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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ミキサー
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/046 20060101AFI20220510BHJP
   A47J 43/07 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A47J43/046
A47J43/07
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018137953
(22)【出願日】2018-07-23
(65)【公開番号】P2020014547
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小幡 享史
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-146330(JP,A)
【文献】特開平09-065988(JP,A)
【文献】実開昭59-034750(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0117714(US,A1)
【文献】特開平05-199944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/046
A47J 43/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源が収容される本体部と、
前記本体部に螺着され、被調理物を収容可能な容器部と、が備えられ、
前記容器部が、底部開口を有する筒状のカップ本体と、前記動力源の動力により回転軸周りに回転駆動されるカッター刃が設けられると共に螺着により前記底部開口を封止可能なカップ台と、を有し、
前記本体部に対する前記容器部の螺合解除向きと前記カップ台に対する前記カップ本体の螺合解除向きとが同じ向きになるように構成され、
前記容器部を前記本体部に螺着した状態で、前記カップ本体と前記カップ台とが相対回転しないように規制する規制部が備えられているミキサー。
【請求項2】
前記規制部に、前記本体部から突設される凸部と、前記カップ台に設けられて前記凸部による押圧で上下に変位する変位部と、前記カップ本体の下端に設けられる切欠部と、が設けられ、
前記容器部を前記本体部に載置すると、前記変位部が前記凸部に押し上げられて前記切欠部に入り込むようになっている請求項1に記載のミキサー。
【請求項3】
前記本体部に対する前記容器部の螺合が完全に解除されるまで、前記変位部による前記凸部の押し上げが維持されるように構成されている請求項2に記載のミキサー。
【請求項4】
前記規制部に、前記変位部を前記カップ本体側とは反対の方向へ付勢する付勢部が設けられている請求項2または3に記載のミキサー。
【請求項5】
前記変位部が、前記カップ台に対する前記カップ本体の螺合向きに沿って延びて前記カップ台に対して傾動可能な軸部を有し、
前記変位部は、前記切欠部の箇所まで上がっている状態において前記軸部周りに傾動することで前記切欠部から脱出可能となっている請求項2~4のいずれか一項に記載のミキサー。
【請求項6】
前記凸部と前記変位部との間に前記変位部の前記軸部周りの傾動を阻止する係止部が設けられている請求項5に記載のミキサー。
【請求項7】
前記カップ本体における前記切欠部の端面に、回転軸を中心とする円の径方向に対して傾斜した第一傾斜部が設けられ、
前記変位部の端面に、前記径方向に対して傾斜して前記第一傾斜部に対向する第二傾斜部が設けられ、
前記カップ台に対する前記カップ本体の螺合解除操作により、前記第一傾斜部で前記第二傾斜部が押圧されて、前記変位部が前記径方向の外側に変位して前記切欠部から脱出するようになっている請求項2~6のいずれか一項に記載のミキサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源が収容される本体部と、本体部に螺着され、被調理物を収容可能な容器部と、が備えられているミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のミキサーが、例えば、特許文献1に開示されている。同文献に記載のミキサーでは、容器部が、底部開口を有する筒状のカップ本体と、動力源の動力により回転駆動されるカッター刃が設けられると共に螺着により底部開口を封止可能なカップ台と、を有している。この構造であれば、カップ本体とカップ台とを螺合解除して分離することにより、洗浄等のお手入れが行い易い。
【0003】
