(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】パーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20220510BHJP
B65G 27/08 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B65G47/14 101A
B65G27/08
(21)【出願番号】P 2018003401
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】犬井 智三
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-035790(JP,A)
【文献】特開昭62-046807(JP,A)
【文献】特開2017-124882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/20
B65G 27/00-27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウルフィーダと、このボウルフィーダの排出部に接続されるリニアフィーダとを具備し、前記リニアフィーダが、搬送元から搬送先へとワークを搬送しつつ所定の条件を満たさないワークを排除する機能を備えた選別トラフと、前記選別トラフとは逆方向にワークを搬送し得るように構成され前記選別トラフから排除されたワークをボウルフィーダへ帰還させるためのリターントラフと、前記選別トラフを下方から支持する選別トラフ支持台を含み前記選別トラフに駆動バネを介して所定方向の振動を与えるための駆動機構と、を備
え、
前記リターントラフを、前記選別トラフ支持台よりも上方かつ前記駆動バネのほぼ真上に配置して、前記選別トラフとは逆方向の水平方向成分を有する振動を与えられるように構成し、かつ前記選別トラフから排除されたワークが前記選別トラフ支持台に接することなく前記リターントラフに直接移載されるように構成し
たパーツフィーダ
であって、
前記駆動機構が、防振バネに支持された固定部と、この固定部に駆動バネを介して接続された可動部とを備え、
前記リターントラフは、前記可動部または前記固定部のうち前記選別トラフが振動を伝えられる側と同じ側から振動を伝えられる構造をなしており、
前記選別トラフ支持台と前記可動部の間に前記固定部が位置し、前記可動部に連結板が接続されて、当該連結板の上端が前記固定部よりも高い位置に配置されており、この連結板に前記選別トラフ支持台を接続して前記選別トラフを支持するとともに、前記連結板にリターンバネを介して前記リターントラフを接続していることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
ボウルフィーダと、このボウルフィーダの排出部に接続されるリニアフィーダとを具備し、前記リニアフィーダが、搬送元から搬送先へとワークを搬送しつつ所定の条件を満たさないワークを排除する機能を備えた選別トラフと、前記選別トラフとは逆方向にワークを搬送し得るように構成され前記選別トラフから排除されたワークをボウルフィーダへ帰還させるためのリターントラフと、前記選別トラフを下方から支持する選別トラフ支持台を含み前記選別トラフに駆動バネを介して所定方向の振動を与えるための駆動機構と、を備
え、
前記リターントラフを、前記選別トラフ支持台よりも上方かつ前記駆動バネのほぼ真上に配置して、前記選別トラフとは逆方向の水平方向成分を有する振動を与えられるように構成し、かつ前記選別トラフから排除されたワークが前記選別トラフ支持台に接することなく前記リターントラフに直接移載されるように構成し
たパーツフィーダ
であって、
前記選別トラフ支持台はブロック状のものであり、上方に前記選別トラフを支持するとともに、その一部に設けた切り欠き内に前記リターントラフの一部を配置していることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項3】
前記駆動機構が、防振バネに支持された固定部と、この固定部に駆動バネを介して接続された可動部とを備え、
前記リターントラフは、前記可動部または前記固定部のうち前記選別トラフが振動を伝えられる側と同じ側から振動を伝えられる構造をなす請求項2記載のパーツフィーダ。
【請求項4】
前記選別トラフの側下方にアンダーカット部を設け、このアンダーカット部に前記リターントラフの一部を、平面視重複するように配置している請求項2記載のパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送部品たるワークを振動により搬送先へ搬送するパーツフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送部品に振動を与えることにより搬送部品たるワークを選別させつつ搬送方向下流側へ供給するパーツフィーダが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このパーツフィーダは、防振台とも称される固定部とカウンターウエイトとも称される可動部とを備え、固定部と可動部とは板状の振動バネで連結されており、可動部に設けたトラフを振動させることで搬送部品たるワークが搬送方向下流側へ供給される。
