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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】固定金具及び支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/30 20060101AFI20220510BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
E04B9/30 C
E04B9/00 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017106123
(22)【出願日】2017-05-30
(65)【公開番号】P2018199981
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000230607
【氏名又は名称】日本化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和泉 貴浩
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-170417(JP,A)
【文献】特開平09-184268(JP,A)
【文献】特開平07-018821(JP,A)
【文献】特開2004-225441(JP,A)
【文献】特開2002-089008(JP,A)
【文献】特開2010-185264(JP,A)
【文献】特開2008-150808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/30
E04B 9/00
E04F 13/00 - 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面を構成する面材を該面材の設置部分に連結する固定金具であって、
前記面材の上面に当接することができる第1の拘束片を有する受け金具と、
前記面材の下面を支えて止めることができる第2の拘束片を有する拘束金具と、
からなり、
前記受け金具に設けられた第1の嵌め合わせ部と、該拘束金具に設けられた第2の嵌め合わせ部とが嵌合することで、前記拘束金具は前記受け金具に対してスライド可能に係合し、前記面材を前記第1の拘束片により該面材の上面を支えて止めることができる位置に設置するまでの状態では、前記拘束金具は該面材と干渉しない位置にスライド移動して退避可能で、前記状態の後に前記拘束金具は前記第2の拘束片により前記面材の下面を支えて止めることができる位置にスライド移動可能であり、
前記第2の拘束片が前記面材の下面を支えた状態で、前記受け金具と前記拘束金具とを固定し、前記面材を支持することを特徴とする固定金具。
【請求項2】
前記受け金具は、前記第1の拘束片に対して略直交し、前記面材の端部の当てとなり、該面材と該面材が設置されない空間部分とを区切ることができる位置決め片を有することを特徴とする請求項1に記載の固定金具。
【請求項3】
天井面を構成する面材を支持する支持構造であって、
前記面材の一方の端部は、請求項1または請求項2に記載された固定金具により固定され、
前記面材の他方の端部は、前記面材の端部を両面側から挟み込んで支持する支持部材により固定されることを特徴とする支持構造。
【請求項4】
前記受け金具と前記拘束金具による前記面材の固定は、ねじ作用により行うことを特徴とする請求項1または請求項2の固定金具。
【請求項5】
前記第1の嵌め合わせ部は穴であり、前記第2の嵌め合わせ部は板状の突起であり、前記穴の幅は前記突起の板厚より大きいことを特徴とする請求項1、2または4のいずれか記載の固定金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面または壁面を構成する面材を該面材の設置部分に連結する固定金具及びそれを用いた面材の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井の施工に関して、特許文献1~4が提案されている。特許文献1では、弾性変形可能な挿入突片を挟持部に差し込んで屈曲片により天井板の下面を支持する。特許文献2では、軒天井板の軒先側端部と受け金具とを拘束金具により拘束して固定する。特許文献3では、ビスにより移動可能に仮留めした支持金物をスライドさせて軒天井板の軒先側端部に嵌合する。特許文献4では、天井材の外壁側端部を支持具により挟み込んで固定する。軒天井板の軒先側端部を特許文献2の拘束金具により拘束して固定し、軒天井板の外壁側端部を特許文献4の支持具により挟み込んで固定することもできる。この場合、天井留め釘を省略することができ、軒天井の意匠性を向上させることができる。また、釘留めを無くすことで軒天井板の交換が容易になり、建物全体の長寿命化にもつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭57-089648号公報
