(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】プラン作成システム、プラン作成方法、プログラムおよび製造実行システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220510BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220510BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021085704
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2021-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519321683
【氏名又は名称】株式会社3D Printing Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】古賀 洋一郎
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-278616(JP,A)
【文献】特開2003-345420(JP,A)
【文献】特開2016-009351(JP,A)
【文献】国際公開第2019/234898(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
B33Y 50/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の記憶装置と演算回路とを備え、
前記1以上の記憶装置は、
立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程およびアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、
前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュールおよび前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、
を記憶し、
前記演算回路は、
前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択して、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備とで製造工程を実行するメインプランを作成するメインプラン作成処理と、
前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、立体物の製造に関する製造能力の少なくとも一部がメインプランと異なるように、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備を選択して、リルートプランを作成するリルートプラン作成処理と、
を実行する、
プラン作成システム。
【請求項2】
前記リルートプラン作成処理は、前記1以上の所定の第1設備の少なくとも1つに、前記立体物とは別の立体物を造形する利用のスケジュールが決まっており、かつ前記別の立体物および前記立体物を同時に作成できる予約済み第1設備を選択する、
請求項1に記載のプラン作成システム。
【請求項3】
前記
製造工程情報は、複数の立体物を製造する製造工程を示し、前記リルートプラン作成処理は、前記1以上の第1工程の1つに利用する前記所定の第1設備として複数の前記予約済み第1設備を選択し、前記複数の立体物を前記複数の予約済み第1設備で造形するように前記リルートプランを作成する、請求項2に記載のプラン作成システム。
【請求項4】
前記製造能力は、前記第1工程または前記第2工程の完了に要する時間である所要時間と、前記第1工程または前記第2工程が成功する確率である工程成功確率と、所定期間内に作製できる前記
立体物の製造数と、のいずれか一つを少なくとも含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラン作成システム。
【請求項5】
前記リルートプランは、前記メインプランと前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備のスケジュールが異なる、
請求項1~4のいずれか一項に記載のプラン作成システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプラン作成システムと、
前記プラン作成システムにより作成された前記メインプランおよび前記リルートプランに基づいて前記立体物の製造を実行させる実行システムと、
を備える、
製造実行システム。
【請求項7】
前記実行システムは、前記メインプランおよび前記リルートプランを並行して前記立体物の製造を実行させる、請求項6に記載の製造実行システム。
【請求項8】
前記メインプランによる製造が失敗すると、前記プラン作成システムは、前記リルートプラン作成処理を実行させ、前記実行システムは、前記リルートプランを実行させる、請求項6に記載の製造実行システム。
【請求項9】
1以上の記憶装置にアクセス可能な演算回路により実行されるプラン作成方法であって、
前記1以上の記憶装置は、
立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程およびアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、
前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュールおよび前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用スケジュールを示す利用スケジュール情報と、
を記憶し、
前記プラン作成方法は、
前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択して、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備とで製造工程を実行するメインプランを作成するメインプラン作成処理と、
前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、立体物の製造に関する製造能力の少なくとも一部がメインプランと異なるように、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備を選択して、リルートプランを作成するリルートプラン作成処理と、
を含む、
プラン作成方法。
【請求項10】
請求項9に記載のプラン作成方法を前記演算回路に実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラン作成システム、プラン作成方法、プログラムおよび製造実行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の製造工程を容易に決定可能とするための工程決定支援装置を開示する。特許文献1に開示された工程決定支援装置は、材料を付加する加工装置と材料を除去する加工装置とを含む複数の加工装置について、各加工装置の加工性能を示す加工性能データを格納する加工性能データ格納部と、加工性能データを參照して、複数の加工装置のいずれかの加工装置の組み合わせによる加工工程を順序付けて割り当てることによって、製品を製造可能な加工工程の組み合わせである工程パターンを生成する工程パターン生成部と、工程パターン生成部によって生成された工程パターンの内容を出力する出力部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された工程決定支援装置は、立体物の製造工程を容易に決定可能とするが、立体物の製造が失敗した場合については何ら考慮されていない。したがって、立体物の製造が失敗した場合、納期通りに立体物を届けることができない可能性があった。
【0005】
本開示は、立体物の製造の失敗に対処可能なプラン作成システム、プラン作成方法、プログラムおよび製造実行システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るプラン作成システムは、1以上の記憶装置と演算回路とを備え、前記1以上の記憶装置は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程およびアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュールおよび前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、を記憶し、前記演算回路は、前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択して、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備とで製造工程を実行するメインプランを作成するメインプラン作成処理と、前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、立体物の製造に関する製造能力の少なくとも一部がメインプランと異なるように、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備を選択して、リルートプランを作成するリルートプラン作成処理と、を実行する。
【0007】
本開示の製造実行システムは、プラン作成システムと、前記プラン作成システムにより作成された前記メインプランおよび前記リルートプランに基づいて前記立体物の製造を実行させる実行システムと、を備える。
【0008】
本開示に係る、1以上の記憶装置にアクセス可能な演算回路により実行されるプラン作成方法は、前記1以上の記憶装置が、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程およびアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュールおよび前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用スケジュールを示す利用スケジュール情報と、を記憶し、前記プラン作成方法は前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択して、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備とで製造工程を実行するメインプランを作成するメインプラン作成処理と、前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、立体物の製造に関する製造能力の少なくとも一部がメインプランと異なるように、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備を選択して、リルートプランを作成するリルートプラン作成処理と、を含む。
【0009】
本開示に係るプログラムは、コンピュータの演算回路に本開示に係るプラン作成方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、立体物の製造の失敗に対処可能なプラン作成システム、プラン作成方法、プログラムおよび製造実行システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態に係る製造システムの構成例のブロック図
【
図2】
図1の製造システムの製造実行システムの構成例のブロック図
【
図3】
図1の製造システムの管理システムの構成例のブロック図
【
図4】
図1の製造システムの端末装置の構成例のブロック図
【
図5】立体物の製造工程の工程例のアクティビティ図
【
図9A】
図1の製造システムの動作の一例のフローチャート
【
図9B】
図1の製造システムの動作の一例のフローチャート
【
図10A】
図1の製造システムの動作の別の例のフローチャート
【
図10B】
図1の製造システムの動作の別の例のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する構成は、本開示の一例に過ぎず、本開示は下記の実施の形態に限定されることはなく、当該実施の形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
図1は、実施の形態の一例に係る製造システム1の構成例のブロック図である。製造システム1は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用した立体物の製造のためのシステムである。
【0014】
立体物は、実体のある物(有体物)を想定している。立体物は、食器、文房具、装身具、家具、工具、電化製品、乗り物等の種々の製品や試作品であってもよい。立体物は、完成品に限らず、部品であってもよい。完成品の例としては、コップ、ねじ、コンテナが上げられる。部品の例としては、自動車および航空機の基幹部品(ピストン、シリンダヘッド)やスペアパーツが挙げられる。
【0015】
製造システム1は、複数の施設3にある複数の設備5を利用して、立体物の製造を可能とする。施設3は、少なくとも一つの設備5が設置され、設備5による作業が可能な場所を想定している。施設3は、建物だけではなく、建物とその建物が存在する敷地とを含んでもよい。施設3の例としては、工場、店舗、ビル(ビル全体、フロア内)が挙げられる。施設3は、非住宅施設に限定されず、戸建住宅および集合住宅等の住宅施設であってもよい。
【0016】
