(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】印刷製版、印刷機、印刷製版の製造方法、及び、印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/36 20060101AFI20220510BHJP
B41F 15/38 20060101ALI20220510BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B41F15/36 A
B41F15/38 Z
B41M1/12
(21)【出願番号】P 2020558829
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2018045422
(87)【国際公開番号】W WO2020121395
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰宏
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05390596(US,A)
【文献】実開昭49-053813(JP,U)
【文献】特表2003-535735(JP,A)
【文献】特開昭63-089375(JP,A)
【文献】中国実用新案第207088683(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00-15/46
B41M 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性のある金属製の版枠と、
前記版枠の表面に張力を持って張られたスクリーンと、
前記版枠の裏面に間隔をあけて固定された複数のフレームと
を備えた印刷製版。
【請求項2】
前記版枠は、中央に開口を有する平板である
請求項1に記載の印刷製版。
【請求項3】
複数のフレームのうちの2本のフレームの一方のフレームを他方のフレームに対して回転可能に連結した連結ユニットを有する請求項1
又は2に記載の印刷製版。
【請求項4】
前記複数のフレームは、直線上に、中央フレームとサイドフレームとを有し、
前記連結ユニットは、前記中央フレームの端部と前記サイドフレームの端部とを連結している請求項3に記載の印刷製版。
【請求項5】
前記連結ユニットは、
回転軸を有するヒンジと、
前記ヒンジに固定され前記フレームに固定された1対の連結片と
を有する請求項3に記載の印刷製版。
【請求項6】
前記連結ユニットは、
前記ヒンジと前記1対の連結片との間に、前記ヒンジの前記回転軸の位置を調整する調整片を有する請求項5に記載の印刷製版。
【請求項7】
弾性のある金属製の版枠と、前記版枠の裏面に間隔をあけて固定された複数のフレームとを備えた印刷製版を取り付ける版取付ユニットと、
前記印刷製版に力を加え、前記印刷製版を屈曲させる屈曲ユニットと
を備えた印刷機。
【請求項8】
インキをコートするスクレッパと、
ワークに印刷するスキージと、
前記屈曲ユニットにより前記印刷製版を屈曲させていない状態にして、スクレッパによりインキをコートし、前記屈曲ユニットにより前記印刷製版を屈曲させている状態にしてスキージによりワークに印刷する制御部とを有する請求項7に記載の印刷機。
【請求項9】
前記印刷製版は、請求項1から6のいずれか1項に記載の印刷製版である請求項7に記載の印刷機。
【請求項10】
弾性のある金属製の版枠と、前記版枠の裏面に間隔をあけて固定された複数のフレームとを備えた印刷製版
の前記版枠の表面にスクリーンを張る印刷製版の製造方法。
【請求項11】
弾性のある金属製の版枠と、前記版枠の裏面に間隔をあけて固定された複数のフレームとを備えた印刷製版に力を加え、前記印刷製版を屈曲させた状態で印刷する印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷製版、印刷機、印刷製版の製造方法、及び、印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷製版は、堅固な版枠を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平03-240539号公報
【文献】特開昭63-191692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の印刷製版は、堅固な版枠を有しているので、曲面印刷には適していない。
【0005】