また、このミキサーでは、本体部に対する容器部の螺合解除向きとカップ台に対するカップ本体の螺合解除向きとが同じ向きになるように構成されている。カップ台に対するカップ本体の螺着力を、本体部に対する容器部の螺着力よりも大きくなるようにしているため、通常は、本体部から容器部を取り外す際に、カップ本体とカップ台との間の螺合が緩むことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-135730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、部品の寸法誤差や組み付け誤差等が大きい場合や劣化が進行した場合等に、カップ台に対するカップ本体の螺着力や本体部に対する容器部の螺着力が、想定とは異なるものになる可能性があった。
【0006】
そのような場合、カップ本体を把持して本体部から容器部を取り外そうとすると、本体部から容器部が外れるより先に、カップ台とカップ本体との間の螺合が緩み、被調理物(内容物)の漏れに繋がるおそれがあった。
【0007】
本発明は、斯かる現状の課題に鑑みてなされたものであり、本体部から容器部を取り外す際にカップ台に対するカップ本体の螺合の緩みにより被調理物が漏れ出ることを防止できるミキサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るミキサーは、
動力源が収容される本体部と、
前記本体部に螺着され、被調理物を収容可能な容器部と、が備えられ、
前記容器部が、底部開口を有する筒状のカップ本体と、前記動力源の動力により回転駆動されるカッター刃が設けられると共に螺着により前記底部開口を封止可能なカップ台と、を有し、
前記本体部に対する前記容器部の螺合解除向きと前記カップ台に対する前記カップ本体の螺合解除向きとが同じ向きになるように構成され、
前記容器部を前記本体部に螺着した状態で、前記カップ本体と前記カップ台とが相対回転しないように規制する規制部が備えられているものである。
【0009】
本発明に係るミキサーによれば、本体部から容器部を取り外す際の回動操作において、カップ台に対してカップ本体が相対回転することを防止できる。これにより、本体部から容器部を取り外す際にカップ台に対するカップ本体の螺合の緩みにより被調理物が漏れ出ることを防止できることを効果的に防止できる。
【0010】
本発明において、
前記規制部に、前記本体部から突設される凸部と、前記カップ台に設けられて前記凸部による押圧で上下に変位する変位部と、前記カップ本体の下端に設けられる切欠部と、が設けられ、
前記容器部を前記本体部に載置すると、前記変位部が前記凸部に押し上げられて前記切欠部に入り込むようになっていると好適である。
【0011】
本構成によれば、本体部に容器部を載置している状態において、カップ台に対してカップ本体が回転することを防止できる。
【0012】
本発明において、
前記本体部に対する前記容器部の螺合が完全に解除されるまで、前記変位部による前記凸部の押し上げが維持されるように構成されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、本体部から容器部を取り外すときの回動操作を行っている間、常にカップ台に対してカップ本体が回転することを防止できる。これにより、意図せずにカップ本体とカップ台の螺合が緩むことをより確実に防止できる。
【0014】
本発明において、
前記規制部に、前記変位部を前記カップ本体側とは反対の方向へ付勢する付勢部が設けられていると好適である。
【0015】
本構成によれば、本体部から容器部を離間させたときに、付勢部の付勢力により変位部が切欠部から脱出し、規制部によるカップ本体の規制が即座に解除され、カップ台に対するカップ本体の取り外しが行い易くなる。
【0016】
本発明において、
前記変位部が、前記カップ台に対する前記カップ本体の螺合向きに沿って延びて前記カップ台に対して傾動可能な軸部を有し、
前記変位部は、前記切欠部の箇所まで上がっている状態において前記軸部周りに傾動することで前記切欠部から脱出可能となっていると好適である。
【0017】
本構成によれば、変位部が切欠部に嵌り込んで変位し難くなった場合でも、軸部周りに傾動させることで切欠部から脱出させることができる。
【0018】
本発明において、
前記凸部と前記変位部との間に前記変位部の前記軸部周りの傾動を阻止する係止部が設けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、容器部が本体部に載置されている状態で、意図せずに変位部が傾動してカップ台に対するカップ本体の回動規制が解除されることを防止できる。
【0020】
本発明において、
前記カップ本体における前記切欠部の端面に、回転軸を中心とする円の径方向に対して傾斜した第一傾斜部が設けられ、
前記変位部の端面に、前記径方向に対して傾斜して前記第一傾斜部に対向する第二傾斜部が設けられ、
前記カップ台に対する前記カップ本体の螺合解除操作により、前記第一傾斜部で前記第二傾斜部が押圧されて、前記変位部が前記径方向の外側に変位して前記切欠部から脱出するようになっていると好適である。