複数の設備5は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の設備(以下、必要に応じて「主設備」という)と、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の設備(以下、必要に応じて「副設備」という)とを含む。主設備は、3Dプリンタおよび3Dプリンタ複合機等の付加製造設備を想定している。アディティブマニュファクチャリング技術による造形方法は特に限定されないが、例えば、国際標準化団体のASTMインターナショナルが規定する材料押出(material extrusion)、液槽光重合(vat photopolymerization)、材料噴射(material jetting)、結合剤噴射(binder jetting)、粉末床溶融結合(powder bed fusion)、シート積層(sheet lamination)、指向性エネルギ堆積(directed energy deposition)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。3Dプリンタは、複数の造形方法を選択的又は並列的に実行可能であってよい。3Dプリンタ複合機は、3Dプリンタの機能を含む複数の機能を有する装置を想定している。例えば、3Dプリンタ複合機は、副設備と同様にアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用可能であってよい。副設備は、付加製造設備を除く製造設備、すなわち、既存の製造設備を想定している。アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術の例としては、サブトラクティブマニュファクチャリング(除去製造)技術、フォーマティブ(フォーミング)マニュファクチャリング技術(射出成形、押出成形等)、表面処理技術(コーティング、塗装、メッキ、研磨等)、熱処理技術(焼結、冷却等)、接合技術(超音波接合、熱溶着、機械的接合、接着等)、組立技術(部品の組み立て、微細転写(インプリント)、含浸(インプリグネーション)等)が挙げられる。サブトラクティブマニュファクチャリングの例としては、切削加工、研削加工、放電加工、鋳造加工、ダイキャスト加工、プレス加工、鍛造加工、板金加工が挙げられる。
【0017】
本実施の形態では、立体物の製造工程が、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程、及び、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含むことを想定している。製造工程は、第1工程及び第2工程のいずれにも分類されないその他の工程を含んでいてもよい。第1工程は、立体物の一部又は全部の造形を行う工程であってよい。第1工程は、予め用意された基礎(例えば、基板等)に立体物の一部又は全部の造形を行うことも含む。立体物の一部の造形は、立体物の複数のパーツの一つの全部又は途中までの造形、及び、立体物の途中までの造形を含む。製造工程は、複数の異なる第1工程を含んでもよい。例えば、複数の第1工程が異なるアディティブマニュファクチャリング技術を利用する場合、これらは複数の異なる第1工程であるといえる。第2工程は、第1工程で得られた造形物を対象とする工程であってよい。第2工程は、少なくとも一つの第1工程の後に実行されてよい。なお、製造工程が複数の第1工程を含む場合、第2工程は、複数の第1工程の間に実行され得る。第2工程は、第1工程で途中まで造形された立体物を更に加工して完成品にする工程であってよい。第2工程は、第1工程で最後まで造形された立体物に表面処理や熱処理を施して完成品にする工程であってよい。第2工程は、1以上の第1工程で造形された複数のパーツから立体物を組み立てる工程であってよい。製造工程は、複数の異なる第2工程を含んでもよい。例えば、複数の第2工程が異なる製造技術を利用する場合、これらは複数の異なる第2工程であるといえる。本実施の形態では、1以上の第1工程を実行可能な設備5を「第1設備」といい、必要に応じて符号51を付す。第1工程はアディティブマニュファクチャリング技術を利用する工程であるから、第1設備51は、上述の主設備から選択される。1以上の第2工程を実行可能な設備5を「第2設備」といい、必要に応じて符号52を付す。第2工程はアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する工程であるから、第2設備52は、上述の副設備から選択される。
【0018】
図1に示すように、製造システム1は、製造実行システム2と、1以上の施設3と、1以上の端末装置6とを備える。製造実行システム2は、プラン作成システム2Aと、実行システム2Bとを備える。施設3は、管理システム4と、1以上の設備5とを備える。
図2は、製造実行システム2の構成例のブロック図である。
図3は、管理システム4の構成例のブロック図である。
図4は、端末装置6の構成例のブロック図である。
図9Aおよび
図9Bは、製造システム1の動作の一例のフローチャートである。
図2に示すように、製造実行システム2は、記憶装置23と、演算回路24とを備える。記憶装置23は、立体物情報D11と、製造工程情報D12と、設備情報D13と、利用スケジュール情報D14と、所要時間情報D15とを記憶する。立体物情報D11は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の形状を決定するための情報を含む。製造工程情報D12は、立体物情報D11に基づいて決定される立体物の製造工程を示す。製造工程は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程およびアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む。設備情報D13は、製造システム1で利用可能な設備5のリストである。利用スケジュール情報D14は、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備51の利用のスケジュール及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備52の利用のスケジュールを示す。所要時間情報D15は、各第1設備51における第1工程の完了に要する第1工程時間及び各第2設備52における第2工程の完了に要する第2工程時間を含む複数の所要時間を示す。演算回路24は、決定処理と、メインプラン作成処理と、リルートプラン作成処理と、生成処理と、実行処理とを実行する。決定処理は、立体物情報D11に基づいて立体物の製造工程を決定して製造工程情報D12を生成する。メインプラン作成処理は、立体物情報D11、製造工程情報D12、設備情報D13および利用スケジュール情報D14を参照して、1以上の第1設備51および1以上の第2設備52を抽出し、選択する。これにより、演算回路24は、立体物を生成するための形状、設備等を特定し、メインプランを作成することができる。リルートプラン作成処理は、立体物情報D11、製造工程情報D12、設備情報D13および利用スケジュール情報D14を参照して、1以上の第1設備51および1以上の第2設備52を抽出し、選択する。これにより、演算回路24は、立体物を生成するための形状、設備等を特定し、リルートプランを作成することができる。生成処理は、利用スケジュール情報D14及び所要時間情報D15を参照して、選択処理で選択された1以上の特定の第1設備51及び1以上の特定の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって製造される立体物の納期を含む納期情報D17を生成する。実行処理は、メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理で選択された1以上の第1設備51および1以上の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって立体物を製造するための指示を出力する。これにより、演算回路24は、1以上の管理システム4に製造するための指示を送信し、1以上の施設3を用いて、立体物を製造することができる。
【0019】
このように、製造実行システム2は、プラン作成システム2Aにより、立体物情報D11、製造工程情報D12、設備情報D13および利用スケジュール情報D14に基づいて立体物を製造するための主となるメインプラン、およびメインプランとは異なる予備的または付加的なリルートプランを作成する。したがって、プラン作成システム2Aによれば、主となるメインプランにおいて不良が生じても、納期への影響を除去または低減することができる立体物の製造プランを作成することができる。
【0020】
(製造システム)
以下、本実施の形態の製造システム1について詳細に説明する。製造システム1は、
図1に示すように、製造実行システム2と、1以上の管理システム4と、1以上の端末装置6とを備える。製造実行システム2は、1以上の管理システム4と通信ネットワーク71を介して通信可能に接続される。製造実行システム2は、1以上の端末装置6と通信ネットワーク72を介して通信可能に接続される。
【0021】
(製造実行システム)
図2に示すように、製造実行システム2は、インタフェース装置(入出力装置21および通信回路22)と、記憶装置23と、演算回路24とを備える。製造実行システム2は、例えば1台の端末装置またはサーバ装置で実現され得る。端末装置は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)等により実現され得る。
【0022】
製造実行システム2は、プラン作成システム2Aおよび実行システム2Bを備える。プラン作成システム2Aおよび実行システム2Bはそれぞれ、インタフェース装置(入出力装置21および通信回路22)と、記憶装置23と、演算回路24とにより実現される。
【0023】
入出力装置21は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、およびユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力装置21は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0024】
通信回路22は、有線または無線により装置またはシステムと通信回線を介して接続するためのインタフェース装置である。当該インタフェース装置は、例えば、USB(登録商標)またはイーサネット(登録商標)等の有線通信規格に準拠した通信を行うことが可能である。または、インタフェース装置は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯電話回線等の無線通信規格に準拠した通信を行うことが可能である。
【0025】
記憶装置23は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。記憶装置23は、例えば通信回路22が受信した立体物情報D11を格納し、演算回路24は、当該情報を利用することができる。記憶装置23は、複数の記憶装置によって構成されてもよい。記憶装置23は、例えばDRAMやSRAM、フラッシュメモリ等のメモリ、HDD、SSD、その他の記憶デバイスまたはそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置23は、上述しているように、プラン作成システム2Aが演算回路24によって実行する各種の処理を実現するためのプログラムを格納する。
【0026】
記憶装置23に格納される情報は、立体物情報D11と、製造工程情報D12と、設備情報D13と、利用スケジュール情報D14と、所要時間情報D15と、成功確率情報D16と、納期情報D17と、メインプラン情報D18と、リルートプラン情報D19と、を含む。
図2では、記憶装置23が、立体物情報D11と、製造工程情報D12と、設備情報D13と、利用スケジュール情報D14と、所要時間情報D15と、成功確率情報D16と、納期情報D17と、メインプラン情報D18と、リルートプラン情報D19と、の全てを記憶している状態を示している。各情報D11~D17は、常に記憶装置23に記憶されている必要はなく、演算回路24で必要とされるときに記憶装置23に記憶されていればよい。
【0027】
演算回路24は、製造実行システム2の動作を制御する回路である。また、演算回路24は、プラン作成システム2Aおよび実行システム2Bの動作を制御する回路である。演算回路24は、入出力装置21および通信回路22に接続され、記憶装置23にアクセス可能である。演算回路24は、プログラムを実行することで所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。演算回路24は、例えば記憶装置23に格納された演算プログラム等を呼び出して実行することにより、製造実行システム2、プラン作成システム2Aおよび実行システム2Bにおける各種の処理を実現する。演算回路24は、ハードウェアとソフトウェアとが協働して所定の機能を実現する態様に限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、演算回路24は、CPU、MPU以外にも、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現され得る。このような演算回路24は、例えば、半導体集積回路である信号処理回路で構成され得る。
【0028】
立体物情報D11は、立体物の形状を決定するための情報(形状情報)を含む情報である。立体物情報D11は、例えば、立体物の製造を依頼する依頼者によって与えられる。形状情報の例としては、立体物の形状を直接的に特定する情報と、立体物の形状を直接的に特定する情報と、立体物の形状を間接的に特定する情報とが挙げられる。立体物の形状を直接的に特定する情報の例としては、立体物の形状を表現した3Dデータ(例えば、3DCADデータ、3DCGデータ)が挙げられる。立体物の形状を間接的に特定する情報の例としては、立体物の形状の特性の要求値を含む情報が挙げられる。特性は、立体物がその形状によって実現する性質または性能である。立体物が車両や航空機のボディの一部であれば、特性としては、強度、空気抵抗、揚力が上げられる。立体物の形状の特性の要求値が与えられれば、要求値を満たす立体物の形状の設計が可能(設計空間を絞り込んで設計解を導くことが可能)であるから、立体物の形状を決定することができる。立体物情報D11は、形状情報に加えて、立体物の形状以外の属性を特定するための情報を必要に応じて含む。立体物の形状以外の属性は、大きさ、色彩、材料、製造数等を含んでよい。立体物情報D11は、製造工程の決定において優先すべき優先項目を示す優先情報を含んでもよい。優先項目の例としては、納期の短さ、品質、立体物の材料に関する情報(材料自体又は材料の特性等)、立体物の表面処理(塗装やコーティング等)、成功確率の高さ、製造コストが挙げられる。