本発明は、曲面印刷に適した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷製版は、弾性のある金属製の版枠を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の印刷製版は、弾性のある金属製の版枠を備えているので、曲面印刷をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る印刷製版100の表面図。
【
図2】実施の形態1に係る印刷製版100とワーク300の側面図。
【
図3】実施の形態1に係る印刷製版100の透視図。
【
図4】実施の形態1に係る印刷製版100の分解図。
【
図5】実施の形態1に係るフレーム枠60の表面図。
【
図6】実施の形態1に係る連結ユニット90の拡大側面図。
【
図7】実施の形態1に係る印刷製版100の製造方法を示す図。
【
図8】実施の形態1に係る印刷製版100の製造方法を示す図。
【
図10】実施の形態1に係る印刷機200の印刷方法を示す図。
【
図11】実施の形態1に係る印刷機200の印刷方法を示す図。
【
図12】実施の形態1に係る印刷機200の印刷方法を示す図。
【
図13】実施の形態1に係る印刷機200の印刷方法を示す図。
【
図14】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図15】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図16】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図17】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図18】実施の形態1に係る印刷製版100と印刷機200の他の構成図。
【
図19】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図20】実施の形態1に係る印刷製版100と印刷機200の他の構成図。
【
図21】実施の形態1に係る印刷製版100と印刷機200の他の構成図。
【
図22】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図23】実施の形態1に係る印刷製版100と印刷機200の他の構成図。
【
図24】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図25】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図26】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図27】実施の形態1に係る印刷製版100の他の構成図。
【
図28】実施の形態1に係る印刷製版100と印刷機200の他の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。
実施の形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
以下に説明する実施の形態のうち、2つ以上の実施の形態が組み合わせられて実施されても構わない。あるいは、以下に説明する実施の形態のうち、1つの実施の形態又は2つ以上の実施の形態の組み合わせが部分的に実施されても構わない。
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態について説明する。
以下の説明において使用する用語の意味は以下のとおりである。
表面:上面。
裏面:下面。
中央:印刷方向において印刷製版の中央。
サイド:印刷方向において中央を除く部分。印刷製版の印刷開始側又は印刷終了側。
回転:2本のフレームの交差角度を変える動作。
【0011】
***構成の説明***
図1は、印刷製版100の表面図である。
図2は、印刷製版100とワーク300の側面図である。
図3は、印刷製版100の透視図である。
図4は、印刷製版100の分解図である。
【0012】
印刷製版100
印刷製版100は、弾性のある金属製の版枠を備えた製版である。
印刷製版100の具体例は、スクリーン印刷に使用されるスクリーン製版である。
図2のとおり、印刷製版100は、連結ユニット90が回転することにより湾曲部98が存在する位置で屈曲することができる。
印刷製版100は、スクリーン40と、版枠50と、フレーム枠60と、連結ユニット90とを有する。
スクリーン40は、版枠50の表面に張力を持って張られた薄膜である。
版枠50は、フレーム枠60の表面に固定された弾性板である。
