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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】チャックの爪の連結機構
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/16 20060101AFI20220510BHJP
   B23B 31/39 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B23B31/16 D
B23B31/39
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020553916
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2019042267
(87)【国際公開番号】W WO2020090779
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2018204924
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241588
【氏名又は名称】豊和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】永翁 博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 伸
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-201006(JP,A)
【文献】実開昭64-034108(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0145432(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/16
B23B 31/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャック本体に設けられたマスタージョーに爪を連結させるチャックの爪の連結機構であって、
前記マスタージョー内に設けられた連結部材であって、前記爪に連結させる連結位置と、前記爪から離れた離間位置との間で移動可能な連結部材と、
前記連結部材を前記連結位置に向けて付勢する第1弾性部材と、
前記連結部材を前記離間位置に移動させる作動部と、を備え
前記連結部材は、係合溝部を有し、
前記作動部は、前記係合溝部に進退可能に設けられた作動部材であって、前記連結部材の前記係合溝部に進出して係合する係合位置と、前記係合位置から後退して前記係合溝部との係合を解除する係合解除位置との間で移動可能な作動部材を有し、
前記作動部材が係合位置に位置している場合、前記連結部材は前記離間位置に位置し、

前記作動部は、前記作動部材を前記係合位置に位置させる第1解除部材位置と、前記作動部材を前記係合解除位置に位置させる第2解除部材位置との間で移動可能なロック解除部材と、前記ロック解除部材を前記第2解除部材位置に向けて付勢する第2弾性部材と、を有している、チャックの爪の連結機構。
【請求項2】
前記ロック解除部材は、第1伝達機構を介して前記作動部材を移動させ、
前記第1伝達機構は、前記作動部材および前記ロック解除部材の一方に設けられた第1傾斜溝部と、他方に設けられた第1傾斜凸部であって、前記第1傾斜溝部に沿って延びるとともに前記第1傾斜溝部に係合する第1傾斜凸部と、を有している、請求項に記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項3】
前記第1傾斜溝部および前記第1傾斜凸部が延びる方向と、前記ロック解除部材の移動方向とがなす角度のうち鋭角となる角度は、45°未満である、請求項に記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項4】
前記チャック本体に、前記ロック解除部材が移動可能に挿入されたロック解除孔が設けられ、
前記ロック解除孔は、前記チャック本体の前面に開口している、請求項のいずれか一項に記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項5】
前記ロック解除孔の前部において、前記ロック解除部材と前記ロック解除孔との間に第1シール部材が装着されている、請求項に記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項6】
前記作動部は、前記係合位置に位置する前記作動部材をロックするロック位置と、前記作動部材のロックを解除するロック解除位置との間で移動可能なロック部材を更に有している、請求項のいずれか一項に記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項7】
チャック本体に設けられたマスタージョーに爪を連結させるチャックの爪の連結機構であって、
前記マスタージョー内に設けられた連結部材であって、前記爪に連結させる連結位置と、前記爪から離れた離間位置との間で移動可能な連結部材と、
前記連結部材を前記連結位置に向けて付勢する第1弾性部材と、
前記連結部材を前記離間位置に移動させる作動部と、を備え、
前記連結部材は、係合溝部を有し、