【0021】
本構成によれば、変位部が切欠部に嵌り込んで変位し難くなった場合でも、カップ台に対するカップ本体の螺合解除操作により、変位部を切欠部から脱出させて、カップ台からのカップ本体の取り外しを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るミキサーの全体構成を示す正面図。
図2】本発明の一実施形態に係るミキサーの全体構成を示す側面図。
図3】本発明の一実施形態に係るミキサーの図2におけるA-A矢視断面図。
図4】本発明の一実施形態に係るミキサーの部分断面を含む分解斜視図。
図5】本体部の部分分解斜視図。
図6】容器部の部分断面を含む分解斜視図。
図7】カップ台の分解断面斜視図。
図8】係合前後における本体部と容器部の境界部を示す部分拡大断面図。
図9】本体部と容器部が離間している状態を示す部分断面を含む斜視図。
図10】本体部への容器部の載置状態を示す部分断面を含む斜視図。
図11】本体部への容器部の係合状態を示す部分断面を含む斜視図。
図12】変位部の変位状況を示す模式図。
図13】変位部の回動状況を示す模式図。
図14】変位部の切欠部からの脱出状況を示す斜視図。
図15】変位部の切欠部からの脱出状況を示す模式的な平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、発明の実施の形態を説明する。尚、以下の説明では、図1図14において矢印で示すように、ミキサーの上下方向を規定している。
【0024】
(ミキサーの全体構成)
図1図3に示すミキサー1は、本発明に係るミキサーの一実施形態であり、本体部10と容器部20とを備えている。本体部10は、容器部20を着脱自在に支持する部位であるとともに、容器部20を駆動する手段となる部位であり、卓上等の水平面に配置した状態で使用される。容器部20は、ミキサー1による被調理物(果物、野菜等の食材)を収容可能な容器状の部位であり、本体部10の上方に配置される。
【0025】
(本体部)
図3に示すように、本体部10は、容器部20を下方より支持する部位であるとともに、容器部20の刃支持部23を駆動する駆動機構を備えるものであり、本体ケース11と本体ケース11に収容される動力源12を備えている。
【0026】
本体ケース11は、本体部10の外殻を構成する筐体であり、上端部には上向きの支持面11aが形成されている。支持面11aには、上方に向けて突出する係合部11bが複数形成されている。また、支持面11aの軸心上には、孔部11cが形成されている。また、本体ケース11の支持面11aには、凸部16を配置するための孔部11dが形成されている。そして、本体ケース11は、その内部に例えば動力源12を収容可能な空間が確保されている。
【0027】
動力源12は、ミキサー1の駆動源であり、例えば、モータで構成される。動力源12では、モータブラケット12aに対して、コア12b、ロータ12c、駆動軸12d等が組み付けられている。動力源12は、所謂両軸モータであり、コア12bおよびロータ12cを挟んで軸方向の両側に駆動軸12dが突出されている。駆動軸12dの頂部には、容器部20側のカップリング(後述する上部カップリング27)と係合する下部カップリング17が組み付けられている。
【0028】
動力源12は、家庭用コンセント(図示せず)にプラグ13を差し込むことで電源が供給され、本体部10の外周面に配置されたスイッチ14(図1図2参照)の操作によって、動力源12のON-OFFやモード選択(回転数の変更)を行うことができるように構成されている。また、本体部10は、本体ケース11の下端において、複数の脚部15を備えており、卓上等の水平面に配置可能に構成されている。
【0029】
図3図5に示すように、本体部10は、本体ケース11の上面より上方に突出する部位である凸部16を備えている。凸部16は、後述する規制部40の一部を構成するものであり、変位部材16a、ホルダー16b、バネ16cを備えている。変位部材16aは、ホルダー16bの内側において、上下方向に変位可能に構成されている。凸部16は、本体ケース11に形成された孔部11dに下方から変位部材16aを挿通するとともに、変位部材16aが下方よりホルダー16bによって保持され、ホルダー16bをビス16d・16dで本体ケース11に取り付けることによって、本体部10に対して付設されている。バネ16cは、押し縮められた状態で、変位部材16aとホルダー16bの間に介設されており、バネ16cによって、変位部材16aを常時上側に変位するように付勢している。なお、変位部材16aの下端部は折り返し形状を有し孔部11dよりも大きい外形となっており、折り返し形状によって、変位部材16aが孔部11dから抜けないように構成するとともに、変位部材16aの最高位置を定めている。
【0030】
(容器部)
