(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】引張センサ
(51)【国際特許分類】
G01B 7/16 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
G01B7/16 C
(21)【出願番号】P 2017127105
(22)【出願日】2017-06-29
【審査請求日】2020-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】鴻野 勝正
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭作
(72)【発明者】
【氏名】山本 大策
(72)【発明者】
【氏名】千葉 隆俊
(72)【発明者】
【氏名】岡川 真明
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/204323(WO,A1)
【文献】特開2009-020006(JP,A)
【文献】特開2016-161555(JP,A)
【文献】特開2011-047702(JP,A)
【文献】特開2012-177565(JP,A)
【文献】特開2015-007566(JP,A)
【文献】特開2015-045552(JP,A)
【文献】特開2001-122010(JP,A)
【文献】特開2016-197087(JP,A)
【文献】特開2016-153729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
G01L 1/00-1/26
5/00-5/28
25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有し、熱可塑性エラストマーを含む誘電体層と、
前記誘電体層の一方面及び他方面のそれぞれに設けられる伸縮性を有する第1導電層及び第2導電層とを備え、
前記第1導電層は、導電性糸から形成される帯状の第1電極部を備えており、
50%伸長時の前記第1電極部の抵抗変化率が20%以下であり、
伸縮に伴う前記第1導電層と前記第2導電層との間における容量変化を検出可能な短冊状の引張センサ。
【請求項2】
前記第1電極部は、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下である請求項1に記載の引張センサ。
【請求項3】
前記第2導電層は、導電性糸から形成される帯状の第2電極部を備えており、
前記第2電極部は、前記誘電体層を介して前記第1電極部に対向する位置に配置されている請求項1又は2に記載の引張センサ。
【請求項4】
前記第1導電層は、前記第1電極部を複数備えており、前記各第1電極部は、互いに所定間隔を空けて平行に配置され、
前記第2導電層は
、第2電極部を複数備えており、前記各第2電極部は、互いに所定間隔を空けて平行に配置され、
前記各第1電極部と前記各第2電極部とは、前記誘電体層を介して対向配置されている請求項
1又は2に記載の引張センサ。
【請求項5】
前記第2導電層は、前記第1電極部の面積よりも広い面積を有する第2電極部を備えており、
前記第2電極部は、前記誘電体層を介して前記第1電極部に対向する位置に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の引張センサ。
【請求項6】
前記第1導電層は、前記第1電極部を複数備え、前記各第1電極部は、互いに所定間隔を空けて平行に配置されており、
前記第2導電層は、前記複数の第1電極部が配置される領域の面積よりも広い面積を有する第2電極部を備えており、
前記第2電極部は、前記誘電体層を介して前記複数の第1電極部が配置される領域に対向する位置に配置されている請求項1から3のいずれかに記載の引張センサ。
【請求項7】
前記導電性糸は、絶縁被覆層により被覆されている請求項1から6のいずれかに記載の引張センサ。
【請求項8】
前記絶縁被覆層は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、PFA、PVDF、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ホルマール(ポリビニルホルマール)、ブチラール(ポリビニルブチラール)の群から選ばれる少なくとも1つから形成される請求項
7に記載の引張センサ。
【請求項9】
前記第1電極部は、伸縮異方性を有している請求項1から8のいずれかに記載の引張センサ。
【請求項10】
前記第1電極部は、長手方向50%伸長時の短手方向の寸法変化率が、5%未満に構成される請求項9に記載の引張センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から検知対象物に取り付け、当該検知対象物の伸び等の動きを検出する引張センサが多種多様に知られており、近年、特許文献1に開示されているように、導電性の繊維と非導電性の繊維を混ぜ合わせた混紡糸から成る編物又は織物として構成される引張センサが開発されつつある。
【0003】
特許文献1に開示の引張センサは、複数の導電糸を含んで構成された編物又は織物を一方向に伸縮自在にすると共に、絶縁状態が維持されるように構成される導電糸同士の伸縮に伴う間隔変化から静電容量の変化を検出しようとするものである。このような引張センサによれば、編物又は織物の伸縮を静電容量として検出するため、導電糸に電圧は印加されても電流は流れず、この部分での消費電力はゼロとすることができ、消費電力を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されている引張センサは、織物や編物としてのみ構成されるものであることから、使用を継続して伸縮を繰り返すことによりその伸縮性が損なわれやすく、長期にわたって精度良く、検知対象物の変形状態や、作用する引張力の有無、当該引張力の値を検出することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、使用を継続しても検出精度が低下しにくい引張センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、伸縮性を有し、熱可塑性エラストマーを含む誘電体層と、前記誘電体層の一方面及び他方面のそれぞれに設けられる伸縮性を有する第1導電層及び第2導電層とを備え、前記第1導電層は、導電性糸から形成される帯状の第1電極部を備えており、50%伸長時の前記第1電極部の抵抗変化率が20%以下であり、伸縮に伴う前記第1導電層と前記第2導電層との間における容量変化を検出可能な短冊状の引張センサにより達成される。
【0008】
この引張センサにおいて、前記第1電極部は、前記導電性糸を少なくとも含む編地構造を有していることが好ましい。
【0009】
また、前記第2導電層は、導電性糸から形成される帯状の第2電極部を備えており、前記第2電極部は、前記誘電体層を介して前記第1電極部に対向する位置に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、前記第1導電層は、前記第1電極部を複数備えており、前記各第1電極部は、互いに所定間隔を空けて平行に配置され、前記第2導電層は、前記第2電極部を複数備えており、前記各第2電極部は、互いに所定間隔を空けて平行に配置され、前記各第1電極部と前記各第2電極部とは、前記誘電体層を介して対向配置されていることが好ましい。
