移動用ベースと、上下移動用ベースに回転自在に取り付けられ、外表面が縦部材21に接し、縦部材21が延びる方向と直交する軸を中心に回転するローラと、制御部50に制御され、このローラを回転させる上下移動モータ231aと、を備える。
【0033】
前後移動部232は、上下移動部231の上下移動用ベースに固定された前後移動用ベースと、前後移動用ベースに、前後方向に沿って移動可能に係合する長尺体である横部材232aと、前後移動用ベースに回転自在に取り付けられ、外表面が横部材232aに接し、横部材232aが延びる方向と直交する軸を中心に回転するローラと、制御部50に制御され、このローラを回転させる前後移動モータ232bと、を備える。
【0034】
図4は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の取得部を説明する図である。
取得部40は、取得ベース41と、把持部42と、切断部43と、カメラ60と、を備える。
取得ベース41は、横部材232aの前端(
図1に示す農作物Cが植えられた方向の端部)に固定されている。
【0035】
把持部42は、農作物Cの収穫物F近傍の果梗FS又は収穫物Fそのものを掴む。詳細には、把持部42は、一対の把持部材420と、制御部50に制御され、把持部材420を駆動する把持部モータ420aと、を備える。
【0036】
把持部材420は、略円柱形状の外周に歯が形成されたギア421と、ギア421の外周の一部が前方向に突出した軸422と、を備える。
把持部42は、一対の把持部材420のギア421の歯が互いに係合し、把持部モータ420aにより、上下方向に延びる軸を中心に、互いに反対方向に回動することで、一対の軸422が互いに離間する開放状態から、一対の軸422が互いに近接する把持状態(
図4に示す状態)に変位可能である。このような構成により、把持部42は、開放状態から把持状態に変位することで、収穫物F近傍の果梗FS又は収穫物Fそのものを掴むことができる。
【0037】
切断部43は、把持部42で掴んだ果梗FS(収穫物F近傍)を切断する。詳細には、切断部43は、回動部431と、回動部431に着脱自在に取り付けられるブレード432と、制御部50に制御され、回動部431を駆動する切断部モータ431aと、を備える。
回動部431は、切断部モータ431aにより、上下方向に延びる軸を中心に回動する。
ブレード432は、一対の把持部材420の軸422の近傍において、軸422が延びる方向に延び、回動部431の回転方向に刃が形成されている。
切断部43は、回動部431が回動することで、ブレード432の刃が、把持状態の一対の軸422近傍を通過するように配置されている。このような構成により、切断部43は、把持部42により掴まれた果梗FSを切断する。
【0038】
図5及び
図6は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の取得部の変形例を説明する図である。
図5は、変形例に係る取得部70を斜め上方から視た図である。
図5は、変形例に係る取得部70を斜め下方から視た図である。
変形例に係る取得部70は、一対の取得部材70R,70Lを備える。一対の取得部材70R,70Lは互いに対向する対向面70r,70lをそれぞれ有する。取得部70は、収穫物Fを、一対の取得部材70R,70Lの対向面70r,70lの間で、収穫物Fの果梗FS(収穫物F近傍)を挟みながら、先端側から基端側に引き込む。
【0039】
一対の取得部材70R,70Lは、それぞれ、取得ベース71と、複数の主ローラ72と、複数の補助ローラ73と、無端ベルト74と、を備える。
取得ベース71は、横部材232aの前端(
図1に示す農作物Cが植えられた方向の端部)に基端側が固定されている。取得ベース71は、基端側から先端側に向かって、上面から見た幅が狭くなる形状(例えば、略三角形形状等)に形成されている。これにより、農作物Cの葉等をかいくぐり、収穫物Fに近接しやすくなる。
【0040】
複数の主ローラ72は、取得ベース71の外周の頂点位置に、それぞれ回転自在に設けられている。主ローラ72は、外縁が取得ベース71の外周より突出するように配置されている。複数の主ローラ72のいずれかは、把持部モータ420a(