【文献】特開2007-297829号公報
【文献】特開2012-007292号公報
【文献】特開昭63-255442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、見切縁本体と取着枠とを弾性変形可能な範囲で取り付ける必要がある。これを軒天井板に用いる場合は、風圧力により軒天井板が外れないように強度上の措置を施す必要があった。軒天井板の軒先側端部を特許文献2の拘束金具により拘束して固定し、軒天井板の外壁側端部を特許文献4の支持具により挟み込んで固定した場合には、軒天井板の外壁側端部を特許文献4の支持具に挟み込んだ上で、軒天井板の軒先側端部を特許文献2の拘束金具により拘束して固定するとき、軒天井板の軒先側端部と特許文献2の拘束金具の軒天井板の軒先側端部を載せる部分とが干渉して軒天井板を軒裏に設置し難いという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献4の支持具の軒天井板の飲み込み部分を増やして軒天井板の出幅方向の寸法を少なくし前後にずらして入れ込むことも可能である。この場合、特許文献4の支持具の見付け幅が大きくなる分、意匠性が悪くなり、支持具が大型化するため部品コストもかかる。また、支持具の壁際の留め付け支点から軒天井板の外壁側端部までの距離が大きくなるため強度上不利になり支持具の板厚を厚くする必要性が生じて支持具の重量が増し、大型化するため部品コストもかかる。
【0006】
一方、軒天井板は、目地を体裁良く合わせた上で固定することが好ましいが、軒天井板を固定しない状態で特許文献2の拘束金具を軒天井板の軒先側端部に嵌合すると、軒天井板が動いて位置ずれを起こすといった問題がある。軒天井板の軒先側端部に嵌合される特許文献3の支持金物に通気用の隙間を設ける場合には、施工や軒天井板の切断精度によっては、軒天井板の目地を体裁良く納めようとする余り軒天井板の端部が通気用隙間に干渉して設置され、通気用隙間が阻害されるおそれがあり、設計通りに通気用面積が得難いという課題があった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、施工、意匠性、強度、メンテナンス性、通気性に優れる面材の固定金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明に係る固定金具の代表的な構成は、天井面を構成する面材を該面材の設置部分に連結する固定金具であって、前記面材の上面に当接することができる第1の拘束片を有する受け金具と、前記面材の下面を支えて止めることができる第2の拘束片を有する拘束金具と、からなり、前記受け金具に設けられた第1の嵌め合わせ部と、該拘束金具に設けられた第2の嵌め合わせ部とが嵌合することで、前記拘束金具は前記受け金具に対してスライド可能に係合し、前記面材を前記第1の拘束片により該面材の上面を支えて止めることができる位置に設置するまでの状態では、前記拘束金具は該面材と干渉しない位置にスライド移動して退避可能で、前記状態の後に前記拘束金具は前記第2の拘束片により前記面材の下面を支えて止めることができる位置にスライド移動可能であり、前記第2の拘束片が前記面材の下面を支えた状態で、前記第1の拘束片と前記第2の拘束片とを固定し、前記面材を支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る固定金具によれば、施工、意匠性、強度、メンテナンス性、通気性に優れる面材の固定金具を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る面材の支持構造を示す断面説明図である。
図2】(a) ,(b)は、本発明に係る面材の固定金具を用いて面材を固定する手順を示す断面説明図である。
図3】(a)は、本発明に係る面材の固定金具を用いて面材を固定する手順を示す断面説明図である。(b)は、拘束金具の拘束片を軒天井材と干渉しない位置に退避させた状態で軒天井材の軒先側端部を受け金具の拘束片により支えて止めた様子を示す断面説明図である。(c)は、拘束金具の拘束片を軒天井材にオーバーラップする位置までスライド移動させた後、受け金具の係合片に設けられたネジ穴に螺合された固定ネジを回転させて拘束金具の拘束片を受け金具の拘束片に接近させる様子を示す断面説明図である。
