IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タカラスタンダード株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-パネル固定具 図1
  • 特許-パネル固定具 図2
  • 特許-パネル固定具 図3
  • 特許-パネル固定具 図4
  • 特許-パネル固定具 図5
  • 特許-パネル固定具 図6
  • 特許-パネル固定具 図7
  • 特許-パネル固定具 図8
  • 特許-パネル固定具 図9
  • 特許-パネル固定具 図10
  • 特許-パネル固定具 図11
  • 特許-パネル固定具 図12
  • 特許-パネル固定具 図13
  • 特許-パネル固定具 図14
  • 特許-パネル固定具 図15
  • 特許-パネル固定具 図16
  • 特許-パネル固定具 図17
  • 特許-パネル固定具 図18
  • 特許-パネル固定具 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】パネル固定具
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220510BHJP
   E04B 2/72 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
E04H1/12 301
E04B2/72 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017156088
(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公開番号】P2019035229
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000108661
【氏名又は名称】タカラスタンダード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】村松 潤治
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-227842(JP,A)
【文献】特開2016-125256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の洗い場に取り付けられる洗い場取付部と、浴室のパネルが取り付けられるパネル取付部とから構成され、洗い場にパネルを固定するために用いられるパネル固定具において、
前記洗い場取付部が、洗い場の立上げ面部に引っ掛かる上腕部と、上方から前記立上げ面部の裏面側を通って洗い場の裏側に引っ掛かる下腕部と、を有し、洗い場に引っ掛って留められる、
ことを特徴とするパネル固定具。
【請求項2】
前記下腕部が下方に向けて伸び、前記下腕部の先端が、洗い場の裏側の下方に向けて伸び、かつ、洗い場の裏面から離れている
ことを特徴とする請求項1に記載されたパネル固定具。
【請求項3】
前記上腕部における前記パネルに近づく方向の厚みが、前記立上げ面部とパネルとの隙間と同じに形成された、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたパネル固定具。
【請求項4】
前記下腕部が、下方に向けて伸びると共に洗い場の裏側に向けて湾曲した、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたパネル固定具。
【請求項5】
前記パネル取付部が、
パネルの裏面と対面するパネル第一取付部と、
前記パネル第一取付部の下方に連接されると共にこのパネル第一取付部よりもパネルの裏面に近い位置でパネルと対面するパネル第二取付部と、から構成され、
前記洗い場取付部が、
前記パネル第二取付部の下方に連接されると共に前記パネル第一取付部と同一平面上に配置されて前記立上げ面部の裏面と対面する腕基部と、
前記腕基部から前記立上げ面部の表面側に向けて伸びると共に前記立上げ面部の上端および表面に引っ掛かり、かつ、前記立上げ面部とパネルとの隙間においてパネルを支持する前記上腕部と、
前記腕基部から下方に向けて伸びると共に洗い場の裏側に向けて湾曲して前記立上げ面部の下端に引っ掛かる前記下腕部と、から構成された、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたパネル固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場にパネルを固定する際に用いられるパネル固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の洗い場にパネルを固定するために、例えば、下記特許文献1に記載された壁パネル固定構造がある。この壁パネル固定構造は、洗い場に壁パネルを取り付ける際、浴槽の端部に形成された浴槽側立壁に壁パネルを連結させるものである。浴槽側立壁は、上端に柱状のポストが取り付けられ、側端にクリップ金具が取り付けられている。このポストとクリップ金具を介して壁パネルが浴槽側立壁に連結されることで、洗い場に壁パネルが取り付けられる。