前記作動部は、前記係合溝部に進退可能に設けられた作動部材であって、前記連結部材の前記係合溝部に進出して係合する係合位置と、前記係合位置から後退して前記係合溝部との係合を解除する係合解除位置との間で移動可能な作動部材を有し、
前記作動部材が係合位置に位置している場合、前記連結部材は前記離間位置に位置し、
前記作動部は、前記係合位置に位置する前記作動部材をロックするロック位置と、前記作動部材のロックを解除するロック解除位置との間で移動可能なロック部材を更に有している、チャックの爪の連結機構。
【請求項8】
前記作動部は、前記ロック部材を前記ロック位置に位置させる第1保持部材位置と、前記ロック部材を前記ロック解除位置に位置させる第2保持部材位置との間で移動可能なロック保持部材と、前記ロック保持部材を前記第2保持部材位置に向けて付勢する第3弾性部材と、を更に有している、請求項6または7に記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項9】
前記ロック保持部材は、第2伝達機構を介して前記ロック部材を移動させ、
前記第2伝達機構は、前記ロック部材および前記ロック保持部材の一方に設けられた第2傾斜溝部と、他方に設けられた第2傾斜凸部であって、前記第2傾斜溝部に沿って延びるとともに前記第2傾斜溝部に係合する第2傾斜凸部と、を有している、請求項に記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項10】
前記チャック本体に、前記ロック保持部材が移動可能に挿入されたロック保持孔が設けられ、
前記ロック保持孔は、前記チャック本体の前面に開口している、請求項またはに記載のチャックの爪の連結機構。
【請求項11】
前記ロック保持孔の前部において、前記ロック保持部材と前記ロック保持孔との間に第2シール部材が装着されている、請求項10に記載のチャックの爪の連結機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック本体に設けられたマスタージョーに爪を連結させるチャックの爪の連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のチャックの爪の連結機構として、特許文献1に示す機構が知られている。ここでは、ボディの第2案内溝に挿入されるマスタージョーが挿入されており、このマスタージョーにロック手段が配置されている。ロック手段は、噛合部材と、連結片と、を含み、噛合部材には、ジョーのラックと噛合うラックが形成されている。このロック手段を作動させる操作素子は、ボディの外周面に開口した円筒穴に収納されている。その操作素子は、ボディの外方からハンドルを使って移動および回転可能に構成されている。これにより、ロック手段の噛合部材のラックを、第1案内溝に挿入されるジョーのラックに係合させ、噛合部材を介してマスタージョーにジョーが係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3081236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の課題は、上記問題点に鑑み、爪をマスタージョーに速やかに連結させることができるチャックの爪の連結機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
チャック本体に設けられたマスタージョーに爪を連結させるチャックの爪の連結機構であって、
前記マスタージョー内に設けられた連結部材であって、前記爪に連結させる連結位置と、前記爪から離れた離間位置との間で移動可能な連結部材と、
前記連結部材を前記連結位置に向けて付勢する第1弾性部材と、
前記連結部材を前記離間位置に移動させる作動部と、を備えた、チャックの爪の連結機構、
を提供する。
【0006】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記連結部材は、係合溝部を有し、
前記作動部は、前記係合溝部に進退可能に設けられた作動部材であって、前記連結部材の前記係合溝部に進出して係合する係合位置と、前記係合位置から後退して前記係合溝部との係合を解除する係合解除位置との間で移動可能な作動部材を有し、
前記作動部材が係合位置に位置している場合、前記連結部材は前記離間位置に位置する、ようにしてもよい。
【0007】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記作動部は、前記作動部材を前記係合位置に位置させる第1解除部材位置と、前記作動部材を前記係合解除位置に位置させる第2解除部材位置との間で移動可能なロック解除部材と、前記ロック解除部材を前記第2解除部材位置に向けて付勢する第2弾性部材と、を有している、
ようにしてもよい。
【0008】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記ロック解除部材は、第1伝達機構を介して前記作動部材を移動させ、
前記第1伝達機構は、前記作動部材および前記ロック解除部材の一方に設けられた第1傾斜溝部と、他方に設けられた第1傾斜凸部であって、前記第1傾斜溝部に沿って延びるとともに前記第1傾斜溝部に係合する第1傾斜凸部と、を有している、
ようにしてもよい。
