(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】打抜き装置及びレーザ加工装置を備えた工作機械、並びにこのような工作機械を用いてワークを加工する方法
(51)【国際特許分類】
B23P 23/04 20060101AFI20220510BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20220510BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20220510BHJP
B21D 28/36 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B23P23/04
B23Q11/08 Z
B23K26/70
B21D28/36 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017052886
(22)【出願日】2017-03-17
【審査請求日】2019-12-11
(32)【優先日】2016-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス トレンクライン
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-365527(JP,A)
【文献】特開平03-165981(JP,A)
【文献】特開平08-174357(JP,A)
【文献】特開平10-193160(JP,A)
【文献】特開2001-079681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0258502(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0003952(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0084385(US,A1)
【文献】特開2012-130969(JP,A)
【文献】特開2013-116493(JP,A)
【文献】特表2013-507257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00-28/36
B23K 26/00-26/70
B23P 23/00-23/04
B23Q 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工するための工作機械であって、打抜き装置(4)とレーザ加工装置(5)とを備えており、
前記打抜き装置(4)は、打抜き側の調整装置(14)を有しており、該打抜き側の調整装置(14)により、打抜き工具(13)の打抜き工具部分(12)を、前記打抜き装置(4)の作業行程軸線(10)に沿って、規定可能な位置へ送ることができるようになっており、
前記レーザ加工装置(5)は、レーザ加工ユニット(23)とレーザ補助ユニット(22)とを有しており、該レーザ補助ユニット(22)は、補助ユニット調整装置(25)により調整移動で以て、規定可能な機能位置へ送ることができるようになっているものにおいて、
前記レーザ補助ユニット(22)の前記機能位置は、
前記レーザ補助ユニット(22)の前記調整移動の方向で有効な前記レーザ補助ユニット(22)用のストッパ(29)が、前記打抜き側の調整装置(14)により前記打抜き装置(4)の前記作業行程軸線(10)に沿って所定のストッパ位置へ送られることにより、前記打抜き側の調整装置(14)により規定することができるようになって
おり、前記ストッパ位置は、前記調整移動の方向で前記ストッパ(29)に支持された前記レーザ補助ユニット(22)が、前記機能位置を占めているように規定されている、ことを特徴とする、工作機械。
【請求項2】
前記レーザ補助ユニット(22)用の前記ストッパ(29)と、前記打抜き工具(13)の前記打抜き工具部分(12)とは、前記打抜き側の調整装置(14)により一緒に、前記打抜き装置(4)の前記作業行程軸線(10)に沿って送られる、請求項
1記載の工作機械。
【請求項3】
前記レーザ補助ユニット(22)の前記機能位置は、前記打抜き側の調整装置(14)により可変に規定することができる、請求項
1または2記載の工作機械。
【請求項4】
前記レーザ補助ユニット(22)の前記調整移動の方向で有効な前記レーザ補助ユニット(22)用のストッパ(29)が、前記打抜き側の調整装置(14)により前記打抜き装置(4)の前記作業行程軸線(10)に沿って所定のストッパ位置へ送られることにより、前記レーザ補助ユニット(22)の前記機能位置は、前記打抜き側の調整装置(14)により規定することができるようになっており、前記ストッパ位置は、前記調整移動の方向で前記ストッパ(29)に支持された前記レーザ補助ユニット(22)が、前記機能位置を占めているように規定されており、前記レーザ補助ユニット(22)用の前記ストッパ(29)の前記ストッパ位置が、前記打抜き側の調整装置(14)により可変に規定可能であることにより、前記レーザ補助ユニット(22)の前記機能位置は、前記打抜き側の調整装置(14)により可変に規定することができる、請求項