フレーム枠60は、版枠50の裏面の固定された補強部材である。
【0013】
スクリーン40
スクリーン40は、中央にインキが通過する印刷パターン41を有する。
スクリーン40の具体例は、メッシュスクリーン、メタルスクリーンである。
【0014】
版枠50
図3のとおり、版枠50は、矩形の外形を有し、中央に矩形の開口を有する平板である。
版枠50は、ネジが貫通するネジ孔55を有する。
版枠50は、金属製である。
版枠50は、バネ材であり、弾性を有する板バネである。
版枠50は、力が加えられていない状態で平板である。
版枠50は、力を加えられると屈曲して曲面を形成する。
版枠50の材質の具体例は、ステンレスバネ材である。
【0015】
フレーム枠60
図5は、フレーム枠60の表面図である。
フレーム枠60は、概略矩形の外形を有し、概略矩形の開口を有する。
フレーム枠60は、版枠50の裏面に間隔をあけて固定された複数のフレームを有する。
フレーム枠60は、中央枠70とサイド枠80と連結ユニット90とを有する。
中央枠70とサイド枠80とは、直線状のフレームを有する。
フレームは、四角柱をしており、矩形の断面外形を有する。
フレームは、各面に長手方向に形成された溝54を有する。
溝54は、キノコ型の断面形状を有する。
溝54は、ネジ止めするためのナット、その他の部品がスライドできる空間である。
フレームの材質の具体例は、ステンレス、その他の金属である。
【0016】
中央枠70
中央枠70は、1対の中央フレーム71を有する。
1対の中央フレーム71は、2本の直線状のストレートフレームからなる。
2本の直線状のストレートフレームは、長さが同じである。
2本の直線状のストレートフレームは、平行あるいは並列に配置されている。
【0017】
サイド枠80
サイド枠80は、中央枠70の両側に存在する。
サイド枠80は、1対のサイドフレーム81と1本のエンドフレーム82とを有する。
1対のサイドフレーム81は、2本の直線状のストレートフレームからなる。
1本のエンドフレーム82は、1本の直線状のストレートフレームからなる。
1本のエンドフレーム82は、両端部に1対のサイドフレーム81を直角に取り付けている。
サイド枠80は、1対のサイドフレーム81と1本のエンドフレーム82とのよりU字型フレームを形成している。
サイド枠80は、サイドフレーム81とエンドフレーム82との内側コーナーにブラケット83を有する。
ブラケット83は、断面が直角三角形の三角柱である。
ブラケット83は、直角の角をサイドフレーム81とエンドフレーム82との内側コーナーに配置して固定されている。
フレーム枠60の製造は、角パイプの溶接構造等、他の方法を用いても構わない。
【0018】
ワーク300
図2に示すように、ワーク300は、凹型の平板である。
ワーク300は、平面部301と曲面部302とを有する。
ワーク300の具体例は、ガラスである。
【0019】
連結ユニット90
連結ユニット90は、複数のフレームのうちの2本のフレームの一方のフレームを他方のフレームに対して回転可能に連結する。
複数のフレームうち、中央フレーム71とサイドフレーム81とは間隔Lだけ離れて直線上に配置されている。
連結ユニット90は、中央フレーム71とサイドフレーム81との外側に配置されている。
連結ユニット90は、中央フレーム71の端部とサイドフレーム81の端部とを連結している。
連結ユニット90は、中央フレーム71の両端部に配置されている。
連結ユニット90は、対向して配置された2対のヒンジ91を有する。
ヒンジ91の具体例は、平ヒンジである。
平ヒンジは、中央に回転軸99を有し、回転軸99を中心に回転する2枚の翼板を有する。翼板にはネジ穴が形成されている。
対向して配置された1対のヒンジ91の回転軸99は、同一直線上に存在する。
連結ユニット90は、1対の連結片を有する。
1対の連結片は、ヒンジ91の両側に固定され、フレームに固定されている。
連結片92は、サイドフレーム81の外側側面に、溝54を用いてネジで固定されている。
連結片93は、中央フレーム71の外側側面に、溝54を用いてネジで固定されている。
連結片92は、ネジを緩めることで、溝54を長手方向にスライドすることができ、サイドフレーム81の任意の位置にネジで固定することができる。
連結片93は、ネジを緩めることで、溝54を長手方向にスライドすることができ、中央フレーム71の任意の位置にネジで固定することができる。
印刷製版100の湾曲部98は、中央フレーム71とサイドフレーム81との間隔Lだけ離れた部分である。
湾曲部98は、裏面にフレームが固定されていない。
湾曲部98は、版枠50の弾性により湾曲することができる。