【0009】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記第1傾斜溝部および前記第1傾斜凸部が延びる方向と、前記ロック解除部材の移動方向とがなす角度のうち鋭角となる角度は、45°未満である、
ようにしてもよい。
【0010】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記チャック本体に、前記ロック解除部材が移動可能に挿入されたロック解除孔が設けられ、
前記ロック解除孔は、前記チャック本体の前面に開口している、
ようにしてもよい。
【0011】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記ロック解除孔の前部において、前記ロック解除部材と前記ロック解除孔との間に第1シール部材が装着されている、
ようにしてもよい。
【0012】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記作動部は、前記係合位置に位置する前記作動部材をロックするロック位置と、前記作動部材のロックを解除するロック解除位置との間で移動可能なロック部材を更に有している、
ようにしてもよい。
【0013】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記作動部は、前記ロック部材を前記ロック位置に位置させる第1保持部材位置と、前記ロック部材を前記ロック解除位置に位置させる第2保持部材位置との間で移動可能なロック保持部材と、前記ロック保持部材を前記第2保持部材位置に向けて付勢する第3弾性部材と、を更に有している、
ようにしてもよい。
【0014】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記ロック保持部材は、第2伝達機構を介して前記ロック部材を移動させ、
前記第2伝達機構は、前記ロック部材および前記ロック保持部材の一方に設けられた第2傾斜溝部と、他方に設けられた第2傾斜凸部であって、前記第2傾斜溝部に沿って延びるとともに前記第2傾斜溝部に係合する第2傾斜凸部と、を有している、
ようにしてもよい。
【0015】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記チャック本体に、前記ロック保持部材が移動可能に挿入されたロック保持孔が設けられ、
前記ロック保持孔は、前記チャック本体の前面に開口している、
ようにしてもよい。
【0016】
上述したチャックの爪の連結機構において、
前記ロック保持孔の前部において、前記ロック保持部材と前記ロック保持孔との間に第2シール部材が装着されている、
ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、爪をマスタージョーに速やかに連結させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態による爪の連結機構を備えたチャックを示す図である。
図2図1のII視図であって、チャック本体の断面を示す図である。
図3図1のIII視図であって、連結機構の連結部材が爪から離れた状態を示す図である。
図4図3の連結機構の斜視図である。
図5図4のV視の一部を拡大した図である。
図6図3の連結機構の連結部材が爪に連結された状態を示す図である。
図7図6の連結機構の斜視図である。
図8図7のVIII視の一部を拡大した図である。
図9】ワークをクランプした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、チャックが、NC旋盤等の工作機械の主軸に固着されるチャックである例について説明する。
【0020】
図1および図2に示すチャック1のチャック本体2は、前ボディ3と、取付ボルト(図示しない)によって前ボディ3の後端面を塞ぐ後ボディ4と、を備えている。チャック本体2の前ボディ3および後ボディ4の内側に、内部空間Sが形成されている。図1に示すように、前ボディ3には、取付位置として例示する取付溝5が複数(例えば、3個)設けられている。取付溝5は、円周方向に等間隔に配置されている。前ボディ3には、各取付溝5に対応するようにマスタージョー6が配置されている。図2に示すように、チャック本体2のチャック軸線CL上には各マスタージョー6に噛み合う駆動部材7が配置され、駆動部材7の移動によって各マスタージョー6が取付溝5に沿って半径方向に移動するようになっている。図1に示すように、チャック本体2内には後述する連結機構12が取付溝5に対応するように複数(例えば、3個)配置されている。その連結機構12は、取付溝5に挿入される爪8をマスタージョー6に連結させるようになっている。図2に示すように、爪8は、取付溝5に挿入されるベースジョー9と、ベースジョー9の前面にボルト10で固定されるトップジョー11と、を含んでいる。ベースジョー9の横断面形状は、取付溝5と同様の形状となっている。なお、本明細書においては、図2における右側を前側と称し、左側を後側と称して、以下説明する。
【0021】
本実施の形態によるチャックの爪の連結機構(以下、単に連結機構12と記す)は、上述したチャック本体2に設けられたマスタージョー6に爪8を連結させるための機構である。
【0022】
図2および図3に示すように、連結機構12は、マスタージョー6内に設けられた連結部材14と、連結部材14を前方に付勢するバネ部材13(第1弾性部材)と、作動部15と、を備えている。連結部材14は、爪8に連結する連結位置Aと、爪8から離れた離間位置Bとの間で移動可能になっている。バネ部材13は、連結部材14を連結位置Aに向けて付勢するようになっている。作動部15は、連結部材14を離間位置Bに移動させるようになっている。