【0003】
また、搬送部材には、ワークが所要の姿勢にて搬送されているか否かなどの所定の条件を確認しつつ所要の条件を満たさないワークを排除するために、
図9に示すようにリターントラフp105を備え、ワークの供給元がボウルフィーダpBFである場合には、排除されたワークをリターントラフp105を介してボウルフィーダpBFに帰還させるように構成される。
【0004】
この場合のパーツフィーダpPFは、ボウルフィーダpBFと、このボウルフィーダpBFの排出部pb1に接続されるリニアフィーダpLFとを具備し、前記リニアフィーダpLFが、搬送元から搬送先へとワークを搬送しつつ所定の条件を満たさないワークを排除する機能を備えた選別トラフp5と、前記選別トラフp5とは逆方向にワークを搬送し得るように構成され前記選別トラフp5から排除されたワークをボウルフィーダpBFへ帰還させるためのリターントラフp105と、前記選別トラフp5を下方から支持するシュート台p11(
図10参照)を含み前記選別トラフp5に駆動バネp7を介して所定方向の振動を与えるための駆動機構pDMと、を備えて構成されている。
【0005】
シュート台p11は選別トラフの位置決めをなすとともに、選別トラフとリターントラフの間にシュート面を形成する役割をなしており、リターントラフp105はシュート台p11の側方かつシュート台p11の支持面よりも低い位置に配置されている。駆動バネp7との関係では当該駆動バネp7の側方に位置づけられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のこのシュート台p11の上部に設けられる選別トラフp5とリターントラフp105との高さにはシュート面p11aの厚み寸法を含んだ高低差h2が生じ、かつ、搬送方向と直交する方向に沿ったリターントラフp105と選別トラフp5との水平離間距離w2がシュート面p11aの分だけ大きくなる。このように寸法差が大きくなると、選別トラフp5からリターントラフp105にワークが移載される際に滞留を招く原因となる。また、これに伴って選別トラフp5の入口とリターントラフp105の出口の高さ寸法差も大きくなると、リターントラフp105からボウルフィーダpBFの帰還部pb2を経て回収されたワークを再びボウルフィーダpBFの排出部pb1を介して選別トラフp5の入口に送り出すまでのボウル内の搬送トラックの形状もこれに合わせなければならず、その結果、ボウルフィーダpBFの排出部pb1の付近での登り勾配が大きくなり、搬送効率にも支障を来たす場合がある。
【0008】
また、搬送方向と直交する方向に沿った選別トラフp5とリターントラフp105の水平距離が大きくなると、ボウルフィーダpBF側でのワーク帰還部pb2からワーク排出部pb1までの中心回りの角度θ2が小さくなるため、その分、同じ高低差を登るにあたって走行距離が短くなり、勾配が更に大きくなる原因にもなる。
【0009】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、主たる目的は、ワークの搬送を、不要な停滞を招くことなく円滑に、かつ効率良く行うことができるパーツフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0011】
ボウルフィーダと、このボウルフィーダの排出部に接続されるリニアフィーダとを具備し、前記リニアフィーダが、搬送元から搬送先へとワークを搬送しつつ所定の条件を満たさないワークを排除する機能を備えた選別トラフと、前記選別トラフとは逆方向にワークを搬送し得るように構成され前記選別トラフから排除されたワークをボウルフィーダへ帰還させるためのリターントラフと、前記選別トラフを下方から支持する選別トラフ支持台を含み前記選別トラフに駆動バネを介して所定方向の振動を与えるための駆動機構と、を備えてなるパーツフィーダであって、前記リターントラフを、前記選別トラフ支持台よりも上方かつ前記駆動バネのほぼ真上に配置して、前記選別トラフとは逆方向の水平方向成分を有する振動を与えられるように構成し、かつ前記選別トラフから排除されたワークが前記選別トラフ支持台に接することなく前記リターントラフに直接移載されるように構成したことを特徴とするパーツフィーダを前提とする。
【0012】