3記載の工作機械。
【請求項5】
前記レーザ補助ユニット(22)は、対応ストッパ(30)を有していて、該対応ストッパ(30)を介して前記機能位置において、前記打抜き側の調整装置(14)により前記打抜き装置(4)の前記作業行程軸線(10)に沿って送られた前記ストッパ(29)に、前記調整移動の方向において支持されており、前記対応ストッパ(30)と前記レーザ補助ユニット(22)とは、位置調節装置(31)により前記作動運動の方向において相対的に位置調節可能である、請求項
1記載の工作機械。
【請求項6】
前記位置調節装置(31)として、調節ねじが設けられている、請求項
5記載の工作機械。
【請求項7】
前記レーザ加工ユニット(23)と、前記レーザ補助ユニット(22)と、前記補助ユニット調整装置(25)とを支持するレーザ移動ユニット(26)が設けられており、
該レーザ移動ユニット(26)が、加工ユニット調整装置(28)により、前記レーザ加工ユニット(23)のワークから離れた休止位置及び前記レーザ加工ユニット(23)のワーク近傍の作業位置に対応する各位置へ送られることにより、前記加工ユニット調整装置(28)により、前記レーザ加工ユニット(23)が、ワークから離れた休止位置と、ワーク近傍の作業位置とへ送られるようになっており、
前記レーザ補助ユニット(22)は、前記補助ユニット調整装置(25)により、前記レーザ移動ユニット(26)に対して相対的な前記調整移動で以て、規定可能な機能位置へ送られる、請求項1から
6までのいずれか1項記載の工作機械。
【請求項8】
前記打抜き側の調整装置(14)に加えて打抜き駆動装置(8)が設けられていると共に、前記打抜き側の調整装置(14)により送られる前記打抜き工具部分(12)に加えて前記打抜き工具(13)の打抜き加工ユニットが設けられており、該打抜き加工ユニットは、前記打抜き駆動装置(8)により前記作業行程軸線(10)に沿って、ワークの方向に向けられた作業行程と、この作業行程とは反対の方向に向けられた戻り行程とで以て動かされ、前記補助ユニット調整装置(25)により前記機能位置へ送られた前記レーザ補助ユニット(22)は、前記打抜き加工ユニットを戻り行程で以て動かす前記打抜き駆動装置(8)により、前記調整移動とは逆方向の非調整移動で以て、前記機能位置から非機能位置へ送られる、請求項1から
7までのいずれか1項記載の工作機械。
【請求項9】
前記レーザ補助ユニット(22)の前記調整移動の方向で有効な前記レーザ補助ユニット(22)用のストッパ(29)が、前記打抜き側の調整装置(14)により前記打抜き装置(4)の前記作業行程軸線(10)に沿って所定のストッパ位置へ送られることにより、前記レーザ補助ユニット(22)の前記機能位置は、前記打抜き側の調整装置(14)により規定することができるようになっており、前記ストッパ位置は、前記調整移動の方向で前記ストッパ(29)に支持された前記レーザ補助ユニット(22)が、前記機能位置を占めているように規定されており、前記打抜き駆動装置(8)は、ラム(9)を有しており、前記打抜き加工ユニットは、前記打抜き駆動装置(8)の前記ラム(9)に設けられていて、戻り行程に伴う前記ラム(9)の戻り運動に基づき可動であり、前記打抜き駆動装置(8)の前記ラム(9)は、連行体(21)を有しており、戻り運動で以て動かされるラム(9)は前記連行体(21)により、前記打抜き側の調整装置(14)によりストッパ位置へ送られたストッパ(29)を連行し、これにより、該ストッパ(29)に前記調整移動の方向において支持された前記レーザ補助ユニット(22)を、前記非調整移動で以て前記機能位置から前記非機能位置に送る、請求項
8記載の工作機械。
【請求項10】
前記打抜き側の調整装置(14)により、前記打抜き工具(13)の前記打抜き工具部分(12)としてのスクレーパが、前記作業行程軸線(10)に沿って送られる、請求項1から
9までのいずれか1項記載の工作機械。
【請求項11】
前記補助ユニット調整装置(25)及び/又は前記打抜き側の調整装置(14)及び/又は前記加工ユニット調整装置(28)として、ピストン・シリンダユニットが設けられている、請求項
7記載の工作機械。
【請求項12】
前記レーザ補助ユニット(22)として、加工しようとするワークに前記レーザ加工ユニット(23)から向けられたレーザビームを遮蔽するための装置及び/又はワークホルダが設けられている、請求項1から
11までのいずれか1項記載の工作機械。
【請求項13】
金属薄板(6)の前記ワークを加工するように構成されている、請求項1から