図4】(a),(b)は、本発明に係る面材の固定金具を用いて面材を固定する手順を示す断面説明図である。
図5】(a) は、受け金具の構成を示す斜視説明図である。(b)は、受け金具の構成を示す正面説明図である。(c)は、受け金具の構成を示す底面説明図である。(d)は、受け金具の構成を示す側面説明図である。
図6】(a)は、拘束金具の構成を示す斜視説明図である。(b)は、拘束金具の構成を示す平面説明図である。(c)は、拘束金具の構成を示す正面説明図である。(d)は、受け金具の構成を示す側面説明図である。
図7】(a)は、拘束金具のガイド片を受け金具のガイド穴内に挿入する前の状態を示す斜視説明図である。(b)は、拘束金具のガイド片を受け金具のガイド穴内に挿入した状態を示す斜視説明図である。
図8】(a)は、支持部材の構成を示す正面説明図である。(b)は、支持部材の構成を示す側面説明図である。(c)は、支持部材の構成を示す平面説明図である。(d)は、支持部材の構成を示す底面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図により本発明に係る固定金具及びこれを用いた支持構造の一実施形態を具体的に説明する。
【0012】
<支持構造>
図1において、天井面または壁面を構成する面材の一例として軒天井材1の軒先側端部1a(一方の端部)は、固定金具2により設置部分となる鼻隠し下地材8(下地材)に連結して固定される。一方、軒天井材1の外壁側端部1b(他方の端部)は、軒天井材1(面材)の外壁側端部1b(端部)を上下両面側から挟み込んで支持する支持部材となる壁際見切材7により固定される。このような支持構造6により軒天井材1(天井面または壁面を構成する面材)が支持される。17は屋根、18は垂木、13は、外壁の外装材、15は胴縁である。軒天井材1、鼻隠し下地材8、屋根17、外装材13により軒裏空間12が形成される。
【0013】
<固定金具>
固定金具2は、図2(a)に示す鼻隠し下地材8(下地材)の下端面8aに固定ビス9により固定される固定片3aを有し、軒天井材1(面材)の上面1c(一方の面)を支えて止める拘束片3c(第1の拘束片)を有する図5に示す受け金具3を有する。更に、固定金具2は、軒天井材1(面材)の下面1d(他方の面)を支えて止める拘束片4a(第2の拘束片)を有する図6に示す拘束金具4を有する。
【0014】
<受け金具>
図5に示すように、受け金具3は、固定片3aに設けられた貫通穴3a1に固定ビス9を挿通して鼻隠し下地材8の下端面8aにビス止めにより固定される。固定片3aに略直交して上方に起立し、図1に示すように、鼻隠し下地材8の軒裏空間12側の側面8bに当接される起立片3bが設けられている。起立片3bには、貫通穴3b1が設けられており、作業性によっては、或いは、軒天井材1の重量や風圧力による強度に応じて貫通穴3b1に図示しない固定ビスを挿通して鼻隠し下地材8の軒裏空間12側の側面8bからビス止めする場合もある。固定片3aに略直交して下方に垂下する位置決め片3dが設けられている。位置決め片3dは、図3(c)に示すように、軒天井材1の軒先側端部1aの当てとなり、該軒天井材1と該軒天井材1が設置されない空間部分19とを区切ることができる。軒天井材1が設置されない空間部分19は、受け金具3の位置決め片3dと、受け金具3の起立片3bを下方に延長した仮想面20との間に形成される空間で、通気経路として利用される部分である。位置決め片3dにより軒天井材1(面材)に平行で、鼻隠し下地材8(下地材)に向かう方向(図1の左右方向)の軒天井材1の位置を位置決めする。
【0015】
位置決め片3dの長手方向(図5(b)の左右方向)の両端部近傍には、第1の嵌め合わせ部となる貫通穴からなる一対のガイド穴3d1が設けられている。図7(a),(b)に示すように、ガイド穴3d1には、拘束金具4に設けられた第2の嵌め合わせ部となるガイド片4bが挿通されて移動可能に嵌る。これにより拘束金具4は、受け金具3に対してスライド可能に係合される。ガイド穴3d1の高さ方向の開口幅hは、ガイド片4bの板厚tよりも大きくなるように設定されている。これにより図3(c)に示すように、固定ネジ5を係合片3eのネジ穴3e1に螺合して回転させるとガイド片4bがガイド穴3d1内に嵌合された状態で上下方向に移動することができる。
【0016】