【0023】
このような連結機構12について、より具体的に説明する。
【0024】
連結部材14には、第1弾性部材として例示するバネ部材13によって、取付溝5に挿入される爪8のラック状の連結面8aに向けて付勢される。連結部材14は、爪8の連結面8aに連結させる連結位置A(図6参照)と、爪8の連結面8aから離れた離間位置B(図3参照)とに移動するようになっている。連結部材14は、チャック軸線CLに沿う方向に移動可能になっている。
【0025】
マスタージョー6には、取付溝5に向かって開口するように段付きの連結孔16が設けられている。連結孔16には、連結部材14が移動可能に挿入されて装着されている。図2に示すように、連結孔16内に、当て板40が配置され、当て板40と連結部材14との間に、上述したバネ部材13が介在されて、挟持されている。そのバネ部材13によって、連結部材14は取付溝5に向けて付勢される。
【0026】
連結部材14の外周面には、図3に示すように位置決め溝17が形成されている。マスタージョー6には、連結孔16内に先端が突出するようにピン部材18が設けられている。そのピン部材18を位置決め溝17に係合させ、連結部材14がマスタージョー6から離脱しないようになっている。
【0027】
図2に示すように、連結部材14の先端部(前端部)には、爪8の連結面8aに連結可能なラック状の連結部14aが形成されている。
【0028】
図3および図4に示すように、マスタージョー6には、連結部材14の移動によって移動可能な軸部材19が配置されている。図3に示すように、連結部材14の位置決め溝17の後面17aにピン部材18が当接しない状態では、図4に示すように軸部材19の先端がマスタージョー6の外面(上面)よりも下方に位置するように軸部材19は移動する。図6に示すように、連結部材14の位置決め溝17の後面17aにピン部材18が当接した状態では、軸部材19の先端がマスタージョー6の外面(上面)と面一となるように軸部材19は移動する。
【0029】
また、図3に示すように、連結部材14の外周面には、傾斜面20aを有する係合溝部20が形成されている。
【0030】
上述した作動部15について、以下説明する。
【0031】
図3に示すように、作動部15は、上述した係合溝部20に進退可能に設けられた作動部材25を有している。作動部材25は、連結部材14の係合溝部20に進出して係合する係合位置D(図3参照)と、係合位置Dから後退して係合溝部20との係合を解除する係合解除位置C(図6参照)との間で移動可能になっている。作動部材25が係合位置Dに位置している場合、連結部材14は離間位置B(図3参照)に位置する。作動部材25は、連結部材14の側方に配置されており、連結部材14の移動方向に直交する方向であって水平方向に移動可能になっている。
【0032】
また、作動部15は、ロック解除部材22と、ロック解除部材22を前方に付勢するバネ部材23(第2弾性部材)と、を更に有している。ロック解除部材22は、作動部材25を係合位置Dに位置させる第1解除部材位置(図3参照)と、作動部材25を係合解除位置Cに位置させる第2解除部材位置(図6参照)との間で移動可能になっている。バネ部材23は、ロック解除部材22を第2解除部材位置に向けて付勢するようになっている。ロック解除部材22は、作動部材25の下方に配置されており、連結部材14の移動方向に沿う方向に移動可能になっている。
【0033】
より具体的には、前ボディ3には、段付部21aを有するロック解除孔21が設けられている。ロック解除孔21は、チャック軸線CLに沿って延びており、前ボディ3の前面に開口している。そのロック解除孔21には、ロック解除部材22が移動可能に挿入されて装着されている。ロック解除孔21は、上述した段付部21aと、段付部21aよりも前方に形成された大径孔21bと、段付部21aよりも後方に形成された小径孔21cと、を含んでいる。
【0034】
ロック解除孔21の大径孔21bとロック解除部材22の大径部22aとの間に、第2弾性部材として例示するバネ部材23が介在されている。そのバネ部材23によって、ロック解除部材22は前方に向けて(第2解除部材位置に向けて)付勢される。
【0035】
ロック解除孔21に作動孔24が連設されている。作動孔24は、ロック解除孔21に対して垂直な方向に延びている。作動孔24の一方は上述した連結孔16に開口され、他方は前ボディ3の外周面に開口されている。作動孔24には作動部材25が移動可能に挿入されて装着されている。
【0036】
また、ロック解除部材22は、第1伝達機構41を介して作動部材25を移動させるようになっている。第1伝達機構41は、作動部材25およびロック解除部材22の一方に設けられた第1傾斜溝部27と、他方に設けられた第1傾斜凸部26と、を含んでいる。第1傾斜凸部26の傾斜面は第1傾斜溝部27に沿って延び、第1傾斜凸部26は第1傾斜溝部27に係合している。本実施の形態では、第1傾斜凸部26は、ロック解除部材22の大径部22aよりも後方に形成された小径部22bに設けられている。小径部22bは、上部が平坦状に形成されており、その平坦面から上方に突出するように形成されている。第1傾斜溝部27は、作動部材25の下部に設けられている。このようにして、ロック解除部材22の移動によって、作動部材25が移動するようになっている。