図3図6図7に示すように、容器部20は、カップ本体21とカップ台22と刃支持部23とを備えている。カップ本体21は、略円筒状の部位であり、カップ台22と刃支持部23によって下端部を封止することによって、被調理物を収容可能なカップ本体状に構成される。カップ台22は、略円筒状の部位であり、容器部20の下部を構成し、容器部20を本体部10に連結可能とする部位である。刃支持部23は、カップ本体21の底部を封止するとともに、カップ本体21の内部において、動力源12の動力により回転軸周りに回転駆動されるカッター刃24を支持する部位であり、カップ本体21とカップ台22によって挟持されている。
【0031】
カップ本体21は、略円筒状の部位である側周部21aと、側周部21aの下端に連続する底部21bを備えている。筒状のカップ本体21は、底部21bの中心において、カップ本体21の下端側の開口となる底部開口21cを有している。また、カップ本体21は、底部開口21cの周縁部21dがさらに下端側に向けて延設されており、周縁部21dの周囲に雄ネジ21eが形成されている。カップ本体21の内面には、底部21bから側周部21aに至る範囲で連続してカップ本体21の径方向内側へ突出する突出部であるリブ部21fが形成されている。リブ部21fは、底部21bから離間するほど、側周部21a内面からの高さおよび幅が小さくなる形状となっている。また、カップ本体21は、外周面において取手21gを備えており、食材を投入するための上端開口は蓋21hによって封止可能に構成されている。
【0032】
そして、カップ本体21は、周縁部21dの下端において、周縁部21dの一部を切り欠いた部位である切欠部28が形成されている。切欠部28は、カップ本体21の下端側に向けて開放されている部位であり、カップ台22に付設された変位部30に対応する位置に形成されている。
【0033】
カップ台22は、動力源12の動力により回転軸26周りに回転駆動されるカッター刃24が設けられると共に螺着により底部開口21cを封止可能となっている。また、カップ台22は、略円筒状の部材により構成され、その円筒の内部において、軸心方向に垂直な支持面11aを備えた支持部22aが形成されている。また、カップ台22は、支持部22aの軸心上に孔部22bが形成されている。そして、カップ台22の内周面には、雌ネジ22cが形成されている。
【0034】
そして、カップ本体21とカップ台22は、カップ本体21の雄ネジ21eとカップ台22の雌ネジ22cを螺合して一体化できるように構成されている。
【0035】
そして、支持部22aには、カップ本体21とカップ台22を螺合した状態で切欠部28の下方にあたる位置において、図7に示すような挿通孔22dが形成されている。挿通孔22dは、変位部30のロッド部30aを挿通するための孔部である。また、挿通孔22dは、容器部20を本体部10上部の所定位置(後述するロック位置および載置位置)に配置した状態において、凸部16の上方にあたる位置に形成されている。
【0036】
また、カップ台22は、下方に向けて突出する部位である係合部22eを備えている。係合部22eは、本体部10の上面に形成された係合部11bと互いに係合しあうように一部をかぎ状とした部位であり、係合部11bに対応する個数が形成されている。
【0037】
本体部10とカップ台22は、図8に示すように、支持面11aの所定位置にカップ台22を位置決めして配置した後に、カップ台22を平面視における時計回りに回転させることによって、本体部10側の係合部11bとカップ台22側の係合部22eが嵌りあって係合されるように構成している。
【0038】
図3図4図6図7に示すように、カップ台22は、支持部22aの上面より突出するように変位可能な変位部30を備えている。変位部30は、後述する規制部40の一部を構成するものであり、切欠部28に対して抜き差し可能に構成され、ロッド部30aと、係止部30bと、軸部30cを備えている。ロッド部30aは、変位部30の上端部を構成しており、切欠部28に対して抜き差しされる部位である。係止部30bは、変位部30の下端部を構成しており、変位部材16aに当接可能であるとともに、変位部材16aの上端に形成された係止部16eと係止可能な部位である。軸部30cは、ロッド部30aと係止部30bの中間位置で水平方向に延設されており、軸方向に直交する断面が長円状である形態を有している。軸部30cは、カップ台22に対するカップ本体21の螺合向きに沿って延びてカップ台22に対して傾動可能となっている。
【0039】
図6図7に示すように、変位部30は、ホルダー31の内側において、上下方向に変位可能に構成されている。変位部30は、カップ台22に形成された挿通孔22dに下方からロッド部30aを挿通するとともに、下方からホルダー31によって保持され、ホルダー31をビス33・33で取り付けることによって、カップ台22に対して付設されている。ホルダー31は、変位部30を保持する部位であり、基体部31a、溝部31b、拡大部31cが形成されている。溝部31bは、基体部31aにおいて上下方向に延設された溝状の部位であり、溝部31bにおいて、変位部30の軸部30cを保持している。ここで、軸部30cは長円状の形態を有しているため、変位部30は、軸部30cが溝部31bに沿っている状態では回動不能とされ、上下方向への変位のみが許容されるように構成されている。