【0029】
製造工程情報D12は、立体物の製造工程を示す情報である。上述したように、製造工程は、複数の工程を含み、複数の工程は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程、及び、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む。製造工程は、立体物情報D11に基づいて決定される。本実施の形態では、演算回路24が、後述する決定処理S140によって、立体物情報D11から製造工程を決定して、製造工程情報D12を生成する。製造工程は、必要に応じて、品質確認工程を含む。品質確認工程は、品質の確認のための工程である。品質確認工程の例としては、第1工程の後に実行される品質確認工程(第1品質確認工程)と、第2工程の後に実行される品質確認工程(第2品質確認工程)とが挙げられる。第1品質確認工程では、例えば、第1工程により得られた造形物の形状を確認する。第2品質確認工程では、例えば、第2工程での加工や処理、組み立て結果を確認する。製造工程は、必要に応じて、輸送工程を含む。輸送工程は、立体物に関する輸送のための工程である。輸送工程は、立体物(又は立体物の製造途中の造形物)の一部又は全部の輸送の工程であり得る。立体物の一部の輸送の工程は、立体物が複数のパーツで構成される場合に、立体物の複数のパーツの一つを輸送する工程である。輸送の例としては、設備5間の輸送と、設備5から立体物の届け先への輸送とが挙げられる。設備5間の輸送は、第1設備51と第2設備52との間の輸送、第1設備51間の輸送、及び第2設備52間の輸送を含む。
【0030】
設備情報D13は、製造システム1で利用可能な設備5のリストである。設備情報D13は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備(主設備)のリスト(第1リスト)と、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備(副設備)のリスト(第2リスト)とを含む。第1リストは、各主設備の属性情報を含む。属性情報は、例えば、主設備で実行可能な工程と、主設備で利用できる材料と、主設備が造形可能な物のサイズと、主設備の場所(例えば、主設備のある施設3の地理的な場所)と、を含む。主設備で実行可能な工程は、例えば、アディティブマニュファクチャリング技術による造形方法を用いた工程である。主設備で利用できる材料は、合成樹脂、金属等種々あり、造形方法によって使用できる材料が制限される場合もある。第2リストは、各副設備の属性情報を含む。属性情報は、例えば、副設備で実行可能な工程と、副設備の場所(例えば、副設備のある施設3の地理的な場所)と、を含む。副設備で実行可能な工程は、例えば、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術、例えば、サブトラクティブマニュファクチャリング技術、フォーマティブマニュファクチャリング技術、表面処理技術、熱処理技術、接合技術、組立技術を用いた工程である。
【0031】
利用スケジュール情報D14は、製造システム1で利用可能な設備5の利用のスケジュールを示す。本実施形態では、製造システム1で利用可能な設備5から、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備51及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備52が選択される。よって、利用スケジュール情報D14は、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備51の利用のスケジュール及び1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備52の利用のスケジュールを示す。設備5の利用のスケジュールは、任意の単位時間を基準にして定めることができる。一例として、設備5の利用のスケジュールは1時間単位で設定され得る。単位時間は、1時間に限定されず、15分、30分、6時間、12時間、1日等であってもよい。設備5の利用のスケジュールは、設備5自体の利用スケジュールであってもよいが、設備5自体の利用のスケジュールと設備5を操作できる人(作業者)の利用のスケジュールとの組み合わせであってもよい。例えば、ある時間帯において、設備5自体は使用されていなくても、設備5を操作できる人がいなければ、設備5は利用不可であるとしてよい。
図6は、利用スケジュール情報D14の一例を示す。
図6では、第1設備51A~51D及び第2設備52A~52Cの利用のスケジュールを示す。
図6において、ハッチングのマスが設備を利用できない期間を示している。
【0032】
利用スケジュール情報D14は、利用のスケジュールが決まっている予約済み第1設備51について、空き領域に関する空き領域情報を含んでもよい。空き領域情報は、予約済み第1設備51の最大造形領域に対して、当該スケジュールでは使用されず別の立体物の造形に利用し得る領域に関する情報である。空き領域情報の詳細は後述する。
図7は、利用スケジュール情報D14の別の一例を示す。
図7は、
図6と同様、第1設備51A~51Dおよび第2設備52A~52Cの利用のスケジュールを示す。
図7に示す利用スケジュール情報D14は、
図6に示す利用スケジュール情報に対して、第1設備51A~51Dのマスに数値が記載されている。数値が記載されているマスは、利用のスケジュールが決まっている期間であり、当該数値は、空き領域情報の一例である。
【0033】
所要時間情報D15は、複数の所要時間を示す情報である。複数の所要時間は、工程時間と、確認時間と、輸送時間とを含む。
【0034】
工程時間は、設備5における工程の完了に要する時間である。本実施の形態では、製造システム1で利用可能な設備5から、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備51および1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備52が選択される。よって、工程時間は、各第1設備51における第1工程の完了に要する第1工程時間と、各第2設備52における第2工程の完了に要する第2工程時間と、を含むことになる。本実施の形態では、第1工程時間は、第1設備51による第1工程の実行に要する時間と第1設備による第1工程の実行に付随する時間とを含む。第2工程時間は、第2設備52による第2工程の実行に要する時間と第2設備による第2工程の実行に付随する時間とを含む。各工程の実行に付随する時間とは、例えば、各工程の実行の準備にかかる時間と、第1設備51および第2設備52での工程の実行後に次の工程が可能になるまでにかかる時間との少なくとも一方を含む。工程時間は、設備5に対して設定された定数であってもよいし、変数であってもよい。各設備5が使用する装置の性能に差があると、同一工程を実行できる設備であっても、当該工程の完了に要する所要時間に差が生じ得るからである。工程時間は、設備5で造形する立体物の形状や設備5を用いて作業する人(作業者)をパラメータとする変数であってもよい。立体物の形状の複雑さや作業者の能力(熟練度合い等)は、工程時間に影響を及ぼすと考えられるから、同じ設備5であっても、立体物の形状の複雑さや作業者によって、工程時間が変化してよい。この場合、工程時間は、ルックアップテーブル又は関数で与えられ得る。このような点は、確認時間及び輸送時間においても同様である。
【0035】
確認時間は、1以上の第1工程と1以上の第2工程との少なくとも一方の後に実行される品質確認にかかる時間である。上述したように、製造工程は、必要に応じて、品質確認工程を含む。品質確認工程の例としては、第1工程の後に実行される品質確認工程(第1品質確認工程)と、第2工程の後に実行される品質確認工程(第2品質確認工程)とが挙げられる。よって、確認時間は、第1品質確認工程にかかる第1確認時間と、第2品質確認工程にかかる第2確認時間と、を含む。
【0036】
輸送時間は、立体物に関する輸送にかかる時間である。上述したように、輸送の例としては、設備5間の輸送と、設備5から立体物の届け先への輸送とが挙げられる。よって、輸送時間は、設備5(すなわち、製造工程に利用される1以上の特定の第1設備51と1以上の特定の第2設備52とを含む特定の設備)間の立体物に関する輸送にかかる第1輸送時間を含む。輸送時間は、1以上の特定の第2設備52と届け先との間の立体物に関する輸送にかかる第2輸送時間を含む。設備5間の輸送は、第1設備51と第2設備52との間の輸送、第1設備51間の輸送、及び第2設備52間の輸送を含む。よって、第1輸送時間は、第1設備51と第2設備52との間の輸送にかかる輸送時間、第1設備51間の輸送にかかる輸送時間、及び第2設備52間の輸送にかかる輸送時間を含む。輸送時間は、第1設備(1以上の特定の第1設備)51の(地理的な)場所、第2設備(1以上の特定の第2設備)52の(地理的な)場所、及び立体物の届け先に基づいて決定される。輸送時間は、配送業者が立体物の一部又は全部を輸送するのにかかる時間に基づいて決定されてよい。例えば、第1設備51と第2設備52との間の輸送時間は、配送業者が第1設備51の場所(又はその近傍)から第2設備52の場所(又はその近傍)まで立体物を輸送するのに実際にかかる時間に基づいて決定されてよい。また、輸送時間は、物理的距離ではなく時間距離に基づいて決定されてよい。時間距離は、ある2点間のへだたりを人や物が移動するのに要する時間によって表わす指標である。例えば、第1設備51と第2設備52との間の輸送時間は、第1設備51の場所(又はその近傍)と第2設備52の場所(又はその近傍)との間の時間距離に基づいて決定されてよい。
【0037】
成功確率情報D16は、複数の成功確率を示す情報である。複数の成功確率は、工程成功確率と、確認成功確率と、輸送成功確率と、を含む。
【0038】
工程成功確率は、設備5における工程の成功する確率である。工程成功確率は、設備5における過去の工程の成功・失敗の履歴から統計的に求めることができる。工程成功確率は、第1工程の成功する確率である第1工程成功確率と、第2工程の成功する確率である第2工程成功確率と、を含む。第1工程成功確率は、第1設備51による第1工程の実行に関する成功確率と、第1設備51による第1工程の実行に付随する作業の成功確率とで決めることができる。第1設備51による第1工程の実行に付随する作業は、第1設備51での第1工程の実行の準備作業と、第1設備51での第1工程の実行後に次の工程を可能にするための作業との少なくとも一方を含む。第2工程成功確率は、第2設備52による第2工程の実行に関する成功確率と、第2設備52による第2工程の実行に付随する作業の成功確率とで決めることができる。第2設備52による第2工程の実行に付随する作業は、第2設備52での第2工程の実行の準備作業と、第2設備52での第2工程の実行後に次の工程を可能にするための作業との少なくとも一方を含む。同じ設備5であっても、設備5を用いて作業する人(作業者)毎に工程成功確率が設定されていてよい。これは、作業者の熟練度合いによって工程成功確率が変わり得るからである。
【0039】
確認成功確率は、1以上の第1工程と1以上の第2工程との少なくとも一方の後に実行される品質確認の成功する確率である。確認成功確率は、品質確認の過去の成功・失敗の履歴から統計的に求められる。確認成功確率は、第1品質確認工程の成功する確率である第1品質確認成功確率と、第2品質確認工程の成功する確率である第2品質確認成功確率とが挙げられる。
【0040】
輸送成功確率は、立体物に関する輸送の成功する確率である。輸送成功確率は、輸送の過去の成功・失敗の履歴から統計的に求められる。上述したように、輸送の例としては、設備5間の輸送と、設備5から立体物の届け先への輸送とが挙げられる。よって、輸送成功確率は、設備5(すなわち、製造工程に利用される1以上の特定の第1設備51と1以上の特定の第2設備52とを含む特定の設備)間の立体物に関する輸送の成功する確率(第1輸送成功確率)を含む。輸送成功確率は、1以上の特定の第2設備52と届け先との間の立体物に関する輸送の成功する確率(第2輸送成功確率)を含む。
【0041】
納期情報D17は、製造工程情報D12にしたがって製造される立体物の納期を含む。本実施形態では、納期は、立体物が依頼者の指定する届け先に届く時期を直接的又は間接的に示す情報をいう。例えば、納期は、立体物が依頼者の指定する届け先に届く日時であってもよいし、立体物が依頼者の指定する届け先に届くまでにかかる時間であってもよい。納期の起算点は、納期の算出の開始時点を想定しているが、納期の起算点は、任意の時点を指定可能であってよい。これによって、現時点から一週間後に立体物の製造を依頼した場合の納期等の算出が可能である。納期情報D17は、更に、製造工程情報D12にしたがって製造される立体物の製造の成功確率を含む。納期情報D17は、演算回路24によって生成されるから、納期情報D17における納期および成功確率の算出については後述する。
【0042】
メインプラン情報D18は、製造システム1で立体物を製造する主となるメインプランを示す情報である。メインプラン情報D18は、1以上の第1工程を実行する1以上の特定の第1設備51および1以上の第2工程を実行する1以上の特定の第2設備52の情報を含む。演算回路24は、メインプラン情報D18を参照して、後述する実行処理により、メインプランに基づく立体物の製造を実行させることができる。
