(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】直接差し込みコネクタ用の接点及び直接差し込みコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/58 20110101AFI20220509BHJP
H01R 4/64 20060101ALI20220509BHJP
H01R 4/2452 20180101ALI20220509BHJP
H01R 4/2466 20180101ALI20220509BHJP
【FI】
H01R12/58
H01R4/64 Z
H01R4/2452
H01R4/2466
(21)【出願番号】P 2020571470
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2019066152
(87)【国際公開番号】W WO2019243401
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】102018210237.6
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515278949
【氏名又は名称】ビュルト エレクトロニク アイソス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100169856
【氏名又は名称】尾山 栄啓
(72)【発明者】
【氏名】アン-グエン グエン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル キュブラー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ブロトベック
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-67566(JP,U)
【文献】特開昭57-53074(JP,A)
【文献】特表2019-516223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/58
H01R 4/2452
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入部と接触部に互いに隣接して配置されたシートメタル材料からなる2つのストリップを備えた直接差し込みコネクタ用の接点であって、前記導入部は回路基板の内壁が導電性の貫通孔に導入するために設けられ、また前記接触部は貫通孔の内壁と電気的に接触するために設けられており、前記2つのストリップはケーブルストランドと接続するために設けられた接続部で互いに接続されていて、前記接続部と前記接触部との間に結合部があるものにおいて、前記2つのストリップは前記結合部でL字形に形成されており、前記接触部と結合された前記結合部の脚は互いに向かって延びて
おり、
前記2つのストリップは、前記結合部と前記導入部で共通平面内にあることを特徴とする接点。
【請求項2】
前記接触部と結合された前記結合部の脚は、互いに整列して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の接点。
【請求項3】
前記接続部と、前記結合部の前記2つのストリップのそれぞれの内側の側縁との間にそれぞれ1つの円弧状の湾曲部が設けられており、内側の側縁は互いに向き合っていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の接点。
【請求項4】
前記2つのストリップは前記接触部において前記結合部と前記導入部の共通平面内にあることを特徴とする、請求項
1から3のいずれか一項に記載の接点。
【請求項5】
前記接続部は、前記結合部と共通平面内にあって前記2つのストリップを結合している板状の領域を有することを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の接点。
【請求項6】
前記接続部が圧接接続部を有することを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の接点。
【請求項7】
前記接点は、面状シートメタル材料から一体的に製造されていることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の接点。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの接点と、当該接点を収容するためのハウジングとを有する直接差し込みコネクタであって、前記導入部と前記接触部を回路基板の貫通孔に導入する際に前記結合部のばね運動が可能になるように、前記接点がハウジング内に遊びを持たせて収容されているようにした直接差し込みコネクタ。