12までのいずれか1項記載の工作機械。
【請求項14】
打抜き装置(4)とレーザ加工装置(5)とを有する工作機械(1)により、ワークを加工する方法であって、
前記打抜き装置(4)の打抜き工具(13)の打抜き工具部分(12)を、前記打抜き装置(4)の打抜き側の調整装置(14)により、前記打抜き装置(4)の作業行程軸線(10)に沿って、規定可能な位置へ送り、
更にレーザ加工ユニット(23)を有する前記レーザ加工装置(5)のレーザ補助ユニット(22)を、補助ユニット調整装置(25)により調整移動で以て、規定可能な機能位置へ送る方法において、
前記レーザ補助ユニット(22)の前記調整移動の方向で有効な前記レーザ補助ユニット(22)用のストッパ(29)を、前記打抜き側の調整装置(14)により前記打抜き装置(4)の前記作業行程軸線(10)に沿って所定のストッパ位置へ送ることにより、前記レーザ補助ユニット(22)の前記機能位置を、前記打抜き側の調整装置(14)により規定
し、前記調整移動の方向で前記ストッパ(29)に支持された前記レーザ補助ユニット(22)が前記機能位置を占めているように、前記ストッパ位置を規定することを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記ワークとして金属薄板(6)を加工する、請求項
14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク、特に金属薄板を加工するための工作機械であって、打抜き装置とレーザ加工装置とを備えており、前記打抜き装置は、打抜き側の調整装置を有しており、該打抜き側の調整装置により、打抜き工具の打抜き工具部分を、打抜き装置の作業行程軸線に沿って、規定可能な位置へ送ることができるようになっており、前記レーザ加工装置は、レーザ加工ユニットとレーザ補助ユニットとを有しており、該レーザ補助ユニットは、補助ユニット調整装置により調整移動で以て、規定可能な機能位置へ送ることができるようになっているものに関する。
【0002】
本発明は更に、打抜き装置とレーザ加工装置とを有する工作機械により、ワーク、特に金属薄板を加工する方法であって、前記打抜き装置の打抜き工具の打抜き工具部分を、前記打抜き装置の打抜き側の調整装置により、前記打抜き装置の作業行程軸線に沿って、規定可能な位置へ送り、更にレーザ加工ユニットを有する前記レーザ加工装置のレーザ補助ユニットを、補助ユニット調整装置により調整移動で以て、規定可能な機能位置へ送る方法に関する。
【0003】
前記形式の工作機械及び加工方法は、独国実用新案第202009013899号明細書(DE 20 2009 013 899 U1)に開示されている。
【0004】
打抜き・レーザ複合機として形成された従来技術の機械は、上部フレーム脚部を備えたC形の機械フレームを有しており、上部フレーム脚部の自由端部に、打抜き装置とレーザ加工装置とが相並んで配置されている。打抜き装置とレーザ加工装置とは、金属薄板加工に用いられ、このために金属薄板は座標ガイドにより、C形機械フレームの下部フレーム脚部に設けられたワークテーブル上を移動させられる。金属薄板を打抜き加工するために、打抜き装置の打抜き上部工具は、垂直方向の作業行程軸線に沿って複数回の打抜き行程を実施する。レーザ加工装置は、加工ユニットとしてレーザ加工ヘッドを有していると共に、補助ユニットとして遮蔽装置を有している。レーザ加工ヘッドは、垂直軸線に沿ってワークから離れた休止位置に持ち上げられ、且つワーク近傍の作業位置へ下降させられてよい。作業位置にあるレーザ加工ヘッドから、加工しようとする金属薄板に対して、レーザ加工ビームが向けられる。レーザ加工装置の遮蔽装置も、垂直方向において位置決めされ得る。ワーク近傍の機能位置において、遮蔽装置は、作業位置に下降させられたレーザ加工ヘッドから当該金属薄板に向けられるレーザ加工ビームの加工箇所を周辺環境に対して遮蔽するために働き、このようにして特に、レーザ加工ビームの加工箇所から周辺環境へ、レーザビームが漏出することを防いでいる。遮蔽装置の機能位置は、機能位置に配置された遮蔽装置の下面と、レーザ加工ビームにより加工される金属薄板の上面との間に、好適には約1ミリメートルのギャップ幅を有するギャップが残留するように規定されている。
【0005】
本発明の課題は、打抜き装置、並びにレーザ加工ユニットとレーザ補助ユニットとを有するレーザ加工装置を備えた工作機械における上述した形式の機能を、できるだけ簡単な手段で実現することにある。
【0006】
この課題は本発明により、請求項1記載の工作機械及び請求項14記載の加工方法により解決される。
【0007】