このようにすれば、リターントラフと選別トラフの高低差が小さくなり、かつ、搬送方向と直交する方向に沿ったリターントラフと選別トラフの距離が小さくなる。これにより、選別トラフからリターントラフにワークが移載される際の滞留の不具合を低減することができる。また、ボウルフィーダへのワーク帰還部とワーク排出部の高低差はリニアフィーダの選別トラフとリターントラフの高低差が小さくなることによって小さくなり、ボウルフィーダの登坂終盤でトラックに急勾配をつける必要がなくなり、搬送効率に支障が生じる不具合も低減することができる。さらに、リターントラフと選別トラフの水平距離が短くなると、ボウルフィーダ側におけるワーク帰還部とワーク排出部の間の中心回りの補角が大きくなるため、勾配は更に緩やかなものになる。また、リターントラフを駆動バネのほぼ真上に位置づけることで、振動中心から離れることで生じていたリターントラフのローリングやピッチングの問題も解消することができる。
【0013】
そして、前記駆動機構が、防振バネに支持された固定部と、この固定部に駆動バネを介して接続された可動部とを備え、前記リターントラフは、前記可動部または前記固定部のうち前記選別トラフが振動を伝えられる側と同じ側から振動を伝えられる構造をなすので、一方が可動部から振動を伝えられ他方が固定部から振動を伝えられる構造に比べて、簡素な構造で選別トラフとリターントラフに対する振動系を構成することができる。
さらに、前記選別トラフ支持台と前記可動部の間に前記固定部が位置し、前記可動部に連結板が接続されて、当該連結板の上端が前記固定部よりも高い位置に配置されており、この連結板に前記選別トラフ支持台を接続して前記選別トラフを支持するとともに、前記連結板にリターンバネを介して前記リターントラフを接続しているので、互いに逆方向に動作する可動部側の振動系の重心位置と固定部側の振動系の重心位置とを近づけて振動を相殺することができ、また共通の振動伝達部材である連結板に選別トラフとリターントラフを接続するため、振動伝達経路の一部共通化による構造の簡素化を図ることができる。
【0014】
また、前記前提において、前記選別トラフ支持台はブロック状のものである場合に、上方に前記選別トラフを支持するとともに、その一部に設けた切り欠き内に前記リターントラフの一部を配置すれば、選別トラフ支持台と干渉せずにリターントラフを選別トラフに有効に近づけることができる。
【0015】
この場合、前記駆動機構が、防振バネに支持された固定部と、この固定部に駆動バネを介して接続された可動部とを備え、前記リターントラフは、前記可動部または前記固定部のうち前記選別トラフが振動を伝えられる側と同じ側から振動を伝えられる構造とすれば、一方が可動部から振動を伝えられ他方が固定部から振動を伝えられる構造に比べて、簡素な構造で選別トラフとリターントラフに対する振動系を構成することができる。
【0016】
また、前記選別トラフの側下方にアンダーカット部を設け、このアンダーカット部に前記リターントラフの一部を、平面視重複するように配置すれば、選別トラフとリターントラフの高低差と平面離間距離を効果的に小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上、説明した本発明によれば、ワークの搬送を、不要な詰まりや滞留を招来することなく、円滑に且つ効率良く搬送することができるパーツフィーダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係るパーツフィーダの構成要素であるボウルフィーダをリニアフィーダの一部とともに示す平面図。
【
図7】
図3に平行な面であって
図3よりも背面側に変位した位置でリニアフィーダを切断した正断面図。
【
図8】選別トラフ、リターントラフ、選別トラフ支持台の関係をわかり易く示した図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本実施形態に係るパーツフィーダPFの構成要素であるボウルフィーダBFをリニアフィーダLFの一部とともに示す平面図、
図2はリニアフィーダLFの斜視図、
図3は同正面図、
図4は同背面図、
図5は同左側面図、
図6は同右側面図である。また、
図7は
図3に平行な面であって
図3よりも背面側に変位した位置でリニアフィーダLFを切断した正断面図、
図8は選別トラフ5、リターントラフ105、選別トラフ台11(従来のシュート台に相当)の関係をわかり易く示した図である。
【0021】
リニアフィーダLFは、
図5および
図7に示すように、床面上に固定されるベース2と、ベース2の上方に配設された可動部3と、可動部3の上方に配設された固定部4と、固定部4の上方でワークを搬送する搬送方向Xに沿うように配設された選別トラフ5とを備える。固定部4は、板バネである一対の防振バネ6、6によってベース2に対して支持されている。防振バネ6は、下端において締結ボルト2aによってベース2の側面に固定されているとともに、上端において締結ボルト4aによって固定部4の側面に固定されている。ここで、一対の防振バネ6、6は、防振バネ取付部6aの両側に平行に取り付けられ、かつ防止バネ取付部6aの傾斜角調整機構を通じて搬送方向Xに対する傾斜角度が可変となる状態で、ベース2及び固定部4に固定されている。
【0022】