【0020】
調整片94
図6の(a)は、連結ユニット90の拡大側面図である。
湾曲部98は、サイド枠80がP度だけ傾斜すると、側面方向からの断面が、中心Qで中心角がP度で弧長Lの円弧を形成する。
湾曲部98は、P度だけ傾斜することによりワーク300と同じ曲面になる。
図6の(b)は、調整片94がある場合を示している。
調整片94の具体例は、ネジが貫通する貫通孔を有するリングワッシャである。
調整片94は、連結ユニット90と連結片との間に配置され、ヒンジ91の回転軸99の位置を調整する。
図6の(a)に示すように、調整片94がない場合(調整片94の高さH=0の場合)に印刷製版100が屈曲した時のサイドフレーム81の端点Xの位置と、調整片94がある場合(調整片94の高さH>0の場合)に印刷製版100が屈曲した時のサイドフレーム81の端点Xの位置とは長さKだけずれる。
したがって、調整片94の高さHを変更することにより、屈曲した時のサイドフレーム81の位置をずらすことができる。
【0021】
***製造方法の説明***
図7と
図8は、印刷製版100の製造方法を示す図である。
印刷製版100は、弾性のある金属製の版枠50にスクリーン40を張ることにより製造される。
【0022】
ステップS11:連結ユニット90によりフレーム枠60の形成
サイドフレーム81とエンドフレーム82とをブラケット83で直角に固定し、U字型のサイド枠80を形成する。
サイドフレーム81の端部に連結片92を固定する。
連結片92は、サイドフレーム81の溝54にネジで固定される。
中央フレーム71の両端部に連結片93を固定する。
連結片93は、中央フレーム71の溝54にネジで固定される。
連結片92と連結片93とをヒンジ91で連結する。
ヒンジ91の翼板のネジ穴と調整片94の貫通孔にネジを挿入し、1対の翼板を連結片92と連結片93とに固定する。
その結果、中央枠70とサイド枠80とが連結ユニット90により連結され、フレーム枠60が完成する。
【0023】
ステップS12:版枠50をフレーム枠60に仮固定
版枠50をフレーム枠60に仮固定する。
版枠50の4か所のコーナーを仮止めネジ52でフレーム枠60にネジ止めすることにより、版枠50はフレーム枠60に仮固定される。
ネジ止めする代わりに、あるいは、ネジ止めと併用して、版枠50とフレーム枠60とを接着剤で仮固定してもよい。
【0024】
ステップS13:版枠50にスクリーン40を接着固定
スクリーン版400を別途作成しておく。
スクリーン版400は、矩形枠401にスクリーン40を張力をかけて貼り付けたものである。
スクリーン版400は、既存の製造方法で作成されたものである。
矩形枠401の開口サイズは印刷製版100の外形サイズよりも大きい。
版枠50の表面に接着剤51を塗布し、版枠50にスクリーン版400をかぶせる。
版枠50に対してスクリーン版400を圧着したまま、接着剤51が乾くまで待つ。
なお、版枠50にスクリーン40を接着固定する際に、スクリーン版400を別途作成しておかず、スクリーン40をフレーム枠60に直接張ってもよい。
【0025】
ステップS14:版枠50をフレーム枠60に固定
固定ネジ53を、スクリーン40の上から版枠50のネジ孔55に挿入して、スクリーン40と版枠50とをフレーム枠60に本固定する。
さらに、版枠50の周囲に沿ってスクリーン40をナイフ又は鋏でカットする。
【0026】
なお、スクリーン40をカットする作業は、ステップS13の接着剤51の乾燥後であって、ステップS14の本固定の前に実施してもよい。
【0027】
版枠50にスクリーン40を接着剤だけで強固に固定することができる場合は、ステップS12において、版枠50をフレーム枠60に仮固定するのではなく本固定してもよい。
あるいは、版枠50にスクリーン40をネジ固定だけで強固に固定することができる場合は、ステップS13の接着剤による接着固定はなくてもよい。
【0028】
印刷製版100の特徴
印刷製版100は、以下のような特徴を有する。
印刷製版100は、ワーク300の平面部301に対応する部分にフレームを有する。
印刷製版100は、ワーク300の曲面部302に対応する部分にフレームを有さない。
印刷製版100が弾力性を有するバネ鋼でできているので、フレームにより、印刷製版100の変形を防止している。
中央フレーム71とサイドフレーム81の間隔Lの長さを変えることにより、湾曲部98の弧長を変えることができる。
傾斜角度P度を変えることにより、湾曲部98の曲面の中心角Pを変えることができる。
調整片94の高さHを変えることにより、回転軸99の高さを変えることができる。