【請求項9】
前記接点が差し込み方向に対して垂直な方向で遊びを持たせて前記ハウジング内に収容されていることを特徴とする、請求項
8に記載の直接差し込みコネクタ。
【請求項10】
導入部と接触部に互いに隣接して配置されたシートメタル材料からなる2つのストリップを備えた直接差し込みコネクタ用の接点であって、前記導入部は回路基板の内壁が導電性の貫通孔に導入するために設けられ、また前記接触部は貫通孔の内壁と電気的に接触するために設けられており、前記2つのストリップはケーブルストランドと接続するために設けられた接続部で互いに接続されていて、前記接続部と前記接触部との間に結合部があるものにおいて、前記2つのストリップは前記結合部でL字形に形成されており、前記接触部と結合された前記結合部の脚は互いに向かって延びており、
前記接続部と、前記結合部の前記2つのストリップのそれぞれの内側の側縁との間にそれぞれ1つの円弧状の湾曲部が設けられており、内側の側縁は互いに向き合っていることを特徴とする接点。
【請求項11】
導入部と接触部に互いに隣接して配置されたシートメタル材料からなる2つのストリップを備えた直接差し込みコネクタ用の接点であって、前記導入部は回路基板の内壁が導電性の貫通孔に導入するために設けられ、また前記接触部は貫通孔の内壁と電気的に接触するために設けられており、前記2つのストリップはケーブルストランドと接続するために設けられた接続部で互いに接続されていて、前記接続部と前記接触部との間に結合部があるものにおいて、前記2つのストリップは前記結合部でL字形に形成されており、前記接触部と結合された前記結合部の脚は互いに向かって延びており、
前記接続部は、前記結合部と共通平面内にあって前記2つのストリップを結合している板状の領域を有することを特徴とする接点。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導入部と接触部に互いに隣接して配置されたシートメタル材料からなる2つのストリップを備えた直接差し込みコネクタ用の接点において、導入部は回路基板の内壁が導電性の貫通孔に導入するために設けられ、また接触部は貫通孔の内壁と電気的に接触するために設けられており、両ストリップはケーブルストランドと接続するために設けられた接続部で互いに接続されていて、接続部と接触部との間に結合部があるものに関する。本発明はまた、少なくとも1つの本発明による接点を備えた直接差し込みコネクタに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、直接差し込みコネクタ用の接点及び直接差し込みコネクタを差し込み方向で従来の接点と比較して短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
このために本発明によれば、請求項1の特徴を備えた接点と、請求項9の特徴を備えた直接差し込みコネクタが提供される。本発明の有利な変形例が、従属請求項に記載されている。
【0004】
本発明による直接差し込みコネクタ用の接点は、導入部と接触部に互いに隣接して配置されたシートメタル材料からなる2つのストリップを備える。導入部は、内壁が導電性の回路基板の貫通孔に導入するために設けられている。接触部は、貫通孔の内壁と電気的に接触するために設けられている。両ストリップは、ケーブルストランドと接続するために設けられた接続部で互いに接続されている。接続部と接触部との間に結合部がある。両ストリップは結合部でL字形に形成されている。接続部を起点とする結合部の脚は互いに平行に延びることができる。接触部と結合された結合部の脚は互いに向かって延びている。
【0005】
接点のこのような幾何学的構成により、接点を差し込み方向で従来の接点と比較して短くすることができる。それにもかかわらず結合部をL字形に形成することによって、接点を回路基板の貫通孔に導入する際に確実な電気的接触を達成するために、接点の十分なばね作用が得られる。両ストリップは、結合部で共通平面内にあることができる。このようにすることにより接点は非常に簡単に製造できる。なぜなら両ストリップを結合部で打ち抜くだけで、さらに曲げる必要がないからである。
【0006】
本発明の変形例において、接触部と結合された結合部の脚は、互いに整列して配置されている。その結果、接触部と結合された脚は互いに向かって延び、同じ共通平面内に配置されている。このようにすることにより両ストリップのばね特性に関して対称的な関係を実現できる。
【0007】
本発明の変形例において、接続部と、結合部の両ストリップのそれぞれの内側の側縁との間にそれぞれ1つの円弧状の湾曲部が設けられており、内側の側縁は互いに向き合っている。