本発明の場合、打抜き工具の打抜き工具部分を作業行程軸線に沿って送る、ワークに対する所定の位置決めを行うことに適した打抜き側の調整装置が、レーザ加工装置のレーザ補助ユニットの機能位置を規定するためにも利用される。打抜き側の調整装置で以て、同一の機能ユニットが、本発明による工作機械の打抜き側とレーザ加工側の両方において、送り機能若しくは位置決め機能を引き受けている。これに相応して、レーザ補助ユニットの補助ユニット調整装置は、レーザ補助ユニットの機能位置を規定する必要がないので、本発明による工作機械は、簡単な構成形式の補助ユニット調整装置で間に合う。本発明による工作機械のその他の主要な機能ユニットと同様に、打抜き側の調整装置及び補助ユニット調整装置も、工作機械のプログラミング可能な数値制御装置により制御される。
【0008】
独立請求項1記載の本発明による工作機械及び独立請求項14記載の本発明による加工方法の特別な構成形式は、従属請求項2~13に記載されている。
【0009】
請求項2記載の本発明の構成形式の場合、レーザ補助ユニットの機能位置は、打抜き側の調整装置によりレーザ補助ユニット用のストッパが打抜き装置の作業行程軸線に沿って所定のストッパ位置へ送られることにより簡単に規定され、ストッパ位置は、調整移動方向でストッパに支持されたレーザ補助ユニットが機能位置を占めているように規定されている。これに相応して、レーザ補助ユニット用には、打抜き側の調整装置により位置決めされたストッパにレーザ補助ユニットを当接させることができる補助ユニット調整装置しか必要とされない。
【0010】
本発明の別の好適な構成では、打抜き側の調整装置が、レーザ補助ユニット用のストッパと、打抜き工具の打抜き工具部分とを一緒に、打抜き装置の作業行程軸線に沿って送る。レーザ補助ユニット用のストッパと、打抜き工具の打抜き工具部分とを一緒に送ることは、例えば、レーザ補助ユニット用のストッパと、打抜き側の調整装置により位置決めされるべき打抜き工具部分とが、機械的に互いに結合されている場合に可能である。
【0011】
レーザ補助ユニットの機能位置は、特にレーザ補助ユニットの形式及び/又はレーザ補助ユニットの具体的な用途に関連していてよい。例えば、厚さが変化するワークを、レーザ加工ユニットからワークに向けられるレーザ加工ビームにより加工する場合に、レーザ補助ユニットとして遮蔽装置が設けられており、この遮蔽装置は、レーザ加工ビームのワーク側の加工箇所を周辺環境に対して遮蔽すると共に、加工されるワークの厚さに関係なく、ワーク表面から一定の間隔を有していることが望ましい場合には、レーザ補助ユニットの機能位置は、本発明による工作機械の座標系において、ワーク厚さに応じて延いては可変に規定され得る。請求項4及び5は、このことが可能な場合の、本発明による工作機械の構成形式に関する。
【0012】
レーザ補助ユニットの機能位置の微調節は、請求項6記載の本発明による工作機械の場合、レーザ補助ユニットが、その調整移動方向において位置調節可能な対応ストッパを有しており、この対応ストッパを介してレーザ補助ユニットが、打抜き側の調整装置により打抜き装置の作業行程軸線に沿って送られたストッパに、調整移動方向において支持されていることにより、可能である。
【0013】
これを示す請求項7では、レーザ補助ユニットの機能位置を微調節する位置調節装置として、簡単のために調節ねじが設けられている。
【0014】
請求項8では、本発明による工作機械は、別の好適な構成においてレーザ移動ユニットを有しており、このレーザ移動ユニットには、レーザ加工ユニットと、レーザ補助ユニットと、レーザ加工装置の補助ユニット調整装置とが設けられている。レーザ移動ユニットは加工ユニット調整装置により、レーザ加工ユニットのワークから離れた休止位置又はワーク近傍の作業位置に対応する各位置へ送ることができる。レーザ移動ユニットに設けられた補助ユニット調整装置は、レーザ補助ユニットを、レーザ移動ユニットに対して相対的に、調整移動で以て所定の機能位置へ送るために働く。加工ユニット調整装置と、これとは別個の補助ユニット調整装置とを使用することに基づき、レーザ加工装置のレーザ加工ユニットと、レーザ補助ユニットとは、互いに分離された状態で送ることができる。この状態は、例えばワークのレーザ加工に際して、加工されるワークにおけるレーザ加工ビームの一定の焦点位置を保証するために、レーザ加工ユニットはワークに対する補償運動を行わねばならないという必要性が生じることがある一方で、レーザ加工ビームのワーク側の加工箇所用の、レーザ補助ユニットとして設けられた遮蔽装置にとって、このような補償運動は望ましくない、という背景に鑑みて重要である。更に、請求項8記載の工作機械の場合は、レーザ補助ユニットを備えるレーザ移動ユニットの、加工ユニット調整装置により生ぜしめられる送り運動が、レーザ補助ユニットを、このレーザ補助ユニットの機能位置に接近した位置に移動させるために利用されてよい。レーザ補助ユニットのこの前調整に基づき、レーザ補助ユニットを機能位置へ移動させるためには、比較的少量の調整移動しか必要とされない。これにより、レーザ補助ユニットの機能位置への調整移動は、小型に構成され且つ/又は技術的に単純に形成された補助ユニット調整装置により生ぜしめることができるようになっている。