可動部3と固定部4とは、板バネを用いた一対の駆動バネ7、7によって前後方向2箇所を連結されている。一対の駆動バネ7、7は、下端において締結ボルト3aによって可動部3の前後方向端面に固定されているとともに、上端において締結ボルト4cによって固定部4の前後方向端面に固定されている。ここで、一対の駆動バネ7、7は、鉛直方向に対し搬送方向Xに傾斜して互いに略平行となるように、可動部3及び固定部4に固定されている。
【0023】
また、駆動バネ7、7によって連結された可動部3と固定部4との間には、互いを振動させる振動体8が設けられている。振動体8は、ソレノイドや圧電素子等の駆動源を備え、図示しない振動基部と振動端の間に主として水平方向の相対振動を生じさせるもので、振動基部および振動端の一方が可動部3に固定され、他方が固定部4に固定されて、可動部3と固定部4とを相対的に振動させることが可能となっている。
【0024】
また、選別トラフ5は、連結板(連結部材)10によって、固定部4の上方に配置されてブロック状をなす選別トラフ支持台11と連結されている(
図3、
図7参照)。選別トラフ5は選別トラフ支持台11の上に取り付けられ、可動部3と同期して振動する。このために、連結板10は、締結ボルト10aによって選別トラフ5と連結されているとともに、連結ボルト10bによって可動部3と連結されている。
【0025】
振動体8、駆動バネ7、固定部4、可動部3、連結板10、選別トラフ支持台11は、選別トラフ5に斜め方向の振動を与えるための駆動機構を構成している。
【0026】
次に、リニアフィーダ1の主たる作用について説明する。リニアフィーダ1を床面に固定した状態で、略水平に設定された選別トラフ5の上面5aにワークを載置する。この状態で、振動体8を起振させることで、可動部3と固定部4とは振動することとなる。ここで、可動部3と固定部4とは、互いを連結する駆動バネ7、7が搬送方向Xに傾斜しているため、傾斜角に応じて、搬送方向Xの成分とともに搬送方向Xと垂直な垂直方向成分を有して振動することとなる。そして、この振動が連結板10を介して選別トラフ5へ、選別トラフ5からワークに伝達されることで、ワークは、選別トラフ5の上面を搬送されることとなる。この際、固定部4の重心位置は、固定部4の略中央付近に存在する。また、可動部3の重心と、可動部3と一体となって振動する連結板10の重心及び選別トラフ5の重心とを合成した重心位置は、可動部3とトラフ5とが固定部4を跨るようにして一体となっていることで、固定部4の重心位置近傍となる。このため、両者の振動は打ち消されることとなり、防振バネ6による作用と相まってベース2及び床面に伝達される振動を効果的に減衰させることができる。
【0027】
この選別トラフ5には、所定の条件を満たさないワーク、具体的には適正姿勢でないワークを選別トラフ5からリターントラフ105に向かってエア噴射により排除するための選別機構が設けられている。
【0028】
一方、このリニアフィーダLFは、可動部3または固定部4の振動を利用して選別トラフ5から排除されたワークを選別トラフ5の搬送方向と逆方向に搬送するリターントラフ105を備える。そのために、リターントラフ105は、
図2、
図3および
図6に示すように、前記連結板10との間がリターンバネ107で接続さ、このリターンバネ107に支持されている。このリターンバネ107は、鉛直方向に対して駆動バネ7とは逆向きの傾斜を有するもので、可動部3に連結された連結板10が可動部3と一体に振動した際に、その振動がそのまま選別トラフ2に伝えられるのに対して、連結板10の振動はリターンバネ107によって逆向きの水平方向成分を有する振動に変換されてリターントラフ105に伝えられるように構成されている。
【0029】
そのために、一対のリターンバネ107、107は、下端において締結ボルト107aによって連結板10の前後方向の端面に固定されているとともに、上端において締結ボルト107bによってリターントラフ105を支持するリターン台111の前後方向の端面に接続されている。
【0030】
図4を紙面垂直方向に沿った異なる位置で切断した一部断面に相当する
図8を参照して構造を説明すると、リターントラフ105は、選別トラフ5を支持する選別トラフ支持台11の上に主要部が位置し、リターン台111に支持されている。リターン台111は、リターンバネ107を介して連結板10の一部に接続されており、リターン台111やリターントラフ105と、連結板10や選別トラフ支持台11、選別トラフ5との間は互いに干渉しない範囲で微小隙間が設けられている。
【0031】
選別トラフ5は側下方にアンダーカット部5aを有しており、このアンダーカット部5aにリターントラフ105の一部が平面視重複するように配置されている。
図8ではリターントラフ105と選別トラフ支持台11が一部において重なっているように見えるが、
図8における紙面垂直方向に変位した位置では選別トラフ支持台11の一部に切り欠き11xが設けられ、その切り欠き11xの部分にリターントラフ105が干渉しないように配置されている。
【0032】