【0003】
また、他の技術として、洗い場の縁に形成された立上げ面部に壁パネルを取り付けるために用いられる固定具がある。この固定具は、平板状であり、下部が立上げ面部に当てられた状態でネジで固定され、上部に壁パネルが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-276052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した固定具は、下部を洗い場の立上げ面部に当てる手順、その後ネジで固定する手順を経るため、作業が煩雑である。また、固定具は平板状であり、ネジで固定する前に、下部を洗い場の立上げ面部に当てる手順を経るため、その際、洗い場と駆体との隙間から固定具が落下する場合がある。
【0006】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、洗い場への取り付け作業を簡便にすることができ、確実に洗い場に取り付けることができるパネル固定具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るパネル固定具は、浴室の洗い場に取り付けられる洗い場取付部と、浴室のパネルが取り付けられるパネル取付部とから構成され、洗い場にパネルを固定するために用いられるパネル固定具において、前記洗い場取付部が、洗い場の立上げ面部に引っ掛かる上腕部を有し、洗い場に引っ掛って留められる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るパネル固定具は、前記洗い場取付部が、洗い場の裏側に引っ掛かる下腕部を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るパネル固定具は、前記上腕部が、前記立上げ面部とパネルとの隙間に倣った厚みに形成された、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るパネル固定具は、前記下腕部が、下方に向けて伸びると共に洗い場の裏側に向けて湾曲した、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るパネル固定具は、前記パネル取付部が、パネルの裏面と対面するパネル第一取付部と、前記パネル第一取付部の下方に連接されると共にこのパネル第一取付部よりもパネルの裏面に近い位置でパネルと対面するパネル第二取付部と、から構成され、前記洗い場取付部が、前記パネル第二取付部の下方に連接されると共に前記パネル第一取付部と同一平面上に配置されて前記立上げ面部の裏面と対面する腕基部と、前記腕基部から前記立上げ面部の表面側に向けて伸びると共に前記立上げ面部の上端および表面に引っ掛かり、かつ、前記立上げ面部とパネルとの隙間においてパネルを支持する上腕部と、前記腕基部から下方に向けて伸びると共に洗い場の裏側に向けて湾曲して前記立上げ面部の下端に引っ掛かる下腕部と、から構成された、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパネル固定具は、洗い場取付部が、洗い場の立上げ面部に引っ掛かる上腕部を有し、洗い場に引っ掛って留められる構成である。すなわち、上腕部が洗い場の立上げ面部に引っ掛かることで、洗い場取付部が洗い場に留められる。したがって、ネジで固定する手順を経ることなく、洗い場への取り付け作業を簡便にすることができる。また、パネル固定具は、上腕部の分だけ厚みがあり、洗い場取付部を立上げ面部に当てると同時に引っ掛かって留められるため、立上げ面部と駆体との隙間に入ることがなく、確実に洗い場に取り付けることができる。このように、洗い場取付部が洗い場に引っ掛かって留められる構成であれば、取付位置を容易にずらして変えることができる。例えば、立上げ面部において仮の位置にパネル固定具を取り付け、後にパネル固定具を立上げ面部に沿ってずらすことで所望の位置へ移動させることができる。
【0013】
本発明に係るパネル固定具は、洗い場取付部が、洗い場の裏側に引っ掛かる下腕部を有している。すなわち、上腕部および下腕部によって立上げ面部を上下から挟むことで洗い場取付部が洗い場に引っ掛かって留められる。したがって、パネル固定具を洗い場に堅固に取り付けることができる。
【0014】
本発明に係るパネル固定具は、上腕部が、立上げ面部とパネルとの隙間に倣った厚みに形成されている。この構成により、パネル取付部と上腕部との二点でパネルが支持される。したがって、パネル固定具に対するパネルの取付状態を安定させることができる。
【0015】