【0037】
図3に示すように、第1傾斜溝部27および第1傾斜凸部26が延びる方向と、ロック解除部材22の移動方向(チャック軸線CLに沿う方向)とがなす角度のうち鋭角となる角度θは、45°未満になっていてもよい。このことにより、ロック解除部材22から作動部材25に伝達される力を、ロック解除部材22が移動する力よりも増幅させることができる。
【0038】
図6に示すように、ロック解除部材22がバネ部材23によってチャック本体2の前方に向けて付勢された状態では、ロック解除部材22は第2解除部材位置に位置し、作動部材25の先端が連結部材14の係合溝部20から離れた係合解除位置Cに移動する。一方、図3に示すように、ロック解除部材22をチャック本体2の後方に向けて移動させた状態では、ロック解除部材22は第1解除部材位置に位置し、作動部材25の先端が連結部材14の係合溝部20に係合した係合位置Dに移動する。
【0039】
また、ロック解除孔21の前部において、ロック解除部材22の大径部22aとロック解除孔21の大径孔21bとの間には、第1シール部材28が装着されている。これにより、ロック解除部材22の大径部22aとロック解除孔21の大径孔21bとの間をシールしている。
【0040】
また、作動部材25の外面には、図3に示すように位置決め溝38が形成されている。前ボディ3には、作動孔24内に先端が突出するようにピン部材39が設けられている。そのピン部材39を位置決め溝38に係合させ、作動部材25が作動孔24から離脱しないようになっている。図6に示すように、作動部材25が係合解除位置Cに位置する場合には、位置決め溝38のうち連結部材14の側の面38aにピン部材39が当接するようになっている。
【0041】
また、作動部15は、ロック部材33と、ロック保持部材30と、ロック保持部材30を付勢するバネ部材31(第3弾性部材)と、を更に有している。ロック部材33は、係合位置Dに位置する作動部材25の移動をロックするロック位置と、作動部材25のロックを解除するロック解除位置との間で移動可能になっている。ロック部材33は、作動部材25の移動方向に直交する方向であって、上下方向に移動可能になっている。ロック保持部材30は、ロック部材33をロック位置に位置させる第1保持部材位置(図3参照)と、ロック部材33をロック解除位置に位置させる第2保持部材位置(図6参照)との間で移動可能になっている。バネ部材31は、ロック保持部材30を第2保持部材位置に向けて付勢するようになっている。ロック保持部材30は、ロック解除部材22の移動方向に沿う方向に移動可能になっており、ロック部材33の移動方向に直交する方向に移動可能になっている。
【0042】
より具体的には、前ボディ3には、段付部29aを有するロック保持孔29が設けられている。ロック保持孔29は、チャック軸線CLに沿って延びており、前ボディ3の前面に開口している。ロック保持孔29は、ロック解除孔21と平行に設けられ、そのロック保持孔29にはロック保持部材30が移動可能に挿入されて装着されている。ロック保持孔29は、上述した段付部29aと、段付部29aよりも前方に形成された大径孔29bと、段付部29aよりも後方に形成された小径孔29cと、を含んでいる。
【0043】
ロック保持孔29の段付部29aとロック保持部材30の大径部30aとの間に、第3弾性部材として例示するバネ部材31が介在されている。そのバネ部材31によって、ロック保持部材30は前方に向けて(第2保持部材位置に向けて)付勢される。
【0044】
ロック保持孔29と作動孔24は、図5および図8に示す連通孔32によって連通している。連通孔32は上下方向に延びている。連通孔32には、ロック部材33が移動可能に挿入されて装着されている。
【0045】
また、ロック保持部材30は、第2伝達機構42を介してロック部材33を移動させるようになっている。図3図5に示すように、第2伝達機構42は、ロック部材33およびロック保持部材30の一方に設けられた第2傾斜溝部34と、他方に設けられた第2傾斜凸部37と、を含んでいる。第2傾斜凸部37の傾斜面は第2傾斜溝部34に沿って延び、第2傾斜凸部37は第2傾斜溝部34に係合している。本実施の形態では、第2傾斜凸部37は、ロック保持部材30の大径部30aよりも後方に形成された小径部30bに設けられている。小径部30bは、ロック部材33の側の部分が平坦状に形成されており、その平坦面からロック部材33の側に突出するように形成されている。第2傾斜溝部34は、ロック部材33においてロック保持部材30の側の部分に設けられている。このようにして、その第2傾斜溝部34にロック保持部材30の第2傾斜凸部37を係合させ、ロック保持部材30の移動によって、ロック部材33が移動するようになっている。
【0046】
図3に示すように、ロック保持部材30がバネ部材31によって前方に向けて付勢された状態では、ロック保持部材30が第2保持部材位置に位置し、ロック部材33が作動部材25に向けて移動して、ロック位置に位置する。一方、図6に示すように、ロック保持部材30をチャック本体2の後方に向けて移動させた状態では、ロック保持部材30は第1保持部材位置に位置し、ロック部材33が作動部材25から離れる方向に移動してロック解除位置に位置する。
【0047】