【0011】
また、前記第2電極部は、導電性糸を少なくとも含む編地構造を有していることが好ましい。
【0012】
また、前記第2導電層は、前記第1電極部の面積よりも広い面積を有する第2電極部を備えており、前記第2電極部は、前記誘電体層を介して前記第1電極部に対向する位置に配置されていることが好ましい。
【0013】
また、前記第1導電層は、前記第1電極部を複数備え、前記各第1電極部は、互いに所定間隔を空けて平行に配置されており、前記第2導電層は、前記複数の第1電極部が配置される領域の面積よりも広い面積を有する第2電極部を備えており、前記第2電極部は、前記誘電体層を介して前記複数の第1電極部が配置される領域に対向する位置に配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記導電性糸は、絶縁被覆層により被覆されていることが好ましい。
【0015】
また、前記絶縁被覆層は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、PFA、PVDF、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ホルマール(ポリビニルホルマール)、ブチラール(ポリビニルブチラールの群から選ばれる少なくとも1つから形成されることが好ましい。
【0016】
また、前記誘電体層は、ウレタンゴムにより形成されることが好ましい。
【0017】
また、前記誘電体層は、伸縮性の布帛を含むことが好ましい。
【0018】
また、前記第1電極部は、伸縮異方性を有していることが好ましい。
【0019】
また、前記第1電極部は、長手方向50%伸長時の短手方向の寸法変化率が、5%未満に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用を継続しても検出精度が低下しにくい引張センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は、本発明に係る引張センサを示す概略構成平面図、(b)は、そのA-A断面を示す概略構成断面図、(c)は、概略構成裏面図である。
【
図2】本発明に係る引張センサが備える第1電極部や第2電極部の編地断面を示す一例であって、( a ) は非伸長時であり( b ) は伸長時である。
【
図3】(a)は、本発明に係る引張センサの変形例を示す概略構成平面図、(b)は、そのA’-A’断面を示す概略構成断面図、(c)は、概略構成裏面図である。
【
図4】本発明に係る引張センサの変形例を示す概略構成断面図である。
【
図5】本発明に係る引張センサの変形例を示す概略構成断面図である。
【
図6】(a)(b)共に、本発明に係る引張センサの変形例を示す概略構成断面図である。
【
図7】本発明に係る引張センサの変形例を示す概略構成断面図である。
【
図8】(a)は、本発明に係る引張センサのセンササンプルAを示す概略構成平面図、(b)は、そのA”-A”断面を示す概略構成断面図、(c)は、概略構成裏面図である。
【
図9】センササンプルAの伸長率と、検出された静電容量の値との関係を示すグラフである。
【
図10】センササンプルBの伸長率と、検出された静電容量の値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態にかかる引張センサについて、添付図面を参照して説明する。なお、図面においては、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。
図1(a)は、本発明に係る引張センサ1の概略構成平面図であり、
図1(b)は、
図1(a)のA-A断面を示す概略構成断面図である。また、
図1(c)は、(b)における矢視B方向から見た概略構成裏面図である。本発明に係る引張センサ1は、例えば、生体の呼吸情報(例えば、呼吸の有無、呼吸サイクル等)や体動情報(例えば、四肢の動作に関する情報)を取得する生体センサや、物体の変形を検知する歪センサとして利用可能なセンサであり、
図1(a)(b)(c)に示すように、短冊状の形態を有しており、誘電体層2と、当該誘電体層2の一方面及び他方面のそれぞれに設けられる第1導電層3及び第2導電層4を備えている。この引張センサ1は、誘電体層2と、当該誘電体層2を間に挟んだ第1導電層3及び第2導電層4とによりコンデンサを構成するものであり、伸縮に伴う第1導電層3と第2導電層4との間における容量変化を検出可能なセンサである。
【0023】
誘電体層2は、伸縮性を有するように構成されており、また、第1導電層3及び第2導電層4が接触した状態であってもそれらを通電させることのない絶縁性を備えるように構成されている。この誘電体層2の電気抵抗率は、106Ω・cm以上、1018Ω・cm以下であることが好ましい。また、誘電体層2の形態は、特に限定されず、シート化したフィルム状に構成してもよく、或いは、編布、織布、不織布等の布帛状に構成してもよい。
【0024】
また、誘電体層2の材料としては、熱可塑性エラストマーを例示することができる。特に、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム、エピクロロヒドリンゴムの如くの各種ゴム材料が挙げられる。また、上記材料に添加剤を加えてもよい。例えば、誘電率調整、柔らかくする可塑剤、伸びやすくする添加剤等が挙げられる。なお、添加剤は誘電体層2を絶縁破壊しない材料を選択する必要がある。
【0025】
また、誘電体層2を形成する材料として、例えば、発泡ウレタンゴムを採用し、内部に微小な空隙を備えるスポンジ状として誘電体層2を構成してもよい。このようなスポンジ状に構成することにより、引っ張り状態が解放された際に、誘電体層2が初期形態(伸長する前の形態)に戻り易くすることができる。
【0026】
ここで、誘電体層2の厚みは、特に限定されないが、5μm~1000μmの範囲に設定することが好ましく、10μm~750μmの範囲に設定することがより好ましい。更に、20μm~500μmの範囲に設定することがより好ましい。このような数値範囲に設定することにより、引張によって簡単に破断されることを効果的に防止しつつ、好ましい伸縮性を得ることが可能となる。
【0027】
第1導電層3は、
図1(a)(b)(c)に示すように、帯状の第1電極部31を備えると共に、第1電極部31の両側に帯状の第1非導電部32を備えて構成されている。第2導電層4は、第1導電層3と同一の構成を有しており、帯状の第2電極部41を備えると共に、第2電極部41の両側に帯状の第2非導電部42を備えて構成されている。なお、第1導電層3が有する第1電極部31及び第1非導電部32の長手方向や、第2導電層4が有する第2電極部41や第2非導電部42の長手方向は、短冊状の引張センサ1の長手方向に沿う方向となるように設定している。また、短冊状の引張センサ1の伸長方向は特に限定されないが、少なくとも引張センサ1の長手方向に沿って伸長可能となるように構成することが好ましい。
【0028】