【0040】
拡大部31cは、溝部31bの上部に形成されている部位であり、軸部30cが回転可能となる幅に拡大されている。このような構成により、変位部30は、軸部30cが拡大部31cに位置する状態では、溝部31bによる規制が解除されて軸部30c回りの回動が許容されるように構成されている。
【0041】
図3に示すように、刃支持部23は、カッター刃24と軸受ケース25と回転軸26と上部カップリング27を備えている。刃支持部23は、カップ本体21の内部で回転するカッター刃24を回転可能に支持する部位である。
【0042】
軸受ケース25は、回転軸26を回転自在に支持する部位であり、カップ本体21の底部開口21cの内径に対応する略円柱状の基台部25aと、基台部25aの中心軸上に形成された略円柱状の軸受部25bと、基台部25aから径方向外側に拡径された拡径部25cを備えている。
【0043】
回転軸26は、軸受部25bにおいて、軸受部材25dを介して、軸受ケース25の中心軸上で回転可能に支持されている。回転軸26の上端部には、カッター刃24が固定されており、回転軸26の下端部には、上部カップリング27が固定されている。
【0044】
(規制部)
図3および図8に示すように、ミキサー1には、容器部20を本体部10に螺着した状態で、カップ本体21とカップ台22とが相対回転しないように規制する規制部40が備えられている。規制部40には、本体部10から突設される凸部16と、カップ台22に設けられて凸部16による押圧で上下に変位する変位部30と、カップ本体21の下端に設けられる切欠部28と、が設けられている。説明を加えると、規制部40は、本体部10とカップ本体21とカップ台22を着脱可能な構成としたミキサー1において、本体部10から容器部20を外すときに、カップ本体21とカップ台22の螺合が緩むことがないように、カップ本体21の回転を規制するための手段である。
【0045】
(規制部の作動状況)
ここでは、本体部10に対して容器部20を取り付ける際の規制部40の作動状況について説明をする。なお、本実施形態で例示する容器部20は、平面視において、カップ台22に対してカップ本体21を時計回りに回転させることで、カップ台22に対してカップ本体21を螺合させることができるように構成されている。換言すると、容器部20は、平面視において、カップ台22に対してカップ本体21を反時計回りに回転させることで、カップ台22に対するカップ本体21の螺合が緩むように構成されている。
【0046】
図9に示すように、規制部40には、変位部30をカップ本体21側とは反対の方向へ付勢する例えばバネで構成される付勢部32が設けられている。本体部10に取り付けられる前の容器部20においては、変位部30が付勢部32によって付勢されて下がっており、変位部30のロッド部30aは、切欠部28に挿入されていない状態となっている。ここから本体部10に対して容器部20を位置決めしつつ、容器部20を降下させていくと、本体部10の凸部16に変位部30の係止部30bが接触するようになる(図12上図参照)。
【0047】
次に、図10に示すように、本体部10に対して容器部20を位置決めしつつ、容器部20をさらに降下させていき、変位部30が本体部10の凸部16によって押圧されるようになると、付勢部32のバネ力に抗して変位部30が上側に変位される(図12中図参照)。なお、変位部30を付勢する付勢部32のバネ力は、凸部16の変位部材16aを付勢するバネ16cのバネ力に比して小さくしている。このため、変位部30が凸部16に押圧されたときには、変位部30は上方へ変位するが、変位部材16aは下方へ変位することがない。
【0048】
そして、容器部20を本体部10と係止させることが可能な所定高さまで降下させたとき、容器部20が本体部10上に載置され、このときに変位部30のロッド部30aがカップ本体21の切欠部28に挿入された状態となる。つまり、容器部20を本体部10に載置すると、変位部30が凸部16に押し上げられて切欠部28に入り込むようになっている。ここで変位部30は、カップ本体21に対するかんぬきとして機能するため、変位部30によって、カップ台22に対するカップ本体21の回転が規制される。なお、このときの所定高さまで降下させたときの容器部20の位置は、本体部10と容器部20がまだ係合されておらず、ミキサー1を使用することができない位置であり、以下では載置位置と呼ぶ。
【0049】