また、図3図5に示すように、作動部材25の後端部に、ロック部材33の先端に係合可能な平坦状に切り欠かれたロック部35が形成されている。ロック部材33がロック位置に位置したとき、ロック部材33の先端がロック部35に当接して係合する。
【0048】
また、ロック保持孔29の前部において、ロック保持部材30の大径部30aとロック保持孔29の大径孔29bとの間には、第2シール部材36が装着されている。これにより、ロック保持部材30の大径部30aとロック保持孔29の大径孔29bとの間をシールしている。
【0049】
次に、このような構成からなる本実施の形態による連結機構12を用いて、チャックの爪を交換する方法について説明する。
【0050】
上述した連結機構12を備えたチャック1は、図9に示すように、NC旋盤等の工作機械の主軸50に固着され、搬送装置として例示するローダー51で搬送されるワークWをクランプする。そのクランプしたワークWは、複数の刃具を備えた刃物台(図示しない)の前後左右の移動によって加工される。ワークWを変更する場合等には、ワークWの径に合わせたチャック1の爪8に交換される。
【0051】
手動あるいは爪自動交換装置によって爪8を交換する場合、まず、チャック本体2の前方からローダー51に設置された押付部材52をロック解除部材22の前端面に押し当てる。そして、ロック解除孔21に挿入させながら、ロック解除部材22をバネ力に抗してチャック本体2の後方に移動させて、図3に示す第1解除部材位置に位置させる。尚、本実施形態では、押付部材52をローダー51に取付けたが、ワークWの加工に使用されるタレットやミル軸に取付けてもよい。
【0052】
ロック解除部材22が第1解除部材位置に移動する際、押付部材52からロック解除部材22が受けた力が、第1伝達機構41を介して作動部材25に伝達され、作動部材25が連結部材14に向けて移動する。作動部材25の先端が連結部材14の係合溝部20に進出して係合した係合位置Dに移動する。このことにより、作動部材25の先端の傾斜面25aが、係合溝部20の傾斜面20aを押し付け、連結部材14が、爪8の連結面8aから離れた離間位置Bに移動する。
【0053】
連結部材14の移動により、軸部材19の先端が、マスタージョー6の外面よりも下方に位置する。また、ロック部材33が、作動部材25のロック部35に向けて移動してロック位置に位置し、ロック部材33の先端がロック部35に当接して係合する(図5参照)。ロック保持部材30はバネ部材31によってチャック本体2の前方に向けて付勢されているため、このロック保持部材30およびバネ部材31によってロック部材33の移動はロックされ、そのロック部材33によって作動部材25の移動がロックされる。このように、作動部材25の移動がロックされるとロック解除部材22、連結部材14の移動もロックされる。
【0054】
その後、目視やセンサによって軸部材19の位置が確認され、爪8とマスタージョー6の連結が解除されていると判断されると、押付部材52をロック解除孔21から引き抜き、チャック本体2から離れた位置に移動させる。手動や爪自動交換装置によってチャック本体2の取付溝5から爪8が取り出され、その後、その取付溝5に、これから加工するワークWの径に合わせた爪8が挿入される。
【0055】
爪8が取付溝5に挿入された後、図6に示すように、チャック本体2の前方から押付部材52(図9参照)をロック保持部材30の前端面に押し当てる。そして、ロック保持孔29に挿入させながら、ロック保持部材30をバネ力に抗してチャック本体2の後方に向けて移動させて、図6に示す第1保持部材位置に位置させる。
【0056】
ロック保持部材30が第1保持部材位置に移動する際、押付部材52からロック保持部材30が受けた力が、第2伝達機構42を介してロック部材33に伝達され、ロック部材33が、作動部材25から離れる方向に移動する。このことにより、ロック部材33は、ロック解除位置に位置し、作動部材25の移動のロックが解除される。この場合、ロック解除部材22は、バネ部材23によってチャック本体2の前方に付勢されて、第2解除部材位置(図3参照)に移動する。この際、ロック解除部材22がバネ部材23から受けた力が、第1伝達機構41を介して作動部材25に伝達される。このことにより、作動部材25は、連結部材14から離れた係合解除位置Cに移動し、連結部材14と作動部材25との係合が解除される。そして、ロック解除位置に位置するロック部材33の先端は、作動部材25のうちロック部35以外の部分(ロック部35よりも連結部材14の側の部分)に当接する(図6図8参照)。
【0057】
連結部材14は、バネ部材13によって取付溝5に向けて付勢されているため、爪8の連結面8aに連結させる連結位置Aに移動する。このため、連結部材14を介して爪8がマスタージョー6に連結する。
【0058】
連結部材14の移動により、軸部材19の先端が、マスタージョー6の外面と面一となる。そして、ロック解除部材22が、バネ部材23によってチャック本体2の前方に向けて付勢されているため、このロック解除部材22およびバネ部材23によって作動部材25の移動はロックされる。
【0059】
その後、目視やセンサによって軸部材19の先端の位置が確認され、連結部材14を介して爪8とマスタージョー6が連結されているか否かが判断される。押付部材52をロック保持孔29から引き抜き、チャック本体2から離れた位置に移動させる。
【0060】
その他の取付溝5の爪8に関しても、上述と同様にして交換される。全ての爪8が交換された後、チャック1にワークWがクランプされて、加工される。