本発明に係るパネル固定具は、下腕部が、下方に向けて伸びると共に洗い場の裏側に向けて湾曲している。この構成により、パネル固定具が洗い場に取り付けられる際、下腕部が立上げ面部と駆体との隙間に通されると共に弾性変形する。下腕部は、湾曲している分、駆体と接触する面が少なく、また、駆体と接触しても駆体に沿って円滑に摺動する。したがって、立上げ面部と駆体との隙間が狭い場合であっても容易に取り付けることができる。
【0016】
本発明に係るパネル固定具は、パネル取付部が、パネルの裏面と対面するパネル第一取付部と、パネル第一取付部の下方に連接されると共にこのパネル第一取付部よりもパネルの裏面に近い位置でパネルと対面するパネル第二取付部と、から構成され、洗い場取付部が、パネル第二取付部の下方に連接されると共にパネル第一取付部と同一平面上に配置されて立上げ面部の裏面と対面する腕基部と、腕基部から立上げ面部の表面側に向けて伸びると共に立上げ面部の上端および表面に引っ掛かり、かつ、立上げ面部とパネルとの隙間においてパネルを支持する上腕部と、腕基部から下方に向けて伸びると共に洗い場の裏側に向けて湾曲して立上げ面部の下端に引っ掛かる下腕部と、から構成されている。したがって、種々の凹凸が形成され、この形状が、作業者が把持する際のいわゆる掴み代となることで、洗い場への取り付け作業を簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具の使用状態が示された斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具の使用状態が拡大されて示され、(a)は図1のA部分において浴室の内側から視した概略拡大斜視図、(b)は図1のB部分において浴室の内側から視した概略拡大斜視図、(c)は図1のB部分において浴室の外側から視した概略拡大斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具を、前側である正面側から視した斜視図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具を、後側である背面側から視した斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具の正面図である。
図6】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具の背面図である。
図7】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具を上方から視した平面図である。
図8】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具を下方から視した底面図である。
図9】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具を幅方向の右方から視した右側面図である。
図10】本発明の第二実施形態に係るパネル固定具を正面側から視した斜視図である。
図11】本発明の第二実施形態に係るパネル固定具を背面側から視した斜視図である。
図12】本発明の第二実施形態に係るパネル固定具の正面図である。
図13】本発明の第二実施形態に係るパネル固定具の背面図である。
図14】本発明の第二実施形態に係るパネル固定具の平面図である。
図15】本発明の第二実施形態に係るパネル固定具の底面図である。
図16】本発明の第二実施形態に係るパネル固定具の右側面図である。
図17】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具の取り付け過程が示され、(a)はパネル固定具が取り付けられる直前の状態の斜視図、(b)はパネル固定具が取り付けられる途中の状態の斜視図、(c)はパネル固定具が取り付けられた状態の斜視図である。
図18】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具の取り付け過程が示され、(a)はパネル固定具が取り付けられる直前の状態の概略右側面図、(b)はパネル固定具が取り付けられる途中の状態の概略右側面図(c)はパネル固定具が取り付けられた状態の概略右側面図である。
図19】本発明の第一実施形態に係るパネル固定具の取り付け状態の断面が示された取付状態概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係るパネル固定具を図面に基づいて説明する。図1は、組み立て途中の浴室の全体の斜視図であって、本発明の第一実施形態に係るパネル固定具10の使用状態が示され、図2は、パネル固定具10の使用状態が拡大されて示されている。
【0019】