このような第1導電層3は、伸縮性を有するように構成されており、例えば、第1電極部31を構成するための導電性糸と、各第1非導電部32を構成するための非導電性糸とを用いて製編或いは製織された生地(編織された生地)として構成することが好ましい。第2導電層4についても同様であり、第2電極部41を構成するための導電性糸と、各第2非導電部42を構成するための非導電性糸とを用いて製編或いは製織された生地として構成することが好ましい。本実施形態においては、編成することにより構成された編地構造を有する生地として第1導電層3(第1電極部31及び第1非導電部32)及び第2導電層4(第2電極部41及び第2非導電部42)が形成されている。なお、編地構造は特に限定されず、例えば、フライス編、スムース編、パール編、平編又はそれらの変化組織(例えば、ミラノリブや段ボールニットなど)や、トリコット編、ラッシェル編、ミラニーズ編等の各種編地構造を採用することができる。また、第1導電層3及び第2導電層4を織地として構成する場合、織地構造としては、平織、綾織、朱子織等の織り方を例示できる。なお、第1導電層3及び第2導電層4の製造方法は、上記方法に限定されず、例えば、非導電繊維によってまず生地本体を製編或いは製織した後、所定部分に導電性糸を編み込み、或いは、刺繍等して第1電極部31(或い第2電極部41)を形成し製造することもできる。
【0029】
ここで、第1電極部31や第2電極部41を構成するための導電性糸としては、例えば、アルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等により形成された糸状或いは細短冊状の金属線や、炭素繊維等の導電性繊維から形成した糸を使用することができる。また、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維やナイロン繊維等)や天然繊維等を芯として、この芯に金属繊維を巻回したカバリングヤーンを導電性糸として使用してもよい。また、合成繊維や天然繊維等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着糸(メッキ糸)を導電性糸として使用することができる。芯には、モノフィラメントを採用することも可能ではあるが、モノフィラメントよりも、複数の単繊維の集合体であるマルチフィラメントや紡績糸のほうが好ましく、更にはウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸がより好ましい。芯に被着させる金属成分には、例えばアルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等を使用することができる。
【0030】
導電性糸の太さは、特に限定されるものではないが、その単線一本あたりの線径は、例えば、10~100μmのものとするのが好適である。中でも10~50μmとすることで、第1導電層3や第2導電層4自体(第1電極部31や第2電極部41自体)のフレキシブル性と耐久性が両立しやすく、特に好ましい。
【0031】
また、導電性糸として金属線を用いる場合、絶縁被覆層によりその表面を被覆してもよい。絶縁被覆層により被覆された金属線は、モノフィラメントでもよいし、マルチフィラメントでもよく、特に2~9本、より好ましくは3~7本を束ねて1本の糸条として用いるのが好ましい。このように絶縁被覆層によって金属線を被覆することにより、引張センサ1が伸縮する際の抵抗変化が小さくなり、伸縮に伴う容量変化を精度よく検出することが可能となる。また、防水性、耐久性が向上し、長期間使用可能な引張センサ1を得ることができる。
【0032】
絶縁被覆層として使用可能な材料の具体名を挙げれば枚挙に暇がないが、その一例を列挙すれば次の通りである。すなわち、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン(ナイロン6やナイロン66等であって、アミド結合により長く連続した鎖状の合成高分子を紡糸して繊維化したポリアミド系の合成繊維の総称)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、PFA、PVDF、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ホルマール(ポリビニルホルマール)、ブチラール(ポリビニルブチラール)などである。なお、絶縁被覆層として使用可能な材料は、これらの樹脂種に限定されない。また、例示したような樹脂で絶縁コーティングした金属線はエナメル被覆の金属線とも呼ばれる。
【0033】
絶縁被覆層で金属線を被覆する方法としては、溶融素材の塗布から乾燥に至る一般的な被覆法を採用すればよい。その他、金属線を芯材とし、繊維状(糸状)の絶縁被覆材(例えば、上記の絶縁被覆層として使用可能な材料から形成した糸や綿糸)をカバー材としてカバリング糸(SCYやDCY)を構成させる方法、さらには前記カバリング糸を加熱溶融して塗膜化する方法などを採用することも可能である。
【0034】
また、絶縁被覆層により被覆された導電性糸において、絶縁被覆層を形成する材料は、半田の溶融温度(おおよそ170℃~250℃)で溶融することに加え、柔軟性や伸縮牲を備えているものが推奨される。すなわち、絶縁被覆層には、半田の溶融温度に比べて同等以下の融点を有する熱可塑性樹脂を使用するのが好適である。半田付けが短時間で行え、しかも溶融した絶縁被覆層が確実に焼失又は収縮して半田箇所を邪魔することなく、確実な導通が得られるようにするうえでは、半田の溶融温度の範囲内において、低温域に融点があるもの(目安の一例として「150℃以下」を挙げることができる)が好適と言える。
【0035】
ここで、絶縁被覆層の選出には融点だけが条件とされるものではなく、絶縁被覆層が導電性糸を被覆する厚さ等についても条件の一つとされる。例えば、絶縁被覆層の融点が高め(目安を150℃とした場合それを超える温度を言う)であったとしても、被覆厚が薄ければ、半田付け時に比較的容易に溶融することになるので、絶縁被覆層として使用可能となる。
【0036】
なお、前記説明では、半田の溶融温度における目安の一例として150℃を挙げたが、この溶融温度は絶縁被覆層に選出する樹脂によって変動する。例えば、ポリエステルや変性ポリエステル、ポリエステル-ナイロンなどでは155℃とすべきであり、ホルマールでは105℃、ポリウレタンでは130℃、ポリエステルイミドでは180℃とするのがよい、といった具合である。
【0037】
なお、導電性糸に伸縮性糸を混用して第1電極部31や第2電極部41を構成してもよい。伸縮性糸を混用することで、第1電極部31や第2電極部41の伸縮性を向上させることができる。また、伸縮性糸は非導電性糸であることが好ましい。伸縮性糸には、ポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を単独で用いてもよいし、「芯」にポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することができる。このようなカバリング糸を採用することで、親水性、撥水性、耐食・防食性、カラーリング等の機能を付与させることができる。また肌触りの向上や伸びの制御にも有用である。
【0038】