【0015】
本発明の場合、打抜き側の調整装置が、レーザ補助ユニットの機能位置を規定するために利用される打抜き工具部分は、基本的にはワークを切断加工する打抜き工具部分であってよい。これに相応して、本発明の意味での打抜き側の調整装置としては、本発明による工作機械の打抜き装置の打抜き駆動装置も考慮される。
【0016】
これを示す請求項9では、好適には本発明の場合、打抜き駆動装置に加えて打抜き側の調整装置が設けられており、この場合、打抜き装置の作業行程軸線に沿って、打抜き駆動装置により打抜き加工ユニットが動かされ、打抜き側の調整装置により、打抜き加工ユニットとは異なる打抜き工具の打抜き工具部分が動かされる。打抜き加工ユニットは、打抜き駆動装置により作業行程軸線に沿って、ワークの方向に向けられた作業行程と、この作業行程とは反対の方向に向けられた戻り行程とで以て動かされる。補助ユニット調整装置により機能位置へ送られたレーザ加工装置のレーザ補助ユニットを、機能位置から非機能位置へ送るためには、打抜き駆動装置により生ぜしめられる、打抜き加工ユニットの戻り行程が利用される。
【0017】
請求項10記載の本発明の構成形式の場合、レーザ補助ユニットを非機能位置へ移動させるためには、打抜き駆動装置のラムに、連行体が設けられている。打抜き側の調整装置により送ることのできるストッパによって、レーザ補助ユニットの機能位置が規定されると、打抜き駆動装置のラムに設けられた連行体は、打抜き駆動装置の戻り行程と結び付いたラムの戻り運動に際してストッパを連行すると共に、ストッパを介して、このストッパに調整移動方向において支持されたレーザ補助ユニットを機能位置から非機能位置へ移動させることができる。
【0018】
レーザ補助ユニットの機能位置を規定するための打抜き側の調整装置として、本発明の有利な構成では、送り装置が設けられており、この送り装置はその他に、打抜き工具のスクレーパの形態の打抜き工具部分を、打抜き装置の作業行程軸線に沿って位置決めするために働く(請求項11)。
【0019】
請求項12記載の本発明による工作機械は、補助ユニット調整装置及び/又は打抜き側の調整装置及び/又は加工ユニット調整装置として、有利には構造的に簡単であると同時に確実に機能する、ピストン・シリンダユニットを用いた調整装置を有している。
【0020】
特に実地において重要なレーザ補助ユニットの構成形式は、請求項13記載の本発明による工作機械に設けられている。好適には、レーザ補助ユニットは、遮蔽装置としても、ワークホルダとしても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下に本発明を、本発明による工作機械を例示した概略図に基づき、より詳細に説明する。
【
図1】打抜き・レーザ複合機として形成された工作機械1の一部を示す図である。
【0022】
工作機械1は、機械フレーム2を有しており、この機械フレーム2に沿って支持構造体3が、図平面に対して垂直に移動するように案内されている。支持構造体3は、打抜き装置4とレーザ加工装置5とを支持している。打抜き装置4とレーザ加工装置5とは両方共、加工中は従来の構成形式のワークテーブル(簡単のために図示せず)上に支持されている金属薄板6の加工に用いられる。金属薄板6は、加工のために従来の座標ガイドにより二重矢印7の方向でワークテーブル上を移動可能である。
【0023】
支持構造体3の、図平面に対して垂直方向での移動と、同時に生じる二重矢印7の方向での金属薄板6の移動とに基づき、打抜き装置4とレーザ加工装置5とを、金属薄板6のあらゆる任意の位置に位置決めすることができる。
【0024】
打抜き装置4は打抜き駆動装置8を有しており、打抜き駆動装置8は、従来の構成形式の液圧式又は電気式の駆動ユニット(図示せず)と、この駆動ユニットにより打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って昇降可能なラム9とを備えている。金属薄板6を打抜き加工するためには、ラム9の下端部の工具ホルダ11に周知の形式で、打抜き加工ユニットとして働く慣用の構成形式の打抜きポンチが入れ替えられる。図中、打抜きポンチは従来の打抜きダイと同様、ほとんど図示されていない。打抜きダイは、金属薄板6を打抜き加工するために打抜きポンチと協働するものであり、金属薄板6の下側で、打抜きポンチに対向して位置している。打抜きポンチと打抜きダイとは、別の打抜き工具部分として設けられたスクレーパ12と共に、打抜き装置4の打抜き工具13を形成している。
【0025】