【0043】
リルートプラン情報D19は、製造システム1で立体物を製造する、メインプランとは異なる予備的または付加的なリルートプランを示す情報である。リルートプラン情報D19は、1以上の第1工程を実行する1以上の所定の第1設備51および1以上の第2工程を実行する1以上の所定の第2設備52の情報を含む。演算回路24は、リルートプラン情報D19を参照して、後述する実行処理により、リルートプランに基づく立体物の製造を実行させることができる。
【0044】
(管理システム)
図3に示すように、管理システム4は、例えばコンピュータ、またはスマートフォン等の携帯端末等により実現できる。管理システム4は、インタフェース装置(入出力装置41および通信回路42)と、記憶装置43と、演算回路44とを備える。管理システム4は、例えば、1台の端末装置で実現され得る。端末装置は、パーソナルコンピュータ、携帯端末等により実現され得る。
【0045】
入出力装置41は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、およびユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力装置41は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0046】
通信回路42は、有線または無線により他の装置またはシステムと通信回線を介して接続するためのインタフェース装置である。当該インタフェース装置は、例えば、USB(登録商標)またはイーサネット(登録商標)等の有線通信規格に準拠した通信を行うことが可能である。または、インタフェース装置は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯電話回線等の無線通信規格に準拠した通信を行うことが可能である。
【0047】
記憶装置43は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。記憶装置43は、複数の記憶装置によって構成されてもよい。記憶装置43は例えば、DRAMやSRAM、フラッシュメモリ等のメモリ、HDD、SSD、その他の記憶デバイスまたはそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置43は、上述しているように、管理システム4が演算回路44によって実行するための各種の処理を実現するためのプログラムを格納する。
【0048】
演算回路44は、管理システム4の動作を制御する回路である。演算回路44は、入出力装置41および通信回路42に接続され、記憶装置43にアクセス可能である。演算回路44は、プログラムを実行することで所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。演算回路44は、例えば記憶装置43に格納された演算プログラム等を呼び出して実行することにより、管理システム4における各種の処理を実現する。演算回路44は、ハードウェアとソフトウェアとが協働して所定の機能を実現する態様に限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、演算回路44は、CPU、MPU以外にも、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現され得る。このような演算回路44は、例えば、半導体集積回路である信号処理回路で構成される。
【0049】
(端末装置)
図4に示すように、端末装置6は、例えばパーソナルコンピュータまたは携帯端末等により実現できる。端末装置6は、インタフェース装置(入出力装置61および通信回路62)と、記憶装置63と、演算回路64とを備える。
【0050】
入出力装置61は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、およびユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力装置61は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0051】
通信回路62は、有線または無線により他の装置またはシステムと通信回線を介して接続するためのインタフェース装置である。当該インタフェース装置は、例えば、USB(登録商標)またはイーサネット(登録商標)等の有線通信規格に準拠した通信を行うことが可能である。または、インタフェース装置は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯電話回線等の無線通信規格に準拠した通信を行うことが可能である。
【0052】
記憶装置63は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。記憶装置63は、例えば入出力装置61によって取得した立体物情報D11を格納し、演算回路64は、当該情報を利用することができる。記憶装置63は、後述するように、納期情報D17を格納してもよい。記憶装置63は、複数の記憶装置によって構成されてもよい。記憶装置63は例えば、DRAMやSRAM、フラッシュメモリ等のメモリ、HDD、SSD、その他の記憶デバイスまたはそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置63は、上述しているように、端末装置6が演算回路64によって実行するための各種の処理を実現するためのプログラムを格納する。
【0053】
演算回路64は、端末装置6の動作を制御する回路である。演算回路64は、入出力装置61および通信回路62に接続され、記憶装置63にアクセス可能である。演算回路64は、プログラムを実行することで所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。演算回路64は、例えば記憶装置63に格納された演算プログラム等を呼び出して実行することにより、端末装置6における各種の処理を実現する。演算回路64は、ハードウェアとソフトウェアとが協働して所定の機能を実現する態様に限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、演算回路64は、CPU、MPU以外にも、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現され得る。このような演算回路64は、例えば、半導体集積回路である信号処理回路で構成される。
【0054】
(端末装置の動作)
端末装置6の演算回路64が実行する処理について説明する。端末装置6の演算回路64は、取得処理と、送信処理と、受信処理と、出力処理とを実行するように構成される。
【0055】
取得処理は、入出力装置61により立体物情報D11を取得する処理である。演算回路64は、立体物情報D11を取得すると、記憶装置63に格納してもよい。取得処理は、例えば、入出力装置61により立体物情報D11の入力のための画面を提示し、依頼者は画面の指示にしたがって立体物情報D11を入力することが可能である。立体物情報D11の入力は、外部装置から立体物情報D11を端末装置6に入力することだけでなく、端末装置6が記憶しているデータから立体物情報D11として使用するデータを特定することも含んでよい。送信処理は、取得処理で取得した立体物情報D11を製造実行システム2に通信回路62を介して製造実行システム2に入力することが可能である。
【0056】
受信処理は、製造実行システム2で生成される納期情報D17を製造実行システム2から通信回路62を介して受け取る処理である。演算回路64は、納期情報D17を受け取ると、記憶装置63に格納してもよい。出力処理は、受信処理で受け取った納期情報D17を入出力装置により提示する処理である。出力処理は、例えば、入出力装置61により納期情報D17の出力のための画面を提示し、依頼者は画面を見ることで納期情報D17が示す納期および成功確率を把握することができる。受信処理と出力処理とによって、依頼者は、納期情報D17を、端末装置6を通じて確認することが可能である。
【0057】
演算回路64は、納期情報D17の提示に対して依頼者が立体物の製造を承認するかどうかを回答する画面を入出力装置61に表示させて、依頼者の承認が得られた場合には、依頼者が立体物の製造を承認したことを、通信ネットワーク72を通じて、製造実行システム2に通知する。演算回路64は、立体物の納期の結果に関する情報を、入出力装置61を通じて取得し、必要に応じて通信回路62から通信ネットワーク72を通じて製造実行システム2に送信できてもよい。立体物の納期の結果に関する情報としては、立体物が依頼者の指定する届け先に実際に届いた日時(つまり、実際にかかった納期までの実働時間)の情報が挙げられる。
【0058】
このように、依頼者は、端末装置6を通じて、立体物情報D11を製造実行システム2に提供することができ、製造実行システム2からの納期情報D17を確認し、実際に立体物の製造を依頼することができる。
【0059】
(製造実行システムの動作)
製造実行システム2の演算回路が実行する処理について説明する。製造実行システム2の演算回路24は、記憶処理と、決定処理と、メインプラン作成処理と、リルートプラン作成処理と、実行処理と、収集処理と、を実行するように構成される。
【0060】
記憶処理は、インタフェース装置(入出力装置21および通信回路22)を通じて立体物情報D11を受け取って記憶装置23に記憶させる処理である。製造実行システム2では、入出力装置21および通信回路22を利用して立体物情報D11の入力が可能である。本実施の形態では、製造実行システム2は、通信回路22によって、通信ネットワーク72を通じて端末装置6と通信可能に接続される。製造実行システム2は、端末装置6によって作製される立体物情報D11または端末装置6に入力される立体物情報D11を、端末装置6から取得することができる。
【0061】
決定処理は、立体物情報D11に基づいて立体物の製造工程を決定して製造工程情報D12を生成する処理である。決定処理は、立体物情報D11に基づいて立体物の製造に必要な複数の工程(1以上の第1工程および1以上の第2工程)を特定し、複数の工程の順番を決定する。決定処理は、順番が決められた複数の工程に応じて品質確認工程と輸送工程とを加えて、製造工程を決定する。例えば、立体物の製造に、3Dプリンタで樹脂材料から造形物を形成する工程と、表面処理装置による造形物の表面処理をする工程とが必要であるとする。この例では、前者の工程が第1工程、後者の工程が第2工程として特定される。第2工程の実行には第1工程の完了が必要であるから、第1工程と第2工程との順番は、第1工程が先、第2工程が後になる。第1工程に第1品質確認工程と第1輸送工程とが付され、第2工程に第2品質確認工程と第2輸送工程とが付されて、第1工程、第1品質確認工程、第1輸送工程、第2工程、第2品質確認工程、第2輸送工程を順番に実行する製造工程が得られる。
【0062】
メインプラン作成処理は、立体物の製造に用いる設備5を選択し、立体物を製造するための設備5が決定されたメインプランを作成する処理である。また、メインプラン作製処理は、メインプランを示す情報であるメインプラン情報D18を作成する。本実施の形態では、メインプラン作成処理は、設備情報D13の製造システム1で利用可能な設備5のリストから1以上の第1設備51および1以上の第2設備52を抽出する。より詳細には、メインプラン作成処理は、製造工程情報D12に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリスト(設備情報D13の第1リスト)を検索して、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備51を抽出する。
図5の工程例に関して言えば、メインプラン作成処理は、第1工程Aを実行可能な1以上の第1設備51を抽出する。メインプラン作成処理は、製造工程情報D12に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術以外の製造技術を利用する設備のリスト(設備情報D13の第2リスト)を検索して、1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備52を抽出する。
図5の工程例に関して言えば、メインプラン作成処理は、第2工程Bを実行可能な1以上の第2設備52を抽出する。例えば、
図6に示すように、メインプラン作成処理は、第1工程Aを実行可能な4つの第1設備51A~51Dを抽出し、第2工程Bを実行可能な3つの第2設備52A~52Cを抽出する。
【0063】
メインプラン作成処理は、製造工程情報D12を参照して、1以上の第1設備51から1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備51を選択し、1以上の第2設備52から1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備52を選択する。
図5の工程例に関して言えば、メインプラン作成処理は、4つの第1設備51A~51Dから第1工程Aに利用する1つの特定の第1設備51を選択し、3つの第2設備52A~52Cから第2工程に利用する1つの特定の第2設備52を選択する。この場合、特定の第1設備51と特定の第2設備との組み合わせは、12通り存在するため、12通りの組み合わせについて納期を求めることが可能である。
【0064】
メインプラン作成処理においては、特定の第1設備51の選択には第1および第2条件を設けている。第1および第2条件は、第1設備51の利用可能時間に関する条件である。第1設備51が第1及び第2条件を満たすかどうかの判断には利用スケジュール情報D14が利用される。特定の第1設備51の第1条件は、各特定の第1設備は、1以上の第1設備51のうち、所定時間(第1所定時間)内に利用可能になる第1設備51である、というものである。第1所定時間は、第1工程の開始予定時点の許容限度に基づいて決定されてよい。例えば、