即ち、ミキサー1の規制部40は、本体部10の支持面11aより突設された凸部16と、カップ台22によって容器部20の軸心方向に変位可能に支持された変位部30と、カップ本体21の一端側の開口の周縁部21dに形成された切欠部28と、を含み、容器部20を本体部10に載置したときに、変位部30が凸部16に当接され、変位部30がカップ本体21側に変位されるとともに切欠部28に挿入されるものである。このような構成によれば、本体部10に容器部20を載置している状態において、カップ台22に対してカップ本体21が回転することを防止できる。
【0050】
次に、図11に示すように、本体部10に対して容器部20を載置している状態から、容器部20を平面視における時計回りに回転させることで、係合部11b・22e同士が係合し合ってロックされ、容器部20が本体部10上の所定位置に配置される。なお、このときの容器部20の所定位置は、ミキサー1を使用できる位置であり、以下ではロック位置と呼ぶ。
【0051】
ミキサー1では、図10および図11に示すように、容器部20が載置位置からロック位置に回転される間において、変位部30のロッド部30aがカップ本体21の切欠部28に挿入された状態が維持されている。
【0052】
即ち、ミキサー1の規制部40は、容器部20を本体部10に係止させたときに、変位部30が凸部16に当接されるものである。説明を加えると、規制部40は、本体部10に対する容器部20の螺合が完全に解除されるまで、変位部30による凸部16の押し上げが維持されるように構成されている。このような構成によれば、本体部10に容器部20を係止している状態において、カップ台22に対してカップ本体21が回転することを防止できる。本体部10から容器部20を外すときの容器部20の回動操作を行っている間、常にカップ台22に対してカップ本体21が回転することを防止できる。これにより、意図せずにカップ本体21とカップ台22の螺合が緩むことをより確実に防止できる。
【0053】
次に、ミキサー1による調理が終了し、本体部10から容器部20を取り外す場合には、図11に示す状態から、容器部20を平面視における反時計回りに回転させて、容器部20をロック位置から載置位置に回転させる。ミキサー1では、容器部20がロック位置から載置位置に回転される間においても、変位部30のロッド部30aがカップ本体21の切欠部28に挿入された状態が維持されている。
【0054】
ミキサー1の容器部20は、平面視において、カップ台22に対してカップ本体21を反時計回りに回転させることで、カップ台22に対するカップ本体21の螺合が緩むように構成されており、これらの螺合解除向きと、容器部20をロック位置から載置位置に回転させるときの容器部20の回転向きとは一致している。説明を加えると、本体部10に対する容器部20の螺合解除向きとカップ台22に対するカップ本体21の螺合解除向きとが同じ向きになるように構成されている。このため、ミキサー1では、ユーザーが容器部20をロック位置から載置位置に回転させる操作を行ったときに、その操作力がカップ本体21とカップ台22の螺合を緩ませることに費やされる可能性がある。
【0055】
しかしながら、ミキサー1では、容器部20がロック位置から載置位置に回転される間においても、変位部30のロッド部30aがカップ本体21の切欠部28に挿入された状態が維持されているため、仮に上記操作力がカップ本体21に作用したとしても、変位部30によってカップ本体21の回転が規制されるため、カップ本体21とカップ台22の螺合が緩むことがない。
【0056】
即ち、本発明の一実施形態に係るミキサー1は、略円筒状のカップ本体21と、カップ本体21の軸心方向における一端側の開口を封止するカップ台22と、を有し、カップ本体21の一端側の開口の周縁部21dに形成された雄ネジ21eをカップ台22の内周面に形成された雌ネジ22cに対して螺合向きにねじ込んで構成される容器部20と、カップ本体21の筒軸を上下方向に向け、かつ、カップ本体21の一端側を下方に向けた姿勢の容器部20を支持する上向きの支持面11aと、支持面11aに形成されたカップ台22を係止する係合部11bと、を有し、容器部20を、支持面11aに載置した後に螺合向きへ回転させて、係合部11bによって、容器部20を係止可能に構成した本体部10と、を備え、容器部20を本体部10に係止させた状態において、カップ本体21とカップ台22との螺合向きと、本体部10に対する容器部20の螺合向きとが、カップ本体21の軸心方向視において一致しているものであって、支持面11aに載置した容器部20のカップ本体21がカップ台22に対して回転することを規制する規制部40を備えるものである。このような構成によれば、本体部10とカップ本体21とカップ台22を着脱可能なミキサー1において、本体部10から容器部20を外すときの容器部20の回動操作によって、カップ台22に対してカップ本体21が回転することを防止できる。これによって、意図せずにカップ本体21とカップ台22の螺合が緩むことを防止できる。
【0057】