ラム9が打抜き駆動装置8の駆動ユニットにより作業行程軸線10に沿って昇降可能であるのに対し、打抜き工具13のスクレーパ12は、打抜き側の調整装置14により、打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って所定の位置へ送ることができる。打抜き駆動装置8と打抜き側の調整装置14とは、工作機械1のその他の機能ユニットと同様に、プログラミング可能な数値制御装置により制御される。
【0026】
打抜き側の調整装置14は、同じ構成の2つのピストン・シリンダユニット15を有しており、これらのピストン・シリンダユニット15はそれぞれ、工作機械1の支持構造体3に結合されたシリンダ16と、シリンダ16内で作業行程軸線10に沿って運動するピストン17とを有している。各ピストン17にはピストンロッド18が取り付けられており、ピストンロッド18は、当該シリンダ16から下方に向かって進出しており且つピストン17を起点として作業行程軸線10に沿って延在している。各ピストン・シリンダユニット15のピストンロッド18は、ピストン17から遠い方の端部で以てスクレーパ12に結合されている。各シリンダ16のピストンロッド18の出口付近において、各ピストン・シリンダユニット15には、互いに向かい合った2つの緊締ジョーを備える、液圧式に作動可能な緊締装置19が設けられている。
【0027】
選択された前記駆動装置の構成に基づいて、打抜き工具13のスクレーパ12と、打抜き工具13の打抜きポンチ(図示せず)を備える打抜き駆動装置8のラム9とは、互いに分離された状態で、打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って可動である。
【0028】
打抜き側の調整装置14は、金属薄板6の打抜き加工に際して、2つの異なる動作モード、つまり、「有効スクレーパ」の動作モード又は「無効スクレーパ」の動作モードで作動可能である。
【0029】
打抜き過程の開始時には、打抜き駆動装置8のラム9は、その上死点に位置している。スクレーパ12は、その上方の終端位置へ、打抜き側の調整装置14により動かされ、その結果、金属薄板6から最大に離されている。スクレーパ12のインナカラー20は、垂直方向に見てラム9のアウタカラー21の上方に配置されている。
【0030】
打抜き側の調整装置14の「有効スクレーパ」の動作モードにおいて、各ピストン・シリンダユニット15に設けられた緊締装置19は継続して非作動状態になっている。ピストン・シリンダユニット15のシリンダ16内でピストン17の上方に加えられる圧力に基づき、スクレーパ12はピストン17とピストンロッド18とによりインナカラー20で以て、ラム9のアウタカラー21に、打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って上方から押し付けられる。このときスクレーパ12の下端部は、ラム9に取り付けられた打抜きポンチに比べ、金属薄板6に向かって突出している。
【0031】
この状態から出発して打抜き駆動装置8が作動し、これにより打抜きポンチが金属薄板6に向かう作業行程で以て動かされ、且つ打抜き側の調整装置14のピストン・シリンダユニット15のシリンダ16内のピストン17の上面が更に加圧されると、ラム9は、ラム9のアウタカラー21に着座しているスクレーパ12と一緒に、打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って金属薄板6に向かって下降する。作業行程軸線10に沿って一緒に下降運動する間に、まず打抜きポンチの作業行程の方向に見て打抜きポンチに先行しているスクレーパ12が金属薄板6の上面にぶつかる一方で、これに関係なくラム9と、ラム9に取り付けられた打抜きポンチとは下降運動を続ける。ラム9と打抜きポンチとによりスクレーパ12に対して相対的に行われる下降運動の進行中に、ラム9に設けられた打抜きポンチは、金属薄板6の反対側に配置された打抜きダイと協働して、金属薄板6に打抜き部を生ぜしめる。
【0032】
打抜きポンチの作業行程が終了して、打抜きポンチの下死点にラム9が配置されると、ピストン・シリンダユニット15のシリンダ16内でピストン17の上方に形成されたシリンダ室が無圧状態に切り換えられる。すると打抜きポンチが、先行の作業行程とは逆方向の戻り行程を行い、その結果、ラム9が作業行程軸線10に沿って上方に向かって戻り運動を行うと、ラム9のアウタカラー21は、最初はまだ金属薄板6に着座しているスクレーパ12のインナカラー20の下面にぶつかる。作業行程軸線10に沿ってラム9が戻り運動を継続すると、ラム9はスクレーパ12を、その上方の終端位置へ連行し(一緒に移動させ)、この上方の終端位置においてスクレーパ12の下端部は、金属薄板6から再び最大に離されている。
【0033】
次いで場合により、上述した方式で進行する、金属薄板6の別の打抜き加工を続けることもできる。これに相応して打抜き側の調整装置14の「有効スクレーパ」の動作モードでは、打抜き側の調整装置14の緊締装置19の非作動状態が継続された状態において、スクレーパ12が加工しようとする金属薄板6に載置されるまで、スクレーパ12は打抜きポンチの各作業行程で以て上方の終端位置から下降させられる。