図6の例において、1マスが6時間であり、第1所定時間が24時間である場合、第1設備51B~51Cは24時間内に利用可能な時間があるが、第1設備51Aは24時間内に利用可能な時間がないから、第1設備51Aは特定の第1設備51としては選択されない。特定の第1設備51の第2条件は、特定の第1設備51は、1以上の第1設備51のうち、第1工程の開始予定時点からの利用可能時間が第1工程時間を含む使用時間以上である第1設備51である、というものである。第1設備51が利用可能であっても、第1工程を完了できなければ、特定の第1設備51としては適切ではないからである。使用時間は、第1工程時間と等しい時間であってもよいが、ある程度の余裕を持たせるために、第1工程時間より長い時間であってもよい。例えば、
図6の例において、使用時間が18時間である場合、第1設備51Bは12時間後が第1工程の開始予定時点であり、第1工程の開始予定時点から18時間利用可能であるから、特定の第1設備51として選択される。第1設備51Cは6時間後が第1工程の開始予定時点であり、第1工程の開始予定時点から18時間利用可能ではないから、特定の第1設備51として選択されない。第1設備51Dは0時間後が第1工程の開始予定時点であり、第1工程の開始予定時点から18時間利用可能であるから、特定の第1設備51として選択可能である。
【0065】
メインプラン作成処理においては、特定の第2設備52の選択には第1及び第2条件を設けている。第1及び第2条件は、第2設備52の利用可能時間に関する条件である。第2設備52が第1及び第2条件を満たすかどうかの判断には利用スケジュール情報D14が利用される。特定の第2設備52の第1条件は、各特定の第2設備は、1以上の第2設備52のうち、所定時間(第2所定時間)内に利用可能になる第2設備52である、というものである。第2所定時間は、第2工程の開始予定時点の許容限度に基づいて決定されてよい。例えば、
図6の例において、1マスが6時間であり、第2所定時間が72時間である場合、第2設備52A,52Bは72時間内に利用可能な時間があるが、第2設備52Cは72時間内に利用可能な時間がないから、第2設備52Cは特定の第2設備52としては選択されない。特定の第2設備52の第2条件は、各特定の第2設備は、1以上の第2設備52のうち、第1工程の開始予定時点から1以上の特定の第1設備の少なくとも一つの第1工程時間を含む待機時間の経過後の時点以後の利用可能時間が第2工程時間以上である第2設備52である、というものである。これは、第2工程が第1工程後に実行される場合には、特定の第2設備52は、特定の第1設備51での第1工程の完了以後にしか第2工程を開始できず、その際に利用可能時間が第2工程時間より短いと第2工程を完了できないためである。待機時間は、第1工程時間と等しい時間であってもよいが、上述したように、第1工程と第2工程との間には品質確認工程と輸送工程とが含まれる場合があるから、確認時間と輸送時間とを考慮して第1工程時間より長い時間であってよい。例えば、
図5の工程例では、第2工程Bは第1工程Aの後に実行される。この場合に、待機時間が24時間で、第2工程時間が12時間であるとする。そして、第1設備51Bが特定の第1設備である場合、第1工程の開始予定時点が12時間後であるから、待機時間が経過するのは36時間後であり、第2設備52A,52Bには第2工程時間(12時間)以上の利用可能時間がある。よって、第1設備51Bが特定の第1設備である場合、第2設備52A,52Bはいずれも特定の第2設備として選択可能である。第1設備51Dが特定の第1設備である場合、第1工程の開始予定時点が0時間後であるから、待機時間が経過するのは24時間後であり、第2設備52A,52Bには第2工程時間(12時間)以上の利用可能時間がある。よって、よって、第1設備51Bが特定の第1設備である場合、第2設備52A,52Bはいずれも特定の第2設備として選択可能である。
【0066】
このようにしてメインプラン作成処理は、立体物を製造する設備とその順番を示すメインプランを作成する。メインプランを示す情報であるメインプラン情報D18は、上記処理によって選択された、製造工程情報D12に基づく1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備51と1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備52との情報を含む。メインプラン情報D18は、1以上の特定の第1設備51で実行される1以上の第1工程を開始する時間および当該第1工程での使用時間の情報、並びに1以上の特定の第2設備で実行される1以上の第2工程を開始する時間および当該第2工程での使用時間の情報を含んでもよい。メインプラン情報D18は、1以上の第1工程における各第1確認時間と各第1輸送時間を含んでもよい。メインプラン情報D18は、1以上の第2工程における各第2確認時間と各第2輸送時間とを含んでもよい。
【0067】
リルートプラン作成処理は、立体物の製造に用いる設備5を選択し、立体物を製造するための設備5が決定されたリルートプランを作成する処理である。また、リルートプラン作成処理は、リルートプランを示す情報であるリルートプラン情報D19を作製する。プラン作成システム2Aは、メインプラン作成処理によって生成されたメインプランによる製造を実行する前にリルートプラン作成処理を実行し、メインプランによる製造に加えて予備的に立体物を製造するリルートプランを作成することができる。リルートプランにおいて決定されている使用する設備5の少なくとも1つは、メインプランにおいて決定されている使用する設備5とは異なるように選択される。それにより、リルートプラン作成処理は、メインプランとは製造能力が異なるリルートプランを作成することができる。製造能力は、例えば、第1工程の完了に要する所要時間(すなわち、第1所要時間)を含んでよい。製造能力は、前記第2工程に要する所要時間(すなわち、第2所要時間)を含んでよい。製造能力は、設備5による工程の成功する確率である工程成功確率を含んでよい。製造能力は、所定期間内に設備5が完了できる結果物の製造数を含んでよい。所定期間は、例えば、
図6に記載するような利用のスケジュールで設定される単位時間(例えば、15分、30分、1時間、6時間、12時間、1日等)であってもよい。
【0068】
例えば、リルートプラン作成処理は、メインプランにおいて使用される1以上の第1工程を実行する1以上の特定の第1設備51と比べて、当該工程での使用時間はより長く、成功確率はより高い所定の第1設備51を選択してもよい。また、リルートプラン作成処理は、メインプランにおいて使用される1以上の第2工程を実行する1以上の特定の第2設備52と比べて、当該工程での使用時間はより長く、成功確率はより高い所定の第2設備52を選択してもよい。このように1以上の所定の第1設備51または1以上の所定の第2設備52を選択することで、リルートプラン作成処理は、メインプランよりも立体物を届け先へ届けるまでに必要な時間は増加するが、当該立体物の製造が成功する確率が高いリルートプランを作成することができる。なお、リルートプランは、リルートプランで使用する設備5と、メインプランで使用する設備5とが同一の設備5で構成されてもよい。例えば、リルートプランは、メインプランと同一の設備5を用いるが、メインプランとは、1以上の特定の第1設備51および1以上の特定の第2設備52のスケジュールが異なるように作成されてもよい。
【0069】
リルートプラン作成処理は、設備情報D13の製造システム1で利用可能な設備5のリストから1以上の第1設備51および1以上の第2設備52を抽出する。より詳細には、リルートプラン作成処理は、製造工程情報D12に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリスト(設備情報D13の第1リスト)を検索して、1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備51を抽出する。
図5の工程例に関して言えば、リルートプラン作成処理は、第1工程Aを実行可能な1以上の第1設備51を抽出する。リルートプラン作成処理は、製造工程情報D12に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術以外の製造技術を利用する設備のリスト(設備情報D13の第2リスト)を検索して、1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備52を抽出する。
図5の工程例に関して言えば、リルートプラン作成処理は、第2工程Bを実行可能な1以上の第2設備52を抽出する。例えば、
図6に示すように、リルートプラン作成処理は、第1工程Aを実行可能な4つの第1設備51A~51Dを抽出し、第2工程Bを実行可能な3つの第2設備52A~52Cを抽出する。
【0070】
リルートプラン作成処理は、製造工程情報D12を参照して、1以上の第1設備51から1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備51を選択し、1以上の第2設備52から1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備52を選択する。
図5の工程例に関して言えば、リルートプラン作成処理は、4つの第1設備51A~51Dから第1工程Aに利用する1つの所定の第1設備51を選択し、3つの第2設備52A~52Cから第2工程に利用する1つの所定の第2設備52を選択する。この場合、所定の第1設備51と所定の第2設備との組み合わせは、12通り存在するため、メインプランと同様、12通りの組み合わせについて納期を求めることが可能である。
【0071】
リルートプラン作成処理は、所定の第1設備の選択には第1および第2条件を設けている。当該第1および第2条件は、メインプラン作成処理での特定の第1設備の選択における第1および第2条件と同一である。
【0072】
このようにしてリルートプラン作成処理は、立体物を製造する設備とその順番を示すリルートプランを作成する。リル-トプランを示す情報であるリルートプラン情報D19は、上記処理によって選択された、製造工程情報D12に基づく1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備51と1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備52との情報を含む。リルートプラン情報D19は、1以上の所定の第1設備51で実行される1以上の第1工程を開始する時間および当該第1工程での使用時間の情報、並びに1以上の所定の第2設備で実行される1以上の第2工程を開始する時間および当該第2工程での使用時間の情報を含んでもよい。リルートプラン情報D19は、1以上の第1工程における各第1確認時間と各第1輸送時間を含んでもよい。リルートプラン情報D19は、1以上の第2工程における各第2確認時間と各第2輸送時間とを含んでもよい。
【0073】
立体物を複数製造する場合、立体物の製造が失敗して当該複数の立体物のうちの一部のみに不良が生じる可能性がある。したがって、リルートプラン作成処理は、メインプランにおける立体物の製造数と製造に関する成功確率に基づいて、不良が発生する可能性がある個数を作成するように、リルートプランを作成してもよい。例えば、立体物の必要な製造数が100個であり、工程全体の成功確率が95%の場合、不良品が5個発生する可能性がある。したがって、リルートプラン作成処理は、立体物をさらに5個作製するリルートプランを作成してもよい。
【0074】
リルートプラン作成処理は、メインプランを実行する前だけでなく、メインプラン作成処理で作成されたメインプランに基づき実行されている立体物の製造が失敗した場合にも実行され得る。このようにメインプランにおける製造不良に対応するために実行されるリルートプラン作成処理は、立体物情報D11が有する納入納期に基づいて、当該納期に間に合うように、1以上の第1設備51から1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備51を選択し、1以上の第2設備52から1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備52を選択する。
【0075】
メインプランにおける製造不良に対応するために実行されるリルートプラン作成処理には、上記した第1および第2条件に加えて、所定の第1設備51の選択に第3条件を設けてもよい。第3条件は、利用のスケジュールが決まっている第1設備51の使用領域に関する条件である。第1設備51が第3条件を満たすかどうかの判断には利用スケジュール情報が利用される。所定の第1設備51の第3条件は、各所定の第1設備51は、立体物情報D11に基づいて製造予定の立体物を、利用のスケジュールが決まっている第1設備51において製造予定の別の立体物と同時に製造することができる、というものである。
【0076】
リルートプラン作成処理は、利用のスケジュールが決まっている予約済み第1設備51において、製造工程情報D12により定められる1以上の第1工程を実行できるか判断することができる。管理システム4の演算回路44は、利用のスケジュールが決まっている予約済み第1設備51に関して、当該スケジュールで造形される立体物によって使用される領域に基づいて、当該予約済み第1設備51の最大造形領域に対する予約済み領域を把握することができる。したがって、管理システム4は、予約済み第1設備51の最大造形領域と予約済み領域とに基づいて、予約済み第1設備51の空き領域を把握することができる。空き領域とは、予約済み第1設備51の最大造形領域に対して、当該スケジュールでは使用されず、別の立体物の造形に利用し得る領域を意味する。管理システム4は、第1設備の空き領域に関する空き領域情報を通信回路42を介して製造実行システム2に通知する。空き領域情報を受信すると、製造実行システム2の演算回路24は、後述する収集処理を実行し、当該予約済み第1設備51に関する空き領域情報を利用スケジュール情報D14へと記憶させる。
【0077】