連結片92と連結片93の固定位置を変えることにより、回転軸99の水平方向の位置を変えることができる。
以上の特徴により、印刷製版100は、異なるワーク300に対してユニバーサルに適用することができる。
すなわち、印刷製版100は、ワーク300の曲面の位置、半径、長さが異なっても、ワーク300の曲面と同じ曲面を呈することができる。
【0029】
印刷機200
印刷製版100を使用する印刷機200について説明する。
印刷機200の具体例は、スクリーン印刷機である。
【0030】
***構成の説明***
図9は、印刷機200の構成図である。
印刷機200は、筐体20とテーブル21と昇降ユニット22とを有する。
テーブル21は、ワーク300の載せる冶具である。
テーブル21の表面は、ワーク300の形状と同じ曲面を有する。
昇降ユニット22は、筐体20の床面に設置され、テーブル21を昇降する。
印刷機200は、版取付ユニット23と屈曲ユニット24とを有する。
版取付ユニット23は、印刷製版100を取り付ける水平な台である。
版取付ユニット23は、印刷製版100のフレーム枠60の下面を載せる台である。
版取付ユニット23は、スクリーン40を上下に露出させる開口を有し、印刷製版100のフレーム枠60を固定する。
版取付ユニット23は、印刷製版100の中央枠70の両端を挟持して印刷製版100を固定する固定具231を有する。
屈曲ユニット24は、版枠50に力を加え、版枠50を屈曲させる。
屈曲ユニット24は、サイド枠80を持ち上げて、印刷製版100を屈曲させる上下機構を有する。
上下機構は、モータ、ギア、シリンダ、その他の部品を組み合わせた機構により、サイド枠80の端部を昇降させる。
印刷機200は、スキージユニット25とスクレッパユニット26とスイングユニット27と移動ユニット28とを有する。
スキージユニット25は、先端にスキージを有し、印刷製版100のスクリーン40の印刷パターン41をワーク300に印刷する。
スクレッパユニット26は、先端にスクレッパを有し、印刷製版100のスクリーン40にインキ29をコートする。
スイングユニット27は、スキージユニット25をスイングさせるスイング機構を有する。
スイング機構は、モータ、ギア、シリンダ、その他の部品を組み合わせた機構により、スキージユニット25をスイングさせる。
移動ユニット28は、スキージユニット25とスクレッパユニット26とを印刷方向と逆方向とに移動させる。
印刷機200は、制御部30を有する。
制御部30は、中央処理装置、プログラムを記憶したメモリまたは記録媒体、及び、操作盤を有している。
印刷機200の昇降ユニット22、屈曲ユニット24、スキージユニット25、スクレッパユニット26、スイングユニット27、及び、移動ユニット28の動作は、操作盤による操作により開始され、中央処理装置により実行されるプログラムにより実現することができる。
【0031】
***動作の説明***
図10は、印刷機200の印刷方法を示す図である。
印刷機200は、印刷製版100に力を加え印刷製版100を屈曲させた状態で印刷する。
【0032】
以下の動作は、制御部30の指示に基づき実行される。
印刷製版100は、版取付ユニット23に固定されており、ワーク300はテーブル21に設置されているものとする。
【0033】
ステップS21:印刷製版100を水平にしてインキ29をコート(
図9)
制御部30は、屈曲ユニット24により印刷製版100を屈曲させていない状態にして、スクレッパによりインキ29をコートする。
スクレッパユニット26は、印刷製版100が版取付ユニット23に水平に固定され屈曲していない状態で、インキ29をコートする。
スクレッパユニット26は、スクリーン40と版枠50の全面が平面の状態でインキ29をコートする。
【0034】
ステップS22:サイド枠80の傾斜とワーク300の上昇(
図11)
屈曲ユニット24は、印刷製版100のサイド枠80を傾斜させる。
昇降ユニット22は、ワーク300を上昇させる。
【0035】
ステップS23:印刷(
図12)
制御部30は、屈曲ユニット24により印刷製版100を屈曲させている状態にしてスキージによりワーク300に印刷する。
スイングユニット27はスキージユニット25をスイングさせ、かつ、移動ユニット28がスキージユニット25を印刷方向に移動させスクリーン印刷をする。
スキージユニット25は、印刷中に、スクリーン40に対してスキージのアタック角度が一定になるようにスイングする。
スキージユニット25は、2対の連結ユニット90により、印刷方向に対して、2か所の曲面印刷をする。
印刷は、印刷製版100の版枠50に力を加え印刷製版100の版枠50の湾曲部98を湾曲させた状態で実施される。