【0061】
以上のことから、連結部材14は、爪8の連結面8aに連結させる連結位置Aと、爪8の連結面8aから離れた離間位置Bとの間で移動可能に設けられ、チャック本体2の前方から作動させる作動部15によって前記連結部材14を何れかの位置に移動させることができる。このことにより、チャック1の外周側の大きな空間を設けることを不要にできる。
【0062】
ここで、上述の特許文献1に示すように、ハンドルを操作素子に挿入した状態のままジョーの交換が可能になっている場合を考える。NC旋盤等の工作機械で用いられるチャックの外周側には、ツールセッタが設置されたり、カバーやクーラント配管、エアー配管等が設置されたりする場合がある。しかしながら、上述した特許文献1に示すように、ボディの外方からハンドルを使って操作素子を移動、回転させることを、チャックの外周側の限られた空間で行う場合には、噛合部材を介してマスタージョーにジョーを係止させる作業が長時間となる問題があった。また、チャックの外周側に大きな空間を必要とするという問題もあった。また、ジョーの交換作業以外ではハンドルを使用しないため、ハンドルを別の場所で保管していた。
【0063】
これに対して本実施の形態では、チャック本体2の取付溝5に配置される爪8をマスタージョー6に連結する作業を速やかに行うことができる。また、チャック本体2の前方から作動部15を作動させることができるため、そのような作業のための大きな空間をチャックの外周側に設けることを不要にすることができる。そして、ローダー51を用いて作動部15を作動させるため、ハンドルを不要にすることができ、ハンドルを保管するための場所を不要にすることができる。
【0064】
また、チャック本体2には、バネ部材13によって取付溝5に配置される爪8の連結面8aに向けて付勢される連結部材14と、その連結部材14を爪8の連結面8aに連結させる連結位置Aと爪8の連結面8aから離れた離間位置Bに移動させる作動部15とを備えた連結機構12が配置され、マスタージョー6に連結部材14が設けられている。作動部15は、バネ部材23によってチャック本体2の前方に向けて付勢されるロック解除部材22と、ロック解除部材22の移動によって作動する作動部材25と、を有している。ロック解除部材22がバネ部材23によってチャック本体2の前方に向けて付勢された状態では、作動部材25と連結部材14の係合を解除することができ、連結部材14を、爪8の連結面8aに連結させる連結位置Aに移動させることができる。このため、連結部材14を介して爪8をマスタージョー6に連結させることができる。一方、ロック解除部材22をチャック本体2の後方に向けて移動させた状態では、作動部材25と連結部材14の係合により連結部材14を爪8の連結面8aから離れた離間位置Bに移動させることができる。このことにより、チャック1の外周側に大きな空間を設けることを不要にでき、チャック本体2の前方から爪8の交換作業を速やかに行うことができる。
【0065】
更に、作動部材25の後端部に係合するロック部材33を配置し、そのロック部材33はバネ部材31によってチャック本体2の前方に向けて付勢されるロック保持部材30に係合している。ロック解除部材22の移動に伴って作動部材25が移動すると、その作動部材25の後端部にロック部材33を係合させることができる。このことにより、押付部材52をチャック本体2から離すことができる。このため、チャック本体2の前方の空間を有効に使用でき、爪8の交換作業を容易に行うことができる。また、ロック解除部材22に設けた傾斜面を含む傾斜凸部26を介して作動部材25を移動させることができる。押付部材52がロック解除部材22を押し込む力が、連結部材14を付勢するバネ部材13のバネ力より小さな力であっても、連結部材14をバネ力に抗して移動させることができる。そして、バネ部材23、31によってチャック本体2の前方に向けて付勢されるロック解除部材22とロック保持部材30にシール部材28、36をそれぞれ装着されている。このことにより、チャック本体2の前面が上方に向くように配置されて、ワークWが加工された時に生じる切粉や切削液等がチャック本体2の前面に付着した場合であっても、切粉や切削液等が、シール部材28、36によってチャック本体2の内部に侵入することを防止することができる。このため、ロック解除部材22やロック保持部材30を確実に移動させることができる。
【0066】
このように本実施の形態によれば、マスタージョー6内に設けられた連結部材14が、バネ部材13によって爪8に連結される連結位置Aに向けて付勢されており、作動部15によって、連結部材14を爪8から離れた離間位置Bに移動させることができる。このことにより、作動部15によって、連結部材14を連結位置Aと離間位置Bに容易に移動させることができる。このため、チャック本体2の取付溝5に配置される爪8をマスタージョー6に速やかに連結させることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、作動部15が、連結部材14の係合溝部20に係合する係合位置Dと、係合を解除する係合解除位置Cとの間で移動可能な作動部材25を有し、作動部材25が係合位置Dに位置している場合に、連結部材14が離間位置Bに位置することができる。作動部材25を係合位置Dに位置させることにより、連結部材14を離間位置Bに位置させることができる。