図1に示されているとおり、パネル固定具10は、浴室の洗い場1において、洗い場1の端において洗い場1とほぼ直角に連接された立上げ面部2に、パネル3が取り付けられて固定される際に用いられる。浴室では、複数のパネル3が、パネル固定具10を介して連結される。パネル3は、平坦な長方形であって、浴室側が表面であり、反対側が裏面である。パネル3の長辺の縁は、長手のアングル4が取り付けられている。図2に示されているとおり、アングル4は、被ネジ留部5が適宜形成されている。パネル3は、裏面がパネル固定具10に当てられて固定される。なお、以下の説明では、図2(a)に記載されているとおり、立上げ面部2の高さ方向を上方または下方とし、立上げ面部2の長さ方向を幅方向とする。また、パネル3に近づく方向を前側とし、パネル3から離れる方向を後側とする。
【0020】
ここで、パネル固定具10を図面に基づいて詳説する。図3から図9は、パネル固定具10の外観が示されている。また、図10から図16は、本発明の第二実施形態に係るパネル固定具110が示されている。
【0021】
図3から図9に示されているとおり、パネル固定具10は、薄板状の部材に凹凸が形成され、立上げ面部2に取り付けられる洗い場取付部11と、パネル3のアングル4が取り付けられるパネル取付部17とから構成されている。
【0022】
パネル取付部17は、アングル4の裏面と対面するパネル第一取付部18と、このパネル第一取付部18の下方に連接されたパネル第二取付部19とから構成されている。詳説すれば、パネル第一取付部18は、平板状であって、幅方向に長い長方形である。パネル第二取付部19も、平板状であって、幅方向に長い長方形であり、かつ、パネル第一取付部18と比較して上下に長く形成されている。パネル第一取付部18およびパネル第二取付部19は、段違いに連接され、パネル第二取付部19が、パネル第一取付部18よりも厚み方向において前側に配置されている。また、パネル第一取付部18およびパネル第二取付部19はそれぞれ、幅方向に並んだ三つのネジ孔20が形成されている。
【0023】
洗い場取付部11は、パネル第二取付部19の下方に連接された腕基部12と、この腕基部12に連接された上腕部14および下腕部16とから構成されている。詳説すれば、腕基部12は、平板状であって、上下に長い長方形である。腕基部12は、パネル取付部17のパネル第二取付部19と段違いに連接され、パネル第二取付部19よりも厚み方向において後側に配置されている。また、腕基部12は、パネル取付部17のパネル第一取付部18と同一平面上に配置されている。上腕部14は、フック状であり、幅方向における左右一対で構成されている。上腕部14は、腕基部12の左右縁から、厚み方向において、パネル第二取付部19よりも前側に伸びており、前端に平坦な前端面部15が形成されている。下腕部16は、腕基部12の下端に連接され、下方に向けて伸びると共に、厚み方向における前側に向けて湾曲している。この構成により、上腕部14と下腕部16とで係止部13が形成されている。
【0024】
なお、パネル取付部17のネジ孔20の数は任意であり、例えば、図10から図16に示されているとおり、パネル固定具110では、パネル第一取付部118およびパネル第二取付部119はそれぞれ、二つのネジ孔120が形成されている。パネル取付部117の幅の広狭は、ネジ孔20の数に応じて適宜決定される。なお、他の構成はパネル固定具10と同一であるため、図示をもって説明を省略する。
【0025】
以上のとおり、パネル固定具10,110が構成されている。次に、パネル固定具10の使用方法を図面に基づいて説明する。図17および図18は、パネル固定具10を立上げ面部2に取り付ける過程が示され、図19は、図1におけるA部分において、パネル固定具10が立上げ面部2に取り付けられ、このパネル固定具10にパネル3が取り付けられた状態の断面の概略が示されている。
【0026】
図17および図18に示されているとおり、パネル固定具10は、係止部13が洗い場1の立上げ面部2に係止する。詳説すれば、下腕部16が立上げ面部2と駆体6との隙間に通され、洗い場取付部11の上腕部14が、立上げ面部2に引っ掛かかって留められる。上腕部14は、腕基部12から立上げ面部2の表面側に向けて伸びているため、立上げ面部2の上端および表面に引っ掛かる。また、下腕部16は、洗い場1の裏側に向けて湾曲しているため、洗い場1の裏側において立上げ面部2の下端に引っ掛かる。立上げ面部2に取り付けられたパネル固定具10は、洗い場1に対してほぼ垂直であり、かつ、立上げ面部2に沿って上方に向けてほぼ真っすぐ立っている。腕基部12は、立上げ面部2の裏面と間を空けて対面している。なお、仮に、立上げ面部2と駆体6との隙間が狭い場合、下腕部16が弾性変形しながら立上げ面部2と駆体6との隙間に通される。
【0027】