図10参照)の駆動により回転する。また、複数の主ローラ72のいずれかは、把持部モータ420aの駆動を伝達するギア部材により回転してもよい。取得部材70Rの主ローラ72と、取得部材70Lの主ローラ72とは、制御部50による把持部モータ420aの制御により、互いに逆方向に回転する。
【0041】
複数の補助ローラ73は、取得ベース71の対向面70r,70lに設けられている。ここで、取得部70は、収穫物Fを、対向面70r,70lの間で、収穫物Fの果梗FSを挟みながら、先端側から基端側に引き込む。複数の補助ローラ73を対向面70r,70lにそれぞれ配置することで、対向面70r,70lの間の保持力を維持することが可能となる。
【0042】
無端ベルト74は、複数の主ローラ72及び複数の補助ローラ73に巻き回されている。無端ベルト74は、例えば、ゴム等の表面の摩擦係数が比較的高い素材で形成されている。また、無端ベルト74の外表面には、凹凸を形成してもよい。この場合、取得部材70Rの凹凸と、取得部材70Lの凹凸とが、対向面70r,70lで噛み合うのが望ましい。また、無端ベルト74の凹凸の寸法は、収穫物Fに応じて、任意に決めることができる。
【0043】
また、取得部70は、対向面70r,70lの間にまたがる第1切断部75及び第2切断部76を備える。
第1切断部75は、
図5に示すように、取得部70の上面の先端側に、一対の取得部材70R,70Lの取得ベース71に固定されている。第1切断部75は、先端側に、先端側から基端側に向かって傾斜する刃を有する。
第2切断部76は、
図6に示すように、取得部70の下面の基端側に、一対の取得部材70R,70Lの取得ベース71に固定されている。第2切断部76は、先端側に、先端側から基端側に向かって傾斜する刃を有する。第1切断部75の刃と第2切断部76の刃の傾斜する方向は、互いに逆方向であることが望ましい。
【0044】
以上の構成により、取得部70は、以下のように動作する。
取得部70は、制御部50による把持部モータ420aの制御により、一対の取得部材70R,70Lの複数の補助ローラ73が互いの方向に向かって回転し、一対の取得部材70R,70Lの無端ベルト74が、先端側において、外側から対向面70r,70lに向かう方向(
図5に示す矢印の方向)に回転する。
取得部70は、この状態で、対向面70r,70lの間に収穫物Fの果梗FSがくる位置に配置される。すると、収穫物Fの果梗FSが、一対の取得部材70R,70Lの無端ベルト74により引き込まれ、基端側がに移動される。これにより、果梗FSが、第1切断部75の刃に押しつけられ、切断され、
図5に示す状態となる。
その後、収穫物Fは、一対の取得部材70R,70Lの無端ベルト74に挟まれた状態で、さらに、基端側に移動され、
図6に示すように、第2切断部76の刃に果梗FSが押しつけられ、切断され、下方に落下する。
【0045】
図4に戻って、カメラ60は、取得ベース41に固定されており、制御部50に制御され、条S、農作物C、収穫物Fを撮像する。なお、カメラ60は、条S、農作物C、収穫物Fを撮像できれば、取得部40でなく、例えば、吊り下げ部材22に固定してもよい。
【0046】
図3に戻って、収容部材24は、縦部材21の下端に設けられ、取得部40で取得された収穫物Fを収容する。
図7、
図8及び
図9は、本発明の好適な実施形態に係る取得装置の収容部材を説明する図である。
図7は、収容部材24を斜め上方から視た図である。
図8及び
図9は、収容部材24を斜め下方から視た図である。また、
図8は収容部材24が閉じた状態を示し、
図9は収容部材24が開いた状態を示している。
【0047】
収容部材24は、容器部241と、固定底242と、移動底243と、駆動部244と、を備える。
容器部241は、少なくとも上方が開放された箱形状に形成され、
図3に示すように、支持部材を介して、縦部材21の下端に取り付けられている。
【0048】
固定底242は、容器部241において上下方向に貫通する開口24aを残した底を形成し、容器部241の上端近傍から下り傾斜して容器部241に固定されている。
【0049】
移動底243は、駆動部244により、固定底242の下面にスライド移動可能に設けられ、固定底242と略平行に設けられている。
【0050】
駆動部244は、ガイド部244aと、レール部244bと、ローラ244cと、収容部材モータ244dと、を備える。