【0034】
打抜き側の調整装置14の「無効スクレーパ」の動作モードの状態は異なっている。
【0035】
打抜き側の調整装置14のこの動作モードでも、まず上方の終端位置に位置するスクレーパ12のインナカラー20が、打抜き側の調整装置のピストン・シリンダユニット15の作動に基づき、打抜き側の調整装置14の緊締装置の非作動状態において、作業行程軸線10に沿って上方から、上死点に配置されたラム9のアウタカラー21に押し付けられる。打抜き側の調整装置14の「無効スクレーパ」の動作モードにおいても、この状態で実施される打抜き駆動装置8の作動により、ラム9とスクレーパ12とがまず作業行程軸線10に沿って一緒に下降運動させられる。
【0036】
但し、打抜き側の調整装置14の「無効スクレーパ」の動作モードにおいて、ラム9とスクレーパ12の共通の下降運動は、スクレーパ12がまだ金属薄板6に載置されないうちに終了する。代わりに、スクレーパ12の下面が金属薄板6からまだ約1ミリメートル離れている時点で、打抜き側の調整装置14のピストン・シリンダユニット15に設けられた緊締装置19が作動させられる。これにより、スクレーパ12が作業行程軸線10に沿って継続して下降運動することが阻止される。ピストン・シリンダユニット15のピストンロッド18の緊締に基づき、スクレーパ12が引き続き、ラム9を一緒に下降運動させることはない。ラム9が引き続き下降して、ラム9に取り付けられた打抜きポンチが打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って作業行程を継続し、且つ最終的には金属薄板6を打抜き加工する間、スクレーパ12は作業行程軸線10に沿って、金属薄板6から所定の間隔を有する位置に留まっている。打抜きポンチの作業行程に引き続くラム9の戻り運動に際して、ラム9のアウタカラー21は、緊締装置19により位置固定されたスクレーパ12のインナカラー20にぶつかる。すると打抜き側の調整装置14のピストン・シリンダユニット15が無圧状態に切り換えられて緊締装置19が解除され、戻り運動を続けているラム9が、スクレーパ12をその上方の終端位置へ連行する。
【0037】
「無効スクレーパ」の動作モードでは、工作機械1のレーザ作動時に、工作機械1の打抜き側の調整装置14が図示のように、レーザ加工装置5のレーザ補助ユニットとして設けられた遮蔽装置22の機能位置を規定するために利用される。
【0038】
遮蔽装置22は、レーザ加工装置5のレーザ加工ユニットとして働くレーザ切断ヘッド23に追加して設けられている。遮蔽装置22の役割は主に、レーザ切断ヘッド23から金属薄板6に向けられたレーザ加工ビームにより金属薄板を加工する際に、金属薄板6におけるレーザ加工ビームの加工箇所を、周辺環境に対して遮蔽する点にある。ビーム軸線24で示唆されたレーザ加工ビームによる金属薄板6の加工時の状態が図示されている。付加的に、遮蔽装置22はワークホルダとして利用することもでき、ワークホルダ自体は、二重矢印7の方向に実施される金属薄板移動時の金属薄板6のばたつきを防止するものである。
【0039】
遮蔽装置22と、レーザ切断ヘッド23と、ピストン・シリンダユニット25の形態の補助ユニット調整装置とは、キャリッジ26に設けられており、キャリッジ26は、工作機械1の支持構造体3のリニアガイド27において、打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って可動にガイドされている。リニアガイド27に沿ってキャリッジ26を動かすためには、ピストン・シリンダユニット28として形成された加工ユニット調整装置が用いられ、ピストン・シリンダユニット28のシリンダは図面では中断されて示されており、図面では見えない方の端部において、工作機械1の支持構造体3に結合されている。
【0040】
金属薄板6の打抜き加工中、レーザ加工装置5は非作動状態にある。ピストン・シリンダユニット28により、キャリッジ26は支持構造体3のリニアガイド27に沿って上方の終端位置へ動かされており、これにより、キャリッジ26に取り付けられたレーザ切断ヘッド23はワークから離れた休止位置へ動かされており、この休止位置において、レーザ切断ヘッド23のワーク側の端部に慣例のように設けられたレーザノズルは、加工しようとする金属薄板6から比較的大きな間隔を有している。遮蔽装置22に結合された、ピストン・シリンダユニット25のピストンロッドは、付属のシリンダ内に進入している。これにより、遮蔽装置22は打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って、ワークから離れた休止位置に配置されたレーザ切断ヘッド23に対し、レーザ切断ヘッド23の下端部のレーザノズルが、遮蔽装置22の下面に比べ、金属薄板6に向かって大幅に突出した位置を占めることになる。