予約済み第1設備51が、例えば材料を溶融し積層していく材料押出のような造形方法の場合(すなわち、いわゆるFFFやWAMのようなAdditive型の場合)の予約済み領域について説明する。予約済み第1設備51が上記のような造形方法を用いる場合、造形される立体物による予約済み領域は、造形される立体物を積層方向上部から投影して示される領域(すなわち、平面図または上面図により表される領域)が、当該立体物を造形するために必要な領域となる。したがって、利用スケジュール情報D14に記憶される空き領域情報は、例えば、当該予約済み第1設備51でさらに製造可能な大きさを示す面積で表され得る。また、最大造形領域に対して予約済み領域で占有されていない領域であっても、例えば当該領域が細長い形状を有する領域の場合など、造形するのに適さない領域を含む可能性がある。したがって、利用スケジュール情報D14に記憶される空き領域情報は、予約済み領域で占有されていない領域において、例えば正方形若しくは円形の領域を取得できる面積、または1辺が所定長さ以上の長方形の領域を取得できる面積等で表されてもよい。また、利用スケジュール情報D14に記憶される空き領域情報は、最大造形領域と、造形される立体物を積層方向上部から投影した領域とを示す領域データとして記憶されてもよい。このようなデータを空き領域情報として利用スケジュール情報D14に記憶することで、演算回路24は、より詳細に、予約済み第1設備51で、立体物情報D11によって定められる立体物を造形できるか判断することができる。
【0078】
予約済み第1設備51が、例えば敷き詰められた粉末にレーザを照射して焼結させるような造形方法の場合(すなわち、いわゆるSLS、SLAのようなSelective型の場合)の予約済み領域について説明する。予約済み第1設備51が上記のような造形方法を用いる場合、造形される立体物による予約済み領域は、上述したAdditive型とは異なり、3次元空間で表現される領域となる。したがって、利用スケジュール情報D14に記憶される空き領域情報は、例えば、当該予約済み第1設備51でさらに製造可能な大きさを示す体積で表され得る。利用スケジュール情報D14に記憶される空き領域情報は、予約済み領域で占有されていない領域において、例えば立方体若しくは球の領域を取得できる体積、または1辺が所定長さ以上の直方体の領域を取得できる体積等で表されてもよい。また、利用スケジュール情報D14に記憶される空き領域情報は、最大造形領域と、造形される立体物により占有される体積の領域とを示す領域データとして記憶されてもよい。このようなデータを空き領域情報として利用スケジュール情報D14に記憶することで、演算回路24は、より詳細に、予約済み第1設備51で、立体物情報D11によって定められる立体物を造形できるか判断することができる。
【0079】
リルートプラン作成処理が第1工程を実行可能な第1設備51と第2工程を実行可能な第2設備52とを抽出する例について説明する。上記したように、メインプランにおける製造不良に対応するために実行されるリルートプラン作成処理においては、所定の第1設備51の選択には第1、第2および第3条件が設けられる。例えば、
図7の例において、上記と同様、1マスが6時間であり、第1工程時間を含む使用時間が24時間である場合、第1設備51Aは、24時間利用可能ではないため、所定の第1設備として選択されない。なお、本例では、第1条件は設定されない、すなわち、利用可能になる時間に制限はないこととする。第1設備51Cは24時間後に、24時間利用可能であるから、所定の第1設備51として選択可能である。また、第1設備51は、42時間後に利用可能であるから、所定の第1設備51として選択可能である。ここで、あるマスに記載されている数値が空き領域情報であり、例えば「30」と記載されている場合、30cm
2の面積の立体物を造形可能であることとすると、第1設備51Bは、12時間後に50cm
2の面積の立体物を造形することが可能である。第1工程を実行するために必要な面積が40cm
2の場合、演算回路24は、第1設備51Bを所定の第1設備51として選択可能である。
【0080】
上記したように、メインプランにおける製造不良に対応するために実行されるリルートプラン作成処理においては、所定の第2設備52の選択には第1および第2条件が設けられる。例えば、
図7の例において、上記と同様、1マスが6時間であり、第2工程時間を含む使用時間が12時間である場合、第2設備52A,52Bが所定の第2設備52として選択可能である。第1工程の所定の第1設備に、第1設備51Bを選択した場合、第1工程は36時間後に完了する。第2設備52A,52Bは、36時間後に12時間利用可能であるから、第1工程の完了後に第2工程を実行できる。したがって、第1工程および第2工程は、48時間後に完了可能である。第1工程の所定の第1設備51に、第1設備51Cを選択した場合、第1工程は48時間後に完了する。第2設備52Bは、54時間後に12時間利用可能であるから、第1工程の完了の6時間後に第2工程を実行できる。したがって、第1工程および第2工程は、66時間後に完了可能である。このように、利用のスケジュールが決まっている予約済み第1設備51の空き領域を利用して、立体物を造形するように構成することで、利用のスケジュールが決まっていない第1設備51のみを選択する場合と比べて、第1工程を早期に完了し得る。それによって、製造システム1は、メインプランにおいて製造不良が発生したとしても、立体物を短期間で製造し、できる限り早く届け先へ立体物を届けることが可能となる。
【0081】
製造工程情報D12が複数の立体物を製造する工程を含む場合、すなわち立体物を複数製造する場合、リルートプラン作成処理は、1以上の第1工程の1つに利用する所定の第1設備51として、複数の予約済み第1設備51を選択することができる。1以上の第1工程の1つに複数の予約済み第1設備51を利用し、複数の予約済み第1設備51に分散して複数の立体物を造形することで、当該1以上の第1工程の1つの完了に要する所要時間を短縮することができる。また、当該所要時間を短縮することで、リルートプラン作成処理が選択し得る予約済み第1設備51の候補が増加し得る。それにより、リルートプラン作成処理は、立体物をさらに分散して造形し、当該所要時間を短縮したリルートプランを作成することができる。
【0082】
上記しているように、立体物を複数製造する場合、立体物の製造が失敗して当該複数の立体物のうちの一部のみに不良が生じる可能性がある。そのような場合、リルートプラン作成処理は、不良が生じた数の立体物を製造するためのリルートプランを作成してよい。不良が生じた数のみ製造するリルートプランを作成する場合、メインプランを作成する際に必要だった第1工程時間および第2工程時間は、短縮され得る。また、第1工程を実行するために第1設備51で必要な領域は、縮小され得る。第1工程時間が短縮または第1設備51で必要な領域が縮小されると、第1工程を実行するための所定の第1設備51を選択する際、選択するための条件が緩和される。条件が緩和されると、リルートプラン作成処理は、より早期に第1工程が完了する所定の第1設備51を選択可能となり得る。したがって、リルートプランで作成する数量を調整することで、リルートプラン作成処理は、立体物を短期間で製造し、より早く届け先へ立体物を届けることが可能なリルートプランを作成できる。
【0083】
プラン作成システム2Aでは、演算回路24がリルートプラン作成処理により、1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備51を選択する際、利用スケジュール情報D14を参照し、スケジュールが空いている第1設備51を把握する。さらに、演算回路24は、利用スケジュール情報D14を参照し、利用のスケジュールが決まっている予約済み第1設備51の空き領域を把握する。また、演算回路24は、立体物情報D11を参照して、1以上の第1工程で立体物を造形するために必要な1以上の第1設備51の領域を把握する。各予約済み第1設備51の空き領域および立体物の造形に必要な領域を把握することで、リルートプラン作成処理は、造形する立体物の大きさを考慮して、予約済み第1設備51の空き領域を利用して当該立体物を造形できるか確認することができる。
【0084】
予約済み第1設備51の空き領域を利用して立体物を造形可能な場合、リルートプラン作成処理は、当該予約済み第1設備51を、1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備51として選択する候補として抽出する。リルートプラン作成処理は、他の第1設備を利用するより空き領域がある当該予約済み第1設備51を利用する方がより早期に1以上の第1工程を終了できる場合、1以上の第1工程に当該第1設備51を選択するリルートプランを作成する。なお、予約済み第1設備51を利用しなくとも、納期内に立体物を届け先に届けることができる場合、リルートプラン作成処理は、予約済み第1設備51ではなく、利用のスケジュールが決定されていない第1設備51を選択してもよい。
【0085】
このように、リルートプラン作成処理は、第1設備51のスケジュールが埋まっていたとしても、空きを待つことなく予約済み第1設備51を利用して立体物を製造し得るリルートプランを作成することができる。それにより、リルートプラン作成処理は、より短納期で、1以上の第1工程を実行するプランを作成することができる。
【0086】
生成処理は、納期情報D17を生成する処理である。納期情報D17は、上述したように、納期と、成功確率とを含む。
【0087】
生成処理は、利用スケジュール情報および所要時間情報D15を参照して、メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理で選択された1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって製造される立体物の納期を算出する。
【0088】
生成処理は、利用スケジュール情報D14および所要時間情報D15を参照して立体物の納期までにかかる推定時間を求めることができる。演算回路24は、製造工程情報D12から製造工程が含む1以上の第1工程および1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程および輸送工程)を特定できる。また、演算回路24は、メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理によって1以上の第1工程に利用する1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の第2工程に利用する1以上の特定のまたは所定の第2設備52を特定できる。第1工程と特定のまたは所定の第1設備51との組み合わせに対して、所要時間情報D15から第1工程時間(必要であれば第1確認時間)を得ることができる。1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備52との組み合わせに対して、所要時間情報D15から第2工程時間(必要であれば第2確認時間)を得ることができる。1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備52との組み合わせに対して、所要時間情報D15から輸送時間を得ることができる。そして、製造工程から1以上の第1工程および1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程および輸送工程)の順番がわかり、利用スケジュール情報D14から1以上の第1工程および1以上の第2工程の実行のための待ち時間(1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備52が利用可能になるまでの時間)が特定できる。これらを総合的に勘案することで、推定時間を求めることができる。生成処理は、利用する1以上の特定のまたは所定の第1設備51または1以上の特定のまたは所定の第2設備52における過去の製造実績から、推定時間を補正できるように構成されてもよい。
【0089】
生成処理は、推定時間を参照して立体物の納期を決定する。納期が、立体物が依頼者の指定する届け先に届くまでに係る時間である場合には、求めた推定時間が納期として採用される。納期が、立体物が依頼者の指定する届け先に届く日時である場合には、求めた推定時間の経過後の日時が納期として採用される。
【0090】
生成処理は、成功確率情報D16を参照して、メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理で選択された1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備を用いて製造工程情報D12にしたがって製造される立体物の製造の成功確率を算出する。上記したように、演算回路24は、製造工程情報D12から製造工程が含む1以上の第1工程および1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程および輸送工程)を特定できる。また、演算回路24は、メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理によって1以上の第1工程を利用する1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の第2工程に利用する1以上の特定のまたは所定の第2設備52を特定できる。第1工程と特定のまたは所定の第1設備51との組み合わせに対して、成功確率情報D16から第1工程成功確率(必要であれば第1確認成功確率)を得ることができる。第2工程と特定のまたは所定の第2設備52との組み合わせに対して、所要時間情報D15から第2工程成功確率(必要であれば第2確認成功確率)を得ることができる。1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備52との組み合わせに対して、成功確率情報D16から輸送成功確率を得ることができる。そして、製造工程から1以上の第1工程および1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程および輸送工程)の順番が分かるため、成功確率を求めることができる。例えば、