ここで、静電容量の変化を正確に検出するという観点から、第1電極部31は、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率(%)が、20%以下となるように構成することが好ましく、10%以下となるように構成することがより好ましい。更に、5%以下となるように構成することがより一層好ましい。同様に、第2電極部41も、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率が、20%以下となるように構成することが好ましく、10%以下となるように構成することがより好ましい。更に、5%以下となるように構成することがより一層好ましい。ここで、抵抗変化率(%)は、[(50%伸長率における電気抵抗値)-(0%伸長率時の電気抵抗値)]/(0%伸長率時の電気抵抗値)×100%として算出される。
【0039】
上述のように、第1電極部31や第2電極部41について、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率(%)を低く抑えるためには、導電性糸として、上述の絶縁被覆層をその外層に設ける構成を採用することが好ましい。なお、絶縁被覆層を外層に形成する場合、絶縁被覆層にて被覆される導電性糸としては、上述のような金属線に特に限定されない。例えば、上述した炭素繊維等の導電性繊維から形成した導電性糸や、合成繊維や天然繊維等を芯として、この芯に金属繊維を巻回した導電性糸、合成繊維や天然繊維等を芯として、この芯に金属成分を被着させた金属被着糸(メッキ糸)等の外層に絶縁被覆層を備えるように構成してもよい。
【0040】
また、第1電極部31や第2電極部41について、0%伸長時の電気抵抗値に対する50%伸長時の電気抵抗値の抵抗変化率(%)を低く抑えるために、
図2(a)(b)に示すような編地構造を採用することもできる。この
図2(a)(b)にて示される編地構造は、スムース編(両面編又はインターロックとも言う)であり、フライス編を2枚重ね合わせてお互いの凹凸の溝を埋め合ったような編組織であり、導電性糸10と伸縮性糸11とにより構成している。なお、導電性糸10と伸縮性糸11とが含まれていれば、その他に別種の糸を混用させることは任意である。
図2(a)の上面側を編地表面側とし、同下面側を編地裏面側として説明すると、導電性糸10は、編地表面側の導電性糸オールドループ10aと絡んで第1ループP1を形成し、編地裏面側へ移行する。そして編地裏面側の導電性糸オールドループ10bと絡んで第2ループP2を形成し、以後同様に編地表面側で第3ループP3を形成し、編地裏面側で第4ループP4を形成するといったことを繰り返す。従って導電性糸10は、編地中を表裏間方向にジグザグ状となる配置で設けられている。
【0041】
これに対して伸縮性糸11は、編地裏面側の伸縮性糸オールドループ11aと絡んで第1ループR1を形成し、編地表面側へ移行する。そして、編地表面側の伸縮性糸オールドループ11bと絡んで第2ループR2を形成し、以後同様に編地裏面側で第3ループR3を形成し、編地表面側で第4ループR4を形成するといったことを繰り返す。従って伸縮性糸11も、編地中を表裏間方向にジグザグ状となる配置で設けられている。その結果、編地中には、導電性糸10と伸縮性糸11とのクロス部13がループ毎に交互配置で形成されることになる。
【0042】
ここで、伸縮性糸11は豊富な伸縮性を有しているのに対して導電性糸10は殆ど伸縮しない。そのため、編地構造をその表裏面の面方向(
図2の左右方向)に沿って伸長させると、クロス部13では、伸縮性糸11が導電性糸10と交差することで編地の表裏面側に生じさせているクロス角θを徐々に拡大させ、鈍角となる状況を経て、次第に伸縮性糸11だけがよく伸びてゆくようになる。次に、この伸縮性糸11の伸びに引っ張られるようにして導電性糸10がそのループからクロス部13へと繰り出される挙動が生じる。また、伸長を解除すると、クロス部13では伸縮性糸11だけが収縮による引き締め力を生じ、この引き締め力を受けて導電性糸10がクロス部13からその両外側のループへと押し込める挙動が生じる。このときの伸縮性糸11による引き締め力が、非伸縮時の編地構造において、導電性糸10のジグザグ状配置を保形させる作用を奏することになる。
【0043】
このように導電性糸10は、ループからクロス部13への繰り出しや押し込みによってループを小さくさせたり大きくさせたりするだけでありながら、伸縮性糸11の伸縮に合わせて一緒に伸び縮みをしているかのようになり、編地構造は、
図2(b)に示すような伸縮性を有するものとなっている。この説明から明らかなように、導電性糸10は実質的に伸縮するものではないので、コース方向で使用された全長は変化せず、もとよりその外径も変化しない。のみならず、導電性糸10はコース方向に並ぶループ同士が接触することがなく、複数のコース間で絡まったり接触したりすることもなく、電気抵抗は不変となる。
【0044】
また、第1電極部31は、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成することが好ましく、10Ω以下となるように構成することがより好ましい。更に、5Ω以下となるように構成することがより一層好ましい。同様に、第2電極部41は、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成することが好ましく、10Ω以下となるように構成することがより好ましい。更に、5Ω以下となるように構成することがより一層好ましい。
【0045】
また、第1電極部31は、伸縮異方性を有するように構成されることが好ましい。つまり、第1電極部31は、その長手方向に伸びやすく、短手方向に伸びにくい特性を有するように構成されることが好ましい。このように、伸長に伴う第1電極部31の短手方向の寸法変化が、長手方向に比べて小さくなるように構成する場合、第1電極部31を長手方向に50%伸長させた際、その短手方向の寸法変化率(0%伸長時の短手方向の寸法に対する変化率)が5%未満となるように構成することが好ましい。このような構成は、例えば、第1電極部31を、ダブル編地として形成することにより得られる。なお、ダブル編地とは、フライス編やパール編、スムース編等の編地をいう。ダブル編地は、その厚み方向にジグザグのアコーディオン構造が形成されるため、このアコーディオン構造によって、伸縮時の第1電極部31の短手方向の寸法変化が効果的に抑制されることになる。第2電極部41についても同様に、伸縮異方性を有するように構成されることが好ましい。
【0046】
第1非導電部32や第2非導電部42を構成するための非導電性糸には、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維やナイロン繊維等)や天然繊維、合成繊維と伸縮性糸とを混用した素材等を使用することができる。伸縮性糸を混用することにより、第1非導電部32や第2非導電部42の伸縮性を向上させることができる。伸縮性糸には、例えば、ポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を単独で用いてもよいし、「芯」にポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することができる。このようなカバリング糸を採用することで、親水性、撥水性、耐食・防食性、カラーリング等の機能を付与させることができる。また肌触りの向上や伸びの制御にも有用である。また、非導電性糸には、モノフィラメントを採用することも可能ではあるが、モノフィラメントよりも、複数の単繊維の集合体であるマルチフィラメントや紡績糸のほうを好ましく用いることができる。