このように、本実施形態のパーツフィーダPFは、ボウルフィーダBFと、このボウルフィーダBFの排出部b1に接続されるリニアフィーダLFとを具備し、リニアフィーダLFが、搬送元から搬送先へとワークを搬送しつつ所定の条件を満たさないワークを排除する機能を備えた選別トラフ5と、選別トラフ5とは逆方向にワークを搬送し得るように構成され選別トラフ5から排除されたワークをボウルフィーダBFへ帰還させるためのリターントラフ105と、選別トラフ105を下方から支持する選別トラフ支持台11を含み選別トラフ5に駆動バネ7を介して所定方向の振動を与えるための駆動機構DMと、を備えるものである。
【0033】
そして、上記のように構成することで、リターントラフ105は、選別トラフ支持台11の支持面よりも上方かつ駆動バネ7のほぼ真上に位置して、選別トラフ5とは逆方向の水平方向成分を有する振動を与えられ、選別トラフ105から排除されたワークが選別トラフ支持台11に接することなくリターントラフ105に直接移載されることになる。
【0034】
これにより、
図1と
図9、
図8と
図10を比較しても明らかなように、リターントラフ105と選別トラフ5の高低差h1は、リターントラフp105と選別トラフp5の高低差h2よりも小さくなり、かつ、搬送方向と直交する方向に沿ったリターントラフ105と選別トラフ5の距離w1は、同方向に沿ったリターントラフp105と選別トラフp5の距離w2よりも小さくなる。これにより、選別トラフ5からリターントラフ105にワークが移載される際の滞留の不具合を有効に低減することができる。また、ボウルフィーダBFへのワーク帰還部b2とワーク排出部b1の高低差はリニアフィーダLFの選別トラフ5とリターントラフ105の高低差が小さくなることによって小さくなり、ボウルフィーダBFの登坂終盤でトラックに急勾配をつける必要がなくなり、搬送効率に支障が生じる不具合も低減できる。さらに、リターントラフ105と選別トラフ5の水平距離w1が短くなると、ボウルフィーダBF側におけるワーク帰還部b2とワーク排出部b1の間の中心回りの補角θ1は、従来のボウルフィーダBF側におけるワーク帰還部pb2とワーク排出部pb1の間の中心回りの補角θ2よりも大きくなるため、同じ高低差をより長い距離で登ることができ、勾配を更に緩やかなものにすることができる。また、リターントラフ105を駆動バネ7のほぼ真上に位置づけることで、振動中心から離れることにより生じていたリターントラフ105のローリングやピッチングの問題も解消することができる。
【0035】
特に、駆動機構DMが、防振バネ6に支持された固定部4と、この固定部4に駆動バネ7を介して接続された可動部3とを備え、リターントラフ105は、選別トラフ5とともに可動部3側から振動を伝えられる構造をなしており、振動伝達経路が途中まで共通となるため、一方が可動部3から振動を伝えられ他方が固定部4から振動を伝えられる構造に比べて、簡素な構造で選別トラフ5とリターントラフ105に対する振動系を構成することができる。
【0036】
より具体的には、選別トラフ支持台11と可動部3の間に固定部4が位置し、可動部3に連結板10が接続されて、連結板10の上端が固定部4よりも高い位置に配置されており、この連結板10に選別トラフ支持台11を接続して選別トラフ5を支持するとともに、連結板10にリターンバネ107を介してリターントラフ105を接続している。これにより、互いに逆方向に動作する可動部3側の振動系の重心位置と固定部4側の振動系の重心位置とを近づけて振動を相殺することができ、また共通の振動伝達部材である連結板10に選別トラフ5とリターントラフ105を接続するため、振動伝達経路の一部共通化による構造の簡素化を図ることができる。
【0037】
また、選別トラフ5の側下方にアンダーカット部5aを設け、このアンダーカット部5aにリターントラフ107の一部を、平面視重複するように配置しているので、選別トラフ5とリターントラフ105の高低差と平面離間距離を効果的に小さくすることができる。
【0038】
さらに、選別トラフ支持台11はブロック状のものであり、上方に選別トラフ5を支持するとともに、その一部に設けた切り欠き11x内にリターントラフ105の一部を配置しているので、選別トラフ支持台11と干渉せずにリターントラフ105を選別トラフ5に有効に近づけることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではない。
【0040】
例えば上記実施形態では選別トラフ、リターントラフともに可動部側から振動を伝えられるように構成したが、固定部側から振動を伝えられるように構成しても構わない。
【0041】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…パーツフィーダ
3…可動部
4…固定部
5…選別トラフ
5a…アンダーカット部
7…駆動バネ
11…選別トラフ支持台
11x…切り欠き
105…リターントラフ
107…リターンバネ
BF…ボウルフィーダ
b2…排出部
DM…駆動機構
LF…リニアフィーダ