図5の工程例の場合、第1工程A(S11)の第1工程成功確率、品質確認工程(S12)の第1確認成功確率、輸送工程(S13)の輸送成功確率、第2工程B(S14)の第2工程成功確率、品質確認工程(S15)の第2確認成功確率、および輸送工程(S16)の輸送成功確率の積が、成功確率となる。
【0091】
メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理において、特定のまたは所定の第1設備51と特定のまたは所定の第2設備52との複数の組み合わせが求められている場合、生成処理は、複数の組み合わせそれぞれについて納期情報D17を生成することが可能である。
【0092】
実行処理は、立体物の製造を実行させるための処理である。より詳細には、実行処理は、メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理で選択された1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって立体物を製造するための指示を出力する。例えば、実行処理は、メインプラン作成処理またはリルートプラン作成処理で選択された1以上の特定のまたは所定の第1設備51および1以上の特定のまたは所定の第2設備52にそれぞれ対応する1以上の施設3の1以上の管理システム4に、立体物の製造に必要な情報を提供する。特定のまたは所定の第1設備51のある施設3の管理システム4には、立体物の製造に必要な情報として、第1工程の内容の情報、第1工程の結果物の送付先(特定のまたは所定の第2設備52の場所)の情報が与えられる。特定のまたは所定の第2設備52のある施設3の管理システム4には、立体物の製造に必要な情報として、第2工程の内容の情報、第2工程の結果物の送付先(例えば、依頼者の指定する届け先)の情報が含まれる。本実施の形態では、製造実行システム2は、通信回路22によって、通信ネットワーク71を通じて管理システム4と通信可能に接続される。このように、実行処理では、通信ネットワーク71を通じて必要な情報を管理システム4に与えることで、立体物の製造を行わせる。本実施の形態では、納期情報D17の提示に対して依頼者が立体物の製造を承認した場合、実行処理が開始される。
【0093】
収集処理は、インタフェース(入出力装置21および通信回路22)を通じて、外部装置またはシステム(例えば、管理システム4および端末装置6)からの情報を収集して記憶装置23に記憶させる処理である。外部装置またはシステムからの情報は、例えば、実行処理の開始後の、製造工程が含む1以上の第1工程および1以上の第2工程、並びにその他の工程(品質確認工程および輸送工程)における、成否情報を含む。成否情報は、各工程で実行される作業が成功したか失敗したかを示す情報である。成否情報は、管理システム4から得ることができ、リルートプラン作成処理の実行に利用され得る。
【0094】
また、外部装置またはシステムからの情報は、例えば、製造システム1で実行する製造工程に関連するフィードバック情報を含んでもよい。フィードバック情報の例としては、納期までに実際にかかった実働時間の情報と、所要時間に対応する実際の時間の情報と、が挙げられる。実働時間の情報は、端末装置6から得ることができる。所要時間に対応する実際の時間の情報は、管理システム4から得ることができる。
【0095】
また、外部装置またはシステムからの情報は、例えば、利用のスケジュールが決まっている予約済み第1設備51の空き領域に関連する空き領域情報を含んでもよい。空き領域情報は、上述するように、予約済み第1設備51の最大造形領域に対して、当該スケジュールでは使用されず別の立体物の造形に利用し得る領域に関する情報である。管理システム4は、第1設備51を予約しているスケジュールで造形される立体物の情報に基づいて、空き領域情報を取得する。したがって、空き領域情報は、管理システム4から得ることができる。
【0096】
(製造工程の例)
図5は、製造工程の一例を示す。本工程例は、第1工程A(S11)、品質確認工程(S12)、輸送工程(S13)、第2工程B(S14)、品質確認工程(S15)、および輸送工程(S16)を含む。本工程例において、工程S11~S16は、この順番に実行される。
【0097】
この場合、第1リストから第1工程Aを実行可能な1以上の第1設備51が抽出され、当該1以上の第1設備51から、第1工程Aに利用する特定のまたは所定の第1設備51が選択される。第2リストから第2工程Bを実行可能な1以上の第2設備52が抽出され、当該1以上の第2設備52から、第2工程Bに利用する特定のまたは所定の第2設備52が選択される。第1工程Aに利用する特定のまたは所定の第1設備51と第2工程Bに利用する特定のまたは所定の第2設備52との組み合わせについて納期が算出される。「1以上の第1設備51」が複数であり、かつ「特定のまたは所定の第1設備51」が複数の場合には、納期は、1つずつ選択された「特定のまたは所定の第1設備51」ごとに算出される。「1以上の第2設備52」が複数であり、かつ「特定のまたは所定の第2設備52」が複数の場合にも、納期は、1つずつ選択された「特定のまたは所定の第2設備52」ごとに算出される。組み合わせ可能な、又は組み合わせて立体物(製品)を製造することが合理的な第1設備51及び第2設備52の組をリスト化し、リストに挙げられている組についてのみ、納期が算出されてもよい。
【0098】
第1工程A(S11)は、第1設備51で樹脂材料から立体物の全部に対応する造形物を形成する工程である。品質確認工程(S12)は、第1工程Aで得られた造形物の品質を確認する工程である。輸送工程(S13)は、第1工程Aで得られた造形物を第1工程Aに利用する第1設備51のある施設20から第2工程Bに利用する第2設備52のある施設20に輸送する工程である。第2工程B(S14)は、第2設備52で造形物の表面処理をする工程である。品質確認工程(S15)は、第2工程Bでの表面処理の品質を確認する工程である。輸送工程(S16)は、第2工程Bでの表面処理後の造形物(完成した立体物)を第2工程Bに利用する第2設備52のある施設20から依頼者が指定する届け先に輸送する工程である。
【0099】
図8は、工程例での納期の説明図であり、納期の算出(つまり、演算回路14での生成処理での推定時間の算出)についてのアローダイアグラムを示す。ノード「1」は立体物の製造の依頼時点であり、ノード「9」は依頼者の指定する届け先に立体物が届く時点である。W11は第1工程A(S11)で利用する第1設備51の利用待ちを示し、tw11は利用待ちの時間を示す。W12は第2工程B(S14)で利用する第2設備52の利用待ちを示し、tw12は利用待ちの時間を示す。t11は第1工程A(S11)の工程時間、t12は品質確認工程(S12)の確認時間、t13は輸送工程(S13)の輸送時間をそれぞれ示す。t14は第2工程B(S14)の工程時間、t15は品質確認工程(S15)の確認時間、t16は輸送工程(S16)の輸送時間をそれぞれ示す。
【0100】
納期の推定時間は、
図8のアローダイアグラムのクリティカルパスで表される。例えば、tw11=16時間、tw12=32時間、t11=6時間、t12=2時間、t13=20時間、t14=7時間、t15=1時間、t16=20時間であれば、推定時間は、72時間となる。
【0101】
上記しているように、
図9Aおよび
図9Bは、本実施の形態に係る製造システム1の動作の一例(第1の動作例)を示すフローチャートである。
図9Aおよび
図9Bを参照しつつ、製造システム1の動作を説明する。本動作例では、製造システム1は、メインプランによる立体物の製造とリルートプランによる立体物の製造とを並行して実行する。
【0102】
製造システム1では、依頼者が立体物の製造を依頼する場合、端末装置6を利用する。端末装置6では、演算回路64が取得処理を実行し(S110)、立体物情報D11を取得する。演算回路64は、立体物情報D11を取得すると、立体物情報D11を記憶装置63に格納する。これによって、依頼者は画面の指示にしたがって立体物情報D11を入力することが可能である。演算回路64は、送信処理を実行し(S120)、取得処理で取得した立体物情報D11を製造実行システム2に通信回路62を介して送信する。
【0103】
製造実行システム2では、演算回路24は、上記送信処理によって送信された立体物情報D11を通信回路22を介して受信すると、記憶処理を実行し(S130)、記憶装置23に立体物情報D11を格納する。演算回路24は、決定処理を実行し(S140)、当該立体物情報D11に基づいて立体物を製造するための製造工程を決定して製造工程情報D12を生成し、記憶装置23に格納する。演算回路24は、メインプラン作成処理を実行し(S150)、立体物の製造に用いる設備5を選択する。より詳細には、演算回路24は、メインプラン作成処理において、製造工程情報D12を参照して、1以上の第1設備51から1以上の工程に利用する1以上の特定の第1設備51を選択し、1以上の第2設備52から1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備52を選択する。演算回路24は、生成処理を実行し(S160)、メインプランに対する納期情報D17を生成する。納期情報D17は、納期と、成功確率とを含む。納期情報D17は、通信回路22を通じて端末装置6に送信される。
【0104】
端末装置6では、演算回路64が受信処理を実行し(S170)、製造実行システム2で生成される納期情報D17を製造実行システム2から通信回路62を通じて受け取る。演算回路64は、出力処理(S180)を実行し、受信処理で受け取った納期情報D17を入出力装置61により提示する。演算回路64は、依頼者が立体物の製造を承認したかどうかを確認する(S190)。
【0105】
依頼者の承認が得られた場合(S190:Yes)には、演算回路64は、依頼者の承認が得られたことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2の実行システム2Bでは、演算回路24が実行処理を実行し(S200)、メインプラン作成処理(S150)で選択された1以上の特定の第1設備51および1以上の特定の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって立体物の製造をするための指示を必要な管理システム4に与える。これによって、製造システム1では、立体物が製造され、依頼者の指定する届け先に届けられる。
【0106】
依頼者の承認が得られなかった場合には(S190:No)、演算回路64は、依頼者の承認が得られなかったことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2のプラン作成システム2Aでは、演算回路24がリルートプラン作成処理を実行し(S210)、立体物の製造に用いる設備5を選択する。より詳細には、演算回路24は、リルートプラン作成処理において、製造工程情報D12を参照して、1以上の第1設備51から1以上の工程に利用する1以上の所定の第1設備51を選択し、1以上の第2設備52から1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備52を選択する。それによりリルートプラン作成処理は、リルートプランを生成し、リルートプランを示すリルートプラン情報D19を生成する。この際、演算回路24は、メインプラン作成処理にて選択された1以上の工程に利用する1以上の特定の第1設備51または1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備52よりも、少なくとも1つは当該工程に対する成功確率が高い1以上の所定の第1設備51または1以上の所定の第2設備52をリルートプラン作成処理にて選択する。演算回路24は、生成処理を実行し(S220)、リルートプランに対する納期情報D17を生成する。納期情報D17は、通信回路22を通じて端末装置6に送信される。
【0107】
端末装置6では、演算回路64が受信処理を実行し(S230)、製造実行システム2で生成される納期情報D17を製造実行システムから通信回路62を通じて受け取る。演算回路64は、出力処理(S240)を実行し、受信処理で受け取った納期情報D17を入出力装置61により提示する。演算回路64は、依頼者が立体物の製造を承認したかどうかを確認する(S250)。依頼者の承認が得られなかった場合には(S250:No)、演算回路64は、依頼者の承認が得られなかったことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2のプラン作成システム2Aでは、演算回路24がリルートプラン作成処理(S210)から再度処理を実行してよい。
【0108】
依頼者の承認が得られた場合には(S250:Yes)、演算回路64は、依頼者の承認が得られたことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2のプラン作成システム2Aでは、演算回路24が実行処理を実行し(S200)、メインプラン作成処理(S150)で選択された1以上の特定の第1設備51および1以上の特定の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって立体物の製造をするための指示を必要な管理システム4に与える。さらに、演算回路24は実行処理により(S200)、リルートプラン作成処理(S210)で選択された1以上の所定の第1設備51および1以上の所定の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって立体物の製造をするための指示を必要な管理システム4に与える。これによって、製造システム1では、立体物が製造され、メインプランによる立体物の製造が完了した場合、メインプランによって製造された立体物が依頼者の指定する届け先に届けられる。メインプランによる立体物の製造が成功し、依頼者の指定する届け先に立体物が届けられた場合、リルートプランによる立体物の製造は、中断される。仮にメインプランによる立体物の製造中に不良が生じた場合、メインプランと並行して進められているリルートプランによる立体物が製造され、依頼者の指定する届け先に届けられる。