【0047】
また、第1非導電部32及び第2非導電部42は、半田の溶融温度に対する耐熱性を備えた非導電性糸により形成されるのが好ましい。ここで、第1非導電部32及び第2非導電部42を形成する非導電性糸に要求される耐熱性は、溶融した半田(又は加熱状態の半田鏝)との接触によっても発火や溶損などを起こさず、また簡単に焼失しないことを言う。但し、焦げが生じる程度は許容範囲(非導電部の形成用に採用可能)とする。つまり、半田付けをすることでも形体が残る程度の耐熱性を有するものであれば、機能としては十分である。溶融した半田を第1非導電部32及び第2非導電部42へ浸透させない作用を補助するうえで、第1非導電部32及び第2非導電部42の編組織を緻密構造にする等の対策を加えるとなお一層好ましい。なお、このような第1非導電部32及び第2非導電部42に要求される耐熱性は、第1電極部31や第2電極部41との接触位置において必要とされるものであり、第1非導電部32及び第2非導電部42の帯幅方向全体を必ずしも同じ構成としなければならないわけではない。例えば、第1非導電部32に関し、第1電極部31と接触する1コース又は数コースだけに耐熱性を備えさせ、第1電極部31とは直接的に接触しないコース部分(非導電部の帯幅方向中央部など)は一般的な編組織や一般的な素材(溶融半田に対する耐熱性を備えないもの)を採用して製編させるといったことも可能である。第2非導電部42に関しても同様である。
【0048】
第1非導電部32及び第2非導電部42を形成するのに好ましい耐熱性の非導電性糸の具体例としては、綿やウール等をはじめとする各種天然繊維の他、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、更には種々様々な合成繊維(例えば、アラミド繊維、フェノール繊維、PBO、ポリアリレート、ポリイミド、メラミン、PPS、PEEK、PTFE、セルロース繊維(難燃加工)、ナイロン(難燃加工)、アクリル系繊維など)等を例示することができる。
【0049】
上記のように構成される第1導電層3及び第2導電層4は、誘電体層2にヒートプレス等されて一体的に固定されている。誘電体層2をウレタンゴム等の熱可塑性エラストマーから形成する場合、ヒートプレス時の熱により溶融した誘電体層形成材料が、第1導電層3や第2導電層4の生地内(編目や繊維同士の隙間)に進入して固化するため、第1導電層3及び第2導電層4は強固に誘電体層2に固定されることになる。ここで、第1導電層3が備える第1電極部31と、第2導電層4が備える第2電極部41とは、
図1(b)に示すように、誘電体層2を介して対向配置されて構成されている。このように、誘電体層2を介して第1電極部31及び第2電極部41を対向配置するように構成することにより、引張センサ1の伸縮に伴う第1導電層3と第2導電層4との間における容量変化の情報にノイズが侵入することを効果的に抑制することができ、引張センサ1の検出精度を向上させることが可能となる。
【0050】
このような構成の引張センサ1の作動について以下説明する。まず、第1導電層3及び第2導電層4がそれぞれ備える第1電極部31及び第2電極部41の個々に電圧を印加する。この状態において、例えば、長手方向に引張センサ1が伸長すると、第1電極部31及び第2電極部41の間隔が小さくなり、第1電極部31と第2電極部41との間の静電容量は大きくなる。また、伸長することにより引張センサ1の面積も増大することになり、第1電極部31と第2電極部41との間の静電容量は大きくなる。次に、伸長状態を解除し引張センサ1が縮むと(伸長率が0%の状態)、第1電極部31及び第2電極部41の間隔が大きくなると共に、引張センサ1の面積も小さくなる為、第1電極部31と第2電極部41との間の静電容量は小さくなる。つまり、引張センサ1によって検知対象物の変形を検知する際、検出される静電容量が大きくなったときは、変形が大きくなったと検知することができる。より具体的に説明すると、例えば、人が着用している上着の肘部分や膝部分に引張センサ1を取り付けた場合、腕や脚の屈曲により、引張センサ1が伸長して検出される静電容量の値が大きく変化する。この時の静電容量の値を検出することによって、人体の肘や膝の動きを明確に検出することができる。また、例えば、人が着用している上着の胸部分や腹部分に引張センサ1を取り付けることにより、或いは、胸回りや胴回りに巻回するようにして引張センサ1を取り付けることにより、着用者の呼吸動作による体格変動に基づいて引張センサ1が伸縮する、この伸縮に伴う静電容量の変化を検出することによって、着用者が呼吸をしているか否か、呼吸サイクルが速いか遅いかといった情報を取得することができる。
【0051】
本発明における引張センサ1は、上述のように、伸長及び収縮に伴う第1電極部31及び第2電極部41の間隔の変化に加えて、引張センサ1の面積の変化に基づいて静電容量の変化を検出できるように構成されているため、静電容量の変化について検出感度を向上させることが可能となる。また、第1導電層3及び第2導電層4の間に伸縮性を有する誘電体層2を備えるように構成しているため、伸長状態から伸長前の状態(伸長率が0%の状態)に戻りやすいという特性を有すると共に、使用を継続して伸縮が繰り返されても、その伸縮性が損なわれにくいという効果を奏する。更に、誘電体層2が介在していることによって、第1電極部31や第2電極部41を形成する導電性糸が破断等してしまう程に、第1導電層3や第2導電層4が限度を超えて伸長することを効果的に抑制することが可能となる。
【0052】
また、本発明に係る引張センサ1は、50%伸長時の第1電極部31の抵抗変化率が20%以下となるように構成され、同様に、50%伸長時の第2電極部41の抵抗変化率が20%以下となるように構成されているため、検出される静電容量の変化を精度よく捉えることが可能となる。また、第1電極部31の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成されており、同様に、第2電極部41の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が50Ω以下となるように構成されているため、検出される静電容量の変化をより一層精度よく捉えることが可能となる。
【0053】
また、第1電極部31及び第2電極部41は、編地構造を備えるように構成されているため、引張センサ1の伸長によって、第1電極部31や第2電極部41を形成する導電性糸が破断しにくい構造とすることが可能となる。
【0054】