【0008】
このような円弧状の湾曲部によって、接続部に対して変形が発生した場合に両ストリップのばね定数が調整される。湾曲部の形状及び/又は湾曲部の頂点の位置を変更して、別のばね定数を得ることができる。
【0009】
本発明の変形例において、両ストリップは、結合部と導入部で共通平面内にある。
【0010】
本発明の変形例において、両ストリップは接触部において結合部と導入部の共通平面内にある。
【0011】
本発明の変形例において、接続部は、結合部と共通平面内にあって両ストリップを結合している板状の領域を有する。
【0012】
このようにして接点は面状シートメタル材料から簡単に製造できる。
【0013】
本発明の変形例において、接続部は圧接接続部を有する。
【0014】
このような圧接接続部は、例えばプレート状の領域を起点として4つの突起を90°上向きに曲げると、それぞれ2つの突起がそれらの間に圧接を生み出すことによって簡単に実現できる。
【0015】
本発明の変形例において、接触は、面状シートメタル材料から一体的に製造されている。
【0016】
本発明による接点は、単純なスタンピング工程及び必要に応じてその後の曲げ工程によって、面状シートメタル材料から製造できる。曲げ工程は、そこで例えば圧接接続部、又は圧着接続部、又は他の方法で形成された接続部を製造する場合に必要である。
【0017】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明による接点と、当該接点を収容するためのハウジングとを有する直接差し込みコネクタであって、導入部と接触部を回路基板の貫通孔に導入する際に結合部のばね運動が可能になるように、接点がハウジング内に遊びを持たせて収容されているようにした直接差し込みコネクタに関する。
【0018】
接点を遊びを持たせて収容することにより、回路基板の貫通孔に導入する際に接触領域がわずかに偏向できることが確保される。この遊びを持たせた収容は、結合部の領域で行われると有利である。接触部と導入部はハウジングの外部にあり、回路基板の貫通孔に挿入する際に結合部が変形若しくは運動することにより、導入部と接触部のばね運動が可能になる。対照的に接点は接続部の領域でハウジングに対して固定することができる。
【0019】
本発明の変形例において、接点は差し込み方向に対して垂直な方向で遊びを持たせてハウジング内に収容されている。
【0020】
このようにして接触部と導入部のばね運動が可能になるだけでなく、同時に接続部の領域でも接点がある程度動けるようになっている。このことは、例えば圧接接点として形成された接続部にケーブルストランドを特に簡単に導入するために利用できる。特に複数のケーブルストランドが同時に設置され接続される場合に、ハウジング内部の接点の可動性によりケーブルストランドの確実な設置が容易になる。
【0021】
本発明のその他の特徴及び利点は、特許請求の範囲及び本発明の好ましい実施形態の以下の説明から図面と併せて明らかになる。図示された種々異なる実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲を超えることなく任意の方法で互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明による直接差し込みコネクタを斜め下から見た図である。
【
図2】
図2は、
図1の直接差し込みコネクタを回路基板に差し込んだ状態で示す図である。
【
図3】
図3は、
図2の直接差し込みコネクタを示しており、ハウジングが消されて直接差し込みコネクタの接点のみが示されている。
【
図4】
図4は、
図3の接点及び回路基板を別の視線方向から示す図である。
【
図7】
図7は、
図5及び
図6の接点を直接差し込みコネクタのハウジングに組み入れた状態で示す図である。
【
図8】
図8は、
図7のハウジング及び接点を回路基板の貫通孔に差し込んだ状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、ハウジング12を備えた直接差し込みコネクタ10を斜め下から見た図である。接点14は、ハウジングから一部突出している。接点14の2つのストリップ16、18がハウジングから突出し、ストリップ16からは導入部20と接触部22が、ストリップ18からは導入部24と接触部26がハウジングから突出しているのが見える。
【0024】
ハウジング12は接点14も突出しているその下側に、2つの位置決め突起28、30と係止フック32を有している。位置決め突起28、30と係止フック32は、ハウジング12及びまた接点14を回路基板の貫通孔に対して位置合わせするために、回路基板の嵌合する貫通孔に導入されるように設けられており、貫通孔はその内壁が導電性に形成されていて、接点14を介して電気接続が確立されるようになっている。係止フック32は、ハウジングと接点14を回路基板に保持するために設けられている。