【0036】
ステップS24:サイド枠80の水平化とワーク300の下降(
図13)
昇降ユニット22は、ワーク300を下降させる。
屈曲ユニット24は、印刷製版100のサイド枠80を水平にする。
【0037】
その後、図示していない搬出装置によりワーク300を搬出し、図示していない搬入装置により新たなワーク300を搬入し、ステップ21からステップS24を繰り返す。
【0038】
***実施の形態の効果の説明***
実施の形態によれば、版枠50が弾性を有しているので、印刷製版100を曲げることができる。
本実施の形態によれば、屈曲ユニット24により印刷製版100を曲げて印刷するので、曲面印刷ができる。
本実施の形態によれば、水平状態でインキのコートをするので、均一なインキのコートができる。
【0039】
***他の構成***
印刷方向にN対の連結ユニット90
図14は、印刷方向に連結ユニット90を4対設けた場合を示している。
図示しないが、連結ユニット90は1対以上あればよい。
連結ユニット90をN対設けることにより、N個所に曲面印刷をすることができる。
【0040】
印刷方向と直交する方向に連結ユニット90
図15は、印刷方向と直交する方向に連結ユニット90を2対設けた場合を示している。
印刷製版100のエンドフレーム82は、3個のフレーム84,85,86に分割され、連結ユニット90により連結されている。
印刷製版100を使用する印刷機200のスキージとスクレッパとは、印刷製版100が屈曲した状態と一致するように台形状になっている。
【0041】
反転型
図16は、印刷製版100の上下を反転した場合を示している。
印刷製版100のサイド枠80は、下方に屈曲することができる。
印刷機200の屈曲ユニット24は、インキのコートの際、印刷製版100全体を水平に保持し、印刷時に印刷製版100のサイド枠80を下方に曲げる。
印刷機200は、凸型のワーク300に対して印刷することができる。
【0042】
サイド屈曲型
図17と
図18とは、サイド枠80がない印刷製版100の場合を示している。
サイド枠80がないので、印刷製版100の両サイドに、版枠50の弾性により曲面を形成する。
印刷製版100のフレーム枠60は、2本の中央フレーム71のみで形成される。
版取付ユニット23は、中央フレーム71の下部にのみ存在する。
屈曲ユニット24は、インキのコートの際、版枠50の下部を支え、印刷製版100全体を水平に保持する。
屈曲ユニット24は、印刷時に印刷製版100の湾曲部98を上方に曲げる押し型241を有する。
押し型241は、ワーク300と同じ凹曲面を有する。
屈曲ユニット24は、印刷時に印刷製版100の湾曲部98を湾曲させる受け型242を有する。
受け型242は、ワーク300と同じ凸曲面を有する。
押し型241で印刷製版100のサイドを持ち上げることにより、印刷製版100のサイドは、押し型241と受け型242とに挟まれてワーク300と同じ曲面を呈する。
【0043】
中央屈曲&サイドスライド型
図19と
図20とは、中央枠70がない印刷製版100の場合を示している。
中央枠70がないので、印刷製版100の中央に、版枠50の弾性により曲面を形成する。
印刷製版100のフレーム枠60は、2個のサイド枠80のみで形成される。
屈曲ユニット24は、サイド枠80を固定する固定機構と、サイド枠80を固定したまま水平方向にスライドさせるスライド機構を有する。
屈曲ユニット24が印刷製版100のサイド枠80を取り付けるので、版取付ユニット23はない。
屈曲ユニット24は、インキのコートの際、印刷製版100の中央の下部を支え、印刷製版100全体を水平に保持する。
屈曲ユニット24は、印刷時に、サイド枠80を内側にスライドさせ、印刷製版100の版枠50の湾曲部98を下方に曲げる。
屈曲ユニット24は、スライドする量を調整して、印刷製版100の中央の版枠50がワーク300と同じ凹曲面を呈するように印刷製版100の版枠50を下方に曲げる。
なお、
図18の点線のように、版枠50の中央を上方に曲げれば、凸曲面のワークに印刷することができる。
【0044】
中央屈曲&サイド回転型
図21は、
図19の印刷製版100を使用して、サイド枠80を上昇させる場合を示している。
中央枠70がないので、印刷製版100の中央に、版枠50の弾性により曲面を形成する。
印刷製版100のフレーム枠60は、2本のサイド枠80のみで形成される。
屈曲ユニット24は、サイド枠80を固定する固定機構と、サイド枠80を固定したまま回転させる回転機構を有する。
屈曲ユニット24は、インキのコートの際、印刷製版100の中央の下部を支え、印刷製版100全体を水平に保持する。