ここで、編地構造を備えるように構成される第1電極部31及び第2電極部41は、平編等のシングル編地で構成される場合よりも、例えば、フライス編やパール編、スムース編等のダブル編地として構成される場合の方が、より一層高精度で静電容量の変化を検出することが可能となる。ダブル編地の場合、厚み方向にジグザグのアコーディオン構造が形成されるため、第1電極部31及び第2電極部41の短手方向の寸法変化が効果的に抑制され、伸長に伴う第1電極部31及び第2電極部41の面積増加比率を略一定とすることが可能となる結果、高精度で静電容量の変化を検出することができる。
【0055】
以上、本発明の一実施形態に係る引張センサ1について説明したが、引張センサ1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、第1電極部31及び第2電極部41を、
図1(a)(c)に示すように、短冊状の引張センサ1の長手方向に沿って伸びる直線状の帯状に構成しているが、第1電極部31及び第2電極部41の具体的形態については特に限定されず、例えば、平面視において、引張センサ1の長手方向に沿って伸びる波型状やジグザグ状等、種々の形態として構成することができる。
【0056】
また、上記実施形態においては、第1導電層3が、第1非導電部32を備えるように構成されているが、この第1非導電部32を省略し、第1電極部31のみにより第1導電層3を構成してもよい。同様に、第2電極部41のみにより第2導電層4を構成してもよい。
【0057】
また、第1導電層3や第2導電層4の露出面(誘電体層2に接していない側の面)の表面を被覆する被覆層を設けるように構成してもよい。このような被覆層を設けることにより、第1電極部31や第2電極部41を保護することができ、引張センサ1の耐久性を向上させることができる。なお、被覆層は、第1導電層3側、或いは、第2導電層4側の一方のみに設けてもよい。被覆層を形成する材料としては、例えば、上述の誘電体層2を形成する材料や、伸縮性を有する布生地等を用いることができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、第1導電層3及び第2導電層4は、
図1に示すように、それぞれ、単一の第1電極部31及び複数の第2電極部41を備えるように構成しているが、第1電極部31や第2電極部41の数は、特に限定されず、例えば、
図3(a)(b)(c)に示すように、誘電体層2を介して、その両面側に複数の第1電極部31及び複数の第2電極部41を配設するようにして、引張センサ1を構成してもよい。
図3に示す構成においては、各第1電極部31は、互いに所定間隔を空けて平行となるように配置されており、各第2電極部41も同様に、互いに所定間隔を空けて平行となるように配置されている。なお、各第1電極部31同士の間には、第1非導電部32が配置されており、各第2電極部41同士の間には、第2非導電部42が配置されている。また、このような構成を採用する場合、各第1電極部31と各第2電極部41とは、誘電体層2を介して対向する位置に配置するように構成することが好ましい。なお、
図3(a)は、引張センサ1の概略構成平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のA’-A’断面を示す概略構成断面図である。また、
図3(c)は、概略構成裏面図である。
【0059】
また、
図3に示す構成においては、複数の第1電極部31の集合体を一つの電極として構成するために、各第1電極部31の一方側の端部同士を短絡させると共に、各第1電極部31の他方側の端部同士を短絡させて構成してもよく、同様に、複数の第2電極部41の集合体を一つの電極として構成するために、各第2電極部41の一方側の端部同士を短絡させると共に、各第1電極部31の他方側の端部同士を短絡させて構成してもよい。
【0060】
また、
図3に示す構成においては、誘電体層2を介して対向配置される各第1電極部31及び各第2電極部41のそれぞれの組み合わせ(第1電極部31aと第2電極部41aとの組み合わせ、第1電極部31bと第2電極部41bとの組み合わせ、第1電極部31cと第2電極部41cと組み合わせ)を独立したコンデンサとして構成してもよい。このような構成を採用する場合、引張センサ1は、その長手方向の引っ張りを検出できるだけでなく、長手方向を軸とする捻じりも検出することが可能となる。具体的に説明すると、引張センサ1に対して、その長手方向を軸として捻じりを加えた場合、引張センサ1の中央部は、側縁部よりも大きく変形することから、中央に配置される第1電極部31bと第2電極部41bとで構成されるコンデンサにて検出される容量変化の値と、側縁部に配置される第1電極部31a(31c)と第2電極部41a(41c)とで構成されるコンデンサにて検出される容量変化の値との間に差が生じる。この差を検出することにより、引張センサ1に対して捻じりが加えられてか否かを判別することが可能となる。
【0061】
また、上記実施形態においては、第1電極部31及び第2電極部41の幅(長手方向に対して垂直な方向の寸法)を同一寸法となるように構成されているが、このような構成に特に限定されない。例えば、
図4の概略構成断面図に示すように、第2電極部41の幅を第1電極部31の幅よりも大きくする等して、平面視における第2電極部41の面積が、第1電極部31の面積よりも広い面積を有するように構成し、第2電極部41が、誘電体層2を介して第1電極部31に対向する位置に配置してもよい。つまり、仮想的に第1電極部31を第2導電層4に投影した場合に、当該第1電極部31が、第2電極部41形成領域内に配置されるように、第1電極部31及び第2電極部41を構成してもよい。このような構成を採用することにより、例えば、第2導電層4が人体側となるように、衣服等に引張センサ1を取り付けるような場合に、第2電極部41がシールドの役割を発揮して、人体と第1電極部31との間での容量結合が発生することを効果的に抑制することが可能となる。また、
図1に示すような構成では、第1電極部31と第2電極部41とが誘電体層2を介して対向配置されるように、第1導電層3と第2導電層4との位置決めを精度よく行う必要があるが、
図4に示すように、第2電極部41の面積が、第1電極部31の面積よりも広い面積を有するように構成する場合、誘電体層2に対する第1導電層3及び第2導電層4の位置合わせを厳格に行う必要が無くなり、効率よく引張センサ1を製造することが可能となる。
【0062】
また、複数の第1電極部31を第1導電層3が備える様な構成を採用する場合、
図5の概略構成断面図に示すように、複数の第1電極部31が配置される領域の面積よりも広い面積を有するように第2電極部41を構成し、当該第2電極部41が、誘電体層2を介して複数の第1電極部31が配置される領域に対向する位置に配置するように構成してもよい。つまり、仮想的に複数の第1電極部31の全てを第2導電層4に投影した場合に、当該複数の第1電極部31の全てが、単一の第2電極部41と重なり合うように、各第1電極部31及び第2電極部41を構成してもよい。このような構成を採用することにより、上記と同様に、例えば、第2導電層4が人体側となるように、衣服等に引張センサ1を取り付けるような場合に、第2電極部41がシールドの役割を発揮して、人体と各第1電極部31との間での容量結合が発生することを効果的に抑制することが可能となる。また、