なお、上記説明では、本体部10に取り付ける際に、既に容器部20が構成されている場合について説明を行ったが、ミキサー1では、本体部10に対して、まずカップ台22を取り付けておき、本体部10上のカップ台22に対してカップ本体21を取り付けていく、という作業手順とすることも可能である。
【0058】
ここでは、本体部10に対してカップ台22のみを取り付け、その後、本体部10上のカップ台22に対してカップ本体21を取り付ける際の規制部40の作動状況について説明をする。
【0059】
本体部10に対してカップ台22を位置決めしつつ、カップ台22を降下させていくと、本体部10の凸部16によって変位部30が押圧され、付勢部32のバネ力に抗して変位部30が上側に変位される。そして、カップ台22を本体部10と係止させることが可能な所定高さまで降下させたとき、カップ台22が本体部10上に載置される。このとき、変位部30のロッド部30aは、カップ本体21の切欠部28に挿入可能な高さまで上側に変位している。
【0060】
次に、本体部10に対してカップ台22を載置している状態から、カップ台22を平面視における時計回りに回転させることで、係合部11b・22e同士が係合し合ってロックされ、カップ台22が本体部10上の所定位置に配置される。
【0061】
次に、本体部10上の所定位置に配置されているカップ台22の雌ネジ22cに対して、カップ本体21の雄ネジ21eをねじ込んでいき、カップ台22に対してカップ本体21を螺合させる。螺合途中において、カップ本体21の下端が変位部30のロッド部30aに当接すると、変位部30を介して凸部16の変位部材16aが下降するため、変位部30が障害となることなく、カップ台22に対するカップ本体21の螺合が進行する。
【0062】
そして、カップ本体21がカップ台22に対して最終位置までねじ込まれたとき、カップ本体21の切欠部28は、変位部30の直上に位置することとなり、このとき、凸部16のバネ16c・16cのバネ力によって変位部30が上方に変位され、ロッド部30aがカップ本体21の切欠部28に挿入される。
【0063】
つまり、ミキサー1では、凸部16を上下に変位可能な構成とすることによって、カップ台22とカップ本体21を順次本体部10に取り付ける手順を採用することが可能になり、同手順を採用した場合であっても、容器部20を本体部10に取り付けた場合と同様に、最終的には図11に示すような状態となり、変位部30のロッド部30aがカップ本体21の切欠部28に挿入され、カップ台22に対するカップ本体21の回転を規制できる。
【0064】
なお、本実施形態で示したミキサー1では、変位部30が載置位置とロック位置のいずれにある場合にも、凸部16の変位部材16aが、変位部30に接触する構成としているが、変位部材16aを、ロック位置における変位部30に接する位置のみに配置し、載置位置における変位部30に接する位置には固定された凸部16を配置する構成としてもよい。
【0065】
(規制部の解除方法について)
ミキサー1では、図12下図に示すように、本体部10から容器部20が取り外されて、凸部16と変位部30が離間したときには、変位部30が、付勢部32の付勢力によって下方に変位して、規制部40が解除される。この状態は、図9に示す状態と同様である。なお、この状態では、変位部30は、軸部30cが溝部31bに位置しているため、溝部31bによって軸部30cの回動が規制されている。
【0066】
即ち、ミキサー1の規制部40は、変位部30をカップ本体21側とは反対の方向へ常時付勢する付勢部32を備え、容器部20が支持面11aから離間するときに、付勢部32によって、変位部30が切欠部28から脱出する方向へ変位されるものである。このような構成によれば、本体部10から容器部20を離間させたときに、規制部40によるカップ本体21の規制を即座に解除できる。
【0067】
なお、変位部30は、図12中図に示すように、変位部30と凸部16が接している間は、凸部16の係止部16eによって、変位部30の係止部30bが係止され、変位部30の回動が規制される。
【0068】
即ち、ミキサー1の容器部20は、変位部30が切欠部28に挿入されていない位置に変位しているときに、凸部16と変位部30とを係合させる係止部16e・30bを備えるものである。説明を加えると、凸部16と変位部30との間に変位部30の軸部30c周りの傾動を阻止する係止部16e・30bが設けられている。
【0069】
このような構成によれば、変位部30が軸部30c回りに回動可能な構成において、容器部20が本体部10に載置されているときに、変位部30が回動軸回りに回動することを防止できる。これにより、規制部40によるカップ本体21の規制が、意図せずに解除されることを防止できる。
【0070】
さらに、ミキサー1では、図13上図に示すように、本体部10から容器部20が取り外されているにも関わらず、ロッド部30aが切欠部28に挿入されたままになってしまった場合(即ち、変位部30が付勢部32の付勢力によって下方に変位しなかった場合)にも、確実に規制部40を解除できるように構成されている。