【0025】
図2は、直接差し込みコネクタ10を回路基板34に差し込まれた状態で示している。このとき接点14は、回路基板の貫通孔36に差し込まれており、貫通孔36は既に述べたように内側が導電性に形成されていて、回路基板34上又は回路基板34内の導体トラック(図示せず)と電気的に接続されている。位置決め突起28、30はそれぞれ部分的に回路基板34の別の嵌合する貫通孔に受容されている。係止フック32も回路基板34内の嵌合する貫通孔に受容されている。係止フックは、貫通孔の後面と係合して、直接差し込みコネクタ10が
図2で回路基板34から上方に抜き取ることができないようにする。
図2の表現では接点14の接触部18、22は見えず、貫通孔36の内壁に当接している。
【0026】
図3は、
図2と比較可能な表現を示しているが、直接差し込みコネクタのハウジング12は完全に省略されている。ここでは、接点14がその接触部18、22だけが回路基板の貫通孔36内に配置されていることが分かる。両導入部20、24は、回路基板34の下方に配置されており、以下に説明する接点14の他の要素は、回路基板34の上方でハウジング12内に配置されている。
【0027】
図4は、接点14と回路基板34を正面図で示している。図示の実施形態では接点14は、面状シートメタル材料から一体的に作られ、接続領域40を有する。接続領域40はプレート状部42を有し、その上側と下側ではそれぞれ2つの突起44a、44b若しくは44c、44dが垂直に、
図4の表現では図示の平面から観察者の方向に曲げられている。それぞれ2つの突起44a、44b若しくは44c、44dの間にスロットが形成されている。それにより接続領域40は圧接接点として形成されており、ケーブルストランドは、一方では突起44aと44bの間のスロットに、他方では44cと44dの間のスロットに導入することができる。次にケーブルストランドが
図4で図示の平面に向かってプレート状部42の方向に圧縮されると、ケーブルストランドの絶縁が切断されて導電性ケーブルコアと接点14との間に電気接続が作られている。接続領域40は本発明の枠内で、例えば圧着接続部として、又は他の既知の方法で形成することもできる。
【0028】
図4では接続領域40を起点として2つのストリップ46、48が下方の回路基板34の方向に延びている。次いで両ストリップ46、48は直角に角度が付けられている。それによって両ストリップ46、48はいずれもL字形に形成されている。L字形に形成された両ストリップ46、48は、結合領域50を形成する。
【0029】
結合領域50に接触領域60が続いており、ここに
図4では部分的に覆われている接点14の接触領域22若しくは26が配置されている。接触領域22、26が回路基板34によって覆われている領域では、これらは破線で示されている。
【0030】
次に、回路基板の下方に接点14の導入領域70が配置されている。既に述べたように、この導入領域には導入部20及び24がある。
【0031】
結合領域50で両ストリップ46、48は、最初にプレート状領域42から始まり、共通平面内で互いに平行に延びている。次に、L字形ストリップ46、48のそれぞれの第2の脚は互いに向かって延び、同様に共通平面内に配置されている。それから接触領域60における接触部22、26は、再びストリップ46、48の第2の脚に対して直角に配置されており、これらも同様に共通平面内に配置されている。本発明の枠内で、接触部22、26は必ずしもストリップ46、48と共通平面内に配置される必要はなく、接触部22、26は、例えばストリップ46、48に対してねじられるか、又は他の方法で共通平面の外部に配置することもできる。
【0032】
次に、導入領域70で両導入部20、24は、再び共通平面内にある。
【0033】
既に
図4から分かるように、接点14を回路基板34の貫通孔に導入する際に、両接触部22、26は内方に、即ち
図4で互いに向かってばね状に動くことができる。このために両ストリップ46、48は、接続領域40のプレート状部42と結合している第1の脚の領域で内方に偏向されている。このばね運動のばね定数は、とりわけストリップ46とプレート状部42との間の移行部、若しくはストリップ48とプレート状部42との間の移行部によって規定される。図示の実施形態では、接続領域40のプレート状部42とそれぞれ内側にある側縁56若しくは58との間に円弧状の湾曲部66若しくは68がある。これらの円弧状の湾曲部66の位置と形状によって、ストリップ46若しくは48がプレート状部42に対して偏向する際のばね力を調整できる。例えば