図3に示すような構成では、各第1電極部31と各第2電極部41とが、誘電体層2を介して対向配置されるように、第1導電層3と第2導電層4との位置決めを精度よく行う必要があるが、平面視における第2電極部41の面積が、複数の第1電極部31が配置される領域の面積よりも大きくなるように構成することにより、誘電体層2に対する第1導電層3及び第2導電層4の位置合わせを厳格に行う必要が無くなり、効率よく引張センサ1を製造することが可能となる。
【0063】
また、上記実施形態においては、第1導電層3及び第2導電層4の両方を、導電性糸と非導電性糸とを用いて製編或いは製織された生地として構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、
図6(a)や(b)の概略構成断面図に示すように、第2導電層4として、エラストマー基材5の一方面に第2電極部41を印刷により形成した構造を採用してもよい。ここで、
図6(a)は、第1電極部31及び第2電極部41を単一構成とし、第2電極部41の幅を第1電極部31の幅と同一寸法に形成した構造を示しており、
図6(b)は、複数の第1電極部31が配置される領域の面積よりも広い面積を有するように単一の第2電極部41を形成した構造を示している。
【0064】
エラストマー基材5の材料としては、誘電体層2を形成する上述の材料を用いることができる。また、印刷形成される第2電極部41を構成する導電性材料としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルの如くの各種カーボン材料、金、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、チタンの如くの各種金属材料、導電性高分子材料が挙げられる。これら材料の粉末を有機溶媒や樹脂バインダと混練して作製した導電性のスラリーをエラストマー基材5上に塗布乾燥して形成しても良く、また、プラズマCVD法、イオンスパッタ被覆法、真空蒸着法、スクリーン印刷などで形成してもよい。なお、印刷形成される第2電極部41は、引張センサ1の伸縮に対してスムーズに追従できるような柔軟性を有することが好ましいため、上述の導電性材料と樹脂バインダとが混練された高分子材料や、導電性高分子材料を用いて形成することがより好ましい。
【0065】
また、上記実施形態においては、誘電体層2をウレタンゴム等の熱可塑性エラストマーから形成し、ヒートプレス時の熱により溶融した熱可塑性エラストマー(誘電体層形成材料)を介して、第1導電層3や第2導電層4が、誘電体層2に固定される構成について説明したが、このような構成に特に限定されず、例えば、
図7の断面図に示すように、接着層6を介して、誘電体層2に第1導電層3及び第2導電層4を貼り合わせて引張センサ1を構成してもよい。ここで、接着層6を形成する接着剤としては、アクリル系やエポキシ系などの一般的な接着剤を用いることができる。
【0066】
また、上記実施形態においては、誘電体層2を構成する材料として、熱可塑性エラストマーを例示しているが、このような材料に特に限定されず、例えば、誘電体層2が、伸縮性を有する布帛(生地)を含むように構成してもよい。布帛を含むように誘電体層2を構成する場合、上記
図7に示すように、接着層を介して布帛の両面にそれぞれ第1導電層3及び第2導電層4を配置固定することにより、引張センサ1を形成することができる。ここで、伸縮性を有する布帛としては、ウエストバンドやサポーター、Tシャツ用等の伸縮性生地を例示することができる。なお、布帛は、伸縮異方性を有するように構成されることが好ましい。つまり、布帛を含むように構成した誘電体層2は、その長手方向に伸びやすく、短手方向に伸びにくい特性を有するように構成されることが好ましい。
【0067】
本発明の発明者らは、本発明に係る引張センサ1のサンプル(センササンプルA及びセンササンプルB)を作成して、伸長させた際の性能評価を行ったので、以下、説明する。なお、センササンプルAは、エナメル被覆された金属線を導電性糸として採用して、第1電極部31及び第2電極部41を形成したものであり、センササンプルBは、銀メッキ糸を導電性糸として採用して、第1電極部31及び第2電極部41を形成したものである。
【0068】
まず、センササンプルAについて以下説明する。このセンササンプルAは、
図8に示すような構造を有している。つまり、4本の第1電極部31が互いに平行となるように配置された第1導電層3と、4本の第2電極部41が互いに平行となるように配置された第2導電層4と、第1導電層3及び第2導電層4の間に介在される誘電体層2とを備える構造を有している。なお、
図8(a)は、センササンプルAの概略構成平面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のA”-A”断面を示す概略構成断面図である。また、
図8(c)は、概略構成裏面図である。
【0069】
第1導電層3及び第2導電層4のそれぞれは、その組織が、フライス編み構造を備えるように構成されている。より具体的には、32の給糸口からなる32コースを1単位として帯状に編成されて形成されている(32コースからなる編組織中に4本の第1電極部31(第2電極部41)が含まれるように編成されている)。編成後、編地は製造段階で通常行われる熱セット工程を経てサンプル1に係る第1導電層3及び第2導電層4が形成されている。ここで、32の給糸口からそれぞれ供給される糸の詳細を表1に示す。
【0070】
【表1】
上記表1に示すように、給糸口番号:5~8、12~15、19~22、26~29の各組からは導電性糸が供給されており、また、これら導電性糸が供給される給糸口番号の各組同士の間に、非導電性糸が供給される給仕口番号:9~11、16~18、23~25の各組を備えるようにして第1導電層3(第2導電層4)が編成されているため、導電性糸を含む互いに独立した4本の帯状(ライン状)の第1電極部31(第2電極部41)が、互いに平行な状態を維持して帯状の第1導電層3(第2導電層4)が編成される。なお、形成された第1導電層3及び第2導電層4は、長さが75mm、幅が10mm、厚みが0.85mmの短冊状である(1本の第1電極部31(第2電極部41)の幅は、1.2mmとなるように形成されている)。また、第1導電層3においては、複数の第1電極部31の集合体を一つの電極として構成するために、各第1電極部31の一方側の端部同士を短絡させると共に、各第1電極部31の他方側の端部同士を短絡させている。第2導電層4についても同様である。
【0071】
また、誘電体層2として、日本マタイ株式会社製のエスマーURS#10(熱可塑性エラストマーフィルム、厚み:100μm)を用い、該フィルム(誘電体層2)の両面に、上述の第1導電層3及び第2導電層4を貼り合わせ温度180℃にて接着し、センササンプルAを形成した。
【0072】
作成したセンササンプルAをチャック付きスタンドで挟んだうえ、第1導電層3(第1電極部31)及び第2導電層4(第2電極部41)のそれぞれに電圧を印加しつつ、スタンドを移動させて伸張させ、該伸長に伴う静電容量の変化を測定した。なお、伸長に伴う静電容量値の測定は、合計2回行った。
【0073】
引張センサ1に係るセンササンプルAの伸長率と、検出された静電容量の値との関係を表2、及び
図9に示す。ここで、表2に示す静電容量の値は、2回行った測定結果の平均値である。この表2及び