【0071】
具体的には、ミキサー1では、図13下図に示すように、本体部10から容器部20が取り外されて変位部30と凸部16が離間しているにも関わらず、変位部30が下降しなかった場合には、軸部30cが拡大部31cに配置されており、変位部30が軸部30c回りに回動できるように構成されている。
【0072】
図14および図15に示すように、ミキサー1では、切欠部28の側面の一部に第一傾斜部29を形成している。説明を加えると、カップ本体21における切欠部28の端面に、回転軸26を中心とする円の径方向に対して傾斜した第一傾斜部29が設けられている。第一傾斜部29は、カップ台22に対するカップ本体21の螺合向きにおいて、切欠部28の前側に位置する周方向内側面28aとカップ本体21の外周面21kとを接続する傾斜面である。
【0073】
また、ミキサー1では、ロッド部30aの側面の一部にも第二傾斜部35を形成している。説明を加えると、変位部30の端面に、径方向に対して傾斜して第一傾斜部29に対向する第二傾斜部35が設けられている。第二傾斜部35は、カップ台22に対するカップ本体21の螺合向きにおいて、ロッド部30aの前側に位置する周方向外側面30dとロッド部30aの内周面30eとを接続する傾斜面である。
【0074】
図15に示すように、切欠部28にロッド部30aが挿入された状態において、第一傾斜部29と第二傾斜部35は対面しており、カップ台22に対してカップ本体21を螺合向きと反対の向き(即ち、螺合解除向き)に回転させることによって、第一傾斜部29によって第二傾斜部35を押圧できるように構成されている。図14および図15に示すように、第二傾斜部35が第一傾斜部29によって押圧されることで、ロッド部30aには、カップ本体21の径方向外側へと向かう外力が付与される。変位部30は、この外力によって、軸部30cを軸心としてロッド部30aがカップ本体21の径方向外側へ変位する方向に回動され、ロッド部30aが切欠部28から脱出される。このように、カップ台22に対するカップ本体21の螺合解除操作により、第一傾斜部29で第二傾斜部35が押圧されて、変位部30が径方向の外側に変位して切欠部28から脱出するようになっている。また、変位部30は、切欠部28の箇所まで上がっている状態において軸部30c周りに傾動することで切欠部28から脱出可能となっている。
【0075】
即ち、ミキサー1の変位部30は、容器部20の筒軸を中心とした円の接線方向に対して平行な軸部30cを有し、カップ台22に対して軸部30cが回動可能に支持され、切欠部28に挿入されている位置まで変位しているときに、軸部30c回りに回動可能に構成されており、切欠部28から径方向外側に脱出可能に構成されている。このような構成によれば、変位部30が軸心方向に変位不能となった場合であっても、規制部40によるカップ本体21の規制を確実に解除できる。
【0076】
また、ミキサー1のカップ本体21は、螺合向きにおいて切欠部28の前側に位置する周方向内側面28aと周縁部21dの外周面21kとを接続する第一傾斜部29を備え、変位部30は、螺合向きにおいて変位部30のロッド部30aの前側に位置する周方向外側面30dとロッド部30aの内周面30eとを接続する第二傾斜部35を備え、カップ本体21とカップ台22との螺合を解除するとき、第一傾斜部29によって第二傾斜部35が押圧され、変位部30のロッド部30aが、切欠部28からカップ本体21の径方向外側に変位されるものである。このような構成によれば、変位部30が軸心方向に変位不能となった場合であっても、カップ本体21をカップ台22に対して螺合解除向きに回転させるだけで、変位部30を軸部30c回りに回動させることができる。これにより、規制部40によるカップ本体21の規制を確実に解除できる。
【0077】
このような構成のミキサー1は、カップ本体21とカップ台22の螺合を解除しようとする自然な動作(カップ本体21をカップ台22に対して螺合解除向きに回す動作)によって、ロッド部30aを切欠部28から確実に脱出させることができるため、規制部40が解除できなくなることもなく、従来と同じ操作で使用できる。
【符号の説明】
【0078】
1 :ミキサー
10 :本体部
12 :動力源
16 :凸部
16e・30b:係止部
20 :容器部
21 :カップ本体
21c :底部開口
22 :カップ台
24 :カッター刃
26 :回転軸
28 :切欠部
29 :第一傾斜部
30 :変位部
30c :軸部
31b :溝部
32 :付勢部
35 :第二傾斜部
40 :規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14
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