図19に示されているとおり、パネル固定具10のパネル取付部17に、パネル3が取り付けられる。詳説すれば、パネル3におけるアングル4の被ネジ留部5が、パネル取付部17のパネル第一取付部18に当てられると共に、アングル4がパネル取付部17のパネル第二取付部19に当てられる。パネル第二取付部19は、パネル第一取付部18よりもパネル3に近い位置でパネル3と対面して接触している。また、アングル4が、上腕部14の前端面部15に当てられる。すなわち、アングル4がパネル取付部17に当てられた状態で、上腕部14が立上げ面部2とパネル3との隙間21に倣った厚みに形成されているため、立上げ面部2とパネル3との隙間21において上腕部14によってパネル3が支持される。この状態で、浴室側から被ネジ留部5およびパネル第一取付部18のネジ孔20にネジが螺合され、パネル3がパネル固定具10に取り付けられる。このようにして、パネル固定具10を介して洗い場1にパネル3が固定される。なお、パネル第二取付部19のネジ孔20は、例えば、浴室の扉が配置される個所に設けられたアングル4が、パネル取付部17に当てられた際に用いられる(図2(c)参照)。
【0028】
以上のとおり、本発明の実施形態に係るパネル固定具10が構成されている。次に、本実施形態に係るパネル固定具10の効果を説明する。
【0029】
上記したとおり、パネル固定具10は、厚み方向において前側に伸びたフック状の上腕部14と、下方に向けて伸びると共に、厚み方向における前側に向けて湾曲した下腕部16とを有している(図3参照)。この構成により、上腕部14は、立上げ面部2の上端および表面に引っ掛かり、また、下腕部16は、洗い場1の裏側において立上げ面部2の下端に引っ掛かる(図17参照)。したがって、上腕部14および下腕部16によって立上げ面部2を上下から挟むことで洗い場取付部11が立上げ面部2に引っ掛かって留められ、パネル固定具10を洗い場1に堅固に取り付けることができる。また、ネジで留める手順を経ることなく、立上げ面部2への取り付け作業を簡便にすることができる。
【0030】
パネル固定具10は、上腕部14の分だけ厚みがあり、洗い場取付部11が立上げ面部2に当たると同時に引っ掛かって留められるため、立上げ面部2と駆体6との隙間に入ることがなく、確実に立上げ面部2に取り付けることができる(図18参照)。このように、洗い場取付部11が立上げ面部2に引っ掛かって留められる構成であれば、取付位置を容易にずらして変えることができる。例えば、立上げ面部2において仮の位置にパネル固定具10を取り付け、後にパネル固定具10を立上げ面部2に沿ってずらすことで所望の位置へ移動させることができる。
【0031】
仮に、立上げ面部2と駆体6との隙間が狭い場合、パネル固定具10が立上げ面部2に取り付けられる際、下腕部16が立上げ面部2と駆体6との隙間に通されると共に弾性変形する(図18参照)。下腕部16は、下方に向けて伸びると共に洗い場1の裏側に向けて湾曲している分、駆体6と接触する面が少なく、また、駆体6と接触しても駆体6に沿って円滑に摺動する。したがって、立上げ面部2と駆体6との隙間が狭い場合であっても容易に取り付けることができる。
【0032】
パネル固定具10によれば、パネル3におけるアングル4の被ネジ留部5が、パネル取付部17のパネル第一取付部18に当てられると共に、アングル4がパネル取付部17のパネル第二取付部19に当てられた状態で、上腕部14が立上げ面部2とパネル3との隙間21に倣った厚みに形成され、上腕部14の前端に平坦な前端面部15が形成されている(図19参照)。この構成により、被ネジ留部5がパネル第一取付部18に当てられると共に、アングル4が、パネル第二取付部19および上腕部14の前端面部15に当てられ、隙間21において、上腕部14によってパネル3が支持される。すなわち、パネル取付部17と上腕部14との二点でパネル3が支持される。したがって、パネル固定具10に対するパネル3の取付状態を安定させることができる。
【0033】
パネル固定具10によれば、洗い場取付部11は、パネル第二取付部19と段違いに連接された腕基部12から、厚み方向において前側に、フック状の上腕部14が伸び、また、腕基部12の下端から、下方に向けて伸びると共に、厚み方向における前側に向けて、下腕部16が湾曲している。一方で、パネル取付部17は、パネル第一取付部18およびパネル第二取付部19が、段違いに連接されている(図3参照)。この構成により、種々の凹凸が形成され、この形状が、作業者が把持する際のいわゆる掴み代となることで、立上げ面部2への取り付け作業を簡便にすることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。例えば、屋内外の種々の洗い場に用いられる。
【符号の説明】
【0035】
1 洗い場
2 立上げ面部
3 パネル
4 アングル
5 被ネジ留部
6 躯体
10,110 パネル固定具
11 洗い場取付部
12 腕基部
13 係止部
14 上腕部
15 前端面部
16 下腕部
17 パネル取付部
18 パネル第一取付部
19 パネル第二取付部
20 ネジ孔
21 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19