図4の表現で円弧状の湾曲部66、68を少し上にずらすと、ストリップ46、48とプレート状領域42との間のばね定数が小さくなり、その結果としてストリップ46、48は
図4に示された実施形態よりも容易に内側に偏向することができる。
【0034】
図4から、結合領域50を従来の直接差し込み接点よりも大幅に短く設計できることが分かる。これは両ストリップ46、48がそれぞれL字形に形成されているためである。それにもかかわらず、両ストリップ46、48の十分に大きいばね運動が可能であり、接点14を回路基板34の貫通孔に導入する際に最初に導入部20、24が、次に接触部22、26が互いに向かって内方に動き、それによって確実な導入と、最終的に確実な電気的接触を実現することができる。
【0035】
図5は、接点14を斜め上から見た図である。接点14は、一片の面状シートメタル材料から一体的に形成されている。シートメタル材料は、最初に打ち抜かれるか、又はレーザ加工され、次に圧接接点を形成するためにプレート状領域42から突起44a~44dを垂直上向きに曲げる。
【0036】
【0037】
図7は、部分的に開いたハウジング12内の接点14を示している。突起44a及び44bは、
図7では上側に配置されているそれらの側面で、ハウジング12の内壁に当接していることが分かる。接点14が回路基板の貫通孔に押し込まれると、それによって発生する挿入力は突起44a、44bを介して吸収されてハウジング12に伝えることができる。
【0038】
突起44c、44dは、
図7では下側に配置された側面で、ハウジング12の突起82a、82bの上に載っている。ハウジング12を回路基板から引き抜く場合、発生する引張力は
図7で上側に配置されている突起82a、82bの側面を介して突起44c、44dに伝えることができ、その結果接点14は回路基板の貫通孔から引き抜くことができる。
【0039】
図8は、接点14及びハウジング12を正面から見た図であり、接点14は回路基板34の貫通孔に差し込まれている。
【0040】
この図で分かるように、接点14の接続領域40は、既に上で説明したように、一方では突起44a、44bによって差し込み方向に遊びなく、他方では突起44c、44dによって差し込み方向と反対方向に遊びなくハウジング12内に収容されている。これに対して横方向、即ち回路基板34に対して平行な方向で、接点14は遊びを伴い、したがって横方向に変位可能にハウジング12内に収容されている。このことは、プレート状部42の左側縁とハウジング12の内壁との間、並びにプレート状部42の右側縁とハウジング12の右内壁との間に間隔があるということで分かる。結合領域50でも、ストリップ46の左側縁及びストリップ48の右側縁と、ハウジング12のそれぞれの反対側の内壁との間に等しく大きさの間隔がある。さらにストリップ46の右側縁56は、ハウジング12内の突起82aから間隔を置いて配置されており、ストリップ48の左側縁58は、ハウジング12内の突起82bから間隔を置いて配置されている。それにより接点14全体が回路基板34に対して平行に、即ち
図8の表現で左から右若しくは右から左に、ハウジング12に対して相対的に移動できる。このようすることによってケーブルコアを設置する際の許容誤差を補償することができる。ケーブルコアを設置するときに必要であれば、全接続部40が左又は右に少し変位できる。
【0041】
さらに、
図8で回路基板34に対して平行に延びている、ストリップ46、48の互いに向かって延びる脚の上側縁と、ハウジング12内の突起82a、82bの下側との間にも、
図8で参照番号86若しくは88で示された小さい間隔がある。この間隔86によって、ストリップ46は、
図8に示される位置を起点として右上に向かってばね状に動くことが可能になる。このようなばね運動は、導入部20が回路基板34の貫通孔に挿入されて内方に、
図8では右方向に偏向されたときに発生する。ストリップ46は、前述のように間隔86が存在し、ストリップ46の右側縁56も突起82aから離間しているので、このばね運動を行うことができる。
【0042】
同様の方法で、突起82bの下側と、回路基板34に対して平行に延びるストリップ48の脚の上側縁との間の間隔88は、ストリップ48の左側縁58と突起82bの右側面との間の間隔と併せて、接点14を回路基板34の貫通孔に差し込んで導入部24が内方に、即ち
図8で左方向に偏向されたときにストリップ48が左上に動くことを可能にする。
【0043】
このようにして結合領域50でストリップ46、48をL字形に形成することにより、差し込み方向で従来の接点と比較して接点14の大幅な短縮が達成される。しかし同時に、接触部及び接点14の導入部の必要なばね作用が可能にされることは変らない。