図5に示すように、位置決め片3dに略直交して固定片3aに略平行な係合片3eが設けられている。係合片3eには、図1に示す固定ネジ5が螺合されるネジ穴3e1が設けられている。図1に示すように、拘束金具4の拘束片4aの下側から図6に示す拘束片4aに設けられた貫通穴からなる長穴4a1内に固定ネジ5を挿通し、図5に示す受け金具3の係合片3eに設けられたネジ穴3e1に固定ネジ5を螺合締結する。このねじ作用により固定ネジ5は、受け金具3と拘束金具4とに係合して、受け金具3に設けられた拘束片3c(第1の拘束片)と、拘束金具4に設けられた拘束片4a(第2の拘束片)とを接近させる。受け金具3の係合片3eに設けられたネジ穴3e1に螺合された固定ネジ5が第1の嵌め合わせ部として構成され、拘束金具4の拘束片4aに設けられた長穴4a1が第2の嵌め合わせ部として構成される。そして、固定ネジ5の軸部が長穴4a1内に挿入されて嵌る。
【0017】
<拘束金具>
図6に示すように、拘束金具4の拘束片4aに略直交して上方に起立する起立片4cが設けられている。また、拘束金具4の拘束片4aに略直交して下方に垂下する垂下片4dが設けられている。図3(b),(c)に示すように、施工作業員は、起立片4cや垂下片4dを摘んで拘束金具4を受け金具3に対して図3(b),(c)の左右方向にスライド移動させることができる。また、図1に示すように、通気穴が設けられた長尺状の通気見切り材10を鼻隠し下地材8の下端面8aに固定ビス11により固定する際に、垂下片4dが通気見切り材10の内側に嵌入され、起立片4cが通気見切り材10の水返し片10aに当接して通気見切り材10を取り付ける際のガイドと位置決めを兼ねている。
【0018】
拘束片4 aの長手方向( 図6(b),(c)の左右方向)の両端部で、拘束片4aに略直交して上方に起立する一対の起立片4eが設けられている。起立片4eに略直交して拘束片4aに略平行にガイド片4bが設けられている。図3(b)に示すように、固定ネジ5を係合片3eのネジ穴3e1に螺合するねじ作用により受け金具3の拘束片3c(第1の拘束片)と、拘束金具4の拘束片4a(第2の拘束片)とを接近させて軒天井材1を挟み込んで拘束する前に拘束金具4の拘束片4aは、軒天井材1(面材)と干渉しない位置に退避可能で、軒天井材1を挿入後に図3(c)に示すように、軒天井材1の下面1d(他方の面)を拘束する位置に移動可能に設けられている。
【0019】
そして、図3(c)に示すように、拘束金具4の拘束片4aを軒天井材1の下面1d(他方の面)を拘束する位置に移動した後、固定ネジ5を係合片3eのネジ穴3e1に螺合締結する、ねじ作用により受け金具3に設けられた拘束片3c(第1の拘束片)と、拘束金具4に設けられた拘束片4a(第2の拘束片)とを接近させて軒天井材1(面材)を挟み込んで支持する。
【0020】
<施工手順>
次に、図2図4を用いて、図1に示す天井面または壁面を構成する面材の一例である軒天井材1を支持する支持構造6の施工手順について説明する。先ず、図2(a)に示すように、鼻隠し下地材8の下端面8aに受け金具3の固定片3aを当接すると共に、鼻隠し下地材8の軒裏空間12側の側面8bに受け金具3の起立片3bを当接する。そして、図5に示す固定片3aに設けられた貫通穴3a1に固定ビス9を挿通して鼻隠し下地材8の下端面8aにビス止めする。作業性によっては、或いは、取り付け強度を増したい場合には、受け金具3の起立片3bに設けられた貫通穴3b1に固定ビス9を挿通して鼻隠し下地材8の軒裏空間12側の側面8bにビス止めすることもできる。
【0021】
一方、外壁を構成する外装材13の表面には、図8に示す壁際見切材7(支持部材)の固定片7aが当接され、固定片7aに設けられた貫通穴7a1内に固定ビス14を挿通して外装材13及び胴縁15にビス止めする。壁際見切材7は、断面が略コ字形状で構成されており、軒天井材1の上面1cに当接して拘束する上部拘束片7bの水平方向(図2(b)の左右方)の長さが、軒天井材1の下面1dに当接して拘束する下部拘束片7cの水平方向(図2(b)の左右方)の長さよりも長く設定されている。これにより図2(b)に示すように、軒天井材1の軒先側端部1aが外壁側端部1bよりも低い姿勢で斜めにした状態で軒天井材1の外壁側端部1bを壁際見切材7の開口7dから容易に挿入することができる。
【0022】
このとき、図3(b)に示すように、拘束金具4の拘束片4aは、図3(b)の左側にスライドさせて軒天井材1と干渉しない位置に退避させている。このとき、固定ネジ5は、拘束金具4の拘束片4aに設けられた長穴4a1内に挿通され、受け金具3の係合片3eに設けられたネジ穴3e 1 に軽く螺合されて係合している。これにより軒天井材1の外壁側端部1bを壁際見切材7内に挿入した状態で軒天井材1の軒先側端部1aを図2(b)の上方に持ち上げて図3(b)に示すように、受け金具3の拘束片3c に軒天井材1 の上面1cを当接し、拘束金具4の起立片4c或いは垂下片4dを把持して拘束金具4の拘束片4aを図3(c)の右側にスライドさせて軒天井材1の下面1dを拘束する位置に移動する。