一方、作動部材25を係合解除位置Cに位置させることにより、連結部材14を連結位置Aに位置させることができる。このため、連結部材14を連結位置Aと離間位置Bとに容易に移動させることができ、爪8をマスタージョー6に速やかに連結させることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、作動部15が、作動部材25を係合位置Dに位置させる第1解除部材位置と、作動部材25を係合解除位置に位置させる第2解除部材位置との間で移動可能なロック解除部材22を有し、ロック解除部材22が、バネ部材23によって第2解除部材位置に向けて付勢されている。このことにより、ロック解除部材22を第1解除部材位置に位置させることにより、作動部材25を係合位置Dに位置させることができ、連結部材14を離間位置Bに位置させることができる。一方、ロック解除部材22を第2解除部材位置に位置させることにより、作動部材25を係合解除位置Cに位置させることができ、連結部材14を連結位置Aに位置させることができる。このため、連結部材14を連結位置Aと離間位置Bとに容易に移動させることができ、爪8をマスタージョー6に速やかに連結させることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、ロック解除部材22は第1伝達機構41を介して作動部材25を移動させ、第1伝達機構41が、作動部材25およびロック解除部材22の一方に設けられた第1傾斜溝部27と、他方に設けられた第1傾斜凸部26と、を有している。このことにより、ロック解除部材22が受けた力で、作動部材25を容易に移動させることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、チャック本体2に、ロック解除部材22が移動可能に挿入されたロック解除孔21が、チャック本体2の前面に開口している。このことにより、チャック本体2の前方から、ロック解除部材22を操作することができる。このため、チャック1の外周側に、作動部15を操作するための空間を設けることを不要にできる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、ロック解除孔21の前部において、ロック解除部材22とロック解除孔21との間に第1シール部材28が装着されている。このことにより、ロック解除部材22とロック解除孔21との間の隙間に、切粉や切削液等が侵入することを防止できる。このため、ロック解除部材22の移動が阻害されることを防止できる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、作動部15は、係合位置Dに位置する作動部材25をロックするロック位置と、作動部材25のロックを解除するロック解除位置との間で移動可能なロック部材33を更に有している。このことにより、係合位置Dに位置する作動部材25の移動をロックすることができ、ロック部材33をロック位置に位置させることにより、作動部材25を係合位置Dに維持することができ、連結部材14を離間位置Bに維持することができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、作動部15は、ロック部材33をロック位置に位置させる第1保持部材位置と、ロック部材33をロック解除位置に位置させる第2保持部材位置との間で移動可能なロック保持部材30を有し、ロック保持部材30が、バネ部材31によって第2保持部材位置に向けて付勢されている。このことにより、ロック保持部材30を第1保持部材位置に位置させることにより、ロック部材33をロック位置に位置させることができ、作動部材25の移動をロックさせることができる。一方、ロック保持部材30を第2保持部材位置に位置させることにより、ロック部材33をロック解除位置に位置させることができ、作動部材25を移動させることができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、ロック保持部材30は第2伝達機構42を介してロック部材33を移動させ、第2伝達機構42が、ロック部材33およびロック保持部材30の一方に設けられた第2傾斜溝部34と、他方に設けられた第2傾斜凸部37と、を有している。このことにより、ロック保持部材30が受けた力で、ロック部材33を容易に移動させることができる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、チャック本体2に、ロック保持部材30が移動可能に挿入されたロック保持孔29が、チャック本体2の前面に開口している。このことにより、チャック本体2の前方から、ロック保持部材30を操作することができる。このため、チャック1の外周側に、作動部15を操作するための空間を設けることを不要にできる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、ロック保持孔29の前部において、ロック保持部材30とロック保持孔29との間に第2シール部材36が装着されている。このことにより、ロック保持部材30とロック保持孔29との間の隙間に、切粉や切削液等が侵入することを防止できる。このため、ロック保持部材30の移動が阻害されることを防止できる。
【0077】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9