【0041】
金属薄板6における打抜き過程が終了し、これに相応して打抜きポンチを備えるラム9がその上死点に持ち上げられると共に、打抜き工具13のスクレーパ12がその上方の終端位置へ持ち上げられると、打抜き側の調整装置14により、金属薄板6のレーザ加工が準備される。
【0042】
このために打抜き側の調整装置14の「無効スクレーパ」の動作モードにおいて、まず打抜き側の調整装置14の緊締装置19の非作動状態において、ラム9と、インナカラー20で以てラム9のアウタカラー21に着座しているスクレーパ12とが一緒に、打抜き装置4の作業行程軸線10に沿って下降させられる。スクレーパ12に設けられた、遮蔽装置22用のストッパ29が、作業行程軸線10に沿って、工作機械1の数値制御装置に記憶された所定のストッパ位置へ送られると、直ちに緊締装置19が作動し、これによりスクレーパ12の下降運動は終了させられる。その後もラム9は更に下降運動を続けるが、ラム9の打抜きポンチが金属薄板6からまだ大幅に離れている時点で既に打抜き駆動装置8が停止されることにより、停止する。停止した打抜きポンチと金属薄板6との間の間隔は、例えば、金属薄板6における加工成形部が上方に突出している場合でも、金属薄板6が引き続くレーザ加工の枠内で二重矢印7の方向に行われる金属薄板移動時に打抜きポンチを通過することができるように、設定されていてよい。
【0043】
スクレーパ12に結合されたストッパ29が、打抜き側の調整装置14により所定のストッパ位置へ送られると、加工ユニット調整装置として設けられたピストン・シリンダユニット28が作動して、レーザ切断ヘッド23がそのワークから離れた休止位置から、加工しようとする金属薄板6に向かって、ワーク近傍の作業位置へ動かされ、この作業位置で、レーザ加工ヘッド23はレーザ加工ビームにより、金属薄板6を加工することができる。ピストン・シリンダユニット28は、キャリッジ26に作用するものであり、キャリッジ26は更に、補助ユニット調整装置として働くピストン・シリンダユニット25並びに遮蔽装置22をも支持しているので、ピストン・シリンダユニット25と遮蔽装置22とは、ピストン・シリンダユニット28により生ぜしめられるレーザ切断ヘッド23の下降運動と共に、下降運動を行う。
【0044】
レーザ切断ヘッド23がワーク近傍の作業位置へ送られた状態で、遮蔽装置22は最初はレーザ切断ヘッド23に対して、遮蔽装置22の下面が垂直方向に見て、レーザ切断ヘッド23の下端部のレーザノズルよりも、金属薄板6からまだ大幅に大きな間隔を有しているように配置されている。よって、遮蔽装置22はまだ、割り当てられた遮蔽機能を引き受けられる状態ではない。
【0045】
これに対処するために、ピストン・シリンダユニット25が作動する。その結果、ピストン・シリンダユニット25のピストンロッドが下方に向かって、付属するシリンダから進出すると共に、遮蔽装置22はレーザ切断ヘッド23に対して相対的に、金属薄板6に向けられた調整移動を行う。遮蔽装置22の調整移動は、遮蔽装置22に設けられた対応ストッパ30が、打抜き側の調整装置14のピストン・シリンダユニット15により所定のストッパ位置に送られたストッパ29にぶつかると直ちに終了する。ストッパ29のストッパ位置は、ストッパ29に、前記調整移動の方向において支持された遮蔽装置22において、遮蔽装置22の下面が、加工しようとする金属薄板6から約1ミリメートルの間隔を有していて、これにより遮蔽装置22がその機能位置を占めるように規定されており、この機能位置において遮蔽装置22は、レーザ切断ヘッド23から金属薄板6に向けられるレーザ加工ビームの加工箇所を、周辺環境に対して遮蔽することができる状態にある。つまり、打抜き側の送り装置14により、打抜き装置4の作業行程軸線10に沿ってスクレーパ12と共に送られるストッパ29のストッパ位置を介して、遮蔽装置22の機能位置が規定される。
【0046】
遮蔽装置22に設けられた対応ストッパ30と、スクレーパ12に設けられたストッパ29との間に設けられた位置調節装置31(図示の例では調節ねじとして形成されている)は、遮蔽装置22の機能位置の微調節を可能にする。
【0047】
図示の金属薄板6に代えて、より大きな厚さの金属薄板を加工しようとする場合には、打抜き側の調整装置14の対応する制御装置、詳細には打抜き側の調整装置14の緊締装置19の制御装置により、遮蔽装置22用のストッパ29が、図示のストッパ位置よりも薄板の厚さの差の分だけ高い所に位置するストッパ位置に送られる。金属薄板6よりも小さな厚さを有する金属薄板を加工しようとする場合には、打抜き側の調整装置14により、ストッパ29が、薄板の厚さの差の分だけ低い所に位置するストッパ位置に送られる。