【0051】
ガイド部244aは、固定底242の下面に設けられ、固定底242の傾斜方向に延び、移動底243をスライド移動可能に支持する。
【0052】
レール部244bは、容器部241の内側側面に設けられ、ガイド部244aに沿って延びている。
【0053】
ローラ244cは、移動底243の下面に軸が固定され、外周面がレール部244bと係合し、制御部50(
図10参照)の制御された収容部材モータ244dの駆動により、回転する。これにより、制御部50(
図10参照)の制御により収容部材モータ244dが駆動し、ローラ244cが回転することで、移動底243がレール部244bに沿って移動する。
【0054】
以上の構成により、収容部材24は、以下のように動作する。
収容部材24は、
図8に示す閉じた状態において、取得部40で取得された収穫物Fを容器部241内部に収容する。そして、例えば、容器部241内部が一杯になった場合には、収容部材モータ244dが制御部50(
図10参照)の制御により駆動し、ローラ244cが回転し、レール部244bに沿って移動すると、これに伴い、移動底243が固定底242の下に移動し、開口24aが開放され、
図9に示す状態となり、容器部241内部に収容されていた収穫物Fが下方に落下する。
【0055】
図1に戻って、カバー30は、少なくとも制御部50(
図10参照)やバッテリを覆い、横部材232aが上下方向に移動可能な挿通孔30aが形成されたボディ31と、最下部に形成され、上方が開放された器形状に形成され、取得された収穫物Fを貯留可能なバケット32と、から形成されている。バケット32の下部には、バケット32に貯留された収穫物Fを下方に放出するための開閉可能な放出口が設けられている。
【0056】
図10は、本発明の好適な実施形態に係る制御部の機能ブロック図である。
制御部50は、解析手段51と、移動位置特定手段52と、前後位置特定手段53と、取得部制御手段54と、送受信手段55と、を備え、取得装置10の動作を制御する。また、制御部50には、カメラ60と、ワイヤ移動モータ221aと、回転モータ222aと、上下移動モータ231aと、前後移動モータ232bと、把持部モータ420aと、切断部モータ431aと、収容部材モータ244dと、が通信可能に接続されている。
【0057】
解析手段51は、カメラ60で撮像された条S、農作物C、収穫物Fの画像を解析し、収穫物Fがなっているか否かを判定する。詳細には、解析手段51は、カメラ60で撮像された画像に対し、例えば、公知の技術であるディープラーニングとパターンマッチングを併用し、検出確度が、所定の閾値を超えたか否かにより、収穫物Fがなっているか否かを判定する。
【0058】
移動位置特定手段52は、解析手段51により、収穫物Fがなっていると判定された場合、当該収穫物Fを目標とし、カメラ60で撮像可能な画角のうち、所定の画角内に、目標が入るように、取得部40を移動させる。詳細には、移動位置特定手段52は、ワイヤ移動モータ221aの駆動を制御することで、支持部5が延びる方向(
図2に示す条Sが延びる方向)に、取得装置10を移動させ、目標に対する取得部40のY方向(
図3参照)の位置を合わせる。また、移動位置特定手段52は、上下移動モータ231aの駆動を制御することで、上下方向に、取得部材23を移動させ、目標に対する取得部40のZ方向(
図3参照)の位置を合わせる。
【0059】
前後位置特定手段53は、移動位置特定手段52により、目標に対する取得部40のY方向(
図3参照)及びZ方向(
図3参照)の位置合わせが行われたら、カメラ60により収穫物Fを撮像し、収穫物Fの画像を点群データとして取得し、目標である収穫物Fの大きさと、収穫物Fまでの距離を計測する。
【0060】
そして、前後位置特定手段53は、計測した収穫物Fの大きさが、予め設定された大きさ(例えば、収穫物Fの種類に応じて予め設定されるSサイズ、Mサイズ、Lサイズ等)であれば、前後移動モータ232bの駆動を制御することで、計測した距離に基づき、目標に対する取得部40のX方向(
図3参照)の位置を合わせる。
【0061】
また、前後位置特定手段53は、カメラ60により、収穫物Fとともに、一対の把持部材420の軸422の先端の画像を取得し、軸422の先端と収穫物Fの位置との差を検出し、ワイヤ移動モータ221a、回転モータ222a、上下移動モータ231a又は前後移動モータ232bの駆動を制御することで、収穫物F近傍の果梗FSが、一対の軸422の間に入るように、取得部40の位置補正を行う。