【0109】
次に、製造システム1の
図9Aおよび
図9Bに記載する動作例とは異なる動作の一例(第2の動作例)について説明する。
図10Aおよび
図10Bは、本実施の形態に係る製造システム1の動作の別の例を示すフローチャートである。本動作例では、製造システム1は、まずメインプランによる立体物の製造を実行し、当該製造が失敗した場合、リルートプランによる立体物の製造を実行する。なお、
図9Aおよび
図9Bに示すフローチャートと同一の処理は、同一の符号を付与している。
【0110】
製造システム1では、依頼者が立体物の製造を依頼する場合、端末装置6を利用する。端末装置6では、演算回路64が取得処理を実行し(S110)、立体物情報D11を取得する。演算回路64は、立体物情報D11を取得すると、立体物情報D11を記憶装置63に格納する。これによって、依頼者は画面の指示にしたがって立体物情報D11を記憶装置63に入力することが可能である。演算回路64は、送信処理を実行し(S120)、取得処理で取得した立体物情報D11を製造実行システム2に通信回路62を介して送信する。
【0111】
製造実行システム2では、演算回路24は、上記送信処理によって送信された立体物情報を通信回路22を介して受信すると、記憶処理を実行し(S130)、記憶装置23に立体物情報D11を格納する。演算回路24は、決定処理を実行し(S140)、当該立体物情報D11に基づいて立体物を製造するための製造工程を決定して製造工程情報D12を生成し、記憶装置23に格納する。演算回路24は、メインプラン作成処理を実行し(S150)、立体物の製造に用いる設備5を選択する。より詳細には、演算回路24は、メインプラン作成処理において、製造工程情報D12を参照して、1以上の第1設備51から1以上の工程に利用する1以上の特定の第1設備51を選択し、1以上の第2設備52から1以上の第2工程を実行する1以上の特定の第2設備52を選択する。演算回路24は、生成処理を実行し(S160)、メインプランに対する納期情報D17を生成する。納期情報D17は、納期と、成功確率とを含む。納期情報D17は、通信回路22を通じて端末装置6に送信される。
【0112】
端末装置6では、演算回路64が受信処理を実行し(S170)、製造実行システム2で生成される納期情報D17を製造実行システム2から通信回路62を通じて受け取る。演算回路64は、出力処理を実行し(S180)、受信処理で受け取った納期情報D17を入出力装置61により提示する。演算回路64は、依頼者が立体物の製造を承認したかどうかを確認する(S190)。依頼者の承認が得られなかった場合には(S190:No)、演算回路64は、依頼者の承認が得られなかったことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2のプラン作成システム2Aでは、演算回路24がメインプラン作成処理(S150)から再度処理を実行してよい。
【0113】
依頼者の承認が得られた場合には(S190:Yes)、演算回路64は、依頼者の承認が得られたことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2の実行システム2Bでは、演算回路24が実行処理を実行し(S200)、メインプラン作成処理(S150)で選択された1以上の特定の第1設備51および1以上の特定の第2設備を用いて製造工程情報D12にしたがって立体物の製造をするための指示を必要な管理システム4に与える。これによって、製造システム1では、立体物が製造され、メインプランによる立体物の製造において不良が発生せず製造が完了した場合(S300:No)、メインプランによって製造された立体物が依頼者の指定する届け先に届けられる。
【0114】
メインプランによる立体物の製造中に不良が発生した場合(S300:Yes)、管理システム4の演算回路44は、報告処理(S310)を実行し、不良が生じたことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2のプラン作成システム2Aでは、演算回路24がリルートプラン作成処理を実行し(S320)、立体物の製造に用いる設備5を選択する。より詳細には、演算回路24は、リルートプラン作成処理において、製造工程情報D12を参照して、1以上の第1設備51から1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備51を選択し、1以上の第2設備52から1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備52を選択する。それによりリルートプラン作成処理は、リルートプランを生成し、リルートプランを示すリルートプラン情報D19を生成する。この際、演算回路24は、リルートプラン作成処理において、製造工程情報D12を参照して、例えば納期に間に合うように、1以上の所定の第1設備51および1以上の所定の第2設備52を選択する。演算回路24は、生成処理を実行し(S330)、リルートプランに対する納期情報D17を生成する。納期情報D17は、通信回路22を通じて端末装置6に送信される。
【0115】
端末装置6では、演算回路64が受信処理を実行し(S340)、製造実行システム2で生成される納期情報D17を製造実行システム2から通信回路62を通じて受け取る。演算回路64は、出力処理(S350)を実行し、受信処理で受け取った納期情報D17を入出力装置61により提示する。演算回路64は、依頼者が立体物の製造を承認したかどうかを確認する(S360)。依頼者の承認が得られなかった場合には(S360:No)、演算回路64は、依頼者の承認が得られなかったことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2のプラン作成システム2Aでは、演算回路24がリルートプラン作成処理(S320)から再度処理を実行してもよい。
【0116】
依頼者の承認が得られた場合には(S360:Yes)、演算回路64は、依頼者の承認が得られたことを製造実行システム2に通知する。この場合、製造実行システム2の実行システム2Bでは、演算回路24が実行処理を実行し(S370)、リルートプラン作成処理(S320)で選択された1以上の所定の第1設備51および1以上の所定の第2設備52を用いて製造工程情報D12にしたがって立体物の製造をするための指示を必要な管理システム4に与える。これによって、製造システム1では、リルートプランにより立体物が製造され、納期までに依頼者の指定する届け先に届けられる。
【0117】
第1の動作例と第2の動作例とは、組み合われてもよい。すなわち、演算回路24は、メインプラン作成時にリルートプランを作成して、メインプランおよびリルートプランを並行して実行し、仮にメインプランとリルートプランとの両方が製造に失敗した場合、さらにリルートプラン作成処理を実行してもよい。
【0118】
(実施の形態のまとめ)
以上のように本実施の形態に係るプラン作成システム、製造実行システム、プラン作成方法およびプログラムは、以下のように構成してもよい。
【0119】
(態様1)プラン作成システムは、1以上の記憶装置と演算回路とを備え、前記1以上の記憶装置は、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程およびアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュールおよび前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、を記憶し、前記演算回路は、前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択して、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備とで製造工程を実行するメインプランを作成するメインプラン作成処理と、前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、立体物の製造に関する製造能力の少なくとも一部がメインプランと異なるように、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備を選択して、リルートプランを作成するリルートプラン作成処理と、を実行する。
【0120】
(態様2)態様1のプラン作成システムにおいて、前記リルートプラン作成処理は、前記1以上の所定の第1設備の少なくとも1つに、前記立体物とは別の立体物を造形する利用のスケジュールが決まっており、かつ前記別の立体物および前記立体物を同時に作成できる予約済み第1設備を選択する。
【0121】
(態様3)態様2のプラン作成システムにおいて、前記製造工程情報は、複数の立体物を製造する製造工程を示し、前記リルートプラン作成処理は、前記1以上の第1工程の1つに利用する前記所定の第1設備として複数の前記予約済み第1設備を選択し、前記複数の立体物を前記複数の予約済み第1設備で造形するように前記リルートプランを作成する。
【0122】
(態様4)態様1から態様3のいずれか一つのプラン作成システムにおいて、前記製造能力は、前記第1工程または前記第2工程の完了に要する時間である所要時間と、前記第1工程または前記第2工程が成功する確率である工程成功確率と、所定期間内に作製できる前記結果物の製造数と、のいずれか一つを少なくとも含む。
【0123】
(態様5)態様1から態様4のいずれか一つのプラン作成システムにおいて、前記リルートプランは、前記メインプランと前記1以上の特定の第1設備及び前記1以上の特定の第2設備のスケジュールが異なる。
【0124】
(態様6)製造実行システムは、態様1から態様5のいずれか一つのプラン作成システムと、前記プラン作成システムにより作成された前記メインプランおよび前記リルートプランに基づいて前記立体物の製造を実行させる実行システムと、を備える。
【0125】
(態様7)態様6の製造実行システムにおいて、前記実行システムは、前記メインプランおよび前記リルートプランを並行して前記立体物の製造を実行させる。
【0126】
(態様8)態様6の製造実行システムにおいて、前記メインプランによる製造が失敗すると、前記プラン作成システムは、前記リルートプラン作成処理を実行させ、前記実行システムは、前記リルートプランを実行させる。
【0127】
(態様9)1以上の記憶装置にアクセス可能な演算回路により実行されるプラン作成方法は、前記1以上の記憶装置が、立体物の形状を決定するための情報を含む立体物情報に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の第1工程およびアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の第2工程を少なくとも含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報と、前記1以上の第1工程を実行可能な1以上の第1設備の利用のスケジュールおよび前記1以上の第2工程を実行可能な1以上の第2設備の利用スケジュールを示す利用スケジュール情報と、を記憶し、前記プラン作成方法は前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の特定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の特定の第2設備を選択して、前記1以上の特定の第1設備と前記1以上の特定の第2設備とで製造工程を実行するメインプランを作成するメインプラン作成処理と、前記製造工程情報および前記利用スケジュール情報を参照して、立体物の製造に関する製造能力の少なくとも一部がメインプランと異なるように、前記1以上の第1設備から前記1以上の第1工程に利用する1以上の所定の第1設備を選択し、前記1以上の第2設備から前記1以上の第2工程に利用する1以上の所定の第2設備を選択して、リルートプランを作成するリルートプラン作成処理と、を含む。
【0128】
(態様10)プログラムは、態様9のプラン作成方法を前記演算回路に実行させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本開示によれば、立体物の製造の失敗に対処可能なプラン作成システム、プラン作成方法、プログラムおよび製造実行システムを提供することができるため、この種の産業分野において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0130】
1 製造システム
2 製造実行システム
2A プラン作成システム
2B 実行システム
4 管理システム
6 端末装置
23 記憶装置
24 演算回路
D11 立体物情報
D12 製造工程情報
D13 設備情報
D14 利用スケジュール情報
D15 所要時間情報
D16 成功確率情報
D17 納期情報
D18 メインプラン情報
D19 リルートプラン情報
【要約】
【課題】立体物の製造の失敗に対処可能なプラン作成システム、プラン作成方法、プログラムおよび製造実行システムを提供すること。
【解決手段】プラン作成システムは、第1工程および第2工程を示す製造工程情報と、第1工程を実行可能な第1設備および第2工程を実行可能な第2設備の利用のスケジュールを示す利用スケジュール情報と、を記憶する記憶装置と、演算回路とを備え、演算回路は、特定の第1設備および特定の第2設備を選択して製造工程を実行するメインプランを作成するメインプラン作成処理と、メインプランとは少なくとも一部が異なるように、所定の第1設備および所定の第2設備を選択してリルートプランを作成するリルートプラン作成処理と、を実行する。
【選択図】
図2