【0023】
そして、図3(a),(c)に示すように、固定ネジ5を受け金具3の係合片3eに設けられたネジ穴3e1に螺合締結して、ねじ作用により受け金具3の拘束片3cと、拘束金具4の拘束片4aとを接近させ、図4(a)に示すように、受け金具3の拘束片3cと、拘束金具4の拘束片4aとで軒天井材1を挟み込んで固定支持する。そして、図4(a)に示すように、通気見切り材10の固定片10bを鼻隠し下地材8の下端面8aに当接して固定ビス11によりビス止めする。その後、図1に示すように、鼻隠し部材16を鼻隠し下地材8の軒先側の側面8cに取り付ける。
【0024】
本実施形態では、図3(b)に示すように、拘束金具4 の拘束片4aを図3(b)の左側にスライドさせて軒天井材1と干渉しない位置に退避させた状態で、軒天井材1の上面1cを受け金具3の拘束片3cに当接させた後、図3(c)に示すように、拘束金具4の拘束片4aを軒天井材1にオーバーラップする位置まで図3(c)の右側にスライド移動させる。その後、受け金具3の係合片3eに設けられたネジ穴3e1に軽く螺合された固定ネジ5を回転させて、ねじ作用により拘束金具4の拘束片4aを受け金具3の拘束片3cに接近させる。これにより拘束金具4の拘束片4aを軒天井材1の下面1dに当接させて受け金具3の拘束片3cと拘束金具4の拘束片4aとにより軒天井材1を両面側から挟んで固定する。これにより軒天井材1を軒裏空間12に容易に設置することができる。
【0025】
一方、軒天井材1の外壁側端部1bを両面側から挟み込んで支持する壁際見切材7(支持部材)により固定する場合には、軒天井材1の釘留め作業等が省略化できる。また、図2(b)に示すように、拘束金具4の拘束片4aを軒天井材1と干渉しない位置に退避させた状態で軒天井材1の軒先側端部1aを受け金具3の拘束片3cに当接させることができる。このため軒天井材1の挿入時に軒先側端部1aが拘束金具4の拘束片4aと干渉しない。これにより軒天井材1の設置が容易にできる。また、軒天井材1の外壁側端部1bを壁際見切材7(支持部材)の外装材13に固定した固定片7aに接近して設置できる。これにより壁際見切材7(支持部材)を小型化することができ、強度上も壁際見切材7(支持部材)の板厚を小さくすることができるため意匠性に優れ、軽量化、小型化して部品コストを低減することができる。
【0026】
また、図3(c)に示すように、受け金具3を取り付ける鼻隠し下地材8(下地材)から離間した位置に位置決め片3dが設けられる。これにより軒天井材1の軒先側端部1aにより通気が阻害されない安定した通気経路を容易に形成することができる。通気経路は、鼻隠し下地材8(下地材)と、軒天井材1の軒先側端部1aと、所定ピッチで設けられる受け金具3相互の間に形成される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の活用例として、天井面または壁面を構成する面材を該面材の設置部分に連結する固定金具及びそれを用いた面材の支持構造に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
t…ガイド片4bの板厚
h…ガイド穴3d1の高さ方向の開口幅
1…軒天井材(天井面または壁面を構成する面材)
1a…軒先側端部(一方の端部)
1b…外壁側端部(他方の端部)
1c…上面(一方の面)
1d…下面(他方の面)
2…固定金具
3…受け金具
3a…固定片
3a1…貫通穴
3b…起立片
3b1…貫通穴
3c…拘束片(第1の拘束片)
3d…位置決め片
3d1…ガイド穴(第1の嵌め合わせ部)
3e…係合片
3e1…ネジ穴
4…拘束金具
4a…拘束片(第2の拘束片)
4a1…長穴(第2の嵌め合わせ部)
4b…ガイド片(第2の嵌め合わせ部)
4c…起立片
4d…垂下片
4e…起立片
5…固定ネジ(第1の嵌め合わせ部)
6…支持構造
7…壁際見切材(支持部材)
7a…固定片
7a1…貫通穴
7b…上部拘束片
7c…下部拘束片
7d…開口
8…鼻隠し下地材(下地材)
8a…下端面
8b…軒裏空間12側の側面
8c…軒先側の側面
9…固定ビス
10…通気見切り材
10a…水返し片
10b…固定片
11…固定ビス
12…軒裏空間
13…外装材
14…固定ビス
15…胴縁
16…鼻隠し部材
17…屋根
18…垂木
19…軒天井材1が設置されない空間部分
20…仮想面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8