【0062】
取得部制御手段54は、前後位置特定手段53により、収穫物F近傍の果梗FSが、一対の軸422の間に入るように、取得部40の位置補正を行ったら、把持部モータ420aの駆動を制御することで、一対の軸422を、開放状態から把持状態に変位させ、収穫物F近傍の果梗FSを一対の軸422に掴ませる。
【0063】
そして、取得部制御手段54は、収穫物F近傍の果梗FSを一対の軸422に掴ませたら、切断部モータ431aの駆動を制御することで、切断部43のブレード432を回動させ、一対の軸422に掴ませた果梗FSを切断する。これにより、
図4に示す状態となる。
【0064】
また、前後位置特定手段53は、取得部制御手段54が切断部43のブレード432を回動させたら、前後移動モータ232bの駆動を制御することで、収穫物Fを掴んだ取得部40を、X方向(
図3参照)において、農作物Cから離れる方向(縦部材21に近接する方向)に移動させ、カバー30のバケット32の上方に配置する。
【0065】
そして、取得部制御手段54は、前後位置特定手段53が、収穫物Fを掴んだ取得部40を、バケット32の上方に配置したら、把持部モータ420aの駆動を制御することで、一対の軸422を、把持状態から開放状態に変位させ、収穫物Fをバケット32内に落下させる。
【0066】
送受信手段55は、外部装置(例えば、ユーザに操作される端末等)に、例えば、所定のタイミングで、取得した収穫物Fの数(切断部モータ431aの駆動回数)や、取得装置10の位置情報(例えば、初期位置に対し、ワイヤ移動モータ221aの駆動に基づく移動距離から算出した位置情報等)等を送信してもよい。また、送受信手段55は、外部装置から、取得する収穫物Fの大きさを示す設定や、取得装置10の駆動タイミングを示す情報や、解析手段51や前後位置特定手段53の判定時に参照される基準データ等を受信してもよい。
【0067】
制御部50は、図示しないプロセッサ、メモリ、ストレージ、通信部を備え、これらはバスにより接続されている。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリに記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。メモリは、CPUにより実行されるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。
【0068】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態及び変形例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態及び変形例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
1 取得システム
5 支持部
10 取得装置
20 本体
21 縦部材
22 吊り下げ部材
23 取得部材
24 収容部材
24a 開口
30 カバー
30a 挿通孔
31 ボディ
32 バケット
40 取得部
41 取得ベース
42 把持部
43 切断部
50 制御部
51 解析手段
52 移動位置特定手段
53 前後位置特定手段
54 取得部制御手段
55 送受信手段
60 カメラ
70 取得部
70L 取得部材
70R 取得部材
70l 対向面
70r 対向面
71 取得ベース
72 主ローラ
73 補助ローラ
74 無端ベルト
75 第1切断部
76 第2切断部
100 取得装置
221 係合部
221a ワイヤ移動モータ
222 回転部
222a 回転モータ
230 移動部
231 上下移動部
231a 上下移動モータ
232 前後移動部
232a 横部材
232b 前後移動モータ
241 容器部
242 固定底
243 移動底
244 駆動部
244a ガイド部
244b レール部
244c ローラ
244d 収容部材モータ
420a 把持部モータ
420 把持部材
420a 把持部モータ
421 ギア
422 軸
431 回動部
431a 切断部モータ
432 ブレード
C 農作物
F 収穫物
FS 果梗
S 条