図9の結果から、センササンプルAは、伸縮に対して高精度且つ高感度で静電容量の変化を検知できることが分かる。特に、その伸長に伴って線型的に静電容量の値が増加する特性を有していることから、極めて高精度で検知対象物の変形状態や引張力を検知・測定することができることが分かる。
【0074】
【0075】
次に、センササンプルBについて説明する。このセンササンプルBは、第1導電層3を第1電極部31のみから構成すると共に、第2導電層4も第2電極部41のみから構成する態様とした。第1電極部31及び第2電極部41のそれぞれは、同様にして形成されており、銀メッキ糸をフライス編みすることにより形成されている。なお、第1導電層3(第1電極部31)及び第2導電層4(第2電極部41)は、長さが100mm、幅が10mm、厚みが0.85mmの短冊状に形成されている。
【0076】
また、誘電体層2として、非導電性糸から形成されたベアフライス生地(厚み:0.5mm)を用い、該生地(誘電体層2)の両面に、上述の第1導電層3及び第2導電層4を接着し、センササンプルBを形成した。
【0077】
作成した短冊状のセンササンプルBをチャック付きスタンドで挟んだうえ、第1導電層3(第1電極部31)及び第2導電層4(第2電極部41)のそれぞれに電圧を印加しつつ、スタンドを移動させて伸張させ、該伸長に伴う静電容量の変化を測定した。なお、伸長に伴う静電容量値の測定は、合計2回行った。
【0078】
センササンプルBの伸長率と、検出された静電容量の値との関係を表3及び
図10に示す。ここで、表3に示す静電容量の値は、2回行った測定結果の平均値である。この表3及び
図10の結果から、センササンプルBもセンササンプルAと同様に、伸縮に対して高精度且つ高感度で静電容量の変化を検知できることが分かる。また、このセンササンプルBも、その伸長に伴って線型的に静電容量の値が増加する特性を有していることから、極めて高精度で検知対象物の変形状態や引張力を検知・測定することができることが分かる。
【0079】
【0080】
また、発明者らは、第1電極部31(第2電極部41)の伸長に伴う抵抗変化率を確認するため、電極部サンプルA及び電極部サンプルBを作成し、当該各サンプルについて伸長に伴う抵抗変化率を測定した。以下、この測定結果について説明する。
【0081】
まず、伸長に伴う抵抗変化率の測定試験に供される電極部サンプルAとして、表1に記載の糸使いで編成したもの(上記センササンプルAに対応する編地)を作成し、当該編地が備える4本の電極部(第1電極部31或いは第2電極部41)の内、一つを選択し、伸長に伴う抵抗変化率を測定した。この電極部サンプルAは、長さが100mm、幅が1.2mm、厚みが0.85mmの形態を有している。測定方法は、チャック付きスタンドでサンプルを挟みつつ、該スタンドを移動させて所定の伸長率まで伸張させ、サンプルの両端間の電気抵抗値を計測し、計測した電気抵抗値から抵抗変化率を算出した。なお、電気抵抗値の測定は、合計4回行った。
【0082】
電極部サンプル1の伸長率と、計測された電気抵抗値との関係を表4に示す。また、表5に、電極部サンプルAの伸長率と、抵抗変化率との関係を示す。ここで、抵抗変化率は、[(各伸長率における電気抵抗値)-(0%伸長率時の電気抵抗値)]/(0%伸長率時の電気抵抗値)×100%として算出している。
【0083】
【0084】
【0085】
表4の結果から、電極部サンプルAは、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が0.05Ω程度と低いものであることが分かる。また、表5に示すように、100%伸長率以下の範囲において、0%伸長時の電気抵抗値に対する抵抗変化率(%)が、略0(ゼロ)%となっており、伸長に伴って、その電気抵抗値が変化しないことが分かる。このことから、絶縁被覆層を表面に有する導電性糸を用いて第1電極部31(第2電極部41)を構成する場合、インピーダンスにおける抵抗変化が極めて小さく、静電容量の変化を正確に検出できることが分かる。ここで、表4および表5の結果は、上述のように表1に記載の糸使いで編成したもの(上記センササンプルAに対応する編地)を作成し、当該編地が備える4本の電極部(第1電極部31或いは第2電極部41)の内、一つを電極部サンプルAとして選択して、抵抗変化率を測定したものであるが、仮に、4本の電極部の集合体を一つの電極として構成するために、各電極部の一方側の端部同士を短絡させると共に、各電極部の他方側の端部同士を短絡させたような場合、表4に示される電気抵抗値の値は、1/4の値となり、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が0.01Ω程度となる。また、伸長に伴う抵抗変化率は、4本でも1本でも表5に示す結果と同様の結果になる。
【0086】
次に、抵抗変化率の確認試験に供される電極部サンプルBとして、上述のセンササンプルBが有する第1導電層3と同一のものを採用し、当該電極部サンプルBについて、伸長時の抵抗変化率を測定した。測定方法は、チャック付きスタンドでサンプルを挟みつつ、該スタンドを移動させて所定の伸長率まで伸張させ、サンプルの両端間の電気抵抗値を計測し、計測した電気抵抗値から抵抗変化率を算出した。なお、電気抵抗値の測定は、合計4回行った。
【0087】
電極部サンプルBの伸長率と、計測された電気抵抗値との関係を表6に示す。また、表7に、電極部サンプルBの伸長率と、抵抗変化率との関係を示す。ここで、抵抗変化率は、[(各伸長率における電気抵抗値)-(0%伸長率時の電気抵抗値)]/(0%伸長率時の電気抵抗値)×100%として算出している。
【0088】
【0089】
【0090】
表6の結果から、電極部サンプルBは、0%伸長時の単位長さ(1cm)あたりの電気抵抗値が0.3Ω以下と低いものであることが分かる。また、表7に示すように、60%伸長率以下の範囲において、0%伸長時の電気抵抗値に対する抵抗変化率(%)が、20%以下となっており、伸長に伴う電気抵抗値の変化が小さいことが分かる。このことから、メッキ糸を用いて第1電極部31(第2電極部41)を構成する場合であっても、インピーダンスにおける抵抗変化が小さく、静電容量の変化を正確に検出することができることが分かる。
【0091】
また、表6及び表7の結果から、電極部サンプルBは、0%伸長(初期状態)から10%伸長の間で、電気抵抗値が上昇し、その後、10%伸長から60%伸長の間では、電気抵抗値が略一定となることが分かる。0%伸長(初期状態)から10%伸長の間で電気抵抗値が上昇する理由としては、0%伸長時における銀メッキ糸同士の接触状態(伸長していない銀メッキ糸同士の接触状態)と、引張力が僅かでも付加された際の銀メッキ糸同士の接触状態が大きく変化することが考えられる。これに対し、絶縁被覆層を有する電極部サンプルAにおいては、電極部サンプルBのように、引張力を付加した直後の電気抵抗値上昇が認められないため、第1電極部31(第2電極部41)を構成する導電性糸としては、その表面に絶縁被覆層を設けることがより好ましいことが分かる。
【符号の説明】
【0092】
1 引張センサ
2 誘電体層
3 第1導電層
31 第1電極部
32 第1非導電部
4 第2導電層
41 第2電極部
42 第2非導電部
5 エラストマー基材
6 接着層