屈曲ユニット24は、印刷時に、サイド枠80を回転させ、印刷製版100のサイド枠80を上方に曲げる。
印刷製版100のサイド枠80を上方に回転させることにより、印刷製版100の中央はワーク300と同じ凹曲面を呈する。
【0045】
全面屈曲型
図22と
図23とは、フレーム枠60がない印刷製版100の場合を示している。
フレーム枠60がないので、印刷製版100は、版枠50の弾性により曲面を形成する。
印刷製版100は、スクリーン40と版枠50のみで形成される。
版取付ユニット23は、印刷製版100の中央を長さMだけ連続して固定する。
版取付ユニット23は、長さMの中央枠70の機能を兼ねている。
印刷製版100の中央は長さMだけ曲がることができず、長さMだけ直線になり平面が保たれる。
屈曲ユニット24は、インキのコートの際、印刷製版100のサイドの下部を支え、印刷製版100全体を水平に保持する。
屈曲ユニット24は、印刷時に、印刷製版100のサイドを回転させ、印刷製版100のサイドを上方に曲げる。
印刷製版100のサイドを上方に持ち上げることにより、印刷製版100のサイドはワーク300と同じ凹曲面を呈する。
【0046】
全面屈曲型&補強フレーム
図24のように、
図22の全面屈曲型の印刷製版100に対して、エンドフレーム82を固定してもよい。
フレーム枠60は、2本のエンドフレーム82のみからなる。
エンドフレーム82は、版枠50が印刷方向に直交する方向において屈曲することを防止する。
印刷製版100は、版枠50の弾性により両端を除き全面において曲面を形成する。
【0047】
サイド屈曲型&補強フレーム
図25のように、
図22の全面屈曲型の印刷製版100に対して、中央フレーム71とエンドフレーム82を固定してもよい。
フレーム枠60は、2本の中央フレーム71と2本のエンドフレーム82のみからなる。
中央フレーム71は、版枠50の中央が印刷方向において屈曲することを防止する。
印刷製版100は、版枠50の弾性により中央と両端を除くサイドにおいて曲面を形成する。
【0048】
ヒンジ3個型
図26は、連結ユニット90が3個のヒンジを有する場合を示している。
ヒンジ95は、連結片92に固定され、ヒンジ96は、連結片93に固定されている。
ヒンジ95の回転軸99は、サイドフレーム81の端面上部コーナーXと一致している。
ヒンジ96の回転軸99は、中央フレーム71の端面上部コーナーYと一致している。
ヒンジ91は、ヒンジ95とヒンジ96とに連結されている。
サイドフレーム81が傾斜すると、3個のヒンジが回転し、ヒンジ91の回転軸99は位置Oから位置Qに移動し、湾曲部98が湾曲する。
【0049】
連結ユニット1対型
図27は、連結ユニット90が1対のみある場合を示している。
また、
図27は、ヒンジ91の翼板を長くして、湾曲部98の長さLを大きくした場合を示している。
【0050】
全面曲面型
図28は、ワーク300が全面曲面である場合を示している。
図28に示す印刷製版100のフレーム枠60は、1個のサイド枠80を有する。
サイド枠80は、印刷製版100の片方のサイドのみに存在する。
印刷機200の版取付ユニット23は、サイド枠80を固定している。
印刷製版100は、片手もちの状態にあり、サイド枠80がない部分は湾曲部98となり自由に湾曲することができる。
屈曲ユニット24は、下に凸型の曲面が形成された押し型241を有する。
屈曲ユニット24は、下に凸型の曲面が形成された受け型242を有する。
押し型241を降下させ、印刷製版100の湾曲部98を押し型241と受け型242とで挟むことにより、印刷製版100の端部は位置Eから位置Fに移動し、湾曲部98が湾曲する。
【符号の説明】
【0051】
20 筐体、21 テーブル、22 昇降ユニット、23 版取付ユニット、231 固定具、24 屈曲ユニット、241 押し型、242 受け型、25 スキージユニット、26 スクレッパユニット、27 スイングユニット、28 移動ユニット、29 インキ、30 制御部、40 スクリーン、41 印刷パターン、50 版枠、51 接着剤、52 仮止めネジ、53 固定ネジ、54 溝、55 ネジ孔、60 フレーム枠、70 中央枠、71 中央フレーム、80 サイド枠、81 サイドフレーム、82 エンドフレーム、83 ブラケット、84,85、86 フレーム、90 連結ユニット、91 ヒンジ、92 連結片、93 連結片、94 調整片、95 ヒンジ、96 ヒンジ、98 湾曲部、99 回転軸、100 印刷製版、200 印刷機、300 ワーク、301 平面部、302 曲面部、400 スクリーン版、401 矩形枠。